JP2621193B2 - 自動２輪車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） この発明は、車体中央下部にエンジンを搭載した自動
２輪車に関する。

（従来の技術） 一般に自動２輪車に乗るライダは、保安上ヘルメット
を使用する。駐車時にはこのヘルメットを車に残して置
くようにするが、特殊な収納装置を備えない限り、自動
２輪車の内部にヘルメットを格納できないので、ハンド
ルやシートの一部に係止して施錠するようにしている。

一方、ハンドルとシートとの間を低く湾曲させてステ
ップボードを配置し、シート下方を外装ボディで被覆し
たスクータ型の自動２輪車では、シートを蓋代わりにし
てシート下方の外装ボディ内にヘルメットの収納スペー
スを設けたものがある（特開昭60−154964号および特開
昭61−282178号参照）。

しかし、車体中央下部にエンジンを搭載する通常型の
自動２輪車では、跨乗式のシートを用いるのでシート下
の横巾を大きくすることができないし、また車輪径が比
較的大きいことから、シート下に余裕のスペースがな
く、その他の部分にもヘルメットを収納できるスペース
を確保しにくい。

このため、車体中央下部にエンジンを搭載した自動２
輪車では、車から離れるときに、ヘルメットを車体の一
部に吊して置くとか、盗難などの不安があれば持ち歩か
なければならない、という不便があった。

（発明が解決しようとする問題点） 以上のように、車体中央下部にエンジンを搭載し、跨
乗式シートを備えた自動２輪車では、ヘルメットを収納
するスペースを確保しにくい課題があった。

この発明は、上記した事情を考慮してなされたもの
で、比較的大きな容量を持つ燃料タンクやエアクリーナ
の配置形状を変更することによってヘルメットを収容で
きるスペースを設定した自動２輪車を提供することを目
的とする。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、この発明の自動２輪車
は、操舵用前輪と駆動用後輪を前後に配し、車体中央下
部にエンジンを搭載し、車体後上部にシートを配置した
自動２輪車において、ヘッドパイプを支持するメインフ
レームの上部を左右に広拡するバックボーンで構築し、
左右のバックボーン間の空間前部にヘルメットを収納で
きる収納ボックスを配置し、前記エンジン後方でシート
下方および後輪前上方に形成される空間に燃料タンクを
配設し、この燃料タンクの注入口をシートの運転者着座
部より後上方位置に設け、上記注入口からエンジン側に
向って燃料タンクを前方下り形状に延設し、さらに、前
記収納ボックス後部とシート前部と燃料タンク前上部と
の間の空間内にエアクリーナを配置し、前記収納ボック
ス上面の開口に開閉自在な外装カバーを被着したもので
ある。

（作用） この発明の自動２輪車は上述した構成としたので、ハ
ンドルを支持するヘッドパイプとシートとの間にヘルメ
ットを収納する収納ボックスを配置し、シート前方に大
型の収納ボックスを設けることができ、この部分に燃料
タンクが配置されている一般的な跨乗型の自動２輪車と
同じような形状になるので、楽しみやすい外観を崩さな
いで済む。また従来の燃料タンクに比べれば、ヘルメッ
ト収納ボックスはボックス容量が小さいので、その分だ
け収納ボックス後部とシート前部と燃料タンクの前上部
との間に空間を有効に形成でき、この空間内にエアクリ
ーナを配置することができる。

そして燃料タンクはエンジン後方でシート下方および
後輪の前上方に形成される空間に配置され、シートの後
部上方位置からエンジン側に向って前方下り形状に大き
く延設されているので、タンク容量を充分に確保できる
一方、エンジン後方でシート下方および後輪の前上方に
形成される略三角形状の空間の有効利用が図れる。

（実施例） 以下この発明の実施例を示す図に就いて説明する。

第１図はこの発明に係る自動２輪車の一実施例を示す
全体側面図、第２図は同要部の配置を示す一部縦断した
平面図、第３図は同平面図、第４図は第１図Ａ−Ａ矢視
による拡大した縦断面図である。

