JP7251468B2 - 複合磁性材料、磁心および電子部品 - Google Patents

複合磁性材料、磁心および電子部品 Download PDF

Info

Publication number
JP7251468B2
JP7251468B2 JP2019234932A JP2019234932A JP7251468B2 JP 7251468 B2 JP7251468 B2 JP 7251468B2 JP 2019234932 A JP2019234932 A JP 2019234932A JP 2019234932 A JP2019234932 A JP 2019234932A JP 7251468 B2 JP7251468 B2 JP 7251468B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
composite magnetic
magnetic material
composite
axis length
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019234932A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020136665A (ja
Inventor
功 金田
祐 米澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to US16/792,956 priority Critical patent/US11682510B2/en
Priority to CN202010103764.9A priority patent/CN111599567B/zh
Publication of JP2020136665A publication Critical patent/JP2020136665A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7251468B2 publication Critical patent/JP7251468B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

本発明は、複合磁性材料、磁心および電子部品に関する。
近年、携帯電話機や携帯情報端末等の無線通信機器の利用周波数帯域の高周波化が進行し、使用される無線信号周波数はGHz帯となっている。そこで、そのようなGHz帯の高周波領域で使用される電子部品に対して、GHz帯の高周波領域においても透磁率が比較的大きい磁性材料を適用することで、フィルタ特性の改善やアンテナ寸法の小型化を図る試みがなされている。また、高周波領域磁気損失も低下させることが望まれている。その中で、磁心に用いられる磁性材料のアスペクト比などを大きくすることが試みられてきた。
例えば、特許文献1には、FeSiAl系の粉末および球状粉を用いる複合材が記載されている。特許文献2には、アモルファス系の粉末および球状粉を用いる複合材が記載されている。
しかし、現在では、さらに比透磁率μrが高く磁気損失tanδが低い磁心が求められている。
特開平11-260617号公報 特開2002-105502号公報
本発明は、GHz帯の高周波領域において比透磁率μrが高く磁気損失tanδが低く製品に実装したときに密着性が高くクラックやはがれが生じにくい複合磁性材料、およびそれを用いた磁心および電子部品を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の複合磁性材料は、
粉末および樹脂を含む複合磁性材料であり、
前記粉末はFeまたはFeおよびCoからなる主成分を有し、
前記粉末の一次粒子における平均短軸長が100nm以下であり、
前記粉末の一次粒子におけるアスペクト比の平均をA、前記粉末の一次粒子におけるアスペクト比の標準偏差をσとしたときに、
X-Y座標平面上にて、(X,Y)=(σ/A(%),(A-σ))を満足する点が3つの点α(24.5,6.7)、β(72.0,1.2)、およびγ(24.5,1.2)で囲まれる領域内(境界を含む)に存在することを特徴とする。
本発明の複合磁性材料は、上記の構成により、GHz帯の高周波領域において比透磁率μrが高く磁気損失tanδが低く製品に実装したときに密着性が高くクラックやはがれが生じにくい複合磁性材料となる。
前記粉末において、主成分に対するCoの含有割合が0~40atom%(0atom%を含まない)であることが好ましい。
本発明の磁心は上記の複合磁性材料を含む。
本発明の電子部品は上記の複合磁性材料を含む。
複合磁性材料における長軸長および短軸長を示す図面である。 X-Y座標平面上に実施例および比較例をプロットしたグラフである。 複合磁性体を含むインダクタ部品の断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
本実施形態の磁心(コア)は、粉末および樹脂を含む複合磁性材料からなる。
そして、粉末がFeまたはFeおよびCoを主成分とする軟磁性材料からなる。粉末の一次粒子における平均短軸長が100nm以下である。平均短軸長が100nm以下であることにより、磁心の磁気損失(tanδ)を低減することができる。なお、粉末の一次粒子における平均短軸長には特に下限はない。例えば粉末の一次粒子における平均短軸長が15nm以上であってもよい。
なお、平均短軸長が100nmを超える場合に磁心の磁気損失が大きくなるのは、一次粒子内に損失の原因となる磁壁が生じやすくなり、さらに渦電流損失が生じるためである。
