JP2005142514A - 磁気部材および磁気部材の製造方法 - Google Patents

磁気部材および磁気部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高周波帯域においても優れた透磁率と飽和磁化強度とを有する低損失の磁気部材およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 超音波励起フェライトメッキ法により、直径20μmの球形パーマロイ粒子の表面に平均厚さ0.5μmのNiZnフェライト被膜を形成し、この複合磁性粒子の粉末をプレス成形してコアとする。このコアを、FeCl、NiCl、ZnClの混合溶液、酸化剤NaNOおよびpHコントロール剤NHOHを混合させた反応溶液中に浸漬(反応溶液温度60℃で30分)させてコア37に再メッキを施す。このようにして得られたコア37では、金属磁性粒子11同士は、フェライト被膜の結合部14を介して結合し、金属磁性粒子11同士が直接接触することがないので、フェライト被膜金属磁性粒子相互間での磁気的結合を維持しつつ磁性粒子同士の結合の度合いを小さくすることが可能となる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、磁気部材および磁気部材の製造方法に関し、より詳細には、高周波帯域においても優れた透磁率と飽和磁化強度とを有する低損失の磁気部材およびその製造方法に関する。
近年の各種電子機器の小型化・軽量化に伴い、これらの電子機器に搭載されるスイッチング電源などの各種部品についても小型化・軽量化が要求されている。このような小型化・軽量化は、薄型化が求められるノート型パソコン、小型携帯機器、薄型CRTあるいはフラットパネルディスプレイなどに用いられるスイッチング電源で特に強く要求されている。しかしながら、従来のスイッチング電源は、その主要な構成部品であるトランス、リアクトルなどの磁気部品が大きな体積を占めざるを得ず、小型化・軽量化・薄型化には限界があった。
このようなスイッチング電源に使用されるトランスやリアクトルなどの磁気部品用部材には、従来、センダストやパーマロイなどの金属磁性材料や、フェライトなどの酸化物磁性材料が使用されていた。金属磁性材料は高い飽和磁束密度と透磁率とを有する反面、電気抵抗率が低いために、特に高周波帯域における渦電流損失が大きくなってしまい、高速動作や高周波駆動が求められる近年の磁気部品の小型化への障害となる。一方、酸化物磁性材料は、金属磁性材料に比べて電気抵抗率が高いために高周波帯域で生じる渦電流損失が小さいものの、飽和磁束密度が小さいためにその体積を小さくすることが困難である。磁気部品用部材として金属磁性材料または酸化物磁性材料のいずれの磁性材料を用いる場合も、磁性体コアの体積がインダクタンス値を決定づける主要因であり、磁性材料そのものの磁気特性を向上させない限り、磁気部品の小型化・軽量化・薄型化は困難となっていた。
このような問題に鑑みて、最近では、高い飽和磁束密度と透磁率とを有する金属磁性粒子の表面に、電気抵抗率の高い酸化物磁性材料の被膜を形成した複合磁性材料が提案されるようになってきた。このような複合磁性材料では、酸化物磁性被膜の厚さを厚くしすぎると透磁率や飽和磁束密度などの磁気特性の低下が生じるため、金属磁性粒子相互間の絶縁が得られる範囲で、被膜を均一に薄く形成させることが重要とされる。
例えば、特許文献1には、金属磁性材料の表面に高透磁率の金属酸化物の被膜を形成した高透磁率磁性材料が提案されている。また、特許文献2には、1〜10μmの金属磁性粒子の表面をM−Fe(ただし、MはNi、Mn、Znの何れかであり、xは2以下である)で組成表記されるスピネル組成の金属酸化物磁性材料で被覆した高密度焼結磁性体が提案されており、このような高密度焼結磁性体を得るために、金属磁性材料の磁気特性を損なわない温度で熱処理を施した後に熱間静水圧焼成するとの製造方法が開示されている。さらに、特許文献3には、金属または金属間化合物の磁性体微粒子粉末の表面をソフトフェライト層で被覆してこの微粒子粉末を高周波誘導加熱や放電プラズマ加熱などの加熱方法により圧縮成形し、磁性体微粒子相互間の磁路をソフトフェライト層を介して形成した複合磁性材料の発明が開示されている。
