JP2023044008A - 食肉用調味液の製造方法、食肉加工食品の製造方法および食肉加工食品の食感改良方法 - Google Patents

食肉用調味液の製造方法、食肉加工食品の製造方法および食肉加工食品の食感改良方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食肉用調味液中の澱粉の沈殿を防ぎ、柔らかな食感を有する食肉加工食品を得ることのできる、食肉用調味液の製造方法、食肉加工食品の製造方法および食肉加工食品の食感改良方法を提供すること。【解決手段】油脂加工澱粉を含有する食肉用調味液の製造方法であって、食肉用調味液を加熱する工程を含み、加熱後の食肉用調味液中の油脂加工澱粉の含有量が、0.5質量%以上7.5質量%以下である、食肉用調味液の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、食肉用調味液の製造方法、食肉加工食品の製造方法および食肉加工食品の食感改良方法に関する。
従来、畜肉や魚肉等の食肉をより美味しく喫食するために、種々の調味成分を配合した調味液を用いて、食肉加工食品が製造されている。しかしながら、このような調味液を長時間食肉に浸漬して食肉加工食品を製造する場合には、食肉の水分量が低下すること等により、食肉がパサつき、硬くなってしまうという問題があった。
そのような食肉加工食品の品質を改善しようとする技術として、特許文献1には、油脂加工澱粉および液状油を含む食肉加工用液について記載されており、かかる食肉加工用液をピックル液として食肉にインジェクション又はタンブリングすることにより、温蔵保存、室温保存、冷蔵保存または冷凍保存した後においても柔らかくジューシーな食肉加工食品を得られることが記載されている。
国際公開第2018/123257号
しかしながら、特許文献1では、食肉への調味を主目的とした食肉用調味液を用いた場合の検証は十分に行われていない。また、食肉加工用液を食肉に浸漬して用いる場合においては、一定時間浸漬すると油の分離や澱粉の沈殿により、調味液を食肉に均一に漬け込むことが難しく、食肉加工食品の食感が不均一となりやすいため、より柔らかな食肉加工食品を得るという点でなお改善の余地があった。また、食肉用調味液を大量製造する際においては、殺菌等のために、食肉用調味液を加熱する工程を備えることが一般的に求められている。
そこで、本発明の目的は、食肉用調味液中の澱粉の沈殿を防ぎ、柔らかな食感を有する食肉加工食品を得ることのできる、食肉用調味液の製造方法、食肉加工食品の製造方法および食肉加工食品の食感改良方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、油脂加工澱粉を特定量含有し、加熱工程を経て製造された食肉用調味液を用いることで、食肉用調味液中の澱粉の沈殿を防ぎ、柔らかな食感を有する食肉加工食品を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下の食肉用調味液の製造方法、食肉加工食品の製造方法および食肉加工食品の食感改良方法が提供される。
[1] 油脂加工澱粉を含有する食肉用調味液の製造方法であって、
前記食肉用調味液を加熱する工程を含み、
前記加熱後の食肉用調味液中の油脂加工澱粉の含有量が、0.5質量%以上7.5質量%以下である、食肉用調味液の製造方法。
[2] 前記油脂加工澱粉が、油脂加工タピオカ澱粉および油脂加工コーンスターチからなる群から選択される1種または2種である、[1]に記載の食肉用調味液の製造方法。
[3] 前記加熱前の食肉用調味液中の油脂加工澱粉の含有量が、0.3質量%以上6.3質量%以下である、[1]または[2]に記載の食肉用調味液の製造方法。
[4] [1]~[3]のいずれか1つに記載の製造方法で得られた食肉用調味液を食肉に適用する工程を含む、食肉加工食品の製造方法。
[5] 食肉用調味液を食肉に適用する前記工程が浸漬によるものである、[4]に記載の食肉加工食品の製造方法。
[6] 前記食肉が塊肉である、[4]または[5]に記載の食肉加工食品の製造方法。
[7] 食肉に調味液を適用して食肉加工食品を製造する際に、前記食肉に[1]~[3]のいずれか1つに記載の製造方法で得られた食肉用調味液を適用することを特徴とする、食肉加工食品の食感改良方法。
