JP2005093548A - フェライト被覆磁性金属微粒子及びフェライト被覆磁性金属微粒子成形体、並びにフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法 - Google Patents

フェライト被覆磁性金属微粒子及びフェライト被覆磁性金属微粒子成形体、並びにフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法 Download PDF

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【課題】成形体にしたときに高飽和磁化と高絶縁性の得られるフェライト被覆磁性金属微粒子およびこれを用いたフェライト被覆磁性金属微粒子成形体、並びにこうしたフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】磁性金属微粒子を水に浸漬し水面に酸素を含む気体を接触させた状態で攪拌をしながら、2価鉄イオンを有するフェライトめっき反応液とpH調整液とを添加し、前記懸濁液のpHが7以上12未満、液温が50℃以下にてフェライトめっき反応により平均厚さが2nm以上100nm未満の緻密で均一なフェライト被覆層を形成する。このようにしてフェライト層の被覆された磁性金属微粒子粉末を加圧成形することにより、高抵抗率で高飽和磁化を有し、透磁率の高周波特性の優れた成形体を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、フェライト被覆磁性金属微粒子およびフェライト被覆磁性金属微粒子成形体並びにフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法に関し、特に薄くて緻密なフェライト層で均一に表面が被覆されたフェライト被覆磁性金属微粒子およびこのフェライト被覆磁性金属微粒子粉末を成形した成形体、並びに微粒子の表面を薄くて緻密なフェライト層で均一に被覆するフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法に関する。
フェライトは抵抗率の大きい磁性材料であることから、高い周波数で用いる磁心などとして広く用いられてきた。しかし磁性材料を用いた電子部品の小型化と高性能化が進められた結果、通常のフェライトよりも高周波特性のさらに優れた磁性材料が求められるようになった。例えばMnZnフェライトはスイッチング電源用磁心などとして多く用いられてきたが、デバイスの小型化、高周波化および高効率化のために、MnZnフェライトよりも飽和磁化がより大きくしかも抵抗率の高い磁性材料が望まれるようなった。
そのような磁性材料として、金属鉄や鉄ニッケル合金などの磁性金属粉末の表面を絶縁性にし加圧成形した成形体が用いられるようになった。しかしながら、これら磁性金属粉末の成形体においては、磁性金属微粒子同士が絶縁性皮膜で互いに絶縁されているため、実効的に高抵抗率が得られる一方で、この絶縁層が磁性金属微粒子間の磁気ギャップとなるため、成形体の透磁率が低いという問題点があった。
また近年、磁性材料は高周波領域における電磁ノイズの抑制体への応用が重要性を高めてきた。例えば数100MHz以上の高い周波数領域では、電子機器の線路を伝わる電磁ノイズの抑制が必要であり、ビーズ状のNiZnフェライトなどの磁性材料がそのような電磁ノイズの抑制体として用いられてきた。
最近では電子機器や電子デバイスの高周波化が進み、抑制対象の電磁ノイズの周波数がGHzの領域に達するようになった。ところが透磁率の実数部と強磁性共鳴周波数との積が飽和磁化の値に比例することから、フェライトの透磁率とフェライトの自然共鳴周波数との積には、フェライトの飽和磁化による限界、すなわちスヌークの限界が存在し、フェライト透磁率を高周波領域で利用することについての制約が問題にされるようになった。例えばフェライトの透磁率として3以上を確保しようとすると、自然共鳴周波数は1GHz以下となる。このため、これまで用いられてきたNiZnフェライトなどのフェライトを用いてGHz帯の電磁ノイズの抑制体で効率がよく小体積で抑制できるものを得ることは困難であった。
そこで数GHzの周波数領域での電磁ノイズの抑制に対応できる電磁ノイズ抑制体を得るために、フェライトよりも飽和磁化値の大きい金属鉄などの磁性金属材料が着目されるようになり、磁性金属微粒子を絶縁性の非磁性物質で被覆し結合樹脂などの絶縁性の分散媒体に分散させた電磁ノイズ抑制体が開発された(特許文献1:特開平11−45804号公報)。この構成では導電性の磁性金属微粒子間に絶縁性の非磁性層が介在し、この非磁性層が電磁ノイズ抑制体の抵抗率を実効的に高めているものの、磁性金属粒子間の絶縁性の非磁性層は磁気的には空隙と同様であることから、抑制体の透磁率を低めていた。このため透磁率がより高く、電磁ノイズの抑制性能のより優れた電磁ノイズ抑制体の開発が強く望まれてきた。
ところで水溶液中で基体面にフェライト層を生成する方法として、フェライトめっき法がある。この方法は本発明者の一人とその共同研究者によって開発されたもので、水溶液中で基体上に2価の鉄イオンを結合させ、その一部を3価の鉄イオンに酸化させることによって基体上にフェライト層を形成するものである(非特許文献1: M. Abe and Y. Tamaura: Jpn. J. Appl. Phys., 22 , L511(1983)、非特許文献2:阿部正紀:金属,68,290(1995))。この方法には、フェライトの燒結体を製造する場合のような高温での熱処理を必要とせず、常圧の水溶液中でフェライトが生成できるという大きな利点を有している。
この方法でフェライト膜やフェライト層を形成することにより、燒結体のフェライトでは得られなかった新しいフェライトの用途が開かれるようになった。その1つはフェライト薄膜の高周波応用であって、フェライトを膜状に形成しその形状効果を利用することにより、スヌークの限界を超える透磁率の高周波特性を得て、高い周波数領域における磁気コアや電磁ノイズ抑制体としての利用を可能にしている(非特許文献3:N.Matsushita, C.P.Chong, T.Mizutani, and M.Abe: J. Appl. Phys., 91, 7376 (2002))。
フェライトめっきの際の基体を微粒子とすることにより、微粒子の表面に磁性を有し絶縁性のフェライト層を設けた複合体の微粒子を製造することができる。
本発明者らは、このフェライトめっきを利用し、微粒子の表面にフェライトめっき層を形成した多層構造の磁性微粒子とその製造方法を開発した。さらにこの磁性微粒子を用いた磁性多層微粒子分散媒体を開発し、高周波電磁界の吸収特性および磁気光学特性において多層構造を持つ微粒子の集合体特有の優れた特性を得ている(特許文献2:特開2002−93607号公報)。
また特許文献3(特開平11−1702号公報)には、鉄基磁性金属粉末を含むアルカリ水溶液に、鉄の金属塩と、鉄以外の2価の金属塩1種以上とを所定の配合比率として溶解した水溶液を、非酸化性雰囲気中で添加した後、所定の温度に加熱しつつ、アルカリ水溶液を添加してpH7以上とし、その後、酸素を含む気体を吹き込み、前記鉄基磁性金属粉末の表面にフェライト酸化物の被膜を形成することを特徴とする鉄基金属−フェライト酸化物複合粉末の製造方法が記載されている。
特開平11−45804号公報 特開2002−93607号公報 特開平11−1702号公報 M. Abe and Y. Tamaura: Jpn. J. Appl. Phys., 22 , L511 (1983). 阿部正紀:金属,68,290 (1995) N.Matsushita, C.P.Chong, T.Mizutani, and M.Abe: J. Appl. Phys., 91, 7376 (2002).
