JP2014531422A - バイオベースのコハク酸および2,5−フランジカルボン酸の両方を製造するための方法 - Google Patents

バイオベースのコハク酸および2,5−フランジカルボン酸の両方を製造するための方法 Download PDF

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Abstract

レブリン酸および/またはコハク酸のレブリン酸酸化前駆体と、1種または複数種の2,5−フランジカルボン酸のフラン系酸化前駆体と、レブリン酸成分および1種または複数種のフラン系酸化前駆体の酸化を触媒するための触媒として有効なコバルト成分、マンガン成分および臭化物成分の組合せとを含む供給原料を、コハク酸生成物および2,5−フランジカルボン酸生成物の両方を生成するために酸化するための方法であって、供給原料を反応槽に供給するステップと、酸化剤を供給するステップと、コハク酸および2,5−フランジカルボン酸(FDCA)の両方を生成するためにレブリン酸成分および1種または複数種のフラン系酸化前駆体を酸化剤と反応させるステップと、次いで、コハク酸およびFDCA生成物を回収するステップとを含む方法を提供する。フルクトース、グルコースまたはその両方を脱水することにより得られる、5−ヒドロキシメチルフルフラールを含む脱水粗生成物を、本方法によって直接酸化することにより、2,5−フランジカルボン酸およびコハク酸を生成することができる。【選択図】なし

Description

背景
現在石油系または化石燃料系の出発原料から大規模製造されている様々な化学製品および燃料製品を製造するための出発原料として、すなわちこれらのバイオベースの等価物または類似物を製造するための出発原料として天然物を使用する分野の重要性が高まっている。例えば、天然物を燃料に変換すること、洗浄剤とすること、および勿論、より持続可能性の高い化石燃料系エネルギー源の代替物とすることに関しても膨大な研究が行われてきた。
デンプン、セルロース、スクロース、またはイヌリン等の農産物原料はグルコースおよびフルクトース等の六炭糖を製造するための安価で再生可能な出発原料である。同様に、このグルコースその他の六炭糖、特にフルクトースを他の有用な物質、例えば2−ヒドロキシメチル−5−フルフルアルデヒド(5−ヒドロキシメチルフルフラールまたは単にヒドロキシメチルフルフラール(HMF)としても知られる):
Figure 2014531422

そして今度はこのHMFを、フルフリルジアルコール、ジアルデヒド、エステル、エーテル、ハロゲン化物およびカルボン酸等の多種多様な化合物の合成における出発原料または中間体のいずれかとして用いることが提案されてきた。
HMFの酸化により生成する有用な誘導体である多種多様な生成物は長い間文献において検討されてきた。最も一般的な生成物はヒドロキシメチルフランカルボン酸(HmFCA)、ホルミルフランカルボン酸(FFCA)、2,5−フランジカルボン酸(FDCA、デヒドロ粘液酸としても知られる)およびジホルミルフラン(DFF)である。その中でもFDCAは、数百万トン規模で製造されているエチレンテレフタレートまたはブチレンテレフタレート等のポリエステルポリマーのバイオベースの再生可能な代替品として検討されてきた。FDCA等の誘導体は、2,5−ジヒドロキシメチルフランおよび2,5−ビス(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフランから製造することができ、ポリエステルポリマーの製造に使用することができる。最近ではFDCAエステルも同様に、PVC用フタル酸エステル可塑剤の代替品として評価されている。例えば、国際公開第2011/023491A1号および国際公開第2011/023590A1号(いずれもEvonik Oxeno GmbHに譲渡)ならびにR. D. Sanderson et al., Journal of Appl. Pol. Sci. 1994, vol.53, pp.1785-1793を参照されたい。
FDCAは、例えば、米国エネルギー省(United States Department of Energy)による2004年の報告書(study)の中で、「グリーン」ケミストリーに基づく化学産業(“green” chemical industry)を将来的に確立するための12基幹化学物質(12 priority chemicals)の1つに選定されており、そのため、最近になってFDCAおよびその誘導体に多大な商業的関心が寄せられているが、テレフタル酸と構造が類似しているFDCAがポリエステル製造に使用できる可能性は少なくとも1946年という早い時期から認識されていた。Drewittらに付与された「Improvements in Polymer」と題した英国特許第621,971号を参照されたい。
このように、HMFおよびその酸化により得られる誘導体(FDCA等)は、様々な用途に用いられるバイオベースの出発原料、中間体および最終生成物として長い間有望
視されてきたが、残念なことに、実用的な商業規模の方法を実現するのが困難であることが分かっていた。HMFを製造するための酸を使用する脱水法はかなり以前から知られており、少なくとも1895年の時点で、レブロースから(Dull, Chem. Ztg., 19, 216)およびスクロースから(Kiermayer, Chem. Ztg., 19, 1003)HMFを調製するために用いられている。しかしながら、これらのHMFを製造するための初期の合成は、出発原料から生成物への転化率が低くて実用的とは言えなかった。HSO、HPOおよびHCl等の安価な無機酸が使用されていたが、これらは溶液で使用され、再利用が難しい。再生および廃棄の問題を回避するために固体のスルホン酸触媒も使用されてきた。しかしながら、固体酸樹脂触媒を用いると樹脂表面に失活を招くヒューミン(humin)の重合物が生成するため、代替品として完全に成り立つわけではないことが分かっている。六炭糖の炭水化物からHMFを生成するためのさらなる他の酸触媒法が、Zhao et al., Science, June 15, 2007, No.316, pp.1597-1600およびBicker et al., Green Chemistry, 2003, no.5, pp.280-284に記載されている。
酸を用いる脱水方法では、HMFが再び水和してレブリン酸やギ酸等の副生成物が生じることが煩雑さを増大させる。それ以外の望ましくない副反応としては、HMFおよび/またはフルクトースが重合することによりヒューミンの重合物が生成するというものがあり、これは固体の廃棄物であるため、直前に述べたように固体酸樹脂触媒を使用している場合は触媒毒として作用する。溶媒の選択によっては煩雑さが一層増大する可能性がある。水は廃棄が容易であり、フルクトースを溶解するが、残念なことに、水性環境下では選択性が低くなり、高分子およびヒューミンの生成が増加する。
これとは別に、コハク酸は、米国エネルギー省による2004年の報告書において選定された他の12基幹化学物質であり、石油由来のブタンから得られるアジピン酸および/または無水マレイン酸のそれぞれの使用状況におけるバイオベースの代替品となり、また、1,4−ブタンジオール、ガンマブチロラクトンおよびピロリジノンの製造に使用される。コハク酸は植物組織および動物組織の天然の構成要素であるが、従来は、石油由来の供給原料から、例えば同じく石油系の無水マレイン酸の水素添加等により製造されてきた。グルコースからおよびバイオマスからバイオベースのコハク酸を製造するための発酵に基づく方法が提案されており(例えば、米国特許第5,168,055号(Dattaに付与);米国特許第6,265,190号(Yedurらに付与);米国特許第5,504,004号、米国特許第5,521,075号、米国特許第5,573,931号および米国特許第5,723,322号(いずれもGuettlerらに付与);米国特許第7,563,606号(青山らに付与);米国特許第7,829,316号(小関らに付与)を参照されたい)、これらは様々な団体の共同事業による商業化の初期段階にあるが、発酵を基礎としているため、本質的に、回収および精製、収率、エネルギーの使用等に関する特定の難題が伴う。
発明の概要
このように、FDCAをHMFおよびHMF誘導体(以後、HMFと、例えば、Mid−Century法形式の触媒および酸素含有気体を用いて酸化することによりFDCAを生成するであろうHMFエステル等のHMF誘導体と、を指す場合は「FDCAのフラン系酸化前駆体」および「フラン系酸化前駆体」を用いることにする)から製造するためおよびコハク酸を炭水化物の発酵から製造するための商業的に実現可能な方法を開発するために膨大な資金が注ぎ込まれてきた。しかし、本出願人らの知る限りでは、HMFおよびHMF誘導体はそれ自体が炭水化物から得られるにも拘わらず(つまり、結局はFDCAおよびコハク酸の両方が炭水化物から誘導されるように)、これまでFDCAおよびコハク酸の両方を共生成物として製造するための方法は全く提案されていない。