本発明によれば、食肉用調味液中の澱粉の沈殿を防ぎ、柔らかな食感を有する食肉加工食品を得ることができる。さらには、ジューシーな食感を有する食肉加工食品を得ること、食肉加工食品の歩留まりを向上させることもできる。
以下、本発明を実施するための具体的な態様を説明する。ただし、以下の説明は本発明の一態様に過ぎず、発明を限定するものではない。なお、以下の各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(油脂加工澱粉)
油脂加工澱粉とは、原料澱粉に食用油脂および食用油脂類縁物質からなる群から選択される1種または2種以上を添加した後、混合、加熱する操作を備えた工程を経て生産される澱粉質素材である。
油脂加工澱粉の原料澱粉に制限はなく、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉やエンドウ豆澱粉等の豆澱粉、およびこれらの原料を化学的、物理的または酵素的に加工した加工澱粉も含まれる。このような化学的処理としては、例えば、酸処理、アルカリ処理、酸化処理、アセチル化等のエステル化処理、ヒドロキシプロピル化等のエーテル化処理、架橋処理等、物理的処理としては、例えば、加熱処理、α化処理、湿熱処理、ボールミル処理、微粉砕処理等が挙げられる。このような処理は、1種の処理が単独で施されていてもよく、また2種以上の処理が組み合わされて施されていてもよい。
油脂加工澱粉は、喫食時に柔らかくジューシーな食感を与える観点から、油脂加工タピオカ澱粉、油脂加工コーンスターチおよび油脂加工ワキシーコーンスターチからなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましく、油脂加工タピオカ澱粉および油脂加工コーンスターチからなる群から選択される1種または2種が好ましく、油脂加工アセチル化タピオカ澱粉が特に好ましい。
油脂加工澱粉の原料である食用油脂として、大豆油、菜種油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、えごま油、アマニ油、紅花油、ひまわり油、綿実油、こめ油、落花生油、カカオ脂、パーム核油、ヤシ油、椿油、茶油、カラシ油、カポック油、カヤ油、クルミ油、ケシ油などの植物油脂;牛脂、豚脂、乳脂、鶏油、魚油等の動物脂;中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂などが挙げられ、これらの食用油脂を分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂も含まれる。
また、食用油脂類縁物質として、モノグリセリン脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル;有機酸脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリソルベート;リン脂質などが挙げられる。好ましくは、紅花油またはえごま油である。
ここで、食用油脂または食用油脂類縁物質の配合量は、澱粉の改質効果をより確実に得る観点から、100質量部の原料澱粉に対して、食用油脂および食用油脂類縁物質の合計でたとえば0.005質量部以上とし、0.008質量部以上が好ましく、より好ましくは0.02質量部以上とする。また、100質量部の原料澱粉に対しての食用油脂または食用油脂類縁物質の配合量は、食感改良効果の観点から、食用油脂および食用油脂類縁物質の合計でたとえば5質量部以下とし、2質量部以下が好ましく、1.5質量部以下がより好ましく、さらに好ましくは0.8質量部以下とする。
油脂加工澱粉を製造する方法は、原料澱粉に食用油脂および食用油脂類縁物質からなる群から選択される1種または2種以上を添加した後、混合、加熱する操作を備えた工程を経ていれば特に限定されず、たとえば、以下の工程を含む:原料澱粉に、食用油脂および食用油脂類縁物質からなる群から選択される1種または2種以上を配合して混合物を調製する工程、ならびに混合物を調製する工程で得られた混合物を加熱処理する工程。
ここで、混合物を調製する工程において、混合物がpH調整剤、蛋白質、等を含む構成としてもよい。また、混合物を調製する方法は特に限定されず、所定の方法を用いて調製することができる。
次に、混合物を加熱処理する工程について説明する。混合物を加熱処理する工程において、混合物を調製する工程で得られた混合物を加熱することにより、油脂加工澱粉が得られる。
