JP4837700B2 - 圧粉磁心並びにその製造方法 - Google Patents

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本発明は、高密度、高比抵抗であるのみならず、強度に優れる圧粉磁心およびその製造方法に関するものである。
変圧器(トランス)、電動機(モータ)、発電機、スピーカ、誘導加熱器、各種アクチュエータ等、我々の周囲には電磁気を利用した製品が多々ある。これらの製品は交番磁界を利用したものが多く、局所的に大きな交番磁界を効率的に得るために、通常、磁心(軟磁石)をその交番磁界中に設けている。
この磁心は、交番磁界中で大きな磁束密度が得られ、また、交番磁界中で使用したときの高周波損失(以下、磁心の材質に拘らず、単に「鉄損」という。)が少ないことが求められる。この高磁束密度(磁気的特性)と低損失(電気的特性)の両立を図るために、粒子表面を絶縁皮膜で被覆した軟磁性粉末(磁心用粉末)を加圧成形した圧粉磁心が用いられる。
もっとも最近では、単なる圧粉磁心の性能向上のみならず、圧粉磁心の実用強度など機械的特性の向上も重要な課題となっている。そこで例えば、下記の特許文献1では、シリカからなる絶縁皮膜で粒子表面が被覆された純鉄粉を、さらにシリコーン樹脂層で被覆し、それを加熱して強化向上を図った圧粉磁心を提案している。また、下記の特許文献2では、磁性粉末の粒子間の結合強化を図ったものではないが、絶縁皮膜した磁性粉末にカップリング剤を添加して、絶縁皮膜の保護を狙った圧粉磁心を提案している。
特開2006−233295号公報 特開2006−134958号公報
もっとも、上記の特許文献などで提案されている圧粉磁心はいずれも片面的であり、圧粉磁心に要求される磁気的特性、電気的特性および機械的特性のすべてを高次元で満足させ得るようなものではない。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、高密度化による磁気的特性および体積比抵抗値(以下、単に「比抵抗」という。)の確保による電気的特性の向上を図りつつも、高強度化による機械的特性の向上をより一層図れる圧粉磁心およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、磁心用粉末を予めシランカップリング剤で処理した後に、その磁心用粉末と樹脂粉末との混合粉末を温間加圧成形して得た圧粉体を加熱処理した圧粉磁心は、密度を向上させつつも、さらに強度が著しく向上することを知見した。そしてこの成果を発展させることで、本発明者は以降に述べる種々の発明を完成させるに至った。
〈圧粉磁心〉
(1)本発明の圧粉磁心は、絶縁皮膜(ただし、Mg含有酸化物皮膜を除く)で粒子表面が被覆された軟磁性粉末からなる磁心用粉末と加熱硬化型のシリコーン樹脂からなる樹脂粉末とを混合した混合粉末を加圧成形した圧粉体を、該シリコーン樹脂が硬化する高温状態で加熱して得られ、該軟磁性粉末の真密度(ρ)に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ:%)が98%以上、比抵抗が100μΩm以上、圧環強度が60MPa以上の圧粉磁心であって、
前記磁心用粉末は、前記絶縁皮膜で被覆された粒子表面上にさらにシランカップリング剤からなるカップリング層を有し、前記圧粉体は、前記混合粉末を前記樹脂粉末の軟化する温間状態で加圧成形して得られ、高密度、高比抵抗および高強度であることを特徴とする。
(2)本発明の圧粉磁心は、磁束密度などの磁気的特性や比抵抗などの電気的特性に優れるのみならず、強度などの機械的特性にも優れる。本発明の圧粉磁心が、高磁束密度や低比抵抗のみならず高強度を発現し得る詳細なメカニズムは必ずしも定かではない。現状では一応次のように考えられる。
本発明の圧粉磁心を構成する磁心用粉末は、先ず、軟磁性粉末の粒子表面が絶縁皮膜で被覆されているのみならず、さらにその粒子表面上にシランカップリング剤からなるカップリング層を有している。次に、この磁心用粉末と少量のシリコーン樹脂からなる樹脂粉末とを混合した混合粉末が、その樹脂粉末が軟化する状態(つまり温間状態)で加圧成形されて圧粉体となる。
