JP6322938B2 - 圧粉磁心、磁心用圧粉体の製造方法、圧粉磁心製造用押型及び金型装置、並びに、圧粉磁心製造用押型の潤滑液 - Google Patents

圧粉磁心、磁心用圧粉体の製造方法、圧粉磁心製造用押型及び金型装置、並びに、圧粉磁心製造用押型の潤滑液 Download PDF

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Description

本発明は、軟質磁気部品に用いられる圧粉磁心、磁心用圧粉体の製造方法、圧粉磁心製造用押型及び金型装置、並びに、圧粉磁心製造用押型の潤滑液に関し、特に、高周波領域での使用に適した圧粉磁心、磁心用圧粉体の製造方法、圧粉磁心製造用押型及び金型装置、並びに、圧粉磁心製造用押型の潤滑液に関する。
軟質磁性粉末を樹脂等のバインダで結着した圧粉磁心は、珪素鋼板等を用いて作製される積層磁心に比べて、作製時の材料歩留まりが良く、材料コストを低減することができるという利点を有している。また、形状自由度が高く、磁心形状の最適設計を行うことによって磁気特性を向上することが可能であるという利点も有している。このような圧粉磁心においては、有機バインダや無機粉末などの絶縁性物質と軟磁性粉末を混合したり、軟磁性粉末の表面に電気絶縁被膜を被覆したりして金属粉末間の電気絶縁性を向上させることにより、磁心の渦電流損を大幅に低減することができる。
このような利点から、圧粉磁心は、変圧器、リアクトル、サイリスタバルブ、ノイズフィルタ、チョークコイル等に使用され、また、一般家電のモータ用鉄心や産業機器用モータのロータやヨーク、更には、ディーゼルエンジン及びガソリンエンジンの電子制御式燃料噴射装置に組み込まれる電磁弁用ソレノイドコア(固定鉄心)等にも使用され、各種軟質磁気部品への適用が進んでいる。
圧粉磁心の成形方法は、製品形状を規定する金型内に軟磁性粉末を可塑性の原料とともに射出して成形する射出成形法(特許文献1等)と、金型のキャビティに軟磁性粉末及びバインダを含む原料粉末を充填して、上下パンチで圧縮成形する圧縮成形法(特許文献2、3等)に大別される。圧粉磁心の製品形状は成形工程において付与され、製品の用途に応じて採用する成形方法は使い分けられる。
上述の家庭用及び産業用の各種機器に対する近年の小型化・軽量化の要求の下、圧粉磁心については、磁束密度等の磁気特性向上の要求が大きくなってきている。圧粉磁心は、軟磁性粉末の占積率が磁束密度に比例するため、高い磁束密度の圧粉磁心を得るためには密度を高める必要がある。このため、多量のバインダを必要とする射出成形法に比べて、バインダ量を低減して軟磁性粉末の量を増加でき、高密度に成形できる圧縮成形法が、広く用いられている。
圧縮成形法による圧粉磁心の製造では、バインダ樹脂及び軟磁性粉末を含有する原料粉末あるいは表面に絶縁性被膜を有する軟磁性粉末からなる原料粉末を金型装置の押型の型孔に充填し、上下パンチにより圧縮する。このような圧縮成形法によって円柱状の磁心用圧粉体を成形するプロセスの具体例を図1に示す。図1に示す金型装置は、圧粉体の外周側面を内径面で規定する型孔1aを有する押型1と、圧粉体の下面を規定する下パンチ2と、圧粉体の上面を規定する上パンチ3とを備えている。このような金型装置を用い、図1(a)に示すように、押型1の型孔1aと下パンチ2とでキャビティを形成し、フィーダ4等の粉末供給手段を用いて原料粉末Mをキャビティに充填する。次いで、図1(b)に示すように、上パンチ3を降下させると共に、下パンチ2を押型1に対して相対的に上昇(本図の場合、押型1を降下)させて、キャビティ内に充填された原料粉末Mを上パンチ3と下パンチ2とで圧縮成形して圧粉体Cとする。この後、図1(c)に示すように、上パンチ3を上方に移動させて待機位置まで復帰させるとともに、下パンチ2を押型1に対して相対的に上昇(本図の場合、押型1をさらに降下)させて、圧粉体Cを押型1の型孔1aから抜き出す。
特開2003−209010号公報 特開2004−342937号公報 特開平05−217777号公報
圧粉磁心の鉄損Wは、渦電流損Wとヒステリシス損Wの和であり、渦電流損W及びヒステリシス損Wは、各々、下記数1及び下記数2の式で示されるから、鉄損Wは、下記数3の式のように示される。尚、式中、fは周波数、Bは励磁磁束密度、ρは固有抵抗値、tは材料の厚み、k,kは係数である。
(数1)
=(k /ρ)f
(数2)
=k 1.6
(数3)
W=W+W=(k /ρ)f+k 1.6
数1〜3の式から明らかなように、渦電流損Wは、周波数fの二乗に比例して大きくなることから、高周波領域において使用されるリアクトル等に圧粉磁心を適用するには、渦電流損Wの抑制が不可欠である。渦電流損Wを抑制するためには、渦電流を小領域に閉じこめる必要がある。このため、圧粉磁心においては、個々の軟磁性粉末粒子が絶縁されるように構成することで、渦電流損Wの抑制を図る。従って、軟磁性粉末の粒子同士が連通すると、連通した箇所を通して大きな渦電流が発生するので、個々の軟磁性粉末粒子の絶縁の確保が重要となる。
近年、磁気特性のさらなる向上が求められており、磁束密度を向上させるために、より高圧力で圧粉体の圧縮成形を行って軟磁性粉末の占積率を高めることが行われている。しかし、高圧力で原料粉末を圧縮成形すると、図2(a)に示すように、圧粉体が側方に向けて膨張する圧力(スプリングバック)も大きくなり、点線で示すような形状に膨張しようとする。このようにスプリングバックが作用する圧粉体を型孔から抜き出すと、圧粉体が型孔を摺動する際に圧粉体の側面が強く型孔の内面に押圧される。このため、型孔から抜き出した後の圧粉体の側面は、図2(b)に示すように、表層部で塑性流動が生じて、軟磁性粉末粒子の表面に形成した絶縁被膜が破壊され、又、軟磁性粉末粒子同士が導通した状態となり、渦電流が大きくなる。
又、圧粉磁心に生じる誘導電流は、周波数が高くなるほど、表面に集中して流れる。このため、上記のような表層部に塑性流動が生じて軟磁性粉末粒子の絶縁被膜が破壊された圧粉磁心をリアクトル等の高周波用途に用いると、絶縁被膜が破壊されて軟磁性粉末粒子どうしが導通した表層部に集中して誘導電流が流れ、渦電流損Wがいよいよ大きくなって鉄損Wが増大する。
このような絶縁被膜が破壊されて軟磁性粉末粒子同士が導通した表層部を有する圧粉磁心においては、特許文献3のように圧粉体の表面部分を除去することによって、金属磁性粉末粒子どうしが直接接触する部分がなくなり、圧粉磁心の表層部は、軟磁性粉末粒子が絶縁被膜で被覆された健全な状態となる。しかし、このような表面の除去処理は、通常の切削加工とは異なる特殊な技術が必要となり、製造コストの増加につながる。このため、圧縮成形して型孔から抜き出した磁心用圧粉体の表層部において軟磁性粉末の塑性流動が抑制され、絶縁被膜が破壊されない健全な状態で圧粉体を得ることを可能にする技術が求められている。