また、粉末の形状には特に制限はない。球状であってもよく、針状であってもよく、擬針状、回転楕円体状または擬回転楕円体状であってもよい。
粉末の一次粒子における短軸長、長軸長およびアスペクト比の算出は、以下に示す方法により行う。
まず、TEMを用いて、倍率100000倍以上で、長軸長、短軸長およびアスペクト比を測定する粉末1を二次元画像にて撮影する。撮影した二次元画像上において、図1に示すように当該粉末1に外接する楕円1aを描き、当該楕円1aの長軸L1の長さを長軸長、短軸L2の長さを短軸長とする。そして、アスペクト比はL1/L2とする。
本実施形態に係る複合磁性材料は、粉末の一次粒子におけるアスペクト比の平均をA、前記粉末の一次粒子におけるアスペクト比の標準偏差をσとしたときに、X-Y座標平面上にて(X,Y)=(σ/A(%),(A-σ))を満足する点が3つの点α(24.5,6.7)、β(72.0,1.2)、およびγ(24.5,1.2)で囲まれる領域内(境界を含む)に存在する。
また、粉末はFeまたはFeおよびCoを主成分として含む。ここで、主成分として含むとは、粉末全体に対するFeまたはFeおよびCoの含有割合が50atom%以上であることを指す。
さらに主成分であるFeおよびCoの合計含有量に対するCoの含有量は0~40atom(0atom%を含まない)であることが好ましく、20~40atom%であることがさらに好ましい。粉末がFeおよびCoを主成分として含むことで、比透磁率μrを高くする効果がさらに大きくなる。
また、粉末には主成分以外の元素、例えばV、Cr、Mn、Cu、Zn、Ni、Mg、Ca、Sr、Ba、希土類元素、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Zn、Al、GaおよびSiなどが含まれていてもよく、特に耐酸化性を向上させるためにAl、Siおよび/またはNiが含まれていてもよい。その他の元素の含有量には特に制限はないが、粉末全体に対して合計で5質量%以下であることが好ましい。
また、粉末に対して酸化物層が被覆されていてもよい。酸化物層を構成する酸化物の種類および酸化物層の厚みには特に制限はない。例えばMg、Ca、Sr、Ba、希土類元素、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Zn、Al、GaおよびSiから選ばれる1種以上の非磁性金属を含む酸化物であってもよい。酸化物層の厚さは、例えば1.0nm以上10.0nm以下としてもよく、1.0nm以上5.0nm以下としてもよい。粉末を酸化物層で被覆することにより、粉末の酸化を防止しやすくなる。
粉末は、さらに樹脂で被覆する。すなわち、本実施形態に係る複合磁性材料は樹脂を有する。樹脂の種類には特に限定はない。例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂が例示される。樹脂で被覆することにより、絶縁性を向上させ、後述する磁化回転を抑制する粉末間での渦電流の発生を抑制でき、比透磁率μrを大きく向上させやすくなる。
粉末の一次粒子におけるアスペクト比の平均Aが高いことにより、磁気損失tanδ、特に高周波でのtanδが低減する傾向にある。また、上記のσが小さいほど磁気損失tanδが低減する傾向にある。すなわち、σ/A(%)は一次粒子のアスペクト比のばらつきを示すパラメータであり、A-σは一次粒子の形状のうち磁気損失tanδへの影響が大きい部分を組み合わせたパラメータである。σ/A(%)と(A-σ)との関係を特定の範囲内とすることで、GHz帯の高周波領域において比透磁率μrが高く磁気損失tanδが低く製品に実装したときに密着性が高く硬化収縮が小さくクラックやはがれが生じにくい磁心が得られる。具体的には、(X,Y)=(σ/A(%),(A-σ))を満足する点が3つの点α(24.5,6.7)、β(72.0,1.2)、およびγ(24.5,1.2)で囲まれる領域内(境界を含む)に存在する場合に良好な特性が得られる。
上記の場合に良好な特性が得られる理由は以下の通りであると考えられる。
特に高周波領域において複合磁性材料に発現する磁化の大きさは、複合磁性材料が有する粉末内部における磁化の歳差運動の変位の大きさに強く依存すると考えられる。歳差運動の変位が大きいほど、複合磁性材料に発現する磁化が大きくなり、高透磁率になる。
ここで、形状異方性が大きな粉末、すなわちアスペクト比が大きな粉末を複合磁性材料が含む場合には、複合磁性材料に外部磁界を掛けた場合に、反磁界によって粉末における単磁区構造が自己組織化しやすい。
その結果、アスペクト比が大きい粉末を複合磁性材料が含む場合には、磁化の歳差運動が抑制され、比透磁率μrが低くなりやすい。ただし、単磁区構造の自己組織化が起こりやすく、粉末内部の磁化構造は均一なため、複合磁性材料の有効磁化が増加しやすく、複合磁性材料の周波数特性は高周波数化しやすい。
これに対し、アスペクト比が小さい粉末を複合磁性材料が含む場合には、磁化の歳差運動が促進され、比透磁率μrが高くなりやすい。ただし、単磁区構造の自己組織化力が弱く、磁化に乱れが生じやすいため、複合磁性材料の有効磁化が減少しやすく、周波数特性は低周波数化しやすい。
ここで、アスペクト比のバラツキが大きい粉末を複合磁性材料が含む場合、すなわち、σ/Aが大きい粉末を含む場合には、アスペクト比が大きな粉末が優先的に自己組織化する。このときに粉末間に交換相互作用が生じ、アスペクト比が小さな粉末もアスペクト比が大きな粉末と同一方向に自己組織化しやすくなる。したがって、アスペクト比が大きな粉末の自己組織化を起点としてアスペクト比が小さな粉末の内部組織も均一化され、有効磁化が増加する。そして、複合磁性材料の周波数特性が高周波数化する。
