JP5867674B2 - 圧粉磁心およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アモルファス軟磁性合金粉末をバインダで結着した圧粉磁心およびその製造方法に関し、特に、密度を6.4Mg/m以上とした圧粉磁心およびその製造方法に係る。
軟質磁性粉末をバインダで結着した圧粉磁心は、珪素鋼板などによる積層磁心と比較して、作製時の材料歩留まりが良く、材料コストを低減することができるという利点を有する。また、形状自由度が高く、磁心形状の最適設計を行うことにより磁気特性を向上することが可能である。さらに、有機バインダや無機粉末などの低透磁率物質と金属粉末を混合したり、金属粉末の表面に電気絶縁被膜を被覆したりして金属粉末間の電気絶縁性を向上させることにより、磁心の渦電流損を大幅に低減することができ、特に高周波域において優れた磁気特性を得ることができる。
これらの利点から、圧粉磁心は、変圧器、リアクトル、サイリスタバルブ、ノイズフィルタ、チョークコイル等に使用され、また、モーター用鉄心、一般家電、産業機器用のモータのロータやヨーク、およびディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンの電子制御式燃料噴射装置に組み込まれる電磁弁用のソレノイドコア(固定鉄心)等にも使用されている。
圧粉磁心は、成形工程により製品形状が付与される。成形工程は、製品形状が付与された金型内に、アモルファス軟磁性合金粉末を可塑性の原料とともに射出して成形する射出成形法(特許文献1等)と、金型のキャビティにアモルファス軟磁性合金粉末とバインダを含む原料粉末を充填し、上下パンチで圧縮成形する圧縮成形法(特許文献2等)に大別される。これらの成形方法は用途に応じて使い分けられる。
上記の各種機器に対する近年の小型化・軽量化の要求の下、圧粉磁心においては、磁束密度等の磁気特性向上の要求が大きくなってきている。圧粉磁心は、軟磁性粉末の占積率が磁束密度に比例するため、高い磁束密度の圧粉磁心を得るためには高い密度であることが必要である。このため、多量のバインダを必要とする射出成形法に比して、バインダ量を低減して軟磁性粉末の量を増加できるとともに、原料を高密度に成形できる圧縮成形法が、広く用いられている。
圧縮成形法は、金型装置のダイの型孔にバインダと軟磁性粉末を含有する原料粉末を充填し、上下パンチにより圧縮する方法である。このような圧縮成形法の一例を図1に示す。図1は、中空部を有する円筒形状の圧粉磁心の圧粉体を圧縮成形法により成形するための一般的な成形工程を示す。図1に示す金型装置は、圧粉体の外周および底面を形成する型孔1aを有するダイ1と、圧粉体の中空部を形成するコアロッド2と、圧粉体の上面を形成する上パンチ4とを備えている。圧粉体の底面形成側には、成形後の圧粉体を押し出すためのエジェクトピン31が円周方向等間隔に配置されている。このような金型装置を用い、図1(a)に示すように、ダイ1の型孔1aとコアロッド2とでキャビティを形成し、このキャビティにフィーダ5等の粉末供給手段により原料粉末Mを充填する。次いで、図1(b)に示すように、上パンチ4を降下させて、キャビティ内に充填された原料粉末Mを上パンチ4で圧縮成形して圧粉体Cとする。この後、図1(c)に示すように、上パンチ4を上方に移動させて待機位置まで復帰させるとともに、エジェクトピン31を上方に移動させ、圧粉体Cをダイ1の型孔1aから押し出す。
上記の圧縮成形法においては、軟磁性粉末として、HV100〜120程度と硬さが低く延性に富む純鉄粉末が広く使用されている。また、合金を添加することにより軟磁性粉末の磁気特性や電気特性を改善した軟磁性合金粉末も一般的に使用されている。
例えば、Fe−Si−B系等のアモルファス軟磁性合金粉末を用いる圧粉磁心は、透磁率が高く、かつ、ヒステリシス損が小さいため鉄損を小さくできることから適用の検討が為されている。特に、アモルファス軟磁性合金粉末を用いる圧粉磁心では、適切な熱処理を施すと、図7(a)、(b)に示すように従来の圧粉磁心と比べてヒステリシス現象がほとんど認められなくなるため、ヒステリシス損を非常に小さくでき、鉄損を極めて小さくすることができる。
特開2000−100617号公報 特開2008−141011号公報
上記のアモルファス軟磁性合金粉末を用いる圧粉磁心においても、高密度化による磁気特性向上の要望が高まってきている。圧粉磁心の磁束密度の向上には、軟磁性粉末の含有量を増加させるとともに、これを高密度に成形して圧粉磁心の密度比を高める必要がある。したがって、圧粉磁心の作製には、原料粉末のバインダ量を低減して軟磁性粉末の割合を高めるとともに、この原料粉末を高圧力で成形することが必要となる。
しかしながら、アモルファス軟磁性合金粉末は、粉末の硬さがHV900を超える極めて硬い粉末である。このため、アモルファス軟磁性合金粉末を用いる圧粉磁心においては、アモルファス軟磁性合金粉末が塑性変形し難いため、成形が困難である。また、密度比の高い圧粉磁心を得るためにバインダ量を低減し、高圧力で成形を行うと、アモルファス軟磁性合金粉末が固まらず、成形不能となる。
