JP2019216749A - 骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚 - Google Patents

骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚 Download PDF

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Abstract

【課題】骨が軟化しており食べることができるが、普通の焼き魚の外観、食感等を維持した焼き魚を提供する。【解決手段】骨を有する魚を、5〜20分の間に芯温を100〜120℃まで加熱する高圧蒸煮を行うことにより骨を軟化し、その後、魚を焦げ目が付くまで焼くことを含む、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造
方法に関する。
焼き魚は魚の代表的な料理として、古くから食されていた。しかしながら、焼き魚の骨
は食べる際に邪魔となり、口内に刺さる等の問題が生じることもあり、特に高齢者や幼児
にとって焼き魚は食べ易い料理ではなかった。
さらに、魚の骨はコラーゲンやカルシウムを豊富に含んでおり、これらの栄養素の優れ
た供給源である。
骨まで食べることができる魚の料理として、サケ、サバ、サンマ等の水煮等があり、水
煮魚は缶詰商品として広く流通している。また、レトルト工程により調理した魚も骨まで
食べることができる。缶詰の水煮やレトルト食品は加圧加熱処理により製造されている。
しかし、加圧加熱処理は魚肉(筋肉)へのダメージも大きく、筋肉が軟らかくなり過ぎ、
焼き魚のように筋肉がしっかり残っているという食感を得ることはできなかった。
骨が軟らかくなり骨まで食べることができる焼き魚の製造方法として、長時間焼く方法
が報告されていた(特許文献1参照)。
また、魚類を減圧下で加熱した後に、加圧下で加熱し、その後表皮を焦がして焼き色を
付加する方法が報告されていた(特許文献2参照)。
特開2010-57479号公報 国際公開第WO2006/025102号
本発明は、骨が軟化しており食べることができるが、普通の焼き魚の食感、外観等を維
持した焼き魚を提供する。
現在、骨が軟化した魚として、水煮の缶詰やレトルト食品があり、これらは時間をかけ
て魚を加圧加熱処理している。しかし、この処理は魚肉へのダメージが非常に大きく、処
理した魚の食感や美味しさは満足できるものではなかった。
そこで、本発明者らは、生魚の状態で、骨を効率良く軟化する技術の確立を目指し、魚
肉が普通の焼き魚と同程度の硬さを有しており、普通の焼き魚と同等の食感を有しており
、さらに普通の焼き魚と同等の外観を有している、骨まで食べることができる、焼き魚の
食感および外観を有する調理魚の製造方法について鋭意検討を行った。
本発明者は、原料となる魚を急激に高圧高温処理することにより、骨はそのまま食べら
れる程に軟化しているが、魚肉は軟らか過ぎることなくしっかり残っている魚を得ること
ができることを見出し、その魚を炙ることにより骨まで食べることができる、焼き魚の食
感および外観を有する調理魚を製造することに成功し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]骨を有する魚を、5〜20分の間に芯温を100〜120℃まで加熱する高圧蒸煮を行うこと
により骨を軟化し、その後、魚を焦げ目が付くまで焼くことを含む、骨まで食べることが
できる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造方法。
[2]高圧蒸煮を圧力スチーマを用いて行う、[1]の骨まで食べることができる、焼き魚の
食感および外観を有する調理魚の製造方法。
[3]ガスまたは/および炭火により魚を焼く、[1]又は[2]の骨まで食べることができる
、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造方法。
[4]魚が、サンマ、イワシ、ニシン、サケおよびサバからなる群から選択される、[1]〜
[3]のいずれかの骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の
製造方法。
[5]骨を有する魚を、芯温を2〜10分の間に60〜100℃となるまでアクアガス又は過熱水蒸
気で処理し、さらに芯温が100〜120℃、40〜55分の加熱履歴となる条件でレトルト加工す
ることにより骨を軟化し、その後、魚を焦げ目が付くまで焼くことを含む、骨まで食べる
ことができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造方法。
[6]ガスまたは/および炭火により魚を焼く、[5]の骨まで食べることができる、焼き魚
の食感および外観を有する調理魚の製造方法。
[7]魚が、サンマ、イワシ、ニシン、サケおよびサバからなる群から選択される、[5]又
は[6]の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造方法

[8]骨が軟化されており、骨中のコラーゲンが破壊されているが、筋肉は崩れていない、
[1]〜[7]のいずれかの方法により製造した、骨まで食べることができる、焼き魚の食感
および外観を有する調理魚。
[9]骨中のコラーゲンをAZAN染色により染色した場合に、缶詰であるサンマの水煮と同程
度に染色される、[8]の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調
理魚。
[10]テクスチャーアナライザーを用いて骨の硬さを測定した場合の値が平型プランジャ
ーを用いたい場合で26〜86gである、[8]又は[9]の骨まで食べることができる、焼き魚
の食感および外観を有する調理魚。
[11]テクスチャーアナライザーを用いて筋肉の硬さを測定した場合の値が、歯型のプラ
ンジャーを用いた場合で300〜500g、又はφ20mmの円柱型プランジャーを用いた場合で100
0〜2000gである、[8]〜[10]のいずれかの骨まで食べることができる、焼き魚の食感お
よび外観を有する調理魚。
[12]筋肉中の水分含量が35〜60%である、[8]〜[11]のいずれかの骨まで食べること
ができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚。
[13] [1]〜[7]のいずれかの方法で製造した調理魚を、ミキサーによりフレーク化す
ることを含む、魚フレークの製造方法。
[14] [8]〜[12]のいずれかの調理魚をミキサーによりフレーク化した魚フレーク。
本発明の方法で、原料となる魚の芯温を急速に昇温することにより、骨はそのまま食べ
られる程度に軟化するが、魚肉が極端に崩れたり、軟らかくなり過ぎることなく残ってお
り、普通の焼き魚と同様の状態、硬さを維持している、骨まで食べることができる、焼き
魚の食感および外観を有する調理魚を製造することができる。このようにして製造した調
理魚は、骨まで食べることができるので、骨の存在を嫌う高齢者や幼児にも適しており、
また、コラーゲンやカルシウムの供給源としても優れている。
本発明の骨まで食べることができる調理魚、水煮魚及び普通の焼き魚の切片のAZAN染色の結果を示す図である。それぞれの中央部が、染色された骨を示す。 本発明の骨まで食べることができる調理魚、水煮魚及び普通の焼き魚の切片のKossa染色の結果を示す図である。 本発明の骨まで食べることができる調理魚、水煮魚及び普通の焼き魚の切片の細胞間隙の状態を示す図である。 スチーマ釜で様々な条件で高圧蒸煮したときの原料魚の芯温の温度履歴を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚
本発明の一態様は骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚
