JP2018019085A - 圧粉磁心及び圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物 - Google Patents

圧粉磁心及び圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018019085A
JP2018019085A JP2017170090A JP2017170090A JP2018019085A JP 2018019085 A JP2018019085 A JP 2018019085A JP 2017170090 A JP2017170090 A JP 2017170090A JP 2017170090 A JP2017170090 A JP 2017170090A JP 2018019085 A JP2018019085 A JP 2018019085A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
soft magnetic
magnetic powder
green compact
molybdenum disulfide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017170090A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6489181B2 (ja
Inventor
稲垣 孝
Takashi Inagaki
孝 稲垣
石原 千生
Chio Ishihara
千生 石原
紀行 中山
Noriyuki Nakayama
紀行 中山
治郎 嶋
Jiro Shima
治郎 嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Publication of JP2018019085A publication Critical patent/JP2018019085A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6489181B2 publication Critical patent/JP6489181B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/12Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
    • H01F1/33Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials mixtures of metallic and non-metallic particles; metallic particles having oxide skin
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F3/00Manufacture of workpieces or articles from metallic powder characterised by the manner of compacting or sintering; Apparatus specially adapted therefor ; Presses and furnaces
    • B22F3/02Compacting only
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F3/00Cores, Yokes, or armatures
    • H01F3/08Cores, Yokes, or armatures made from powder
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
    • H01F41/0206Manufacturing of magnetic cores by mechanical means
    • H01F41/0246Manufacturing of magnetic circuits by moulding or by pressing powder
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F3/00Manufacture of workpieces or articles from metallic powder characterised by the manner of compacting or sintering; Apparatus specially adapted therefor ; Presses and furnaces
    • B22F3/02Compacting only
    • B22F2003/026Mold wall lubrication or article surface lubrication
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C2202/00Physical properties
    • C22C2202/02Magnetic

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

【課題】表層部における軟磁性粉末粒子表面の絶縁被膜が破壊されず、健全な絶縁状態を示し、高周波用途に用いた場合にも渦電流損We及び鉄損Wの増加が抑制される圧粉磁心の提供を可能にする。【解決手段】 磁心用圧粉体は、金型の型孔に軟磁性粉末を充填して、軟磁性粉末の密度比が91%以上になるように圧縮して圧粉体を成形し、型孔から押し出して製造される。軟磁性粉末を型孔に充填する前に、潤滑油と二硫化モリブデン粒子と絶縁性セラミックス粒子を含有する潤滑被膜を型孔の内面に形成する。圧粉体の押し出し摺接面は、軟磁性粉末の粒子間に二硫化モリブデン粒子、絶縁性セラミックス粒子が介在する構造の表層部を有し、この圧粉体を用いて圧粉磁心が構成される。型孔からの押し出し時に表層部の軟磁性粉末粒子の絶縁が破壊されず、高周波用途に適した圧粉磁心が提供される。【選択図】 図4