特許文献4には、軟磁性金属粒子に高抵抗の軟磁性物質を被覆し、これをプラズマ活性化焼結して複合軟磁性材料製の磁性コアを製造する方法が開示されており、この方法で得られた磁性コアは、高抵抗軟磁性物質被覆の厚さを適正に設定することでコアロスを所望の値とすることができるとされている。また、特許文献5には、軟磁性の金属粒子と、その表面に被覆された高抵抗物質と、この高抵抗物質の表面に被覆されたリン酸系化成処理被膜とからなる軟磁性粒子を用いて、高比抵抗の軟磁性成形体を高密度で得る方法が開示されている。
特開昭53−91397号公報 特開昭56−38402号公報 特開2003−86415号公報 特開平5−47541号公報 特開2001−85211号公報
従来の酸化物磁性材料被膜を有する金属磁性材料の成形は、特許文献1および特許文献2に記載されている方法を含め、圧縮成形法や真空焼結法あるいは還元雰囲気焼結法などによる常圧焼結や、ホットプレス焼結法やHIP焼結法などによる加圧焼結により行われていた。
図1は圧縮成形法で成形した際の複合磁性粒子同士の接触状態の例を説明するための図で、この図において、1は金属磁性粒子であるパーマロイ粒子、2は酸化物磁性被膜であるフェライト被膜、そして、3はフェライト被膜されたパーマロイ粒子たる複合磁性粒子同士の接触部である。圧縮成形法で成形を行うと、この図に示すように、これらの複合磁性粒子の表面は曲面であるために粒子同士が点接触し、パーマロイ粒子1相互間の磁気的結合部分が極端に小さくなって透磁率が低くなってしまう。このような複合磁性粒子を塑性変形させて粒子同士の接触面積を大きくし透磁率を高めることも可能であるが、複合磁性粒子が塑性変形する際にフェライト被膜2が破壊され、パーマロイ粒子1とフェライト被膜2の間で剥離が生じたり、フェライト被膜2にクラックが入ったりして電気抵抗率が低下し、結果的に磁気部品の渦電流損失が大きくなってしまうなどの弊害があった。また、微視的にみるとフェライト被膜2の凹凸により複合磁性粒子同士の接触部は点接触であるため、透磁率の向上には限界があった。さらに、粒子を塑性変形させるためには5ton/cm以上もの大きな加圧が必要とされ、全体を均一に加圧することは工業上容易ではなかった。そこで、焼結により複合磁性粒子相互間で熱拡散反応を起させ、磁性粒子間での磁気的結合を損なうことなく粒子同士を物理的に結合する成形方法が提案されている。
図2は、焼結成形法で成形した際の複合磁性粒子同士の接触状態の例を説明するための図で、この図において、1は金属磁性粒子であるパーマロイ粒子、2は酸化物磁性被膜であるフェライト被膜、そして、4はフェライト被膜されたパーマロイ粒子たる複合磁性粒子同士の反応部である。この図に示すように焼結成形法によれば、焼結により複合磁性粒子のフェライト被膜2相互間で熱拡散反応が生じてフェライト被膜2が破壊されることなく反応し、微視的にみたフェライト被膜2の凹凸による複合磁性粒子同士の接触部も点接触から一体化した面での接触となる。その結果、複合磁性粒子間での磁気的結合を損なうことなく粒子同士を物理的に結合することが可能となる。
しかしながら、このような焼結に要する温度は900〜1200℃であり、また、焼結時間は1時間以上が必要とされ、このような高温で1時間以上複合磁性粒子を保持すると、酸化物磁性被膜であるフェライト被膜2に含まれる酸素原子が金属磁性粒子であるパーマロイ粒子1側に拡散してフェライト被膜2が還元されてしまう。そのため、フェライト被膜2はその酸素欠損のために電気抵抗率が低下し、結果的に渦電流損失が大きくなってしまうこととなる。また、焼結条件を成形体の全域に渡って均一とすることが事実上困難であるために、焼結部位によっては複合磁性粒子の結晶成長が促進され、フェライト被膜2を突き破ってパーマロイ粒子1同士が反応し、電気抵抗率が低下して結果的に磁気部品に渦電流損失が大きくなってしまうという問題も生じる。逆に、フェライト被膜2が化学的に安定に維持される温度である200〜500℃程度の低温で成形を行っても、複合磁性粒子同士の焼結は進行せず磁気的結合の増大は期待できない。