例えば、バインダ量を0.5〜1.0質量%と低減させ、アモルファス軟磁性合金粉末の割合を高めた原料粉末を1960MPaの高い成形圧力の下で、図1に示すようにして片押し成形で、円筒形状に圧縮成形すると、図2に示すように、圧粉体Cの内周面に上端面からtの位置に、内周面から上端面にかけてクラックが発生してしまう。圧粉体Cの上端面は上パンチ4で押圧した面である。このクラックは次のようにして発生すると考えられる。すなわち、アモルファス軟磁性合金粉末は硬くかつほとんど塑性変形しないため、上パンチ4からの加圧力により、上パンチ4に接したアモルファス軟磁性合金粉末およびこのアモルファス軟磁性合金粉末近傍の上パンチ4に近い箇所のアモルファス軟磁性合金粉末が弾性変形する。このとき、上パンチ4からの加圧力は、軸方向のみではなく軸方向に対して直交する方向、すなわちコアロッド2をその外周面から圧縮する方向に働き、コアロッド2が半径方向内方に弾性変形した状態で圧縮成形が行われる。この後、上パンチ4からの加圧力が除荷される際に、コアロッド2が弾性復帰して圧粉体Cの上端面近傍の内周面にクラックが発生するものと考えられる。
このような状況の下、本発明は、軟磁性粉末として、極めて硬く、成形し難いアモルファス軟磁性合金粉末を用い、かつバインダ量を0.5〜1.0質量%と低減させてアモルファス軟磁性合金粉末の占積率を高くした圧粉磁心を提供するとともに、このような圧粉磁心をクラック等の発生を防止しながら製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の圧粉磁心は、アモルファス軟磁性合金粉末をバインダで結着した圧粉磁心であって、中空部を有する筒形状を有し、中空部の軸方向の両端部もしくは一方の端部にバインダ量が1.5〜2.0質量%の第1層が設けられているとともに、残部にバインダ量が0.5〜1.0質量%の第2層が設けられ、密度が6.4Mg/m以上であることを特徴とする。
本発明では、圧粉磁心の中空部の軸方向の両端部もしくは一方の端部に、バインダ量が1.5〜2.0質量%の第1層が設けられているため、圧縮成形時の端部の変形能が高い。このため、端部成形後のコアロッドの弾性復帰による変形を吸収して、端部のクラックの発生を防止することができる。また、残部に、バインダ量を0.5〜1.0質量%と低減させた第2層が設けられているため、圧粉磁心の密度を6.4Mg/m以上として、磁束密度を高くすることができる。
第1層におけるバインダ量は、1.5〜2.0質量%とする。バインダ量が1.5質量%に満たないと、コアロッドの弾性復帰の際に、変形を吸収できずクラックが発生し易くなる。一方、バインダ量が2.0質量%を超えると、原料粉末中のアモルファス軟磁性合金粉末の量の低下の影響が大きくなり、所望の磁気特性を得難くなる。また、第1層を上記のバインダ量に設定することで、第2層のバインダ量を0.5〜1.0質量%まで低減しても、圧縮成形時に端部にクラックが発生するのを防止することができる。第2層のバインダ量は、少なすぎると成形が困難となるため、0.5質量%以上が必要となる。一方、バインダ量が1.0質量%を超えると、磁石の密度が低下して6.4Mg/mを下回ってしまう。
本発明の圧粉磁心においては、その軸方向において、第1層の高さが1〜3mmであり、第2層の高さが9mm以上であることを好ましい態様とする。第1層の高さが1mm未満であると、圧縮成形時の変形能が十分得られないため、端部のクラックの発生を防止し難くなる。そして、第1層の高さが1〜3mmであれば、上記効果が十分に得られ、端部のクラックの発生を確実に防止することができる。また、第2層の軸方向の高さが9mm未満であると、圧粉磁心の密度比が低くなり、磁気特性が低下する。このため、第2層の高さは大きいほど良く、9mm以上が好ましい。
なお、本発明の圧粉磁心における、中空部を有する筒形状は、中空部の断面形状が円形、楕円形、他角形等や、これらの複合形状を含み、これらにキー溝等の凹条あるいは凸条が、1つもしくは複数形成された形状も含む。また、外周形状についても、円形、楕円形、他角形等や、これらの複合形状を含み、あるいはキー等の凹条あるいは凸条が、1つもしくは複数形成された形状も含む。
本発明の第1の圧粉磁心の製造方法は、型孔を有するダイと、コアロッドと、コアロッドおよび型孔と摺動自在に嵌合する上パンチおよび下パンチとからなる金型装置を用い、ダイの型孔と、コアロッドと、下パンチにより形成されるキャビティに、バインダの添加量が0.5〜1.0質量%のアモルファス軟磁性合金粉末を含む第2原料粉末を充填する第1充填工程と、第2原料粉末の上に、バインダの添加量が1.5〜2.0質量%のアモルファス軟磁性合金粉末を含む第1原料粉末を充填して積層する第2充填工程と、上パンチにより、成形圧力1470〜2450MPaで、第1、第2原料粉末を片押し成形で圧縮成形する圧縮成形工程と、得られた圧粉体を押し出す押し出し工程と、圧粉体を加熱してアモルファス軟磁性合金粉末をバインダで結着する熱処理工程とを行うことを特徴とする。
