JP2018528171A - フラン−2,5−ジカルボン酸を調製するための方法 - Google Patents

フラン−2,5−ジカルボン酸を調製するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、フラン-2,5-ジカルボン酸及び酸化副産物を調製するための方法であって、以下の工程:5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)、5,5'-[オキシ-ビス(メチレン)]ビス-2-フルフラール(di-HMF)、及び水を含む出発混合物を調製又は準備する工程と、前記出発混合物を、酸素含有ガス及び担体上に1種以上の貴金属を含む不均一触媒の触媒有効量の存在下で酸化条件に供し、その結果、HMFとdi-HMFの両方が反応して、水も含む生成物混合物中にフラン-2,5-ジカルボン酸を生成する工程とを含む、方法に関する。さらに、本発明は、水性出発混合物中における、HMFとdi-HMFの両方のフラン-2,5-ジカルボン酸への反応を触媒するための不均一酸化触媒としての、担体上に1種以上の貴金属を含む触媒の使用に関する。

Description

本発明は、フラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)(式(I)の化合物)を調製するための方法、及び触媒の対応する使用に関する。
Figure 2018528171
本発明のさらなる態様及びその好ましい構成は、以下に続く説明、実施例及び添付の特許請求の範囲から明らかである。
FDCAは、種々の製品、例えば界面活性剤、ポリマー及び樹脂の製造にとって重要な化合物である。
化石原料の枯渇が進むに従って、例えばテレフタル酸(ポリエチレンテレフタレート、PETの製造において使用される化合物)の代替物として、再生可能資源に基づく出発材料が必要とされている。PETは、通常、油、天然ガス又は石炭、すなわち化石燃料から出発して得られるエチレン及びP-キシレンをもとにする。エチレンへの生物由来の経路(例えば、バイオエタノールの脱水)は商業規模で作動するが、生物由来のテレフタル酸への簡単なアクセスは依然として困難なままである。FDCAは、テレフタル酸への最も優れた生物由来の選択肢である(さらなる情報については、Lichtenthaler, F.W.、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistryにおける「Carbohydrates as Organic Raw Materials」、Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、Weinheim、2010を参照のこと)。
FDCAをモノエチレングリコールと共重合させ、PETと類似する特性を有するポリエステルであるポリエチレンフラノエート(PEF)を生成することができる。
Figure 2018528171
FDCAは、通常、フルクトース及び/又は他のヘキソースから出発して、重要な中間体である5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)への触媒による、好ましくは酸触媒による脱水を介し、その後、FDCAへの酸化によって得られる。
Figure 2018528171
プロセスに特有の設計により、脱水工程では副産物が形成される。典型的な副産物は5,5'-[オキシ-ビス(メチレン)]ビス-2-フルフラール(di-HMF)(V、下記参照のこと)。
FDCAを調製する典型的プロセスでは、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)を含む出発混合物は、ヘキソース(単量体ヘキソース分子、例えばフルクトース)、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含む材料混合物を、HMF、水及び副産物(例えば、di-HMF)を含む混合物が生じるような反応条件に供することによって調製される。この反応条件下で、オリゴ糖及び/又は多糖は、通常、解重合され、次に得られた単糖、例えば単量体ヘキソース分子はHMFに変換される。ヘキソース、オリゴ糖及び多糖は、典型的には、フルクトース、グルコース、及びセルロースからなる群から選択される。
解重合の間、オリゴ糖又は多糖は、通常、オリゴ糖分子又は多糖分子(例えばセルロース)における異なるヘキソース単位を接続するエーテル結合の加水分解による切断によって単量体ヘキソース分子へと変換される。典型的な解重合プロセスの生成物(単量体ヘキソース分子)は、それらのアルデヒド形態で存在する。
典型的には、ルーチンに従い、少なくとも部分的には以前に開示されていない解重合が、触媒を使用することによって、好ましくはワンポット法で行われる。典型的には、溶解したセルロースの量を増加させるために、親水性溶媒が使用され(特に水)、したがって、プロセスの実行当たりの収率が上昇する。典型的には、合成後の後処理を促進するために、不均一触媒を用いてセルロースのHMFへの変換を行うことが有利である。典型的な解重合プロセスでは、使用される解重合混合物の総重量に対して50wt%以上の水を含むこともある水溶液を溶媒として使用する。
あるいは、HMF、水、及び副産物、例えばdi-HMFを含む出発混合物を調製するための出発材料として単糖が使用される場合、解重合工程は必要とされない。
製造又は準備された単糖は、典型的には、脱水プロセスに供され、単量体ヘキソース分子のアルデヒド形態は、典型的には、異性化によって(例えば、ケトン-エノン互変異性化を介して)そのケトン形態に転移され、次にその環形態に変換される。閉環後、形成された閉環ヘキソース分子は、典型的には、脱水され(任意選択でさらに異性化され)、HMF、副産物(例えばdi-HMF)及び水を含む混合物を生じ、これを、FDCA(好ましくは精製形態で)を調製するための方法における基本混合物として使用することができる。
一般的有機溶媒における特異的単量体ヘキソース分子(例えばフルクトース)の不溶性により、脱水プロセス工程は、通常、水性環境で実施され、その結果、HMF、副産物(例えばdi-HMF)及び水を含む水溶液が(粗製)混合物として得られる。
HMFは副反応、例えばdi-HMFへの(さらなる)エステル化を受けることが多いため、このような混合物からHMFを単離することが課題である。これは、通常、後処理の間に水が除去される場合である(例えばUS2,994,645を参照のこと)。2つのHMF分子がエーテル化されるため、生成される副産物の量は、それに対応して多い。
Figure 2018528171
したがって、HMF及び水を含む(粗製)混合物は、副産物、特にdi-HMFからHMFを単離することが公正な労力をもってしても不可能であるため、通常、ある程度まで副産物、特にdi-HMFで夾雑される。
一般的な副産物(例えば、上述のような副産物)は、例えば、環形態のフルクトース(RFF)(式(III)の化合物)、環形態の部分的に脱水されたフルクトース(de-RFF)(式(IV)の化合物)、及び5,5'-[オキシ-ビス(メチレン)]ビス-2-フルフラール(di-HMF)(式(V)の化合物)である。HMF(式(II)の化合物)及びdi-HMFは、バイオマスから、特に上述のようなヘキソース並びに/又はオリゴ糖及び/若しくは多糖を含むバイオマスから、かなりの量で得ることができる。
Figure 2018528171
Figure 2018528171
FDCAの単離又は調製に関する様々な教示が特許文献において報告されてきた。
WO2008/054804 A2は、「ヒドロキシメチルフルフラールの酸化方法」(表題)に関する。炭酸ナトリウムの添加によって穏やかな塩基性のpHを有する反応混合物を準備することができ、FDCAの塩は、前記反応混合物中で、中性又は酸性のpHを有する反応混合物と比較して、明らかに上昇した溶解度を有することが開示されている(段落[0049]参照)。
