JP2023042513A - 煮込み料理の製造方法、煮込み料理の油浮きを抑制する方法および、油浮き抑制剤 - Google Patents

煮込み料理の製造方法、煮込み料理の油浮きを抑制する方法および、油浮き抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、食肉を含む場合においても油浮きが抑制された煮込み料理を提供することにある。【解決手段】食肉の表面に油脂加工澱粉を付着させ付着食肉を得る工程と、前記付着食肉に、炒め調理、揚げ調理、蒸し調理および茹で調理からなる群から選ばれる1または2以上の調理を施し加工食肉を得る工程と、前記加工食肉を煮込み調理に供する工程と、を含む煮込み料理の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、煮込み料理の製造方法、煮込み料理の油浮きを抑制する方法および、油浮き抑制剤に関する。
カレー、シチュー等の煮込み料理は、惣菜としても人気があり、カレーパンなどのフィリングとしても利用されている。煮込み料理は、具材を煮込む料理であるため、豚肉や牛肉等の油分を多く含む食肉を具材として用いた場合、煮込み調理中に食肉から染み出る油分が煮込み料理の表面を覆う、いわゆる油浮きが発生することがある。油浮きが発生した煮込み料理は、外観を損ない、また油っぽさを感じやすくなる。さらに工業的には、煮込み料理を製造した後に小分け充填することがあるが、煮込み料理に油浮きが発生すると均質な状態で小分けしにくくなる課題があった。これらのことから、油浮きを抑制できる煮込み料理の製造方法が求められている。
煮込み料理などの加工食品の油浮きを抑制することを目的として、肉類の配合率が、全配合質量基準で10%以上である加工食品において、卵黄、及び/又は、リゾリン脂質を配合してなる加工食品(特許文献1参照)、少なくとも、澱粉、油脂及び脂肪酸エステルを含有する食品組成物であって、脂肪酸エステルとして、少なくとも、ポリグリセリン脂肪酸エステルとモノグリセリン脂肪酸エステルとを含有し、かつ、ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率が18~65%であることを特徴とする食品組成物(特許文献2参照)などが開示されている。しかし、これらの技術には一長一短があり、必ずしも満足の得られるものとは言えない。
特開2004-073100号公報 特開2010-130982号公報
このように、食肉を含む煮込み料理では、油浮きが問題となる場合があり、油浮きを抑制する方法が求められている。そこで、本発明の目的は、食肉を含む煮込み料理において、油浮きを抑制する製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、所定の処理をおこなった食肉を煮込み調理に供することで、煮込み料理の油浮きが抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下の煮込み料理の製造方法、煮込み料理の油浮きを抑制する方法および油浮き抑制剤が提供される。
[1]
食肉の表面に油脂加工澱粉を付着させ付着食肉を得る工程と、
前記付着食肉に、炒め調理、揚げ調理、蒸し調理および茹で調理からなる群から選ばれる1または2以上の調理を施し加工食肉を得る工程と、
前記加工食肉を煮込み調理に供する工程と、
を含む煮込み料理の製造方法。
[2]
前記加工食肉が炒め調理を施したものである[1]に記載の製造方法。
[3]
前記付着食肉が、食肉の表面に油脂加工澱粉を塗したものである、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]
前記煮込み料理が、カレー、シチュー、ソースおよび豚の角煮からなる群から選ばれる1種である、[1]乃至[3]いずれか1項に記載の製造方法。
[5]
前記油脂加工澱粉の原料澱粉が加工タピオカ澱粉である、[1]乃至[4]いずれか1項に記載の製造方法。
[6]
前記付着食肉における、前記食肉100質量部に対する前記油脂加工澱粉の付着量が0.5質量部以上10質量部以下である、[1]乃至[5]いずれか1項に記載の製造方法。
[7]
食肉を含む煮込み料理の油浮きを抑制する方法であって、
食肉の表面に油脂加工澱粉を付着させ付着食肉を得る工程と、
