JP2009044068A - 線輪部品 - Google Patents

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Abstract


【課題】 小型低背化、低コスト化、製品の環境温度負荷による破損に対する耐久性の向上、磁気特性の向上を同時に満足できるような線輪部品を提供する。
【解決手段】 線輪部品として、フェライトのドラム型の磁芯1に巻線2を施し、上下鍔間に、樹脂と軟磁性粉末からなる軟磁性樹脂混和物を成型した軟磁性成型物3を配置する構成とし、軟磁性樹脂混和物を成型した軟磁性成型物3として、25℃〜−40℃の範囲で、平均引っ張りまたは圧縮の弾性率が30MPa以下であり、−40℃以上0℃以下における平均熱膨張率が10×10-5(1/℃)以下、かつ、25℃における塑性変形率が0.4%以上であるものを採用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子機器用のチョークコイル、トランス等の線輪部品に関する。
近年、フラットパネルディスプレイ、携帯電子機器等において小型薄型化はますます進展しており、これら機器の電源回路用の線輪部品に対して、インダクタンス、直流重畳特性、損失において所望の特性を確保しつつ、特に外形寸法において低背であることが求められている。
従来、電源回路用の線輪部品としては、巻芯の両側に鍔を有する軟磁性フェライト磁芯に巻線を施し、このドラム型磁芯の周囲に、軟磁性フェライトのリングをヨークとして配置した構成が用いられてきた。
また、巻芯の上下に鍔を有する軟磁性フェライト磁芯に巻線を施し、このドラムの周囲に、軟磁性体と樹脂の混和物を配置した構成も用いられている(特許文献1)。この構造は部品点数が少ないために低コストを実現できる利点がある。しかし、この構成では、フェライト磁芯の開口部に、樹脂混和物を配置するため、基板実装時の半田リフロー工程における250℃を超える加熱や、ヒートサイクル試験においての−40℃から120℃までの環境温度変化に際し、フェライト磁芯と樹脂混和物の熱膨張率差に起因する熱応力が不可避的に発生するので、構造的に弱い面がある。このため、該温度領域での温度負荷試験によって破損しないような信頼性を確保することが求められている。
これら線輪部品においては、上述した小型低背化、低コスト化が求められると同時に、低電圧大電流化、およびスイッチング周波数の高周波化に対応するため、重畳特性の向上ならびに損失の低減も求められている。このような小型低背化と磁気特性の確保との、相反する要求を共に満足するためには、磁芯ならびにヨーク部位において磁気飽和の起こり難い構成とすること、導体線の直流電気抵抗を小さくすること、コアロスの小さい軟磁性材からなる磁芯材料を用いることが有効である。
特開2005−210055号公報
電源回路用線輪部品の小型低背化のためには、軟磁性体の巻芯と、該巻芯の上下に配置され、巻芯と一体化した軟磁性体の鍔部からなる磁芯を用い、さらに、この磁芯の上下鍔間、もしくは外周部に軟磁性体を配置することによって、上下鍔間の磁気抵抗を低下せしめることで、少ない巻数でも高いインダクタンスが得られるようにすることが有効である。
ドラム型フェライト磁芯を用いた線輪部品においては、概ね5mm角より大きな形状の線輪部品の場合は、巻芯の両側に鍔を有する軟磁性フェライトのドラムに巻線を施し、このドラムの周囲に、軟磁性フェライトのリングをヨークとして配置する、構成が確立され、従来から採用されている。さらに、小型・低背化を推し進めるにあたっても、このような確立された形状を、相似的に小型・低背化する手法が主に用いられてきた。しかしながら、この構成においては、小型・低背化するほど、インダクタンスの調整のために、フェライトのドラム型磁芯とフェライトのリングの間に設けるギャップ距離を高精度に管理する必要が生じ、部材点数が多いことと相まって、低コストでの実現が困難となってきている。さらに、部品接合部が多く、強度構造的にも、さらなる低背化には不向きである。
上記のように、ギャップと接合等の問題を考慮すると、軟磁性フェライトのリングをヨークとして配置する代わりに、磁芯の上下鍔間、もしくは外周部における巻線外周の空隙部に、軟磁性粉末と樹脂を混和した軟磁性樹脂混和物を塗布して配置した構成とする方が望ましいと考えられる。
しかしながら、軟磁性樹脂混和物を採用した場合については、温度負荷試験によって破損しないような信頼性が求められる。例えば、線輪部品を電子機器の電源回路上等に実装する際、ハンダ接合のためリフロー工程が採用されることが多い。線輪部品が、このリフロー工程(最大温度270℃10秒)を数回通過させた時に発生する熱膨張による応力により、製品が破損する可能性がある。さらに低温側を含むヒートサイクル試験(−40℃(30分)から+120℃(30分)24サイクルでの環境温度負荷試験)時に、特に低温側の収縮応力で製品が破損する可能性もある。
特許文献1に記載があるように、軟磁性樹脂混和物を採用した線輪部品において、一般的に求められるヒートサイクル試験(−40℃〜+85℃、10サイクル)において、ドラム型フェライト磁芯の鍔の強度が樹脂混和物の収縮応力に対抗できず、鍔に割れ(クラック)が生じる場合があった。特許文献1の実施例では、弾性率の低い結着樹脂を選択すると共に、弾性率を低く保つため、磁性粉の充填量を約55重量%(約20体積%)に減らし、軟磁性樹脂混和物の弾性率を低くすることにより、熱膨張率と弾性率の積で表される熱応力を低下させることで、クラックの解決を図っている。しかし、これらの方法をもってしても、フェライト磁芯の鍔の厚みが概ね0.2mm程度に薄くなった場合には、鍔に生じるクラックを事実上皆無とすることは困難である。
さらに、軟磁性樹脂混和物の塗布面積を減らすことができれば、熱応力の総和を低下させることができるためクラックの発生を抑制できる。しかし、特許文献1に示す実施例では、NiZnフェライト粉末のみを20体積%程度含有する軟磁性樹脂混和物が用いられ、初期比透磁率μが2未満と小さいために、軟磁性樹脂混和物の塗布面積を減らすと、線輪部品のインダクタンスが低下する問題があった。さらにNiZnフェライトの飽和磁束密度は、鉄系の合金より小さく、磁気飽和しやすい欠点があった。
また、線輪部品の小型低背化により、巻芯の中心軸に垂直な平面に対する巻芯部ならびにヨーク部の断面積が減少する結果、磁気飽和が起こりやすくなり、直流重畳特性が劣化する。また、巻線が施される部位の体積が減少する結果、巻線とする電気導体線の直径を減少せざるを得ず、線輪部品の直流電気抵抗は増大し、損失が増大するという問題点がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、小型低背化、低コスト化、製品の熱応力による破損に対する耐久性の向上、磁気特性の向上を同時に満足できるような線輪部品を提供することを課題とする。