また、本発明の第2の圧粉磁心の製造方法は、型孔を有するダイと、コアロッドと、コアロッドおよび型孔と摺動自在に嵌合する上パンチおよび下パンチとからなる金型装置を用い、ダイの型孔と、コアロッドと、下パンチにより形成されるキャビティに、バインダの添加量が1.5〜2.0質量%のアモルファス軟磁性合金粉末を含む第3原料粉末を充填する第1充填工程と、第3原料粉末の上に、バインダの添加量が0.5〜1.0質量%のアモルファス軟磁性合金粉末を含む第2原料粉末を充填して積層する第2充填工程と、第2原料粉末の上に、バインダの添加量が1.5〜2.0質量%のアモルファス軟磁性合金粉末を含む第1原料粉末を充填して積層する第3充填工程と、上パンチおよび下パンチにより、成形圧力1470〜2450MPaで、第1、第2、第3原料粉末を両押し成形で圧縮成形する圧縮成形工程と、得られた圧粉体を押し出す押し出し工程と、圧粉体を加熱してアモルファス軟磁性合金粉末をバインダで結着する熱処理工程とを行うことを特徴とする。
本発明の第1および第2の圧粉磁心の製造方法によると、原料粉末の圧縮成形を1回行えばよいため、製造コストを低減することができる。また、バインダの添加量の多い原料粉末を圧粉磁心の端部に用いているため、端部のクラックの発生を防止しながら、成形圧力を高くすることができる。このため、圧粉磁心の密度を高くし、磁束密度を向上することができる。
本発明の第1および第2の圧粉磁心の製造方法においては、第1原料粉末および第3原料粉末の充填深さが、圧縮成形後に1〜3mmとなる深さであること、第2原料粉末の充填深さが、圧縮成形後に9mm以上となる深さであることを好ましい態様とする。また、第1〜3原料粉末が、バインダをアモルファス軟磁性合金粉末の表面に被覆して与えたバインダ被覆アモルファス軟磁性合金粉末からなることを好ましい態様とする。なお、本発明においては、第1〜3原料粉末で用いるバインダおよびアモルファス軟磁性合金粉末は同じものでも良く、異なっていても良い。例えば、第1および第3原料粉末を同じ材料から構成し、第2原料粉末を異なる材料から構成しても良い。
圧縮成形時の成形圧力は、1470MPaを下回ると、原料粉末を十分に緻密化できず、圧粉磁心の密度を6.4Mg/m以上にすることができない。一方、2450MPaを超えて圧縮成形しても、圧粉磁心の密度向上の割合が小さく、金型破損が生じ易くなる。このため成形圧力は、1470〜2450MPaとする。
圧粉体の加熱は、バインダによりアモルファス軟磁性合金粉末を結着するために行う。熱硬化性バインダを用いる場合、加熱によりバインダが硬化するとともにアモルファス軟磁性合金粉末を結着して圧粉磁心の強度を向上させる。熱可塑性バインダを用いる場合、加熱によりバインダが軟化・溶融し、これを冷却することによりアモルファス軟磁性合金粉末を結着して圧粉磁心の強度を向上させる。加熱温度は、熱硬化性バインダを用いる場合はバインダの硬化温度以上、熱可塑性バインダを用いる場合はバインダの融点以上とする。また、いずれのバインダの場合も、熱分解が生じると強度が低下し、アモルファス軟磁性合金粉末の絶縁が不良となるため、加熱温度はバインダの分解温度未満とする。
バインダとしては、例えば、エポキシバインダ、フェノールバインダ、メラミンバインダ、熱硬化性ポリイミドバインダ、熱可塑性ポリイミドバインダ、ポリフェニレンサルファイドバインダ、ポリテトラフルオロエチレンバインダ等が挙げられ、1種または2種以上用いる。なお、必要に応じてそれぞれのバインダに適合した硬化剤を併用しても良い。バインダは粉末の形態でアモルファス軟磁性合金粉末に添加しても良いが、バインダを溶剤によって溶解させて乾燥させることによって、アモルファス軟磁性合金粉末の表面に被覆して用いることが好ましい。
アモルファス軟磁性合金粉末を用いる圧粉磁心においては、圧粉体を400〜500℃に加熱することで、図7(a)に示すようにヒステリシス現象が殆ど認められなくなり、ヒステリシス損を極めて低減できる。このため、上記のバインダの中でも特に、耐熱温度が400〜500℃のものを用いて400〜500℃の加熱温度で熱処理工程を行うことが好ましい。
また、アモルファス軟磁性合金粉末としては、Fe−Si−B合金の他、これにNb、Cu、C等の元素を追加したFe−Si−B系合金、Fe−Cr−P系合金、Fe−Zr−B系合金、センダスト系合金、Co−Fe−Si−B系合金等の各種公知の軟磁性合金のアモルファス粉末を単独又は混合して使用することができる。
本発明によれば、軟磁性粉末として、極めて硬く、成形し難いアモルファス軟磁性合金粉末を用い、かつバインダ量を0.5〜1.0質量%と低減させてアモルファス軟磁性合金粉末の占積率を高くした圧粉磁心を得ることができる。
