JP2019096747A - 圧粉磁心 - Google Patents

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Abstract

【課題】高電気抵抗率を有する圧粉磁心を提供する。【解決手段】圧粉磁心1は、表面に金属酸化物層5が形成された軟磁性金属粒子3を複数含有している。圧粉磁心1では、一の軟磁性金属粒子3と他の軟磁性金属粒子3との間の粒界、すなわち、軟磁性金属粒子3同士の粒界には、軟磁性フェライト7が形成されている。圧粉磁心1の表面には、Li(リチウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Ba(バリウム)、Zn(亜鉛)、Al(アルミニウム)、及びSr(ストロンチウム)からなる群より選ばれた1種以上の元素が存在する層9が形成されている。圧粉磁心1は、粒界に軟磁性フェライト7が形成されており、高電気抵抗率を有する。軟磁性フェライト7の中に酸化ケイ素が含有されていることが好ましい。この場合には、圧粉磁心1の強度が高く、形崩れしにくい。【選択図】図1

Description

本発明は、圧粉磁心に関する。
形状自由度の高さと、高周波帯域への適用可能性から圧粉磁心材料の開発が盛んに行われている。圧粉磁心は、100μm前後の磁性金属粒子の表面をリン酸やシリカといった絶縁性の物質で被覆し、絶縁膜で被覆された磁性金属粒子をプレス成形することによって成形されたコアである。一般的に、プレス成形時に成形体にかかる残留応力を緩和するため、プレス成形後に400〜1000℃の温度で焼鈍(焼きなまし)を行うが、リン酸等の絶縁膜は耐熱性が低く、焼鈍の際に絶縁破壊を引き起こす可能性がある。また、絶縁膜が非磁性のため、絶縁性を向上させようと絶縁膜を厚膜化した場合、圧粉磁心の磁気特性を低下させてしまう。
この様な問題から、近年では磁性金属粒子の表面を、金属酸化物であるフェライトで被覆した複合磁性粒子も提案されている。例えば、下記特許文献1が知られている。
特許文献1の技術では、磁性金属粒子の表面はフェライト膜によって被覆されているため、高い電気抵抗率を示す。また、フェライトは強磁性体であるため、複合磁性粒子は高い飽和磁束密度と複素透磁率を維持することができる。この技術によって、高周波数帯での渦電流の発生を抑えつつ、高い磁気特性を得られることから小型化も期待できる。
ところが、磁性金属粒子の表面をフェライトで被覆した複合磁性粒子に関し、実際に使用する上で以下の問題があった。
すなわち、この複合磁性粒子では、高い電気抵抗と磁気特性が期待されるものの、400〜1000℃で焼鈍を行った場合、被覆されたフェライト膜が消失する問題があった。これは磁性金属粒子の表面と、被覆されたフェライト膜との間で金属原子の拡散が起こることが原因で、フェライトの結晶構造が破壊されてしまうためである。
この問題に対して、磁性金属粒子の表面を不動態被膜などで被覆し、磁性金属粒子とフェライト膜間の金属原子の拡散反応を抑制する検討も行われてきた(例えば、特許文献2参照)。
特開平04−352403号公報 特開2005−150257号公報
ところで、磁性金属粒子の表面がフェライト膜によって被覆された複合磁性粒子を用いて圧粉磁心を作製する際に、数GPa以上の高圧で複合磁性粒子をプレス成形した場合、成形時の高圧力により、複合磁性粒子のフェライト膜が破壊される問題がある。フェライト膜が破壊されると、電気絶縁性が損なわれてしまう。
この問題点を解決すべく、種々の検討は行われてきたものの、実用的な圧粉磁心はいまだ開発されていない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、高電気抵抗率を有する圧粉磁心を提供することを目的とする。本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕
表面に金属酸化物層が形成された軟磁性金属粒子が複数含有され、
一の軟磁性金属粒子と他の軟磁性金属粒子との間の粒界には、軟磁性フェライトが形成されている圧粉磁心であって、
前記圧粉磁心の表面には、Li(リチウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Ba(バリウム)、Zn(亜鉛)、Al(アルミニウム)、及びSr(ストロンチウム)からなる群より選ばれた1種以上の元素が存在する層が形成されていることを特徴とする圧粉磁心。
〔2〕
前記軟磁性フェライトには、酸化ケイ素が含有されていることを特徴とする〔1〕に記載の圧粉磁心。
〔3〕
前記圧粉磁心の表面の近傍の断面を観察した際に、
前記圧粉磁心の表面を示す線が伸びる方向を第1の方向、前記第1の方向と垂直な方向を第2の方向としたとき、
前記軟磁性金属粒子のうち、前記圧粉磁心の表面まで略到達している特定軟磁性金属粒子が以下の条件を満たすことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の圧粉磁心。

前記圧粉磁心の表面を示す線と略平行な仮想線であって、前記第2の方向において、前記特定軟磁性金属粒子の最も前記表面側の部分を通る仮想線L1、
前記L1と略平行な仮想線であって、前記第2の方向において、前記L1からの長さが前記特定軟磁性金属粒子の最大長さとなる部分を通る仮想線L2、及び
前記第2の方向において、前記L1と前記L2との距離がそれぞれ等しい仮想線M、とした際、
前記特定軟磁性金属粒子を、前記L1、前記L2および前記Mの3線を用いて、前記L1側の第1領域と、前記L2側の第2領域とに分け、
前記第1領域における前記特定軟磁性金属粒子の第1方向の両端間の長さをL3とし、
前記第2領域における前記特定軟磁性金属粒子の第1方向の両端間の長さをL4とした場合に、前記L3と前記L4が、下記関係式を満たす。