本発明の一態様は、このような方法であって、レブリン酸および/またはコハク酸のレブリン酸酸化前駆体(レブリン酸エステル等)と、少なくとも1種または複数種のFDCAのフラン系酸化前駆体とを含み、さらに触媒として有効なコバルト成分、マンガン成分および臭化物成分の組合せを含む供給原料を反応器に供給し、反応器内の酸化剤と合一させて反応させることによりFDCAおよびコハク酸の両方を含む生成物を提供する方法に関する。
さらなる態様においては、少なくとも1種または複数種のフラン系酸化前駆体ならびにレブリン酸および/またはレブリン酸酸化前駆体は、1種または複数種の六炭糖炭水化物を含む生物由来の(bioderived)原料を脱水することにより生成する。好ましくは、フラン系酸化前駆体ならびにレブリン酸および/またはレブリン酸酸化前駆体は、フルクトース、グルコースまたはこれらの組合せを酸触媒脱水に付すことにより得られる脱水粗生成物の形態で提供される。
さらなる他の態様においては、本発明は、コハク酸およびFDCAを一緒に製造するための方法であって、レブリン酸および/またはコハク酸のレブリン酸酸化前駆体ならびに少なくとも1種または複数種のFDCAのフラン系酸化前駆体を含み、さらに、触媒として有効なコバルト成分、マンガン成分および臭化物成分の組合せを含む液体供給原料を反応器に供給し、反応器内の酸化剤と合一して反応させる方法であって、供給原料に含まれる液体の一部が気化して反応熱に対する蒸発放熱を提供するように反応器内の圧力を選択および制御することによって、反応器内の発熱による温度上昇の少なくとも一部を制限する、方法に関する。
好ましくは、反応器内の圧力は、非常に発熱性の高い酸化が進行している間の反応器内に存在する液体の沸点が(勿論、沸点は液体に作用する圧力に基づき変化することになる)、酸化開始時点の温度よりもわずか10〜30摂氏度高い温度になるように選択および制御される。液体の沸点が酸化開始時点の温度を大幅に超えないような圧力を選択および制御することにより、酸化過程で生じる熱の一部が液体の一部の気化に割り当てられ、それによって反応器内の発熱による温度上昇を制限することができる。発熱による温度上昇が制限されることに対応して、温度がさらに上昇して副生成物および分解物が生じることと、溶媒が燃焼することとに起因する収率の損失が抑えられることが分かる。
酢酸は、参考文献であるWO’661、SanbornらおよびPartenheimer(Adv. Synth. Catal. 2001, vol. 343, pp. 102-111)ならびにWO’661の背景に記載されている参考文献であるGrushin(国際公開第01/72732号)においてHMFおよびCo/Mn/Br触媒の溶媒/担体として共通して使用されており、HMFからFDCAを得る本方法においては、好都合なことに、温和な圧力下において、通常所望される酸化温度に非常に近い沸点を有するそのような液体としての役割を果たすことができる。この場合、酢酸が気化することもさらなる利点となる。供給原料の様々な成分と、HMFがその酸化誘導体であるFDCAに変換される際の中間体とが酢酸に溶解したままである一方で、FDCAは酢酸中に最小限にしか溶解しないため、析出させることが可能になり(反応器自体の内部で析出するか、および/または反応器から排出された反応混合物の冷却時に析出するかのどちらでも)、実質的に純粋な固体生成物として回収することができる。一方、コハク酸は、反応器全体に行き渡っている温度における酢酸への溶解性がこれよりもかなり高く、したがって、液体生成物の混合物をさらに冷却することによりFDCAとは別に析出させることができる。FDCAおよびコハク酸の固体生成物上に吸着された残留酢酸は、除去して、凝縮させ、反応器から得られる残留液と一緒に新鮮な供給原料に補充することによって再利用することができる。
酸化反応システムの実施形態を例示する略図である。
特定の実施形態の詳細な説明
特定の実施形態をより詳細に説明することにより本発明をさらに十分に理解することができる。これらの実施形態は、本発明を限定するものと解釈すべきではなく、本発明の基礎となる原理を例示し、本発明の実施にこれらの原理を適用する様々な方法および選択肢を示すものであり、本発明の目的および範囲は以下の特許請求の範囲においてより具体的に定義される。
触媒として有効なコバルト成分、マンガン成分および臭化物成分の組合せを、レブリン酸および/またはコハク酸のレブリン酸酸化前駆体と、少なくとも1種のFDCAのフラン系酸化前駆体と一緒に含む供給原料の酸化を実施するための方法の一実施形態は、この供給原料を反応器内に噴霧することと、供給原料中のレブリン酸および/またはコハク酸のレブリン酸酸化前駆体ならびに少なくとも1種のフラン系酸化前駆体を酸化剤(酸素含有気体または酸化気体等)と合一して反応させることと、それと同時に、反応器内の圧力を選択および制御することにより反応器内の発熱による温度上昇を管理および制御することを含む。
好ましくは、レブリン酸成分(以後、レブリン酸および/またはコハク酸のレブリン酸酸化前駆体を包含する)および1種または複数種のフラン系酸化前駆体は、全部または大部分が再生可能供給源(renewable sources)から誘導された「バイオベース」すなわち「生物由来」と見なすことができるものである。本明細書においては、これらの語は、ASTM D6866により示される炭素含有量の全部または大部分(例えば、少なくとも20パーセント以上)が、生物学的産物(biological product)または再生可能な農産物原料(これらに限定されるものではないが、植物原料、動物原料および海産物原料が挙げられる)または林産原料に由来する物質またはこれらの原料を主成分とする(based upon)物質を指す同義語として使用することができる。この点に関し、放射性炭素年代測定法に類似したASTM Method D6866は、試料中に残存している放射性炭素同位体の量を、同じ試料が全て現代に生育した材料から製造されていると仮定した場合に含まれるはずの量と比較するものである。この百分率はその製品のバイオマス炭素含有率(biobased content)と呼ばれる。試料を石英試料管内で燃焼させ、気体状燃焼生成物を集めてホウケイ酸ガラス管に封管(break seal tube)する。1つの方法においては、液体シンチレーションを用いて気体状燃焼生成物中の二酸化炭素に含まれる炭素同位体の相対量を計測する。第2の方法においては、加速器質量分析法を用いて13C/12Cおよび14C/12C同位体比を計数(14C)および測定(13C/12C)する。14Cが0パーセントであれば、その物質中に14C原子が全く存在しないこと、つまり化石(例えば石油系)炭素源であることを示唆している。1950年以降の核実験により大気中に放出された14Cに関する補正を行った後の14Cが100パーセントとなった場合は、それが最近の炭素源であることを示唆している。ASTM D6866はバイオベースの物質と石油由来の物質とを識別するのに有効であり、その理由の一部として、例えば、光合成により植物体内へ二酸化炭素が移行するなどの生理的過程により同位体分別が起こり、その天然すなわちバイオベース化合物の同位体比が特定の値になることが挙げられる。一方、石油および石油由来製品中の13C/12C炭素同位体比は、石油が生成する際の化学的過程および同位体分別が異なるため、天然すなわち生物由来化合物の同位体比とは異なっている。さらに、不安定な14C炭素放射性同位体に放射性崩壊が起こるため、バイオベース製品の同位体比は石油製品と異なるものになる。
より詳細には、レブリン酸成分および1種または複数種のFDCAのフラン系酸化前駆体は、全部が、デンプン、セルロース、スクロースまたはイヌリン、特にフルクトース、グルコースまたはフルクトースおよびグルコースの組合せ等の農産物原料由来の容易に入手可能な炭水化物から誘導されたものであるが、一般には、この種の任意の炭水化物供給源も使用することができる。好適な使用可能な炭水化物供給源の例として、これらに限定されるものではないが、六炭糖、フルクトースシロップ、結晶性フルクトースおよびフルクトースの結晶化により得られる残液(process stream)が挙げられる。好適な混合炭水化物供給源は、コーンシロップ等の工業上好都合な任意の炭水化物供給源を含むことができる。他の混合炭水化物供給源としては、これらに限定されるものではないが、六炭糖、フルクトースシロップ、フルクトース結晶、高フルクトースコーンシロップ、粗精製フルクトース、精製フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、精製中間体および精製副産物、フルクトースまたはグルコースまたはキシロースの結晶化により得られる残液ならびに糖蜜、例えば、濃縮大豆タンパク製造時に生成する大豆糖液またはこれらの混合物が挙げられる。
