JP4568691B2 - 圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末、その製造方法およびこれを用いた圧粉磁芯 - Google Patents

圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末、その製造方法およびこれを用いた圧粉磁芯 Download PDF

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本発明は、高周波で用いられるインダクタ素子、トランス等の磁芯材料として用いられる高性能な金属系の複合磁性材料に関し、特に金属磁性粉を成形して得られる圧粉磁芯用の軟磁性材料として用いて好適なマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末、その製造方法およびこれを用いた圧粉磁芯に関するものである。
電子機器の小型化、駆動周波数の高周波化に伴い、これらの機器の回路部品のひとつとして用いられるインダクタンス部品においては、小型化され、かつ、高周波下で使用される場合においても高効率の磁性素子を実現できるような高性能な磁性材料の使用が求められている。
このような状況において、高周波で用いられるDC−DCコンバータ用トランスのようなパワー用磁芯には、従来よりMnZnフェライトやNiZn系フェライトが使用されている。しかし、フェライトは素材の電気抵抗が高いため、高周波域でも渦電流損失が小さく、DC−DCコンバータの駆動周波数である100k〜3MHzの領域で低いコアロスを示すが、飽和磁束密度Bsが小さいために大電流励磁下では使用できないという問題があった。このため、最近のCPU駆動電圧低下に伴うCPU駆動用DC−DCコンバータの大電流化に対応することが難しく、飽和磁束密度Bsの高い圧粉磁芯に対する要求が高まっている。しかしながら、圧粉磁芯は金属磁性粉が導体であるために渦電流損失が大きく、また、成形時の歪が残留してヒステリシス損失が大きいなどの欠点があり、トランスやチョークコイルとして使用するためにはコアロスを低減する必要があった。
上記のような問題に対して、本発明者らは、近年の電子機器における駆動周波数の高周波化に対応するためには、より微細な金属粉末の導入が有利との考えのもとに、特願2005−19338、特願2005−91559及び特願2005−345370において、平均一次粒径が0.7〜3μmのマグネタイト−鉄複合粉末を圧粉磁芯用として使用する技術について出願を行った。
上記の発明によれば、所定の微量成分を含有する酸化鉄を還元性雰囲気中で還元した後、酸化性雰囲気中で徐酸化処理して得られる微細なマグネタイト−鉄複合粉末を用いて圧粉磁芯を作製することで、高い初透磁率μiおよび品質係数Qと、低いコアロス、平坦な直流重畳特性、優れた絶縁性を併せ持つ圧粉磁芯を得ることができる。
一方、最近のノートパソコンなどの携帯電子機器のさらなる小型軽量化、高機能化の要求に対応するためには、磁芯のさらなる小型化、高性能化が不可欠であり、このため、より低いコアロスの磁芯が求められている。また、携帯電子機器のバッテリーの使用時間を長くする観点からも磁芯のコアロスをさらに低減することが望まれている。
以上のように、携帯電子機器に使用される圧粉磁芯では、高い初透磁率μiおよび品質係数Q、平坦な直流重畳特性、優れた絶縁性に加えて、コアロスを可能な限り低く抑えることが必要となる。
本発明はこのような事情のもとになされたものであり、本発明は、飽和磁束密度Bsの高い鉄系の金属粉末を用いて、低いコアロスと、高い初透磁率μiおよび品質係数Q、平坦な直流重畳特性、優れた絶縁性を兼ね備えた高性能な圧粉磁芯を提供すること、および、これを実現するために好適な金属粉末であるマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、先に出願した上記特願2005−19338、特願2005−91559及び特願2005−345370の発明で得られた各圧粉磁芯のコアロスの周波数依存性を詳細に解析した。その結果、コアロスの90%以上はヒステリシス損失であり、渦電流損失の寄与は小さいということが判った。
そこで、さらに圧粉磁芯のヒステリシス損失を低減する手段について鋭意検討した結果、以下の4つの手法を導入することで、圧粉磁芯のコアロスを大きく低減できることを見出した。
(1)圧粉磁芯の基本組成である鉄の一部を他の元素で置換する。
(2)酸化鉄に、還元中の反応性や粒成長挙動を制御する成分を添加してから、還元処理する。