である。「焼き魚」とは、一般的には魚を焼いた料理のことをいい、魚を網にのせたり串
を打って、直接炭火やガスや焚火などの熱源で、強火で短時間で焼く直火焼きにより焼く
焼き魚とフライパン等を利用したり包焼や塩釜焼き等の間接焼きにより焼く焼き魚がある
。本発明における焼き魚の食感および外観を有する調理魚は、あらかじめ急速に加熱して
骨を軟らかくした魚を炭火やガスや焚火などの火で炙って表面を焼いて焦げ目を付けたも
のをいう。本明細書において、本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および
外観を有する調理魚と一般的な焼き魚を比較するために、直接炭火やガスや焚火などの熱
源で焼いた焼き魚を「普通の焼き魚」と言う場合がある。
骨まで食べることができるとは、骨が軟化しており、そのままで食べることができるこ
とをいう。
骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の原料となる魚の
種類は限定されず、食用のすべての魚が対象となる。その中でも、ホールの魚(まるごと
の丸魚)や中骨等のついた切り身を上記の一般的な「焼き魚」として調理して食べる魚が
好ましい。例えば、アイナメ、アジ、アナゴ、アマダイ、イサキ、イシダイ、イトヨリ、
イワシ(マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ)、カサゴ、カマス、カレイ、カワハ
ギ、キス、キンキ、キンメダイ、クロダイ、コチ、サケ(銀サケ、アトランティックサー
モン等)、サヨリ、サンマ、マス、サバ、サワラ、スズキ、ニシン、ヒラメ、ホウボウ、
ホッケ、マダイ、メジナ、メバル等が挙げられる。この中でも、漁獲量の大きいサンマ、
サバ、イワシ、サケ、ニシン等が好ましい。原料魚はホールの魚(まるごとの丸魚)でも
中骨のついた切り身でも、また中骨のない切身でもよい。原料魚は未冷凍の生の魚でもよ
いし、冷凍魚でもよい。
本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚は背骨、
小骨、頭、ひれ等の骨が軟化しておりそのまま食べることができるが、筋肉部分は構造を
維持しており、煮魚のように筋肉が崩れていることはなく、普通の焼き魚と同様の状態を
維持している。
2.骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造法
本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚は、普通
の焼き魚と同様の食感を保持するために、骨を軟化させるが、筋肉の崩壊が進まないよう
にする必要がある。このために、原料となる魚に対して短時間の高圧高温処理を行うこと
により、急激に原料魚の芯温を昇温させることにより、骨を軟化させるが、筋肉が崩れず
残っている。
本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚は、骨を
有する原料魚を急速に高圧蒸煮を行うことにより骨を軟化し、次いで魚を焦げ目が付くま
で焼くことにより製造することができる。ここで、高圧蒸煮とは高い圧力下で蒸気で加熱
することをいう。急速に高圧蒸煮を行うとは、例えば、5〜20分、好ましくは5〜15分の間
に原料魚の芯温を100〜120℃まで加熱する高圧蒸煮を行うことをいう。圧力は0.1〜0.5MP
a、好ましくは0.15〜0.4MPa、さらに好ましくは0.2〜0.3MPaである。5〜20分、好ましく
は5〜15分の間に原料魚の芯温を100〜120℃まで加熱するには、例えば、100〜150℃、好
ましくは110〜140℃、さらに好ましくは110〜135℃、さらに好ましくは115〜120℃で10〜
30分の高圧蒸煮を行えばよい。原料魚の芯温とは原料魚の内部の温度をいう。芯温は中心
部の温度ともいうが、完全な中心である必要はなく、中心付近の原料魚の内部の温度を測
定すればよい。原料魚の芯温は市販の食品用芯温計の温度センサを原料魚の中心部に差し
込んで測定することができる。また、この際、一定時間にわたる温度履歴を取得すること
が好ましく、芯温を測定し芯温データを保存する装置である芯温用データロガーを用いれ
ばよい。高圧蒸煮は市販の圧力スチーマ(スチーマ釜)を用いて行うことができ、例えば
、株式会社サムソンの圧力スチーマ(SCS80/10S、SCS120/10S、SCS80/20S、SCS100/20S、
SCS120/20S、SCS100/30S、SCS120/30S)等を用いることができる。
また、原料魚の骨の軟化は、アクアガス処理により行うこともでき、さらに、アクア水
蒸気処理とレトルト加工の組合せ、あるいは過熱水蒸気処理とレトルト加工の組合せによ
っても行うことができる。ここで、アクアガスとは水蒸気の中に微細な粒径の水滴を含ん
だ複合ガスであり、微細水滴含有過熱水蒸気ともいう。アクアガスは115〜120℃程度に加
熱されている。アクアガスはアクアガス加熱装置(アクアガスオーブン)を用いて発生さ
せることができる。アクアガスオーブンとして、例えば、株式会社タイヨー製作所のアク
アクッカー(AQUA COOKER)AQ-25G-SD5-OH、AQ-25G-SD10-OH、AQ-25G-OH、AQ-50G-OH、AQ
L-2000-SR3000等(タイヨー製作所製)が挙げられる。アクアガスによる処理は上記の装置
に原料魚を入れアクアガスを噴出してアクアガスにより加熱すればよい。また、過熱水蒸
気とは発生させた水蒸気を再度加熱し高温を保つ水蒸気のことをいい、100℃以上に過熱
されている。過熱水蒸気は潜熱として食品に熱を伝えることができる。過熱水蒸気は、過
熱水蒸気オーブンレンジや前述のアクアガスオーブンにより発生させることができる。過
熱水蒸気による処理は上記の装置に原料魚を入れ過熱水蒸気を噴出して過熱水蒸気により
加熱すればよい。レトルト加工とはレトルト釜と呼ばれる加圧式の加熱装置を用いて加圧
加熱を行うことをいう。レトルト釜としてはオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)を用いる
ことができる。
アクアガスもしくは過熱水蒸気による処理とレトルト加工の組合せは、最初に魚原料の
芯温が、2〜10分、好ましくは2〜7分の間に60〜100℃となるまで、さらに好ましくは5〜7
分の間に64〜90℃となるまでアクアガス又は過熱水蒸気で処理し、さらに、原料魚の芯温
が40〜55分で100〜120℃に到達する加熱履歴となる条件でレトルト加工を行えばよい。例
えば、アクアガスを用いた120℃、300spm(供給水量:stroke per min.)で5〜120分間の
加熱処理、あるいは過熱水蒸気を用いた220℃、40spmで5〜120分間の加熱処理で、魚原料
の芯温が、2〜10分、好ましくは2〜7分の間に60〜100℃となるまで、さらに好ましくは5
〜7分の間に64〜90℃となる。また、原料魚の芯温が40〜55分で100〜120℃に到達する加
熱履歴となる条件のレトルト加工処理は、例えば、100〜150℃、好ましくは110〜140℃、
さらに好ましくは110〜135℃、さらに好ましくは115℃〜120℃で10〜30分の処理である。
さらに、過熱水蒸気による処理の後に、高圧蒸煮を行ってもよい。この場合の、過熱水
蒸気による処理は、原料魚の芯温が2〜3分の間に58〜100℃まで昇温する処理である。過
熱水蒸気による処理の後、急速に高圧蒸煮を行えばよい。例えば、100〜150℃、好ましく
は110〜140℃、さらに好ましくは110〜135℃、さらに好ましくは115〜120℃で10〜30分の
高圧蒸煮を行えばよい。
このように原料魚を加熱処理することにより、骨が軟化する。その後、魚を焦げ目が付
くまで炙って焼けばよい。この際、ガスバーナーや炭火や焚火を用いたり、魚焼きグリル
を用いて魚を炙って焼けばよい。また、ガスバーナーや炭火を組合せた装置を用いてもよ