この天然の炭水化物に由来するという特徴を有する好ましいフラン系酸化前駆体は、噴霧可能な供給原料中に含まれる均一酸化触媒の存在下に噴霧酸化することによって、少なくとも2,5−フランジカルボン酸(FDCA)を含む商業的に有益な生成物を生成することができる。WO’661においては、例えば、Co/Mn/Br触媒等の金属臭化物混合触媒の存在下に酸化することによりFDCAを得ることができる様々なフラン系酸化前駆体が同定されており、そのようなものとして、FDCA−5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)、HMFのエステル、5−メチルフルフラール、5−(クロロメチル)フルフラール、5−メチルフロ酸、5−(クロロメチル)フロ酸および2,5−ジメチルフラン(加えてこれらの任意の混合物)が挙げられる。
しかしながら、最も好ましくは、この方法に供給されるフラン系酸化前駆体は、フルクトース、グルコースまたはこれらの組合せを、この特徴を有する様々な周知の方法に従い酸触媒脱水反応に付すことにより(レブリン酸成分と一緒に)生成する、主としてHMFと、有機酸または有機酸塩を作用させることにより生成するHMFのエステルとを含む単純なものである。
上述したように、この種の有機酸の1種である酢酸が、その後に続くHMFおよびHMFエステル(HMFおよび酢酸のエステルである5−(アセトキシメチル)フルフラール(AcHMF)等)をCo/Mn/Br触媒により酸化するための溶媒として特に有用であることが分かった。参考文献であるWO’661に説明されているように、酢酸は、有用なことに、酸化ステップを経るとAcHMFから再生され、また、HMFおよびその誘導体ならびにレブリン酸の酸化により生成するコハク酸生成物の良溶媒であるが、FDCAの良溶媒ではないので、反応器から得られるコハク酸共生成物および他の構成成分から実質的に純粋なFDCA固体生成物を分離および回収することが実質的に簡素化される。さらに、Sanbornらが説明しているように、AcHMFおよびHMFは一緒に酸化することができ、それによって単一のFDCA生成物が妥当な収率で得られる。本発明に関連して、酢酸は、妥当な圧力下における沸点が、レブリン酸のCo/Mn/Br触媒酸化ならびにHMFおよびHMFエステルのFDCAへのCo/Mn/Br触媒酸化を実施するのに好ましい温度範囲を10摂氏度〜30摂氏度超える所望の範囲にあるというさらに有益な特性を有している。そのため、酢酸溶媒の沸点をこの範囲に維持するように運転圧力を選択すると共に系の圧力を制御することにより、反応系に蒸発放熱を提供することができ、反応の進行に伴う発熱温度上昇が確実に制限される。したがって、温度に起因する、副生成物による収率の損失および燃焼による溶媒の損失は、この手段を用いることと、触媒組成、水の含有率およびフラン系酸化前駆体の添加方式(以下に示す)をさらに最適化することとによって制限することができる。
その後に続く酸化ステップにおける酢酸の有用性を考えると、一実施形態における酸による炭水化物の脱水は、第1脱水反応器において、高濃度(好ましくは非常に高い濃度の)形態の酢酸を使用して、後続の酸化温度に相当する高温に予熱し、十分な滞留時間を経ることにより単純に達成される。それにより、炭水化物が実質的に完全に転化し、その後、この脱水粗生成物の混合物をCo/Mn/Br触媒成分と合一することにより噴霧可能な供給原料組成物が得られる。別法として、第1脱水反応器内で供給原料中の炭水化物の転化を促すために固相酸触媒も使用することができ、第1反応器からの脱水粗生成物の混合物は、後続の噴霧酸化反応器で使用するための噴霧可能な供給原料に使用される。他の有機酸および無機強酸(例えば、フルクトースからHMFを製造するために従来使用されてきたもの)でさえもこの脱水に同様に使用することができる。つまり、この選択が、その後に行われる酸化ステップにおいて、例えば、Co/Mn/Br触媒の失活または他の作用による著しい悪影響を及ぼさない限りは、一般にあらゆる酸または酸の組合せが考えられることが分かる。しかしながら、有用な手法として期待されるのは、第1反応器における脱水ステップの実施に高濃度の酢酸溶液および固体酸触媒を使用することであろう。
例えば、フルクトース/酢酸混合物を、固体酸触媒を含む約150摂氏度の反応槽に供給する連続式プロセスを考えることができる。フルクトースを脱水するとレブリン酸およびHMFを含む脱水粗生成物となり、この脱水粗生成物中のHMFは、過剰の酢酸により実質的に完全にAcHMFエステルに変換される。次いで、次の槽でこの混合物をCo/Mn/Br触媒と一緒にすることにより噴霧可能な供給原料となる。次いで、得られた噴霧可能な供給原料は、第2の酸化ステップに連続供給される。脱水ステップで生成する水の量を考慮して、酸化反応器内に噴霧される脱水粗生成物混合物の水含有率が10重量パーセント以下、好ましくは水含有率が7重量パーセント以下となるようにするには、酢酸は、十分に濃縮されたものを用いるのが好ましいであろう。
このような構成の脱水ステップに有用な固相酸触媒としては、Amberlyst 35、Amberlyst 15、Amberlyst 36、Amberlyst 70、Amberlyst 131(Rohm and Haas);Lewatit S2328、Lewatit K2431、Lewatit S2568、Lewatit K2629(Bayer Company);およびDianion SK104、PK228、RCP160、Relite RAD/F(Mitsubishi Chemical America,Inc.)等の酸性樹脂が挙げられる。クレーおよびゼオライト等の他の固相触媒、例えば、CBV 3024およびCBV 5534G(Zeoiyst International)、T-2665、T-4480(United Catalysis,Inc)、LZY 64(Union Carbide)、H-ZSM-5(PQ Corporation)に加えて、スルホン化ジルコニアまたはNafionスルホン化テトラフルオロエチレン樹脂も同様に有用となり得る。Amberlyst 35等の酸性樹脂はカチオン性であり、一方、ゼオライト、アルミナおよびクレー等の触媒は小さな分子を捕捉する多孔質粒子である。脱水ステップにより水が生成することになるので、脱水ステップを実施する際は水含有率を低減した陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。dry Amberlyst 35等の多くの市販の固相触媒は水含有率が約3%であり、こうした理由から好ましいと見なされている。
次いで、こうして生成した脱水粗生成物の混合物を、Subramaniamらに付与された国際公開第2010/111288号(WO’288)に記載された形式の噴霧酸化プロセスに投入するための噴霧可能な供給原料の一部として加える。当該出願公開を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。一実施形態において、噴霧可能な供給原料は、レブリン酸成分、AcHMFエステルおよび任意選択的に若干の残留HMFを含むことに加えて(但し、未反応の炭水化物は実質的に全く含まない)、酢酸および好ましくは上述したように約10重量パーセント以下の水ならびに噴霧可能な供給原料中に溶解した均一酸化触媒を含む。より一般には、他の実施形態においては、噴霧可能な供給原料は、酸化によりコハク酸となるであろうレブリン酸および/または1種もしくは複数種のレブリン酸誘導体と、1種または複数種のFDCAのフラン系酸化前駆体と、均一酸化触媒と、レブリン酸、1種または複数種のフラン系酸化前駆体および均一酸化触媒の溶媒と、限られた量の水と、任意選択的に、噴霧可能な供給原料の噴霧特性または処理特性を改善し、さらに蒸発冷却または他の目的を達成するための他の材料とを含む。
すべての物質の噴霧可能な供給原料は、通常の運転圧力下における沸点が酸化反応の開始温度よりも10〜30摂氏度高い少なくとも1種の液体を含む。該当する液体は、溶媒となることができるかもしくは溶媒を含む液体であるが、任意選択的に、反応の進行に伴う反応器内の発熱温度上昇を制限するために蒸発冷却を行う他の液体を選択することもできる。好ましくは、酢酸は、溶媒としての機能と、反応の進行に伴い蒸発冷却を行う気化可能な液体としての機能の両方を果たす。
