JP2006287004A - 高周波用磁心及びそれを用いたインダクタンス部品 - Google Patents

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照彦 藤原
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Abstract

【課題】高飽和磁束密度で高比抵抗の軟磁性材料による安価に製造可能な高周波用磁心を提供すること。
【解決手段】本発明の高周波用磁心(磁気コア)の場合、軟磁性金属粉末に対する軟磁性フェライト粉末の体積分率を1〜10%として成る合金混合粉末に対して質量比で5%以下のバインダを混合した混合物を成形して得られる成形体から成ることを基本とし、更に軟磁性フェライト粉末については、粒径0.1μm以下の粒子が軟磁性金属粉末における金属粒子間に存在して成るか、或いはフェライトメッキ法により粒径0.1μm以下の粒子が軟磁性金属粉末の表面を被覆して成るもので、その一例(後者)の周波数(kHz)に対する複素透磁率(実部)μ′の特性E1は、従来の特性C1と比べて明らかに高い複素透磁率(実部)μ′を持ち、しかも特性C1の場合と同等の周波数特性を持っている。
【選択図】図3

Description

本発明は、主として軟磁性材料を用いた高周波用磁心及びそれを用いたインダクタンス部品に関する。
従来、一般的に高周波用磁心の材料としては、主にソフトフェライト,高珪素鋼,アモルファス,圧紛磁心等が使用されている。これらの材料が使用される理由は、ソフトフェライトの場合のように材料自体の比抵抗が高いためか、或いはその他の合金材料の場合のように薄板化したり、粉末化して材料自体の比抵抗が低くても渦電流を小さくできるためである。又、これらの合金材料は、使用する周波数や用途で使い分けられるが、その理由を抜粋して説明すると、ソフトフェライトのように比抵抗が高い材料では飽和磁束密度が低く、高珪素鋼のように飽和磁束密度が高い材料では比抵抗が低く、飽和磁束密度及び比抵抗の何れにおいても高い磁性材料が提供されていないことによる。
ところで、最近の各種電子機器の急激な小型化や高機能化を達成するためのコイル・トランスの場合には、小型で大きな直流電流下においても高インダクタンスであることが求められており、それを達成するには磁心の飽和磁束密度と高周波での損失特性とを同時に向上させることが必要視されている。又、巻線コイルの電気抵抗に起因する銅損によってコイル・トランスが発熱する量も増大しており、この温度上昇を抑制するための方法として、巻線回数を減らすことができる高透磁率で低損失の磁心が求められている。
しかしながら、ソフトフェライトの場合、飽和磁束密度を向上させることは検討されてはいるものの、殆ど改善されてないのが実情である。又、高珪素鋼やアモルファスの場合、合金材料自体の飽和磁束密度は高いものの、高周波帯域用に対応させるためには、高周波帯域に至る程、薄板化しなければならず、その積層磁心は占積率の低下により飽和磁束密度の低下を招くようになる。更に、圧紛磁心の場合、微細な粉末粒子間に絶縁物質を挿入することによって高比抵抗化を図った上、高密度成形をすれば高飽和磁束密度を達成できる可能性はあるものの、使用される軟磁性粉末の飽和磁化を高めることや粉末粒子間の絶縁を取りながら高密度に成形体を成形する方法が現状で確立されていない等の難題がある。
そこで、このような飽和磁束密度及び比抵抗が何れも高い磁性材料が得難いという問題を改善するための技術として、軟磁性粉末にフェライト粉末を被覆する方法(特許文献1,特許文献2参照)、更に改良された方法として湿式フェライト形成法を利用して金属粉末の表面にフェライトを被覆する方法(特許文献3参照)やフェライト成分の水溶液に浸潰して加熱する方法(特許文献4参照)が提案されており、その他にもフェライト成分を含む水溶液に金属粉末を投入して適当な反応条件で金属粉末の表面にフェライト微粒子を被覆する方法(特許文献5参照)やフェライトコーティングした粉末を金型成形して圧粉磁心として評価する方法(特許文献6参照)が提案されている。
