JP2022033938A - 胎盤幹細胞を使用する疼痛の治療 - Google Patents

胎盤幹細胞を使用する疼痛の治療 Download PDF

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Abstract

【課題】神経障害性疼痛を治療するための医薬組成物を提供する。【解決手段】CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を含む、個人において神経障害性疼痛を治療するための医薬組成物であって、治療有効量の該胎盤幹細胞が該個人に投与されるように用いられることを特徴とし、該治療有効量が、該疼痛の検出可能な改善をもたらすのに十分な量である、前記医薬組成物。胎盤幹細胞が、さらにCD45-、CD90+、CD80-、CD86-でもあることが好ましい。【選択図】図1

Description

本出願は、それぞれの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2011年6月1日
に出願された米国仮特許出願第61/492,314号、2011年10月18日に出願された米国仮特許出
願第61/548,663号、及び2012年2月3日に出願された米国仮特許出願第61/594,985号の優先
権を主張する。
(1.分野)
本明細書で提供されるのは、単離された胎盤幹細胞を使用して、疼痛を改善する、及び
疼痛を有する個人を治療する方法である。
(2.背景)
哺乳類胎盤は、豊富であり、通常は医療廃棄物として廃棄されるので、医学的に有用な
幹細胞のたぐい稀な原料となる。医学分野においては、疼痛を抑制する改良された組成物
及び方法の必要性が存在する。したがって、本明細書で提供されるのは、疼痛の治療にお
いて有用な胎盤幹細胞、及び胎盤幹細胞を含む組成物、並びに疼痛を治療するために該胎
盤幹細胞を使用する方法である。
(3.概要)
一態様では、本明細書で提供されるのは、個人における疼痛、又は異常な知覚状態、例
えば感覚異常、異痛症、及び痛覚過敏などを治療する方法であって、治療有効量の胎盤幹
細胞、又は胎盤幹細胞によって条件付けされた培養培地を、該個人に投与することを含む
前記方法である。ここでは、治療有効量は、前記疼痛の検出可能な改善を引き起こすのに
十分な量である。具体的実施態様では、前記方法は、疼痛緩和を必要とする個人又は疼痛
に悩む個人を特定することを含む。別の具体的実施態様では、前記方法は、前記胎盤幹細
胞の投与前の前記個人における疼痛の1以上の第1のレベルを決定することと、前記胎盤幹
細胞の投与後の前記個人における疼痛の1以上の第2のレベルを決定することとをさらに含
む。ここでは、前記治療有効量の胎盤幹細胞は、前記疼痛の前記1以上の第2のレベルを、
疼痛の前記1以上の第1のレベルよりも低下させる。より具体的な実施態様では、前記治療
有効量の胎盤幹細胞は、プラセボの投与による改善よりも大きな又は長時間の、前記疼痛
の検出可能な改善をもたらす。より具体的な実施態様では、疼痛の前記1以上の第1のレベ
ル及び疼痛の前記1以上の第2のレベルは、疼痛評価スケールによって決定される。より具
体的な実施態様では、前記疼痛評価スケールは、数値的疼痛強度スケール(Numeric Pain
Intensity Scale);疼痛質的評価スケール(Pain Quality Assessment Scale);簡単記述疼
痛強度スケール(Simple Descriptive Pain Intensity Scale);視覚的アナログスケール(V
isual Analog Scale);Wong-Bakerフェイス疼痛評価スケール(FACES Pain Rating Scale);
FLACCスケール;CRIESスケール;又はCOMFORTスケールである。
別の具体的実施態様では、前記方法は、前記胎盤幹細胞の投与前の前記個人における疼
痛の1以上の生理的指標の第1のレベルを決定することと、前記胎盤幹細胞の投与後の前記
個人における疼痛の1以上の生理的指標の第2のレベルを決定することとをさらに含む。こ
こでは、前記治療有効量の胎盤幹細胞は、前記第2のレベルを、前記第1のレベルよりも低
下させる。より具体的な実施態様では、疼痛の前記生理的指標は、個人における心拍数で
ある。より具体的な実施態様では、前記個人における前記心拍数は、前記投与前の前記個
人における前記心拍数と比較すると前記投与後の方が低い。より具体的な別の実施態様で
は、疼痛の前記生理的指標は、前記個人の収縮期圧である。より具体的な実施態様では、
前記個人の前記収縮期圧は、前記投与前の前記個人における前記収縮期圧と比較すると前
記投与後の方が低い。より具体的な別の実施態様では、疼痛の前記生理的指標は、前記個
人の拡張期圧である。より具体的な実施態様では、前記個人の前記拡張期圧は、前記投与
前の前記個人における前記拡張期圧と比較すると前記投与後の方が低い。
疼痛を治療する方法の別の実施態様では、前記疼痛は、神経障害性疼痛である。具体的
実施態様では、前記神経障害性疼痛は、糖尿病性神経障害によって引き起こされる。別の
具体的実施態様では、前記神経障害性疼痛は、前記個人における神経に対する傷害によっ
て引き起こされる。別の具体的実施態様では、前記神経障害性疼痛は、薬物によって引き
起こされる。ある種の具体的実施態様では、前記薬物は、白金含有抗癌剤、例えば、オキ
サリプラチン、カルボプラチン、若しくはシスプラチン、又は別の化学療法薬、例えばパ
クリタキセル又はビンクリスチンなどである、又はこれらを含む。別の実施態様では、神
経障害性疼痛は、ウイルス、例えば、水痘帯状疱疹、ヘルペス(例えば単純ヘルペス)、又
はヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのウイルス性疾患によって引き起こされる。さらに、
別の実施態様では、疼痛は、放射線障害、例えば、癌治療の一部である放射線障害によっ
て引き起こされる。別の具体的実施態様では、前記神経障害性疼痛は、炎症、例えば、神
経炎症、神経炎によって引き起こされる。
疼痛を治療する方法の別の実施態様では、前記疼痛は、炎症性疼痛である。別の実施態
様では、前記疼痛は、骨痛である。具体的実施態様では、前記骨痛は、癌と関係がある又
は癌によって引き起こされる。別の実施態様では、前記疼痛は、癌によって引き起こされ
る。別の実施態様では、前記疼痛は、外陰部痛によって引き起こされる又は外陰部痛と関
係がある。別の実施態様では、前記疼痛は、間質性膀胱炎によって引き起こされる又は間
質性膀胱炎と関係がある。別の実施態様では、前記疼痛は、ステロイド療法に応答しない
。別の実施態様では、前記疼痛は、非ステロイド性抗炎症療法に応答しない。別の実施態
様では、前記疼痛は、オピオイド療法に応答しない。別の実施態様では、前記疼痛は、オ
ピエート療法に応答しない。
別の態様では、本明細書で提供されるのは、個人における疼痛を治療するのに使用する
ための、治療有効量の胎盤幹細胞、又は胎盤幹細胞によって条件付けされた培養培地であ
る。ここでは、治療有効量は、前記疼痛の検出可能な改善を引き起こすのに十分な量であ
る。一実施態様では、前記使用前の前記個人における疼痛の前記レベルと、前記使用後の
該個人における疼痛の前記レベルは、疼痛評価スケール、例えば、数値的疼痛強度スケー
ル;疼痛質的評価スケール;簡単記述疼痛強度スケール;視覚的アナログスケール;Wong-Bak
erフェイス疼痛評価スケール;FLACCスケール;CRIESスケール;又はCOMFORTスケールによっ
て決定される。別の実施態様では、前記使用前の前記個人における疼痛の前記レベルと、
前記使用後の該個人における疼痛の前記レベルは、疼痛の1以上の身体的指標によって決
定される。具体的実施態様では、疼痛の前記生理的指標は、個人における心拍数であり、
例えば、前記個人における前記心拍数は、前記使用前よりも前記使用後の方が低い。別の
具体的実施態様では、疼痛の前記生理的指標は、前記個人の収縮期圧であり、例えば、前
記個人における前記収縮期圧は、前記使用前よりも前記使用後の方が低い。別の具体的実
施態様では、疼痛の前記生理的指標は、前記個人の拡張期圧であり、例えば、前記個人に
おける前記拡張期圧は、前記使用前よりも前記使用後の方が低い。ある種の実施態様では
、前記疼痛は、神経障害性疼痛である。より具体的な実施態様では、前記神経障害性疼痛
は、糖尿病性神経障害によって引き起こされる。より具体的な実施態様では、前記神経障
害性疼痛は、前記個人における神経に対する傷害によって引き起こされる。より具体的な
別の実施態様では、前記神経障害性疼痛は、炎症によって引き起こされる。より具体的な
別の実施態様では、前記神経障害性疼痛は、薬物によって引き起こされる。より具体的な
実施態様では、前記薬物は、白金含有抗癌剤である、又は白金含有抗癌剤を含み、例えば
、白金含有抗癌剤は、オキサリプラチン、カルボプラチン、又はシスプラチンである、又
はこれらを含む。別の具体的実施態様では、前記薬物は、パクリタキセルである、又はパ
クリタキセルを含む。他の具体的実施態様では、前記疼痛は、炎症性疼痛、骨痛(例えば
、癌と関係がある又は癌によって引き起こされる骨痛)、癌によって引き起こされる疼痛
、外陰部痛によって引き起こされる又は外陰部痛と関係がある疼痛、間質性膀胱炎によっ
て引き起こされる又は間質性膀胱炎と関係がある疼痛、或いは変形性関節症などの変性関
節疾患によって引き起こされる疼痛である。ある種の実施態様では、前記疼痛は、ステロ
イド療法に応答しない。ある種の他の実施態様では、前記疼痛は、非ステロイド性抗炎症
療法に応答しない。ある種の他の実施態様では、前記疼痛は、オピオイド療法に応答しな
い。ある種の他の実施態様では、前記疼痛は、非特異的又は混合型のミュー/デルタ-オピ
オイド療法に応答しない。
先の実施態様のいずれかの具体的実施態様では、前記胎盤幹細胞は、CD10+、CD34-、及
びCD105+である。より具体的な実施態様では、前記胎盤幹細胞は、さらにCD200+でもある
、例えば、胎盤幹細胞は、CD10+、CD34-、CD105+、及びCD200+である。より具体的な実施
態様では、前記胎盤幹細胞は、さらにCD45-及びCD90+でもある。より具体的な実施態様で
は、前記胎盤幹細胞は、さらにCD80-及びCD86-でもある。他の具体的実施態様では、前記
胎盤幹細胞は、CD200を発現し、かつHLA-Gを発現しない;又はCD73、CD105、及びCD200を
発現する;又はCD200及びOCT-4を発現する;又はCD73及びCD105を発現し、かつHLA-Gを発現
しない。本明細書に記載する胎盤幹細胞のいずれかの具体的実施態様では、前記胎盤幹細
胞は、HLA-A、B、C+である。本明細書の実施態様のいずれかの具体的実施態様では、前記
胎盤幹細胞は、さらにOCT-4+でもある。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞は、製剤
化されて局所的に投与される。ある種の他の実施態様では、前記胎盤幹細胞は、製剤化さ
れて、全身的に、例えば静脈内又は動脈内に投与される。
(3.1定義)
本明細書で使用する場合、記述する数値に言及する場合の用語「約」は、記述するその
数値の±10%以内の値を示す。
本明細書で使用する場合、用語「由来の」は、単離される又は単離とは別に精製される
ことを意味する。例えば、胎盤由来の接着細胞は、胎盤から単離される。用語「由来の」
は、組織、例えば胎盤から直接単離された細胞から培養された細胞、及び、初代分離株か
ら培養又は拡大された細胞を包含する。
本明細書で使用する場合、「免疫局在決定」は、例えば、フローサイトメトリー、蛍光
標識細胞分取、磁気細胞分離、インサイツハイブリダイゼーション、免疫組織化学などに
おいて、免疫タンパク質、例えば抗体又はそのフラグメントを使用する、化合物、例えば
細胞性マーカーの検出を意味する。
本明細書で使用する場合、用語「SH2」とは、マーカーCD105上のエピトープと結合する
抗体をいう。したがって、SH2+と称される細胞は、CD105+である。
本明細書で使用する場合、用語「SH3」及び「SH4」とは、マーカーCD73上に存在するエ
ピトープと結合する抗体をいう。したがって、SH3+及び/又はSH4+と称される細胞は、CD7
3+である。
本明細書で使用する場合、幹細胞は、該幹細胞と天然に関連する他の細胞の少なくとも
50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は少なくとも99%が、例えば幹細胞の収集及び/又は培
養中に幹細胞から取り出される場合に、「単離される」。「単離された」細胞の集団は、
その細胞の集団が由来する組織(例えば胎盤)の他の細胞から実質的に分離された細胞の集
団を意味する。いくつかの実施態様では、例えば幹細胞の集団は、該幹細胞の集団と天然
に関連する細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は少なくとも99%が、例
えば幹細胞の集団の収集及び/又は培養中に幹細胞の集団から取り出される場合に、「単
離される」。
本明細書で使用する場合、用語「胎盤幹細胞」とは、初代培養後の継代数は関係なく、
組織培養基材(例えば、組織培養プラスチック又はフィブロネクチンコーティング組織培
養プレート)に接着する、哺乳類胎盤由来の、例えば哺乳類胎盤から単離される、幹細胞
又は前駆細胞をいう。しかし、本明細書で使用する場合の用語「胎盤幹細胞」は、この細
胞が当業者によって理解されている通り、栄養芽層も、細胞栄養芽層も、胚性生殖細胞も
、胚性幹細胞も指さない。細胞が、幹細胞の少なくとも1つの特性、例えば、1以上のタイ
プの幹細胞と関係があるマーカー又は遺伝子発現プロファイル;培養下で少なくとも10~4
0回複製する能力;多分化能、例えば、インビトロ、インビボ、又はその両方で、3胚葉の
うちの1以上の細胞に分化する能力;成体(すなわち分化した)細胞特性の欠如;などを保持
する場合に、その細胞は「幹細胞」とみなされる。用語「胎盤幹細胞」と「胎盤由来の幹
細胞」は、互換的に使用することができる。本明細書で別に注記しない限り、用語「胎盤
」には、臍帯が含まれる。本明細書に開示する胎盤幹細胞は、ある種の実施態様では、イ
ンビトロで多能性(すなわち、細胞は、分化条件下でインビトロで分化する)、インビボで
多能性(すなわち、細胞はインビボで分化する)、又はこれらの両方である。
本明細書で使用する場合、幹細胞は、ある特定のマーカーが検出可能である場合、その
マーカーについて「陽性」である。例えば、胎盤幹細胞は、例えばCD73について陽性であ
る。何故なら、CD73は、(例えば、任意の所与のアッセイについて、アイソタイプ対照又
は実験上の陰性対照と比較した場合に)バックグラウンドを検出可能に超える量で、胎盤
幹細胞上で検出可能であるからである。細胞はまた、あるマーカーを、少なくとも1種の
他の細胞型からその細胞を識別するために使用することができる場合、或いは、存在する
、又は細胞によって発現される場合に、その細胞を選択又は単離するために使用すること
ができる場合、そのマーカーについて陽性である。
本明細書で使用する場合、「免疫調節」及び「免疫調節性の」は、免疫応答の検出可能
な変化を引き起こすこと又は引き起こす能力を有すること、及び、免疫応答の検出可能な
変化を引き起こす能力を意味する。
(4.図面の簡単な説明)
図1は、神経障害性疼痛モデルにおける疼痛の軽減におけるCD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞、ビヒクル、又はギャバペンチン(GBP)の効力を示す。X軸:条件;Y軸:Von Frey Filament Assortmentアッセイによる感受性(異痛症)の改善。「D」:第~日。GBP:ギャバペンチン。MPK:ミリグラム/キログラム。BL:基準。
図2は、神経障害性疼痛動物モデルにおける、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞(1×106、3×106、又は10×106細胞/投与)、ビヒクル、又はギャバペンチン(GBP)の投与によってもたらされる全体的疼痛緩和(Total Pain Relief)(TOPAR)の程度を示す。アスタリスクは、ビヒクル投与単独と比較した場合の有意な結果を示す。
図3Aは、26gの力のVon Freyファイバーによって測定される、機械的異痛症に対するCD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の効果を示す。(A):4×106胎盤幹細胞(四角形)及びビヒクル(菱形)の投与後の、同側の肢での後足引っ込み頻度。*P<0.05(ビヒクルに対して)。 図3Bは、26gの力のVon Freyファイバーによって測定される、機械的異痛症に対するCD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の効果を示す。(B):4×106胎盤幹細胞(四角形)及びビヒクル(直線)の投与後の、反対側の肢での後足引っ込み頻度。 図3Cは、26gの力のVon Freyファイバーによって測定される、機械的異痛症に対するCD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の効果を示す。(C):同側の肢での、機械的異痛症の軽減に対する胎盤幹細胞の用量依存的効果。*P<0.05;**p<0.01(ビヒクルに対して)。図3Cについては、第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバーは4×106胎盤幹細胞を表し;第3のバーは1×106胎盤幹細胞を表し;第4のバー(一番右)は4×105胎盤幹細胞を表す。 図3Dは、26gの力のVon Freyファイバーによって測定される、機械的異痛症に対するCD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の効果を示す。(D):疼痛軽減応答動物の割合に対する胎盤幹細胞の用量依存的効果。図3Dについては、第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバーは4×106胎盤幹細胞を表し;第3のバーは1×106胎盤幹細胞を表し;第4のバー(一番右)は4×105胎盤幹細胞を表す。
図4Aは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、第4日の排出リンパ節での樹状細胞の動員、活性化、及び分化を抑制することを実証する。胎盤幹細胞治療群は、CD11c、CD86、及びCD80遺伝子発現を低下させた。*P<0.05(ビヒクルに対して)。図4Aについては、第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバー(一番右)は胎盤幹細胞を表す。 図4Bは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、第4日の排出リンパ節での樹状細胞の動員、活性化、及び分化を抑制することを実証する。胎盤幹細胞治療群は、IL-12遺伝子発現を低下させた。**p<0.01(ビヒクルに対して)。図4Bについては、第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバー(一番右)は胎盤幹細胞を表す。
図5Aは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、T細胞活性化を抑制することを実証する。胎盤幹細胞治療群は、第4日の排出リンパ節でのCD3及びCD69遺伝子発現を低下させた。*P<0.05(ビヒクルに対して)。図5Aについては、第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバー(一番右)は胎盤幹細胞を表す。 図5Bは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、T細胞分化調節及びサイトカインプロファイルを抑制することを実証する。胎盤幹細胞治療群は、第4日の排出リンパ節でのIFNγ遺伝子発現を有意に低下させた。**p<0.01(ビヒクルに対して)。図5Bについては、第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバー(一番右)は胎盤幹細胞を表す。 図5Cは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、T細胞分化調節及びサイトカインプロファイルを抑制することを実証する。胎盤幹細胞治療群は、第4日の排出リンパ節でのIL-10遺伝子発現を増大させたが、IL-17遺伝子発現を低下させた。*P<0.05(ビヒクルに対して)。図5Cについては、第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバー(一番右)は胎盤幹細胞を表す。
図6Aは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞(PSC)が、第8日での同側の坐骨神経におけるIL-17 mRNA発現を抑制することを実証する。*P<0.05(ビヒクルに対して)。 図6Bは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞(PSC)が、第8日での同側の坐骨神経におけるIL-17タンパク質発現を抑制することを実証する。
図7Aは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、第8日での同側の坐骨神経への免疫細胞浸潤を抑制することを実証する。胎盤幹細胞は、マクロファージの浸潤(Emr1)及び活性化(CD68)を抑制した。*P<0.05(ビヒクルに対して)。図7Aについては、第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバー(一番右)は胎盤幹細胞を表す。 図7Bは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、第8日での同側の坐骨神経への免疫細胞浸潤を抑制することを実証する。胎盤幹細胞は、樹状細胞の浸潤(CD11c)及び活性化(CD80、IL-12b)を抑制した。*P<0.05(ビヒクルに対して)。図7Bについては、第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバー(一番右)は胎盤幹細胞を表す。 図7Cは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、第8日での同側の坐骨神経への免疫細胞浸潤を抑制することを実証する。胎盤幹細胞は、T細胞の浸潤(CD3d)及び活性化(CD69)を抑制した。*P<0.05(ビヒクルに対して)。図7Cについては、第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバー(一番右)は胎盤幹細胞を表す。 図7Dは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、第8日での同側の坐骨神経への免疫細胞浸潤を抑制することを実証する。坐骨神経単細胞懸濁液のフローサイトメトリー分析は、胎盤幹細胞が、T細胞(CD3)及びマクロファージ(ED2)の浸潤を抑制することを示した。*P<0.05(ビヒクルに対して)。図7Dについては、第1のバー(一番左)はナイーブ細胞を表し;中央のバーはビヒクルを表し;第3のバー(一番右)は胎盤幹細胞を表す。
図8A~8Lは、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、第8日での同側の坐骨神経への炎症性浸潤を抑制することを実証する。正常な、ビヒクル治療された、及び胎盤幹細胞治療された動物における、H&E染色(A~C)、CD68(D~F)、CD8(G~I)、及びCD4(J~L)。矢印は、A、B、及びCにおいて神経周膜を示し;アスタリスクは、神経上膜を示す。拡大率100×、スケールバー200mM。
図9は、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞が、第8日での同側の坐骨神経におけるCCL2、CCL12、及びCXCL1のmRNA発現を抑制することを実証する。第1のバー(一番左)はビヒクルを表し;第2のバー(一番右)は胎盤幹細胞を表す。
図10Aは、基準、神経傷害処置後(第6日)、及び治療後(D10、D16、D25、及びD30)の、ラットの足に対する26g刺激に対する応答数を示す。CCIによって誘発された疼痛に関して、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞投与後に、有意な疼痛軽減が認められた。 図10Bは、基準、神経傷害処置後(第6日)、及び治療後(D10、D16、D25、及びD30)の、ラットの足に対する26g刺激に対する応答数を示す。反対側の足に対する効果を示す。 図10Cは、基準、神経傷害処置後(第6日)、及び治療後(D10、D16、D25、及びD30)の、ラットの足に対する26g刺激に対する応答数を示す。CCIによって誘発された疼痛に関して、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞投与後の有意な疼痛軽減が認められた。 図10Dは、基準、神経傷害処置後(第6日)、及び治療後(D10、D16、D25、及びD30)の、ラットの足に対する26g刺激に対する応答数を示す。反対側の足に対する効果を示す。
図11Aは、基準(BL)、神経傷害処置後(第7日)、及び治療後(D11、D21、D26、及びD34)の、ラットが回転するロッドにとどまり続けることができる持続期間(最大180秒)を示す。(A)静脈内(IV)治療されたCD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞、及び対照群。 図11Bは、基準(BL)、神経傷害処置後(第7日)、及び治療後(D11、D21、D26、及びD34)の、ラットが回転するロッドにとどまり続けることができる持続期間(最大180秒)を示す。(B)筋肉内(IM)治療されたCD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞、及び対照群。
(5.詳細な説明)
(5.1疼痛の治療の方法)
本明細書に記載するのは、疼痛を治療する方法であって、胎盤由来の細胞(例えば胎盤
幹細胞、例えば、下の5.4節に記載する又は下の実施例7に記載するように調整される胎盤
幹細胞)の投与を含む前記方法である。具体的実施態様では、本明細書に記載する疼痛を
治療するための方法に使用される胎盤幹細胞は、CD10+、CD34-、CD105+、及びCD200+であ
る。他の具体的実施態様では、本明細書に記載する疼痛を治療するための方法に使用され
る胎盤幹細胞は、ELOVL2、ST3GAL6、ST6GALNAC5、及び/又はSLC12A8遺伝子を、同等数のB
M-MSCによる前記遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで発現する。ある種の実施態
様では、本明細書に記載する方法に使用される胎盤幹細胞は、CPA4、TCF21、及び/又はVT
N遺伝子を、同等数のBM-MSCによる前記遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで発現
する。ある種の実施態様では、本明細書に記載する方法に使用される胎盤幹細胞は、B4GA
LT6、FLJ10781、及び/又はNUAK1遺伝子を、同等数のBM-MSCによる前記遺伝子の発現より
も検出可能に高いレベルで発現する。具体的実施態様では、前記胎盤幹細胞は、C11orf9
遺伝子を、同等数のBM-MSCによる前記遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで、さら
に発現する。
(5.1.1疼痛を治療する方法)
疼痛は一般に、実際の若しくは潜在的な組織損傷と関係がある又はこうした損傷に関し
て記載された、不快な感覚的及び情緒的経験と定義される。Merskey H、Bogduk N編、「
慢性疼痛の分類(Classification of Chronic Pain)」、国際疼痛学会(International Ass
ociation for the Study of Pain)(IASP)「Task Force on Taxonomy」、IASP Press:Seat
tle、209-214、1994。疼痛の知覚は、非常に主観的であるので、診断する及び有効に治療
するのが最も難しい病態の一つである。
一態様では、本明細書で提供されるのは、疼痛を有する個人を治療する方法であって、
治療有効量の胎盤幹細胞、又は胎盤幹細胞によって条件付けされた培養培地を、該個人に
投与することを含む前記方法である。ここでは、治療有効量は、前記疼痛又は前記疼痛と
関係がある症状の検出可能な改善を引き起こすのに十分な量である。一実施態様では、前
記方法は、前記胎盤幹細胞の投与前の前記個人における疼痛の第1のレベルを決定するこ
とと、前記胎盤幹細胞の投与後の前記個人における疼痛の第2のレベルを決定することと
をさらに含む。ここでは、前記治療有効量の胎盤幹細胞は、前記疼痛の前記第2のレベル
を、疼痛の前記第1のレベルよりも低下させる。
ある種の実施態様では、治療有効量の胎盤幹細胞は、投与された場合、プラセボの投与
よりも大きな又は長時間の、個人における疼痛の改善をもたらす。
ある種の実施態様では、疼痛は、侵害受容性疼痛である。侵害受容性疼痛は一般的に、
組織傷害、疾患、又は炎症後に、炎症ケミカルメディエーターなどの侵害刺激物質が放出
され、かつ感覚受容器(侵害受容器)に正常に作用することによって傷害の部位で検出され
た場合に誘発される。例えば、Koltzenburgの文献、M.Clin.J.of Pain 16:S131-S138(200
0)を参照のこと。侵害受容性疼痛の原因の例としては、限定はされないが、化学的又は温
度による熱傷、皮膚の切り傷及び打撲、変形性関節症、関節リウマチ、腱炎、及び筋筋膜
痛が挙げられる。ある種の実施態様では、侵害受容性疼痛は、炎症によって刺激される。
ある種の他の実施態様では、疼痛は、神経障害性疼痛である。神経障害性疼痛は、神経
系の傷害又は障害を反映し、「神経系における原発性の病変又は機能障害によって開始す
る又は引き起こされる疼痛」と定義されている。Merskey H、Bogduk N編、「慢性疼痛の
分類(Classification of Chronic Pain)」、国際疼痛学会(International Association f
or the Study of Pain)(IASP)「Task Force on Taxonomy」、IASP Press:Seattle、209-2
14、1994。具体的実施態様では、神経障害性疼痛は、末梢ニューロンの興奮性の変化を特
徴とする。他の具体的実施態様では、神経障害性疼痛としては、限定はされないが、糖尿
病性神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、炎症(例えば、神経炎症、神経炎)、及び
脳卒中後疼痛と関係がある疼痛が挙げられる。ある種の実施態様では、神経障害性疼痛は
、継続的、突発的であり、例えば、灼熱痛、チクチクする痛み、穿痛、走るような痛み(s
hooting)、電撃痛、刺痛、締め付けられるような痛み、深部の疼く痛み、又は痙攣性と記
載される。ある種の他の実施態様では、神経障害性疼痛を有する個人は、部分的又は完全
な感覚消失、異常な又は不慣れな不快感(感覚異常)、非侵害刺激物質に由来する疼痛、又
は閾上刺激(痛覚過敏)に応答する疼痛の不均衡な知覚をさらに感じる。
別の具体的実施態様では、神経障害性疼痛は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)である。具
体的実施態様では、CRPSは、神経傷害がない場合に四肢に影響を与える(CRPS I型)。より
具体的な実施態様では、前記CRPS I型には、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)が含
まれる。より具体的な実施態様では、前記RSDは、ステージI RSD又は「早期RSD」である
。早期RSDでは、疼痛は、傷害から予測されるよりも深刻であり、痛みの質は、焼けるよ
うな又は疼く痛みである。この痛みは、四肢、物理的接触、又は情緒不安に依存して増大
する可能性がある。罹患部位は一般的に、浮腫状となり、高体温又は低体温であり得、爪
及び体毛の成長の増大を示す可能性がある。放射線写真では、早期骨変性が示される可能
性がある。より具体的な別の実施態様では、前記RSDは、ステージII RSD又は「確立され
たRSD」である。より具体的な実施態様では、前記確立されたRSDは、疼痛に加えて、浮腫
組織の硬結;網状皮斑又はチアノーゼを伴う皮膚の多汗;脱毛;爪の隆起、割れ、又は脆弱
化;手の乾燥の進行;及び/又は皮膚及び皮下組織の顕著な萎縮を含む。疼痛が、依然とし
て主な特徴のままである。より具体的な別の実施態様では、前記RSDは、ステージIII RSD
又は「後期RSD」である。より具体的な実施態様では、前記後期RSDは、近位に広がる疼痛
;不可逆的な組織損傷;光沢のある薄い皮膚;及び放射線写真で可視化される骨脱灰を含む
別の具体的実施態様では、神経障害性疼痛は、薬物、例えば、化学療法薬又は抗癌剤に
よって引き起こされる疼痛である。具体的実施態様では、薬物は、白金含有薬物、タキサ
ン、エポチロン、植物アルカロイド、又はサリドマイドである、又はこれらを含む。より
具体的な実施態様では、薬物は、ボルテゾミブ、カルボプラチン(例えばPARAPLATIN(登録
商標))、シスプラチン(例えばPLATINOL(登録商標))、シタラビン(例えば、CYTOSAR(登録
商標)、Ara-C)、ドセタキセル(例えばTAXOTERE(登録商標))、エトポシド/VP-16(VEPESID(
登録商標))、ゲムシタビン(例えばGEMZAR(登録商標))、HALAVEN(登録商標)(メシル酸エリ
ブリン)、ヘキサメチルメラミン(例えばHEXALIN(登録商標))、パクリタキセル(例えばTAX
OL(登録商標);ABRAXANE(商標))、オキサリプラチン(例えばELOXATIN(登録商標))、スラミ
ン、サリドマイド(例えばTHALOMID(登録商標))、ビンブラスチン(例えばVELBAN(登録商標
);ALKABAN-AQ(登録商標))、ビンクリスチン(例えば、ONCOVIN(登録商標)、VINCASAR PFS(
登録商標)、Vincrex)、又はビノレルビン(NAVELBINE(登録商標))である、又はこれらを含
む。
ある種の他の具体的実施態様では、薬物は、抗生物質である。ある種の他の実施態様で
は、薬物は、スタチンである。
ある種の他の具体的実施態様では、薬物は、アムロジピン(例えば、NORVASC(登録商標)
、Lotril、又はLotrel)、アトルバスタチン(例えばLIPITOR(登録商標))、デュロキセチン
(例えばCYMBALTA(登録商標))、プレガバリン(LYRICA(登録商標))、アロプリノール(例え
ば、LOPURIM(登録商標)、ZYLOPRIM(登録商標))、アミノジピンバーグレート(aminodipinb
erglate)、アミオダロン(例えば、CORDERONE(登録商標)、PACERONE(登録商標))、アミオ
ジピン(amiodipine)、アミトリプチリン(例えば、ELAVIL(商標)、ENDEP(商標)、VANATRIP
(商標))、メトロニダゾール(例えば、FLAGYL(登録商標)、METROGEL(商標))、ニトロフラ
ントイン(例えば、FURADANTIN(登録商標)、MACROBID(登録商標)、MACRODANTIN(登録商標)
、NITRO MACRO)、ペルヘキシリン、VYTORIN(登録商標)、シプロフロキサシン(例えば、CI
PRO(登録商標)、PROQUIN(登録商標))、ジスルフィラム(例えばANTABUSE)、ゾルピデム(例
えばAMBIEN(登録商標))、ブスピロン(例えばBUSPAR)、クロナゼパム(例えば、KLONOPIM、
CEBERKLON、VALPAX)、アラプラゾラム(alaprazolam)(例えばXANAX(登録商標))、フェニト
イン(DILANTIN(登録商標))、シタロプラム(例えばCELEXA)、デュロキセチン(例えばCYMBA
LTA(登録商標))、ベンラキサフィン(venlaxafine)(例えば、EFFEXOR、EFFEXOR XR(登録商
標))、ノルトリプチリン(例えば、AVENTYL HCL、PAMELOR)、セルトラリン(例えばZOLOFT(
登録商標))、パロキセチン(例えば、PAXIL、PAXIL CR(登録商標))、アテノロール(例えば
、TENORMIN、SENORMIN)、ペリンドプリル(例えばACEON)、アルテース(例えばRAMIPRIL(登
録商標))、ロサルタン(例えば、COZAAR(登録商標)、HYZAAR(登録商標))、ヒドララジン(
例えばAPRESOLINE(登録商標))、ヒドロクロロチアジド(例えば、HYDRODIURIL(商標)、EZI
DE(商標)、HYDRO-PAR(商標)、MICROZIDE(商標))、リシノプリル(例えば、PRINOVIL(登録
商標)、ZESTRIL(登録商標))、テルミサルタン(例えばMICARDIS(商標))、ペルヘキシリン
、プラゾシン(例えばMINIPRESS(登録商標))、リシノプリル(例えば、PRINIVIL(登録商標)
、ZESTRIL(登録商標))、ロバスタチン(例えば、ALTOCOR(登録商標)、MEVACOR(登録商標))
、CADUET(登録商標)、ロスバタチン(rosuvatatin)(例えばCRESTOR(登録商標))、フルバス
タチン(例えば、LESCOL(登録商標)、LESCOL(登録商標)XL)、シンバスタチン(例えばZOCOR
(登録商標))、セリバスタチン(例えばLIPOBAY(商標))、ゲムフィブロジル(例えばLOPID(
登録商標))、プラバスタチン(例えば、PRAVACHOL(登録商標)、PRAVIGARD PAC(商標))、d4
T(スタブジン、例えばZERIT(登録商標))、ddC(ザルシチビン(zalcitibine);例えばHIVID(
登録商標))、ddI(ジダノシン、例えばVIDEX(登録商標)EC)、イソニアジド(例えばTUBIZID
(登録商標))、ジアミノジフェニルスルホン(DDS、ダプソン)である、又はこれらを含む。
ある種の実施態様では、神経障害性疼痛は、薬物、例えば、化学療法薬又は抗癌剤によ
って引き起こされる疼痛ではない。具体的実施態様では、神経障害性疼痛は、白金含有薬
物、タキサン、エポチロン、植物アルカロイド、又はサリドマイドによって引き起こされ
る疼痛ではない。より具体的な実施態様では、神経障害性疼痛は、ボルテゾミブ、カルボ
プラチン(例えばPARAPLATIN(登録商標))、シスプラチン(例えばPLATINOL(登録商標))、シ
タラビン(例えば、CYTOSAR(登録商標)、Ara-C)、ドセタキセル(例えばTAXOTERE(登録商標
))、エトポシド/VP-16(VEPESID(登録商標))、ゲムシタビン(例えばGEMZAR(登録商標))、H
ALAVEN(登録商標)(メシル酸エリブリン)、ヘキサメチルメラミン(例えばHEXALIN(登録商
標))、パクリタキセル(例えばTAXOL(登録商標);ABRAXANE(商標))、オキサリプラチン(例
えばELOXATIN(登録商標))、スラミン、サリドマイド(例えばTHALOMID(登録商標))、ビン
ブラスチン(例えばVELBAN(登録商標);ALKABAN-AQ(登録商標))、ビンクリスチン(例えば、
ONCOVIN(登録商標)、VINCASAR PFS(登録商標)、Vincrex)、又はビノレルビン(NAVELBINE(
登録商標))によって引き起こされる疼痛ではない。
別の具体的実施態様では、前記CRPSは、神経傷害が存在する場合に四肢に影響を与える
(CRPS II型)。より具体的な実施態様では、前記CRPS IIには、灼熱痛が含まれる。別の具
体的実施態様では、前記CRPSには、交感神経関与型疼痛症候群が含まれる。ある種の実施
態様では、CRPSの症状としては、限定はされないが、疼痛、自律神経障害、浮腫、運動障
害、ジストロフィー、萎縮、灼熱痛、異痛症(軽い触覚刺激を伴う疼痛)が挙げられる。あ
る種の実施態様では、CRPS関連の疼痛は、腫脹及び関節圧痛、発汗増大、温度過敏、及び
/又は皮膚の色変化を伴う。
ある種の他の具体的実施態様では、神経障害性疼痛は、栄養欠乏によって引き起こされ
る又は栄養欠乏に関連する神経障害性疼痛である。より具体的な実施態様では、栄養欠乏
は、ビタミンB12(コバラミン、シアノコバラミン)欠乏である。より具体的な別の実施態
様では、栄養欠乏は、ビタミンB6(ピリドキシン、リン酸ピリドキサール)欠乏である。よ
り具体的な別の実施態様では、栄養欠乏は、ビタミンB1(チアミン)欠乏である。別の具体
的実施態様では、栄養不足によって引き起こされる神経障害性疼痛を有する個人は、肥満
外科手術を受けている。別の具体的実施態様では、神経障害性疼痛は、アルコール依存又
は疼痛を有する個人によるアルコールの摂取によって引き起こされる又はこれに関連する
ある種の実施態様では、疼痛は、外陰部痛によって引き起こされる又は外陰部痛と関係
がある。外陰部痛は、外陰部の疼痛、例えば、外陰部若しくは膣の感染症又は皮膚疾患に
よって説明できない疼痛である。一実施態様では、外陰部痛の疼痛は、外陰部領域に、例
えば、前庭領域内に局在している(外陰部前庭炎又は外陰部痛など)。別の実施態様では、
外陰部痛の疼痛は、陰核まで及ぶ可能性がある(例えば陰核痛(clitorodynia))。外陰部痛
の原因の例としては、限定はされないが、性交疼痛症、外陰部を神経支配する神経への傷
害又は該神経の刺激、炎症に対する遺伝的素因、アレルギー、自己免疫異常(例えば、エ
リテマトーデス又はシェーグレン症候群)、感染症(例えば、酵母感染、HPV、又は細菌性
膣症)、及び神経障害が挙げられる。外陰部痛の例示的症状としては、限定はされないが
、外陰部、大陰唇、小陰唇、若しくは前庭の又はこれらの周囲の拡散痛又は灼熱感覚が挙
げられる。
ある種の実施態様では、疼痛は、間質性膀胱炎によって引き起こされる又は間質性膀胱
炎と関係がある。間質性膀胱炎は、膀胱疼痛症候群としても公知であり、例えば、膀胱と
関係がある疼痛若しくは圧迫、排尿に伴う疼痛、排尿時刺激、尿意頻数、尿意切迫、又は
骨盤内の疼痛若しくは圧迫をしばしば特徴とする、慢性の状態である。間質性膀胱炎の病
理及び病因は、明確には理解されていない。しかし、可能性のあるいくつかの原因、例え
ば、血管閉塞、自己免疫、炎症、漏出性の膀胱内膜、肥満細胞、ストレス、並びに遺伝的
、神経性、及び内分泌的原因が提案されている。一実施態様では、間質性膀胱炎の診断は
、例えば、骨盤痛(Pelvic Pain)・尿意切迫(Urgency)/頻尿(Frequency)(PUF)患者調査、