参考文献であるWO’288に記載されているように、噴霧プロセスは、酸素(酸化剤として用いられている酸素含有気体に由来する)が浸透してその中に含まれるレブリン酸およびAcHMFエステルと反応することができるように、多数の細かい小滴を生成するように構成されており、この小滴は、本質的に微小反応器として機能し、基質のコハク酸およびFDCAへの酸化は実質的にこの小滴内で起こる。
この噴霧酸化プロセスは、溶媒の燃焼を可能な限り回避すると共に、温度に起因する、収率を低下させる副生成物の生成を回避するような方法で運転され、その一部は、直前に言及した「通常の運転圧力」を、蒸発冷却によって反応器内の発熱温度上昇を制限するように選択および管理することによって達成される。好ましくは、反応器内の溶媒の気液平衡を維持することにより、発熱温度上昇に対する安定した蒸発冷却制御が可能になる。実際、これは、酢酸および水の蒸発速度が、酢酸および水の蒸気が凝縮して反応器に戻る速度と一致するように反応器内の液面を実質的に一定に維持することによって実施することができる。内部冷却コイル等のさらなる除熱装置も使用することができる。
好ましくは、噴霧可能な供給原料は、不活性バックグラウンドガス中にOを含む反応器内に微小滴の形態で(例えば霧状物として)噴霧される。この小滴は、ネブライザー(nebulizer)や霧化器(mister)等の噴霧ノズルを介して可能な限り細かくなるように形成することができる。小滴が細かい方が、液体の小滴および気体Oが接触する界面の表面積が増大する。界面の表面積を増大させることにより、反応速度および生成物の品質(例えば、収率および純度)を改善することができる。また、Oが拡散により小滴の体積全体に浸透するように、そして、所望の生成物への酸化を小滴全体で進行させるために化学量論量のOが利用できるように、小滴を十分に細かくする。同様に、小滴が細かい方が気化し易いため、非常に発熱性の高い酸化反応が効果的に蒸発冷却される。好ましくは、噴霧可能な供給原料は、平均小滴サイズが300ミクロン〜1000ミクロン、より好ましくは100ミクロン〜300ミクロン、よりさらに好ましくは10〜100ミクロンの小滴の形態で反応器に供給される。
図1に例示的な酸化系100の実施形態の略図を示す。酸化系100は、反応器108と、流路110等を介して流体連通関係にある、噴霧可能な供給原料の供給源102と、酸素または酸素含有気体(例えば、空気および酸素富化空気)供給源104と、希釈ガス(例えば、貴ガス、窒素、二酸化炭素)供給源106とを含むことができる。様々な構成要素を連結する流路110は管で示されており、これは、例えば、噴霧可能な供給原料がノズル128を通過するよりも前に、噴霧可能な供給原料の供給源102と、ポンプ114、分配器118および加熱器122とを流体連通させるように結合している。流路110は、流体流を流路110内に流通させることができるように、1つまたは複数の弁112、ポンプ114、連結器116および分配器118を含むことができる。したがって、この配置は、噴霧可能な供給原料、酸素または酸素含有気体(酸素単独が好ましい)および1種または複数種の希釈ガスを選択的に反応器108へ移送し、それによって上述したような酸化反応が起こるように構成することができる。
さらに、酸化系100は、酸化系100の任意の構成要素と連係可能なコンピューティングシステム120を含むことができる。したがって、弁112および/またはポンプ114等の各構成要素は、流路110内の流体流に関する命令をコンピューティングシステム120から受け取ることができる。コンピューティングシステム120および酸化系の構成要素100間の全体的な情報伝達系は、酸化系100の外側を囲む波線で表される。コンピューティングシステム120には、パーソナルコンピュータから産業用コンピューティングシステムまでの任意の種類のコンピューティングシステムを用いることができる。また、コンピューティングシステムは、酸化反応を実施するためおよび酸化系100の構成要素を制御するためのコンピュータで実行可能な命令(例えばソフトウェア)を格納することができるディスクドライブ等の記憶媒体を含むことができる。
噴霧可能な供給原料の供給源102と流体連通可能に結合している流路110は、図に示すように加熱器122を含むことができる。加熱器122は、供給原料が反応器108に導入される前に噴霧可能な供給原料を所望の温度に予熱することができる。図に示すように、気体供給源104、106のいずれかを反応器108に流体連通可能に結合する流路110も同様に、これらの気体が反応器108に導入される前に気体を所定の温度に加熱する加熱器122を含むことができる。加熱器122はいずれも、コンピューティングシステム120が加熱器122に運転指令を与えることができるように、および/または加熱器122が運転データをコンピューティングシステム120に返送することができるように、コンピューティングシステム120と連係させることができる。したがって、加熱器122を含む任意の構成要素が、データ送信装置/受信装置(図示せず)に加えて制御モジュール(図示せず)を装備することができる。
流路110は、噴霧可能な供給原料(任意選択的に、ノズル128が気体および液体の両方または気体および液体の混合物を注入するために用いられる場合は、104および106からの酸素含有気体および/または希釈ガスも含む)を反応器108に噴霧するように構成された1つまたは複数のノズル128に流体連通可能に結合させることができる。この種の任意の配置のノズル128は、噴霧可能な供給原料の小液滴を上述したような適切な細かさで反応器108全体に分布させるように構成することができる。図1に示すノズル128は下方を向いているが、実際は、ノズル128は任意の方向に向けることができ、かつ複数のノズル128を任意の配置で構成することができる。同様に、噴霧可能な供給原料の噴流を超音波で破壊するなどの他の方法で小滴を形成することができる。一般的に言えば、小滴が酸化プロセスを実施するための微小反応器の役割を果たすことを考えると、反応条件が微小反応器間で一定となるように、ノズル128から噴霧される小滴の粒度分布がより狭く、反応器108全体に行き渡る方が好ましいことが理解される。そして、ノズル128の形態、数および空間的な向きならびに構成は、この点を念頭に置くことで少なくとも一部が決定されることとなる。
一実施形態における反応器108は、酸化されたFDCA生成物を受容するように構成されたトレー130を含むことができる。FDCAが生成すると、析出等により小滴から落下して、トレー130上に着地することができる。また、トレー130は、金網、フィルタおよび膜とすることも、液体を通過させてFDCAを保持する穴を有するものとすることもできる。反応器108はFDCA生成物を捕捉することができる任意の形態のトレー130を含むことができる。別法として、FDCAを反応器108から得られた液体中のコハク酸共生成物と一緒に除去することができ、反応器108の下流でFDCAおよびコハク酸共生成物を分離して回収することができる。
この点に関して、コハク酸共生成物は、反応器108内の高温の酢酸に対しFDCAよりもかなり高い溶解性を示す。したがって、ここでは、より高い温度においてFDCAが最初に析出し、実質的に純粋な生成物として回収されることになり(反応器108内またはその下流のどちらでも)、次いで液体生成物混合物をさらに冷却することによりコハク酸共生成物が析出することになると考えられる。残留酢酸はFDCAおよび/またはコハク酸固体生成物から除去することができ、酢酸を凝縮させて反応器108に残留していた液体と一緒に新鮮な噴霧可能な供給原料に補充することにより再利用することができる。
反応器108は、コンピューティングシステム120と連係しており、反応器108内の温度を変化させるための温度指令をコンピューティングシステム120から受け取ることができる温度制御装置124を備えることができる。そのようなものとして、温度制御装置124は、加熱および/または冷却要素に加えて熱交換要素も含むことができる。温度制御装置124は温度を測定するための熱電対も含むことができ、解析を行うために反応器108の運転温度をコンピューティングシステム120に提供することができる。
反応器108は、コンピューティングシステム120と連係しており、反応器108内の圧力を変化させるための圧力指令をコンピューティングシステム120から受け取ることができる圧力制御装置126を備えることができる。そのようなものとして、圧力制御装置126は、コンプレッサ、ポンプまたは他の調圧要素を含むことができる。圧力制御装置126はまた、反応器の圧力を測定し、解析を行うために反応器108の運転圧力をコンピューティングシステム120に提供することができる圧力測定装置(図示せず)も含むことができる。好ましくは、気/液分離器134に繋がるライン110上の背圧調整器136によってさらなる圧力制御が行われ、これは、本明細書に記載するように、加熱された調量弁112を介して、液体を反応器108に添加する速度とほぼ等しい速度で反応器108から液体を抜き出すことにより、反応器108内の気液平衡(反応器108内の酸化による温度上昇を制限する蒸発冷却を行うため)の維持を助ける機能を果たす。さらに、反応器内の液相の液面(したがって、液相の滞留量)を実質的に一定に維持するために、液面制御システム(微量調量弁112に結合させた光ファイバ等)を用いることができる。