Description

本発明は、軟質磁気部品に用いられる圧粉磁心及び圧粉磁心製造用押型の潤滑液に関し、特に、高周波領域での使用に適した圧粉磁心及び圧粉磁心製造用押型の潤滑液に関する。
軟質磁性粉末を樹脂等のバインダで結着した圧粉磁心は、珪素鋼板等を用いて作製される積層磁心に比べて、作製時の材料歩留まりが良く、材料コストを低減することができるという利点を有している。又、形状自由度が高く、磁心形状の最適設計を行うことによって磁気特性を向上することが可能であるという利点も有している。このような圧粉磁心においては、有機バインダや無機粉末などの絶縁性物質と軟磁性粉末を混合したり、軟磁性粉末の表面に電気絶縁被膜を被覆したりして金属粉末間の電気絶縁性を向上させることにより、磁心の渦電流損を大幅に低減することができる。
このような利点から、圧粉磁心は、変圧器、リアクトル、サイリスタバルブ、ノイズフィルタ、チョークコイル等に使用され、又、モーター用鉄心、一般家電及び産業機器用モーターのロータやヨーク、更には、ディーゼルエンジン及びガソリンエンジンの電子制御式燃料噴射装置に組み込まれる電磁弁用のソレノイドコア(固定鉄心)等にも使用され、各種軟質磁気部品への適用が進んでいる。圧粉磁心は、珪素綱板に比べて、高周波領域での渦電流損の低減が可能であり、リアクトル等の高周波数の用途における圧粉磁心の適用が増えつつある。又、使用周波数帯域の高周波化は、磁心自体の小型化、コイルの巻き線数や銅使用量の低減を可能にし、それらを利用する電子機器の省スペース及びコスト削減を達成できる。そのため、近年では、多くの電子機器における高周波化が進んでおり、高周波対応材の開発が急速に進んでいる。
圧粉磁心の成形方法は、製品形状を規定する金型内に軟磁性粉末を可塑性の原料とともに射出して成形する射出成形法(特許文献1等)と、金型のキャビティに軟磁性粉末及びバインダを含む原料粉末を充填して、上下パンチで圧縮成形する圧縮成形法(特許文献2、3等)に大別される。圧粉磁心の製品形状は成形工程において付与され、製品の用途に応じて採用する成形方法は使い分けられる。
上述の家庭用及び産業用の各種機器に対する近年の小型化・軽量化の要求の下、圧粉磁心については、磁束密度等の磁気特性向上の要求が大きくなってきている。圧粉磁心は、軟磁性粉末の占積率が磁束密度に比例するため、高い磁束密度の圧粉磁心を得るためには密度を高める必要がある。このため、多量のバインダを必要とする射出成形法に比べて、バインダ量を低減して軟磁性粉末の量を増加でき、高密度に成形できる圧縮成形法が、広く用いられている。
圧縮成形法による圧粉磁心の製造では、バインダ樹脂及び軟磁性粉末を含有する原料粉末あるいは表面に絶縁性被膜を有する軟磁性粉末からなる原料粉末を金型装置の押型の型孔に充填し、上下パンチにより圧縮する。このような圧縮成形法によって円柱状の磁心用圧粉体を成形するプロセスの具体例を図1に示す。図1に示す金型装置は、圧粉体の外周側面を内径面で規定する型孔1aを有する押型1と、圧粉体の下面を規定する下パンチ2と、圧粉体の上面を規定する上パンチ3とを備えている。このような金型装置を用い、図1(a)に示すように、押型1の型孔1aと下パンチ2とでキャビティを形成し、フィーダ4等の粉末供給手段を用いて原料粉末Mをキャビティに充填する。次いで、図1(b)に示すように、上パンチ3を降下させると共に、下パンチ2を押型1に対して相対的に上昇(本図の場合、押型1を降下)させて、キャビティ内に充填された原料粉末Mを上パンチ3と下パンチ2とで圧縮成形して圧粉体Cとする。この後、図1(c)に示すように、上パンチ3を上方に移動させて待機位置まで復帰させると共に、下パンチ2を押型1に対して相対的に上昇(本図の場合、押型1をさらに降下)させて、圧粉体Cを押型1の型孔1aから抜き出す。
特開2003−209010号公報 特開2004−342937号公報 特開平05−217777号公報
圧粉磁心の鉄損Wは、渦電流損Wとヒステリシス損Wの和であり、渦電流損W及びヒステリシス損Wは、各々、下記式1及び下記式2で示されるから、鉄損Wは、下記式3のように示される。尚、式中、fは周波数、Bは励磁磁束密度、ρは固有抵抗値、tは材料の厚み、k,kは係数である。
(式1)
=(k /ρ)f
(式2)
=k 1.6
(式3)
W=W+W=(k /ρ)f+k 1.6
式1〜3から明らかなように、渦電流損Wは、周波数fの二乗に比例して大きくなることから、高周波領域において使用されるリアクトル等に圧粉磁心を適用するには、渦電流損Wの抑制が不可欠である。渦電流損Wを抑制するためには、渦電流を小領域に閉じこめる必要がある。このため、圧粉磁心においては、個々の軟磁性粉末粒子が絶縁されるように構成することで、渦電流損Wの抑制を図る。従って、軟磁性粉末の粒子同士が連通すると、連通した箇所を通して導通し、大きな渦電流が発生するので、個々の軟磁性粉末粒子の絶縁の確保が重要となる。
近年、磁気特性の更なる向上が求められており、磁束密度を向上させるために、より高圧力で圧粉体の圧縮成形を行って軟磁性粉末の占積率を高めることが行われている。しかし、高圧力で原料粉末を圧縮成形すると、図2(a)に示すように、圧粉体が側方に向けて膨張する圧力(スプリングバック)も大きくなり、点線で示すような形状に膨張しようとする。このようにスプリングバックが作用する圧粉体を型孔から抜き出すと、圧粉体が型孔を摺接する際に圧粉体の側面が強く型孔の内面に押圧される。このため、型孔から抜き出した後の圧粉体の側面は、図2(b)に示すように、表層部で塑性流動が生じて、軟磁性粉末粒子の表面に形成した絶縁被膜が破壊され、又、軟磁性粉末粒子同士が導通した状態となり、渦電流が大きくなる。閉磁路内で磁束を発生させた場合、渦電流は、磁束を中心として磁束の方向と垂直な環状に周回する。本来は、軟磁性粉末単体粒子の各々に施された絶縁によって渦電流の増加は抑制できるが、摺接面において絶縁が破壊されて圧粉体の外周面が導通状態になると、渦電流は著しく増加する。又、特にリアクトルの場合は、磁心同士を組み合わせて磁路を構成しているため、組み合わせ面から磁束の漏れ(フリンジング)が少なからず発生する。漏れた磁束が、導通した摺接面に対して直角方向に再度侵入すると、渦電流は更に大きくなる。従って、摺接面の絶縁性維持は、高周波用途の磁心にとって非常に重要な技術要件の一つである。圧粉磁心材料の中でも、純鉄をはじめとする低合金材は、基地が柔らかいので特に塑性流動を引き起こし易く、しかも、基地の比抵抗が低い材料系となるため、塑性流動による導通は確実に抑制しなければならない。
又、圧粉磁心に生じる誘導電流は、周波数が高くなるほど、表面に集中して流れる。このため、上記のような表層部に塑性流動が生じて軟磁性粉末粒子の絶縁被膜が破壊された圧粉磁心をリアクトル等の高周波用途に用いると、絶縁被膜が破壊されて軟磁性粉末粒子どうしが導通した表層部に集中して誘導電流が流れ、渦電流損Wがいよいよ大きくなって鉄損Wが増大する。
このような絶縁被膜が破壊されて軟磁性粉末粒子同士が導通した表層部を有する圧粉磁心においては、特許文献3のように圧粉体の表面部分を除去することによって、金属磁性粉末粒子どうしが直接接触する部分がなくなり、圧粉磁心の表層部は、軟磁性粉末粒子が絶縁被膜で被覆された健全な状態となる。しかし、このような表面の除去処理は、通常の切削加工とは異なる特殊な技術が必要となり、製造コストの増加につながる。このため、圧縮成形して型孔から抜き出した磁心用圧粉体の表層部において軟磁性粉末の塑性流動が抑制され、絶縁被膜が破壊されない健全な状態で圧粉体を得ることを可能にする技術が求められている。
本発明は、上述の問題を解消し、表層部における軟磁性粉末粒子表面の絶縁被膜が破壊されず、健全な絶縁状態を示し、高周波用途に用いた場合にも渦電流損W及び鉄損Wの増加が抑制される圧粉磁心を提供することを課題とする。
また、高圧力を用いて高密度に圧縮成形しても、型孔から押し出した磁心用圧粉体の表層部において塑性流動による導通形成が抑制される磁心用圧粉体の製造技術を提供することを課題とする。
更に、磁心用圧粉体の製造において型孔から圧粉体を押し出す際に、圧粉体の表層部における塑性流動による導通形成を抑制可能な、圧粉磁心製造用押型の潤滑液を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様によれば、圧粉磁心は、軟磁性粉末が密度比91%以上に圧縮成形された圧粉体によって構成され、前記圧粉体の押し出し摺接面は、前記軟磁性粉末の粒子間に二硫化モリブデン粒子が介在する構造の表層部を有することを要旨とする。前記表層部において、前記軟磁性粉末の粒子間に絶縁性セラミックス粒子も介在する構造であると、更に好ましい。
上記圧粉磁心において、絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子は、軟磁性粉末の粒子間に介在することで、軟磁性粉末粒子を支持して変形及び塑性流動を抑制し、軟磁性粉末粒子表面の絶縁破壊を防止する。又、絶縁性セラミックス粒子自体の絶縁性によって、圧粉体側面の表層部の比抵抗が増加する。このため、圧粉磁心の表面に誘導電流が集中して流れる高周波用の圧粉磁心として使用した場合に、渦電流損Wの低減において優れたものとなる。
上記圧粉磁心の側面は、表面状態を観察したとき、隣接する軟磁性粉末粒子同士が、前記二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子の介在によって不連続の状態であると好ましい。又、側面の表面観察において、軟磁性粉末粒子が存在しない部分(間隙)に存在する二硫化モリブデン粒子の面積率が30%以上であると好ましく、絶縁性セラミックス粒子を用いる場合は、絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子の合計での面積率が30%以上であると好ましい。二硫化モリブデン粒子の粒径が100〜1000nmであり、絶縁性セラミックス粒子の粒径が50〜1000nmであると好適であり、絶縁性セラミックス粒子の表面にSi含有化合物及び/又はAl含有化合物の有機性被膜が形成されていると更に好ましい。
又、本発明の一態様によれば、磁心用圧粉体の製造方法は、圧粉体成形用金型の型孔に軟磁性粉末を充填して、前記軟磁性粉末の密度比が91%以上になるように前記軟磁性粉末を圧縮して圧粉体を成形し、前記圧粉体を前記型孔から押し出す磁心用圧粉体の製造方法であって、前記軟磁性粉末を充填する前に、押し出し時の圧粉体と摺接する前記型孔の内面に、潤滑油と二硫化モリブデン粒子とを含有する潤滑被膜を形成することを要旨とする。前記潤滑被膜が更に絶縁性セラミックス粒子を含有すると好ましい。
上記潤滑被膜中の二硫化モリブデン粒子の組成割合は、30〜80質量%であると好ましく、絶縁性セラミックス粒子を用いる場合は、上記潤滑被膜は、絶縁性セラミックス粒子を1〜10質量%、二硫化モリブデン粒子を30〜80質量%の組成割合で含有し、残部が潤滑油であると好ましい。
上記製造方法においては、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)を潤滑油に分散させた潤滑組成物を型孔内面に塗布して潤滑被膜を設け、この型孔に軟磁性粉末を含有する原料粉末を充填する。これにより、原料粉末が、液状の潤滑油及び二硫化モリブデン粒子(並びに絶縁性セラミックス粒子)を介して型孔表面と接触する状態となる。この状態において、潤滑油の一部は、充填された原料粉末粒子間の隙間に毛細管力によって浸入し、これに伴って、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)も、一部が型穴内面上から原料粉末粒子間の隙間に導入されて原料粉末粒子間に挟まれる。
このような状態において圧縮成形を開始すると、原料粉末粒子間の隙間の縮小に伴って、潤滑油は、粉末粒子間の隙間から圧粉体と型孔内面との隙間に押し出されるが、固体状の二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)は軟磁性粉末粒子間に留まったまま、圧粉体の成形が完了する。圧縮完了後の磁心用圧粉体の側面、つまり、型孔内面と接触する面は、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が分散した表面状態となり、側面表層部の軟磁性粉末の粒子間に二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が介在する。型孔内面と圧粉体との間には、潤滑油及び二硫化モリブデンが存在する。
この状態で圧粉体の押し出しを行うと、軟磁性粉末の粒子間に分散する二硫化モリブデン粒子は、押し出しによる摩擦抵抗に抗して軟磁性粉末を支持して、その変形及び塑性流動を抑制すると共に、二硫化モリブデンの劈開性及び潤滑性によって、軟磁性粉末粒子へ加わる摩擦抵抗による応力を緩和する。二硫化モリブデン粒子の劈開で緩和するレベルを超える応力に対しては、二硫化モリブデン粒子より硬い絶縁性セラミックス粒子が軟磁性粉末粒子を支持して応力に抗し、過度の応力に対しては絶縁性セラミックス粒子が脆性破壊することによって、軟磁性粉末粒子への応力が緩和される。又、型孔表面と圧粉体との間の潤滑油及び二硫化モリブデンの潤滑効果によって、型孔内面とそれに摺接する圧粉体側面との間の摩擦抵抗が低減されて、型孔からの圧粉体の抜き出しが容易になり、絶縁被膜が破壊されない健全な側面を有する圧粉磁心を得ることができる。
本発明の磁心用圧粉体の製造方法においては、型孔内面に形成する潤滑滑被膜の厚さが0.1〜20μmであると好ましい。又、絶縁性セラミックス粒子の粒径が50〜1000nmあるとより好ましく、二硫化モリブデン粒子の粒径が100〜1000nmであると好ましい。更に、前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化チタン粒子の表面にSi含有化合物及び/又はAl含有化合物の有機性被膜が形成されているものであると、さらに好ましい。潤滑油の動粘度が1000〜100000mm/sであると好ましい。
更に、本発明の一態様によれば、圧粉磁心製造用押型は、原料粉末を圧縮して圧粉体を成形するための型孔と、成形される圧粉体の押し出し時に圧粉体と摺接する前記型孔の内面に設けられる、潤滑油と二硫化モリブデン粒子とを含有する潤滑被膜とを有することを要旨とする。前記潤滑被膜が、更に、絶縁性セラミックス粒子を含有すると好ましい。
又、本発明の一態様によれば、圧粉磁心製造用金型装置は、上記の圧粉磁心製造用押型と、前記型孔内で原料粉末を圧縮するための上下パンチとを有することを要旨とする。
