JP7465404B1 - 焼き魚の製造方法 - Google Patents
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- Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
Abstract
【課題】 低温で魚を焼く方法でありながら、その焼く時間を短縮することができる焼き魚の製造方法を提供する。【解決手段】 容器本体2と蓋3からなる容器1に水を加えずに魚6を入れ、魚7の周囲温度が100℃から120℃の範囲になるように容器1をオーブンで加熱すると共に容器1内を所定の加圧状態に保持し、魚7から出る水分が容器1内で沸騰しないようにする。【選択図】図1
Description
この発明はサンマなどの焼き魚の製造方法に関するものである。
魚の骨は年寄りや子供が食べる際に邪魔になり、骨まで柔らかくすることが求められている。サンマなどを骨まで柔らかくする加工方法は、長時間煮る方法や加圧鍋により煮る方法が一般的である。
前述の方法は煮る方法のため青魚の一種であるサンマの場合は風味に若干の問題があった。サンマの美味しい食べ方は焼いて食べる方法である。塩焼きのサンマを大根おろしでワタまで一緒に食べるのが江戸前の食べ方である。煮るサンマの料理方法もあるが焼く料理法には敵わない。魚の食べ方について昔から「一焼き、二なま、三炊き」と漁師の間で言われてきた。焼き魚が一番美味しく、次がなま(刺身)、最後が炊いた(煮た)魚という意味である。魚は焼くのが一番美味しいのであり、特にサンマのような青魚は焼くのが一番美味しい食べ方である。
発明者はこれらの課題を改善する方法として特許文献1の焼き魚の加工方法を提案した。この方法は魚の周囲温度を100℃から130℃の低温で3時間から5時間に亘る長時間焼くことにより、骨まで柔らかくするものである。
また、特許文献2には、鮮魚又は一度焼かれた魚を透湿性素材で包んだ状態で容器に入れ、加圧蒸気処理することにより、骨の柔らかい魚を製造する方法が提案されている。
また、特許文献3には、焼き網の上に魚を載せた蓋付きのグリルパン(調理容器)をガスコンロのグリルにセットし、グリルパンに設けた排気孔からグリルパン内の蒸気を逃がしながら焼き魚を調理することが提案されている。
また、特許文献2には、鮮魚又は一度焼かれた魚を透湿性素材で包んだ状態で容器に入れ、加圧蒸気処理することにより、骨の柔らかい魚を製造する方法が提案されている。
また、特許文献3には、焼き網の上に魚を載せた蓋付きのグリルパン(調理容器)をガスコンロのグリルにセットし、グリルパンに設けた排気孔からグリルパン内の蒸気を逃がしながら焼き魚を調理することが提案されている。
特許文献1の焼き魚の加工方法は、焼く時間が長時間に亘るため、大量生産を考えた場合、焼く時間を短縮する必要がある。
特許文献2の骨の柔らかい魚を製造する方法は、結局のところ蒸気で蒸し焼きにするものであり、焼き魚ではない。
特許文献3のようなグリルで魚を焼くと魚から油が出てグリルパンの底部に落ちる。その油がグリルパンの底部に直に溜まった状態でグリルパンを加熱し続けると、油が高温になり発火する危険性がある。そのため、グリルパンの底部を強制冷却するグリルでない限り、グリルパンに水を入れて魚を焼くのが一般的である。しかし、特許文献3はグリルパンを上バーナだけでなく下バーナでも加熱するため、発火の危険性は極めて高い。そうすると、特許文献3においてもグリルパンに水を入れる必要があり、魚は蒸し焼されることになる。
本発明は、上記した従来技術に鑑みなされたものであり、従来よりも焼く時間を短縮しながらも、蒸し焼きせず、焼いた魚の身が崩れたり焼いた魚の表面が破れたりすることがない焼き魚の製造方法を提供することを目的とする。
特許文献2の骨の柔らかい魚を製造する方法は、結局のところ蒸気で蒸し焼きにするものであり、焼き魚ではない。
特許文献3のようなグリルで魚を焼くと魚から油が出てグリルパンの底部に落ちる。その油がグリルパンの底部に直に溜まった状態でグリルパンを加熱し続けると、油が高温になり発火する危険性がある。そのため、グリルパンの底部を強制冷却するグリルでない限り、グリルパンに水を入れて魚を焼くのが一般的である。しかし、特許文献3はグリルパンを上バーナだけでなく下バーナでも加熱するため、発火の危険性は極めて高い。そうすると、特許文献3においてもグリルパンに水を入れる必要があり、魚は蒸し焼されることになる。