本発明者らは図6に示すように、高飽和磁化を持つ磁性金属微粒子61の表面にフェライトめっきによってフェライト層62を被覆して複合微粒子とし、この複合微粒子の粉末を加圧成形して図7に模式的に示したような成形体とした。この成形体は磁性金属微粒子61の粒界にフェライトめっきによる絶縁性のフェライト層72を有する。このため、この成形体は実効的に抵抗率が高く、しかもこの絶縁層は磁性層であるため、磁性金属微粒子間が磁気的に接続され、粒界の磁気ギャップが埋められるので、磁性金属微粒子を非磁性の絶縁層で被覆した場合に比べ、成形体の透磁率の向上が得られる。
このような成形体の構成により、磁性金属微粒子の有する高飽和磁化とフェライトの有する高絶縁性および磁性がそれぞれ有効に利用され、実効的に高抵抗率で高透磁率の磁性体を得ることができるようになった。こうして得られる磁性体はフェライトよりも高飽和磁化を得ることが可能であり、透磁率の実数部と強磁性共鳴周波数との積はフェライトに関するスヌークの限界を超えることが可能であることから、例えばGHz帯の周波数領域における電磁ノイズ抑制体や磁気コアとして利用できるようになった。
このような成形体の構成により、GHz帯の周波数領域での電磁ノイズ抑制体や磁気コアとして利用できるようになったので、こうした成形体の特性を一段と高めることや、比較的簡易な方法で製造が可能な生産性の高い製造方法を見出すことにより、その発展を図ることを課題とし、検討を重ねた。その結果、上記成形体は高飽和磁化と高絶縁性特性が共に得られたときに、高周波数領域での電磁ノイズ抑制体や磁気コアとして優れた特性を示すが、成形体の飽和磁化と絶縁性特性は、成形に用いるフェライト被覆磁性金属微粒子粉末のフェライト被覆状態によって大きく支配されることがわかった。
本発明は、成形体に用いたときに高飽和磁化と高絶縁性特性の得られるフェライト被覆磁性金属微粒子と、このフェライト被覆磁性金属微粒子を用いた成形体を提供し、さらにこのような成形体として高飽和磁化と高絶縁性特性の得られるフェライト被覆磁性金属微粒子を、比較的簡易な方法でフェライト被覆磁性金属微粒子を製造する製造方法を提供することを目的とする。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子は、磁性金属微粒子と、磁性金属微粒子を被覆する平均厚さが2nm以上100nm未満の均一で緻密なフェライト被覆層とを備えたことを特徴としている。
本発明者らは、フェライト被覆磁性金属微粒子の成形体における磁性金属微粒子のフェライト被覆を薄くすることにより、成形体の飽和磁化を高めることができることを見出し、フェライトめっきで形成されるフェライト被覆層を薄くすることを試みた。ところが、これまでに用いられてきたフェライトめっきの方法を用い、磁性微粒子表面にフェライト被覆を形成しようとしても、平均の厚さが100nm未満では、均一な被覆を形成することができず、微粒子の表面にフェライトが島状に形成されたものとなった。磁性微粒子全体を被覆するには、平均の厚さを少なくとも150〜200nmにする必要があった。このため、平均の被覆厚さが100nm未満になるようにフェライトめっきをした磁性金属微粒子を加圧成形して成形体にしたものは、飽和磁化は比較的高いものの、成形体の抵抗率が低く、高周波で用いる磁性体としては不適であった。
本発明者らは、磁微粒子に対し薄くて緻密なフェライトめっき層の形成について研究を重ねた結果、従来は全く考えることのできなかった厚さ100nm未満のきわめて薄い緻密なフェライト層で被覆されたフェライト被覆磁性金属微粒子を得ることができた。このきわめて薄い緻密なフェライト層で被覆されたフェライト被覆磁性金属微粒子の粉末を加圧成形し成形体とし電気的測定および磁気的測定を行なった結果、フェライト被覆磁性金属微粒子の被覆の厚さが2nm以上であり100nm未満であれば、高抵抗率が得られると共に高い飽和磁化を得ることができ、透磁率の高周波特性の優れた成形体が得られることがわかった。こうした知見を基に研究を進めた結果、本発明を完成させることができた。なお、成形体においてより高い飽和磁化とより高い透磁率を得るために、被覆の厚さが50nm以下であることがより好ましい。
本発明において、磁性金属微粒子は強磁性を有する金属微粒子であって、軟磁性であることが好ましく、また高飽和磁化であることが好ましい。そのような磁性金属微粒子として、鉄および鉄合金の微粒子のほか、コバルトおよびコバルト合金、ニッケルおよびニッケル合金、パーマロイ、センダスト合金、金属間化合物などの微粒子を挙げることができる。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子において、磁性金属微粒子を被覆する均一で緻密なフェライト被覆層は、磁性金属微粒子と水との懸濁液の液面に酸素を含む気体を接触させた状態で懸濁液を攪拌しながら懸濁液に2価鉄イオンを有するフェライトめっき反応液とpH調整液とを添加し、懸濁液のpHが7以上12未満、懸濁液の液温が50℃以下にて形成することができる。ここに懸濁液の液面に接触させる酸素を含む気体には、酸素を配合した気体を用意して用いてもよいが、通常の空気を用いることができる。
本発明において磁性金属微粒子をフェライトめっきによって被覆する際の懸濁液の攪拌は、この攪拌によって磁性金属微粒子の懸濁状態が維持されることを必要とする。この攪拌が空気中で行なわれて、懸濁液と空気とが接触することにより、空気中の酸素が懸濁液中に取り込まれ、この酸素がフェライト相を生成する際の酸化剤として用いられる。
本発明において2価鉄イオンを有するフェライトめっき反応液は、2価鉄塩の水溶液であり、例えば塩化第1鉄を有する水溶液や硝酸第1鉄を有する水溶液など、2価鉄の強酸塩の水溶液を用いることができる。
本発明においてpH調整液は、フェライトめっきの反応時における懸濁液のpHを適切な範囲に保つものであって、アルカリ溶液、pH緩衝溶液、アルカリ溶液とpH緩衝溶液との組み合わせなどを用いることができる。本発明において、フェライトの微小粒子による緻密な被覆を得るためのpHの適正値は7以上12未満であり、この範囲よりpHが小さいとフェライト相の生成が困難になり、この範囲よりpHが大きいと生成するフェライトの粒子が粗大化したり微粒子の表面以外にフェライトが生成するなどして緻密な被覆を得ることが困難になる。このような観点からフェライトめっき反応時における懸濁液のpHの下限としては8以上がより好ましく、また上限としては10以下がより好ましい。