前記付着食肉に、炒め調理、揚げ調理、蒸し調理および茹で調理からなる群から選ばれる1または2以上の調理を施し加工食肉を得る工程と、
前記加工食肉を煮込み調理に供する工程と、
を含む、前記方法。
[8]
油脂加工澱粉を含有する油浮き抑制剤であって、
食肉の表面に前記油浮き抑制剤を付着させ付着食肉を得る工程と、
前記付着食肉に、炒め調理、揚げ調理、蒸し調理および茹で調理からなる群から選ばれる1または2以上の調理を施し加工食肉を得る工程と、
前記加工食肉を煮込み調理に供する工程により
製造される煮込み料理に用いられる、前記油浮き抑制剤。
本発明によれば、食肉を含む場合においても外観に優れ、工業的に均質な状態で充填が可能な煮込み料理を提供することができる。具体的には、油浮きが抑制された煮込み料理を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施形態である煮込み料理の製造方法は、以下の工程を含む。
(1)食肉の表面に油脂加工澱粉を付着させ付着食肉を得る工程と、
(2)前記付着食肉に、炒め調理、揚げ調理、蒸し調理および茹で調理からなる群から選ばれる1または2以上の調理を施し加工食肉を得る工程と、
(3)前記加工食肉を煮込み調理に供する工程。
((1)の工程)
前記(1)の工程について説明する。
前記(1)の工程で用いる食肉の具体例として、牛、豚、羊、山羊等の哺乳動物の肉;鶏、アヒル、七面鳥、ガチョウ、鴨等の家禽類に代表される鳥類の肉;ワニ等の爬虫類;カエル等の両生類;ならびに白身魚等の魚、エビ、イカ、ホタテ等の魚介類の肉等が挙げられる。これらは1種で用いても2種以上を混合して用いてもよい。本実施形態においては、油脂含量の高い食肉を用いた場合に、好適である。煮込み料理の油浮きを抑制する観点から、好ましくは鶏肉、豚肉、牛肉および魚介類からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくは豚肉および牛肉からなる群から選択される1種または2種であり、さらに好ましくは、豚肉である。
また、食肉の形状に制限はなく、塊肉;薄切り肉、厚切り肉等の切り身状の肉;ブロック状の肉;ミンチ状の肉であってもよい。
本発明において、油脂加工澱粉とは、原料澱粉に食用油脂を添加した後、混合、加熱する操作を備えた工程を経て生産される澱粉質素材である。
前記油脂加工澱粉の原料澱粉に制限はなく、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、エンドウ豆澱粉およびこれらの加工澱粉、たとえばリン酸架橋化、アジピン酸架橋化などの架橋化、アセチル化、エーテル化、酸処理、酸化処理、酵素処理等を単独もしくは組み合わせたものなどが挙げられる。
また、前記原料澱粉は、煮込み料理の油浮きを抑制する観点から、好ましくは加工タピオカ澱粉であり、より好ましくは架橋タピオカ澱粉およびアセチル化タピオカ澱粉から選ばれる1種または2種であり、さらに好ましくはリン酸架橋タピオカ澱粉およびアセチル化タピオカ澱粉から選ばれる1種または2種であり、さらにより好ましくはアセチル化タピオカ澱粉である。
また、前記油脂加工澱粉の原料である食用油脂として、大豆油、ハイリノールサフラワー油等のサフラワー油、コーン油、ナタネ油、エゴマ油、アマニ油、ヒマワリ油、落花生油、綿実油、オリーブ油、コメ油、パーム油、ヤシ油、ゴマ油、椿油、茶油、カラシ油、カポック油、カヤ油、クルミ油、ケシ油などが挙げられる。
また、前記油脂加工澱粉の原料として、上述した原料澱粉や食用油脂以外のその他の成分を用いてもよく、たとえば、全脂大豆粉や脱脂大豆粉等の大豆粉;乳化剤;トコフェロール等の酸化防止剤などが挙げられる。
前記油脂加工澱粉は、原料澱粉に食用油脂と、必要に応じてその他の成分を添加して得られる混合物を加熱処理する工程において、混合物を調製する工程で得られた混合物を加熱することにより得られる。
加熱処理は、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下の定温でおこない、さらに好ましくは40℃以上110℃以下の定温で加熱処理する。このようにすることにより、油浮きを効果的に抑制することができる。なお、加熱温度の下限に制限はないが、加熱期間を適度に短縮して生産性を向上させる観点から、たとえば40℃以上とする。
