JP2019033107A - 複合磁性粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱処理を行っても良好な電気絶縁性を示し、プレス成形しても渦電流の発生が抑制された成形体を製造するための材料となる複合磁性粒子を提供する。【解決手段】複合磁性粒子1は、軟磁性金属粒子3と、金属酸化物層5と、フェライト層7と、複数の軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部9と、を備えている。フェライト層7の形成により軟磁性金属粒子3の表面に高電気抵抗な膜を形成することができる。また、フェライト層7を用いることで磁気特性の低下を防ぎ、金属酸化物層5の存在によって高温で焼鈍した後もフェライト層の消失を防ぐことができる。軟磁性フェライト微粒子から構成される堆積部9により、プレス時の絶縁破壊を防ぐことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、複合磁性粒子に関する。
形状自由度の高さと、高周波帯域への適用可能性から圧粉磁心材料の開発が盛んに行われている。圧粉磁心コアは、100μm前後の磁性金属粉末の表面をリン酸やシリカといった絶縁性の物質でコーティングし、プレス成形によって成形されたコアである。一般的な圧粉磁心コアではプレス時の残留応力を緩和するため、400〜1000℃の温度で焼鈍を行うが、リン酸等は耐熱性が低く、焼鈍の際に絶縁破壊を引き起こす可能性がある。また、絶縁膜が非磁性のため、絶縁性を向上させようと厚膜化した場合、磁気特性を低下させてしまう。
この様な問題から、近年では磁性金属粒子の表面を、金属酸化物であるフェライトで被覆した複合粒子も提案されている。例えば、下記特許文献1が知られている。
特許文献1の技術では、磁性金属粒子の表面はフェライトによって被覆されているため、高い電気抵抗率を示す。また、フェライトは強磁性体であるため、複合粒子は高い飽和磁束密度と複素透磁率を維持することができる。この技術によって、高周波数帯での渦電流の発生を抑えつつ、高い磁気特性を得られることから小型化も期待できる。
ところが、磁性金属粒子の表面をフェライトで被覆した複合粒子に関し、実際に使用する上で以下の問題があった。
すなわち、この複合粒子では、高い電気抵抗と磁気特性が期待されるものの、400〜1000℃で焼鈍(焼きなまし)を行った場合、被覆されたフェライト膜が消失する問題があった。これは磁性金属粒子の表面と、被覆されたフェライト膜との間で金属原子の拡散が起こることが原因で、フェライトの結晶構造が破壊されてしまうためである。
この問題に対して、磁性金属粒子の表面を不動態被膜などで被覆し、磁性金属粒子とフェライト膜間の金属原子の拡散反応を抑制する検討も行われてきた(例えば、特許文献2参照)。
特開平04−352403号公報 特開2005−150257号公報
圧粉磁心材料は、複合粒子を金型に充填してプレス成形することにより目的の形状とすることで得られる。その際、数GPa以上の高圧でプレス成形した場合、成形時の高圧力によりフェライト膜が破壊される問題もある。フェライト膜が破壊されると、電気絶縁性が損なわれ、結果として渦電流の発生や高周波帯域での磁気特性低下を招いてしまう。
このような背景から、磁性金属粒子の表面をフェライトで被覆した複合粒子について長く検討は行われてきたものの、実用的な複合粒子はいまだ開発されていない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、プレス成形しても渦電流の発生が抑制された成形体を製造するための材料となる複合磁性粒子を提供することを目的とする。本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕軟磁性金属粒子と、
前記軟磁性金属粒子の表面に形成された金属酸化物層と、
前記金属酸化物層の表面を被覆するように形成された軟磁性フェライトからなるフェライト層と、
前記フェライト層の表面に形成され、複数の軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部と、を備えたことを特徴とする複合磁性粒子。
〔2〕前記堆積部は、前記軟磁性金属粒子の径方向に測定した厚みが不均一であることを特徴とする〔1〕に記載の複合磁性粒子。
〔3〕前記軟磁性フェライト微粒子は、粒子径が200nm以下であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の複合磁性粒子。
〔4〕前記フェライト層及び前記堆積部の、前記軟磁性金属粒子の径方向に測定した合計厚みが、10nm以上1000nm以下となっている部分が存在することを特徴とする〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載の複合磁性粒子。
本発明の複合磁性粒子によれば、プレス成形しても渦電流の発生が抑制された成形体が得られる。