従来の圧粉磁心の製造方法における成形工程の一例を示す模式図であり、(a)は原料粉末の充填工程、(b)は原料粉末の圧縮成形工程、(c)は圧粉体の押し出し工程である。 従来の圧粉磁心の製造方法において発生するクラックの状況を示す模式図である。 本発明の第1実施形態の圧粉磁心を示す模式図である。 本発明の第1の圧粉磁心の製造方法における成形工程を説明する模式図であり、(a−1)および(a−2)は原料粉末の第1および第2充填工程、(b)は原料粉末の圧縮成形工程、(c)は圧粉体の押し出し工程である。 本発明の第2実施形態の圧粉磁心を示す模式図である。 本発明の第2の圧粉磁心の製造方法における成形工程を説明する模式図であり、(a−1)〜(a−3)は原料粉末の第1〜3充填工程、(b)は原料粉末の圧縮成形工程、(c)は圧粉体の押し出し工程である。 圧粉磁心のヒステリシスを示す図であり、(a)Fe−Si−B系のアモルファス軟磁性合金粉末からなる圧粉磁心のヒステリシス、(b)従来の純鉄粉末を用いた圧粉磁心のヒステリシスである。
(1)第1実施形態
本発明の第1実施形態の圧粉磁心を図3に示す。本発明の第1実施形態の圧粉磁心Pは、中空部を有する筒形状を有し、上端面側(図の上側)にバインダ量が1.5〜2.0質量%の第1層P11が設けられ、残部には、バインダ量が0.5〜1.0質量%の第2層P12が本体として設けられて構成されている。
通常、バインダ量が多い圧粉磁心は、応力が加わった際に、バインダが変形することでクラック等の発生が防止される。しかしながら、バインダ量が多い圧粉磁心においては、相対的にアモルファス軟磁性合金粉末の量が減少する結果、圧粉磁心の密度比が低下する。このことから、本発明の第1実施形態の圧粉磁心Pにおいては、上端面側はバインダ量を多くして応力を吸収する能力を付与し、金型のコアロッドの弾性復帰に際して、応力を吸収してクラックの発生を防止する層として第1層P11を設けている。このため、第1層P11は、バインダ量が多くアモルファス軟磁性合金粉末の量が少ない。第1層P11の高さdは、上端面からのクラックの発生位置t(図2(b)参照)よりも大きく設定すればよい。具体的には1mm以上の高さとすることが推奨される。
一方、圧粉磁心の高さHは、製品の仕様から決定されるものであり、第1層P11の高さdが増加すると、その分、本体である第2層P12の高さhが減少して、圧粉磁心全体に占めるアモルファス軟磁性合金粉末の量が減少することとなり、磁気特性が低下する。このため、第1層P11の高さdは3mm以下とすることが推奨される。また、圧粉磁心製品全体の密度比を大きくするためには、高さhは大きいほどよく、9mm以上とすることが推奨される。
第1層P11を上記のバインダ量および高さに設定することで、本体である第2層P12のバインダ量を0.5〜1.0質量%まで低減しても、圧縮成形時にクラックが発生するのを防止することができる。このため、圧粉磁心全体の密度比を80%以上に高めることができる。
以上の本発明の第1実施形態の圧粉磁心Pは、加圧成形が上パンチ4からの片押し成形の場合のものであり、第1層P11を上パンチ4と当接する側の端面に設けている。
上記の第1実施形態の圧粉磁心Pは、例えば図4のようにして成形される。図4に示す金型装置は、圧粉体の外周を形成する型孔1aを有するダイ1と、圧粉体の中空部を形成するコアロッド2と、圧粉体の下面を形成する下パンチ3と、圧粉体の上面を形成する上パンチ4とを備えている。
このような金型装置を用い、図4(a−1)に示すように、ダイ1の型孔1a、コアロッド2および下パンチ3とでキャビティを形成し、このキャビティにフィーダ52等の粉末供給手段により、バインダ量が0.5〜1.0質量%の原料粉末Mを充填する(第1充填工程)。
次いで、図4(a−2)に示すように、下パンチ3を降下させて、先に充填された原料粉末Mの上にダイ1の型孔1aとコアロッド2とで新たにキャビティを形成するとともに、このキャビティにフィーダ51により、バインダ量が1.5〜2.0質量%の原料粉末Mを充填する(第2充填工程)。このように原料粉末を充填することで、キャビティ内にバインダ量が0.5〜1.0質量%の原料粉末Mと、バインダ量が1.5〜2.0質量%の原料粉末Mを、積層することができる。
次いで、図4(b)に示すように、上パンチ4を降下させて、キャビティ内に積層充填された原料粉末MおよびMを上パンチ4で成形圧力1470〜2450MPaにおいて圧縮成形して圧粉体Cとする(圧縮成形工程)。このとき、原料粉末MおよびMは一体に成形される。
上記のようにして原料粉末を圧縮成形した後、図4(c)に示すように、上パンチ4を上方に移動させて待機位置まで復帰させるとともに、下パンチ3を上昇させて圧粉体Cをダイ1の型孔1aから押し出す(押し出し工程)。圧粉体Cには、上パンチ4に当接する端面側に第1層P11となる層が形成されている。このため、上パンチ4の加圧力を除荷した際にコアロッド2が弾性復帰する変形を吸収できるため、クラックを生じさせずに圧粉体Cを押し出すことができる。この圧粉体Cを所定の温度に加熱することにより(熱処理工程)、本発明の圧粉磁心Pを得る。なお、本体である第2層P12と第1層P11は一体となっている。