逆に、アスペクト比が小さな粉末は磁化の歳差運動が大きい。このときに粉末間に交換相互作用が生じ、アスペクト比が大きな粉末の歳差運動も大きくなりやすい。したがって、アスペクト比が小さな粉末の歳差運動を起点としてアスペクト比が大きな粉末の歳差運動も大きくなる。そして、複合磁性材料の比透磁率μrが増加する。
ここで、粉末のAが大きいほど粉末を含む複合磁性材料のμrが低くなりやすく、tanδは低減しやすい。さらに、粉末のAが大きいほど粉末を含む複合磁性材料や磁心の密度が低下し、粉末を含む複合磁性材料の比透磁率μrが低下しやすくなる。また、粉末のσが大きいほどtanδは増大しやすい。したがって、粉末のσ/Aと(A-σ)との関係が特定の範囲内であることにより、高い比透磁率μrと低いtanδをと両立しやすくなる。具体的には、(X,Y)=(σ/A(%),(A-σ))を満たす点が3つの点α(24.5,6.7)、β(72.0,1.2)、およびγ(24.5,1.2)で囲まれる領域内(境界を含む)にある場合に良好な磁気特性および製品に実装したときに製品との良好な密着性が得られる。なお、高い比透磁率μrを得るにはA-σは6.0以下であることが好ましい。また、粉末のσ/Aが小さいほど、粒子の充填性が低いために複合磁性材料内に空隙を生じやすい。そのため、複合磁性材料の製品への密着性が悪くなり、はがれが生じやすい。一方で、粉末の(A-σ)を一定としたとき、粉末のσ/Aが大きいほど、粒子の充填性が改善される。そのため、複合磁性材料内に空隙を生じにくく、密着性がよい。しかし、粉末のσ/Aが大きいほど、樹脂の硬化収縮量が大きい。そのため、複合磁性材料に大きな応力がかかり、クラックが生じやすい。
本実施形態に係る磁心は上記の複合磁性材料を含んでいればよい。また、磁心の種類にも特に制限はなく、例えば、圧粉磁心であってもよい。また、例えばコイルを埋め込んだ圧粉磁心が上記の複合磁性材料を含んでいてもよい。
また、磁心全体に対する粉末の含有割合(以下、充填率とも呼ぶ)は25vol%以上とすることが好ましい。充填率を十分に高くすることにより、比透磁率μrを十分に向上させることができる。
ここで、充填率の算出方法に特に制限はない。例えば以下に示す方法が挙げられる。
まず、磁心を切断して得られた断面を研磨して観察面を作製する。次に、当該観察面に対して電子顕微鏡(SEM)を用いて観察する。この際に、観察した画像についてノイズを除去して二値化してもよい。そして、観察面全体の面積に対する粉末の面積割合を算出する。そして、本実施形態では当該面積割合と充填率とが等しいとみなし、当該面積割合を充填率とする。
また、充填率を算出する上で、観察面は、前記粉末を合計で1000粒子以上含む大きさとする。なお、観察面は複数であってもよく、合計で1000粒子以上含む大きさとしていればよい。
以下、本実施形態に係る複合磁性材料、磁心および電子部品の製造方法について説明するが、本実施形態に係る複合磁性材料、磁心および電子部品の製造方法は以下の方法に限定されない。
まず、主成分がFeまたはFeおよびCoである軟磁性材料からなる粉末を作製する。ここで、例えば一次粒子の平均アスペクト比が互いに異なる複数種類の粉末を準備し、混合することで、σ/Aを24.5%以上にしやすくなり、最終的に得られる複合磁性材料においてσ/Aと(A-σ)との関係を特定の範囲内としやすくなる。一方、1種類の粉末では、通常はσ/Aが24.5%以上とならない。1種類の粉末でσ/Aを24.5%以上にしようとすれば、意図的に一次粒子のアスペクト比のバラツキが大きい粉末を準備する必要がある。粉末の作製方法には特に制限はなく、本技術分野における通常の方法を用いることができる。例えば、α-FeOOH、FeOまたはCoO等の化合物からなる原料粉末を加熱還元する公知の方法により作製してもよい。原料粉末におけるFe、Coおよび/またはその他の元素の含有量を制御することにより、得られる粉末の組成を制御することができる。
ここで、原料粉末の平均短軸長および平均アスペクト比を制御することで、粉末の平均短軸長、平均長軸長および平均アスペクト比を制御することができる。なお、粉末の平均短軸長、平均長軸長および平均アスペクト比を制御する方法は上記の方法に限定されない。
また、粉末に非磁性金属の酸化物層を被覆させる場合としては、原料粉末に対して、非磁性金属を含有させた後に加熱還元を行う方法が例示される。原料粉末に対して非磁性金属を含有させる方法には特に限定は無い。例えば原料粉末と非金属元素を含む溶液とを混合させた後にpH調製を行い、ろ過して乾燥させる方法が挙げられる。また、非金属元素を含む溶液の濃度、pHおよび混合時間等を制御することで酸化物層の厚みを制御することができる。
上記の方法により加熱還元させて得られた粉末と樹脂とを混合させて粉末に樹脂を被覆させることができる。樹脂を被覆させる方法に特に制限はない。例えば粉末100vol%に対して樹脂を20~60vol%含む溶液を添加し、混合した後に乾燥させることで樹脂を被覆させることができる。
そして、粉末のアスペクト比やアスペクト比のバラツキを適宜制御することで、本実施形態に係る複合磁性材料を得ることができる。
上記の複合磁性材料から磁心を作製する方法には特に制限はなく、本実施形態に係る通常の方法を用いることができる。
例えば、上記の複合磁性材料を混錬し、冷却し、粉砕して粉末にし、得られた粉末を金型に充填して加圧成形し、熱硬化処理を行うことで磁心を作製する方法が挙げられる。また、その他の方法で磁心を作製することも可能である。