堆積部について、軟磁性金属粒子の径方向に測定した厚みが不均一である場合には、以下の作用効果を奏する。複数の複合磁性粒子をプレス成形すると、複数の複合磁性粒子間の隙間が大きいところでは隙間に堆積部の厚い部分が配され、隙間が小さいところでは隙間に堆積部の薄い部分が配される傾向にある。よって、厚みが不均一な堆積部を有する複合磁性粒子を用いると、プレス成形の際に、複合磁性粒子間の隙間が少なくなりやすく、密度の高い成形体(圧粉体)を形成することができる。
軟磁性フェライト微粒子の粒子径が200nm以下である場合には、プレス成形する際に、複数の複合磁性粒子間の隙間に、堆積部を形成する軟磁性フェライト微粒子が入り込みやすく、密度の高い成形体(圧粉体)とすることができる。
フェライト層及び堆積部の軟磁性金属粒子の径方向に測定した合計厚みが、10nm以上1000nm以下である場合には、良好な磁気特性を保ったまま実用的な電気抵抗が得られる。
複合磁性粒子の断面の模式図である。 実施例1のFE−SEMによる表面観察像である(10000倍)。 実施例2のFE−SEMによる表面観察像である(10000倍)。 比較例1のFE−SEMによる表面観察像である(10000倍)。 比較例2のFE−SEMによる表面観察像である(10000倍)。 比較例3のFE−SEMによる表面観察像である(10000倍)。 実施例1のFE−SEMによる表面観察像である(30000倍)。 実施例2のFE−SEMによる表面観察像である(30000倍)。 比較例1のFE−SEMによる表面観察像である(30000倍)。 比較例2のFE−SEMによる表面観察像である(30000倍)。 実施例1のFE−SEMによる表面観察像である(30000倍以上)。 実施例1のTEMによる断面観察像である。 フェライトの粒界のイメージ図である。 実施例1、2のXRDスペクトルである。 複素透磁率特性の測定結果である。
以下、本発明を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「〜」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10〜20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10〜20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.複合磁性粒子
本実施形態の複合磁性粒子は、軟磁性金属粒子と、軟磁性金属粒子の表面に形成された金属酸化物層と、金属酸化物層の表面を被覆するように形成された軟磁性フェライトからなるフェライト層と、フェライト層の表面に形成され、複数の軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部と、を備える。本実施形態の複合磁性粒子は、金属−フェライト複合磁性粒子である。
ここで、複合磁性粒子を模式図によって説明する。図1は、複合磁性粒子の断面の模式図である。図1に示されるように、複合磁性粒子1は、軟磁性金属粒子3と、金属酸化物層5と、フェライト層7と、堆積部9と、を備えている。以下、各構成について詳細に説明する。
(1)軟磁性金属粒子
軟磁性金属粒子としては、軟磁性金属である金属の粒子を幅広く用いることができる。軟磁性金属としては、純鉄、Fe−Si合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al合金、Ni−Fe合金、Fe−Co合金、Feアモルファル合金等を好適に用いることができる。特に、組成中にCrやAlを含む合金は、表面に金属酸化物層を形成しているためより好ましい。CrやAlを含まない金属を用いる場合には、予めめっき処理等により金属表面にCrやAlの層を形成させる必要がある。
Fe−Si−Cr合金を用いる場合には、例えば、Si:0.1〜10質量%、Cr:0.1〜10質量%、残部:Fe及び不可避的不純物の組成の合金とすることができる。
軟磁性金属粒子の粒子径は、特に限定されない。軟磁性金属粒子の粒子径は、使用する周波数帯域によって適宜変更することができる。例えば、使用する周波数帯域によって1〜300μmの範囲で変化させることができる。特に100kHzを超える高周波帯域での使用を想定した場合は5〜60μmであることがより好ましい。なお、軟磁性金属粒子の粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA−750によって測定される粒度分布での最大ピークの粒径を意味する。
(2)金属酸化物層(不動態被膜)
本実施形態の複合磁性粒子は、金属酸化物層を備えている。金属酸化物層を、軟磁性金属粒子とフェライト層の間に備えることによって、焼鈍(熱処理)を行った際、軟磁性金属粒子とフェライト層間の金属原子の拡散反応を抑制することができる。
金属酸化物層を構成する金属酸化物は特に限定されない。例えば、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化モリブデン、及び酸化タングステンからなる群より選ばれた1種以上の金属酸化物が好ましい。特に、金属酸化物に、酸化クロム及び酸化アルミニウムのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの好ましい金属酸化物を用いることで、上述の金属原子の拡散が効果的に抑制される。