上記の原料粉末MおよびMは、その充填深さが第1層P11の高さdおよび第2層P12の高さhとなるように調整して充填される。ここで、原料粉末MおよびMは、同時に一体として圧縮されることから、両粉末とも圧縮比は等しい。したがって、原料粉末Mの充填深さと原料粉末Mの充填深さの比を、所望の第1層P11の高さdと第2層P12の高さhの比と等しくして充填すればよい。したがって、原料粉末Mの充填深さは、上記のように、成形後に1〜3mmとなるよう、また、原料粉末Mの充填深さは、上記のように、成形後に9mm以上となるよう調整する。
なお、第1実施形態においては、ダイ1の位置を固定して、下パンチ3を移動制御したが、下パンチ3を固定してダイ1の位置を制御してもよい。また、原料粉末の加圧を上パンチ4で行ったが、下パンチ3で加圧してもよく、その場合は原料粉末MとMの充填の順序を入れ替えて、原料粉末を直接加圧するパンチの側に、バインダ量が多くアモルファス軟磁性合金粉末の量が少ない原料粉末Mが配置されるように充填すればよい。
(2)第2実施形態
以上の本発明の第1実施形態の圧粉磁心および本発明の第1の圧粉磁心の成形方法においては、片押し成形を行う場合の形態であるが、圧粉磁心の成形は、上パンチと下パンチの両方のパンチで原料粉末を圧縮成形する両押し成形とする場合が多い。すなわち、片押し成形では、金型構成が簡素となり制御し易いという利点はあるが、原料粉末を圧縮する圧力は一方のパンチからのみ与えられ、この圧力が原料粉末を通して減衰しながら他方のパンチに伝播し、この圧力の反力が他方のパンチの加圧力となる。したがって、直接加圧される端面に対し他方の端面が緻密化し難いという欠点を有している。一方、上パンチと下パンチと両方のパンチから直接原料粉末へ圧力を加えれば、両端面とも緻密化し、圧粉磁心の密度を高めることが容易となる。しかしながら、両押し成形とした場合には、下パンチ側でもコアロッドの弾性変形が生じるため、下端面近傍にもクラックが発生し易い。
本発明の第2実施形態の圧粉磁心は、上記の両押し成形に対応するものであり、図5に示すように、両端面側(図の上下側)にバインダ量が1.5〜2.0質量%の第1層P21、第3層P23が設けられ、残部は、バインダ量が0.5〜1.0質量%の第2層P22が本体として構成されている。すなわち、本発明の第2実施形態の圧粉磁心Pは、下パンチ3側にも、バインダ量が多くアモルファス軟磁性合金粉末の量が少ない層が配置されており、圧縮成形時の下パンチ3側のクラックの発生を防止されたものである。
本発明の第2実施形態の圧粉磁心Pは、例えば図6のようにして成形される。金型装置は、上記の第1実施形態の圧粉磁心の製造方法で用いたものと同じである。ただし、上記の第1実施形態の圧粉磁心の製造方法においては、ダイ固定として説明したが、本実施形態においては、粉末成形で一般的なウイズドロアル法(下パンチ固定)を適用した場合について説明する。
上記の金型装置を用い、まず、図6(a−1)に示すように、ダイ1の型孔1a、コアロッド2および下パンチ3とでキャビティを形成し、このキャビティにフィーダ53により、バインダ量が1.5〜2.0質量%の原料粉末Mを充填する(第1充填工程)。
次いで、図6(a−2)に示すように、ダイ1を上昇させて、先に充填された原料粉末Mの上にダイ1の型孔1aとコアロッド2とで新たにキャビティを形成するとともに、このキャビティにフィーダ52により、バインダ量が0.5〜1.0質量%の原料粉末Mを充填する(第2充填工程)。
この後、図6(a−3)に示すように、ダイ1をさらに上昇させて、直前に充填された原料粉末Mの上にダイ1の型孔1aとコアロッド2とで、再度、キャビティを形成するとともに、このキャビティにフィーダ51により、バインダ量が1.5〜2.0質量%の原料粉末Mを充填する(第3充填工程)。なお、原料粉末M〜Mにおいて用いるバインダおよびアモルファス軟磁性合金粉末は同じものでも良く、異なっていても良い。
このように原料粉末を充填することで、キャビティ内に、下から、原料粉末M、原料粉末M、原料粉末Mの順に原料粉末を積層し、バインダ量が多くアモルファス軟磁性合金粉末の量が少ない原料粉末M、Mを両端に、バインダ量が少なくアモルファス軟磁性合金粉末の量が多い原料粉末Mを中間に配置して積層充填することができる。
そして、図6(b)に示すように、上パンチ4を降下させるとともに、ダイ1を降下させて、キャビティ内の原料粉末を上パンチ4および下パンチ3で成形圧力1470〜2450MPaにおいて圧縮成形して圧粉体Cとする(圧縮成形工程)。すなわち、本実施形態においては、ダイ1を降下させることにより、相対的に下パンチ3が上昇することとなり、上パンチ4と下パンチ3の両パンチより原料粉末を加圧して両押し成形としている。このとき、原料粉末M、Mは両端部に、原料粉末Mは本体として一体に成形される。