(3)還元後の粉末を高速でぶつけ合うことで、粒子の表面を平滑化する。
(4)粉体の嵩密度を所定の範囲に調整する。
上記(1)について、鉄の一部と置換して材料の結晶磁気異方性、磁歪定数、飽和磁束密度などの物性値を制御できる可能性のある成分を種々検討した。その結果、少量のコバルトによる置換で、コアロスを低減できる可能性を見出した。
また、上記(2)の観点についても、還元前の酸化鉄に酸化コバルトを添加すると、還元中の粒子間のネック成長を抑制することが可能であり、分散性に優れた粒子が得られることが判った。分散性の良い粒子を用いて圧粉磁芯を作製すると、成形歪に伴うヒステリシス損失を抑制することができるため、コアロスを低減することができる。また、粒子同士の接触頻度が低減するために圧粉磁芯の電気抵抗を高めることができる。
上記(3)の処理を施すことで、さらに粒子の分散性を改善することが可能となり、より低いコアロスと高い電気抵抗を得ることができる。
また、上記(4)の嵩密度に関しては、磁性粉と防錆剤や樹脂を混合する過程での混合の均一性や成形歪の残留度合いに影響するため、ヒステリシス損失を低減するためには所定の範囲に調整することが望ましい。
本発明は、上記の知見に基づきなされたもので以下のような特徴を有する。
[1]マグネタイトを含有し、平均一次粒径が0.7〜5.0μm、嵩密度が0.6〜2.5g/cm、コバルト含有量が0.01〜3mass%であることを特徴とする圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末。
[2]上記[1]に記載の圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末の製造方法であって、
マグネタイトを含有し、製造後のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末のコバルト含有量が0.01〜3mass%となる量のコバルトまたはコバルト化合物を含有する酸化鉄を、還元性雰囲気中で450〜900℃の温度で還元した後、さらに、酸化性雰囲気中で徐酸化処理して得ることを特徴とする圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末の製造方法。
[3]上記[1]に記載の圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末の製造方法であって、
マグネタイトを含有し、製造後のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末のコバルト含有量が0.01〜3mass%となる量のコバルトまたはコバルト化合物を含有する酸化鉄を、還元性雰囲気中で450〜900℃の温度で還元した後、さらに、酸化性雰囲気中で徐酸化処理して得た粉粒体の粒子同士を50m/sec以上の速度で衝突させて得ることを特徴とする圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末の製造方法。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末と、樹脂および/または無機絶縁材料とを混合し、成形してなることを特徴とする圧粉磁芯。
本発明によれば、飽和磁束密度の高い鉄系の圧粉磁芯で、1MΩ以上の高い電気抵抗と、高い初透磁率μi及び品質係数Qと、平坦な直流重畳特性、および、低いコアロスを併せ持つ圧粉磁芯、および、このような圧粉磁芯を得るのに好適な圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末およびその製造方法が提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例を説明する。
まず、本発明のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末は、平均一次粒径dが0.7〜5.0μm、より好ましくは0.8〜4.0μmの範囲内で良好な高周波磁気特性を示す。平均一次粒径dが0.7μm未満では単磁区構造をとる粒子の頻度が高くなるため、粒子の保持力が著しく増大して圧粉磁芯のヒステリシス損失が増大し、また、初透磁率μi値が低下する。平均一次粒径dが5.0μmを超える範囲では渦電流や磁壁共鳴などの影響を受けるために高周波域でのコアロスおよび品質係数Qが低下する。なお、前記平均一次粒径dは、SEM(走査電子顕微鏡)写真を解析して得た値である。視野の対角線上に10〜20個程度の粒子が入るような倍率でSEM写真を撮影し、対角線上の粒子の個数と倍率から、平均一次粒径dを算出した。