本実施形態に係る複合磁性材料および磁心の用途には特に制限はない。電子部品、例えば、コイル部品、インダクタ部品、LCフィルタ、アンテナ等が挙げられる。本実施形態に係る複合磁性材料を含む電子部品の製造方法には特に制限はなく、本実施形態に係る通常の方法を用いることができる。
次に、本発明を具体的な実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
まず、粉末を作製した。粉末は、α-FeOOHからなる粉末をH中で加熱還元する公知の方法により作製した。
このときに、互いに平均アスペクト比の異なる複数のα-FeOOHからなる粉末を準備した。このときのα-FeOOHからなる粉末の短軸長、長軸長および平均アスペクト比を制御することで、各表に記載の短軸長、長軸長および平均アスペクト比を有する粉末を得た。
さらに、α-FeOOHからなる粉末におけるCoの含有量を制御することで、粉末の組成を各表に示す組成に制御した。なお、各表に示す組成は原子数比である。
上記の方法により得られた粉末に対して、樹脂を添加した。また、表1に示す粉末1と粉末2とを各表に示す体積比で混合した。ミキシングロールを用いて、95℃で混錬し70℃まで徐冷しながら混錬を続け70℃以下では混錬を止め室温まで急冷することで複合磁性材料を得た。粉末1の欄が空欄である実験例では、粉末2のみに対して樹脂を添加し、混練した。なお、樹脂としてはエポキシ樹脂であるJER806:三菱ケミカルを用いた。
次に、得られた複合磁性材料を100℃に加熱した金型に投入し、980MPaの成形圧で成形を行った。得られた成形体を180℃で熱硬化してから切り出し加工することで、各表に示す各実施例および比較例におけるμrおよびtanδの測定用試料を得た。なお、試料の形状は1mm×1mm×100mmの直方体とした。
周波数1.0GHzとした場合、および周波数3.5GHzとした場合において、実施例および比較例の比透磁率μrおよび磁気損失tanδを測定した。比透磁率μrおよび磁気損失tanδはネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー(株)製、HP8753D)と空洞共振器((株)関東電子応用開発製)を用いて摂動法により測定した。結果を表2に示す。なお、磁気損失tanδは、周波数1.0GHzの場合には0.005以下を良好とした。周波数3.5GHzの場合には0.015以下を良好とし、0.010以下をさらに良好とした。比透磁率μrは、周波数1.0GHzの場合には1.50以上を良好とした。周波数3.5GHzの場合には1.60以上を良好とし、1.70以上をさらに良好とした。
さらに、得られた磁心に含まれる粉末の一次粒子のアスペクト比を500個、測定し、平均アスペクト比Aおよび標準偏差σを算出した。そして、σ/A(%)およびA-σを算出した。結果を表2に示す。なお、平均短軸長が100nm以下である実施例および比較例について、(X,Y)=(σ/A(%),(A-σ))で表される点をX-Y座標平面上にプロットした。結果を図2に示す。
各実施例および比較例について製品への実装を想定したアルミナ基板との密着試験を行った。上記の混錬および冷却後の複合磁性材料を100℃に加熱した金型に投入し、500MPaの成形圧でプレスし、直径10mm、厚さ約1.0mmの複合材料からなる板を成形した。上記の板とは別に、アルミナ板を準備した。具体的には、片側の表面に直径0.5mm、深さ0.25mmの円柱形のピットを形成した直径10mm、厚さ2mmのアルミナ板を準備した。複合磁性材料からなる板における直径10mmの面と、アルミナ板におけるピットを形成した面とが接するように重ねて真空パックした。そして、温度80℃、圧力196MPaの静水圧下で成形することによってピット内に複合磁性材料を充填した。複合磁性材料からなる板およびアルミナ板を180℃で熱硬化処理をした後に樹脂埋めおよび研磨することで、ピット部の厚さ方向の断面を露出させた。前記断面におけるアルミナ板と複合磁性材料との界面におけるはがれの有無、および、複合磁性材料におけるクラックの有無を観察した。結果を表2に示す。はがれもクラックも生じなかった場合に、密着試験の結果が良好であるとした。なお、μrまたはtanδが良好ではない比較例については、比較例13以外、上記の密着試験を行わなかった。
さらに、各実施例および比較例の複合磁性材料を用いて実際に図3に示すインダクタ部品101を作製した。以下、インダクタ部品101の製造方法について説明する。
まず、厚さ100μmの高抵抗Si基板である基板107を準備した。次に、基板107上に既知のフォトリソグラフィーおよびめっきを用いる方法でコイルを複数、形成した。図3に示すようにコイル導線109がUV硬化樹脂(ポリイミド)からなる樹脂103で覆われた構造とした。コイル外径230μm、コイル内径170μm、ターン数3とし、樹脂103の厚みが60μmとなるようにした。コイル導線109の材質は銅とした。次に、コイルの内側にある樹脂103を取り除き、直径140μm、深さ60μmの空間を形成した。次に、各実施例および比較例の複合磁性材料を0.5~1mm程度に薄く延ばして樹脂103上に置き、真空中、90℃で加圧することにより、コイル内部およびコイル上部に複合磁性材料を充填した。次に、180℃で3時間、複合磁性材料の硬化処理を行った。なお、一部の比較例においては、クラックまたははがれが硬化処理中に生じた。コイル上部をグラインダーで平面加工して余分な複合磁性材料を取り除き、複合磁性体105を形成した。なお、複合磁性体105の厚みは、樹脂103上から40μm、基板107上から100μmとした。次に、ダイシングソーを用いて基板107から複数のインダクタ部品101を切り出した。