又はKCl試験(カリウム感受性試験としても知られている)によって行うことができる。
ある種の他の実施態様では、疼痛は、内臓痛である。
ある種の他の実施態様では、疼痛は、手術中にもたらされた組織への外傷に起因する疼
痛などの術後疼痛である。
ある種の他の実施態様では、疼痛は、混合性疼痛、例えば、侵害受容性要素と神経障害
性要素とを有する慢性の疼痛である。具体的実施態様では、前記混合性疼痛は、癌疼痛又
は腰痛である。
ある種の他の実施態様では、疼痛は、偏頭痛、又は頭痛、例えば、血管性頭痛、群発頭
痛、若しくは中毒性頭痛(toxic headache)による疼痛である。
具体的実施態様では、疼痛と関係がある前記症状としては、限定はされないが、自律神
経障害、動作開始不可能、虚弱、振戦、筋痙攣、ジストニア、ジストロフィー、萎縮、浮
腫、硬直、関節圧痛、発汗増大、温度過敏、軽い触覚刺激(異痛症)、皮膚の色変化、高体
温又は低体温、爪及び体毛の成長の増大、早期骨変性、網状皮斑又はチアノーゼを伴う多
汗症、脱毛、爪の隆起、割れ、又は脆弱化、手の乾燥、びまん性骨粗鬆症、不可逆的な組
織損傷、光沢のある薄い皮膚、関節拘縮、及び著しい骨脱灰のうちの1つ以上が挙げられ
る。
ある種の実施態様では、本明細書に記載する方法に従って、ある個人に胎盤幹細胞を投
与することによって、疼痛の治療に指示される/使用される1種以上の薬物(例えばギャバ
ペンチン)と関係がある副作用が伴われずに、該個人における疼痛の軽減がもたらされる
。具体的実施態様では、本明細書に記載する方法に従う胎盤幹細胞の使用によって、その
胎盤幹細胞が投与される個人における疼痛の軽減がもたらされるが、前記個人における感
覚及び/又は運動協調の欠如はもたらされない。
(5.1.2疼痛評価スケール)
一実施態様では、疼痛を有する個人に投与される胎盤幹細胞の治療有効量は、該個人に
おける疼痛の検出可能な軽減をもたらす量である。この軽減は、個人に対して検出可能、
又は観察者に対して検出可能、又はその両方であり得る。本明細書で提供される治療の方
法の、ある実施態様では、個人における疼痛のレベルは、例えば、1以上の個人用疼痛ス
ケールに従って、医師によって指導される通りに、又は治療前精密検査の一部として、該
個人によって評価される。ある種の他の実施態様では、個人における疼痛のレベルは、1
以上の観察者用疼痛スケールを使用して、観察者によって評価される。疼痛のレベルが、
胎盤幹細胞の投与の前と後に、該方法に従って評価される場合、各評価について、同じス
ケールが使用されることが好ましい。個人における疼痛は、胎盤幹細胞の投与前に1回又
は1回以上、例えば、2、3、4、又は5回、及び、胎盤幹細胞の投与後に1回又は1回以上、
例えば、2、3、4、又は5回、評価することができる。
一実施態様では、個人における疼痛は、0~10の数値的疼痛強度スケールによって評価
される。このスケールでは、0は疼痛なしに相当し、10は最も酷い疼痛に相当する。ある
種の実施態様、例えば疼痛質的評価スケールでは、疼痛は、2以上の数値的記述子、例え
ば、疼痛がどの程度「熱く」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「強く」感じ
られるかについて0~10、疼痛がどの程度「鋭く」感じられるかについて0~10、疼痛がど
の程度「鈍く」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「冷たく」感じられるかに
ついて0~10、疼痛がどの程度「鋭敏に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「
圧痛的に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「むずむず」感じられるかにつ
いて0~10、疼痛がどの程度「走るように」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度
「麻痺的に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「チクチク」感じられるかに
ついて0~10、疼痛がどの程度「電撃的に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度
「筋肉収縮的に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「ズキズキ」感じられる
かについて0~10、疼痛がどの程度「放散的に」感じられるかについて0~10、疼痛がどの
程度「疼くように」感じられるかについて0~10、疼痛がどの程度「重く」感じられるか
について0~10、及び/又は疼痛がどの程度「不快に」感じられるかについて0~10に分類
される。
別の実施態様では、個人における疼痛は、簡単記述疼痛強度スケールによって評価され
る。このスケールでは、疼痛は、例えば「疼痛なし」、「穏やかな疼痛」、「中程度の疼
痛」、「激しい疼痛」、「非常に激しい疼痛」、又は「想像できる最も酷い疼痛」と記載
される。
別の実施態様では、個人における疼痛は、視覚的アナログスケールによって評価される
。視覚的アナログスケールでは、個人に、垂直線から構成されているグラフ(線の片方の
端には「疼痛なし」と表示され、もう一方の端には「想像できる最も酷い疼痛」と表示さ
れている)が渡される。個人は、線上の2つの端の間の、個人が認識する疼痛のレベルを示
す点に印を付けるように言われる。
別の実施態様では、個人における疼痛は、Wong-Bakerフェイス疼痛評価スケールによっ
て評価される。Wong-Bakerフェイス疼痛評価スケールでは、疼痛のレベルは、一連の漫画
の顔、一般的に、幸せそうに見える顔から、より不幸に見える顔まで段階的に、6つの顔
によって示される。具体的実施態様では、顔には、「痛くない」、「わずかに痛い」、「
もう少し痛い」、「さらに痛い」、「かなり痛い」、及び「これ以上ない痛み」などの語
句で文字が付けられる。別の具体的実施態様では、顔には、「疼痛なし」、「穏やかな、
気に障る疼痛」、「治まらない、不快な、厄介な疼痛」、「辛い、ひどい疼痛」、「激し
い、恐ろしい、とてもひどい疼痛」、及び「想像できる最も酷い、耐えられない、猛烈な
疼痛」などの語句で文字が、単独で、又は数値的な0から10までのスケールと共に付けら
れる。
ある種の実施態様では、個人における疼痛は、FLACC(顔、脚、活動性、泣き声、及び機
嫌)スケールによって評価される。具体的実施態様では、5つの特徴のそれぞれが、例えば
0から2(2は疼痛を示し、0は疼痛なしを示す)で評価される。これらのスコアは、別々に、
又は総合的に使用することができる。
ある種の他の実施態様では、個人における疼痛は、CRIES(啼泣、O2飽和(ヘモグロビン
飽和)のためのO2の必要性、バイタルサイン(血圧及び心拍数)の上昇、表情、及び不眠)ス
ケールによって評価される。具体的実施態様では、5つの特徴のそれぞれが、例えば0から
2(2は疼痛を示し、0は疼痛なしを示す)で評価される。これらのスコアは、別々に、又は
総合的に使用することができる。
ある実施態様では、個人における疼痛は、それぞれ1~5のスケール(1は疼痛なし又は最
小の疼痛を示し、5は最大の疼痛を示す)で評価される9つの異なる特性(意識状態、平静度
、呼吸応答性、啼泣、体動、筋緊張、表情の緊張、血圧、及び心拍数)を評価するCOMFORT
スケールによって評価される。これらのスコアは、別々に、又は総合的に使用することが
できる。
(5.1.3疼痛の生理的指標)
本明細書で使用する場合、「疼痛の治療」及び類似の表現は、疼痛を完全に排除するこ
と;疼痛に悩む個人による疼痛の顕著な軽減;客観的基準(例えば、心拍数、血圧、筋緊張
など)による疼痛又は疼痛の徴候の検出可能な軽減;又は3つのうちの任意の2つ又はすべて
の組み合わせを含むことができる。ある種の他の実施態様では、個人における疼痛は、生
理学的基準、例えばストレスの生理学的基準によって、胎盤幹細胞の投与の前及び後又は
その両方で評価することができる。こうした生理学的基準には、心拍数又は血圧などの客
観的に測定可能な基準、例えば、個人における疼痛がない状態と比較した場合の、又は予
想される標準(例えば、収縮期圧120及び拡張期圧80;60拍/分)と比較した場合の、心拍数
又は血圧の上昇が含まれ得る。こうした生理学的基準には、さらに又は代わりに、顔の表
情、筋肉伸長(筋緊張)、発汗、震えなどの、主観的に測定可能な基準も含まれ得る。
したがって、ある種の実施態様では、疼痛を有する個人に投与される治療有効量の胎盤
幹細胞は、該個人における心拍数の検出可能な減少、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、
30%、35%、40%、45%、又は50%の減少;心拍数の120拍/分(bpm)又はそれ以上から110bpm未
満までの減少;110bpm又はそれ以上から100bpm未満までの減少;100bpm又はそれ以上から90
bpm未満までの減少;90bpm又はそれ以上から80bpm未満までの減少;120bpm又はそれ以上か
ら100bpm未満までの減少;超から90bpm未満までの減少;100bpm超から80bpm未満までの減少
;130bpm超から100bpm未満までの減少;120bpm超から90bpm未満までの減少;110bpmから80bp
m未満までの減少;又は120bpm又はそれ以上から80bpm未満までの減少をもたらす。
ある種の他の実施態様では、治療有効量の胎盤幹細胞は、疼痛を有する個人に投与され
た場合、該個人における血圧の検出可能な低下、例えば、個人の収縮期圧、拡張期圧、又
は両方の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の低下;個人の収縮期圧
の200又はそれ以上から190未満までの低下;190又はそれ以上から180未満までの収縮期圧
の低下;180又はそれ以上から170未満までの収縮期圧の低下;170又はそれ以上から160未満
までの収縮期圧の低下;160又はそれ以上から150未満までの収縮期圧の低下;150又はそれ
以上から140未満までの収縮期圧の低下;140又はそれ以上から130未満までの収縮期圧の低
下;200又はそれ以上から180未満までの収縮期圧の低下;190又はそれ以上から170未満まで
の収縮期圧の低下;180又はそれ以上から160未満までの収縮期圧の低下;170又はそれ以上
から150未満までの収縮期圧の低下;160又はそれ以上から140未満までの収縮期圧の低下;1
50又はそれ以上から130未満までの収縮期圧の低下;200又はそれ以上から170未満までの収
縮期圧の低下;190又はそれ以上から160未満までの収縮期圧の低下;180又はそれ以上から1
50未満までの収縮期圧の低下;170又はそれ以上から140未満までの収縮期圧の低下;160又
はそれ以上から130未満までの収縮期圧の低下;200又はそれ以上から160未満までの収縮期
圧の低下;190又はそれ以上から150未満までの収縮期圧の低下;180又はそれ以上から140未
満までの収縮期圧の低下;200又はそれ以上から130未満までの収縮期圧の低下;200又はそ
れ以上から150未満までの収縮期圧の低下;190又はそれ以上から140未満までの収縮期圧の
低下;180又はそれ以上から130未満までの収縮期圧の低下;200又はそれ以上から140未満ま
での収縮期圧の低下;190又はそれ以上から130未満までの収縮期圧の低下;又は200又はそ
れ以上から130未満までの収縮期圧の低下;140又はそれ以上から130未満までの個人の拡張
期圧の低下;130又はそれ以上から120未満までの拡張期圧の低下;120又はそれ以上から110
未満までの拡張期圧の低下;110又はそれ以上から100未満までの拡張期圧の低下;100又は
それ以上から90未満までの拡張期圧の低下;140又はそれ以上から120未満までの拡張期圧
の低下;110又はそれ以上から90未満までの拡張期圧の低下;140又はそれ以上から110未満
までの拡張期圧の低下;130又はそれ以上から100未満までの拡張期圧の低下;120又はそれ
以上から90未満までの拡張期圧の低下;140又はそれ以上から100未満までの拡張期圧の低
下;130又はそれ以上から90未満までの拡張期圧の低下;又は140又はそれ以上から90未満ま
での拡張期圧の低下をもたらす。
ある種の実施態様では、治療有効量の胎盤幹細胞は、疼痛を有する個人に投与された場
合、該個人における1種以上のサイトカイン(例えば炎症誘発性サイトカイン)の量の検出
可能な低下をもたらす。具体的実施態様では、本明細書に記載する方法に従う、疼痛を有
する個人への胎盤幹細胞の投与は、該個人におけるIL-2、IL-6、IL-12、IL-17、及び/又
はインターフェロン-γ、又はこれらの任意の組み合わせの量の低下をもたらす。個人に
おけるサイトカインの減少の評価は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して実現する
ことができる。例えば、個人における血漿中のサイトカイン濃度は、例えばELISAを使用
して測定することができる。
ある種の実施態様では、治療有効量の胎盤幹細胞は、疼痛を有する個人に投与された場
合、該個人における1種以上のサイトカインの検出可能な増加をもたらす。具体的実施態
様では、本明細書に記載する方法に従う、疼痛を有する個人への胎盤幹細胞の投与は、該
個人におけるIL-10の量の増大をもたらす。個人におけるサイトカインレベルの増大の評
価は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して実施することができる。例えば、個人に
おける血漿中のサイトカイン濃度は、例えばELISAを使用して測定することができる。
ある種の実施態様では、治療有効量の胎盤幹細胞は、疼痛を有する個人に投与された場
合、該個人における1種以上のケモカインの量の検出可能な低下をもたらす。具体的実施
態様では、本明細書に記載する方法に従う、疼痛を有する個人への胎盤幹細胞の投与は、
該個人におけるCCL2、CCL12、及び/又はCXCL1、又はこれらの任意の組み合わせの量の低
下をもたらす。個人におけるケモカインの評価は、当技術分野で公知の任意の方法を使用
して実施することができる。例えば、個人における血漿中のケモカイン濃度は、例えばEL
ISAを使用して測定することができる。
ある種の実施態様では、治療有効量の胎盤幹細胞は、疼痛を有する個人に投与された場
合、該個人における1種以上の細胞タイプの活性化及び/又は分化の検出可能な低下をもた
らす。具体的実施態様では、本明細書に記載する方法に従う、疼痛を有する個人への胎盤
幹細胞の投与は、該個人における樹状細胞、T細胞、及び/又はマクロファージ、又はこれ
らの任意の組み合わせの活性化及び/又は分化の低下をもたらす。個人における特定の細
胞タイプの活性化及び/又は分化の評価は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、該
個人の特定の部分に存在する特定の細胞マーカーの測定、例えば、血液の細胞と関係があ
る、又は、特定の組織/器官に見られる細胞と関係がある、特定の細胞マーカーの測定/評
価を使用して実施することができる。
(5.2疼痛と関係がある又は疼痛の原因となる炎症反応の抑制)
炎症は、疼痛の唯一の原因ではない。しかし、ある種の実施態様では、胎盤幹細胞を使
用して、炎症に関連する又は炎症によって引き起こされる疼痛を改善することができる。
一実施態様では、本明細書で提供されるのは、個人における疼痛の改善のための方法であ
って、個人における免疫細胞(1種又は複数)を有効量の胎盤幹細胞と接触させることを含
む前記方法である。ここでは、前記有効量は、(1)前記個人における免疫応答を検出可能
に抑制する、及び(2)前記個人における疼痛を検出可能に軽減する量である。具体的実施
態様では、前記胎盤幹細胞は、混合リンパ球反応(MLR)アッセイ又は退行アッセイにおけ
るT細胞増殖を検出可能に抑制する。接触は、胎盤幹細胞を個人に、例えば、局所的に、
全身的に、若しくは部位的に(又はこうしたものの組み合わせによって)投与することによ
って実現することができる。したがって、本明細書で提供されるのは、個人における疼痛
の改善のための方法であって、個人における免疫細胞(1種又は複数)を有効量の胎盤幹細
胞と接触させることを含む前記方法である。ここでは、前記有効量は、(1)前記個人にお
ける免疫及び/又は炎症反応を検出可能に調節する、例えば抑制する、及び(2)前記個人に
おける疼痛を検出可能に軽減する量である。具体的実施態様では、個人における免疫細胞
(1種又は複数)と有効量の胎盤幹細胞との接触は、該個人におけるIL-2、IL-6、IL-12、IL
-17、及び/又はインターフェロン-γ、又はこれらの任意の組み合わせの量の低下をもた
らす。別の具体的実施態様では、個人における免疫細胞(1種又は複数)と有効量の胎盤幹
細胞との接触は、該個人におけるCCL2、CCL12、及び/又はCXCL1、又はこれらの任意の組
み合わせの量の低下をもたらす。別の具体的実施態様では、個人における免疫細胞(1種又
は複数)と有効量の胎盤幹細胞との接触は、該個人におけるIL-10の量の増大をもたらす。
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、個人における疼痛の改善のための方法
であって、有効量の胎盤幹細胞を該個人に投与することを含む前記方法である。ここでは
、前記有効量は、(1)前記個人における免疫及び/又は炎症反応を検出可能に調節する、例
えば抑制する、及び(2)前記個人における疼痛を検出可能に軽減する量である。具体的実
施態様では、前記胎盤幹細胞は、混合リンパ球反応(MLR)アッセイ又は退行アッセイにお
けるT細胞増殖を検出可能に抑制する。投与は、局所的に、全身的に、若しくは部位的に(
又はこうしたものの組み合わせによって)実施することができる。具体的実施態様では、
個人への有効量の胎盤幹細胞の投与は、該個人におけるIL-2、IL-6、IL-12、IL-17、及び
/又はインターフェロン-γ、又はこれらの任意の組み合わせの量の低下をもたらす。別の
具体的実施態様では、個人への有効量の胎盤幹細胞の投与は、該個人におけるCCL2、CCL1
2、及び/又はCXCL1、又はこれらの任意の組み合わせの量の低下をもたらす。別の具体的
実施態様では、個人への有効量の胎盤幹細胞の投与は、該個人におけるIL-10の量の増大
をもたらす。
本方法の文脈での「免疫細胞」は、免疫(適応又は自然免疫)系のあらゆる細胞、特に、
T細胞及びNK(ナチュラルキラー)細胞、樹状細胞、並びにマクロファージを意味する。し
たがって、本方法の種々の実施態様では、胎盤幹細胞は、複数の免疫細胞と接触され、こ
こでは、複数の免疫細胞は、複数のT細胞(例えば、複数のCD3+T細胞、CD4+T細胞、及び/
又はCD8+T細胞)、及び/又はナチュラルキラー細胞である、又はこれらを含む。本方法の
文脈での「免疫応答」は、免疫細胞によって通常認識される刺激に対する免疫細胞による
あらゆる反応、例えば、抗原の存在に対する反応であり得る。種々の実施態様では、免疫
応答は、外来性抗原(輸血又は移植片中に存在する抗原など)に、又は自己抗原に(自己免
疫疾患においてみられるように)応答するT細胞(例えば、CD3+T細胞、CD4+T細胞、及び/又
はCD8+T細胞)の増殖であり得る。免疫応答はまた、移植片内に含まれるT細胞の増殖であ
り得る。免疫応答はまた、ナチュラルキラー(NK)細胞のあらゆる活性、樹状細胞の成熟、
T細胞の分化、マクロファージのM1又はM2系統へのスキューイングなどであり得る。
例えば炎症の軽減による疼痛の軽減又は改善のために使用される胎盤幹細胞は、単一の
種、例えば、対象となるレシピエントの種、又は、その機能が低下する又は抑制されるこ
ととなる免疫細胞の種から誘導することもできるし、複数の種から誘導することもできる
種々の実施態様では、前記接触は、疼痛に悩む個人における免疫機能(例えば、抗原に
応答するT細胞増殖)又は炎症を、胎盤幹細胞の非存在下での免疫機能に対して少なくとも
50%、60%、70%、80%、90%、又は95%抑制するのに十分である。インビボ状況におけるこう
した抑制は、例えば、該個人由来のT細胞の試料を使用して、インビトロアッセイ(以下参
照)において決定することができる;すなわち、インビトロアッセイにおける抑制の程度か
ら、胎盤幹細胞の特定の数及びレシピエント個人における免疫細胞の数について、個人に
おける抑制の程度を推定することができる。
胎盤幹細胞は、例えば、CD4+又はCD8+T細胞と樹状細胞(DC)と胎盤幹細胞とを約10:1:2
の比で組み合わせることを含むMLRにおいて試験することができる。ここでは、T細胞は、
例えば、嬢細胞に分配されるCFSEなどの染料で染色され、かつ、T細胞は、約6日間増殖さ
せられる。T細胞及び/又はDC細胞は、治療される個人から得ることができ、例えば、これ
らは、個人の自己由来であってもよいし、個人にとって同種のものであってもよい。T細
胞増殖が、胎盤幹細胞の存在下で、6日間で、DCの存在下かつ胎盤幹細胞の非存在下でのT
細胞増殖と比較して、検出可能に低下する場合、該胎盤幹細胞は、免疫抑制性である。ML
Rの一実施態様では、例えば、胎盤幹細胞は、解凍する、又は培養物から回収することが
できる。約20,000個の胎盤幹細胞を、100μlの培地(RPMI 1640、1mM HEPES緩衝液、抗生
物質、及び5%のプールされたヒト血清)に再懸濁し、ウェルの底に2時間接着させる。CD4+
及び/又はCD8+T細胞を、全末梢血単核細胞Miltenyi磁気ビーズから単離する。この細胞を
CFSE染色し、合わせて100,000個のT細胞(CD4+T細胞単独、CD8+T細胞単独、又は等量のCD4
+T細胞とCD8+T細胞)を、ウェルに添加する。ウェル内の体積を200μlとし、MLRを進行さ
せる。
ある種の実施態様では、胎盤幹細胞の抗炎症活性(すなわち免疫抑制活性)が、疼痛に悩
む個人への投与の前に決定される。これは、例えば、疼痛の改善のために投与される胎盤
幹細胞の試料の免疫抑制活性を決定することによって実現することができる。こうした活
性は、例えば、例えばMLR又は退行アッセイにおいて胎盤幹細胞の試料又は胎盤幹細胞を
試験することによって決定することができる。一実施態様では、MLRは、この試料を用い
て実施され、このアッセイにおいて試料胎盤幹細胞によって示される免疫抑制の程度が決
定される。疼痛改善の程度は、サンプリングされた胎盤幹細胞の免疫抑制活性と相関する
ことが予想される。したがって、胎盤幹細胞のある特定の集団又は胎盤幹細胞が炎症に起
因する疼痛を改善する絶対的又は相対的能力を決定するための方法として、MLRを使用す
ることができる。
より多くのデータを提供する、又は、胎盤幹細胞の試料又は胎盤幹細胞が免疫を抑制し
、したがって疼痛を改善する能力を最も良く決定するために、MLRのパラメータを変更す
ることができる。例えば、胎盤幹細胞による免疫抑制は、アッセイに存在する胎盤幹細胞
の数におおむね比例して増大するようにみえるので、MLRは、一実施態様では、2個以上の
数の胎盤幹細胞、例えば、反応あたり1×103、3×103、1×104、及び/又は3×104個の胎
盤幹細胞を用いて実施することができる。このアッセイにおけるT細胞の数に対する胎盤
幹細胞の数も、変更することができる。例えば、このアッセイにおける胎盤幹細胞及びT
細胞は、比較的多数の胎盤幹細胞又はT細胞が使用される場合であっても、任意の比、例
えば約10:1から約1:10、好ましくは約1:5で存在することができる。
退行アッセイ又はBTRアッセイも、同様の様式で使用することができる。
胎盤幹細胞は、個人における既知の又は予測される数の免疫細胞、例えばT細胞に対し
て、約10:1から約1:10、好ましくは約1:5の比で、個人に投与することができる。しかし
、胎盤幹細胞は、非限定的な例では、約10,000:1、約1,000:1、約100:1、約10:1、約1:1
、約1:10、約1:100、約1:1,000、又は約1:10,000の比で、個人に投与することができる。
一般に、免疫抑制を行うためには、レシピエント1キログラムあたり約1×105から約1×10
8個の胎盤幹細胞、好ましくはレシピエント1キログラムあたり約1×106から約1×107個の
胎盤幹細胞を投与することができる。種々の実施態様では、個人又は対象に投与される胎
盤幹細胞は、少なくとも、又はおよそ、又は多くとも、1×105、3×105、1×106、3×106
、1×107、3×107、1×108、3×108、1×109、3×109個、又はそれ以上の胎盤幹細胞を含
む。
胎盤幹細胞はまた、1種以上の第2の型の幹細胞、例えば、骨髄由来の間葉系幹細胞と共
に投与することもできる。こうした第2の幹細胞は、前記胎盤幹細胞と共に、例えば約1:1
0から約10:1の比で個人に投与することができる。
胎盤幹細胞と免疫細胞とのインビボでの接触又は近接をしやすくするために、胎盤幹細
胞は、胎盤幹細胞と免疫細胞とを互いに接触させるのに十分な任意の経路によって、個人
に投与することができる。例えば、胎盤幹細胞は、例えば、静脈内に、筋肉内に、腹腔内
に、眼内に、非経口的に、くも膜下腔内に、皮下に、又は器官、例えば膵臓に直接的に、
個人に投与することができる。胎盤幹細胞は、疼痛に悩む個人の部分に対して、又は疼痛
の部位に、又は疼痛をもたらす神経損傷の部位に投与することができる。インビボ投与に
ついては、胎盤幹細胞は、下の5.8.1.2節に記載する通りに、医薬組成物として製剤化す
ることができる。
別の態様では、疼痛に悩む個人に投与される胎盤幹細胞は、1種以上の抗炎症性サイト
カインを発現するように遺伝的に操作されている。具体的実施態様では、前記抗炎症性サ
イトカインは、IL-10を含む。
(5.3第2の治療用組成物及び第2の治療法)
個人における疼痛の治療の先述の方法のいずれかでは、該方法は、第2の治療用組成物
又は第2の治療法、例えば、抗疼痛性医薬品又は治療法の施与を含む。好ましい実施態様
では、第2の活性剤は、疼痛を緩和する、炎症反応を抑制又は調節する、鎮静効果又は抗
神経痛効果を提供する、又は患者の安心を確実にする能力がある。
ある種の実施態様では、第2の治療用組成物は、限定はされないが、オピオイド鎮痛薬
、非麻薬性鎮痛薬、抗炎症薬、cox-2阻害剤、α-アドレナリン受容体アゴニスト又はアン
タゴニスト、ケタミン、麻酔剤、NMDAアンタゴニスト、免疫調節剤、免疫抑制剤、抗うつ
薬、抗痙攣薬、抗圧薬、抗不安薬、カルシウムチャネル阻害薬、筋弛緩薬、副腎皮質ステ
ロイド薬、高圧酸素、JNK阻害剤、疼痛を緩和することが知られている他の治療剤、並び
にこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和化合物、水和物、立体異性体、クラスレート
、プロドラッグ、及び薬理学的に活性な代謝産物を含む。
ある種の実施態様では、第2の治療用組成物は、オピオイドである。オピオイドは、例
えば、激しい疼痛を治療するために使用することができる。オピオイド鎮痛薬の例として
は、限定はされないが、オキシコドン(例えばOXYCONTIN(登録商標))、硫酸モルヒネ(例え
ば、MS CONTIN(登録商標)、DURAMORPH(登録商標)、及び/又はASTRAMORPH(登録商標))、メ
ペリジン(例えばDEMEROL(登録商標))、及びフェンタニール経皮パッチ(例えばDURAGESIC(
登録商標))、及び他の公知の従来の医薬品が挙げられる。オキシコドン(例えばOXYCONTIN
(登録商標))は、長時間作用型のオピオイドであり、例えば、初期及び後期段階のCRPSに
使用することができる。
例えば、妊娠及び授乳中の疼痛の治療のために、非麻薬性鎮痛薬及び抗炎症薬を使用す
ることができる。例えば、早期段階の疼痛症候群には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)
を使用することができる。抗炎症薬の例としては、限定はされないが、サリチル酸酢酸エ
ステル(例えばアスピリン)、イブプロフェン(例えば、MOTRIN(登録商標)、ADVIL(登録商
標)など)、ケトプロフェン(例えばORUVAIL(登録商標))、ロフェコキシブ(例えばVIOXX(登
録商標))、ナプロキセンナトリウム(例えば、ANAPROX(登録商標)、NAPRELAN(登録商標)、
NAPROSYN(登録商標)など)、ケトロラック(例えばACULAR(登録商標))、又は他の公知の従
来の医薬品が挙げられる。具体的なcox-2阻害剤は、セレコキシブ(例えばCELEBREX)であ
る。
抗うつ薬である第2の治療用化合物の例としては、限定はされないが、ノルトリプチリ
ン(PAMELOR(登録商標))、アミトリプチリン(ELAVIL(登録商標))、イミプラミン(TOFRANIL
(登録商標))、ドキセピン(SINEQUAN(登録商標))、クロミプラミン(ANAFRANIL(登録商標))
、フルオキセチン(PROZAC(登録商標))、セルトラリン(ZOLOFT(登録商標))、ネファゾドン
(SERZONE(登録商標))、ベンラフェキシン(EFFEXOR(登録商標))、トラゾドン(DESYREL(登
録商標))、ブプロピオン(WELLBUTRIN(登録商標))、及び他の公知の従来の医薬品が挙げら
れる。例えば、医師用添付文書集(Physicians' Desk Reference)、329,1417,1831及び327
0(第57版、2003年)を参照のこと。
抗痙攣薬である第2の治療用化合物の例としては、限定はされないが、カルバマゼピン
、オキシカルバゼピン、ギャバペンチン(NEURONTIN(登録商標))、フェニロイン(phenyloi
n)、バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、トピラメート、ラモトリジン、ゾニサミド、
及びチアギャビンが挙げられる。例えば、医師用添付文書集(Physicians' Desk Referenc
e)、2563(第57版、2003年)を参照のこと。
他の第2の治療用化合物としては、限定はされないが、副腎皮質ステロイド薬(例えば、
プレドニゾン、デキサメタゾン、又はヒドロコルチゾン)、経口的に活性なクラスIb抗不
整脈剤(例えばメキシレチン)、カルシウムチャネル阻害薬(例えばニフェジピン)、β遮断
薬(例えばプロプラノロール)、α遮断薬(例えばフェノキシベンザミン)、及びα2-アドレ
ナリン作動薬(例えばクロニジン)が挙げられ、免疫調節性化合物と組み合わせて使用する
こともできる。例えば、医師用添付文書集(Physicians' Desk Reference)、1979、2006、
及び2190(第57版、2003年)を参照のこと。
別の具体的実施態様では、前記第2の治療法は、免疫調節性化合物を含み、ここでは、
該免疫調節性化合物は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)-ピ
ペリジン-2,6-ジオン;3-(4'アミノイソールインドリン-1'-オン)-1-ピペリジン-2,6-ジオ
ン;4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン;又はα-(3
-アミノフタルイミド)グルタルイミドである。より具体的な実施態様では、前記免疫調節
性化合物は、下記構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒
和化合物、クラスレート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、若しくは立体異性
体の混合物である:
Figure 2022033938000002
(式中、XとYのうちの一方はC=Oであり、XとYのうちのもう一方はC=O又はCH2であり、かつ
R2は水素又は低級アルキルである)。より具体的な別の実施態様では、前記免疫調節性化
合物は、下記構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和化
合物、クラスレート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、若しくは立体異性体の
混合物である:
Figure 2022033938000003
(式中、XとYのうちの一方はC=Oであり、XとYのうちのもう一方はCH2又はC=Oであり;
R1は、H、(C1~C8)アルキル、(C3~C7)シクロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)
アルキニル、ベンジル、アリール、(C0~C4)アルキル-(C1~C6)ヘテロシクロアルキル、(
C0~C4)アルキル-(C2~C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(S)R3、C(O)OR4、(C1~C8)アルキ
ル-N(R6)2、(C1~C8)アルキル-OR5、(C1~C8)アルキル-C(O)OR5、C(O)NHR3、C(S)NHR3、C
(O)NR3R3'、C(S)NR3R3'又は(C1~C8)アルキル-O(CO)R5であり;
R2は、H、F、ベンジル、(C1~C8)アルキル、(C2~C8)アルケニル、又は(C2~C8)アルキニ
ルであり;
R3とR3'は独立に、(C1~C8)アルキル、(C3~C7)シクロアルキル、(C2~C8)アルケニル、(
C2~C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0~C4)アルキル-(C1~C6)ヘテロシクロアル
キル、(C0~C4)アルキル-(C2~C5)ヘテロアリール、(C0~C8)アルキル-N(R6)2、(C1~C8)
アルキル-OR5、(C1~C8)アルキル-C(O)OR5、(C1~C8)アルキル-O(CO)R5、又はC(O)OR5
あり;
R4は、(C1~C8)アルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、(C1~C4)アルキル
-OR5、ベンジル、アリール、(C0~C4)アルキル-(C1~C6)ヘテロシクロアルキル、又は(C0
~C4)アルキル-(C2~C5)ヘテロアリールであり;
R5は、(C1~C8)アルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル、ベンジル、アリー
ル、又は(C2~C5)ヘテロアリールであり;
R6の各存在は独立に、H、(C1~C8)アルキル、(C2~C8)アルケニル、(C2~C8)アルキニル
、ベンジル、アリール、(C2~C5)ヘテロアリール、又は(C0~C8)アルキル-C(O)O-R5であ
る、又はR6基は結合してヘテロシクロアルキル基を形成することができ;
nは、0又は1であり;
は、キラル炭素中心を表す)。より具体的な別の実施態様では、前記免疫調節性化合物
は、下記構造を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和化合物
、クラスレート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、若しくは立体異性体の混合
物である:
Figure 2022033938000004
(式中、
XとYのうちの一方はC=Oであり、もう一方はCH2又はC=Oであり;
Rは、H又はCH2OCOR'であり;
(i)R1、R2、R3、又はR4のそれぞれは、互いに独立に、ハロ、炭素原子1~4個のアルキル
、若しくは炭素原子1~4個のアルコキシである、又は(ii)R1、R2、R3、又はR4のうちの1
つは、ニトロ若しくは-NHR5であり、かつR1、R2、R3、又はR4のうちの残りのものは、水
素であり;
R5は、水素、又は炭素原子1~8個のアルキルであり、
R6は、水素、炭素原子1~8個のアルキル、ベンゾ、クロロ、又はフルオロであり;
R'は、R7-CHR10-N(R8R9)であり;
R7は、m-フェニレン又はp-フェニレン又は-(CnH2n)-(ここでは、nは0から4の値を有する)
であり;
R8及びR9はそれぞれ、互いに独立に、水素、又は炭素原子1~8個のアルキルである、又は
、R8とR9が共に、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、若しくは-CH2CH2X
1CH2CH2-(ここでは、X1は、-O-、-S-、若しくは-NH-である)を形成し;
R10は、水素、炭素原子8個までのアルキル、又はフェニルであり;
は、キラル炭素中心を表す)。具体的実施態様では、第2の治療用化合物は、レナリドミ
ド又はポマリドミドである。
先述の治療薬の任意の組み合わせを投与することができる。こうした治療薬は、胎盤幹
細胞と任意に組み合わせて、同時に、又は別の治療コースとして投与することができる。
先に列挙した第2の治療用化合物のいくつか(例えば、フルオキセチン)は、有益な効果
を有するが、少数のレシピエントでは、副作用としてそれ自体が神経障害性疼痛を引き起
こすことに留意するべきである。一般に、こうした化合物は、安全に投与できると考えら
れる;しかし、当業者(例えば医師)は、さらなる神経障害性疼痛のリスクに対する、こう
した第2の治療用化合物を投与する相対的利益を決定することができるであろう。
胎盤幹細胞は、医薬組成物、例えば、静脈内、筋肉内、又は腹腔内注射に適した医薬組
成物の形で、疼痛に悩む個人に投与することができる。胎盤幹細胞は、単回用量で、又は
反復用量で、該個人に投与することができる。胎盤幹細胞が、反復用量で投与される場合
、投与は、疼痛を緩和するように設計された治療レジメンの一部であってもよいし、疼痛
の根本的原因を治療するように設計された長期治療レジメンの一部であってもよい。胎盤
幹細胞が、第2の治療薬と共に、又は第2の型の幹細胞と共に投与される実施形態では、胎
盤幹細胞と第2の治療薬及び/又は第2の型の幹細胞は、同時に又は異なる時点で投与する
ことができる。例えば、この投与は、互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、4
0、若しくは50分以内に、又は互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、
20、若しくは22時間以内に、又は互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10日、若
しくはそれ以上の日数以内に行うことができる。
(5.4胎盤幹細胞及び胎盤幹細胞集団)
本明細書で提供される、疼痛を有する個人を治療する又は個人において疼痛を改善する
方法は、疼痛に悩む個人に胎盤幹細胞を投与することを含む。ある種の実施態様では、胎
盤幹細胞はまた、十分な数で、免疫機能(例えば、混合リンパ球反応アッセイ又は退行ア
ッセイにおけるCD4+及び/又はCD8+T細胞の増殖)を検出可能に抑制する能力を有する。
胎盤幹細胞は、胎児又は母親起源であり得る(すなわち、母親又は胎児の遺伝子型を有
することができる)。胎盤幹細胞の集団、又は胎盤幹細胞を含む細胞の集団は、もっぱら
胎児起源又はもっぱら母親起源の胎盤幹細胞を含むこともできるし、胎児と母親両方の起
源の胎盤幹細胞の混合集団を含むこともできる。胎盤幹細胞、及び、胎盤幹細胞を含む細
胞の集団は、下に論じる形態的特性、マーカー特性、及び培養特性によって、特定及び選
択することができる。
(5.4.1物理的及び形態的特性)
本明細書に記載する通りに使用される胎盤幹細胞は、初代培養で、又は細胞培養で培養
した場合、組織培養基材、例えば組織培養容器表面(例えば組織培養プラスチック)と接着
する。培養下での胎盤幹細胞は一般に、いくつかの細胞質突起が中央の細胞体から伸びて
いる、線維芽細胞様の星状の外観を呈する。しかし、胎盤幹細胞は、線維芽細胞よりも多
い数のこうした突起を呈するので、同じ条件下で培養された線維芽細胞と形態学的に区別
可能である。形態学的には、胎盤幹細胞はまた、培養下で一般に、より丸みを帯びた又は
丸石様形態を示す造血幹細胞と区別可能である。
(5.4.2細胞表面マーカー、分子マーカー、及び遺伝マーカー)
本明細書に開示する方法、例えば、疼痛の治療方法において有用な、単離された胎盤幹
細胞、例えば、単離された多能性胎盤幹細胞、及びこうした単離された胎盤幹細胞の集団
は、多能性細胞又は幹細胞の特性を有し、かつ、幹細胞を含む細胞又は細胞の集団を特定
する及び/又は単離するために使用することができる複数のマーカーを発現する、組織培
養プラスチック接着性ヒト胎盤幹細胞である。本明細書に記載する単離された胎盤幹細胞
、及び胎盤細胞集団(例えば2以上の単離された胎盤幹細胞)には、胎盤又はその任意の部
分(例えば、絨毛膜、胎盤葉など)から直接得られる胎盤幹細胞及び胎盤細胞を含有する細
胞集団が含まれる。単離された胎盤細胞集団には、培養下の単離された胎盤幹細胞の集団
(すなわち2以上)、及び容器(例えばバッグ)内の集団も含まれる。本明細書に記載する単
離された胎盤幹細胞は、骨髄由来の間葉系細胞でも、脂肪由来の間葉系幹細胞でも、臍帯
血、胎盤血、又は末梢血から得られる間葉系細胞でもない。本明細書に記載する方法及び
組成物において有用な、胎盤細胞、例えば、胎盤多能性細胞及び胎盤幹細胞は、本明細書
に、また、例えば米国特許第7,311,904号;第7,311,905号;及び第7,468,276号に、また米
国特許出願公開第2007/0275362号(これらの開示の全体を参照により本明細書に組み込む)
に記載されている。
ある種の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、フローサイトメトリーによって検出
される場合にCD34-、CD10+、及びCD105+である。別の具体的実施態様では、単離されたCD
34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞は、神経表現型、骨形成表現型の細胞、及び/又は軟骨形
成表現型の細胞に分化する潜在能力を有する。別の具体的実施態様では、単離されたCD34
-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD200+でもある、すなわち、胎盤幹細胞は、CD10
+、CD34-、CD105+、及びCD200+である。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD1
0+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD45-又はCD90+でもある。別の具体的実施態様では、単
離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出
される場合にCD45-及びCD90+でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD1
0+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出される場合