本発明において、フェライトめっき反応時の液温は50℃以下にて行なう。液温が50℃を超えた場合には、生成するフェライトの粒子が粗大化し、薄い緻密な被覆を得ることが困難になる。
フェライトめっき反応の温度に関する公知の情報としては、特許文献3の記載がある。特許文献3では、フェライトめっき反応の温度は90℃ないし60℃が適正な温度であって、反応温度が60℃以下になると、反応中間体である鉄などの2価金属の水酸化物が変質し、これを出発物質としたフェライト以外の副生成物の生成量が増大し、鉄基金属微粒子をフェライトで被覆する効果が得られなくなることが記載されている。
本発明者らは、従来のフェライト被覆よりも緻密で均一なフェライト被覆を得ることを目的として検討を重ねた。その結果、フェライトめっき反応の液温を特許文献3では不適切な温度とされた50℃以下にするとともに、液を空気中で攪拌し微粒子の懸濁を保ちながらフェライトめっき反応を行なうと、緻密で均一なフェライト被覆を得ることができるという、非常に興味ある結果を得ることができた。
本発明において、フェライト相を生成する際の酸化剤として用いられる酸素は、液の攪拌によって液中に取り込まれるので、液の攪拌が単位時間に酸素を液中に取り込む量とフェライトの生成速度とを支配している。空気中で液の攪拌を行なうことにより、単位時間に取り込まれる酸素量とフェライト相の形成速度とがバランスし、緻密で均一なフェライト被覆が形成されるものと考えられる。この点において、本発明の方法は、特許文献3に記載の酸素を含む気体を液に強制的に吹き込むことによって液に酸素を供給する方法と大きく異なるつているものと考えられる。特許文献3に記載の方法では、60℃以下において水酸化第2鉄が生成し、フェライト相の生成は得られていない。
またフェライトめっきでは超音波励起を用いる方法が広く用いられてきた。これは反応場となる液に超音波を加えて基体表面を活性化し、基体に均等にフェライト層を形成することを目的としたものである。ところが多量の磁性金属微粒子をフェライト被覆する場合に超音波励起を用い、その効果を得ようとすると、超音波の電力を十分に大きくすることが必要となり、多量の磁性金属微粒子をフェライト被覆する工程では、十分に大きな電力の超音波発生装置を必要とするため、超音波励起を用いる方法よりもより簡易な方法が望まれていた。しかもフェライトめっきを行なう際に超音波励起の電力が大きくなるとフェライトめっきを行なう液の温度が上昇し、フェライト相の生成速度が大きくなることから、超音波励起の方法を用いたフェライトめっきを用いて被覆されたフェライト被覆磁性金属微粒子は、被覆の緻密さと均一性において改善の余地を残しており、被覆層として薄くて緻密な層を得るのが困難であった。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子は、磁性金属微粒子がフェライトの微小粒子によって緻密な薄い層で被覆されており、このフェライト被覆磁性金属微粒子粉末を成形して成形体とすることによって、高抵抗率で高飽和磁化を有するので、透磁率が高くその周波数特性が良好なフェライト被覆磁性金属微粒子成形体を得ることができる。逆に磁性金属微粒子がフェライトの微小粒子の緻密な薄い層で被覆されていなければ、そのような微粒子粉末を成形しても、透磁率が高くその周波数特性が良好な成形体を得ることができない。このため、本発明における「均一で緻密なフェライト被覆層」の評価手段としては、電子顕微鏡観察を用いて磁性金属の表面を被覆する均一で緻密なフェライト被覆層を直接的に確認する代わりに、フェライト被覆磁性金属微粒子粉末を成形した成形体の透磁率の周波数特性を用いることにより、より定量的に評価をすることが可能になる。そこで本発明においては、均一で緻密なフェライト被覆層は、この被覆層によって被覆されたフェライト被覆磁性金属微粒子粉末を加圧成形した成形体の透磁率と自然共鳴周波数との積として大きい値の得られるフェライト被覆層を意味するものとする。より具体的にはこの被覆層によって被覆されたフェライト被覆磁性金属微粒子粉末を加圧成形した成形体の透磁率と自然共鳴周波数との積として3×10Hz以上の得られるフェライト被覆層を意味するものとする。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子において、磁性金属微粒子を被覆している被覆層のフェライト微小粒子は、最大粒径が50nm以下であることが好ましい。
磁性金属微粒子を被覆しているフェライト微小粒子の最大粒径が50nmよりも大きいと、緻密で均一な被覆層を得ることが困難となる。また加圧成形して得られる成形体の充填密度も低下し、成形体の飽和磁化および透磁率が低下する。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子成形体は、上記平均厚さが2nm以上100nm未満の均一で緻密なフェライト被覆層で被覆された磁性金属微粒子粉末を成形した成形体であることを特徴とする。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子成形体は、高い飽和磁化を有するとともに、磁性金属微粒子間が磁性を有するフェライト層によって絶縁されて高抵抗率を有するので、高い透磁率を示すとともに、透磁率の高周波特性が優れている。
本発明の上記フェライト被覆磁性金属微粒子成形体は、飽和磁化の値が前記磁性金属粒子の有する飽和磁化の60%以上であることが好ましい。
本発明の上記フェライト被覆磁性金属微粒子成形体は、飽和磁化の値を磁性金属粒子の有する飽和磁化の値の60%以上にすることによって、成形体の高周波における磁気特性を著しく高めることができる。本発明による上記薄い被覆層のフェライト被覆磁性金属微粒子粉末を加圧成形して成形体とすることにより、成形体の飽和磁化の値を、被覆を有しない磁性金属粒子の飽和磁化値の60%以上を得ることができる。本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子成形体において、飽和磁化の値が磁性金属粒子の有する飽和磁化の値の80%以上であることがさらに好ましい。
