JP2010529988A - 失禁治療のためのヒト臍帯組織由来細胞組成物 - Google Patents

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Abstract

失禁治療のための組成物が開示される。より具体的には、ヒト臍帯組織由来の細胞及び担体の組成物が開示される。この組成物は、尿及び便の失禁の治療に有用である。

Description

開示の内容
〔技術分野〕
本発明は失禁治療のための組成物に関するものである。より具体的には、本発明は、失禁治療のための、ヒト臍帯組織に由来する細胞及び担体を含む組成物に関するものである。
〔背景技術〕
例えば血管、皮膚、又は筋骨格組織などの軟組織の外傷はきわめて一般的である。このような障害の多くは全身性疾患がない状態で起こり、長期にわたる繰り返しの軽い外傷及び酷使の結果生じる。
かなり一般的に起こる軟組織外傷の一例が、失禁である。失禁とは、尿又は便を不随意に漏らす病気である。失禁により当惑し、社会的孤立、抑鬱、生活の質の低下を引き起こすことがあり、高齢者層における施設入所の主な要因となる。失禁にはいくつかのタイプがあり、切迫性失禁又は切迫性尿失禁、腹圧性失禁又は腹圧性尿失禁、溢流性失禁、及び混合型失禁又は混合型尿失禁が挙げられる。混合型失禁又は混合型尿失禁とは、例えば腹圧性失禁と切迫性失禁など、患者が複数の形態の尿失禁を有する場合の症例を意味する。
特に混合型失禁及び腹圧性尿失禁(SUI)については、効果的な薬理学的治療に対する医学的ニーズが高い。この医学的ニーズの高さは、効果のある薬理学的治療法がないことと、患者数の多いことの両方による結果である。最近の予測では、米国でSUIに悩む人は1800万人と見積もられ、女性の罹患が多い。
腹圧性失禁は、膀胱収縮の欠落も過膨張膀胱もない状態で、腹圧の増加と同時に尿漏れが観察されることにより確認し得る。腹圧性失禁の状態は、尿道運動機能昂進あるいは内因性の括約筋機能不全のいずれかに分類することができる。尿道運動機能昂進の場合は、咳又は緊張の際に膀胱の頸部及び尿道の位置が降下し、尿道が開き、明らかな尿漏れを伴う(漏出時圧は5.9〜11.8kPa(60〜120cm H2O)の範囲)。内因性の括約筋機能不全の場合は、膀胱収縮なしに、膀胱に蓄積されている間に膀胱頸部が開く。腹圧が最小限又は皆無のときに、明らかな尿漏れが見られる。膀胱頸部及び尿道の位置の降下程度はさまざまであり、しばしば、まったく降下が見られず、漏出時圧も低い(5.9kPa(60cm H2O)未満)。(J.G.ブレイバス(J. G. Blaivas)著、1985年、Urol.Clin.N.Amer.、12:215〜224;D.R.スタスキン(D. R. Staskin)ら著、1985年、Urol.Clin.N.Amer.、12:271〜278)。
切迫性失禁は、不意に起こる強い尿意を伴う、不随意の尿失禁として定義される。不随意の膀胱収縮は神経系の異常に関連している可能性があるが、神経学的には正常と見られる人々にも起こり得る(P.アブラムズ(P. Abrams)ら著、1987年、Neurol.& Urodynam.、7:403〜427)。切迫性失禁に関連する一般的な神経系異常には、脳卒中、糖尿病、多発性硬化症がある(E.J.マクガイヤ(E.J. McGuire)ら著、1981年、J.Urol.、126:205〜209)。切迫性失禁は、不随意の排尿筋収縮により起こり、これは膀胱の炎症及び排尿筋収縮の障害により膀胱が完全に空にならないことにより起こり得る。
溢流性失禁は、膀胱の過膨張に伴う尿漏れによって特徴づけられる。溢流性失禁は、膀胱収縮の障害又は膀胱出口の閉塞によって、膀胱が過膨張して溢れるようになる可能性がある。膀胱は、糖尿病若しくは脊髄損傷などの神経学的病状から派生して、又は、根治的骨盤手術の後に、不活発になることがある。
よく見られる深刻な尿失禁(切迫性及び溢流性タイプ)のもう1つの原因が、膀胱収縮障害である。これは高齢者層及び神経学的疾患(特に真性糖尿病)を有する患者により多く見られる病状である(N.M.レスニック(N.M. Resnick)ら著、1989年、New Engl.J.Med.、320:1〜7;M.B.チャンセラー(M.B. Chancellor)及びJ.G.ブレイバス(J.G. Blaivas)著、1996年、「尿力学アトラス(Atlas of Urodynamics)」、ウィリアムズ・アンド・ウィルキンズ(Williams and Wilkins、ペンシルバニア州フィラデルフィア)発行))。収縮が不十分だと、膀胱はその中にある尿を空にすることができず、これにより失禁ばかりでなく、尿路感染症及び腎不全を起こす。現在、排尿筋収縮の障害を治療する医師の能力はきわめて限られている。排尿筋収縮を改善する有効な医薬品は存在しない。ウレコリンは膀胱内圧力をわずかに高めることができるが、対照研究においては、膀胱を空にする効果を支援補助することは示されていない(A.ウェイン(A. Wein)ら著、1980年、J.Urol.、123:302)。最も一般的な治療は、断続的又は留置カテーテルにより問題を回避することである。
腹圧性尿失禁については、数多くの治療モダリティーが存在する。腹圧性失禁の治療として最も一般的に実施されているものとしては、吸収性製品、留置カテーテル、ペッサリー(即ち、膀胱頸部を支持するために配置される膣用リング)、及び薬物療法が挙げられる(健康管理政策研究局、公衆衛生サービス:尿失禁ガイドラインパネル(Public Health Service: Urinary Incontinence Guideline Panel)、成人における尿失禁:臨床実務ガイドライン(Urinary Incontinence in Adults: Clinical Practice Guideline)、AHCPR出版番号第92−0038号、メリーランド州ロックビル、米国保健社会福祉省、1992年3月;M.B.チャンセラー(M.B. Chancellor)著、「評価と結果(Evaluation and Outcome)」、「身体障害を有する女性の健康:90年代の研究計画の設定(The Health of Women With Physical Disabilities: Setting a Research Agenda for the 90's)」内、編者:クロトスキーD.M.(Krotoski, D.M.)、ノセックM.(Nosek, M.)、タークM.(Turk, M.)、ブルックスパブリッシング社(メリーランド州ボルチモア)、第24章、309〜332、1996年)。腹圧性尿失禁の他の治療モダリティーが、体操である。例えば、ケーゲル体操は、腹圧性失禁の治療に一般的かつ人気のある方法である。この体操は、3〜6ヶ月にわたって毎日4回行うことができた人のうち半数に役立ち得る。患者の50%が、ケーゲル体操によってある程度の改善を報告しているが、ケーゲル体操後の失禁の治癒率はわずか5%である。更に、長時間かつ毎日の鍛錬が必要なため、多くの患者が体操をやめ、プロトコルから脱落する。
