JP2505273Y2 - 被検体搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、錠剤等小形の被検体を搬送しつつ該被検体
の損傷の有無を検査するシステム等に用いられる搬送装
置に関する。

〈従来の技術〉 この種の搬送装置の第１の従来例としては、実開昭60
−119986号に開示されている「損傷錠剤選別装置」又は
特開昭62−74819号に開示されている「錠剤転載装置」
のように２段重ねのドラム上に複数列の小孔を刻設し、
この小孔内に被検体を収容し、被検体に対する位置から
撮像装置によって撮像し検査をする装置を挙げることが
できる。これらの搬送装置は、被検体が上部ドラムから
下部ドラムへ乗り移る時に表裏が反転する性質を利用
し、表裏の検査ができる点に特徴がある。

第２の従来例としては、回動するタイミングベルトの
中央部に一定間隔に小孔を穿ち、その小孔を通じ、小孔
上に載置された被検体を吸着搬送する方法を挙げること
ができる。この方法は、被検体を吸着させた状態では、
ベルトと被検体の位置関係を上下入れ替えても搬送が可
能なので、本装置２台を用い、被検体の両面の検査が簡
単にできる点に特徴がある。

第３の従来例としては、一対の板によってスリットを
形成し、このスリットの上方にガイドレールによって一
定間隔に支持され、回動する円形断面の索条を設け、こ
の索条上に被検体を載置し、上記スリットに負圧を加え
て被検体を吸着する方法を挙げることができる。この方
法は、第２の従来例同様、表裏の反転が容易かつ確実に
でき、加えて被検体の間隔に不同があっても差し支えな
い特徴がある。

〈考案が解決しようとする課題〉 上記第１の従来例にあっては、被検体を小孔の中に収
容するとき、及び殊に上部ドラムから下部ドラムへ乗り
移るときに姿勢が乱れやすいこと、表裏反転の信頼性が
少ないこと、検査済み被検体の排出漏れを生じやすく、
これが次に搬送されてくる被検体と重なって破砕される
トラブルを生じやすいという問題点があった。

第２の従来例にあっては、被検体の第１の従来例にお
ける問題点は解決されるものの、被検体の間隔が不同に
なるときは吸引力が不同となって搬送の信頼性が失われ
るという新たな問題点を生じていた。

第３の従来例にあっては、第１及び第２の従来例にお
ける問題点は解決されるものの、円形索条が駆動プーリ
に対してスリップを生じることにより被検体が撮像位置
から検査結果によって選別される分別箇所に至る搬送時
間に不同を生じ、分別ミスを生じる惧れが発生した。

また、上記一対の索条のスリップは相互に異なること
があり、このときは被検体に水平回りの回転を生じ検査
結果の信頼性を失う惧れもある。或いは、索条が円形断
面の周方向に回転や捩じりを生じることもあり、この場
合は被検体がスリット内に落ち込んだりして検査により
破損しているとの誤判定をしてしまう惧れもあった。

本考案は、このような従来の問題点に鑑みなされたも
ので、任意の間隔で搬送されてくる被検体を一定した負
圧吸引力で吸着しつつ、該被検体に対向する負圧発生部
分の両側の部材の接近効果をも防止でき、且つ、回転や
落ち込みを生じたりすることなく安定した姿勢を保って
搬送することができ、更に、表裏の反転も容易かつ確実
にでき、錠剤等の被検体を検査部へ搬送する場合等にお
いて検査の信頼性を高めることができるようにした被検
体搬送装置を提供することを目的とする。

このため本考案に係る搬送装置は、剛性を有する多数
の細線材で無端状のベルト芯体を形成し、前記細線材の
相互間に内外表面間を連通する連通孔を、該ベルト芯体
上に載せられる被検体のベルト芯体との対向面面積当り
少なくとも１個の分布密度で形成すると共に、該ベルト
芯体に、搬送方向に環状に繋がってベルト芯体内外表面
間の連通を遮断する複数のシール帯を、ベルト芯体と一
体でかつ相互に間隙を挟んで平行に列設し、隣接するシ
ール帯相互にわたって着座するように供給された被検体
を搬送する搬送用ベルトと、 前記搬送用ベルトに搬送方向の滑り無く係合して該搬
送用ベルトを駆動する駆動手段と、 搬送用ベルトの内表面側からベルト芯体の前記連通孔
を介して隣接するシール帯相互間隙に負圧を導いて、被
検体をシール帯方向に吸引する吸引手段と、 を含んで構成した。