WO2008/054804 A2は、純水中の溶解度と比較して、酢酸/水混合物(体積比40:60)中では2倍高いFDCAの溶解度が達成されることをさらに開示している(段落[0058]参照)。
WO2013/033081 A2は、「バイオベースのコハク酸及び2,5-フランジカルボン酸の両方を製造するための方法」(表題)を開示している。実施例46及び47では、HMF及びdi-HMFの混合物(モル比HMF:di-HMFが1:10である)は、100℃でFDCAに変換される。
US 2008/103318は、「水を含む溶媒中にHMFを含む出発材料を反応器中へ提供する」工程を含む「ヒドロキシメチルフルフラールの酸化方法」(表題)を開示している。出発材料は、「約50℃から約200℃までの反応温度で接触が行われる、担持材料上にPtを含む触媒と」接触させられる。
WO2012/017052 A1は、「2,5-フランジカルボン酸の合成のための方法」(表題)を開示している。
Hicham Ait Rassらは、「Pt/C触媒で5-ヒドロキシメチルフルフラールの2,5-フランジカルボン酸への選択的な水性相の酸化」を開示している(GREEN CHEMISTRY、第15巻、第8号、2013年1月1日、2240頁の論文の表題を参照のこと)。
US2,994,645は、「ヒドロキシメチルフルフラールの精製」(表題)を開示している。「高圧下で加熱することによって、ガス及び水」が最初に除去される方法が開示されている。
水溶液におけるFDCAの溶解度は、可溶化剤の添加によって増加されうる。EP0 356 703 A2は、5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を酸化するための方法に関し、選択された反応条件下で反応メンバーに関して不活性である可溶化剤が反応混合物に添加される場合、5-ヒドロキシメチルフルフラールの酸化の間、特に比較的高い濃度で、反応生成物の沈殿を避けることができることを開示している。EP0 356 703 A2は、適切な可溶化剤は、例えば遊離OH基を欠くグリコールエーテル、特にジメチルグリコールエーテル、ジエチルグリコールエーテル及びメチルエチルグリコールエーテルであることをさらに開示している。
非常に高い頻度で、FDCAの沈殿によって不均一触媒の不活性化がもたらされる。WO2013/191944 A1は、水中でのFDCAの溶解度が非常に低いため、触媒表面におけるFDCAの沈殿を避けるために、HMFの酸化を非常に希薄な溶液中で行う必要があり、その理由は、さもなければその方法は経済的にもはや行うことができないからであることを開示している(3頁参照)。
本発明者らの観察により、不均一触媒の触媒内面及び/又は外面におけるFDCAの沈殿によって不均一触媒の夾雑及び不活性化の可能性がもたらされうることが示される。これは、沈殿したFDCAによる不均一触媒の触媒として活性な構成要素の被覆又はコーティングに関し、その結果、触媒の構成要素はもはや反応物と接触しなくなる。このような触媒の夾雑の影響は、触媒が、たとえあったとしても同様の初期活性を示さず、コストを増加させる新しい触媒物質で置き換える必要があることである。特に、コストのかかる触媒、例えば白金触媒を利用する場合、このような作用過程は非経済的であることが多い。
解重合又は脱水工程に関する前述の開示は、(i)FDCAを調製するための方法及び(ii)以下に詳細に記載するような本発明による触媒の使用にも当てはまる。特に、脱水工程又は解重合及び脱水の連続工程を使用して、本発明に従って用いられる出発混合物を調製することができる。
産業界によってなされた相当の努力にもかかわらず、今日までに知られた方法の不利益を回避するか又は少なくとも緩和し、経済的に有利な方式で操作することができる、HMF、di-HMF及び水を含む出発混合物からFDCAを調製するための改良された方法を提供する必要性が依然として存在する。特定されるべき方法は、好ましくは
- 先行技術において知られている反応器の装備の複雑性を低減させることが可能であるべきであり、
- 反応後に生成物混合物から容易に分離することができる触媒を使用することが可能であるべきである。
本発明によれば、この目的は、フラン-2,5-ジカルボン酸を調製するための方法であって、以下の工程:
(a)
5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)、
5,5'-[オキシ-ビス(メチレン)]ビス-2-フルフラール(di-HMF)、及び

を含む出発混合物を調製又は準備する工程と、
(b)前記出発混合物を、酸素含有ガス及び担体上に1種以上の貴金属を含む不均一触媒の触媒有効量の存在下で酸化条件に供し、その結果、HMFとdi-HMFの両方が反応して、水も含む生成物混合物中にフラン-2,5-ジカルボン酸を生成する工程と
を含む、方法によって達成される。
「不均一触媒」は、好ましくは、水に可溶性ではなく、及び/又は固体形態で存在する物質である。
表現「HMFとdi-HMFの両方が反応してフラン-2,5-ジカルボン酸を生成する」は、工程(b)の酸化条件下で、HMFが反応し且つdi-HMFが反応し、得られたフラン-2,5-ジカルボン酸の第1の部分がHMFの生成物であり、得られたフラン-2,5-ジカルボン酸の第2の部分がdi-HMFの生成物であることを示す。
生成物混合物は、酸化副産物を含有してもよい。本発明の方法の工程(b)における酸化条件下で形成されうる酸化副産物の非限定的選択物は、2,5-ジホルミルフラン(DFF)、5-ヒドロキシメチルフラン-2-カルボン酸(HMFCA)、5-ホルミルフラン-2-カルボン酸(FFCA)である。
「酸素含有ガス」は、分子当たり1個以上の酸素原子を有するガス状化合物を含むガスである。分子当たり1個以上の酸素原子を有する好ましいガス状化合物は酸素分子(O2)である。
空気は好ましい酸素含有ガスである。
用語「酸化条件」は、HMFとdi-HMFの両方を反応させて、水も含む前記生成物混合物中にフラン-2,5-ジカルボン酸を生成するのに適切な条件を示す。
酸素含有ガスは酸化剤として作用する。
工程(b)では、種々のタイプの反応容器を使用して、HMFとdi-HMFの両方のフラン-2,5-ジカルボン酸(FDCA)への反応を行うことができる。多くの場合には、オートクレーブを使用してHMFとdi-HMFのFDCAへの反応を行う。多くの場合には、HMFとdi-HMFのFDCAへの反応は、バッチ反応器中又はセミバッチ反応器中で行われる。他の場合には、プラグ流又は固定床反応器が使用される。
上述したように、先行技術の典型的方法では、2個のHMF分子の1個の二量体分子(di-HMF)への反応は高含有量の副産物を生じ、したがってFDCAの低い収率をもたらす。対照的に、本発明による方法ではHMFとdi-HMFの両方が価値のあるFDCAへと変換され、したがってヘキソースからの産業上重要なFDCAの製造の全体的収率が増加する。WO2013/033081 A2の教示と対照的に、本発明の方法では不均一触媒が使用され、したがって後処理並びに生成物混合物及びその成分の他の処理の簡素化を可能にする。
さらに、HMF及びdi-HMFは水への可溶性が高く、したがってHMF及びdi-HMFの達成可能な最大出発濃度を上昇させ、それと共にFDCAの空時収量を最適化する。さらに、水は他の溶媒(例えば、酢酸)と同じくらい容易に酸化することができないので、本発明の酸化条件下で比較的不活性である。したがって、酸化剤として用いられる酸素含有ガスは、より効率的な方法で使用される。