加熱処理については、たとえば150℃以上の高温で加熱、焙焼すると澱粉粒の損傷により、澱粉の粘度が低下し、澱粉本来の保水性が失われる懸念がある。すると、食肉加工食品に加えたときに歩留まりの減少などが生じるおそれがある。そのため、加熱処理は、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃未満の低温でおこない、より好ましくは40~110℃程度の低温で加熱処理する。こうすることにより、澱粉の損傷を押さえ、食肉改良効果がより高くなる。なお、加熱温度の下限に制限はないが、加熱期間を適度に短縮して生産性を向上させる観点から、たとえば40℃以上とする。
加熱処理する期間は、澱粉の状態および加熱温度に応じて適宜設定され、たとえば0.5時間以上25日以下、好ましくは5時間以上20日以下であり、より好ましくは6時間以上18日以下である。
(食肉用調味液の製造方法)
本実施形態において、食肉用調味液の製造方法は、油脂加工澱粉を含有する食肉用調味液を加熱する工程を含み、加熱後の食肉用調味液中の油脂加工澱粉の含有量が、0.5質量%以上7.5質量%以下である。
食肉用調味液を加熱する方法は特に限定されず、例えば、食肉用調味液が入った鍋を80~200℃程度に熱し、油脂加工澱粉が糊化する程度まで加熱する方法が挙げられる。また、電子レンジにより加熱する方法、容器や袋に食肉用調味液を充填後、湯煎加熱する方法やレトルト加熱する方法等も挙げられる。
加熱後における食肉用調味液中の油脂加工澱粉の含有量は、喫食時の食肉加工食品の柔らかさおよびジューシー感を向上させる観点から、食肉用調味液全体に対して0.5質量%以上であり、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.4質量%以上、さらに好ましくは1.8質量%以上、さらにより好ましくは2.2質量%以上であり、よりいっそう好ましくは2.5質量%以上である。
また、同様の観点から、7.5質量%以下であり、好ましくは7.2質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは6.5質量%以下、さらにより好ましくは6質量%以下、よりいっそう好ましくは5.7質量%以下である。
加熱前における食肉用調味液中の油脂加工澱粉の含有量は、喫食時の食肉加工食品の柔らかさおよびジューシー感を向上させる観点から、食肉用調味液全体に対して0.3質量%以上であり、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは1.2質量%以上、さらに好ましくは1.6質量%以上、さらにより好ましくは2質量%以上であり、よりいっそう好ましくは2.2質量%以上である。
また、同様の観点から、6.3質量%以下であり、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5.8質量%以下、さらに好ましくは5.5質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下、よりいっそう好ましくは4.8質量%以下である。
本実施形態において、油脂加工澱粉を含有する食肉用調味液を加熱する工程を含むことで、食肉用調味液中の澱粉の沈殿を防ぐことができ、調味液を食肉に均一に漬け込むことができる。さらには、加熱処理による殺菌効果等も期待できる。
本実施形態において、食肉用調味液は、食肉を調味する目的で使用されるため、油脂加工澱粉以外に、砂糖、食塩、酢、醤油、味噌、酒、みりん、油、胡椒、ケチャップ、トマトペースト、マヨネーズ、ウスターソース、オイスターソース、わさび、からし、豆板醤、甜面醤、唐辛子、カレー粉、香辛料、ハーブ、めんつゆ、だし、グルタミン酸ナトリウム等のうまみ調味料、焼き肉のたれ等の市販の調味料、エキス類、有機酸、果汁、甘味料、液糖、無機塩類、ねぎ・しょうが・にんにく等の野菜類等の調味料を少なくとも1種以上含む。
なお、食肉用調味液は、上述した成分以外の成分を含んでもよく、たとえば、香料、酵素製剤、アルカリ製剤、リン酸塩、増粘剤、タンパク質素材等の食肉改良剤、色素、酸化防止剤、静菌剤、乳化剤等の通常食品に用いられる成分を含んでもよい。