にCD90+又はCD45-でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+
、CD200+胎盤幹細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出される場合にCD90+
びCD45-でもある、すなわち、細胞は、CD34-、CD10+、CD45-、CD90+、CD105+、及びCD200
+である。別の具体的実施態様では、前記CD34-、CD10+、CD45-、CD90+、CD105+、CD200+
胎盤幹細胞はさらに、CD80-及びCD86-でもある。本明細書の実施態様のいずれかのある種
の具体的実施態様では、胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+でもある。
単離された胎盤幹細胞は一般に、α平滑筋アクチン(αSMA)を発現しない。単離された
胎盤幹細胞は一般に、MHCクラスI分子、例えば、HLA-A、B、Cを発現する。
ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞は、フローサイトメトリーによって検出される
場合に、CD34-、CD10+、CD105+、及びCD200+、並びにCD38-、CD45-、CD80-、CD86-、CD13
3-、MHCクラスII-(例えば、HLA-DR、DP、DQ-)、SSEA3-、SSEA4-、CD29+、CD44+、CD73+
CD90+、CD105+、HLA-A、B、C+、PDL1+、ABC-p+、及び/又はOCT-4+のうちの1以上である。
他の実施態様では、先に記載したCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞のいずれかはさらに、
CD29+、CD38-、CD44+、CD54+、SH3+、又はSH4+のうちの1以上でもある。別の具体的実施
態様では、該胎盤幹細胞はさらに、CD44+でもある。先述の単離されたCD34-、CD10+、CD1
05+胎盤幹細胞のいずれかの別の具体的実施態様では、該細胞はさらに、CD117-、CD133-
、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A、B、C+、HLA-DP、DQ、DR-、若しくはProgrammed Death-1リガン
ド(PDL1)+のうちの1以上、又はこれらの任意の組み合わせでもある。
別の実施態様では、CD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+
、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、
CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE-カドヘリンlow
CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT-4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA
-A、B、C+、HLA-DP、DQ、DR-、HLA-G-、若しくはProgrammed Death-1リガンド(PDL1)+
うちの1以上、又はこれらの任意の組み合わせでもある。別の実施態様では、CD34-、CD10
+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54/ICAM
+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(C
D105+)、CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133
-、OCT-4+、SSEA3-、SSEA4-、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A、B、C+、HLA-DP、DQ、DR-
、HLA-G-、及びProgrammed Death-1リガンド(PDL1)+でもある。
別の具体的実施態様では、本明細書に記載する胎盤幹細胞のいずれかはさらに、フロー
サイトメトリーによって検出される場合にABC-p+、又は逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応
(RT-PCR)によって決定される場合にOCT-4+(POU5F1+)でもある。ここでは、ABC-pは、胎盤
特異的ABCトランスポータータンパク質(乳癌耐性タンパク質(BCRP)として又はミトキサン
トロン耐性タンパク質(MXR)としても公知である)であり、OCT-4は、オクタマー-4タンパ
ク質(POU5F1)である。別の具体的実施態様では、本明細書に記載する胎盤幹細胞のいずれ
かはさらに、フローサイトメトリーによって決定される場合にSSEA3-又はSSEA4-でもある
。ここでは、SSEA3は、ステージ特異的胎児抗原3であり、SSEA4は、ステージ特異的胎児
抗原4である。別の具体的実施態様では、本明細書に記載する胎盤幹細胞のいずれかはさ
らに、SSEA3-及びSSEA4-でもある。
別の具体的実施態様では、本明細書に記載する胎盤幹細胞のいずれかは、MHC-I+(例え
ばHLA-A、B、C+)、MHC-II-(例えばHLA-DP、DQ、DR-)、若しくはHLA-G-のうちの1以上であ
る、又は該細胞のいずれかはさらに、MHC-I+(例えばHLA-A、B、C+)、MHC-II-(例えばHLA-
DP、DQ、DR-)、若しくはHLA-G-のうちの1以上でもある。別の具体的実施態様では、本明
細書に記載する胎盤幹細胞のいずれかはさらに、MHC-I+(例えば、HLA-A、B、C+)、MHC-II
-(例えば、HLA-DP、DQ、DR-)、及びHLA-G-でもある。
本明細書で提供されるのはまた、本明細書に開示する方法及び組成物において有用であ
る、単離された胎盤幹細胞の集団、又は細胞の集団(例えば、例えば濃縮された、単離さ
れた胎盤幹細胞を含む、胎盤細胞の集団)である。好ましい細胞集団は、単離された胎盤
幹細胞を含むものである。ここでは、細胞集団は、例えば、単離されたCD10+、CD105+
及びCD34-胎盤幹細胞を少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%
、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%含む;すなわち、前記集団における
少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、
80%、85%、90%、95%、又は98%の細胞が、単離されたCD10+、CD105+、及びCD34-胎盤幹細
胞である。具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、
CD200+でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+
盤幹細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出される場合にCD90+又はCD45-でも
ある。別の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞は
さらに、フローサイトメトリーによって検出される場合にCD90+及びCD45-でもある。別の
具体的実施態様では、先に記載した単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞のいずれ
かはさらに、CD29+、CD38-、CD44+、CD54+、SH3+、又はSH4+のうちの1以上でもある。別
の具体的実施態様では、単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞又は単離されたCD34
-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞はさらに、CD44+でもある。先述の単離されたCD34-
、CD10+、CD105+胎盤幹細胞を含む細胞の集団のいずれかの具体的実施態様では、該単離
された胎盤幹細胞はさらに、CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD62E
-、CD62L-、CD62P-、SH3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、
CD106/VCAM+、CD117-、CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT-4
+、SSEA3-、SSEA4-、ABC-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A、B、C+、HLA-DP、DQ、DR-、HLA-G-
、若しくはProgrammed Death-1リガンド(PDL1)+のうちの1以上、又はこれらの任意の組み
合わせでもある。別の具体的実施態様では、CD34-、CD10+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、
CD13+、CD29+、CD33+、CD38-、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、SH
3+(CD73+)、SH4+(CD73+)、CD80-、CD86-、CD90+、SH2+(CD105+)、CD106/VCAM+、CD117-
CD144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、CD200+、CD133-、OCT-4+、SSEA3-、SSEA4-、AB
C-p+、KDR-(VEGFR2-)、HLA-A、B、C+、HLA-DP、DQ、DR-、HLA-G-、及びProgrammed Death
-1リガンド(PDL1)+でもある。
ある種の実施態様では、前記細胞集団における単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+
、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、SSEA4-、OC
T-4+、及びABC-p+のうちの1以上又はすべてである。ここでは、前記単離された胎盤幹細
胞は、胎盤組織の物理的及び/又は酵素的破壊によって得られる。具体的実施態様では、
単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びABC-p+である。別の具体的実施態様では、単離され
た胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD34-であり、ここでは、前記単離された胎盤幹細胞は、以
下の特性のうちの少なくとも1つを有する:CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+
SH3+、SH4+、SSEA3-、及びSSEA4-。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、
OCT-4+、CD34-、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH3+、SH4+、SSEA3-、及
びSSEA4-である。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、SSEA3-
、及びSSEA4-である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD
34-であり、かつ、SH2+又はSH3+のいずれかである。別の具体的実施態様では、単離され
た胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、SH2+、及びSH3+である。別の具体的実施態様では、単
離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、SSEA3-、及びSSEA4-であり、かつ、SH2+又はSH3
+のいずれかである。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD3
4-であり、かつ、SH2+又はSH3+のいずれかであり、かつ、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-
CD54+、CD90+、SSEA3-、又はSSEA4-のうちの少なくとも1つである。別の具体的実施態様
では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54+
CD90+、SSEA3-、及びSSEA4-であり、かつ、SH2+又はSH3+のいずれかである。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、及びOCT-4+である。
別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90
+、CD34-、CD45-、SSEA3-、又はSSEA4-である。別の実施態様では、単離された胎盤幹細
胞は、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、及びSSEA4-である。別の具体的実施態様では、単離さ
れた胎盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、及びSSEA4-、CD10+、CD29+、CD44+、CD5
4+、CD90+、OCT-4+、CD34-、又はCD45-である。
別の実施態様では、本明細書に開示する方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、及びSH4+
であり;ここでは、前記単離された胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+、SSEA3-、又はSSEA4-
うちの1以上でもある。
ある種の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD200+又はHLA-G-である。具体的実
施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD200+及びHLA-G-である。別の具体的実施態様で
は、単離された胎盤幹細胞はさらに、CD73+及びCD105+でもある。別の具体的実施態様で
は、単離された胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-でもある。別の具体的実
施態様では、単離された胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の
具体的実施態様では、前記胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、及びCD105+であ
る。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD200+又はHLA-G-胎盤幹細胞は、胚様体(e
mbryoid-like body)の形成を可能にする条件下で、該単離された胎盤幹細胞を含む胎盤細
胞の集団における胚様体の形成を促進する。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹
細胞は、前記胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、前
記単離された胎盤幹細胞は、これらの組み合わせのマーカーを呈示しない胎盤細胞から単
離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な細胞集団は、例
えば濃縮されたCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞を含む、細胞の集団である。具体的実施態様で
は、前記集団は、胎盤細胞の集団である。種々の実施態様では、前記細胞集団における細
胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくと
も約50%、又は少なくとも約60%は、単離されたCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞である。好まし
くは、前記細胞集団における細胞の少なくとも約70%が、単離されたCD200+、HLA-G-胎盤
幹細胞である。より好ましくは、前記細胞の少なくとも約90%、95%、又は99%が、単離さ
れたCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞である。細胞集団の具体的実施態様では、前記単離された
CD200+、HLA-G-胎盤幹細胞はまた、CD73+及びCD105+でもある。別の具体的実施態様では
、前記単離されたCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞はまた、CD34-、CD38-、又はCD45-でもある
。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞はまた、CD34-、C
D38-、CD45-、CD73+、及びCD105+でもある。別の実施態様では、前記細胞集団は、胚様体
の形成を可能にする条件下で培養した場合に1以上の胚様体を生じる。別の具体的実施態
様では、前記細胞集団は、胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施
態様では、前記単離されたCD200+、HLA-G-胎盤幹細胞は、これらのマーカーを呈示しない
胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、CD73+、CD105+、及びCD200+である。別の具体的実施態様では、単離された胎
盤幹細胞は、HLA-G-である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD34-
、CD38-、又はCD45-である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD34-
、CD38-、及びCD45-である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD34-
、CD38-、CD45-、及びHLA-G-である。別の具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD105
+、及びCD200+胎盤幹細胞は、単離された胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団における1以上
の胚様体の形成を、該集団が胚様体の形成を可能にする条件下で培養された場合に促進す
る。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、該単離された胎盤幹細胞ではな
い胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、これら
のマーカーを呈示しない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な細胞集団は、例
えば濃縮された、単離されたCD73+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を含む、細胞の集団であ
る。種々の実施態様では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約10%、少なくとも約2
0%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、単
離されたCD73+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞である。別の実施態様では、前記細胞集団に
おける前記細胞の少なくとも約70%は、単離されたCD73+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞であ
る。別の実施態様では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約80%、90%、95%、又は9
9%は、単離されたCD73+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞である。前記集団の具体的実施態様
では、単離された胎盤幹細胞は、HLA-G-である。別の具体的実施態様では、単離された胎
盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-でもある。別の具体的実施態様では、単離
された胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態様で
は、単離された胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、及びHLA-G-でもある。別の
具体的実施態様では、前記細胞集団は、胚様体の形成を可能にする条件下で培養した場合
に1以上の胚様体を生じる。別の具体的実施態様では、胎盤幹細胞の前記集団は、胎盤幹
細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、胎盤幹細胞の前記集団
は、これらの特性を示さない胎盤細胞から単離される。
ある種の他の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-
CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、SSEA4-、OCT-4+、HLA-G-、又
はABC-p+のうちの1以上である。具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+
CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3-、SSEA4
-、及びOCT-4+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29
+、CD34-、CD38-、CD45-、CD54+、SH2+、SH3+、及びSH4+である。別の具体的実施態様で
は、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD45-、CD54+、SH2+、SH3+
、SH4+、及びOCT-4+である。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+
、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、HLA-G-、SH2+、SH3+、SH4+であ
る。別の具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びABC-p+である。別の
具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、SH2+、SH3+、SH4+、及びOCT-4+である。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+、CD34-、SSEA3-、及びSSEA4-であ
る。具体的実施態様では、前記単離されたOCT-4+、CD34-、SSEA3-、及びSSEA4-胎盤幹細
胞はさらに、CD10+、CD29+、CD34-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、及びSH4
+でもある。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+及びCD34-であり、かつ
SH3+又はSH4+のいずれかである。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD34-
あり、かつ、CD10+、CD29+、CD44+、CD54+、CD90+、又はOCT-4+のいずれかである。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD200+及びOCT-4+である。具体的実施態
様では、単離された胎盤幹細胞は、CD73+及びCD105+である。別の具体的実施態様では、
前記単離された胎盤幹細胞は、HLA-G-である。別の具体的実施態様では、前記単離された
CD200+、OCT-4+胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、又はCD45-である。別の具体的実施態様で
は、前記単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別
の具体的実施態様では、前記単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞は、CD34-、CD38-、CD
45-、CD73+、CD105+、及びHLA-G-である。別の具体的実施態様では、単離されたCD200+
OCT-4+胎盤幹細胞は、該胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団による1以上の胚様体の産生を
、該集団が胚様体の形成を可能にする条件下で培養された場合に促進する。別の具体的実
施態様では、前記単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞は、前記胎盤幹細胞ではない胎盤
細胞から単離される。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細
胞は、これらの特性を示さない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な細胞集団は、例
えば濃縮された、CD200+、OCT-4+胎盤幹細胞を含む、細胞の集団である。種々の実施態様
では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30
%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、単離されたCD200+、OC
T-4+胎盤幹細胞である。別の実施態様では、前記細胞の少なくとも約70%は、前記単離さ
れたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞である。別の実施態様では、前記細胞集団における細胞の
少なくとも約80%、90%、95%、又は99%は、前記単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞であ
る。単離された集団の具体的実施態様では、前記単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞は
さらにCD73+及びCD105+でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD200+、OCT
-4+胎盤幹細胞はさらに、HLA-G-でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD2
00+、OCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態
様では、前記単離されたCD200+、OCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、CD7
3+、CD105+、及びHLA-G-でもある。別の具体的実施態様では、該細胞集団は、胚様体の形
成を可能にする条件下で培養した場合に1以上の胚様体を生じる。別の具体的実施態様で
は、前記細胞集団は、単離されたCD200+、OCT-4+胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離され
る。別の具体的実施態様では、前記細胞集団は、これらのマーカーを呈示しない胎盤細胞
から単離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、CD73+、CD105+、及びHLA-G-である。別の具体的実施態様では、単離されたCD7
3+、CD105+、及びHLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-でもある。別の
具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD
38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-
胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD1
05+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD200+でもある。別の具体的実施態様では、単離され
たCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+、及びCD20
0+でもある。別の具体的実施態様では、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞は
、前記胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団における胚様体の形成を、該集団が胚様体の形成
を可能にする条件下で培養された場合に促進する。別の具体的実施態様では、前記単離さ
れたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞は、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞
ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD1
05+、HLA-G-胎盤幹細胞は、これらのマーカーを呈示しない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な細胞集団は、例
えば濃縮された、単離されたCD73+、CD105+、及びHLA-G-胎盤幹細胞を含む、細胞の集団
である。種々の実施態様では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約10%、少なくと
も約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%
は、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞である。別の実施態様では、前記細胞
集団における細胞の少なくとも約70%は、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞で
ある。別の実施態様では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約90%、95%、又は99%
は、単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞である。先述の集団の具体的実施態様
では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はC
D45-でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹
細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態様では、前記単離
されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+でもある。別の具体的実施態
様では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、CD200+でもある。
別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞はさらに、C
D34-、CD38-、CD45-、OCT-4+、及びCD200+でもある。別の具体的実施態様では、前記細胞
集団は、CD73+、CD105+、HLA-G-胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体
的実施態様では、前記細胞集団は、これらのマーカーを呈示しない胎盤細胞から単離され
る。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD73+及びCD105+であり、かつ、前記CD7
3+、CD105+細胞を含む単離された胎盤細胞の集団における1以上の胚様体の形成を、前記
集団が胚様体の形成を可能にする条件下で培養された場合に促進する。別の具体的実施態
様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-
もある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、C
D34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD1
05+胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD7
3+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体
的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞は、前記細胞ではない胎盤細
胞から単離される。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞
は、これらの特性を示さない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な細胞集団は、CD
73+、CD105+であり、かつ前記細胞を含む単離された胎盤細胞の集団における1以上の胚様
体の形成を、前記集団が胚様体の形成を可能にする条件下で培養された場合に促進する、
例えば濃縮された、単離された胎盤幹細胞を含む、細胞の集団である。種々の実施態様で
は、前記細胞集団における細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%
、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、前記単離されたCD73+
CD105+胎盤幹細胞である。別の実施態様では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約
70%は、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞である。別の実施態様では、前記細胞集
団における細胞の少なくとも約80%、90%、95%、又は99%は、前記単離されたCD73+、CD105
+胎盤幹細胞である。先述の集団の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+
盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-でもある。別の具体的実施態様では、前記
単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の
具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、OCT-4+でもあ
る。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに、CD200
+でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞はさらに
、CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+、及びCD200+でもある。別の具体的実施態様では、前記
細胞集団は、前記単離されたCD73+、CD105+胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離される
。別の具体的実施態様では、前記細胞集団は、これらのマーカーを呈示しない胎盤細胞か
ら単離される。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、OCT-4+であり、かつ、前記胎盤幹細胞を
含む単離された胎盤細胞の集団における1以上の胚様体の形成を、前記細胞集団が胚様体
の形成を可能にする条件下で培養された場合に促進する。具体的実施態様では、前記単離
されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD73+及びCD105+でもある。別の具体的実施態様では
、前記単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-、又はCD45-でもある。別の
具体的実施態様では、前記単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD200+でもある。別の
具体的実施態様では、前記単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD73+、CD105+、CD200
+、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたOCT-4+
胎盤幹細胞は、OCT-4+胎盤細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様で
は、前記単離されたOCT-4+胎盤幹細胞は、これらの特性を示さない胎盤細胞から単離され
る。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な細胞集団は、OC
T-4+であり、かつ前記細胞を含む単離された胎盤細胞の集団における1以上の胚様体の形
成を、前記集団が胚様体の形成を可能にする条件下で培養された場合に促進する、例えば
濃縮された、単離された胎盤幹細胞を含む、細胞の集団である。種々の実施態様では、前
記細胞集団における細胞の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少な
くとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%は、前記単離されたOCT-4+胎盤幹
細胞である。別の実施態様では、前記細胞集団における細胞の少なくとも約70%は、前記
単離されたOCT-4+胎盤幹細胞である。別の実施態様では、前記細胞集団における細胞の少
なくとも約80%、90%、95%、又は99%は、前記単離されたOCT-4+胎盤幹細胞である。先述の
集団の具体的実施態様では、前記単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD34-、CD38-
又はCD45-でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたOCT-4+胎盤幹細胞はさら
に、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある。別の具体的実施態様では、前記単離されたOCT-4
+胎盤幹細胞はさらに、CD73+及びCD105+でもある。別の具体的実施態様では、前記単離さ
れたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD200+でもある。別の具体的実施態様では、前記単離さ
れたOCT-4+胎盤幹細胞はさらに、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-、及びCD45-でも
ある。別の具体的実施態様では、前記細胞集団は、前記胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から
単離される。別の具体的実施態様では、前記細胞集団は、これらのマーカーを呈示しない
胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、単離されたHLA-A、B、C+、CD45-、CD133-、及びCD34-胎盤幹細胞である。別の
実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な細胞集団は、単離され
た胎盤幹細胞を含む細胞の集団であり、ここでは、前記細胞集団における細胞の少なくと
も約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%
は、単離されたHLA-A、B、C+、CD45-、CD133-、及びCD34-胎盤幹細胞である。具体的実施
態様では、前記単離された胎盤細胞、又は単離された胎盤細胞の集団は、HLA-A、B、C+
CD45-、CD133-、及びCD34-胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施
態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、
単離された胎盤幹細胞の前記集団は、母親由来の成分を実質的に含まない;例えば、単離
された胎盤幹細胞の前記集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%
、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-、及びCD133-胎盤幹細胞であ
る。別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な細胞集団は、
単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団であり、ここでは、前記細胞集団における細胞の
少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくと
も約99%は、単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-、及びCD133-胎盤幹細胞で