驚くべきことに、di-HMFが、酸素含有ガス及び担体上に1種以上の貴金属を含む不均一触媒の触媒有効量の存在下で酸化条件に供され、それによってFDCAへと変換される場合、出発混合物中にHMFが存在することが好ましいことが見出された。いかなる理論にも拘泥されることを望むものではないが、最初に存在するHMFのFDCAへの変換は、di-HMFのFDCAへの変換と比較して、より短い時間枠で進行すると現在考えられている。最初に存在するHMFのFDCAへの変換に際し、反応生成物であるFDCAはジカルボン酸であるため、反応混合物のpHは減少する。反応混合物中のプロトンの濃度が上昇することによって、di-HMFのHMF 2分子への加水分解による切断が触媒され、したがってHMFの濃度が上昇する。次に、di-HMFを切断することによって形成されたHMFは、次いで、FDCAへと素早く変換され、それによってpHはさらに減少し、切断反応速度は上昇する。このことは、先行技術に従って使用される追加の薬剤、例えばHBr(WO2013/033081の実施例46及び47を参照のこと)又は同様の腐食剤を必要とすることなく、経済的に価値のある時間枠でdi-HMFからFDCAを製造することを可能にする。したがって、反応のはじめに、HMFの濃度は、di-HMFのFDCAへの変換を開始するのに十分に高くあるべきである(WO2013/033081と対照的に)。したがって、di-HMFからFDCAを調製するための方法を加速するためにHMFを意図的に存在させることは、本発明によってもたらされる利益に対する主要な理由である。
本発明によれば、HMF及びdi-HMFのFDCAへの酸化は、水を含む出発混合物中で行われる。好ましくは、工程a)の出発混合物中で、好ましくは前のプロセス工程(例えば、以下に記載されているプロセス工程(a2))から得られるdi-HMF、及びHMFの重量による総量は、他の有機化合物の総量より高い。工程a)における本発明による方法で使用される出発混合物は、比較的高い総濃度の反応物混合物、HMF及びdi-HMFを含んでもよい。このことにより、通常、工程(b)の触媒変換の間、FDCAの沈殿がもたらされ、したがって、固体又は溶解形態のFDCA及び固体形態の不均一触媒を含む生成物混合物がもたらされる。
本発明による方法では、工程(b)において、不均一触媒とFDCAの両方が固体形態で存在しうる。しかしながら、好ましくは、不均一触媒は固体形態で存在し、FDCAはその溶解形態で存在する。工程(b)で使用される不均一触媒は、2種、3種又は3種より多い不均一触媒の混合物の一部であってもよい。典型的には、本発明による方法の工程(b)において形成された生成物混合物は、分離相中に少なくとも水及び不均一触媒を含むが、さらなる固相として、生成物FDCAを含むことも多い。FDCAが水又は水性溶液中において溶解度の低い生成物であるために、水性相における溶解FDCAの比率は、典型的に低い。好ましくは、本発明の工程(b)において生成された生成物混合物の水性相は、FDCAに関する飽和溶液である。
工程(b)において得られた生成物混合物を、任意選択で、第2の生成物混合物を生じるさらなる処理条件に供することができる。
WO2013/191944 A1は、圧力下、120℃から240℃までの範囲の温度で、固体形態のFDCAが適当な水性溶媒に溶解されることを開示している。適当な温度及び適当な圧力で、過熱した水性溶液は、水性溶液の総量に対して、10から20重量%の範囲の総割合の溶解FDCAを含むことができる。
工程(b)の生成物混合物の、又は工程(b)の生成物混合物をさらなる処理条件に供することによって得られた第2の生成物混合物の圧力下で加熱することにより、固体又は溶解形態のFDCA及び固体形態の不均一触媒の両方を含むそれぞれは、通常、不均一触媒の細孔系(例えば、担持材料の細孔系)上又は細孔系内に沈着したFDCAの少なくとも一部を溶解する。好ましくは、次の(さらなる処理)工程は、工程(b)の終わりに存在するか又は工程(b)の後の中間工程の終わりに存在する不均一触媒を加熱することを含み、その結果、加熱後の不均一触媒の活性(すなわち、HMFのFDCAへの酸化のための触媒として作用するその能力)が、工程(b)の終わりに存在する不均一触媒と比較して増大する。
より好ましくは、本発明の方法は、工程(b)の終わりに存在するか又は工程(b)の後の中間工程の終わりに存在する不均一触媒を加熱することを含み、その結果、加熱後の不均一触媒の活性(すなわち、HMFのFDCAへの酸化のための触媒として作用するその能力)が増大する、上記の次の(さらなる処理)工程を含み、加熱後の不均一触媒の活性は、工程(b)の終わりに存在する不均一触媒の活性と比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、さらにより好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも50%増大する。
プロセス工程(b)で生じる生成物混合物を、精製FDCAを得るためにさらなる分離、精製及び/又は(再)結晶化工程に供する本発明の方法が好ましい。
多くの場合には、
出発混合物が、100から0.8までの範囲の、好ましくは100から0.9までの範囲のHMFのdi-HMFに対するモル比を有し、
且つ/又は
出発混合物におけるHMF及びdi-HMFの総重量が、出発混合物の総重量に対して、0.1から50wt%までの範囲内、好ましくは1から30wt%までの範囲内、より好ましくは1から20wt%までの範囲内にある
本発明の方法が好ましい。
多くの好ましい実際的な状況では、出発混合物は、100から20までの範囲のHMFのdi-HMFに対するモル比を有し、多くの他の状況では、10から0.9までの範囲が好ましい。
出発混合物において、HMF及びdi-HMFのモル比のこれらの範囲及び/又はHMF及びdi-HMFの総重量のこの範囲がHMF又はdi-HMFからのFDCAの製造に関する最適値を表すため、これらの値が好ましい。これらの範囲内で作用する場合、比較的少量の副産物しか製造されず、反応を経済的に容認できる時間枠で行うことができる。
全出発混合物に対して、50wt%を超えるHMF及びdi-HMFの濃度は、反応混合物の溶解特性が変化し、その結果、製造されたFDCAが沈殿しやすく、したがって、合成後の後処理を複雑にするため、多くの場合不利である。
多くの場合には、出発混合物中の水の総量が、出発混合物の総重量に対して、少なくとも10wt%、好ましくは少なくとも25wt%、より好ましくは50wt%である本発明の方法が好ましい。
本発明の方法において溶媒として水を使用することによって、環境に優しい溶媒が使用される。さらに、出発混合物中の水含有量が高い程、より多くのHMF及びdi-HMFを溶解させることができ、したがって、より多くのFDCAをバッチ毎に製造することができる。
出発混合物のpHが4.0以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5.0以上、さらにより好ましくは5.5以上であるか、又は出発混合物のpHが4.0から7.0までの範囲内にあり、好ましくは出発混合物のpHが4.5から7.0までの範囲内にあり、より好ましくは出発混合物のpHが5.0から7.0までの範囲内にあり、さらにより好ましくは出発混合物のpHが5.5から7.0までの範囲内にある本発明の方法が好ましい。
製造されたFDCAは4.0以上のpHを有するこのような反応混合物中で可溶性が非常に良好であるため、4.0以上のpHを有する出発混合物中でHMFのFDCAへの変換を行うことが好ましい。出発混合物中のpHが低いと、好ましくないFDCAの沈殿を引き起こす対応する低いpHを有する生成物混合物を生じるため、4.0未満のpHを有する出発混合物は不利である。
本発明の方法では、可溶化剤の添加は任意選択である。好ましくは、工程(b)における出発混合物はFDCAに対する可溶化剤を含まない。
好ましくは、本発明の方法の工程(b)では、酸化条件に供される混合物のpHの推移はアルカリ試薬の添加によって制御されない。
出発混合物中のHMFの総量が、出発混合物の総重量に対して、0.1から40wt%までの範囲内、好ましくは1から30wt%までの範囲内にある本発明の方法が好ましい。