各インダクタ部品101をネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー(株)製、HP8753D)の評価用基板にはんだ付けし、周波数3.5GHzでのLおよびQを測定した。Lは3.5nH以上である場合を良好とした。Qは18.0以上である場合を良好とした。
クラックおよびはがれについては、まず、各実施例および比較例につき、インダクタ部品101を10個、取り出した。そして、コイルの中心を通過する長手方向の断面を光学顕微鏡で観察した。そして、クラックのあるインダクタ部品101の数、および、はがれのあるインダクタ部品101の数を数えた。結果を表2に示す。なお、クラックのあるインダクタ部品101の割合、および、はがれのあるインダクタ部品101の割合は、それぞれ1%未満である場合を良好とした。すなわち、今回の実験例では、クラックのあるインダクタ部品101が観察されない場合を良好とし、はがれのあるインダクタ部品101が観察されない場合を良好とした。なお、インダクタ部品101のクラックは主に上記の直径140μm、深さ60μmの空間の縁から複合磁性体105の内部に向かって発生する。また、インダクタ部品101のはがれは主に基板107と複合磁性体105との境界に発生する。
Figure 0007251468000001
Figure 0007251468000002
実施例1および比較例1,2は、粉末が鉄のみからなる複合磁性材料である。表1および表2より、平均短軸長が100nm以下であり、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域内である実施例1は良好な特性を有していた。これに対し、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域外である比較例1および比較例2は、密着試験においてはがれを生じた。さらに、インダクタ部品101を作製した場合でも、比較例1および比較例2においてははがれを生じた。
実施例3~22および比較例3~13は、粉末が鉄とコバルトとの合金である複合磁性材料である。表1および表2より、平均短軸長が100nm以下であり、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域内である実施例3~22は良好な特性を有していた。これに対し、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域外である比較例3~6においては、密着試験においてはがれを生じた。比較例7~9においては比透磁率μrが良好ではなかった。さらに、インダクタ部品101を作製した場合でも、比較例3~9においてははがれを生じた。そして、比較例7~9においては、インダクタ部品101のLも低かった。比較例10~13においては、密着試験においてクラックが生じた。さらに、インダクタ部品101を作製した場合でも、比較例10~13はクラックが生じた。そして、比較例13においては、インダクタ部品101のLも低かった。
実施例23は、粉末が鉄とコバルトとの合金であり、平均短軸長が他の実施例より大きく、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域内である実施例である。また、比較例14、15は、平均短軸長は実施例23と同程度であるが、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域外である比較例である。比較例16、17は、平均短軸長が100nm超であり、さらに、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域外である比較例である。比較例18は、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域内であるが、平均短軸長が100nm超である比較例である。
実施例23は良好な特性を示した。これに対し、比較例14、15は密着試験においてはがれを生じた。比較例16~18は、磁気損失tanδが非常に大きくなった。さらに、インダクタ部品101を作製した場合には、比較例14~17においてははがれが生じた。さらに、比較例16~18においては、インダクタ部品101のQも低かった。
実施例24、25は、粉末が鉄とコバルトとの合金であり、平均短軸長が実施例1~22と実施例23との間の長さであり、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域内である実施例である。また、比較例19、20は、平均短軸長は実施例24と同程度であるが、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域外である比較例である。比較例21、22は、平均短軸長は実施例25と同程度であるが、X=σ/A(%)、Y=A-σとした場合にX-Y座標平面上で所定の領域外である比較例である。
実施例24、25は良好な特性を示した。これに対し、比較例19~22は、インダクタ部品101を作製した場合においてはがれが生じた。
比較例23では、複合磁性体105なしでインダクタ部品101を作製した。インダクタ部品101には当然、クラックおよびはがれは生じなかった。しかし、インダクタ部品101のLが低かった。なお、表2の3.5GHzの欄には、参考としてに真空の比透磁率1.00および真空の磁気損失0.000を記載している。
1・・・粉末
1a・・・(粉末に外接する)楕円
101・・・インダクタ部品
103・・・樹脂
105・・・複合磁性体
107・・・基板
109・・・コイル導線