ある。具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集
団は、前記単離された胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態様
では、前記単離されたCD10+、CD13+、CD33+、CD45-、CD117-、及びCD133-胎盤幹細胞は、
母親起源ではない、すなわち、胎児の遺伝子型を有する。別の具体的実施態様では、単離
された胎盤幹細胞の前記集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%
、65%、70%、75%、90%、85%、80%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。別の具体
的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、これ
らの特性を示さない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、単離されたCD10+CD33-、CD44+、CD45-
及びCD117-胎盤細胞である。別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物に有
用な細胞集団は、例えば濃縮された、単離された胎盤細胞を含む、細胞の集団であり、こ
こでは、前記細胞集団における細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約
90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%は、単離されたCD10+CD33-、CD44+、CD45-
、及びCD117-胎盤細胞である。具体的実施態様では、前記単離された胎盤細胞、又は単離
された胎盤細胞の集団は、前記細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の具体的実施態
様では、前記単離された胎盤細胞は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では、前記
細胞集団における前記胎盤幹細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、7
5%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。別の具体的実施態様では
、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、これらのマーカーを
呈示しない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、単離されたCD10+CD13-、CD33-、CD45-、及びCD117-胎盤幹細胞である。別の実
施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な細胞集団は、例えば濃縮
された、単離されたCD10+、CD13-、CD33-、CD45-、及びCD117-胎盤幹細胞を含む、細胞の
集団であり、ここでは、前記集団における細胞の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少
なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%が、CD10+CD13-、CD33-、CD45-
、及びCD117-胎盤幹細胞である。具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は
単離された胎盤幹細胞の集団は、前記胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離される。別の
具体的実施態様では、前記単離された胎盤細胞は、母親起源ではない。別の具体的実施態
様では、前記細胞集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、
70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。別の具体的実施態
様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、これらの特性
を示さない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、HLA A、B、C+、CD45-、CD34-、及びCD133-であり、さらに、CD10+、CD13+、CD
38+、CD44+、CD90+、CD105+、CD200+及び/又はHLA-G-、及び/又はCD117について陰性であ
る。別の実施態様では、本明細書に記載する方法において有用な細胞集団は、単離された
胎盤幹細胞を含む細胞の集団であり、ここでは、前記集団における細胞の少なくとも約20
%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98
%、又は約99%は、HLA A,B,C-、CD45-、CD34-、CD133-であり、かつ、さらにCD10、CD13、
CD38、CD44、CD90、CD105、CD200について陽性、及び/又はCD117及び/又はHLA-Gについて
陰性である、単離された胎盤幹細胞である。具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹
細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集団は、前記胎盤幹細胞ではない胎盤細胞から単離さ
れる。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、母親起源ではない。別の
具体的実施態様では、前記細胞集団における前記胎盤幹細胞の少なくとも約40%、45%、50
%、55%、60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない
。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞の集
団は、これらの特性を示さない胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、抗体結合によって判定される場合にCD20
0+及びCD10+、並びに抗体結合とRT-PCRとの両方によって判定される場合にCD117-である
、単離された胎盤幹細胞である。別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、C
D29-、CD54+、CD200+、HLA-G-、MHCクラスI+、及びβ-2-ミクログロブリン+である単離さ
れた胎盤幹細胞である。別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において
有用な単離された胎盤幹細胞は、少なくとも1つの細胞性マーカーの発現が、同等数の間
葉系幹細胞(例えば、骨髄由来の間葉系幹細胞)よりも少なくとも2倍高い胎盤幹細胞であ
る。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、母親起源ではない。別の具
体的実施態様では、前記細胞集団における前記細胞の少なくとも約40%、45%、50%、55%、
60%、65%、70%、75%、90%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、母親起源ではない。
別の実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54/ICA
M+、CD62E-、CD62L-、CD62P-、CD80-、CD86-、CD103-、CD104-、CD105+、CD106/VCAM+、C
D144/VE-カドヘリンlow、CD184/CXCR4-、β2-ミクログロブリンlow、MHC-Ilow、MHC-II-
、HLA-Glow、及び/又はPDL1lowのうちの1以上である、単離された胎盤幹細胞である。具
体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、少なくともCD29+及びCD54+である。別の具
体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、少なくともCD44+及びCD106+である。別の
具体的実施態様では、単離された胎盤幹細胞は、少なくともCD29+である。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な細胞集団は、単
離された胎盤幹細胞を含み、前記細胞集団における細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%
、90%、95%、98%、又は99%は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62-E-、CD6
2-L-、CD62-P-、CD80-、CD86-、CD103-、CD104-、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/VE-カド
ヘリンdim、CD184/CXCR4-、β2-ミクログロブリンdim、HLA-Idim、HLA-II-、HLA-Gdim
及び/又はPDL1dim胎盤幹細胞のうちの1以上である、単離された胎盤幹細胞である。別の
具体的実施態様では、前記細胞集団における細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%
、95%、98%、又は99%は、CD10+、CD29+、CD44+、CD45-、CD54/ICAM+、CD62-E-、CD62-L-
、CD62-P-、CD80-、CD86-、CD103-、CD104-、CD105+、CD106/VCAM+、CD144/VE-カドヘリ
dim、CD184/CXCR4-、β2-ミクログロブリンdim、MHC-Idim、MHC-II-、HLA-Gdim、及びP
DL1dim胎盤幹細胞である。ある種の実施態様では、胎盤幹細胞は、インターフェロンガン
マ(IFN-γ)によって誘導された場合に、HLA-IIマーカーを発現する。
別の実施態様では、本明細書に記載する方法及び組成物において有用な単離された胎盤
幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34-、CD38-、CD44+、CD45-、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH
4+、SSEA3-、SSEA4-、OCT-4+、及びABC-p+(ここでは、ABC-pは、胎盤特異的ABCトランス
ポータータンパク質(乳癌耐性タンパク質(BCRP)又はミトキサントロン耐性タンパク質(MX
R)としても公知である)である)のうちの1以上又はすべてである、単離された胎盤幹細胞
であり、ここでは、前記単離された胎盤幹細胞は、臍帯血が抜かれ、かつ残留した血液を
取り除くために灌流されている、哺乳類の、例えばヒトの胎盤の灌流によって得られる。
先述の実施態様のいずれかの別の具体的実施態様では、列挙した細胞性マーカー(1つ又
は複数)(例えば、分化又は免疫原性マーカー(1つ又は複数)のクラスター)の発現は、フロ
ーサイトメトリーによって判定される。別の具体的実施態様では、これらのマーカー(1つ
又は複数)の発現は、RT-PCRによって判定される。
遺伝子プロファイリングによって、単離された胎盤幹細胞、及び単離された胎盤幹細胞
の集団が、他の細胞、例えば間葉系幹細胞、例えば骨髄由来の間葉系幹細胞と識別可能で
あることが確認される。本明細書に記載する単離された胎盤幹細胞は、単離された胎盤幹
細胞におけるその遺伝子の発現が、骨髄由来の間葉系幹細胞よりも有意に高い、1以上の
遺伝子の発現に基づいて、例えば骨髄由来の間葉系幹細胞と識別することができる。特に
、本明細書で提供する治療の方法において有用な単離された胎盤幹細胞は、単離された胎
盤幹細胞におけるその遺伝子の発現が、同等数の骨髄由来の間葉系幹細胞よりも有意に高
い(すなわち、少なくとも2倍高い)、1以上の遺伝子の発現に基づいて、骨髄由来の間葉系
幹細胞と識別することができる。ここでは、この1以上の遺伝子は、細胞を等しい条件下
で成長させた場合、ACTG2、ADARB1、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、C11orf9、CD200、
COL4A1、COL4A2、CPA4、DMD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、G
PRC5B、ICAM1、IER3、IGFBP7、IL1A、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MES
T、NFE2L3、NUAK1、PCDH7、PDLIM3、PKP2、RTN1、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC1
2A8、TCF21、TGFB2、VTN、ZC3H12A、又は前述のもののいずれかの組み合わせである。例
えば、その開示の内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20
07/0275362号を参照のこと。ある種の具体的実施態様では、前記1以上の遺伝子の前記発
現は、例えば、RT-PCR、又は例えばU133-Aマイクロアレイ(Affymetrix社)を使用するマイ
クロアレイ分析によって判定される。
別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、DMEM-LG(例えばGibco社より)
;2%ウシ胎仔血清(例えばHyclone Labs.社より);1×インスリン-トランスフェリン-セレン
(ITS);1×リノール酸-ウシ血清アルブミン(LA-BSA);10-9Mデキサメタゾン(例えばSigma社
より);10-4Mアスコルビン酸2-リン酸エステル(例えばSigma社より);上皮成長因子10ng/mL
(例えばR&D Systems社より);及び血小板由来の成長因子(PDGF-BB)10ng/mL(例えばR&D Sys
tems社より)を含む培地中で、何回かの集団倍加、例えば、約3から約35回の集団倍加で培
養された場合に、前記1以上の遺伝子を発現する。別の具体的実施態様では、単離された
胎盤細胞に特異的な遺伝子は、CD200である。
これらの遺伝子に関する具体的な配列は、GenBankで、受託番号NM_001615(ACTG2)、BC0
65545(ADARB1)、(NM_181847(AMIGO2)、AY358590(ARTS-1)、BC074884(B4GALT6)、BC008396
(BCHE)、BC020196(C11orf9)、BC031103(CD200)、NM_001845(COL4A1)、NM_001846(COL4A2)
、BC052289(CPA4)、BC094758(DMD)、AF293359(DSC3)、NM_001943(DSG2)、AF338241(ELOVL
2)、AY336105(F2RL1)、NM_018215(FLJ10781)、AY416799(GATA6)、BC075798(GPR126)、NM_
016235(GPRC5B)、AF340038(ICAM1)、BC000844(IER3)、BC066339(IGFBP7)、BC013142(IL1A
)、BT019749(IL6)、BC007461(IL18)、(BC072017)KRT18、BC075839(KRT8)、BC060825(LIPG
)、BC065240(LRAP)、BC010444(MATN2)、BC011908(MEST)、BC068455(NFE2L3)、NM_014840(
NUAK1)、AB006755(PCDH7)、NM_014476(PDLIM3)、BC126199(PKP-2)、BC090862(RTN1)、BC0
02538(SERPINB9)、BC023312(ST3GAL6)、BC001201(ST6GALNAC5)、BC126160又はBC065328(S
LC12A8)、BC025697(TCF21)、BC096235(TGFB2)、BC005046(VTN)、及びBC005001(ZC3H12A)(
2008年3月付け)で見ることができる。
ある種の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、細胞を等しい条件下で成
長させた場合、同等数の骨髄由来の間葉系幹細胞よりも検出可能に高いレベルで、ACTG2
、ADARB1、AMIGO2、ARTS-1、B4GALT6、BCHE、C11orf9、CD200、COL4A1、COL4A2、CPA4、D
MD、DSC3、DSG2、ELOVL2、F2RL1、FLJ10781、GATA6、GPR126、GPRC5B、ICAM1、IER3、IGF
BP7、IL1A、IL6、IL18、KRT18、KRT8、LIPG、LRAP、MATN2、MEST、NFE2L3、NUAK1、PCDH7
、PDLIM3、PKP2、RTN1、SERPINB9、ST3GAL6、ST6GALNAC5、SLC12A8、TCF21、TGFB2、VTN
、及びZC3H12Aのそれぞれを発現する。
具体的実施態様では、本明細書に記載する方法において使用する胎盤幹細胞は、同等数
の骨髄由来の間葉系幹細胞(BM-MSC)による当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベル
でELOVL2遺伝子を発現する。別の具体的実施態様では、本明細書に記載する方法において
使用する胎盤幹細胞は、同等数のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレ
ベルでST3GAL6遺伝子を発現する。別の具体的実施態様では、本明細書に記載する方法に
おいて使用する胎盤幹細胞は、同等数のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に
高いレベルでST6GALNAC5遺伝子を発現する。別の具体的実施態様では、本明細書に記載す
る方法において使用する胎盤幹細胞は、同等数のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検
出可能に高いレベルでSLC12A8遺伝子を発現する。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細
胞は、同等数のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで、ARTS-1、
IER3、IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3、又はTGFB2遺伝子を発現する。ある種の実施態
様では、前記胎盤幹細胞は、同等数のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に高
いレベルで、ARTS-1、IER3、IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3、及びTGFB2遺伝子のすべ
てを発現する、又は、これらの遺伝子のいずれかの組み合わせを発現する。ある種の実施
態様では、前記胎盤幹細胞はさらに、CD10+、CD34-、CD105+、及びCD200+でもある。ある
種の実施態様では、前記胎盤幹細胞の少なくとも70%は、母親起源ではない。
具体的実施態様では、本明細書に記載する方法において使用する胎盤幹細胞は、同等数
のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで、ELOVL2、ST3GAL6、ST6
GALNAC5、及びSLC12A8遺伝子のすべてを発現する、又は、これらの遺伝子のいずれかの組
み合わせを発現する。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞は、同等数のBM-MSCによる
当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで、ARTS-1、IER3、IL6、KRT18、LRAP、ME
ST、NFE2L3、又はTGFB2遺伝子を発現する。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞は、
同等数のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで、ARTS-1、IER3、
IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3、及びTGFB2遺伝子のすべてを発現する、又は、これら
の遺伝子のいずれかの組み合わせを発現する。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞は
さらに、CD10+、CD34-、CD105+、及びCD200+でもある。ある種の実施態様では、前記胎盤
幹細胞の少なくとも70%は、母親起源ではない。
ある種の実施態様では、本明細書に記載する方法において使用する胎盤幹細胞は、同等
数のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで、CPA4、TCF21、又はV
TN遺伝子を発現する。具体的実施態様では、本明細書に記載する方法において使用する胎
盤幹細胞は、同等数のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで、CP
A4、TCF21、及びVTN遺伝子のすべてを発現する、又は、これらの遺伝子のいずれかの組み
合わせを発現する。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞はさらに、CD10+、CD34-、CD
105+、及びCD200+でもある。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞の少なくとも70%は
、母親起源ではない。
ある種の実施態様では、本明細書に記載する方法において使用する胎盤幹細胞は、同等
数のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで、B4GALT6、FLJ10781
、又はNUAK1遺伝子を発現する。具体的実施態様では、前記胎盤幹細胞は、同等数のBM-MS
Cによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルでC11orf9遺伝子をさらに発現する
。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞はさらに、CD10+、CD34-、CD105+、及びCD200+
でもある。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞の少なくとも70%は、母親起源ではな
い。
具体的実施態様では、本明細書に記載する方法において使用する胎盤幹細胞は、同等数
のBM-MSCによる当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで、B4GALT6、FLJ10781、
及びNUAK1遺伝子のすべてを発現する、又は、これらの遺伝子のいずれかの組み合わせを
発現する。別の具体的実施態様では、前記胎盤幹細胞は、同等数のBM-MSCによる当該遺伝
子の発現よりも検出可能に高いレベルでC11orf9遺伝子をさらに発現する。具体的実施態
様では、本明細書に記載する方法において使用する胎盤幹細胞は、同等数のBM-MSCによる
当該遺伝子の発現よりも検出可能に高いレベルで、B4GALT6、FLJ10781、NUAK1、及びC11o
rf9遺伝子のすべてを発現する、又は、これらの遺伝子のいずれかの組み合わせを発現す
る。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞はさらに、CD10+、CD34-、CD105+、及びCD20
0+でもある。ある種の実施態様では、前記胎盤幹細胞の少なくとも70%は、母親起源では
ない。
具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、同等数の骨髄由来の間葉系幹細胞よりも検出可能
に高いレベルで、CD200及びARTS1(1型腫瘍壊死因子のアミノペプチダーゼ調節因子);ARTS
-1及びLRAP(白血球由来のアルギニンアミノペプチダーゼ);IL6(インターロイキン-6)及び
TGFB2(トランスフォーミング成長因子、β2);IL6及びKRT18(ケラチン18);IER3(前初期応
答(immediate early response)3)、MEST(中胚葉特異的転写物相同体)及びTGFB2;CD200及
びIER3;CD200及びIL6;CD200及びKRT18;CD200及びLRAP;CD200及びMEST;CD200及びNFE2L3(
核内因子(赤血球由来2)-様3);又はCD200及びTGFB2を発現する。ここでは、前記骨髄由来
の間葉系幹細胞は、前記単離された胎盤幹細胞が受けた継代数と等しい回数の継代培養を
受けている。他の具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、同等数の骨髄由来の間葉系幹細胞
よりも検出可能に高いレベルで、ARTS-1、CD200、IL6及びLRAP;ARTS-1、IL6、TGFB2、IER
3、KRT18及びMEST;CD200、IER3、IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3、及びTGFB2;ARTS-1、
CD200、IER3、IL6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3、及びTGFB2;又はIER3、MEST及びTGFB2を
発現する。ここでは、前記骨髄由来の間葉系幹細胞は、前記単離された胎盤幹細胞が受け
た継代数と等しい回数の継代培養を受けている。
上に言及した遺伝子の発現は、標準の技術によって評価することができる。例えば、遺
伝子(1つ又は複数)の配列に基づくプローブを、個々に選択し、従来技術によって構築す
ることができる。この遺伝子の発現を、例えば、1以上の遺伝子に対するプローブを含む
マイクロアレイ、例えば、Affymetrix GENECHIP(登録商標)ヒトゲノムU133A 2.0アレイ又
はAffymetrix GENECHIP(登録商標)ヒトゲノムU133 Plus 2.0(カリフォルニア州サンタク
ララ)上で評価することができる。これらの遺伝子の発現は、特定のGenBank受託番号の配
列が修正された場合でも評価することができる。何故なら、修正された配列に特異的なプ
ローブを、周知の標準の技術を使用して容易に作製することができるからである。
これらの遺伝子の発現のレベルを使用して、単離された胎盤幹細胞の集団の同一性を確
認する、又は、細胞の集団が少なくとも複数の単離された胎盤幹細胞を含むことを確認す
る、又は同様のことを行うことができる。その同一性が確認された、単離された胎盤幹細
胞の集団は、クローン性のもの、例えば、単一の単離された胎盤幹細胞から拡大された単
離された胎盤幹細胞の集団、又は胎盤幹細胞の混合集団(例えば、複数の単離された胎盤
幹細胞から拡大された単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団、又は本明細書に記載した
通りの単離された胎盤幹細胞と少なくとも1つの他の型の細胞とを含む細胞の集団)であり
得る。
これらの遺伝子の発現のレベルを使用して、単離された胎盤幹細胞の集団を選択するこ
とができる。例えば、細胞の集団、例えば、クローン的に拡大された胎盤幹細胞は、上に
列挙した1以上の遺伝子の、該細胞集団由来の試料における発現が、骨髄由来の間葉系幹
細胞の同等の集団よりも有意に高い場合に選択することができる。こうした選択は、複数
の単離された胎盤幹細胞集団由来の集団、その同一性が不明である複数の細胞集団由来の
集団などのためのものであり得る。
単離された胎盤幹細胞は、前記1以上の遺伝子における(例えば、骨髄由来の間葉系幹細
胞対照における)発現のレベルと比較した場合の、1以上のこうした遺伝子の発現のレベル
に基づいて選択することができる。一実施態様では、同等数の骨髄由来の間葉系幹細胞を
含む試料における前記1以上の遺伝子の発現のレベルが、対照として使用される。別の実
施態様では、ある種の条件下で試験される、単離された胎盤幹細胞に対する対照は、前記
条件下での骨髄由来の間葉系幹細胞における前記1以上の遺伝子の発現のレベルを表す数
値である。
本明細書に記載する単離された胎盤幹細胞は、初代培養において、又は、例えばDMEM-L
G(Gibco社)、2%ウシ胎仔血清(FCS)(Hyclone Laboratories社)、1×インスリン-トランス
フェリン-セレン(ITS)、1×リノール酸-ウシ血清アルブミン(LA-BSA)、10-9Mデキサメタ
ゾン(Sigma社)、10-4Mアスコルビン酸2-リン酸エステル(Sigma社)、上皮成長因子(EGF)10
ng/ml(R&D Systems社)、血小板由来成長因子(PDGF-BB)10ng/ml(R&D Systems社)、及び100
Uペニシリン/1000Uストレプトマイシンを含む培地中での増殖中に、先述の特性(例えば、
細胞表面マーカー及び/又は遺伝子発現プロファイルの組み合わせ)を示す。
本明細書に開示する胎盤幹細胞のいずれかのある実施態様では、細胞は、ヒトである。
本明細書に開示する胎盤細胞のいずれかのある実施態様では、細胞性マーカー特性又は遺
伝子発現特性は、ヒトマーカー又はヒト遺伝子である。
単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団の、別の具体的実
施態様では、前記細胞又は集団は、拡大されている、例えば、少なくとも、又はおよそ、
又は多くとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19
、若しくは20回継代されているか、又は少なくとも、又はおよそ、又は多くとも、1、2、
3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38
、又は40回の集団倍加で増殖されている。前記単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎
盤幹細胞を含む細胞の集団の、別の具体的実施態様では、前記細胞又は集団は、初代分離
株である。本明細書に開示する単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞を含む
細胞の集団の、別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、胎児起源である
(すなわち、胎児の遺伝子型を有する)。
ある種の実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、成長培地(すなわち、増殖を促
進するように調合された培地)中での培養中、例えば、成長培地中での増殖中には分化し
ない。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、増殖させるために支持細
胞層を必要としない。別の具体的実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、支持細胞
層が存在しないというだけの理由で、支持細胞層の非存在下の培養では分化しない。
別の実施態様では、単離された胎盤細胞は、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性アッセイ
によって評価した場合に、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)について陽性である。こう
したアッセイは、当技術分野で公知である(例えば、Bostian及びBettsの文献、Biochem.J
.,173,787(1978)を参照のこと)。具体的実施態様では、前記ALDHアッセイは、アルデヒド
デヒドロゲナーゼ活性のマーカーとして、ALDEFLUOR(登録商標)(Aldagen社、オレゴン州A
shland)を使用する。具体的実施態様では、胎盤幹細胞の約3%から約25%が、ALDHについて
陽性である。別の実施態様では、前記単離された胎盤幹細胞は、ほぼ同じ細胞数の同じ条
件下で培養された骨髄由来の間葉系幹細胞の集団よりも少なくとも3倍、又は少なくとも5
倍高いALDH活性を示す。
本明細書に記載する単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団のいずれかのある実施態様
では、細胞の前記集団における胎盤幹細胞は、母親の遺伝子型を有する細胞を実質的に含
まない;例えば、前記集団における胎盤幹細胞の少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65
%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、胎児の遺伝子型を有する。本明細
書に記載する単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団のいずれかのある種の他の実施態様
では、前記胎盤幹細胞を含む細胞の集団は、母親の遺伝子型を有する細胞を実質的に含ま
ない;例えば、前記集団における細胞の少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、
75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%は、胎児の遺伝子型を有する。
先述の単離された胎盤幹細胞、又は単離された胎盤幹細胞を含む細胞集団の、いずれか
の具体的実施態様では、細胞、例えばすべての細胞、又は前記集団における少なくとも約
95%又は約99%の細胞の核型は、正常である。先述の胎盤幹細胞又は集団又は胎盤幹細胞の
いずれかの別の具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、母親起源ではない。
本明細書に開示する胎盤細胞の実施態様のいずれかの具体的実施態様では、胎盤細胞は
、遺伝的に安定であり、正常な倍数染色体数及び正常な核型を示す。
マーカーの先述の組み合わせのいずれかを有する単離された胎盤幹細胞又は単離された
胎盤幹細胞の集団を、任意の比で組み合わせることができる。任意の2種以上の先述の単
離された胎盤幹細胞集団を組み合わせて、単離された胎盤幹細胞集団を形成することがで
きる。例えば、単離された胎盤幹細胞の集団は、先に記載したマーカー組み合わせのうち
のあるものによって定義される単離された胎盤幹細胞の第1の集団と、先に記載したマー
カー組み合わせのうちの別のものによって定義される単離された胎盤幹細胞の第2の集団
とを含むことができる。ここでは、前記第1の集団と第2の集団は、約1:99、2:98、3:97、
4:96、5:95、10:90、20:80、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5
、96:4、97:3、98:2、又は約99:1の比で組み合わせられる。同様に、任意の3種、4種、5
種、又はそれ以上の先述の単離された胎盤幹細胞又は単離された胎盤幹細胞集団を組み合
わせることができる。
本明細書に記載する方法及び組成物において有用な単離された胎盤幹細胞は、例えば、
酵素的消化(5.3.3節参照)若しくは灌流(セクション5.3.4節参照)を伴う又は伴わない胎盤
組織の破壊によって得ることができる。例えば、単離された胎盤幹細胞の集団は、臍帯血
が抜かれ、かつ残留した血液を取り除くために灌流されている哺乳類胎盤を灌流すること
;前記胎盤を灌流溶液で灌流すること;前記灌流溶液を収集すること(ここでは、灌流後の
前記灌流溶液は、単離された胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団を含む);及び前記細胞集団
から前記胎盤幹細胞を単離することを含む方法に従って生じることができる。具体的実施
態様では、灌流溶液を、臍帯静脈と臍帯動脈の両方に通過させ、胎盤から浸出した後に収
集する。別の具体的実施態様では、灌流溶液を、臍帯静脈に通過させて、臍帯動脈から収
集する、又は臍帯動脈に通過させて、臍帯静脈から収集する。
種々の実施態様では、胎盤の灌流から得られる細胞の集団に含有される単離された胎盤
幹細胞は、胎盤幹細胞の前記集団の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又
は少なくとも99.5%である。別の具体的実施態様では、灌流によって収集される単離され
た胎盤幹細胞は、胎児細胞及び母親細胞を含む。別の具体的実施態様では、灌流によって
収集される単離された胎盤幹細胞は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、
又は少なくとも99.5%、胎児の細胞である。
別の具体的実施態様では、本明細書で提供されるのは、灌流によって収集される(単離
される)、本明細書に記載する通りの、単離された胎盤幹細胞の集団を含む組成物である
。ここでは、前記組成物は、胎盤幹細胞を単離するために使用される灌流溶液の少なくと
も一部分を含む。
本明細書に記載する単離された胎盤幹細胞の集団は、組織破壊酵素を用いて胎盤組織を
消化して、胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団を得ることと、前記胎盤細胞の残部から複数
の胎盤幹細胞を単離すること、又は実質的に単離することによって生じることができる。
胎盤の全体又は任意の部分を消化して、本明細書に記載する単離された胎盤幹細胞を得る
ことができる。具体的実施態様では、例えば、前記胎盤組織は、全胎盤(例えば臍帯を含
めて)、羊膜、絨毛膜、羊膜と絨毛膜との組み合わせ、又は前述のもののいずれかの組み
合わせであり得る。他の具体的実施態様では、組織破壊酵素は、トリプシン又はコラゲナ
ーゼである。種々の実施態様では、胎盤を消化することによって得られる細胞の集団に含
有される単離された胎盤幹細胞は、前記胎盤細胞の集団の少なくとも50%、60%、70%、80%
、90%、95%、99%、又は少なくとも99.5%である。
先に記載した単離された胎盤幹細胞の集団、及び単離された胎盤幹細胞の集団は一般に
、およそ、又は少なくとも、又は多くとも1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5
×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011個、又はそれ以上
の単離された胎盤幹細胞を含むことができる。本明細書に記載する治療の方法において有
用な単離された胎盤幹細胞の集団は、例えば、例えばトリパンブルー排除によって決定さ
れる場合に少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は9
9%生存している単離された胎盤幹細胞を含む。
先述の胎盤幹細胞、又は胎盤幹細胞の集団のいずれかについては、胎盤幹細胞の細胞又
は集団は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、又は20回又は
それ以上継代されている、若しくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、2
0、22、24、26、28、30、32、34、36、38、又は40回又はそれ以上の集団倍加で拡大され
ている細胞である、又は該細胞を含むことができる。
先述の胎盤幹細胞又は胎盤幹細胞集団のいずれかの具体的実施態様では、細胞の、又は
前記集団における細胞の少なくとも約95%又は約99%の核型は、正常である。先述の胎盤幹
細胞又は胎盤幹細胞集団のいずれかの別の具体的実施態様では、細胞、又は該細胞集団内
の細胞は、母親起源ではない。
マーカーの先述の組み合わせのいずれかを有する単離された胎盤幹細胞又は単離された
胎盤幹細胞の集団を、任意の比で組み合わせることができる。任意の2種以上の先述の胎
盤幹細胞集団を単離又は濃縮して、胎盤幹細胞集団を形成することができる。例えば、先
に記載したマーカー組み合わせのうちのあるものによって定義される胎盤幹細胞の第1の
集団を含む単離された胎盤幹細胞の集団を、先に記載したマーカー組み合わせのうちの別
のものによって定義される胎盤幹細胞の第2の集団と組み合わせることができる。ここで
は、前記第1の集団と第2の集団は、約1:99、2:98、3:97、4:96、5:95、10:90、20:80、30
:70、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、又は約99:
1の比で組み合わせられる。同様に、任意の3種、4種、5種、又はそれ以上の先述の胎盤幹
細胞又は胎盤幹細胞集団を組み合わせることができる。
先に言及した胎盤幹細胞の具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、IL-6、IL-8、及び単球
走化性タンパク質(MCP-1)を恒常的に分泌する。
先に記載した胎盤細胞の集団は、およそ、又は少なくとも、又は多くとも1×105、5×1
05、1×106、5×106、1×107、2×107、2.5×107、3×107、3.5×107、4×107、4.5×107
、5×107、5.5×107、6×107、6.5×107、7×107、7.5×107、8×107、8.5×107、9×107
、9.5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011個、又はそ
れ以上の胎盤幹細胞を含むことができる。ある種の実施態様では、先に記載した胎盤細胞
の集団は、約1×105から約1×106、約1×105から約1×107、約1×106から約1×107、約1
×106から約1×108、約1×107から約1×108、約1×107から約1×109、約1×108から約1×
1010、約1×109から約1×1010、又は約1×1010から約1×1011個の胎盤幹細胞を含むこと
ができる。
ある種の実施態様では、本明細書で提供する方法において有用な胎盤幹細胞は、1から1
00ng/mLのVEGFへの4から21日間の曝露後の免疫局在決定によって検出されるCD34を発現し
ない。具体的実施態様では、前記胎盤幹細胞は、組織培養プラスチックに対して接着性で