更に、本発明の一態様によれば、圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物は、潤滑油と、二硫化モリブデン粒子とを含有することを要旨とし、更に、絶縁性セラミックス粒子を含有すると好ましい。
本発明によれば、圧粉磁心は、金型の型孔内面によって形成される圧粉磁心の側面の表層部において、軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が分散し、これによって圧縮成形後の抜き出しに伴う軟磁性粉末の塑性流動が抑制され、軟磁性粉末粒子表面の絶縁被膜が破壊されるのを防止できるので、渦電流損Wが低レベルに抑制された圧粉磁心が製造可能であり、高周波用途においても優れた製品が提供される。また、圧粉磁心の側面の表層部において軟磁性粉末粒子間に分散する絶縁性セラミックス粒子自体の絶縁性によって、圧粉磁心側面の表層部における比抵抗が増加するので、高周波用の圧粉磁心として使用した際に圧粉磁心の表面に誘導電流が集中して流れても、渦電流損Wの増加を抑制可能であり、高周波用途においても優れた性能を発揮する圧粉磁心の提供が可能である。
また、本発明によれば、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)を含有する潤滑被膜を型孔内面に形成することによって、型孔から抜き出す圧粉体の側面における塑性流動を効果的に抑制することができ、表層部における軟磁性粉末粒子表面の絶縁被膜が破壊されずに良好に絶縁性を保持した圧粉体が得られるので、簡便な手法によって高品質な圧粉体が得られる経済性に優れた磁心用圧粉体の製造方法が提供される。又、本発明の製造方法によって得られる磁心用圧粉体は、軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が分散した表面構造を有し、絶縁性が向上した表層部を側面に有するので、高周波用途においても優れた特性を発揮する磁心用圧粉体が得られ、適用性の高い磁心用圧粉体の製造方法が提供される。
圧縮成形法における成形プロセスを説明する模式図である。 軟磁性粉末を含有する原料粉末を高圧力で圧縮成形した場合の磁心用圧粉体の状態を説明する模式図である。 実施例で比較のために作成した圧粉体の側面をEPMA装置により観察した際のSEM像(上段左)及び成分マップ(上段右:C、上段中央:Fe、下段右:S、下段中央:Si、下段左:O)である。 実施例で作成した試料番号A5の圧粉体の側面をEPMA装置により観察した際のSEM像(上段左)及び成分マップ(上段右:C、上段中央:Fe、下段右:S、下段中央:Mo、下段左:O)である。 実施例で作成した試料番号B4の圧粉体の側面をEPMA装置により観察した際のSEM像(上段左)及び成分マップ(上段:右から順に、O、C及びFe、下段:右から順に、Ti、S及びMo)である。 実施例で作成した試料番号B29の圧粉体の側面をEPMA装置により観察した際のSEM像(上段左)及び成分マップ(上段:右から順に、O、C及びFe、下段:右から順に、Ti、S及びMo)である。
図1及び図2に示すように、圧縮成形法による圧粉体の成形では、型孔の内面によって形成される圧粉体の側面は、型孔から圧粉体を押し出す際に型孔の内面と摺接する押し出し摺接面となる。圧粉体を高密度に成形するほど、型孔の内面に圧粉体を押しつけるスプリングバックが大きくなるので、圧粉体を型孔から押し出す際に型孔の内面と圧粉体の側面との間に作用する摩擦抵抗が大きくなり、圧粉体側面の表層部において塑性流動が起こる。これは、一般的な用途においては、圧粉体の側面を平滑化して外観を美化する好ましい現象として認識されるが、圧粉磁心としては、表層部の絶縁破壊及び鉄損増加を招く現象であるので、摩擦抵抗による塑性流動を防止する必要がある。摺接面の摩擦抵抗を低減するには、通常、押型潤滑剤が用いられるが、高密度圧粉体の成形においては摩擦抵抗が非常に大きくなるため、一般的な押型潤滑剤を使用しても、表層部における塑性流動を抑制することは難しい。
本発明においては、押型の型孔の内面に、潤滑油と二硫化モリブデン粒子とを含有する潤滑被膜を形成し、この潤滑被膜を有する型孔を用いて軟磁性粉末の圧縮成形を行う。このような型孔中で高密度に圧縮成形される圧粉体は、型孔から押し出す際に型孔の内面と圧粉体の側面とが摺接するにも拘わらず、圧粉体側面における軟磁性粉末粒子の塑性流動が抑制される。潤滑被膜が絶縁性セラミックス粒子を含有すると、その有効性は更に顕著である。この理由は、以下のように考えることができる。潤滑被膜に含まれる二硫化モリブデン粒子及びセラミックス粒子は、軟磁性粉末が圧縮成形される際に、型孔内面に押しつけられる軟磁性粉末粒子間に押し込まれ、形成される圧粉体表面の軟磁性粉末粒子間に挟まれる。このため、型孔内に成形される圧粉体の側面は、軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン粒子及び/又はセラミックス粒子が介在する構造の表層部を有する。このような圧粉体を型孔から押し出すと、潤滑被膜に含まれる潤滑油が、静止摩擦力及び動摩擦力をある程度低減して押し出し易くすると共に、軟磁性粉末粒子間に介在する二硫化モリブデン粒子及び/又はセラミックス粒子が、軟磁性粉末粒子を支持して、その変形及び塑性流動を抑制する。その間に、摩擦抵抗によって軟磁性粉末粒子に加わる応力が一定レベルを超えると、二硫化モリブデン粒子自らが劈開し破断され、絶縁性セラミックス粒子も含まれる場合には、二硫化モリブデンの硬さを超える応力に抗し、更に、絶縁性セラミックス粒子自らが破断される。このような粒子の破断を通じて、軟磁性粉末粒子に加わる応力が軽減される。押し出しの間の摩擦抵抗に応じて二硫化モリブデン粒子及びセラミックス粒子は徐々に破断されるが、破断した二硫化モリブデン粒子及び/又はセラミックス粒子が軟磁性粉末粒子間に介在するので、軟磁性粉末粒子が変形しても粒子同士の密着や結合は防止される。つまり、第1には、二硫化モリブデン粒子及びセラミックス粒子が適度な硬さを有することが、圧粉体側面の表層部において軟磁性粉末粒子間に入り込んで軟磁性粉末粒子を支持するのに有効であって、これにより、摩擦抵抗による応力に抗して軟磁性粉末粒子の塑性流動が抑制され、軟磁性粉末粒子同士の接触及び結合が防止される。第2には、二硫化モリブデン粒子及びセラミックス粒子が適度な脆性又は劈開性を示すことが、押し出し時の摩擦抵抗による応力を分散し緩和するのに有効であって、これにより、軟磁性粉末粒子の変形及び塑性流動が抑制される。更に、第3には、二硫化モリブデン粒子及びセラミックス粒子が絶縁性であることが、圧粉体側面の表層部における軟磁性粉末粒子間の絶縁性を確保し、セラミックス粒子はむしろ強化するのに有効である。第4に、潤滑被膜は、液状の潤滑油と、固体潤滑剤である二硫化モリブデン粒子とを含み、潤滑油は特に動摩擦の低減に有効であり、固体潤滑剤は特に静止摩擦の低減に有効であるので、両成分によって、押し出し時に型孔内面と圧粉体側面との間に生じる摩擦を総合的に減じることができる。
上述のような潤滑被膜を形成した型孔を用いて圧縮成形した圧粉体は、側面(つまり、押し出し摺接面)の表層部において軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン粒子が挟まれて介在する構造、好ましくは絶縁性セラミックス粒子も軟磁性粉末粒子間に介在する構造を有する。従って、このような圧粉体の側面について、例えば、電子プローブ微小分析(EPMA)等による表面観察を行うと、SEM像や成分マップにおいて、軟磁性粉末粒子間の隙間に二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子が分散する状態を確認することができる。粒子表面に絶縁被膜を形成した軟磁性粉末を原料粉末として用いて圧縮成形した場合には、軟磁性粉末表面の絶縁被膜の破壊が抑制され、軟磁性粉末が絶縁被膜に良好に被覆された健全な状態の圧粉体が形成される。軟磁性粉末と樹脂バインダーとの混合物を圧縮成形する場合にも、通常の押型潤滑剤を用いると、押し出し時の摩擦抵抗による軟磁性粉末粒子の塑性流動は抑制困難であるが、本発明に従って二硫化モリブデン(及び絶縁性セラミックス粒子)を含有する潤滑被膜を形成した型孔を用いることによって、成形される圧粉体の側面において軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン(及び絶縁性セラミックス粒子)が同様に押し込まれ、軟磁性粉末粒子間の隙間に二硫化モリブデン(及び/又は絶縁性セラミックス粒子)が分散する表層部が形成される。このような健全な表面を有する圧粉磁心を高周波の下で使用すると、上記のように圧粉磁心表面の絶縁性が確保されているので、誘導電流が圧粉磁心の表面に集中して流れても、渦電流損Wを効果的に抑制できる。
型孔の内面に形成される潤滑被膜に含有される二硫化モリブデン粒子(及び/又は絶縁性セラミックス粒子)の量が多くなると、形成される圧粉体側面の軟磁性粉末粒子間に押し込みきれない余剰の二硫化モリブデン粒子(及び/又は絶縁性セラミックス粒子)は圧粉体側面に位置し、圧粉体の表層部を二硫化モリブデン粒子(及び/又は絶縁性セラミックス粒子)が被覆する。本発明は、このように圧粉体の側面が二硫化モリブデン粒子及び絶縁性セラミックス粒子の少なくとも一方で被覆されていても良い。圧粉体側面を被覆する余剰の二硫化モリブデン粒子(及び/又は絶縁性セラミックス粒子)が圧粉磁心としての使用において障害になることはなく、必要に応じて除去可能である。潤滑被膜における二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)と潤滑油との配合バランス及び被膜の厚さが良好である限り、軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン粒子(及びセラミックス粒子)が好適に入り込んで塑性流動を抑制するので、圧粉体の寸法精度に悪影響を与えない限り、余剰の二硫化モリブデン粒子(及び/又は絶縁性セラミックス粒子)は許容される。
又、軟磁性粉末粒子間の隙間に分散する絶縁性セラミックス粒子の存在は、軟磁性粉末粒子間の絶縁性を向上させ、潤滑被膜から導入される絶縁性セラミックス粒子は、圧粉体の内部までは至らないので、圧粉磁心の側面は、表層部の比抵抗値が内部よりも高くなる。この表層部の比抵抗の高さは、高周波環境下で誘導電流が圧粉磁心の表面に集中して流れる状態において、特に効果的に渦電流損Wを抑制する。
従来製法においては、型孔からの押し出し時の摩擦抵抗による軟磁性粉末粒子の塑性流動は、圧粉体側面の最表面において最も強く起こり、摩擦抵抗の影響は、概して、最表面からの深さが20μm程度迄の領域に及ぶ。しかし、本発明に従って二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)を含有する潤滑被膜を内面に形成した型孔を用いると、圧粉体側面の表面において二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が軟磁性粉末粒子を支持することによって、表面における塑性流動が抑制され、これに伴って、摩擦抵抗の影響が内部へ及ぶことも抑制される。従って、圧粉磁心の側面において二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が分散する表層部の深さは、表面から1〜100μm程度であれば、軟磁性粉末粒子の塑性流動を抑制する効果は良好であり、最大でも1mm程度迄の深さがあれば十分である。又、上述のような潤滑被膜を内面に形成した型孔を用いて圧縮成形すれば、このような二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が分散する表層部が圧粉体側面に形成される。又、高周波環境下での圧粉磁心において誘導電流が集中する表面領域の深さは周波数に依存するが、少なくとも1kHz〜50kHz程度の周波数においては、上述のような表層部の深さにおいて絶縁性セラミックス粒子によって比抵抗値が高まることで、十分対応可能である。
圧粉体において軟磁性粉末粒子の塑性流動が起こるのは圧粉体の側面であるので、上述の潤滑被膜は、少なくとも型孔の内面に形成すればよく、圧粉体の少なくとも側面において、軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が分散する表層部が形成されればよい。従って、圧粉体の上面及び下面を形成する上下パンチに上述の組成の潤滑被膜を形成する必要はない。しかし、上下パンチに二硫化モリブデン及び/又は絶縁性セラミックス粒子を含有する潤滑被膜を形成して圧粉体を圧縮成形してもよく、この場合、圧粉体の上下面にも二硫化モリブデン及び/又は絶縁性セラミックス粒子が分散した表層部が形成され、上下面の最表面において軟磁性粉末粒子が潰されて互いに接することが防止される。
このような圧粉体の側面の表層部において、二硫化モリブデン粒子及び絶縁性セラミックス粒子は、軟磁性粉末粒子の周囲を取り囲んで拘束し、隣接する軟磁性粉末粒子同士が不連続の状態になると、隣接する軟磁性粉末粒子同士の導通が完全に防止される。つまり、この不連続性が高いほど、この領域の比抵抗が向上し、圧粉磁心として好ましい。又、軟磁性粉末粒子の拘束が強固になり、組成変形の防止効果が高くなる。
圧粉磁心として好ましい圧粉体は、EPMAによる成分マップに基づく側面の表面観察において、軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が介在する表層部を確認できる。絶縁性セラミックス粒子を用いる場合、二硫化モリブデン粒子及び絶縁性セラミックス粒子の軟磁性粉末に対する親和性に配慮することは重要である。二硫化モリブデン粒子及び絶縁性セラミックス粒子の軟磁性粉末に対する親和性に差がなければ、これらは、圧粉成形時に軟磁性粉末粒子間に同等に浸入し、成分マップにおいても、軟磁性粉末粒子間の隙間に混在するので、二硫化モリブデン粒子又は絶縁性セラミックス粒子の何れかの面積率によって表面層の状態を評価できる。これに対して、軟磁性粉末に対する親和性が、絶縁性セラミックス粒子と二硫化モリブデン粒子とで異なる場合、親和性の高い粒子が軟磁性粉末粒子を被覆し、その周囲に親和性の低い粒子が存在することにより、成分マップにおいては、親和性の低い粒子が軟磁性粉末粒子間の間隙に相当する領域に偏在し、親和性の高い粒子は、軟磁性粉末の領域及びそれを囲む近傍域に偏在する。従って、圧粉体側面の表層部における軟磁性粉末粒子間の介在粒子を評価するには、軟磁性粉末に対する親和性が低い粒子の面積率に基づいて評価する方が適正と見なされる。このような親和性の相違は、軟磁性粉末の粒子表面に形成される絶縁被膜の種類、及び、絶縁性セラミックス粒子に施される表面改質の有無及び種類に起因するものが大きい。