い。例えば、下から炭火で炙り、上からはガス火で炙る装置(ガス(上)/炭火(下)を組合
わせた装置)を用いることができる。
上記の方法で、骨が軟化しそのまま食べることができ、かつ表面が焼けた、本発明の骨
まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚を製造することができ
る。
3.本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の物性
本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚は骨がそ
のまま食べられるほど軟化しているが、筋肉である魚肉は極端に崩れたり、軟らかくなり
過ぎることなく残っており、焼き魚グリルで焼いた普通の焼き魚と同様の状態、硬さを維
持している。そのため、普通の焼き魚と同様の外観、食感、味を有している。
本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚は、骨の
繊維性結合組織のうちコラーゲンの脆弱化が進んでいる。コラーゲンの分解の程度はAZAN
染色により確認することができる。AZAN染色は魚の切片標本を作製し公知の方法で染色す
ればよい。この際、本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有す
る調理魚を普通の焼き魚及び水煮により調理した魚(缶詰)と比較すればよい。本発明の
骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚をAZAN染色すると染
色性が減弱していることがわかる。AZAN染色により染色性の減弱は骨のコラーゲンが脆弱
化していることを意味する。ただし、水煮により調理した魚ほどは染色性は減弱しておら
ず、コラーゲンが分解することにより骨が軟化し、骨が食べられる状態になっているが、
水煮により調理した魚ほどは骨の軟化が進んでいない。本発明の骨まで食べることができ
る焼き魚の食感および外観を有する調理魚は、コラーゲンが脆弱化されており、骨が軟ら
かくなって骨をそのまま食べることができるが、ある程度の歯ごたえ等を保持している。
また、カルシウムの量をKossa染色により調べることができる。Kossa染色は魚の切片標
本を作製し公知の方法で染色すればよい。本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の
食感および外観を有する調理魚のカルシウム量は普通の焼き魚と同等である。すなわち、
カルシウムは維持されており、骨の主要な構造体であるカルシウム-ハイドロキシアパタ
トは変化を受けていない。本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観
を有する調理魚は普通の焼き魚とは異なり骨を食べることができるので、コラーゲンやカ
ルシウムのよい供給源となる。
さらに、骨の硬さを以下の方法で測定することができる。
例えば、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置としてテクスチャ
ーアナライザー(例えば、TA Xt plus(英弘精機社製))を用い、食品材料に、厚さ0.5mm
平型プランジャー(プローブ)(長さ 30mm)を3mm/secの速度でサンプル厚みの99%まで押
し込んだ際の破断荷重値を測定することにより行えばよい。
この方法で測定した本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有
する調理魚の骨の硬さは、10〜500g、好ましくは20〜200g、さらに好ましくは30〜150g
、特に好ましくは26〜86gである。なお、普通の焼き魚の骨の硬さは2500g以上である。
本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚は筋肉が
崩れることなく維持されている。筋肉の状態は、筋肉の細胞間隙、筋肉の硬さを測定する
ことにより解析することができる。筋肉の細胞間隙は、AZAN染色を施した組織像を画像解
析ソフトを用いて解析することにより測定することができ、全体(筋肉面積+細胞間隙面積
)に対する細胞間隙面積の比率%を算出すればよい。この方法で算出した本発明の骨まで
食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の筋肉の細胞間隙は、2〜
10%、好ましくは2〜8%、さらに好ましくは2〜6%である。この値は、普通の焼き魚
と同等である。
さらに、筋肉の状態を筋肉の硬さ、すなわち、筋肉の破断強度により調べることができ
る。筋肉の破断強度は以下の方法で測定することができる。
(1)例えば、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置としてテクスチ
ャーアナライザー(例えば、TA Xt plus(英弘精機社製))を用い、食品材料に、歯型プ
ランジャーを10mm/secの速度で 15mm貫通する際の荷重値を測定することにより行えばよ
い。
(2)例えば、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置としてテクスチ
ャーアナライザー(例えば、TA Xt plus(英弘精機社製))を用い、食品材料に、φ20mm
円柱型プランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの90%まで押し込んだ際の荷重値を
測定することにより行えばよい。
これらの方法で測定した本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観
を有する調理魚の筋肉の破断強度は、(1)の方法で測定した場合は、300〜500g、好まし
くは320〜500gである。一方、水煮により調理した魚は280g未満と低い。また、(2)の方
法で測定した場合は、1000〜2000g、好ましくは1400〜2000g、さらに好ましくは944〜227
0gである。一方、水煮により調理した魚は900g未満と低い。
さらに、筋肉の状態を筋肉中の水分量で調べることができる。筋肉中の水分量は以下の
方法で測定することができる。100℃にて食品を一夜保温した前後の重量より、(保温前の
食品重量 - 保温後の食品重量) / 保温前の食品重量(%)として算出すればよい。
この方法で測定した、本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を
有する調理魚の筋肉中の水分量は30〜60%、好ましくは35〜60%、さらに好ましくは29〜
65%である。
これらの測定値は、本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有
する調理魚は普通の焼き魚と同程度に筋肉組織が保持されていることを示す。
上記方法で製造した骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理
魚をさらにフレーク状にして魚フレークを製造することができる。
魚フレークの製造は、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調
理魚を適当な大きさ、例えば10〜50mm、好ましくは10〜30mm幅にスライスし、加工澱粉、
乳化剤、食塩等を配合した組成物と混ぜ、必要に応じて調味液を添加し、ミキサーで撹拌
すればよい。調味液は、好ましくは増粘ゾルの状態で添加する。撹拌は、焼成後、粗熱を
取り、室温で実施した。撹拌は、トータル10秒〜10分間、好ましくは30秒〜2分間程度行
えばよい。この際、加工澱粉、乳化剤、食塩等を配合した組成物と混ぜ撹拌し、一旦停止
し、調味液を添加し再度撹拌してもよい。ミキサーは例えば、中井機械工業株式会社の二