本発明は、上述の問題を解消し、表層部における軟磁性粉末粒子表面の絶縁被膜が破壊されず、健全な絶縁状態を示し、高周波用途に用いた場合にも渦電流損W及び鉄損Wの増加が抑制される圧粉磁心を提供することを課題とする。
また、高圧力を用いて高密度に圧縮成形しても、型孔から押し出した磁心用圧粉体の表層部において塑性流動による導通形成が抑制される磁心用圧粉体の製造方法を提供することを課題とする。
更に、磁心用圧粉体の製造において型孔から圧粉体を押し出す際に、圧粉体の表層部における塑性流動による導通形成を抑制可能な圧粉磁心製造用押型及び金型装置、並びに、圧粉磁心製造用押型の潤滑液を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様によれば、圧粉磁心は、軟磁性粉末が密度比91%以上に圧縮成形された圧粉体によって構成され、前記圧粉体の押し出し摺接面に、前記軟磁性粉末の粒子間に絶縁性セラミックス粒子が介在する構造の表層部を有し、前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化マグネシウム、ステアタイト、ジルコン、フェライト、ムライト、フォルステライト、イットリア、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化チタン及び炭化タングステンからなる群より選択される少なくとも1種のセラミックスによって構成される粒子であることを要旨とする。
上記圧粉磁心において、絶縁性セラミックス粒子は、軟磁性粉末の粒子間に介在することで、軟磁性粉末粒子を支持して変形及び塑性流動を抑制し、軟磁性粉末粒子表面の絶縁破壊を防止する。また、絶縁性セラミックス粒子自体の絶縁性によって、圧粉体側面の表層部の比抵抗が増加する。このため、圧粉磁心の表面に誘導電流が集中して流れる高周波用の圧粉磁心として使用した場合に、渦電流損Wの低減において優れたものとなる。
上記圧粉磁心の側面は、表面状態を観察したとき、隣接する軟磁性粉末粒子同士が、前記絶縁性セラミックス粒子の介在によって不連続の状態であると好ましい。また、側面の表面観察において、絶縁性セラミックス粒子の面積率が30%以上であると好ましい。絶縁性セラミックス粒子の粒径が50〜1000nmであると好適であり、絶縁性セラミックス粒子の表面にSi及び/又はAl含有化合物の有機性被膜が形成されていると更に好ましい。
又、本発明の一態様によれば、磁心用圧粉体の製造方法は、圧粉体成形用金型の型孔に軟磁性粉末を充填して、前記軟磁性粉末の密度比が91%以上になるように前記軟磁性粉末を圧縮して圧粉体を成形し、前記圧粉体を前記型孔から押し出す磁心用圧粉体の製造方法であって、前記軟磁性粉末を充填する前に、押し出し時の圧粉体と摺接する前記型孔の内面に、押型潤滑剤と絶縁性セラミックス粒子とを含有する潤滑被膜を形成することを要旨とする。
上記製造方法においては、絶縁性セラミックス粒子を分散させた押型潤滑剤の溶液を型孔内面に塗布し、乾燥して潤滑被膜を設け、この型孔に軟磁性粉末を含有する原料粉末を充填する。これにより、原料粉末が押型潤滑剤及び絶縁性セラミックス粒子を介して型孔表面と接触する状態となる。このような状態で圧縮成形を行うと、型孔内面に押しつけられる軟磁性粉末粒子間に絶縁性セラミックス粒子が入り込んだ状態で圧縮が進行し、成形完了後の圧粉体が型孔と接触する接触面、つまり、圧粉体の側面の表層部では軟磁性粉末の粒子間に絶縁性セラミックス粒子が介在し、軟磁性粉末に絶縁性セラミックス粒子が分散した表面状態となる。この状態で押し出しを行うと、適度な硬さで塑性変形し難い絶縁性セラミックス粒子が、軟磁性粉末の塑性流動を抑制し、絶縁破壊されない健全な側面を有する圧粉体を得ることができる。
本発明の磁心用圧粉体の製造方法においては、型孔内面に形成する潤滑滑被膜の厚さが0.1〜20μmであると好ましい。また、前記絶縁性セラミックス粒子の粒径が50〜1000nmであるとより好ましく、前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化チタン粒子の表面にSi含有化合物及び/又はAl含有化合物の有機性被膜が形成された粉末であると、さらに好ましい。
更に、本発明の一態様によれば、圧粉磁心製造用押型は、原料粉末を圧縮して圧粉体を成形するための型孔と、成形される圧粉体の押し出し時に圧粉体と摺接する前記型孔の内面に設けられる、押型潤滑油と絶縁性セラミックス粒子とを含有し、前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化マグネシウム、ステアタイト、ジルコン、フェライト、ムライト、フォルステライト、イットリア、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化チタン及び炭化タングステンからなる群より選択される少なくとも1種のセラミックスによって構成される粒子である潤滑被膜とを有することを要旨とする。
又、本発明の一態様によれば、圧粉磁心製造用金型装置は、上記の圧粉磁心製造用押型と、前記型孔内で原料粉末を圧縮するための上下パンチとを有することを要旨とする。
更に、本発明の一態様によれば、圧粉磁心製造用押型の潤滑組成物は、潤滑油と、二硫化モリブデン粒子と、絶縁性セラミックス粒子とを含有し、前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化マグネシウム、ステアタイト、ジルコン、フェライト、ムライト、フォルステライト、イットリア、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化チタン及び炭化タングステンからなる群より選択される少なくとも1種のセラミックスによって構成される粒子であることを要旨とする。
本発明によれば、圧粉磁心は、金型の型孔内面によって形成される圧粉磁心の側面において、圧縮成形後の抜き出しに伴う軟磁性粉末の塑性流動が抑制され、軟磁性粉末粒子表面の絶縁被膜が破壊されるのを防止できるので、渦電流損Wが低レベルに抑制された圧粉磁心が製造可能であり、高周波用途においても優れた製品が提供される。また、圧粉磁心の側面の表層部において軟磁性粉末粒子間に絶縁性セラミックス粒子が分散し、絶縁性セラミックス粒子自体の絶縁性によって、圧粉磁心の側面の表層部の比抵抗が増加するので、高周波用の圧粉磁心として使用した際に圧粉磁心の表面に誘導電流が集中して流れても、渦電流損Wの増加を抑制可能であり、高周波用途においても優れた性能を発揮する圧粉磁心の提供が可能である。