本発明では線輪部品として、フェライトのドラム型磁芯に巻線を施し、上下鍔間に、樹脂と軟磁性粉末からなる軟磁性樹脂混和物を成型した軟磁性成型物を配置する構成を採用した。
先ず、軟磁性樹脂混和物の成分である樹脂と軟磁性粉末およびその他の充填粉末について改良検討を行い、軟磁性樹脂混和物を硬化させて成型した軟磁性成型物が、25℃〜−40℃の範囲で、平均引っ張りまたは圧縮の弾性率が30MPa以下であり、−40℃以上25℃以下における平均熱膨張率が10×10-5(1/℃)以下、かつ、25℃における塑性変形率が0.4%以上である、もしくは25℃から、−40℃までの任意の温度まで冷却するとき、25℃における軟磁性成型物の長さを基準とする、軟磁性成型物の単位長さあたりの収縮量の絶対値が、Tを摂氏温度として、式−6.8×10−9×(T−25)+1.45×10−4×(T−25)で表される値の絶対値以下の値を有し、かつ、25℃における塑性変形率が0.4%以上であると良いことが分かった。
なお、本願中においては、塑性変形率は以下の測定法による値を採用した。温度25℃において、高さ約4mm、断面積1cmの円柱形状を有する、軟磁性樹脂混和物の硬化物である軟磁性成型物の上下面全面に、円柱の中心軸に平行な方向に加重速度1kgf/分で、加重5kgfになるまで圧縮力を加え、圧縮力を30秒間加えた後、加重減少速度1kgf/分で加重を減少させる。加重が0となってのち、加重を0としたまま30秒間保持した直後の、初期円柱高さからの減少分をB、初期高さをAとしたとき、B/A×100(%)の値を温度25℃の塑性変形率としている。
このような特性の軟磁性成型物とするためには、樹脂成分としては、少なくとも主成分を脂肪族系反応性希釈剤10〜40重量%、エマルジョンゴム成分1〜10重量%、残りがビスフェノールAとし、さらに、硬化剤として、主剤のエポキシ当量に合わせて最大架橋度となる量の活性水素当量140以上のアミン変性脂肪族ポリアミンを採用すると達成できる。
次に、上記した軟磁性成型物の改善に加え、磁芯の上下鍔間に配置する軟磁性成型物の量を低減すれば、軟磁性成型物の熱膨張・収縮により磁芯の鍔に加わる熱応力の総計もこれに比例して低減するので、軟磁性成型物が磁芯に及ぼす熱応力によって磁芯にクラックが生ずる現象をさらに抑制することができる。
さらに、軟磁性成型物の量を低減することにより、副次的効果として、上下鍔間に軟磁性樹脂混和物を塗布する必要がない領域が生ずる。この領域を利用して、巻芯をより太くすれば、磁芯の磁気飽和を起こり難くすることができ、直流重畳特性の向上を図ることができる。また、この領域を利用して、巻線とする電気導体線をより太くすれば、直流抵抗の低減を図ることができる。もしくは、この領域を削除すれば、線輪部品の小型化を図ることができる。
このように、上下鍔間に配置する軟磁性成型物の量を低減することができれば、熱応力に対する信頼性の向上と、小型低背化と、磁気特性向上を同時に図ることができる。
ここで、線輪部品のインダクタンスを低下させることなく、上下鍔間に配置する軟磁性成型物の量を低減するには、この軟磁性成型物の比透磁率を向上させればよい。
たとえば、軟磁性成型物の比透磁率を3以上とすることができれば、軟磁性成型物の比透磁率が1.3程度である場合と比較して、磁芯周囲に配置する軟磁性成型物の量を概ね半分以下としても、巻数を増やすことなく、軟磁性成型物の比透磁率が1.3程度の場合と同等のインダクタンスを得ることができる。ここで、重畳印加磁場31.84kA/mにおける比透磁率が、重畳印加磁場0における初期比透磁率の0.6倍より大である比透磁率3の軟磁性成型物を配置すれば、直流重畳特性の劣化も防止することができるのでより好ましい。このような比透磁率の磁場依存性を有する軟磁性成型物を得るには、軟磁性粉末として金属軟磁性粉末を用いることが有効となる。この際、金属軟磁性粉末の表面に防錆処理を施すことにより、耐候性の向上を図ることができる。または、少なくとも1.0重量%以上のCrを含有するFe−Si−Cr合金粉末を用いれば、付加的な防錆処理を行わずとも、錆が発生しないため、耐候性の向上を図ることができる。
また、副次的な効果として、軟磁性成型物の比透磁率が高いほど、線輪部品からの外部漏洩磁束が低減する効果も得られる。
さらに、軟磁性樹脂混和物中の軟磁性粉末、ならびに非磁性粉末の充填量に関しては、軟磁性粉末は軟磁性成型物に対して30体積%〜75体積%の範囲が望ましい。異なる粒径を有する粉末を用いることによって充填量を高めることは可能であるが、本目的において工程上可能な粘度とするためには、軟磁性粉末充填量の上限は75体積%とするのが望ましい。また、30体積%以下とすると比透磁率が低下する。
本発明のチョークコイル、トランス等の線輪部品は、主として4MHz以下の電子機器に使用することを想定している。
従って、駆動周波数f=3MHzにおけるインダクタの渦電流損失の問題を検討して見る。ここで、軟磁性金属粉末としてバルクの比透磁率μ=1000、バルクの比抵抗ρ=80μΩcmのものを想定する。表皮深さδmm=(2/(2 πfμσ))1/2を算出すると、表皮深さδは0.02mmであり、相当する粒子直径は約30μmである。この場合は、表皮効果の影響があまりないように、平均粒径D50(体積基準の累積度数50%相当径)は30μm以下、好ましくは10μm以下を用いるのが望ましい。このように磁性粉の最大粒径は、駆動周波数に応じて、適宜選択することが望ましい。
(1)本発明によれば巻芯部と一体化した上下鍔部を有する軟磁性体からなるドラムコアの巻芯部に電気導体線を巻線した線輪部品であって、上下鍔部と電気導体線に囲まれた空間に樹脂と軟磁性粉末からなる軟磁性樹脂混和物を成型した比透磁率が1.3以上の軟磁性成型物を配置した線輪部品が得られる。
(2)また、本発明によれば、軟磁性成型物は、平均引張りまたは圧縮の弾性率が30MPa以下である線輪部品が得られる。
(3)また、本発明によれば軟磁性成型物は、−40℃と25℃の間の平均熱膨張率が10×10-5(1/℃)以下、かつ、25℃における塑性変形率が0.4%以上である線輪部品が得られる。
(4)また、本発明によれば、軟磁性成型物は、該軟磁性成型物を25℃から、−40℃までの任意の温度まで冷却するとき、25℃における該軟磁性成型物の長さを基準とする、該軟磁性成型物の単位長さあたりの収縮量の絶対値が、Tを摂氏温度として、式−6.8×10−9×(T−25)+1.45×10−4×(T−25)で表される値の絶対値以下の値を有し、かつ、25℃における塑性変形率が0.4%以上である線輪部品が得られる。
(5)さらに、本発明によれば、樹脂は少なくとも主剤が脂肪族系反応性希釈剤10から40重量%、エマルジョンゴム成分1から10重量%、残りはビスフェノールAであるエポキシ成分からなり、硬化剤として活性水素当量140以上のアミン変性脂肪族ポリアミンを含む線輪部品が得られる。