軸式ミキサーFDMシリーズ(FDM-130、FDM-250)等を用いればよい。この後、添加した加
工澱粉および乳化剤がフレークのドリップを防止するように加熱する。加熱は、70〜90℃
、好ましくは75〜85℃で、1分以上行えばよい。
本発明は、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚をさら
にフレーク化する魚フレークの製造方法も包含し、前記調理魚をフレーク化した魚フレー
クも包含する。また、本発明の調理魚はフレーク化した調理魚も包含する。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって
限定されるものではない。
[実施例1]本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚
の小規模の試作
1-1 試験方法
1-1-1 原料魚
原料魚として、サンマ、サバ、マイワシ、小アジ及びサケ(銀サケ、または/およびアト
ランティックサーモン)を用いた。サンマ、サバ、マイワシ、小アジはホールの魚(まる
ごとの丸魚)の冷凍魚を量販店より購入し解凍して用いた。サケは、冷凍切身を量販店よ
り購入し、解凍して試験に用いた。
ホールの魚は、肛門より包丁を入れ、開腹した上で内臓をかきだし、流水で腹腔内を洗
浄した。ホールの魚は適宜、切り分け、輪切りにして試験に用いた。サンマは4切れ〜6
切れ程度、サバは5切れ〜7切れ程度、マイワシは、2切れに切り分けて試験に用いた。
ここまでの原料魚の操作においては、粒状の氷を使いながら原料魚が不必要に昇温しない
よう注意した。
1-1-2 加熱処理
原料魚の加熱処理は、アクアガスオーブン AQUA COOKER AHA Model AQ-25G-SD5-OH (タ
イヨー製作所製)を用い、過熱水蒸気(superheated steam; SHS)またはアクアガスのどち
らかを噴出させて、原料魚を加熱処理した。過熱水蒸気とは、発生させた水蒸気を再度加
熱し高温を保つ水蒸気のことである。一方、アクアガスは水蒸気の中に微細な粒径の水滴
を含んだ複合ガスである。通常、水蒸気が原料魚にあたると急激な冷却によって水層が形
成され、この水層が水蒸気から原料魚への熱伝達を抑制する。しかし、アクアガスの場合
、噴射された原料魚の表面は、アクアガス内の水滴によって原料魚表面の水層が不安定に
なり、それによって、水蒸気が直接に原料魚にアプローチしやすくなるため、熱伝達の効
率が向上する。過熱水蒸気は沸点以上の温度に加熱されており、短時間の均一な加熱が可
能になる。
加熱条件の設定は次の通りであった。
過熱水蒸気による加熱処理は220℃、40spm(供給水量(庫内蒸気量):stroke per min
.)の条件で5分〜120分で行い、アクアガスによる加熱処理は120℃、300spmにて5分〜120
分で行った。この処理条件を、原料魚の芯温(中心部の温度)が5〜7分の加熱処理で64〜
90℃まで昇温する温度履歴が得られる初期条件とした。実施例2においても同様であった
加熱処理は原料魚をトレーにならべて行った。その際、魚の皮の部分がトレーに触れな
いような配置を心掛け、出来るだけ皮が傷つかないように注意した。また、過熱水蒸気ま
たはアクアガスが中骨の部分に噴射されるよう、原料魚の腹部開口がガスの噴出孔を向く
ように原料魚をトレー上に配置した。
1-1-3 原料魚の芯温の測定方法
レトルト加工における原料魚の芯温の測定は芯温を測定し芯温データを保存する装置で
ある芯温用データロガーの温度センサの先端を魚体の中心部に刺し込み温度をトレースし
た(VCQシステム、エスバック、スタープロダクツ製)。なお、中心部は正確な中心部では
なく、ほぼ中心部と思われる位置である。
アクアガスあるいは過熱水蒸気の発生装置内における原料魚の芯温の測定は芯温を測定
し芯温データを保存する装置である熱電対の温度センサの先端を魚体の中心部に刺しこみ
温度をトレースした(AMS-800、安達計測器)。
1-1-4 レトルト加工
前項で述べた過熱水蒸気またはアクアガスによる加熱とあわせ、レトルト釜での高温高
圧処理を組み合わせて加熱するケースも検証した。レトルト釜としてオートクレーブ装置
TOMY LSX-500を用いた。1-1-2に記載の条件で過熱水蒸気またはアクアガスのいずれかの
処理を行った後、115℃で10分〜30分、120℃で20分等の設定条件でレトルト釜により高温
高圧処理を行った。レトルト加工のカムアップタイム(通常の室温20℃前後から、蒸気が
装置内に入ってから、所定の処理温度に達するまでの時間)は18分であった。一方、冷却
工程は22分間で(88℃まで)降温した。魚体の芯温実測は、通常の室温20℃前後から40〜55
分で100〜120℃に到達する温度履歴であった。
高温高圧レトルト加工を施す際、原料魚は特に容器にいれることなく原料魚を剥きだし
でアルミ箔の上に並べ、レトルト加工を施した。その際、原料魚よりレトルト加工の過程
で滴るドリップ(液汁)に原料魚が浸ることがないよう(煮魚にならないよう)、焼き網を底
面から10cm程度の高さの位置に固定し、この焼き網の上にアルミ箔を拡げた。更にこのア
ルミ箔の上に原料魚を配置した。原料魚は、皮がアルミ箔に触れないように配置し、操作
の過程で皮が傷つかないように心がけた。
1-1-5 炙り
高温高圧処理レトルト加工後、ドリップに含まれる油分と煮汁を原料魚に絡めながら、
原料魚をトレーに配置し、ハンドタイプの炙り装置(Shinfuji Burner RZ-730)を使いな
がら原料魚を炙った。香ばしい匂いが出て、なおかつ見た目の焼き魚感が得られるまで、
炙り工程を継続した。その間、前工程である高温高圧処理で滴ったドリップを絡める操作
を、適宜、行なった。
1-1-6 包装および喫食
得られた「骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚」を樹
脂製のトレーに載せ、急速凍結装置を使って冷凍した。ラップをかけ、ビニール袋に入れ
た上で窒素ガスを袋内に噴射し、袋を密閉して冷凍保存した。
喫食は、電子レンジで適宜加熱し、品位を評価した。
1-2 結果
1-2-1 アクアガス単独での加熱
アクアガス単独の加熱の場合、120℃、300spm、120分の設定条件にて、骨まで食べるこ
とができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚(焼きサンマ、小アジ)が得られた。
しかし、過熱水蒸気単独の場合、5分〜2時間の何れの条件においても、骨まで食べるこ
とができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚は、得られなかった。
1-2-2 アクアガスとレトルト加工の組み合わせの場合
アクアガスによる120℃、300spmでの5分、10分、15分または20分の設定条件で加熱処理
の後、115℃、30分の設定条件にてレトルト加工処理を行った結果、骨まで食べることが
できる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚が得られた(焼きサンマ、焼きアトラン
ティックサーモン)。
アクアガスによる120℃、300spmでの5分、10分または15分の設定条件で加熱処理の後、
115℃、20分の設定条件にてレトルト加工処理を行った結果、中骨が少しひっかかるが、
骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚が得られた(焼きサ
ンマ)。
アクアガスによる120℃、300spmでの0.5時間または1時間の設定条件で加熱処理の後、1
15℃、10分の設定条件にてレトルト加工処理を行った結果、骨まで食べることができる、
焼き魚の食感および外観を有する調理魚が得られた(焼きサンマ、小アジ、サケ切り身)。
いずれも、10℃保存で16日後においても一般生菌数はゼロだった。