上記の点を考慮して、軟磁性粉末粒子が存在しない部分に存在する二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子の面積率(つまり、軟磁性粉末成分が検出されない領域に検出される二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子の成分の面積の、撮影画像面積に対する百分率)が30%程度以上であると良い。側面の表面観察における二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子の面積率が30%を下回ると、介在粒子による軟磁性粉末粒子の塑性変形防止の効果が不十分となり、軟磁性粉末の塑性流動が生じて、隣接する軟磁性粉末の導通が発生する虞がある。尚、圧粉体側面の表面における二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子の面積率が大きくなるに従って、表面における軟磁性粉末の占積率が低下するが、これはあくまで圧粉体表面の状態であり、表層部より深い圧粉体内部においては、圧縮度に応じて軟磁性粉末の占積率を所望の占積率まで高められる。従って、圧粉体側面の最表面における二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子の面積率に関して、特に上限はなく、前述したように、圧粉体側面が完全に二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子で覆われていてもよい。圧粉体側面が二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子の薄層で被覆されている場合、この薄層を除去して表層部の表面観察を行うと、軟磁性粉末粒子間に介在する絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子の面積率は、概して65%程度以下の範囲となる。
上記のように、二硫化モリブデン粒子及び絶縁性セラミックス粒子は、型孔の内面に形成される潤滑被膜から導入されるので、型孔の内面によって形成される圧粉体側面の表層部(つまり、表面及び表面近傍)のみに存在する。このような構造は、軟磁性粉末に二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子を配合した原料粉末の圧縮成形によっては得られない。軟磁性粉末に二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子を添加して圧縮成形すると、原料粉末の流動性が低下して金型装置のキャビティへの原料粉末の充填性が低下し、また、原料粉末自体の圧縮性が低下することとなり、圧粉磁心を高い密度に成形することが難しくなる。強制的に高密度に成形しても、圧粉体全体に分散する二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子の存在によって圧粉磁心中の軟磁性粉末の占積率が低下して磁束密度が低下する。従って、型孔の内面に潤滑被膜を形成することによって圧粉体側面の表層部のみに二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)を分散させる本発明の構成は、圧粉体内部には絶縁性セラミックス粒子を分散させないように構成できるので、高密度圧縮成形において非常に有利である。
本発明に係る磁心用圧粉体の原料について説明する。尚、以下の記載において、粉末の粒径は、μm単位の粉末についてはレーザー回折法による平均粒径、nm単位の粉末についてはTEM観察による平均粒径を意味するものとする。
軟磁性粉末としては、軟質な粉末及び硬質な粉末の何れを用いても良く、純鉄、Fe−Si合金、Fe−Al合金、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金等の鉄合金を含む鉄系金属の粉末が使用でき、磁束密度の高さや成形性等の点では純鉄粉が優れている。高周波用に適した高密度圧粉磁心を得る上で、粒径が1〜300μm程度の軟磁性粉末が好ましい。本発明は、圧縮成形に際して塑性変形し易い軟質な軟磁性粉末を使用する場合に特に有効であり、鉄粉末、及び、Si、Al等の合金元素の添加量が3%以下の鉄系低合金粉末に対して最も効果がある。しかし、成形後の押し出しにおいてほとんど塑性変形しない硬質な軟磁性粉末を用いる場合にも有効であり、圧縮成形において軟磁性粉末粒子が破砕した時に、軟磁性粉末粒子の破砕片間に二硫化モリブデン粒子又は絶縁性セラミックス粒子が浸入して破砕片間に絶縁形成する効果がある。又、塑性変形し難いが破砕するほど硬くもない軟磁性粉末の場合でも、圧粉体側面の軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン粒子又は絶縁性セラミックス粒子が分散することで、圧粉体側面の比抵抗が向上する効果を得ることができる。軟磁性粉末粒子間に介在する二硫化モリブデン粒子は、特に静止摩擦を低減する潤滑性を型孔内面に対して発揮して、圧粉体の押し出しを容易にする効果がある。
又、個々の軟磁性粉末粒子の絶縁を確保するためには、軟磁性粉末粒子の表面を絶縁性の被膜を被覆することが好ましい。この場合、リン酸系化成被膜等の無機絶縁被膜や、シリコーン樹脂被膜等が好ましい。このような粒子表面の絶縁被膜は、従来法に従って化成処理や接触被覆によって形成すれば良く、例えば、日本特許4044591号公報や日本特許4927983号公報等の記載を参照することができる。又、市販の粉末製品から適宜選択して使用しても良く、例えば、ヘガネスAB社製のSomaloy110i(5P)や神戸製鋼所製MH20D等が挙げられる。
尚、樹脂等のバインダを軟磁性粉末に配合することによって個々の軟磁性粉末粒子の絶縁が確保される場合は、軟磁性粉末の粒子表面に絶縁被膜を形成しなくても良い。この場合、磁心用圧粉体として、樹脂等のバインダによって個々の軟磁性粉末粒子を結着した圧粉体が得られるが、バインダ量が増加すると、その分、軟磁性粉末の割合が低下し、圧粉体中の軟磁性粉末の占積率が低下して、圧粉磁心の磁束密度が低下することとなる。このため、バインダ量は、圧粉体の2質量%以下に調整すべきである。
次に、本発明に従って押型の型孔内面に形成される潤滑被膜の原料について説明する。
潤滑被膜に導入される粒子は、軟磁性粉末粒子間に分散して軟磁性粉末の塑性流動を防止すると共に、軟磁性粉末の電気的絶縁を行うものであるので、適度な硬さを有する粒子であること、及び、導電性を示さないもの(絶縁性)であること、が必要である。このためには、二硫化モリブデン及び絶縁性セラミックス粒子が好適である。
二硫化モリブデンは、潤滑被膜に導入される粒子としての硬さ及び導電性の要件を満たし、軟磁性粉末の塑性流動を防止し、軟磁性粉末の電気的絶縁を維持する役割を果たす。更に、二硫化モリブデン粒子は、固体潤滑剤として機能し、応力緩和能が高い潤滑性材料である。二硫化モリブデンの硬度(ビッカース硬度:500〜900HV程度)は、比較的硬度の低いセラミックスと同程度であり、摩擦抵抗による応力に抗して軟磁性粉末粒子を支持して塑性流動を抑制することができる。破断歪みはゼロであるので、過大な応力に対しては、自ら劈開して軟磁性粉末粒子への応力を緩和する。絶縁性セラミックス粒子と共に使用すると、応力を受けた際に、概して、絶縁性セラミックス粒子に先んじて劈開する。
二硫化モリブデン粒子は、粗大であると、軟磁性粉末の絶縁を確保するために必要な粒子量が多量になると共に、個々の二硫化モリブデン粒子の質量が増加するため、型孔内面に形成した被膜から脱落し易くなる。このため、二硫化モリブデン粒子の大きさは、最大粒径が1000nm以下のものを用いることが好ましい。その一方で、過度に微細な二硫化モリブデン粒子は、その製造及び取扱いが難しくなることから、最大粒径が10nm以上である粉末を用いることが好ましい。
絶縁性セラミックス粒子としては、酸化物系、窒化物系、炭化物系等のセラミックス粒子を用いることができ、酸化物系セラミックス粒子としては、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、二酸化珪素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、ステアタイト(MgO・SiO)、ジルコン(ZrSiO)、フェライト(M2+O・Fe)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(2MgO・SiO)、イットリア(Y)等が挙げられる。窒化物系セラミックス粒子としては、窒化アルミニウム(AlN)、窒化チタン(TiN)、窒化珪素(Si)等の粉末が挙げられる。炭化物系セラミックス粒子としては、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)等の粉末が挙げられる。その他に、サイアロン(Si−Al−O−N系化合物)等の酸窒化物セラミックス粒子、炭窒化チタン(TiCN)等の炭窒化物セラミックス粒子、コーディエライト粒子、マシナブルセラミックス(SiO・Al、AlN・BN)粒子なども用いることができる。このようなセラミックスは、降伏応力が2000〜10000MPa程度の値を示し、200〜2000MPa程度の低合金鋼等より大きいので、摩擦抵抗による応力に抗して軟磁性粉末粒子を支持し、塑性流動を抑制することができる。更に、200〜1800程度の適度な硬さ(ビッカース硬度)を有し、破断歪みがゼロであるので、過大な応力に対しては、脆性破壊により自ら破断して軟磁性粉末粒子への応力を分散し、緩和する。なお、絶縁性セラミックス粒子は、後述するように微細なものが適しているが、微細な粉末は、粉塵爆発の虞が大きくなるため、この点に関しては、十分に酸化された状態であって粉塵爆発の虞が小さい酸化物系の絶縁性セラミックスを用いることが好ましい。又、上述のようなセラミック粒子から異なる種類を複数選択して混合し、絶縁性セラミックス粒子として用いても良い。
絶縁性セラミックス粒子は、粗大であると、軟磁性粉末の絶縁を確保するために必要な絶縁性セラミックス粒子が多量になると共に、個々の絶縁性セラミックス粒子の質量が増加するため、型孔内面に形成した被膜から脱落し易くなる。又、粗大な絶縁性セラミックス粒子が型孔内面と充填した軟磁性粉末との間に存在する状態で圧縮を完了した圧粉体を型孔から押し出そうとすると、粗大な絶縁性セラミックス粒子が型孔内面を摩滅して摩耗を進行させ、又、自己破断による応力緩和が有効に作用し難いために、軟磁性粉末粒子の変形を十分に抑制できない。又、軟磁性粉末表面に絶縁被膜が被覆されている場合に絶縁被覆の破壊が生じる虞がある。更に、押型及び軟磁性粉末の摩滅により生じた摩耗粉が圧粉体表面に凝着して、隣接する軟磁性粉末粒子を接合させる事態が生じ、軟磁性粉末粒子間の絶縁破壊を招く虞がある。このため、絶縁性セラミックス粒子の大きさは、最大粒径が1000nm以下のものを用いることが好ましい。その一方で、過度に微細な絶縁性セラミックス粒子は、その製造及び取扱いが難しくなることから、最大粒径が50nm以上である粉末を用いることが好ましい。
上述の二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が分散する表面層を側面に有する軟磁性粉末の圧粉体は、以下のようにして製造することができる。
先ず、本発明の磁心用圧粉体の製造方法においては、金型装置のキャビティを規定する面、特に型孔の内面に、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)と潤滑油とを含有する潤滑組成物を塗布して潤滑被膜を形成した後、軟磁性粉末を含む原料粉末を金型装置のキャビティに充填する。このとき、キャビティに充填された原料粉末は、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が分散する潤滑油を介して型孔と接触する。
次いで、上パンチを用いて原料粉末を圧縮成形すると、軟磁性粉末の圧縮に伴って潤滑油、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が軟磁性粉末の粒子間に浸入し、軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が介在する。さらに原料粉末の圧縮が進行すると、軟磁性粉末粒子間の距離が小さくなり、軟磁性粉末粒子間に浸入した潤滑油の殆どが、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)の一部と共に押し出されて、圧粉体と型孔内面の隙間に戻るが、残部の二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)は、微量の潤滑油と共に軟磁性粉末粒子間に残留する。絶縁性セラミックス粒子を使用する場合、絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子の軟磁性粉末に対する親和性に差があると、圧縮成形の間に、親和性の高い粒子が軟磁性粉末粒子の表面近傍に偏在し、親和性の低い粒子が軟磁性粉末粒子間の間隙に集中する傾向が生じる。圧縮成形が完了した後の圧粉体の側面、つまり、型孔に接触する圧粉体の表面は、軟磁性粉末の粒子間に二硫化モリブデン粒子及び/又は絶縁性セラミックス粒子が分散する状態となる。
このように型孔内面に接触する圧粉体の側面において軟磁性粉末の粒子間に二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が分散する状態で、圧縮が完了した圧粉体を押し出すと、圧粉体と型孔内面とが潤滑油及び二硫化モリブデン粒子を介して接触しているため、潤滑油及び二硫化モリブデン粒子の潤滑作用によって押し出し抵抗が低減され、圧粉体を容易に抜き出すことができる。又、このとき、型孔内面と接触する軟磁性粉末が摩擦抵抗によって塑性変形しようとするが、軟磁性粉末の粒子間に介在する二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)の適度な硬さによって軟磁性粉末粒子が支持されて軟磁性粉末の塑性変形が阻止され、摩擦抵抗が大きくなると介在粒子の破断及び劈開によって応力が緩和されるので、圧粉体の抜き出しを行う間、型孔内面と接触する軟磁性粉末の塑性流動を防止することができる。このように、上述のような潤滑被膜を型穴内面に設けた押型及びこれを有する金型装置は、圧粉体の押し出し時に摺接面における粒子の塑性流動を抑制でき、圧粉磁心製造用押型及び金型装置として好適である。