0.5≦L3/L4≦2.5
本発明の圧粉磁心は、粒界に軟磁性フェライトが形成されており、高電気抵抗率を有する。
軟磁性フェライトの中に酸化ケイ素が含有されている場合には、圧粉磁心の強度が高く、形崩れしにくい。
圧粉磁心の表面まで略到達している軟磁性金属粒子が所定の要件を満たす場合には、渦電流の発生が抑制される。
圧粉磁心を示す模式図である。右上図は、中央部付近の断面図を示す。右下図は、表面部の断面図を示す。 L3/L4の計算方法を説明するための模式図である。 L3/L4の計算方法を説明するための模式図である。 L3/L4の計算方法を説明するための模式図である。 L3/L4の計算方法を説明するための模式図である。 実施例1に用いた複合磁性粒子のFE−SEMによる表面観察像である(10000倍)。 実施例2に用いた複合磁性粒子のFE−SEMによる表面観察像である(10000倍)。 実施例3に用いた複合磁性粒子のFE−SEMによる表面観察像である(10000倍)。 比較例1に用いた複合磁性粒子のFE−SEMによる表面観察像である(10000倍)。 比較例4に用いた複合磁性粒子のFE−SEMによる表面観察像である(10000倍)。 実施例1〜4に用いた複合磁性粒子、比較例1〜4に用いた複合磁性粒子のXRDスペクトルである。 比較例3のプレス成形後の圧粉磁心の外観写真である。 実施例1の圧粉磁心のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。 実施例2の圧粉磁心のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。 実施例3の圧粉磁心のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。 比較例1の圧粉磁心のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。 比較例2の圧粉磁心のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。 実施例1の圧粉磁心の表面近傍のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。 実施例2の圧粉磁心の表面近傍のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。 実施例3の圧粉磁心の表面近傍のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。 比較例1の圧粉磁心の表面近傍のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。 比較例2の圧粉磁心の表面近傍のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。 比較例2の表面近傍を示す模式断面図である。 圧粉磁心のヒステリシス曲線である。 複素透磁率特性の測定結果である。 鉄損値の周波数特性である。 圧粉磁心の表面を示す線の引き方を説明するための、圧粉磁心の表面近傍のFE−SEMによる断面観察像である(4000倍)。
以下、本発明を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「〜」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10〜20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10〜20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.圧粉磁心
本発明の圧粉磁心は、表面に金属酸化物層が形成された軟磁性金属粒子を複数含有している。以下、表面に金属酸化物層が形成された軟磁性金属粒子を、単に軟磁性金属粒子ともいう。圧粉磁心では、一の軟磁性金属粒子と他の軟磁性金属粒子との間の粒界、すなわち、軟磁性金属粒子同士の粒界には、軟磁性フェライトが形成されている。
本圧粉磁心の表面には、Li(リチウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Ba(バリウム)、Zn(亜鉛)、Al(アルミニウム)、及びSr(ストロンチウム)からなる群より選ばれた1種以上の元素が存在する層が形成されている。
図1に本発明の圧粉磁心の模式図を示す。図1では、トロイダル形状の圧粉磁心1を例として挙げる。図1は、圧粉磁心1を軸方向(以下、第1の方向Z)に平行に切断した断面を示している。
図1の右上の図では、金属酸化物層5が形成された軟磁性金属粒子3が複数存在し、軟磁性金属粒子3同士の粒界に軟磁性フェライト7が存在していることが示されている。
図1の右下の図では、圧粉磁心1の表面には、Li(リチウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Ba(バリウム)、Zn(亜鉛)、Al(アルミニウム)、及びSr(ストロンチウム)からなる群より選ばれた1種以上の元素が存在する層9が第1の方向と略平行に形成されていることが示されている。
(1)軟磁性金属粒子
軟磁性金属粒子としては、軟磁性金属である金属の粒子を幅広く用いることができる。軟磁性金属としては、純鉄、Fe−Si合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al合金、Ni−Fe合金、Fe−Co合金、Feアモルファル合金等を好適に用いることができる。特に、組成中にCrやAlを含む合金は、表面に金属酸化物層を形成しているため好ましい。CrやAlを含まない金属を用いる場合には、予め熱処理、めっき処理等により金属表面に金属酸化物層を形成させる必要がある。
Fe−Si−Cr合金を用いる場合には、例えば、Si:0.1〜10質量%、Cr:0.1〜10質量%、残部:Fe及び不可避的不純物の組成の合金とすることができる。
軟磁性金属粒子の粒子径は、特に限定されない。軟磁性金属粒子の粒子径は、使用する周波数帯域によって適宜変更することができる。例えば、使用する周波数帯域によって1〜300μmの範囲で変化させることができる。特に100kHzを超える高周波帯域での使用を想定した場合は5〜60μmであることがより好ましい。なお、軟磁性金属粒子の粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA−750によって測定される粒度分布での最大ピークの粒径を意味する。
(2)金属酸化物層
軟磁性金属粒子の表面には、金属酸化物層が形成されている。金属酸化物層を、軟磁性金属粒子の表面に備えることによって、焼鈍(熱処理)を行った際、軟磁性金属粒子と軟磁性フェライト間の金属原子の拡散反応を抑制することができる。
金属酸化物層を構成する金属酸化物は特に限定されない。例えば、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化モリブデン、及び酸化タングステンからなる群より選ばれた1種以上の金属酸化物が好ましい。特に、金属酸化物に、酸化クロム及び酸化アルミニウムのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの好ましい金属酸化物を用いることで、上述の金属原子の拡散が効果的に抑制される。
なお、軟磁性金属粒子として、Fe−Si−Cr合金の粒子を用いた場合には、金属原子拡散の抑制効果を有する金属酸化物層を容易に形成することができる。すなわち、Fe−Si−Cr合金中のCrが酸化することにより、軟磁性金属粒子の外縁部に金属酸化物層が形成される。
また、金属酸化物層の厚みは、特に限定されない。厚みは、好ましくは1〜20nmとすることができる。なお、金属酸化物層の厚みは、XPS(X線光電子分光法)を用いて測定できる。
(3)軟磁性フェライト
(3.1)フェライト粒界
本実施形態の圧粉磁心では、軟磁性金属粒子同士の粒界には、軟磁性フェライトが形成されている。すなわち、表面に金属酸化物層が形成された軟磁性金属粒子の周りを被覆するように軟磁性フェライトが存在し、軟磁性フェライトによりフェライト粒界が形成されている。フェライト粒界により、軟磁性金属粒子は、1個単位で電気的に絶縁される。すなわち、隣り合う軟磁性金属粒子同士はフェライト粒界により絶縁されるので、各軟磁性金属粒子は電気的に孤立状態になる。これにより圧粉磁心の渦電流を効率的に抑制し、MHzを超える周波数帯域まで使用することができるようになる。
軟磁性フェライトの材料は、特に限定されない。軟磁性フェライトの材料は、マグネタイト、Niフェライト、Znフェライト、Mnフェライト、Ni−Znフェライト、及びMn−Znフェライトからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。更には電気抵抗率が10Ω・cm以上のフェライトを用いるのが好ましい。そのため、Niフェライト、Znフェライト、Mnフェライト、Ni−Znフェライト、及びMn−Znフェライトからなる群より選ばれた1種以上がより好ましい。
軟磁性フェライトとしては、例えば、下記式〔1〕又は〔2〕の軟磁性フェライトを好適に用いることができる。