また、本発明のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末は、磁性粉の防錆処理や造粒過程で、磁性粉と防錆剤や樹脂とを均一に混合するために、粉体の嵩密度を0.6〜2.5g/cmの範囲に調整することが重要である。嵩密度2.5g/cmを超えると、磁性粉と防錆剤や樹脂との混合過程で磁性粉が落下・沈降しやすくなり、均一な混合が困難となる。そのため、結果として圧粉磁芯の電気抵抗が低下し渦電流損失が増大する。一方、嵩密度が0.6g/cm未満では、成形前後の圧縮率が大きくなるために、成形後の残留歪が大きくなり、ヒステリシス損失が増大する。また、粉体の体積が大きくなるため、粉体輸送の効率が低下する観点からも好ましくない。なお、嵩密度は、JIS Z 2504により測定する。
また、本発明のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末は、コバルト含有量が0.01〜3mass%であることが重要である。好ましくは、0.1〜2mass%である。コバルト含有量が0.01mass%未満では、ヒステリシス損失低減効果が小さいため好ましくない。また、コバルト含有量が3mass%を超えると、却ってヒステリシス損失が増大し、コアロスが増大するため、好ましくない。
ここで、前記本発明のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末は、マグネタイトを含有し、製造後のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末のコバルト含有量が0.01〜3mass%となる量のコバルト(Co)を含有する酸化鉄を出発原料として用い、これを水素或いは窒素などの還元性雰囲気中で450〜900℃の温度で還元し、さらに、酸素濃度1〜10vol.%の酸化性雰囲気中で表面を徐酸化処理して安定化した後に、炉より取り出すことで製造することができる。
前記原料である酸化鉄中にCoを含有することで圧粉磁芯のコアロスが低減する機構については未だ明らかでないが、鉄とCoが合金化して、材料の結晶磁気異方性および磁歪定数がゼロに近づくことでヒステリシス損失が低減することが推測される。また、還元前後の粉体のSEM写真を比較したところ、Coを含有する酸化鉄を還元すると、還元中の粒子間のネック成長が抑制される傾向があることから、粒子の分散性が向上することで成形歪の影響を軽減し、ヒステリシス損失が低減することが考えられる。
また、原料である酸化鉄中にCoを含有することで圧粉磁芯の直流重畳特性も向上する。直流重畳特性を高い直流電流まで対応できるようにする必要がある場合、一般に、磁路の一部にギャップを設ける方法が用いられる。上述のように、Coを含有する酸化鉄を還元すると粒子の分散性が向上する傾向があることから、成形後の圧粉体を形成する粒子同士が樹脂で均一に分離されて、効果的にギャップが形成されることでより高い直流電流にまで対応できるようになるものと推測される。
さらに、本発明のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末は、上記の還元処理工程の後に、粉粒体である粒子同士を、周速50m/sec以上の高速で旋回させることにより粒子同士を衝突させて粒子表面の平滑化処理を行うことが好ましい。これにより、圧粉磁芯の電気抵抗がより増大し、コアロスがより低減するからである。この平滑化処理により圧粉磁芯の電気抵抗が増大する理由は、衝突により粒子表面の突起が消滅することで、圧粉体における粒子同士の接触頻度が低減し、粒子間の絶縁性が向上するためと考えられる。また、コアロスが低減する理由は、衝突により粒子表面の突起が消失したことで、成形歪が軽減し、ヒステリシス損失が低減するためと考えられる。
粒子同士の衝突の周速が50m/sec未満では、衝突による衝撃力が小さいために平滑化効果が不十分であり、十分な電気抵抗増大効果およびコアロス低減効果を得ることができない。ここで、50m/sec以上の高速で粒子同士を衝突させる手段としては、例えば、(株)奈良機械製作所製のハイブリダイザーシステムなどのような機械的表面改質装置を用いることができる。ただし、同様の効果が得られる手段であれば、これに限定されるものではない。
以上のような方法で、本発明の圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末を得ることができる。