この温間状態で磁心用粉末が加圧成形(以下適宜、「温間加圧成形」という。)される際、軟化したシリコーン樹脂は塑性流動し易くなり、磁心用粉末の粒子間の隙間(三重点など)に侵入または流入可能となる。ここで本発明の磁心用粉末の粒子表面にはシランカップリング剤からなるカップリング層がある。このため、その軟化したシリコーン樹脂は磁心用粉末の粒子と非常に濡れ易くなっており、従来よりも遙かに磁心用粉末の粒子間の隙間に侵入または流入し易くなる。この結果、磁心用粉末を高圧成形してできた粒子間の僅かな隙間にも、シリコーン樹脂が高充填されるようになる。この圧粉体を加熱処理すると、圧粉体の密度を損うことなく、磁心用粉末の粒子は粒子間に存在する極少量のシリコーン樹脂が熱硬化して、(準)化学的に強固に結合されるようになると考えられる。
このような詳細なメカニズムは兎も角として、要するに、本発明の圧粉磁心は、その構成粒子が加圧成形された際に塑性変形して絡み合い機械的に結合することに加えて、加熱硬化したシリコーン樹脂によっても、ほぼ均一にさらに強く結合されるようになり、両者が相乗的に作用することで、非常に高強度になったと考えられる。
本発明の圧粉磁心の強度の絶対値自体は、磁心用粉末の成形圧力、配合する樹脂粉末量さらには圧粉体の加熱処理の程度等によって変化し得るが、例えば、強度を代表的に指標する圧環強度が70MPa以上、80MPa以上さらには100MPa以上ともなり得る。
(3)ところで、前記の樹脂粉末は、基本的に、軟磁性粉末の粒子表面を絶縁被覆するために磁心用粉末に混合されるものではない。勿論、結果的に軟磁性粉末の粒子表面を絶縁被覆することがあるとしても、軟磁性粉末は別途、予め絶縁被覆されているわけだから、そのような絶縁被覆は本発明が本来意図するところではない。
このように樹脂粉末は、軟磁性粉末の絶縁皮膜を形成するためではなく、粒子間の結合強化を図るために添加されるから、その配合量は少量でよい。特に、軟磁性粉末の真密度に近い程度にまで高密度成形されると、圧粉体中または圧粉磁心中に残存するシリコーン樹脂量は極僅かである。そして、このように樹脂粉末が少量であるからこそ、圧粉体の密度も高くなり、高磁束密度の圧粉磁心が得られる。
勿論、最終的に残存するシリコーン樹脂量や圧粉磁心の(嵩)密度は、配合する樹脂粉末量や成形時の加圧力によって多少は変動し得る。しかし、通常は、軟磁性粉末の粒子表面を絶縁被膜するために、樹脂粉末量が多く、さらに、加圧成形時の皮膜の割れを防ぐため皮膜を硬くすることにより、高圧成形しても構成粒子間の空隙は存在する。これに対して本発明によれば、構成粒子間の空隙へ添加されたシリコーン樹脂によって前述した結合強化を図りつつも、併せて、圧粉磁心の高密度化、高磁束密度化を達成できる。
これらのことを踏まえて、例えば、樹脂粉末の配合量(添加量)は、前記圧粉体全体を100質量%としたときに、0.05〜0.5質量%であると好ましい。その下限は0.1質量%でもよい。その上限は0.4質量%、0.3質量%さらには0.2質量%でもよい。その配合量が過少であると、磁心用粉末の粒子間の隙間がシリコーン樹脂によって必ずしも十分に充填されず、高強度化が望めない。その配合量が過多であると、圧粉磁心の密度が低下して高い磁束密度が望めない。
また、圧粉磁心は、例えば、軟磁性粉末の真密度(ρ )に対する前記圧粉磁心の嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ :%)が98%以上、99%以上さらには99.5質量%となると好ましい。この密度比が過小であると、磁束密度の低下を招き好ましくない。圧粉磁心の緻密度は、この密度比以外の手法で評価可能であるが、比較的容易な評価として、上記のような密度比を用いた。
(4)ところで、磁心用粉末の粒子表面を被覆する絶縁皮膜は、ケイ素(Si)を含む絶縁皮膜であると好適である。換言すれば、磁心用粉末は、そのような絶縁皮膜で被覆された軟磁性粉末からなると好適である。この具体例として、シリコーン樹脂が縮重合したシリコーン樹脂皮膜、Si酸化物(シリカ:SiO )皮膜などがある。シリカ皮膜は、絶縁皮膜を形成するためのシリコーン樹脂が変態したものでもよい。また、軟磁性粉末がFe−Si粉末の場合、その粉末を水素還元処理して粒子表面に形成されたものでもよい。
いずれにしても、このようなSi系皮膜はシランカップリング剤からなるカップリング層と相性がよいため、そのカップリング層をして、軟化したシリコーン樹脂は、Si系皮膜で粒子表面が被覆された磁心用粉末とより高い濡れ性を発揮するようになる。
このような濡れ性の向上によって、上述したように、軟化したシリコーン樹脂が磁心用粉末の粒子間の隙間を緻密に充填し、各構成粒子が強固に結合された高強度な圧粉磁心が得られるようになる。