(6)また、軟磁性粉末は、軟磁性成型物に対して、30体積%以上75体積%以下の金属軟磁性粉末を含み、かつ、ドラム型磁芯の中心を通り、上下鍔部間に挟まれた断面において、軟磁性成型物の断面積が、巻芯部と電気導電線部分を合わせた断面積の0.4倍から0.1倍の間である線輪部品が得られる。
(7)また、軟磁性成形物は、初期比透磁率3以上、望ましくは5以上を有し、かつ、重畳印加磁場の平均値31.84kA/mにおける比透磁率が、初期比透磁率の60%より大きく、望ましくは80%より大きい線輪部品が得られる。
(8)また、金属軟磁性粉末の少なくとも一部は、鉄合金系の粉末であって、粉末表面に防錆被膜が形成されてなる線輪部品が得られる。
(9)また、金属軟磁性粉末は、少なくとも1.0重量%以上、好ましくは2.0重量%以上のCrを含むFe−Si−Cr系合金である線輪部品が得られる。
(10)金属軟磁性粉末は、平均粒子径D50が0.5μm以上、30μm以下である線輪部品が得られる。
(11)軟磁性成形物は、平均粒子径D50が金属軟磁性粉末の1/4以下(0を含まず)である非磁性無機粉末を3体積%以上40体積%以下含む線輪部品が得られる。
(12)軟磁性成形物は、比表面積が16〜90m/g、かつ細孔度2.0cc/g以下のシリカ粉末を5体積%以下(0を含まず)含む線輪部品が得られる。
本発明では、ドラムコアに巻線を施し、上下鍔間に軟磁性成型物を配置した線輪部品において、軟磁性成型物の熱応力に関する特性を改良したことによって、線輪部品の実装時のリフロー工程や低温側を含むヒートサイクル試験時の軟磁性成型物が磁芯に及ぼす熱応力によって磁芯にクラックが生ずる現象を抑制することができ、環境温度負荷に対する信頼性を向上させることができた。
さらに、軟磁性成型物の磁気特性を改良することにより、軟磁性成型物の配置量を減らすことができるために、軟磁性成型物が磁芯に及ぼす熱応力によって磁芯にクラックが生ずる現象を抑制することができ、環境温度負荷に対する信頼性を向上させることができた。また、軟磁性成型物の磁気特性を改良したことにより、直流重畳特性の向上を図ることが可能となり、線輪部品の直流抵抗の低減を図ることが可能となり、線輪部品の小型化を図ることが可能となった。また、線輪部品からの外部漏洩磁束を低減することも可能となった。
以上のように、小型低背化、低コスト化、製品のリフロー工程や低温側をも含む環境温度負荷による破損に対する耐久性の向上、磁気特性の向上を同時に満足できるような線輪部品を提供することが可能となった。
図1は本発明の線輪部品の断面図である。本発明の線輪部品は図1に示すように、巻芯部と巻芯部の上下に鍔を有するドラム型の磁芯1に電気導体線からなる巻線2を施し、上下鍔部の間の電気導体線からなる巻線2の外側に軟磁性成型物3を配置したものである。なお、図1では、巻線の端部を下鍔下面のメタライズ部位にはんだにより接合して、端子部4が形成されたものを示している。また、端子部4は銀粉末とガラスフリットからなる銀ペーストを用いて、焼付け処理を行って形成しても良い。
ドラム型磁芯の材質は、線輪部品を用いる駆動周波数によって、適宜選定すれば良いが、4MHz弱程度の駆動周波数で用いることを想定すると、NiZn系、NiCuZn系のフェライト焼結体を用いると良い。
軟磁性成型物3は、所定箇所に、樹脂と軟磁性粉末および、非磁性体(強磁性体でなく、比透磁率が1に近いもの)の充填物を混和した軟磁性樹脂混和物を塗布もしくは注入して、硬化、成型したものである。樹脂は熱硬化性のエポキシ樹脂を用いると良い。
線輪部品の実装時のリフロー工程や低温側を含むヒートサイクル試験時の軟磁性成型物が磁芯に及ぼす熱応力によって磁芯にクラックが生ずる現象を抑制するためには、軟磁性成型物は、平均引張りまたは圧縮の弾性率が30MPa以下であることが望ましい。
また、軟磁性成型物は、特に低温側でのヒートショックに対する信頼性を高めるためには、−40℃と25℃の間の平均熱膨張率が10×10-5(1/℃)以下、かつ、25℃における塑性変形率が0.4%以上とすることが望ましい。
また、軟磁性成型物は、特に低温側でのヒートショックに対する信頼性を高めるためには、25℃から、−40℃までの任意の温度まで冷却するとき、25℃における軟磁性成型物の長さを基準とする、軟磁性成型物の単位長さあたりの収縮量の絶対値が、Tを摂氏温度として、式−6.8×10−9×(T−25)+1.45×10−4×(T−25)で表される値の絶対値以下の値を有し、かつ、25℃における塑性変形率が0.4%以上とすることが望ましい。
エポキシ樹脂としては、少なくとも脂肪族系反応性希釈剤10から40重量%、エマルジョンゴム成分1から10%、残りはビスフェノールAであるエポキシ成分から主剤に、硬化剤として、主剤のエポキシ当量に合わせて、最大架橋度となる量の活性水素当量140以上のアミン変性脂肪族ポリアミンを含むものを用いると、上記の軟磁性成型物の特性を満足することが可能である。
さらに、上下鍔間に配置する軟磁性成型物の量を低減することができれば、熱応力に対する信頼性の向上が可能であり、線輪部品のインダクタンスを低下させることなく、上下鍔間に配置する軟磁性成型物の量を低減するには、この軟磁性成型物の比透磁率を向上すればよい。
従って、軟磁性成型物の比透磁率を3以上とすることが望ましい。また、重畳印加磁場31.84kA/mにおける比透磁率が、重畳印加磁場0における初期比透磁率の0.6倍より大である比透磁率3の軟磁性成型物を配置すれば、直流重畳特性の劣化を防止することができるのでより好ましい。このような強磁場でも比透磁率が劣化しないような、比透磁率の磁場依存性を有する軟磁性成型物を得るには、軟磁性粉末として金属軟磁性粉末を用いることが有効となる。
金属軟磁性粉末としては、Fe−Si、Fe−Si−Al、Fe−Si−Cr、Fe−Cr−V等のFe系軟磁性合金粉末や、Fe−Ni等の軟磁性合金粉末等の比透磁率が高く、飽和磁束密度の大きな材料を採用すれば良い。また、この際、Fe系軟磁性合金粉末は、表面に防錆処理を施すことにより、耐候性の向上を図ることができる。また、少なくとも1.0重量%以上、好ましくは2.0重量%以上のCrを含有するFe−Si−Cr合金粉末を用いれば、特に付加的な防錆処理を行わずとも、錆が発生しないので好ましい。
軟磁性樹脂混和物中の軟磁性粉末の充填量に関しては、軟磁性粉末は軟磁性成型物に対して30体積%〜75体積%の範囲とするのが良い。軟磁性樹脂混和物の硬化時の体積変化があまり大きくない状態で、軟磁性樹脂混和物の粘度を取扱い可能な範囲に納めるためには、金属軟磁性体粉末を軟磁性成型物の75体積%以下とすることが望ましい。図2に金属軟磁性粉末の充填率と初期透磁率の関係を示す。図2は金属軟磁性粉末として、平均粒径D50が10μmのFe−3%Si−9%Cr金属粉末を用いた場合である。軟磁性成型物の比透磁率を3以上とするためには金属軟磁性体粉末を軟磁性成型物の30体積%以上とすることが望ましい。