特許文献4に記載のようにプラズマ活性化焼結法を用いると、600〜1200℃の温度で1〜10分間程度の短時間で焼結成形することができ、酸化物磁性被膜から金属磁性粒子への酸素原子の拡散を防ぐことができる。しかしながら、酸化物磁性被膜の厚みが薄い場合には、僅かの結晶成長によっても酸化物磁性被膜を突き破って金属磁性粒子同士が反応してしまい、電気抵抗率が低下して結果的に渦電流損失が大きくなるために高周波での使用に耐えることができなかった。また、酸化物磁性被膜を厚くすると透磁率や飽和磁束密度などが低下してしまうために小型化が困難となる。
特許文献5のように複合磁性粒子が、軟磁性の金属粒子と、その表面に被覆された高抵抗物質と、この高抵抗物質の表面に被覆されたリン酸系化成処理被膜とからなる場合には、表面に被覆された高抵抗材としてMnZnフェライトやNiZnフェライトなどの磁性体を用いても、最外周のリン酸系化成処理被膜が磁性体ではないために、金属粒子同士の磁気的結合が弱く、透磁率や飽和磁束密度などが低くなってしまうこととなる。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高周波帯域においても優れた透磁率と飽和磁化強度とを有する低損失の磁気部材およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、第1の発明は、複合磁性粒子の粉末を成形して得られた磁気部材であって、前記複合磁性粒子は、表面に第1のフェライト被膜を有する金属磁性粒子であり、当該複合磁性粒子同士は、前記第1のフェライト被膜の表面に形成された第2のフェライト被膜を介して結合していることを特徴とする。
第2の発明は、複合磁性粒子の粉末を成形して得られた磁気部材であって、前記複合磁性粒子は、表面にフェライト被膜を有する金属磁性粒子であり、当該複合磁性粒子相互の空隙にはフェライト超微粒子が充填されていることを特徴とする。
好ましくは、前記金属磁性粒子は、鉄、コバルトまたはニッケル金属あるいはこれらの金属をベースとする合金または超合金からなる。また好ましくは、前記フェライトが、NiZnフェライト、Coフェライト、CoZnフェライトあるいはこれらのフェライトを主成分とする複合フェライトである。さらに好ましくは、前記フェライト超微粒子は、Fe、Mn、Co、Ni、Cu、Zn系の組成物、あるいはこれらの系の組成物を複数含むものである。
第3の発明は、磁気部材の製造方法であって、金属磁性粒子の表面に第1のフェライト被膜を有する複合磁性粒子の粉末をプレス成形する第1のステップと、前記第1のステップで得られた成形体にメッキ処理を施し、前記第1のフェライト被膜表面に第2のフェライト被膜を形成して前記複合磁性粒子同士を結合させる第2のステップと、を備えている。
第4の発明は、磁気部材の製造方法金属磁性粒子の表面に第1のフェライト被膜を有する複合磁性粒子の粉末をプレス成形する第1のステップと、フェライト超微粒子を分散させた水溶液中に前記第1のステップで得られた成形体を浸漬処理して、前記複合磁性粒子相互の空隙にフェライト超微粒子を充填する第2のステップと、を備えている。
本発明によれば、フェライト被膜金属磁性粒子相互間での磁気的結合を維持しつつ磁性粒子同士の結合の度合いを小さくすることが可能となるので、高周波帯域においても高い透磁率と高い飽和磁化強度を有する低損失の磁気部材を提供することが可能となる。このような磁気部材をトランスなどの部材として用いることとすれば、従来の磁気部材を用いる場合と比較して、小型化・薄型化が可能になる。これにより、ノート型パソコン、小型携帯機器、簿型CRT、テレビなどの電源として従来にない薄型のトランスやスイッチング電源を実現することが可能となる。
先ず、本発明の磁気部材を作製するに際して用いられる複合磁性粒子について説明する。本発明において用いる複合磁性粒子は、金属磁性粒子であるパーマロイ粒子の表面が、酸化物磁性被膜であるフェライト被膜により被覆されている。ここで、金属磁性粒子の材料としては透磁率が高い金属材料であればよく、パーマロイの他に、鉄、コバルト、ニッケルなどの単金属やスーパーアロイ、若しくはこれらの金属をベースとする合金などであってもよい。また、フェライト被膜の材料としては、高い電気抵抗率を有するNiZnフェライトやCoフェライト、あるいは、高い飽和磁化を有するCoZnフェライト、さらには、これらのフェライトを主成分とする複合フェライトなどであってもよい。