もっとも、磁心用粉末に対する軟化したシリコーン樹脂の濡れ性の向上は、圧粉磁心の強度向上に寄与するだけではない。すなわち、この濡れ性の向上により、軟化したシリコーン樹脂が磁心用粉末の各粒子間の滑りをも促進させ、加圧成形時の絶縁皮膜の破壊を抑制する効果もあると思われる。
〈圧粉磁心の製造方法〉
本発明は、上記のような圧粉磁心としてのみならず、圧粉磁心の製造方法としても把握できる。
(1)すなわち、本発明は、絶縁皮膜で粒子表面が被覆された軟磁性粉末からなる磁心用粉末の粒子表面にシランカップリング剤を接触させる接触工程と、該接触工程後の磁心用粉末と加熱硬化型のシリコーン樹脂からなる樹脂粉末とを混合する混合工程と、該混合工程後の混合粉末を該樹脂粉末の軟化する温間状態で加圧成形する成形工程と、該成形工程後の圧粉体を該シリコーン樹脂が硬化する高温状態で加熱する加熱工程とからなり、
該軟磁性粉末の真密度(ρ )に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ :%)が98%以上、比抵抗が100μΩm以上、圧環強度が60MPa以上であって、高密度で比抵抗および強度に優れた圧粉磁心が得られることを特徴とする圧粉磁心の製造方法としてもよい。
(2)さらに前記成形工程は、金型に充填した前記混合粉末を加熱して前記温間状態とする温間加熱工程と、該温間加熱工程により前記樹脂粉末を軟化させた状態で前記磁心用粉末を加圧成形する加圧工程とからなってもよい。この温間加熱工程と加圧工程とは、別個独立に進行してもよいし、両工程が並行しながら進行してもよい。
(3)また、前記加熱工程は、基本的には、磁心用粉末の粒子間の隙間を充填するシリコーン樹脂を硬化させるものである。もっとも、この加熱工程が、成形工程後の磁心用粉末の粒子内に生じた残留歪みまたは残留応力を除去する焼鈍工程を兼ねると好ましい。これにより、圧粉磁心の高強度化とヒステリシス損の低減を効率的に達成できる。
ちなみに、焼鈍温度は400℃、600℃さらには750℃もの高温になり得るが、本発明に係る加熱硬化型のシリコーン樹脂はもともと耐熱温度が高く、そのような高温の焼鈍を行っても、磁心用粉末の粒子間の結合が劣化することは少ない。
〈その他〉
(1)本明細書でいう「圧粉磁心」はその形態を問わない。つまり、圧粉磁心は、機械加工等が適宜なされる素材またはバルク状であっても良いし、最終的な形状またはそれに近い構造部材自体であっても良い。
また、本発明では、軟磁性粉末の粒子表面に絶縁皮膜が被覆され、さらにその表面にカップリング層が設けられることを特徴としている。この様子を図1に模式的に示した。
もっとも当然ながら、現実の絶縁皮膜やカップリング層がそのような均一なものとなっているとは限らない。そして加熱処理して得られた圧粉磁心では、カップリング層が絶縁皮膜やシリコーン樹脂と融合して分析困難こともあり得る。さらにいえば、絶縁皮膜と加熱硬化したシリコーン樹脂との区別も分析し難いことも十分にあり得る。従って、上述した本発明に係る表現内容は、あくまでも、本発明の圧粉磁心を理解し易くするために、プロダクト・バイ・プロセス的に構造を特定したものに過ぎない。
従って、現実の分析により、絶縁皮膜、カップリング層または加熱硬化したシリコーン樹脂等の区別が明確でない圧粉磁心であっても、本発明と同趣旨の圧粉磁心である限り、本発明に含まれることを断っておく。
(2)磁心用粉末は、軟磁性粉末とその粒子表面に形成された絶縁皮膜とからなる。この軟磁性粉末の組成は特に問わないが、純鉄粉、Fe−Si粉末などが代表的である。例えば、軟磁性粉末は、全体を100質量%としたときに、0.5〜3質量%のSiと、残部がFeと改質元素および/または不可避不純物とからなると好適である。
ここで「改質元素」は、磁気的特性、電気的特性または機械的特性などにおいて、圧粉磁心の特性改善に有効な元素である。改善される特性の種類は問わないし、元素の種類も組合わせも問わない。このような元素として、Si以外ではAl、Ni、Coなどがある。ちなみに、このような改質元素の含有量は、通常、磁気的特性の低下を招来しないように、比較的少量とされる。
「不可避不純物」は、軟磁性粉末の原料(溶湯など)に含まれる不純物、粉末形成時に混入等する不純物などがあり、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な元素である。本発明に係る軟磁性粉末の場合であれば、例えば、C、S、Cr、P、Mn等がある。なお当然ながら、軟磁性粉末は基本元素(Fe、CoおよびNi、Siなど)の種類および組成が重要であるため、改質元素や不可避不純物の割合は特に限定されない。
