JP4507176B2 - 複合磁性材料および磁気部品 - Google Patents

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Description

本発明は、スイッチング電源などに搭載されるトランスやリアクトルなどに用いる複合磁性材料および磁気部品に関する。
近年、各種電子機器は小型・軽量化されてきており、なおかつ低消費電力化が求められている。これに伴い電子機器に搭載される電源として小型のスイッチング電源に対する要求が高まっている。特にノート型パソコンや携帯電話等の小型携帯機器、薄型CRT、テレビのフラットパネルディスプレイに用いられるスイッチング電源では、小型・薄型化が強く求められている。
しかしながら、従来のスイッチング電源では、その主要な構成部品であるトランスやリアクトルなどの磁気部品が大きな体積を占めており、これら磁気部品の体積を縮小しない限り、スイッチング電源を小型・薄型化することは困難となっていた。
従来、このようなスイッチング電源に使用されているトランスやリアクトルなどの磁気部品には、センダストやパーマロイ等の金属磁性材料や、フェライトなどの酸化物磁性材料が使用されていた。金属磁性材料は、一般に高い飽和磁束密度と透磁率を有するが、電気抵抗率が低いため、特に高周波数領域では渦電流損失が大きくなってしまう。近年、電源回路を高周波駆動して必要なインダクタンス値を下げることにより磁気部品を小型化する傾向にあるが、渦電流損失の影響から金属磁性材料を高周波で使用することはできない。一方、酸化物磁性材料は、金属磁性材料に比べ電気抵抗率が高いため、高周波数領域でも発生する渦電流損失が小さい。しかしながら、飽和磁束密度が小さいため、その体積を小さくすることができなかった。つまり、いずれの場合でも磁性材料の体積がインダクタンス値を決定付ける一番大きな要因となっていて、磁性材料自体の磁気特性を向上させない限り、小型・薄型化が困難となっていた。
このように、従来の磁気部品では、小型化に限界があり、電子機器の小型・薄型化の要求に充分に応えられるものではなかった。
ところが最近、金属磁性材料および酸化物磁性材料の両者の長所を有する磁性材料として、飽和磁束密度および透磁率が高い金属磁性材料の表面に、電気抵抗率の高い酸化物磁性材料の被膜を形成した磁性材料が提案されている。例えば、金属磁性材料の粉末の表面に高透磁率金属酸化物の被膜を形成した高透磁率材料が提案されている(特許文献1参照)。また、1〜10μmの粒子からなる金属磁性材の表面をM−Fe(但しM=Ni、Mn、Zn、x≦2)で表されるスピネル組成の金属酸化物磁性材で被覆してなる高密度焼結磁性体が提案されている(特許文献2参照)。さらに、表面がフェライト層で被覆された金属または金属間化合物の強磁性体微粒子粉末が圧縮成形され、上記フェライト層を介して上記強誘電体粒子粉末の粒子間に磁路を形成するものであることを特徴とする複合磁性材料が提案されている(特許文献3参照)。これによれば、表面をフェライト層により被覆された金属または金属間化合物の強磁性体微粒子粉末にフェライト超微粒子粉末が混合されて圧縮成形され、複合体を形成している(同特許文献、請求項7参照)。また、発明の実施の形態として、表面がフェライト層で被覆された金属または金属間化合物強磁性体微粒子が粒度分布をもって配合されており、大きい粒子が充填されて生じた粒子の隙間を小さい粒子が順次埋めていくことにより、粒子の充填率を高めた構造が模式的に示されている。
特開昭53−91397号公報 特開昭56−38402号公報 国際公開第03/015,109号パンフレット 腐食防食協会編 「金属材料の高温酸化と高温腐食」、丸善、1982年7月、p.21以下(2 金属の高温酸化)
フェライト等の高抵抗酸化物磁性材料で被覆した金属磁性粒子を圧縮成形して作製した複合磁性材料の透磁率は、熱処理によって大きく向上するが、周波数特性が悪化してしまう。これは、高抵抗酸化物磁性材料の高い抵抗率が熱処理によって低下するためである。抵抗率が低下する主な原因は、熱処理によって金属磁性粒子内に含まれる鉄(Fe)が高抵抗酸化物磁性材料内に拡散し、高抵抗酸化物磁性材料の還元による抵抗率の低下、およびより抵抗率の低いFe酸化物が生成するためである。
従って、本発明は、熱処理によっても周波数特性が悪化しない複合磁性材料およびこれを圧縮成形した磁気部品を提供することを課題とする。
本発明の複合磁性材料は、高抵抗酸化物磁性材料(a)により金属磁性材料(b)の粒子が被覆された粉末において、材料(a)からなる被覆層(A)と材料(b)の粒子の間に、酸化物磁性材料(c1)からなる被覆層(C1)を介在させた積層された複合磁性材料であって、以下の(1)、(2)のいずれかの要件を充たすことを特徴とする。
(1)高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度における平衡解離圧が、該酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度における平衡解離圧以下の値であること。