Claims (4)

  1. 粉末および樹脂を含む複合磁性材料であり、
    前記粉末はFeまたはFeおよびCoからなる主成分を有し、
    前記粉末の一次粒子における平均短軸長が100nm以下であり、
    前記粉末の一次粒子におけるアスペクト比の平均をA、前記粉末の一次粒子におけるアスペクト比の標準偏差をσとしたときに、
    X-Y座標平面上にて、(X,Y)=(σ/A(%),(A-σ))を満足する点が3つの点α(24.5,6.7)、β(72.0,1.2)、およびγ(24.5,1.2)で囲まれる領域内(境界を含む)に存在することを特徴とする複合磁性材料。
  2. 前記粉末において、主成分に対するCoの含有割合が0~40atom%(0atom%を含まない)である請求項1に記載の複合磁性材料。
  3. 請求項1または2に記載の複合磁性材料を含む磁心。
  4. 請求項1または2に記載の複合磁性材料を含む電子部品。
JP2019234932A 2019-02-21 2019-12-25 複合磁性材料、磁心および電子部品 Active JP7251468B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US16/792,956 US11682510B2 (en) 2019-02-21 2020-02-18 Composite magnetic material, magnetic core, and electronic component
CN202010103764.9A CN111599567B (zh) 2019-02-21 2020-02-20 复合磁性材料、磁芯和电子零件