上記のようにして原料粉末を圧縮成形した後、図6(c)に示すように、上パンチ4を上方に移動させて待機位置まで復帰させるとともに、ダイ1を、ダイ1の上面が下パンチ3の上端面と一致するまで下降させて、圧粉体Cをダイ1の型孔1aから押し出す(押し出し工程)。圧粉体Cは、上パンチ4および下パンチ3に当接する端面側に第1層P21および第3層P23となる層が形成されている。このため、上パンチ4および下パンチ3の加圧力を除荷した際にコアロッド2が弾性復帰する変形を吸収できるため、クラックを生じさせずに圧粉体Cを押し出すことができる。この圧粉体Cを所定の温度に加熱することにより(熱処理工程)、本発明の圧粉磁心Pを得ることができる。なお、第1層P21および第3層P23は両端部に、第2層P22は中間部に配置されて一体に成形されている。
以上の本発明の第2の圧粉磁心の製造方法において、原料粉末Mおよびその両端に配置される原料粉末M、Mの充填深さは、本発明の第1の圧粉磁心の製造方法と同様に設定すればよい。また、成形圧力についても、本発明の第1の圧粉磁心の製造方法と同様にして設定すればよい。なお、第2の実施形態においては、ウイズドロアル法を用いており、下パンチ3の位置を固定して、ダイ1を移動制御したが、ダイ1を固定して下パンチ3の位置を制御してもよい。
バインダ被覆アモルファス軟磁性合金粉末は、例えば、バインダを有機溶媒に溶解した溶液をアモルファス軟磁性合金粉末に混練し、このバインダ溶液と混練されたアモルファス軟磁性合金粉末を必要に応じて加熱するなどして、有機溶媒成分を揮発させて得ることができる。すなわち、アモルファス軟磁性合金粉末に混合されたバインダ溶液は、アモルファス軟磁性合金粉末の表面に濡れて、これを覆うが、この状態から溶液中の有機溶媒成分を揮発させて除去することで、バインダ成分のみがアモルファス軟磁性合金粉末の表面に被膜として残留する。
[第1実施例]
Fe−Si−B溶湯を急冷凝固させて作製したFe78Si13(原子%)のアモルファス軟磁性合金粉末を用意した。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂および硬化剤からなるバインダを用意し、表1に示す割合でアモルファス軟磁性合金粉末とバインダの添加量を変えて混練して、成形後に第2層P12を形成する原料粉末Mを調整するとともに、アモルファス軟磁性合金粉末に、バインダ1.5質量%を添加し混合して、成形後に第1層P11を形成する原料粉末Mを調整した。
上記のようにして調整した原料粉末MおよびMを用い、原料粉末Mを充填深さ21.6mmとして充填した上に、原料粉末Mを充填深さ2.4mmとして積層充填し、成形圧力1960MPaで、上パンチによる片押し成形を行った。そして、外径25mm、内径17mm、高さ12mmであり、原料粉末Mにより形成される第2層P12の高さが10.8mm、原料粉末Mにより形成される第1層P11の高さが1.2mmの円筒形状圧粉体を成形し、試料番号01〜06の圧粉体試料を作製した。
これらの圧粉体試料について、目視で圧粉体の内径上部を観察し、クラックの有無を調査した。また、クラックが認められない圧粉体試料について、窒素ガス雰囲気中180℃で2時間加熱して熱処理を行った後、アルキメデス法にて圧粉磁心としての密度を測定した。これらの結果を表1に併せて示す。
Figure 0005867674
表1より、原料粉末Mがバインダを含有しない試料番号01においては、原料粉末Mが固まらず、押し出し後の圧粉体においてクラックが発生した。一方、バインダを0.5質量%以上含有する原料粉末Mを用いた試料番号02〜06の試料では、バインダがアモルファス軟磁性合金粉末に滑りを与えてアモルファス軟磁性合金粉末の再配列を促すとともに、バインダがアモルファス軟磁性合金粉末を結着したため、クラックを発生させることなく成形することができた。また、原料粉末Mのバインダ量が0.5〜2.0質量%の範囲において、バインダ量が0.5質量%の試料番号02の試料の密度が最も高く、バインダ量の増加にしたがい密度が低下する傾向を示している。そして、原料粉末M中のバインダ量が1.0量%を超える試料番号05、06では、密度が6.4Mg/mを下回り低かった。
以上のことから、第2層P12を形成する原料粉末Mにバインダを含有させ、そのバインダ量を0.5〜1.0質量%の範囲とすることで、クラックを発生させることなく、密度が6.4Mg/m以上の高い密度の圧粉磁心を得られることが確認された。
[第2実施例]
第1実施例と同じアモルファス軟磁性合金粉末およびバインダを用い、アモルファス軟磁性合金粉末に、バインダ0.5質量%を添加し混練して、成形後に第2層P12を形成する原料粉末Mを調整するとともに、表2に示す割合でアモルファス軟磁性合金粉末とバインダの添加量を変えて混練して、第1層P11を形成する原料粉末Mを調整した。
これらの原料粉末を用いて、第1実施例と同様にして、円筒形状圧粉体を成形し、試料番号07〜11の圧粉体試料を作製した。これらの圧粉体試料について、第1実施例と同様にして、クラックの調査を行うとともに、クラックが認められない圧粉体試料について、第1実施例と同様にして熱処理を行った後、圧粉磁心としての密度の測定を行った。これらの結果を表2に併せて示す。なお、表2には、第1実施例の試料番号02の試料の各測定値を併せて示す。