〔1〕 Fe
〔2〕 M−Zn−Fe(3−x−y)
(但し、式中、Mは、Ni又はMnであり、0≦x≦1、0≦y≦1である。)
(3.2)フェライト粒界の形成方法
フェライト粒界の形成方法は、特に限定されない。ここでは、その形成方法の一例を説明する。
例えば、金属酸化物層が表面に存在する軟磁性金属粒子を超音波励起フェライトめっき装置を用いてめっき反応させる。この反応は、水溶液中でFe2+→Fe3+の酸化反応を利用し、スピネル型フェライトを基板や粒子等の表面に堆積させる手法である。この手法では、めっき条件、めっき時間の調整により、金属酸化物層の表面を軟磁性フェライトによって被覆することができる。また、めっき時間の調整によって軟磁性フェライトが堆積した堆積部の厚さを調整することができる。
通常、被めっき物に酸化クロムや酸化アルミニウムといった金属酸化物層が存在する場合、めっきの反応速度が著しく低下するため、軟磁性フェライトを形成させることはできない。金属酸化物層の表面に徽密に(例えば金属酸化物層の表面の80%以上を)被覆するためには、めっき液のpHを細かく調整する必要がある。被覆するフェライトのpH−酸化還元電位図において、フェライト生成条件の高pH側にめっき液のpHを調節する必要がある。この条件はめっきするフェライトの組成によって変化するが、例えばMn−ZnフェライトではpH=10〜11が好ましく、Ni−ZnフェライトではpH=11〜12が好ましい。
被めっき物である軟磁性金属粒子を、目的のpHに調整した緩衝液中に添加し、そこへ原料となる金属イオンを溶解させた反応液と酸化液を徐々に添加することでフェライト粒界が形成される。超音波ホーンにより、軟磁性金属粒子は発熱を伴いながら激しく分散され、恒温槽からの加熱と併せてフェライト生成反応は加速される。また、下の反応式から分かるように、反応の進行と共にプロトンが生成されるため、めっき槽内のpHは徐々に酸性に変化する。pHの変動はフェライト生成に大きく影響するため、複合磁性粒子の製造においては、めっき槽内のpHを常に調整する必要がある。めっき条件の最適化により、金属酸化物層によるめっき反応の抑制を最小限に抑えることができる。

3Fe2++4HO→Fe+8H+2e

具体的なフェライト粒界の形成方法について説明する。ここでは、軟磁性フェライトにより被覆された複合磁性粒子を用いて、フェライト粒界を形成する方法について説明する。
複合磁性粒子の製造方法の一例を以下に示す。水に金属イオンが含まれた反応液を用意する。水に酸化剤が溶解した酸化液を用意する。金属酸化物層を表面に有する軟磁性金属粒子を所定のpHに調製した緩衝液中に分散させる。そして、超音波を印加しながら、軟磁性金属粒子が分散した緩衝溶液に、反応液及び酸化液を滴下すると、金属酸化物層の上にフェライト粒界及び軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部が形成される。このようにして、複合磁性粒子を製造することができる。
緩衝液のpHは、Ni−Znフェライトの場合には、上述のように、好ましくは11〜12である。緩衝液の種類は特に限定されない。
なお、フェライト粒界及び複数の軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部の形成のメカニズムは解明されていないが以下のように推測される。
(1)軟磁性金属粒子の表面の水酸基から反応が開始し、フェライト粒界の形成が始まる。
(2)次にフェライト粒界の表面に磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部の形成が始まる。堆積部は、超音波のエネルギーにより凹凸を持った構造となる。
このようなメカニズムで、複合磁性粒子が生成すると考えられる。なお、めっき槽のpH条件がずれるとフェライト粒界が形成されず、めっき槽内を漂っている磁性フェライト微粒子の堆積体が軟磁性金属粒子の表面に付着した様な構造になると考えられる。
以上のようにして、軟磁性フェライトにより被覆された複合磁性粒子が製造される。そして、複数の複合磁性粒子からなる粉体をプレス成形し、焼鈍することによって、圧粉磁心のフェライト粒界が形成される。
(4)酸化ケイ素
軟磁性フェライトには、酸化ケイ素が含有されていることが好ましい。この酸化ケイ素は、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素(ソーダガラス)であることが好ましい。
酸化ナトリウム含有酸化ケイ素は以下の化学式で表記される。酸化ナトリウム含有酸化ケイ素は、上述の複合磁性粒子の最外層を被覆する態様とすることができる。この場合には、複数の複合磁性粒子からなる粉体をプレス成形し、焼鈍することによって、フェライト粒界内に、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素が含まれることとなり、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素は、軟磁性金属粒子同士を結着する効果を奏する。すなわち、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を含んだ軟磁性フェライトは、粒界として機能して、圧粉磁心の強度向上に大きく寄与する。
ここで以下の化学式中のnは2以上4以下が好ましい。nが2未満の場合、酸化ナトリウムの割合が多くなり耐水性や耐腐食性の低下するおそれがあり、他方、nが4以上の場合、酸化ケイ素成分が多くなり、低融点とならない。すなわち、nを2以上4以下とすることで、耐水性や耐腐食性を保ちつつ、軟磁性金属粒子同士を効果的に結着できる。