また、本発明によれば、絶縁性セラミックス粒子を含有する潤滑被膜を型孔内面に形成することによって、型孔から抜き出す圧粉体の側面における塑性流動を効果的に抑制することができ、表層部における軟磁性粉末粒子表面の絶縁被膜が破壊されずに良好に絶縁性を保持した圧粉体が得られるので、簡便な手法によって高品質な圧粉体が得られる経済性に優れた磁心用圧粉体の製造方法が提供される。又、本発明の製造方法によって得られる磁心用圧粉体は、軟磁性粉末粒子間に絶縁性セラミックス粒子が分散した表面構造を有し、絶縁性が向上した表層部を側面に有するので、高周波用途においても優れた特性を発揮する磁心用圧粉体が得られ、適用性の高い磁心用圧粉体の製造方法が提供される。
圧縮成形法による成形プロセスを説明する模式図である。 軟磁性粉末を含有する原料粉末を高圧力で圧縮成形した場合の磁心用圧粉体の状態を説明する模式図である。 実施例で作成した試料番号1の圧粉体の側面をEPMA装置により観察した際のSEM像(左上)及び成分マップである。 実施例で作成した試料番号9の圧粉体の側面をEPMA装置により観察した際のSEM像(左上)及び成分マップである。
図1及び図2に示すように、圧縮成形法による圧粉体の成形では、型孔の内面によって形成される圧粉体の側面は、型孔から圧粉体を押し出す際に型孔の内面と摺接する押し出し摺接面となる。圧粉体を高密度に成形するほど、型孔の内面に圧粉体を押しつけるスプリングバックが大きくなるので、圧粉体を型孔から押し出す際に型孔の内面と圧粉体の側面との間に作用する摩擦抵抗が大きくなり、圧粉体側面の表層部において塑性流動が起こる。これは、一般的な用途においては、圧粉体の側面を平滑化して外観を美化する好ましい現象として認識されるが、圧粉磁心としては、表層部の絶縁破壊及び鉄損増加を招く現象であるので、摩擦抵抗による塑性流動を防止する必要がある。摺接面の摩擦抵抗を低減するには、通常、押型潤滑剤が用いられるが、高密度圧粉体の成形においては摩擦抵抗が非常に大きくなるため、一般的な押型潤滑剤を使用しても、表層部における塑性流動を抑制することは難しい。
本発明においては、型孔の内面に、押型潤滑剤と絶縁性セラミックス粒子とを含有する潤滑被膜を形成し、この潤滑被膜を有する型孔を用いて軟磁性粉末の圧縮成形を行う。このような型孔中で高密度に圧縮成形される圧粉体は、型孔から押し出す際に型孔の内面と圧粉体の側面とが摺接するにも拘わらず、圧粉体側面における軟磁性粉末粒子の塑性流動が抑制される。この理由は、以下のように考えることができる。潤滑被膜に含まれるセラミックス粒子は、軟磁性粉末が圧縮成形される際に、型孔内面に押しつけられる軟磁性粉末粒子間に押し込まれ、形成される圧粉体表面の軟磁性粉末粒子間に挟まれる。このため、型孔内に成形される圧粉体の側面は、軟磁性粉末粒子間にセラミックス粒子が介在する構造の表層部を有する。このような圧粉体を型孔から押し出すと、潤滑被膜に含まれる押型潤滑剤が、静止摩擦力及び動摩擦力をある程度低減して押し出し易くすると共に、軟磁性粉末粒子間に介在するセラミックス粒子が、軟磁性粉末粒子を支持して、その変形及び塑性流動を抑制する。その間に、摩擦抵抗によって軟磁性粉末粒子に加わる応力が一定レベルを超えると、セラミックス粒子自らが破断されて、軟磁性粉末粒子に加わる応力が軽減される。押し出しの間の摩擦抵抗に応じてセラミックス粒子は徐々に破断されるが、破断したセラミックス粒子が軟磁性粉末粒子間に介在するので、軟磁性粉末粒子が変形しても粒子同士の密着や結合は防止される。つまり、第1には、セラミックス粒子が適度な硬さを有することが、圧粉体側面の表層部において軟磁性粉末粒子間に入り込んで軟磁性粉末粒子を支持するのに有効であって、これにより、摩擦抵抗に抗して軟磁性粉末粒子の塑性流動が抑制され、軟磁性粉末粒子同士の接触及び結合が防止される。第2には、セラミックス粒子が適度な脆性又は劈開性を示すことが、押し出し時の摩擦抵抗による応力を緩和するのに有効であって、これにより、軟磁性粉末粒子の変形及び塑性流動が抑制される。更に、第3には、セラミックス粒子が絶縁性であることが、圧粉体側面の表層部における軟磁性粉末粒子間の絶縁性を確保し、むしろ強化するのに有効である。
上述のような潤滑被膜を形成した型孔を用いて圧縮成形した圧粉体は、側面(つまり、押し出し摺接面)の表層部において軟磁性粉末粒子間に絶縁性セラミックス粒子が挟まれて介在する構造を有する。従って、このような圧粉体の側面について、例えば、電子プローブ微小分析(EPMA)等による表面観察を行うと、SEM像や成分マップにおいて、軟磁性粉末粒子間の隙間に絶縁性セラミックス粒子が分散する状態を確認することができる。粒子表面に絶縁被膜を形成した軟磁性粉末を原料粉末として用いて圧縮成形した場合には、軟磁性粉末表面の絶縁被膜の破壊が抑制され、軟磁性粉末が絶縁被膜に良好に被覆された健全な状態の圧粉体が形成される。軟磁性粉末と樹脂バインダーとの混合物を圧縮成形する場合にも、通常の押型潤滑剤を用いると、押し出し時の摩擦抵抗による軟磁性粉末粒子の塑性流動は抑制困難であるが、本発明に従って絶縁性セラミックス粒子を含有する潤滑被膜を形成した型孔を用いることによって、成形される圧粉体の側面において軟磁性粉末粒子間に絶縁性セラミックス粒子が同様に押し込まれ、軟磁性粉末粒子間の隙間に絶縁性セラミックス粒子が分散する表層部が形成される。このような健全な表面を有する圧粉磁心を高周波の下で使用すると、上記のように圧粉磁心表面の絶縁性が確保されているので、誘導電流が圧粉磁心の表面に集中して流れても、渦電流損Wを効果的に抑制できる。
型孔の内面に形成される潤滑被膜に含有される絶縁性セラミックス粒子の量が多くなると、形成される圧粉体側面の軟磁性粉末粒子間に押し込みきれない余剰の絶縁性セラミックス粒子は圧粉体側面に位置し、圧粉体の表層部を被覆する絶縁性セラミックス粒子の薄層が形成される。本発明は、このように圧粉体の側面全体が薄層状の絶縁性セラミックス粒子で被覆されていてもよく、圧粉体側面を被覆する余剰の絶縁性セラミックス粒子が圧粉磁心としての使用において障害になることはない。潤滑被膜における絶縁性セラミックス粒子と押型潤滑剤との配合バランス及び被膜の厚さが良好である限り、軟磁性粉末粒子間にセラミックス粒子が好適に入り込んで塑性流動を抑制するので、圧粉体の寸法精度に悪影響を与えない限り、余剰の絶縁性セラミックス粒子は許容される。
また、軟磁性粉末粒子間の隙間に分散する絶縁性セラミックス粒子の存在は、軟磁性粉末粒子間の絶縁性を向上させ、潤滑被膜から導入される絶縁性セラミックス粒子は、圧粉体の内部までは至らないので、圧粉磁心の側面は、表層部の比抵抗値が内部よりも高くなる。この表層部の比抵抗の高さは、高周波環境下で誘導電流が圧粉磁心の表面に集中して流れる状態において、特に効果的に渦電流損Wを抑制する。