(2)該酸化物磁性材料(c1)が、熱処理温度において採りうる最も高い酸化状態にあること。
また、本発明の複合磁性材料は、高抵抗酸化物磁性材料(a)により金属磁性材料(b)の粒子が被覆された粉末において、材料(a)からなる被覆層(A)と材料(b)の粒子の間に、酸化物磁性材料(c1)からなる被覆層(C1)を介在させた積層された複合磁性材料であって、高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧が、該酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧の100倍以下の値であるとの要件(8)を充たすことを特徴とする。
また、本発明の複合磁性材料は、高抵抗酸化物磁性材料(a)により金属磁性材料(b)の粒子が被覆された粉末において、材料(a)からなる被覆層(A)と材料(b)の粒子の間に、酸化物磁性材料(c3)からなる被覆層(C3)を介在させた積層された複合磁性材料であって、酸化物磁性材料(c3)が、マグネタイト(Fe)およびγ−Feからなる群から選択される少なくとも1種以上の酸化物磁性材料を含むことを特徴とする。
さらに、本発明の磁気部品は、上記の複合磁性材料の粉末が、圧縮成形されていることを特徴とする。
本発明によれば、熱処理によるフェライト等の高抵抗酸化物磁性材料被膜の抵抗率を低下させることが無く、高透磁率で10MHz以上の高周波帯域で使用可能な磁気部品を作製することができる。これにより、ノート型パソコン・小型携帯機器・薄型ディスプレイなどのスイッチング電源に向けた、高機能でかつ小型・薄型の磁気部品を作ることが可能となる。
A.本発明は、高抵抗酸化物磁性材料(a)により金属磁性材料(b)の粒子が被覆された粉末において、材料(a)からなる被覆層(A)と材料(b)の粒子の間に、酸化物磁性材料(c1)からなる被覆層(C1)を介在させた積層された複合磁性材料であって、以下の(1)、(2)のいずれかの要件を充たすことを特徴とする複合磁性材料を提供する。
(1)高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度における平衡解離圧が、該酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度における平衡解離圧以下の値であること。
(2)該酸化物磁性材料(c1)が、熱処理温度において採りうる最も高い酸化状態にあること。
1.高抵抗酸化物磁性材料(a)
本発明の高抵抗酸化物磁性材料(a)とは、電気抵抗率が10Ω・cm以上の酸化物磁性材料のことをいう。好ましくは絶縁性酸化物磁性材料、その中でも高絶縁性フェライトが挙げられ、より好ましくはNi−Znフェライトである。
2.金属磁性材料(b)
本発明の金属磁性材料(b)としては、好ましくはNi−Fe合金やセンダスト等のFeを主成分とした磁性材料、Co磁性元素を含む磁性材料が挙げられる。また、本発明の金属磁性材料(b)は、粒子として用いられる。
3.酸化物磁性材料(c1)
本発明の酸化物磁性材料(c1)とは、以下の(1)、(2)のいずれかの要件を充たす酸化物磁性材料である。
(1)高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度における平衡解離圧が、該酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度における平衡解離圧以下の値であること。
(2)該酸化物磁性材料(c1)が、熱処理温度において採りうる最も高い酸化状態にあること。
該材料(c1)は、上記(1)、(2)のいずれかの要件を充たすことで、熱処理温度において、高抵抗酸化物磁性材料(a)の還元を抑制する性質を有する。また、高抵抗酸化物磁性材料(a)とは異なり、必ずしも高抵抗である必要はない。もっとも、かかる酸化物磁性材料(c1)は、透磁率向上のために磁性体でなければならず、好ましくはマグネタイトFeおよびγ−Feからなる群から選択される少なくとも1種以上の酸化物磁性材料を用いることができる。要件(1)を充たし得るものとしてマグネタイトFeを挙げることができる。また、要件(2)を充たし得るものとして、γ−Feを挙げることができる。
ここで、要件(1)の「高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度における平衡解離圧」とは、高抵抗酸化物磁性材料(a)が、該高抵抗酸化物磁性材料(a)より一つ低い酸化状態の物質(酸化物または金属)と、酸素一分子に解離する際の、熱処理温度における平衡定数(単位atm)のことをいい、これはかかる解離平衡における酸素の分圧に等しくなる。熱処理温度とは、複合磁性材料の透磁率を向上させるために熱処理する温度のことをいい、該温度としては、500〜800℃、より好ましくは600℃前後の温度が挙げられる。そして、上記「一つ低い酸化状態の物質」とは、高抵抗酸化物磁性材料(a)が還元された場合に、まず最初に採りうる可能性のある酸化状態の物質をいう。例えば、高抵抗酸化物磁性材料(a)としてNi−Znフェライトを例にとると、Ni−Znフェライトは、NiO、ZnO、Feの固溶体であり、これらについての一つ低い酸化状態の物質は、それぞれNi、Zn、Feとなる。