尿失禁のもう1つの治療法が、尿道栓である。これは腹圧性失禁を有する女性用の、使い捨てのコルク状栓である。残念ながらこの栓に関連した尿路感染症は20%を超え、更に、残念なことに、失禁の治癒にはならない。
切迫性尿失禁及び腹圧性尿失禁の治療には、膣プローブを用いたバイオフィードバック及び機能的電気刺激も使用される。しかしながら、これらの方法は時間と費用がかかり、その結果はケーゲル体操よりわずかに良好な程度である。腹圧性尿失禁の治療には、腹腔鏡又は開腹による膀胱頸部挙上術、経膣的アプローチによる腹部膀胱頸部挙上術、尿路人工括約筋(高価で複雑な外科手技で、逆戻り率が40%)などの手術も使用される。
他の治療としては、シリコーン、炭素コーティング粒子、テフロン、コラーゲン、及び自家組織脂肪など、外から注入可能な物質を用いた、尿道内注入が挙げられる。これらの注入可能な物質にはそれぞれ欠点がある。バーグ(Berg)の有する米国特許第5,007,940号、同第5,158,573号、及び同第5,116,387号では、組織膨張による尿失禁の治療の目的で、ポリマー及びシリコーンゴム質の尿道組織内に注入可能な分離性物質を含む、生体適合性組成物について報告されている。更に、ローウィン(Lawin)への米国特許第5,451,406号では、組織膨張による尿失禁の治療の目的で、尿道及び膀胱頸部の組織、並びにその被覆組織などの組織に注入できる炭素コーティング粒子基質を含む生体適合性組成物について報告されている。組織膨張の手法又は治療に関する1つの懸念又は有害事象は、膨張剤に含まれる固体粒子が、当初の注入箇所から、さまざまな体内器官の蓄積箇所へと移動すること、及び、続いて、非常に小さい粒子に対する組織の慢性的炎症反応が生じること、に関連しているこの有害作用は泌尿器科学文献に報告されており、特にマリツィア,A.A.(Malizia, A.A.)ら著、「ポリテフ(テフロン)の尿道周辺への注入後に起こる移動及び肉芽腫形成反応(Migration and Granulomatous Reaction After Periurethral Injection of Polytef (Teflon))」、JAMA、251:3277〜3281(1984年)、並びに、クレス,H(Claes, H.)及びストルーバンツ,D.(Stroobants, D.)ら著、「尿失禁のための尿道周辺へのプロテトラフルオロエチレン注入後に起こる肺への移動(Pulmonary Migration Following Periurethral Polytetrafluoroethylene Injection For Urinary Incontinence)」、J.Urol.、142:821〜822(1989年)が挙げられる。移動が起こらないことを確実にするための重要な要素は、適切に大きさが調整された粒子を使用することである。粒子が小さすぎると、体内の白血球(食細胞)に包み込まれて離れた器官へと運ばれる可能性があり、また、血管系に乗って運び去られて移動し、より狭い箇所に達する可能性がある。粒子が堆積する標的器官としては、肺、肝臓、脾臓、脳、腎臓、及びリンパ節が挙げられる。生体適合性の潤滑剤を含む水溶性媒質中の小直径粒子球及び長い小繊維の使用については、ウォレス(Wallace)らの米国特許第4,803,075号に開示されている。これらの材質は、肯定的な短期的組織増大の結果を示しているが、これらの結果は、材質が移動及び/又は宿主組織に吸収される傾向を有するために、短期的なものであった。
コラーゲン注入法では通常ウシのコラーゲンを使用するが、4〜6ヶ月で吸収されるため、繰り返し注入が必要になる。コラーゲンの他の欠点としては、患者の約5%がウシ由来コラーゲンに対するアレルギーを有し、抗体を生じることである。
注入可能な膨張剤としての自家組織脂肪移植は、注入した脂肪の大半が再吸収されるという、顕著な欠点を有する。これに加え、自家組織脂肪移植の残存度及び持続性については依然として議論があるところである。炎症反応は一般に、注入箇所において起こる。脂肪移植の合併症としては、脂肪再吸収、小結節、組織の非対称化が挙げられる。
筋肉由来の生物工学処置された細胞を用いた筋肉細胞注入治療による最近のアプローチは、失禁、特に腹圧性尿失禁の治療と、尿節制の強化のために、別の治療法を提供する可能性がある。好ましくは、筋肉由来の細胞注入は、アレルギー反応を最小限又は皆無にするため、自家組織を用いることができる。筋原細胞(筋線維の前駆体)は単核筋肉細胞であり、他の種類の細胞とはさまざまな点で異なっている。筋原細胞はその本来の性質として融合し、有糸分裂後の多核筋管を形成するため、これにより、生理活性タンパク質の長期的な発現及び送達がもたらされる(T.A.パートリッジ(T.A. Partridge)及びK.E.デヴィーズ(K.E. Davies)著、1995年、Brit.Med.Bulletin、51:123〜137;J.ダーワン(J. Dhawan)ら著、1992年、Science、254:1509〜1512;A.D.グリネル(A.D. Grinnell)著、1994年、「筋肉学(Myology)」第2版、編者:インゲルAG(Engel AG)及びアームストロングCF(Armstrong CF)、マグロウヒル社(McGraw-Hill Inc.)、303〜304;S.ジアオ(S. Jiao)及びJ.A.ウォルフ(J.A. Wolff)著、1992年、Brain Research、575:143〜147;H.ヴァンデンバーグ(H. Vandenburgh)著、1996年、Human Gene Therapy、7:2195−2200)。
筋肉変性の治療、組織損傷の補修、又は疾患治療のための筋原細胞使用については、米国特許第5,130,141号及び同第5,538,722号に開示されている。また、筋原細胞移植は心筋機能不全の治療にも用いられている(S.W.ロビンソン(S.W. Robinson)ら著、1995年、Cell Transplantation、5:77〜91;C.E.マリー(C.E. Murry)ら著、1996年、J.Clin.Invest.、98:2512〜2523;S.ゴージョー(S. Gojo)ら著、1996年、Cell Transplantation、5:581〜584;A.ジバイティス(A. Zibaitis)ら著、1994年、Transplantation Proceedings、26:3294)。尿失禁治療のための筋原繊維使用については、米国特許第6,866,842号、並びにTransplantation、2003年10月、15;76(7):1053〜60;J Urol.2001年1月;165(1):271、及びヨコヤマT.(Yokoyama T.)著、J,.Urology、165:271〜276、2001年に開示されている。国際出願WO2004055174号では、培地組成、培養方法、及び得られた筋原細胞とその使用について開示されている。筋肉由来の原細胞を用いた軟組織及び骨の増殖及び膨張、その組成と治療については、国際公開WO0178754号に開示されている。哺乳類の疾患に対する筋原細胞治療については、米国特許第9909451号に開示されている。