上述したように、最初に存在するHMFから製造されたFDCAは、di-HMFの加水分解による切断を加速させ、したがって全体の反応を加速させる。したがって、0.1未満の出発混合物中のHMF濃度は有利ではない。一方で、反応混合物の溶解特性が変化し、その結果、製造されたFDCAが沈殿しやすいため、出発混合物の総量に対して40wt%を超えるHMFの濃度は不利である。
特に、出発混合物中のdi-HMFの総量が、出発混合物の総重量に対して、0.1から40wt%までの範囲内、好ましくは0.1から30wt%までの範囲内、より好ましくは0.1から10wt%までの範囲内、さらにより好ましくは0.2から6wt%の範囲内にある本発明の方法が好ましい。
反応混合物の溶解特性が変化し、その結果、製造されたFDCAが沈殿しやすいため、出発混合物の総量に対して40wt%を超えるdi-HMFの濃度は不利である。
生成物混合物のpHが7未満であり、好ましくは、生成物混合物のpHが1から4までの範囲内である本発明の方法が好ましい。
本発明の方法によれば、反応混合物のpHは、反応プロセスの間のFDCAへの変換を対応して監視するために、監視されうる。7未満の(好ましくは4未満の)pHを有する生成物混合物を有することが好ましく、これは、一般的に、経済的に価値のある量のHMF又はdi-HMFがFDCAに変換されることを意味する。
70℃から200℃までの範囲内、好ましくは80℃から180℃までの範囲内、より好ましくは90℃から170℃までの範囲内、さらにより好ましくは100℃から140℃までの範囲内の温度の前記出発混合物を、前記酸素含有ガス及び前記触媒有効量の、担体上に1種以上の貴金属を含む不均一触媒の存在下で、前記酸化条件に供し、その結果、HMF及びdi-HMFの両方が反応して、水及び酸化副産物も含む生成物混合物中にフラン-2,5-ジカルボン酸を生成する本発明の方法が好ましい。
一方、より低い反応温度は、典型的には、減速された反応速度をもたらし、したがって、HMF又はdi-HMFのFDCAへの酸化のために必要な時間が著しく増加し、方法を経済的に非効率にする。
一方、高すぎる温度は、過酸化、速すぎる反応速度、酸化副産物の生成の増加及び高価な安全処理を必要とするほとんど制御不能な反応条件をもたらす可能性がある。
多くの場合には、前記出発混合物が加圧反応器中で前記酸化条件に供され、HMF及びdi-HMFのFDCAへの前記反応の間に、酸素又は酸素含有ガスが、連続して(又は任意選択で及びあまり好ましくないが非連続的に)前記反応器中へ供給されると同時に、前記反応器から除去される、上述の(又は好ましくは上述の)方法が好ましい。
一部の場合には、反応が行われる圧力は、反応物HMF及びdi-HMFを十分に変換するために必要とされる化学量論量の酸素含有ガスを少なくとも収容しなければならない、使用される反応器のヘッドスペース体積に応じて変わる。高圧(例えば20バールの、例えば100バールであっても)は、連続的ではないか又は非連続的な酸素含有ガスの供給が使用される場合に、例えば、反応器中の圧力についてさらに操作することなく、反応器が、反応のはじめに、少なくとも化学量論量の酸素含有ガスを用いて一度加圧される場合に必要とされる。
他の場合には、消費された酸素含有ガスは、連続して又は非連続的に新鮮な酸素含有ガスで置き換えられる。このような場合には、200ミリバールから10バールまでの範囲の酸素分圧が好ましい。
前記出発混合物が加圧反応器中で前記酸化条件に供され、反応器中の酸素分圧が、HMFとdi-HMFの両方のフラン-2,5-ジカルボン酸への反応の間に、少なくとも一時的に、100ミリバールから20バールまでの範囲内、好ましくは200ミリバールから10バールまでの範囲内にある本発明の方法が好ましい。
当業者は、その特定の必要性に従って、適切な酸化条件を選択する。多くの場合、酸化は、酸素含有ガス又は酸素含有ガス及び別のガス(好ましくは、反応条件下で不活性である)の混合物の雰囲気下で、1から100バールの圧力で、好ましくは1から20バールの圧力で行われる。
1バール未満の圧力下での作用は、さらなる技術的手段を必要とし、したがって、反応系の複雑さを増大させるため好ましくない。20バールを超える圧力で作用するために、さらなる安全装置が、特定の安全要求事項を充足するために必要である。
前記出発混合物が、コバルト、マンガン、及び臭素化合物、並びにこれらの混合物の群から選択される触媒有効量の均一酸化触媒を含まない本発明の方法が好ましい。
反応混合物から均一酸化触媒を分離するために、技術的に複雑な分離ユニットが製造プラント全体で必要とされ、したがって材料及びエネルギーコストが増大する。したがって、本発明によれば、1種以上の均一酸化触媒の存在は好ましくない。
より詳細には、出発混合物中のコバルト及びマンガン及び臭素イオンの総量が100ppm未満、好ましくは20ppm未満である本発明の方法が好ましい。
毒性又は腐食性化合物、特にコバルト及びマンガン化合物を臭素化合物と同様に回避することが特に興味深い。後者は、反応混合物の腐食性を劇的に増加させ、したがって、高コストを招く特異的にコーティングした反応容器を必要とする。
出発混合物中のカルボン酸イオン及びカルボン酸の総量が10wt%未満、好ましくは5wt%未満である本発明の方法が好ましい。
酸の性質、例えば分子当たりの酸基の数及びその特定の構造によって、特定のカルボン酸の又はそのアニオンの存在によって反応混合物のpHが改変され、したがって、pHによってFDCA形成反応の進行の監視が複雑化する。この影響は、存在するカルボン酸を、上述した工程(b)の酸化条件下で酸素含有ガスによって、変化した酸性度を有する化合物へ酸化させることができ、このことがpHにさらに影響する場合があるため、さらにいっそう顕著である。このような場合には、FDCA形成反応の進行のための手段として、pHをもはや使用することができない。
さらに、カルボン酸と酸素含有ガスの間の副反応は、HMF及びdi-HMFに対する酸化剤として、酸素含有ガスの非効率的使用をもたらす。
前記出発混合物中の酢酸イオン及び酢酸の総量が10wt%未満、好ましくは1wt%未満である本発明の方法が好ましい。
前記出発混合物を調製する工程(工程(a)による)が、
(a1)
ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含む材料混合物を調製又は準備する工程と、
(a2)前記材料混合物を反応条件に供し、その結果、
HMF、
di-HMF、及び

を含む混合物が生じる工程と、
(a3)任意選択で、工程(a2)から得られた混合物を、好ましくはカルボン酸を添加せずに及び/又はHMF及びdi-HMFを溶解させるための酸性溶媒を添加せずに、さらなる処理条件に供する工程
とを含み、その結果、前記出発混合物が生じる、本発明の方法が好ましい。
用語「酸性溶媒」は、6未満のpHを有する水性溶媒混合物及び/又は5未満のpKaを有する物質を含む溶媒(水性又は非水性)を示す。
混合物を反応条件に供し、その結果、HMF、di-HMF、及び水を含む混合物が生じる(すなわち、上で定義したプロセス工程(a2))プロセス工程は、上記した解重合及び/又は脱水工程を含むことが多い。上記本明細書において、フラン-2,5-ジカルボン酸を調製するための方法に関する出発混合物を調製するための方法の文脈で論じた解重合及び/又は脱水工程の全ての態様は、必要な変更を加えれば、本発明による方法に当てはまる。
一部の場合には、同じ触媒及び/又は同じ反応混合物及び/又は同じ反応器を使用することによって、解重合及び脱水工程(上記定義した工程(a2))を行うことが有利である。
特に、プロセス工程(a3)が省略され(さらなる処理、例えば溶媒交換が必要とされない)、プロセス工程(a2)で生じる混合物がプロセス工程(a)で調製され、プロセス工程(b)の酸化条件に供された出発混合物である上述の(又は好ましくは上述の)前記出発混合物を調製する工程が好ましい。