本発明は、上記した従来技術に鑑みなされたものであり、従来よりも焼く時間を短縮しながらも、蒸し焼きせず、焼いた魚の身が崩れたり焼いた魚の表面が破れたりすることがない焼き魚の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の焼き魚の製造方法は、蓋をした容器内の魚を加熱する焼き魚の製造方法において、前記容器内に水を加えずに前記容器内に魚を入れ、前記魚の周囲温度が100℃以上120℃以下の範囲内になるように前記容器を加熱すると共に、前記容器内を50.7kPa以上101.3kPa未満の範囲内で大気圧よりも高くなるように加圧した状態に保持しながら、前記魚の内部の水分及び表面に付着する水分を沸騰させずに前記魚を焼くことを特徴とする焼き魚の製造方法である。
なお、上記容器内の圧力は大気圧よりも81.0kPa高い加圧状態であることが望ましい。
また、上記容器は上記魚の下側に空間が設けられており、焼いている最中に上記魚から流れ出る水分を上記空間に落下させ、上記空間に落下した水分が上記魚に接触しないようにすることが好ましい。
また、上記容器を加熱する手段は、電気オーブンであることが好ましい。
なお、上記容器内の圧力は大気圧よりも81.0kPa高い加圧状態であることが望ましい。
また、上記容器は上記魚の下側に空間が設けられており、焼いている最中に上記魚から流れ出る水分を上記空間に落下させ、上記空間に落下した水分が上記魚に接触しないようにすることが好ましい。
また、上記容器を加熱する手段は、電気オーブンであることが好ましい。
本発明は、上記構成を採用したことにより、従来よりも焼く時間を短縮しながらも、蒸し焼きせず、焼いた魚の身が崩れたり焼いた魚の表面が破れたりすることがない焼き魚の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態を図示した図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す説明図である。図1において、1は魚6を入れるための容器であり、容器本体2と蓋3から構成されている。4は容器本体2内に設置された焼き網、5は焼き網3の下側に形成された空間、6は蓋2に設けられた圧力弁である。なお、図1では便宜上容器1に魚7が1匹だけセットされた状態が描かれているが、大量生産を考えた場合、容器1は魚6を少なくとも数十匹セットできる大きさであることが望ましい。
図1は本発明の一実施形態を示す説明図である。図1において、1は魚6を入れるための容器であり、容器本体2と蓋3から構成されている。4は容器本体2内に設置された焼き網、5は焼き網3の下側に形成された空間、6は蓋2に設けられた圧力弁である。なお、図1では便宜上容器1に魚7が1匹だけセットされた状態が描かれているが、大量生産を考えた場合、容器1は魚6を少なくとも数十匹セットできる大きさであることが望ましい。
次に、焼き魚の製造工程を説明する。先ずは電気オーブン(図示しない)を120℃よりも若干高めに温度調整しておく。電気オーブンを使用するのは、ガスオーブンに比べて温度ムラが生じにくく、温度を一定に保つのに適しているからである。
オーブンの温度が安定したら、魚7を入れた容器1をオーブンにセットする。魚7には容器1を通して熱が伝わり、時間をかけて焼き魚となる。なお、容器1に入れる前に、魚7の表面に付着した水分はよく拭き取っておき、また容器1に水は入れない。その理由は、水を入れると魚7が煮えたり、蒸し焼きになったりして、魚7の身が崩れてしまうからである。
本発明において最も重要な点は、水の沸点よりも高い温度条件、加圧状態という環境下において、容器内の水分を沸騰させないことにある。魚7の周囲温度が低温であっても、容器内の圧力(加圧状態)が高すぎると、魚7から出る水分が沸騰してしまう。魚7から出た水分が表面に付着した状態で沸騰すると、魚7が煮えたような状態になったり、皮が破裂したように破けてしまう。また、魚7から出た水分を空間5に落下させても、落下した水分が沸騰すると、その蒸気で魚7が蒸し焼きされたような状態になる。