同様に、「該酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度での平衡解離圧」とは、酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物が、該酸化物磁性材料(c1)と、酸素一分子に解離する際の、熱処理温度における平衡定数(単位atm)のことをいい、これはかかる解離平衡における酸素の分圧に等しくなる。
また、要件(1)の「酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物」とは、該酸化物磁性材料(c1)が酸化された場合に、まず最初に採りうる可能性のある酸化状態の酸化物をいう。例えば、酸化物磁性材料(c1)としてFeを例に採ると、Feが一つ高い酸化状態の酸化物である。
代表的な酸化物の平衡解離圧のデータを表1に示す。かかる平衡解離圧は、酸化還元平衡図から求めることができる(非特許文献1参照)。
Figure 0004507176
また、要件(2)の「最も高い酸化状態」とは、該酸化物磁性材料(c1)中の金属酸化物につき、熱処理温度において採りうることの知られている最も高い酸化状態にあることをいう。たとえば、酸化鉄については、Feがこれに相当する。最も高い酸化状態にあるため、自らがさらに酸化されると同時に高抵抗酸化物磁性材料(a)を還元するということが考えられないからである。
なお、高抵抗酸化物磁性材料(a)、酸化物磁性材料(c1)が、それぞれ複数の成分を含む場合の要件(1)、(2)のいずれかの要件を充たすか否かについては、以下の(I)、(II)ように決定すればよい。もっとも、(I)、(II)における決定に際しては、高抵抗酸化物磁性材料(a)、酸化物磁性材料(c1)いずれにおいても、含有量の少ない順に累積加算して合計5重量%に達するまでの軽微な成分群は存在しないものとして決定してよいとする。
(I)酸化物磁性材料(c1)の複数の成分のうち、要件(2)を充たす成分は除外し、残りの酸化物成分(以下、「c1残余成分」と略す。)につき、次の(II)の検討に進む。もっとも、該材料(c1)中のすべての酸化物成分が要件(2)を充たせば、該材料(c1)は要件(2)を充たすと判断し、以下の(II)についての検討は不要である。
(II)上記(I)のc1残余成分につき、要件(1)を充たすか否かを検討する。すなわち、高抵抗酸化物磁性材料(a)の各酸化物成分のうち、最大の平衡解離圧をもつ成分についての平衡解離圧の値が、c1残余成分の各酸化物成分に対応する酸化状態が一つ高い各酸化物のうち最少の平衡解離圧をもつ酸化物についての平衡解離圧以下であれば、要件(1)を充たし、逆により大きければ要件(1)を充たさない。
4.被覆層(C1)
かかる酸化物材料の平衡解離圧が高いと、該酸化物材料は不安定であり、平衡解離圧のより低い別の酸化物に対応する、酸化状態の一つ低い物質が共存すると、該酸化物材料は還元されるとともに、該物質(金属や酸化物)は酸化されてしまう。すなわち、酸化物同士または酸化物と金属が接した場合の酸化還元反応の起り易さが、酸化物の平衡解離圧によって決定される。このことから、FeはNi−Znフェライトに含まれるFeとNiOを還元し、自身はFeOに酸化され、さらにFeOが酸化されてFeに変化してしまう。また、NiもFeを還元し、自身はNiOに酸化される。このため、たとえば金属磁性材料(b)がNi−Fe合金の粒子であり、これに高抵抗酸化物磁性材料(a)としてNi−Znフェライト被膜が直接接している場合、金属磁性材料(b)中のNiとFeはNi−Znフェライトを還元してしまい、抵抗率の低いFeやFeOを生成しやすい状態になる。
そこで、かかる還元反応を抑えるため、本発明では、上記要件(1)、(2)のいずれかの要件を充たすことによって、高抵抗酸化物磁性材料(a)の還元を抑制する性質を有する酸化物磁性材料(c1)からなる被覆層(C1)を、被覆層(A)と金属磁性材料(b)粒子の間に介在させて積層構造を形成させる。たとえば、金属磁性材料(b)粒子を該酸化物磁性材料(c1)で被覆した後、さらに高抵抗酸化物磁性材料(a)により被覆する。また、被覆方法としては、当該技術分野において公知の被覆手段を用いることができるが、好ましくは超音波励起めっき法(特許文献3参照)を用いることができる。
上記被覆によって得られた材料(c1)からなる被覆層(C1)には、二種以上の酸化物磁性材料(c1)を用いることができる。また、被覆層(C1)は単一層のみならず、複数の積層とすることもできる。たとえば、酸化物磁性材料(c1)であるFeを含む被覆層(C1)と別の酸化物磁性材料(c1)であるγ−Feを含む被覆層(C1’)とを積層した被膜に高抵抗酸化物磁性材料(a)であるフェライトを含む被覆層(A)の被膜を形成した3層構造にしてもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、Fe等の材料(c1)以外の成分、たとえば、高絶縁性フェライト等の高抵抗酸化物磁性材料(a)も含めることができ、その配合量は好ましくは材料(c1)に対して30重量%未満である。