また、前記搬送用ベルトは、３本以上列設されたシー
ル帯を有し、隣接するシール帯相互にわたって着座する
被検体の列が複数列形成され得るように構成することが
できる。

また、前記シール帯は、ベルト芯体の内表面に突出す
る内側シール帯を含んで構成することができる。この場
合、内側シール帯のみでシール帯を構成するものを含
む。

また、上記のように内側シール帯を備える場合には、
前記吸引手段を、前記搬送用ベルトの内表面に対向する
外壁を備えたボックス状とし、該外壁に前記内側シール
帯に対向する部分を貫通するシール帯吸引用スリットま
たは小孔を有する構成とすることもできる。

また、同じく前記吸引手段を、搬送用ベルトの内表面
に対向する外壁を備えたボックス状とし、該外壁に前記
隣接するシール帯相互の間隙に対向する部分を貫通する
被検体吸引用スリットを有する構成としてもよい。

また、前記シール帯は、外表面に突出する被検体着座
用の着座部を含んで構成してもよい。

また、前記搬送用ベルトに搬送方向等間隔に孔を開口
し、駆動手段は該孔に係合するスプロケットを有して構
成することもできる。

或いは、前記搬送用ベルトの内表面に搬送方向に無端
状の凹凸部を形成し、駆動手段は該凹凸部に係合するタ
イミングプーリを有して構成することができる。

また、ベルト芯材は、細線材を網状に織って形成する
ことができる。

また、ベルト芯体は、細線材を長手方向が搬送方向と
直角となる方向のみに簾状に列設して形成することがで
きる。

また、細線材は、表面を良潤滑性材で被膜した構成す
ることもできる。

〈作用〉 搬送用ベルトのシール帯相互間の間隙に臨む外表面に
は吸引手段の空気吸引作用によりベルト内表面側からベ
ルト芯体の連通孔を介して負圧が導かれる。ここで、シ
ール帯部分は内外表面間が連通していないため、ベルト
芯体の連通孔を通じて隣接するシール帯相互間の間隙に
集中的に負圧が導かれ、また、連通孔は被検体のベルト
芯体との対向面面積当り少なくとも１個の分布密度で形
成されているため、被検体がベルト芯体の任意の位置に
供給されても連通孔１個以上に面するため、十分な吸引
力で隣接するシール帯相互にわたって着座する。

また、細線材が剛性を有し、かつ、シール帯がベルト
芯体と一体に形成されているため、前記したように隣接
するシール帯相互間の間隙に集中的に負圧が導かれても
シール帯相互が接近することを防止でき、かつ、シール
帯の回転、捩じれも防止できる。

一方、搬送用ベルトは、駆動手段に滑り無く係合して
駆動されるため、シール帯も速度変動なく一定速度で駆
動されると共に、隣接するシール帯相互に速度差を生じ
ることもない。

このように、被検体は隣接するシール帯相互に渡って
一定の吸引力で着座すると共に、シール帯が一定速度で
駆動され、回転や捩じりを生じたり、隣接するシール帯
相互の接近や速度差を生じたりすることがないため、被
検体は安定した姿勢を保ちつつ一定の速度で搬送され
る。

また、１本の搬送用ベルトを、シール帯を３本以上列
設して、隣接するシール帯相互にわたって着座する被検
体の列が複数列形成することを容易に行え、そのように
構成した場合には、被検体を複数列同時に搬送させるこ
とができるため、搬送速度を検査の信頼性を保てる速度
以下に保ちつつ搬送能率を高めることができ、信頼性を
確保しつつ検査能率を高めることができる。

また、前記シール帯は、ベルト芯体の内表面に突出す
る内側シール帯を含んで構成した場合にはシール帯内側
部分からの空気漏れが抑制されて、負圧吸引力を向上さ
せることができる。