従来製法においては、型孔からの押し出し時の摩擦抵抗による軟磁性粉末粒子の塑性流動は、圧粉体側面の最表面において最も強く起こり、摩擦抵抗の影響は、概して、最表面からの深さが20μm程度迄の領域に及ぶ。しかし、本発明に従って絶縁性セラミックス粒子を含有する潤滑被膜を内面に形成した型孔を用いると、圧粉体側面の表面において絶縁性セラミックス粒子が軟磁性粉末粒子を支持することによって、表面における塑性流動が抑制され、これに伴って、摩擦抵抗の影響が内部へ及ぶことも抑制される。従って、圧粉磁心の側面において絶縁性セラミックス粒子が分散する表層部の深さは、表面から1〜100μm程度であれば、軟磁性粉末粒子の塑性流動を抑制する効果は良好であり、最大でも1mm程度迄の深さがあれば十分である。又、上述のような潤滑被膜を内面に形成した型孔を用いて圧縮成形すれば、このような絶縁性セラミックス粒子が分散する表層部が圧粉体側面に形成される。又、高周波環境下での圧粉磁心において誘導電流が集中する表面領域の深さは周波数に依存するが、少なくとも1kHz〜50kHz程度の周波数においては、上述のような表層部の深さにおいて絶縁性セラミックス粒子によって比抵抗値が高まることで、十分対応可能である。
圧粉体において軟磁性粉末粒子の塑性流動が起こるのは圧粉体の側面であるので、上述の潤滑被膜は、少なくとも型孔の内面に形成すればよく、圧粉体の少なくとも側面において、軟磁性粉末粒子間に絶縁性セラミックス粒子が分散する表層部が形成されればよい。従って、圧粉体の上面及び下面を形成する上下パンチに上述の組成の潤滑被膜を形成する必要はない。しかし、上下パンチに絶縁性セラミックス粒子を含有する潤滑被膜を形成して圧粉体を圧縮成形してもよく、この場合、圧粉体の上下面にも絶縁性セラミックス粒子が分散した表層部が形成され、上下面の最表面において軟磁性粉末粒子が潰されて互いに接することが防止される。
このような圧粉体の側面の表層部において、絶縁性セラミックス粒子は、軟磁性粉末粒子の周囲を取り囲んで拘束し、隣接する軟磁性粉末粒子同士が不連続の状態になると、隣接する軟磁性粉末粒子同士の導通が完全に防止される。つまり、この不連続性が高いほど、この領域の比抵抗が向上し、圧粉磁心として好ましい。
圧粉磁心として好ましい圧粉体は、EPMAによる成分マップに基づく側面の表面観察において、絶縁性セラミックス粒子の面積率が8%程度以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であると良い。側面の表面観察における絶縁性セラミックス粒子の面積率が8%を下回ると、絶縁性セラミックス粒子による軟磁性粉末粒子の塑性変形防止の効果が不十分となり、軟磁性粉末の塑性流動が生じて、隣接する軟磁性粉末の導通が発生する虞がある。尚、圧粉体側面の表面における絶縁性セラミックス粒子の面積率が大きくなるに従って、表面における軟磁性粉末の占積率が低下するが、これはあくまで圧粉体表面の状態であり、表層部より深い圧粉体内部においては、圧縮度に応じて軟磁性粉末の占積率を所望の占積率まで高められる。従って、圧粉体側面の最表面における絶縁性セラミックス粒子の面積率に関して、特に上限はなく、前述したように、圧粉体側面が完全に絶縁性セラミックス粒子で覆われていてもよい。圧粉体側面が絶縁性セラミックス粒子の薄層で被覆されている場合、この薄層を除去して表層部の表面観察を行うと、軟磁性粉末粒子間に介在する絶縁性セラミックス粒子の面積率は、概して65%程度以下の範囲となる。
上記のように、絶縁性セラミックス粒子は、型孔の内面に形成される潤滑被膜から導入されるので、型孔の内面によって形成される圧粉体側面の表層部(つまり、表面及び表面近傍)のみに存在する。このような構造は、軟磁性粉末に絶縁性セラミックス粒子を配合した原料粉末の圧縮成形によっては得られない。軟磁性粉末に絶縁性セラミックス粒子を添加して圧縮成形すると、原料粉末の流動性が低下して金型装置のキャビティへの原料粉末の充填性が低下し、また、原料粉末自体の圧縮性が低下することとなり、圧粉磁心を高い密度に成形することが難しくなる。強制的に高密度に成形したとしても、圧粉体全体に分散する絶縁性セラミックス粒子の存在によって圧粉磁心中の軟磁性粉末の占積率が低下して磁束密度が低下する。従って、型孔の内面に潤滑被膜を形成することによって圧粉体側面の表層部のみに絶縁性セラミックス粒子を分散させる本発明の構成は、圧粉体内部には絶縁性セラミックス粒子を分散させないように構成できるので、高密度圧縮成形において非常に有利である。
本発明に係る磁心用圧粉体の原料について説明する。尚、以下の記載において、粉末の粒径は、μm単位の粉末についてはレーザー回折法による平均粒径、nm単位の粉末についてはTEM観察による平均粒径を意味するものとする。
軟磁性粉末としては、軟質な粉末及び硬質な粉末の何れを用いても良く、純鉄、Fe−Si合金、Fe−Al合金、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金等の鉄合金を含む鉄系金属の粉末が使用でき、磁束密度の高さや成形性等の点では純鉄粉が優れている。高周波用に適した高密度圧粉磁心を得る上で、粒径が1〜300μm程度の軟磁性粉末が好ましい。本発明は、圧縮成形に際して塑性変形し易い軟質な軟磁性粉末の使用において特に有効であり、鉄粉末、及び、Si、Al等の合金元素の添加量が3%以下の鉄系低合金粉末に対して最も効果がある。しかし、成形後の押し出しにおいてほとんど塑性変形しない硬質な軟磁性粉末を用いる場合にも有効であり、圧縮成形において軟磁性粉末粒子が破砕した時に、軟磁性粉末粒子の破砕片間に絶縁性セラミックス粒子が浸入して破砕片間に絶縁形成する効果がある。又、塑性変形し難いが破砕するほど硬くもない軟磁性粉末の場合でも、圧粉体側面の軟磁性粉末粒子間に絶縁性セラミックス粒子が分散することで、圧粉体側面の比抵抗が向上する効果を得ることができる。
また、個々の軟磁性粉末粒子の絶縁を確保するためには、軟磁性粉末粒子の表面を絶縁性の被膜を被覆することが好ましい。この場合、リン酸系化成被膜等の無機絶縁被膜や、シリコーン樹脂被膜等が好ましい。このような粒子表面の絶縁被膜は、従来法に従って化成処理や接触被覆によって形成すれば良く、例えば、特許4044591号公報や特許4927983号公報等の記載を参照することができる。又、市販の粉末製品から適宜選択して使用しても良く、例えば、ヘガネスAB社製のSomaloy110i(5P)や神戸製鋼所製MH20D等が挙げられる。
なお、樹脂等のバインダを軟磁性粉末に配合することよって個々の軟磁性粉末粒子の絶縁が確保される場合、軟磁性粉末の粒子表面に絶縁被膜を形成しなくてもよい。この場合、磁心用圧粉体として、樹脂等のバインダによって個々の軟磁性粉末粒子を結着した圧粉体が得られるが、バインダ量が増加すると、その分、軟磁性粉末の割合が低下し、圧粉体中の軟磁性粉末の占積率が低下して、圧粉磁心の磁束密度が低下することとなる。このためバインダ量は、圧粉体の2質量%以下に調整すべきである。