5.被覆層(A)
上記被覆によって得られた材料(a)からなる被覆層(A)には、二種以上の高抵抗酸化物磁性材料(a)を用いることができる。また、被覆層(A)は単一層のみならず、複数の積層とすることもできる。
B.本発明は、上記A.に記載される複合磁性材料において、さらに、酸化物磁性材料(c1)の平衡解離圧が、金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての熱処理温度における平衡解離圧以下の値であるとの要件(3)をも充たす、より好ましい複合磁性材料を提供する。
該材料(c1)は、上記のように、高抵抗酸化物磁性材料(a)の還元を抑制する性質を有するが、これに加えて上記要件(3)を充たすことによって、金属磁性材料(b)による還元をも抑制する性質も有する。酸化物磁性材料(c1)としては、好ましくは、上記要件(1)の要件を充たす該材料(c1)を用いることができる。例えば、マグネタイトFeを好適なものとして挙げることができる。
ここで、「酸化物磁性材料(c1)の平衡解離圧」とは、酸化物磁性材料(c1)が、該高抵抗酸化物磁性材料(a)より一つ低い酸化状態の物質(酸化物または金属)と、酸素一分子に解離する際の平衡定数(単位atm)のことをいい、これはかかる解離平衡における酸素の分圧に等しくなる。また、「金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物」とは、該金属を酸化した場合に、まず最初に採りうる可能性のある酸化状態の酸化物をいう。例えば、Niに対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物はNiOであり、Feに対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物はFeOである。さらに、該「酸化物についての熱処理温度における平衡解離圧」とは、該酸化物が、これより一つ低い酸化状態の物質、すなわち金属と、酸素一分子に解離する際の、熱処理温度における平衡定数(単位atm)のことをいい、これはかかる解離平衡における酸素の分圧に等しくなる。熱処理温度とは、複合磁性材料の透磁率を向上させるために熱処理する温度のことをいい、該温度としては、500〜800℃、より好ましくは600℃前後の温度が好ましく用いられる。
なお、酸化物磁性材料(c1)、金属磁性材料(b)が、それぞれ複数の成分を含む場合、(3)の要件である酸化物磁性材料(c1)の平衡解離圧が、金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての平衡解離圧以下の値であるか否かの決定においては、該酸化物磁性材料(c1)の各酸化物成分のうち、最大の平衡解離圧をもつ酸化物成分についての平衡解離圧の値が、金属磁性材料(b)中の各金属成分に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い各酸化物のうち、最少の平衡解離圧をもつ酸化物についての平衡解離圧の値以下であれば、要件(3)を充たし、逆により大きければ要件(3)を充たさない。もっとも、上記要件(3)の決定に際しては、酸化物磁性材料(c1)、金属磁性材料(b)のいずれにおいても、含有量の少ない順に累積加算して合計5重量%に達するまでの軽微成分は存在しないものとして決定してよいものとする。
たとえば、高抵抗酸化物磁性材料(a)としてNi−Feフェライト(NiO、ZnO、Feの固溶体)を用い、金属磁性材料(b)としてNi−Fe合金を用い、酸化物磁性材料(c1)としてFeの組み合わせを採用することができる。すなわち、酸化物磁性材料(c1)であるFeは、高抵抗酸化物磁性材料(a)であるNi−Feフェライトを還元せず、またNi−Feフェライトにより還元されない。また、酸化物磁性材料(c1)であるFeは、金属磁性材料(b)中のFeにより還元はされるものの、600℃の熱処理では平衡状態になり、600℃より高い温度でも平衡解離圧が比較的近く、Feの還元は抑制される。また、Niにより還元されることはない。
C.本発明は、上記A.に記載される複合磁性材料において、 さらに以下の要件(4)〜(7)のいずれも充たすことを特徴とするより好ましい複合磁性材料を提供する。
(4)酸化物磁性材料(c1)の、熱処理温度における平衡解離圧が、金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての、熱処理温度における平衡解離圧より大きい値であること。
(5)酸化物磁性材料(c1)は、熱処理温度において、金属磁性材料(b)により還元されて酸化物磁性材料(c2)を生成するものであること。
(6)高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度における平衡解離圧が、生成した酸化物磁性材料(c2)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度における平衡解離圧以下の値であること。