特開平04−352403号公報(要約) 特開平04−242903号公報(要約) 特開平07−078711号公報(要約) 特開平05−036514号公報(要約) 特開昭63−065085号公報(要約) 特開平11−001702号公報(要約)
特許文献1や特許文献2に係る技術の場合、金属粉末にフェライト粉末を混合することにより、金属粉末粒子間の絶縁と成形体に占める磁性体の割合の増加とを同時に図り、成形体の透磁率の向上と周波数特性の改善とを同時に達成しているが、ここで用いられているNiZnフェライト粉末は焼結体を粉砕したものであり、その粉末粒径には限界があるために成形体の粉末充填率を充分に向上させることができず、結果として成形体中に含有される磁性粉の割合を高められないことにより、高透磁率化を十分に達成し難いという問題がある。
又、特許文献3に係る技術の場合、金属粉末の表面をフェライト微粒子で被覆するものであるために特許文献1や特許文献2に係る技術と比べて成形体の粉末充填率を向上させる効果は優れていると考えられるが、この場合には金属粉末を酸化物ゲル中に分散させた後に乾燥・熱処理する工程を要するものであり、同様に特許文献4に係る技術の場合でもフェライト成分の水溶液に浸潰して加熱する工程を要するものであるため、何れにおいても製造工程が複雑となって量産化には適さず、結果として安価に製造し難いという問題がある。
更に、特許文献5に係る技術の場合、フェライト成分を含む水溶液に金属粉末を投入して適当な反応条件で金属粉末の表面にフェライト微粒子を被覆するものであるために特許文献3や特許文献4に係る技術と比べて量産化を具現できると考えられるが、この場合には金型等で圧縮成形するために必要な強固なフェライト被覆を行う技術とは全く異なっているため、コイルの高周波用磁心の作製に適用することは困難なものとなっている。
加えて、特許文献6に係る技術の場合、フェライトコーティングした粉末を金型成形して圧粉磁心として評価するものであるが、ここではフェライトコーティング工程を非酸化雰囲気で処理しなければならず、圧粉磁心を安価に製造することができないという問題がある。
要するに、特許文献1乃至特許文献6のような周知技術の場合、何れについても最近の高飽和磁束密度で高比抵抗が求められる高周波用磁心に適用可能な軟磁性材料を安価に製造することができないというのが実情である。
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、高飽和磁束密度で高比抵抗の軟磁性材料による安価に製造可能な高周波用磁心及びそれを用いたインダククンス部品を提供することにある。
本発明によれば、軟磁性金属粉末に対する軟磁性フェライト粉末の体積分率を1〜10%として成る合金混合粉末に対して質量比で5%以下のバインダを混合した混合物を成形して得られる成形体から成る高周波用磁心が得られる。
又、本発明によれば、上記高周波用磁心において、軟磁性フェライト粉末は、粒径0.1μm以下の粒子が軟磁性金属粉末における金属粒子間に存在して成るか、或いは粒径0.1μm以下の粒子が該軟磁性金属粉末の表面を被覆して成る高周波用磁心が得られる。
更に、本発明によれば、上記何れかの高周波用磁心において、軟磁性フェライト粉末は、少なくとも第一鉄イオンを含んだ金属塩溶液に対して酸化剤を加えた反応液を反応させて作製されたスピネル型フェライト粉末である高周波用磁心が得られる。この高周波用磁心において、反応液は、軟磁性金属粉末との濡性を改善させるための界面活性剤を含有していることが好ましい。