NaO・nSiO

軟磁性フェライトの中に、酸化ケイ素を含有させるための方法は、特に限定されない。例えば、酸化ケイ素を複合磁性粒子に被覆し、複数の複合磁性粒子からなる粉体をプレス成形し、焼鈍することによって、軟磁性フェライトの中に、酸化ケイ素が含有される。
酸化ケイ素を複合磁性粒子に被覆する場合は、複合磁性粒子と、粉末状の酸化ケイ素とを混合してよい。または、複合磁性粒子と、酸化ケイ素を液体中に分散させた分散液とを混合してよい。この場合の液体の種類は問わない。液体の種類は、作業のしやすさや乾燥時間などを考慮して決めればよい。
酸化ケイ素の添加量は、特に限定されない。固形分にして、酸化ケイ素で被覆前の複合磁性粒子100質量部に対して、酸化ケイ素の添加量は、好ましくは0.01質量部〜10質量部であり、より好ましくは0.01質量部〜5質量部である。添加量が0.01質量部以下の場合、結着性が不十分であり、10質量部以上の場合は非磁性の物質を大量に含むこととなり、磁束密度や複素透磁率の低下を招いてしまう。すなわち、添加量をこの範囲とすることで、結着性を担保しつつ、実用的な磁束密度及び複素透磁率を確保することができる。
なお、上述のように、酸化ケイ素は軟磁性フェライト中(フェライト粒界内に)に形成されることが好ましいが、それ以外の場所に形成されていてもよい。
(5)圧粉磁心の表面の構造
圧粉磁心の表面には、Li(リチウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Ba(バリウム)、Zn(亜鉛)、Al(アルミニウム)、及びSr(ストロンチウム)からなる群より選ばれた1種以上の元素が存在する層が形成されている。層の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.001〜1μmである。
この層に存在する元素は、X線光電子分光 XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて検出することができる。圧粉磁心の表面を含むように、サンプルをカットして(例えば、1mm角にカットして)、このサンプルを測定する。なお、サンプルの大きさは、XPSのステージの大きさに応じて決められる。例えば、大きさは、1mm角である。なお、Liの場合には、55eV付近にLiおよびLi化合物由来のピークを確認することができる。
圧粉磁心の表面に存在する元素の存在状態は、特に限定されず、フェライトとして存在していてもよい。
圧粉磁心の表面に存在する元素の由来は、特に限定されない。圧粉磁心の表面に存在する元素が、金属化合物などに由来する場合を例示できる。金属化合物としては、特に限定されず、有機金属化合物として金属石鹸、金属アルコキシドおよびシリコーンオイル等を例示することができる。金属アルコキシドおよびシリコーンオイルは熱処理を行うと金属酸化物を形成するため、絶縁性向上にも効果がある。さらに、金属アルコキシドは例えば、金属石鹸と混合することにより潤滑作用が期待される。金属化合物としては、有機金属化合物の金属石鹸を好適な例として挙げることができる。金属化合物以外にも、ワックスやパラフィンは、すべり性を向上させる効果が高く、高密度の成形体のプレス成形を容易にする。複数の複合磁性粒子からなる粉体(金属粉末)のプレス成形において、金属石鹸は、すべり性を向上させる効果が高く、高密度の成形体のプレス成形を容易にする。また、金属石鹸は、圧粉磁心表面におけるフェライト粒界の欠損の発生を抑制する。
金属石鹸を構成する脂肪酸は、特に限定されない。金属石鹸を構成する脂肪酸として、炭素数12〜28の飽和又は不飽和脂肪酸類が挙げられる。脂肪酸としては、具体的には、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ベヘン酸、モンタン酸、ラウリン酸、及びパルミチン酸からなる群より選ばれた1種以上が好ましく用いられる。
金属石鹸を構成する金属は、Li(リチウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Ba(バリウム)、Zn(亜鉛)、Al(アルミニウム)、及びSr(ストロンチウム)からなる群より選ばれた元素である。この中でも、Li(リチウム)、Mg(マグネシウム)、Ba(バリウム)、Zn(亜鉛)、Al(アルミニウム)、及びSr(ストロンチウム)からなる群より選ばれた1種以上の元素を構成要素として有する金属石鹸は、軟磁性フェライトに付着した場合も、軟磁性フェライトのスピネル構造を破壊することが少ないため、好ましい金属石鹸として用いることができる。また、これらの金属は、焼鈍の際に、軟磁性フェライトと反応してしまっても、高抵抗なリチウムフェライト、亜鉛フェライト等を形成するため、渦電流損の抑制効果を発揮する。
なお、金属化合物は粉末状態のまま用いても良いが、特に水やエタノールに溶解又は分散して用いることが好ましい。金属化合物の溶液(分散液)を金型の表面に、ヘラ又はスプレーによって塗布し、プレス成形の際、成形体に転写させることで、圧粉磁心の表層に、ほぼ均一な厚みの金属含有層を形成することができる。
(6)特定軟磁性金属粒子
軟磁性金属粒子のうち、圧粉磁心の表面まで略到達している特定軟磁性金属粒子は、次の要件を満たしていることが好ましい。この要件におけるL3/L4の計算方法を図2〜5を参照しつつ説明する。図2、3はこの要件を満たしていない場合を説明するための模式図であり、図4、5はこの要件を満たしている場合を説明するための模式図である。
まず、圧粉磁心の表面の近傍の断面を電子顕微鏡(FE−SEM)により観察する(なお、本明細書において、圧粉磁心の表面の近傍とは、表面から300μm以内の領域を意味する。)。たとえば、トロイダル形状の圧粉磁心であれば、圧粉磁心を軸方向(第1
の方向Z)と平行な方向に切断し、圧粉磁心の外周面を表面として観察する。すると、図2、4に示すような像が得られる。図2、4では、上端が表面11を表している。ここで
、断面で見たときに、第1の方向Z と垂直な方向を第2の方向Xとする。
そして、図3、5に示すように、圧粉磁心の表面まで略到達している特定軟磁性金属粒子3に着目する。「略到達」の用語は、圧粉磁心の表面まで完全に到達している場合の他、次の場合も含まれることを意味している。すなわち、圧粉磁心の表面に、Li、Mg、Ca、Ba、Zn、Al、及びSrからなる群より選ばれた1種以上の元素が存在する層が形成されている場合には、この層まで到達していれば、本明細書の「略到達」に含まれる。
次に、以下のL1、L2、Mの3線を用いて、特定軟磁性金属粒子3を、圧粉磁心の表面側(L1側)の第1領域R1と、それ以外(L2側)の第2領域R2とに分ける。

L1:圧粉磁心の表面を示す線(Ls)と略平行な仮想線であって、第2の方向において、特定軟磁性金属粒子の最も表面側の部分(上端)を通る仮想線、
L2:L1と略平行な仮想線であって、第2の方向において、L1からの長さが前記特定軟磁性金属粒子の最大長さとなる部分(下端)を通る仮想線、
M:第2の方向において、L1とL2との距離がそれぞれ等しい仮想線


そして、第1領域R1における特定軟磁性金属粒子3の第1方向の両端間の長さをL3とする。同様にして、第2領域R2における特定軟磁性金属粒子3の第1の方向の両端間の長さをL4とする。L3とL4が、式〔1〕の関係を満たすことが好ましく、式〔2〕の関係を満たすことがより好ましく、式〔3〕の関係を満たすことが更に好ましい。