次に、上述の本発明に係るマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末と、樹脂および/または無機絶縁材料とを混合した後、圧縮成形し、必要に応じて樹脂の熱硬化処理を施すことで、高い初透磁率μiおよび品質係数Q、優れた直流重畳特性、1MΩ以上の高い絶縁性と、50kHz,100mTで1600kW/m未満の低いコアロスとを併せ持つ圧粉磁芯を得ることができる。
ここで、前記樹脂は、結合用として用いられるが、その種類としては、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
また、前記無機絶縁材料としては、絶縁性粉末、例えば、SiO、Al等の微粉末を用いることができる。
また、前記圧縮成形は、その方法は特に限定されず、通常用いられる圧縮成形の他、温間圧縮成形、射出成形等の圧縮成形方法を用いることができる。
以下に本発明の具体的実施例を記載する。
[実施例1]
フェライト用酸化鉄(JFEケミカル社製JC−DC、空気透過法により測定した平均粒径0.8μm)に対し、還元し、さらに、酸化性雰囲気中で表面を徐酸化処理して安定化した後のCo含有量が下表1の含有量(mass%)となるように酸化コバルト(CoO)を添加し、純水とスチールボールを用いてボールミルで湿式混合した後、乾燥、整粒してCo含有酸化鉄を作製した。これを水素雰囲気中600℃の温度で熱処理して、平均一次粒径の異なる種々のCo含有鉄粉を得た。その後、炉を開放する前に5vol.%O−N雰囲気で保持することにより、鉄粉の表層にマグネタイトを生成させてから炉外に取り出し、種々のCo含有量のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末を得た。さらに、このマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末に対して、機械的表面改質装置((株)奈良機械製作所製のハイブリダイザーシステム)を用いて、粒子同士を、周速100m/secの速度で旋回させて粒子表面の平滑化処理を施した。
得られた前記粉末の構成相をX線回折で調べた結果、全試料ともα−Fe相が99.7〜100mass%、残部0〜0.3mass%はマグネタイト相であった。SEM写真より算出した平均一次粒径および嵩密度を測定した結果を下表1に示す。
ここで、前記SEM写真により平均一次粒径を算出する際には、視野の対角線上に10〜20個程度の粒子が入るような倍率でSEM写真を撮影し、対角線上の粒子の個数と倍率から、平均一次粒径を算出した。
引き続き、マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末に対して3mass%のフェノール樹脂を混合し、成形圧力7t/cm(約700MPa)で圧縮成形して、外径12mmφのリング型試料を作製し、150℃×30分の熱処理を施してフェノール樹脂を硬化させた。得られたリング型試料の両端をワニ口クリップで挟み、印加電圧10Vで電気抵抗を測定した。初透磁率μiと品質係数Qの周波数特性は、LCRメータを用いてN=10巻、印加電流0.2mA、周波数100k〜30MHzの条件下で測定した。コアロスは交流BHアナライザーを用いてN1=85巻、N2=10巻、周波数f=50kHz、磁束密度Bm=100mTの条件下で測定した。直流重畳特性は、N=85巻、直流印加磁場Hdc=0〜110(Oe)、交流電流Iac=0.2mA(100kHz)の条件下における透磁率μを測定し、Δμ=μ(100Oe)/μ(0Oe)×100(%)より算出した。
本発明例および比較例の電気抵抗、コアロス、直流重畳特性、初透磁率μi、品質係数Qの評価結果を表1に併せて示す。表1に示すように、本発明に係る範囲のCoを含有するマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末を用いることにより、1MΩ以上の高抵抗、50kHz,100mTで1600kW/m未満の低いコアロスを同時に満足することができる。
Figure 0004568691
[実施例2]