また、いずれも、10℃保存で30日後においても一般生菌数および大腸菌群はゼロだっ
た。
また、「骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚」の品位
に、経時劣化は感じられなかった。
1-2-3 過熱水蒸気とレトルト加工の組み合わせの場合
過熱水蒸気による220℃、40spmでの5分、10分または15分の設定条件で加熱処理の後、1
15℃、30分の設定条件にてレトルト加工処理を行った結果、骨まで食べることができる、
焼き魚の食感および外観を有する調理魚が得られた(焼きアトランティックサーモン、焼
きギンザケ(銀鮭))。
過熱水蒸気による220℃、40spmでの5分、10分または15分の設定条件で加熱処理の後、1
20℃、20分の設定条件にてレトルト加工処理を行った結果、骨まで食べることができる、
焼き魚の食感および外観を有する調理魚が得られた(焼きサンマ)。
[実施例2]本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚
の骨および筋肉の状態の検討
骨の状態
得られた焼き魚の病理組織学的特徴をAZAN染色およびKossa染色により調べた。
AZAN染色により、線維性結合組織のうち膠原線維(コラーゲン)を青色に染色する。染
色の工程は次の通りだった。先ず、脱パラフィンし、アゾカルミンG浮遊液に0.5時間処
理した後、水洗、アニリンアルコ−ル中で脱色、分別し、酢酸アルコールで1分間処理し
てから、5%燐タングステン酸液にて浸漬し、再度、水洗の上、アニリン青・オレンジG
混合液で0.5時間ほど処理した。その後、純アルコ−ル中で分別、脱水して透徹、封入し
た。
図1にAZAN染色の結果を示す。図1AはAsahiSunred同時両面グリルで焼いて作ったサ
ンマの普通の焼き魚の染色の結果を示し、図1Bは、実施例1の1-1、1-2、1-4、1-5およ
び1-6の方法(AQUA COOKER AHA Model AQ-25G-SD5-OH、TOMY LSX500、Shinfuji-Burner RZ
-730を用いた)で作製した本発明のサンマを原料魚とした「骨まで食べることができる、
焼き魚の食感および外観を有する調理魚」の結果を示し、図1Cは缶詰のサンマの水煮(
マルハ月花さんま水煮)の結果を示す。図に示すように、骨まで食べることができる、焼
き魚の食感および外観を有する調理魚とサンマの水煮は普通の焼き魚に比較してAZAN染色
での染色性が減弱していた。この結果は、骨まで食べることができる、焼き魚の食感およ
び外観を有する調理魚とサンマの水煮(缶詰)は、骨のコラーゲンが変化したため、骨が軟
らかくなったことを示している。また、サンマの水煮については、青色に染色された部分
に亀裂があることが確認できることから、骨構造は脆くなっていることもわかった。一方
、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚では、骨構造は水
煮ほど脆くなっていなかった。このことは、骨まで食べることができる、焼き魚の食感お
よび外観を有する調理魚において、コラーゲンが分解されており、骨が軟らかくなって骨
をそのまま食べることができるが、ある程度の歯ごたえ等を保持していることを意味する
Kossa染色は、カルシウム塩を濃い茶褐色〜黒色に染色する。脱パラフィンの後、蒸留
水で水洗し、5%硝酸銀液、蛍光灯下で2時間処理した。その後、5%チオ硫酸ナトリウ
ムにて3分間処理して、水洗した。ケルンエヒトロ−トで核を赤く染色して、水洗し、脱
水、透徹、封入した。
図2にKossa染色の結果を示す。図2Aは、AsahiSunred同時両面グリルで焼いて作った
サンマの普通の焼き魚の染色の結果を示し、図2Bは実施例1の1-1、1-2、1-4、1-5およ
び1-6の方法(AQUA COOKER AHA Model AQ-25G-SD5-OH、TOMY LSX500、Shinfuji-Burner RZ
-730を用いた)で作製した本発明のサンマを原料魚とした「骨まで食べることができる、
焼き魚の食感および外観を有する調理魚」の結果を示し、図2Cは缶詰のサンマの水煮(
マルハ月花さんま水煮)の結果を示す。図2に示すように、普通の焼き魚と比較して、骨
まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚およびサンマの水煮(
缶詰)はともに、カルシウムの量が変化せず、カルシウムの量が減少していないことが判
った。これにより、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚
の骨組織のカルシウムは維持されており、骨の主要な構造体であるカルシウム-ハイドロ
キシアパタトが変化を受けたわけでないものと推定された。さらに、必須栄養素のひとつ
である微量元素カルシウムを摂取するために、骨まで食べることができる、焼き魚の食感
および外観を有する調理魚を有効に利用することができると考えられた。
骨の硬さは、テクスチャーアナライザー(Texture Analyser) TA, XT Plus(英弘精機
社製)を用いて測定した。すなわち、プランジャー(プローブ)で骨を破壊し、食品破断
時の強度を定量化した。プランジャーは平型(厚さ 0.5mm長さ 30mm)を用いた。プラット
フォームは Heavy Duty Platform HDP / 90(Stable Micro System)を用いた。直線運動に
より物質の圧縮応力を測定することが可能な装置としてテクスチャーアナライザー(TA Xt
plus(英弘精機社製))を用い、食品材料に、平型プランジャー(厚さ0.5mm長さ30mm)を
3mm/secの速度でサンプル厚みの99%まで押し込んだ際の荷重値を測定することにより行っ
た。測定は3回以上反復し、平均値±標準偏差として信頼区間を表示した。
骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚が56±10g、水煮
缶詰が125±103gと、同等だった。骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観
を有する調理魚と水煮缶詰の骨の硬さはどちらも、普通の(骨を食べられない)焼き魚の骨
の硬さ2889±545gと比較して、有意に低かった(対応のないt検定)。水煮缶詰の魚は骨が
軟らかくなっており、問題なく骨が食べられるが、骨の硬さの結果は、本発明の骨まで食
べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚も水煮缶詰の魚と同程度に骨
が軟らかくなっていることがわかった。
筋肉の状態
筋肉の細胞間隙をAZAN染色を施した組織像を用いて測定した。すなわち、青色に染まっ
た膠原繊維(コラーゲン)を含んだ筋肉に対し、染色を受けない透明な細胞間隙を、画像解
析ソフト Winroofを用いて区別・定量のうえ、全体(筋肉面積+細胞間隙面積)に対する細
胞間隙面積の比率%を算出した。
図3に結果を示す。図3AはAsahiSunred同時両面グリルで焼いて作ったさんまの普通
の焼き魚の染色の結果を示し、図3Bは実施例1の1-1、1-2、1-4、1-5および1-6の方法(
AQUA COOKER AHA Model AQ-25G-SD5-OH、TOMY LSX500、Shinfuji-Burner RZ-730を用いた
)で作製した本発明のさんまを原料魚とした「骨まで食べることができる、焼き魚の食感
および外観を有する調理魚」の結果を示し、図3Cは缶詰のさんまの水煮(マルハ月花さ
んま水煮)の結果を示す。図3に示すように、骨まで食べることができる、焼き魚の食感
および外観を有する調理魚が水煮缶詰と比較して、細胞間隙の大きさが小さかった。すな
わち、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の細胞間隙4.