本発明の上記フェライト被覆磁性金属微粒子成形体は、透磁率との自然共鳴周波数との積が3×10Hz以上であることが好ましい。
本発明の上記フェライト被覆磁性金属微粒子成形体は、透磁率との自然共鳴周波数との積が3×10Hz以上であることにより、GHz帯において特に効率的な電磁ノイズ抑制体を得ることがてきる。本発明によるフェライト被覆磁性金属微粒子粉末を加圧成形して成形体とすることにより、透磁率との自然共鳴周波数との積として3×10Hz以上を得ることができる。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法は、磁性金属微粒子を水に浸漬し水面に酸素を含む気体を接触させた状態で攪拌し磁性微粒子を懸濁させて懸濁液とし、懸濁液の攪拌を続けながら2価鉄イオンを有するフェライトめっき反応液とpHを調整するpH調整液とを懸濁液に添加し、添加後の懸濁液のpHが7以上12未満、液温が50℃以下にて磁性金属微粒子表面を均一で緻密なフェライト被覆層で被覆することを特徴とする。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法によれば、磁性金属微粒子が薄いフェライト層によって緻密に被覆できる。こうした本発明の製造方法によって製造されたフェライト被覆磁性金属微粒子は、加圧成形して成形体とすることにより、磁性金属微粒子の粒子間がフェライトによって電気的に絶縁されるとともに磁性金属微粒子間がフェライトによって磁気的に結合され、しかも成形体を形成しているフェライト被覆磁性金属微粒子のフェライト被覆層が薄いので、成形体中のフェライトの比率を小さく磁性金属微粒子の比率を大きくできるので、成形体の飽和磁化を大きくできる。その結果、本発明の製造方法によって製造されたフェライト被覆磁性金属微粒子を加圧成形することにより、成形体の透磁率と自然共鳴周波数との積を大きくできるので、透磁率の周波数特性の優れたフェライト被覆磁性金属微粒子成形体を得ることができる。
また本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法によれば、超音波励起や酸化剤の添加を必要とせずにフェライトめっきによる磁性金属微粒子の被覆が行なえるので、本発明を実施するための製造装置は、比較的簡易に構成することができる。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法においては、上述した磁性金属微粒子表面をフェライトめっき膜で被覆する工程の前処理工程として、2価鉄イオンを有する水溶液に磁性金属微粒子を浸漬する工程を備えることができる。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法においては、この前処理工程を設けることにより、フェライトめっきにおける磁性金属微粒子表面に対する均一で緻密なフェライト被覆層の形成を容易にし、加圧成形して成形体としたときの透磁率の周波数特性を高めることができる。
本発明において、磁性金属微粒子の上記前処理に用いる2価鉄イオンを有する水溶液は、例えば塩化第1鉄の水溶液や硝酸第1鉄の水溶液などの2価鉄イオンの強酸塩の水溶液を用いることができる。
また磁性金属微粒子を2価鉄イオンを有する水溶液に浸漬する浸漬時間は、磁性金属微粒子の状態に応じて、適宜選択すればよく、例えば1分〜1時間浸漬させればよい。また浸漬後の磁性金属微粒子は水洗浄し、2価鉄イオンを除去することが好ましい。
上記前処理に用いる2価鉄塩の水溶液の濃度は、5mmol/L以上200mmol/L以下が好ましい。この範囲より低濃度の処理では前処理の効果が小さく、またこの範囲よりも高濃度の処理では、処理後の洗浄による前処理液の除去が十分でなく微粒子表面のpHが低くなって、フェライトめっき処理の工程においてフェライト相が生成できず、非磁性の相が生成してしまう可能性がある。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法において、磁性金属微粒子に対し、フェライトめっきの前に上記前処理をしておくことにより、より緻密で均一なフェライト被覆の薄い層を得ることができる。この結果、前処理をしてからフェライトめっきによる被覆をしたフェライト被覆磁性金属微粒子の粉末は、加圧成形することにより、周波数特性が良好なフェライト被覆磁性金属微粒子成形体が得られる。またこの前処理により、フェライトめっきの際に、磁性金属微粒子に対しより均等なフェライト被覆が得られることがわかった。さらにこの前処理によって前処理をしない場合に比べ、多量の磁性金属微粒子のフェライト被覆を行なうことができることがわかった。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子は、加圧成形することにより、飽和磁化が大きく高抵抗率であり、このため透磁率が高く、透磁率の周波数特性が優れた成形体を得ることができる。また本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法によれば、比較的簡易な方法により、薄いフェライト層によって緻密で均一に被覆されたフェライト被覆磁性金属微粒子を得ることができる。
図1は、本発明において磁性金属微粒子にフェライト被覆を行なうための工程の一形態を示した図である。図1において、水1に磁性金属微粒子2を浸漬し、攪拌器具を用いて攪拌3を行なうことにより、水1に磁性金属微粒子2を懸濁させた懸濁液4の状態にする。この磁性金属微粒子2の懸濁液4に対し、攪拌3によって懸濁液4の懸濁状態を保ちながら、2価鉄イオンを含むフェライトめっき反応液5を添加し、あわせてpH調整液6を添加し、フェライトめっき反応によって磁性金属微粒子2にフェライト層の被覆を形成させ、フェライト被覆磁性金属微粒子の懸濁液7を得る。ここでフェライトめっき反応における鉄イオンの酸化には、微粒子懸濁液4の液面を空気に接触させ、攪拌3を空気中で行なうことにより、液中に少しずつ取り込まれる空気中の酸素が用いられる。このフェライト被覆磁性金属微粒子懸濁液7は、必要の程度に応じた洗浄工程8にて洗浄されてフェライト被覆磁性金属微粒子9を得る。