なお、軟磁性金属粒子として、Fe−Si−Cr合金の粒子を用いた場合には、金属原子拡散の抑制効果を有する金属酸化物層を容易に形成することができる。すなわち、Fe−Si−Cr合金中のCrが酸化することにより軟磁性金属粒子の外縁部に金属酸化物層が形成される。
また、金属酸化物層の厚みは、特に限定されない。厚みは、好ましくは1〜20nmとすることができる。なお、金属酸化物層の厚みは、XPS(X線光電子分光法)を用いて測定できる。
(3)フェライト層
本実施形態の複合磁性粒子は、金属酸化物層の表面を被覆するように形成された軟磁性フェライトからなるフェライト層を備えている。フェライト層により、複合磁性粒子は、1個単位で電気的に絶縁される。すなわち、隣り合う複合磁性粒子同士はフェライト層により絶縁されるので、各複合磁性粒子は電気的に孤立状態になる。これにより圧粉磁心コアやノイズ吸収体とした場合も、渦電流を効率的に抑制し、MHzを超える周波数帯域まで使用することができるようになる。
軟磁性フェライトの材料は、特に限定されない。軟磁性フェライトの材料は、マグネタイト、Niフェライト、Znフェライト、Mnフェライト、Ni−Znフェライト、及びMn−Znフェライトからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。更には電気抵抗率が10Ω・cm以上のフェライトを用いるのが好ましい。そのため、Niフェライト、Znフェライト、Mnフェライト、Ni−Znフェライト、及びMn−Znフェライトからなる群より選ばれた1種以上がより好ましい。
軟磁性フェライトとしては、例えば、下記式〔1〕又は〔2〕の軟磁性フェライトを好適に用いることができる。

〔1〕 Fe
〔2〕 M−Zn−Fe(3−x−y)
(但し、式中、Mは、Ni又はMnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、x+y=1である。)
フェライト層は、金属酸化物層に対してち密に被覆されてことが好ましい。金属酸化物層の表面の80%以上を被覆することが好ましく、90%以上被覆することがより好ましく、99%以上を被覆することが更に好ましい。被覆率を上げると、すなわち、軟磁性金属粒子および金属酸化物層の露出を少なくすることで、渦電流をより効率的に抑制できるからである。
また、フェライト層の厚みは、特に限定されない。厚みは、好ましくは10〜1000nmであり、より好ましくは20〜750nmであり、更に好ましくは30〜600nmである。この範囲内であると、フェライト層は絶縁破壊する事が無くなり、渦電流をより効率的に抑制できるからである。フェライト層の厚みは、複合磁性粒子の断面をTEM(透過電子顕微鏡)にて観察することによって測定できる。
また、フェライト層が、金属酸化物層の表面を被覆している面積割合については、FE−SEMにて観察して求めることができる。
(4)複数の軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部
本実施形態の複合磁性粒子は、フェライト層の表面に、複数の軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部を備えている。堆積部は、プレス成形の際に、圧力を加えると流動して変形する。堆積部は、フェライト層の表面において、連続した一体のものとして存在していてもよく、複数に分断された状態で存在してもよい。
堆積部は、複数の軟磁性フェライト微粒子が堆積してなる。ここで、軟磁性フェライト微粒子の材料は、特に限定されない。軟磁性フェライトの材料は、マグネタイト、Niフェライト、Znフェライト、Mnフェライト、Ni−Znフェライト、及びMn−Znフェライトからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。更には電気抵抗率が10Ω・cm以上のフェライトを用いるのが好ましい。そのため、Niフェライト、Znフェライト、Mnフェライト、Ni−Znフェライト、及びMn−Znフェライトからなる群より選ばれた1種以上がより好ましい。
軟磁性フェライトとしては、例えば、下記式〔1〕又は〔2〕の軟磁性フェライトを好適に用いることができる。

〔1〕 Fe
〔2〕 M−Zn−Fe(3−x−y)
(但し、式中、Mは、Ni又はMnであり、0≦x≦1、0≦y≦1、x+y=1である。)
また、堆積部を形成する軟磁性フェライト微粒子の材料と、上記フェライト層を形成する軟磁性フェライトの材料は、同一であることが望ましい。両者が同一であると、フェライト層及び堆積部を1つの工程で形成できるからである。
堆積部が、フェライト層の表面を覆う割合は、特に限定されない。好ましくは5〜99%であり、より好ましくは10〜90%である。この範囲内であると、絶縁破壊のおそれが少なく、磁気特性(透磁率及び飽和磁束密度)の低下のおそれも少ないからである。なお、堆積部が、フェライト層の表面を被覆している面積割合については、FE−SEMにて観察して求めることができる。