また、食肉用調味液は水分を含んでもよく、水分の含有量は、食肉用調味液中の水およびしょうゆや焼き肉のたれ等の液体成分の合計量とすることができる。なお、水分には、油脂加工澱粉中の水分は含まれない。
食肉用調味液中の水分の含有量は、食肉用調味液全体に対して、たとえば99質量%以下であり、98質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、75質量%以下としてもよい。また、たとえば1質量%以上であり、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、50質量%、70質量%以上としてもよい。
また、食肉用調味液は乳化液であってもよく、たとえば水中油型の乳化液であってもよいし、油中水型の乳化液であってもよい。
(食肉加工食品)
本実施形態において、食肉加工食品は、上述した本実施形態における食肉用調味液を用いて製造される。
食肉加工食品の原料である食肉の具体例として、マグロ、ママカリ、スケソウダラ、タチウオ、エソ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギ、サケ、アジ、アナゴ、アンコウ、カツオ、サワラ、ニシン、ブリ、タラ、タイ、カサゴ、ミナミダラ、シロガネダラ、キントキダイ、キンメダイ、イトヨリダイ、ホッケ、ヨシキリザメ、ショモクザメ、アオザメ、アカウオ、コガネガレイ、アブラガレイ、シログチ、レンコダイ、カジキ、コノシロ等の魚類(魚肉);ホタテ等の貝類;イカ、タコ等の頭足類;エビ、カニ等の甲殻類;豚、牛、鶏、山羊、羊、馬、猪、鹿、兎、熊、鴨、鳩、アヒル、鶉、七面鳥等の畜肉、獣肉および食鳥肉が挙げられる。
喫食時の食肉加工食品の柔らかさおよびジューシー感を向上させる観点から、食肉加工食品の原料である食肉は、好ましくは魚肉、畜肉、獣肉および食鳥肉からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくは魚肉および畜肉からなる群から選択される1種または2種であり、さらに好ましくは畜肉である。
また、同様の観点から、食肉加工食品の原料である食肉は、好ましくは塊肉である。
本実施形態において、食肉加工食品としては、たとえば、焼き肉、ハム、焼豚、ローストビーフ、焼き魚などの比較的大きな塊肉をそのまま用いた製品が挙げられる。また、塊肉をスライス、ミンチなどにして加工、調理したものも挙げられる。
かかる食肉加工食品の具体例として、焼き肉、焼豚、焼き鳥、生姜焼き、ステーキ、ハム、ローストビーフ、焼き魚、焼きエビ等の焼肉類;トンカツ、ビーフカツ、チキンカツ、唐揚げ、竜田揚げ、フライドチキン、鮭フライ、アジフライ、ホッケフライ、サバフライ、タラ等の白身魚のフライ、エビフライ等のフライ(様)食品;煮魚、豚の角煮、肉じゃが、カレー、シチュー等の煮込み類;ホッケの開き等の干物類などが挙げられる。中でも、焼き肉、焼き魚等の焼肉類が好ましい。
(食肉加工食品の製造方法)
次に、本実施形態における食肉加工食品の製造方法を説明する。本実施形態において、食肉加工食品の製造方法は、上述の製造方法で得られた食肉用調味液を食肉に適用する工程を含む。
食肉用調味液を食肉に適用する工程は、浸漬、インジェクション、タンブリング、噴霧および塗布からなる群から選択される1または2以上の方法により食肉用調味液を食肉に適用する工程である。適用工程の簡略化の観点から、好ましくは浸漬である。
食肉用調味液の添加量は、原料として用いる食肉の種類、大きさ、適用方法等により設定できるが、食肉加工食品における食肉用調味液の効果を高める観点から、食肉原料として用いる食肉100質量部に対して、たとえば10質量部以上であり、好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは30質量部以上である。
また、食肉原料として用いる食肉100質量部に対して、たとえば200質量部以下であってもよく、100質量部以下であってもよい。
本実施形態において、食肉加工食品の製造方法は、加熱調理工程をさらに含んでもよい。加熱調理工程には、食肉用調味液を食肉に適用する工程の後、食肉を加熱調理して食肉加工食品を得る工程が含まれる。