(7)生成した酸化物磁性材料(c2)の、熱処理温度における平衡解離圧が、金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての、熱処理温度における平衡解離圧以下の値であること。
該材料(c1)は、上記A.において説明したように、熱処理温度において、高抵抗酸化物磁性材料(a)の還元を抑制する性質を有するが、これに加えて、仮に該材料(c1)が、熱処理温度において、金属磁性材料(b)によって還元されても、生成する材料(c2)も酸化物磁性材料であり、該材料(c2)も、高抵抗酸化物磁性材料(a)の還元を抑制するとともに、すでに還元された後の物質であるため、金属磁性材料(b)による還元も抑制するという性質を有する。
酸化物磁性材料(c1)としては、好ましくは上記A.に記載される(2)の要件を充たす該材料(c1)が用いられる。例えば、γ−Feを好適なものとして挙げることができる。
ここで、上記要件(4)は、上記B.に記載される要件(3)を充たさない場合、すなわち、酸化物磁性材料(c1)が、金属磁性材料(b)により還元されることを意味する。また、要件(5)は、酸化物磁性材料(c1)が還元されて生成した材料も酸化物磁性材料であることを意味する。要件(6)、(7)はそれぞれ、上記A.の要件(1)および上記要件B.の要件(3)において、酸化物磁性材料(c1)を酸化物磁性材料(c2)に置き換えたものに相当し、生成した酸化物磁性材料(c2)が、高抵抗酸化物磁性材料(a)の還元を抑制するとともに、金属磁性材料(b)による還元も抑制することを意味する。
例えば、高抵抗酸化物磁性材料(a)としてNi−Feフェライトを用い、金属磁性材料(b)としてNi−Fe合金を用い、酸化物磁性材料(c1)としてγ−Feを採用した場合、酸化物磁性材料(c1)であるγ−Feは、高抵抗酸化物磁性材料(a)であるNi−Feフェライトを還元せず、またNi−Feフェライトにより還元されない。また、酸化物磁性材料(c1)であるγ−Feは、金属磁性材料(b)中のFe、Niにより還元はされるものの、生成した酸化物磁性材料(c2)は、上記酸化物磁性材料(c1)であるFeになるので、上記A.で記載した発明と同様、依然として、高抵抗酸化物磁性材料(a)の還元を抑制する性質を維持すると共に、以後、熱処理温度(〜600℃)において、金属磁性材料(b)による還元を抑制する性質も有するようになる。
D.本発明は、高抵抗酸化物磁性材料(a)により金属磁性材料(b)の粒子が被覆された粉末において、材料(a)からなる被覆層(A)と材料(b)の粒子の間に、酸化物磁性材料(c1)からなる被覆層(C1)を介在させた積層された複合磁性材料であって、高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧が、該酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧の100倍以下の値であるとの要件(8)を充たすことを特徴とする複合磁性材料を提供する。
本発明は、上記A.に記載される複合磁性材料において、平衡解離圧の基準となる温度を「熱処理温度」ではなく、「熱処理温度より200℃高い温度」に置き換え、かつ平衡解離圧の大小関係の基準として、酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物の平衡解離圧を1倍ではなく100倍としたものである。上記A.に記載される複合磁性材料を別の表現で規定し直したものである。
好ましくは上記A.の要件(1)も充たすことが好ましく、高抵抗酸化物磁性材料(a)としてNi−Feフェライト、酸化物磁性材料(c1)としてFeの組み合わせは両要件を充たす。
E.本発明は、上記D.に記載される複合磁性材料において、さらに酸化物磁性材料(c1)の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧が、金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧の100倍以下の値であるとの要件(9)を充たすことを特徴とするより好ましい複合磁性材料を提供する。
本発明は、上記B.に記載される複合磁性材料において、平衡解離圧の基準となる温度を「熱処理温度」ではなく、「熱処理温度より200℃高い温度」に置き換え、かつ平衡解離圧の大小関係の基準として、金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての平衡解離圧を1倍ではなく100倍としたものである。上記B.に記載される複合磁性材料を別の表現で規定し直したものである。