ある。別の具体的実施態様では、前記胎盤幹細胞は、例えばMATRIGEL(商標)などの基材上
で、例えば、血管新生因子、例えば血管内皮成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、血小
板由来成長因子(PDGF)又は塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)などの存在下で培養した場合
、内皮細胞を出芽又は管様構造を形成するように誘導する。
別の態様では、本明細書で提供する胎盤幹細胞、又は細胞の集団(例えば胎盤幹細胞の
集団)、又は前記細胞集団における細胞の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、
若しくは98%が胎盤幹細胞である細胞の集団は、VEGF、HGF、IL-8、MCP-3、FGF2、フォリ
スタチン、G-CSF、EGF、ENA-78、GRO、IL-6、MCP-1、PDGF-BB、TIMP-2、uPAR、若しくは
ガレクチン-1のうちの1以上又はすべてを、例えば、1つ又は複数の細胞が成長する培養培
地に分泌する。別の実施態様では、胎盤幹細胞は、低酸素条件(例えば、約5%未満のO2)下
で、正常酸素条件(例えば、約20%又は約21% O2)と比較して増大したレベルのCD202b、IL-
8、及び/又はVEGFを発現する。
別の実施態様では、本明細書に記載する胎盤幹細胞又は胎盤幹細胞を含む細胞の集団の
いずれかは、前記胎盤幹細胞と接触する内皮細胞の集団における出芽又は管様構造の形成
を引き起こすことができる。具体的実施態様では、胎盤幹細胞は、ヒト内皮細胞と共培養
され、これは、例えば、胎盤コラーゲン又はMATRIGEL(商標)などの基材内又は該基材上で
、細胞外マトリクスタンパク質(I型及びIV型コラーゲンなど)及び/又は血管新生因子(血
管内皮成長因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、又は塩基性線
維芽細胞成長因子(bFGF)など)の存在下で、少なくとも4日間培養した場合に、出芽又は管
様構造を形成する、或いは内皮細胞出芽の形成を助ける。別の実施態様では、本明細書に
記載する胎盤幹細胞を含む細胞の集団のいずれかは、血管内皮成長因子(VEGF)、肝細胞成
長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、又はイン
ターロイキン-8(IL-8)などの血管新生因子を分泌し、それによって、ヒト内皮細胞が、胎
盤コラーゲン又はMATRIGEL(商標)などの基材内又は該基材上で、I型及びIV型コラーゲン
などの細胞外マトリクスタンパク質の存在下で培養された場合に、出芽又は管様構造を形
成するのを誘導することができる。

別の実施態様では、胎盤幹細胞を含む細胞の先述の集団のいずれかは、血管新生因子を
分泌する。具体的実施態様では、該細胞の集団は、血管内皮成長因子(VEGF)、肝細胞成長
因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、及び/又はイ
ンターロイキン-8(IL-8)を分泌する。他の具体的実施態様では、胎盤幹細胞を含む細胞の
集団は、1種以上の血管新生因子を分泌し、それによって、ヒト内皮細胞がインビトロ創
傷治癒アッセイにおいて遊走するのを誘導する。他の具体的実施態様では、胎盤幹細胞を
含む細胞の集団は、ヒト内皮細胞、内皮前駆細胞、筋細胞、又は筋芽細胞の成熟、分化、
又は増殖を誘導する。
(5.4.3胎盤細胞集団の選択及び産生)
ある種の実施態様では、免疫抑制性である胎盤幹細胞の集団を選択することができる。
一実施態様では、例えば、免疫抑制性胎盤幹細胞は、複数の胎盤細胞から選択することが
でき、これは、胎盤細胞の集団であって、該細胞の少なくとも10%、少なくとも20%、少な
くとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくと
も80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、CD10+、CD34-、CD105+胎盤幹細胞、CD10+
、CD34-、CD200+胎盤幹細胞、若しくはCD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞であり
、かつ、該胎盤幹細胞が、混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞増殖を検出可能
に抑制する、前記胎盤細胞の集団を選択することを含む。具体的実施態様では、前記選択
は、CD45-及びCD90+でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、複数の胎盤細胞から複数の免疫抑制性
胎盤幹細胞を選択する方法であって、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、
少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少な
くとも90%、又は少なくとも95%が、CD200+、HLA-G-胎盤幹細胞であり、かつ、混合リンパ
球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞増殖を検出可能に抑制する、胎盤幹細胞の集団を選択
することを含む前記方法である。具体的実施態様では、前記選択は、CD73+及びCD105+
もある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様では、前記選択は、CD34-
、CD38-、又はCD45-でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様では
、前記選択は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、及びCD105+でもある胎盤幹細胞を選択する
ことを含む。別の具体的実施態様では、前記選択はまた、複数の胎盤細胞、例えば、胚様
体の形成を可能にする条件下で培養した場合に1以上の胚様体を形成する、先に記載した
胎盤幹細胞を選択することも含む。
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、複数の胎盤細胞から複数の免疫抑制性
胎盤幹細胞を選択する方法であって、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、
少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少な
くとも90%、又は少なくとも95%が、CD73+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞であり、かつ混合
リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞増殖を検出可能に抑制する、複数の胎盤細胞を
選択することを含む前記方法である。具体的実施態様では、前記選択は、HLA-G-でもある
胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様では、前記選択は、CD34-、CD38-
、又はCD45-でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様では、前記
選択は、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体
的実施態様では、前記選択は、CD34-、CD38-、CD45-、及びHLA-G-でもある胎盤幹細胞を
選択することを含む。別の具体的実施態様では、前記選択は、胚様体の形成を可能にする
条件下で培養された場合に1以上の胚様体を産生する胎盤幹細胞の集団を選択することを
さらに含む。
別の実施態様では、本明細書で提供されるのはまた、複数の胎盤細胞から複数の免疫抑
制性胎盤幹細胞を選択する方法であって、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30
%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少
なくとも90%、又は少なくとも95%が、CD200+、OCT-4+胎盤幹細胞であり、かつ、混合リン
パ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞増殖を検出可能に抑制する、複数の胎盤細胞を選択
することを含む前記方法である。具体的実施態様では、前記選択は、CD73+及びCD105+
もある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様では、前記選択は、HLA-G-
でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様では、前記選択は、CD34
-、CD38-、及びCD45-でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様で
は、前記選択は、CD34-、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+、及びHLA-G-でもある胎盤幹細胞
を選択することを含む。
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、複数の胎盤細胞から複数の免疫抑制性
胎盤幹細胞を選択する方法であって、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、
少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少な
くとも90%、又は少なくとも95%が、CD73+、CD105+、及びHLA-G-胎盤幹細胞であり、かつ
、混合リンパ球反応(MLR)アッセイにおいてT細胞増殖を検出可能に抑制する、複数の胎盤
細胞を選択することを含む前記方法である。具体的実施態様では、前記選択は、CD34-、C
D38-、又はCD45-でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様では、
前記選択は、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の
具体的実施態様では、前記選択は、CD200+でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別
の具体的実施態様では、前記選択は、CD34-、CD38-、CD45-、OCT-4+、及びCD200+でもあ
る胎盤幹細胞を選択することを含む。
別の実施態様では、本明細書で提供されるのはまた、複数の胎盤細胞から複数の免疫抑
制性胎盤幹細胞を選択する方法であって、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30
%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少
なくとも90%、又は少なくとも95%が、CD73+、CD105+胎盤幹細胞であり、かつ、胚様体の
形成を可能にする条件下で1以上の胚様体を形成する、複数の胎盤細胞を選択することを
含む前記方法である。具体的実施態様では、前記選択は、CD34-、CD38-、又はCD45-でも
ある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様では、前記選択は、CD34-、C
D38-、及びCD45-でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様では、
前記選択は、OCT-4+でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。より具体的な実施態様で
は、前記選択は、OCT-4+、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある胎盤幹細胞を選択すること
を含む。
別の実施態様では、本明細書で提供されるのは、複数の胎盤細胞から複数の免疫抑制性
胎盤幹細胞を選択する方法であって、前記単離された胎盤細胞の少なくとも10%、少なく
とも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも7
0%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が、OCT4+胎盤幹細胞であり、か
つ、胚様体の形成を可能にする条件下で1以上の胚様体を形成する、複数の胎盤幹細胞を
選択することを含む前記方法である。具体的実施態様では、前記選択は、CD73+及びCD105
+でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様では、前記選択は、CD3
4-、CD38-、又はCD45-でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。別の具体的実施態様で
は、前記選択は、CD200+でもある胎盤幹細胞を選択することを含む。より具体的な実施態
様では、前記選択は、CD73+、CD105+、CD200+、CD34-、CD38-、及びCD45-でもある胎盤幹
細胞を選択することを含む。
胎盤細胞の免疫抑制性集団又は複数細胞は、本明細書の方法に従って産生することがで
きる。例えば、本明細書で提供されるのは、細胞集団を産生する方法であって、先に記載
した複数の胎盤幹細胞のいずれかを選択することと、他の細胞、例えば他の胎盤細胞から
複数の胎盤細胞を単離することとを含む前記方法である。具体的実施態様では、本明細書
で提供されるのは、細胞集団を産生する方法であって、(a)基材に接着する、かつ、(b)CD
200を発現し、かつHLA-Gを発現しない;又はCD73、CD105、及びCD200を発現する;又はCD20
0及びOCT-4を発現する;又はCD73、CD105を発現し、かつHLA-Gを発現しない;又はCD73及び
CD105を発現し、かつ胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団において、前記集団が胚様体の形
成を可能にする条件下で培養された場合に、1以上の胚様体の形成を促進する;又はOCT-4
を発現し、かつ、胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団において、前記集団が胚様体の形成を
可能にする条件下で培養された場合に、1以上の胚様体の形成を促進する;かつ、(c)MLR(
混合リンパ球反応)又は退行アッセイにおいてCD4+又はCD8+T細胞増殖を検出可能に抑制す
る;胎盤幹細胞を選択することと;他の細胞から前記胎盤幹細胞を選択する又は前記胎盤幹
細胞を単離して、細胞集団を形成することとを含む前記方法である。
より具体的な実施態様では、免疫抑制性胎盤幹細胞集団は、(a)基材に接着する、かつ(
b)CD200を発現し、かつHLA-Gを発現しない、かつ(c)MLR(混合リンパ球反応)においてCD4+
又はCD8+T細胞増殖を検出可能に抑制する、胎盤幹細胞を選択することと;他の細胞から前
記胎盤幹細胞を単離して細胞集団を形成することとを含む方法によって産生することがで
きる。別の具体的実施態様では、該方法は、(a)基材に接着する、かつ(b)CD73、CD105、
及びCD200を発現する、かつ(c)MLRにおいてCD4+又はCD8+T細胞増殖を検出可能に抑制する
、胎盤幹細胞を選択することと;他の細胞から前記胎盤幹細胞を単離して細胞集団を形成
することとを含む。別の具体的実施態様では、本明細書で提供されるのは、細胞集団を産
生する方法であって、(a)基材に接着する、かつ(b)CD200及びOCT-4を発現する、かつ(c)M
LRにおいてCD4+又はCD8+T細胞増殖を検出可能に抑制する、胎盤幹細胞を選択することと;
他の細胞から前記胎盤幹細胞を単離して細胞集団を形成することとを含む前記方法である
。別の具体的実施態様では、本明細書で提供されるのは、細胞集団を産生する方法であっ
て、(a)基材に接着する、かつ(b)CD73及びCD105を発現する、かつ(c)胚様体の形成を可能
にする条件下で培養された場合に胚様体を形成する、かつ(d)MLRにおいてCD4+又はCD8+T
細胞増殖を検出可能に抑制する、胎盤幹細胞を選択することと;他の細胞から前記胎盤幹
細胞を単離して細胞集団を形成することとを含む前記方法である。別の具体的実施態様で
は、該方法は、(a)基材に接着する、かつ(b)CD73及びCD105を発現し、かつHLA-Gを発現し
ない、かつ(c)MLRにおいてCD4+又はCD8+T細胞増殖を検出可能に抑制する、胎盤幹細胞を
選択することと;他の細胞から前記胎盤幹細胞を単離して細胞集団を形成することとを含
む。別の具体的実施態様では、該方法は、(a)基材に接着する、かつ(b)OCT-4を発現する
、かつ(c)胚様体の形成を可能にする条件下で培養された場合に胚様体を形成する、かつ(
d)MLRにおいてCD4+又はCD8+T細胞増殖を検出可能に抑制する、胎盤幹細胞を選択すること
と;他の細胞から前記胎盤細胞を単離して細胞集団を形成することとを含む。
免疫抑制性胎盤幹細胞集団を産生する方法の具体的実施態様では、前記T細胞と前記胎
盤幹細胞は、前記MLRにおいて、約5:1の比で存在する。該方法において使用される胎盤幹
細胞は、全胎盤、又は主として羊膜、若しくは羊膜と絨毛膜に由来し得る。別の具体的実
施態様では、該胎盤幹細胞は、前記MLRにおけるCD4+又はCD8+T細胞増殖を、前記胎盤幹細
胞の非存在下での前記MLRにおけるT細胞増殖の量と比較して、少なくとも50%、少なくと
も75%、少なくとも90%、又は少なくとも95%抑制する。該方法は、他の免疫細胞の免疫調
節、例えば活性(例えばナチュラルキラー(NK)細胞の活性)の抑制が可能である胎盤幹細胞
集団の選択及び/又は産生をさらに含む。
(5.4.4疼痛モデル)
ある種の実施態様では、本明細書に記載する胎盤幹細胞は、例えば動物疼痛モデルにお
いて、疼痛を軽減又は改善する能力を特徴とする。例えば、胎盤幹細胞の一団又は一群が
産生される場合、疼痛の1以上の動物モデルを使用して、その一団又は一群の試料を試験
することができる。疼痛アッセイにおける疼痛の許容し得る軽減をもたらす試料を得た胎
盤幹細胞は、さらなる使用のために、例えば、あらゆるタイプの疼痛の改善のために、又
は特定のタイプの疼痛の改善のために、選択することができる。試験される胎盤幹細胞は
、治療的に有効であると考えられる1つのアッセイにおいて試験されればよい、及び/又は
治療的に有効であると考えられる1つのアッセイにおける効力を示せばよく;疼痛の複数の
又はすべての動物モデルでの試験は必須ではないことを理解するべきである。ある種の実
施態様では、1以上の関連するタイプの疼痛、又はある特定の患者集団の治療に関連する
疼痛に関する疼痛アッセイにおいて、試料胎盤幹細胞を試験することができる。
ある種の実施態様では、該胎盤幹細胞は、例えば、内臓痛の酢酸誘発モデルにおいて試
験することができる。こうした研究は、例えば、マウス1kgあたり約10mLの用量体積で、
酢酸を、ビヒクル又は胎盤幹細胞(例えば、1×106から1×108個)(酢酸投与の前に投与さ
れる)と共に腹腔内に投与することによって行うことができる。最初の5分は棄却し、その
後の20分間、もがく回数を記録する。各実験は、次の群を含む:ビヒクル+2~5の胎盤幹細
胞の投与+陽性対照;n=10/群。
ある種の他の実施態様では、Chung脊髄神経結紮モデル(L5及びL6脊髄神経がきつく結紮
され、安定かつ長期持続的な神経障害性疼痛がもたらされる)を使用して、胎盤幹細胞の
試料を試験することができる。
ある種の他の実施態様では、末梢の神経障害のタキソールアッセイを使用して、胎盤幹
細胞の試料を試験することができる。ここでは、疼痛は、一連のタキソール注射の施与後
のラットにおいて、徐々に現れる。
ある種の他の実施態様では、神経障害性疼痛(異痛症)のBennetモデルを使用して、胎盤
幹細胞の試料を試験することができる。ここでは、坐骨神経のうちの1つにゆるい結紮を
施すことによって誘発される疼痛は、軽い機械的刺激に対する、影響を受けた後足の鋭い
引っ込みによって示される。
ある種の他の実施態様では、疼痛のカラギーナン投与誘発モデルを使用して、胎盤幹細
胞の試料を試験することができる。
ある種の他の実施態様では、神経障害性疼痛(例えば異痛症)の完全フロイントアジュバ
ントモデルを使用して、胎盤幹細胞の試料を試験することができる。例えば、CFA誘発後
足痛覚過敏の軽減によって判定される効力を有する、例えば1×106から1×107の初期用量
のi.vと共に、1群につき5匹のラットを使用することができる。ビヒクル対照と治療群と
の比較のために、対応のないスチューデントt検定を適用する。陽性対照として、他の疼
痛医薬品、例えば、アスピリン>100;シクロスポリンA>100;デキサメタゾン>30;ギャバ
ペンチン~200;インドメタシン>10;又はモルヒネ30を使用することができる(mg/kg、経
口)。
ある種の他の実施態様では、疼痛発生化合物としてフェニルキノン(PQ)を使用して、胎
盤幹細胞の試料を試験することができる。例えば、1条件につき5匹のマウスを使用し、例
えば1×106から1×107の初期用量のi.v(治療1時間前)、それに続いて、5分の観察期間の
間、PQ(2mg/kg、腹腔内)誘発性のもがきの軽減の判定を行う。
ある種の他の実施態様では、例えば術後疼痛の後足切開モデルを使用して、胎盤幹細胞
の試料を試験することができる。
ある種の他の実施態様では、テールフリックモデルを使用して、胎盤幹細胞の試料を試
験することができる。ここでは、胎盤幹細胞の投与前と後とのテールフリック疼痛刺激に
対する反応を評価する。
本明細書で提供される疼痛アッセイは、非限定的な例に過ぎず、当技術分野で公知の他
のアッセイも、同様に使用することができる。
(5.4.5培養下での成長)
胎盤細胞、例えば、本明細書に記載する胎盤幹細胞の成長は、あらゆる哺乳類細胞につ
いては、成長のために選択される特定の培地に、ある程度依存する。最適条件下では、胎
盤幹細胞は一般的に、3~5日で数が2倍になる。本明細書に提供される胎盤幹細胞は、培
養中、培養下の基材、例えば組織培養容器(例えば、組織培養皿プラスチック、フィブロ
ネクチンコーティングプラスチックなど)の表面に接着し、単層を形成する。
本明細書で提供される胎盤幹細胞を含む単離された胎盤細胞の集団は、適切な条件下で
培養された場合、胚様体を形成することができる。すなわち、3次元の細胞クラスターが
、接着性の幹細胞層の上で成長する。胚様体内の細胞は、非常に初期の幹細胞と関係があ
るマーカー、例えば、OCT-4、Nanog、SSEA3、及びSSEA4を発現する。胚様体内の細胞は一
般的に、本明細書に記載する胎盤幹細胞が培養基材に接着するように培養基材には接着せ
ず、培養中に接着細胞に付着したままである。胚様体細胞は、その生存能力について、接
着性の胎盤幹細胞に依存する。何故なら、胚様体は、接着性の幹細胞の非存在下では形成
されないからである。このようにして、接着性の胎盤細胞は、接着性の胎盤細胞を含む胎
盤細胞の集団における1以上の胚様体の成長を促進する。間葉系幹細胞、例えば、骨髄由
来の間葉系幹細胞は、培養下で胚様体を発生させない。
(5.4.6分化)
個人における疼痛を治療する方法において有用な、本明細書で提供される胎盤細胞は、
ある実施態様では、方向付けされた異なる細胞株に分化可能である。例えば、ある種の実
施態様では、該胎盤細胞は、脂肪生成、軟骨形成、神経形成、又は骨形成系統の細胞に分
化することができる。こうした分化は、例えば、例えば骨髄由来の間葉系幹細胞を同様の
細胞株に分化させるための当技術分野で公知の任意の方法によって、又は本明細書別所記
載の方法によって実現することができる。胎盤細胞を特定の細胞株に分化させるための具
体的な方法は、例えば、米国特許第7,311,905号に、また、米国特許出願公開第2007/0275
362号(これらの開示の内容全体を参照によって本明細書に組み込む)に開示されている。
本明細書で提供される胎盤幹細胞は、インビトロ、インビボ、又はインビトロとインビ
ボで、ある特定の細胞株に分化する能力を示すことができる。具体的実施態様では、本明
細書で提供される胎盤幹細胞は、ある特定の細胞株への分化を引き起こす又は促進する条
件に置かれた場合に、インビトロで分化することができるが、インビボでは、例えばNOD-
SCIDマウスモデルにおいては、検出可能に分化しない。
(5.5胎盤幹細胞を得る方法)
(5.5.1幹細胞収集組成物)
胎盤幹細胞は、本明細書で提供される方法に従って、収集及び単離することができる。
一般に、胎盤幹細胞は、生理的に許容し得る溶液、例えば、幹細胞収集組成物を使用して
、哺乳類胎盤から得られる。幹細胞収集組成物は、2005年12月29日に出願された、「胎盤
細胞を収集及び保存するための改善された組成物並びに該組成物を使用する方法(Improve
d Composition for Collecting and Preserving Placental Cells and Methods of Using
the Composition)」という表題の、関連する米国特許仮出願第60/754,969号に詳細に記
載されている。
幹細胞収集組成物は、幹細胞の収集及び/又は培養に適した任意の生理的に許容し得る
溶液、例えば、塩類溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、クレブス液、改変クレブス液
、イーグル溶液、0.9% NaClなど)、培養培地(例えば、DMEM、HDMEM、など)などを含むこ
とができる。
幹細胞収集組成物は、収集時から培養時まで胎盤幹細胞を保存するのに(すなわち、胎
盤幹細胞が死滅するのを防止する、胎盤幹細胞の死を遅らせる、又は死滅する細胞集団に
おける胎盤幹細胞の数を減少させるなどに)役立つ1種以上の成分を含むことができる。こ
うした成分は、例えば、アポトーシス阻害剤(例えば、カスパーゼ阻害剤又はJNK阻害剤);
血管拡張剤(例えば、硫酸マグネシウム、抗高血圧薬、心房性ナトリウム利尿ペプチド(AN
P)、副腎皮質刺激ホルモン、コルチコトロピン放出ホルモン、ニトロプルシドナトリウム
、ヒドララジン、アデノシン三リン酸、アデノシン、インドメタシン又は硫酸マグネシウ
ム、ホスホジエステラーゼ阻害剤など);壊死阻害剤(例えば、2-(1H-インドール-3-イル)-
3-ペンチルアミノ-マレイミド、ジチオカルバミン酸ピロリジン、又はクロナゼパム);TNF
-α阻害剤;及び/又は酸素運搬パーフルオロカーボン(例えば、パーフルオロオクチルブロ
ミド、パーフルオロデシルブロミドなど)であり得る。
幹細胞収集組成物は、1種以上の組織分解酵素、例えば、メタロプロテアーゼ、セリン
プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、RNアーゼ、又はDNアーゼなどを含むことができる。こ
うした酵素としては、限定はされないが、コラゲナーゼ(例えば、コラゲナーゼI、II、II
I、又はIV、クロストリジウム・ヒストリチカム(Clostridium histolyticum)由来のコラ
ゲナーゼなど);ディスパーゼ、サーモリシン、エラスターゼ、トリプシン、LIBERASE、ヒ
アルロニダーゼなどが挙げられる。
幹細胞収集組成物は、殺菌又は静菌有効量の抗生物質を含むことができる。ある種の非
限定的な実施態様では、抗生物質は、マクロライド(例えばトブラマイシン)、セファロス
ポリン(例えば、セファレキシン、セフラジン、セフロキシム、セフプロジル、セファク
ロール、セフィキシム、若しくはセファドロキシル)、クラリスロマイシン、エリスロマ
イシン、ペニシリン(例えばペニシリンV)、又はキノロン(例えば、オフロキサシン、シプ
ロフロキサシン、若しくはノルフロキサシン)、テトラサイクリン、ストレプトマイシン
などである。特定の実施態様では、抗生物質は、グラム陽性及び/又はグラム陰性細菌、
例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)な
どに対して活性である。
幹細胞収集組成物はまた、次の化合物のうちの1以上も含むことができる:アデノシン(
約1mMから約50mM);D-グルコース(約20mMから約100mM);マグネシウムイオン(約1mMから約5
0mM);一実施態様では、内皮の完全性及び細胞の生存能力を維持するのに十分な量で存在
する、分子量20,000ダルトン超の巨大分子(例えば、約25g/lから約100g/l又は約40g/lか
ら約60g/lで存在する合成の又は天然に存在するコロイド、デキストラン若しくはポリエ
チレングリコールなどの多糖類);酸化防止剤(例えば、約25μMから約100μMで存在するブ
チル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、ビタミンC
、若しくはビタミンE);還元剤(例えば、約0.1mMから約5mMで存在するN-アセチルシステイ
ン);カルシウムの細胞への流入を防止する薬剤(例えば、約2μMから約25μMで存在するベ
ラパミル);ニトログリセリン(例えば、約0.05g/Lから約0.2g/L);一実施態様では、残留血
液の凝固の防止を助けるのに十分な量で存在する抗凝血薬(例えば、約1000単位/lから約1
00,000単位/lの濃度で存在するヘパリン若しくはヒルジン);又はアミロライド含有化合物
(例えば、約1.0μMから約5μMで存在するアミロライド、エチルイソプロピルアミロライ
ド、ヘキサメチレンアミロライド、ジメチルアミロライド、若しくはイソブチルアミロラ
イド)。
(5.5.2胎盤の収集及び取扱い)
一般に、ヒト胎盤は、出産後、娩出の直後に回収される。好ましい実施態様では、胎盤
は、インフォームドコンセントの後、かつ、患者の全病歴を取得してその胎盤と関連付け
た後に、患者から回収される。この病歴は、分娩後も継続することが好ましい。こうした
病歴を使用して、胎盤又は胎盤から回収される幹細胞のその後の使用を調整することがで
きる。例えば、ヒト胎盤細胞は、その病歴を踏まえて、その胎盤と関係がある乳児のため
の、又はその乳児の両親、兄弟姉妹、若しくは他の血縁者のための個別化医療目的で使用
することができる。
胎盤幹細胞の回収の前に、臍帯血及び胎盤血を除去する。ある種の実施態様では、分娩
後に、胎盤内の臍帯血を回収する。胎盤は、従来の臍帯血回収プロセスにかけることがで
きる。一般的に、針又はカニューレを使用し、重力の助けを借りて、胎盤を放血させる(
例えば、Andersonの米国特許第5,372,581号;Hesselらの米国特許第5,415,665号を参照の
こと)。針又はカニューレを通常、臍帯静脈内に留置し、胎盤を穏やかに揉んで、胎盤か
らの臍帯血の排出を助けることができる。こうした臍帯血回収は、例えば、LifeBank社(
ニュージャージー州Cedar Knolls)、ViaCord、Cord Blood Registry and Cryocellによっ
て商業的に実施することもできる。臍帯血回収中の組織破壊が最小限になるように、さら
なる操作を行わずに、胎盤を重力によって排出させることが好ましい。
一般的に、臍帯血の回収及び幹細胞の収集(例えば灌流若しくは組織分離による)のため
に、胎盤を、分娩室又は出産室から別の場所、例えば実験室に輸送する。胎盤は、滅菌し
た断熱輸送装置(胎盤の温度を20~28℃に維持する)に入れて、例えば、臍帯の近位部をク
ランプした胎盤を、滅菌したジップロック式プラスチックバッグに入れ、次いで、これを
断熱容器に入れることによって輸送することが好ましい。別の実施態様では、胎盤は、実
質的に、2005年9月19日に出願された係属中の米国特許出願第11/230,760号に記載されて
いる通りの臍帯血収集キットに入れて輸送される。好ましくは、胎盤は、分娩の4から24
時間後に実験室に移送される。ある種の実施態様では、臍帯血回収前に、胎盤盤状部(pla
cental disc)への付着点から好ましくは4~5cm(センチメートル)以内のところで、臍帯近
位部がクランプされる。他の実施態様では、臍帯近位部は、臍帯血回収後、ただし、胎盤
のさらなる処理前にクランプされる。
胎盤は、胎盤幹細胞収集前に、滅菌条件下、かつ室温又は5から25℃(摂氏)の温度のい
ずれかで保管することができる。胎盤を灌流して残留臍帯血を取り出す前に、胎盤を、48
時間よりも長い期間、好ましくは4から24時間の期間、保管することができる。胎盤は、5
から25℃(摂氏)の温度で、抗凝血剤溶液に入れて保管することが好ましい。適切な抗凝血
剤溶液は、当技術分野で周知である。例えば、ヘパリン又はワルファリンナトリウムの溶
液を使用することができる。好ましい実施態様では、抗凝血剤溶液は、ヘパリンの溶液(
例えば、1:1000溶液中、1%w/w)を含む。放血された胎盤は、胎盤細胞が収集される前に、
最大で36時間保管されることが好ましい。
哺乳動物の胎盤又はその一部は、いったん、一般に先述の通りに収集及び調製されれば
、当技術分野で公知の任意の方式で処理する、例えば、灌流又は破壊(例えば1種以上の組
織破壊酵素で消化)して、幹細胞を得ることができる。
(5.5.3胎盤組織の物理的破壊及び酵素的消化)
一実施態様では、例えば、先述の5.6.1節に記載した幹細胞収集組成物を使用して、胎
盤の物理的破壊、例えば酵素的消化によって、哺乳類胎盤から胎盤幹細胞を収集する。例
えば、胎盤又はその一部を、例えば緩衝液、培地、又は幹細胞収集組成物と接触させなが
ら、例えば、圧搾する、剪断する、細かく切り刻む、さいの目状に切る、みじん切りにす
る、又は液体に浸して柔らかくするなどを行うことができ、続いて、その組織を1種以上
の酵素で消化することができる。胎盤又はその一部はまた、物理的に破壊及び1種以上の
酵素で消化し、次いで、得られた材料を、緩衝液、培地、又は幹細胞収集組成物に浸す又
は混ぜることができる。例えばトリパンブルー排除によって決定される、前記器官中の生
存している細胞の、複数、より好ましくは過半数、より好ましくは少なくとも60%、70%、
80%、90%、95%、98%、又は99%が、その破壊の方法によって残存するという条件で、物理
的破壊の任意の方法を使用することができる。
一般的に、胎盤細胞は、胎盤組織の小さなブロック(例えば、体積が約1、2、3、4、5、
6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、70
0、800、900、又は約1000立方ミリメートルである胎盤組織のブロック)の破壊によって得
ることができる。
酵素的消化は、単一の酵素又は酵素の組み合わせを使用して実施することができる。一
実施態様では、胎盤組織の酵素的消化は、マトリクスメタロプロテアーゼ、中性プロテア
ーゼ、及びヒアルロン酸消化のための粘液溶解酵素の組み合せ(例えば、コラゲナーゼ、
ディスパーゼ、及びヒアルロニダーゼの組み合せ、又はLIBERASE(Boehringer Mannheim社
、インディアナ州Indianapolis)及びヒアルロニダーゼの組み合せなど)を使用する。胎盤
組織を破壊するために使用することができる他の酵素としては、パパイン、デオキシリボ
ヌクレアーゼ、セリンプロテアーゼ、例えば、トリプシン、キモトリプシン、又はエラス
ターゼなどが挙げられる。セリンプロテアーゼは、血清中のα2ミクログロブリンによっ
て阻害されることがあるので、消化のために使用される培地は通常、無血清である。細胞
回収の効率を高めるために、EDTA及びDNアーゼが、酵素的消化手順において一般的に使用
される。粘性の消化産物内に幹細胞が捕捉されることを避けるために、消化残渣を希釈す
ることが好ましい。
組織消化酵素の典型的な濃度としては、例えば、コラゲナーゼI及びコラゲナーゼIVの5
0~200U/mL、ディスパーゼの1~10U/mL、及びエラスターゼの10~100U/mLが挙げられる。
胎盤細胞を遊離させるために、プロテアーゼを、組み合わせて、すなわち2以上のプロテ
アーゼを同一の消化反応で使用することもできるし、連続的に使用することもできる。例
えば、一実施態様では、胎盤又はその一部を、最初に2mg/mlの適量のコラゲナーゼIで30
分間消化し、続いて、0.25%トリプシンで37℃で10分間消化する。セリンプロテアーゼを
、他の酵素の使用後に続けて使用することが好ましい。
別の実施態様では、幹細胞収集組成物を用いて胎盤幹細胞を単離する前に、幹細胞を含
む幹細胞収集組成物に、又はその中で組織を破壊及び/又は消化する溶液に、キレート剤
、例えば、エチレングリコールビス(2-アミノエチルエーテル)-N,N,N'N'-四酢酸(EGTA)又
はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加することによって、組織をさらに破壊することが
できる。
胎児細胞と母親細胞の両方を含む胎盤全体又は胎盤の一部分(例えば、胎盤の一部分が
、絨毛膜又は胎盤葉を含む場合)が消化されて胎盤幹細胞が得られる場合、収集される胎
盤細胞は、胎児起源と母親起源の両方に由来する胎盤細胞の混合物を含むこととなること
を理解されたい。母親細胞(例えば羊膜)を全く含まない又は無視できる数しか含まない胎
盤の一部分が使用されて胎盤幹細胞が得られる場合、収集される胎盤幹細胞は、ほとんど
胎児性胎盤幹細胞だけを含むこととなる。
(5.5.4胎盤の灌流)
胎盤幹細胞はまた、哺乳類胎盤の灌流によって得ることもできる。哺乳類胎盤を灌流し
て幹細胞を得る方法は、例えば、Haririの米国特許出願第2002/0123141号、及び2005年12
月29日に出願された、「胎盤細胞を収集及び保存するための改善された組成物並びに該組
成物を使用する方法(Improved Composition for Collecting and Preserving Placental
Cells and Methods of Using the Composition)」という表題の、関連する米国特許仮出
願第60/754,969号に開示されている。
胎盤幹細胞は、灌流によって、例えば、例えば灌流溶液として幹細胞収集組成物を使用
して胎盤血管系を通して収集することができる。一実施態様では、哺乳類胎盤は、臍帯動
脈と臍帯静脈のいずれか又は両方への灌流溶液の通過によって灌流される。胎盤への灌流
溶液の流れは、例えば、胎盤への重力による流れを使用して実現することができる。好ま
しくは、灌流溶液は、ポンプ、例えば、蠕動ポンプを使用して胎盤に押し出される。例え
ば、臍帯静脈には、滅菌した管などの滅菌した接続器具と接続されたカニューレ、例えば
、TEFLON(登録商標)又はプラスチックカニューレを挿入することができる。滅菌した接続
器具は、灌流マニフォールドと接続される。
灌流に備えて、胎盤は、臍帯動脈及び臍帯静脈が胎盤の最も高い位置に位置するように
方向付けられる(例えば吊るされる)ことが好ましい。胎盤は、胎盤血管系への、又は胎盤
血管系と周囲組織への、灌流流体、例えば、本明細書で提供される幹細胞収集組成物の通
過によって灌流することができる。一実施態様では、臍帯動脈と臍帯静脈が、柔軟なコネ
クタを介して灌流溶液の貯蔵容器に接続されたピペットに、同時に接続される。灌流溶液
は、臍帯静脈及び臍帯動脈を通過する。灌流溶液は、血管壁から浸出して及び/又は血管
壁を通過して胎盤の周囲組織に至り、妊娠中に母親の子宮に付着していた胎盤の表面から
、適切な開放管中に収集される。灌流溶液はまた、臍帯開口部を通して導入し、母親の子
宮壁と接続している胎盤壁の開口部から流出又は浸出させることもできる。別の実施態様
では、灌流溶液を、臍帯静脈に通過させて、臍帯動脈から収集する、又は、臍帯動脈に通
過させて、臍帯静脈から収集する。
一実施態様では、臍帯近位部が、灌流中にクランプされ、より好ましくは、胎盤盤状部
への臍帯付着点から好ましくは4~5cm(センチメートル)以内のところで、臍帯近位部がク
ランプされる。
放血プロセス中の哺乳類胎盤からの灌流流体の最初の収集物は一般に、臍帯血及び/又
は胎盤血の残留赤血球により色が付いており;灌流液のこの部分は廃棄してもよい。灌流
が進み、残留した臍帯血細胞が胎盤から洗い流されるにつれて、灌流流体は、より無色に
なっていく。
胎盤幹細胞を収集するために使用される灌流液の体積は、収集される胎盤幹細胞の数、
胎盤の大きさ、単一の胎盤でなされる収集の回数などに応じて変動し得る。種々の実施態
様では、灌流液の体積は、50mLから5000mL、50mLから4000mL、50mLから3000mL、100mLか
ら2000mL、250mLから2000mL、500mLから2000mL、又は750mLから2000mLであり得る。一般
的に、胎盤は、放血後、700~800mLの灌流液を用いて灌流される。
胎盤は、数時間から数日間にわたって、複数回灌流することができる。胎盤は、複数回
灌流されることとなる場合、容器又は他の適切な管内で、無菌条件下で維持又は培養し、
幹細胞収集組成物、又は標準の灌流溶液(例えばリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)(抗凝血
剤(例えば、ヘパリン、ワルファリンナトリウム、クマリン、ビスヒドロキシクマリン)を
含む又は含まない、及び/又は抗微生物剤(例えば、β-メルカプトエタノール(0.1mM);ス
トレプトマイシン(例えば40~100μg/ml)、ペニシリン(例えば40U/ml)、アンホテリシンB
(例えば0.5μg/ml)などの抗生物質を含む又は含まない)などの通常の塩類溶液)を用いて
灌流することができる。一実施態様では、単離された胎盤は、灌流液を収集せずに、ある
期間維持又は培養され、その結果、該胎盤は、灌流及び灌流液の収集前に、1、2、3、4、
5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、若しくは2
4時間、又は2若しくは3日又はそれ以上の間、維持又は培養されることになる。灌流され
た胎盤は、さらにもう1回以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、
14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間、又はそれ以上の間、維持し、例えば
700~800mLの灌流流体を用いて、再び灌流することができる。胎盤は、1、2、3、4、5回
、又はそれ以上の回数、例えば、1、2、3、4、5、又は6時間に1回、灌流することができ
る。好ましい実施態様では、回収される有核細胞の数が100細胞/mlを下回るまで、胎盤の
灌流と、灌流溶液、例えば幹細胞収集組成物の収集が繰り返される。異なる時点での灌流
液を、さらに個別に処理して、時間に応じた胎盤幹細胞の集団を回収することができる。
異なる時点からの灌流液をプールすることもできる。