次に、本発明に従って型孔内面に形成される潤滑被膜の原料について説明する。
潤滑被膜に導入される粒子は、軟磁性粉末粒子間に分散して軟磁性粉末の塑性流動を防止するとともに、軟磁性粉末の電気的絶縁を行うものであるので、適度な硬さを有する粒子であること、及び、導電性を示さないもの(絶縁性)であること、が必要である。このため、絶縁性セラミックス粒子が好適である。絶縁性セラミックス粒子としては、酸化物系、窒化物系、炭化物系等のセラミックス粒子を用いることができ、酸化物系セラミックス粒子としては、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、二酸化珪素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、ステアタイト(MgO・SiO)、ジルコン(ZrSiO)、フェライト(M2+O・Fe)、ムライト(3Al・2SiO)、フォルステライト(2MgO・SiO)、イットリア(Y)等が挙げられる。窒化物系セラミックス粒子としては、窒化アルミニウム(AlN)、窒化チタン(TiN)、窒化珪素(Si)等の粉末が挙げられる。炭化物系セラミックス粒子としては、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)等の粉末が挙げられる。その他に、サイアロン(Si−Al−O−N系化合物)等の酸窒化物セラミックス粒子、炭窒化チタン(TiCN)等の炭窒化物セラミックス粒子、コーディエライト粒子、マシナブルセラミックス(SiO・Al、AlN・BN)粒子なども用いることができる。このようなセラミックスは、降伏応力が2000〜10000MPa程度の値を示し、200〜2000MPa程度の低合金鋼等より大きいので、摩擦抵抗による応力に抗して軟磁性粉末粒子を支持し、塑性流動を抑制することができる。更に、200〜1800程度の適度な硬さ(ビッカース硬度)を有し、破断歪みがゼロであるので、過大な応力に対しては、脆性破壊により自ら破断して軟磁性粉末粒子への応力を緩和する。なお、絶縁性セラミックス粒子は、後述するように微細なものが適しているが、微細な粉末は、粉塵爆発の虞が大きくなるため、この点に関しては、十分に酸化された状態であって粉塵爆発の虞が小さい酸化物系の絶縁性セラミックスを用いることが好ましい。又、上述のようなセラミック粒子から異なる種類を複数選択して混合し、絶縁性セラミックス粒子として用いても良い。
絶縁性セラミックス粒子は、粗大であると、軟磁性粉末の絶縁を確保するために必要な絶縁性セラミックス粒子が多量になるとともに、個々の絶縁性セラミックス粒子の質量が増加するため、型孔内面に形成した被膜から脱落し易くなる。また、粗大な絶縁性セラミックス粒子が型孔内面と充填した軟磁性粉末との間に存在する状態で圧縮を完了した圧粉体を型孔から押し出そうとすると、粗大な絶縁性セラミックス粒子が型孔内面を摩滅して摩耗を進行させ、又、自己破断による応力緩和が有効に作用し難いために、軟磁性粉末粒子の変形を十分に抑制できない。また、軟磁性粉末表面に絶縁被膜が被覆されている場合に絶縁被覆の破壊が生じる虞がある。さらに、摩滅により生じた押型及び軟磁性粉末の摩耗粉が圧粉体表面に凝着して、隣接する軟磁性粉末粒子を接合させる事態が生じ、軟磁性粉末粒子間の絶縁破壊を招く虞がある。このため、絶縁性セラミックス粒子の大きさは、最大粒径が1000nm以下のものを用いることが好ましい。その一方で、過度に微細な絶縁性セラミックス粒子は、その製造及び取扱いが難しくなることから、最大粒径が50nm以上である粉末を用いることが好ましい。
上述の絶縁性セラミックス粒子が分散する表面層を側面に有する軟磁性粉末の圧粉体は、以下のようにして製造することができる。先ず、本発明の磁心用圧粉体の製造方法においては、金型装置のキャビティを規定する面、特に型孔の内面に、絶縁性セラミックス粒子及び押型潤滑剤を含有する潤滑液を塗布して固体状の潤滑被膜を形成した後、軟磁性粉末を含む原料粉末を金型装置のキャビティに充填する。このとき、キャビティに充填された原料粉末は、絶縁性セラミックス粒子が分散する押型潤滑剤を介して型孔と接触する。
次いで、上パンチを用いて原料粉末を圧縮成形すると、軟磁性粉末の圧縮に伴って押型潤滑剤及び絶縁性セラミックス粒子が軟磁性粉末の粒子間に浸入し、軟磁性粉末粒子間に絶縁性セラミックス粒子が介在する。さらに原料粉末の圧縮が進行すると、軟磁性粉末粒子間の距離が小さくなり、軟磁性粉末粒子間に浸入した押型潤滑剤の殆どが、絶縁性セラミックス粒子の一部と共に押し出されて、圧粉体と型孔内面の隙間に戻るが、残部の絶縁性セラミックス粒子は、微量の押型潤滑剤と共に軟磁性粉末粒子間に残留する。圧縮成形が完了した後の圧粉体の側面、つまり、型孔に接触する圧粉体の表面は、軟磁性粉末の粒子間に絶縁性セラミックス粒子が分散する状態となる。
このように型孔内面に接触する圧粉体の側面において軟磁性粉末の粒子間に絶縁性セラミックス粒子が分散する状態で、圧縮が完了した圧粉体を押し出すと、型孔内面と接触する軟磁性粉末が摩擦抵抗によって塑性変形しようとするが、軟磁性粉末の粒子間に介在する絶縁性セラミックス粒子の塑性変形し難い適度な硬さによって、軟磁性粉末の塑性変形が阻止されるので、圧粉体の抜き出しを行う間、型孔内面と接触する軟磁性粉末の塑性流動を防止することができる。
型孔内面に潤滑被膜を形成する際に用いる潤滑液について説明する。
潤滑液は、揮発性溶媒に絶縁性セラミックス粒子及び押型潤滑剤を配合した液体であり、揮発性溶媒を留去することによって、絶縁性セラミックス粒子及び押型潤滑剤を含有する潤滑被膜を形成することができる。押型潤滑剤は、圧縮を完了した圧粉体の型孔からの押し出しに際し、型孔内面と軟磁性粉末の間の潤滑を付与するために用いられる。
本発明において、潤滑被膜は、いわゆる“押型潤滑法”に従って、型孔の内面に潤滑液を塗布することによって与えられる。押型潤滑剤としては、従来から押型潤滑に用いられているワックス、高級脂肪酸、及び、高級脂肪酸金属塩を用いることができる。つまり、被膜の形成が可能な半固形又は固形の潤滑剤であり、具体的には、ワックスとしては、例えば、エチレンビスステアリン酸アミド等の高級脂肪酸系アミドワックス、エチレンビスステアリン酸アミドに脂肪族カルボン酸モノアミドを添加したもの等を用いることができる。高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ベヘン酸、モンタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の炭素数12〜28程度の飽和又は不飽和脂肪酸類等を用いることができる。高級脂肪酸の金属塩としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、ストロンチウム等の金属を金属塩とする上記の高級脂肪酸を用いることができる。鉱物油等の液状の潤滑剤は、動摩擦を低減する上で非常に有効な潤滑性を有するが、静止摩擦の低減においては不十分となる傾向があるので、この点においても、粘性が高い半固形又は固形の潤滑剤が有効であり、圧粉体の押し出し時に生じる静止摩擦及び動摩擦の両方について効果的に摩擦を低減する潤滑性を発揮する。