本発明は、上記のような状態にならないようにするため、魚7の周囲温度及び容器内の圧力(加圧状態)を最適化したものである。最適な温度は100℃以上120℃以下の温度範囲内であり、その時の最適な圧力(加圧状態)は、大気圧を101.3kPaとしたとき、50.7kPa以上101.3kPa未満の範囲内で大気圧よりも高く加圧された圧力範囲内である。
これにより、焼いた魚の身が崩れないように低温で魚を焼く方法でありながら、加圧状態により従来よりも焼く時間を短縮することが可能となる。なお、魚の周囲温度はその付近に温度センサーを取り付けることで正確に制御出来る。また、容器内の圧力は、容器から自然に内部圧力が逃げる構造としたり、圧力弁を設けたりすることによりに制御が可能である。容器内の圧力は例えば蓋に圧力ゲージ(大気圧のゲージ圧は0kPa)を取り付けることで測定することができる。また、加熱温度が100℃から120℃程度であるため、魚から出た油が発火する危険性は殆どない。
これにより、焼いた魚の身が崩れないように低温で魚を焼く方法でありながら、加圧状態により従来よりも焼く時間を短縮することが可能となる。なお、魚の周囲温度はその付近に温度センサーを取り付けることで正確に制御出来る。また、容器内の圧力は、容器から自然に内部圧力が逃げる構造としたり、圧力弁を設けたりすることによりに制御が可能である。容器内の圧力は例えば蓋に圧力ゲージ(大気圧のゲージ圧は0kPa)を取り付けることで測定することができる。また、加熱温度が100℃から120℃程度であるため、魚から出た油が発火する危険性は殆どない。
蓋付きの容器の焼き網の上に長さが約30cmのサンマ10匹を置き、予め予備加熱しておいた電気オーブンに入れた。次に、サンマの周囲温度が約110℃になるように電気オーブンの温度を調整すると共に、サンマを加熱している間の容器内の圧力が大気圧よりも約81kPa高い加圧状態でサンマを加熱した。その結果、約2時間でサンマを焼くことができた。容器から焼いたサンマを取り出したが、身が崩れたりすることはなく、また皮は破れていなかった。
<比較例1>
蓋をせずに容器の焼き網の上に長さが約30cmのサンマ10匹を置き、予め予備加熱しておいた電気オーブンに入れた。次に、サンマの周囲温度が約110℃になるように電気オーブンの温度を調整してサンマを加熱した。その結果、サンマが焼けるまで約4時間を要した。容器から焼いたサンマを取り出したが、上記実施例と同様に身が崩れたりすることはなく、また皮は破れていなかった。
蓋をせずに容器の焼き網の上に長さが約30cmのサンマ10匹を置き、予め予備加熱しておいた電気オーブンに入れた。次に、サンマの周囲温度が約110℃になるように電気オーブンの温度を調整してサンマを加熱した。その結果、サンマが焼けるまで約4時間を要した。容器から焼いたサンマを取り出したが、上記実施例と同様に身が崩れたりすることはなく、また皮は破れていなかった。
本発明の対象はサンマ、イワシ、アユ、ニジマスなどの小骨が多い魚に好適である。その他アジの開きなど干物も加工できる。
骨は骨基質である90%のコラーゲンと10%の非コラーゲンにリン酸カルシウムが沈着して骨が形成されている。加熱調理した場合、コラーゲン分子の三重ラセンの一部がほぐれてゼラチンに変性する。魚類の変成温度はヒト体温より低い。コラーゲンは加熱により柔らかくなる。本発明の加工方法は魚の周囲温度を100℃から130℃の低温で焼くことで骨の部分を約70℃~90℃の低温で加熱し、水分を逃がさず水分を含んだ状態で骨基質であるコラーゲンをゼラチンに変性させて柔らかくし、結果的に骨を柔らかく出来る。本発明の方法は最近注目されている低温加熱料理法の原理を焼く料理で応用したものとも言える。
低温加熱料理法の簡単な方法は加熱して煮た後、これを断熱材で保温し、5時間というような長時間放置しておくもので、骨まで柔らかくすることが出来る。この原理を応用した電気式の鍋も提供されている。本発明の方法で焼いたサンマは年寄りや子供でも容易に骨まで食べることが出来る。サンマの頭部はさすがに食べ辛いが食べることは可能である。魚を焼く料理方法のため風味がすこぶる良い。長時間煮る加工方法や加圧鍋で煮た加工方法に比べると格段に美味しい。青魚独特の魚臭さが少ない。昼の弁当に持参して食べたところ風味は変わらなかった。そのまま食べる方法の他、天ぷら等にしても美味しい。更に焼く前の前処理として穀粉を付着させる工程を追加することにより、栄養分の流出を防ぎ、適度な水分を含む更に美味しい釜焼きサンマを製造することが出来る。付着させた小麦粉(強力粉)は焼くとグルテンの硬化作用により、栄養分や水分を逃がさない薄い皮膜を形成することで栄養分や水分を逃がさない効果を発揮する。