細胞治療は他の注入治療に比べて利点を提供するが、大きな欠点が存在する。腹圧性尿失禁治療に対する筋原細胞使用に関する最大の限界の1つは、筋芽細胞は注入に必要な細胞数に達するまでに3〜4週間の大量の生体外培養が必要であることから、この治療が非常に高価となり、多くの患者が負担しきれない点である。
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
尿失禁及び膀胱収縮の治療に関する上記の限界及び合併症の観点から、当該技術分野において、新しい効果的代替モダリティーが必要とされている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、ヒト臍帯組織(本書ではヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)と呼ばれる)に由来する細胞、及び担体を含む、失禁治療のための組成物である。この組成物には、担体から移植箇所へ移動し新しい組織を形成することができるhUTCが少なくとも1つ含まれる。このhUTCは、同種異系組織から取得することができる。担体には、生理学的緩衝溶液、注入可能ゲル溶液、生理食塩水及び水が含まれるが、これらに限定されるものではない。本組成物は、尿失禁については尿道、尿道括約筋、及び膀胱などの泌尿生殖器組織に注入することによって、並びに、便失禁については結腸、直腸、及び結腸直腸括約筋などの結腸直腸組織に注入することによって、失禁の治療に役立つ。
ヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)(臍帯由来細胞(UDC)とも呼ばれる)を分離及び採取する方法は、同時係属の米国特許出願第10/877,012号に記述されており、参照により全体が本明細書に組み込まれる。細胞の分離及び培養のために分娩後臍帯を収集するには、出産直後に臍帯が取得される。例えば、制限されることなく、臍帯(血液排出されたもの)の除去、又はその一部の除去後、食塩水又は培地(例えばダルベッコ(Dulbecco)変法イーグル培地(DMEM)の入った滅菌容器(フラスコ、ビーカー、又は培養皿など)に入れて、分娩場所から研究室に移送される。この臍帯は、好ましくは、組織の採取前及び採取中に、滅菌状態での管理及び取扱いが行われ、更に追加で、臍帯表面の簡単な処理(例えば、70体積%のエタノール水溶液で処理後、滅菌蒸留水又は等張液ですすぐ)により、表面滅菌を行うことができる。この臍帯は、約3℃〜約50℃で、約1〜24時間の短期間保存することができる。この組織は、細胞の抽出前に、4℃〜10℃に維持し、しかし凍結させないことが望ましい。微生物の混入を低減させるため、培地に抗生物質又は抗真菌薬を含めてもよい。当該技術分野において既知の適切な方法を用い、滅菌条件下でこの臍帯から細胞を収集する。この方法の例としては、ジスパーゼ、コラゲナーゼ、トリプシン、ヒアルロニダーゼなどの酵素による消化、又は切開若しくは切り刻みが挙げられる。細胞を成長させるために分離した細胞又は組織片は、細胞培養の開始に用いることができる。
臍帯組織は、ヘパリンなどの抗凝血剤溶液ですすぐことができる。この組織は、ウィスコンシン大学液、又はパーフルオロケミカル溶液などの、移植用臓器移送に使用される溶液内に入れて移送することができる。
分離された細胞は、コーティングなし、又はラミニン、コラーゲン、ゼラチンなどの細胞外マトリックス若しくはリガンドでコーティングされた、滅菌済み組織培養容器に移される。細胞を成長させるため、とりわけ、DMEM(高グルコース又は低グルコース)マッコイ(McCoy)5A培地、イーグル(Eagle)基礎培地、CMRL培地、グラスゴー(Glasgow)最小必須培地、ハム(Ham)F−12培地(F12)、イスコフ(Iscove)改変ダルベッコ(Dulbecco)培地、ライボヴィッツ(Liebovitz)L−15培地、MCDB、及びRPMI 1640が添加される。この培地は、1つ以上の成分、例えば、とりわけ、ウシ胎児血清(FBS)、ウマ血清(ES)、ヒト血清(HS)、増殖因子(例えばPDGF、FGF、エリスロポエチン)並びに、微生物の混入を制御するための1つ以上の抗生物質及び/又は抗真菌薬(例えばペニシリンG、硫酸ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチン)などを、単独あるいは組み合わせて追加することができる。
細胞成長が可能な密度で培養容器内に配置された細胞が、空気中CO2が0〜5体積%、空気中O2が2〜25体積%で、25〜40℃に設定されたインキュベーター内に置かれる。培養容器内の培地は静止状態にすることも、また例えばバイオリアクターを用いて振盪状態にすることもできる。細胞は、酸化的ストレスが低い状態(例えば、グルタチオン、ビタミンC、カタラーゼ、ビタミンE、N−アセチルシステインを添加した状態)で成長させることができる。本明細書で使用するとき、「酸化的ストレスが低い」とは、培養細胞に対するフリーラジカルによる損傷がないか又は最小限の状態を意味する。細胞は、例えば正常酸素圧期間の後に低酸素圧期間をおくなど、条件を交互に変えた状態で成長させることもできる。
最も適した培地、培地調製、及び細胞培養技法の選択方法は当該技術分野において周知であり、ドイル(Doyle)ら編、1995年、「細胞と組織培養:実験手順(Cell & Tissue Culture: Laboratory Procedures)」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社(チチェスター);並びに、ホー(Ho)及びワン(Wang)編、1991年、「動物細胞バイオリアクター(Animal Cell Bioreactors)」、バターワース・ハインマン(Butterworth-Heinemann)社(ボストン)を含めさまざまな文献に記述されており、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
分離した細胞又は組織片を、十分な期間、例えば約10〜約12日間培養した後、外植された組織内にある臍帯細胞は、細胞の移動の結果、又は細胞分裂の結果、又はその両方により、元の組織の大きさを超えて成長する傾向にある。臍帯細胞は、次に、最初に使用したものと同じ新しい培地、若しくは別の種類の培地が入った別の培養容器に移され、そこで細胞数を有糸分裂により増加させることができる。
別の方法としては、分娩後組織に存在する細胞を部分母集団に分割し、これらからその分娩後組織細胞を分離することができる。これは、分娩後組織をその成分細胞に分離する酵素処理を含むがこれに限定されない細胞分離標準法を用い、その後、特定の細胞タイプのクローニング及び選択を行うことによって達成され、形態学的、又は生化学的マーカーのいずれかの使用、望まない細胞の選択的破壊(負の選択)、混合集団で細胞被凝集性の差による分離(例えば大豆凝集素を用いて)、凍結−解凍法、混合集団中の細胞の接着性の差、濾過、従来の遠心分離及びゾーン遠心分離、遠心傾瀉(対向遠心分離)、単位重力分離、対向流分布、電気泳動、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)により選択することが含まれる。クローン選択及び細胞分離技法の検討については、フレッシュニー(Freshney)著、1994年、「動物細胞の培養;基本的技法マニュアル(Culture of Animal Cells; A Manual of Basic Techniques)」第3版、ワイリー・リス社(Wiley-Liss, Inc.)(ニューヨーク)を参照し、これは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