また、金属軟磁性粉末は、平均粒子径D50が0.5μm以上、30μm以下であることが望ましい。平均粒子径が、これ以上になると表皮効果の影響により高周波数領域でのインダクタンスの特性が悪化し、これ以下となると、軟磁性樹脂混和物の粘度が高くなり取扱が難しくなると共に、磁気特性も低下する傾向にあるので望ましくない。
また、軟磁性樹脂混和物の粘度の上昇を押えて、金属軟磁性粉末の充填率を上げるために、平均粒子径D50が金属軟磁性粉末の1/4以下(0を含まず)である非磁性無機粉末を軟磁性成型物に対して3体積%以上40体積%以下含めると良い。充填量はこれ以上でも、これ以下でも、金属軟磁性粉末の充填率を上げることにならないので、この範囲を選択するとよい。また、非磁性無機粉末を添加することにより、軟磁性成型物の弾性係数を調整することができる。
また、環境温度負荷に対する信頼性を向上させるために、軟磁性樹脂混和物に微粒のシリカ粉末を加えることが望ましい。比表面積が16〜90m/g、かつ細孔度2.0cc/g以下のシリカ粉末を5体積%以下(0を含まず)の範囲とした場合に、熱ショックによるクラック発生を抑制する効果が大きいので、この範囲を選択するとよい。
(実施例1)
フェライト磁芯として、NiZnフェライトの粉末にポリビニルアルコール9wt%水溶液を10wt%混合し、この粉末を2000kg/cm2の圧力で3.5mm角、厚さ1.12mmの形状に加圧成形ののち、脱バインダー処理の上、大気雰囲気中1200℃で焼結した。該焼結体を、3mm角、厚さ1mmとなるよう研磨し、幅0.4mmの溝を切削刃により形成した。巻芯部の直径は1.5mm、上下鍔の厚みは0.3mmである。
軟磁性樹脂混和物としては、異なる熱膨張率と弾性率を有する市販の熱硬化性のエポキシ樹脂を選択し、20〜50体積%のFe−10%Si−6%Al金属粉末を該エポキシ樹脂に混合した。これらFe−Si−Al合金粉末を含有するエポキシ樹脂を混合調整したのち、さらに0〜15体積%のシリカ粉末を混合した。
軟磁性成型物の供試験片の作り方および諸性質の求め方は、JIS K7238−2に準拠した。弾性率は、JIS K7161に準拠した測定を行った。本発明の試作品において、引張弾性率と圧縮弾性率の両方を測定した所、低加重の領域においては、引張弾性率と圧縮弾性率はほぼ同じ値が得られることが確認できたので、本明細書中では特に記載のない限り、弾性率の代表値として、25℃における引張弾性率(MPa)を示した。熱膨張率は、ISO11359−2に準拠し、高さ約4mm、断面積1cmの円柱形状を有する軟磁性樹脂混和物の硬化物である軟磁性成型物の上面全面に、10gの一定加重を与えて、試料を温度変化させて測定した。高温で軟磁性成型物の弾性率が低くなると、熱膨張率を再現性良く測定できないため、熱膨張率の測定は25℃以下の領域でのみ行った。塑性変形率は以下の測定法による値を採用した。温度25℃において、高さ約4mm、断面積1cmの円柱形状を有する、軟磁性樹脂混和物の硬化物である軟磁性成型物の上下面全面に、円柱の中心軸に平行な方向に加重速度1kgf/分で、加重5kgfになるまで圧縮力を加え、圧縮力を30秒間加えた後、加重減少速度1kgf/分で加重を減少させる。加重が0となってのち、加重を0としたまま30秒間保持した直後の、初期円柱高さからの減少分をB、初期高さをAとしたとき、B/A×100(%)の値を温度25℃の塑性変形率とした。これらの測定法は、断りのない限り本実施例を通じて共通である。
以上により、引張弾性率として8〜400MPa、−40℃から25℃における平均熱膨張率として5×10―5〜20×10―6を有する軟磁性成型物を作製した。これらの軟磁性成型物の低加重における引張り弾性率と圧縮弾性率とは、ほぼ同等の値を示した。また、これらの軟磁性成型物は温度上昇とともに弾性率の低下が見られた。
これらの軟磁性樹脂混和物を、鍔厚0.3mmのフェライト磁芯の鍔間に充填して硬化させた。鍔間における軟磁性成型物の空間占有率が100%(巻線なし)となるTEG(検出精度アップのテストゲージ)でリフローとさらにヒートショックに対する信頼性の確認を行った。
リフロー試験の条件は最大温度270℃10秒を2回通過、ヒートサイクル試験の条件は、−40℃(30分)から+120℃(30分)24サイクルである。各サンプル(各条件のサンプル数n=3から10個)に対して、リフロー試験後およびヒート試験後のクラック発生状況を調べた。その結果を表1に示す。表中、上段の数値はリフロー試験時の割れ発生率を示し、下段の数字はヒート試験時の割れ発生率を示す。
Figure 2009044068
表1より、−40℃から0℃における平均熱膨張率が10×10―5(1/℃)以下であってかつ、25℃における引張弾性率が70MPaの場合に、リフロー試験ならびにヒート試験におけるクラック発生を抑制できることが分かる。
軟磁性成型物がフェライト磁芯に及ぼす応力は、フェライト磁芯の熱膨張率を0、弾性率を無限大と仮定すると、軟磁性成型物の線膨張係数と弾性率の積に比例するとみなせる。この考え方の場合、室温に於ける線膨張率が4倍に上昇したとしても、弾性率が1/100に小さくなれば、結果的に内部応力は1/25に小さくすることができる。このように、熱膨張率と弾性率の値を本発明に於ける範囲に限定する結果、クラック発生の原因となる内部応力を緩和することができたものと考えられる。
図3は、複数の軟磁性成型物において、25℃を基準として、冷却時に発生する収縮量を表すグラフである。図中、ヒート試験に於けるクラック発生が見られなかった軟磁性成型物の収縮量を細い実線、クラック発生が見られた軟磁性成型物の収縮量を点線、クラック発生非発生の境界に該当する曲線を太い実線で示した。太い実線は、Tを摂氏温度として、式−6.8×10−9×(T−25)+1.45×10−4×(T−25)で表される。図3より、太い実線で示す境界値よりも収縮量の小さい軟磁性成型物を用いれば、ヒート試験に於けるクラック発生を抑制できることが分かる。
(実施例2)
フェライト磁芯として、NiZnフェライトの粉末にポリビニルアルコール9wt%水溶液を10wt%混合し、この粉末を2000kg/cm2の圧力で3.5mm角、厚さ1.1mmの形状に加圧成形ののち、脱バインダー処理の上、大気雰囲気中1200℃で焼結した。該焼結体を、3mm角、厚さ1mmとなるよう研磨し、幅0.4mmの溝を切削刃により形成した。巻芯部の直径は1.5mm、上下鍔の厚みは0.2mmおよび0.3mmである。
軟磁性成型物としては、実施例1で用いた軟磁性成型物のうち、引張弾性率として8〜70MPa、−40℃から0℃の低温における平均熱膨張率として5×10―5〜10×10―6を有する軟磁性成型物を用いた。