以下に図面を参照して、本発明の磁気部材について説明する。
複合磁性粒子であるフェライト被覆金属粒子粉末の作製は、超音波励起フェライトメッキ法により、以下のように実行した。先ず、金属磁性粒子としてアトマイズ法により作製した直径20μmの球形パーマロイ粒子を用い、これをガラス製の反応容器中にFeCl、NiCl、ZnClの混合水溶液中に浸漬させ、酸化剤であるNaNO、および、pHコントロール剤であるNHOHを所定量供給しながら反応溶液である混合水溶液のpH値を8.0に維持する。この時、反応溶液の温度は熱浴により60℃に保持し、周波数19.5kHzの超音波ホーンにより反応溶液に超音波を与え、この状態で30分間保持する。その後、球形パーマロイ粒子の粉末を水洗し、環境温度60℃の大気中で1時間乾燥させて採取した。これにより、直径20μmの球形パーマロイ粒子の表面に平均厚さ0.5μmのNiZnフェライト被膜が形成される。
こうして得られた複合磁性粒子1gを金型に充填し、2ton/cmの圧力で一軸プレスして成形を行い、外径8mm、内径3mm、厚さ3mmの成形体(コア)を作製し、その後、コアとして成形されている複合磁性粒子の表面にフェライトの再メッキを実行した。再メッキされるフェライトは、Fe系の他に、Mn、Co、Ni、Cu、Zn系の組成物、あるいはこれらの系の組成物を複数含むものであってもよい。
図3は、本実施例の再メッキで用いた反応容器系の概念図で、FeCl、NiCl、ZnClの混合水溶液の液溜31と、酸化剤であるNaNOの液溜32と、pHコントロール剤であるNHOHの液溜33とが設けられており、これらの各液溜の薬液を各々の液溜に設けられたバルブ(39a〜c)を制御して流量調整することにより所定量だけ反応容器34に供給する。再メッキされるコア37は2枚の仕切板(36a、36b)によって挟持されるように保持され、反応溶液中に浸漬される。なお、反応溶液のpHコントロールは、図示しないpHコントローラにより反応溶液のpH値をモニタしながらNHOHの供給量を調整し、反応溶液のpHが8.0に保たれるように行われ、反応容器34は恒温槽35内で所定の温度に維持されるようになっている。
コア37の浸漬は反応溶液温度60℃で30分行い、送液ポンプ38で反応溶液を抜いた後に取り出して水洗し、真空中60℃で1時間の乾燥をおこなった。これによりコア37への再メッキが完了する。
図4は、このようにして得られたコア37の断面をSEM観察した際の複合磁性粒子同士の接触状態を説明するための図である。図4に示すように、金属磁性粒子11同士は、フェライト被膜(再メッキ前のフェライト被膜12と、再メッキにより形成されたフェライト被膜12´とで形成される金属磁性粒子11の表面被膜)の結合部14を介して結合しており、金属磁性粒子11同士が直接接触することなく結合していることが確認された。このような結合状態では、フェライト被膜金属磁性粒子相互間での磁気的結合を維持しつつ磁性粒子同士の結合の度合いを小さくすることが可能となる。
このようにして得られたコア37の表面をエポキシ樹脂でコーティングし、リング型コアを作製した。
本実施例では、プレスして成形して得られた成形体(コア)にフェライト再メッキを行うかわりに、コアの空隙に事後的にフェライトの超微粒子を充填させた例である。
先ず、実施例1と同様に、複合磁性粒子であるフェライト被覆金属粒子粉末の作製を超音波励起フェライトメッキ法により実行し、直径20μmの球形パーマロイ粒子の表面に平均厚さ0.5μmのNiZnフェライト被膜を形成した。この複合磁性粒子をプレス成形して、外径8mm、内径3mm、厚さ3mmの成形体(コア)を作製した。
これとは別に、下記の手順によりフェライトの超微粒子の作製を行った。すなわち、FeCl、NiClおよびZnClの混合水溶液を蓄えたガラス製の反応容器中に、酸化剤であるNaNOとpHコントロール剤であるNHOHとを所定量だけ添加してpHを8.0とし、この反応溶液の液温を60℃に保った状態で周波数19.5kHzの超音波ホーンにより超音波照射しながら30分間保持した。