3±0.5%は、水煮缶詰の細胞間隙の8.9±1.9%よりも有意に低値であった。骨まで食べるこ
とができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の細胞間隙率 4.3±0.5%は普通の焼
き魚の細胞間隙率 4.9±1.7%と同等だった(対応のないt検定)。
また、筋肉の硬さは、テクスチャーアナライザー(Texture Analyser) TA, XT Plus(
英弘精機社製)を用いて測定した。直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能
な装置としてテクスチャーアナライザー(TA Xt plus(英弘精機社製))を用い、食品材
料に、φ20mm円柱型プランジャーを10mm/secの速度でサンプル厚みの90%まで押し込んだ
際の破断荷重値を測定することにより行った。プラットフォームは Heavy Duty Platform
HDP / 90(Stable Micro System)を用いた。また、歯型プランジャーを10mm/secの速度で
15mm貫通するまで押し込んだ際の破断荷重値を測定することによっても行った。プラット
フォームはφ9mmの穴が開いた台を用いた。測定は3回以上反復し、平均値±標準偏差とし
て信頼区間を表示した。魚の破断強度の測定は鋭利な包丁を用いて背骨を含んだ断面にて
魚を左右に切り分け、背骨を剥離し、筋肉をプラットフォームに載せた後、プランジャー
を押し込み、破断強度を測定した。筋肉の破断強度は、骨まで食べることができる、焼き
魚の食感および外観を有する調理魚が355±48gであり、水煮缶詰の261±90gより高かった
(歯型のプランジャーを用いた場合の筋肉の破断)。両者は、有意な差であった。一方、歯
型のプランジャーを用いた際の普通の焼き魚は破断強度308±52gであり、骨まで食べるこ
とができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の破断強度355±48gと同等だった(
対応のないt検定)。また、プランジャー円柱φ20mmで測定した場合の筋肉の破断強度は、
骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚が1607±221gであり
、水煮缶詰の844±358gより高かった。両者は、有意な差であった。一方、φ20mmの円柱
型のプランジャーを用いた際の普通の焼き魚は破断強度1507±82gであり、骨まで食べる
ことができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の破断強度1607±221gと同等だっ
た(対応のないt検定)。
筋肉の破断強度の結果は、細胞間隙の大きさと相関関係にあると考えられた。すなわち
、細胞間隙が小さいほど、筋肉の破断強度が高かった。
この結果は、本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調
理魚は普通の焼き魚と同程度に筋肉組織が保持されていることを示す。
水分量は骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚、および
水煮缶詰でそれぞれ47±6%、および45±3%であり、両者は同等だった。一方、普通の焼き
魚の水分量は42±5%だった。
この結果は、本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調
理魚は普通の焼き魚と同程度に筋肉組織が保持されていることを示す。
[実施例3]本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚
の工場での生産試作
3-1 試験方法
3-1-1 原料魚
原料魚として、冷凍のサンマ、イワシをホールで試験した。一方ニシンは、ドレス(頭
と内臓を取り除いた状態のもの)およびフィレ(ドレスから尾、ヒレ、中骨を除いた状態
のもの)を試験に用いた。それぞれ解凍した上で、試験に用いた。
サンマおよびイワシは、頭と尾に切り分け、内臓を吸引除去した。
ニシンのドレスは胴部分を輪切りにし、4〜5ピースの胴切りとして用いた。
3-1-2 加熱処理(過熱水蒸気による加熱および高温高圧蒸煮)
原料魚の加熱処理は、過熱水蒸気発生装置(シブヤマシナリーSTO32070154R)を用い、
過熱水蒸気を噴出させて、原料魚を加熱処理した。
加熱条件は過熱水蒸気発生装置の燃焼炉の温度を500℃とし、ノズル上部のスチーム量
を120kg/時間とし、ノズル下部のスチーム量を120kg/時間とした、加熱時間は2〜3分であ
った。
この条件の加熱によって、魚の芯温は2〜3分の間に58〜100℃まで昇温した。
過熱水蒸気による加熱処理後の高圧蒸煮は株式会社サムソンの釜SCS120/20S 0 OPを用
いた。高圧蒸煮の温度と時間は結果の項目に記載した。以下、用いた釜をスチーマ釜また
は圧力スチーマとも呼ぶ。
結果に示すように、過熱水蒸気(SHS)による加熱の後にスチーマ釜による高圧蒸煮を行
う場合と、過熱水蒸気(SHS)による加熱を行わずにスチーマ釜による高圧蒸煮のみを行う
条件について試験を行った。
3-1-3 芯温の測定
レトルト加工およびスチーマ釜あるいは圧力スチーマ内における原料魚の芯温の測定は
芯温を測定し芯温データを保存する装置である芯温ロガーの温度センサの先端を魚体の中
心部に刺し込み温度をトレースした(VQCシステム、エックスバック、スタープロダクツ製
)。
アクアガスあるいは過熱水蒸気の発生装置内における原料魚の芯温の測定は芯温を測定
し芯温データを保存する装置である熱電対の温度センサの先端を魚体の中心部に刺しこみ
温度をトレースした(AMS-800、安達計測器)。
3-1-4 炙り
高温高圧蒸煮後、ガス(上)/炭火(下)を組み合わせた装置にて、原料魚を炙った。
3-2 結果
3-2-1 骨まで食べることができる、焼きサンマの食感および外観を有する調理魚(120℃
スチーマ釜)
以下の条件で加熱処理を行った。過熱水蒸気処理を2分間行った後、ガス(上)/炭火(下)
を組み合わせた装置で炙り、焼き魚の食感および外観を有する調理魚を作製した。
(i)過熱水蒸気(SHS)による加熱処理後、スチーマ釜で120℃、10分高圧蒸煮を行った。
(ii)スチーマ釜で120℃、10分高圧蒸煮を行った(過熱水蒸気処理なし)。
これらの処理の結果、中骨が少しひっかかったものの、腹部あばら等の骨も軟化してい
て、どちらの条件においても骨まで食べることができる、焼きサンマの食感および外観を