図2は本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子を作製する装置の一形態を模式的に示した図である。図2において、容器21には水22と磁性金属微粒子23が収容されている。水22の液面は空気24と接触しており、水22は攪拌装置25により攪拌されて空気中から酸素が取り込まれるとともにこの攪拌によって磁性金属微粒子23がこの水に懸濁されて懸濁液となる。この懸濁液の攪拌を行ないながら、この懸濁液に2価鉄イオンを含有する水溶液であるフェライトめっき反応液26を添加し、これに合わせてpH調整液27の添加を行なってこの懸濁液のpHを所定の範囲に調整することにより、磁性金属微粒子23の表面にフェライト層を形成させる。
本発明の製造方法によれば、添加したフェライトめっき反応液の鉄イオンなどの金属イオンがむだなく微粒子の被覆に利用される。ここでこの懸濁液のpHはpHメータまたはpH−温度調整装置28によって計測され調整される。pHおよび温度の目標値との差はpH調整液27の滴下および液の温度調整にフィードバックすることができる。なおpH調整液27には必要に応じて補助的に酸化剤を含有させるようにしてもよい。
上記攪拌装置25による懸濁液の攪拌は、磁性金属微粒子の懸濁を維持し、空気中の酸素を懸濁液中に適量取り込むほかに、滴下されるフェライトめっき反応液26とpH調整液27を懸濁液に均一に混合している。このフェライトめっき反応液26とpH調整液27の懸濁液への均一混合は、フェライト層が磁性金属微粒子の表面に均一に形成されるのに有効な役割を果している。
磁性金属微粒子23の表面にフェライト層を形成させる際の水溶液中には、2価鉄イオンのほかに3価鉄イオンを添加しておくことができる。またこの磁性金属微粒子3の表面にフェライト層を形成させる際の水溶液中には、形成されたフェライト層において2価鉄イオンを置換する2価金属元素のイオンおよび3価鉄イオンを一部置換する3価金属元素のイオンを含有させることができる。これら2価金属元素イオンおよび3価金属イオンは、1価や4価以上の金属元素を組み合わせることによって平均の価数が2価や3価になるものであってもよい。このようにして置換に用いることのできる金属元素として、Li、Mn、Co、Fe、Ni、Cu、Zn、Mg、Al、Cr、Sc、Ga、In、Ti、Zr、Si、Ge、Sn、V、Nb、Ta、Mo、Wなどを挙げることができる。このような置換により、フェライト層の磁気特性や抵抗率などを制御することができ、またそれによって加圧成形した成形体の特性を制御することができる。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法においては、磁性金属微粒子23の表面にフェライト層を形成させる際の懸濁液のpHが低くなると成膜速度が低下し、懸濁液のpHが7未満では成膜が著しく低下する。このため懸濁液のpHは7以上が好ましく、pH値を8以上にすることさらに好ましい。他方でフェライト層を形成させる際に設定する懸濁液のpHは、高すぎると膜の平坦性および緻密さが損なわれることから、平坦で緻密なフェライト被覆の膜を得るために、pHを12未満にすることが好ましく、9以下にすることがさらに好ましい。
ここで用いるpH調整液としては、緩衝剤の水溶液を用い、懸濁液を緩衝溶液の状態にすることができる。またpH調整液として水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、またはアンモニア水などのアルカリの水溶液を適量ずつ添加して用いることができる。その際には液のpH値をpHメータにより計測し、計測結果をアルカリの水溶液の滴下にフィードバックし、液のpH値が目標値となるように制御することができる。
また上記本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法において、磁性金属微粒子の表面にフェライト層を形成させる際の液の温度は50℃以下である。水溶液の温度がこの温度を超えると磁性金属微粒子を被覆するフェライト層を薄い層で均一性と緻密さを有するものが得られなくなる。磁性金属微粒子の表面に、薄い層で均一性と緻密さを有するフェライト層を形成させるために、液の温度は40℃以下であることがさらに好ましい。また本発明において液の温度の下限は液相を保つ温度であればよいが、成膜速度がより適切であるためには10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法で作製しフェライト層で被覆された磁性金属微粒子は、必要に応じ必要な程度の洗浄を行ない、また必要に応じて乾燥して乾燥粉末とすることができる。こうして本発明の製造方法で作製されたフェライト被覆磁性金属微粒子は、加圧成形により成形体にして用いるなど、さまざまな用途に用いることができる。
次に本発明におけるフェライト被覆磁性金属微粒子の評価方法について述べる。本発明においては、走査型電子顕微鏡を用い表面観察を行なうことによって、被覆の緻密性、均一性および被覆層の粒子サイズなどの被覆の状態を評価することができる。また本発明において、フェライト被覆された磁性金属微粒子は、加圧成形を行ない、成形された成形体のかさ密度および抵抗率によって被覆の状態を評価することができる。さらに成形体について、インピーダンスアナライザを用いた高周波複素透磁率の測定による評価を行ない、その結果を通じ、成形体を構成するフェライト被覆された磁性金属微粒子の評価を行なうことができる。
本発明に用いられる磁性金属微粒子は、フェライトに比べ高い飽和磁化を有する金属微粒子である。このような磁性金属微粒子表面に効率よく均一なフェライト被覆を行なうために、その形状としては単純な形状の微粒子が好ましく、そのような磁性金属微粒子として、例えば各種のアトマイズ鉄粉を用いることができる。同様の理由により、カーボニル法で作られた鉄粉などの磁性金属微粒子を用いることができる。磁性金属微粒子の粒子形状としては、球状のほか、反磁界の効果を考えて扁平な板状を選択するなど、目的に応じて適切な形状を選択して用いることができる。また本発明に用いられる磁性金属微粒子の粒子サイズは、使用する周波数におけるうず電流による表皮深さを一つの基準とし、高い周波数ほど粒子径を小さいものを選ぶようにして、適宜選択することができる。