更に前記吸引手段を、前記搬送用ベルトの内表面に対
向する外壁を備えたボックス状とし、該外壁に前記内側
シール帯に対向する部分を貫通するシール帯吸引用スリ
ットまたは小孔を有する構成としたものでは、内側シー
ル帯を適度な負圧で吸引することによるシール帯を吸引
手段の外壁に沿って安定して移動させることができる。
このため、特に、シール帯の外表面を下面にし、被検体
を吊り下げる形で保持する場合には搬送用ベルトの垂れ
下がりを防止でき延いては隣接するシール帯相互間の間
隙に発生する負圧の低下を防止できる。

また、同様にボックス状とした吸引手段の外壁に被検
体吸引用スリットを有したものでは、該被検体吸引用ス
リットを介して隣接するシール帯相互間の間隙に負圧を
発生させることができる。

また、前記シール帯が、外表面に突出する被検体着座
用の着座部を含んで構成したものでは、被検体を安定状
態に着座させることができる。

また、搬送用ベルトに開口した孔と駆動手段のスプロ
ケットとを係合させたものでは、該係合によって搬送用
ベルトとスプロケットとを確実に同期させて駆動させる
ことができるので、搬送用ベルトを変動なく一定速度で
駆動させることができる。

また、搬送用ベルトの内表面に形成した凹凸部と駆動
手段のタイミングプーリとを係合させるものでも同様
に、該係合によって搬送用ベルトとタイミングプーリと
を確実に同期させて駆動させることができるので、搬送
用ベルトを変動なく一定速度で駆動させることができ
る。

また、ベルト芯体を、細線材を網状に織って形成すれ
ば連通孔を容易に形成することができ、取扱も便利であ
る。

また、ベルト芯体を、細線材を長手方向が搬送方向と
直角となる方向のみに簾状に列設して形成したもので
は、搬送方向と直角な方向にのみ剛性を高めて隣接する
シール帯相互の接近防止効果を確保できる一方、搬送方
向の剛性は充分小さくすることができるため、ベルト芯
体の回転部分に生じる曲げ力を小さくすることができ、
搬送路部分の直線性を保ち易く延いては被検体の姿勢安
定性の更なる向上及び駆動手段の駆動力の軽減につなが
る。

また、細線材の表面を良潤滑性材で被膜して構成した
ものでは、十分な耐久強度を確保できると共に、吸引手
段の外壁との滑りを滑らかなものとして搬送用ベルトの
引っ掛かりを防止できると共に、駆動手段の駆動力を軽
減できる。

〈実施例〉 以下に、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

一実施例の構成を示す第１図〜第３図において、搬送
用ベルト１の無端状のベルト芯体11は、細線材としての
ガラス繊維を網状に織ったものの表面に良潤滑材である
四フッ化エチレン樹脂（商標名テフロン）を被膜して形
成されている。ベルト芯体11の内外表面間は、ガラス繊
維相互間に形成される連通孔により連通している。ここ
で、前記連通孔は後述する被検体に対して少なくとも１
個の分布密度で形成されている。ベルト芯体11を構成す
る細線材としては、後述する吸引ボックスからの負圧に
よって、隣接するシール帯が間隙を挟んで互いに接近す
る接近効果を防ぐことのできる程度の剛性を有すること
が必要であることから、ガラス繊維の他例えばスチール
ワイヤメッシュであってもよい。

スチールワイヤメッシュのように特に剛性の高い細線材
を用いる場合には、搬送方向に延びる細線材を無くし
て、ベルト幅方向のみの細線材を用いた簾状のベルト芯
体としてもよく、ベルト芯体11の回転部分に生じる曲げ
力を小さくすることができ、搬送路部分の直線性を保ち
易くなり、延いては後述する被検体の搬送時の姿勢を安
定させ易く搬送用ベルト１の駆動力の軽減にもつなが
る。

前記ベルト芯体11の外周側及び内周側の表面には、該
搬送用ベルト１の搬送方向に複数本（第１図には簡明の
ため２本のみ示してある。）のシール帯12が一体に列設
され、これにより、隣接するシール帯12相互間に搬送方
向に延びる複数本（実施例では２本）の間隙13が形成さ
れ、錠剤等の被検体TABが該間隙13を跨いで隣接するシ
ール帯12に着座するように供給される。