加熱調理工程における加熱調理方法は、食肉加工食品の種類に応じて選択される。加熱調理の具体例として、オーブン等での加熱調理;マイクロ波加熱調理(電子レンジ調理);スチームコンベクションオーブン等での加熱調理;フライパン、鉄板上での加熱調理;100~200℃程度の食用油脂中での油ちょう;沸騰した湯中での加熱調理;ガスバーナー等による炙り調理が挙げられる。たとえば、焼き魚や焼き肉においては、140℃~220℃程度に熱したスチームコンベクションオーブン、フライパン、および鉄板上での加熱調理が挙げられる。
本発明は、食肉に調味液を適用して食肉加工食品を製造する際に、食肉に上述の製造方法で得られた食肉用調味液を適用することを特徴とする、食肉加工食品の食感改良方法を提供するものである。上述の製造方法で得られた食肉用調味液を用いることで、食肉用調味液中の澱粉の沈殿を防ぎ、喫食時の食感が柔らかな食肉加工食品を得ることができる。また、上述の製造方法で得られた食肉用調味液を用いることで、喫食時の食感がジューシーな食肉加工食品を得ることができる。さらには、上述の製造方法で得られた食肉用調味液を用いることで、食肉加工食品の歩留まりを向上させることができる。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。以下の例において、断りのない場合、「%」とは「質量%」である。また、断りのない場合、「部」とは「質量部」である。
原材料として、主に以下のものを使用した。
[油脂加工澱粉]
・油脂加工澱粉1(油脂加工アセチル化タピオカ澱粉):K-1、日本食品化工株式会社製
・油脂加工澱粉2(油脂加工コーンスターチ澱粉):HB-310、株式会社J-オイルミルズ製
[その他澱粉]
・コーンスターチ:コーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製
・馬鈴薯澱粉:ジェルコールBP-200、株式会社J-オイルミルズ製
・α化澱粉:ジェルコールGT-α、株式会社J-オイルミルズ製
[その他成分]
・オクテニルコハク酸エステル化澱粉ナトリウム:エヌクリーマー46、日本エヌエスシー社製
・焼き肉のたれ:黄金の味 中辛、エバラ食品工業株式会社製
<実施例1>
(食肉用調味液の調製)
[比較例1-1、1-2]
表1に示す各成分を混合攪拌し、食肉用調味液を得た。
[比較例1-3、1-4、実施例1-1、1-2]
表1に示す各成分を混合攪拌後、加熱し、食肉用調味液を得た。なお、加熱による水分蒸発量は表1に記載のとおりである。
(焼き肉の製造)
1.一切れあたり約30gにカットされた豚ロース肉を用意し、上述のとおり調製した各実施例および比較例の食肉用調味液(豚肉100質量部に対して30質量部)に1時間浸漬させた。
2.食肉用調味液に浸漬させた豚ロース肉をホテルパンに並べ、スチームコンベクションオーブンを用いて、コンビモード、160℃、スチーム60%で7分焼成した。
得られた焼き肉の食感(柔らかさ、ジューシーさ)、歩留まりおよび食肉用調味液の澱粉の沈殿の有無について、以下の方法で評価した。食感は専門パネラー1名で食して評価した。評価結果をあわせて表1に示す。
[柔らかさ]
焼き肉の柔らかさを以下の5段階の基準で評価し、専門パネラーの平均値を評点とした。
5:対照よりかなり柔らかい
4:対照より柔らかい
3:対照よりやや柔らかい
2:対照よりわずかに柔らかい
1:対照(比較例1-1)と同等
[ジューシーさ]
焼き肉のジューシーさ(しっとりしてパサつきがないか)を以下の5段階の基準で評価し、専門パネラーの平均値を評点とした。
5:対照よりかなりジューシー
4:対照よりジューシー
3:対照よりややジューシー
2:対照よりわずかにジューシー
1:対照(比較例1-1)と同等
[歩留まり]
焼成前の肉の質量と焼成後の肉の質量とを測定して、焼成歩留まり(%)を求めた。具体的には下記の式を用いて、焼成歩留まりを算出した。
焼成歩留まり(%)=(焼成後の質量(g)/焼成前の質量(g))×100
[澱粉の沈殿]
食肉用調味液中の澱粉の沈殿の有無を、作業者1名により以下の3段階の基準で評価した。
○:沈殿していない
△:やや沈殿している
×:沈殿している
Figure 2023044008000001
その結果、表1に示されるように、各実施例では、各比較例と比較して焼き肉の柔らかさおよびジューシーさが良好だった。また、各実施例では、歩留まりについて比較例1-1と比較して良好であり、食肉用調味液における澱粉の沈殿も見られなかった。
<実施例2>
(食肉用調味液の調製)
表2に示す各成分を混合攪拌後、加熱し、食肉用調味液を得た。なお、加熱による水分蒸発量は表2に記載のとおりである。