本発明において、磁性金属微粒子粉末の加圧成形は、広く用いられている単軸方向の加圧圧縮による圧縮成形によって行なうことができる。また加圧成形時に磁性金属微粒子粉末を加熱してその温度を例えば100〜400℃にするホットプレスを用いることにより、成形性の良好な成形体を得ることができる。また等方的な圧力を用いて成形する静水圧成形を用いることもできる。
(攪拌の効果)
図2に模式的に示された容器(200mLのビーカー)21に100mLの純水22を入れ、これに直径2μmの鉄微粒子23を2g入れ、純水が液面で空気24と接触した状態でスターラー25により攪拌速度500rpmに攪拌し、空気24から酸素を取り込むとともに、鉄微粒子23をこの攪拌によって懸濁状態にした。この攪拌速度で液の攪拌を続けながらこの液にフェライトめっき反応液として12.5mmol/Lの塩化第一鉄の水溶液50mLと、pH調整液として水酸化カリウム水溶液50mLとを、共に5mL/分の一定流量にて10分間で添加し、懸濁液のpHを8の付近に保って鉄微粒子23の表面に厚さ約15nmのフェライト層を形成した(実施例1)。これらの工程において、懸濁液の温度は25〜28℃の範囲に保たれた。
このようにして得られた実施例1のフェライト被覆鉄微粒子の走査電子顕微鏡写真を図3に示す。この写真から鉄微粒子がフェライトの微細な粒子によって緻密に被覆されている様子を伺うことができる。
次に実施例1との比較のために、攪拌を行なわなかったほかは、上記実施例1のフェライトめっき条件と同じ条件で、鉄微粒子23の表面にフェライト層を形成させた(比較例1−1)。
また実施例1との比較のために、攪拌を行なう代わりに超音波励起を行なったほかは、上記実施例1のフェライトめっき条件と同じ条件で、鉄微粒子23の表面にフェライト層を形成した(比較例1−2)。なお、このフェライト層被覆では、超音波励起によって被覆の終了時における懸濁液の温度は50℃以上に上昇していた。
さらに実施例1と比較して、懸濁液の温度の影響を知るために、懸濁液の温度を50℃に高めたほかは、上記実施例1のフェライトめっき条件と同じ条件で、鉄微粒子23の表面にフェライト層を形成した(比較例1−3)。
これらのフェライト層を被覆した鉄微粒子について、結晶構造解析をCoKαによるX線回折を用いて行ないスピネル構造を確認し、また磁気特性を振動試料型磁力計を用いて行ない、所要の磁気特性が得られていることを確認した。さらに走査型電子顕微鏡により、形成されたフェライト層について評価を行なった。またこれら微粒子を7t/cmの成形圧で成形し、その抵抗率および飽和磁化を評価した。これらの評価結果を表1に示す。
Figure 2005093548
表1に示されている通り、攪拌を行なった実施例1では磁性金属微粒子に均一で緻密な厚さ15nmのフェライト被覆が得られ、この磁性微粒子粉末を加圧成形した成形体は1.56の高飽和磁化で高抵抗率を得ている。これに対し、攪拌を行なわない場合は、磁性金属微粒子表面の被覆率が低く、この磁性微粒子粉末を加圧成形した成形体は抵抗率が小さく、高周波での用途には不適であることがわかった。また、攪拌の代わりに超音波励起を行なった場合も同様であって、磁性金属微粒子表面の被覆率が低く、この磁性微粒子粉末を加圧成形した成形体は抵抗率が小さく、高周波での用途に不適であることがわかった。
(pHの影響)
本発明の磁性金属微粒子に対するフェライト被覆における懸濁液のpHの影響を明らかにするために、上記実施例1に加えて、次のような条件による鉄微粒子23の表面にフェライト層形成を行なった。
まず、pH調整液として水酸化カリウム水溶液を添加し、pHメータ28によりこの溶液のpHを9に調整したほかは実施例1と同じ条件で鉄微粒子23の表面にフェライト層を形成させた(実施例2−1)。
次にpH調整液として水酸化カリウム水溶液を添加し、pHメータ28によりこの溶液のpHを10に調整したほかは実施例1と同じ条件で、鉄微粒子23の表面にフェライト層を形成させた(実施例2−2)。
これらの実施例に対する比較例として、水酸化カリウム水溶液をpH調整液として添加し、pHメータ28によりこの溶液のpHを11に調整したほかは実施例1と同じ条件で鉄微粒子23の表面にフェライト層を形成させた(実施例2−3)。
これらのフェライト層を被覆した鉄微粒子について、先の場合と同様に結晶構造解析と磁気特性測定を行ってスピネル構造が得られていることを確認し、また所要の磁気特性が得られていることを確認するとともに、走査型電子顕微鏡により、形成されたフェライト層の評価を行なった。またこれら微粒子を7t/cmの成形圧で成形し、その抵抗率および飽和磁化を評価した。これらの評価結果を表2に示す。
Figure 2005093548
表2から、2価鉄イオン濃度を15mmol/L、攪拌速度500rpmと一定に保ち、溶液のpH9,10および11の場合に、被覆フェライト層の表面性は良好であり、膜は均一で緻密に成膜されていることがわかった。なお、pHが9から11まで上昇するのに伴い、表面の凹凸は増加する傾向がみられた。
(成形体の透磁率の周波数特性)
実施例1のフェライトめっき条件により、それぞれNiZnフェライト、FeZnフェライト、CoフェライトおよびFeフェライトの被覆をした4種の鉄微粒子粉末をそれぞれ作製し、それぞれ7t/cmの成形圧で加圧成形して外径8mm、内径3mmのコアを作製し、インピーダンスアナライザによって1MHzから3GHzまでの周波数領域における複素透磁率の実数部μ’およびμ”をそれぞれ測定した。
比較例として、フェライト被覆を行なわない鉄微粒子および超音波励起を用いNiZnフェライトの被覆を行なった鉄微粒子粉末を加圧成形して実施例6と同じ形のコアを作製したものを作製し、同じ測定を行なった。