前記シール帯12は、四フッ化エチレン樹脂等の樹脂若
しくはラバー等の柔軟性材で形成されている。尚、シー
ル帯12の表面のみに四フッ化エチレン樹脂を被膜しても
よい。また、シール帯12はベルト芯体11に接着若しくは
吹きつけて固定すればよいが、ベルト芯体11の表面全体
に固定されたものから間隙13部分を除去して形成するこ
とも可能である。

また、本実施例ではシール帯12をベルト芯体11の内外
表面に突出して形成したため、内表面側突出部分（内側
シール帯）はベルト芯体11内側からの空気漏れを効果的
に抑制して負圧吸引力を高めることができ、一方、外表
面側突出部分は被検体TABを着座させる着座部としての
機能を有する。尚、シール帯12の厚さはベルト芯体11の
外表面側では、前記着座部の機能を持たせるために、断
面楕円又は円形状の被検体TABの中央部がベルト芯体11
表面に接触しない程度に設定するが、内周側の厚さはそ
れより十分薄くベルト芯体11のガラス繊維が隠され平ら
になる程度でよい。

但し、シール帯12はベルト芯体11の内外表面間の通路
を遮断するという最低限の機能を持たせるためだけであ
れば、ベルト芯体11の外表面又は内表面或いは中央部の
いずれかに設けるだけでよく、従って表面にテープを貼
って形成することもできる。

搬送用ベルト１の両側縁部にはベルト芯体11のを挟ん
で両面にラバー若しくは布材等の補強材14を搬送方向に
繋がるように所定幅固定すると共に、該補強材14に搬送
方向に沿って等間隔毎に孔14aを開口する。尚、該孔14a
には金具を嵌挿固定して補強してある。

かかる搬送用ベルト１を駆動する駆動手段の一部を構
成するスプロケット２が、前記孔14aに係合して搬送方
向両端部に設けられる。該スプロケット２は、図示しな
いモータにより一定速度で回転駆動されこれにより、搬
送用ベルト１を一定速度で滑り無く駆動するようになっ
ている。

尚、搬送用ベルトを滑り無く駆動する手段として後述
する実施例のように搬送用ベルトの両側縁部内表面を搬
送方向に凹凸状に形成し、該凹凸部をタイミングプーリ
に係合させて駆動させる方式としてもよい。この場合
は、搬送方向と直角方向への搬送用ベルトの滑りを無く
すために例えばタイミングプーリに凹凸部の側縁と係合
する鍔部を設けるような構成とすることが好ましい。

搬送用ベルト１の下部は吸引手段としての吸引ボック
ス３内に引き込まれ、上部は吸引ボックス３の上壁に沿
って走行する。また、搬送用ベルト１は吸引ボックス３
内部においてもテンションスプロケット４に掛架され、
適度な引張力に調整される。

前記吸引ボックス３は、上壁に前記搬送用ベルト１の
隣接するシール帯12相互間の間隙13に対応する部分を貫
通する被検体吸引用スリット31が形成されると共に、該
被検体吸引用スリット31より狭い幅を持ちシール帯12の
対向部分を貫通するシール帯吸引用スリットまたは小孔
32が形成されている。吸引ボックス３の底壁は中央部が
開口され、該開口部に接続するダクト５を介して図示し
ないバキュームポンプ等によって空気を吸引し、以て吸
引ボックス３内部を介して前記被検体吸引用スリット31
及びシール帯吸引用スリットまたは小孔32の外側に負圧
を導くようになっている。尚、ダクト５は吸引ボックス
３の下方に限らず、吸引ボックス３の任意の側面位置に
接続することも可である。