これらに相当する軟磁性樹脂混和物を、上下鍔厚0.2mmおよび0.3mmのフェライト磁芯の鍔間に充填して硬化し、鍔間における軟磁性成型物の空間占有率が100%(巻線なし)となるTEG(検出精度アップのテストゲージ)でリフローとさらにヒートショックに対する信頼性の確認を行った。
リフロー試験の条件は最大温度270℃、10秒を2回通過、ヒートサイクル試験の条件は、−40℃(30分)から+120℃(30分)24サイクルである。各サンプル(各条件のサンプル数n=10個)に対して、リフロー試験後およびヒート試験後のクラック発生状況を調べた。その結果を表2に示す。表中、上段の数値はリフロー試験時の割れ発生率を示し、下段の数字はヒート試験時の割れ発生率を示す。
Figure 2009044068
実施例1に示したように、フェライト磁芯の上下鍔の厚みが各々0.3mmである場合には、これらの軟磁性成型物を上下鍔間に充填したTEGにてリフロー試験、ヒート試験を行っても、クラックは認められなかったが、フェライト上下鍔の厚みが各々0.2mmである場合には、磁性混和物の塑性変形率が0.4%以上である場合のみ、ヒート試験によるクラック発生が認められなかった。
以上より、軟磁性成型物の塑性変形率が0.4%以上である場合、クラック発生の危険率がさらに小さくなることが分かる。これは、塑性変形が発生するような軟磁性成型物のいわゆる柔らかい固化状態を活用することで、クラック発生の原因となる内部応力が緩和されることを示しているものと考えられる。
(実施例3)
フェライト磁芯として、NiZnフェライトの粉末にポリビニルアルコール9wt%水溶液を10wt%混合し、この粉末を2000kg/cm2の圧力で3.5mm角、厚さ1.3mmの形状に加圧成形ののち、脱バインダー処理の上、大気雰囲気中1200℃で焼結した。該焼結体を、3mm角、厚さ0.8mmから1.1mmとなるよう研磨し、幅0.4mmの溝を切削刃により形成した。巻芯部の直径は1.6mmで磁芯外形の中央部に位置し、上下鍔の厚みは0.2mmから0.35mmである。該フェライト磁芯に、1ターンから10ターンの巻線を施し、鍔間において軟磁性成型物が配置される部位の面積の調整を行った。
軟磁性成型物としては、実施例1で用いた混和物のうち、引張弾性率として70MPa、−40℃から0℃の低温における平均熱膨張率として15×10―6を有する軟磁性成型物を用いた。これらに相当する軟磁性樹脂混和物を、前記フェライト磁芯の鍔間部位に充填し、軟磁性樹脂混和物を硬化して輪線部品を作製して、リフローとヒートショックに対する信頼性の確認を行った。
リフロー試験の条件は最大温度270℃、10秒を2回通過、ヒートサイクル試験の条件は、−40℃(30分)から+120℃(30分)24サイクルである。各サンプル(各条件のサンプル数n=20個)に対して、リフロー試験後およびヒート試験後のクラック発生状況を調べた。その結果を表3に示す。表中、上段の数値はリフロー試験時の割れ発生率を示し、下段の数字はヒート試験時の割れ発生率を示す。
Figure 2009044068
巻芯の中心軸に垂直な平面に対する、磁性混和物配置部位の断面積と、巻線が施された部位の断面積と、巻芯の断面積を各々A、B、Cとするとき、A/(B+C)が0.4以下であれば、上下鍔が最も薄い0.2mmの場合でも、リフロー試験およびヒート試験のいずれにおいてもクラック発生は認められず、クラック防止に効果的な条件となっていることが分かる。従って、ドラム型磁芯の中心を通り、上下鍔部間に挟まれた断面における、軟磁性成型物の断面積が、巻芯部および電気導体線部分がなす断面積の0.4倍以下とすることによりクラック発生が抑制されることが分かる。
(実施例4)
フェライト磁芯として、NiZnフェライトの粉末にポリビニルアルコール9wt%水溶液を10wt%混合し、この粉末を2000kg/cm2の圧力で5mm角、厚さ1.3mmの形状に加圧成形ののち、脱バインダー処理の上、大気雰囲気中1200℃で焼結した。該焼結体を、2.8〜4.2mm角、厚さ1mmとなるよう研磨し、幅0.4mmの溝を切削刃により形成した。巻芯部は1.4mm角の正方形で磁芯外形の中央部に位置し、上下鍔の厚みは0.4mmであり、比透磁率500を有する。
これらのフェライト磁芯に、5.75ターンの巻線を施し、フェライト磁芯の下鍔下面のメタライズ部位に巻線両端をはんだにより接合した。
軟磁性樹脂混和物としては、市販の熱硬化性のエポキシ樹脂に、0〜47体積%のFe−3%Si−9.5%Cr合金粉末を混合した。これらの軟磁性樹脂混和物を、内径8mm、外形14mm、高さ4mmの離型性のシリコーン型に注型し、その後、80℃、2時間で硬化させた。硬化物のトロイダルコアの、密度を測定後、φ0.5mm線で50ターンの巻線をし、その比透磁率を測定した。
これらの軟磁性樹脂混和物を、前記フェライト磁芯の巻線周囲の鍔間部位に充填し、軟磁性樹脂混和物を硬化して輪線部品となし、磁気特性の評価を行った。また、これらの線輪部品に対して、−40℃(30分)から+120℃(30分)24サイクルの条件でヒートサイクル試験を行い、(各条件のサンプル数n=20個)に対して、ヒート試験後のクラック発生状況を調べた。以上の結果を表4に示す。
表4中には、巻芯の中心軸に垂直な平面に対する、磁性混和物配置部位の断面積と、巻線が施された部位の断面積と、巻芯の断面積を各々A、B、Cとするときの、A/(B+C)の値も示す。 また、表中のLoは、直流重畳電流0Aのときのインダクタンスの値である。
Figure 2009044068
表4より、軟磁性成型物の比透磁率が上昇すれば、同一の磁芯径とターン数のもと、外形を小型化してもインダクタンスの値の低下を防止できることが分かる。さらに、軟磁性成型物の比透磁率が5以上であるとき、A/(B+C)の値を0.4以下とすることができて、ヒート試験による割れ発生率を0とすることができている。以上のように、軟磁性混和物の比透磁率を5以上とすることにより、線輪部品の小型化と熱応力に対する信頼性向上を同時に達成できることが分かる。
(実施例5)
フェライト磁芯として、NiZnフェライトの粉末にポリビニルアルコール9wt%水溶液を10wt%混合し、この粉末を2000kg/cm2の圧力で3.5mm角、厚さ1.3mmの形状に加圧成形ののち、脱バインダー処理の上、大気雰囲気中1200℃で焼結した。該焼結体を、3mm角、厚さ1mmとなるよう研磨し、幅0.4mmの溝を切削刃により形成した。巻芯部の直径は1.6mmで磁芯外形の中央部に位置し、上下鍔の厚みは0.3mmであり、比透磁率500を有する。
このフェライト磁芯に、8.75ターンの巻線を施し、フェライト磁芯の下鍔下面のメタライズ部位に巻線両端をはんだにより接合した。
軟磁性樹脂混和物としては、市販の熱硬化性のエポキシ樹脂に、12〜50体積%のNiZnCu系フェライト粉末、または12〜50体積%のFe−3%Si−1%Cr合金粉末を混合した。