図4はこのようにして得られた高周波複素透磁率の周波数変化を示す図である。図において、41−1は被覆がNiZnフェライトの場合の透磁率の実数部、41−2は被覆がNiZnフェライトの場合の透磁率の虚数部、42−1は被覆がFeZnフェライトの場合の透磁率の実数部、42−2は被覆がFeZnフェライトの透磁率の虚数部、43−1は被覆がCoフェライトの場合の透磁率の実数部、43−2は被覆がCoフェライトの場合の透磁率の虚数部、44−1は被覆がFeフェライトの場合の透磁率の実数部、44−2は被覆がFeフェライトの場合の透磁率の虚数部、45−1は被覆がNiZnフェライトで超音波を用いた場合の透磁率の実数部、45−2は被覆がNiZnフェライトで超音波を用いた場合の透磁率の虚数部、46−1は被覆がない場合の透磁率の実数部、そして46−2は被覆がない場合の透磁率の虚数部である。
この図から、本発明の製造方法によってフェライト被覆した鉄微粒子粉末を加圧成形したコアが、フェライト被覆により微粒子間の絶縁性を保持するとともに、磁気的には粒子間を結合させたものは、高周波において高透磁率が得られていることがわかる。これに対し、鉄微粒子表面の被覆に超音波励起を用いNiZnフェライトを被覆した場合の一例では、透磁率の実数部45−1および虚数部45−2の値が共に小さい。これは鉄微粒子表面の被覆が不均一で凹凸を持つため、加圧成形した成形体の充填密度が低く、空隙が多くなったためである。なお、この超音波励起を用いNiZnフェライトを被覆した場合の一例では透磁率の実数部虚数部の値が、高周波側にシフトしているので、より高い周波数での利用には有用である。またフェライト被覆がない鉄微粒子粉末を加圧成形した成形体の場合は周波数が高くなると透磁率の実数部46−1および虚数部46−2の値が急速に低下した。これはフェライト被覆がないため成形体の抵抗率が小さいことによる。
(前処理の効果)
磁性金属微粒子にフェライト被覆をする前に、この粒子を2価鉄イオンを有する水溶液に浸漬する前処理を加え、その効果を調べた。
鉄微粒子20gを塩化第1鉄水溶液(濃度50mmol/L)に10分間浸漬し攪拌をした後、これを水洗し、 200mLのビーカーに100mLの純水とともに入れ、純水が液面で空気と接触した状態でスターラーにより攪拌速度500rpmに攪拌し、空気中からの酸素を取り込むるとともに、鉄微粒子をこの攪拌によって懸濁状態にした。この攪拌速度で液の攪拌を続けながらこの液にフェライトめっき反応液として12.5mmol/Lの塩化第一鉄の水溶液50mLと、pH調整液として水酸化カリウム水溶液50mLとを、共に5mL/分の一定流量にて添加し、鉄微粒子の表面にフェライト層を形成した(実施例4−1)。なお、これらの工程において、懸濁液の温度は25〜28℃の範囲に保たれた。
次に鉄微粒子に対し、上記前処理において塩化第1鉄水溶液の濃度を100mmol/Lとしたほかは、上記実施例4−1と同じ条件で鉄微粒子23の表面にフェライト層を形成した(実施例4−2)。
次に鉄微粒子に対し、上記前処理を行なわなかったほかは、上記実施例4−1と同じ条件で鉄微粒子23の表面にフェライト層を形成した(実施例4−3)。
この実施例および比較例2でフェライト層を被覆した鉄微粒子について、先の場合と同様に結晶構造解析と磁気特性測定を行ってスピネル構造が得られていることを確認し、また所要の磁気特性が得られていることを確認するとともに、走査型電子顕微鏡により、形成されたフェライト層の評価を行なった。形成されたフェライト層の評価結果を表3に示す。
Figure 2005093548
上記実施例4−1〜実施例4−3で作製したフェライト被覆磁性金属微粒子粉末を上記実施例3と同じ加圧成形条件にて加圧成形し、高周波透磁率の周波数特性を測定した。その結果を図5に示す。比較のために、実施例1で作製したフェライト被覆磁性金属微粒子粉末を同じ条件にて成形し、高周波透磁率の周波数特性を測定した結果を加えた。
図5において、実施例1の前処理なしで3g処理にて作製した粉末の成形体の透磁率の周波数特性51−1および51−2に比べると、実施例4−3の前処理なしで処理量を20gに増して作製した粉末の成形体の透磁率の周波数特性52−1および52−2は低下しているが、実施例4−1の濃度50mmol/Lの塩化第1鉄水溶液による前処理をしてからフェライト被覆を行なった粉末は、処理量が20gと増大しているにもかかわらず、この粉末を加圧成形した成形体の透磁率の周波数特性53−1および53−2には、著しい周波数特性の向上がみられた。また実施例4−2の濃度100mmol/Lの塩化第1鉄水溶液による前処理をしてからフェライト被覆を行なった粉末についても、加圧成形した成形体の透磁率の周波数特性54−1および54−2には、前処理を行なわない場合に比べ、顕著な周波数特性の向上の効果がみられた。
このような前処理を導入することにより、粉末を加圧成形した成形体の透磁率の周波数特性が向上していることは、前処理によって薄く緻密で均一なフェライト被覆層が形成され易くなることを示唆するものである。前処理を導入することによって、処理量が多くなっても良好なフェライト被覆が得られるということは、前処理の導入がフェライト被覆磁性金属微粒子粉末の量産における重要な技術となり得ることを示している。
本発明のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法の一実施形態を示した流れ図である。 本発明の一実施形態における磁性金属微粒子にフェライト被覆を形成する装置を模式的に示した図である。 実施例1で作製したフェライト被覆鉄微粒子の走査電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例によりフェライト被覆を行なった磁性金属微粒子粉末を加圧成形して得た成形体の複素透磁率について、その実数部および虚数部の周波数変化を模式的に示した図である。 前処理をした後にフェライト被覆を行なった磁性金属微粒子粉末を加圧成形して得た成形体の複素透磁率について、その実数部および虚数部の周波数変化を模式的に示した図である。 磁性金属微粒子の表面にフェライトめっきによりフェライト層を形成した複合微粒子の模式的断面図である。 複合微粒子粉末を成形した成形体の一部の模式的断面図である。