型孔内面に形成される潤滑被膜は、押型潤滑剤と絶縁性セラミックス粒子との合計量に対して絶縁性セラミックス粒子の割合が1〜70質量%、好ましくは10〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%である組成を有することが好ましく、絶縁性セラミックス粒子の割合が1質量%未満であると、絶縁性セラミックス粒子を軟磁性粉末粒子間に効果的に介在させることが難しくなる。一方、絶縁性セラミックス粒子の割合が70質量%を超えると、相対的に押型潤滑剤の量が乏しくなり、型孔内面と軟磁性粉末の間の潤滑が不足して型カジリが生じ易くなり、軟磁性粉末の塑性流動を招く。従って、型孔内面へ潤滑被膜を形成する際に用いる潤滑液は、押型潤滑剤と絶縁性セラミックス粒子との合計量に対して絶縁性セラミックス粒子の割合が1〜70質量%となるように調製する。潤滑液の調製に当たっては、押型潤滑剤を溶剤に溶解して押型潤滑剤溶液を調製し、これに絶縁性セラミックス粒子を添加混合して均一に分散させることにより、良好に調製できる。
潤滑液を金型装置に塗布した後に型孔内面に形成される潤滑被膜は、固体状態の被膜、すなわち、乾式被膜として存在することが好ましい。塗布されたままの溶媒を含んだ被膜、すなわち、湿式被膜であると、原料粉末を金型装置のキャビティ内に充填した際に、溶液状態の押型潤滑剤が、充填された原料粉末の隙間に毛細管力によって吸収され、型孔内面と原料粉末との間を潤滑する押型潤滑剤の量が減少する。従って、潤滑液の調製に用いる溶媒は、型孔内面に塗布した後に乾燥が容易なものであることが望ましい。
従って、潤滑液を調製する際の溶媒として、揮発性溶媒を使用する。揮発性溶媒として、例えば、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等の各種アルコール類、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類等の有機溶媒を用いることができる。このような揮発性溶媒に、押型潤滑剤を溶解した溶液に絶縁性セラミックス粒子を分散させた潤滑液を、金型装置の型孔内面に塗布して、乾燥により溶媒を留去することによって、押型潤滑剤に絶縁性セラミックス粒子が分散した固体状の潤滑被膜が形成される。
金型装置の型孔内面に形成される潤滑被膜は、厚さが0.1〜20μm程度であることが好ましい。厚さが0.1μmより薄いと、押型潤滑剤の量が不足して、成形された圧粉体と型孔内面との摩擦を充分に低減できなくなり、軟磁性粉末の塑性流動が生じ易くなる。同時に、絶縁性セラミックス粒子の量も不足して、軟磁性粉末の塑性流動が生じ易くなる。一方、固体潤滑剤の被膜の厚さが過大となると、成形される圧粉体の寸法がその分小さくなり、寸法精度が悪化することとなる。また、型孔とパンチとのクリアランスも大きくする必要が生じる。
絶縁性セラミックス粒子として、カップリング剤によって表面の改質を行った絶縁性セラミックス粒子を使用すると、表面に有機性(親油性)が付与されるので、潤滑液を調製する際に、絶縁性セラミックス粒子を溶媒中に均一に分散することができ、絶縁性セラミックス粒子が均一に分散する均質な潤滑被膜を型孔内面に形成する上で効果的である。カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を用いることができ、これらのカップリング剤は、複合して用いてもよい。シラン系カップリング剤を用いた場合は、絶縁性セラミックス粒子の表面にSiを含有する化合物で表面処理層が形成される。アルミネート系カップリング剤を用いた場合は、絶縁性セラミックス粒子の表面にAlを含有する化合物で表面処理層が形成される。また、チタネート系カップリング剤等を用いた場合、絶縁性セラミックス粒子の表面にTiを含有する化合物で表面処理層が形成される。これらの有機性の表面処理層は、絶縁被膜でもある。圧粉原料として用いる軟磁性粉末が、粒子表面にシリコーン樹脂系の絶縁被膜を有する場合、表面をシラン系カップリング剤で改質した絶縁性セラミックス粒子を使用すると、互いの親和性が高いので、圧縮成形時に絶縁性セラミックス粒子が軟磁性粉末粒子間に浸入し易く、又、軟磁性粉末粒子の表面を絶縁性セラミックス粒子が被覆し易くなるので、軟磁性粉末粒子の絶縁性が高まり、又、型孔内面と軟磁性粉末粒子との直接接触も減少する。従って、軟磁性粉末粒子の表面性状に応じて、好適な表面改質を行った絶縁性セラミックス粒子を使用すると、本発明の有効性は格段に高まる。
金型装置の型孔に固体状潤滑剤の被膜を形成する一般的な方法としては、上述のような塗布法以外には、いわゆる静電塗布法がある。静電塗布法では、潤滑剤粉末を帯電させて吹き付けて、帯電した潤滑剤の電荷によるクーロン力を利用して、型孔内面に潤滑剤を吸着させる。静電塗布法によって押型潤滑剤及び絶縁性セラミックス粒子を含有する潤滑被膜を形成する場合、押型潤滑剤粉末及び絶縁性セラミックス粒子の混合粉末を静電塗布するが、型孔内面において帯電した潤滑剤が付着した部分は帯電するので、既に吸着した潤滑剤の上に潤滑剤が積層し難く、所望の量の絶縁性セラミックス粒子を付着させることが難しい。また、付着する潤滑剤の層を厚くするために粒子が大きい潤滑剤粉末を用いると、潤滑剤粉末の質量が大きいためみに、クーロン力で吸着し難くなり、脱落し易くなる。さらに、静電塗布法しいは、型孔表面への付着が不均一となり易く、一定の厚さで潤滑被膜を形成することが難しい。
このようなことから、前述のように潤滑液を調製して塗布及び乾燥によって潤滑被膜を形成する方法は優れており、塗布によって必要量の押型潤滑剤と共に絶縁性セラミックス粒子を供給することができ、乾燥によって容易且つ均一に潤滑被膜を形成することができる。故に、本発明の磁心用圧粉体の成形方法においては、押型潤滑剤を揮発性溶媒に溶解した溶液に絶縁性セラミックス粒子を分散させた潤滑液を用いて、型孔内面に固体状の潤滑被膜を設ける。
上記のように、本発明の磁心用圧粉体の製造方法においては、金型装置の型孔内面に形成される潤滑被膜に含まれる押型潤滑剤及び絶縁性セラミックス粒子によって、成形された圧粉体を型孔から押出す際の摩擦抵抗が低減し、軟磁性粉末粒子の変形及び塑性流動が抑制されるので、原料粉末自体に成形潤滑剤を添加する必要はない。この点は、成形後の圧粉体中の軟磁性粉末の占積率を高める上で有利であり、原料粉末に成形潤滑剤を添加することによって生じる原料粉末の流動性の低下や、キャビティへの充填性の低下、成形潤滑剤自体が占める容積による軟磁性粉末の占積率の低下を回避することができる。