型孔内面に潤滑被膜を形成する際に用いる潤滑組成物について説明する。
潤滑組成物は、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)と潤滑油とを混合した混合物であり、そのままの状態で、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)と潤滑油とを含有する潤滑被膜を形成することができる。潤滑組成物において、潤滑油は、固体物質の分散媒体として機能し、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)を緩やかに結合して被膜を形成可能な半固体状又は高粘性液状に調製する。従って、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)を分散した潤滑油(つまり、潤滑組成物)を型孔表面に塗布することによって、流動可能な潤滑被膜が形成され、型孔表面に二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が配置される。更に、潤滑被膜における潤滑油は、それ自身の潤滑性によって、圧縮成形後の圧粉体を型孔から抜き出す際に、型孔内面と圧粉体側面との摩擦を軽減する。固体潤滑剤である二硫化モリブデン粒子は静止摩擦の低減に特に有効であるので、潤滑油の採用は、動摩擦の低減に有効であるように特化する観点から、粘度が低い液状の潤滑剤として潤滑油を選択するものであり、このような組み合わせによって、潤滑組成物は、圧粉体の押し出し時の摩擦低減に対する有効性が高まる。又、液状の潤滑油は、軟磁性粉末の隙間に毛細管力によって吸収され易く、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)を軟磁性粉末の隙間に供給するキャリアとして機能する。このようなことから、粘度が高いグリースやワックスのような半固体状のものは好ましくなく、液状の潤滑油が使用される。潤滑油は、原油を精製した鉱油系と、化学プロセスにより製造される合成油系の二種類に大別され、何れであってもかまわないが、安価で広く使用される鉱油系の潤滑油は利用し易い。
潤滑油が液状であっても、粘度が大きすぎると、二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)を供給するキャリアとして機能し難しくなる。このため、潤滑油の粘度は100000mm/s以下であることが好ましい。但し、潤滑油の動粘度が低すぎると、型孔表面に被膜を留めることができずに流下するので、所望の潤滑被膜を形成することが難しくなる。このため、液状潤滑油の粘度は、1000mm/s以上とすることが好ましい。
潤滑油は、増粘剤等の粘度調整剤を配合することによって粘度を調節できるので、上記のような動粘度を示すように適宜増粘剤を添加して使用することができる。又、潤滑油中に二硫化モリブデン粒子を均一に分散するために、分散剤を添加することができる。更に、高分子ポリマー等のような添加剤も使用しても良い。このような添加剤は、一般的に利用されるものから適宜選択して使用すれば良い。
型孔内面に形成される潤滑被膜は、二硫化モリブデン粒子の割合が、絶縁性セラミックス粒子を使用しない場合は潤滑油と二硫化モリブデン粒子の合計量に対して、絶縁性セラミックス粒子を使用する場合は潤滑油と絶縁性セラミックス粒子と二硫化モリブデン粒子の合計量に対して30〜80質量%、好ましくは50〜80質量%、より好ましくは70〜80質量%である組成を有することが好ましい。二硫化モリブデン粒子の割合が30質量%未満であると、型孔内面と圧粉体側面との間で二硫化モリブデン粒子によって与えられる潤滑性が不足し、圧粉体の押し出し抵抗を十分に低減できなくなって、軟磁性粉末粒子の塑性流動を抑制し難くなる。一方、二硫化モリブデン粒子の割合が80質量%を超えると、相対的に潤滑油の量が乏しくなるので、被膜形成能が不足して粒子成分を型孔内面に均質に定着させることが難しくなり、軟磁性粉末粒子間へ粒子成分を導入するキャリアとしての機能が低下する。又、型孔内面と軟磁性粉末の間の潤滑、特に動摩擦に対する潤滑が不足して型カジリが生じ易くなり、軟磁性粉末の塑性流動を招く。従って、型孔内面へ潤滑被膜を形成する際に用いる潤滑組成物は、潤滑油と二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)との合計量に対して二硫化モリブデン粒子の割合が30〜80質量%となるように調製することが好ましい。
絶縁性セラミックス粒子を用いる場合、型穴内面に形成される潤滑被膜は、潤滑油と絶縁性セラミックス粒子と二硫化モリブデン粒子の合計量に対して、絶縁性セラミックス粒子の割合が1〜10質量%であり、二硫化モリブデン粒子の割合が30〜80質量%である組成を有することが好ましい。絶縁性セラミックス粒子の割合が1質量%未満であると、絶縁性セラミックス粒子を軟磁性粉末粒子間に効果的に介在させることが難しくなり、圧粉磁心側面の表面における比抵抗の向上が困難になる。但し、圧粉磁心の使用周波数領域において渦電流損の増加の懸念がない場合は、1質量%未満の使用も許容される。一方、絶縁性セラミックス粒子の割合が10質量%を超えると、型孔内面と圧粉体との間に存在する絶縁性セラミックス粒子が過剰になって、型孔内面及び軟磁性粉末粒子の表面を摩滅する。又、絶縁被膜で表面を被覆した軟磁性粉末の場合、絶縁被膜を破壊し易くなる。更に、硬質分が多いことによる金型の摩耗が懸念され、大量生産時に障害となる可能性がある。従って、型孔内面へ潤滑被膜を形成する際に用いる潤滑組成物は、潤滑油と絶縁性セラミックス粒子と二硫化モリブデン粒子の合計量に対して絶縁性セラミックス粒子の割合が1〜10質量%となるように調製する。
潤滑組成物の調製に際し、増粘剤を使用する場合は、増粘剤を添加した状態の潤滑油の質量に基づいて配合割合を決定する。分散剤を使用する場合は、二硫化モリブデン粒子に対して1〜10質量%となる使用量であることが好ましい。その他の添加剤については、二硫化モリブデン粒子に対して1〜10質量%となる使用量であることが好ましい。調製に当たっては、潤滑油に、必要に応じて使用される添加剤を加えて均一に混合し、これに二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)を添加混合して均一に分散させることにより、良好に調製できる。
金型装置の型孔内面に形成される潤滑被膜は、厚さが1〜20μm程度であることが好ましい。厚さが1μmより薄いと、潤滑油の量が不足して、成形された圧粉体と型孔内面との摩擦を充分に低減できなくなり、軟磁性粉末の塑性流動が生じ易くなる。同時に、二硫化モリブデン粒子の量も不足して、軟磁性粉末の塑性流動が生じ易くなる。又、製造する圧粉体の軸方向の長さが長い場合には、押し出し時の移動距離が長くなることによって、カジリや金型への凝着も発生し易くなる。一方、潤滑被膜の厚さが過大となると、成形される圧粉体の寸法がその分小さくなり、寸法精度が悪化することとなる。又、型孔とパンチとのクリアランスも大きくする必要が生じる。このため、潤滑被膜の厚さは1〜20μm程度とすることが好ましい。
絶縁性セラミックス粒子として、カップリング剤によって表面の改質を行った絶縁性セラミックス粒子を使用すると、表面に有機性(親油性)が付与されるので、潤滑組成物を調製する際に、絶縁性セラミックス粒子を液媒中に均一に分散することが容易になり、絶縁性セラミックス粒子が均一に分散する均質な潤滑被膜を型孔内面に形成する上で効果的である。カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を用いることができ、これらのカップリング剤は、複合して用いても良い。シラン系カップリング剤を用いた場合は、絶縁性セラミックス粒子の表面にSiを含有する化合物で表面処理層が形成される。アルミネート系カップリング剤を用いた場合は、絶縁性セラミックス粒子の表面にAlを含有する化合物で表面処理層が形成される。又、チタネート系カップリング剤等を用いた場合、絶縁性セラミックス粒子の表面にTiを含有する化合物で表面処理層が形成される。カップリング剤による表面改質は、公知の処理方法に従って適宜施すことができ、例えば、シラン系カップリング剤による表面改質としては、直接処理法(乾式、湿式)、インテグラルブレンド法、プライマー型の処理法等がある。又、市販される粉末製品の中から表面改質された絶縁性セラミックス粒子を適宜選択して用いても良い。このような有機性の表面処理層は、絶縁被膜でもある。圧粉原料として用いる圧粉磁心用粉末は、無機系のリン酸被膜や有機系のシリコーン被膜で被覆されたものが一般的であり、このような圧粉原料に対して、カップリング材等で表面改質を施した絶縁性セラミックス粒子を用いると、圧縮成形時に絶縁性セラミックス粒子と軟磁性粉末粒子との接触が容易になる。つまり、絶縁性セラミックス粒子の表面改質は、潤滑油に対する分散性の向上に有効であるだけでなく、軟磁性粉末粒子への親和性、付着性の向上にも有用である。特に、軟磁性粉末が、粒子表面にシリコーン樹脂系の絶縁被膜を有する場合、表面をシラン系カップリング剤で改質した絶縁性セラミックス粒子を使用すると、互いの親和性が高いので、圧縮成形時に軟磁性粉末粒子の表面を絶縁性セラミックス粒子が被覆したり表面に吸着し易くなるので、軟磁性粉末粒子の絶縁性が高まり、又、型孔内面と軟磁性粉末粒子との直接接触も減少する。この時、軟磁性粉末に対する親和性が絶縁性セラミックス粒子より低い二硫化モリブデン粒子は、軟磁性粉末粒子間の間隙に集中して存在し易くなり、間隙で劈開しながら潤滑する。又、軟磁性粉末粒子に絶縁性セラミックス粒子が吸着することによって、圧粉体の金型との摺接面における絶縁状態を維持、向上できるので、摺接面の絶縁性劣化に起因する圧粉磁心の渦電流損の増加を抑制することができる。このように、軟磁性粉末粒子の表面性状に応じて、好適な表面改質を行った絶縁性セラミックス粒子を使用すると、本発明の有効性は格段に高まる。
上記のように、本発明の磁心用圧粉体の製造方法においては、金型装置の型孔内面に形成される流動性の潤滑被膜に含まれる潤滑油及び二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)によって、成形された圧粉体を型孔から押出す際の摩擦抵抗が低減し、軟磁性粉末粒子の変形及び塑性流動が抑制されるので、原料粉末自体に成形潤滑剤を添加する必要はない。この点は、成形後の圧粉体中の軟磁性粉末の占積率を高める上で有利であり、原料粉末に成形潤滑剤を添加することによって生じる原料粉末の流動性の低下や、キャビティへの充填性の低下、成形潤滑剤自体が占める容積による軟磁性粉末の占積率の低下を回避することができる。
尚、上記の絶縁性セラミックス粒子は低透磁率を有するので、本発明においては、原料粉末に絶縁性セラミックス粒子を含有することを排除するものではない。つまり、圧粉体の気孔中に絶縁性セラミックス粒子が分散することで、圧粉磁心として使用した際に、磁気ギャップを分散させて恒透磁率の圧粉磁心となる。但し、この場合、過剰の絶縁性セラミックス粒子によって原料粉末の流動性や成形性を損なって高密度圧縮が困難にならないように、又、圧縮される軟磁性粉末の粒子間に潤滑被膜から絶縁性セラミックス粒子を受け入れる余地を失わないように、原料粉末中に添加する絶縁性セラミックス粒子の量を調節することが望ましい。この点から、原料粉末に絶縁性セラミックス粒子を添加する場合は、絶縁性セラミックス粒子の添加量を、原料粉末に対して1.5体積%以下となるように制限して、成形される軟磁性粉末の粒子間に、充分な量の絶縁性セラミックス粒子が型孔内面の潤滑被膜から入り込む余地が与えられるようにすることが好ましい。
以上のようにして成形された磁心用圧粉体は、目的に応じて、更に熱処理を行ってもよい。例えば、磁心用圧粉体がバインダとして熱硬化性樹脂を含有する場合に、熱硬化性樹脂の硬化温度まで加熱する熱処理を行うことができる。或いは、磁心用圧粉体がバインダとして熱可塑性樹脂を含有する場合に、熱可塑性樹脂の軟化温度まで加熱する熱処理を行うことができる。又、バインダの有無にかかわらず、圧粉磁心としての使用時のヒステリシス損の向上を図るために、磁心用圧粉体の軟磁性粉末に蓄積された圧縮歪みを開放する焼鈍熱処理を行う場合があるが、このような熱処理を行うことも可能である。このような熱処理は、従来法に準じて行えば良い。上述のような熱処理を行うと、潤滑油は、熱処理の昇温過程で分解し消失する。又、潤滑油や二硫化モリブデンは、圧粉磁心に一般的に施される熱処理の温度領域において、鉄基素地中へ拡散することはないので、得られる圧粉磁心の磁気特性に与える影響は少ない。
又、圧縮成形した磁心用圧粉体を熱処理せず、そのまま圧粉磁心として用いることも可能である。この場合、潤滑油は消失しないので、圧粉磁心の側面の表面に付着したまま残留する。残留する潤滑油を除去する場合には、圧粉体表面を溶媒で洗浄したり、圧粉体を溶媒中に浸漬する等によって、潤滑油は溶媒中に溶解し、圧粉体の表層部から容易に除去できる。
上記のように製造することによって、成形された磁心用圧粉体は、軟磁性粉末の粒子間に押し込まれて表面に二硫化モリブデン粒子(及び絶縁性セラミックス粒子)が分散するので、型孔から圧粉体を押し出す際の摩擦抵抗による軟磁性粉末の塑性流動が抑制されて、軟磁性粉末粒子同士の導通が防止できる。従って、従来製法によって得られる圧粉体において軟磁性粉末粒子が塑性流動して導通した表層部を除去するために行われる酸洗、切削加工等の工程は、本発明においては不要である。また、製造された磁心用圧粉体の側面において、表層部の軟磁性粉末の粒子周囲に二硫化モリブデン(及び絶縁性セラミックス粒子)が配置されるので、側面の表面における絶縁性が強化され、鉄損の増加を抑制する上で好適である。
<実施例1>
(潤滑組成物の調製)
潤滑油として、増粘剤(成和化成社製SOLGAM SH 210)を用いて動粘度を表1の各値に調整した鉱油(エクソンモービル社製ヌトーH32)を用意した。
潤滑油及び二硫化モリブデン粒子(粒径:0.5μm)の合計量に対する二硫化モリブデン粒子の割合が表1に記載される割合になるように配合して均一に分散させ、試料番号A1〜A19の潤滑組成物を調製した。
(圧粉体の成形)