培地は必要に応じて、例えばピペットで培養皿から培地を注意深く吸い上げ、新鮮な培地を補給することによって変化する。培養は、十分な数又は密度の細胞(例えばコンフルエンスの約70%)が培養皿に蓄積されるまで、上記のように継続される。最初の外植組織片は除去してもよく、残った細胞は、標準の技法又はセルスクレーパーを用いてトリプシン処理される。トリプシン処理後、細胞を集め、新鮮な培地に移され、上記と同様に培養される。この培地はトリプシン処理後24時間時点で少なくとも1回交換し、浮遊細胞を除去することができる。培養に残った細胞が、臍帯組織由来細胞である。
臍帯組織由来細胞は、フローサイトメトリー、免疫組織化学、遺伝子アレイ、PCR、タンパク質アレイ、又はその他当該技術分野において既知の方法を用いて特徴づけることができる。
臍帯組織由来細胞は、少なくとも10回の細胞分裂が行われ得る。当業者は、ある細胞がいつ細胞分裂を行ったかを判定することができる(フレッシュニーR.I.(Freshney, R.I.)著、「動物細胞の培養;15の基本的技法マニュアル(Culture of Animal Cells; A Manual of Basic 15 Techniques)」、ニューヨーク、ワイリー・リス社(Wiley-Liss, Inc.)、1994年)。
1つの臍帯組織由来細胞を分離することは可能であるが、好ましくは1つの細胞集団の中にある。本発明は、臍帯組織由来細胞の定義された細胞集団を提供する。1つの実施形態において、この細胞集団は不均質である。別の実施形態において、この細胞集団は均質である。
臍帯組織由来細胞は、CD10、CD13、CD31、CD34、CD44、CD45、CD73、CD90、CD117、CD141、PDGFr−α、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DR、HLA−DP、及びHLA−DQのマーカーのうち1つ以上について表現型で特徴づけられている。1つの実施形態において、hUTCは、CD10+、CD13+、CD31−、CD34−、CD44+、CD45−、CD73+、CD90+、CD117−、CD141−、PDGFr−a+、HLA−A+、HLA−B+、HLA−C+、HLA−DR−、HLA−DP−、及びHLA−DQ−並びにテロメラーゼ−を含む表現型を有することで特徴づけられる。別の実施形態において、hUTCは、CD13+、CD90+、CD34−、及び、 CD117−を含む表現型である。更に別の実施形態において、hUTCは、CD10+、CD13+、CD44+、CD73+、CD90+、PDGFr−α+、PD−L2+、HLA−A+、HLA−B+、HLA−C+、並びにCD31−、CD34−、CD45−、CD80−、CD86−、CD117−、CD141−、CD178−、B7−H2−、HLA−G−、HLA−DR−、HLA−DP−、及びHLA−DQ−を含む表現型である。
hUTCは、MCP−1、IL−6、IL−8、GCP−2、HGF、FGF、HB−EGF、BDNF、TPO、MIP1a、RANTES、及びTIMP1を含むいくつかの神経組織栄養要素の表現型を有し、このことは、軟組織表現型の細胞に栄養的補助を提供する能力を示している。逆に、これらの細胞は、TGF−beta2、ANG2、PDGFbb、MIP1b、I309、MDC、及びVEGFのうち少なくとも1つの分泌が欠落している。
本発明の組成物には担体も含まれている。担体は生体適合性であり、容易に滅菌でき、容易に注入するための十分な物理的特性を有している。担体には生理学的緩衝溶液、注入可能ゲル溶液、生理食塩水、及び水が含まれ、これらに限定されない。生理学的緩衝溶液には、緩衝生理食塩水、リン酸緩衝液、ハンク平衡塩溶液、トリス緩衝生理食塩水、及びヘペス緩衝生理食塩水が含まれ、これらに限定されない。1つの実施形態において、この生理学的緩衝液はハンク平衡塩溶液である。注入可能なゲル溶液は、注入の前にゲル形態であってもよく、また投与時にゲル化して定位置に留まってもよい。
注入可能なゲル溶液は、水、生理食塩水又は生理学的緩衝溶液、及びゲル化物質からなる。ゲル化物質には、タンパク質類(コラーゲン、エラスチン、トロンビン、フィブロネクチン、ゼラチン、フィブリン、トロポエラスチン、ポリペプチド類、ラミニン、プロテオグリカン類、フィブリン糊、フィブリンクロット、多血小板血漿(PRP)クロット、少血小板血漿(PPP)クロット、自己集合ペプチドヒドロゲル類、アテロコラーゲンなど)、多糖類(ペクチン、セルロース、酸化セルロース、キチン、キトサン、アガロース、ヒアルロン酸など)、ポリヌクレオチド類(リボ核酸類、デオキシリボ核酸類など)、その他例えばアルギン酸塩、架橋アルギン酸塩、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(オキシアルキレン)、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)のコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリレート、モノステアロイルグリセロールコスクシネート/ポリエチレングリコール(MGSA/PEG)のコポリマー、及びこれらの組み合わせが含まれ、これらに限定されない。
1つの実施形態において、この組成物には更に微小粒子が含まれる。微小粒子は、当業者によって、ミクロビーズ又はミクロスフェアとも呼ばれる。この微小粒子は、一時的な膨張効果と、有効な筋肉組織断片が付着して成長するための基質を提供する。微小粒子は、いったん注入した後に局所的及び遠隔への移動を防ぐため十分な大きさでなければならず、しかしながら皮下注射針で投与できるくらいの小ささでなければならない。よって、微小粒子は実質的に球形であり、平均横断面寸法は約100〜約1,000マイクロメートルの範囲、好ましくは約200〜約500マイクロメートルの範囲である。この微小粒子は好ましくは生体適合性ポリマーから形成される。この生体適合性ポリマーは合成ポリマー、天然ポリマー、又はこれらの組み合わせにすることができる。本明細書で使用される用語「合成ポリマー」は、たとえそのポリマーが天然由来の生体材料から製造された場合でも、天然では見られないポリマーを指す。用語「天然ポリマー」は、天然由来のポリマーを指す。生体適合性ポリマーは生分解性でもあり得る。生分解性ポリマーは、湿った体内組織にさらされると、容易に分解して小さなセグメントになる。このセグメントは体内に吸収されるか、又は体内を通過する。より具体的には、生分解されたセグメントは、体内に吸収されるか又は体内を通過するため、永久的な慢性的異物反応を引き起こすことがなく、そのセグメントの永久的な影響又は残留物も体内に保持されることはない。