一部の場合には、同じ反応器中で、解重合及び脱水工程(工程(2a))、並びにHMF及びdi-HMFのFDCAへの酸化(工程(b))を行うことが有利である。
上述のように、di-HMFは、ヘキソース又はオリゴ糖又は多糖(例えば、セルロース)のHMFへの変換の間に、副産物として生成される。したがって、di-HMFが、HMFと同様に、FDCAへ変換され、したがって方法の全体収率の増加に貢献して、本発明がさらに達成される。pHを測定することによって反応のプロセスを監視することを可能にするために、酸性溶媒及び/又はカルボン酸の添加は避けられるべきである。
上述した本発明の方法の別の利点は、水を溶媒として使用することである。本発明によれば、ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される前記1種又は2種以上の化合物のHMF(及びdi-HMF)への効果的な変換後に、工程(a2)で得られた水性材料混合物(又は工程(a3)のさらなる処理後に得られた水性材料混合物)を反応器に直接供給し、そこで、生成したHMF及びdi-HMFをFDCAへと変換する(本発明の工程(b)による)ことが好ましい。
しかしながら、プロセス工程(a2)及び(b)が、同じ反応器中での中間工程(a3)を用いて又は中間工程(a3)を用いないで、同じ反応器中で実施されることがさらにより有利である。それと共に、工程(a2)と(b)の間の複雑で高コストの溶媒分離、溶媒交換又は溶媒精製に対する必要性が低減されるか又は妨げられる。多くの場合には、工程(a2)及び工程(b)において、2種の不均一触媒が使用される。しかしながら、一部の場合には、触媒は両方の工程で同じであってもよい。したがって、工程(a1)から(b)までの全体を通して同じ溶媒系を使用することによって、全体の工程を簡素化することができる。
特に、担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、
(i)前記貴金属のうちの少なくとも1種が、金、白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、銀、ロジウム及びルテニウムからなる群から選択され、
且つ/又は
(ii)前記担体が、炭素、金属酸化物、金属ハロゲン化物、及び金属炭化物からなる群から選択される、
本発明の方法が好ましい。
項目(i)での上述の特定の貴金属は、HMFのFDCAへの反応を触媒する。上記の貴金属を固定する適切な担体は、di-HMF及びHMFのFDCAへの変換の間、反応動態に悪影響を及ぼさないため、項目(ii)で上記した担体である。
担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒中で、
少なくとも1種の前記貴金属が、白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、ロジウム及びルテニウムからなる群から選択され、好ましくは白金であり、
且つ
前記担体が炭素である、
本発明の方法が特に好ましい。
炭素は、HMF及びdi-HMFのFDCAへの変換の反応動態に悪影響を及ぼさないため、上述の貴金属、特に白金を固定するために適切な担体である。
担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、
前記1種の貴金属又は前記複数の貴金属のうちの1種が白金であり、前記担体が炭素であり、
且つ
担体上の白金の含有量が、担体上の1種以上の貴金属を含む不均一触媒の総重量に対して、0.1から20wt%まで、好ましくは1から10wt%までの範囲内である、
本発明の方法が好ましい。
HMF及びdi-HMFのFDCAへの反応を十分に加速させるために、担体上の白金の担持は、担体上の1種以上の貴金属を含む不均一触媒の総重量に対して、少なくとも0.1wt%(好ましくは少なくとも1wt%)であるべきである。
それとは対照的に、担体上に固定される白金が多すぎると、白金原子当たりの変換率が、白金原子の平均接触率が低いため低下し、したがって貴金属の激しい消耗をもたらし、したがってコストが高くなる。
担体上の1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、前記1種の貴金属又は前記複数の貴金属のうちの1種の、HMF及びdi-HMFの総量に対するモル比が、1:1000000から1:10までの範囲内、好ましくは1:10000から1:10までの範囲内、より好ましくは1:1000から1:100までの範囲内であり、好ましくは前記1種の貴金属又は前記複数の貴金属のうちの1種が白金である本発明の方法が好ましい。
バッチ当たりのFDCAの収率を増大させ、貴重な貴金属を効率的に使用するために、貴金属原子当たり可能な限り多くのHMF及びdi-HMFをFDCAへと変換させることが有利である。
以下の工程:
A)水性反応物混合物中で、少なくとも1種の不均一触媒によって1種以上の有機反応物化合物を触媒により変換させて、固体形態のフラン-2,5-ジカルボン酸及び固体形態の不均一触媒を含む第1の生成物懸濁液を形成する工程と、
B)加圧下で、
1.この第1の生成物懸濁液、又は
2.フラン-2,5-ジカルボン酸が十分に又は部分的に溶解して、溶解したフラン-2,5-ジカルボン酸を含む第1の水性生成物相を生じるように、それぞれ固体形態のフラン-2,5-ジカルボン酸及び固体形態の不均一触媒を含む、さらなる処理によってそれから調製された第2の生成物懸濁液
を加熱する工程と、次いで
C)溶解したフラン-2,5-ジカルボン酸を含む第1の水性生成物相から、又はさらなる処理を介してそれから生じ、溶解したフラン-2,5-ジカルボン酸を含む第2の生成物相から不均一触媒を分離する工程
の全てを含む方法ではない本発明の方法が好ましい。
工程(b)で得られた生成物混合物が溶解形態のFDCAを含み、工程(b)で得られた生成物混合物が、好ましくは固体形態のFDCAを含まない本発明の方法が好ましい。
上述したように、FDCAの沈殿の影響が、不均一触媒とFDCAの両方が固体形態で存在し、簡単な方式で互いにもはや分離できないことであるため、不均一触媒の存在下でFDCAが沈殿することは非常に不利である。上述したように、非常に高い頻度で、FDCAの沈殿は、付随的に、不均一触媒の不活性化を導く。不均一触媒の触媒内面及び/又は外面にFDCAが沈殿することにより、不均一触媒の夾雑及び不活性化の可能性がもたらされうる。これは、沈殿したFDCAによる不均一触媒の触媒として活性な構成要素の被覆又はコーティングに関与し、その結果、触媒の構成要素は、もはや反応物と接触しなくなる。このような触媒の夾雑の影響は、触媒が、あったとしても同様の初期活性を示さず、コストを増大させる新たな触媒材料で置き換えなければならないということである。特に、コストのかかる触媒、例えば白金触媒を利用する場合には、このような作用過程は非経済的であることが多い。
本発明は、水性出発混合物中で、HMFとdi-HMFの両方のフラン-2,5-ジカルボン酸への変換を加速させるための不均一酸化触媒としての、担体上に1種以上の貴金属を含む触媒の使用にも関する。ここで、触媒は、好ましくは本明細書の上記で又は添付の特許請求の範囲において定義した触媒である。担体(好ましくは、炭素、金属酸化物、金属ハロゲン化物、及び金属炭化物)上に1種以上の貴金属(好ましくは、金、白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、銀、ロジウム及びルテニウム)を含む触媒の使用が好ましい。さらに、不均一酸化触媒として担体上に1種以上の貴金属を含む触媒の使用により、触媒交換を行わず且つ酢酸のようなコストのかかる化学物質を添加することなく工程(a1)、(a2)、任意選択で(a3)、及び(b)を行うことが可能となる。