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019029552 2019-02-21
JP2019029552 2019-02-21

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020136665A JP2020136665A (ja) 2020-08-31
JP7251468B2 true JP7251468B2 (ja) 2023-04-04

Family

ID=72263631

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019234932A Active JP7251468B2 (ja) 2019-02-21 2019-12-25 複合磁性材料、磁心および電子部品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7251468B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7369301B2 (ja) 2020-08-13 2023-10-25 三菱重工業株式会社 静翼セグメント、及びこれを備える蒸気タービン

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1085506A1 (en) 1994-12-13 2001-03-21 Toda Kogyo Corp. Spindle-shaped goethite particles containing cobalt and process for producing the same
JP2016146388A (ja) 2015-02-06 2016-08-12 Tdk株式会社 窒化鉄系磁性粉末及びそれを用いたボンド磁石
JP2018142618A (ja) 2017-02-28 2018-09-13 山陽特殊製鋼株式会社 高透磁率および高耐候性を有する軟磁性扁平粉末およびこれを含有する軟磁性樹脂組成物
JP2018198282A (ja) 2017-05-24 2018-12-13 Tdk株式会社 窒化鉄系磁石
JP2019176004A (ja) 2018-03-28 2019-10-10 Tdk株式会社 複合磁性体
WO2020197499A1 (en) 2019-03-25 2020-10-01 Genejunction Pte. Ltd. Arrangement for encrypted exchange of personal medical and financial data
US10872717B2 (en) 2017-06-30 2020-12-22 Tdk Corporation Composite magnetic material and magnetic core