内径が20mmの円筒形型孔を有する押型に下パンチを嵌合して成形用キャビティを構成し、型孔の内径面に、上述で調製した試料番号A1〜A19の潤滑組成物の1つを塗布して(塗布量:0.1cc)乾燥することによって、型孔の内径面に、厚さが20μm程度の潤滑被膜を形成した。
原料粉末として、表面を絶縁被覆された鉄基軟磁性粉末(ヘガネスAB社製Somaloy110i(5P))、粒度分布における主たる粒分:45〜75μm)を用意し、上述で潤滑被膜を形成した型孔に60gを投入して、上パンチを用いて1200MPaの成形圧で原料粉末を圧縮成形し、押し出すことによって、試料番号A1〜A19の円柱状の圧粉体を得た。アルキメデス法にて圧粉体の密度を測定して、圧粉体の密度比を計算した。結果を表1に示す。
(圧粉体側面の表面観察)
得られた圧粉体の側面をEPMA装置を用いて観察し、側面の成分マップにおける二硫化モリブデン粒子の面積率(%)を調べた。面積率は、倍率が100倍の撮影画像を画像解析ソフト(Quick grain standard)を用いて解析(閾値:RGB:160)することによって測定した。更に、圧粉体側面における軟磁性粉末粒子の状態を評価するために、側面のSEM像において軟磁性粉末粒子の接合の有無を調べた。接合の有無は、SEM像における摺動痕の有無により判定すると共に、EPMAによる成分マップにおいて、Fe元素の流動の有無、つまり、軟磁性粉末の粒子間にFe元素が検出されるか否かにより判定した。すなわち、摺動痕が確認される場合、明らかな軟磁性粉末の接合が生じる。また、明確な摺動痕が確認されない場合であっても、軟磁性粉末の粒子間においてFe元素が検出される場合は、軟磁性粉末の塑性流動が生じるので、接合が生じているものと考えられる。このようして調べた軟磁性粉末の接合の有無の判断結果を表1に示す。
又、比較のために、押型潤滑剤としてエチレンビスステアリン酸アミドを型孔内面に塗布し、この型孔を用いて上述の鉄基軟磁性粉末を同様に成形して圧粉体を成形した。この圧粉体の側面のSEM像及び成分マップを図3に、試料番号A5の圧粉体のSEM像及び成分マップを図4に示す。
表1の試料番号A3〜A8の結果によれば、型孔内面に鉱油と30〜80質量%の二硫化モリブデン粒子とからなる潤滑被膜を形成することによって、軟磁性粉末粒子間に二硫化モリブデン粒子が介在して、圧粉体の押し出し時に軟磁性粉末の塑性流動が抑制できることがわかる。又、試料番号A11〜A18の結果から、潤滑油は、動粘度が1000〜100000mm/s程度のものを使用するとよいことが判る。試料番号A10では、型孔内面の潤滑被膜が液だれを起こしたことで、圧粉体への二硫化モリブデン粒子の導入量が少なくなったと考えられ、試料番号A19では、潤滑油の粘性が高いために二硫化モリブデン粒子が軟磁性粉末粒子間へ浸入し難いと考えられる。
図3によれば、二硫化モリブデン粒子を使用していない圧粉体側面には、軸方向に沿ったスジがSEM像に現れており、型孔内面とのカジリが生じていることが判る。又、成分マップにおいて、Feがマップ全面にわたって検出されることから、軟磁性粉末粒子間の空隙が埋められていることが判る。つまり、圧粉体側面の軟磁性粉末粒子が潰れて塑性流動が明らかに生じている。これに対し、図4によれば、二硫化モリブデン粒子を使用した試料番号A5の圧粉体側面には、スジがSEM像に現れず、型孔内面とのカジリは生じずに良好な潤滑が得られている。又、成分マップにおいて、軟磁性粉末由来のFeが粒子形状に検出され、二硫化モリブデン粒子由来のMo及びSについては、Feの検出されない部分において検出されている。つまり、軟磁性粉末粒子間の空隙に二硫化モリブデン粒子が充填されて軟磁性粉末粒子の塑性流動が抑制され、粒子間の絶縁が保持されている。
尚、確認のために、試料番号A2,A3,A8及びA9の圧粉体の各々をコアとして、同一の巻数でコイルを巻回して、周波数:50kHz、磁束密度:0.1Tの同一条件下での渦電流損を測定して比較したところ、試料番号A2及びA9の圧粉体に比べて、試料番号A3及びA8の圧粉体における渦電流損は明らかに少なかった。
<実施例2>
(潤滑組成物の調製)
絶縁性セラミックス粒子として、酸化チタン粉末(粒径:100nm)、アルミナ粉末(粒径:200nm)、シリカ粉末(粒径:100nm)、窒化アルミニウム粉末(粒径:100nm)、窒化チタン粉末(粒径:800nm)及び炭化チタン粉末(粒径:1000nm)を用意した。これらの絶縁性セラミックス粒子は、シランカップリング剤(n−ブチルトリメトキシシラン)での表面改質による有機質被覆を有するものであった。又、潤滑油として、増粘剤(成和化成社製SOLGAM SH 210)を用いて動粘度を表2の各値に調整した鉱油(エクソンモービル社製ヌトーH32)を用意した。
潤滑油、絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子(粒径:0.5μm)の合計量に対する絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子の割合が、各々、表2に記載される割合になるようにこれらを配合して均一に分散させ、試料番号B1〜B28の潤滑組成物を調製した。
(圧粉体の成形)
内径が20mmの円筒形型孔を有する押型に下パンチを嵌合して成形用キャビティを構成し、型孔の内径面に、上述で調製した試料番号B1〜B28の潤滑組成物の1つを塗布して(塗布量:0.1cc)乾燥することによって、型孔の内径面に、厚さが20μm程度の潤滑被膜を形成した。
原料粉末として、表面を絶縁被覆された鉄基軟磁性粉末(ヘガネスAB社製Somaloy110i(5P))、粒度分布における主たる粒分:45〜75μm)を用意し、上述で潤滑被膜を形成した型孔に60gを投入して、上パンチを用いて1200MPaの成形圧で原料粉末を圧縮成形し、押し出すことによって、試料番号B1〜B28の円柱状の圧粉体を得た。アルキメデス法にて圧粉体の密度を測定して、圧粉体の密度比を計算した。結果を表2に示す。
(圧粉体側面の表面観察)
得られた圧粉体の側面を、EPMA装置を用いて観察し、側面の成分マップにおける二硫化モリブデン粒子の面積率(%)を調べた。面積率は、実施例1と同様に、倍率が100倍の撮影画像を画像解析ソフトを用いて解析することによって測定した。更に、圧粉体側面における軟磁性粉末粒子の状態を評価するために、側面のSEM像において軟磁性粉末粒子の接合の有無を調べた。接合の有無は、実施例1と同様に、SEM像における摺動痕の有無により判定すると共に、EPMAによる成分マップにおいて、Fe元素の流動の有無、つまり、軟磁性粉末の粒子間にFe元素が検出されるか否かにより判定した。このようして調べた軟磁性粉末の接合の有無の判断結果を表2に示す。
又、試料番号B4の圧粉体のSEM像及び成分マップを図5に示す。
試料番号B4の圧粉体の成分マップによると、酸化チタン粒子と二硫化モリブデン粒子とでは検出領域が異なり、酸化チタン粒子の検出領域は、軟磁性粉末粒子(Fe)の検出領域に対応し、二硫化モリブデン粒子の検出領域は、軟磁性粉末粒子間の間隙(Feが検出されない部分)に相当する領域にほぼ合致する。これは、軟磁性粉末粒子の表面の絶縁被覆が有機性被膜であり、使用した酸化チタン粒子がカップリング剤による有機性の表面改質を行ったものであることに起因すると考えられ、軟磁性粉末粒子と酸化チタン粒子の親和性が高いことによって、酸化チタン粒子が軟磁性粉末粒子の表面に局在し易く、二硫化モリブデン粒子は、軟磁性粉末粒子間の間隙に集中する傾向が生じると思われる。従って、圧粉体の表層部においては、軟磁性粉末粒子間には酸化チタン粒子及び二硫化モリブデン粒子の両方が介在するが、圧粉体の最表面においては、軟磁性粉末粒子表面を囲む二酸化チタン粒子が、軟磁性粉末粒子の検出領域に検出され、軟磁性粉末粒子間の間隙に相当する領域に集中して二硫化モリブデンが検出される。このことから、成分マップにおいて圧粉体の表層部を評価するに当たっては、二硫化モリブデン粒子(つまり、Mo及びS)の面積率を指標としている。
表2の試料番号B1〜B7及びB15〜B17の結果によれば、酸化チタン粒子1〜10質量%及び二硫化モリブデン粒子50〜80質量%を含有する潤滑被膜を型孔内面に形成することによって、軟磁性粉末粒子間に酸化チタン粒子及び二硫化モリブデン粒子が好適に導入されて、圧粉体表面における二硫化モリブデン粒子の面積率が30%以上になり、圧粉体の押し出し時に軟磁性粉末の塑性流動が抑制できることがわかる。又、試料番号B9〜B13の結果から、アルミナ粉末、シリカ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化チタン粉末及び炭化チタン粉末も絶縁性セラミックス粒子として同様に使用でき、軟磁性粉末粒子の塑性流動を抑制できることがわかる。
又、試料番号B19〜B28の結果から、潤滑油は、動粘度が1000〜100000mm/s程度のものを使用すると良いことが判る。試料番号B19では、型孔内面の潤滑被膜が液だれを起こしたことで、圧粉体への二硫化モリブデン粒子の導入量が少なくなったと考えられ、試料番号B28では、潤滑油の粘性が高いために二硫化モリブデン粒子が軟磁性粉末粒子間へ浸入し難いと考えられる。
前述したように、図3によれば、絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子を使用していない圧粉体では、側面の軟磁性粉末粒子が潰れて塑性流動が明らかに生じている。これに対し、図5によれば、絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子を使用した試料番号B4の圧粉体側面には、スジがSEM像に現れず、型孔内面とのカジリは生じずに良好な潤滑が得られている。又、成分マップにおいて、軟磁性粉末由来のFeが粒子形状に検出され、絶縁性セラミックス粒子由来のTiについては、Feの検出部分において検出されている。つまり、軟磁性粉末粒子の表面に酸化チタン粒子が密接する。これに対し、二硫化モリブデン粒子由来のMo及びSについては、Feの検出されない部分において検出されている。つまり、軟磁性粉末粒子間の空隙に二硫化モリブデン粒子が充填されている。
尚、確認のために、試料番号B1及びB28の圧粉体の各々をコアとして、同一の巻数でコイルを巻回して、周波数:50kHz、磁束密度:0.1Tの同一条件下での渦電流損を測定して比較したところ、試料番号B28の圧粉体に比べて、試料番号B1の圧粉体における渦電流損は明らかに少なかった。
<実施例3>
(潤滑組成物の調製)
絶縁性セラミックス粒子として、表面改質を施していない酸化チタン粉末(粒径:100nm)及びシリカ粉末(粒径:100nm)を用意した。又、潤滑油として、増粘剤(成和化成社製SOLGAM SH 210)を用いて動粘度を10000mm2/sに調整した鉱油(エクソンモービル社製ヌトーH32)を用意した。
潤滑油、絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子(粒径:0.5μm)の合計量に対する絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子の割合が、各々、5質量%及び50質量%になるようにこれらを配合して均一に分散させ、試料番号B29(酸化チタン粉末)及び試料番号B30(シリカ粉末)の潤滑組成物を調製した。
(圧粉体の成形)
内径が20mmの円筒形型孔を有する押型に下パンチを嵌合して成形用キャビティを構成し、型孔の内径面に、上述で調製した試料番号B29〜B30の潤滑組成物の1つを塗布して(塗布量:0.1cc)乾燥することによって、型孔の内径面に、厚さが20μm程度の潤滑被膜を形成した。
原料粉末として、表面を絶縁被覆された鉄基軟磁性粉末(ヘガネスAB社製Somaloy110i(5P))、粒度分布における主たる粒分:45〜75μm)を用意し、上述で潤滑被膜を形成した型孔に60gを投入して、上パンチを用いて1200MPaの成形圧で原料粉末を圧縮成形し、押し出すことによって、試料番号B29〜B30の円柱状の圧粉体を得た。アルキメデス法にて圧粉体の密度を測定して、圧粉体の密度比を計算した。密度比は、各々、93.3%(試料番号B29)及び93.4%(試料番号B30)であった。
(圧粉体側面の表面観察)
得られた圧粉体の側面をEPMA装置を用いて観察し、側面の成分マップにおける二硫化モリブデン粒子の面積率(%)を調べた。面積率は、実施例1と同様に、倍率が100倍の撮影画像を画像解析ソフトを用いて解析することによって測定した。更に、圧粉体側面における軟磁性粉末粒子の状態を評価するために、側面のSEM像において軟磁性粉末粒子の接合の有無を調べた。接合の有無は、実施例1と同様に、SEM像における摺動痕の有無により判定すると共に、EPMAによる成分マップにおいて、Fe元素の流動の有無、つまり、軟磁性粉末の粒子間にFe元素が検出されるか否かにより判定した。この結果、試料番号B29及び試料番号B30の圧粉体の何れにおいても、軟磁性粉末粒子の接合は無かった。
又、試料番号B29の圧粉体のSEM像及び成分マップを、図6に示す。これを図5の試料番号B4と比較すると、試料番号B29においては、絶縁性セラミックス粒子の構成成分(Ti)が、軟磁性粉末粒子を囲むような分布を示さない点において異なることが解る。つまり、絶縁性セラミックス粒子は、二硫化モリブデン粒子と同様に、軟磁性粉末粒子の間隙に集中的に分布する。従って、表面改質による有機質被覆がないために、軟磁性粉末に対する絶縁性セラミックス粒子の親和性が二硫化モリブデン粒子と同程度であり、圧粉時に二硫化モリブデンとの混合状態で軟磁性粉末粒子間に埋め込まれると理解される。尚、この点は、絶縁性セラミックス粒子としてシリカ粉末を使用した試料番号B30の圧粉体においても同様であることが確認されている。
更に、実施例1の試料番号A5、実施例2の試料番号B4及び実施例3の試料番号B29の圧粉体の各々をコアとして、同一の巻数でコイルを巻回して、周波数:50kHz、磁束密度:0.1Tの同一条件下で渦電流損を測定して比較したところ、試料番号B4の圧粉体における渦電流損が最も小さく、試料番号B29の圧粉体で2番目に小さかった。
本発明の圧粉磁心は、変圧器、リアクトル、サイリスタバルブ、ノイズフィルタ、チョークコイル等に適用することができ、又、モーター用鉄心、一般家電及び産業機器用のモーターのロータやヨーク、ディーゼルエンジン及びガソリンエンジンの電子制御式燃料噴射装置に組み込まれる電磁弁用のソレノイドコア(固定鉄心)等にも適用することができる。特に、高周波領域で使用されるリアクトル等への適用において有効性が高い。