式〔1〕 0.5≦L3/L4≦2.5
式〔2〕 0.6≦L3/L4≦2.0
式〔3〕 0.7≦L3/L4≦1.5

なお、300μm×300μmの視野内で観測される、圧粉磁心の表面まで略到達している特定軟磁性金属粒子3を7個選んで、それぞれについてL3/L4の値を計算し、これらの平均値をL3/L4の値と定義する。
以上の要件を満たしている場合には、圧粉磁心の表面まで略到達している特定軟磁性金属粒子は、プレス成形の前後でほとんど変形しておらず(図4、5参照)、フェライト粒界がほぼ破壊されていない状態である。よって、この要件を満たす圧粉磁心は、渦電流の発生がより抑制される。
一方、圧粉磁心の表面まで略到達している特定軟磁性金属粒子が、プレス成形の後で引き延ばされて、例えば断面が略L字状に変形していると(図2、3参照)、フェライト粒界がほぼ破壊されてしまう。よって、この場合には、渦電流が発生しやすい。
なお、圧粉磁心の表面を示す線Lsは、次のように定義される。圧粉磁心を第1の方向Zと平行な方向に切断し、圧粉磁心の外面を表面として、FE−SEMにより観察する。すると、図27に示すような像が得られる。この像で、表面を上にし、表面が可能な限り水平となるように傾斜を調整する。そして、この像に、複数の水平な仮想線を引く。これらの仮想線のうち表面の最も上側部位(外側部位)を通る仮想線をLaとし、表面の最も下側部位(内側部位)を通る仮想線をLbとする。圧粉磁心の表面を示す線Lsは、LaとLbとの距離がそれぞれ等しい仮想線と定義される。
2.圧粉磁心の製造方法
圧粉磁心の製造方法は、特に限定されない。以下、圧粉磁心の製造方法の好ましい例を示す。
圧粉磁心の製造方法の好ましい一例では、軟磁性フェライトにより被覆された複合磁性粒子を用いる。複合磁性粒子は、好ましくは酸化ケイ素で更に被覆する。そして、複数の複合磁性粒子からなる粉体をプレス成形して成形体とする。この成形体を圧粉磁心として用いてもよいが、好ましくは、成形体を焼鈍して圧粉磁心とする。
プレス成形圧は、特に限定されないが、500MPa〜2000MPaが好ましい。高密度の成形体を得るためには高圧でプレスした方が良い。また、プレス成形時に50℃〜200℃の範囲で金型を加熱してもよい。金型を加熱することで金属が塑性変形しやすくなり、高密度の成形体を得ることができる。一方、200℃を超える温度でのプレス成形は、金属の酸化が問題となり好ましくない。
上記で得られた成形体について、プレス成形の際に加えられた歪みを開放するため、焼鈍することが好ましい。焼鈍温度は、特に限定されないが、500℃以上(通常1000℃以下)であることが好ましい。また、焼鈍雰囲気は、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気、水素等の還元雰囲気、真空のいずれかを採用することが好ましい。焼鈍の条件は、使用する磁性金属やフェライトの種類によって適宜変更すればよい。
3.本実施形態の圧粉磁心の作用効果
本実施形態の圧粉磁心は、粒界に軟磁性フェライトが形成されており、軟磁性フェライトにより、軟磁性金属粒子は、1個単位で電気的に絶縁される。従って、圧粉磁心は、高電気抵抗率を有する。
軟磁性フェライトの中に酸化ケイ素が含有されている場合には、軟磁性金属粒子同士がより強固に結着される。よって、圧粉磁心の強度が高くなり、形崩れしにくい。
L3/L4が上述の関係を有する場合には、軟磁性金属粒子は、プレス成形の前後でほとんど変形しておらず、フェライト粒界の破壊も、ほぼない状態である。よって、この要件を満たす圧粉磁心は、渦電流の発生が抑制される。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
1.圧粉磁心の作製
まず、ここで、実施例1〜4及び比較例1〜4における各種要件の充足状況について、表1にまとめて記載する。
(1)実施例1
磁性金属粉末(軟磁性金属粒子)には、水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si−4.5質量%Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この磁性金属粉末の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。
磁性金属粉末10gを100mlの酢酸カリウム水溶液に分散させ、水酸化カリウムによってpH=10に調整し、めっき溶液とした。また、純水100mlに所定量の塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化鉄(II)を添加し、十分に溶解させた後、反応液とした。このとき各金属イオンのモル比はMn:Zn:Fe=0.2:0.3:2.5とした。純水100mlに酸化剤として亜硝酸カリウムを加えて酸化液とした。めっき溶液に窒素を流しながら、めっき溶液を70℃に加熱した。めっき溶液に超音波を印加しながら、反応液と酸化液を滴下して磁性金属粉末の表面にフェライト膜を形成させた。反応は25分間行い、得られたフェライト膜が形成された磁性金属粉末を純水で洗浄した後、磁石にて回収した。この後、フェライト膜が形成された磁性金属粉末を乾燥させ、粉砕と篩通しを行って、複合磁性粉末(複合磁性粒子)を得た。
得られた複合磁性粉末に、水に分散させた酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を0.3wt%の割合で添加し、ボルテックスミキサーで10分間混合した。この後、複合磁性粉末を乾燥させ、粉砕と篩通しを行うことで、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を被覆した複合磁性粉末を得た。
金属化合物として、水中に乳化させたリチウムステアレートを使用した。ヘラを用いてリチウムステアレートを金型の表面に塗布し、金型内に複合磁性粉末を投入し、成形する際にリチウムステアレートを複合磁性粉末に転写させた。
複合磁性粉末を、金型に充填し、1600MPaの圧力で、トロイダル形状(外径:8mm, 内径:4.5mm, 高さ:1mm)にプレス成形を行った。得られたプレス体(成形体)を、Ar雰囲気下にて500℃で15分の熱処理を行い、実施例1の圧粉磁心を得た。
(2)実施例2
磁性金属粉末(軟磁性金属粒子)には、水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si−4.5質量%Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この磁性金属粉末の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。
磁性金属粉末10gを100mlの酢酸カリウム水溶液に分散させ、水酸化カリウムによってpH=10に調整し、めっき液とした。また、純水100mlに所定量の塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化鉄(II)を添加し、十分に溶解させた後、反応液とした。このとき各金属イオンのモル比はMn:Zn:Fe=0.4:0.3:2.3とした。純水100mlに酸化剤として亜硝酸カリウムを加えて酸化液とした。めっき溶液に窒素を流しながら、めっき溶液を70℃に加熱した。めっき溶液に超音波を印加しながら、反応液と酸化液を滴下して磁性金属粉末の表面にフェライト膜を形成させた。反応は25分間行い、得られたフェライト膜が形成された磁性金属粉末は純水で洗浄した後、磁石にて回収した。この後、フェライト膜が形成された磁性金属粉末を乾燥させ、粉砕と篩通しを行って、複合磁性粉末(複合磁性粒子)を得た。
得られた複合磁性粉末に、水に分散させた酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を0.3wt%の割合で添加し、ボルテックスミキサーで10分間混合した。この後、複合磁性粉末を乾燥させ、粉砕と篩通しを行うことで、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を被覆した複合磁性粉末を得た。
金属化合物として、水中に乳化させたリチウムステアレートを使用した。ヘラを用いてリチウムステアレートを金型の表面に塗布し、金型内に複合磁性粉末を投入し、成形する際にリチウムステアレートを複合磁性粉末に転写させた。
複合磁性粉末を、金型に充填し、1600MPaの圧力で、トロイダル形状(外径:8mm, 内径:4.5mm, 高さ:1mm)にプレス成形を行った。得られたプレス体(成形体)を、Ar雰囲気下にて500℃15分の熱処理を行い、実施例2の圧粉磁心を得た。
(3)実施例3
磁性金属粉末(軟磁性金属粒子)には、水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si−4.5質量%Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この磁性金属粉末の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。