加熱処理する期間は、原料澱粉の状態および加熱温度に応じて適宜設定され、たとえば0.5時間以上25日以下、好ましくは5時間以上20日以下であり、より好ましくは6時間以上18日以下である。
油脂加工澱粉として、市販されているものを用いてもよい。市販されている油脂加工澱粉としては、ねりこみ澱粉K-1(日本食品化工株式会社製)などが挙げられる。
食肉の表面に油脂加工澱粉を付着させ、付着食肉を得る方法としては、たとえば油脂加工澱粉を食肉の表面に塗す方法や、油脂加工澱粉を含むバッター液を準備し、食肉の表面に前記バッター液を付ける方法などであってもよいが、油脂加工澱粉を食肉の表面に塗す方法が好ましい。油脂加工澱粉を食肉の表面に塗す方法としては、食肉に油脂加工澱粉を加え混ぜ合わせる方法であってもよい。
前記付着食肉における、前記食肉100質量部に対する前記油脂加工澱粉の付着量は、前記食肉100質量部に対する前記油脂加工澱粉の付着量が0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.8質量部以上8質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上6質量部以下であることがさらに好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがさらにより好ましく、1質量部以上4質量部以下であることが殊更好ましく、1.5質量部以上3質量部以下であることが特に好ましい。
前記付着食肉には、効果を阻害しない範囲において、油脂加工澱粉以外の成分を付着させてもよい。付着食肉に付着させる成分全体に対する油脂加工澱粉の質量割合は90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下がより好ましく、98質量%以上100質量%以下がさらに好ましく、100質量%がさらにより好ましい。
油脂加工澱粉以外の前記成分としては、油脂加工澱粉以外の澱粉;小麦粉等の穀粉;食塩、砂糖等の調味料などが挙げられる。
((2)の工程)
前記(2)の工程について説明する。
前記(1)の工程で得られた付着食肉に炒め調理、揚げ調理、蒸し調理および茹で調理からなる群から選ばれる1または2以上の調理を施し、加工食肉を得る。(2)の工程を経ることにより、煮込み料理の油浮きを抑えることができる。また、効果的に油浮きを抑制する観点から、付着食肉を調理する手段として、炒め調理、蒸し調理および茹で調理からなる群から選ばれる1または2以上の調理が好ましく、炒め調理がより好ましい。
(工程(3))
前記(3)の工程について説明する。
前記(2)の工程で得られた加工食肉を煮込み調理に供する。ここで、煮込み調理とは、食肉や野菜等を、水分を含む出汁や調味料とともに加熱を保持する調理方法である。加熱を保持する手段としては、特に制限はなく、例えば、煮込み調理の材料を鍋などに入れて加熱してもよいし、煮込み調理の材料を容器や真空パックなどに入れて、湯せんや蒸気加熱をしてもよく、レトルト処理や圧力鍋などを用いた加圧加熱であってもよい。
前記煮込み調理の加熱温度や加熱時間に特に制限はなく、たとえば煮込み調理中、沸騰する温度を維持すればよく、加熱時間は1分以上6時間以下である。
このようにして得られる煮込み料理としては、カレー;クリームシチュー、ビーフシチュー、ハッシュドビーフ等のシチュー;カルボナーラソース、ミートソース、ハヤシライスソース等のソース;豚の角煮;肉じゃがなどが挙げられる。好ましくは、カレー、シチュー、ソースおよび豚の角煮から選ばれる1種である。
また、前記煮込み料理は、そのまま食してもよいし、カレーライスのようにご飯等にかけてもよいし、カレーパン、中華まん等のフィリングとして用いてもよい。
上記(1)~(3)の工程を経ることにより、食肉を含む煮込み料理の油浮きを抑制することができる。ここで、油浮きとは、煮込み料理の調理中もしくは調理後に、油分が煮込み料理表面の一部もしくは全部を覆う状態を意味し、煮込み料理が冷え、固まった油が表面を覆う状態も含む。
上記(1)において、食肉の表面に付着させる油脂加工澱粉を、煮込み料理に用いられる油浮き抑制剤とすることができる。前記油浮き抑制剤は、油脂加工澱粉を含めばよく、上記(1)~(3)の工程により、製造される煮込み料理に適用されるものである。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。