これらの軟磁性樹脂混和物を、前記フェライト磁芯の巻線周囲の鍔間部位に充填し、軟磁性樹脂混和物を硬化して輪線部品となし、磁気特性の評価を行った。その結果を表5に示す。
Figure 2009044068
表中のLoは、前と同じく、直流重畳電流0Aのときのインダクタンスの値である。また、Imaxは、インダクタンスが直流重畳電流0Aの場合と比較して20%降下する際の直流重畳電流値である。このImaxの値が大きければ、より大きな直流重畳電流に対応可能であることを意味する。さらに、Lo×Imaxの値は、輪線部品の磁気飽和のし難さを表す指標であり、大きな値を取ることが望ましい。
表5より、軟磁性粉末の体積充填率が30体積%を超える領域において、NiZnフェライト粉末を軟磁性粉末として用いた場合のLo×Imaxの値よりも、Fe−3%Si−1%Cr合金を軟磁性粉末として用いた場合の間のLo×Imaxの値が10%以上大きな値となり、軟磁性粉末の充填率が上昇するにつれてその差が拡大している。すなわち、金属軟磁性粉末を用いることによって、NiZnフェライト粉末のみを20体積%程度含有する従来型の線輪部品と比較して顕著に重畳特性が改善することを示している。
(実施例6)
フェライト磁芯として、NiZnフェライトの粉末にポリビニルアルコール9wt%水溶液を10wt%混合し、この粉末を2000kg/cm2の圧力で3.5mm角、厚さ1.3mmの形状に加圧成形ののち、脱バインダー処理の上、大気雰囲気中1200℃で焼結した。該焼結体を、3mm角、厚さ1mmとなるよう研磨し、幅0.4mmの溝を切削刃により形成した。巻芯部の直径は1.6mmで磁芯外形の中央部に位置し、上下鍔の厚みは0.3mmであり、比透磁率500を有する。
このフェライト磁芯に、8.75ターンの巻線を施し、フェライト磁芯の下鍔下面のメタライズ部位に巻線両端をはんだにより接合した。
軟磁性樹脂混和物としては、市販の熱硬化性のエポキシ樹脂に、20〜50体積%のNiCuZn系フェライト粉末(NiZnCu系フェライト粉末は、焼結体の状態で比透磁率が200となる焼結体を粉砕して得た平均粒径D50が2、50、100、150μmの粉末)、または20〜50体積%のFe−3%Si−9.5%Cr合金粉末、またはNiZnフェライト粉末と、Fe−10%Si−6%Al合金粉末の混合粉、Fe−3%Si−1%Cr合金粉末、Fe−4%Si合金粉末をそれぞれ混合し、評価した。
これらの軟磁性樹脂混和物を、前記フェライト磁芯の巻線周囲の鍔間部位に充填し、軟磁性樹脂混和物を硬化して輪線部品となし、直流重畳特性の評価を行った。
また同時に、これらの軟磁性樹脂混和物を、内径8mm、外形14mm、高さ4mmの離型性のシリコーン型に注型し、その後、80℃、2時間で硬化させた。これらの軟磁性成型物のトロイダルコアに、φ0.5mm線で50ターンの巻線を施し、その直流電流重畳特性を確認した。
図4に直流重畳特性の測定結果を軟磁性成型物の比透磁率の値により層別して示す。ここで、実効初期透磁率をμ0、鍔間の直流平均磁界31.84kA/mのときの実効透磁率をμ31.84kA/mと定義している。図4の横軸は、(μ0-μ31.84kA/m)/μ0の値であり、直流磁界31.84kA/mを加えたときの実効透磁率の変化率を示している。また、図4の縦軸はImaxの値であり、前述の如く、インダクタンスが直流重畳電流0Aの場合と比較して20%降下する際の直流重畳電流値を示しており、この値が大きければ、より大きな直流重畳電流に対応可能であることを意味する。図4より、硬化物の比透磁率が2〜4程度の場合には、(μ0-μ31.84kA/m)/μ0の値と、線輪部品のImaxに強い相関は見られない。一方、軟磁性成型物の比透磁率が4〜8,もしくは8〜11の場合には、軟磁性粉末としてNiZnフェライトだけを含む従来タイプの輪線部品と比較して、(μ0-μ31.84kA/m)/μ0が0.4以下を示す線輪部品において顕著にImaxが大きく、直流重畳特性が優れていることが分かる。
(実施例7)
軟磁性樹脂混和物そのものの機械特性改良と磁気特性改良についての実施例を記述する。ビスフェノールエポキシ樹脂と硬化剤、エポキシ基を有する硬化剤を含む樹脂を配合して、平均粒径D50が10μmのFe−9.5%Cr−3%Si粉末を50体積%となるように加えて、混合、脱泡し、20℃で、内径8mm、外形14mm、高さ4mmの離型性のシリコーン型に注型し、その後、80℃、2時間で硬化させた。硬化物のトロイダルコアの、密度を測定後、φ0.5mm線で50ターンの巻線をし、その直流電流重畳特性を確認した。それらの結果を表6、図5に示す。表6は、樹脂の配合と軟磁性成型物の機械的特性と磁気特性を示したものであり、図5は軟磁性成型物の磁気特性を示したものである。表6に示す樹脂の配合1から5では、エポキシ樹脂の主剤成分100に対して、硬化剤であるアミン変性脂肪族ポリアミンを、主剤のエポキシ当量に合わせて最大架橋度となる量を配合ししている。図5は横軸に実効初期透磁率μ0を、縦軸に直流磁界31.84kA/mを加えたときの実効透磁率の変化率である(μ0-μ31.84kA/m)/μ0を示している。
Figure 2009044068
これらの結果によれば、当該トロイダルコアの平均磁界が、31.84kA/mでの実効透磁率μ31.84kA/mの値が、初期透磁率μ0に対して最も低下し難く、図3で縦軸(μの減少率)が、極小になるのは配合2である。この配合がより望ましいので、主剤のエポキシ樹脂性分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と脂肪族系反応性希釈剤とエマルジョンゴム成分を配合したものを選定するのが良い。
(実施例8)
フェライト磁芯として、NiZnフェライトの粉末にポリビニルアルコール9wt%水溶液を10wt%混合し、この粉末を2000kg/cm2の圧力で3.5mm角、厚さ1.3mmの形状に加圧成形ののち、脱バインダー処理の上、大気雰囲気中1200℃で焼結した。該焼結体を、3mm角、厚さ0.8mm〜1.1mmとなるよう研磨し、幅0.4mmの溝を切削刃により形成した。巻芯部の直径は1.5mmで磁芯外形の中央部に位置し、上下鍔の厚みは0.3mmであり、比透磁率500を有する。
この鍔間の凹部全体に軟磁性樹脂混和物を塗布し、その硬化後の環境温度負荷試験にてフェライト焼成体のクラック発生状況を調べた。
リフロー試験の条件は最大温度270℃10秒を2回通過、ヒートサイクル試験の条件は、−40℃(30分)から+120℃(30分)24サイクルである。各サンプル(各条件のサンプル数n=10個)に対して、リフロー試験後およびヒート試験後のクラック発生状況を調べた。