フェライト用酸化鉄(JFEケミカル社製JC−DC、空気透過法により測定した平均粒径0.8μm)に対し、還元し、さらに、酸化性雰囲気中で表面を徐酸化処理して安定化した後のCo含有量が0.5mass%となるように酸化コバルト(CoO)を添加し、純水とスチールボールを用いてボールミルで湿式混合した後、乾燥、整粒してCo含有酸化鉄を作製した。これを水素雰囲気中520〜800℃の温度で熱処理して、平均一次粒径の異なる種々のCo含有鉄粉を作製した。その後、炉を開放する前に5vol.%O−N雰囲気で保持することにより、鉄粉の表層にマグネタイトを生成させてから炉外に取り出し、平均一次粒径の異なる種々のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末を得た。さらに、このマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末に対して、機械的表面改質装置((株)奈良機械製作所製のハイブリダイザーシステム)を用いて、粒子同士を、周速100m/secの速度で旋回させて粒子表面の平滑化処理を施した。
得られた前記粉末の構成相をX線回折で調べた結果、全試料ともα−Fe相が99.7〜100mass%、残部0〜0.3mass%はマグネタイト相であった。SEM写真より算出した平均一次粒径および嵩密度を測定した結果を下表2に示す。
ここで、前記SEM写真により平均一次粒径を算出する際には、視野の対角線上に10〜20個程度の粒子が入るような倍率でSEM写真を撮影し、対角線上の粒子の個数と倍率から、平均一次粒径を算出した。
引き続き、マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末に対して2.5mass%のフェノール樹脂を混合し、成形圧力7t/cm(約700MPa)で圧縮成形して、外径12mmφのリング型試料を作製し、150℃×30分の熱処理を施してフェノール樹脂を硬化させた。得られた圧粉磁芯に対して、電気抵抗,初透磁率μi,品質係数Q,コアロス,直流重畳特性を上記実施例1と同様の方法で測定した。
本発明例および比較例の電気抵抗,コアロス,直流重畳特性,初透磁率μi,品質係数Qの評価結果を表2に併せて示す。表2に示すように,本発明の条件で作製したマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末を用いることにより、1MΩ以上の高抵抗、50kHz,100mTで1600kW/m未満の低いコアロスを同時に満足することができる。
Figure 0004568691
以上の実施例1,2で示した通り、本発明に係るマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末を用いることで、飽和磁束密度Bsの高い金属系の圧粉磁芯で、高い絶縁性と低いコアロス、優れた直流重畳特性、高周波域まで高い初透磁率μiおよび品質係数Qを同時に得ることができ、本発明の効果が確認できた。

Claims (4)

  1. マグネタイトを含有し、平均一次粒径が0.7〜5.0μm、嵩密度が0.6〜2.5g/cm、コバルト含有量が0.01〜3mass%であることを特徴とする圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末。
  2. 請求項1に記載の圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末の製造方法であって、
    マグネタイトを含有し、製造後のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末のコバルト含有量が0.01〜3mass%となる量のコバルトまたはコバルト化合物を含有する酸化鉄を、還元性雰囲気中で450〜900℃の温度で還元した後、さらに、酸化性雰囲気中で徐酸化処理して得ることを特徴とする圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末の製造方法。
  3. 請求項1に記載の圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末の製造方法であって、
    マグネタイトを含有し、製造後のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末のコバルト含有量が0.01〜3mass%となる量のコバルトまたはコバルト化合物を含有する酸化鉄を、還元性雰囲気中で450〜900℃の温度で還元した後、さらに、酸化性雰囲気中で徐酸化処理して得た粉粒体の粒子同士を50m/sec以上の速度で衝突させて得ることを特徴とする圧粉磁芯用マグネタイト−鉄−コバルト複合粉末の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のマグネタイト−鉄−コバルト複合粉末と、樹脂および/または無機絶縁材料とを混合し、成形してなることを特徴とする圧粉磁芯。
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