実施に際しては、以下のものを使用した。
(油脂加工澱粉)
油脂加工アセチル化タピオカ澱粉:ねりこみ澱粉K-1(日本食品化工株式会社製)
油脂加工リン酸架橋タピオカ澱粉:製造例1で製造したもの
(その他)
小麦粉:ハート(株式会社ニップン製)
(製造例1)油脂加工リン酸架橋タピオカ澱粉の製造
100質量部のリン酸架橋タピオカ澱粉(アクトボディーTP-2(株式会社J-オイルミルズ製)およびアクトボディーTP-4W(株式会社J-オイルミルズ製)の1:1(質量比)の混合物)に、脱脂大豆粉(ミルキーS(株式会社J-オイルミルズ製))を1.7質量部、ハイリノールサフラワー油(サフラワーサラダ油(サミット製油株式会社製))0.2質量部を加え、混合機で3000rpm、3分間均一に混合し、混合物を得た。この混合物を棚段式乾燥機にて、70℃14日間加熱し、油脂加工リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
(塗し粉の準備)
表1に記載の塗し粉を準備した。
Figure 2023042513000001
<カレーによる評価1 炒め調理>
(カレーの製造方法1)(実施例1~2、比較例2)
1. 1cm角にカットした豚バラ肉170gに表1に記載の塗し粉を5.1g添加し、軽く塗した。
2. 1の処理を行った豚バラ肉を、菜種油(AJINOMOTOさらさらキャノーラ油、株式会社J-オイルミルズ製)を3g敷いたフライパンに入れ、IH調理器(MIHX-S03C、株式会社マルゼン製)に載せた後、IH調理器の火力を40%に調整し、3分炒めた。
3. 2の処理を行った豚バラ肉を鍋に入れ、更にレトルトカレー(プロクオリティ、ハウス食品株式会社製)300gと水100gとを混合したものを入れた。
4. 3の鍋をIH調理器に載せて、火力40%で5分煮込んだ。
5. 4で煮込んだものを70℃で60分保管し、カレーを製造した。
(カレーの製造方法2)(比較例1)
上記カレーの製造方法1において、塗し粉を添加しなかったこと以外は、カレーの製造方法1と同じ方法でカレーを製造した。
(カレーの製造方法3)(実施例3)
上記カレーの製造方法1において、豚バラ肉を豚ひき肉に代えたこと、および1.の過程を下記の通りにしたこと以外は、カレーの製造方法1と同じ方法でカレーを製造した。
1.豚ひき肉170gに試験例2の塗し粉を5.1g添加し、軽く混合した。
(カレーの製造方法4)(比較例3)
上記カレーの製造方法1の1において、豚バラ肉を豚ひき肉に代えたこと、および塗し粉を添加しなかったこと以外は、カレーの製造方法1と同じ方法でカレーを製造した。
(豚バラ肉を使用したカレーの評価)
下記に示す基準にて油浮きと食肉の食感について評価した。
(油浮きの評価)
カレーを上部から観察し、表面を覆う油(油浮き)の様子を観察し、下記基準で評価した。その結果を表2に示す。なお油浮きの評価は3以上を合格とした。
(基準)
4:油浮きがほとんど観察されない。
3:油浮きがあまり観察されない。
2:油浮きが観察される。
1:多くの油浮きが観察される。
(食肉の食感の評価)
食肉として豚バラ肉を使用した、実施例1,2および比較例1、2においては、カレーに入っている食肉を食し、食感を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2023042513000002
表2の通り、塗し粉を塗さずに炒めた豚バラ肉を使用した場合は、煮込んだ後のカレーは、多くの油浮きが観察された。また、カレー中の食肉はパサついており、硬かった(比較例1)。塗し粉に小麦粉を使用した場合でも、油浮きは観察され、カレー中の食肉はパサついていた(比較例2)。一方、油脂加工澱粉を含む塗し粉を塗した豚バラ肉を使用すると、煮込んだ後のカレーの油浮きが抑制され、カレー中の食肉のパサつきが抑えられていた。特に油脂加工アセチル化タピオカ澱粉を含む塗し粉を使用した実施例2は油浮きの抑制効果が大きく、カレー中の食肉もしっとりして柔らかいものであった。
(豚ひき肉を使用したカレーの評価)
上記に示す基準にて油浮きを評価した。評価結果を表3に示す。
Figure 2023042513000003
表3の通り、塗し粉を塗さずに炒めた豚ひき肉を使用した場合は、煮込んだ後のカレーは、多くの油浮きが観察された(比較例3)。一方、油脂加工澱粉を含む塗し粉を塗した豚ひき肉を炒めて使用すると、煮込んだ後のカレーの油浮きが抑制された(実施例3)。