(3)特に断らない限り、本明細書でいう「x〜y」は、下限xおよび上限yを含む。また、本明細書に記載した下限および上限は任意に組合わせて「a〜b」のような範囲を構成し得る。
発明の実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明する。
なお、以下の実施形態を含め、本明細書で説明する内容は、本発明に係る圧粉磁心のみならずその製造方法にも適宜適用できる。また、いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
〈磁心用粉末〉
(1)軟磁性粉末
磁心用粉末は、粒子表面が絶縁皮膜で被覆された軟磁性粉末からなる。先ず、この軟磁性粉末は、通常、8属遷移元素(Fe、Co、Ni等)などの強磁性元素を主成分とする。中でも、取扱性、入手性、コスト等から、Feをベースとするものが好ましい。
主成分であるFeに、Siを含有させたFe−Si合金粉末が圧粉磁心の原料粉末によく用いられる。Siは粉末粒子の電気抵抗率を高め、圧粉磁心の比抵抗を向上させ、渦電流損失を低減させるからである。
例えば、軟磁性粉末全体を100質量%としたときに、Siの下限を0.2質量%さらには0.8質量%として、Siの上限を4質量%さらには3質量%とすると好ましい。Siが過少では効果がなく、Siが過多になると、圧粉磁心の磁気的特性(磁束密度)の低下、軟磁性粉末の成形性の低下を生じ得る。なお、軟磁性粉末の粒子中にSiが含まれると、その粒子を被覆するシリコーン樹脂皮膜との結合性が向上し、剥離し難い絶縁皮膜が形成され易くなる。
勿論、圧粉磁心の用途に応じて、磁気的特性や成形性の向上を図る観点から、軟磁性粉末は純度99.5%以上、99.7%以上さらには99.8%以上の純鉄粉でもよい。さらに、鉄系の軟磁性粉末は、上述のSi以外に、軟磁性粉末全体を100質量%としたときに、Coを5〜30質量%、SiやAlを0.3〜4質量%程度含んでも良い。
軟磁性粉末は、複数の粉末を混合した混合粉末でも良い。例えば、純鉄粉とFe−49Co−2V(パーメンジュール)粉、純鉄粉とFe−3Si粉、センダスト(Fe−9Si−6Al)粉と純鉄粉等の混合粉末であっても良い。
圧粉磁心の高密度化のためには、軟磁性粉末の粒径が20〜300μm、45〜250μmさらには80〜150μmであると好適である。軟磁性粉末の粒径が過大では渦電流損失の低減が図り難く、その粒径が過小ではヒステリシス損失の低減が図り難い。なお、軟磁性粉末の分級は、篩い分法等により容易に行える。
軟磁性粉末の製造方法は問わない。粉砕粉でもアトマイズ粉でも良い。アトマイズ粉は、水アトマイズ粉、ガスアトマイズ粉、ガス水アトマイズ粉のいずれでも良い。水アトマイズ粉は、現状、もっとも入手性が良く低コストである。水アトマイズ粉は、その粒子形状がいびつであるので、それを加圧成形した圧粉体の機械的強度を向上させ易い。
一方、ガスアトマイズ粉の粒子が略球状をしている擬球状粉である。各粒子の形状が略球状をしているため、軟磁性粉末を加圧成形した際に、各粉末粒子間の攻撃性が低くなり、絶縁皮膜の破壊等が抑制され、比抵抗の高い圧粉磁心が安定して得られ易い。
また、ガスアトマイズ粉は略球状粒子からなるため、粒子形状の歪な水アトマイズ粉等に比べてその表面積は小さい。このため、絶縁皮膜の全量が同じであっても、ガスアトマイズ粉を用いる方がより厚い絶縁皮膜の形成が可能となり、渦電流損失をより低減し易い。逆に、同じ膜厚の絶縁皮膜を設けるのであれば、絶縁皮膜の全量を低減することができ、圧粉磁心の磁束密度を高めることが可能となる。さらに、ガスアトマイズ粉は、粉末粒子内の結晶粒径が大きいため、保磁力が小さくなりヒステリシス損失の低減を図り易い。従って、ガスアトマイズ粉のような擬球状粉を使用することで、磁気的特性の向上と鉄損の低減との両立を図り易い。勿論、軟磁性粉末は、アトマイズ粉以外の粉末でもよく、例えば、合金インゴットをボールミル等で粉砕した粉砕粉でもよい。このような粉砕粉は、熱処理(例えば、不活性雰囲気中で800℃以上に加熱)によって結晶粒径を大きくすることも可能である。
(2)絶縁皮膜
絶縁皮膜の膜厚は、10〜200nmさらには10〜100nmであると好ましい。