Figure 0005867674
表2より、第1層P11を形成する原料粉末Mのバインダ量を1.5質量%未満とした試料番号07、08の試料は、圧粉体の端部にクラックが発生した。一方、原料粉末Mのバインダ量を1.5質量%以上とした試料番号02、09〜11の試料では、端部にクラックが発生することなく良好な圧粉体を得ることができた。また、原料粉末Mのバインダ量が1.5〜2.5質量%の範囲において、バインダ量が1.5質量%の試料番号02の試料の密度が最も高く、バインダ量の増加にしたがい密度が低下する傾向を示している。そして、原料粉末M中のバインダ量が2.0質量%を超える試料番号11の試料では密度が6.4Mg/mを下回り低くなった。
以上のことから、第1層P11を形成する原料粉末Mにバインダを含有させ、このバインダ量を1.5〜2.0質量%の範囲とすることで、クラックを発生させることなく、密度が6.4Mg/m以上の高い密度の圧粉磁心を得られることが確認された。
[第3実施例]
第1実施例と同じアモルファス軟磁性合金粉末およびバインダを用い、アモルファス軟磁性合金粉末に、バインダ0.5質量%を添加し混練して、第2層P12を形成する原料粉末Mを調整するとともに、アモルファス軟磁性合金粉末に、バインダ1.5質量%を添加し混練して、第1層P11を形成する原料粉末Mを調整した。
これらの原料粉末を用いて、表3に示すように、原料粉末MとMの充填深さを変えて充填し、他の成形条件は第1実施例と同様にして成形して試料番号12〜16の圧粉体試料を作製した。これらの圧粉体試料について、第1実施例と同様にして、クラックの調査を行うとともに、クラックが認められない圧粉体試料について、第1実施例と同様にして熱処理を行った後、圧粉磁心としての密度の測定を行った。これらの結果を表3に併せて示す。なお、表3には、第1実施例の試料番号02の試料の各測定値を併せて示す。
Figure 0005867674
表3より、本体である第2層P12を形成する原料粉末Mのみ(第1層P11無し)の試料番号12の試料は、圧粉体の端部にクラックが発生した。一方、第1層P11を形成する原料粉末Mの充填深さを2.0mm以上として第1層P11の高さを1.0mm以上とした試料番号02、13〜16の試料では、端部にクラックが発生することがなく、良好な圧粉体を得ることができた。また、第1層P11の高さが1.0〜3.0mmの範囲において、第1層P11の高さが1mm程度の試料番号13、02の試料の密度が最も高く、第1層P11の高さの増加にしたがい密度が低下する傾向を示している。そして、第1層P11の高さが3mmを超える試料番号16の試料では密度が6.4Mg/mを下回り低くなった。
以上のことから、第1層P11を第2層P12の端部に設けるとともに、第1層P11の高さを1.0〜3.0mmの範囲とすることで、クラックを発生させることなく、密度が6.4Mg/m以上の高い密度の圧粉磁心を得られることが確認された。
[第4実施例]
第1実施例と同じアモルファス軟磁性合金粉末およびバインダを用い、アモルファス軟磁性合金粉末に、バインダ0.5質量%を添加し混練して、本体である第2層P12を形成する原料粉末Mを調整するとともに、アモルファス軟磁性合金粉末に、バインダ1.5質量%を添加し混練して、第1層P11を形成する原料粉末Mを調整した。
これらの原料粉末を用いて、表4に示すように、成形圧力を変え、他の成形条件は第1実施例と同様にして成形して試料番号17〜22の圧粉体試料を作製した。これらの圧粉体試料について、第1実施例と同様にして、クラックの調査を行うとともに、クラックが認められない圧粉体試料について、第1実施例と同様にして熱処理を行った後、圧粉磁心としての密度の測定を行った。これらの結果を表4に併せて示す。なお、表4には、第1実施例の試料番号02の試料の各測定値を併せて示す。
Figure 0005867674
表4より、成形圧力が1470MPaに満たない試料番号17の試料では、密度が6.4Mg/mを下回り低くなった。一方、成形圧力が1470〜2450MPaの試料番号02、18〜21の試料では、密度が6.4Mg/mを超える高い値となった。成形圧力が増加するにしたがい、密度が増加するが、成形圧力が1960MPaを超えると、成形圧力の増加の割に密度の増加の割合が小さくなってきている。そして、成形圧力が2450MPaを超える試料番号22の試料では、成形圧力が過大となり圧粉体にクラックが発生している。
以上のことから、成形圧力が1470〜2450MPaの範囲でクラックを発生させることなく、密度が6.4Mg/m以上の高い密度の圧粉磁心を得られることが確認できた。