一般的に、本発明によるフラン-2,5-ジカルボン酸を調製する方法の文脈で本明細書の上記で議論した本発明の全ての態様は、必要な変更を加えれば、本発明による触媒の使用に当てはまる。同様に、本明細書の上記又は下記で議論する触媒の本発明による使用の全ての態様は、必要な変更を加えれば、本発明によるフラン-2,5-ジカルボン酸を調製するための方法に当てはまる。
上述の方法において、特にFDCAを作製する方法において、本発明による触媒の使用が好ましい。上述の(又は好ましくは上述の)本発明の方法の又は本発明の方法に関するすべての態様は、本発明による触媒の使用によって又はその使用と組み合わせて行うこともできる。
本発明による触媒を使用することによって、di-HMF及びHMFを価値あるFDCAへと同時に変換させ、したがって、ヘキソース(例えばフルクトース)などからの産業上重要な生成物であるFDCAの全体的収率を増加させることが可能となる。
本発明による触媒の使用についてのさらなる利点は、一般的に、本発明の方法の文脈で、より詳細には、この方法の好ましい態様に関して本明細書で上述した通りである。
多くの場合には、出発混合物のpHが4.0以上、好ましくは4.5以上であり、より好ましくは出発混合物のpHが4.0から7.0までの範囲内であり、最も好ましくは出発混合物のpHが4.5から7.0までの範囲内である本発明による触媒の使用が好ましい。対応する利点は上記で議論した通りである。
したがって、HMFとdi-HMFの両方のFDCAへの変換において活性であり、容易に分離して、次に再利用することができる上記で定義した触媒の使用が可能となることが本発明の成果である。
本発明は、具体的態様によって、以下に詳細にさらに記載されている:
1. フラン-2,5-ジカルボン酸を調製するための方法であって、以下の工程:
(a)
5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)、
5,5'-[オキシ-ビス(メチレン)]ビス-2-フルフラール(di-HMF)、及び

を含む出発混合物を調製又は準備する工程と、
(b)前記出発混合物を、酸素含有ガス及び担体上に1種以上の貴金属を含む不均一触媒の触媒有効量の存在下で酸化条件に供し、その結果、HMFとdi-HMFの両方が反応して、水も含む生成物混合物中にフラン-2,5-ジカルボン酸を生成する工程と
を含む、方法。
2. 出発混合物が、100から0.8までの範囲内、好ましくは100から0.9までの範囲内であるHMFのdi-HMFに対するモル比を有し、
且つ/又は
出発混合物中のHMF及びdi-HMFの総重量が、出発混合物の総重量に対して、0.1から50wt%までの範囲内、好ましくは1から30wt%までの範囲内、より好ましくは1から10wt%までの範囲内である、
態様1に記載の方法。
3. 出発混合物中の水の総量が、出発混合物の総重量に対して、少なくとも10wt%、好ましくは少なくとも25wt%、より好ましくは少なくとも50wt%である、先行する任意の態様に記載されている方法。
4. 出発混合物のpHが4.0以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5.0以上、さらにより好ましくは5.5以上であるか、又は出発混合物のpHが4.0から7.0までの範囲内であり、好ましくは出発混合物のpHが4.5から7.0までの範囲内であり、より好ましくは出発混合物のpHが5.0から7.0までの範囲内であり、さらにより好ましくは出発混合物のpHが5.5から7.0までの範囲内である、先行する任意の態様に記載の方法。
5. 出発混合物中のHMFの総量が、出発混合物の総重量に対して、0.1から40wt%までの範囲内、好ましくは1から30wt%までの範囲内である、先行する任意の態様に記載の方法。
6. 出発混合物中のdi-HMFの総量が、出発混合物の総重量に対して、0.1から40wt%までの範囲内、好ましくは0.1から30wt%までの範囲内、より好ましくは0.1から10wt%までの範囲内、さらにより好ましくは0.2から6wt%までの範囲内である、先行する任意の態様に記載の方法。
7. 生成物混合物のpHが7未満であり、好ましくは生成物混合物のpHが1から4までの範囲内である、先行する任意の態様に記載の方法。
8. 70℃から200℃までの範囲内、好ましくは80℃から180℃までの範囲内、より好ましくは90℃から170℃までの範囲内、さらにより好ましくは100℃から140℃までの範囲内の温度の前記出発混合物を、前記酸素含有ガス及び前記担体上に1種以上の貴金属を含むの不均一触媒の触媒有効量の存在下で、前記酸化条件に供し、その結果、HMF及びdi-HMFの両方が反応して、水及び酸化副産物も含む生成物混合物中にフラン-2,5-ジカルボン酸を生成する、先行する任意の態様に記載の方法。
9. 前記出発混合物が加圧反応器中で前記酸化条件に供され、HMF及びdi-HMFのFDCAへの前記反応の間に、酸素又は酸素含有ガスが、連続して前記反応器中へ供給されると同時に、前記反応器から除去される、先行する任意の態様に記載の方法。
10. 前記出発混合物が加圧反応器中で前記酸化条件に供され、反応器中の酸素分圧が、HMFとdi-HMFの両方のフラン-2,5-ジカルボン酸への反応の間に、少なくとも一時的に、200ミリバールから50バールまでの範囲内、好ましくは1から20バールまでの範囲内にある、先行する任意の態様に記載の方法。
11. 前記出発混合物が、コバルト、マンガン、及び臭素化合物、並びにこれらの混合物の群から選択される触媒有効量の均一酸化触媒を含まない、先行する任意の態様に記載の方法。
12. 出発混合物中のコバルト及びマンガン及び臭素イオンの総量が、100ppm未満、好ましくは20ppm未満である、先行する任意の態様に記載の方法。
13. 前記出発混合物中の酢酸イオン及び酢酸の総量が、10wt%未満、好ましくは1wt%未満である、先行する任意の態様に記載の方法。
14. 出発混合物中のカルボン酸イオン及びカルボン酸の総量が、10wt%未満、好ましくは5wt%未満である、先行する任意の態様に記載の方法。
15. 前記出発混合物を調製する工程が、
(a1)
ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含む材料混合物を調製又は準備する工程と、
(a2)前記材料混合物を反応条件に供し、その結果、
HMF、
di-HMF、及び

を含む混合物が生じる工程と、
(a3)任意選択で、工程(a2)から得られた混合物を、好ましくはカルボン酸を添加せずに及び/又はHMF及びdi-HMFを溶解させるための酸性溶媒を添加せずに、さらなる処理条件に供する工程
とを含み、
その結果、前記出発混合物が生じる、先行する任意の態様に記載の方法。
16. 担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、
(i)前記貴金属のうちの少なくとも1種が、金、白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、銀、ロジウム及びルテニウムからなる群から選択され、
且つ/又は
(ii)前記担体が、炭素、金属酸化物、金属ハロゲン化物、及び金属炭化物からなる群から選択される、先行する任意の態様に記載の方法。
17. 担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、
前記貴金属のうちの少なくとも1種が、白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、ロジウム及びルテニウムからなる群から選択され、好ましくは白金であり、
且つ
前記担体が炭素である、先行する任意の態様に記載の方法。
18. 担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、
前記1種の貴金属又は前記複数の貴金属のうちの1種が白金であり、前記担体が炭素であり、