サンマは短期間に大量の漁獲があり、獲れすぎて消費が追い付かず値崩れを起こす。これを本発明の方式で加工し、保存することで対策出来る。サンマは生活習慣病を防ぐDHA,EPA等を豊富に含み重要な食の資源である。
骨は骨基質である90%のコラーゲンと10%の非コラーゲンにリン酸カルシウムが沈着して骨が形成されている。加熱調理した場合、コラーゲン分子の三重ラセンの一部がほぐれてゼラチンに変性する。魚類の変成温度はヒト体温より低い。コラーゲンは加熱により柔らかくなる。本発明の加工方法は魚の周囲温度を100℃から130℃の低温で焼くことで骨の部分を約70℃~90℃の低温で加熱し、水分を逃がさず水分を含んだ状態で骨基質であるコラーゲンをゼラチンに変性させて柔らかくし、結果的に骨を柔らかく出来る。本発明の方法は最近注目されている低温加熱料理法の原理を焼く料理で応用したものとも言える。
低温加熱料理法の簡単な方法は加熱して煮た後、これを断熱材で保温し、5時間というような長時間放置しておくもので、骨まで柔らかくすることが出来る。この原理を応用した電気式の鍋も提供されている。本発明の方法で焼いたサンマは年寄りや子供でも容易に骨まで食べることが出来る。サンマの頭部はさすがに食べ辛いが食べることは可能である。魚を焼く料理方法のため風味がすこぶる良い。長時間煮る加工方法や加圧鍋で煮た加工方法に比べると格段に美味しい。青魚独特の魚臭さが少ない。昼の弁当に持参して食べたところ風味は変わらなかった。そのまま食べる方法の他、天ぷら等にしても美味しい。更に焼く前の前処理として穀粉を付着させる工程を追加することにより、栄養分の流出を防ぎ、適度な水分を含む更に美味しい釜焼きサンマを製造することが出来る。付着させた小麦粉(強力粉)は焼くとグルテンの硬化作用により、栄養分や水分を逃がさない薄い皮膜を形成することで栄養分や水分を逃がさない効果を発揮する。
サンマは短期間に大量の漁獲があり、獲れすぎて消費が追い付かず値崩れを起こす。これを本発明の方式で加工し、保存することで対策出来る。サンマは生活習慣病を防ぐDHA,EPA等を豊富に含み重要な食の資源である。
1 容器
2 容器本体
3 蓋
4 焼き網
5 空間
6 パッキン
7 魚
8 凸部
2 容器本体
3 蓋
4 焼き網
5 空間
6 パッキン
7 魚
8 凸部
Claims (3)
- 蓋をした容器内の魚を加熱する焼き魚の製造方法において、
前記容器内に水を加えずに前記容器内に魚を入れ、
前記魚の周囲温度が100℃以上120℃以下の範囲内になるように前記容器を加熱すると共に、
前記容器内を50.7kPa以上101.3kPa未満の範囲内で大気圧よりも高くなるように加圧した状態に保持しながら、
前記魚の内部の水分及び表面に付着する水分を沸騰させずに前記魚を焼くことを特徴とする
焼き魚の製造方法。 - 前記容器は前記魚の下側に空間が設けられており、焼いている最中に前記魚から流れ出る水分を前記空間に落下させ、上記空間に落下した水分が前記魚に接触しないようにすることを特徴とする請求項1に記載の焼き魚の製造方法。
- 前記容器を加熱する手段は、電気オーブンであることを特徴とするとする請求項1又は2に記載の焼き魚の製造方法。
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JP2010057479A (ja) | 2008-06-23 | 2010-03-18 | Shinichi Yamazaki | 焼き魚 |
JP2018201506A (ja) | 2017-06-05 | 2018-12-27 | マルハニチロ株式会社 | 骨まで食べることができる、焼き魚の食感および外観を有する調理魚 |
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