堆積部が、フェライト層の表面を覆う割合は、堆積部を形成するための反応の反応時間により調整することができる。
軟磁性フェライト微粒子の粒径は、特に限定されない。軟磁性フェライト微粒子の粒子径は200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。軟磁性フェライト微粒子の粒径がこの範囲内である場合には、プレス成形する際に、複数の複合磁性粒子間の隙間に、軟磁性フェライト微粒子がうまく入り込みやすく、密度の高い成形体(圧粉体)とすることができる。
なお、軟磁性フェライト微粒子の粒子径は、FE−SEMにて観察することにより求めることができる。この場合には、視野内の軟磁性フェライト微粒子の粒径の平均値を採用する。なお、軟磁性フェライト微粒子同士が共有結合した共有結合体を形成することもあるが、「軟磁性フェライト微粒子の粒径」とは、共結合体の粒径ではなく、軟磁性フェライト微粒子だけの粒径を指す。
堆積部は、軟磁性金属粒子の径方向に測定した厚みが、軟磁性金属粒子の面方向において、不均一であることが好ましい。すなわち、フェライト層及び堆積部の、軟磁性金属粒子の径方向に測定した合計厚みが、軟磁性金属粒子の面方向において、不均一であることが好ましい。図1には、模式的にその様子が示されている。すなわち、符号9で示される堆積部は、軟磁性金属粒子の面方向において、軟磁性フェライト微粒子の堆積割合が異なり(つまり、軟磁性金属粒子の面方向において、軟磁性フェライト微粒子が多く堆積する箇所と少なく堆積する箇所を有する)、堆積部の表面に凸凹を有している。その厚みの最小値と、最大値の差は特には限定されないが、5〜1000nmであることが好ましい。厚みの最小値は、特には限定されないが、通常0〜5nmである。ここで、厚みが0nmとは、フェライト層の表面に堆積部が形成されていないことを意味する。また、厚みの最大値は、特には限定されないが、通常10〜1000nmである。なお、堆積部の厚みは、複合磁性粒子の断面をTEM(透過電子顕微鏡)にて観察することによって測定できる。
堆積部について、軟磁性金属粒子の径方向に測定した厚みが不均一である場合には、以下の作用効果を奏する。複数の複合磁性粒子を金型に充填してプレス成形すると、複合磁性粒子間の隙間が大きいところには堆積部の厚い部分が入り込み、隙間が小さいところには堆積部の薄い部分入り込む傾向にある。よって、厚みが不均一な堆積部を有する複合磁性粒子を用いると、プレス成形によって複合磁性粒子間の隙間が少なくなりやすく、密度の高い成形体(圧粉体)を形成することができる。本実施形態の複合磁性粒子の堆積部は、軟磁性金属粒子の堆積体であり、その形状が変化しやすい。よって、プレス成形をすると、堆積部は複数の複合磁性粒子間に変形しながら入り込んでいく。よって、本実施形態の複合磁性粒子を用いると、密度の高い成形体が得やすい。
フェライト層及び堆積部の径方向に測定した合計厚みは、10nm以上1000nm以下となっていることが好ましい。この範囲内では、十分な絶縁効果が発揮されるとともに、十分な透磁率を確保することができる。なお、合計厚みは、複合磁性粒子の断面をTEMにて観察することによって測定できる。
2.複合磁性粒子の製造方法
複合磁性粒子の製造方法は、特に限定されない。ここでは、その製造方法の一例を説明する。
例えば、金属酸化物層が表面に存在する軟磁性金属粒子を超音波励起フェライトめっき装置を用いてめっき反応させる。この反応は、水溶液中でFe2+→Fe3+の酸化反応を利用し、スピネル型フェライトを基板や粒子等の表面に堆積させる手法である。この手法では、めっき条件、めっき時間の調整により、金属酸化物層の表面をフェライト層によって被覆することができる。また、めっき時間の調整によってフェライト層及び軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部の厚さを調整することができる。
通常、被めっき物に酸化クロムや酸化アルミニウムといった金属酸化物層が存在する場合、めっきの反応速度が著しく低下するため、フェライト層を形成させることはできない。金属酸化物層の表面にち密に(例えば金属酸化物層の表面の80%以上を)被覆するためには、めっき液のpHを細かく調整する必要がある。被覆するフェライトのpH−酸化還元電位図において、フェライト生成条件の高pH側にめっき液のpHを調節する必要がある。この条件はめっきするフェライトの組成によって変化するが、例えばNi−ZnフェライトではpH=11〜12が好ましい。
被めっき物である軟磁性金属粒子を、目的のpHに調整した緩衝液中に添加し、そこへ原料となる金属イオンを溶解させた反応液と酸化液を徐々に添加することでフェライト層及び複数の軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部が形成される。超音波ホーンにより、軟磁性金属粒子は発熱を伴いながら激しく分散され、恒温槽からの加熱と併せてフェライト生成反応は加速される。また、下の反応式から分かるように、反応の進行と共にプロトンが生成されるため、めっき槽内のpHは徐々に酸性に変化する。pHの変動はフェライト生成に大きく影響するため、複合磁性粒子の製造においては、めっき槽内のpHを常に調整する必要がある。めっき条件の最適化により、金属酸化物層によるめっき反応の抑制を最小限に抑えることができる。