前記被検体吸引用スリット31のスリット幅は、錠剤TA
Bを安定してシール帯12に吸着できる負圧を間隙13を介
して与える大きさに設定されている。一方、シール帯吸
引用スリットまたは小孔32のスリット幅または小孔の内
径及び数は、シール帯12の前記内側突出部分の平滑度と
相まって該シール帯12を上下動を抑制すべく適度な強さ
で吸引ボックス３の上壁に吸引できる大きさに設定され
ている。尚、後述するように、搬送用ベルトの下面側で
被検体を搬送する場合にあっては、搬送用ベルトが垂れ
下がると吸引ボックス外壁から離れて被検体に作用する
負圧が失われてしまうため、より強い力でシール帯を吸
引するようにシール帯吸引用スリットまたは小孔32のス
リット幅または小孔の内径及び数を設定する必要があ
る。その場合、シール帯が吸引ボックス外壁に隙間なく
吸着されたとしても、シール帯の内周側表面を四フッ化
エチレン樹脂等の良潤滑材で被膜し平らに仕上げておく
ことにより十分摩擦抵抗を軽減できるのでシール帯吸引
用スリットまたは小孔の吸引力を有効に働かせることが
できると共に、搬送用ベルトの引っ掛かり無く円滑に駆
動できる。

かかる構成の搬送装置によれば、被検体TABは間隙13
に集中的に導かれた搬送方向に均一に作用する強い負圧
により、任意の間隔で供給されても十分な力でシール帯
12に吸着され位置ずれを生じることなく搬送される。

一方、搬送用ベルト１がスプロケット２の回転速度に
同期して滑り無く一定速度で駆動されるため、被検体TA
Bも前記位置ずれ防止機能と相まって同一速度で搬送さ
れ、後述するような被検体表面の検査装置システムに適
用される場合、撮像位置から不良品を選別して排出する
位置までの搬送時間に不同を生じることがなく、選別ミ
スを防止できる。また、前記検査システムで被検体の表
裏両面を検査する場合に搬送用ベルト下面（上面）に吸
着されて搬送されている被検体を、次の搬送装置の搬送
用ベルトの上面（下面）に引き継がせる際の被検体の表
裏反転を確実に行わせることができる。

また、搬送用ベルト１が１本であるため隣接するシー
ル帯12の相対移動が無いので、２本のベルトを使用する
場合のようなベルト間の速度差やベルトの回転，捩じれ
に伴う被検体TABの回転や落ち込みの問題もなく安定し
た姿勢を保ち搬送することができ、延いては検査の信頼
性を向上できる。

更に、１本の搬送用ベルト１に複数本のシール帯12を
設けて被検体TABを多条に搬送させることが容易に行
え、多条にもかかわらず同一条件で搬送を確実に行える
ため、搬送系が複雑にならずに、単位時間当たりの検査
量も多くでき、能率向上を図ることができる。

尚、曲率の高い被検体に対しては、外周側のシール帯
12の断面形状を第４図（Ａ）〜（Ｃ）のように丸みを持
たせて座りを良くしたほうがよく、平坦な被検体に対し
ては、第２図で示したように平坦な断面形状とする等、
被検体の形状に応じてシール帯12の断面形状を適宜設定
すればよい。

第５図は、上記構成を基本とした搬送装置を複数台使
用して錠剤等の小形被検体の表面の印刷や損傷状態を検
査するシステムの概要を示す図で、100は被検体の供給
整列部、200は表裏検査部、300は側面検査部である。か
かる検査システムの概要を説明する。

ホッパ110に貯蔵されている被検体はホッパ排出口111
を介して供給部120の搬送用ベルト121に供給され、ま
ず、ここで欠けた被検体を篩落とした後、整列部130に
供給され、次いで第１搬送ベルト141によって略一定間
隔になった被検体は第１の被検体搬送装置140の第１搬
送用ベルト141によって上向きの姿勢で表裏検査部200に
搬送される。なお、被検体の間隔に不同を生じても、表
裏検査部200の機能に支障は生じない。

第１搬送用ベルト141によって上向きの姿勢で供給さ
れた被検体はベルトの端において第１搬送用ベルト141
の吸着力が失われると共に、第２の被検体搬送装置210
の第２搬送用ベルト211によってその位置で上方に吸着
され、下向きの姿勢で吸着搬送されつつ一次元撮像装置
220によって裏面が撮像される。このように、第１搬送
用ベルト141から第２搬送用ベルト211への乗り移りは、
垂直方向の吸着力切り換えによる垂直方向の動きだけで
あるから、前記第１の実施例に見られるように、姿勢が
乱れたり、被検体の残留を生じたりすることがなく、安
定かつ確実に乗り移りができる特徴がある。第２搬送用
ベルト211によって吸着搬送された被検体は第３の被検
体搬送装置230の第３搬送用ベルト231へ同様にして乗り
移り、上向きの姿勢で搬送されつつ一次元撮像装置240
によって表面が撮像される。ここで検出された不良品は
排出装置250によって選択排出される。