有する調理魚が得られた。両者の条件で骨の硬さはほぼ同等だった。しかし、(ii)の過熱
水蒸気(SHS)処理が無かったもののほうが、(i)のSHS処理を行ったものよりも、見栄えが
良好だった。
一方、上の条件よりも蒸煮時間を長くし、(iii)スチーマ釜で120℃、15分の高圧蒸煮を
行った。その結果、中骨も含め、骨まで食べることができる、焼きサンマの食感および外
観を有する調理魚が得られた。
3-2-2 骨まで食べることができる、焼きサンマの食感および外観を有する調理魚(115℃
スチーマ釜)
以下の条件で加熱処理を行った。過熱水蒸気処理を2分間行った後、ガス(上)/炭火(下)
を組み合わせた装置で炙り、焼き魚の食感および外観を有する調理魚を作製した。
(i)過熱水蒸気(SHS)による加熱処理後、スチーマ釜で115℃、15分高圧蒸煮を行った。
(ii)スチーマ釜で115℃、15分高圧蒸煮を行った(過熱水蒸気処理なし)。
これらの処理の結果、中骨が少しひっかかったものの、腹部あばら等の骨も軟化してい
て、どちらの条件においても骨まで食べることができる、焼きサンマの食感および外観を
有する調理魚が得られた。両者の条件で骨の硬さはほぼ同等だった。しかし、(ii)の過熱
水蒸気(SHS)処理が無かったもののほうが、(i)のSHS処理を行ったものよりも、見栄えが
良好だった。
(iii)過熱水蒸気(SHS)による加熱水蒸気処理後、スチーマ釜で115℃、17分高圧蒸煮を行
った。
(iv)スチーマ釜で115℃、17分で高圧蒸煮を行った(過熱水蒸気処理なし)。
これらの処理の結果、中骨が少しひっかかったものの、どちらの条件においても骨まで
食べることができる、焼きサンマの食感および外観を有する調理魚が得られた。両者の条
件で骨の硬さはほぼ同等だった。しかし、(iv)の過熱水蒸気(SHS)処理が無かったものの
ほうが、(iii)のSHS処理を行ったものよりも、見栄えが良好だった。
一方、上の条件よりも蒸煮時間を長くし、(v)スチーマ釜で115℃、20分高圧蒸煮を行っ
た。その結果、中骨も含め、骨まで食べることができる、焼きサンマの食感および外観を
有する調理魚が得られた。
また、更に蒸煮時間を長くし、(vi)過熱水蒸気(SHS)による加熱処理後、スチーマ釜で1
15℃、30分高圧蒸煮を行った。その結果、中骨も含め、骨まで食べることができる、焼き
サンマの食感および外観を有する調理魚が得られた。しかし、見栄えがやや悪かったが本
発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚に含まれると
判断した。
3-2-3 骨まで食べることができる、焼きニシンのフィレの食感および外観を有する調理
魚(115℃スチーマ釜)
(i)過熱水蒸気(SHS)による加熱処理を3分間施した後、スチーマ釜で115℃、10分高圧蒸煮
を行った。
(ii)スチーマ釜で115℃、10分高圧蒸煮を行った(過熱水蒸気処理なし)。
これらの処理の結果、どちらの条件においても骨まで食べることができる、焼きニシン
のフィレの食感および外観を有する調理魚が得られた。しかし、(i)の過熱水蒸気(SHS)処
理を行ったもののほうが、SHS処理を行わなかったものよりも、見栄えが良好だった。
上の条件よりも蒸煮時間を長くし、(iii)過熱水蒸気(SHS)により加熱処理後、スチーマ
釜で115℃、30分高圧蒸煮を行った。その結果、骨まで食べることができる、焼きニシン
の食感および外観を有する調理魚が得られた。見栄えは良好だった。
(iv)焼きニシンのドレスについてスチーマ釜120℃、20分の高圧蒸煮を行ったところ、中
骨は硬かったものの腹部あばらの骨は軟化していて、焼き魚の食感および外観を有する調
理魚に含まれると判断した。
3-2-4 本発明の加熱処理における温度履歴
用いたスチーマ釜内における原料魚(サンマ)の芯温の温度履歴は次の通りであった。
つまり、設定条件115℃で30分、115℃で20分、115℃で15分、120℃で10分、120℃で15分
のいずれにおいても、実測された温度履歴は5〜20分の短時間に100〜120℃まで昇温する
というものであった。
用いたスチーマ釜内の温度履歴は、過熱水蒸気またはアクアガスによる温度履歴、すな
わち2〜10分で60〜100℃という昇温速度と一致していた。
図4にスチーマ釜で様々な条件で高圧蒸煮したときの原料魚の芯温の温度履歴を示す。
図4中のレトルト加工を除くいずれの条件においても、細かい骨が軟化し、骨まで食べ
ることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚が得られた。特に、中骨まで食
べられる最適条件は、次の通りであった。ただし、この最適条件以外の条件においても、
良好な、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚を得ること
ができた。
サンマの場合は、スチーマ釜で120℃、15分の高圧蒸煮を行う。
ニシンのフィレの場合、過熱水蒸気で3分の加熱処理を行った後に、スチーマ釜で115
℃、10分の高圧蒸煮を行う。
ニシンのドレスの場合、スチーマ釜で120℃、20分の高圧蒸煮を行う。
イワシの場合、スチーマ釜で120℃、15分の高圧蒸煮を行う。
これらの最適条件では、いずれにおいても、原料魚の芯温が、20分の間に100〜120℃ま
で昇温した。
また、上の結果に示されるように、スチーマ釜により高圧蒸煮処理を行う場合、高圧蒸
煮処理の前の過熱水蒸気による加熱処理は必須な条件ではなかった。
オートクレーブ装置(TOMY LSX-500)を用いて、レトルト加工を行った場合、温度履歴
は40〜55分の比較的長い時間をかけて100〜120℃昇温するというものであった。従って、
レトルト加工は、緩慢な昇温だった。レトルト加工のみでは、本発明の骨まで食べること
ができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚を得ることはできない。例えば、レト
ルト加工によって製造されたマルハさんま月花水煮をハンドタイプの炙り装置(Shinfuji
Burner RZ-730)で炙っても、食感および匂いの双方において焼き魚にならなかった。
温度履歴の実測データ、および骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を
有する調理魚を得るための条件の組み合わせより、次のような関係が考えられた。つまり
、レトルト加工にともなう筋肉の煮魚感は、レトルト加工の緩慢な昇温にともない筋肉の
細胞間隙が増加し、それによって煮魚特有の筋肉のもろさがひき起こされた(煮魚感)。し