自動２輪車は棒ハンドル３により操舵できるようにし
た前輪１と車体中央下部に搭載したエンジン４によって
駆動される後輪２とを前後に配し、後上部に跨乗型シー
ト５を配置して構成される。

前輪１の操舵用ステアリング軸を軸支するヘッドパイ
プ６は、メインフレーム９の前端に支持される。このメ
インフレーム９は後方へ延びて下方へ屈曲するバックボ
ーン７と、後下方へ下がって後方へ延びるダウンチュー
ブ８によってほぼ台形に構築され、上記メインフレーム
９内にエンジン４が搭載される。

後輪２はメインフレーム９後部の強度メンバ10に枢支
されたスイングアーム11の後端に軸支され、モノサスペ
ンション12によって緩衝懸架される。このモノサスペン
ション12は、メインフレーム９後下部に枢支された後方
へ延びるリンク13の中央部とスイングアーム11前部とを
リンク14で連結し、メインフレーム９後上部に固定した
ブラケット15とリンク13の後端との間を緩衝ユニット16
で連結して構成される。

メインフレーム９には、上向きに傾斜して後方へ延び
る後部フレーム17が接続されて前記シート５を支承し、
リヤカバー18で被覆される。19はリヤフェンダを示す。

次に、前記メインフレーム９のバックボーン７は、ヘ
ッドパイプ６から左右へ分かれて広拡し、左右のバック
ボーン7,7間の空間前部に収納ボックス20が配置され
る。収納ボックス20は上面が開いていて、ヘルメット21
を収納できる大きさに設定されており、シート５の前方
に大型の収納ボックス20を配置できる。

収納ボックス20の後下方には、エンジン４の吸入通路
22にキャブレタ23を介して接続されたエアクリーナ24が
配置される。このエアクリーナ24は、クリーナケース24
aの一部に収納ボックス20の後面に沿って上方へ延びる
消音部24bが形成され、シート５との間に位置する。エ
アクリーナ24への空気取入口25はシート５下に開口す
る。

シート５下には、その下面に沿って、前端部26aが上
記エアクリーナ24下方へ大きく延びる合成樹脂製の偏平
な燃料タンク26が配置される。燃料タンク26の注入口27
はシート５の運転者着座部より後部の上方位置に設けら
れて、後部上面に開口し、通常はシート５に隠蔽されて
いる。燃料タンク前端部26aには中央部に切欠部があっ
てエアクリーナケース24の下縁部や前記モノサスペンシ
ョン12やブラケット15がこの切欠部内に配置される。前
記リヤカバー18は燃料タンク両側を覆って保護板の役目
をし、前方へ延びてエアクリーナケース24両側方を被覆
している。

燃料タンク26はエンジン４の後方でシート５の下方お
よび後輪２の前上方に形成される略三角形状の空間に有
効に配置される。燃料タンク26の注入口27はシート５の
後部上方でタンク後端側の最上方位置に設けられ、燃料
タンク26は注入口27からエンジン４側あるいはモノサス
ペンション12側に向って前方下り形状に大きく延設され
るので、タンク容量を充分に確保することができる。燃
料タンク26は、シート５が第１図に示す二人乗り用のタ
ンデムシートである場合、シート５の略全長に亘って延
設することができる。

燃料タンク26は、シート５の運転者着座部より後方上
方位置に注入口27が形成され、この注入口27からエンジ
ン４側に向って前方下り形状に大きく延設される一方、
前方下り形状（あるいは後方上り形状）に延設された燃
料タンクは、跨乗型シート５、リヤカバー18およびリヤ
フェンダ19によって外側がガードして設置されるので、
合成樹脂のブロー成形品を用いることができ、偏平その
他の複雑な形状を容易に成形できる。燃料タンク26は後
輪２の前上方でシート５下にエンジン４（あるいはモノ
サスペンション12）で形成される狭い空間の有効利用が
可能であると同時に、生産性が良く、コスト上有利にな
る。