磁性金属粉末10gを100mlの酢酸カリウム水溶液に分散させ、水酸化カリウムによってpH=10に調整し、めっき液とした。また、純水100mlに所定量の塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化鉄(II)を添加し、十分に溶解させた後、反応液とした。このとき各金属イオンのモル比はMn:Zn:Fe=0.6:0.3:2.1とした。純水100mlに酸化剤として亜硝酸カリウムを加えて酸化液とした。めっき溶液に窒素を流しながら、めっき溶液を70℃に加熱した。めっき溶液に超音波を印加しながら、反応液と酸化液を滴下して磁性金属粉末の表面にフェライト膜を形成させた。反応は25分間行い、得られたフェライト膜が形成された磁性金属粉末は純水で洗浄した後、磁石にて回収した。この後、フェライト膜が形成された磁性金属粉末を乾燥させ、粉砕と篩通しを行って、複合磁性粉末(複合磁性粒子)を得た。
得られた粉末に、水に分散させた酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を0.3wt%の割合で添加し、ボルテックスミキサーで10分間混合した。この後、複合磁性粉末を乾燥させ、粉砕と篩通しを行うことで、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を被覆した複合磁性粉末を得た。
金属化合物として、水中に乳化させたリチウムステアレートを使用した。ヘラを用いてリチウムステアレートを金型の表面に塗布し、金型内に複合磁性粉末を投入し、成形する際にリチウムステアレートを複合磁性粉末に転写させた。
複合磁性粉末を、金型に充填し、1600MPaの圧力で、トロイダル形状(外径:8mm, 内径:4.5mm, 高さ:1mm)にプレス成形を行った。得られたプレス体(成形体)を、Ar雰囲気下にて500℃15分の熱処理を行い、実施例3の圧粉磁心を得た。
(4)実施例4
実施例4にて使用するフェライト膜を被覆した複合磁性粉末(複合磁性粒子)には、実施例1で作製した複合磁性粉末(複合磁性粒子)を使用した。実施例4では酸化ナトリウム含有酸化ケイ素は使用しなかった。
金属化合物として、水中に乳化させたリチウムステアレートを使用した。ヘラを用いてリチウムステアレートを金型の表面に塗布し、金型内に複合磁性粉末を投入し、成形する
際にリチウムステアレートを複合磁性粉末に転写させた。
複合磁性粉末を、金型に充填し、1600MPaの圧力で、トロイダル形状(外径:8mm, 内径:4.5mm, 高さ:1mm)にプレス成形を行った。得られたプレス体(成形体)を、Ar雰囲気下にて500℃で15分の熱処理を行い、実施例4の圧粉磁心を得た。
(5)比較例1
比較例1ではフェライト粒界を形成させずに圧粉磁心を作製した。
磁性金属粉末(軟磁性金属粒子)には、水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si−4.5質量%Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この軟磁性金属粉末の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。
得られた軟磁性金属粉末に、水に分散させた酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を0.3wt%の割合で添加し、ボルテックスミキサーで10分間混合した。この後、軟磁性金属粉末を乾燥させ、粉砕と篩通しを行うことで、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を被覆した粉末を得た。
金属化合物として、水中に乳化させたリチウムステアレートを使用した。ヘラを用いてリチウムステアレートを金型の表面に塗布し、金型内に軟磁性金属粉末を投入し、成形する際にリチウムステアレートを軟磁性金属粉末に転写させた。
軟磁性金属粉末を、金型に充填し、1600MPaの圧力で、トロイダル形状(外径:8mm, 内径:4.5mm, 高さ:1mm)にプレス成形を行った。得られたプレス体(成形体)を、Ar雰囲気下にて500℃15分の熱処理を行い、比較例1の圧粉磁心とした。
(6)比較例2
比較例2では、金属化合物としてのリチウムステアレートを用いなかった。
磁性金属粉末(軟磁性金属粒子)には、水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si−4.5質量%Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この軟磁性金属粉末の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。
磁性金属粉末10gを100mlの酢酸カリウム水溶液に分散させ、水酸化カリウムによってpH=10に調整し、めっき液とした。また、純水100mlに所定量の塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化鉄(II)を添加し、十分に溶解させた後、反応液とした。このとき各金属イオンのモル比はMn:Zn:Fe=0.2:0.3:2.5とした。同様に純水100mlに酸化剤として亜硝酸カリウムを加えて酸化液とした。めっき溶液に窒素を流しながら、めっき溶液を70℃に加熱した。めっき溶液に超音波を印加しながら、反応液と酸化液を滴下して磁性金属粉末の表面にフェライト膜を形成させた。反応は25分間行い、得られたフェライト膜が形成された磁性金属粉末は純水で洗浄した後、磁石にて回収した。この後、フェライト膜が形成された磁性金属粉末を乾燥させ、粉砕と篩通しを行って、複合磁性粉末(複合磁性粒子)を得た。
得られた複合磁性粉末に、水に分散させた酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を0.3wt%の割合で添加し、ボルテックスミキサーで10分間混合した。この後、複合磁性粉末を乾燥させ、粉砕と篩通しを行った後、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を被覆した複合磁性粉末を得た。
得られた複合磁性粉末を、金型に充填し、1600MPaの圧力でトロイダル形状(外径:8mm, 内径:4.5mm, 高さ:1mm)にプレス成形を行った。得られたプレス体(成形体)を、Ar雰囲気下にて500℃15分の熱処理を行い、比較例2の圧粉磁心を得た。
(7)比較例3
比較例3では酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を使用しなかった。また、比較例3では、金属化合物としてのリチウムステアレートを用いなかった。
磁性金属粉末(軟磁性金属粒子)には、水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si−4.5質量%Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この軟磁性金属粉末の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。
磁性金属粉末10gを100mlの酢酸カリウム水溶液に分散させ、水酸化カリウムによってpH=10に調整し、めっき液とした。また、純水100mlに所定量の塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化鉄(II)を添加し、十分に溶解させた後、反応液とした。このとき各金属イオンのモル比はMn:Zn:Fe=0.2:0.3:2.5とした。同様に純水100mlに酸化剤として亜硝酸カリウムを加えて酸化液とした。めっき溶液に窒素を流しながら、めっき溶液を70℃に加熱した。めっき溶液に超音波を印加しながら、反応液と酸化液を滴下して磁性金属粉末の表面にフェライト膜を形成させた。反応は25分間行い、得られたフェライト膜が形成された磁性金属粉末は純水で洗浄した後、磁石にて回収した。この後、フェライト膜が形成された磁性金属粉末を乾燥させ、粉砕と篩通しを行って、複合磁性粉末(複合磁性粒子)を得た。
得られた複合磁性粉末を、金型に充填し、1600MPaの圧力でトロイダル形状(外径:8mm, 内径:4.5mm, 高さ:1mm)にプレス成形を行い、比較例3の圧
粉磁心を得た。
(8)比較例4
比較例4ではフェライト粒界を形成させずに圧粉磁心を作製した。また、比較例4では酸化ナトリウム含有酸化ケイ素を使用しなかった。
磁性金属粉末(軟磁性金属粒子)には、水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si−4.5質量%Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この軟磁性金属粉末の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。
金属化合物として、水中に乳化させたリチウムステアレートを使用した。ヘラを用いてリチウムステアレートを金型の表面に塗布し、金型内に軟磁性金属粉末を投入し、成形する際にリチウムステアレートを軟磁性金属粉末に転写させた。
軟磁性金属粉末を、金型に充填し、1600MPaの圧力で、トロイダル形状(外径:8mm, 内径:4.5mm, 高さ:1mm)にプレス成形を行った。得られたプレス体(成形体)を、Ar雰囲気下にて500℃15分の熱処理を行い、比較例4の圧粉磁心を得た。
2.評価及びその結果
(1)軟磁性金属粒子の形状観察
次の各軟磁性金属粒子についてFE−SEMを用いた形状観察を行った。ここでは、軟磁性金属粒子の表面を観察して、フェライトの被覆状態を確認した。