表裏の検査をした被検体は次に側面検査部300に送ら
れ、姿勢変換部310において被検体を平らな姿勢から立
った姿勢に変換され一次元撮像装置320によって全側面
の検査を行い、不良品は排出装置330によって選択排出
され、良品は良品排出ダクト340によって排出される。
また、側面検査部300には被検体の粉の吸引排出装置350
を設けてある。

かかる検査システムにおいて、本考案に係る第１〜第
３の被検体搬送装置140,210,230の中、第１及び第３の
被検体搬送装置140,230については前記第１図〜第３図
に示した実施例の構成を有したものをそのまま利用で
き、第２の被検体搬送装置210についても上下の位置関
係を変えただけの構成のものを使用できる。また、供給
部120及び整列部130については、例えば本出願人による
特願昭63−259499号に開示された供給部13,整列部20の
技術をそのまま使用でき、側面検査部300については同
じく特願昭63−152373号の技術をそのまま使用できる。

第６図〜第９図は、本考案の第２の実施例に係る被検
体搬送装置を示す。

このものでは、搬送用ベルト51のシール帯52の内周側
表面が搬送方向に凹凸状（タイミングベルト状）に形成
され、該凹凸部を吸引ボックス53外側のタイミングプー
リ54（駆動手段の一部を構成）及び吸引ボックス53内の
ガイドプーリ55,テンションプーリ56の歯に噛合させて
搬送用ベルト51を掛架する。上記タイミングプーリ54を
モータで回転駆動して搬送用ベルト51を駆動し、吸引ボ
ックス53に接続されたダクト57への空気排出によりスリ
ット58に負圧を導いて被検体TABをシール帯52に吸着し
つつ搬送することは、前記第１の実施例同様である。
尚、網目状のベルト芯体を有した通常のタイミングベル
トの外側構成部材を除去することによって複数本のシー
ル帯52とスリット58を形成できる。

吸引ボックス53の窪み53aは搬送用ベルト51の蛇行防
止のためである。この他、蛇行防止のためにガイドピン
で搬送用ベルト51を挟むように保持することも可能であ
る。

その他の構成については、前記第１の実施例と同様で
ありしたがって、機能についても同様である。尚、図で
はシール帯52を２本備えたものを示したが、第１の実施
例同様３本以上として被検体を多条に搬送できることは
勿論である。

第10図は、前記第２の実施例の変形態様に係る第３の
実施例を示し、第７図と同一の要素には同一符号を付し
てある。第２の実施例と異なる点は対向する傾斜ブロッ
ク61を吸引ボックス53の被検体吸引用スリット62の両側
に設け、搬送用ベルト51に傾斜を与えることにより被検
体TABを一層安定して搬送できると共に、搬送用ベルト5
1の蛇行を防止できる。

尚、本考案によって吸着搬送する被検体は、医薬品の
錠剤のみならず、カプセルのような形状のものでもよ
く、更に小形の菓子類、化粧品、機械部品、釦等のもの
でもよいことは言うまでもない。

〈考案の効果〉 以上説明したように本考案によれば、任意の間隔で供
給される被検体を搬送方向に一定の十分な負圧で搬送用
ベルトに吸着させ、被検体の回転や移動を生じることな
く安定姿勢を保持しながら一定速度で搬送することがで
きる。

このため、他の搬送用ベルトへの表裏の反転を伴うよ
うな乗り移りも確実に行われ、特に検査システムへの適
用において不良品の検出精度及び不良品と良品との分別
精度を可及的に高めることができる。