絶縁皮膜の膜厚が過小では、圧粉磁心の比抵抗が小さくなり鉄損を十分に低減できない。一方、絶縁皮膜の膜厚等が過大では、圧粉磁心の磁気的特性の低下を招く。なお、絶縁皮膜は本来、粉末粒子の一粒一粒毎に形成されていることが理想的である。しかし、実際には、数個の粒子が固まった状態でその周りに絶縁皮膜が形成されていることもあり、このような状態であっても本発明の想定範囲内である。
(3)シリコーン樹脂
本発明のシリコーン樹脂は加熱硬化型である。これは、構成粒子の表面を被覆する絶縁皮膜として機能することもあるが、主に、構成粒子を結合する強固なバインダとして機能する。
このシリコーン樹脂の軟化温度や硬化温度は、シリコーン樹脂の種類により異なるため、一概に特定することはできない。一例を挙げると、シリコーン樹脂の軟化は、75〜150℃位から始まり、シリコーン樹脂の硬化は200〜300℃程度から始まる。硬化温度に加熱することで、軟磁性粉末の粒子表面に接触したシリコーン樹脂は硬質なシリコーン樹脂皮膜となる。この加熱硬化型のシリコーン樹脂は、温度の上昇に伴い、当初は軟化するものの、シロキサン結合が進行するにつれて、ゾルからゲルに変態する。さらに、焼鈍等の高温加熱処理を行うと、部分的な架橋から全体的な架橋となり、強く硬化する。
ちなみにシリコーン樹脂は一般的に、熱によって縮合・硬化する加熱硬化型と、室温で硬化する室温硬化型に大別される。前者は熱を加えることで官能基が反応しシロキサン結合が起こることで架橋が進行し、縮合・硬化が生じる。一方、後者は加水分解反応により室温で官能基が反応し、シロキサン結合が起こることで架橋が進行し、縮合・硬化する。本発明で用いるシリコーン樹脂は前者の加熱硬化型である。
シリコーン樹脂のシラン化合物の官能基数は、1から最大で4つまである。本発明で用いるシリコーン樹脂の官能基数に制限はない。もっとも、3または4の官能性シラン化合物を有するシリコーン樹脂を用いると、架橋密度が高くなり好ましい。
シリコーン樹脂には、レジン系をはじめ、シラン化合物系、ゴム系シリコーン、シリコーンパウダー、有機変性シリコーンオイル、またはそれら複合物など、用途によって種々の形態のものが存在する。本発明では、主に粉末状のシリコーン樹脂を用いるが、他のシリコーン樹脂と組み合わせることも可能である。なお、本発明では、磁心用粉末に混合するシリコーン樹脂は粉末状としているが、予め溶媒にシリコーン樹脂を溶解または分散させたシリコーン樹脂溶液を磁心用粉末と接触させて、磁心用粉末の粒子表面にシリコーン樹脂を付着させてよい。
本発明で用いるシリコーン樹脂の具体例として、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のYR3370などが挙げられる。
また、信越化学工業(株)社製のKR220Lなどが挙げられる。勿論、これらの銘柄以外のシリコーン樹脂であっても良い。さらに本発明では、種類、分子量、官能基が異なる2種類以上のシリコーン樹脂を、適当な割合で混合したシリコーン樹脂を使用しても良い。
(4)シランカップリング剤
本発明では、シリコーン樹脂を磁心用粉末の粒子同士を結合するバインダーとして用いているため、シリコーン樹脂とそれら粒子との密着性を図る上で、両者間に介在するシランカップリング剤からなるカップリング層の存在が重要となる。
本発明で用いるカップリング剤として、例えば、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−602、KBM−603、KBM−903、KBE−903(信越化学工業社製)がある。溶媒にそのようなシランカップリング剤を溶解または分散させた溶液を用いて磁心用粉末を処理することで、用意に磁心用粉末の表面にカップリング層を形成することが可能となる。溶媒としては、水、有機溶媒等を用いることができる。その溶液は、例えば、水溶液全体に対して5〜15(質量%)さらには8〜12(質量%)であると好ましい。
本発明者が種々のシランカップリング剤を用いて圧粉磁心の強度を調査したところ、強い塩基性を示すシランカップリング剤(例えば、アミノ基を備えるシランカップリング剤)を用いると、より高強度の圧粉磁心を得ることができた。これは、アミノ基シランカップリング剤が、シリコーン樹脂のゾル−ゲル反応の触媒として作用し、シリコーン樹脂の硬化を促進するためと考えられる。
〈圧粉磁心〉
本発明の圧粉磁心は、上記の磁心用粉末と少量のシリコーン樹脂とを所望形状に加圧成形した圧粉体を加熱処理してなる。