Claims (12)

  1. 表面を被覆する絶縁被膜を有する軟磁性粉末が密度比91%以上に圧縮成形された圧粉体によって構成され、前記圧粉体の押し出し摺接面に、前記軟磁性粉末の粒子間に二硫化モリブデン粒子及び絶縁性セラミックス粒子が介在する構造の表層部を有し、前記表層部を除く前記圧粉体は、前記軟磁性粉末からなる圧粉磁心。
  2. 前記圧粉体の押し出し摺接面は、更に、絶縁性セラミックス粒子及び二硫化モリブデン粒子の少なくとも一方によって被覆される請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記絶縁性セラミックス粒子は、粒径が50〜1000nmであり、前記二硫化モリブデン粒子は、粒径が100〜1000nmである請求項1又は2に記載の圧粉磁心。
  4. 前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物セラミックス、炭窒化セラミックス及び酸窒化セラミックスからなる群より選択される少なくとも1種のセラミックスによって構成される粒子であり、前記酸化物セラミックスは、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化珪素、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、ステアタイト、ジルコン、フェライト、ムライト、フォルステライト及びイットリアからなる群より選択され、前記窒化物セラミックスは、窒化アルミニウム、窒化チタン及び窒化珪素からなる群より選択され、前記炭化物セラミックスは、炭化チタン及び炭化タングステンからなる群より選択される請求項1〜3の何れか1項に記載の圧粉磁心。
  5. 前記絶縁性セラミックス粒子は、Si、Al及びTiのうちの少なくとも1種の元素を含有する化合物で構成される被膜が表面に形成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の圧粉磁心。
  6. 前記押し出し摺接面の電子プローブ微小分析による成分マップにおいて、前記二硫化モリブデン粒子の面積率が30%以上である請求項1〜5の何れか1項に記載の圧粉磁心。
  7. 前記絶縁被膜は、シランカップリング剤及びシリコーン樹脂の少なくとも1種を含む請求項1〜6の何れか1項に記載の圧粉磁心。
  8. 潤滑油と、二硫化モリブデン粒子と、絶縁性セラミックス粒子とを含有し、
    前記絶縁性セラミックス粒子と前記二硫化モリブデン粒子と前記潤滑油との合計量に対して、1〜10質量%の割合で前記絶縁性セラミックス粒子を含有し、30〜80質量%の割合で前記二硫化モリブデン粒子を含有する、圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物。
  9. 前記絶縁性セラミックス粒子の粒径は、50〜1000nmであり、前記二硫化モリブデン粒子の粒径は、100〜1000nmである請求項8に記載の圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物。
  10. 前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物セラミックス、炭窒化セラミックス及び酸窒化セラミックスからなる群より選択される少なくとも1種のセラミックスによって構成される粒子である請求項8又は9に記載の圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物。
  11. 前記絶縁性セラミックス粒子は、シランカップリング剤、アルミネートカップリング剤及びチタネートカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種のカップリング剤によって表面が改質されている請求項8〜10の何れか1項に記載の圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物。
  12. 前記潤滑油の動粘度は、1000〜100000mm/sである請求項8〜11の何れか1項に記載の圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物。
JP2017170090A 2013-09-27 2017-09-05 圧粉磁心及び圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物 Active JP6489181B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013201344 2013-09-27
JP2013201341 2013-09-27
JP2013201341 2013-09-27
JP2013201344 2013-09-27