・実施例1:フェライトで被覆された軟磁性金属粒子であって、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素で被覆する前の複合磁性粒子

・実施例2:フェライトで被覆された軟磁性金属粒子であって、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素で被覆する前の複合磁性粒子

・実施例3:フェライトで被覆された軟磁性金属粒子であって、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素で被覆する前の複合磁性粒子

・実施例4:フェライトで被覆された軟磁性金属粒子(複合磁性粒子)

・比較例1:フェライトで被覆されていない軟磁性金属粒子であって、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素で被覆する前の軟磁性金属粒子

・比較例2:フェライトで被覆された軟磁性金属粒子であって、酸化ナトリウム含有酸化ケイ素で被覆する前の複合磁性粒子

・比較例3:フェライトで被覆された軟磁性金属粒子(複合磁性粒子)

・比較例4:フェライトで被覆されていない軟磁性金属粒子
図6は、実施例1の複合磁性粒子の表面観察像を示している。倍率は10000倍である。表面にフェライトが形成されていることが確認された。
図7は、実施例2の複合磁性粒子の表面観察像を示している。倍率は10000倍である。表面にフェライトが形成されていることが確認された。
図8は、実施例3の複合磁性粒子の表面観察像を示している。倍率は10000倍である。表面にフェライトが形成されていることが確認された。
実施例4の複合磁性粒子は、実施例1の複合磁性粒子と同じであり、図6と同様に観察された。
図9は、比較例1の軟磁性金属粒子の表面観察像を示している。倍率は10000倍である。表面にフェライトが形成されていないことが確認された。
比較例2の複合磁性粒子は、実施例1の複合磁性粒子と同じであり、図6と同様に観察された。
比較例3の複合磁性粒子は、実施例1の複合磁性粒子と同じであり、図6と同様に観察された。
図10は、比較例4の軟磁性金属粒子の表面観察像を示している。倍率は10000倍である。表面にフェライトが形成されていないことが確認された。
(2)XRDスペクトル(X線回折スペクトル)
上述の「(1)磁性粒子の形状観察」において用いた各軟磁性金属粒子について、XRDスペクトルを測定した。図11は、これらの軟磁性金属粒子についてのXRDスペクトルを示している。実施例1〜4の複合磁性粒子、比較例2、3の複合磁性粒子は、いずれも、フェライトに由来するピークが確認され、フェライトが生成していることが確認された。
一方、比較例1および比較例4の軟磁性金属粒子は、フェライトに由来するピークは確認されず、フェライトが生成していないことが確認された。
(3)フェライト粒界の組成
実施例1〜3の複合磁性粒子のフェライトの組成をICP発光分析により求めた。なお、このフェライトの組成は、圧粉磁心の軟磁性フェライトの組成と同等である。
結果を表2に示す。
(4)圧粉磁心の観察
焼鈍後の圧粉磁心の断面観察を行った。圧粉磁心をダイシング装置(切断装置)を用いて半分に切断し、エポキシ樹脂中で硬化させ、ダイシング切断面を鏡面加工することによって評価サンプルを得た。評価サンプルをFE−SEMにより観察した。
なお、比較例3では、プレス成形によるプレス体の形状の維持が困難であり、焼鈍後の圧粉磁心の断面観察を行っていない。図12に、プレス成形後における比較例3の圧粉磁心の外観写真を示す。この写真から分かるように、結着材を用いないため、プレス成形後に形状が壊れている。また、比較例3では、仮にプレス時に壊れなかった場合でも、特性評価の際やコイル化の際に、破損する可能性がある。
次に、圧粉磁心の断面の観察結果を検討する。
断面の観察像を図13〜17に示す。これらの観察像は、圧粉磁心の表面近傍よりも中側の部位の観察像である。
実施例1〜3(図13、14、15)及び比較例2(図17)では、軟磁性金属粒子は、それぞれ個々にフェライト(軟磁性フェライト)によって分割されており、焼鈍後もフェライトが絶縁膜として機能していることが分かる。一方、比較例1(図16)では軟磁性金属粒子同士が接触しており、粒子間渦電流を抑制することが困難であることが分かる。なお、比較例1の図16における黒色部分は、ボイド(空洞)である。
(5)圧粉磁心の表面近傍の断面観察
実施例1〜3、及び比較例1〜2で作製した圧粉磁心の金型と摩擦した部分をFE−SEMを用いて観察した。すなわち、圧粉磁心の表面近傍の断面を観察した。
結果を図18〜22に示す。実施例1〜3(図18、19、20)、及び比較例1(図21)では、リチウムステアレートが潤滑剤として機能しており、軟磁性金属粒子の変形やフェライトの破壊は確認されなかった。一方、比較例2(図22)では、型からの抜き出しの際に摩擦が発生した方向に、軟磁性金属粒子が大きく変形し、その表面ではフェライトの破壊が確認された。このような比較例2の断面の状態を模式的に示すと、図23のようになる。
なお、実施例1〜4で作製した全ての圧粉磁心では、圧粉磁心の表面にLiが存在することを確認できた。
(6)圧粉磁心のヒステリシス曲線
実施例1〜3、及び比較例1で作製した圧粉磁心のBHヒステリシス曲線を図24に示す。また、BHヒステリシス曲線から求めた飽和磁束密度の値を表3に示す。
なお、図24では、実施例1〜3、及び比較例1の場合の全てのBHヒステリシス曲線がほぼ重なっている状態が示されている。
BHヒステリシス曲線からは様々な情報を得ることができる。図24のBHヒステリシス曲線から、以下のことが確認された。