(1)加圧成形方法
圧粉体は、通常、磁心用粉末を成形用金型(単に「金型」という。)に充填する充填工程と、金型内の磁心用粉末を加圧成形する成形工程とによって成形される。本発明では、磁心用粉末の加圧成形方法を問わないが、高密度で高磁束密度の圧粉体を得るためには、超高圧成形が可能な金型潤滑温間高圧成形法を用いると好ましい。この金型潤滑温間高圧成形法は、高級脂肪酸系潤滑剤を内面に塗布した金型へ前記磁心用粉末を充填する充填工程と、磁心用粉末と金型の内面との間に高級脂肪酸系潤滑剤とは別の金属石鹸皮膜が生成される成形温度と成形圧力で加圧成形する温間高圧成形工程とからなる。この金型潤滑温間高圧成形法の詳細については、日本特許公報特許3309970号公報、日本特許4024705号公報など多の公報に詳細が記載されている。この金型潤滑温間高圧成形法によれば、金型寿命を延しつつ、高密度な圧粉体を容易に得ることが可能となる。なお、圧粉体の成形工程は磁場中成形でも非磁場中成形でも良い。
ここで、金型潤滑温間高圧成形法における「温間」と、シリコーン樹脂粉末を軟化させるための「温間」とは、本来の意図するところが異なる。前者は、高級脂肪酸系潤滑剤とは別の金属石鹸皮膜の生成のためであり、後者は、シリコーン樹脂粉末を軟化させるためである。もっとも、両者の「温間」状態を共通させることで、高密度で高強度な圧粉磁心を効率的に製造することができる。具体的には、温間状態を70℃以上、200℃以下、100〜180℃、110〜150℃さらには120〜140℃にするとより好適である。
(2)加熱処理(加熱工程)
本発明の加熱処理により、温間加圧成形で軟化したシリコーン樹脂は、ゾルゲル反応し、さらには縮重合反応をして熱硬化する。これにより、磁心用粉末の粒子間に充填されていたシリコーン樹脂は、磁心用粉末の各粒子を強固に結合し、高強度の圧粉磁心が得られるようになる。このようなシリコーン樹脂の熱硬化が進行する範囲であれば、加熱温度、加熱時間、加熱雰囲気は問わない。
もっとも、前述したように、圧粉磁心の保磁力やヒステリシス損失を低減するために、圧粉体中の残留歪みや残留応力の除去を目的として、圧粉体を焼鈍させることが好ましい。そこで上記の加熱工程が焼鈍工程を兼用すると好ましい。この加熱温度は、軟磁性粉末の組成にも依るが、400〜800℃さらには500〜800℃程度である。軟磁性粉末がFe系粉末であれば、加熱温度を500〜700℃程度にするとよい。加熱時間は、0.2〜3時間さらには0.5〜1.0時間程度が好ましい。焼鈍工程は比較的高温で加熱するため、その雰囲気は不活性雰囲気が好ましい。
なお、ゲル化したシリコーン樹脂皮膜をその耐熱温度を超えて高温で加熱すると、シリコーン樹脂皮膜が多少変質し得る。もっとも、このような場合でも、シリカ等からなる絶縁皮膜やシリコーン樹脂は耐熱性が高いため、圧粉磁心の比抵抗が急激に低下することは少ない。
(3)圧粉磁心の比抵抗
本発明の圧粉磁心は、絶対値としての密度、比抵抗、強度などは問わないが、当然ながら、高密度、高比抵抗、高強度であると好ましい。密度および強度については前述した通りであるので、ここでは比抵抗について付言しておく。
比抵抗は、基本的に形状に依存しない圧粉磁心ごとの固有値である。同形状の圧粉磁心であれば比抵抗が大きいほど、渦電流損失の低減を図れる。この比抵抗は、絶縁皮膜の種類、絶縁皮膜の量(膜厚)、焼鈍の有無等により影響されるが、比抵抗が100μΩm以上、500μΩm以上、1000μΩm、5000μΩm以上、以上さらには10000μΩm以上であると好ましい。
(4)圧粉磁心の用途
本発明の圧粉磁心は、各種の電磁機器、例えば、モータ、アクチュエータ、トランス、誘導加熱器(IH)、スピーカ、リアクトル等に利用できる。具体的には、電動機または発電機の界磁または電機子を構成する鉄心(ステ一夕コアやロータコア)に用いられると好ましい。中でも、低損失で高出力(高磁束密度)が要求される駆動用モータ用の鉄心として本発明の圧粉磁心は好適である。ちなみに、このような駆動用モータは、例えば、自動車等に用いられる。
実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
〈圧粉磁心の製造〉
(1)磁心用粉末の製造
原料粉末(軟磁性粉末)として、Fe−1%Si(質量%)の組成をもつ市販のアトマイズ粉(粒径212〜150μm)を用意した。