例えば、酸化物磁性材料(c1)としてFeを採用し、金属磁性材料(b)として、Feを採用した場合、熱処理温度を600℃とした場合に、600℃の平衡解離圧は、酸化物磁性材料(c1)および金属磁性材料(b)に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物(FeO)ともに1.3×10−25atmで同じであり要件(3)を充たすが、該熱処理温度より200℃高い800℃においては、酸化物磁性材料(c1)は6.3×10−18atm、金属磁性材料(b)に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物(FeO)は9.5×10−20atmであり、上記要件(9)も充たす。
好ましくは上記B.の要件(3)も充たすことが好ましく、酸化物磁性材料(c1)としてFe、金属磁性材料(b)としてFeやNiの組み合わせは両要件を充たす。
F.本発明は、上記D.に記載される複合磁性材料において、さらに以下の要件(10)〜(13)のいずれも充たすことを特徴とするより好ましい複合磁性材料を提供する。
(10)酸化物磁性材料(c1)の、熱処理温度における平衡解離圧が、金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての、熱処理温度における平衡解離圧より大きい値であること。
(11)酸化物磁性材料(c1)は、熱処理温度において、金属磁性材料(b)により還元されて酸化物磁性材料(c2)を生成するものであること。
(12)高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧が、生成した酸化物磁性材料(c2)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧の100倍以下の値であること。
(13)生成した酸化物磁性材料(c2)の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧が、金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧の100倍以下の値であること。
本発明は、上記C.に記載される複合磁性材料において、平衡解離圧の基準となる温度を「熱処理温度」ではなく、「熱処理温度より200℃高い温度」に置き換え(但し、要件(10)、(11)は除く。)、かつ平衡解離圧の大小関係の基準として、「金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての平衡解離圧」および「酸化物磁性材料(c2)より酸化状態が一つ高い酸化物の平衡解離圧」を1倍ではなく100倍としたものである。上記C.に記載される複合磁性材料を別の表現で規定し直したものである。
好ましくは上記C.の要件(6)、(7)も充たすことが好ましく、高抵抗酸化物磁性材料(a)としてNi−Feフェライト、酸化物磁性材料(c1)としてγ−Fe、金属磁性材料(b)としてFeやNiの組み合わせはこれらの要件も充たす。
G.本発明はまた、高抵抗酸化物磁性材料(a)により金属磁性材料(b)の粒子が被覆された粉末において、材料(a)からなる被覆層(A)と材料(b)粒子の間に、酸化物磁性材料(c3)からなる被覆層(C3)を介在させた積層された複合磁性材料であって、酸化物磁性材料(c3)が、マグネタイト(Fe)およびγ−Feからなる群から選択される少なくとも1種以上の酸化物磁性材料を含むことを特徴とする複合磁性材料を提供する。
1.高抵抗酸化物磁性材料(a)、金属磁性材料(b)、被覆層(A)
上記A.1.、2.、5.と同様である。
2.酸化物磁性材料(c3)
酸化物磁性材料(c3)とは、マグネタイト(Fe)およびγ−Feからなる群から選択される少なくとも1種以上の酸化物磁性材料である。かかる酸化物磁性材料(c3)は、透磁率向上のために磁性体である。
酸化物磁性材料(c3)であるFeは、例えば高抵抗酸化物磁性材料(a)であるNi−Feフェライトを還元せず、Ni−Feフェライトに還元されない。また、金属磁性材料(b)中のFeには還元されるが、600℃以下の熱処理では平衡状態になり、600℃以上でも平衡解離圧が比較的近く、Feの還元は抑制される。また、金属磁性材料(b)中のNi(やCo)に還元されることは無い。
酸化物磁性材料(c3)であるγ−Feは、例えば高抵抗酸化物磁性材料(a)であるNi−Feフェライトを還元せず、またNi−Feフェライトに還元されない。また、金属磁性粒子によるFe、Ni(他にCo)に還元されるが、Feになるので特に問題は無い。
また、酸化物磁性材料(c3)として、Feとγ−Feの混合物を用いることもでき、それぞれを単独で用いた場合と同様の効果を得ることができる。
3.被覆層(C3)
本発明では、該酸化物磁性材料(c3)からなる被覆層(C3)を、被覆層(A)と金属磁性材料(b)粒子の間に介在させる。たとえば、金属磁性材料(b)粒子を該酸化物磁性材料(c3)で被覆した後、さらに絶縁性酸化物磁性材料(a)により被覆する。被覆方法としては、当該技術分野において公知の被覆手段を用いることができるが、好ましくは超音波励起めっき法(特許文献3参照)が挙げられる。