1つの実施形態において、微小粒子は少なくとも1つの合成ポリマーを含む。好適な生体適合性の合成ポリマーの例としては、脂肪族ポリエステルポリマー類、ポリ(アミノ酸)類、コポリ(エーテルエステル)類、ポリアルキレンオキサレート類、ポリアミド類、チロシン由来ポリカーボネート類、ポリ(イミノカーボネート)類、ポリオルトエステル類、ポリオキサエステル類、ポリアミドエステル類、アミン基を含むポリオキサエステル類、ポリ(酸無水物)類、ポリホスファゼン類、ポリ(プロピレンフマラート)、ポリウレタン、ポリ(エーテルウレタン)、並びにこれらの混合物及びコポリマーが挙げられ、これらに限定されない。本発明の使用に好適な合成ポリマーとしては、コラーゲン、ラミニン、グリコサミノグリカン類、エラスチン、トロンビン、フィブロネクチン、デンプン類、ポリ(アミノ酸)、ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、フィブリン、酸化セルロース、キチン、キトサン、トロポエラスチン、ヒアルロン酸、絹、リボ核酸類、デオキシリボ核酸類、ポリペプチド類、タンパク質類、多糖類、ポリヌクレオチド類、及びこれらの組み合わせに見られる配列に基づく、生合成ポリマーも含まれる。
本発明の目的のため、脂肪族ポリエステルには、ラクチド(乳酸、D−、L−、及びmeso−ラクチドを含む)、グリコリド(グリコール酸を含む)、イプシロン−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネートのアルキル誘導体、及びこれらの混合物を含む単量体の、ホモポリマー及びコポリマーが挙げられ、これらに限定されない。本発明に使用される脂肪族ポリエステルは、直鎖状構造、分枝状構造、又は星形構造を有するホモポリマー又はコポリマー(ランダム型、ブロック型、セグメント型、テーパブロック型、接ぎ木型、三元ブロック型など)であり得る。
スカフォールドに少なくとも1つの天然ポリマーが含まれる実施形態において、好適な天然ポリマーの例としては、フィブリン系材質、コラーゲン系材質、ヒアルロン酸系材質、糖タンパク質材質、セルロース系材質、絹、及びこれらの組み合わせが含まれ、これらに限定されない。
当業者であれば、生体適合性の微小粒子を形成するのに好適な材質の選択は、いくつかの要素に依存することを容易に理解されるであろう。これらの要素には、生体内での機構的性能、材質に対する細胞の反応(細胞への付着、増殖、移動、分化に関して)、及び所望により生分解動力学が含まれる。他に関係する要素としては、化学組成、構成成分の位置的分布、ポリマーの分子量、結晶化度の程度が挙げられる。
別の実施形態において、本発明の組成物に、生物学的エフェクターを組み込むことができる。この生物学的エフェクターは、罹患組織の治癒及び/又は再生を促進し(例えば増殖因子及びサイトカイン類)、感染を予防し(例えば抗菌剤及び抗生物質)、炎症を抑え(例えば抗炎症剤)、酸化した再生セルロースなどの癒着形成を防止又は最小限に抑制し(例えばエチコン社(Ethicon, Inc.)販売のインターシード(INTERCEED)及びサージセル(Surgicel)(登録商標))とヒアルロン酸、並びに免疫系を抑制する(例えば免疫抑制剤)。
生物学的エフェクターには、異種組織又は自家組織の増殖因子、マトリックスタンパク質、ペプチド類、抗体、酵素、糖タンパク質、ホルモン、サイトカイン、グリコサミノグリカン類、核酸類、鎮痛薬が含まれ、これらに限定されない。この組成物には、同様又は異なる機能を有する1つ以上の生物学的エフェクターを組み込まれてもよいことが理解される。
異種組織又は自家組織の増殖因子は、傷ついた又は傷んだ組織の治癒及び/又は再生を促進することが知られている。代表的な増殖因子には、TGF−β、骨形態形成タンパク質、増殖分化因子−5(GDF−5)、軟骨由来形態形成タンパク質、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血管内皮細胞由来増殖因子(VEGF)、表皮増殖因子、インスリン様増殖因子、肝細胞増殖因子、及びこれらの断片が挙げられ、これらに限定されない。好適なエフェクターには同様に、上記薬剤の作用薬及び拮抗薬が挙げられる。
グリコサミノグリカン類は強い帯電を有する多糖類であり、細胞接着において役割を有する。生物学的エフェクターとして有用な代表的なグリコサミノグリカン類の例としては、硫酸ヘパリン、ヘパリン、硫酸コンドロイチン、硫酸デルマタン、硫酸ケラチン、ヒアルロナン(別名ヒアルロン酸)、及びこれらの組み合わせが挙げられ、これらに限定されない。
この生物学的エフェクターは、マトリックス消化酵素(細胞を取り囲む細胞外マトリックスの外への細胞移動を促進する)などの酵素でもよい。好適なマトリックス消化酵素には、コラゲナーゼ、コンドロイチナーゼ、トリプシン、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼ、ペプチダーゼ、サーモリシン、マトリックスメタロプロテアーゼ、及びプロテアーゼが含まれ、これらに限定されない。
当業者であれば、好適な生物学的エフェクターが、医科学及び該当の治療目的に基づいて、外科医によって決定できることが理解されるであろう。この組成物に含まれる生物学的エフェクターの量は、細胞生存、増殖、分化の推進、又は組織治療の促進及び/若しくは迅速化といった所定の適用を含む、さまざまな要素に応じて異なる。生物学的エフェクターは、その組成物を組織の傷部分に適用する前又は後に、生存可能な筋肉組織断片及び担体の組成物内に組み込むことができる。
本明細書に記載されている失禁治療の組成物は、前述の方法により最初に同種異系hUTCから取得することにより、調製することができるhUTCは、本明細書に説明されているように、担体と組み合わせ、及び所望により微小粒子と組み合わせ、注入により組織修復箇所に送達される。更に、組織修復箇所への投与の前に、微小粒子あり又はなしの組成物に、生物学的エフェクターを追加することができる。
この組成物の調製を支援するため、キットを使用することができる。このキットには、持続的細胞生存のための試薬、単体、及び送達デバイスを入れた滅菌容器が含まれる。この、持続的生存のための試薬が入った滅菌容器に、細胞を入れることができる。持続的生存のための好適な試薬としては、生理食塩水、リン酸緩衝液、ハンク平衡塩溶液、標準細胞培養培地、ダルベッコ(Dulbecco)変法イーグル培地、アスコルビン酸、ヘペス、非必須アミノ酸、L−プロリン、自家組織血清、及びこれらの組み合わせが含まれ、これらに限定されない。担体は、本書で説明されているように生理学的緩衝溶液、注入可能なゲル溶液、生理食塩水、又は水にすることができ、所望により微小粒子を含めることができる。送達デバイスは、担体内の組成物を、罹患組織(例えば尿道の括約筋部分に隣接又はこれを取り囲む場所)に堆積することができる。