この軟磁性粉末に、900〜950℃の濃度で水素還元処理をして、粒子表面がシリカ膜からなる絶縁皮膜で被覆された磁心用粉を得た(絶縁被覆工程)。
この磁心用粉末に水と混合したアミノ基シランカップリング剤(チッソ社製S−330)を接触させた後、乾燥させて磁心用粉末の粒子表面にカップリング層(カップリング層)を形成した(接触工程)。ここで用いたシランカップリング剤の水溶液は、水とアミノ基シランカップリング剤とを10:1の割合で混合したものである。
(2)加圧成形
このカップリング層を設けた磁心用粉末とシリコーン樹脂粉末(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、「YR3370」:樹脂粉末)とを混合して混合粉末を得た(混合工程)。このときのシリコーン樹脂粉末の配合量は、混合粉末全体に対して0.2質量%とした。
この混合粉末を金型のキャビティへ充填した(充填工程)。このとき、金型を120〜130℃x0.5分間に保持した(温間加熱工程)。この温間状態のまま1568MPaで加圧成形した(加圧工程)。なお、この加圧成形の際に、余分な軟化したシリコーン樹脂は金型の隙間から外部へ排出され得るが、本実施例では、そのような排出はほとんど生じなかった。こうして、リング状(外径:φ39mm×内径φ30mm×厚さ5mm)の試験片(圧粉体)を製作した(成形工程)。
ちなみに、この加圧成形は、上記の樹脂粉末以外には内部潤滑剤やバインダー等を一切使用しない前述した金型潤滑温間高圧成形法を用いた。この金型潤滑温間高圧成形法は、具体的には次のようにして行った。
(i)各試験片形状に応じたキャビティを有する超硬製の金型を用意した。この金型をバンドヒータで予め130℃に加熱しておいた。また、この金型の内周面には、予めTiNコート処理を施し、その表面粗さを0.4Zとした。
加熱した金型の内周面に、水溶液に分散させたステアリン酸リチウム(1%)をスプレーガンにて10cm /分程度の割合で均一に塗布した。ここで用いた水溶液は、水に界面活性剤と消泡剤とを添加したものである。界面活性剤には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、(EO)10及びホウ酸エステルエマルボンT−80を用い、それぞれを水溶液全体(100体積%)に対して1体積%つ添加した。また、消泡剤には、FSアンチフォーム80を用い、水溶液全体(100体積%)に対して0.2体積%添加した。また、ステアリン酸リチウムには、融点が約225℃で、粒径が20μmのものを用いた。その分散量は、上記水溶液100cm に対して25gとした。そして、これをさらにボールミル式粉砕装置で微細化処理(テフロン(登録商標)コート鋼球:100時間)し、得られた原液を20倍に希釈して最終濃度1%の水溶液として、上記の塗布に供した。
(ii)このステアリン酸リチウムが内面に塗布されたその金型のキャビティへ上記の磁心用粉末を充填した(充填工程)。
(iii)金型を120〜130℃に保持したまま、基本的に1568MPaの成形圧力で、その金型内に充填された磁心用粉末を温間加圧成形した(加圧工程、成形工程)。なお、この温間高圧成形に際して、いずれの磁心用粉末も金型とかじり等を生じることがなく低い抜圧で圧粉体をその金型から取出すことができた。
(3)加熱処理
この圧粉体を可変雰囲気焼結炉を用いて流量8リットル/分の窒素雰囲気中で750℃x1時間の加熱処理を施して試験片A1(圧粉磁心)を得た(加熱工程または焼鈍工程)。
〈他の試験片の製造〉
上記の試験片以外にも、条件を変更して次のような試験片を製造した。
(1)樹脂粉末またはシランカップリング剤の有無
(i)シランカップリング剤を磁心用粉末に接触させなかった圧粉磁心(試験片C1〜C3)、(ii)樹脂粉末の混合もシランカップリング剤の接触もなかった圧粉磁心(試験片D1およびD2)、(iii)軟磁性粉末のみからなる圧粉磁心(試験片E1)を、表1に示した条件を参照して製造した。
(2)シランカップリング剤の種類
(i)上記のアミノ基シランカップリング剤を用いた圧粉磁心(試験片A1〜A5)、(ii)このシランカップリング剤に替えて、エポキシ基シランカップリング剤(信越化学工業社製KBM403)を用いた圧粉磁心(試験片B1〜B5)を、表1に示した条件を参照して製造した。
〈試験片の測定〉