加えて、本発明によれば、上記何れか一つの高周波用磁心において、軟磁性金属粉末は、粒径150μm以下の非晶質合金粉末である高周波用磁心が得られる。この高周波用磁心において、非晶質合金粉末の中心粒径よりも細かい中心粒径を有し、且つ硬度が低い軟磁性合金粉末を体積比で5%〜50%添加して成ることは好ましく、更に非晶質合金粉末は、長軸/短軸の比であるアスペクト比が1〜3の範囲にあることが好ましい。
一方、本発明によれば、上記何れか一つの高周波用磁心において、成形体は、成形後に合金混合粉末のキュリー点以上で熱処理され、且つ該合金混合粉末の粒子間に生成される介在物の少なくとも一部にSiOが含まれて成る高周波用磁心が得られる。
他方、本発明によれば、上記何れか一つの高周波用磁心に対して巻線を少なくとも巻回数1ターン以上巻回して成るインダクタンス部品が得られる。このインダクタンス部品において、高周波用磁心における磁路の一部にギャップが設けられて成ることは好ましい。
本発明の高周波用磁心の場合、軟磁性金属粉末に軟磁性フェライト粉末を適量の体積分率を1〜10%として成る合金混合粉末に対して質量比で5%以下のバインダを混合した混合物を成形して得られる成形体から成ることを基本とし、更に軟磁性フェライト粉末については、粒径0.1μm以下の粒子が軟磁性金属粉末における金属粒子間に存在して成るか、或いはフェライトメッキ法により粒径0.1μm以下の粒子が軟磁性金属粉末の表面を被覆して成るものとすることにより、従来の圧粉磁心では必須とされていた粉末粒子間に介在する非磁性絶縁材を軟磁性フェライト粉末で置換させた上で粉末粒子間の絶縁が可能となり、成形体中に含有される磁性粉の割合が高まって高透磁率化が達成されるため、結果として高飽和磁束密度で比抵抗が高くて優れた軟磁気特性を有する高周波用磁心を安価に作製できるようになり、この高周波用磁心に対して巻線を少なくとも巻回数1ターン以上巻回して成るインダクタンス部品においても、従来に無く安価で高性能なものとして作製できるため、工業上において極めて有益となる。
最初に、本発明の高周波用磁心及びそれを用いたインダクタンス部品について、その技術的概要を簡単に説明する。
本発明者等は、様々な軟磁性金属粉末に対して軟磁性フェライト粉末を体積分率(体積比)で1〜10%添加したとき、粉末充填性が改善されて成形体の透磁率が改善されることを発見した。又、ここで必要に応じてバインダを質量比で5%以下混合することにより、透磁率及び比抵抗の高い軟磁性材料による優れた磁心特性を持つ高周波用磁心を安価に作製できることを見い出した。更に、この高周波用磁心に対して巻線を少なくとも巻回数1ターン以上巻回して作製されるインダククンス部品においても、従来に無く安価で高性能なものとして作製できることを見い出した。
ここでの軟磁性金属粉末は、珪素鋼,パーマロイ,センダストといった周知の圧粉磁心材料として用いられている組成で作製されたものや、或いは非晶質合金粉末であっても良い。これに軟磁性フェライト粉末を体積比で1〜10%添加することによって、容易に透磁率を向上させることが可能となる。体積比を1%以上としたのは、これより少ない添加量であると成形体の粉末充填率の向上効果が充分でなくなるためであり、10%以下にしたのは、これより多い添加量であると成形体の粉末充填率が向上するよりも飽和磁束密度の劣化による透磁率の直流重畳特性が劣化するためである。又、バインダ量を5%以下にしたは、これより多い量であるとフェライト添加による成形体の粉末充填率の向上効果が得られないためであるが、粉末によってはバインダを添加しなくてもフェライト添加の効果が得られるために特にその下限値は問わない。
