JP4671929B2 - 凍結乾燥天ぷら様食品の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、これらの文献によれば、原料種自体がフライ処理されることから、十分内部まで加熱しようとする場合、原料種の食品素材の形状や大きさが制限されることが予想される。
しかし、このように原料種を予備的に空揚げする場合であっても、原料種のサイズが大きいと短時間のフライのみでは十分に水分を減少させることができず、長期保存は不可能である。また、長時間のフライを行うと、原料種の縮み・湾曲等の問題が生じ、復元性に問題が生じる。
しかし、前記方法は、天かす(揚げ玉)を原料種に付着させるものであるため、輸送中に天かすが剥がれ落ちることも予想される。
凍結乾燥天ぷら様食品の製造方法であって、以下の工程、すなわち;
A)原料種を加熱処理する工程、
B)原料種とは別にバッターを所定形状にフライ処理することにより成型フライ衣を調製する工程、
C)前記A工程で得た加熱処理後の原料種を前記B工程で得た成型フライ衣で挟み込んで
蒸煮することにより原料種をフライ衣で被覆するように一体化する工程、
D)前記一体化した原料種とフライ衣を凍結乾燥する工程、
の各工程を含むことを特徴とする凍結乾燥天ぷら様食品の製造方法、である。
型フライ衣同士、又は原料種及び成型フライ衣を、加熱結着性食品材料を介して結着させることができる。また、本発明は十分に復元性を持たせることの困難な、エビ、イカ、タコに用いるのが好適である。
本発明に係る凍結乾燥天ぷら様食品の原料種としては、エビ、イカ、タコ、いわし、かに、貝、小魚、小エビ等の水産物、鶏肉、牛肉、豚肉その他の食用肉類、ゴボウ、ニンジン、キャベツ、ジャガイモ、キノコ、昆布等の野菜・海草類又は果実類等の種々の原料種を使用することができる。さらに、原料種としては、前記のような食品素材そのものでなく、練り製品等の加工された食品を用いてもよい。
本発明においては、原料種としてエビ、イカ、タコを用いる場合、必要に応じて、原料種を加熱処理する前に重合リン酸塩水溶液に浸漬しておくことが有効である。原料種を重合リン酸塩に浸漬しておくことで、原料種に十分な水分を吸収させ、水分を保持することが可能となる。これによって、後の凍結乾燥処理した場合における原料種の復元性を高めることができる。
重合リン酸塩水溶液の濃度は使用する重合リン酸塩の種類により設定されるものであり、通常0.5〜5.0%である。重合リン酸塩水溶液の濃度が0.1%より少ないと浸漬時間が長くかかる場合がある。
浸漬時の液温、浸漬時間は特に限定されていないが、通常、品質劣化の防止の点で、5℃〜30℃、10分〜24時間が好ましい。
尚、浸漬時の液温、浸漬時間は特に限定されていないが、通常、品質劣化の防止の点で、5℃〜30℃、10分〜24時間が好ましい。
原料種の加熱方法としては、ボイル、蒸煮、焼き等の種々の方法を用いることができるが、原料種の加熱による収縮等の問題と後の凍結乾燥工程を勘案すると、ボイル又は蒸煮が好ましい。
30秒〜10分の処理をすることができる。また、好ましくは、1〜3分である。蒸煮の場合は、3〜15分の処理をすることができる。また、好ましくは、4〜5分である。尚、野菜が原料種の場合、加熱処理を省略することもできる。
フライ衣の調製については以下の通りである。フライ衣はバッターをフライすることにより調整するが、バッターの主成分となるのは、小麦粉であって、中力粉や薄力粉あるいは強力粉の使用をすることができる。
具体的には、油脂含量を10〜30%にまで、低減させたものを用いることで、凍結乾燥後の湯戻りを向上させることができる。
前記加熱後の原料種を成型フライ衣で挟み込む工程については、以下のように行う。一般的には、2枚のフライ衣の間に原料種を挟み込んで、後述する蒸煮工程に移る。
ここで、挟み込みの際には、押圧を加えてもよい。また、成型フライ衣同士又は原料種及び成型フライ衣を結着させるために、成型フライ衣の内側又は原料種にバッター、卵液、魚肉・畜肉・鶏肉のミンチ又はすり身、小麦タンパク質又は大豆タンパク質等の加熱結着性食品材料を予め付着させることが有効である。これによって、成型フライ衣同士あるいは原料種及び成型フライ衣を密着させることができ、その後の蒸煮工程で、より強固にフライ衣と原料種を結着させることができる。これと同時に、喫食時にこれらの加熱結着性食品材料の味を楽しむこともできる。
前記の原料種をフライ衣に挟み込んだ状態で蒸煮することにより、原料種をフライ衣により被覆することができる。蒸煮の過程で、フライ衣が水分を吸収して、軟化することにより、原料種を被覆することとなる。尚、蒸煮条件としては、5〜15分程度行うが、好ましくは7〜10分程度、行うことが好ましい。また、蒸煮する場合においては、蒸煮後に原料種とフライ衣がより密着するようにフライ衣を押圧する工程を加えてもよい。