3Fe2++4HO→Fe+8H+2e

具体的な複合磁性粒子の製造方法の一例を以下に示す。水に金属イオンが含まれた反応液を用意する。水に酸化剤が溶解した酸化液を用意する。金属酸化物層を表面に有する軟磁性金属粒子を所定のpHに調製した緩衝液中に分散させる。そして、超音波を印加しながら、軟磁性金属粒子が分散した緩衝溶液に、反応液及び酸化液を滴下すると、金属酸化物層の上にフェライト層及び軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部が形成される。このようにして、本実施形態の複合磁性粒子を製造することができる。
緩衝液のpHは、Ni−Znフェライトの場合には、上述のように、好ましくは11〜12である。緩衝液の種類は特に限定されない。
なお、フェライト層及び複数の軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部の形成のメカニズムは解明されていないが以下のように推測される。
(1)軟磁性金属粒子の表面の水酸基から反応が開始し、フェライト層の形成が始まる。
(2)次にフェライト層の表面に磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部の形成が始まる。堆積部は、超音波のエネルギーにより凹凸を持った構造となる。
このようなメカニズムで、本実施形態の複合磁性粒子が生成すると考えられる。なお、めっき槽のpH条件がずれるとフェライト層が形成されず、めっき槽内を漂っている磁性フェライト微粒子の堆積体が軟磁性金属粒子の表面に付着した様な構造になると考えられる。例えば、このように、pH条件がずれた場合には、後述する比較例2のようになるものと推測される(図5、10参照)。
3.本実施形態の複合磁性粒子の作用効果
本実施形態の複合磁性粒子によれば、フェライト層は軟磁性金属粒子における高電気抵抗な膜として機能する。また、フェライト層を用いることで磁気特性の低下を防ぎ、金属酸化物層(不動態被膜)の存在によって高温で焼鈍した後もフェライト層の消失を防ぐことができる。軟磁性フェライト微粒子から構成される堆積部により、プレス時の絶縁破壊を防ぐことができる。本実施形態の複合磁性粒子によって低損失な磁気コアや、MHzを超える高周波帯域まで使用可能なノイズ吸収体を作製することができ、このノイズ吸収体は、透磁率や飽和磁束密度も一般的なコアよりも大きいことから、小型化が可能となる。
本実施形態で示したように、磁気特性の向上には、フェライト層、及び軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部の両者が必要である。また、高温熱処理におけるフェライト層の維持には金属酸化物層が必要である。緻密なフェライト層は渦電流の抑制に寄与し、軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部は絶縁破壊の抑制とプレス時の密度向上に寄与する。
金属酸化物層の存在は、焼鈍の際に発生する金属−フェライト間の金属原子の拡散抑制を目的としており、焼鈍を行った場合でも軟磁性金属粒子とフェライト間の金属原子の拡散反応が抑制される。これにより500℃を超える温度で焼鈍を行った場合でも、フェライト層が破壊されず、磁気特性を維持することができる。
堆積部は軟磁性フェライト微粒子から構成されているため、高圧のプレス成形を行った場合では、隙間を埋めるように流動することができる。また、高圧でプレス成形を行った場合、フェライト層が破壊されてしまう場合があるものの、この軟磁性フェライト微粒子からなる堆積部が存在することで、軟磁性フェライト微粒子が移動し、破壊されたフェライト層を修復することができる。
また、従来の技術では、絶縁被膜は非磁性であることが多く、電気絶縁性を付与すると、磁気特性が低下するといった課題があった。本実施形態では、構成要素のすべてが磁性体から構成されており、絶縁被膜形成による磁気特性低下を防ぐことができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
1.複合磁性粒子の調製
(1)実施例1
複合磁性粒子は超音波励起フェライトめっき法により以下のように調製した。