符号の説明
21…容器、22…純水、23…磁性金属微粒子、24…空気、25…攪拌装置、26…2価鉄イオンを含有する水溶液、27…pH調整液、28…pHメータ、41−1…被覆がNiZnフェライトの磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の実数部、41−2…被覆がNiZnフェライトの磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の虚数部、42−1…被覆がFeZnフェライトの磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の実数部、42−2…被覆がFeZnフェライトの磁性金属微粒子粉末成形体透磁率の虚数部、43−1…被覆がCoフェライトの磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の実数部、43−2…被覆がCoフェライトの磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の虚数部、44−1…被覆がFeフェライトの磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の実数部、44−2…被覆がFeフェライトの磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の虚数部、45−1…被覆がNiZnフェライトで超音波を用いた磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の実数部、45−2…被覆がNiZnフェライトで超音波を用いた磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の虚数部、46−1…被覆がない磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の実数部、46−2…被覆がない磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の虚数部、51−1…実施例1で作製したフェライト被覆磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の実数部、51−2…実施例1で作製したフェライト被覆磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の虚数部、52−1…実施例4−3で作製したフェライト被覆磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の実数部、52−2…実施例4−3で作製したフェライト被覆磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の虚数部、53−1…実施例4−1で作製したフェライト被覆磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の実数部、53−2…実施例4−1で作製したフェライト被覆磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の虚数部、54−1…実施例4−2で作製したフェライト被覆磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の実数部、54−2…実施例4−2で作製したフェライト被覆磁性金属微粒子粉末成形体の透磁率の虚数部、61…磁性金属微粒子、62…フェライト層、71…磁性金属微粒子、72…粒界のフェライト層。

Claims (8)

  1. 磁性金属微粒子と、
    前記磁性金属微粒子を被覆する平均厚さが2nm以上100nm未満の均一で緻密なフェライト被覆層と
    を備えたことを特徴とするフェライト被覆磁性金属微粒子。
  2. 前記フェライト被覆層は、前記磁性金属微粒子と水との懸濁液の液面に酸素を含む気体を接触させた状態で前記懸濁液を攪拌しながら前記懸濁液に2価鉄イオンを有するフェライトめっき反応液とpH調整液とを添加し、前記懸濁液のpHが7以上12未満、前記懸濁液の液温が50℃以下にて形成したフェライト被覆層であることを特徴とする請求項1記載のフェライト被覆磁性金属微粒子。
  3. 磁性金属微粒子を被覆するフェライト微小粒子の最大粒径が50nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のフェライト被覆磁性金属微粒子。
  4. 平均厚さが2nm以上100nm未満の均一で緻密なフェライト被覆層で被覆されたフェライト被覆磁性金属微粒子粉末を成形したことを特徴とするフェライト被覆磁性金属微粒子成形体。
  5. 飽和磁化が前記磁性金属粒子の有する飽和磁化の60%以上であることを特徴とする請求項4記載のフェライト被覆磁性金属微粒子成形体。
  6. 透磁率との自然共鳴周波数との積が3×10Hz以上であることを特徴とする請求項3又は4項記載のフェライト被覆磁性金属微粒子成形体。
  7. 磁性金属微粒子を水に浸漬し水面に酸素を含む気体を接触させた状態で攪拌し前記磁性微粒子を懸濁させて懸濁液とし、前記懸濁液の攪拌を続けながら2価鉄イオンを有するフェライトめっき反応液と前記懸濁液のpHを調整するpH調整液とを前記懸濁液に添加し、前記懸濁液のpHが7以上12未満、液温が50℃以下にて前記磁性金属微粒子表面を均一で緻密なフェライト被覆層で被覆することを特徴とするフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法。
  8. 請求項7記載のフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法に対する前記磁性金属微粒子の前処理工程として、前記磁性金属微粒子を2価鉄イオンを有する水溶液に浸漬する工程を備えたことを特徴とするフェライト被覆磁性金属微粒子の製造方法。
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