且つ
担体上の白金の含有量が、担体上の1種以上の貴金属を含む不均一触媒の総重量に対して、0.1から20wt%まで、好ましくは1から10wt%までの範囲内である、先行する任意の態様に記載の方法。
19. 担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、前記1種の貴金属又は前記複数の貴金属のうちの1種の、HMF及びdi-HMFの総量に対するモル比が、1:1000000から1:10までの範囲内、好ましくは1:10000から1:10までの範囲内、より好ましくは1:1000から1:100までの範囲内であり、好ましくは前記1種の貴金属又は前記複数の貴金属のうちの1種が白金である、先行する任意の態様に記載の方法。
20. 以下の工程:
A)水性反応物混合物中で、少なくとも1種の不均一触媒によって1種以上の有機反応物化合物を触媒により変換させて、固体形態のフラン-2,5-ジカルボン酸及び固体形態の不均一触媒を含む第1の生成物懸濁液を形成する工程と、
B)加圧下で、
1.この第1の生成物懸濁液、又は
2.フラン-2,5-ジカルボン酸が十分に又は部分的に溶解して、溶解したフラン-2,5-ジカルボン酸を含む第1の水性生成物相を生じるように、それぞれ固体形態のフラン-2,5-ジカルボン酸及び固体形態の不均一触媒を含む、さらなる処理によってそれから調製された第2の生成物懸濁液
を加熱する工程と、次いで
C)溶解したフラン-2,5-ジカルボン酸を含む第1の水性生成物相から、又はさらなる処理を介してそれから生じ、溶解したフラン-2,5-ジカルボン酸を含む第2の生成物相から不均一触媒を分離する工程
の全てを含む方法ではない、先行する任意の態様に記載の方法。
21. 工程(b)で得られた生成物混合物が溶解形態のフラン-2,5-ジカルボン酸を含み、工程(b)で得られた生成物混合物が、好ましくは固体形態のフラン-2,5-ジカルボン酸を含まない、先行する任意の態様に記載の方法。
22. 水性出発混合物中で、HMFとdi-HMFの両方のフラン-2,5-ジカルボン酸への変換を加速させるための不均一酸化触媒としての、担体上に1種以上の貴金属を含む触媒の使用であって、触媒が、好ましくは、1から21の態様のいずれかで定義されている触媒である、使用。
23. 出発混合物のpHが4.0以上、好ましくは4.5以上であり、より好ましくは出発混合物のpHが45.0から7.0までの範囲内であり、最も好ましくは出発混合物のpHが4.5から7.0までの範囲内である、態様22に記載の触媒の使用。
本テキスト全体を通して、本発明の好ましい態様及び特徴、すなわち本発明の方法及び本発明の使用は、好ましくは、本発明に従う特定の好ましい方法及び使用に到達するために、互いに組み合わされる。
本発明は、実施例によって以下に詳細に例証される。
[実施例]
触媒スクリーニング実験:
触媒のスクリーニングは、「実験1」から「実験3」で示した一連の単一実験群で行った。各単一実験「1」から「3」では、有機反応物化合物HMF及びdi-HMFを、不均一白金触媒を用いて、FDCAへ触媒により部分的に変換した。「1」から「3」の各スクリーニング実験に対する一般的実験手順は以下の通りであった:
第1工程では、ステンレス鋼オートクレーブ反応器(内容積90ml)に、特定量の重水(D2O、99,9原子%、Sigma Aldrich(151882))、HMF(99+%)、及びdi-HMF(99+%)を満たすことによって、通常、糖の脱水において得られるHMF供給流の組成と同様の組成を有する水性出発材料混合物を調製した。反応物とD2Oの量は以下の表1において特定される。
Figure 2018528171
各水性反応物混合物中のHMF+di-HMFの出発濃度C0[HMF+di-HMF]は、水性反応物混合物の総質量(重水、HMF及びdi-HMFの総質量)に対して、対応して5重量%であった。固体の不均一触媒(0.928gの5wt%Pt/C、50wt%H2O)をそれぞれの水性反応物混合物に添加し、したがって、重水、HMF、di-HMF、及び不均一触媒を含む反応混合物を得た。
第2の工程では、満たした反応器をしっかりと密封し、合成空気で加圧し(全圧100バール)、HMFとdi-HMFの両方が反応してFDCAを生成する条件を得た。HMF、di-HMF及び重水を含む反応器中の出発混合物を、2000rpmで撹拌しながら100℃の温度まで加熱した。100℃に到達後、反応時間の間、加熱され加圧された反応混合物を撹拌し続けながら、この温度を18時間維持した。FDCA、酸化副産物、重水及び不均一触媒を含む生成物混合物を得た。
第3工程では、温度を18時間維持した後、冷却した生成物混合物を得るために、ステンレス鋼オートクレーブ反応器を
(i)室温(およそ22℃)まで冷却し、
(ii)減圧し、
(iii)開放した。
得られた生成物混合物は懸濁液の形態であった。
冷却した生成物混合物の生成物分析を目的として、9から10までの範囲のpHを有する弱アルカリ性の生成物混合物に到達するまで、重水素化水酸化ナトリウム(NaOD、D2O中40wt%、99.5原子% D、Sigma Aldrich)の溶液を生成物混合物に注意深く添加した。弱アルカリ性の生成物混合物は、完全溶解形態のFDCAの二ナトリウム塩、及び固体形態の不均一触媒を含んだ。
第4工程では、弱アルカリ性の生成物混合物中の不均一触媒をシリンジ濾過によって溶液から分離し、濾液(すなわち、完全溶解形態のFDCAの二ナトリウム塩を含む残った溶液)を、次に、1H-NMR分光法によって解析した。1H-NMR分光法を使用してFDCA、FFCA、HMF及びdi-HMFの濃度を決定した。
NMR解析
NMR試料の調製及びNMR測定:
3-(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウム塩-d4(標準1、68.39mg、0.397mmolに相当、98+原子% D、Alfa Aesar(A14489))及びテトラメチルアンモニウムヨージド(Me4N+I-、標準2、80.62mg、0.397mmolに相当、99%、Alfa Aesar(A12811))を、内部標準として、9から10までの範囲内のpH値を示す弱アルカリ性の生成物混合物5.0gへ添加した。最後に、0.7mlのこの調製した液体試料を1H-NMR定量実験のためのNMR管へ移した。
NMRスペクトルを、D2O中で、周波数499.87 MHzを測定する、5mm DUL 13-1H/19F Z-GRD Z564401/11プローブを備えたBruker-DRX 500分光計を使用して299Kで記録した。記録したデータをソフトウェアTopspin 2.1、Patchlevel 6(供給業者:Bruker BioSpin GmbH、Silberstreifen 4、76287 Rheinstetten、Germany)で処理した。
NMRスペクトルの解釈:
NMRスペクトルの解釈は、以下に示すように公開された基準データに基づく。
FDCAの二ナトリウム塩(式(I)の化合物の二ナトリウム塩):
1H NMR(500MHz、D2O、299K):6.97ppm(2H、s、フラン-H);13C{1H} NMR:166.1ppm(-COO)、150.0ppm(フランC原子)、115.8ppm(フランC原子)。
参照:J. Ma、Y. Pang、M. Wang、J. Xu、H. Ma及びX. Nie、J. Mater. Chem.、2012、22、3457〜3461。
FFCAのナトリウム塩(式Vの化合物のナトリウム塩):
1H NMR(500MHz、D2O、299 K):9.49ppm(1H、s、-CHO);7.42ppm(1H、d、3J=3.67Hz、フラン-H);7.03ppm(1H、d、3J=3.67Hz、フラン-H)。
参照:A. J. Carpenter、D. J. Chadwick;Tetrahedron 1985、41(18)、3803〜3812.