軟磁性金属粒子には水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si−4.5質量%Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この軟磁性金属粒子の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。この軟磁性金属粒子10gを100mLの酢酸カリウム水溶液に分散させ、水酸化カリウムによってpH=11に調整した。また純水100mLに所定量の塩化ニッケル、塩化亜鉛、塩化鉄(II)を添加し、十分に溶解させた後、反応液とした。同様に純水100mLに酸化剤として亜硝酸カリウムを加えて酸化液とした。得られためっき溶液(軟磁性金属粒子が分散された緩衝液)に窒素を流しながら、70℃に加熱し、超音波を印加しながら、反応液と酸化液を徐々に滴下してフェライト層及び微粒子が堆積した堆積部を形成させた。反応は25分間行った。複合磁性粒子は純粋で洗浄した後、磁石にて回収した。この後、複合磁性粒子を乾燥させ、粉砕と篩通しを行って、実施例1のサンプルを得た。
(2)実施例2
実施例2ではめっき時間を10分間に短縮し、フェライト層及び微粒子が堆積した堆積部の厚みを変化させた。複合磁性粒子は超音波励起フェライトめっき法により以下のように調製した。
軟磁性金属粒子には水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si−4.5質量%Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この軟磁性金属粒子の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。軟磁性金属粒子10gを100mLの酢酸カリウム水溶液に分散させ、水酸化カリウムによってpH=11に調整した。また純水100mLに所定量の塩化ニッケル、塩化亜鉛、塩化鉄(II)を添加し、十分に溶解させた後、反応液とした。同様に純水100mlに酸化剤として亜硝酸カリウムを加えて酸化液とした。得られためっき溶液(軟磁性金属粒子が分散された緩衝液)に窒素を流しながら、70℃に加熱し、超音波を印加しながら、反応液と酸化液を徐々に滴下してフェライト層及び微粒子が堆積した堆積部を形成させた。反応は10分間行った。複合磁性粒子は純粋で洗浄した後、磁石にて回収した。この後、複合磁性粒子を乾燥させ、粉砕と篩通しを行って、実施例2のサンプルを得た。
(3)比較例1
比較例1ではCrを含まない軟磁性金属粒子を使用した。
軟磁性金属粒子には水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この軟磁性金属粒子の表面には、金属酸化物層は形成されていない。この軟磁性金属粒子10gを100mLの酢酸カリウム水溶液に分散させ、水酸化カリウムによってpH=11に調整した。また純水100mLに所定量の塩化ニッケル、塩化亜鉛、塩化鉄(II)を添加し、十分に溶解させた後、反応液とした。同様に純水100mlに酸化剤として亜硝酸カリウムを加えて酸化液とした。得られためっき溶液(軟磁性金属粒子が分散された緩衝液)に窒素を流しながら、70℃に加熱し、超音波を印加しながら、反応液と酸化液を滴下してフェライト層及び軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部を形成させた。反応は25分間行った。複合磁性粒子は純粋で洗浄した後、磁石にて回収した。この後、複合磁性粒子を乾燥させ、粉砕と篩通しを行って、比較例1のサンプルを得た。
(4)比較例2
比較例2ではめっき時のpHを8として、めっきを行った。めっきしたフェライトはFe(マグネタイト)であり、Ni−Znフェライトに比べ反応速度が速く、めっきが容易なフェライトである。
複合磁性粒子は、超音波励起フェライトめっき法により以下のように調製した。
軟磁性金属粒子には水アトマイズ法によって作製したFe−3.0質量%Si−6.5質量%Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この軟磁性金属粒子の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。この軟磁性金属粒子10gを100mLの酢酸カリウム水溶液に分散させ、pH=8に調整した。また純水100mLに所定量の塩化鉄(II)を添加し、十分に溶解させた後、反応液とした。同様に純水100mLに酸化剤として亜硝酸カリウムを加えて酸化液とした。得られためっき溶液(軟磁性金属粒子が分散された液)に窒素を流しながら、70℃に加熱し、超音波を印加しながら、反応液と酸化液を徐々に滴下してフェライトを形成させた。反応は25分間行った。複合磁性粒子は純粋で洗浄した後、磁石にて回収した。この後、複合磁性粒子を乾燥させ、粉砕と篩通しを行って、比較例2のサンプルを得た。
(5)比較例3
比較例3ではフェライトめっきを行わず、軟磁性金属粒子単体で使用した。
軟磁性金属粒子には水アトマイズ法によって作製したFe−3.5質量%Si−4.5質量Cr粒子(平均粒子径:10μm)を使用した。この軟磁性金属粒子の表面には、酸化クロム層(金属酸化物層)が形成されていた。
2.評価及びその結果
(1)形状観察
各サンプルについて、FE−SEMによる形状観察を行った。図面において、符号1は複合磁性粒子を示し、符号3は軟磁性金属粒子を示し、符号7はフェライト層7を示し、符号9は堆積部を示している。