<カレーによる評価2 炒め調理と直接添加との比較>
(カレーの製造方法5)(実施例4)
1. 1cm角にカットした豚バラ肉200gに試験例2の塗し粉を6g添加し、軽く塗した。
2. 1の処理を行った豚バラ肉を、ラード(純製ラード、雪印メグミルク株式会社製)を20g敷いたフライパンに入れ、IH調理器(MIHX-S03C、株式会社マルゼン製)に載せた後、IH調理器の火力を40%に調整し、6分炒めた。
3. 2の処理を行った豚バラ肉を鍋に入れ、更にレトルトカレー(プロクオリティ、ハウス食品株式会社製)300gと水100gとを混合したものを入れた。
4. 3の鍋をIH調理器に載せて、火力40%で6分煮込んだ。
5. 4で煮込んだものを70℃で60分保管し、カレーを製造した。
(カレーの製造方法6)(比較例5)
1. 1cm角にカットした豚バラ肉200gを、ラード(純製ラード、雪印メグミルク株式会社製)を20g敷いたフライパンに入れ、IH調理器(MIHX-S03C、株式会社マルゼン製)に載せた後、IH調理器の火力を40%に調整し、6分炒めた。
2. 水100gに試験例2の塗し粉6gを入れて混合した。更にレトルトカレー(プロクオリティ、ハウス食品株式会社製)300g加え、混合した。
3. 1の処理を行った豚バラ肉を鍋に入れ、2の処理を行ったカレーを入れた。
4. 3の鍋をIH調理器に載せて、火力40%で6分煮込んだ。
5. 4で煮込んだものを70℃で60分保管し、カレーを製造した。
(カレーの製造方法7)(比較例4)
上記カレーの製造方法5において、塗し粉を添加しなかったこと以外は、カレーの製造方法5と同じ方法でカレーを製造した。
得られたカレーについて、上述した「油浮きの評価」と同じ評価基準で油浮きを評価した。また、カレーに入っている食肉を食し、食感を評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2023042513000004
表4の通り、炒め時にラードを使用した場合も塗し粉を塗さずに炒めた豚バラ肉を使用した場合は、煮込んだ後のカレーは、多くの油浮きが観察された。また、カレー中の食肉はパサついており、硬かった(比較例4)。また、油脂加工澱粉を直接カレーに添加した場合でも、煮込んだ後のカレーの油浮きは観察され、カレー中の食肉はパサついていた(比較例5)。一方、油脂加工澱粉を塗した豚バラ肉を炒めてから使用すると、煮込んだ後のカレーの油浮きが抑制され、カレー中の食肉のパサつきが抑えられていた(実施例4)。
<カレーによる評価3 茹で調理>
(カレーの製造方法8)(実施例5)
1. 1cm角にカットした豚バラ肉200gに試験例2の塗し粉を6g添加し、軽く塗した。
2. 1の処理を行った豚バラ肉を、1000gの沸騰水に入れ、沸騰状態を維持しながら3分茹でた後、湯切りした。
3. 2の処理を行った豚バラ肉を鍋に入れ、更にレトルトカレー(プロクオリティ、ハウス食品株式会社製)300gと水100gとを混合したものを入れた。
4. 3の鍋をIH調理器(MIHX-S03C、株式会社マルゼン製)に載せて、火力40%で6分煮込んだ。
5. 4で煮込んだものを70℃で60分保管し、カレーを製造した。
(カレーの製造方法9)(比較例6)
上記カレーの製造方法8において、塗し粉を添加しなかったこと以外は、カレーの製造方法8と同じ方法でカレーを製造した。
得られたカレーについて、上述した「油浮きの評価」と同じ評価基準で油浮きを評価した。また、カレーに入っている食肉を食し、食感を評価した。その結果を表5に示す。
Figure 2023042513000005
表5の通り、塗し粉を塗さずに茹でた豚バラ肉を使用した場合は、煮込んだ後のカレーは、多くの油浮きが観察された。また、カレー中の食肉はパサついており、硬かった(比較例6)。一方、油脂加工澱粉を塗した豚バラ肉を茹でてから使用すると、煮込んだ後のカレーの油浮きが抑制され、カレー中の食肉のパサつきが抑えられていた(実施例5)。
<カレーによる評価4 蒸し調理>
(カレーの製造方法10)(実施例6)
1. 1cm角にカットした豚バラ肉200gに試験例2の塗し粉を6g添加し、軽く塗した。
2. 1の処理を行った豚バラ肉をスチームコンベクションオーブン(SCC WE 61、株式会社ラショナル・ジャパン製)に入れ、100℃に設定したスチームモードで5分蒸した。