本明細書に記述される組成物は、軟組織の治療に有用である。軟組織とは通常、身体全体にある骨外性の構造を意味し、歯周組織、皮膚組織、血管組織、筋肉組織、筋膜組織、目組織、心膜組織、肺組織、滑液組織、神経組織、腎組織、食道組織、泌尿生殖器組織、小腸組織、結腸直腸組織、肝組織、膵臓組織、脾臓組織、脂肪組織、及びこれらの組み合わせが挙げられ、これらに限定されない。好ましくは、本明細書に記述される組成物は、泌尿生殖器組織(例えば尿道、尿道括約筋、及び膀胱)、食道組織(例えば食道及び食道括約筋)、並びに結腸直腸組織(結腸、直腸、及び結腸直腸括約筋)の治療に有用である。この組成物はまた、組織膨張、組織増殖、形成処置、治療的処置、及び組織密封に用いることもできる。
(実施例1)
腹圧性尿失禁(SUI)のラットモデルにおける漏出時圧(LPP)の回復のためのhUTC組成物の適用に基づく新しい治療の効果が調査された。hUTCは液体窒素から取り出して解凍した。メスのルイスラット合計24匹を無作為に3グループのいずれかに分け(1グループ当たり8匹)、これらはそれぞれ、失禁のない動物群、担体を注入した失禁のある動物群、及び担体+hUTCを注入した失禁のある動物群とする。後者2グループについては、両側性外陰神経切断(PNT)によってSUI状態を生成した。手術から1週間後、経尿道注入によって各動物群に治療が行われた。5週間後、各ラットについてLPPが5回ないし6回測定され、その平均が決定された。
動物管理
本研究に使用された動物は、動物福祉法最終規定(Final Rules of the Animal Welfare Act regulations)(9CFR)、実験動物の人道的管理と使用に関する公衆衛生局規範(Public Health Service Policy on Humane Care and Use of Laboratory Animals)、実験動物の管理と使用のガイド(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)の該当するすべての条項に準拠して取扱いと管理が行われた。本研究における動物の管理又は使用を含む、プロトコル及び任意の修正又は手順は、その手順開始の前に、実験施設研究機関の動物管理使用委員会(Testing Facility Institutional Animal Care and Use Committee)による検閲と認可を受けた。
ルイスラットが、その共通遺伝子表現型のために選択された。ルイスラットでは、免疫抑制を使用せずに、あるラット由来のSUIを別のラットに移植する治療のための組成物を評価することができる。これら動物は、マイクロアイソレーターに個別に管理された。環境制御は、温度18℃〜26℃(64°F〜79°F)、相対湿度30%〜70%を維持するよう設定された。研究手順を実施するための中断時を除き、明時間12時間/暗時間12時間のサイクルが維持された。動物室では、1時間当たり10回以上、100%新鮮空気との空気入れ替え(空気再循環なし)が維持された。動物には、ピュリナ(Purina)認定食餌及び濾過した水道水が無制限に与えられた。
材料と方法
動物。従来より確立されている、両側性外陰神経切断(PNT)手法によってSUIが生成された。手順はすべて、無菌条件下で実施された。ラットには無菌的手術の準備処置が行われ、2.5%〜4%のイソフルランを用いて麻酔が行われた。麻酔導入後、ノーズコーン経由投与により0.5〜2.5%のイソフルランで維持された。PNT手術では、臀部から尾の付け根までと、臀部全体、後足裏側に至る領域の剃毛が行われた後、その動物が伏臥姿勢に配置された。背面長手方向に切開し、両側の坐骨直腸窩が開放された。拡大鏡を用い、外陰神経が分離され、切断された。切開部は、ネクサバンド(Nexaband)(登録商標)液体局所組織接着剤を用いて閉じられた。非失禁グループの動物には、実際の神経の切断を除き、同じ手順での手術が行われた。
組成物の調製と投与。hUTC(米国特許出願第20050054098 A1号、実施例1の記載に従って分離)は液体窒素から取り出して解凍した。液体窒素から細胞が取り出され、静かに振盪しながら、37℃の水槽で急速に解凍した。バイアルの内容物が、HBSSの入った15mL遠心管に移された。医療用遠心分離器内で、4℃で5分間、150×gで遠心分離が行われた。その上澄みを静かに吸引し、静かなピペット操作によりHBSS 5mL中に細胞を再懸濁させた。細胞を氷上に置き、血球計で計測を行った。細胞の遠心分離を行い、20マイクロリットル当たり1.5×106個の細胞数で、HBSS中に再懸濁させた。HBSS中に懸濁したhUTCを、100マイクロリットル容量のハミルトン注射器に吸い上げ、皮下注射針でラットの尿道に注入した。動物は、SUI手術生成から1週間後に処置が行われた。メスのラットに麻酔が行われ、ラット当たり2回(1回10マイクロリットル)、尿道の2時の位置及び10時の位置に注入が行われた。担体処理の動物は、同様の方法で、HBSSのみの注入を受けた。
漏出時圧(LPP)試験。手術から5週間後、ラットに麻酔を行い、ゼロ圧力の高さであお向けに配置し、膀胱を手で空にした。次にその膀胱に、恥骨上カテーテル経由で、室温の生理食塩水を満たした(1時間当たり5mL)。恥骨上カテーテルはシリンジポンプ及び圧力変換器に接続された。膀胱圧力はすべて、膀胱レベルでの気圧と比較された。AD装置を用い、パワーラボ(Power Lab)コンピュータソフトウェアを毎秒10サンプルの速度で用いて、コンピュータデータ収集のために、圧力及び力変換器信号が増幅されデジタル化された。
ゆっくりと手動で腹圧を増加させていき、漏れが起こる時点で、外部的腹圧が急速に開放されることから、ピーク時膀胱圧力が生じた。LPP試験は、各ラットについて最低4回実施された。膀胱はクレーデ(Crede)手法を用いて空にされ、LPP測定のたびに最充填された。AD装置圧力変換器を用いてLPP値が取得され、パワーラボチャート(Power Lab Chart)(商標)コンピュータソフトウェアを用いて分析が行われた。各動物についてのLPP試験セッション内の個別アウトライアーは、定性的に圧力アーチファクトとして識別され、この研究の対象外とされた。アーチファクト圧力結果は、同じLPP試験セッションの他の圧力結果と比べ、人工的に高い又は低いと見なされる圧力値(mmHg)として定義された。LPP試験中、圧力アーチファクトは、カテーテル尖端が膀胱又は尿道の粘膜壁を偶然塞いだり、膀胱内の尿及び/又は生理食塩水が完全に排出されていなかったり、試験中の動物に対する麻酔剤のかかりが軽く、その動物が膀胱を収縮させたり、といったことを含む、複数の状態において生じる可能性がある。
結果と考察
平均LPP及び標準偏差は下記のように報告されている。
Figure 2010529988
結論
このデータは、hUTC処置が行われた失禁動物においては、担体のみを注入された失禁動物に比べ、4週間後に機能改善が観察されたことを示している。この改善が達成されたのは、非失禁動物の約81%であり、これは担体のみを注入された失禁動物を55%上回る改善を示している。データでは、hUTCは溶媒治療のみの場合に比べて明白な改善が生じており、したがって、腹圧性尿失禁の治療に用いる治療法となり得ることが示されている。