(焼き肉の製造)
上述のとおり調製した食肉用調味液を用いて、実施例1と同様の方法により焼き肉を製造した。
得られた焼き肉の食感(柔らかさ)について、対照を比較例2-1に代えたことを除き、実施例1と同様の方法により評価した。歩留まりおよび食肉用調味液の澱粉の沈殿の有無について、実施例1と同様の方法により評価した。食感は専門パネラー3名で食して評価した。評価結果を表2にあわせて示す。
Figure 2023044008000002
その結果、表2に示されるように、各実施例では、各比較例と比較して焼き肉の柔らかさが良好だった。また、各実施例では、歩留まりについて各比較例と比較して良好であり、食肉用調味液における澱粉の沈殿も見られなかった。
<実施例3>
(食肉用調味液の調製)
表3に示す各成分を混合攪拌後、加熱し、食肉用調味液を得た。なお、加熱による水分蒸発量は表3に記載のとおりである。
(焼き肉の製造)
上述のとおり調製した食肉用調味液を用いて、実施例1と同様の方法により焼き肉を製造した。
得られた焼き肉の食感(柔らかさ、ジューシーさ)について、対照を比較例3-1に代えたことを除き、実施例1と同様の方法により評価した。歩留まりおよび食肉用調味液の澱粉の沈殿の有無について、実施例1と同様の方法により評価した。食感は専門パネラー3名で食して評価した。評価結果を表3にあわせて示す。
Figure 2023044008000003
その結果、表3に示されるように、各実施例では、各比較例と比較して焼き肉の柔らかさおよびジューシーさが良好だった。また、各実施例では、歩留まりについて各比較例と比較して良好であり、食肉用調味液における澱粉の沈殿も見られなかった。
<実施例4>
(食肉用調味液の調製)
[比較例4-2]
表4に示す各成分を混合攪拌し、食肉用調味液を得た。
[実施例4-1、4-2、比較例4-1]
表4に示す各成分を混合攪拌後、加熱し、食肉用調味液を得た。なお、加熱による水分蒸発量は表4に記載のとおりである。
(焼き肉の製造)
上述のとおり調製した食肉用調味液を用いて、実施例1と同様の方法により焼き肉を製造した。
得られた焼き肉の食感(柔らかさ、ジューシーさ)について、対照を比較例4-1に代えたことを除き、実施例1と同様の方法により評価した。歩留まりおよび食肉用調味液の澱粉の沈殿の有無について、実施例1と同様の方法により評価した。食感は専門パネラー3名で食して評価した。評価結果を表4にあわせて示す。
Figure 2023044008000004
その結果、表4に示されるように、各実施例では、各比較例と比較して焼き肉の柔らかさが良好であり、異なる種類の油脂加工澱粉を用いた際も同様に効果がることが分かった。また、各実施例では、歩留まりについて比較例4-1と比較して良好であり、食肉用調味液における澱粉の沈殿も見られなかった。

Claims (7)

  1. 油脂加工澱粉を含有する食肉用調味液の製造方法であって、
    前記食肉用調味液を加熱する工程を含み、
    前記加熱後の食肉用調味液中の油脂加工澱粉の含有量が、0.5質量%以上7.5質量%以下である、食肉用調味液の製造方法。
  2. 前記油脂加工澱粉が、油脂加工タピオカ澱粉および油脂加工コーンスターチからなる群から選択される1種または2種である、請求項1に記載の食肉用調味液の製造方法。
  3. 前記加熱前の食肉用調味液中の油脂加工澱粉の含有量が、0.3質量%以上6.3質量%以下である、請求項1または2に記載の食肉用調味液の製造方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法で得られた食肉用調味液を食肉に適用する工程を含む、食肉加工食品の製造方法。
  5. 食肉用調味液を食肉に適用する前記工程が浸漬によるものである、請求項4に記載の食肉加工食品の製造方法。
  6. 前記食肉が塊肉である、請求項4または5に記載の食肉加工食品の製造方法。
  7. 食肉に調味液を適用して食肉加工食品を製造する際に、前記食肉に請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法で得られた食肉用調味液を適用することを特徴とする、食肉加工食品の食感改良方法。
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