さらに、酸化系100は、噴霧可能な供給原料の供給源102および任意選択的に1つまたは複数の気体供給源に流体連通可能に結合したマスフローコントローラ132を含むことができ、ノズル128から噴霧される前の噴霧可能な供給原料に気体(例えば、酸素、酸素含有気体、不活性ガスおよび/または希釈ガス)が加えられる。マスフローコントローラ132は、コンピューティングシステム120によって、噴霧可能な供給原料中に加えられる1種の気体(または複数種の気体)の量を調節することができるように、そして次に、ノズル128から噴霧される小滴のサイズを調節することができるように、構成することができる。したがって、マスフローコントローラ132を使用することにより、噴霧可能な供給原料中に付勢ガス(energizing gas)を供給することと、次いでノズル128を介して細かい小滴を形成することとを助けることとができる。
図1の酸化系100は、貯蔵容器、貯蔵槽、流路、弁、ポンプおよび電子機器に慣用されている標準的な材料から作製された構成要素を含むことができる。また、反応器およびノズルは、耐酸化性材料から作製することができる。例えば、反応器は、加熱器、標準的な溶液ポンプおよびセラミック製噴霧ノズルを備えたチタン製圧力容器を含むことができる。噴霧可能な供給原料をノズル128を介して供給するために、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)送液用の往復動ポンプまたは非往復ピストンポンプ(non-reciprocating piston pump)を利用することができる。噴霧可能な供給原料(および様々な気体)は、反応器と連係している加熱管を用いて反応温度に予熱することができる。
また、噴霧可能な供給原料および/または気体を受け容れる前の反応器に、予め定められた量の液体溶媒を含有させておくことができる。液体溶媒としては、噴霧可能な供給原料中に含まれるものと同一の溶媒を用いることができ、噴霧可能な供給原料が導入される前に、システムの運転圧力下において溶媒の沸点付近の温度に加熱される。酸化反応を実施する前の反応器内に溶媒蒸気が存在するように、溶媒が沸騰することができる温度/圧力にすることができる。供給原料が反応器に噴霧されるに従い、液体溶媒が噴霧可能な供給原料と一緒に蒸発することを阻止するように(酸化反応の発熱性に起因する蒸発を除く)、また、溶媒が気化して噴霧可能な供給原料中の触媒およびフラン系酸化触媒が小滴内で析出することがないように、沸騰または気化する溶媒の量を平衡状態または飽和状態に到達させることができる。さらに、反応器に流入させるO含有流は、噴霧反応器底部の液相を通して散気することができ、こうすることにより、この流れが液相を酸素で飽和するだけでなく、この流れ自体が酢酸で飽和するようになる。酢酸で飽和した気体流は塔内を上昇し、反応器から排出される気流によって反応器から連続的に除去される酢酸蒸気の補充を助ける。気相に流入する酢酸は触媒を析出させる可能性があるので、この酢酸の実質的な蒸発を阻止するために、噴霧相内の酢酸および気相内の酢酸の間に十分な平衡が維持されることが重要である。
噴霧可能な供給原料に含まれる均一酸化触媒は様々な酸化触媒から選択することができるが、好ましくは、コバルトおよびマンガンの両方をベースとし、好適には臭素の供給源、好ましくは臭化物を含む触媒である。この点に関する臭素供給源は、臭化水素、臭化ナトリウム、元素状臭素、臭化ベンジルおよびテトラブロモエタン等の、噴霧可能な供給原料中で臭化物イオンを生成する任意の化合物とすることができる。アルカリ金属臭化物もしくはアルカリ土類金属臭化物等の臭素塩または臭化亜鉛等の他の金属臭化物を使用することもできる。好ましくは、臭化物は、臭化水素または臭化ナトリウムを介して含有される。さらなる他の金属、例えばZrおよび/またはCeもCo/Mn/Brと併用するのに有用であることがこれまでに分かっており(Partenheimer, Catalysis Today, vol. 23, no. 2, pp 69-158 (1995)参照)、これらも同様に含有させることができる。
金属成分はそれぞれ任意の周知のイオン性形態で提供することができる。好ましくは、1種または複数種の金属は、反応溶媒に可溶な形態にある。コバルトおよびマンガンの対イオンの好適な例としては、これらに限定されるものではないが、炭酸イオン、酢酸イオン、酢酸イオン四水和物およびハロゲン化物が挙げられ、ハロゲン化物としては臭化物イオンが好ましい。噴霧可能な供給原料用の溶媒として酢酸を用いる場合は、CoおよびMnの酢酸塩形態を使用すると好都合である。
フルクトースの酸脱水粗生成物から、例えば本発明の噴霧酸化プロセスにおいてコハク酸およびFDCAを製造する場合のCo/Mn/Br触媒は、典型的なCo:Mn:Brのモル比が約1:1:6であるが、好ましくは、この金属は1:1:4のモル比で存在し、1:1:2の比が最も好ましいことが分かる。触媒の総含有量は、典型的には、噴霧可能な供給原料の0.4〜2.0重量パーセント程度であるが、好ましくは、噴霧可能な供給原料の0.6〜1.6重量パーセント、特に0.8〜1.2重量パーセントとなる。
この系およびプロセスの溶媒として、被酸化化学種および直前に述べた酸化触媒の両方を溶解することができる任意の有機溶媒を用いることができるが、酸化に起因する発熱温度上昇の制限に関して言えば、従来実施が所望されるであろう運転圧力における所望の反応温度を10〜30度上回る沸点も有する溶媒が用いられるであろう。さらに、好ましい溶媒は、所望のFDCA生成物の溶解性が限られた溶媒であり、これを用いることにより、FDCAが噴霧可能な供給原料の小滴内で容易に析出し、実質的に純粋な固体形態で回収される。Co/Mn/Br触媒およびフラン系酸化前駆体に特に好適な溶媒は、モノカルボン酸官能基を含むものである。その中でも、脂肪族C2〜C6モノカルボン酸を考えることができるが、C3+酸の中では、酢酸の沸点が非常に好ましい。酢酸の水溶液を使用することもできるが、上述したように、プロセス(通常は連続式)の状況に応じて水分含有率を制限すべきであり、第1脱水反応器からの脱水粗生成物が噴霧可能な供給原料の補充に直接使用されるので、脱水ステップから得られる水を含む噴霧可能な供給原料の水含有率は、10重量パーセント以下、特に7重量パーセント以下である。
レブリン酸成分およびフラン系酸化前駆体の酸化反応器への供給速度は、好ましくは、維持が必要な発熱温度上昇の十分な制御が可能になるように、蒸発冷却および任意選択的な外部冷却/熱管理手段によって制御されるであろう。したがって、噴霧可能な液体供給原料のレブリン酸成分およびフラン系酸化前駆体は、通常は、噴霧可能な供給原料全体の重量の1〜10パーセントを構成することになり、対応する量の糖類が第1脱水ステップへの供給原料に含まれることになり、脱水粗生成物が直接第2酸化ステップへの噴霧可能な供給原料の補充に使用される。酸化剤(O)を含む気体流の供給速度は、Oの投入速度(モル量)が、基質の添加速度(モル量)を基準として少なくともFDCAを生成するのに必要な化学量論量に一致するようなものである。通常、供給気体は、可燃性蒸気が確実に存在しないように、不活性ガス、好ましくはCOを少なくとも50体積%含む。
一実施形態においては、微細な霧状の噴霧液の形態にある噴霧可能な供給原料は、気体反応区域において160〜220℃の範囲、より好ましくは170〜210℃の範囲または180〜200℃の範囲(溶媒が酢酸である場合)にある反応温度で酸素と接触し、運転圧力は(気体および液体が投入される反応空間から気体および液体を連続的に除去することと、この反応空間からの気体ライン上の背圧調整器およびこの反応空間からの液体および固体排出ライン上の適切な調整弁を用いることとにより)10バール〜60バール、好ましくは12〜40バールまたは15〜30バールに選択および制御される。噴霧可能な供給原料および/または噴霧可能な供給原料と一緒にもしくは単独で反応器に装入される任意の気体装入物は、好ましくは気体反応区域に導入される前に実質的な反応温度に予熱される。