(実施例2)
腹圧性尿失禁(SUI)の2つのラットモデルにおける漏出時圧(LPP)の回復のためのhUTC組成物の適用に基づく新しい治療の効果を、互いに比較して調査された。hUTCは液体窒素から取り出して解凍した。比較され得る2つの異なるラットモデルは、両側性外陰神経切断による失禁動物、及び尿道除去(urethrolysis)による失禁動物である。尿道除去モデルは、従来より確立されている手法によって生成される。簡単に説明すると、動物が、ケタミン(体重1kg当たり60mg)及びキシラジン(体重1kg当たり5mg)の腹膜内注入により麻酔される。この動物を、温水循環加熱パッド上にあお向けに配置する。標準の手術と同様に、腹部の前処置を行い、周囲を布で覆う。下腹部中線切開を行い、膀胱と尿道を識別する。鋭い切開により、骨盤内側の筋膜を切り、尿道を膣前壁及び恥骨から外すことにより、尿道の近位側と遠位側を周囲方向に切除する。尿管を傷つけないよう、また、下膀胱脈管構造を危険にさらすことのないよう、注意が払われる。切開を容易にするため、綿棒が膣内に配置される。腹直筋膜を4〜0ポリグラクチン(バイクリル(Vicryl))縫合糸で、また皮膚を4〜0ナイロン縫合糸で、それぞれ閉じる。
損傷モデルによって3つのグループがあり、ラットを無作為にこの3グループのいずれかに分け、これらはそれぞれ、失禁のない動物群、担体を注入した失禁のある動物群、及び担体+hUTCを注入した失禁のある動物群とする。手術から1週間後、尿道内の注入によって各動物群に治療が行われ得る。5週間後、各ラットにつきLPPが5回ないし6回測定され、その平均を決定することができる。
(実施例3)
尿道への組成物投与のさまざまな経路の説明。
切り刻んだ組織注入の尿道周囲経路。微小粒子を含むhUTC組成物を、17ゲージ針が接続された特殊な高圧注射器に入れる。針を尿道開口部の隣、粘膜下組織にゆっくりと挿入する。針が適切な位置にあることを確認してから、尿道周囲の3ヶ所、すなわち2時の位置、6時の位置、10時の位置に、その懸濁液を注入する。注入が進行するにつれて、尿道管腔が閉じ、更に開口部がなくなるのが観察され得る。成功を確認するため、手順の最後に、尿道粘膜が完全に近接していること(すなわち、接触していること)を視覚的に確認する。1本又は2本の管を注入して、尿道を完全に閉じるようにすることができる。
経尿道経路。特殊な針を使用して、直視下においてhUTC組成物を尿道粘膜下に注入する。膀胱鏡を尿道の中部に挿入する。膀胱鏡視下で、注意しながら針尖端を尿道粘膜下に挿入する。尿道粘膜の完全な接着が見えるまで、hUTCを正確に粘膜下組織に配置堆積する。
順行性経路。順行性経路は、前立腺切除手術後の失禁を有する男性のための方法である。適切な麻酔下において、恥骨上に導管を作成する。全身麻酔が好ましい。可撓性の膀胱鏡を、この恥骨上導管を経由して膀胱内に挿入する。膀胱頸部を見つける。膀胱鏡視下で、注意しながら針尖端を膀胱頸部粘膜下に挿入する。膀胱頸部粘膜の完全な接着が見えるまで、hUTC処方を正確に粘膜下組織に配置する。
(実施例4)
HUTCを液体窒素から取り出して解凍する。HUTCは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)若しくはHBSSなどの担体、又は、水性コラーゲン溶液、水性ヒアルロン酸溶液などの他の担体、及びポリ(グリコール酸)(PGA)若しくはポリ(乳酸)(PLA)などの微小担体を、必要量組み合わせることができる。混合のプロセス後すぐに、失禁動物の尿管中部又は膀胱頸部に注入する。基準及び手術後3〜4週間において、すべての動物に尿動力学試験を行うことができる。器官槽(ORGAN BATH)等張液研究のために尿道組織を採取し、尿道機能試験及び免疫化学研究を行うことができる。
(実施例5)
この目的は、ブタにおいて、hUTCを担体(PBS、HBSS、水性コラーゲン溶液、水性HA溶液)と混合し、ソノグラフィー制御下で尿道に注入できることを示すことである。更にこの手順は、尿失禁、特に腹圧性尿失禁に対する治療アプローチとして、本明細書に記述されている組成物を評価するのに用いることができる。hUTCは、担体及び/又は微小粒子と組み合わせることができる。経尿道超音波プローブ及び注入システムを利用して、サンプルは横紋筋性括約筋及び尿道粘膜下に注入することができる。注入の前及び後に尿道圧力状態を測定し、尿道閉塞時圧力の手術後の変化を判定することができる。手術後にブタから採取した検体について、組織学検査も行うことができる。
(実施例6)
hUTCは、前の実施例に詳述されているように、担体及び所望により微小粒子の必要量と組み合わせることができ、便失禁の治療について当該技術分野において既知の技法を使用して、内肛門括約筋又は外肛門括約筋に注入することができる。
(実施例7)
hUTCは、前の実施例に詳述されているように、担体及び所望により微小粒子の必要量と組み合わせることができ、当該技術分野において既知の技法を使用して、酸逆流及び他の消化器系関連の病状治療のため、下部食道括約筋及び/又は幽門括約筋に注入することができる。
(実施例8)
ブタの尿道細胞分離
ブタの尿道は、ファーム・トゥー・ファーム(Farm-to-Pharm)(ニュージャージー州ウォレン)から調達された。尿道は脂肪及び結合組織を取り除き、外科用メス2本で細かく切り刻んだ。組織の重量が記録され(13.1g)、この組織を、DMEM(インビトロジェン(Invitrogen)社、カリフォルニア州カールスバード)中の消化酵素(下記参照)、10%FBS(ハイクローン(Hyclone)社、ユタ州ローガン)、ペニシリン/ストレプトマイシン(インビトロジェン(Invitrogen)社、カリフォルニア州カールスバード)の混合物が入った50mL円錐形試験管に入れた。
この試験管をパラフィルム(Parafilm)M(登録商標)で包んで密封した。この管を37℃のインキュベーターに移し、225RPMで2時間振盪した。インキュベーションを開始してから1時間ごとに、試験管をインキュベーターから取り出し、1〜2分間、真っ直ぐに立て、消化の完全性をチェックした。消化が完了したら(2時間以内)、試験管を1〜2分間真っ直ぐに立て、大きな断片を下に沈める。この細胞懸濁液(大きな断片がないもの)を新しい円錐形試験管に移し、新鮮なDMEM、10%FBS、ペニシリン/ストレプトマイシンで希釈した。細胞懸濁液を150*gで5分間遠心分離にかけ、上澄みを吸引した。新鮮な溶媒を追加し(合計体積50mLまで)、再懸濁させた。細胞懸濁液を150*gで5分間遠心分離にかけ、上澄みを除去した。新鮮な溶媒を追加し(合計体積30mLまで)、ピペットを使って吸い上げ及び押し出しを行うことにより、細胞を再懸濁させた。再懸濁した細胞ペレットを、100μmフィルターで濾過した。細胞懸濁液を150*gで5分間遠心分離にかけ、上澄みを吸引し、細胞ペレットをPBS中に再懸濁させた。細胞はグアバ(GUAVA)(登録商標)セルカウンター(グアバテクノロジーズ社(Guava Technologies, Inc)、カリフォルニア州ヘイワード)で計数された。合計約6×106個の細胞が得られた。細胞を、5,000個/cm2の密度でEGM−2(ロンザ(Lonza)社、メリーランド州ウォーカーズビル)に塗布し、37℃のインキュベーター内に置いた。