即ち、本発明の最良の形態に係る高周波用磁心の場合、軟磁性金属粉末に対する軟磁性フェライト粉末の体積分率を1〜10%として成る合金混合粉末に対して質量比で5%以下のバインダを混合した混合物を成形して得られる成形体から成ることを基本とし、更に軟磁性フェライト粉末については、粒径0.1μm以下の粒子が軟磁性金属粉末における金属粒子間に存在して成るか、或いは粒径0.1μm以下の粒子が軟磁性金属粉末の表面を被覆して成るものである。但し、軟磁性フェライトの粒子径については、粒径が0.1μm以下のとき、顕著な成形体の粉末充填率の向上効果が得られるものであるが、基本的に粒子径は細かい程、粉末充填率が向上するために特にその下限値は問わない。
この高周波用磁心では、軟磁性金属粉末に軟磁性フェライト粉末を混合又は被覆した成形体から成ることにより、従来の圧粉磁心では必須とされていた粉末粒子間に介在する非磁性絶縁材を軟磁性フェライト粉末で置換することによって粉末粒子間の絶縁が可能となり、成形体中に含有される磁性粉の割合が高まって高透磁率化が達成される。ここで、軟磁性金属粉末を軟磁性フェライト粉末で被覆する方法として、所謂フェライトメッキ法を適用することによって、軟磁性金属粉末の表面に均一緻密に軟磁性フェライト粉末を被覆することが可能となる。フェライトメッキ法とは、第一鉄イオンを含む金属塩溶液に対して酸化剤を添加した反応液を適当なpHと溶液温度とで反応させてFeを生成する方法であって、この反応液に予め軟磁性金属粉末を投入しておくと、軟磁性金属粉末の表面を軟磁性フェライト粉末で均一に被覆することが可能である。例えば金属塩溶液中にNiイオン,Znイオンが存在するとNiZnフェライトが生成され、Mnイオン,Znイオンが存在すると通常の高温焼成を経ることなくMnZnフェライトを作製することができる。通常0.1μm以下の軟磁性フェライトの粒子を焼結体の粉砕で作製するのは困難であるが、これを容易に作製する方法として、フェライトメッキ法を導入すれば非常に有効である。フェライトメッキ法で作製される軟磁性フェライト粉末の粒径は非常に細かいのが特徴であって、0.1μm以下の粒子径のスピネル型フェライト粉末を容易に作製することができるので、製造コストを考えると非常に有利である。因みに、ここでの金属塩溶液に予め軟磁性金属粉末を投入してから酸化剤を投入し、軟磁性金属粉末の表面を軟磁性フェライト粉末で均一に被覆する手法がフェライトメッキ法の有効な適用手法であるが、本発明者等はこれらの軟磁性金属粉末を成形してコイル等のインダクタンス部品における高周波用磁心として用いる場合、上述したように軟磁性フェライト粉末の被覆量とバインダの混合量とを特定な適量とすることにより、優れた磁心特性が得られることを見い出したものである。
更に、ここで反応液に界面活性剤を加えれば、軟磁性金属粉末の表面に一層均一に軟磁性フェライト粉末を被覆することが可能となる。これらの軟磁性フェライト粉末が混合又は被覆された軟磁性金属粉末を金型等で圧縮成形することによって、磁性粒子が高密度に充填された成形体を得ることができる。軟磁性金属粉末の作製法は、水アトマイズ法,ガスアトマイズ法,粉砕法,カルボニル法等を適用できるので、特に制限されない。軟磁性金属粉末の粒径は、例えば軟磁性金属粉末の粒子間が完全に絶縁され、しかも合金自体の比抵抗が高い非晶質合金粉末であったとしても、その渦電流損失を考えると150μmが上限である。
ここで軟磁性金属粉末に非晶質合金粉末を使用すると、非晶質合金粉末は一般的に非常に硬いので高い圧力で成形体を成形しても殆ど保形性がないことにより、多少のバインダを添加することが有効である。但し、こうした場合においても従来よりも少ないバインダの添加量で高密度成形体が得られる。又、非晶質合金粉末を使用する場合、純鉄,珪素鋼の組成を有する粉末等、比較的硬度が柔らかい軟磁性金属粉末を体積比で5%〜50%添加することが成形体の粉末充填率を向上させる上で一層有効である。更に、非晶質合金粉末の形状は球状に近い方が圧縮成形体を高密度化する上で有利である。加えて、非晶質合金粉末の長軸/短軸の比であるアスペクト比については、3を超えると成形体の粉末充填率が著しく低くなるため、1〜3の範囲であることが望ましい。