上述の処理を施した溶液を乾燥させると粒子の凝集体が得られ、これをSEM観察したところ数十nmの径を有する超微粒子の凝集体であることが確認された。また、この凝集体をXRD測定した結果、平均結晶子径が50nmのスピネル構造を有するフェライトの超微粒子結晶であることがわかった。
これらの工程に続き、成形体(コア)の空隙にフェライト超微粒子を充填させるための処理を実行した。
図5は、本実施例のフェライト超微粒子充填に用いた反応容器系の概念図で、上述の方法により得られたフェライト超微粒子を分散させた水溶液の液溜41から供給される水溶液を蓄えた反応容器42中に、2枚の仕切板(43a、43b)によって挟持されるように保持されたコア44を浸漬する。水溶液は、液溜41に設けられたバルブ46と送液ポンプ45により流量制御されて循環するようになっている。コア44の浸漬を30分行った後に水洗して真空中60℃で1時間の乾燥をおこなった。
図6は、このようにして得られたコア44の断面をSEM観察した際のフェライト超微粒子の充填状態を説明するための図である。図6に示すように、金属磁性粒子11同士の空隙にフェライト超微粒子13が充填されていることが確認された。フェライト超微粒子13の介在により、フェライト被膜金属磁性粒子相互間での磁気的結合を維持しつつ磁性粒子同士の結合の度合いを小さくすることが可能となる。
このようにして得られたコア44の表面をエポキシ樹脂でコーティングし、リング型コアを作製した。
(比較例)
比較用試料として、実施例1と同様の手順でプレス成型して得られたコア(外径8mm、内径3mm、厚さ3mm)に、実施例1のような再メッキや実施例2のようなフェライト超微粒子充填を行うことなく、コアの表面をエポキシ樹脂でコーティングしてリング型コアを作製した(比較例1)。なお、このコアの断面をSEM観察した結果、図7に示すように、複合磁性粒子同士は点接触となっていた。
さらに、以下の手順により、もう一つの比較例(比較例2)となるコアを得た。先ず、実施例1と同様に、超音波励起フェライトメッキ法により直径20μmの球形パーマロイ粒子の表面に平均厚さ0.5μmのNiZnフェライト被膜を有する粒子を作製した後、このフェライト被膜粒子を実施例2と同様の手順で得たフェライト超微粒子水溶液中に混合させて乾燥させることにより、フェライト超微粒子を付着させたフェライト被覆パーマロイ複合粒子を得た。
次に、このフェライト超微粒子が付着したフェライト被覆パーマロイ複合粒子を、実施例1と同様の手順でプレス成形し、外径8mm、内径3mm、厚さ3mmの成形体(コア)を得た後に、再メッキやフェライト超微粒子充填を行わずに、成形体の表面をエポキシ樹脂でコーティングし、リング型コアを作製した。
なお、このコアの断面をSEM観察した結果、図8に示すように、複合磁性粒子同士の間にフェライトの超微粒子13が入り込み、フェライト被覆粒子同士の直接の接触はなくなり、フェライト被覆粒子相互間の重心間隔は長くなっていた。
これまで説明してきた実施例1、2および比較例1、2で得られたエポキシ樹脂でコーティング済みのリング型コアに、絶縁被覆された導体線を巻きつけてインダクタを作製し、B−HトレーサおよびLCRメータを用いて、飽和磁束密度Bs、周波数5MHzでの比透磁率μsおよびμ”を測定した。ここで、μ”は、比透磁率μsを複素透磁率(μ’−iμ”)で表記した場合の虚数部であり、この値は磁気特性の損失の指標となる。交流磁界中では磁束密度が磁界の変化に追いつかずに磁界波の位相が遅れるため、透磁率μの実数項μ’と虚数項μ”とに分けて考えることになる。このうち、実数項μ’は磁界と同じ位相の磁束密度成分に関するもので、虚数項μ”は位相の遅れを含む指標であり磁気エネルギの損失分に相当する。一般に、エネルギ損失は熱エネルギとなって発熱される。
測定により得られた結果を表1に示す。
Figure 2005142514