軟磁性樹脂混和物は樹脂として主剤は、実施例7で良好な結果が得られた、ビスフェノールA63重量%、脂肪族系反応性希釈剤30重量%、エマルジョンゴム成分7重量%とし、これに硬化剤としてアミン変性芳香族ポリアミンを用い活性水素当量を変えたものを用いた。硬化剤の添加量は主剤が最大架橋度となる量とした。また、軟磁性粉末は平均粒径D50が10μmのFe−9.5%Cr−3%Si粉末を軟磁性成型物の50体積%となるように加えた。
測定結果を表7に示す。表7からわかるように、活性水素当量の異なる水準でクラック発生状況を調べた結果、活性水素当量が150以上でクラックが発生しないことがわかった。このことからアミン変性芳香族ポリアミンの活性水素当量は140以上が望ましいことが分かる。
Figure 2009044068
(実施例9)
実施例8と同様にして作製したNiZnフェライト磁芯で上下鍔が0.3mmのものを用い、鍔間の凹部全体に軟磁性樹脂混和物を塗布し、その硬化後の環境温度負荷試験にてフェライト磁芯のクラック発生状況を調べた。
環境温度負荷試験は実施例8と同じで、リフロー試験の条件は最大温度270℃、10秒を2回通過、ヒートサイクル試験の条件は、−40℃(30分)から+120℃(30分)24サイクルである。各サンプル(各条件のサンプル数n=10個)に対して、リフロー試験後およびヒート試験後のクラック発生状況を調べた。
軟磁性樹脂混和物は樹脂として主剤のエポキシ成分としては、実施例7で良好な特性が得られた、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と脂肪族系反応性希釈剤とエマルジョンゴム成分を選定し、これらの配合比を変え、これに硬化剤としては活性水素当量が140のアミン変性芳香族ポリアミンを用いた。硬化剤は主剤のエポキシ当量に合わせて、最大架橋度となるようなの添加量とした。軟磁性粉末は平均粒径D50が10μmのFe−9.5%Cr−3%Si粉末を軟磁性成型物の50体積%となるように加えた。
図6に主剤エポキシ成分を変えた場合のクラック発生状結果を示す。図6は主剤のエポキシ成分をビスフェノールA型エポキシ樹脂と脂肪族系反応性希釈剤とエマルジョンゴム成分主成分の3元系に大別し、クラックが発生するかどうかの膨大な実験結果をまとめて示したものである。
図6から、クラックが発生しない領域は、該混和物のエポキシ成分で少なくとも脂肪族系反応性希釈剤10から40重量%、エマルジョンゴム成分1から10重量%、残りはビスフェノールAエポキシ樹脂の領域であることが分かる。
主剤エポキシ成分について、詳記すれば、脂肪族系反応性希釈剤は、2官能の中で低粘度、低弾性率、高耐熱を得るために、主鎖の分子量を通常よりも大きくし、かつ、耐熱を付与した分子構造をもたせたものを用いている。また、エマルジョンゴム成分は、アニオン系乳化剤に分散し生成したラテックスゴムを用い、低弾性の中で接着性、強靭性を高めている。このように、固化のための成分は活性水素当量140以上のアミン変性脂肪族ポリアミンとし、かつ、脂肪族系反応性希釈剤において、主鎖の分子量を通常よりも大きくし、かつ、耐熱を付与した分子構造とし、かつ、エマルジョンゴム成分を10重量%以下とすることが、30MPa以下の低弾性率を有するエポキシ樹脂としては通常実現困難な小さな熱膨張率、すなわち、−40℃から0℃の低温における平均熱膨張率として10×10−6(1/℃)以下の熱膨張率を有する軟磁性成型物を実現するのに有効であると考えられる。
ビスフェノールAエポキシ樹脂が、60重量%未満の場合、コア割れ又は、熱分解温度の低温化傾向がある。図6のOK領域での熱分解温度は300℃から330℃であり、通常のリフロー条件のピーク温度より、約20℃高めの270℃の本発明のリフロー試験の条件であっても、樹脂単独の硬化物の加熱減量と熱分解をほぼ1%以下に抑えることができる。参考として、図7に本発明の負荷試験でのリフロー試験の条件と、通常のリフロー条件の温度プロファイルを示す。
(実施例10)
実施例8と同様にして作製したNiZnフェライト磁芯で上下鍔が0.2mmのものを用い、鍔間の凹部全体に軟磁性樹脂混和物を塗布し、その硬化後の環境温度負荷試験にてフェライト焼成体のクラック発生状況を調べた。なお、上下鍔の厚さが薄くなるとクラック発生率が高くなり、上下鍔の厚さを0.2mmと薄くすると、厚さ0.3mmの場合にはクラックが発生しなかったような条件でもクラックが認められるようになり、厳しい条件での実験となる。
環境温度負荷試験は実施例8と同じで、リフロー試験の条件は最大温度270℃、10秒を2回通過、ヒートサイクル試験の条件は、−40℃(30分)から+120℃(30分)24サイクルである。各サンプル(各条件のサンプル数n=10個)に対して、リフロー試験後およびヒート試験後のクラック発生状況を調べた。
軟磁性樹脂混和物は樹脂としては、実施例7の配合2を用い、軟磁性粉末は平均粒径D50が10μmのFe−9.5%Cr−3%Si粉末を加え、さらに、非磁性の充填剤成分として、平均粒径0.5μmの球状非結晶シリカを添加した。
表8に配合割合と線輪部品としてのクラック発生率を示す。この結果によれば、非結晶球状シリカを添加しなかった場合はクラックの発生が認められた。シリカ添加が3体積%以上40体積%以下でクラックの発生が抑制されることがわかる。この範囲であれば、磁気特性的にも充分使用可能である。
Figure 2009044068
(実施例11)
軟磁性樹脂混和物は樹脂としては、実施例7の配合2を用い、軟磁性粉末は平均粒径D50が10μmのFe−9.5%Cr−3%Si粉末を加え、さらに、非磁性の充填剤成分に球状非結晶シリカを添加した。球状非結晶シリカは平均粒径D50が5μm、2.5μm、0.5μmの3種類のものを使用した。軟磁性粉末とシリカの合計が軟磁性成型物の50体積%となるように調整した。
これらの軟磁性樹脂混和物を高さ4mm、断面積1cmの円柱形状の離型性のシリコーン型に注型し、80℃、2時間で硬化させた。次いで、硬化後の円柱形状の軟磁性成型物の弾性率を測定した。
測定結果を表9に示す。表9に示すようにシリカの充填量により、弾性率を調整できることが分かる。
Figure 2009044068
(実施例12)
軟磁性樹脂混和物は樹脂としては、実施例7の配合2を用い、軟磁性粉末は平均粒径D50が10μmのFe−9.5%Cr−3%Si粉末を加え、さらに、非磁性の充填剤成分に球状非結晶シリカを添加した。球状非結晶シリカは平均粒径D50が5μm、2.5μm、0.5μmの3種類のものを使用した。軟磁性粉末を35体積%、シリカを15体積%と充填物の合計が軟磁性成型物の50体積%となるように調整した。
これらの軟磁性樹脂混和物を内径8mm、外形14mm、高さ4mmの離型性のシリコーン型に注型したものを作製し後、80℃、2時間で硬化させた。硬化したトロイダルコア状の軟磁性成型物は、密度を測定後、φ0.5mm線で50ターンの巻線をし、その比透磁率を測定した。