本噴霧酸化プロセスの特徴であるフラン系酸化前駆体が好ましい圧力および反応器温度において速やかに酸化されることは、例えば、これまでのHMFからFDCAを製造する試みにおいて認識されていた分解等やそれに伴う収率の損失を防止する一助となり、それと同時に、気化した酢酸または他の溶媒を反応器を通過した後に凝縮させ、さらなる噴霧可能な供給原料の一部として再利用されるため、溶媒の燃焼による収率の損失の防止の一助にもなる。これに関連して、小滴がノズル128を通過して反応器内に備えられた気液平衡を保つ目的のバルクの液体の貯留器(この貯留器は、反応器内における小滴の合体および反応器内における小滴の蒸発の進行を考慮して用いられている)へと移行する際に、ノズル128から小滴が出現するとフラン系酸化前駆体が実質的に酸化されるように、また、バルクの液体内でこれらの材料の酸化が実質的に起こらないように、ノズル128を所定のサイズの小滴を生成するように設計して、複数のノズル128を並べることができる。それと同時に、溶媒の酸化はフラン系基質の酸化ほど速くないので、小滴相内における酸素および溶媒の接触時間を、小滴内においてフラン系酸化前駆体に所望の程度の酸化を達成するために必要な時間に制限することができ、それと共に、バルクの液体を反応器から連続的に抜き出すことによって、許容される液面を維持することができる。
したがって、反応器を連続運転する際の噴霧可能な供給原料の「平均滞留時間」は、バルク液体の安定した体積測定の滞留量対噴霧可能な供給原料の体積測定の流速の比を意味すると理解することができる。一実施形態において、反応器内の噴霧可能なフェド(fed)の平均滞留時間は0.01分間、好ましくは0.1分間、特に0.5分間〜1.4分間である。
以下の実施例を用いて本発明をより詳細に例示する。
次に示す実施例1〜48においては、別段の指定がない限り、特定の装置および手順を使用した。
反応装置:試験反応装置は、反応温度および撹拌速度を設定および制御するためのParr 4843コントローラを備えた機械撹拌式高圧Parr反応器(観察窓を有する定格2800psiおよび300℃の50mLチタン槽)とした。反応器圧の測定は反応器に取り付けた圧力変換器で行った。温度、圧力および撹拌速度をLabView(登録商標)データ取得システムで記録した。
使用した材料および一般手順:純粋な5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF、純度99%)をAldrichより入手した。HMFを21重量パーセントおよびレブリン酸を0.3重量パーセント含む第1粗製HMF試料(HMF−A)を、Sanbornに付与された「Processes for the Preparation and Purification of Hydroxylmethyl Furaldehyde and Derivatives」と題した国際公開第2006/063220A2号の実施例1の手順に従い調製した。第2粗製HMF試料(HMF−B)を、鉱酸を用いて酸脱水を行った後、HMFを酢酸エチルで抽出し、有機層を真空下で濃縮することにより調製した。有機抽出物のHPLC分析から、HMF−Bの組成は、HMFが49重量パーセント、レブリン酸が2.6重量パーセント、グルコースが0.3重量パーセント、ギ酸が0.1パーセント、HMF二量体(5,5’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−フルフラール)が0.08重量パーセント、フルクトースが0.06重量パーセントならびにレブグルコサン(levuglucosan)および他の種々のヒューミン重合物が0.14パーセントであることが分かった。このように、粗製HMF試料が両方共HMFに加えてレブリン酸を含んでいたが、HMF(またはAcHMF)をFDCAに酸化すると同時にレブリン酸もコハク酸に酸化する能力をより明白に示すために、レブリン酸試料も酢酸中で調製した。触媒、添加剤、基質および溶媒は全て入手したままの状態でさらなる精製を行わずに使用した。工業用(純度≧99.9%、HO<32ppm、THC<20ppm)液体COおよび超高純度酸素をLinweldより購入した。
実施例1〜48の様々な試料の半回分式酸化を50mLのParr反応器で実施した。通常は、最初に予め定められた量のNまたはCOを、触媒成分(Co、MnおよびBr)を含む既知の濃度の物質を溶解したおおよそで30mLの酢酸溶液を含む反応器に添加した。次いで反応器の内容物を反応温度に加熱した後、選択した最終圧力に到達するまでOを添加した。Oおよび希釈剤の分圧は既知であるものとした。次いで、純粋なHMFもしくは粗製HMFの酢酸溶液またはレブリン酸の酢酸溶液を予め定められた速度で反応器にポンプ注入することにより反応を開始した。反応により消費された酸素を補うために新鮮なOを40mLのステンレス鋼製貯留器から連続的に供給することにより反応器全圧を一定に維持した。外部酸素貯留器に認められる圧力降下を反応の進行の監視に用いた。
反応完結後(すなわち、所定量の適切な供給溶液を反応器にポンプ注入し、O消費量が変化しなくなったら)、反応混合物を室温に冷却した。
次いで気相から試料を採取してガスクロマトグラフィー(GC)(Shin Carbon ST 100/120メッシュ)で分析することにより溶媒および基質の燃焼によって生成したCOおよびCOの収量を求めた。
液体混合物から不溶なFDCA生成物を濾過によって分離し、固体を酢酸で洗浄することにより可溶な不純物の大部分を除去した。結果として得られた白色固体を100℃のオーブンで2時間乾燥させることにより、残留溶媒を除去した。HPLCおよびH NMR分析から、このFDCAが実質的に純粋なものであることが分かった。反応器を酢酸およびメタノールで洗浄することにより固体FDCA(残留している場合)を回収した。この抽出液を、固体FDCAを単離した後に残しておいた濾液と一緒にHPLC(CI 8 ODS−2カラム)で分析して液体の組成を求めた。次に報告する酸化生成物の全収率は、固相および液相の組成を基準として求めたものである。同様に、以下に示すレブリン酸の実施例の場合は、反応完結後(酸素消費量が変化しなくなることで示される)、Parr反応器の内容物から酢酸を窒素気流下で蒸発させることにより除去した。次いで、結果として得られた固体混合物をメタノールに再び溶解し、HPLCで分析した。特段の指定がない限り、以下に報告する様々な組成分析に関する百分率は全てモルパーセントで表す。
実施例1〜11
実施例1〜11の場合は、HOAcを29mLおよびHOを2mLの混合物中に異なる量のCo(OAc)・4HO、Mn(OAc)・4HOおよびHBrを加えたものを50mLのチタン反応器に装入し、5バールの不活性ガス(NまたはCO)で加圧した。反応器を反応温度に加熱した後、反応器圧が30バールになるまで不活性ガスを添加した。30バールのOを導入した後(反応器全圧60バール)、純粋な/精製HMF(13.2mmol)を溶解したHOAc溶液5.0mLを反応器に0.25mL/分の一定速度で連続的にポンプ注入した(したがって、ポンプ注入時間は計20分間)。ポンプ注入の間およびHMF/HOAc溶液添加完了後さらに10分間ずっと、反応混合物を反応温度で激しく撹拌した。次いで、生成物を分離して分析するために反応器を速やかに室温に冷却した。結果を表1に示す。
Figure 2014531422
表1に示すように、FDCAの収率は、コバルトの量が1.1から2.2mmolに増加するに従い、特に反応温度を160℃とした場合に増加した。少量のマンガンが存在することにより、(a)主反応の誘導期間が短縮され(O消費プロファイルから推量)、(b)FDCAの収率が増加し(実施例7および8を比較)、かつ(c)気体状副生成物であるCOの収量が低下した。マンガンの量が0.13mmolを超えてさらに増加すると、FDCAの収率に有利な効果は認められなかったが、COの収量は低下し続けた。
実施例12〜18
Co(OAc)・4HOを2.2mmolと、Mn(OAc)・4HOを0.033mmolと、HBrを1.1mmolとを、体積比が異なるHOAcおよびHOの様々な混合物(全体積31mL)に溶解した。各混合物を50mLのチタン反応器に装入し、Nで5バールに加圧した。反応器を180℃に加熱した後、反応器圧が30バールになるまでNを添加し、次いで反応器全圧が60バールになるまで30バールのOを添加した。次いで、純粋な(99%)HMF(13.2mmol)を溶解したHOAc溶液5.0mLを0.25mL/分の一定速度で反応器に連続的にポンプ注入した(したがって、ポンプ注入時間は計20分間)。ポンプ注入を行う間およびHMF/HOAc溶液の添加完了後さらに10分間ずっと、反応混合物を180℃で激しく撹拌した。次いで、生成物を分離および分析するために反応器を速やかに室温に冷却した。結果を表2にまとめる。
Figure 2014531422