図2及び図7は、実施例1のサンプルの表面観察像を示している。図2は複合磁性粒子1個に注目した倍率10000倍の表面観察像であり、図7は倍率30000倍での表面観察像である。表面が平滑な部分は、フェライト層である。この部分を例えば30000倍を超える倍率で表面を観察すると、フェライトの粒界を確認することができる。なお、フェライトの粒界は、例えば、図13のイメージ図のように観察される。
複数の粒子が堆積し、表面が凹凸となっている塊状の部分は、軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部である。実施例1のサンプルでは、フェライト層、及び軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部が存在することが確認された。
図3及び図8は、実施例2のサンプルの表面観察像を示している。図3は複合磁性粒子1個に注目した倍率10000倍の表面観察像であり、図8は倍率30000倍での表面観察像である。表面が平滑な部分は、フェライト層である。この部分を例えば30000倍を超える倍率で表面を観察すると、フェライトの粒界を確認することができる。複数の粒子が堆積し、表面が凹凸となっている塊状の部分は、軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部である。実施例2のサンプルでは、フェライト層、及び軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部が存在することが確認された。
図4及び図9は、比較例1のサンプルの表面観察像を示している。図4は複合磁性粒子1個に注目した倍率10000倍の表面観察像であり、図9は高倍率の倍率30000倍での表面観察像である。表面が平滑な部分は、フェライト層である。この部分を例えば30000倍を超える倍率で表面を観察すると、フェライトの粒界を確認することができる。複数の粒子が堆積し、表面が凹凸となっている塊状の部分は、軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部である。比較例1のサンプルでは、軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部が存在することが確認された。
図5及び図10は、比較例2のサンプルの表面観察像を示している。図5は複合磁性粒子1個に注目した倍率10000倍の表面観察像であり、図10は倍率30000倍での表面観察像である。比較例2のサンプルでは、フェライト層は存在していないことが確認された。すなわち、比較例2のサンプルでは、軟磁性金属粒子の表面に形成された酸化クロム層が剥き出しの状態であることが確認された。
なお、比較例2のサンプルを30000倍を超える倍率で表面を観察しても、フェライトの粒界を確認することはできなかった。
比較例2では、酸化クロム層(不動態被膜)によって、めっき反応が抑制され、フェライト層が形成されなかったものと推測される。よって、複合磁性粒子を調製する際のめっきのpH条件が重要であると考えられる。なお、図5及び図10から、比較例2のサンプルにおいても、軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部が僅かに生成していることが観察される。
比較例2のサンプルでは、フェライト層は存在していないため、以下の比較例3と同様に、渦電流の発生を抑えることはできない。
図6は、比較例3のサンプルの表面観察像を示している。図6は磁性金属粉末1個に注目した倍率10000倍の表面観察像である。比較例3のサンプルでは、フェライト層および軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部は存在していないことが確認された。
なお、実施例1のサンプルについては、図11に示すように例えば30000倍以上の倍率で詳細に観察した。その結果、図11の丸い円で囲まれた中では、緻密なフェライト層が存在することが確認できた。また、符号9で示す軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部が形成されていることが確認できた。
更に、実施例1のサンプルでは、TEMによる断面観察も行った。その結果、図12に示すように、符号3の軟磁性金属粒子と、符号7のフェライト層と、符号9の軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部とが観察された。
(2)XRDスペクトル(X線回折スペクトル)
実施例1、2のサンプルについて、XRDスペクトルを測定した。図14は、実施例1、2のサンプルについてのXRDスペクトルを示している。実施例1、2のいずれのサンプルも、フェライトに由来するピークが確認され、フェライト結晶が生成していることが分かった。
(3)成形体(プレス体)の電気抵抗率の測定