測定結果を表10と図8に示す。図8は軟磁性成型物の磁気特性を示したものである。図8は横軸に実効初期透磁率μ0を、縦軸に直流磁界31.84kA/mを加えたときの実効透磁率の変化率である(μ0-μ31.84kA/m)/μ0を示している。磁気特性の観点から、非結晶シリカの平均粒径D50が1/4以下の成分にて、割れの発生確率を低減するような線輪部品を得た。再配列し高充填しやすくなるような効果をねらい、シリカ粉の粒子径の選定を行った。磁性粒子の添加量に対するシリカ粉の充填率の変化は、より微細粒子の適量の配合で1つの最大値を持つ傾向を示している。このように塑性変形率のコントロールは、たとえば、樹脂の組成や硬化温度を調節し、軟磁性樹脂混和物の固化状態を変えることによって行うことができる。すなわち、少なくともビスフェノールA型のエポキシ樹脂、及び脂肪族ポリアミン変性のエポキシ基を有する硬化剤を含むことにより、固化状態を改良し、リフロー高温時の短時間的な加重や環境温度負荷による低温時の塑性変形を起こり易くすることができた。
Figure 2009044068
(実施例13)
次に、10体積%以下の多孔質シリカ粉末やナノ凝集シリカ粉末を含む場合について示す。軟磁性樹脂混和物は樹脂としては、実施例7の配合2を用い、軟磁性粉末は平均粒径D50が10μmのFe−9.5%Cr−3%Si粉末を加え、さらに、非磁性の充填剤成分に非結晶シリカを添加した。非結晶シリカはその粉末の比表面積が15、50、300、800、1000平方メートル/g、および細孔率2.0cc、1cc、0ccのものを用いた。軟磁性粉末を50体積%と、シリカは2種を2体積%と5体積%となるように調整した。
これらの軟磁性樹脂混和物を高さ4mm、断面積1cmの円柱形状の離型性のシリコーン型に注型し、80℃、2時間で硬化させた。次いで硬化後の円柱形状の軟磁性成型物の線膨張係数を測定した。
表11に比表面積が異なる場合、表12に細孔度が異なる場合を示す。この結果によれば、比表面積が大きいシリカ粉末の添加による効果は、少量の添加であっても、より大きな塑性変形を発生させることがわかった。表中、効果大と示されるものがこれに該当し、比表面積(m2/g)については、50から800、また細孔度(cc/g)については、1.3から2の間において、より線膨張係数を低減できる。
Figure 2009044068
Figure 2009044068
本発明の線輪部品の断面図。 金属軟磁性粉末の充填率と初期透磁率の関係を示す。 複数の軟磁性成型物において、25℃を基準として、冷却時に発生する収縮量を示す。 直流重畳特性の測定結果を軟磁性成型物の比透磁率の値により層別して示す。 軟磁性成型物の磁気特性を示す。 主剤エポキシ成分を変えた場合のクラック発生結果を示す。 本発明の負荷試験でのリフロー試験の条件と、通常のリフロー条件の温度プロファイルを示す。 軟磁性成型物の磁気特性を示す。
符号の説明
1 磁芯
2 巻線
3 軟磁性成型物
4 端子部

Claims (14)

  1. 巻芯部と一体化した上下鍔部を有する軟磁性体からなるドラム型磁芯の前記巻芯部に電気導体線を巻線した線輪部品であって、前記上下鍔部と前記電気導体線に囲まれた空間に樹脂と軟磁性粉末からなる軟磁性樹脂混和物を成型した比透磁率が1.3以上の軟磁性成型物を配置したことを特徴とする線輪部品。
  2. 前記軟磁性成型物は、平均引張りまたは圧縮の弾性率が30MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の線輪部品。
  3. 前記軟磁性成型物は、−40℃と25℃の間の平均熱膨張率が10×10-5(1/℃)以下、かつ、25℃における塑性変形率が0.4%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の線輪部品。
  4. 前記軟磁性成型物は、該軟磁性成型物を25℃から、−40℃までの任意の温度まで冷却するとき、25℃における該軟磁性成型物の長さを基準とする、該軟磁性成型物の単位長さあたりの収縮量の絶対値が、Tを摂氏温度として、式−6.8×10−9×(T−25)+1.45×10−4×(T−25)で表される値の絶対値以下の値を有し、かつ、25℃における塑性変形率が0.4%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の線輪部品。
  5. 前記樹脂は少なくとも主剤が脂肪族系反応性希釈剤10から40重量%、エマルジョンゴム成分1から10重量%、残りはビスフェノールAであるエポキシ成分からなり、硬化剤として活性水素当量140以上のアミン変性脂肪族ポリアミンを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の線輪部品。
  6. 前記軟磁性粉末は、前記軟磁性成型物に対して、30体積%以上75体積%以下の金属軟磁性粉末を含み、かつ、前記ドラム型磁芯の中心を通り、前記上下鍔部間に挟まれた断面において、前記軟磁性成型物の断面積が、巻芯部と電気導体線部分を合わせた断面積の0.4倍から0.1倍の間であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の線輪部品。
  7. 前記軟磁性成形物は、初期比透磁率3以上を有し、かつ、重畳印加磁場の平均値31.84kA/mにおける比透磁率が、初期比透磁率の60%より大きいことを特徴とする請求項6記載の線輪部品。
  8. 前記軟磁性成形物は、初期比透磁率5以上を有し、かつ、重畳印加磁場の平均値31.84kA/mにおける比透磁率が、初期比透磁率の80%より大きいことを特徴とする請求項6記載の線輪部品。
  9. 前記金属軟磁性粉末の少なくとも一部は、鉄合金系の粉末であって、該粉末表面に防錆被膜が形成されてなることを特徴とする請求項6記載の線輪部品。
  10. 前記金属軟磁性粉末は、少なくとも1.0重量%以上のCrを含むFe−Si−Cr系合金であることを特徴とする請求項6記載の線輪部品。
  11. 前記金属軟磁性粉末は、少なくとも2.0重量%以上のCrを含むFe−Si−Cr系合金であることを特徴とする請求項6記載の線輪部品。
  12. 前記金属軟磁性粉末は、平均粒子径D50が0.5μm以上、30μm以下であることを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載の線輪部品。
  13. 前記軟磁性成形物は、平均粒子径D50が前記金属軟磁性粉末の1/4以下(0を含まず)である非磁性無機粉末を3体積%以上40体積%以下含むことを特徴とする請求項6乃至12のいずれか1項に記載の線輪部品。
  14. 前記軟磁性成形物は、比表面積が16〜90m/g、かつ細孔度2.0cc/g以下のシリカ粉末を5体積%以下(0を含まず)含むことを特徴とする請求項6乃至13のいずれか1項に記載の線輪部品。
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