いかなる理論にも拘泥されることを望まないが、胎盤の放血及び十分な時間の灌流の後
、胎盤幹細胞は、好ましくは灌流による収集管への洗浄によって胎盤幹細胞が収集可能で
あるような、放血されかつ灌流された胎盤の微小循環に移動すると考えられる。単離され
た胎盤を灌流することは、残留臍帯血を除去するだけではなく、胎盤に酸素を含めた適切
な栄養を提供するためにも役立つ。胎盤は、好ましくは抗凝血剤を添加しない、残留臍帯
血細胞を除去するために使用した溶液と同様の溶液を用いて、培養及び灌流することがで
きる。
幹細胞は、1種以上のプロテアーゼ又は他の組織破壊酵素を含む溶液を用いる灌流によ
って、胎盤から単離することができる。具体的実施態様では、胎盤又はその一部分を25~
37℃に置き、200mLの培養培地中で1種以上の組織破壊酵素とともに、30分間インキュベー
トする。灌流液由来の細胞を収集し、4℃に置き、5mM EDTA、2mMジチオスレイトール、及
び2mMβ-メルカプトエタノールを含む冷たい阻害剤混合物で洗浄する。数分後、胎盤幹細
胞を、本明細書別所記載の冷たい(例えば4℃の)幹細胞収集組成物で洗浄する。
受け皿法(pan method)を使用する灌流、すなわち、灌流液が胎盤の母親側から浸出した
後に収集される灌流は、胎児細胞と母親細胞の混合物をもたらす。その結果、この方法に
よって収集された細胞は、胎児起源と母親起源の両方の胎盤幹細胞の混合集団を含む。一
方、灌流流体が1つ又は2つの胎盤血管を通過し、単に残りの血管を通して収集される、胎
盤血管系を通しただけの灌流は、ほとんどが胎児起源である胎盤幹細胞の集団の収集とい
う結果になる。
(5.5.5胎盤細胞の単離、選別、及び特徴付け)
哺乳類胎盤由来の幹細胞は、灌流によって得られても、酵素的消化で得られても、最初
に、フィコール勾配遠心分離によって他の細胞から精製(すなわち単離)することができる
。こうした遠心分離は、遠心分離速度などについて、標準のプロトコルに従うことができ
る。一実施態様では、例えば、胎盤から収集された細胞は、室温で15分間の5000×gでの
遠心分離(これによって、細胞は、例えば、余計な破砕片及び血小板から分離される)によ
って灌流液から回収される。別の実施態様では、胎盤灌流液は、約200mlに濃縮され、Fic
oll上に穏やかに層形成され、22℃で20分間、約1100×gで遠心分離され、細胞の低密度界
面層が、さらなる処理のために収集される。
細胞ペレットを、新鮮な幹細胞収集組成物、又は幹細胞維持に適した培地、例えば、2U
/mlヘパリン及び2mM EDTA(GibcoBRL社、NY)を含有するIMDM無血清培地に再懸濁すること
ができる。例えば、製造者の推奨手順に従ってLymphoprep(Nycomed Pharma社、ノルウェ
ー、Oslo)を使用して、全単核細胞分画を単離することができる。
本明細書で使用する場合、胎盤幹細胞を「単離すること」は、無処置の哺乳類胎盤にお
いて胎盤幹細胞が通常関係する細胞の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、9
0%、95%、又は99%を取り出すことを意味する。
灌流又は消化によって得られる胎盤幹細胞を、例えば0.2%EDTA(Sigma社、ミズーリ州S
t.Louis)を含む0.05%トリプシンの溶液を使用する、トリプシン処理の差異によって、例
えば、後に又は最初に単離することができる。他の接着性の集団が一般的に、20~30分間
を超えるインキュベーションを必要とするのに対し、胎盤幹細胞は一般的に、約5分以内
にプラスチック表面から剥離するので、他とは異なるトリプシン処理が可能である。トリ
プシン処理、及び例えばトリプシン中和溶液(TNS、Cambrex社)を使用するトリプシン中和
後、剥離した胎盤幹細胞を回収することができる。
胎盤幹細胞の単離の一実施態様では、胎盤細胞の一定分量、例えば約5~10×106個を、
いくつかのT-75フラスコ、好ましくは、フィブロネクチンコーティングT75フラスコのそ
れぞれに入れる。こうした一実施態様では、これらの細胞を、市販品として入手可能な間
葉系幹細胞成長培地(MSCGM)(Cambrex社)を用いて培養し、組織培養インキュベータ(37℃
、5%CO2)内に入れることができる。10から15日後、PBSで洗浄することによって、接着し
ていない細胞をフラスコから取り出す。次いで、PBSをMSCGMで置き換える。フラスコを、
様々な接着細胞型の存在について、特に、線維芽細胞様細胞のクラスターの同定及び拡大
について、毎日検査することが好ましい。
哺乳類胎盤から収集された細胞の数と種類は、例えば、フローサイトメトリー、細胞選
別、免疫細胞化学(例えば、組織特異的な抗体若しくは細胞マーカー特異的抗体を用いる
染色)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、磁気活性化細胞選別(MACS)などの標準の細胞検出技
術を使用して形態及び細胞表面マーカーの変化を測定することによって、及び/又は光学
顕微鏡若しくは共焦点顕微鏡法を使用する細胞の形態の調査によって、及び/又はPCR及び
遺伝子発現プロファイリングなどの当技術分野で周知の技術を使用して遺伝子発現の変化
を測定することによって、モニタリングすることができる。これらの技術を、1以上の特
定のマーカーについて陽性である細胞を特定するためにも使用することができる。例えば
、CD34に対する抗体を使用して、先述の技術を使用して、細胞が、例えばアイソタイプ対
照と比較した場合に、検出可能な量のCD34を含むかどうかを判定することができ;もし含
むのであれば、その細胞はCD34+である。同様に、細胞が、RT-PCRによって検出可能であ
るのに十分なOCT-4 RNA、又は高度に分化した細胞よりも有意に多いOCT-4 RNAを産生する
ならば、その細胞は、OCT-4+である。細胞表面マーカー(例えば、CD34などのCDマーカー)
に対する抗体、及びOCT-4などの幹細胞特異的遺伝子の配列は、当技術分野で周知である
胎盤細胞、特に、フィコール分離、接着の差異、又はこれらの両方の組合せによって単
離された細胞を、選別する、例えば、蛍光活性化細胞選別機(FACS)を用いてさらに単離す
ることができる。蛍光活性化細胞選別(FACS)は、粒子の蛍光特性に基づいて、細胞を含め
た粒子を分離するための、周知の方法である(Kamarchの文献、1987、Methods Enzymol,15
1:150-165)。個々の粒子中の蛍光部分のレーザーによる励起によって、わずかな電荷が生
じ、混合物からの陽性粒子及び陰性粒子の電磁分離が可能になる。一実施態様では、細胞
表面マーカー特異的抗体又はリガンドは、別々の蛍光標識で標識される。細胞は、細胞選
別機を通して処理され、使用される抗体に結合する能力に基づく細胞の分離が可能になる
。FACSで選別された粒子を、96ウェル又は384ウェルプレートの個々のウェルに直接堆積
させて、分離及びクローニングを行いやすくすることができる。
ある選別スキームでは、胎盤幹細胞を、マーカーCD34、CD38、CD44、CD45、CD73、CD10
5、OCT-4、及び/又はHLA-G、又は本明細書別所に列挙した他のマーカーのいずれかの発現
に基づいて選別することができる。これは、幹細胞を培養下でのその接着特性に基づいて
選択する手順と組み合わせて実現することができる。例えば、胎盤幹細胞の接着選択は、
マーカー発現に基づく選別の前又は後に行うことができる。一実施態様では、例えば、胎
盤幹細胞が、最初にそのCD34発現に基づいて選別され;CD34-細胞が保持され、CD200+又は
HLA-G+である細胞が、他の全てのCD34-細胞から分離される。別の実施態様では、胎盤幹
細胞を、そのCD200及び/又はHLA-Gの発現又はその欠如に基づいて選別することができ;例
えば、これらのマーカーのいずれかを提示する細胞を、さらなる使用のために単離するこ
とができる。例えばCD200及び/又はHLA-Gを発現する細胞を、具体的実施態様では、そのC
D73及び/又はCD105、又は抗体SH2、SH3、若しくはSH4によって認識されるエピトープの発
現、或いはCD34、CD38、又はCD45の発現の欠如に基づいて、さらに選別することができる
。例えば、一実施態様では、胎盤幹細胞が、CD200、HLA-G、CD73、CD105、CD34、CD38、
及びCD45の発現又はその欠如によって選別され、CD200+、HLA-G-、CD73+、CD105+、CD34-
、CD38-、及びCD45-である胎盤幹細胞が、さらなる使用のために他の胎盤細胞から単離さ
れる。
別の実施態様では、磁気ビーズを使用して、細胞を分離する、例えば、胎盤幹細胞を他
の胎盤細胞から分離することができる。磁気活性化細胞選別(MACS)技術、すなわち、磁気
ビーズ(直径0.5~100μm)に結合する能力に基づいて粒子を分離するための方法を使用し
て、細胞を選別することもできる。磁気ミクロスフェアに対して、特定の細胞表面分子又
はハプテンを特異的に認識する抗体の共有結合的付加を含めた、様々な有用な改変を行う
ことができる。次いで、ビーズを細胞と混合し、結合させる。次いで、細胞を磁場に通過
させて、特異的な細胞表面マーカーを有する細胞を分離する。一実施態様では、次いで、
この細胞を単離し、追加的な細胞表面マーカーに対する抗体と結合した磁気ビーズと再び
混合することができる。この細胞を再び磁場に通過させて、両方の抗体と結合した細胞を
単離する。次いで、こうした細胞を、クローン単離用のマイクロタイターディッシュなど
の別々のディッシュで希釈することができる。
胎盤幹細胞はまた、細胞形態及び成長特性に基づいて、特徴付ける及び/又は選別する
こともできる。例えば、胎盤幹細胞を、例えば培養下で線維芽細胞様外観を有するものと
特徴付ける、及び/又はこうした外観に基づいて選択することができる。胎盤幹細胞はま
た、胚様体を形成する能力を有するものと特徴付ける、及び/又はこうした能力に基づい
て選択することもできる。一実施態様では、例えば、線維芽細胞様の形状であり、かつCD
73及びCD105を発現し、かつ培養下で1以上の胚様体を産生する胎盤細胞を、他の胎盤細胞
から単離することができる。別の実施態様では、培養下で1以上の胚様体を産生するOCT-4
+胎盤細胞が、他の胎盤細胞から単離される。
別の実施態様では、胎盤幹細胞は、コロニー形成単位アッセイによって特定及び特徴付
けを行うことができる。コロニー形成単位アッセイは、当技術分野で一般的に知られてい
る(例えば、MESENCULT(商標)培地(Stem Cell Technologies社、ブリティッシュコロンビ
ア州Vancouver)など)。
胎盤幹細胞は、(生存能力を評価するための)トリパンブルー排除アッセイ、二酢酸フル
オレセイン取込みアッセイ、ヨウ化プロピジウム取込みアッセイ;及び、(増殖を評価する
ための)チミジン取込みアッセイ、MTT細胞増殖アッセイなど、当技術分野で公知の標準の
技術を使用して、生存能力、増殖能力、及び寿命について評価することができる。寿命は
、当技術分野で周知の方法によって、例えば、延長された培養下での集団倍加の最大数を
決定することなどによって決定することができる。
胎盤幹細胞はまた、当該技術分野で公知の他の技術、例えば、所望の細胞の選択的成長
(陽性選択)、所望でない細胞の選択的破壊(陰性選択);例えば大豆凝集素を用いる、混合
集団における細胞凝集力の差異に基づく分離;凍結-解凍処置;濾過;従来のゾーン遠心分離
;遠心溶出(向流遠心分離);単位重力分離;向流分配;電気泳動;などを使用して、他の胎盤
細胞から分離することもできる。
(5.6胎盤幹細胞の培養)
(5.6.1培養培地)
単離された胎盤幹細胞、又は胎盤細胞集団、又は胎盤細胞が起因する細胞若しくは胎盤
組織を使用して、細胞培養を開始する、又は播種することができる。細胞は一般に、細胞
外マトリクス又はリガンド、例えばラミニン、コラーゲン(例えば、天然若しくは変性)、
ゼラチン、フィブロネクチン、オルニチン、ビトロネクチン、及び細胞外膜タンパク質(
例えば、MATRIGEL(BD Discovery Labware社、マサチューセッツ州Bedford))などでコーテ
ィングされた又はコーティングされていない滅菌組織培養管に移される。
胎盤幹細胞は、幹細胞の培養のために許容し得ると当技術分野で認識されている、任意
の培地中かつ任意の条件下で培養することができる。この培養培地は、血清を含むことが
好ましい。胎盤幹細胞は、例えば、ITS(インスリン-トランスフェリン-セレン)、LA+BSA
(リノール酸-ウシ血清アルブミン)、デキストロース、L-アスコルビン酸、PDGF、EGF、IG
F-1、及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM-LG(ダルベッコの改変必須培地
、低グルコース)/MCDB 201(ニワトリ線維芽細胞基本培地);10%ウシ胎児血清(FBS)を含む
DMEM-HG(高グルコース);15%FBSを含むDMEM-HG;10%FBS、10%ウマ血清、及びヒドロコル
チゾンを含むIMDM(イスコフの改変ダルベッコ培地);10%FBS、EGF、及びヘパリンを含むM
199;10%FBS、GlutaMAX(商標)、及びゲンタマイシンを含むα-MEM(最小必須培地);10%FB
S、GlutaMAX(商標)及びゲンタマイシンを含むDMEMなどの中で培養することができる。好
ましい培地は、2%FBS、ITS、LA+BSA、デキストロース、L-アスコルビン酸、PDGF、EGF、
及びペニシリン/ストレプトマイシンを含む、DMEM-LG/MCDB-201である。
胎盤幹細胞を培養するために使用することができる他の培地としては、DMEM(高又は低
グルコース)、イーグルの基本培地、ハムのF10培地(F10)、ハムのF-12培地(F12)、イスコ
フの改変ダルベッコ培地、間葉系幹細胞成長培地(MSCGM)、ライボヴィッツのL-15培地、M
CDB、DMEM/F12、RPMI 1640、改良DMEM(Gibco社)、DMEM/MCDB201(Sigma社)、及びCELL-GRO
FREEが挙げられる。
培養培地には、例えば、血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、好ましくは約2~15%(v/v)
;ウマ科動物(ウマ)血清(ES);ヒト血清(HS));β-メルカプトエタノール(BME)、好ましくは
約0.001%(v/v);1種以上の成長因子、例えば、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子
(EGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、インスリン様成長因子-1(IGF-1)、白血病抑制
因子(LIF)、血管内皮成長因子(VEGF)、及びエリスロポエチン(EPO);L-バリンを含めたア
ミノ酸;並びに、例えばペニシリンG、硫酸ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲン
タマイシン、及びナイスタチンなどの、微生物汚染を防除するための1種以上の抗生物質
及び/又は抗真菌剤;を含めた1種以上の成分を、単独で又は組み合わせで補足することが
できる。
同様に、本明細書に開示する培養方法及び培地のいずれかを使用して、胎盤幹細胞を培
養及び増殖することができる。
(5.6.2胎盤幹細胞の拡大及び増殖)
胎盤幹細胞を、いったん単離(例えば、該幹細胞又は幹細胞の集団が通常インビボで関
係している胎盤細胞の少なくとも50%から分離)すれば、この幹細胞又は幹細胞の集団を、
インビトロで増殖及び拡大させることができる。同様に、胎盤幹細胞をいったん産生すれ
ば、こうした細胞を、インビトロで増殖及び拡大させることもできる。例えば、胎盤幹細
胞は、組織培養容器、例えば、ディッシュ、フラスコ、マルチウェルプレートなどの中で
、胎盤幹細胞が70~90%コンフルエントに増殖するのに十分な時間、すなわち、胎盤幹細
胞及びその子孫が組織培養容器の培養表面積の70~90%を占めるようになるまで培養する
ことができる。
胎盤幹細胞を、細胞成長を可能にする密度で、培養管内に播種することができる。例え
ば、胎盤幹細胞を、低密度(約1000から約5000細胞/cm2)ないし高密度(例えば約50,000細
胞/cm2又はそれ以上)で播種することができる。好ましい実施態様では、胎盤幹細胞は、
空気中の約0から約5体積パーセントのCO2下で培養される。いくつかの好ましい実施態様
では、胎盤幹細胞は、空気中の約2から約25パーセントのO2下で、好ましくは空気中の約5
から約20パーセントのO2下で培養される。胎盤幹細胞は、約25℃から約40℃、好ましくは
37℃で培養されることが好ましい。胎盤幹細胞は、インキュベータ内で培養されることが
好ましい。培養培地は、静置する、又は、例えばバイオリアクターを使用して撹拌するこ
とができる。胎盤幹細胞は、(例えば、グルタチオン、アスコルビン酸、カタラーゼ、ト
コフェロール、N-アセチルシステインなどを添加して)低酸化ストレス下で成長させるこ
とが好ましい。
いったん、70~90%コンフルエントが得られれば、胎盤幹細胞を継代することができる
。例えば、この細胞を、当技術分野で周知の技術を使用して、酵素的に処理し、例えばト
リプシン処理し、組織培養表面から分離することができる。この胎盤幹細胞をピペッティ
ングによって取り出し、計数した後、約20,000~100,000個の幹細胞、好ましくは約50,00
0個の胎盤幹細胞を、新鮮な培養培地を含有する新しい培養容器に継代する。一般的に、
新しい培地は、幹細胞を取り出した培地と同じ種類である。本明細書で提供されるのは、
少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、若しくは20回、又はそれ
以上の回数継代した胎盤幹細胞の集団、及び該胎盤幹細胞の集団の組み合わせである。
(5.7胎盤幹細胞の保存)
胎盤幹細胞は、保存する、すなわち、長期保管を可能にする条件、又は例えばアポトー
シス又は壊死による細胞死を阻害する条件下に置くことができる。
胎盤幹細胞は、例えば、米国特許出願公開第2007/0190042号に記載されている通りの、
アポトーシス阻害剤、壊死阻害剤、及び/又は酸素運搬パーフルオロカーボンを含む組成
物を使用して保存することができる。
一実施態様では、本明細書で提供されるのは、胎盤幹細胞を保存する方法であって、前
記胎盤幹細胞を、アポトーシス阻害剤及び酸素運搬パーフルオロカーボンを含む幹細胞収
集組成物と接触させることを含む前記方法である。ここでは、前記アポトーシス阻害剤は
、アポトーシス阻害剤と接触していない胎盤幹細胞の集団と比較した場合に、胎盤幹細胞
の集団におけるアポトーシスを低下させる又は防止するのに十分な量及び時間で存在する
。具体的実施態様では、前記アポトーシス阻害剤は、カスパーゼ阻害剤である。別の具体
的実施態様では、前記アポトーシス阻害剤は、JNK阻害剤である。より具体的な実施態様
では、前記JNK阻害剤は、前記胎盤幹細胞の分化又は増殖を調節しない。別の実施態様で
は、前記幹細胞収集組成物は、前記アポトーシス阻害剤と前記酸素運搬パーフルオロカー
ボンを別の相に含む。別の実施態様では、前記幹細胞収集組成物は、エマルジョン中に、
前記アポトーシス阻害剤及び前記酸素運搬パーフルオロカーボンを含む。別の実施態様で
は、該幹細胞収集組成物は、乳化剤、例えばレシチンをさらに含む。別の実施態様では、
前記アポトーシス阻害剤及び前記パーフルオロカーボンは、幹細胞と接触させる時点で、
約0℃から約25℃である。より具体的な別の実施態様では、前記アポトーシス阻害剤及び
前記パーフルオロカーボンは、幹細胞と接触させる時点で、約2℃から10℃又は約2℃から
約5℃である。より具体的な別の実施態様では、前記接触は、前記胎盤幹細胞の輸送中に
実施される。より具体的な別の実施態様では、前記接触は、前記幹細胞の集団の凍結及び
解凍中に実施される。
別の実施態様では、胎盤幹細胞は、前記胎盤幹細胞をアポトーシス阻害剤及び臓器保存
化合物と接触させることを含む方法によって保存することができる。ここでは、前記アポ
トーシス阻害剤は、アポトーシス阻害剤と接触していない胎盤幹細胞と比較した場合に、
胎盤幹細胞のアポトーシスを低下させる又は防止するのに十分な量及び時間で存在する。
具体的実施態様では、臓器保存化合物は、UW溶液(米国特許第4,798,824号に記載されてお
り;ViaSpanとしても知られている;Southardらの文献(Transplantation 49(2):251-257(19
90))も参照のこと)、又はSternらの米国特許第5,552,267号に記載されている溶液である
。別の実施態様では、前記臓器保存化合物は、ヒドロキシエチルデンプン、ラクトビオン
酸、ラフィノース、又はこれらの組み合わせである。
別の実施態様では、胎盤幹細胞を産生するために使用される胎盤幹細胞は、灌流中に、
アポトーシス阻害剤及び酸素運搬パーフルオロカーボン、臓器保存化合物、又はこれらの
組合せを含む幹細胞収集組成物と接触される。別の実施態様では、胎盤幹細胞を産生する
ために使用される前記胎盤幹細胞は、組織破壊のプロセス、例えば酵素的消化中に接触さ
れる。別の実施態様では、胎盤細胞は、灌流による収集後に、又は組織破壊、例えば酵素
的消化による収集後に、前記幹細胞収集化合物と接触される。
一般的に、胎盤幹細胞の収集、濃縮、及び単離中には、低酸素及び機械的ストレスによ
る細胞ストレスを最小限にする又は排除することが好ましい。したがって、該方法の別の
実施態様では、胎盤幹細胞を産生するために使用される胎盤幹細胞は、収集、濃縮、及び
単離中、前記保存中に6時間未満の低酸素状態に曝される。ここでは、低酸素条件は、正
常な血中酸素濃度未満である酸素の濃度である。より具体的な実施態様では、前記胎盤幹
細胞は、前記保存中に2時間未満の前記低酸素状態に曝される。より具体的な別の実施態
様では、前記胎盤幹細胞は、1時間未満若しくは30分未満の前記低酸素状態に曝される、
又は、収集、濃縮、及び単離中に、低酸素状態には曝されない。別の具体的実施態様では
、収集、濃縮、及び単離中に、前記胎盤幹細胞は、剪断ストレスに曝されない。
本明細書に記載する、胎盤幹細胞、並びに胎盤幹細胞を産生するために使用される胎盤
幹細胞は、例えば、小型の容器、例えばアンプル中の凍結保存培地に入れて凍結保存する
ことができる。適切な凍結保存培地としては、限定はされないが、例えば、成長培地、又
は細胞凍結培地、例えば、市販品として入手できる細胞凍結培地(例えば、C2695、C2639
、若しくはC6039(Sigma社))を含めた培養培地が挙げられる。凍結保存培地は、例えば約1
0%(v/v)の濃度のDMSO(ジメチルスルホキシド)を含むことが好ましい。凍結保存培地は、
追加の物質、例えば、Plasmalyte、メチルセルロースを含むことができ、グリセロールは
含んでも含まなくてもよい。幹細胞は、凍結保存時に、約1℃/分で冷却することが好まし
い。好ましい凍結保存温度は、約-80℃から約-180℃、好ましくは約-125℃から約-140℃
である。凍結保存された細胞は、液体窒素に移した後、使用のために解凍することができ
る。いくつかの実施態様では、例えば、アンプルがいったん約-90℃に到達したら、液体
窒素保管エリアに移す。凍結保存された細胞は、約25℃から約40℃、好ましくは約37℃の
温度で解凍することが好ましい。
(5.8胎盤細胞の使用)
(5.8.1胎盤細胞を含む組成物)
本明細書で提供される疼痛の治療の方法は、胎盤幹細胞又は胎盤幹細胞由来の生体分子
を含む組成物を使用することができる。同様に、本明細書で提供される胎盤幹細胞の集団
は、例えば研究又は治療に使用するための任意の生理的に許容し得る又は医学的に許容し
得る化合物、組成物、又は装置と組み合わせることができる。
(5.8.1.1胎盤細胞の凍結保存)
本明細書で提供される胎盤細胞を、後で使用するために保存する、例えば凍結保存する
ことができる。幹細胞などの細胞の凍結保存のための方法は、当技術分野で周知である。
胎盤幹細胞は、個人に容易に投与できる形で調製することができる。例えば、本明細書に
記載する胎盤幹細胞は、医療用途に適した容器内に入れることができる。こうした容器は
、例えば、滅菌プラスチックバッグ、フラスコ、ジャー、バイアル、又は胎盤細胞集団を
容易に分注することができる他の容器であり得る。例えば、容器は、血液バッグ、又はレ
シピエントへの液体の静脈内投与に適した他のプラスチック製の医学的に許容し得るバッ
グであり得る。容器は、胎盤幹細胞の凍結保存を可能にするものであることが好ましい。
凍結保存される胎盤幹細胞は、単一のドナー又は複数のドナーに由来する胎盤幹細胞を
含むことができる。該胎盤幹細胞は、意図されるレシピエントと完全にHLAが適合するも
のであっても、部分的若しくは完全にHLAが適合しないものであってもよい。
したがって、一実施態様では、本明細書で提供されるのは、容器に入った、胎盤幹細胞
を含む組成物である。具体的実施態様では、該胎盤幹細胞は、凍結保存される又は凍結保
存されている。別の具体的実施態様では、該容器は、バッグ、フラスコ、バイアル又はジ
ャーである。より具体的な実施態様では、前記バッグは、滅菌プラスチックバッグである
。より具体的な実施態様では、前記バッグは、前記胎盤幹細胞の静脈内投与に適している
、又は該投与を可能にする、又は該投与を容易にする。該バッグは、投与前又は投与中に
、胎盤幹細胞と1種以上の他の溶液(例えば薬物)との混合を可能にするために相互接続さ
れた、複数の内腔又は区画を含むことができる。別の具体的実施態様では、該組成物は、
組み合わされた幹細胞集団の凍結保存を容易にする1種以上の化合物を含む。別の具体的
実施態様では、前記胎盤幹細胞は、生理的に許容し得る水溶液内に含まれる。より具体的
な実施態様では、前記生理的に許容し得る水溶液は、0.9% NaCl溶液である。別の具体的
実施態様では、前記胎盤幹細胞は、前記胎盤幹細胞のレシピエントとHLAが適合する。別
の具体的実施態様では、前記胎盤幹細胞は、前記胎盤幹細胞のレシピエントと、少なくと
も部分的にHLAが適合しない。別の具体的実施態様では、前記胎盤幹細胞は、複数のドナ
ー由来である。
(5.8.1.2医薬組成物)
単離された胎盤幹細胞の集団、又は単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団は、例えば
本明細書で提供される治療の方法における、インビボでの使用のための医薬組成物に製剤
化することができる。こうした医薬組成物は、医薬として許容し得る担体、例えば、塩類
溶液、又はインビボ投与のための他の認可された生理的に許容し得る溶液中に、胎盤幹細
胞、又は単離された胎盤幹細胞を含む細胞の集団を含む。本明細書に記載する単離された
胎盤幹細胞を含む医薬組成物は、本明細書別所記載の、単離された胎盤幹細胞集団又は単
離された胎盤幹細胞のいずれか、又は任意の組み合わせを含むことができる。該医薬組成
物は、胎児の、母親の、又は胎児と母親の両方の単離された細胞を含むことができる。本
明細書で提供される医薬組成物は、単一の個人、臍帯、若しくは胎盤から、又は、複数の
個人、臍帯、若しくは胎盤から得られた単離された胎盤幹細胞をさらに含むことができる
。本明細書別所記載の胎盤幹細胞のいずれかは、下に記載する通りの医薬組成物に製剤化
することができる。
本明細書で提供される医薬組成物は、任意の数の単離された胎盤幹細胞を含むことがで
きる。例えば、単離された胎盤幹細胞の単回単位用量は、種々の実施態様では、およそ、
又は少なくとも、又は多くとも1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、2×107、2.5
×107、3×107、3.5×107、4×107、4.5×107、5×107、5.5×107、6×107、6.5×107、7
×107、7.5×107、8×107、8.5×107、9×107、9.5×107、1×108、5×108、1×109、5×
109、1×1010、5×1010、1×1011個、又はそれ以上の単離された細胞を含むことができる
。ある種の実施態様では、単離された胎盤幹細胞の単回単位用量は、およそ、又は少なく
とも、又は多くとも1×105から約1×106、約1×105から約1×107、約1×106から約1×107
、約1×106から約1×108、約1×107から約1×108、約1×107から約1×109、約1×108から
約1×1010、約1×109から約1×1010、又は約1×1010から約1×1011個の胎盤幹細胞を含む
ことができる。特定の実施態様では、胎盤幹細胞は、全身的、例えば静脈内(IV)投与に適
した医薬組成物中に存在する。他の特定の実施態様では、胎盤幹細胞は、局所投与に適し
た医薬組成物中に存在する。
単離された胎盤幹細胞の単回又は反復単位用量を含む医薬組成物を、本明細書に記載す
る方法と組み合わせて投与することができる。一実施態様では、投与は、胎盤幹細胞の単
回単位用量の投与を含むことができる。別の実施態様では、投与は、胎盤幹細胞の反復単
位用量の投与を含むことができる。投与は、例えば、単回又は複数回注射、例えば、1、5
、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50回の局所又は全身注射によって実現すること
ができる。
本明細書で提供される医薬組成物は、50%又はそれ以上の生存細胞を含む(すなわち、集
団における細胞の少なくとも50%が、機能している又は生きている)細胞の集団を含む。好
ましくは、集団における細胞の少なくとも60%が、生存している。より好ましくは、該医
薬組成物内の集団における細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%、又は99%が、生存して
いる。
本明細書で提供される医薬組成物は、例えば植え付けを容易にする1種以上の化合物(例
えば、抗T細胞受容体抗体、免疫抑制剤など);安定剤(例えばアルブミン、デキストラン40
、ゼラチン、ヒドロキシエチルデンプン、プラズマライト(plasmalyte)など)を含むこと
ができる。
一実施態様では、注射用溶液として製剤化される場合、該医薬組成物は、約1%から1.5%
のHSA及び約2.5%のデキストランを含む。好ましい実施態様では、該医薬組成物は、免疫
抑制剤、例えばシクロスポリンAを、例えば10mg/kgで任意に含む、5%のHSA及び10%のデキ
ストランを含む溶液中に、1ミリリットルあたり約5×106個の細胞から1ミリリットルあた
り約2×107個の細胞を含む。
他の実施態様では、該医薬組成物、例えば溶液は、複数の細胞、例えば単離された胎盤
幹細胞を含む。ここでは、前記医薬組成物は、1ミリリットルあたり約1.0±0.3×106個か
ら1ミリリットルあたり約5.0±1.5×106個の細胞を含む。他の実施態様では、該医薬組成
物は、1ミリリットルあたり約1.5×106個から1ミリリットルあたり約3.75×106個の細胞
を含む。他の実施態様では、該医薬組成物は、約1×106細胞/mLから約50×106細胞/mL、
約1×106細胞/mLから約40×106細胞/mL、約1×106細胞/mLから約30×106細胞/mL、約1×1
06細胞/mLから約20×106細胞/mL、約1×106細胞/mLから約15×106細胞/mL、又は約1×106
細胞/mLから約10×106細胞/mLを含む。ある種の実施態様では、該医薬組成物は、視認可
能な細胞集塊をまったく(すなわち、巨大細胞集塊をまったく)含まない、又は、こうした
視認可能な凝集塊を実質的に含まない。本明細書で使用する場合、「巨大細胞集塊」は、
拡大せずに視認可能な、例えば肉眼で視認可能な細胞の凝集を意味し、一般に、約150ミ
クロンよりも大きい細胞凝集を指す。いくつかの実施態様では、該医薬組成物は、約2.5%
、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、
9.5%、又は10%のデキストラン、例えば、デキストラン-40を含む。具体的実施態様では、
前記組成物は、約7.5%から約9%のデキストラン-40を含む。具体的実施態様では、前記組
成物は、約5.5%のデキストラン-40を含む。ある種の実施態様では、該医薬組成物は、約1
%から約15%のヒト血清アルブミン(HSA)を含む。具体的実施態様では、該医薬組成物は、
約1%、2%、3%、4%、5%、65、75、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%のHSAを含
む。具体的実施態様では、前記細胞は、凍結保存及び解凍されている。別の具体的実施態
様では、前記細胞は、70μMから100μMフィルターで濾過されている。別の具体的実施態
様では、前記組成物は、視認可能な細胞集塊をまったく含まない。別の具体的実施態様で
は、前記組成物は、106細胞あたり約200個よりも少ない細胞集塊を含む。ここでは、前記
細胞集塊は、顕微鏡、例えば光学顕微鏡でのみ視認可能である。別の具体的実施態様では
、前記組成物は、106細胞あたり約150個よりも少ない細胞集塊を含む。ここでは、前記細
胞集塊は、顕微鏡、例えば光学顕微鏡でのみ視認可能である。別の具体的実施態様では、
前記組成物は、106細胞あたり約100個よりも少ない細胞集塊を含む。ここでは、前記細胞
集塊は、顕微鏡、例えば光学顕微鏡でのみ視認可能である。
具体的実施態様では、該医薬組成物は、1ミリリットルあたり約1.0±0.3×106個の細胞
、約5.5%のデキストラン-40(w/v)、約10%のHSA(w/v)、及び約5%のDMSO(v/v)を含む。
他の実施態様では、該医薬組成物は、10%のデキストラン-40を含む溶液中に、複数の細
胞、例えば複数の単離された胎盤幹細胞を含む。ここでは、該医薬組成物は、1ミリリッ
トルあたり約1.0±0.3×106個から1ミリリットルあたり約5.0±1.5×106個の細胞を含み
、かつ、前記組成物は、肉眼で視認可能な細胞集塊をまったく含まない(すなわち、巨大
細胞集塊をまったく含まない)。いくつかの実施態様では、該医薬組成物は、1ミリリット
ルあたり約1.5×106個から1ミリリットルあたり約3.75×106個の細胞を含む。具体的実施
態様では、前記細胞は、凍結保存及び解凍されている。別の具体的実施態様では、前記細
胞は、70μMから100μMのフィルターで濾過されている。別の具体的実施態様では、前記
組成物は、106細胞あたり約200個よりも少ない微小細胞集塊(すなわち、拡大時のみ視認
可能な細胞集塊)を含む。別の具体的実施態様では、該医薬組成物は、106細胞あたり約15
0個よりも少ない微小細胞集塊を含む。別の具体的実施態様では、該医薬組成物は、106
胞あたり約100個よりも少ない微小細胞集塊を含む。別の具体的実施態様では、該医薬組
成物は、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、若しくは2%未満
のDMSO、又は1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、若しくは0.1%未満
のDMSOを含む。
本明細書でさらに提供されるのは、本明細書に開示する方法のうちの1つによって産生
される、細胞を含む組成物である。例えば、一実施態様では、該医薬組成物は、細胞を含
み、ここでは、該医薬組成物は、胎盤幹細胞を含む溶液を濾過して濾過細胞含有溶液を形
成することと;この濾過細胞含有溶液を、例えば凍結保存の前に、第1の溶液で、1ミリリ
ットルあたり約1から50×106、1から40×106、1から30×106、1から20×106、1から15×1
06、又は1から10×106細胞まで希釈することと;得られた濾過細胞含有溶液を、デキスト
ランを含むがヒト血清アルブミン(HSA)を含まない第2の溶液で希釈して、前記組成物を産
生することとを含む方法によって産生される。ある種の実施態様では、前記希釈は、1ミ
リリットルあたり多くとも約15×106細胞までである。ある種の実施態様では、前記希釈
は、1ミリリットルあたり多くとも約10±3×106細胞までである。ある種の実施態様では
、前記希釈は、1ミリリットルあたり多くとも約7.5×106細胞までである。他のある実施
態様では、濾過細胞含有溶液が、希釈前に1ミリリットルあたり約15×106個未満の細胞し
か含まないのであれば、濾過は任意である。他のある実施態様では、濾過細胞含有溶液が
、希釈前に1ミリリットルあたり約10±3×106個未満の細胞しか含まないのであれば、濾
過は任意である。他のある実施態様では、濾過細胞含有溶液が、希釈前に1ミリリットル
あたり約7.5×106個未満の細胞しか含まないのであれば、濾過は任意である。
具体的実施態様では、該細胞は、第1の希釈溶液での前記希釈と前記第2の希釈溶液での
前記希釈との間に凍結保存される。別の具体的実施態様では、第1の希釈溶液は、デキス
トラン及びHSAを含む。第1の希釈溶液又は第2の希釈溶液中のデキストランは、任意の分
子量のデキストラン、例えば、約10kDaから約150kDaの分子量を有するデキストランであ
り得る。いくつかの実施態様では、前記第1の希釈溶液又は前記第2の溶液中の前記デキス
トランは、約2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.
0%、8.5%、9.0%、9.5%、又は10%のデキストランである。別の具体的実施態様では、前記
第1の希釈溶液又は前記第2の希釈溶液中のデキストランは、デキストラン-40である。別
の具体的実施態様では、前記第1の希釈溶液及び前記第2の希釈溶液中のデキストランは、
デキストラン-40である。別の具体的実施態様では、前記第1の希釈溶液中の前記デキスト
ラン-40は、5.0%のデキストラン-40である。別の具体的実施態様では、前記第1の希釈溶
液中の前記デキストラン-40は、5.5%のデキストラン-40である。別の具体的実施態様では
、前記第2の希釈溶液中の前記デキストラン-40は、10%のデキストラン-40である。別の具
体的実施態様では、HSAを含む前記溶液中の前記HSAは、1から15%のHSAである。別の具体
的実施態様では、HSAを含む前記溶液中の前記HSAは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%
、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%のHSAである。別の具体的実施態様では、HSAを
含む前記溶液中の前記HSAは、10%のHSAである。別の具体的実施態様では、前記第1の希釈
溶液は、HSAを含む。より具体的な実施態様では、前記第1の希釈溶液中の前記HSAは、10%
のHSAである。別の具体的実施態様では、前記第1の希釈溶液は、凍結防止剤を含む。より
具体的な実施態様では、前記凍結防止剤は、DMSOである。別の具体的実施態様では、前記
第2の希釈溶液中の前記デキストラン-40は、約10%のデキストラン-40である。別の具体的
実施態様では、細胞を含む前記組成物は、約7.5%から約9%のデキストランを含む。別の具
体的実施態様では、該医薬組成物は、1ミリリットルあたり約1.0±0.3×106個から1ミリ
リットルあたり約5.0±1.5×106個の細胞を含む。別の具体的実施態様では、該医薬組成
物は、1ミリリットルあたり約1.5×106個から1ミリリットルあたり約3.75×106個の細胞
を含む。
別の実施態様では、該医薬組成物は、(a)胎盤幹細胞を含む細胞含有溶液を凍結保存前
に濾過して、濾過細胞含有溶液を生成することと;(b)該濾過細胞含有溶液中の細胞を1ミ
リリットルあたり約1~50×106、1~40×106、1~30×106、1~20×106、1~15×106、又
は1~10×106細胞で凍結保存することと;(c)該細胞を解凍することと;(d)該濾過細胞含有
溶液をデキストラン-40溶液で約1:1から約1:11(v/v)希釈することとを含む方法によって
製造される。ある種の実施態様では、細胞の数が、ステップ(a)の前に1ミリリットルあた
り約10±3×106細胞未満であれば、濾過は任意である。より具体的な実施態様では、ステ
ップ(b)における細胞は、1ミリリットルあたり約10±3×106細胞で凍結保存される。より
具体的な実施態様では、ステップ(b)における細胞は、約5%から約10%のデキストラン-40
及びHSAを含む溶液中で凍結保存される。ある種の実施態様では、ステップ(b)における前
記希釈は、多くとも1ミリリットルあたり約15×106細胞までである。
別の実施態様では、該医薬組成物は、(a)10%のHSAを含む5.5%のデキストラン-40溶液に
PDACTMを懸濁させて、細胞含有溶液を形成することと;(b)該細胞含有溶液を70μMフィル
ターで濾過することと;(c)該細胞含有溶液を、5.5%のデキストラン-40、10%のHSA、及び5
%のDMSOを含む溶液で、1ミリリットルあたり約1~50×106、1~40×106、1~30×106、1
~20×106、1~15×106、又は1~10×106細胞まで希釈することと;(d)該細胞を凍結保存
することと;(e)該細胞を解凍することと;(f)該細胞含有溶液を、10%のデキストラン-40で
1:1から1:11(v/v)希釈することとを含む方法によって製造される。ある種の実施態様では
、ステップ(c)における前記希釈は、1ミリリットルあたり多くとも約15×106細胞までで
ある。ある種の実施態様では、ステップ(c)における前記希釈は、多くとも約10±3×106
細胞/mLまでである。ある種の実施態様では、ステップ(c)における前記希釈は、多くとも
約7.5×106細胞/mLまでである。
別の実施態様では、細胞を含む組成物は、(a)複数の胎盤幹細胞を遠心分離して、細胞
を収集することと;(b)該細胞を5.5%のデキストラン-40に再懸濁させることと;(c)該細胞
を遠心分離して細胞を収集することと;(d)該細胞を、10%のHSAを含む5.5%のデキストラン
-40溶液に再懸濁させることと;(e)該細胞を70μMフィルターで濾過することと;(f)該細胞
を5.5%のデキストラン-40、10%のHSA、及び5%のDMSOで、1ミリリットルあたり約1~50×1
06、1~40×106、1~30×106、1~20×106、1~15×106、又は1~10×106細胞まで希釈す
ることと;(g)該細胞を凍結保存することと;(h)該細胞を解凍することと;(i)該細胞を10%
のデキストラン-40で1:1から1:11(v/v)希釈することとを含む方法によって製造される。
ある種の実施態様では、ステップ(f)における前記希釈は、1ミリリットルあたり多くとも
約15×106細胞までである。ある種の実施態様では、ステップ(f)における前記希釈は、多
くとも約10±3×106細胞/mLまでである。ある種の実施態様では、ステップ(f)における前
記希釈は、多くとも約7.5×106細胞/mLまでである。他のある実施態様では、細胞の数が
、1ミリリットルあたり約10±3×106細胞未満であれば、濾過は任意である。
本明細書に記載する、組成物、例えば単離された胎盤細胞を含む医薬組成物は、本明細