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015539285A Division JP6332278B2 (ja) 2013-09-27 2014-09-25 圧粉磁心、磁心用圧粉体の製造方法、圧粉磁心製造用の押型及び金型装置、並びに、圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018019085A true JP2018019085A (ja) 2018-02-01
JP6489181B2 JP6489181B2 (ja) 2019-03-27

Family

ID=52743416

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015539285A Active JP6332278B2 (ja) 2013-09-27 2014-09-25 圧粉磁心、磁心用圧粉体の製造方法、圧粉磁心製造用の押型及び金型装置、並びに、圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物
JP2017170090A Active JP6489181B2 (ja) 2013-09-27 2017-09-05 圧粉磁心及び圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015539285A Active JP6332278B2 (ja) 2013-09-27 2014-09-25 圧粉磁心、磁心用圧粉体の製造方法、圧粉磁心製造用の押型及び金型装置、並びに、圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物

Country Status (5)

Country Link
US (1) US9754710B2 (ja)
JP (2) JP6332278B2 (ja)
CN (2) CN108288530B (ja)
DE (1) DE112014004454T5 (ja)
WO (1) WO2015046282A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019134875A (ja) * 2018-02-05 2019-08-15 株式会社大一商会 遊技機
JP2019134874A (ja) * 2018-02-05 2019-08-15 株式会社大一商会 遊技機

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016152778A1 (ja) * 2015-03-20 2016-09-29 日立化成株式会社 押型法による成形体の成形方法
JP6478107B2 (ja) * 2015-03-30 2019-03-06 日立化成株式会社 圧粉磁心および該圧粉磁心を用いたリアクトル
CN106409458B (zh) * 2016-05-27 2018-08-17 慈溪市华夏电器实业有限公司 一种电机复合永磁材料及其制备方法
US11062844B2 (en) * 2016-08-08 2021-07-13 Hitachi Metals, Ltd. Method of producing R-T-B sintered magnet
CN108183012A (zh) * 2017-12-25 2018-06-19 郑州轻工业学院 一种提高铁基软磁复合材料压制密度的绝缘包覆处理方法
JP7124342B2 (ja) * 2018-02-28 2022-08-24 セイコーエプソン株式会社 絶縁物被覆軟磁性粉末、絶縁物被覆軟磁性粉末の製造方法、圧粉磁心、磁性素子、電子機器および移動体
JP2019192868A (ja) 2018-04-27 2019-10-31 セイコーエプソン株式会社 絶縁物被覆軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子、電子機器および移動体
CN108736590B (zh) * 2018-06-28 2019-06-18 欧络伊红铁芯(嘉兴)有限公司 一种耐静电高强插接型硅钢片及其制造方法
JP6882375B2 (ja) * 2019-06-06 2021-06-02 株式会社神戸製鋼所 圧粉磁心用混合粉末および圧粉磁心
CN110885235A (zh) * 2019-11-26 2020-03-17 深圳市岑科实业有限公司 一种应用于高频电感骨架的陶瓷瓷芯材料及其制备方法
JP7347354B2 (ja) * 2020-07-17 2023-09-20 トヨタ自動車株式会社 圧粉磁心の製造方法
CN112828795A (zh) * 2021-02-26 2021-05-25 佛山市中研非晶科技股份有限公司 一种磁芯工装治具
DE102021203308A1 (de) 2021-03-31 2022-10-06 Universität Stuttgart, Körperschaft Des Öffentlichen Rechts Verfahren zum Herstellen eines elektrischen Bauteils
CN113724994B (zh) * 2021-08-27 2022-03-25 广东泛瑞新材料有限公司 一种高密度合金磁芯及其制备方法
CN114042916B (zh) * 2022-01-13 2022-04-22 绵阳和一磁电有限公司 一种多极磁环渐进式的取向模具以及其取向方法
CN114999802B (zh) * 2022-05-27 2023-03-21 横店集团东磁股份有限公司 一种磁芯成型模具
CN114774915B (zh) * 2022-06-17 2022-10-21 安丘市翼鑫机械有限公司 一种转鼓过滤机刮刀用耐磨合金涂层的制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03269092A (ja) * 1990-03-16 1991-11-29 Daido Steel Co Ltd 冷・温間塑性加工用潤滑剤
JPH07176443A (ja) * 1993-12-20 1995-07-14 Daido Steel Co Ltd 異方性希土類磁石の製造方法
JP2001223107A (ja) * 2000-02-09 2001-08-17 Kobe Steel Ltd 軟磁性粉末の圧縮成形方法
JP2005129716A (ja) * 2003-10-23 2005-05-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 圧粉磁心
JP2007211874A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 Nsk Ltd 電動式リニアアクチュエータ
JP2009242700A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Jfe Steel Corp 冷間圧延用圧延油および冷間圧延方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6271531A (ja) * 1985-09-24 1987-04-02 Mitsubishi Metal Corp 超高圧高温発生装置
JPH05217777A (ja) 1992-01-31 1993-08-27 Hitachi Powdered Metals Co Ltd 圧粉磁心の製造方法
JP2003209010A (ja) 2001-11-07 2003-07-25 Mate Co Ltd 軟磁性樹脂組成物、その製造方法及び成形体
JP2004342937A (ja) 2003-05-16 2004-12-02 Hitachi Powdered Metals Co Ltd 圧粉磁心の成形方法
JP4630251B2 (ja) * 2006-09-11 2011-02-09 株式会社神戸製鋼所 圧粉磁心および圧粉磁心用の鉄基粉末
JP4044591B1 (ja) 2006-09-11 2008-02-06 株式会社神戸製鋼所 圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末およびその製造方法ならびに圧粉磁心
JP4721456B2 (ja) * 2007-03-19 2011-07-13 日立粉末冶金株式会社 圧粉磁心の製造方法
JP4850764B2 (ja) * 2007-03-19 2012-01-11 日立粉末冶金株式会社 圧粉磁心の製造方法
JP5368686B2 (ja) * 2007-09-11 2013-12-18 住友電気工業株式会社 軟磁性材料、圧粉磁心、軟磁性材料の製造方法、および圧粉磁心の製造方法
JP5321469B2 (ja) * 2007-12-10 2013-10-23 日立化成株式会社 粉末及びその製造方法
JP5417074B2 (ja) * 2009-07-23 2014-02-12 日立粉末冶金株式会社 圧粉磁心及びその製造方法
KR101493481B1 (ko) * 2010-03-26 2015-02-13 히다치 훈마츠 야킨 가부시키가이샤 압분자심 및 그 제조방법
JP4927983B2 (ja) 2010-04-09 2012-05-09 日立化成工業株式会社 圧粉磁心及びその製造方法
JP2013008762A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Panasonic Corp 複合磁性材料
JP5906054B2 (ja) 2011-10-14 2016-04-20 住友電気工業株式会社 圧粉成形体の成形方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03269092A (ja) * 1990-03-16 1991-11-29 Daido Steel Co Ltd 冷・温間塑性加工用潤滑剤
JPH07176443A (ja) * 1993-12-20 1995-07-14 Daido Steel Co Ltd 異方性希土類磁石の製造方法
JP2001223107A (ja) * 2000-02-09 2001-08-17 Kobe Steel Ltd 軟磁性粉末の圧縮成形方法
JP2005129716A (ja) * 2003-10-23 2005-05-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 圧粉磁心
JP2007211874A (ja) * 2006-02-09 2007-08-23 Nsk Ltd 電動式リニアアクチュエータ
JP2009242700A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Jfe Steel Corp 冷間圧延用圧延油および冷間圧延方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019134875A (ja) * 2018-02-05 2019-08-15 株式会社大一商会 遊技機
JP2019134874A (ja) * 2018-02-05 2019-08-15 株式会社大一商会 遊技機

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2015046282A1 (ja) 2017-03-09
CN105659337B (zh) 2018-04-10
JP6332278B2 (ja) 2018-05-30
WO2015046282A1 (ja) 2015-04-02
CN108288530A (zh) 2018-07-17
US9754710B2 (en) 2017-09-05
US20160240294A1 (en) 2016-08-18
CN105659337A (zh) 2016-06-08
JP6489181B2 (ja) 2019-03-27
CN108288530B (zh) 2020-06-09
DE112014004454T5 (de) 2016-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6489181B2 (ja) 圧粉磁心及び圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物
KR101345671B1 (ko) 압분 자심 및 그 제조방법
JP6322938B2 (ja) 圧粉磁心、磁心用圧粉体の製造方法、圧粉磁心製造用押型及び金型装置、並びに、圧粉磁心製造用押型の潤滑液
KR102016189B1 (ko) 압분 성형체의 성형 방법
JP6265210B2 (ja) リアクトル用圧粉磁心
CN102667977B (zh) 电抗器和电抗器的制造方法
JP5363081B2 (ja) 冶金用粉末、圧粉磁心、冶金用粉末の製造方法および圧粉磁心の製造方法
JP6043275B2 (ja) 軟磁性粉末
JP2012234872A (ja) 圧粉成形体の成形方法
JP4064711B2 (ja) 圧粉磁心用粉末および高強度圧粉磁心、並びにその製法
EP1758700A1 (en) Lubricants for insulated soft magnetic iron-based powder compositions
JP5778993B2 (ja) 圧粉成形体の成形方法
JP4627023B2 (ja) 軟磁性材料、圧粉磁心および圧粉磁心の製造方法
WO2012147461A1 (ja) 圧粉成形体の成形方法
CN107615411B (zh) 压粉磁芯用混合粉末以及压粉磁芯
JP2022094461A (ja) 圧粉磁心及びその製造方法
JP2009228108A (ja) 冶金用粉末および冶金用粉末の製造方法
EP3199264A1 (en) New composition and method
JP4353512B2 (ja) 圧粉磁心の成形方法
JP6882375B2 (ja) 圧粉磁心用混合粉末および圧粉磁心
JP5431490B2 (ja) 圧粉磁心の製造方法
WO2024080094A1 (ja) 圧粉磁心
JP4284042B2 (ja) 圧粉磁心
Miyahara Soft magnetic composite with improved iron losses

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180828

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181026

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190211

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6489181

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350