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08165117A (ja) * 1994-12-13 1996-06-25 Toda Kogyo Corp コバルトを含有する紡錘状ゲータイト粒子粉末及びその製造法
TW200628062A (en) * 2004-12-03 2006-08-01 Nitta Corp Electromagnetic interference suppressor, antenna device, and electron information transfer device
JP6830347B2 (ja) * 2016-12-09 2021-02-17 太陽誘電株式会社 コイル部品
ES2867251T3 (es) * 2017-07-05 2021-10-20 Abb Schweiz Ag Método para producir Imán permanente con elemento de tierra rara pesada intergranular
JP6690620B2 (ja) * 2017-09-22 2020-04-28 株式会社村田製作所 複合磁性材料及びそれを用いたコイル部品

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1085506A1 (en) 1994-12-13 2001-03-21 Toda Kogyo Corp. Spindle-shaped goethite particles containing cobalt and process for producing the same
JP2016146388A (ja) 2015-02-06 2016-08-12 Tdk株式会社 窒化鉄系磁性粉末及びそれを用いたボンド磁石
JP2018142618A (ja) 2017-02-28 2018-09-13 山陽特殊製鋼株式会社 高透磁率および高耐候性を有する軟磁性扁平粉末およびこれを含有する軟磁性樹脂組成物
JP2018198282A (ja) 2017-05-24 2018-12-13 Tdk株式会社 窒化鉄系磁石
US10872717B2 (en) 2017-06-30 2020-12-22 Tdk Corporation Composite magnetic material and magnetic core
JP2019176004A (ja) 2018-03-28 2019-10-10 Tdk株式会社 複合磁性体
WO2020197499A1 (en) 2019-03-25 2020-10-01 Genejunction Pte. Ltd. Arrangement for encrypted exchange of personal medical and financial data

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020136665A (ja) 2020-08-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5548234B2 (ja) 磁性部品とそれに用いられる金属粉末およびその製造方法
JP4308864B2 (ja) 軟磁性合金粉末、圧粉体及びインダクタンス素子
EP2482291B1 (en) Magnetic powder material and low-loss composite magnetic material containing same
EP1150312A2 (en) Composite magnetic body, and magnetic element and method of manufacturing the same
JP2013236021A5 (ja)
TW201225116A (en) Coil-type electronic component and its manufacturing method
JP5063861B2 (ja) 複合圧粉磁心及びその製造法
CN109215922B (zh) 复合磁性材料及磁芯
JP2013145866A (ja) 軟磁性合金粉末、圧粉体、圧粉磁芯および磁性素子
CN107658090A (zh) 软磁性金属压粉磁芯及具备软磁性金属压粉磁芯的电抗器
JP2010272604A (ja) 軟磁性粉末及びそれを用いた圧粉磁芯、インダクタ並びにその製造方法
JP7128439B2 (ja) 圧粉磁芯およびインダクタ素子
JP2009185312A (ja) 複合軟磁性材料、それを用いた圧粉磁心、およびそれらの製造方法
JP2006287004A (ja) 高周波用磁心及びそれを用いたインダクタンス部品
JP7251468B2 (ja) 複合磁性材料、磁心および電子部品
JP2011249628A (ja) 電磁干渉抑制体の製造方法
KR101963265B1 (ko) 인덕터 부품
JP6242568B2 (ja) 高周波用圧粉体、及びそれを用いた電子部品
JP6167560B2 (ja) 絶縁性の平板状磁性粉体とそれを含む複合磁性体及びそれを備えたアンテナ及び通信装置並びに複合磁性体の製造方法
US11682510B2 (en) Composite magnetic material, magnetic core, and electronic component
JP7222664B2 (ja) 圧粉磁心
JP7128438B2 (ja) 圧粉磁芯およびインダクタ素子
JP6973234B2 (ja) 複合磁性体
JP2005167097A (ja) 磁気部品の製造方法及びその磁気部品
JP7119979B2 (ja) 複合磁性材料および磁心

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220518

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230306

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7251468

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150