上記被覆によって得られた材料(c3)からなる被覆層(C3)には、二種以上の酸化物磁性材料(c3)を用いることができる。また、被覆層(C3)は単一層のみならず、複数の積層とすることもできる。たとえば、Feを含む被覆層とγ−Feを含む被覆層とを積層した被膜に絶縁性酸化物磁性材料(a)であるフェライトを含む被覆層(A)の被膜を形成した3層構造にしてもよい。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、材料(c3)以外の成分、たとえば高絶縁性フェライト等の絶縁性酸化物磁性材料(a)も含めることができ、その配合量は好ましくは材料(c3)に対して30重量%未満である。
H.本発明はまた、上記A.〜G.に記載された積層された複合磁性材料の粉末が、圧縮成形されていることを特徴とする磁気部品を提供する。
圧縮成形としては、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
フェライト被覆金属粒子粉末の作製は、超音波励起フェライトめっき法により、次のように行った。
金属磁性材料の粒子としては、水アトマイズ法により作製したNi78Mo5Fe粒子(Ni78重量%、Mo5重量%、Fe17重量%;平均粒子径8μm)を10g用いた。フェライトめっきの前処理として、これらの粒子をHOとHSOとHClの混合溶液中(液温70℃)に入れて、5分間超音波を印加した。
その後、純水を入れたガラス製の反応容器中にNi78Mo5Fe粒子を移し替え、19.5kHzの超音波を印加した。この反応容器に反応液(HO+FeCl・4HO)および酸化液(HO+NaNO)を供給しながら、適宜アンモニア水を滴下した。このめっき処理を15分間行った。めっき処理後、粒子を分級・乾燥させた。以上の処理により、金属磁性粒子の表面に約30nmのFe被膜が形成された。
引き続き、Ni−Zn系フェライト被膜を以下のように形成した。
純水を入れたガラス製の反応容器中にFe被膜したNi78Mo5Fe粒子を移し替え、19.5kHzの超音波を印加した。この反応容器に反応液(HO+FeCl・4HO+NiCl・6HO+ZnCl)および酸化液(HO+NaNO)を供給しながら、適宜アンモニア水を滴下した。このめっき処理を30分間行った。めっき処理後、粒子を分級・乾燥させた。以上の処理により、金属磁性粒子の表面に約100nmのNi−Zn系フェライト被膜が形成された。
このようにして得られた積層被覆Ni78Mo5Fe粒子(図1)の粉末を超硬合金製の金型に充填し、980MPa(10トン重/cm)の一軸プレスにより内径3mmφ、外径8mmφ、高さ約8mmのリングコア形状に成型した。その後、成形体を空気中で600℃で焼成した。
このリングコアに1次および2次巻線をそれぞれ5ターン巻回し、B−Hアナライザにて複素透磁率μ=μ’+iμ”を10kHz〜10MHzの周波数領域で測定した。図3のデータRは、複素透磁率の実部μ’の周波数依存性を示したものであり、データIは複素透磁率の虚部μ”の周波数依存性を示したものである。また、同図のデータR”およびデータI”はそれぞれ熱処理前の複素透磁率の実部μ’および虚部μ”の周波数依存性を示したものである。
(比較例)
比較用のデータとして、フェライト被膜のみのNi78Mo5Fe粒子を実施例に記したのと同様の条件でフェライトめっきし(図2)、実施例と同様に圧縮成型した後に熱処理したものの複素透磁率を測定した。その実部μ’および虚部μ”の周波数依存性をそれぞれ図3のデータR’とI’に示す。
熱処理によって実施例、比較例ともに透磁率は大きく向上した。ただし、比較例は実施例よりも低周波側での透磁率は高いが周波数特性は悪く、被膜の絶縁性が悪化しているのが分かる。一方、実施例では10MHzまで良好な周波数特性を示し、被膜の絶縁性が保たれているのがわかる。
本実施例では中間層としてFeを用いたが、γ−Feを用いても良い。
本発明の実施例である二層被膜Ni78Mo5Fe粒子を示した図である。 本発明の比較例であるフェライト被覆のみのNi78Mo5Fe粒子を示した図である。 本発明の実施例と比較例の透磁率の周波数特性を示した図である。
符号の説明
1 金属磁性粒子
2 フェライト被膜
3 Fe被膜

Claims (9)

  1. 電気抵抗率が10Ω・cm以上の高抵抗酸化物磁性材料(a)により金属磁性材料(b)の粒子が被覆された粉末において、材料(a)からなる被覆層(A)と材料(b)の粒子の間に、酸化物磁性材料(c1)からなる被覆層(C1)を介在させた積層された複合磁性材料であって、以下の(1)、(2)のいずれかの要件を充たすことを特徴とする複合磁性材料。
    (1)電気抵抗率が10Ω・cm以上の高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度における平衡解離圧が、該酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度における平衡解離圧以下の値であること。
    (2)該酸化物磁性材料(c1)が、熱処理温度において採りうる最も高い酸化状態に
    あること。
  2. さらに、酸化物磁性材料(c1)の、熱処理温度における平衡解離圧が、金属磁性材料