なお、上記の絶縁性セラミックス粒子は低透磁率を有するので、本発明においては、原料粉末に絶縁性セラミックス粒子を含有することを排除するものではない。つまり、圧粉体の気孔中に絶縁性セラミックス粒子が分散することで、圧粉磁心として使用した際に、磁気ギャップを分散させて恒透磁率の圧粉磁心となる。但し、この場合、過剰の絶縁性セラミックス粒子によって原料粉末の流動性や成形性を損なって高密度圧縮が困難にならないように、又、圧縮される軟磁性粉末の粒子間に潤滑被膜から絶縁性セラミックス粒子を受け入れる余地を失わないように、原料粉末中に添加する絶縁性セラミックス粒子の量を調節することが望ましい。この点から、原料粉末に絶縁性セラミックス粒子を添加する場合は、絶縁性セラミックス粒子の添加量を、原料粉末に対して1.5体積%以下となるように制限して、成形される軟磁性粉末の粒子間に、充分な量の絶縁性セラミックス粒子が型孔内面の潤滑被膜から入り込む余地が与えられるようにすることが好ましい。
以上のようにして成形された磁心用圧粉体は、目的に応じて、更に熱処理を行ってもよい。例えば、磁心用圧粉体がバインダとして熱硬化性樹脂を含有する場合に、熱硬化性樹脂の硬化温度まで加熱する熱処理を行うことができる。或いは、磁心用圧粉体がバインダとして熱可塑性樹脂を含有する場合に、熱可塑性樹脂の軟化温度まで加熱する熱処理を行うことができる。また、バインダの有無にかかわらず、圧粉磁心としての使用時のヒステリシス損の向上を図るために、磁心用圧粉体の軟磁性粉末に蓄積された圧縮歪みを開放する焼鈍熱処理を行う場合があるが、このような熱処理を行うことも可能である。このような熱処理は、従来法に準じて行えば良い。上述のような熱処理を行うと、押型潤滑剤は、熱処理の昇温過程で分解し消失する。
また、圧縮成形した磁心用圧粉体を熱処理せず、そのまま圧粉磁心として用いることも可能である。この場合、成形潤滑剤は消失しないので、圧粉磁心の側面の表面に付着したまま残留する。
上記のように製造することによって、成形された磁心用圧粉体は、軟磁性粉末の粒子間に押し込まれて表面に絶縁性セラミックス粒子が分散するので、型孔から圧粉体を押し出す際の摩擦抵抗による軟磁性粉末の塑性流動が抑制されて、軟磁性粉末粒子同士の導通が防止できる。従って、従来製法によって得られる圧粉体において軟磁性粉末粒子が塑性流動して導通した表層部を除去するために行われる酸洗、切削加工等の工程は、本発明においては不要である。また、製造された磁心用圧粉体の側面において、表層部の軟磁性粉末の粒子間には絶縁性セラミックス粒子が充填されるので、圧粉磁心として使用する際に、側面の表面における比抵抗が高い圧粉磁心となり、表面に誘導電流が集中して流れる高周波領域での使用において、鉄損の増加を抑制するために特に好適である。
(潤滑液の調製)
絶縁性セラミックス粒子として、酸化チタン粉末(粒径:100nm)、アルミナ粉末(粒径:200nm)、シリカ粉末(粒径:100nm)、窒化アルミニウム粉末(粒径:100nm)、窒化チタン粉末(粒径:800nm)及び炭化チタン粉末(粒径:1000nm)を用意した。又、押型潤滑剤として、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸リチウムを用意した。
押型潤滑剤及び絶縁性セラミックス粒子の合計量に対する絶縁性セラミックス粒子の割合が表1に記載される割合になるように、エチルアルコールに配合して、試料番号1〜20の潤滑液を調製した。この時、押型潤滑剤と絶縁性セラミックス粒子との合計量がエチルアルコールに対して10質量%となるように、使用するエチルアルコールの量を調整した。
(圧粉体の成形)
内径が20mmの円筒形型孔を有する押型に下パンチを嵌合して成形用キャビティを構成し、型孔の内径面に、上述で調製した試料番号1〜20の潤滑液の1つを塗布して(塗布量:0.1cc)乾燥することによって、型孔の内径面に、厚さが20μm程度の潤滑被膜を形成した。
原料粉末として、表面を絶縁被覆された鉄基軟磁性粉末(ヘガネスAB社製Somaloy110i(5P))、粒度分布における主たる粒分:45〜75μm)を用意し、上述で潤滑被膜を形成した型孔に60gを投入して、上パンチを用いて1200MPaの成形圧で原料粉末を圧縮成形し、押し出すことによって、円柱状の圧粉体を得た。圧粉体の長さを測定して、圧粉体の密度比を計算した。結果を表1に示す。
(圧粉体側面の表面観察)
得られた圧粉体の側面をEPMA装置を用いて観察し、側面の成分マップにおける絶縁性セラミックス粒子の面積率(%)を調べた。面積率は、倍率が100倍の撮影画像を画像解析ソフト(Quick grain standard)を用いて解析(閾値:RGB:160)することによって測定した。更に、圧粉体側面における軟磁性粉末粒子の状態を評価するために、側面のSEM像において軟磁性粉末粒子の接合の有無を調べた。接合の有無は、SEM像における摺動痕の有無により判定するとともに、EPMAによる成分マップにおいて、Fe元素の流動の有無、つまり、軟磁性粉末の粒子間にFe元素が検出されるか否かにより判定した。すなわち、摺動痕が確認される場合、明らかな軟磁性粉末の接合が生じる。また、明確な摺動痕が確認されない場合であっても、軟磁性粉末の粒子間においてFe元素が検出される場合は、軟磁性粉末の塑性流動しているので接合が生じるものと考えられる。このようして調べた軟磁性粉末の接合の有無の判断結果を表1に示す。
又、試料番号1の圧粉体の側面のSEM像及び成分マップを図3に、試料番号9の圧粉体のSEM像及び成分マップを図4に示す。
表1の試料番号2〜12の結果によれば、型孔内面に酸化チタン粒子と押し型潤滑剤とによる潤滑被膜を形成することによって、軟磁性粉末粒子間に酸化チタンが介在して、圧粉体の押し出し時に軟磁性粉末の塑性流動が抑制できることがわかる。又、試料番号13〜17の結果から、アルミナ粉末、シリカ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化チタン粉末及び炭化チタン粉末も絶縁性セラミックス粒子として同様に使用でき、軟磁性粉末粒子間に介在して塑性流動を抑制できることがわかる。