一方、収納ボックス20はヘルメットを収納可能な大型
のボックスであるが、従来の燃料タンクに較べボックス
容量を小さくとることができるので、収納ボックス20を
左右のバックボーン7,7間に形成される空間前部に設け
ると、収納ボックス20の後部と跨乗型シート５の前部
と、燃料タンク26の前上部との間に空間が有効的に形成
され、この空間を利用してエアクリーナ24が設置され
る。

さらに収納ボックス20上面および両側は、開閉カバー
である帽状の外装カバー28で被覆される。外装カバー28
は例えば、その後縁端をエアクリーナ24の消音部24b上
面にヒンジ29で開閉自在に枢支される。30は閉じたとき
の外装カバー28をロックする施錠装置を示す。

外装カバー28の両側面は、閉じているときには、バッ
クボーン７の側面、エアクリーナ24の消音部24bの側面
およびリヤカバー18の側面と共に、段差のない平滑な面
を形成する。エアクリーナ24の消音部24bと外装カバー2
8との関係は、第４図に示す通りである。

〔発明の効果〕

以上の通り、この発明に係る自動２輪車は、ハンドル
を支持するヘッドパイプとシートとの間にヘルメットを
収納する収納ボックスを配置し、シート前方に大型の収
納ボックスを設けることができ、この部分に燃料タンク
が配置された一般的な跨乗型自動２輪車の外観形状を大
きく変更することなくヘルメットを格納することができ
る。

また、燃料タンクはエンジン後方でシート下方および
後輪の前上方に形成される空間に配設され、タンク注入
口をシートの運転者着座部より後上方位置に設け、上記
注入口から燃料タンクをエンジン側に向って前方下り形
状に延設したので、注入口が燃料タンクのタンク最上方
に位置し、給油を円滑かつスムーズに行ない得るととも
に、燃料タンクのタンク容量を大型収納ボックスを設け
ても充分に確保でき、しかも後輪の前上方でシート下方
の空間を有効に利用できる。

さらに、収納ボックスは従来の燃料タンクに較べれば
ボックス容量を小さくできるので、収納ボックス後部と
シート前部と燃料タンクの前上部との間にボリュームの
ある空間を形成でき、この空いた空間を有効に利用し、
収納ボックスとシートとの間にエアクリーナを配置し、
エアクリーナを車体フレーム内にコンパクトに納めるこ
とができる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係る自動２輪車の一実施例を示す側
面図、第２図はこの発明に係る自動２輪車の要部の配置
を示す一部縦断側面図、第３図は上記自動２輪車の平面
図、第４図は第１図のＡ−Ａ矢視によるエアクリーナ消
音部の拡大した断面図である。 １……前輪、２……後輪、３……棒ハンドル、４……エ
ンジン、５……シート、６……ヘッドパイプ、７……バ
ックボーン、18……リヤカバー、20……収納ボックス、
21……ヘルメット、24……エアクリーナ、24a……クリ
ーナケース、24b……消音部、26……燃料タンク、28…
…外装カバー。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】操舵用前輪と駆動用後輪を前後に配し、車
   体中央下部にエンジンを搭載し、車体後上部にシートを
   配置した自動２輪車において、ヘッドパイプを支持する
   メインフレームの上部を左右に広拡するバックボーンで
   構築し、左右のバックボーン間の空間前部にヘルメット
   を収納できる収納ボックスを配置し、前記エンジン後方
   でシート下方および後輪前上方に形成される空間に燃料
   タンクを配設し、この燃料タンクの注入口をシートの運
   転者着座部より後上方位置に設け、上記注入口からエン
   ジン側に向って燃料タンクを前方下り形状に延設し、さ
   らに、前記収納ボックス後部とシート前部と燃料タンク
   前上部との間の空間内にエアクリーナを配置し、前記収
   納ボックス上面の開口に開閉自在な外装カバーを被着し
   たことを特徴とする自動２輪車。