    (b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての、熱処理温
    度における平衡解離圧以下の値であるとの要件(3)を充たすことを特徴とする請求項1
    記載の複合磁性材料。
  3. さらに以下の要件(4)〜(7)のいずれも充たすことを特徴とする請求項1記載の複
    合磁性材料。
    (4)酸化物磁性材料(c1)の、熱処理温度における平衡解離圧が、金属磁性材料(
    b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての、熱処理温度
    における平衡解離圧より大きい値であること。
    (5)酸化物磁性材料(c1)は、熱処理温度において、金属磁性材料(b)により還
    元されて酸化物磁性材料(c2)を生成するものであること。
    (6)電気抵抗率が10Ω・cm以上の高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度における平衡解離圧が、生成した酸化物磁性材料(c2)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度における平衡解離圧以下の値であること。
    (7)生成した酸化物磁性材料(c2)の、熱処理温度における平衡解離圧が、金属磁
    性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての、熱
    処理温度における平衡解離圧以下の値であること。
  4. 前記要件(1)を充たす請求項1に記載の複合磁性材料であって、さらに、電気抵抗率が10Ω・cm以上の高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧が、該酸化物磁性材料(c1)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧の100倍以下の値であるとの要件(8)を充たすことを特徴とする複合磁性材料。
  5. さらに、酸化物磁性材料(c1)の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解
    離圧が、金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物
    についての、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧の100倍以下の値で
    あるとの要件(9)を充たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複合磁
    性材料。
  6. さらに以下の要件(10)〜(13)のいずれも充たすことを特徴とする請求項4記載
    の複合磁性材料。
    (10)酸化物磁性材料(c1)の、熱処理温度における平衡解離圧が、金属磁性材料
    (b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低い酸化物についての、熱処理温
    度における平衡解離圧より大きい値であること。
    (11)酸化物磁性材料(c1)は、熱処理温度において、金属磁性材料(b)により
    還元されて酸化物磁性材料(c2)を与えるものであること。
    (12)電気抵抗率が10Ω・cm以上の高抵抗酸化物磁性材料(a)の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧が、生成した酸化物磁性材料(c2)より酸化状態が一つ高い酸化物の、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧の100倍以下の値であること。
    (13)生成した酸化物磁性材料(c2)の、熱処理温度より200℃高い温度におけ
    る平衡解離圧が、金属磁性材料(b)中の金属に対応する酸化物のうち最も酸化状態の低
    い酸化物についての、熱処理温度より200℃高い温度における平衡解離圧の100倍以
    下の値であること。
  7. 前記酸化物磁性材料(c1)が、マグネタイト(Fe)およびγ−Feからなる群から選択される少なくとも1種以上の酸化物磁性材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合磁性材料。
  8. 電気抵抗率が10Ω・cm以上の高抵抗酸化物磁性材料(a)が、Ni−Znフェライトであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の積層された複合磁性材料。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の積層された複合磁性材料の粉末が、圧縮成形されて
    いることを特徴とする磁気部品。
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