ところで、これらの高周波用磁心を成す成形体については、歪取り熱処理として、成形体の成形後に合金混合粉末に対してキュリー点以上の温度条件下で熱処理を施せば、コアロスが更に低下し、磁心としての有用性が更に高まる。このとき、合金混合粉末の粒子間の絶縁性を維持するため、粒子間の介在物の少なくとも一部にSiOが含まれていれば望ましい(或いは介在物の全部がSiOであっても良い)。即ち、上述したバインダを用いる際にシリコーン樹脂等の高温でSiOに変化する物質を含有したものを用いると、圧縮成形体を熱処理して磁気特性の改善を図る上で非常に有利である。
このような手法により高周波用磁心を作製すれば、高飽和磁束密度で比抵抗が高いため、優れた軟磁気特性を有するものとなり、しかも係る高性能な製品を安価に作製することができる。
更に、このような高周波用磁心に対し、必要に応じて磁路の一部にギャップを設けた上で巻線を少なくとも巻回数1ターン以上巻回してインダクタンス部品を作製した場合においても、高磁界において高い透磁率を示す優れた軟磁気特性を示す製品を安価に製造することができる。
以下は、幾つかの実施例、並びに比較例を挙げ、本発明の高周波用磁心及びそれを用いたインダクタンス部品について、その製造工程を含めて具体的に説明する。
[実施例1]
実施例1では、先ず純水1リットルに対してNを吹き込んで脱気しながらFeCl・4HOを12g、NiCl・6HOを2g、ZnClを3g溶解した反応液を作製し、この反応液にNを吹き込んで90℃に加熱し、更にNaOH水溶液を滴下してpH9に保ち、1時間撹拌した後、基体となるFe−6.5質量%Si粉末を100g加えて合金材料粉末を得た。
次に、この合金材料粉末に対し、予め用意しておいた純水1リットルにNaNOを2g溶解した酸化液を2ミリリットル/分の速度で滴下して更に一時間撹拌し、撹拌終了後にFe−6.5質量%Si粉末を十分に水洗し、ろ過してから乾燥させて合金試料粉末を得た。
ここで得られた合金試料粉末(合金混合粉末)は黒褐色をしており、これをX線回折分析したところ、Fe−6.5質量%Si相とスピネルフェライト相とが存在している金属/フェライト複合磁性粒子から成ることが判った。
図1は、本発明の実施例1に係る磁気コア(高周波用磁心)に用いられる合金混合粉末の細部組織を示す電子顕微鏡(SEM)による拡大写真である。ここでは、Fe−6.5質量%Si粉末表面にフェライト層を被覆した結果、合金混合粉末における金属/フェライト複合磁性粒子の形状がほぼ球状に近くなっており、圧縮成形体を高密度化する上で有利な様相となっていることを示している。
更に、得られた合金混合粉末に対して潤滑剤としてステアリン酸を0.1質量%混合し、980MPaの圧縮条件下でトロイダル状の成形体として成形した後、この成形体をAr雰囲気中500℃で熱処理することにより、実施例1に係る磁気コアを作製した。
[比較例1]
比較例1では、Fe−6.5質量%Si粉末に対して潤滑剤のステアリン酸を0.1質量%、絶縁剤のSiレジン0.5質量%を混合したものを980MPaの圧縮条件下でトロイダル状の成形体として成形した後、この成形体をAr雰囲気中500℃で熱処理することにより、比較例1に係る磁気コア(高周波用磁心)を作製した。
図2は、本発明の実施例1に係る磁気コアに用いられる合金混合粉末(金属/フェライト複合磁性粒子)のX線回折特性S1を比較例1に係る磁気コアに用いられるFe−6.5質量%Si粉末のX線回折特性S2と対比してブラッグ反射角2θ(deg.)に対する強度(a.u.)の関係で示したものである。但し、このX線回折にはCu−Kターゲットを用いている。