書に記載する単離された胎盤幹細胞のいずれかを含むことができる
細胞性生成物の投与に適した他の注射用製剤も、使用することができる。
ある種の実施態様では、該胎盤幹細胞を、凍結保存の前又は後に、例えばアルギナート
中に封入することができる。ある種の他の実施態様では、例えば局所注射又は局所投与用
途のために、該胎盤幹細胞を、多血小板血漿と組み合わせることができる。具体的実施態
様では、多血小板血漿は、例えば、胎盤幹細胞が投与される、疼痛を有する個人自身の、
自己多血小板血漿である。他の具体的実施態様では、多血小板血漿は、胎盤幹細胞が投与
される、疼痛を有する個人と同種である。別の具体的実施態様では、前記多血小板血漿は
、胎盤灌流液に由来する。他の具体的実施態様では、該組成物中の胎盤幹細胞と多血小板
血漿の体積-体積比、若しくは胎盤幹細胞の数と血小板の数の比は、約10:1から1:10;約10
0:1から1:100である;又は約1:1である。
一実施態様では、該医薬組成物は、実質的に又は完全に母親起源ではない、すなわち、
胎児の遺伝子型を有する;例えば、少なくとも約90%、95%、98%、99%、又は約100%が、母
親起源ではない、単離された胎盤細胞又はPDACTMを含む。
具体的実施態様では、該医薬組成物は、胎盤から得られるのではない幹細胞をさらに含
む。
本明細書で提供される組成物、例えば医薬組成物中の、単離された胎盤幹細胞は、単一
のドナーに、又は複数のドナーに由来する胎盤幹細胞を含むことができる。該単離された
胎盤細胞は、意図されるレシピエントと完全にHLAが適合するものであっても、部分的若
しくは完全にHLAが適合しないものであってもよい。
(5.9胎盤幹細胞の条件付け培地)
本明細書で提供される胎盤幹細胞(臍帯幹細胞を含めて)を使用して、例えば、疼痛を有
する個人の治療又は個人における疼痛の改善のための、条件付け培地を生成することがで
きる。種々の実施態様では、条件付け培地は、その中で胎盤幹細胞が、少なくとも1、2、
3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日間、又はそれ以上の間成長している培地を
含む。他の実施態様では、条件付け培地は、その中で胎盤幹細胞が、少なくとも30%、40%
、50%、60%、70%、80%、90%コンフルエントまで、又は最大100%コンフルエントまで成長
している培地を含む。別の実施態様では、条件付け培地は、その中で胎盤幹細胞及び非胎
盤幹細胞、非臍帯幹細胞が培養されている培地を含む。
(5.10胎盤細胞を含むマトリクス)
本明細書でさらに提供されるのは、胎盤幹細胞を含むマトリクス、ヒドロゲル、スキャ
フォールドなどである。本明細書で提供される胎盤幹細胞は、天然のマトリクス、例えば
、羊膜材料などの胎盤生体材料に播種することができる。こうした羊膜材料は、例えば、
哺乳類胎盤から直接的に切開された羊膜;固定された又は加熱処理された羊膜、実質的に
乾燥している(すなわち、<20%H2Oの)羊膜、絨毛膜、実質的に乾燥している絨毛膜、実
質的に乾燥している羊膜と絨毛膜などであり得る。胎盤細胞を播種することができる好ま
しい胎盤生体材料は、Haririの米国特許出願公開第2004/0048796号に記載されている。
本明細書で提供される胎盤細胞は、例えば注射に適したヒドロゲル溶液に懸濁させるこ
とができる。こうした組成物に適したヒドロゲルとしては、RAD16などの自己集合ペプチ
ドが挙げられる。胎盤幹細胞はまた、例えば局所注射のためのアルギナート若しくは多血
小板血漿、又は他のフィブリン含有するマトリクスと組み合わせることもできる。一実施
態様では、胎盤幹細胞を含むヒドロゲル溶液を、例えば鋳型中で硬化させて、その中に分
散した細胞を有する埋め込み用のマトリクスを形成することができる。こうしたマトリク
ス中の胎盤幹細胞を、この細胞が埋め込み前に有糸分裂によって拡大されるように培養す
ることもできる。該ヒドロゲルは、例えば、共有結合、イオン結合、又は水素結合によっ
て架橋されて3次元の開放格子構造をもたらす(この3次元開放格子構造が、水分子を捕捉
してゲルを形成する)有機ポリマー(天然又は合成)であり得る。ヒドロゲル形成材料とし
ては、イオンによって架橋される多糖類(アルギナート及びその塩など)、ペプチド、ポリ
ホスファジン、及びポリアクリレート、又は、それぞれ温度若しくはpHによって架橋され
るブロックポリマー(ポリエチレンオキシド-ポリプロピレングリコールブロックコポリマ
ーなど)が挙げられる。いくつかの実施態様では、ヒドロゲル又はマトリクスは、生分解
性である。
いくつかの実施態様では、マトリクスは、インサイチューで重合可能なゲルを含む(例
えば、米国特許出願公開第2002/0022676号;Ansethらの文献、J.Control Release,78(1-3)
:199-209(2002);Wangらの文献、Biomaterials,24(22):3969-80(2003)を参照のこと)。
いくつかの実施態様では、ポリマーは、荷電側鎖基又はその一価のイオン性塩を有する
、水、緩衝塩類溶液、又は水性アルコール溶液などの水溶液に、少なくとも部分的に溶解
可能である。カチオンと反応することができる酸側鎖基を有するポリマーの例は、ポリ(
ホスファゼン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、アクリル酸とメタクリル酸の
コポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、及びスルホン化ポリマー(スルホン化ポリスチレンなど)
である。アクリル酸又はメタクリル酸とビニルエーテルモノマー又はビニルエーテルポリ
マーとの反応によって形成される酸側鎖基を有するコポリマーを使用することもできる。
酸基の例は、カルボン酸基、スルホン酸基、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)アルコール
基、フェノール性OH基、及び酸性OH基である。
胎盤幹細胞は、3次元フレームワーク又はスキャフォールドに播種し、インビボで埋め
込むことができる。こうしたフレームワークは、任意の1種以上の、成長因子、細胞、薬
物、又は組織形成を刺激する若しくは本明細書別所記載の治療の方法の実践を改善する他
の成分と組み合わせて埋め込むことができる。
本明細書に記載する治療の方法において使用することができるスキャフォールドの例と
しては、不織マット、多孔性発泡体、又は自己集合ペプチドが挙げられる。不織マットは
、グリコール酸と乳酸の合成の吸収性コポリマー(例えばPGA/PLA)(VICRYL,Ethicon社、ニ
ュージャージー州Somerville)から構成される繊維を用いて形成することができる。フリ
ーズドライ又は凍結乾燥などのプロセスによって形成される、例えば、ポリ(ε-カプロラ
クトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーから構成される発泡体(例えば、米国特
許第6,355,699号を参照のこと)も、スキャフォールドとして使用することができる。
別の実施態様では、スキャフォールドは、ナノ繊維スキャフォールド、例えば電界紡糸
ナノ繊維スキャフォールドである又はこれを含む。より具体的な実施態様では、前記ナノ
繊維スキャフォールドは、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、I型コラーゲン、フッ化ビニリデンとト
リフルオロエチレンとのコポリマー(PVDF-TrFE)、ポリ(-カプロラクトン)、ポリ(L-ラク
チド-コ-ε-カプロラクトン)[P(LLA-CL)](例えば75:25)、及び/又はポリ(3-ヒドロキシブ
チラート-コ-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)とI型コラーゲンとのコポリマーを含む。ナ
ノ繊維スキャフォールド、例えば電界紡糸ナノ繊維スキャフォールドを生成する方法は、
当技術分野で公知である。例えば、Xuらの文献、Tissue Engineering 10(7):1160-1168(2
004);Xuらの文献、Biomaterials 25:877-886(2000);Mengらの文献、J. Biomaterials Sci
.,Polymer Edition 18(1):81-94(2007)を参照のこと。
本明細書に記載する胎盤幹細胞はまた、限定はされないが、モノ-、ジ-、トリ-、α-ト
リ-、β-トリ-、及びテトラ-リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタ
イト、硫酸カルシウム、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カ
ルシウムマグネシウム、BIOGLASS(登録商標)などの生体活性ガラス、並びにこれらの混合
物を含めた、生理的に許容し得るセラミック材料に播種する又は該セラミック材料と接触
させることができる。市販品として現在入手できる多孔性の生体適合性セラミック材料と
しては、SURGIBONE(登録商標)(CanMedica社、カナダ)、ENDOBON(登録商標)(Merck Biomat
erial France社、フランス)、CEROS(登録商標)(Mathys,AG社、スイスBettlach)、並びに
石灰化コラーゲン骨移植用製品(HEALOS(商標)(DePuy社、マサチューセッツ州Raynham)、
及びVITOSS(登録商標)、RHAKOSS(商標)、及びCORTOSS(登録商標)(Orthovita社、ペンシル
バニア州Malvern)など)が挙げられる。フレームワークは、天然及び/又は合成材料の混合
物、ブレンド、又は複合体であり得る。
別の実施態様では、胎盤幹細胞は、例えば、生体吸収性材料(PGA、PLA、PCLコポリマー
若しくはブレンド、又はヒアルロン酸など)でできたマルチフィラメント糸から構成する
ことができるフェルトに播種する又は該フェルトと接触させることができる。
本明細書に記載する胎盤幹細胞は、別の実施態様では、複合体構造であり得る発泡体ス
キャフォールドに播種することができる。こうした発泡体スキャフォールドを、有用な形
状に成型することができる。いくつかの実施態様では、フレームワークは、細胞接着を強
化するために、胎盤細胞の接種前に、例えば0.1M酢酸で処理し、続いて、ポリリジン、PB
S、及び/又はコラーゲン中でインキュベートされる。マトリクスの外側表面を、例えば、
マトリクスをプラズマコーティングすることによって、又は1種以上のタンパク質(例えば
、コラーゲン、弾性繊維、網状繊維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(例えば、ヘ
パリン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラチ
ン硫酸など)、細胞マトリクス、及び/又は他の材料(限定はされないが、ゼラチン、アル
ギナート、寒天、アガロース、及び植物ゴムなど)の添加によって、修飾して、細胞の接
着又は成長、及び組織の分化を向上させることができる。
いくつかの実施態様では、スキャフォールドは、スキャフォールドを非血栓形成性にす
る材料を含む、又は該材料で処理される。これらの処理及び材料はまた、内皮成長、移動
、及び細胞外マトリクス沈着を促進及び持続させることもできる。これらの材料及び処理
の例としては、限定はされないが、天然材料、例えば基底膜タンパク質(ラミニン及びIV
型コラーゲンなど)など、合成材料、例えばEPTFE、及びセグメント化ポリウレタン尿素シ
リコーン(PURSPAN(商標)(The Polymer Technology Group社、カリフォルニア州Berkeley)
など)などが挙げられる。スキャフォールドはまた、ヘパリンなどの抗血栓剤を含むこと
もできるし;胎盤幹細胞を播種する前に、スキャフォールドを、表面電荷を変化させるよ
うに処理する(例えばプラズマコーティングする)こともできる。
(5.10.1遺伝子改変された胎盤幹細胞)
別の態様では、本明細書で提供されるのは、例えば、対象となる核酸又はポリペプチド
を産生するように遺伝子改変された胎盤細胞である。遺伝子改変は、ウイルスベースのベ
クター(限定はされないが、非組み込み複製ベクター、例えば、パピローマウイルスベク
ター、SV40ベクター、アデノウイルスベクター;組み込みウイルスベクター、例えば、レ
トロウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクター;又は、複製欠損ウイルスベクタ
ーを含めて)を使用して、達成することができる。DNAを細胞へ導入する他の方法としては
、リポソームの使用、電気穿孔法、粒子銃、直接DNA注入などが挙げられる。
幹細胞は、例えば、1以上の適切な発現制御因子(例えば、プロモーター若しくはエンハ
ンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、配列内リボソーム進入部位)に
よって制御された、又は該因子と操作的に関連するDNAで、形質転換又は形質移入するこ
とができる。こうしたDNAは、選択可能マーカーを組み込んでいることが好ましい。外来D
NAの導入後、操作された幹細胞は、例えば、強化培地中で成長させ、その後選択培地に切
り替えることができる。一実施態様では、胎盤細胞を操作するために使用するDNAは、対
象となるポリペプチド(例えば、サイトカイン、成長因子、分化剤、又は治療用ポリペプ
チド)をコードしているヌクレオチド配列を含む。
幹細胞を操作するために使用するDNAは、哺乳類細胞、例えばヒト細胞におけるヌクレ
オチド配列の発現を進めるために、当技術分野において公知の任意のプロモーターを含む
ことができる。例えば、プロモーターとしては、限定はされないが、CMVプロモーター/エ
ンハンサー、SV40プロモーター、パピローマウイルスプロモーター、エプスタイン-バー
ウイルスプロモーター、エラスチン遺伝子プロモーターなどが挙げられる。具体的実施態
様では、ヌクレオチド配列が、所望される場合にのみ発現されるように、プロモーターを
調節可能である。プロモーターは、誘導性(例えば、メタロチオネイン及び熱ショックタ
ンパク質と関係するもの)又は構成性であり得る。
別の具体的実施態様では、プロモーターは、組織特異的である、又は、組織特異性を示
す。こうしたプロモーターの例としては、限定はされないが、ミエリン塩基性タンパク質
遺伝子制御領域(Readheadらの文献、1987,Cell 48:703)(乏突起膠細胞);エラスターゼI遺
伝子制御領域(Switらの文献、1984,Cell 38:639;Ornitzらの文献、1986,Cold Spring Har
bor Symp.Quant.Biol.50:399;MacDonaldの文献、1987,Hepatology 7:425)(膵腺房細胞);
インスリン遺伝子制御領域(Hanahanの文献、1985,Nature 315:115)(膵β細胞);ミオシン
軽鎖-2遺伝子制御領域(Shaniの文献、1985,Nature 314:283)(骨格筋)が挙げられる。
胎盤細胞は、1以上の遺伝子を「ノックアウト」又は「ノックダウン」発現するように
操作することができる。細胞に本来存在する遺伝子の発現は、例えば、その遺伝子を完全
に不活性化することによる(例えば相同組み換えによる)発現の阻害によって、低下させる
ことができる。一実施態様では、例えば、タンパク質の重要な領域をコードしているエキ
ソン又はその領域に対するエキソン5'は、陽性の選択可能マーカー(例えば、正常なmRNA
の標的遺伝子からの産生を妨害し、かつこの遺伝子の不活性化をもたらすneo)によって妨
害される。遺伝子はまた、遺伝子の一部の欠失を作り出すことによって、又は全遺伝子を
欠失させることによって不活性化することもできる。ゲノム内で遠く離れた、標的遺伝子
と相同な2つの領域を伴う構築物を使用することによって、これらの2つの領域の間にある
配列を欠失させることができる(Mombaertsらの文献、1991,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.88:
3084)。標的遺伝子の発現を阻害するアンチセンス、DNAザイム、低分子干渉RNA、及びリ
ボザイム分子もまた、幹細胞における標的遺伝子活性のレベルを低下させるために使用す
ることができる。例えば、主要組織適合性遺伝子複合体(HLA)の発現を阻害するアンチセ
ンスRNA分子は、免疫応答に関して最も用途が広いことが示されている。3本鎖分子を、標
的遺伝子活性のレベルの低下に利用することができる。例えば、参照により本明細書に組
み込まれる、L.G.Davisら(編)の文献、1994年、「分子生物学における基本的方法(BASIC
METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY)」、第2版、Appleton&Lange社、コネチカット州Norwalk
を参照のこと。
具体的実施態様では、胎盤細胞は、対象となるポリペプチドをコードしているヌクレオ
チド配列を含む核酸分子によって遺伝子改変することができる。ここでは、対象となるポ
リペプチドの発現は、外因性因子、例えば、ポリペプチド、有機小分子などによって制御
可能である。こうしたポリペプチドは、治療用ポリペプチドであり得る。より具体的な実
施態様では、対象となるポリペプチドは、IL-12又はインターロイキン-1受容体アンタゴ
ニスト(IL-1Ra)である。より具体的な別の実施態様では、対象となるポリペプチドは、イ
ンターロイキン-1受容体アンタゴニストとジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)との融合体であり
、外因性因子は、葉酸代謝拮抗剤、例えばメトトレキサートである。こうした構築物は、
メトトレキセートとの接触時にIL-1Ra、又はIL-1RaとDHFRとの融合体を発現する胎盤細胞
の操作において有用である。こうした構築物は、例えば、関節リウマチの治療において使
用することができる。この実施態様では、IL-1RaとDHFRとの融合体は、メトトレキサート
などの葉酸代謝拮抗剤への曝露時に、翻訳によって上方調節される。したがって、別の具
体的実施態様では、胎盤細胞を遺伝子操作するために使用される核酸は、第1のポリペプ
チド及び第2のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含むことができ、ここ
では、前記第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、外因性因子の存在下で翻訳によ
って上方調節される融合タンパク質として発現される。該ポリペプチドは、一時的に又は
長期間(例えば、数週間又は数ヶ月にわたって)発現することができる。
こうした核酸分子は、操作された幹細胞の陽性選択を可能にする、又は操作された幹細
胞の可視化を可能にするポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列をさらに含むこ
とができる。より具体的な別の実施態様では、該ヌクレオチド配列は、例えば適切な可視
化条件下で蛍光を発するポリペプチド、例えば、ルシフェラーゼ(Luc)をコードしている
。より具体的な実施態様では、こうした核酸分子は、IL-1Ra-DHFR-IRES-Lucを含むことが
できる。ここでは、IRESは、配列内リボソーム進入部位である。
(5.10.2不死化胎盤幹細胞株)
胎盤幹細胞は、成長促進タンパク質の産生及び/又は活性が外部因子によって調節可能
となるように、成長促進遺伝子(すなわち、適切な条件下で胎盤幹細胞の成長を促進する
タンパク質をコードする遺伝子)を含有するベクターを用いる形質移入によって、条件的
不死化することができる。好ましい実施態様では、成長促進遺伝子は、発癌遺伝子、例え
ば、限定はされないが、v-myc、N-myc、c-myc、p53、SV40ラージT抗原、ポリオーマラー
ジT抗原、E1aアデノウイルス、又はヒトパピローマウイルスのE7タンパク質などである。
成長促進タンパク質の外部調節は、外部調節可能なプロモーター(例えば、例えば、プ
ロモーターが応答性である化合物と細胞を接触させることによってその活性を制御するこ
とができるプロモーター)の制御下に成長促進遺伝子を配置することによって実現するこ
とができる。一実施態様では、テトラサイクリン(tet)によって制御される遺伝子発現系
を用いることができる(Gossenらの文献、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547-5551,1992;Ho
shimaruらの文献、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:1518-1523,1996を参照のこと)。tetの非
存在下で、このベクター内のtet制御性トランス活性化因子(tTA)は、phCMV*-1(すなわちt
etオペレーター配列と融合されたヒトサイトメガロウイルス由来の最小プロモーター)か
らの転写を強く活性化する。tTAは、大腸菌のトランスポゾン-10由来のtet耐性オペロン
のリプレッサー(tetR)と単純ヘルペスウイルスのVP16の酸性ドメインとの融合タンパク質
である。非毒性の低濃度のtet(例えば、0.01~1.0μg/mL)は、tTAによるトランス活性化
をほぼ完全に消失させる。
一実施態様では、ベクターは、選択可能マーカー(例えば薬物耐性を付与するタンパク
質)をコードする遺伝子をさらに含有する。細菌のネオマイシン耐性遺伝子(neoR)は、本
明細書に記載する方法内で用いることができる、こうしたマーカーの1つである。neoR
有する細胞は、例えば、100~200μg/mLのG418の成長培地への添加など、当業者に公知の
手段によって選択することができる。
形質移入は、限定はされないがレトロウイルス感染を含めて、当業者に公知の様々な手
段のいずれかによって達成することができる。一般に、細胞培養株を、ベクターのための
プロデューサー細胞株から収集された条件付け培地とN2サプリメント含有DMEM/F12との混
合物とのインキュベーションによって、形質移入させることができる。例えば、先に記載
した通りに調製した胎盤細胞培養株を、例えば5日後に、1体積の条件付け培地と2体積のN
2サプリメント含有DMEM/F12中での約20時間のインキュベーションによって、インビトロ
で感染させることができる。その後、選択可能マーカーを有する形質移入された細胞を、
先に記載した通りに選択することができる。
形質移入後、培養株を、増殖を可能にする(例えば、細胞の少なくとも30%を24時間で2
倍にする)表面上で継代する。好ましくは、基材は、ポリオルニチン(10μg/mL)及び/又は
ラミニン(10μg/mL)でコーティングされた組織培養プラスチックからなるポリオルニチン
/ラミニン基材、ポリリジン/ラミニン基材、又はフィブロネクチンで処理された表面であ
る。その後、培養株に、3~4日ごとに成長培地(この成長培地には、1種以上の増殖増強因
子が補足されていてもされていなくてもよい)を供給する。増殖増強因子は、培養株が50
%コンフルエント未満である場合に、成長培地に添加することができる。
この条件的不死化された胎盤幹細胞株を、80~95%コンフルエント時に、トリプシン処
理によるものなどの標準の技術を使用して継代することができる。約20回目の継代までは
、いくつかの実施態様では、選択(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子を含有する細胞につ
いてはG418の添加による)を継続することが有益である。細胞は、長期保管のために液体
窒素中で凍結することもできる。
先に記載した通りに調製した、条件的不死化されたヒト胎盤幹細胞株から、クローン細
胞株を単離することができる。一般に、こうしたクローン細胞株は、標準の技術を使用し
て、例えば、限界希釈によって、又はクローニングリングを使用して単離し、拡大するこ
とができる。クローン細胞株は一般に、先に記載した通りに生育及び継代することができ
る。
条件的不死化されたヒト胎盤幹細胞株(これは、クローンである必要はないが、クロー
ンであってもよい)は一般に、分化を促進する培養条件下で成長促進タンパク質の産生及
び/又は活性を抑制することによって、分化するように誘導することができる。例えば、
成長促進タンパク質をコードする遺伝子が、外部調節可能プロモーターの制御下にある場
合、例えば培地の温度又は組成などの条件を変更して、成長促進遺伝子の転写を抑制する
ことができる。先に論じたテトラサイクリン制御型の遺伝子発現系については、成長促進
遺伝子の転写を抑制するためのテトラサイクリンの添加によって、分化を実現することが
できる。一般に、分化を開始するためには、4~5日間の1μg/mLのテトラサイクリンで十
分である。さらなる分化を促進するために、成長培地に、追加の薬剤を含めることができ
る。
(6.実施例)
(6.1実施例1:胎盤幹細胞を使用する神経障害性疼痛の成功裏の治療)
この実施例は、CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞(PDACTM)が、神経障害性疼痛
を軽減するのに有効であることを実証する。
ラット神経障害性疼痛モデルを使用した。体重175~200gの雄のSprague Dawleyラット
を、3つの実験動物群に分け、1×106、3×106、又は1×107個のPDACTMを静脈内に与えた
。陰性対照動物には、ビヒクルのみを与えた。陽性対照動物には、手術の11、14、18、21
、25、28、及び35日後に、50mg/kg又は100mg/kgのギャバペンチン(疼痛軽減剤)を与えた
外科的処置:第0日(D0)に、ケタミン(85mg/kg)/キシラジン(5mg/kg)混合物のIP注射によ
って、麻酔をかけた。このラットの左の傍脊柱筋群を、L4からS2までの棘突起から分離し
た。L6横突起を、小さな骨鉗子を用いて注意深く外し、L4~L6脊髄神経を視覚によって特
定した。左のL5及びL6脊髄神経を、取り出して5-0絹糸できつく結紮した。その後、動物
を回復させた。
D7に、すべての群についての疼痛感受性を、基準として評価した。疼痛感受性は、すべ
ての動物について、D11、D14、D18、D21、D25、D28、及びD35に、再び評価した。
疼痛を与える処置の前に、D-1に、各ラットを、10~15分の順応期間の間、Plexiglasチ
ャンバーに入れた。このラットを、次の通りに、最も細い8gフィラメントから最も太い15
gフィラメント(8、10、15g)までの範囲のVon Frey Filament Assortmentに対する感受性
について評価した。個々のvon Freyフィラメントを、試験動物に適用し、5回連続して又
は反応が起こるまで、下方向から上まで、ラットの後肢の各足(下向き)の中央をピンポイ
ントで接触させた。この試験を、別の選択したフィラメントそれぞれを用いて、最小90秒
間隔で繰り返した。ラットが、あるセッションにおいて少なくとも3回、足を持ち上げれ
ば、これを、最小の疼痛感受性レベルとみなした。
ギャバペンチンでの治療、及び、すべての動物の試験を、手術の11、14、17、21、24、
及び28日後に実施した。ギャバペンチンを与えられる動物は、各試験日に治療し、各投薬
の2時間後に、毎日ほぼ同じ時刻に試験した。第7~8日目に後肢における筋緊張の不足又
は引き込み反射の消失によって明らかになる運動障害が示された動物は、研究から除外し
た。
実験中に疼痛感受性を評価するために、ラットを15~20分の順応期間の間、Plexiglas
チャンバーに入れた。続いてこのラットを、最初に最も細いvon Freyフィラメントを、5
回連続して又は反応が起こるまで後足に接触させることを除いて、基準の疼痛閾値を確立
するための先述の通りの最も細い0.6gフィラメントから最も太い15gフィラメント(0.6、1
.4、2、4、6、8、10、15g)までの範囲のvon Frey Filamentを使用して、接触性アロディ
ニア(通常は有痛ではない刺激による疼痛)について評価した。反応が起こらない場合、次
に太いフィラメントを同様に適用し、引っ込み反応が得られるまで繰り返した。いったん
引っ込み反応が得られたら、前述のフィラメント(1つ又は複数)を降順に用いて、反応が
観察されなくなるまで、その足を再試験した。次のフィラメントとの間隔は、多くとも約
90秒に保たれた。各動物は、このようにして、両方の後足を試験した;最初に右肢(注射さ
れる肢)、続いて左肢。反応を誘発するために必要とされる最小量の力を、引っ込み閾値
としてグラムで記録した。
ギャバペンチン(GBP)を、各試験日(D11、D14、D17、D21、D24、D28、及びD35)に、腹腔
内に(IP)投与した。PDACTMを、第7日又は第8日に、静脈内に(IV)投与した。
試験作業の時系列図を下の表1に示す。
Figure 2022033938000005
(結果)
10×107投与レベルでのPDACTMの投与は、特にD21、D28、及びD35で、ビヒクル治療動物
と比較した場合に、このアッセイにおける感受性スコアを有意に改善した;すなわち、こ
れらの動物は、異痛症の軽減を示した。図1を参照のこと。この投与量の結果は、50mg/kg
GBPに匹敵していた。TOPAR(全体的疼痛緩和)と呼ばれる集計的な疼痛緩和スコアを、治療
後の機械的感受性の低下の曲線下面積(AUC)として算出した。この分析によって、PDACTM
が、疼痛感受性スコアを有意に改善することが確認される。図2を参照のこと。したがっ
て、これらの分析によって、PDACTMを使用して疼痛を治療することができることが確認さ
れる。
(6.2実施例2:癌疼痛及び炎症性疼痛の治療におけるPDACTMの有効性を確立する前臨床研究
)
この実施例は、癌疼痛及び炎症性疼痛の治療におけるCD10+、CD34-、CD105+、CD200+
盤幹細胞(PDACTM)の有効性を実証するための研究を記載する。
(6.2.1骨癌疼痛)
無菌障壁内に収容した、生後5週の免疫不全雄マウス(CB17-SCRF;Taconic Laboratories
社)を使用する。生後6週で、機械的及び熱的感受性についての基準の測定を実施する。翌
日、これらのマウスに、100mg/kgケタミン及び20mg/kgキシラジンで麻酔をかけ、5×104P
C3-ML細胞(100μL無血清DMEM/F12中)を左心室内に接種する。この手順によって、80%超の
接種マウスの脛骨及び大腿骨内に骨腫瘍(skeletal tumor)が一貫して産生されるが;PC3-M
L細胞は、副腎内に産生する小さな腫瘍を除いて、いかなる軟組織器官にも転移しない。P
C3-ML細胞を、緑色蛍光タンパク質の明るい変異形(eGFP)を安定的に発現するように操作
して、蛍光顕微鏡観察によるこの細胞のフレームワークへの拡散の視覚化を可能にする。
最初に、PC13-ML細胞接種の1、4、7、10、14、21、及び28日後に、機械的及び熱的過敏
性を測定して、疼痛の発生及び持続性の時間経過を決定する。疼痛感受性の定量化可能か
つ統計学的に有意な変化の開始が、いったん確認されたら、胎盤幹細胞の効果を検査する
。疼痛の開始後に、胎盤幹細胞を投与し、研究期間中に、定期的な疼痛評価を行う。PDAC
TMを、例えば、投与あたり0.1×106細胞、0.6×106細胞、及び1.5×106細胞の用量で、実
験マウスに投与する。対照動物には、ビヒクルのみ与える。したがって、例えば、平均で
接種の12日後に疼痛感受性の統計学的に有意な変化が生じた場合、PDACTM(3つの投薬量の
うちの1つ)をこの日に投与し、その後、疼痛試験を行い、第13、16、23、及び30日に疼痛
評価を行う。疼痛過敏性の初期減弱、それに続く再発が存在する場合、この研究は、任意
に、PDACTMの第2の投与を含む。
この研究の第一相(すなわち、疼痛の発生後のPDACTMの投与)において疼痛感受性の変化
を示さないマウスを、この研究から排除する。
(6.2.2化学療法誘発疼痛)
この研究は、パクリタキセルによって誘発される神経障害性疼痛に対するCD10+、CD34-
、CD105+、CD200+胎盤幹細胞の有効性を実証する。この研究では、マウス(C57BL/6J)に化
学療法薬としてパクリタキセルを注射する。パクリタキセルは、ヒトと動物の両方におい
て神経障害性疼痛をもたらすことが実証されている(例えば、Authierらの文献、「化学療
法誘発性有痛性末梢神経障害の動物モデル(Animal models of chemotherapy-evoked pain
ful peripheral neuropathies)」、Neurotherapeutics 6:620-629(2009);Gauchanら、200
9;Golden及びJohnson、2004を参照のこと)。
パクリタキセルの投与の前に、マウスにおける基準の感受性を決定する。その後、マウ
スにある用量のパクリタキセル(5mg/kg、腹腔内)を投与し、第1、4、7、10、及び14日に
、機械的及び熱的過敏性を測定する。疼痛感受性は通常、このモデルでは第14日に最大と
なり、最大35日持続する。第14日に、PDACTMを、例えば、投与あたり0.1×106細胞、0.6
×106細胞、及び1.5×106細胞の用量で、実験マウスに投与し、その後、試験を行う。対
照動物には、ビヒクルのみ与える。第15、21、28、及び35日に、すべての動物について、
疼痛感受性評価を行う。陽性対照動物には、有効な用量で投与されるギャバペンチン又は
モルヒネを与える。
(6.2.3炎症性疼痛モデル)
この研究は、炎症性疼痛モデルにおける、疼痛に対するCD10+、CD34-、CD105+、CD200+
胎盤幹細胞の有効性を実証する。
マウス(C57BL/6J)には、後足の足底面に、炎症用量の完全フロイントアジュバント(CFA
;50%、塩類溶液中に溶解)の20μL皮下注射を施す。疼痛感受性は一般的に、CFA注射の3時
間後に最大となり、最大14日持続し得る。PDACTMを、CFA投与の3時間後に、例えば、投与
あたり0.1×106細胞、0.6×106細胞、及び1.5×106細胞の用量で、実験マウスに投与する
。陽性対照マウスには、疼痛軽減有効用量の非ステロイド性抗炎症薬物、例えば、セレコ
キシブ(CELEBREX(登録商標))を投与する。その後、第1、3、7、及び14日に、機械的及び
熱的過敏性を測定する。
先述の疼痛研究のそれぞれについて、先述の実施例1に記載した通りのvon Freyフィラ
メントを使用して、機械的アロディニアを評価する。Hargreaves手順を使用して、熱的感
受性を評価する。Hargreavesアッセイは、Plexiglasチャンバー内に立ったままの動物の
後足の足底面に放射熱源を当てて、熱からの後足の引っ込みに対する潜時を測定すること
によって、自由に行動している動物における侵害受容性感受性を測定する。冷感受性は、
アセトンを使用して評価することとなり;この方法では、アセトンの液滴を後足に適用し
、続いてこれが蒸発し、表面からの後足の引っ込みに対する潜時を測定する。
それぞれの研究では、PDACTMを尾静脈内にIV投与する。各研究における対照ビヒクルは
、5%のデキストラン-40(塩類緩衝液中)である。
(6.3実施例3:PDACTMを使用する神経障害性疼痛の治療)
(6.3.1静脈内投与)
ケース1
ある個人が、パクリタキセルの投与に関連する四肢における神経障害性疼痛を呈してい
る。担当の癌専門医は、パクリタキセル療法の持続が強く指示されることを指摘している
。疼痛質的評価スケールを使用して、疼痛の評価を実施し、疼痛の質を、それぞれ示され
たタイプの疼痛について、0~10のスケールで示す。集計的スコアも記録する。疼痛評価
後、この個人に、1×109個のCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞(PDACTM)(通常の
塩類溶液中)を、静脈内注入によって投与する。この個人を、その後7日間、あらゆる有害
事象について観察し、投与の7日後に疼痛について再評価する。各個人の疼痛の質につい
てのスコア、及び全集計的疼痛スコアを、投与前のこれらのスコアと比較する。疼痛質的
スコアの大部分、又は集計的スコアが、投与後に低下しない場合には、この個人に、1×1
09個のPDACTM(通常の塩類溶液中)の静脈内注入による第2の投与を任意に施す。その後、
この個人を、パクリタキセル療法の期間中、任意にその後6ヶ月間、観察し;疼痛質的評価
スケールによって、パクリタキセル関連の疼痛が増大したと判定された時にはいつでも、
PDACTMの投与を繰り返す。
ケース2
78歳の糖尿病の個人が、歩行を困難にする明らかな坐骨神経障害を伴う、主として肢に
受けている糖尿病性神経障害を呈している。個人の疼痛を、座っている間と歩いている間
との両方の数値的疼痛評価スケールを使用して評価する。疼痛評価後、この個人に、1×1
09個のCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞(PDACTM)(通常の塩類溶液中)を、静脈内
注入によって投与する。この個人を、その後7日間、あらゆる有害事象について観察し、
座っている間と歩いている間との両方で、投与の7日後に疼痛について再評価する。個人
が、座っている間、歩いている間、又はその両方で、疼痛の低下を示せば、投与は成功で
あるとみなされる。任意に、個人が、座っている間又は歩いている間の(ただしその両方
ではない)、改善を示した場合は、その個人に、第1の用量と同等な第2の用量のPDACTM
投与することができる。その後、この個人を、その後6ヶ月間、1~2週ごとに観察し、数
値的疼痛評価スケールに従って、疼痛が悪化したと判定された場合にはいつでも、追加投
与(1回又は複数回)を行う。
ケース3
62歳の個人が、ヘルペス後神経痛を呈している。個人の診療記録で、背中右側に発疹及
びヘルペス性膿疱を随伴する帯状疱疹の以前の症状を確認する。疼痛は、帯状疱疹と関係
があるが、発疹及び膿疱の治癒の1ヶ月後も回復していない。数値的疼痛評価スケールを
使用して、個人の疼痛を評価する。疼痛評価後、この個人に、1×109個のCD34-、CD10+
CD105+、CD200+胎盤幹細胞(PDACTM)(通常の塩類溶液中)を、静脈内注入によって投与する
。この個人を、その後7日間、あらゆる有害事象について観察し、投与の7日後に疼痛につ
いて再評価する。
ケース4
ある個人が、以前の傷害に関連する四肢における神経障害性疼痛を呈している。担当の
外科医は、麻薬及びNSAIDでは、この状態を治療できないことを指摘している。疼痛質的
評価スケールを使用して、疼痛の評価を実施し、疼痛の質を、それぞれ示されたタイプの
疼痛について、0~10のスケールで示す。集計的スコアも記録する。疼痛評価後、この個
人に、1×109個のCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞(PDACTM)(通常の塩類溶液中)
を、静脈内注入によって投与する。この個人を、その後7日間、あらゆる有害事象につい
て観察し、投与の7日後に疼痛について再評価する。各個人の疼痛の質についてのスコア
、及び全集計的疼痛スコアを、投与前のこれらのスコアと比較する。疼痛質的スコアの大
部分、又は集計的スコアが、投与後に低下しない場合には、この個人に、1×109個のPDAC
TM(通常の塩類溶液中)の静脈内注入による第2の投与を任意に施す。その後、この個人を
、パクリタキセル療法の期間中、任意にその後6ヶ月間、観察し;疼痛質的評価スケールに
よって、パクリタキセル関連の疼痛が増大したと判定された時にはいつでも、PDACTMの投
与を繰り返す。
(6.3.2局所投与)
62歳の個人が、ヘルペス後神経痛を呈している。個人の診療記録で、発疹及びヘルペス
性膿疱を随伴する帯状疱疹の以前の症状を確認する。疼痛は、帯状疱疹と関係があるが、
発疹及び膿疱の治癒の1ヶ月後も回復していない。数値的疼痛評価スケールを使用して、
個人の疼痛を評価する。疼痛評価後、この個人に、3×107個のCD34-、CD10+、CD105+、CD
200+胎盤幹細胞(PDACTM)(多血小板血漿の溶液中)を、帯状疱疹に罹患した個人の部位に情
報提供する神経幹に隣接する一連の10回の注射で、静脈内注入によって投与する。この個
人を、その後7日間、あらゆる有害事象について観察し、投与の7日後に疼痛について再評
価する。
(6.4実施例4:PDACTMを使用する外陰部痛の治療)
41歳の女性が、外陰部痛を呈している。治療前に、綿棒及び穏やかな指診を用いて、厳
密な疼痛部位を決定する。数値的疼痛評価スケールを使用して、個人の疼痛を評価する。
疼痛評価後、この個人に、1×109個のCD34-、CD10+、CD105+、CD200+胎盤幹細胞(PDACTM)
(多血小板血漿の溶液中)を、疼痛部位への膣内投与を介して与える。この個人を、その後
7日間、あらゆる有害事象について観察し、投与の7日後に疼痛について再評価する。
(6.5実施例5:PDACTMを使用する間質性膀胱炎の治療)
29歳の女性が、間質性膀胱炎と診断されている。この個人の疼痛を、数値的疼痛評価ス
ケールを使用して評価する。疼痛評価後、この個人に、1×109個のCD34-、CD10+、CD105+
、CD200+胎盤幹細胞(PDACTM)(多血小板血漿の溶液中)を、膀胱内経路を介して、膀胱頸部
のいずれかの側に、及び、この試験中にこの個人が圧痛を感じると認識している他の骨盤
内部位に与える。この個人を、その後7日間、あらゆる有害事象について観察し、投与の7
日後に疼痛について再評価する。投与の7日後に、この個人をまた、尿検査及び間質性膀
胱炎の生物マーカーによって評価する。
(6.6実施例6:PDACTMを使用するラットにおける神経周囲炎に対する疼痛の減弱)
この実施例は、ラット神経炎モデルを使用して、神経障害性疼痛に対するCD34-、CD10+
、CD105+、CD200+胎盤幹細胞(PDACTM)の効果を評価する、また、細胞効果に影響する可能
性があるエクスビボ変化の潜在的可能性を評価する研究を記載する。神経炎モデルは、神
経周囲炎によって引き起こされる神経障害性疼痛についての確立されたモデルである。こ
のモデルでは、神経周囲炎は、ラットの坐骨神経近傍において誘発される。疼痛は、2~3
日以内に神経標的器官(後足)に現れ、約8日以内に回復する。
(実験手順)
生後3か月の雄のSprague Dawleyラット(最初の体重は約250~300gであった)を使用した
。この研究には、4つの群が含まれていた:40万、100万、又は400万個のPDACTM、及びビヒ
クル対照。ラットの最小体重と最大体重は、±20%の範囲内であった。
外科的麻酔(50mg/kgケタミン及び7.5mg/kgキシラジン、IM注射)下で、ラットの総坐骨
神経を中大腿部で露出させ、200μlの1%ラムダ・カラギーナン(Sigma-Aldrich社、CAS番
号:9064-57-7)に浸した滅菌した生体適合性担体で包んだ。手術の3日後、動物を、後足に
おける疼痛の間接的尺度としての機械的過敏性について評価した。接触性アロディニアは