3. 2の処理を行った豚バラ肉を鍋に入れ、更にレトルトカレー(プロクオリティ、ハウス食品株式会社製)300gと水100gとを混合したものを入れた。
4. 3の鍋をIH調理器(MIHX-S03C、株式会社マルゼン製)に載せて、火力40%で6分煮込んだ。
5. 4で煮込んだものを70℃で60分保管し、カレーを製造した。
(カレーの製造方法11)(比較例7)
上記カレーの製造方法10において、塗し粉を添加しなかったこと以外は、カレーの製造方法10と同じ方法でカレーを製造した。
得られたカレーについて、上述した「油浮きの評価」と同じ評価基準で油浮きを評価した。また、カレーに入っている食肉を食し、食感を評価した。その結果を表6に示す。
Figure 2023042513000006
表6の通り、塗し粉を塗さずに蒸した豚バラ肉を使用した場合は、煮込んだ後のカレーは、多くの油浮きが観察された。また、カレー中の食肉はパサついており、硬かった(比較例7)。一方、油脂加工澱粉を塗した豚バラ肉を蒸してから使用すると、煮込んだ後のカレーの油浮きが抑制され、カレー中の食肉のパサつきが抑えられていた(実施例6)。
<豚の角煮による評価1>
(豚の角煮の製造方法1)(実施例7)
1. 幅5cm、厚さ1cm、1枚当たり20~25gにカットした豚バラ肉500gに試験例2の塗し粉を7.5g添加し、軽く塗した。
2. 1の処理を行った豚バラ肉をスチームコンベクションオーブン(SCC WE 61、株式会社ラショナル・ジャパン製)に入れ、80℃に設定したスチームモードで10分蒸した。
3. 鍋に、表7に記載で配合した調味料を入れ、IH調理器(MIHX-S03C、株式会社マルゼン製)に載せて、火力40%で煮立たせた。
4. 3の鍋に、2の処理を行った豚バラ肉を加え、火力10%で90分煮込んだ。
5. 4で煮込んだものを10℃になるまで冷却し、豚の角煮を製造した。
Figure 2023042513000007
(豚の角煮の製造方法2)(比較例8)
上記豚の角煮の製造方法1において、塗し粉を添加しなかったこと以外は、豚の角煮の製造方法1と同じ方法で豚の角煮を製造した。
得られた豚の角煮について、油浮きの状態を観察し評価した。また、電子レンジで1800W30秒加熱した豚の角煮を食し、食感を評価した。その結果、塗し粉を塗さずに蒸した豚バラ肉を使用した比較例8は、多量の浮いた油が白く固まっていた。また、豚の角煮はパサついていた。一方、油脂加工澱粉を塗した豚バラ肉を蒸してから使用した実施例7では、比較例8と比較して白く固まった油の量が少なく、豚の角煮のパサつきも抑えられていた。
<豚の角煮による評価2>
(豚の角煮の製造方法3)(実施例8)
1. 幅5cm、厚さ1cm、1枚当たり20~25gにカットした豚バラ肉500gに試験例2の塗し粉を7.5g添加し、軽く塗した。
2. 1の処理を行った豚バラ肉をスチームコンベクションオーブン(SCC WE 61、株式会社ラショナル・ジャパン製)に入れ、80℃に設定したスチームモードで10分蒸した。
3. 2の処理を行った豚バラ肉と表8に記載で配合した調味料を入れた後、半量ずつ真空パックに入れ、それぞれ真空包装機で脱気しながらパッキングした。
4. パッキングした豚バラ肉と調味料をスチームコンベクションオーブンに入れ、100℃に設定したスチームモードで90分加熱し、煮込んだ。
5. 4で煮込んだものを10℃になるまで冷却し、豚の角煮を製造した。
Figure 2023042513000008
(豚の角煮の製造方法4)(比較例9)
上記豚の角煮の製造方法3において、塗し粉を添加しなかったこと以外は、豚の角煮の製造方法3と同じ方法で豚の角煮を製造した。
得られた豚の角煮について、油浮きの状態を観察し評価した。また、パッキングされた豚の角煮を電子レンジで1800W30秒加熱してから食し、食感を評価した。その結果、塗し粉を塗さずに蒸した豚バラ肉を使用した比較例9は、多量の浮いた油が白く固まっていた。また、豚の角煮はパサついていた。一方、油脂加工澱粉を塗した豚バラ肉を蒸してから使用した実施例8では、比較例9と比較して白く固まった油の量が少なく、豚の角煮のパサつきも抑えられていた。
<カレーによる評価5 レトルト処理による煮込み調理>
(カレーの製造方法11)(実施例9)