本発明の圧粉磁心は、高密度であるため、高い透磁率および磁束密度を有するとともに、鉄損が低い。このため、本発明の圧粉磁心は、変圧器、リアクトル、サイリスタバルブ、ノイズフィルタ、チョークコイル、モーター用鉄心、一般家電、産業機器用のモータのロータやヨーク、およびディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンの電子制御式燃料噴射装置に組み込まれる電磁弁用のソレノイドコア(固定鉄心)等、幅広い分野で利用可能である。
1…ダイ、1a…型孔、2…コアロッド、3…下パンチ、31…エジェクトピン、4…上パンチ、5、51、52、53…フィーダ、M…原料粉末、M…第1原料粉末、M…第2原料粉末、M…第3原料粉末、C、C、C…圧粉体、P、P…圧粉磁心、P11、P21…第1層、P12、P22…第2層、P23…第3層、d…第1層および第3層の高さ、h…第2層の高さ、H…圧粉体高さ。

Claims (10)

  1. アモルファス軟磁性合金粉末をバインダで結着した圧粉磁心であって、中空部を有する筒形状を有し、前記中空部の軸方向の両端部もしくは一方の端部にバインダ量が1.5〜2.0質量%の第1層が設けられているとともに、残部にバインダ量が0.5〜1.0質量%の第2層が設けられ、密度が6.4Mg/m以上であることを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記第1層の軸方向の高さが1〜3mmであることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記第2層の軸方向の高さが9mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧粉磁心。
  4. 型孔を有するダイと、コアロッドと、前記コアロッドおよび型孔と摺動自在に嵌合する上パンチおよび下パンチとからなる金型装置を用い、
    前記ダイの型孔と、前記コアロッドと、前記下パンチにより形成されるキャビティに、 バインダの添加量が0.5〜1.0質量%のアモルファス軟磁性合金粉末を含む第2原料粉末を充填する第1充填工程と、
    前記第2原料粉末の上に、バインダの添加量が1.5〜2.0質量%のアモルファス軟磁性合金粉末を含む第1原料粉末を充填して積層する第2充填工程と、
    前記上パンチにより、成形圧力1470〜2450MPaで、第1、第2原料粉末を片押し成形で圧縮成形する圧縮成形工程と、
    得られた圧粉体を押し出す押し出し工程と、
    前記圧粉体を加熱してアモルファス軟磁性合金粉末をバインダで結着する熱処理工程とを行うことを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  5. 型孔を有するダイと、コアロッドと、前記コアロッドおよび型孔と摺動自在に嵌合する上パンチおよび下パンチとからなる金型装置を用い、
    前記ダイの型孔と、前記コアロッドと、前記下パンチにより形成されるキャビティに、 バインダの添加量が1.5〜2.0質量%のアモルファス軟磁性合金粉末を含む第3原料粉末を充填する第1充填工程と、
    前記第3原料粉末の上に、バインダの添加量が0.5〜1.0質量%のアモルファス軟磁性合金粉末を含む第2原料粉末を充填して積層する第2充填工程と、
    前記第2原料粉末の上に、バインダの添加量が1.5〜2.0質量%のアモルファス軟磁性合金粉末を含む第1原料粉末を充填して積層する第3充填工程と、
    前記上パンチおよび下パンチにより、成形圧力1470〜2450MPaで、第1、第2、第3原料粉末を両押し成形で圧縮成形する圧縮成形工程と、
    得られた圧粉体を押し出す押し出し工程と、
    前記圧粉体を加熱してアモルファス軟磁性合金粉末をバインダで結着する熱処理工程とを行うことを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  6. 前記第1原料粉末の充填深さが、圧縮成形後に1〜3mmとなる深さであることを特徴とする請求項4または5に記載の圧粉磁心の製造方法。
  7. 前記第3原料粉末の充填深さが、圧縮成形後に1〜3mmとなる深さであることを特徴とする請求項5に記載の圧粉磁心の製造方法。
  8. 前記第2原料粉末の充填深さが、圧縮成形後に9mm以上となる深さであることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の圧粉磁心の製造方法。
  9. 前記第1〜3原料粉末が、バインダをアモルファス軟磁性合金粉末の表面に被覆して与えたバインダ被覆アモルファス軟磁性合金粉末からなることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の圧粉磁心の製造方法。
  10. 前記熱処理工程の加熱温度が400〜500℃であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の圧粉磁心の製造方法。
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