水が基質の転化率に影響することは認められなかったが(調査した全ての反応において>99%)、実施例12〜18に示すように、FDCAおよび様々な副生成物の収率には大きく影響した。表2に示すように、FDCAの収率は水分含有率が低い場合は高く、水分が10%のときに最大に達した(約83%)。その後、さらに水分含有率が増加するに従いFDCA収率は単調に減少した。水分含有率がより高くなるとFDCAの生成が極度に阻害され(実施例17および18参照)、それに伴い、中間体である5−ホルミルフランカルボン酸(FFCA)の収率が大幅に増加した。しかしながら、気体状副生成物であるCOおよびCOの収量が低下したことから示されるように、溶媒および/または基質の燃焼に関しても、特に水分含有率が10%を超えると、水の阻害作用が顕著となった。
実施例19〜24
Co(OAc)・4HOを1.1mmolと、Mn(OAc)・4HOを0.033mmolと、HBrを1.1mmolとを、HOAcを29mLおよびHOを2mL中に溶解した溶液を50mLのチタン反応器に装入し、5バールのCOで加圧した。反応器を反応温度に加熱した後、反応器圧が30バールになるまでCOを添加し、30バールのOを反応器全圧が60バールになるまで連続的に添加した。その後、純度99%のHMF(13.2mmol)を溶解したHOAc溶液5.0mLを0.25mL/minの一定速度で反応器に連続的にポンプ注入した(したがって、ポンプ注入時間は計20分間)。ポンプ注入を行う間およびHMF/HOAc溶液の添加完了後さらに10分間ずっと、反応混合物を反応温度で激しく撹拌した。次いで生成物を分離および分析するために反応器を速やかに室温に冷却した。結果を表3にまとめる。
Figure 2014531422
表3に示すように、FDCAの収率は180〜190℃の範囲で最大になった。160℃における反応と比較すると、180℃のOの消費プロファイルにおいては、HMFを添加すると、はっきりとした誘導期間がないままO消費量が安定し、HMF添加を停止すると間もなく変化しなくなった。酸素の大部分は所望の生成物(FDCA)の生成に消費された。しかしながら、反応温度が高い方が気体状副生成物であるCOの収量が高くなり、基質、生成物および溶媒が燃焼した可能性を示唆していた。
実施例25〜29
Co(OAc)・4HOを2.2mmolと、Mn(OAc)・4HOを0.033mmolと、HBrを1.1mmolとをHOAcを29mLおよびHOを2mL中に溶解した溶液を50mLのチタン反応器に装入し、COで3〜5バールに加圧した。反応器を180℃に加熱した後、予め定められた特定の反応器圧になるまでCOを添加した。このステップの後、COおよびOの分圧比が1(すなわちCO/O=1)となるように反応器をOで加圧した。このステップの後、純度99%のHMF(13.2mmol)を溶解したHOAc溶液5.0mLを0.25mL/分の一定速度で反応器に連続的にポンプ注入した(したがって、ポンプ注入時間は計20分間)。ポンプ注入を行う間およびHMF/HOAc溶液の添加完了後さらに10分間ずっと、反応混合物を180℃で激しく撹拌した。次いで生成物を分離および分析するために反応器を速やかに室温に冷却した。結果を表4にまとめる。
Figure 2014531422
表4に示すように、反応器圧が60バールから30バールに低下するとFDCAの収率は83%から90%に増加した。さらに、気体状副生成物であるCOの生成に関しても圧力が低い方が不利であった。
実施例30〜35
Co(OAc)・4HOを1.1mmolと、Mn(OAc)・4HOを0.033mmolと、HBrを1.1mmolと、ZrO(OAc)を0.20mmolとをHOAcを29mLおよびHOを2mLの混合物中に溶解した溶液を50mLのチタン反応器に装入し、COで5バールに加圧した。反応器を反応温度に加熱した後、反応器圧が30バールになるまでCOを加え、さらに反応器全圧が60バールになるまでO30バールを添加した。このステップの後、純度99%のHMF(13.2mmol)を溶解したHOAc溶液5.0mLを0.25mL/分の一定速度で反応器に連続的にポンプ注入した(したがって、ポンプ注入時間は計20分間)。ポンプ注入の間およびHMF/HOA溶液の添加完了後さらに10分間ずっと、反応混合物を反応温度で激しく撹拌した。次いで、生成物を分離および分析するために反応器を速やかに室温に冷却した。比較のため、ZrO(OAc)を使用しない反応も実施した。結果を表5にまとめる。
Figure 2014531422

表5に示すように、ZrO(OAc)を助触媒として使用することにより120℃および160℃においてFDCAの収率が約20%増加した。しかしながら、この増進効果は180℃で消失し、180℃においては、気体状生成物であるCOの収量の増加から推測されるように、ZrO(OAc)によって溶媒および基質の燃焼がかなり促進された。
実施例36〜44
Co(OAc)・4HOを2.2mmolと、Mn(OAc)・4HOを0.033mmolと、HBrを1.1mmolとを、HOAcを29mLおよびHOを2mLの混合物中に溶解した溶液を50mLのチタン反応器に装入し、COで5バールに加圧した。反応器を180℃に加熱した後、COを反応器圧が特定の値に到達するまで添加した。これと等しい分圧のOを導入した後(すなわち、CO/O=1)、粗製HMFのHOAc溶液を予め定められた速度で反応器に連続的にポンプ注入した。ポンプ注入の間(連続運転中)およびHMFの添加完了後さらに10分間(連続運転中)ずっと、反応混合物を180℃で激しく撹拌した後、生成物を分離および分析するために反応器を速やかに室温に冷却した。比較のため、HMFを全て最初に添加する、時間を固定した回分式反応も実施した(30分間継続)。結果を表6にまとめる。
Figure 2014531422
表6に示すように、基質を回分方式で添加すると、多量のヒューミンを含む粗製HMFが酸化する際のFDCAの収率が非常に低くなった(実施例37:0.455/6.77=6.7%)。10分後、触媒が失活(褐色析出物の生成により兆候が現れた)したので反応を停止した。これと比較すると、基質を連続的に添加することによって触媒の非常に急速な失活が何とか回避され、FDCAの収率ははるかに高くなり、粗製基質混合物中の純粋なHMFを基準として100%を超えたものもあった(実施例38、39、40および44)。
実施例45
実施例38、39、40および44で認められた粗製HMFから得られたFDCAの収率が100%を超えることをより十分に理解するために、最初にHMF二量体(5,5’−[オキシ−ビス(メチレン)]ビス−2−フルフラールすなわちOBMF)を合成した。ディーンスタークトラップを備えた100mLの丸底フラスコをオーブンで乾燥させ、HMFを2g、p−トルエンスルホン酸を10mgおよびトルエンを100mL装入した。窒素雰囲気中、この混合物を加熱して環流させ、5時間後に反応を停止した。生成物を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムで酢酸エチル/ヘキサン混合物(10〜50v/v%)を用いて精製した。二量体を含む画分を回収し、再び真空下で濃縮することにより、黄色固体0.4グラムを得た。1H NMR分析およびガスクロマトグラフィー/質量分光分析によりOBMFと断定された。次いでこうして調製されたOBMFをHMFと合一して二量体調製物を得た。実施例45においては、この二量体調製物を、酸素を添加しないブランク実験に付した。この実験においては、Co(OAc)・4HOを2.2mmolと、Mn(OAc)・4HOを0.033mmolと、HBrを1.1mmolとを、HOAcを29mLおよびHOを2mLの混合物に溶解した溶液を50mLのチタン反応器に装入し、COで5バールに加圧した。反応器を180℃に加熱した後、反応器圧が60barになるまでCOを添加した。このステップの後、OBMFを0.224mmolおよびHMFを0.0244mmolを含む二量体調製物をHOAc5.0mLに溶解することにより二量体供給原料を調製した。この二量体供給原料を反応器に0.25mL/分の一定速度で連続的にポンプ注入した(したがって、ポンプ注入時間は計20分間)。ポンプ注入の間および二量体供給原料の添加完了後さらに10分間ずっと、反応混合物を1200rpmおよび180℃で激しく撹拌した。次いで、生成物を分離および分析するために反応器を速やかに室温に冷却した。「酸素不使用」ブランク運転の結果、酸素の非存在下に、OBMFのわずか6.4%(すなわち0.0144mmol)がAcHMFを0.0232mmolおよびHMFを0.0158mmolを含む生成物に転化した。
実施例46および47