図2からは、実施例1に係るX線回折特性S1の場合、比較例1に係るX線回折特性S2がFe−6.5質量%Si単相であるのに比べて、フェライト相及びFe−6.5質量%Siから成ることが判る。
図3は、本発明の実施例1に係る磁気コアの周波数(kHz)に対する複素透磁率(実部)μ′の特性E1を比較例1に係る磁気コアの周波数(kHz)に対する複素透磁率(実部)μ′の特性C1と対比して示したものである。
図3からは、実施例1に係る磁気コアの特性E1の場合、比較例1に係る磁気コアの特性C1と比べて明らかに高い複素透磁率(実部)μ′を持ち、しかも特性C1の場合と同等の周波数特性を持っていることにより、一層工業的な利用価値が大きなものとなっていることが判る。
[実施例2]
実施例2では、先ず純水1リットルに対してN2を吹き込んで脱気しながらFeCl・4HOを12g、NiCl・6HOを2g、ZnClを3g溶解した反応液を作製し、この反応液にNを吹き込んで90℃に加熱し、更にNaOH水溶液を滴下してpH9に保ち、1時間撹拌したものに対し、予め用意しておいた純水1リットルにNaNOを2g溶解した酸化液を2ミリリットル/分の速度で滴下してから一時間撹拌することによりNiZnフェライト粉末を得た。
次に、平均粒径20μmのFe基アモルファス粉末に対して、得られたNiZnフェライト粉末を1質量%、潤滑剤としてステアリン酸を0.1質量%、バインダとしてレジン3質量%添加して十分に混錬してから490MPaの圧縮条件下でトロイダル状の成形体として成形した後、150℃の温度で1時間でキュアすることにより、図4の外観斜視図に示されるような実施例2に係る円環板状の磁気コア(高周波用磁心)1を作製した。
更に、この磁気コア1に対して図5の外観斜視図に示されるような導体による巻線3を所定の巻回数で巻回することで実施例2に係るインダクタンス部品を作製した。
[比較例2]
比較例2では、Fe基アモルファス粉末に対して、潤滑剤としてステアリン酸を0.1質量%、バインダとしてレジン3質量%添加して十分に混錬してから490MPaの圧縮条件下でトロイダル状の成形体として成形した後、150℃の温度で1時間でキュアすることにより、外観上は図4に示した場合と同様な比較例2に係る円環板状の磁気コア(高周波用磁心)1を作製した。
ここでも同様に、得られた磁気コア1に対して導体による巻線3を所定の巻回数で巻回することにより、外観上は図5の外観斜視図に示した場合と同様な比較例2に係るインダクタンス部品を作製した。
そこで、これらの実施例2に係るインダクタンス部品、並びに比較例2に係るインダクタンス部品について、磁気コア1の巻線に直流重畳電流(A/m)を段階別に変化させて流すことにより直流重畳磁界を生じさせながら100kHzにおける複素透磁率(実部)μ′を測定したところ、直流重畳電流(A/m)の供給値0,3950,7900,11850に対してそれぞれ実施例2の複素透磁率(実部)μ′については22.3,20.0,17.5,16.3となり、比較例2の複素透磁率(実部)μ′については18.5,17.5,15.9,14.7となった。
この結果からは、実施例2のインダクタンス部品における磁気コア1は、比較例2のインダクタンス部品における磁気コア1と比べ、直流重畳電流(A/m)を流した場合でも高い複素透磁率(実部)μ′を有しており、チョークコイルのように大電流を流して使用する場合にも極めて有効であることが判る。
ところで、図4に示した円環板状の磁気コア1は、これを図6に示すようにギャップ2を設けた円環板状の磁気コア(高周波用磁心)1′として変形し、更にこのギャップ2を有する円環板状の磁気コア1′に対して図7に示すように導体による巻線3を所定の巻回数で巻回するようにしてインダクタンス部品を構成しても良く、こうした場合にも高磁界において高い透磁率を示す優れた軟磁気特性を示すものとなり、係る製品を安価に製造できる。