、較正されたvon Freyファイバーに対する引っ込み反応を評価することによって測定した
。この研究には、加力に応じた3種のファイバー、低(8g)、中程度(16g)、及び強力ファイ
バー(26g)を用いた。各ファイバーを、両方の後足の足底表面に5回適用し、反応率を算出
した。
神経周囲炎誘発の4日後、動物を、異痛症の評価後すぐに、40万、100万、又は400万個
の用量のPDACTM、又はビヒクルで治療した。この治療は、尾静脈を介して静脈内に施され
た。治療の様々な時点で、動物を、手術の3日後と同様の手順を適用することによって、
機械的アロディニアについて評価した。疼痛レベルは、第0、3、4、6、及び8日に評価し
た。坐骨神経、排出リンパ節、及び血漿を含めた組織試料を分析した。
結果
結果は、400万及び100万個の用量のPDACTMが、第4、6、及び8日で、ビヒクル群と比較
して、疼痛を有意に軽減する(40万個のPDACTMは、第4日で、疼痛軽減の傾向を示す)こと
を実証した。エクスビボ組織分析では、PDACTMが、樹状細胞及びマクロファージを含めた
抗原提示細胞の活性化を抑制することによって、排出リンパ節におけるT細胞プライミン
グ及び活性化を抑制することが実証された。PDACTMは、排出リンパ節並びに同側の坐骨神
経において、インターフェロンガンマ、IL-17を低下させたのに対し、IL-10産生を増大さ
せ、これは、PDACTMが、T細胞分化を調節することを示唆していた。さらに、同側の坐骨
神経では、PDACTM治療された動物において、有意に少ない白血球浸潤が観察された。
(6.7実施例7:胎盤幹細胞の産生)
この実施例は、胎盤幹細胞の単離を実証する。
概要:胎盤組織を切開及び消化し、続いて、多くの細胞量を産生する拡大された細胞生
成物を得るための初代及び拡大培養を行う。細胞を二層式の細胞バンクに保管し、凍結さ
れた細胞生成物として分配する。単一のドナー胎盤に由来するすべての細胞量を、一ロッ
トと定義し、専用の部屋及びClass 100ラミナーフローフード内で、無菌技術を使用して
、一つの胎盤ロットを同時に処理する。この細胞生成物を、正常な核型を有し、かつ母親
細胞内容物をまったく又は実質的に含まない、CD105+、CD200+、CD10+、及びCD34-と定義
する。
(6.7.1幹細胞の入手)
組織切開及び消化:胎盤を、娩出後24時間未満に入手する。胎盤組織を、羊膜、羊膜と
絨毛膜の組み合わせ、又は絨毛膜から得る。この組織を細かく切り刻んで、約1mmの大き
さの小片にする。切り刻んだ組織を、1mg/mlコラゲナーゼ1A中で37℃で1時間、続いて、
トリプシン-EDTAで37℃で30分間消化する。5% FBSのPBS溶液中で3回洗浄した後、組織を
培養培地に再懸濁する。
初代培養:消化した組織を培養培地に懸濁し、Corning T-フラスコに入れ、5% CO2で37
℃に維持した加湿チャンバー中でインキュベートする。5日間の培養後、培地の半分を補
充する。2週間の培養によって、細胞の高密度コロニーが形成される。トリプシン-EDTAを
用いてコロニーを回収し、次いで、2% FBSのPBS溶液を用いて反応停止させる。細胞を遠
心し、拡大培養で播種するために培養培地に再懸濁する。この細胞を、倍加が0回である
継代0細胞と定義する。
拡大培養:初代培養から回収した、拡大培養から回収した、又は細胞バンクから解凍し
た細胞を、拡大培養で播種するために使用する。Cell Factories(NUNC(商標))を、5% CO2
(空気中)で、50ml/分/トレーで、10分間、滅菌フィルターを通して処理し、5% CO2で37℃
に維持した加湿インキュベータ内で温める。細胞シード(seed)を、トリパンブルーを用い
て血球計算板で計数し、細胞数、生存能力、継代数、及び倍加の累積数を記録する。細胞
を、培養培地に懸濁して約2.3×104細胞/ml及び110ml/トレーとし、Cell Factoriesに播
種する。培養の3~4日後と、さらに5~6日後、培養培地を除去し、新鮮な培地で置き換え
、続いて、5% CO2(空気中)でもう一度処理する。約105細胞/cm2に達したら、細胞をトリ
プシン-EDTAを用いて回収し、続いて、2% FBSのPBS溶液を用いて反応停止させる。次いで
、細胞を遠心し、培養培地に再懸濁する。
凍結保存:凍結されることとなる細胞を、トリプシン-EDTAを用いて培養株から回収し、
2% FBSのPBS溶液を用いて反応停止させ、血球計算板で計数する。遠心分離後、細胞を、1
0% DMSO(FBS中)で再懸濁して、細胞バンクの構築のために使用される細胞については約10
0万細胞/ml、個々の凍結細胞投与については1000万細胞/mlの濃度とする。この細胞液を
、凍結容器に移し、-80℃冷凍庫中のイソプロピルアルコール浴に入れる。翌日、細胞を
液体窒素に移す。
(6.8実施例8:胎盤幹細胞特異的遺伝子の特定)
羊膜-絨毛膜(AC)及び臍帯(UC)から実施例7で調製された胎盤幹細胞の遺伝子発現パター
ンを、多能性の骨髄由来の間葉系幹細胞(BM)及び皮膚線維芽細胞(DF)(後者は、高度に分
化すると考えられる)の遺伝子発現パターンと比較した。細胞を、単一継代、中間の継代
数、及び大きい継代数(老化までを含めて)で成長させた。結果は、集団倍加の数が、遺伝
子発現に対して重大な影響を与えることを示す。AC及びUCにおいて上方調節される、また
、BM及びDFにおいて下方調節される又は非存在である、また、継代数とは関係なく発現す
る、一連の遺伝子を特定した。胎盤幹細胞及び臍帯幹細胞は、この実施例では後に、集合
的にAC/UC幹細胞と呼ばれることとなる。
(6.8.1方法及び材料)
(6.8.1.1細胞及び細胞培養)
BM(カタログ番号PT-2501)及びDF(カタログ番号CC-2511)を、Cambrex社から購入した。A
C及びUCは、継代0組織培養フラスコからのものであった。このフラスコ内のAC及びUCは、
ドナー胎盤からの消化によって得られた。T-75培養フラスコに、6000細胞/cm2で播種し、
コンフルエントになったら、細胞を継代した。トリパンブルー細胞計数から、集団倍加を
推定した。3、11~14、及び24~38の集団倍加後に、遺伝子発現について、培養株を分析
した。
(6.8.1.2 RNA、マイクロアレイ、及び分析)
細胞を、溶解前にトリプシン処理した培養株は例外として、その組織培養フラスコ中で
直接的に溶解した。QIAGEN社のRNeasyキットを用いて、全RNAを単離した。Agilent 2100
バイオアナライザを用いて、RNAの完全性及び濃度を決定した。各培養株からの10マイク
ログラムの全RNAを、Affymetrix GENECHIP(登録商標)プラットフォーム上でハイブリッド
形成させた。全RNAを、標識されたcRNAに転換させ、製造業者の方法に従って、オリゴヌ
クレオチドヒトゲノムU133A 2.0アレイとハイブリッド形成させた。Affymetrix MAS 5.0
softwareを用いて画像ファイルを処理し、Agilent GeneSpring7.3ソフトウェアを用いて
正規化及び解析を行った。
(6.8.2結果)
(6.8.2.1 BM-MSC、AC/UC幹細胞、及びマイクロアレイ分析のためのDF培養時点の選択)
AC/UC幹細胞に特有の遺伝子発現パターンを確かめるために、2つの幹細胞株AC(6)及びU
C(6)を、BM-MSC及びDFと共に、並行して培養した。細胞起源に起因する遺伝子発現プロフ
ァイルの特定を最大限にし、かつ外的影響を最小限にするために、すべての細胞を、同じ
培地で成長させ、同じ基準を使用して播種及び継代した。3回の集団倍加、11~14回の倍
加、若しくは35回の倍加又は老化(いずれか早い方)後に、細胞を回収した。培養中の時点
でAC/UC幹細胞において発現が変化しない、また、BM及びDFに対して上方調節される遺伝
子が、AC/UC幹細胞特異的遺伝子の候補である。
3回の集団倍加後に試料(BM、AC(6)、及びUC(6))を収集及び回収し;これらの試料を、「
短」期間の培養におけるものとみなした。短期間のDF試料は収集しなかった。すべての細
胞タイプについて、中間の長さの培養株(11~14回の倍加)を収集した。約35回の倍加又は
老化の直前(いずれか早い方)の、すべての細胞株から、長期間の培養株を収集した。老化
は、BMについては15回の倍加の前、DFについては25回の倍加で起こった。購入したBM及び
DF細胞は、遺伝子分析の前に何度も拡大されるので、初期段階とみなすことはできない。
しかし、操作上は、3回倍加の間成長させたBM(BM-03)は、短期間培養とみなされる。同様
に、BM-11は、操作上は、中間の長さの培養株とみなされるが、14回の倍加で老化が起こ
るので、BM-11は、生物学的には、ほぼ確実に、長期間の培養株である。
(6.8.2.2階層的クラスタリングによってBM、AC/UC幹細胞、及びDFの関連性が示される)
マイクロアレイ分析によって、遺伝子発現のパターンを特定し、2つの次元-第1の次元
における遺伝子と、第2の次元における異なる条件(異なるRNA試料)に照らして類似性を発
見するために、階層的クラスタリング(HC)を試みる。この実験に使用するGeneChipは、22
,000を超えるプローブセット(「全遺伝子リスト」とも呼ばれる)を含有していたが、これ
らのセットのうちの多くは、いかなる条件でも発現しない遺伝子を調べるものである。全
遺伝子リストを減らすために、すべての試料における発現しない又は低レベルで発現する
(生の値が250未満である)遺伝子を排除して、8,215個の遺伝子のリストを得た。
(6.8.2.3 AC/UC幹細胞特異的遺伝子を特定するために使用するフィルタリング方法)
すべてのAC/UC試料を通して一定のままである、また、BM及びDFにおいて下方調節され
る遺伝子は、AC/UC幹細胞特異的であると考えられる。2つのフィルタリング方法を組み合
わせて、58個のAC/UC幹細胞特異的遺伝子のリストを作製した(表2)。
Figure 2022033938000006
Figure 2022033938000007
Figure 2022033938000008
最初に、8つのAC/UC幹細胞条件のうちの少なくとも7つにおいて、すべてのBM及びDF試
料と比較して3倍以上過剰発現している遺伝子を選択することによって、58個の遺伝子を
特定した。8つのAC/UC幹細胞条件のうちの8つに対するフィルタリングによって、同様の
リストを得た。第2のフィルタリング方法は、Affymetrix MAS 5.0ソフトウェアによって
提供される「非存在(absent)」及び「存在(present)」コールを使用した。すべてのBM及
びDF条件において「非存在」であり、かつAC-03、AC-11、UC-03、及びUC-11において「存
在」である遺伝子を特定することによって、リストを作製した。後期のAC/UC幹細胞条件
における遺伝子コールは、規定しなかった。
これらの2つのリストは、有意に重複しており、これらを組み合わせた。組み合わせた
リストを、(1)ほとんど又はすべてのAC/UC幹細胞条件において非常に低いレベルで発現し
ているいくつかの遺伝子と、(2)Y染色体上にある遺伝子とを排除することによって、さら
に編集した。この研究で使用するAC及びUC細胞は、FISH分析によって、雄性であることが
確認され、BM及びDFは、女性のドナーに由来していた。46個のAC/UC幹細胞特異的遺伝子
の得られたリストを、表3に示す。
Figure 2022033938000009
このリストの46遺伝子は、いくつかのオントロジー群を示す一連のタンパク質をコード
している。最も高度に示される群、すなわち細胞接着は、8遺伝子を含有している。DNA複
製又は細胞分裂に関与するタンパク質をコードしている遺伝子は存在しない。上皮に対す
る特異的関連性を有する16遺伝子も列挙する。
(6.8.3考察)
胎盤幹細胞に特異的であり、かつ、骨髄由来の間葉系細胞と識別可能である発現パター
ンを特定した。操作的には、このパターンには、すべての胎盤幹細胞試料において、すべ
てのBM及びDF試料と比較して過剰発現している46遺伝子が含まれる。
この実験デザインでは、培養下で短期、中期、及び長期間培養した細胞が比較された。
AC及びUC細胞については、各培養期間は、特徴的な一連の示差的に発現される遺伝子を有
する。短期間又は初期段階(AC-03及びUC-03)では、200個の上方調節された遺伝子が、8回
の集団倍加後に、平均に回帰する。
中間の長さの培養による遺伝子発現は、高速の細胞分裂によって特徴付けられ、この時
点で示差的に発現される遺伝子は、初期段階中に示差的に発現される遺伝子とはかなり異
なる。AC-11及びUC-11において上方調節される遺伝子の多くは、BM-03及びDF-14と共に、
染色体複製及び細胞分裂に関与している。遺伝子発現に基づくと、BM-03は、生物学的に
は、中期間培養であるように見える。この中期段階では、細胞タイプに特異的な遺伝子発
現は、細胞の増殖のせいで目立たない。さらに、短期のAC又はUC培養において過剰発現さ
れるほとんどすべての遺伝子は、中期及び後期段階条件では下方調節される。この高度に
増殖性の段階中に、発現された遺伝子の約1.7%を構成する143遺伝子が、5倍以上上方調節
された。
長期培養は、最終又は老化段階に相当する。この段階では、細胞は、分割する能力を使
い果たしており、特にAC及びUCについては、示差的に発現される遺伝子の絶対数は、著し
く減少する。これは、細胞がその培養環境に十分に適応し、その結果、生合成を行うこと
に対する負担を低下させた結果であり得る。驚いたことに、後期BM及びDF培養株は、これ
と同じ挙動を示さず;BM-11及びDF-24において、AC及びUC並びに正規化された値の1と比較
して多くの遺伝子が、示差的に発現する。AC及びUCは、BM及びDFと、長期間培養において
最もはっきりと識別可能である。
ここに記載した胎盤幹細胞特異的遺伝子リストは、多種多様である。COL4A1とCOL4A2は
、協調的に調節され、また、KRT18とKRT8は、同時発現するように見える。8個の遺伝子は
、細胞と細胞の接触に関与するタンパク質をコードしており、そのうちの3個(DSC3、DSG2
、及びPKP2)は、デスモソーム、すなわちケラチン18及びケラチン8などの中間径フィラメ
ント細胞骨格タンパク質と固定される細胞間の接触点に局在している。細胞と細胞の密接
な接触は、上皮及び内皮細胞に特徴的であるが、線維芽細胞とは一般的に関係がない。表
3は、上皮細胞に特徴的な合計46のうちの16遺伝子を列挙する。胎盤幹細胞は一般に、線
維芽細胞様の小さな紡錘形状の細胞として記載される。この形態は一般的に、特に、より
低い細胞密度では、BM及びDFとは異なる。注目するべきなのはまた、AC/UC幹細胞におい
ては存在であり、かつすべてのBM及びDF試料においては非存在である、CD200の発現パタ
ーンである。
46遺伝子のうちのこの部分集団の遺伝子は、AC/UC幹細胞を骨髄由来の間葉系幹細胞又
は線維芽細胞と識別する、一連の分子的生物マーカーを構成する。
(6.9実施例9:胎盤幹細胞を使用するラットにおける神経周囲炎と関係がある異痛症及び神
経炎症反応の減弱)
この実施例は、胎盤幹細胞が、樹状細胞ホーミング、活性化、及び分化の抑制;IL-10の
誘導;並びにT細胞調節を潜在的に含む機構を介して神経炎症性疼痛を軽減することを実証
する。
(6.9.1材料及び方法)
(6.9.1.1動物及び外科的処置)
生後3ヶ月の雄のSprague Dawleyラット(研究開始時に約250~300g;この群の最小体重と
最大体重は、群平均体重の±20%の範囲内であった)を使用して、研究を実施した。
外科的処置については、ラットを、腹腔内に投与されるケタミン(50mg/kg)及びキシラ
ジン(7.5mg/kg)溶液で麻酔をかけた。麻酔の確認後に、手術の部位を剪毛し、続いて、ベ
タジン及びアルコールで拭き取った。手術は、以前に記載されている通りに(例えば、Her
zbergらの文献、Pain,1999,83:169-82を参照のこと)実施した。簡単に述べると、総坐骨
神経を、大腿二頭筋を介する鈍的切開によって中大腿部段階で露出させ、隣接する組織か
ら静かに分離した。神経を、滅菌した止血作用のある酸化セルロース(SURGICEL(商標)「
コットン」タイプ;Ethicon,J&J社、米国ニュージャージー州)のバンド(約3mm幅、25mm長
さ)で包んだ。湾曲した鉗子を(神経を引っ張らないように特別な注意を払いながら)神経
の下に通過させて、バンドの端を握り、神経の下に引き込むことによって、SURGICEL(商
標)を適用した。次いで、握っていたバンドの端を神経に静かに重ね、もう一方の端を反
対方向に重ねた。このSURGICEL(商標)を、神経を締め付けないように、神経の周囲にゆる
く巻いた。適用前に、0.2ccの1%カラギーナンをSURGICEL(商標)バンドに注入して、局所
的炎症反応を誘発した。第3日の治療の前に、ラットを、各治療群に、無作為に割り当て
た。
(6.9.1.2接触性アロディニア評価)
較正されたVon Freyファイバーに対する引っ込み反応を評価することによって、接触性
アロディニアを測定した。この研究には、加力に応じた3種のファイバー、低(8g)、中程
度(16g)、及び強力ファイバー(26g)を用いた。各ファイバーを、足に5回適用し、以前に
記載されている通りに(Flattersらの文献、Pain,2004,109:150-61を参照のこと)反応のス
コア(割合)を算出した。
(6.9.1.3胎盤幹細胞の調製及び投与)
CD34-、CD10+、CD200+、及びCD105+胎盤幹細胞は、実施例7に記載する通りに調製した
左の坐骨神経の神経周囲炎への曝露の3日後、凍結保存された胎盤幹細胞を、37℃のウ
ォーターバス中で解凍した。トリパンブルーによって、細胞の生存能力を判定し、生存能
力の平均は約95%であった。次いで、これらの細胞を、Plasmalyte(Baxter Healthcare社)
で希釈して、50mlコニカルチューブ内に4×106、1×106、又は4×105細胞/mlとした。続
いて、26Gニードルを用いて細胞を取り出して1mlシリンジに入れた。解凍後2時間以内に
、尾静脈を介して1mlの胎盤幹細胞又はビヒクルを投与した。第0、3、4、6、及び8日に、
疼痛レベルを評価した。
(6.9.1.4動物組織)
治療の1日後(第4日)に、鼠径部リンパ節を収集し、RNA単離のために急速凍結(snap fre
eze)した。第8日に坐骨神経を回収した。遺伝子発現分析については、RNA単離のために坐
骨神経を急速凍結した。フローサイトメトリー分析については、坐骨神経を氷上のD-PBS
に入れた。心臓穿刺を介して血液を抜き取り、EDTA収集管に入れた。直ちに、血液試料を
1300 RCFで10分間遠心した。次いで、血漿を収集し、急速凍結した。
(6.9.1.5RNA抽出及び定量PCR)
凍結されたラット坐骨神経及び排出リンパ節を秤量し、Qiagen社のTissueRuptorを使用
して、重量あたりの適切な体積の溶解緩衝液中でホモジナイズした。製造業者のプロトコ
ルに従って、Qiagen社のRNeasy Lipid Tissue Kitを使用して、ホモジナイズされたラッ
ト坐骨神経及び排出リンパ節から、全RNAを抽出した。NanoDrop ND-1000(Thermo Fisher
Scientific社)によって、全RNA濃度を決定した。Invitrogen社のSuperScript IIIを使用
して、単離されたRNAから、cDNAを合成した。遺伝子発現については、CD11c、CD86、CD80
、CD3d、CD69、IL-12、IFN-γ、IL-10、及びIL-17について、ラットのための個別のTaqMa
n遺伝子発現アッセイを使用した。相対的な遺伝子発現を、GAPDH発現を使用して正規化し
、2-ΔΔCt方法を使用して倍数変化を算出した。
(6.9.1.6サイトカイン測定)
GM-CSF、IFN-γ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、及びTNF-αを検
査するInvitrogen社のラットサイトカイン10-plexキットを使用して、血漿サイトカイン
測定を実施した。製造業者のプロトコルに従って、血漿試料を処理した。簡単に言うと、
抗体結合ビーズを、提供された真空濾過プレートに添加した。その後、ビーズを標準の(w
orking)洗浄溶液で洗浄した。各ウェルに標準又は動物試料を添加し、プレートを、光か
ら保護されるオービタルシェーカー上で、室温で2時間インキュベートした。ウェルを2回
洗浄し、ビオチン標識された検出抗体を添加した。室温での1時間のインキュベーション
及び洗浄後、このプレートにR-フィコエリトリン結合ストレプトアビジンを30分間添加し
た。このプレートを3回洗浄し、STarStaion 2.3ソフトウェアを使用してLuminex 100上で
データ取得を行った。IL-17 ELISAのために、坐骨神経を秤量し、300μlのCellytic-MT哺
乳類組織溶解/抽出試薬(Sigma Chemical社)と0.25μlのプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sig
ma Chemicl社)とを含有する300.25μl培地に入れた。次いで、試料をホモジナイズ及び遠
心(12,500×g、10分間)した。上清を収集し、ELISA(R&D Systems社)によってIL-17レベル
を決定した。
(6.9.1.7坐骨神経単細胞懸濁液及びフローサイトメトリー)
坐骨神経試料を新たに入手し、氷上のD-PBSに入れた。Miltenyi Biotech社のPapain Ne
ural Dissociation Kit及びgentleMACSホモジナイザーを使用して神経を分離して、単細
胞懸濁液とした。簡単に言うと、単一の坐骨神経を、1950μlの37℃のあらかじめ加熱さ
れた酵素ミックス1を含むC-チューブ(Miltenyi Biotech社)に入れた。C-チューブをgentl
eMACSに乗せ、「m-brain-01」プログラムを実行した。チューブを回転板に乗せ、37℃で1
5分間インキュベートした。坐骨神経を、gentleMACSプログラム「m_brain_02」にかけた
。その後、30μlの酵素ミックス2を添加した。神経を、穏やかに回転させながら37℃で10
分間インキュベートした。神経試料を、gentleMACS「m_brain_03」にかけ、続いて、37℃
で10分間インキュベートした。生じた懸濁液を、40μセルストレーナーに通過させた。細
胞を300×gでペレット状にし、FACS緩衝液(PBS-1%FBS)に再懸濁した。0.5μgのFITCマウ
ス抗ラットCD3(BD Biosciences社)及び0.5μgのPE-マウス抗ラットマクロファージサブセ
ット(Subset)(ED2様抗原、BD Biosciences社)を使用して、単細胞懸濁液を染色した。適
合するアイソタイプ対照を使用して、ゲーティングを設定した。
(6.9.1.8免疫組織化学)
免疫組織化学及び免疫蛍光法のための標準のプロトコルに従って、免疫染色をあらかじ
め形成した。坐骨神経を、神経炎誘発の8日後に両側から回収した。簡単に言うと、坐骨
神経を、記載されている通りに(Olert J、Wiedorn KH、Goldmann T、Kuhl H、Mehraein Y
、Scherthan Hの文献を参照のこと)、HOPE緩衝液中で固定した。
免疫組織化学及び免疫蛍光法のための標準のプロトコルに従って、免疫染色をあらかじ
め形成した。坐骨神経を、神経炎誘発の8日後に両側から回収した。簡単に言うと、坐骨
神経を、記載されている通りに(Olertらの文献、Pathol Res Pract,2001,197:823-6を参
照のこと)、HOPE緩衝液中で固定した。組織切片(5ミクロン)を、ブロッキング溶液(1×カ
ゼイン、0.3% Triton X-100、及び5%ウマ血清を含有するPBS)中で、30分間ブロッキング
した。次いで、切片を、以下の一次抗体のうちの1種又は2種と共に、終夜インキュベート
した:CD68(クローンED1、マウスモノクローナルIgG1、Santa Cruz Biotechnology社)、CD
4(ヤギポリクローナルIgG、Santa Cruz Biotechnology社)、及びCD8(マウスモノクローナ
ルIgG2a、Santa Cruz Biotechnology社)。PBS中で3回洗浄した後、スライドを適切な二次
抗体:Alexa Fluor 488(1:500、Invitrogen社)と結合させたヤギ-抗マウスIgG2a、Alexa F
luor 488(1:500、Invitrogen社)と結合させたヤギ-抗マウスIgG1、Alexa Fluor 488(1:50
0、Invitrogen社)と結合させたロバ抗ヤギ中で室温で30分間インキュベートした。核染色
のために、最後のPBS洗浄後に、600nM DAPI溶液(Sigma社)を10分間適用した。スライドを
、PBS中での洗浄後、蛍光用の水性媒体(Vector社)でマウントした。免疫組織化学画像を
、画像取り込み及びアーカイビングのためのNIS Elementsソフトウェアを装備したPCに接
続した高解像度デジタルカメラNikon DXM1200Fを備え付けたNIKON Eclipse顕微鏡E800型
を用いて撮影した。
(6.9.1.9データ分析)
データは、平均±SEMとして表す。データを表にし、StatViewソフトウェアversion 5.0
(SAS Institute社、米国California、San Francisco)を使用して分析した。すべての解析
における有意性についてのα(両側)は、0.05に設定した。反復測定分散分析(ANOVA)、そ
れに続いてポストホックテストを用いて、挙動データを解析した。エクスビボ分析につい
ては、両側スチューデントt検定を使用して、ビヒクルと細胞治療群との差を確認した。
(6.9.2結果)
(6.9.2.1胎盤幹細胞は機械的アロディニアを緩和する)
3つの異なる較正されたモノフィラメント(8g、16g、及び26gが含まれる)を使用して、
機械的アロディニアを試験した。16及び26g刺激に対する応答は、第3日(治療前)において
、一貫性かつ再現性があったのに対し、ラットのスコアは、8g刺激に対しては反応しなか
った。したがって、16及び26g刺激に対する応答から集めたデータのみを、データ分析に
使用した。予想通り、処置後の第3日に、第0日(神経炎誘発前)と比較して、刺激に対する
応答(異痛症)の有意な増大が見られた。治療前の段階では、ビヒクルと胎盤幹細胞治療群
との間に有意な差は認められなかった。ビヒクルが、26g刺激で、機械的感受性に対する
効果を有しなかったのに対し、4×106の胎盤幹細胞は、第3日の93.3%±2.98から、第6日
及び第8日の、それぞれ46.7%±6.80及び36.7%±5.37まで、後足引っ込みを有意に低下さ
せた(図3A)。胎盤幹細胞による同様の疼痛軽減傾向が、16g刺激で認められ、ここでは、
後足引っ込みは、57.8±10.24%から、第6日及び第8日の、それぞれ22.2±7.03%及び26.7
±3.33%まで低下した。反対側の足に対しては、有意な影響は認められなかった(図3B)。
神経炎誘発性機械的アロディニア軽減に対する胎盤幹細胞の用量効果を、さらに調べた
。4×106及び1×106の胎盤幹細胞が、第4、6、8日に、ビヒクル群と比較した場合に機械
的アロディニアを有意に軽減したのに対し、4×105の胎盤幹細胞は、第4日にのみ、疼痛
軽減の傾向を示した(図3C)。胎盤幹細胞治療に応答する動物の割合も、同様に、用量依存
性を示した(図3D)。
(6.9.2.2胎盤幹細胞は樹状細胞の動員、活性化、及び分化を抑制する)
胎盤幹細胞介在性の抗神経炎症機構を解明するために、排出リンパ節における樹状細胞
を検査した。図4Aに示す通り、胎盤幹細胞治療群は、CD11cの発現が低下していた。一方
、樹状細胞活性化マーカー、CD86及びCD80は、胎盤幹細胞によって抑制された。CD11c、C
D86、及びCD80の抑制に呼応して、IL-12、すなわち分化した樹状細胞によって分泌される
重要な炎症誘発性サイトカインの発現も、胎盤幹細胞によって、排出リンパ節において有
意に低下した(図4B)。
(6.9.2.3胎盤幹細胞はT細胞プライミングを抑制し、T細胞分化を調節する)
胎盤幹細胞によって、樹状細胞がホーミング及び活性化する能力が損なわれることを踏
まえて、本発明者らは、樹状細胞によるT細胞プライミングがそれに続いて影響を受ける
ことを予測した。実際、T細胞受容体CD3とT細胞活性化マーカーCD69の発現はどちらも、
胎盤幹細胞治療群において、対照群よりも有意に低く(図5A)、排出リンパ節におけるT細
胞増殖及び活性化が、胎盤幹細胞によって抑制されることを示唆していた。
さらに、ヘルパーT細胞亜集団を、胎盤幹細胞がT細胞分化に対する効果を有するかどう
か試験するために検査した。図5B及び5Cに示す通り、胎盤幹細胞は、排出リンパ節におけ
るインターフェロンγ(IFNγ)を有意に抑制し、これは、胎盤幹細胞が、Th-1 T細胞分化
を抑制することを示唆していた。さらに、排出リンパ節におけるIL-17発現(図5C)、並び
に同側の坐骨神経(図6A及び6B)は、胎盤幹細胞によって下方調節された。それに対して、
排出リンパ節(図6C)並びに血漿(表4)において、胎盤幹細胞による抗炎症サイトカインIL-
10の上方調節が認められた。血漿において試験された9つの炎症誘発性サイトカインのう
ち、4つの炎症誘発性サイトカイン(IFNγ、IL-2、IL-6、及びIL-12が含まれる)が、胎盤
幹細胞によって下方調節されたのに対し、胎盤幹細胞とビヒクル群との間にIL-1βの差は
認められなかった(表4)。他のサイトカイン(GM-CSF、IL-1α、IL-4、及びTNF-αが含まれ
る)は、血漿において、検出のレベル未満であった。
Figure 2022033938000010
(6.9.2.4胎盤幹細胞は同側の坐骨神経における免疫細胞浸潤を抑制する)
次に、同側の坐骨神経への白血球浸潤を検査した。胎盤幹細胞治療群では、マクロファ
ージマーカーEmr1及びCD68が下方調節され、これは、より少ないマクロファージ動員及び
活性化を示唆していた(図7A)。樹状細胞の浸潤及び活性化も、胎盤幹細胞によって抑制さ
れ、これは、CD11c、CD80、及びIL-12発現の下方調節によって裏付けられた(図7B)。さら
に、T細胞の浸潤及び活性化も同様に、胎盤幹細胞によって抑制され、これは、胎盤幹細
胞治療群におけるCD3及びCD69の発現の低下によって示された(図7C)。同側の坐骨神経か
らの単細胞懸濁液のフローサイトメトリー分析は、先述の遺伝子発現結果と一致して、胎
盤幹細胞治療群では、ビヒクル群における13.3% CD3+及び8.0% ED2細胞と比較して、わず
か1.5% CD3+細胞及び3.9% ED2+細胞のみが検出されたことを示した(図7D)。H&E染色では
、正常な及び胎盤幹細胞で治療された動物と比較した場合のビヒクル群における深刻な神
経弓上のむくみ(epineural edema)及び炎症性浸潤が明らかになった(図8A~C)。CD68(図8
D~F)、CD8(図8G~I)、及びCD4(図8J-L)の発現は、胎盤幹細胞治療群において、ビヒクル
と比較してすべて減弱された。
さらに、ケモカイン(CCL2、CCL12、及びCXCL1が含まれる)は、同側の坐骨神経において
、胎盤幹細胞によって抑制された(図9)。
(6.9.2.5結論)
結論としては、この実施例では、胎盤幹細胞が、神経周囲炎によって誘発された機械的
アロディニアを軽減することが実証される。さらに、胎盤幹細胞は、排出リンパ節におい
て、排出リンパ節への樹状細胞ホーミングを抑制することによって、また、樹状細胞の活
性化を減弱することによって、T細胞プライミングを抑制し、また、T細胞分化を調節する
(6.10実施例10:胎盤幹細胞を使用するラットにおける神経周囲炎と関係がある異痛症及び
神経炎症反応の減弱)
この実施例は、胎盤幹細胞が、神経障害性疼痛を軽減することができることを実証する
(6.10.1材料及び方法)
(6.10.1.1動物及び外科的処置)
この研究には、生後3ヶ月の77匹の雄のSprague Dawleyラット(研究開始時に約200~250
g)が含まれた。この群の最小体重と最大体重は、群平均体重の±20%の範囲内であった。
順化(habituation)の数日後、ラットを、疼痛行動(接触性アロディニア)についての基準
の測定及び運動感覚評価(ロータロッド試験)にかけた。すべてのラットを、坐骨神経慢性
的絞縮傷(chronic constriction injury)(CCI)にかけ;手術の6日後に疼痛発生を、7日後
に感覚運動行動を確認した。処置の8日後に、ラットを種々の治療群に無作為に割り当て
た(表5)。処置の6、10、16、25、及び30日後に、疼痛レベルを評価した。第11、21、26、
及び34日に、運動感覚協調を評価した。第35日に、ラットを安楽死させ、坐骨神経(両側)
を収集し、パラフィンに包埋した。脾臓及びリンパ節を、急速凍結にかけ、血漿に処理し
た最大量の血液を収集した。
外科的処置については、ラットを、IP投与されるケタミン(50mg/kg)及びキシラジン(7.
5mg/kg)溶液で麻酔をかけた。麻酔の確認後に、手術の部位を剪毛し、続いて、ベタジン
及びアルコールワイプで滅菌した。ラットの目は潤んでいた。
Figure 2022033938000011
(6.10.1.2胎盤幹細胞)
CD34-、CD10+、CD200+、及びCD105+胎盤幹細胞は、実施例7に記載した通りに調製した
(6.10.1.3慢性的絞縮傷)
手術は、以前に記載されている通りに(例えば、Bennett及びXieらの文献、Pain,1988,3
3:87-107を参照のこと)実施した。簡単に述べると、総坐骨神経を、大腿二頭筋を介する
鈍的切開によって中大腿部段階で露出させ、隣接する組織から静かに分離した。坐骨3叉
部の近くで、神経を、付着する組織から約7mmにわたって静かに外し、神経を1.0~1.5mm
間隔で3か所ゆるく結紮(4/0クロムガット(chromic-gut))した。結紮は、神経がほとんど
締め付けられず、かつ、表面近くの神経弓上血管系を通した循環が妨げられないように行
った。切開部を、筋肉用の3/0 Vicryl縫合糸と皮膚用の創傷クリップを使用して、重ねて
閉じた。
(6.10.1.4行動試験)
接触性アロディニア試験を使用して、疼痛レベルを評価した。この試験では、較正され
たvon Freyファイバーに対する引っ込み反応が測定される。この研究には、加力に応じた
3種のファイバー、低(8g)、中程度(16g)、及び強力ファイバー(26g)を用いた。各ファイ
バーを、足に5回適用し、反応のスコア(割合)を算出した(Flattersらの文献、Pain,2004,
109:150-161を参照のこと)。基準段階での最も信頼性かつ再現性があるスコアは、26gに
対する応答であったので、26gデータに関して統計的解析を実施した。
ロータロッド試験を用いて、運動感覚協調を評価した。この試験では、げっ歯類を、回
転するロッドに乗せ、回転の速度を徐々に増大させる。げっ歯類が、回転するロッドにと
どまり続けることができる能力を記録する(時間(秒))。使用される速度は、4~40rpm(最
大180秒)であり、落下高さは30cm未満であった。ロータロッド試験の目的は、げっ歯類の
運動感覚協調を評価することである。この試験は、運動機能に影響を与える薬物による影
響を受けやすく、薬物療法の鎮静作用を評価するために役立つ。
(6.10.1.5ギャバペンチン)
ギャバペンチンを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で調製した。使用される用量は、100
mg/mlであり、250gのラットの腹腔内に(IP)0.25mlを注射した。同じ体積のPBSを、対照群
にIP注射した。
(6.10.1.6データ分析)
データを表にし、StatViewソフトウェアversion 5.0(SAS Institute社、米国Californi
a、San Francisco)を使用して分析した。すべての解析における有意性についてのα(両側
)は、0.05に設定した。すべての時点でのデータを有するラットについてのみ、挙動統計
値を算出した。疼痛及び運動感覚協調スコアのために、反復測定分散分析(ANOVA)、それ
に続いてポストホックテストを使用した。基準のレベルとの比較によって、疼痛発生を確
認した。疼痛に対する効果は、処置の6日後の疼痛レベルとの比較によってもたらされた
(6.10.2結果)
(6.10.2.1疼痛行動-接触性アロディニア)
図10で実証される通り、処置の6日後、すべての群における応答(疼痛を示す)の有意な
増大が実証された。
4×104胎盤幹細胞の筋肉内(IM)投与は、第10、16、25、及び30日での研究の期間の間、
疼痛を有意に軽減させた(図10C)。胎盤幹細胞の静脈内(IV)投与は、疼痛を有意に軽減さ
せた。特に、4×106胎盤幹細胞のIV投与は、第16、25、及び30日で、疼痛を有意に軽減さ
せ;1×106の胎盤幹細胞のIV投与は、第16日での有意な疼痛軽減効果を実証した(図10A)。
予想通り、ギャバペンチンの全身投与は、第10、16、25、及び30日で、疼痛を有意に軽減
した(図10A、10C)。
(6.10.2.2運動感覚協調-ロータロッド試験)
図11で実証される通り、ギャバペンチンで治療された対照群は、ロータロッド上で過ご
す時間の有意な減少(運動感覚協調の変化)を示したのに対し、胎盤幹細胞治療群の乗り物
運動感覚協調は、IV(図11A)又はIM(図11B)投与後に、影響を受けなかった(ビヒクル-治療
群と同様であった)。
(6.10.2.3結論)
胎盤幹細胞のIV又はIM投与は、坐骨神経慢性的絞縮傷によって誘発される神経障害性疼
痛を軽減する。疼痛軽減に対する胎盤幹細胞の効果は、ギャバペンチンと同様であった。
しかし、ギャバペンチンが、有意な運動感覚協調欠如を誘発したのに対し、胎盤幹細胞は
誘発しなかった。
等価物:
本明細書に開示する組成物及び方法は、本明細書に記載する具体的実施態様によって範
囲が限定されるべきではない。実際、記載したものに加えて、組成物及び方法の様々な改
変が、前述の説明及び添付の図面から、当分野の技術者には明らかになるであろう。こう
した改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
様々な刊行物、特許、及び特許出願が、本明細書に引用されており、これらの開示の全
体を、参照により本明細書に組み込む。

Claims (23)

  1. CD10+、CD34-、CD105+、CD200+胎盤幹細胞を含む、個人において神経障害性疼痛を治療
    するための医薬組成物であって、治療有効量の該胎盤幹細胞が該個人に投与されるように
    用いられることを特徴とし、該治療有効量が、該疼痛の検出可能な改善をもたらすのに十
    分な量である、前記医薬組成物。
  2. 前記治療有効量の胎盤幹細胞が、前記胎盤幹細胞の投与前に決定された前記個人におけ
    る疼痛の1以上の第1のレベルと比較して、前記胎盤幹細胞の投与後に決定された前記個人
    における疼痛の1以上の第2のレベルを低下させる、請求項1記載の医薬組成物。
  3. 疼痛の前記1以上の第1のレベル及び疼痛の前記1以上の第2のレベルが、疼痛評価スケー
    ルによって決定される、請求項2記載の医薬組成物。
  4. 前記疼痛評価スケールが、数値的疼痛強度スケール;疼痛質的評価スケール;簡単記述疼
    痛強度スケール;視覚的アナログスケール;Wong-Bakerフェイス疼痛評価スケール;FLACCス
    ケール;CRIESスケール;若しくはCOMFORTスケール;又は患者を寒冷、熱、又は機械的刺激
    にさらすことによって誘発される誘発型疼痛測定である、請求項3記載の医薬組成物。
  5. 前記治療有効量の胎盤幹細胞が、前記胎盤幹細胞の投与前に決定された前記個人におけ
    る疼痛の1以上の生理的指標の第1のレベルと比較して、前記胎盤幹細胞の投与後に決定さ
    れた前記個人における疼痛の1以上の生理的指標の第2のレベルを低下させる、請求項1記
    載の医薬組成物。
  6. 疼痛の前記生理的指標が、前記個人における心拍数である、請求項5記載の医薬組成物
  7. 前記個人における前記心拍数が、前記投与前の前記個人における前記心拍数と比較する
    と前記投与後の方が低い、請求項6記載の医薬組成物。
  8. 疼痛の前記生理的指標が、前記個人の収縮期圧である、請求項5記載の医薬組成物。
  9. 前記個人の前記収縮期圧が、前記投与前の前記個人における前記収縮期圧と比較すると
    前記投与後の方が低い、請求項8記載の医薬組成物。
  10. 疼痛の前記生理的指標が、前記個人の拡張期圧である、請求項5記載の医薬組成物。
  11. 前記個人の前記拡張期圧が、前記投与前の前記個人における前記拡張期圧と比較すると
    前記投与後の方が低い、請求項10記載の医薬組成物。
  12. 前記胎盤幹細胞が、さらにCD45-及びCD90+でもある、請求項1~11のいずれか1項記載の
    医薬組成物。
  13. 前記胎盤幹細胞が、さらにCD80-及びCD86-でもある、請求項1~12のいずれか1項記載の
    医薬組成物。
  14. 前記胎盤幹細胞が、HLA-A、B、C+である、請求項1~13のいずれか1項記載の医薬組成物
  15. 前記胎盤幹細胞が、ELOVL2、ST3GAL6、ST6GALNAC5、又はSLC12A8遺伝子を、同等数の骨
    髄由来の間葉系幹細胞(BM-MSC)よりも検出可能に高いレベルで発現する、請求項1~11の
    いずれか1項記載の医薬組成物。
  16. 前記胎盤幹細胞が、同等数のBM-MSCよりも検出可能に高いレベルで、ARTS-1、IER3、IL
    6、KRT18、LRAP、MEST、NFE2L3、又はTGFB2遺伝子を発現する、請求項15記載の医薬組成
    物。
  17. 前記神経障害性疼痛が糖尿病性神経障害によって引き起こされる、請求項1~16のいず
    れか1項記載の医薬組成物。
  18. 前記疼痛が、ステロイド療法に応答しない、請求項1~17のいずれか1項記載の医薬組成
    物。
  19. 前記疼痛が、非ステロイド性抗炎症療法に応答しない、請求項1~17のいずれか1項記載
    の医薬組成物。
  20. 前記疼痛が、オピオイド療法に応答しない、請求項1~17のいずれか1項記載の医薬組成
    物。
  21. 前記疼痛が、オピエート療法に応答しない、請求項1~17のいずれか1項記載の医薬組成
    物。
  22. 前記胎盤幹細胞が、局所的に投与されるように製剤化されている、請求項1~21のいず
    れか1項記載の医薬組成物。
  23. 前記胎盤幹細胞が、全身的に、静脈内に、又は動脈内に投与されるように製剤化されて
    いる、請求項1~21のいずれか1項記載の医薬組成物。
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