前記一体化した原料種及びフライ衣を凍結乾燥処理するが、冷凍庫にて緩慢凍結にて予備凍結を行った後、凍結乾燥を行う。凍結乾燥においては、種々の凍結乾燥の機器を用いることができる。この場合の条件は、真空度0.3〜1.0Torr、設定温度45〜85℃程度、さらに、90℃程度まで昇温で行ってもよい。本発明においては、特に真空度0.5〜0.6Torr、設定温度50〜60℃程度が好ましい。このような条件により、水分1.0〜5.0%程度まで乾燥する。尚、湯戻し後の食感等の点を考慮すると、好ましくは水分2.0〜3.0%である。
本発明について原料種をエビとして、以下の工程により凍結乾燥エビ天ぷら様食品を調製した。
原料種の前処理としては、凍結した原料エビ(種類バナメイ、全長約8.5cm、重量約9g)を流水にて解凍し、尾の部分のみを残して全てのエビの殻を剥ぎ取った。
次に、エビの背中側の後方から頭部に向かってカッターで切り込みを入れて、エビを二枚開きにした。処理後のエビを2%のポリリン酸水溶液に一昼夜、浸漬した。その後ざるを用いて液を切った。
前記の原料エビを2分、茹で釜でボイルをおこなった。次に水をかけて冷却し、次の処理まで凍結庫にて冷凍し保管した。
フライ衣の調製としては、下表1の配合のバッター液を調製し、本バッター液6.7g及び揚げ玉2.0gを混合したものを165℃の油中にある型枠に流し込み、パーム油によってフライを行った。尚、型枠はフライ衣に原料種が入り込む窪みが生じるような凸形状を有しているものを使用した。フライ時間は1.0分間行った。次に、フライ後の衣について油切りのため天ぷら用網に10分間静置した。フライ後のフライ衣の重量は6.5gであった。
前記の加熱処理を施した原料エビをフライ衣に設けた溝に入るようにして、フライ衣同
士の接触する側の表面にバッター液1.0gを表面に付着させ、原料種の上下より挟み込んだ。
前記挟み込み後の原料種及びフライ衣をトンネル蒸器によって蒸煮を9分間行い、原料エビをフライ衣により被覆した。
上記原料エビとフライ衣の一体化したものを、16時間、冷凍庫にて緩慢凍結にて予備凍結を行った後、真空凍結乾燥機にて真空度0.5〜0.6Torr、設定温度60℃で20時間乾燥を行い、凍結乾燥エビ天ぷら様食品を調製した。尚、本凍結乾燥エビ天ぷらは1個当り13.5gであった。
実施例1において、原料エビを二枚開きとした後、本エビを2%ポリリン酸ナトリウム溶液10mlに一昼夜放置し、浸漬する工程を追加したものを用いて、実施例1と同様に凍結乾燥エビ天ぷら様食品を製造した。
実施例2において、2%ポリリン酸ナトリウム溶液の浸漬前に、1%第二リン酸カルシウム溶液10mlに4時間浸漬したものを用いて、実施例1と同様に凍結乾燥エビ天ぷら様食品を製造した。
─原料エビの前処理─
原料種の前処理としては、凍結した原料エビ(種類バナメイ、全長約8.5cm、重量約9g)を流水にて解凍し、尾の部分のみを残して全てのエビの殻を剥ぎ取った。
次に、エビの背中側の後方から頭部に向かってカッターで切り込みを入れて、エビを二枚開きにした。
前記エビに表1記載のバッター液を約20g付けた後、165℃の油中において4分間フライ処理を行った。そして、フライ衣を油切りのため天ぷら用網に5分間静置した。
上記エビ天ぷらを、冷凍庫にて緩慢凍結にて予備凍結を行った後、真空凍結乾燥機にて真空度0.5〜0.6Torr、設定温度60℃で20時間乾燥を行い、凍結乾燥エビ天ぷらを調製した。尚、凍結乾燥後の重量は1個当り12.0gであった。
上記実施例1〜3及び比較例1の凍結乾燥エビ天ぷらに対して、熱湯を200ml注ぎ込み、3分間放置後、復元性の確認及び試食を行った。以下の表2に結果を示す。
評価に際しては、熟練のパネラー5人によって行った。
Claims (4)
- 凍結乾燥天ぷら様食品の製造方法であって、以下の工程、すなわち;
A)原料種を加熱処理する工程、
B)原料種とは別にバッターを所定形状にフライ処理することにより成型フライ衣を調製する工程、
C)前記A工程で得た加熱処理後の原料種を前記B工程で得た成型フライ衣で挟み込み、当該挟み込む際に、成型フライ衣同士、又は原料種及び成型フライ衣を、加熱結着性食品材料を介して結着させて、蒸煮することにより原料種をフライ衣で被覆するように一体化する工程、
D)前記一体化した原料種とフライ衣を凍結乾燥する工程、
の各工程を含むことを特徴とする凍結乾燥天ぷら様食品の製造方法。 - 原料種がエビ、イカ、タコであることを特徴とする請求項1に記載の凍結乾燥天ぷら様食品の製造方法。
- 前記A工程の加熱処理前に、原料種を重合リン酸塩水溶液に浸漬することを特徴とする請求項2に記載の凍結乾燥天ぷら様食品の製造方法。
- 前記A工程の加熱処理前に、原料種をカルシウム塩水溶液に浸漬し、次いで重合リン酸塩水溶液に浸漬することを特徴とする請求項2に記載の凍結乾燥天ぷら様食品の製造方法。
以上
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