フェライト層、及び軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部が形成されたことによる絶縁効果を確認するためプレス体を成形し、プレス体の電気抵抗率を測定した。詳細には、表1に記載の各サンプルを用いて、それぞれ直径8mm、厚さ1mmの円柱状のプレス体を作製した。プレス体のプレス成形は、600MPaの圧力で行った。
プレス体をアルゴン雰囲気下にて500℃15分の条件で熱処理を行った。プレス体の電気抵抗率は三菱化学アナリテック製ロレスターGXを使用し4端子法で測定し、熱処理前後の電気抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
実施例1、2では熱処理後も電気抵抗率を維持しているものの、比較例1および3では電気抵抗率は低下していることが分かる。比較例1で電気抵抗率が大きく低下した理由は、軟磁性金属粒子中にCrを含んでおらず、酸化クロム層が形成されていないため、熱処理によって軟磁性金属粒子とフェライト層の間で金属原子の拡散が発生したためと考えられる。
また、実施例1と実施例2とを比較すると、超音波励起フェライトめっき法における、めっき時間の長い実施例1の方が電気抵抗率が高くなる傾向にあることが分かる。
(4)複素透磁率特性の測定
複合磁性粒子の複素透磁率特性を測定するため、複合磁性粒子を用いたトロイダルコアを作製した。トロイダルコアは、直径(外径)8mm、内径4.5mm、厚さ1mmのトロイダル形状に、1600MPaの圧力でプレス成形を行い作製した。トロイダルコアは、アルゴン雰囲気下にて700℃15分の条件で熱処理を行った。複素透磁率の測定は、アジレントテクノロジー製インピーダンスアナライザE−4991Aを使用し、周波数1MHz〜1GHzの範囲で測定した。結果を図15に示す。図15は、作製したトロイダルコアの複素透磁率の実数成分を示している。実施例1、2では10MHzを超える周波数帯域まで、一定の値を示していることが分かる。これはフェライト層、及び軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部の形成により、トロイダルコアの渦電流が抑制されたためである。また、実施例1、2は、700℃15分の条件での熱処理後においても、フェライト層、及び軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部が有効に機能しており、良好な耐熱性を有していることが分かる。
一方、比較例1では熱処理による金属原子の拡散によってフェライト層が破壊され、渦電流を抑制することができなくなったため、10MHz付近から複素透磁率の実数成分が低下している。また、比較例3ではフェライト層および軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部を有していないため1MHz以降、大きく複素透磁率の実数成分が低下している。
なお、図15には示されていないが、比較例2は、比較例3と、同様の傾向を示した。
以上の結果から、実施例1、2では、Crが酸化クロム層となり、不動態被膜として機能し、フェライト層と軟磁性金属粒子間で金属原子の拡散を抑制していることが分かる。このことは実施例1、2では、高温下での焼鈍や高温環境下の使用でも材料の変化を伴わずに使用できることを示している。焼鈍後も絶縁膜を維持できるため、コイルやトランスとして使用した場合は、高温環境下でも渦電流損を抑制でき、実用上、非常に有効である。
3.実施例の効果
本実施例の複合磁性粒子によれば、熱処理を行っても良好な電気絶縁性を示し、プレス成形しても渦電流の発生が抑制された成形体が得られる。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明の複合磁性粒子は、モーターコア、トランス、チョークコイル、ノイズ吸収体等の用途に特に好適に使用される。
1…複合磁性粒子
3…軟磁性金属粒子
5…金属酸化物層
7…フェライト層
9…軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部

Claims (4)

  1. 軟磁性金属粒子と、
    前記軟磁性金属粒子の表面に形成された金属酸化物層と、
    前記金属酸化物層の表面を被覆するように形成された軟磁性フェライトからなるフェライト層と、
    前記フェライト層の表面に形成され、複数の軟磁性フェライト微粒子が堆積した堆積部と、を備えたことを特徴とする複合磁性粒子。
  2. 前記堆積部は、前記軟磁性金属粒子の径方向に測定した厚みが不均一であることを特徴とする請求項1に記載の複合磁性粒子。
  3. 前記軟磁性フェライト微粒子は、粒子径が200nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合磁性粒子。
  4. 前記フェライト層及び前記堆積部の、前記軟磁性金属粒子の径方向に測定した合計厚みが、10nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合磁性粒子。
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