上記の各リング状試験片を用いて、JISZ 2507に準ずる方法により圧環強度をそれぞれ測定した。比抵抗は、デジタルマルチメータ(メーカ:(株)エーディーシー、型番:R6581)を用いて4端子法により測定した。各試験片の密度(圧粉磁心の嵩密度)はアルキメデス法により測定した。密度比の算出に用いた軟磁性粉末の真密度は、7.68g/cm であった。
これら各試験片の測定結果を表1に示す。さらに、この表1に示した結果に基づいて、試験片A、C1〜C3、D1、D2およびE1に関する密度と圧環強度との相関を図2に示した。また、試験片A1〜A5およびB1〜B5に関する密度と圧環強度との相関を図3に示した。
〈各種試験片の評価〉
(1)先ず、表1および図2から、本発明に係る試験片Aは、シランカップリング剤で処理しなかった他の試験片と比較して、密度およ圧環強度のいずれも向上することが解った。これにより本発明に係る圧粉磁心は、磁気的特性のみならず機械的特性にも優れることが確認された。
(2)アミノ基シランカップリング剤とエポキシ基シランカップリング剤のいずれを用いた圧粉磁心でも、シランカップリング剤を用いなかった圧粉磁心に比較して密度および圧環強度が向上している。特に、全体的な傾向を観ると、エポキシ基シランカップリング剤よりもアミノ基シランカップリング剤を用いた圧粉磁心の方が、より高強度で高密度となり易いことが確認された。
Figure 0004837700
本発明の圧粉磁心を構成する磁心用粉末の粒子を概念的に示した模式図である。 各試験片の密度と圧環強度との相関図である。 使用したシランカップリング剤の異なる試験片の密度と圧環強度との相関図である。

Claims (8)

  1. 絶縁皮膜(ただし、Mg含有酸化物皮膜を除く)で粒子表面が被覆された軟磁性粉末からなる磁心用粉末と加熱硬化型のシリコーン樹脂からなる樹脂粉末とを混合した混合粉末を加圧成形した圧粉体を、該シリコーン樹脂が硬化する高温状態で加熱して得られ、該軟磁性粉末の真密度(ρ)に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ:%)が98%以上、比抵抗が100μΩm以上、圧環強度が60MPa以上の圧粉磁心であって、
    前記磁心用粉末は、前記絶縁皮膜で被覆された粒子表面上にさらにシランカップリング剤からなるカップリング層を有し、
    前記圧粉体は、前記混合粉末を前記樹脂粉末の軟化する温間状態で加圧成形して得られ、
    高密度、高比抵抗および高強度であることを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記絶縁皮膜は、ケイ素(Si)を含む絶縁皮膜である請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記シリコーン樹脂は、前記圧粉体全体を100質量%としたときに0.05〜0.5質量%である請求項1または2に記載の圧粉磁心。
  4. 前記密度比(ρ/ρ:%)が99.5%以上、前記比抵抗が1000μΩm以上である請求項1に記載の圧粉磁心。
  5. 圧環強度が70MPa以上である請求項1または4に記載の圧粉磁心。
  6. 絶縁皮膜で粒子表面が被覆された軟磁性粉末からなる磁心用粉末の粒子表面にシランカップリング剤を接触させる接触工程と、
    該接触工程後の磁心用粉末と加熱硬化型のシリコーン樹脂からなる樹脂粉末とを混合する混合工程と、
    該混合工程後の混合粉末を該樹脂粉末の軟化する温間状態で加圧成形する成形工程と、
    該成形工程後の圧粉体を該シリコーン樹脂が硬化する高温状態で加熱する加熱工程とからなり、
    該軟磁性粉末の真密度(ρ )に対する嵩密度(ρ)の比である密度比(ρ/ρ :%)が98%以上、比抵抗が100μΩm以上、圧環強度が60MPa以上であって、高密度で比抵抗および強度に優れた圧粉磁心が得られることを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  7. 前記成形工程は、金型に充填した前記混合粉末を加熱して前記温間状態とする温間加熱工程と、
    該温間加熱工程により前記樹脂粉末を軟化させた状態で前記磁心用粉末を加圧成形する加圧工程とからなる請求項6に記載の圧粉磁心の製造方法。
  8. 前記加熱工程は、前記成形工程後の磁心用粉末の粒子内に生じた残留歪みまたは残留応力を除去するために焼鈍する焼鈍工程である請求項6または7に記載の圧粉磁心の製造方法。
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