スクリーニング実験:
各単一実験において、冷却した生成物混合物、及びそれに基づいた完全溶解形態のFDCAの二ナトリウム塩を含む弱アルカリ性の生成物混合物を得た。表1に示すように、モル%のHMF変換率及びモル%の収率をまとめた。
Figure 2018528171
Figure 2018528171
モル%のHMF変換率を以下のように計算した(di-HMFの変換率もこれに従って計算した):
HMF変換率[mol%]=[1-(Cfinal[HMF]/C0[HMF]))]*100、
式中、C[HMF]は弱アルカリ性の生成物混合物中で測定した重量%の濃度であり、C0[HMF]はHMFの添加量及び出発混合物の体積に対して測定した重量%の濃度である。
「変換率[モル%]」及び「収率[モル%]」は、内部標準1に対する第1の値と内部標準2に対する第2の値から計算された平均値である(一般偏差は5%未満である)。
収率の定義(FDCAについて例示した):
Figure 2018528171
式中、
n[FDCA]=[モルFDCA(標準1対して)+モルFDCA(標準2に対して)]/2
n[HMF]=m0[HMF]/M[HMF]
及び
n[di-HMF]=m0[di-HMF]/M[di-HMF]
であり、
式中、C[FDCA]は第4工程で得られた濾液中の重量%のFDCAの濃度であり、C0[HMF]は重量%のHMF出発濃度であり、C0[di-HMF]は重量%のdi-HMF出発濃度であり、MFDCA、MHMF及びMdi-HMFはg/molのそれぞれの分子量である。
FFCAに対する収率[モル%]は、必要な変更を加え、FDCAの収率に対するように決定した。
HMF及びdi-HMFの量(CHMF+di-HMF)に対する変換されたHMFの量は、以下の式によって計算した:
Figure 2018528171
di-HMFの最少収率は以下によって計算した:
Ymin,di-HMF=YFDCA-CHMF+di-HMF
表1では、上記3つの実験の結果を示す。3つすべての実験では、酸化後に得られたFDCAのモル量は、対応する実験のはじめに提供したHMFのモル量より多い。したがって、di-HMFは、かなりの収率でFDCAへと効果的に変換された。
さらに、表1は、FDCAの収率が、比nHMF/(nHMF+2ndi-HMF)の増加に伴って増加することを示す。

Claims (15)

  1. フラン-2,5-ジカルボン酸を調製するための方法であって、以下の工程:
    (a)
    5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(HMF)、
    5,5'-[オキシ-ビス(メチレン)]ビス-2-フルフラール(di-HMF)、及び

    を含む出発混合物を調製又は準備する工程と、
    (b)前記出発混合物を、酸素含有ガス及び担体上に1種以上の貴金属を含む不均一触媒の触媒有効量の存在下で酸化条件に供し、その結果、HMFとdi-HMFの両方が反応して、水も含む生成物混合物中にフラン-2,5-ジカルボン酸を生成する工程と
    を含む、方法。
  2. 出発混合物が、100から0.8までの範囲の、好ましくは100から0.9までの範囲のHMFのdi-HMFに対するモル比を有し、
    且つ/又は
    出発混合物におけるHMF及びdi-HMFの総重量が、出発混合物の総重量に対して、0.1から50wt%までの範囲内、好ましくは1から30wt%までの範囲内、より好ましくは1から10wt%までの範囲内にある、
    請求項1に記載の方法。
  3. 出発混合物中の水の総量が、出発混合物の総重量に対して、少なくとも10wt%、好ましくは少なくとも25wt%、より好ましくは少なくとも50wt%である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 出発混合物のpHが4.0以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5.0以上、さらにより好ましくは5.5以上であるか、又は出発混合物のpHが4.0から7.0までの範囲内にあり、好ましくは出発混合物のpHが4.5から7.0までの範囲内にあり、より好ましくは出発混合物のpHが5.0から7.0までの範囲内にあり、さらにより好ましくは出発混合物のpHが5.5から7.0までの範囲内にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 生成物混合物のpHが7未満であり、好ましくは、生成物混合物のpHが1から4までの範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 70℃から200℃までの範囲内、好ましくは80℃から180℃までの範囲内、より好ましくは90℃から170℃までの範囲内、さらにより好ましくは100℃から135℃までの範囲内の温度の前記出発混合物を、前記酸素含有ガス及び前記担体上に1種以上の貴金属を含む不均一触媒の触媒有効量の存在下で、前記酸化条件に供し、その結果、HMF及びdi-HMFの両方が反応して、水及び酸化副産物も含む生成物混合物中にフラン-2,5-ジカルボン酸を生成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記出発混合物が加圧反応器中で前記酸化条件に供され、反応器中の酸素分圧が、HMFとdi-HMFの両方のフラン-2,5-ジカルボン酸への反応の間に、少なくとも一時的に、1から100バールまでの範囲内、好ましくは1から20バールまでの範囲内にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記出発混合物中の酢酸イオン及び酢酸の総量が、10wt%未満、好ましくは1wt%未満であり、好ましくは出発混合物中のカルボン酸イオン及びカルボン酸の総量が、10wt%未満、好ましくは5wt%未満である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記出発混合物を調製する工程が、
    (a1)
    ヘキソース、ヘキソース単位を含むオリゴ糖、及びヘキソース単位を含む多糖からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含む材料混合物を調製又は準備する工程と、
    (a2)前記材料混合物を反応条件に供し、その結果、
    HMF、
    di-HMF、及び

    を含む混合物が生じる工程と、
    (a3)任意選択で、工程(a2)から得られた混合物を、好ましくはカルボン酸を添加せずに及び/又はHMF及びdi-HMFを溶解させるための酸性溶媒を添加せずに、さらなる処理条件に供する工程
    とを含み、
    その結果、前記出発混合物が生じる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、
    (i)前記貴金属のうちの少なくとも1種が、金、白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、銀、ロジウム及びルテニウムからなる群から選択され、
    且つ/又は
    (ii)前記担体が、炭素、金属酸化物、金属ハロゲン化物、及び金属炭化物からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、
    前記貴金属のうちの少なくとも1種が、白金、イリジウム、パラジウム、オスミウム、ロジウム及びルテニウムからなる群から選択され、好ましくは白金であり、
    且つ
    前記担体が炭素である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、
    前記1種の貴金属又は前記複数の貴金属のうちの1種が白金であり、前記担体が炭素であり、
    且つ
    担体上の白金の含有量が、担体上に1種以上の貴金属を含む不均一触媒の総重量に対して、0.1から20wt%まで、好ましくは1から10wt%までの範囲内である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 担体上に1種以上の貴金属を含む前記不均一触媒において、
    前記1種の貴金属又は前記複数の貴金属のうちの1種の、HMF及びdi-HMFの総量に対するモル比が、1:1000000から1:10までの範囲内、好ましくは1:10000から1:10までの範囲内、より好ましくは1:1000から1:100までの範囲内であり、好ましくは前記1種の貴金属又は前記複数の貴金属のうちの1種が白金である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 工程(b)で得られた生成物混合物が溶解形態のフラン-2,5-ジカルボン酸を含み、工程(b)で得られた生成物混合物が、好ましくは固体形態のフラン-2,5-ジカルボン酸を含まない、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 水性出発混合物中で、HMFとdi-HMFの両方のフラン-2,5-ジカルボン酸への変換を加速させるための不均一酸化触媒としての、担体上に1種以上の貴金属を含む触媒の使用であって、触媒が、好ましくは請求項1か14のいずれかで定義されている触媒である、使用。
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