この表に示した結果から明らかなように、プレス成型して得られた成形体の表面にフェライトを再メッキしたり、あるいは、プレス成型後の成形体の空隙にフェライトの超微粒子を充填させたりすることにより、透磁率が高く、高周波帯域においても損失の小さい磁気部品を得ることができる。これは、上記の工程を経ることにより、フェライト被膜金属磁性粒子相互間での磁気的結合を維持しつつ磁性粒子同士の結合の度合いを小さくすることが可能となるためと考えられる。
本発明は、高周波帯域においても優れた透磁率と飽和磁化強度とを有する低損失の磁気部材およびその製造方法の提供を可能とする。
圧縮成形法で成形した際の複合磁性金属粒子同士の接触状態を説明するための図である。 焼結成形法で成形した際の複合磁性粒子同士の接触状態の例を説明するための図である。 実施例1の再メッキで用いた反応容器系の概念図である。 実施例1で得られたコアの断面をSEM観察した際の複合磁性粒子同士の接触状態を説明するための図である。 実施例2のフェライト超微粒子充填に用いた反応容器系の概念図である。 実施例2で得られたコアの断面をSEM観察した際のフェライト超微粒子の充填状態を説明するための図である。 比較例1のコアの断面をSEM観察した際の複合磁性粒子同士の接触状態を説明するための図である。 比較例2のコアの断面をSEM観察した際の複合磁性粒子相互間に存在するフェライト超微粒子の様子を説明するための図である。
符号の説明
1 パーマロイ粒子
2 フェライト被膜
3 複合磁性粒子同士の接触部
4 複合磁性粒子同士の反応部
11 金属磁性粒子
12 再メッキ前のフェライト被膜
12´ 再メッキにより形成されたフェライト被膜
13 フェライト超微粒子
14 結合部
31、32、33、41 液溜
34、42 反応容器
35 恒温槽
36a、36b、43a、43b 仕切板
37、44 コア
38、45 送液ポンプ
39a、39b、39c、46 バルブ

Claims (7)

  1. 複合磁性粒子の粉末を成形して得られた磁気部材であって、
    前記複合磁性粒子は、表面に第1のフェライト被膜を有する金属磁性粒子であり、
    当該複合磁性粒子同士は、前記第1のフェライト被膜の表面に形成された第2のフェライト被膜を介して結合していることを特徴とする磁気部材。
  2. 複合磁性粒子の粉末を成形して得られた磁気部材であって、
    前記複合磁性粒子は、表面にフェライト被膜を有する金属磁性粒子であり、
    当該複合磁性粒子相互の空隙にはフェライト超微粒子が充填されていることを特徴とする磁気部材。
  3. 前記金属磁性粒子は、鉄、コバルトまたはニッケル金属あるいはこれらの金属をベースとする合金または超合金からなることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気部材。
  4. 前記フェライト被膜は、NiZnフェライト、Coフェライト、CoZnフェライトあるいはこれらのフェライトを主成分とする複合フェライトであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の磁気部材。
  5. 前記フェライト超微粒子は、Fe、Mn、Co、Ni、Cu、Zn系の組成物、あるいはこれらの系の組成物を複数含むものであることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の磁性部材。
  6. 金属磁性粒子の表面に第1のフェライト被膜を有する複合磁性粒子の粉末をプレス成形する第1のステップと、
    前記第1のステップで得られた成形体にメッキ処理を施し、前記第1のフェライト被膜表面に第2のフェライト被膜を形成して前記複合磁性粒子同士を結合させる第2のステップと、
    を備えていることを特徴とする磁気部材の製造方法。
  7. 金属磁性粒子の表面に第1のフェライト被膜を有する複合磁性粒子の粉末をプレス成形する第1のステップと、
    フェライト超微粒子を分散させた水溶液中に前記第1のステップで得られた成形体を浸漬処理して、前記複合磁性粒子相互の空隙にフェライト超微粒子を充填する第2のステップと、
    を備えていることを特徴とする磁気部材の製造方法。
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