本発明の高周波用磁心は、高周波帯域で優れた軟磁気特性を有する製品を安価に得られる上、これに巻線を施して或るインダクタンス部品についても、従来に無く高周波帯域での特性が優れた製品を安価に製造できるものとなり、高性能な圧粉磁心を安価に作製できることにより、各種電子機器の電源用部品であるチョークコイル,トランス等のコイルのコア材料としての適用が好適である。
本発明の実施例1に係る磁気コアに用いられる合金混合粉末の細部組織を示す電子顕微鏡による拡大写真である。 本発明の実施例1に係る磁気コアに用いられる合金混合粉末(金属/フェライト複合磁性粒子)のX線回折特性を比較例1に係る磁気コアに用いられるFe−6.5質量%Si粉末のX線回折特性と対比してブラッグ反射角2θに対する強度の関係で示したものである。 本発明の実施例1に係る磁気コアの周波数に対する複素透磁率(実部)μ′の特性を比較例1に係る磁気コアの周波数に対する複素透磁率(実部)μ′の特性と対比して示したものである。 本発明の実施例2に係る円環板状の磁気コアを示した外観斜視図である。 図4に示す磁気コアに巻線を施して或るインタクタンス部品を示した外観斜視図である。 図4に示す円環板状の磁気コアを変形したものを示した外観斜視図である。 図6に示す磁気コアに巻線を施して成るインダクタンス部品を示した外観斜視図である。
符号の説明
1,1′ 磁気コア(高周波用磁心)
2 ギャップ
3 巻線

Claims (10)

  1. 軟磁性金属粉末に対する軟磁性フェライト粉末の体積分率を1〜10%として成る合金混合粉末に対して質量比で5%以下のバインダを混合した混合物を成形して得られる成形体から成ることを特徴とする高周波用磁心。
  2. 請求項1記載の高周波用磁心において、前記軟磁性フェライト粉末は、粒径0.1μm以下の粒子が前記軟磁性金属粉末における金属粒子間に存在して成るか、或いは粒径0.1μm以下の粒子が該軟磁性金属粉末の表面を被覆して成ることを特徴とする高周波用磁心。
  3. 請求項1又は2記載の高周波用磁心において、前記軟磁性フェライト粉末は、少なくとも第一鉄イオンを含んだ金属塩溶液に対して酸化剤を加えた反応液を反応させて作製されたスピネル型フェライト粉末であることを特徴とする高周波用磁心。
  4. 請求項3記載の高周波用磁心において、前記反応液は、前記軟磁性金属粉末との濡性を改善させるための界面活性剤を含有していることを特徴とする高周波用磁心。
  5. 請求項1〜4の何れか一つに記載の高周波用磁心において、前記軟磁性金属粉末は、粒径150μm以下の非晶質合金粉末であることを特徴とする高周波用磁心。
  6. 請求項5記載の高周波用磁心において、前記非晶質合金粉末の中心粒径よりも細かい中心粒径を有し、且つ硬度が低い軟磁性合金粉末を体積比で5%〜50%添加して成ることを特徴とする高周波用磁心。
  7. 請求項5又は6記載の高周波用磁心において、前記非晶質合金粉末は、長軸/短軸の比であるアスペクト比が1〜3の範囲にあることを特徴とする高周波用磁心。
  8. 請求項1〜7の何れか一つに記載の高周波用磁心において、前記成形体は、成形後に前記合金混合粉末のキュリー点以上で熱処理され、且つ該合金混合粉末の粒子間に生成される介在物の少なくとも一部にSiOが含まれて成ることを特徴とする高周波用磁心。
  9. 請求項1〜8の何れか一つに記載の高周波用磁心に対して巻線を少なくとも巻回数1ターン以上巻回して成ることを特徴とするインダクタンス部品。
  10. 請求項9記載のインダクタンス部品において、前記高周波用磁心における磁路の一部にギャップが設けられて成ることを特徴とするインダクタンス部品。
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