消化酵素
コラゲナーゼ0.25U/mL(セルバ・エレクトロフォレシス社(Serva Electrophoresis, GmbH)、ドイツ、ハイデルベルク)、2.5U/mLジスパーゼ(ジスパーゼII(Dispase II)165859、リュッシュ・ダイアグノスティクス社(Ruche Diagnostics Corporation)、インディアナ州インディアナポリス)、及び1U/mLヒアルロニダーゼ(ビトラーゼ(Vitrase)、ISTAファーマスーティカルズ(ISTA Pharmaceuticals)社、カリフォルニア州アーバイン)。
増殖検定
ブタ尿道から分離された細胞の増殖について、hUTC効果を評価する。尿道細胞(上記の方法に従って分離されたもの)を、1ウェル当たり細胞10,000個の密度で24ウェルの培養皿に播種した。実験条件は次の通りである:
−低血清(記入のこと)
−低血清(記入のこと)+さまざまな量のhUTC(1ウェル当たり細胞6600、3300、又は1650及び825個)
EGM−2/ヘイフリック(Hayflick)(20/80)培地のトランスウェル(孔径0.4マイクロメートル)内側にhUTCが追加された。3、及び7日で、尿道細胞を回収し、グアバ装置(グアバテクノロジーズ社(Guava Technologies, Inc)、カリフォルニア州)を用いて細胞数と生存力を測定した。
Figure 2010529988
ブタ尿道から分離された細胞は、基礎培地(EGM−2/ヘイフリック)で培養した場合よりも、hUTCとの共培養を行った場合の方が、3日後及び7日後において増殖速度が速いことが示された。この増殖速度は、トランスウェル内にあるhUTCの量に依存した。この影響は、培養7日目で最も顕著であった。1ウェル当たり細胞6600個のhUTCのときに最大の影響が見出され、培養7日後に尿道由来細胞の増殖速度は35%の増加を示した。
結論
上記に示したデータは明白に、hUTCが、ブタ尿道由来細胞の増殖速度に対して、生体外で、肯定的な影響を有することが示された。これは、少なくとも一部分、失禁ラット(実施例1に示したもの)における漏出時圧(LPP)の回復の原因である、これら細胞の作用メカニズムが、健康な細胞中で増加し、よって尿道組織の再生が行われることを示している。このことは更に、これらの治療効果は単に膨張作用だけでなく、むしろ栄養影響であり、真に長期的な再生反応を促進するものになることも示唆している。
〔実施態様〕
(1) ヒト臍帯組織由来細胞及び担体を含む、失禁治療のための組成物。
(2) 前記ヒト臍帯組織由来細胞が同種異系である、実施態様1に記載の組成物。
(3) 前記担体が、生理学的緩衝溶液、注入可能ゲル溶液、生理食塩水及び水からなる群から選択される、実施態様1に記載の組成物。
(4) 前記担体が生理学的緩衝溶液である、実施態様3に記載の組成物。
(5) 前記生理学的緩衝溶液が、緩衝生理食塩水、リン酸緩衝液、ハンク平衡塩溶液、トリス緩衝生理食塩水、及びヘペス緩衝生理食塩水である、実施態様4に記載の組成物。
(6) 前記担体が、生理学的緩衝液及びゲル化物質を含んだ注入可能ゲル溶液である、実施態様3に記載の組成物。
(7) 前記ゲル化物質が、タンパク質類、多糖類、ポリヌクレオチド類、アルギン酸塩、架橋アルギン酸塩、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(オキシアルキレン)、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)のコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリレート、モノステアロイルグリセロールコスクシネート/ポリエチレングリコール(MGSA/PEG)のコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様6に記載の組成物。
(8) 少なくとも1種の微小粒子を更に含む、実施態様1に記載の組成物。
(9) 前記微小粒子が、合成ポリマー、天然ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される生体適合性ポリマーを含む、実施態様8に記載の組成物。
(10) 実施態様1の組成物を泌尿生殖器組織に注入することを含む、失禁治療の方法。
(11) 実施態様1の組成物を結腸直腸組織に注入することを含む、失禁治療の方法。

Claims (11)

  1. ヒト臍帯組織由来細胞及び担体を含む、失禁治療のための組成物。
  2. 前記ヒト臍帯組織由来細胞が同種異系である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記担体が、生理学的緩衝溶液、注入可能ゲル溶液、生理食塩水及び水からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記担体が生理学的緩衝溶液である、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記生理学的緩衝溶液が、緩衝生理食塩水、リン酸緩衝液、ハンク平衡塩溶液、トリス緩衝生理食塩水、及びヘペス緩衝生理食塩水である、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記担体が、生理学的緩衝液及びゲル化物質を含んだ注入可能ゲル溶液である、請求項3に記載の組成物。
  7. 前記ゲル化物質が、タンパク質類、多糖類、ポリヌクレオチド類、アルギン酸塩、架橋アルギン酸塩、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(オキシアルキレン)、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)のコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリレート、モノステアロイルグリセロールコスクシネート/ポリエチレングリコール(MGSA/PEG)のコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
  8. 少なくとも1種の微小粒子を更に含む、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記微小粒子が、合成ポリマー、天然ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される生体適合性ポリマーを含む、請求項8に記載の組成物。
  10. 請求項1の組成物を泌尿生殖器組織に注入することを含む、失禁治療の方法。
  11. 請求項1の組成物を結腸直腸組織に注入することを含む、失禁治療の方法。
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