かし、レトルト加工に先立ち、原料魚をアクアガスまたは過熱水蒸気処理により加熱する
ことにより60〜100℃の急激な昇温を促し、それによって細胞間隙を密に保ち、なおかつ
その後のレトルト加工による緩慢な40〜55分間の100〜120℃への暴露により骨のコラーゲ
ンを脆弱化させ、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚が
得られたと考えられた。
また、スチーマ釜は、上記の2つの要件、すなわち2〜10分での60〜100℃の急激な昇温
および100〜120℃への暴露による骨コラーゲンの脆弱化の両要件が同時に達成され、それ
によって、スチーマ釜を用いた高圧蒸煮では、ワンステップで骨まで食べることができる
、焼き魚の食感および外観を有する調理魚を作製することができた。
[実施例4]本発明の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚
のフレーク化
4-1-1 原料魚
原料魚として、近海サバを三枚におろしたフィレ(皮・腹骨つき)を用いた。
4-1-2 加熱処理(高温高圧蒸煮)
上記の工程で処理したサバのフィレのスライスを、スチーマ釜にて130℃、15分高圧蒸
煮を行った。
4-1-3 炙り
高温高圧蒸煮後、ガス(上)/炭火(下)を組合わせた装置にて、原料魚を炙った。
4-1-4 フレーク化
上記の加熱、炙り焼成した焼サバを、20mmにスライスして用いた。
フレーク焼サバの配合は、スライス済焼きサバ86.90%、加工澱粉2.00%、タイセット(
太陽化学(株)製 乳化剤)1.50%、食塩(ふりかけ用)3.50%、液体調味配合(水 3.80
%、日持ち向上剤1.00%、増粘多糖類 0.30%、昆布エキス 1.00%)とした。
加工澱粉は、フレークの加熱処理後の離水を防止するため、耐老化性、耐塩性を有する
加工澱粉を、求めるフレークの食感に応じて適宜選択できる。
乳化剤はフレーク焼サバの用途に応じて選択できる。おにぎりの中具のように使用し、
サバからの油分の染み出しを防ぎたいときは、油脂の凝固作用を促進する乳化剤(一例と
して太陽化学(株)製タイセット等)、お茶漬けや汁物に使用した際の油浮きを防ぎたい
ときは一般的な高HLBの乳化剤(塩分濃度が高いためショ糖脂肪酸エステル系は使用に
適さない)を使用すればよい。
調味液は、サンプラント工業製のバケットミキサーを用いて調整した。高粘度のゾル状
態に調整した。それによって、次工程の混ぜ込みではミキサー底部に沈み込むことなく、
安定的に混ぜ込みできる。
中井機械工業製の二軸式ミキサーにて、次のステップで攪拌した。室温に放冷したサバ
を投入した後、事前撹拌は行わなかった。2軸攪拌機速度は36rpmに設定した。フレーク全
量が20kgになるように各原材料を計量した。最初にミキサー内のサバを均し、加工澱粉、
乳化剤、食塩を半量(フレーク全量20kgに対し1.4kgの半量の0.7kgの加工澱粉+乳化剤+
食塩)投入し、30秒撹拌した。次いで、加工澱粉、乳化剤、食塩の残量を投入し30秒撹拌
した。その上で、上記の液体調味液(増粘ゾル)をボウルに1.22kg計量し(水3.80%、日
持ち向上剤1.00%、増粘多糖類0.30%、昆布エキス1.00%)投入し40秒撹拌した。フレー
ク状態を確認し、薄片状に加工されたフレークを全量取出した。総撹拌時間は1分40秒だ
った。
4-1-5 加熱処理
フレーク化の工程で添加したベース配合中の加工澱粉、乳化剤がドリップ防止の効果を
発現するためには加熱工程が必要である。2次殺菌を兼ねた加熱処理を行った。スチーム
コンベクションで芯温80℃ 1分以上の加熱処理を行った。
加熱後の包装済フレークは粗熱を取った後、直ちに-35℃冷凍庫で凍結した。

Claims (11)

  1. 骨を有する魚を、5〜17分の間に0.1〜0.5MPaの圧力下で芯温を100〜120℃まで加熱する高圧蒸煮を行うことにより骨を軟化し、その後、魚を焦げ目が付くまで焼くことを含む、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造方法(ただし、高圧蒸煮の前に減圧乾燥処理を行わない)。
  2. 高圧蒸煮を圧力スチーマを用いて行う、請求項1記載の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造方法。
  3. ガスまたは/および炭火により魚を焼く、請求項1又は2に記載の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造方法。
  4. 魚が、サンマ、イワシ、ニシン、サケ及びサバからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚の製造方法。
  5. 骨が軟化されており、骨中のコラーゲンが破壊されているが、筋肉は崩れていない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により製造した、骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚。
  6. 骨中のコラーゲンをAZAN染色により染色した場合に、缶詰であるサンマの水煮と同程度に染色される、請求項5記載の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚。
  7. テクスチャーアナライザーを用いて骨の硬さを測定した場合の値が、平型プランジャーを用いた場合で26〜86gである、請求項5又は6に記載の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚。
  8. テクスチャーアナライザーを用いて筋肉の硬さを測定した場合の値が、歯型のプランジャーを用いた場合で300〜500g、又はφ20mmの円柱型プランジャーを用いた場合で1000〜2000gである、請求項5〜7のいずれか1項に記載の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚。
  9. 筋肉中の水分含量が35〜60%である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で製造した調理魚を、ミキサーによりフレーク化することを含む、魚フレークの製造方法。
  11. 請求項5〜9のいずれか1項に記載の調理魚をミキサーによりフレーク化した魚フレーク。
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