1. 合挽肉(牛肉51質量%、豚肉49質量%、業務スーパーにて購入)250gに試験例2の塗し粉を7.5g添加し、ミキサー(KENMIX CHEF XL、デロンギ・ジャパン株式会社製)にアルミビーターを取り付け、スピードレンジを1とし、1分間混合し、塗した。
2. 1の処理を行った合挽肉77.25gをフライパンに入れ、IH調理器(KZ-PH33、パナソニック株式会社製)に載せた後、IH調理器の火力を40%に調整し、4分炒めた。
3. レトルトカレー(レストラン仕様カレー 中辛、日本ハム株式会社製)を網で漉し、具材を取り除いたもの225gと、2で炒めた合挽肉を混合した。混合したものを90gずつ3枚のレトルト用アルミ三方袋(HR-1522H、明和産商株式会社製)に入れ、それぞれ真空包装機(ホットテンプLYNX32、ニチワ電機株式会社製)で脱気しながらパッキングし、さらにインパルスシーラー(SG-300E、志賀包装機株式会社製)でシールした。
4. 3でパッキングしたものをレトルト殺菌機(HLM-36LBC、株式会社平山製作所製)に入れてから、121℃に設定し、20分レトルト処理を行った。
5. レトルト殺菌機が25℃まで温度が低下してから取り出し、カレーを製造した。
(カレーの製造方法12)(比較例10)
上記カレーの製造方法11において、1の工程で塗し粉を添加しなかったこと、2の工程で1の処理を行った合挽肉を75g使用したこと以外は、カレーの製造方法11と同じ方法でカレーを製造した。
得られた3つのアルミ三方袋入りカレーについて、沸騰水で4分湯せんして加熱後開封し、それぞれ容器に移した。容器に移したカレーを1時間静置させた後に、上述した「油浮きの評価」と同じ評価基準で油浮きを評価した。その結果を表9に示す。
Figure 2023042513000009
表9の通り、塗し粉を塗さずに炒めた合挽肉を使用した場合は、レトルト処理により煮込んだ後のカレーは、3つとも多くの油浮きが観察された(比較例10)。一方、油脂加工澱粉を塗した合挽肉を炒めてから使用すると、レトルト処理により煮込んだ後のカレーの油浮きが3つとも抑制されていた(実施例9)。

Claims (8)

  1. 食肉の表面に油脂加工澱粉を付着させ付着食肉を得る工程と、
    前記付着食肉に、炒め調理、揚げ調理、蒸し調理および茹で調理からなる群から選ばれる1または2以上の調理を施し加工食肉を得る工程と、
    前記加工食肉を煮込み調理に供する工程と、
    を含む煮込み料理の製造方法。
  2. 前記加工食肉が炒め調理を施したものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記付着食肉が、食肉の表面に油脂加工澱粉を塗したものである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記煮込み料理が、カレー、シチュー、ソースおよび豚の角煮からなる群から選ばれる1種である、請求項1乃至3いずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記油脂加工澱粉の原料澱粉が加工タピオカ澱粉である、請求項1乃至4いずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記付着食肉における、前記食肉100質量部に対する前記油脂加工澱粉の付着量が0.5質量部以上10質量部以下である、請求項1乃至5いずれか1項に記載の製造方法。
  7. 食肉を含む煮込み料理の油浮きを抑制する方法であって、
    食肉の表面に油脂加工澱粉を付着させ付着食肉を得る工程と、
    前記付着食肉に、炒め調理、揚げ調理、蒸し調理および茹で調理からなる群から選ばれる1または2以上の調理を施し加工食肉を得る工程と、
    前記加工食肉を煮込み調理に供する工程と、
    を含む、前記方法。
  8. 油脂加工澱粉を含有する油浮き抑制剤であって、
    食肉の表面に前記油浮き抑制剤を付着させ付着食肉を得る工程と、
    前記付着食肉に、炒め調理、揚げ調理、蒸し調理および茹で調理からなる群から選ばれる1または2以上の調理を施し加工食肉を得る工程と、
    前記加工食肉を煮込み調理に供する工程により
    製造される煮込み料理に用いられる、前記油浮き抑制剤。
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