更に、多条に被検体を搬送させることも容易に行え、
作業能率も可及的に高められる等種々の利点を備えるも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例に係る被検体搬送装置の
概要構成を示す斜視図、第２図は同上装置の横断側面
図、第３図は同上装置の正面概略図、第４図（Ａ）〜
（Ｃ）は同上装置のシール帯断面形状の変形態様を示す
断面図、第５図は同上装置を使用した被検体検査システ
ムの概要構成を示す正面図、第６図は本考案の第２の実
施例に係る被検体搬送装置の概要構成を示す斜視図、第
７図は同上装置の横断側面図、第８図は同上装置の平面
概略図、第９図は同上装置の正面概略図、第10図は本考
案の第３の実施例に係る被検体搬送装置の横断側面図で
ある。 1,51…搬送用ベルト、２…スプロケット 3,53…吸引ボックス、5,57…ダクト 11…ベルト芯体、12,52…シール帯、13,58…スリット、
14a…孔、31,62…被検体吸引用スリット、32…シール帯
吸引用スリットまたは小孔、TAB…被検体

Claims (11)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】剛性を有する多数の細線材で無端状のベル
   ト芯体を形成し、前記細線材の相互間に内外表面間を連
   通する連通孔を、該ベルト芯体上に載せられる被検体の
   ベルト芯体との対向面面積当り少なくとも１個の分布密
   度で形成すると共に、該ベルト芯体に、搬送方向に環状
   に繋がってベルト芯体内外表面間の連通を遮断する複数
   のシール帯を、ベルト芯体と一体でかつ相互に間隙を挟
   んで平行に列設し、隣接するシール帯相互にわたって着
   座するように被検体を搬送する搬送用ベルトと、 前記搬送用ベルトに搬送方向の滑り無く係合して該搬送
   用ベルトを駆動する駆動手段と、 搬送用ベルトの内外表面からベルト芯体の前記連通孔を
   介して隣接するシール帯相互の間隙に負圧を導いて、被
   検体をシール帯方向に吸引する吸引手段と、 を含んで構成したことを特徴とする被検体搬送装置。
2. 【請求項２】前記搬送用ベルトは、３本以上列設された
   シール帯を有し、隣接するシール帯相互にわたって着座
   する被検体の列が複数列形成され得るように構成された
   請求項１に記載の被検体搬送装置。
3. 【請求項３】前記シール帯は、ベルト芯体の内表面に突
   出する内側シール帯を含んで構成されてなる請求項１又
   は２に記載の被検体搬送装置。
4. 【請求項４】前記吸引手段は、前記搬送用ベルトの内表
   面に対向する外壁を備えたボックス状であり、該外壁に
   前記内側シール帯に対向する部分を貫通するシール帯吸
   引用スリットまたは小孔を有することを特徴とする請求
   項３に記載の被検体搬送装置。
5. 【請求項５】前記吸引手段は、搬送用ベルトの内表面に
   対向する外壁を備えたボックス状であり、該外壁に前記
   隣接するシール帯相互の間隙に対向する部分を貫通する
   被検体吸引用スリットを有することを特徴とする請求項
   １〜４のいずれかに記載の被検体搬送装置。
6. 【請求項６】前記シール帯は、外表面に突出する被検帯
   着座用の着座部を含んで構成されてなる請求項１〜請求
   項５のいずれか１つに記載の被検体搬送装置。
7. 【請求項７】前記搬送用ベルトには搬送方向等間隔に孔
   が開口され、駆動手段は該孔に係合するスプロケットを
   有してなる請求項１〜６のいずれかに記載の被検体搬送
   装置。
8. 【請求項８】前記搬送用ベルトの内表面に搬送方向に無
   端状の凹凸部が形成され、駆動手段は該凹凸部に係合す
   るタイミングプーリを有してなる請求項１〜６のいずれ
   かに記載の被検体搬送装置。
9. 【請求項９】ベルト芯材は、細線材を網状に織って形成
   されてなる請求項１〜８のいずれかに記載の被検体搬送
   装置。
10. 【請求項１０】ベルト芯体は、細線材を長手方向が搬送
    方向と直角となる方向のみに簾状に列設して形成されて
    なる請求項１〜８のいずれかに記載の被検体搬送装置。
11. 【請求項１１】細線材は、表面が良潤滑性材で被膜され
    てなる請求項１〜10のいずれかに記載の被検体搬送装
    置。