図3によれば、絶縁性セラミックス粒子を使用していない試料1の圧粉体側面には、軸方向に沿ったスジがSEM像に現れており、型孔内面とのカジリが生じていることが判る。又、成分マップにおいて、Feがマップ全面にわたって検出されることから、軟磁性粉末粒子間の空隙が埋められていることが判る。つまり、圧粉体側面の軟磁性粉末粒子が潰れて塑性流動が明らかに生じている。これに対し、図4によれば、絶縁性セラミックス粒子を使用した試料9の圧粉体側面には、スジがSEM像に現れず、型孔内面とのカジリは生じず、良好な潤滑が得られている。又、成分マップにおいて、軟磁性粉末由来のFeが粒子形状に検出され、絶縁性セラミックス粒子由来のTiについては、Feの検出されない部分において検出されている。つまり、軟磁性粉末粒子間の空隙に絶縁性セラミックス粒子が充填されて軟磁性粉末粒子の塑性流動が抑制され、粒子間の絶縁が保持されている。
尚、確認のために、試料番号1,2及び12の圧粉体の各々をコアとして、同一の巻数でコイルを巻回して、周波数:50kHz、磁束密度:0.1Tの同一条件下での渦電流損を測定して比較したところ、試料番号1の圧粉体に比べて、試料番号2及び12の圧粉体における渦電流損は明らかに少なかった。
本発明の圧粉磁心は、変圧器、リアクトル、サイリスタバルブ、ノイズフィルタ、チョークコイル等に適用することができ、また、モーター用鉄心、一般家電及び産業機器用のモーターのロータやヨーク、ディーゼルエンジン及びガソリンエンジンの電子制御式燃料噴射装置に組み込まれる電磁弁用のソレノイドコア(固定鉄心)等にも適用することができる。特に、高周波領域で使用されるリアクトル等への適用において有効性が高い。
1…押型、1a…型孔、2…下パンチ、3…上パンチ、4…フィーダ、M…原料粉末、C…圧粉体

Claims (16)

  1. 軟磁性粉末が密度比91%以上に圧縮成形された圧粉体によって構成され、前記圧粉体の押し出し摺接面に、前記軟磁性粉末の粒子間に絶縁性セラミックス粒子が介在する構造の表層部を有し、
    前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化マグネシウム、ステアタイト、ジルコン、フェライト、ムライト、フォルステライト、イットリア、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化チタン及び炭化タングステンからなる群より選択される少なくとも1種のセラミックスによって構成される粒子である圧粉磁心。
  2. 前記圧粉体は、更に、前記押し出し摺接面を被覆する絶縁性セラミックス粒子を有する請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記押し出し摺接面の電子プローブ微小分析による成分マップにおいて、前記絶縁性セラミックス粒子の面積率が30%以上である請求項1又は2に記載の圧粉磁心。
  4. 前記絶縁性セラミックス粒子は、粒径が50〜1000nmである請求項1〜3の何れか1項に記載の圧粉磁心。
  5. 前記絶縁性セラミックス粒子は、Si、Al及びTiのうちの少なくとも1種の元素を含有する化合物で構成される被膜が表面に形成されている請求項1〜の何れか1項に記載の圧粉磁心。
  6. 圧粉体成形用金型の型孔に軟磁性粉末を充填して、前記軟磁性粉末の密度比が91%以上になるように前記軟磁性粉末を圧縮して圧粉体を成形し、前記圧粉体を前記型孔から押し出す磁心用圧粉体の製造方法であって、
    前記軟磁性粉末を充填する前に、押し出し時の圧粉体と摺接する前記型孔の内面に、押型潤滑剤と絶縁性セラミックス粒子とを含有する潤滑被膜を形成する磁心用圧粉体の製造方法。
  7. 前記押型潤滑剤は、ワックス、高級脂肪酸及び高級脂肪酸金属塩からなる群より選択される少なくとも一種の半固形又は固形の潤滑剤であり、
    前記潤滑被膜は、前記潤滑剤及び前記絶縁性セラミックス粒子を揮発性溶媒に配合した潤滑液を前記型孔の内面に塗布して、揮発性溶媒を除去することによって形成される請求項に記載の磁心用圧粉体の製造方法。
  8. 前記潤滑被膜は、前記絶縁性セラミックス粒子と前記押型潤滑剤との合計量に対して20〜60質量%の割合で前記絶縁性セラミックス粒子を含有する請求項又はに記載の磁心用圧粉体の製造方法。
  9. 前記潤滑被膜の厚さは、0.1〜20μmである請求項の何れか1項に記載の磁心用圧粉体の製造方法。
  10. 前記絶縁性セラミックス粒子の粒径は、50〜1000nmある請求項の何れか1項に記載の磁心用圧粉体の製造方法。
  11. 前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物セラミックス、炭窒化セラミックス及び酸窒化セラミックスからなる群より選択される少なくとも1種のセラミックスによって構成される粒子である請求項10の何れか1項に記載の磁心用圧粉体の製造方法。
  12. 前記絶縁性セラミックス粒子は、シランカップリング剤、アルミネートカップリング剤及びチタネートカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種のカップリング剤によって表面が改質されている請求項11の何れか1項に記載の磁心用圧粉体の製造方法。
  13. 原料粉末を圧縮して圧粉体を成形するための型孔と、
    成形される圧粉体の押し出し時に圧粉体と摺接する前記型孔の内面に設けられる、押型潤滑剤と絶縁性セラミックス粒子とを含有する潤滑被膜と
    を有し、前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化マグネシウム、ステアタイト、ジルコン、フェライト、ムライト、フォルステライト、イットリア、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化チタン及び炭化タングステンからなる群より選択される少なくとも1種のセラミックスによって構成される粒子である圧粉磁心製造用押型。
  14. 前記押型潤滑剤は、半固形又は固形の潤滑剤であり、前記潤滑被膜は、前記押型潤滑剤と前記絶縁性セラミックス粒子との合計量に対して前記絶縁性セラミックス粒子の割合が10〜65質量である組成を有する請求項13に記載の圧粉磁心製造用押型。
  15. 請求項13又は14に記載の圧粉磁心製造用押型と、前記型孔内で原料粉末を圧縮するための上下パンチとを有する圧粉磁心製造用金型装置。
  16. 押型潤滑剤と、絶縁性セラミックス粒子と、揮発性溶媒とを含有し、
    前記絶縁性セラミックス粒子は、酸化マグネシウム、ステアタイト、ジルコン、フェライト、ムライト、フォルステライト、イットリア、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化チタン及び炭化タングステンからなる群より選択される少なくとも1種のセラミックスによって構成される粒子である、圧粉磁心製造用押型の潤滑液。
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