磁束密度の最大値である飽和磁束密度は、磁性体の磁化できる最大値を示しており、この値が大きい方が小型化や大電流化に対応することができるため有利である。図24及び表3より、実施例1〜3は、比較例1と同様に1.5T以上の飽和磁束密度を有しているため実用性が高いことが確認された。
また、BHヒステリシス曲線の傾きは磁化のしやすさを表している。この値が大きい方が容易に磁化できることを表しており、実用性が高い。図24より、実施例1〜3は、比較例1と同様に容易に磁化できることが確認された。
また、BHヒステリシス曲線から、実施例1〜3では、保持力が0に近いことが確認された。
以上より、実施例1〜3は、圧粉磁心としての基本性能を有していることが確認できた。
(7)圧粉磁心の電気抵抗率
実施例1〜4、及び比較例1、4で作製した圧粉磁心について、電気抵抗率を4端子法にて求めた。測定には、三菱化学アナリテック製ロレスターGXを使用した。
結果を表4に示す。表4の結果から、フェライト粒界の形成により圧粉磁心の電気抵抗率が大きく向上していることがわかる。
(8)複素透磁率特性
複素透磁率の測定は、アジレントテクノロジー製インピーダンスアナライザE−4991Aを使用し、周波数1MHz〜1GHzの範囲で測定した。結果を図25に示す。図25は、熱処理後の圧粉磁心の複素透磁率の実数成分を示している。
実施例1〜4では、50MHz付近まで高い透磁率を維持する結果を示していることが分かる。一方、比較例1、4では、1MHz以降、複素透磁率の実数成分が大きく低下している。比較例1、4では、フェライト粒界を持たないため渦電流を抑制することができず、高周波数になるほど、大きな磁気損失を発生させてしまう。そのため、複素透磁率の低下を抑えることができなくなってしまっている。また、比較例2でも潤滑剤としてのリチウムステアレートを使用しなかったため圧縮性に乏しく、実施例1に比べてμ’の値は小さくなった。
(9)鉄損値の周波数特性
トロイダル状の圧粉磁心に、Φ0.3mmのエナメル導線を、1次側に15巻し、2次側に15巻して、コイルとした。測定は、岩通計測製 B−Hアナライザ SY−8218を使用し、磁束密度Bm=50mT 周波数:100kHzの条件で行った。
図26に、実施例1〜3、及び比較例1で得られた圧粉磁心の鉄損値の周波数特性を示す。
実施例1〜3では、フェライト粒界による渦電流抑制効果により鉄損が大きく抑制できていることが分かる。一方、比較例1では、実施例1〜3に比べて鉄損値は数倍大きい。
3.実施例の効果
本実施例の圧粉磁心は、圧粉磁心としての基本性能を有すると共に、高電気抵抗率である。また、本実施例の圧粉磁心を用いれば、渦電流の発生を抑制できる。さらに、本実施例の圧粉磁心は、その強度が高く、形崩れしにくい。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
なお、上記実施例では、圧粉磁心の表面にLiが存在している例のみを示した。本発明では、表面にMg、Ca、Ba、Zn、Al、Srが存在している場合でも、以下の理由より、Liが存在している実施例と同等の効果が得られる。Mg、Zn、Alは、Liと同様にフェライト粒界中のFeと反応してしまってもスピネル結晶構造が得られるため、Liと同等の効果、すなわち、優れた磁気特性及び絶縁性を得ることができる。また、Sr、Ca、Baは、同じくFeとの反応でM型フェライト(マグネトプランバイト型)という磁性体を作るため、Liと同等の効果が得られる。
本発明の圧粉磁心は、モーターコア、トランス、チョークコイル、ノイズ吸収体等の用途に特に好適に使用される。
1…圧粉磁心
3…軟磁性金属粒子
5…金属酸化物層
7…軟磁性フェライト
9…Li、Mg、Ca、Ba、Zn、Al、及びSrからなる群より選ばれた1種以上の元素が存在する層
11…表面

Claims (3)

  1. 表面に金属酸化物層が形成された軟磁性金属粒子が複数含有され、
    一の軟磁性金属粒子と他の軟磁性金属粒子との間の粒界には、軟磁性フェライトが形成されている圧粉磁心であって、
    前記圧粉磁心の表面には、Li、Mg、Ca、Ba、Zn、Al、及びSrからなる群より選ばれた1種以上の元素が存在する層が形成されていることを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記軟磁性フェライトには、酸化ケイ素が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記圧粉磁心の表面の近傍の断面を観察した際に、
    前記圧粉磁心の表面を示す線が伸びる方向を第1の方向、前記第1の方向と垂直な方向を第2の方向としたとき、
    前記軟磁性金属粒子のうち、前記圧粉磁心の表面まで略到達している特定軟磁性金属粒子が以下の条件を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧粉磁心。

    前記圧粉磁心の表面を示す線と略平行な仮想線であって、前記第2の方向において、前記特定軟磁性金属粒子の最も前記表面側の部分を通る仮想線L1、
    前記L1と略平行な仮想線であって、前記第2の方向において、前記L1からの長さが前記特定軟磁性金属粒子の最大長さとなる部分を通る仮想線L2、及び
    前記第2の方向において、前記L1と前記L2との距離がそれぞれ等しい仮想線M、とした際、
    前記特定軟磁性金属粒子を、前記L1、前記L2および前記Mの3線を用いて、前記L1側の第1領域と、前記L2側の第2領域とに分け、
    前記第1領域における前記特定軟磁性金属粒子の第1方向の両端間の長さをL3とし、前記第2領域における前記特定軟磁性金属粒子の第1方向の両端間の長さをL4とした場合に、前記L3と前記L4が、下記関係式を満たす。

    0.5≦L3/L4≦2.5
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