実施例46および47のそれぞれにおいては、Co(OAc)・4HOを2.2mmolと、Mn(OAc)・4HOを0.033mmolと、HBrを1.1mmolとをHOAcを29mLおよびHOを2mLの混合物に溶解した溶液を50mLのチタン反応器に装入し、COで5バールに加圧した。反応器を180℃に加熱した後、反応器圧が30バールになるまでCOを添加した。このステップの後、OBMFを0.224mmolおよびHMFを0.0244mmolを含む試料をHOAc5.0mL中に溶解することにより二量体供給原料を調製した。等しい分圧のO(すなわちCO/O=1)を反応器に導入した後、二量体供給原料を0.25mL/分の一定速度で反応器に連続的にポンプ注入した(したがって、ポンプ注入時間は計20分間)。ポンプ注入の間および二量体供給原料の添加完了後さらに10分間ずっと、反応混合物を1200rpmおよび180℃で激しく撹拌した。次いで、生成物を分離および分析するために反応器を速やかに室温に冷却した。この分析から、HMFおよびOBMFの両方の転化率が99%を超えたことが示され、実施例46および47においてはFDCAが0.200および0.207mmol生成した。二量体供給原料中のHMFが酸化されて100%の選択性でFDCA生成物となることが示され、OBMF1モルからFDCA2モルが生成することになると仮定すると、OBMFから得られるこれらのFDCAの量はそれぞれ収率39.1および40.8パーセントに相当する。
実施例48
レブリン酸を13.4mmolと、Co(OAc)・4HOを2.2mmolと、Mn(OAc)・4HOを0.033mmolと、HBrを1.1mmolとをHOAcを32mLおよびHOを2mLの混合物中に溶解した溶液を50mLのチタン反応器に装入し、5バールのCOで加圧した。反応器を180℃に加熱した後、COを添加して反応器を30バールにした。等しい分圧のO(すなわちCO/O=1)を反応器に導入した後、反応混合物を1200rpmおよび180℃で3時間激しく撹拌した。次いで、生成物を分離およびHPLC分析するために反応器を室温に冷却した。99パーセントを超えるレブリン酸がコハク酸を含む生成物に転化した。収率は12.0パーセントであった。
実施例49〜53
実施例49〜53においては、Greenfield, MAのBETE Fog, Nozzle, Inc.からのPJ(登録商標)シリーズ型式のチタン製霧化ノズルを備えた700mLのチタン製噴霧反応器(内径3インチ、長さ6インチ)を使用して、HMFからFDCAへの酸化を行い、噴霧可能な供給原料(HMF/酢酸)を噴霧ノズルから連続的に添加すると同時に、反応器内の圧力制御を維持するために気体および液体を抜き出した(同伴する固体FDCA生成物も一緒に)。PJ(登録商標)シリーズ型式霧化ノズルはインパクション・ピン型(impaction pin)すなわち衝突型であり、製造業者によれば、50ミクロン未満のサイズの小滴を「高い割合で」生成する。
各運転においては、反応器に予め酢酸50mLを装入し、二酸化炭素および酸素の混合物(モル比1:1)で3〜5バールに加圧し、反応温度に加熱した。次いで、反応器圧が15バールになるまでさらに二酸化炭素/酸素を加えた。酢酸70mLを35mL/分で反応器内に噴霧することにより反応器(多点式熱電対を備える)全体に均一な温度プロファイルを確立した。次いで、純度99パーセントのHMFを13.2mmolと、Co(OAc)・4HOを1.3mmolと、Mn(OAc)・4HOを1.3mmolと、HBrを3.5mmolとを含む酢酸溶液105mLを反応温度に予熱してから、35mL/分で反応器内に噴霧し、その間、モル比1:1の二酸化炭素および酸素の混合物も反応温度に予熱し、これも反応器に300std mL/分で連続的に供給した。気体および液体の両方(同伴する固体粒子も一緒に)を噴霧反応器から背圧調整器を有するラインを通じて抜き出した。ノズルを洗浄するために酢酸35mLを後噴霧した後、生成物を分離および分析するために反応器を室温に冷却した。結果を表7にまとめた。
Figure 2014531422
表7に示すように、HMFを200℃および15バールで連続的に酸化することによってFDCAの収率は約85%になり、FFCAは約2%になり(実施例50および51)、3分間の噴霧プロセスの間に生成物の大部分が分離器から回収される。反応器温度も圧力も非常に良好に制御されていた。温度がさらに220℃に上昇すると反応の生産性が低くなり、FDCAの収率は72.3%、FFCAの収率は8.6%となった(実施例53)。同様に、固体FDCA生成物中のFFCAの含有率は1.6%から(実施例50、200℃)7.9%(実施例53、220℃)に増加する。温度が高い方が溶媒および基質が燃焼しやすくなり、それによってFDCA生成に利用できる酸素が減少する。FDCAの収率および生成物の純度は気体混合物の供給速度を2倍にしても有利にならない(実施例50および実施例52を比較)。酸素が利用しやすくなっても、気体流量が高くなることによって気相中の滞留時間が低下することにより相殺される可能性がある。
本発明を、本発明の趣旨および必須の特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができる。ここに記載した実施形態はあらゆる点に関して単なる例示であって限定を意図するものではないと見なすべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味の範囲内および均等な範囲内のあらゆる変化が本発明の範囲内に包含される。特段の指定がない限り、本明細書に引用した全ての参考文献および刊行物を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。

Claims (12)

  1. レブリン酸および/またはコハク酸のレブリン酸酸化前駆体と、もう1種の2,5−フランジカルボン酸のフラン系酸化前駆体と、前記レブリン酸成分および前記1種または複数種のフラン系酸化前駆体の酸化を触媒するための触媒として有効なコバルト成分、マンガン成分および臭化物成分の組合せとを含む供給原料からコハク酸および2,5−フランジカルボン酸の両方を生成するために、前記供給原料の前記酸化を実施するための方法であって、
    反応槽に前記供給原料を供給するステップと、
    前記反応槽に酸化剤を供給するステップと、
    コハク酸および2,5−フランジカルボン酸の両方を生成するために、前記レブリン酸成分および前記1種または複数種のフラン系酸化前駆体を前記酸化剤と反応させるステップと、
    前記コハク酸および2,5−フランジカルボン酸を生成物として回収するステップと
    を含む、方法。
  2. 前記供給原料が液体を含み、前記反応が進行すると反応熱により前記液体の一部が気化するように前記反応槽内の運転圧力を選択および制御することによって、前記反応に起因する発熱温度上昇を管理するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸化反応が進行している際の、前記反応槽内に存在する少なくとも1種の液体の沸点が、前記酸化反応開始時点の温度よりも10〜30摂氏度高くなるように、前記反応槽内の前記運転圧力が選択および制御される、請求項2に記載の方法。
  4. レブリン酸および5−ヒドロキシメチルフルフラールを含む脱水粗生成物を得るために天然の六炭糖を酸脱水するステップと、前記脱水粗生成物を直接前記供給原料と混合するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記供給原料中の前記レブリン酸および前記1種または複数種のフラン系酸化前駆体の実質的に全部が、前記脱水粗生成物により得られる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記脱水粗生成物を得るために、フルクトース、グルコースまたはこれらの組合せが酸脱水される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記脱水粗生成物を得るために、フルクトース、グルコースまたはこれらの組合せが酸脱水される、請求項4に記載の方法。
  8. 前記供給原料が液体溶媒を含み、前記供給原料が前記反応槽内に噴霧され、前記供給原料の流れが前記反応器内に噴霧される前に、溶媒の蒸気が前記反応槽に供給される、請求項3に記載の方法。
  9. 前記反応槽内への前記供給原料の噴霧が開始されると前記反応槽が溶媒蒸気で実質的に飽和する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記反応槽内の溶媒蒸気による実質的な飽和が、前記反応槽内に液体溶媒を維持することによって保たれる、請求項9に記載の方法。
  11. 前記酸化剤が酸素または酸素含有気体であり、さらに、不活性希釈ガスが前記反応器に供給される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記供給原料が前記反応槽内に供給される前に前記反応温度に予熱される、請求項1に記載の方法。
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