JP2005129716A - 圧粉磁心 - Google Patents
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Abstract
【課題】 所望の磁気的特性を有する圧粉磁心を提供する。
【解決手段】 圧粉磁心は、互いに接合された複数の複合磁性粒子を備える。複合磁性粒子は、金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面10aを取り囲み、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれかを一方を含む絶縁被膜20と、絶縁被膜20の表面20aを取り囲み、金属石鹸を含む潤滑剤被膜40とを有する。
【選択図】 図2
【解決手段】 圧粉磁心は、互いに接合された複数の複合磁性粒子を備える。複合磁性粒子は、金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面10aを取り囲み、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれかを一方を含む絶縁被膜20と、絶縁被膜20の表面20aを取り囲み、金属石鹸を含む潤滑剤被膜40とを有する。
【選択図】 図2
Description
この発明は、一般的には、圧粉磁心に関し、より特定的には、金属磁性粒子と、その金属磁性粒子を覆う絶縁被膜とを有する複合磁性粒子を備える圧粉磁心に関する。
従来、モーターコアやトランスコアなどの電気電子部品において高密度化および小型化が図られており、より精密な制御を小電力で行えることが求められている。このため、これらの電気電子部品に使用される圧粉磁心であって、特に中高周波領域において優れた磁気的特性を有する圧粉磁心の開発が進められている。
このような圧粉磁心に関して、たとえば、特開2002−246219号公報には、高い温度環境下の使用に際しても磁気特性が維持できることを目的とした圧粉磁心およびその製造方法が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された圧粉磁心の製造方法によれば、まず、リン酸被膜処理アトマイズ鉄粉に所定量のポリフェニレンサルファイド(PPS樹脂)を混合し、これを圧縮成形する。さらに、得られた成形体を所定の温度で加熱し、冷却することによって圧粉磁心を作製する。
また別に、特開平8−236329号公報には、高温圧縮性を改良することを主な目的とした粒子素材が開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示された粒子素材では、強磁性粒子の周りを覆う高分子外殻に多数の有機潤滑剤粒子が埋封されている。有機潤滑剤粒子は、ポリテトラフルオロエチレンやエチレンビスステアレートアミドなどからなる。また、高分子外殻は、強磁性粒子を覆う下層と、その下層を覆い、有機潤滑剤粒子が埋封される上層とから構成されていても良い。この場合、下層は、ポリエーテルイミドやポリアミドイミドなどからなり、上層は、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドまたはメチルメタクリレート−ブチルメタクリレートなどからなる。
特開2002−246219号公報
特開平8−236329号公報
特許文献1に開示された圧粉磁心の製造方法では、圧縮成形時にアトマイズ鉄粉の周りに形成されたリン酸被膜が破壊されることを防止するため、リン酸被膜処理アトマイズ鉄粉に潤滑剤として機能するPPS樹脂を混合している。しかし、PPS樹脂が全体的に混合されていなかった場合やPPS樹脂を混合する割合が十分でなかった場合には、圧縮成形時にリン酸被膜処理アトマイズ鉄粉同士が接触し、一部のリン酸被膜が破壊されてしまう。これにより、リン酸被膜処理アトマイズ鉄粉の粒子間渦電流損が増大し、圧粉磁心の実効透磁率が低下するという問題が発生する。
また、特許文献2に開示された粒子素材では、潤滑剤として機能する有機潤滑剤粒子を直接、高分子外殻に埋封している。しかし、有機潤滑剤粒子を構成する材料は、圧縮成形時に適当な硬度を有しておらず、このため高分子外殻同士の接触を十分に抑制することができない。また、高分子外殻を構成する材料は、耐熱性に劣っているため、粒子素材に熱処理を実施した場合には、高分子外殻が劣化するおそれがある。これらの理由から、特許文献2に開示された粒子素材にも、特許文献1に開示された圧粉磁心と同様の問題が発生するおそれがある。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、所望の磁気的特性を有する圧粉磁心を提供することである。
この発明の1つの局面に従った圧粉磁心は、互いに接合された複数の複合磁性粒子を備える。複合磁性粒子は、金属磁性粒子と、金属磁性粒子の表面を取り囲み、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれかを一方を含む絶縁被膜と、絶縁被膜の表面を取り囲み、金属石鹸を含む潤滑剤被膜とを有する。
このように構成された圧粉磁心によれば、金属磁性粒子を覆う絶縁被膜は、潤滑剤被膜によってその表面が覆われている。このため、圧粉磁心を作製するため複合磁性粒子を加圧成形する場合に、潤滑剤被膜が緩衝材として機能し、絶縁被膜が破壊されることを防止できる。この際、金属石鹸を含む潤滑剤被膜は、ある程度の硬度を有している。このため、加圧成形時に応力が集中して加わったとしても、潤滑剤被膜が薄く変形したり、潤滑剤被膜が破けるということがない。これにより、加圧成形時における絶縁被膜同士の接触を確実に防止でき、絶縁被膜によって金属磁性粒子が覆われた状態を保持したまま、圧粉磁心は形成される。また、潤滑剤被膜によって、加圧成形時における複合磁性粒子間の摩擦が低減される。これにより、複数の複合磁性粒子は、互いに隙間を設けることなく接合される。このため、圧粉磁心は高い密度を有する。
一方、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれか一方を含む絶縁被膜は、耐熱性に優れている。このため、圧粉磁心の作製時に熱処理が実施された場合にも、絶縁被膜が劣化することを抑制できる。さらに、これらの材料を含む絶縁被膜で金属磁性粒子の表面を取り囲んだ場合、絶縁被膜の表面には凹凸形状が形成される。このため、絶縁被膜を取り囲む潤滑剤被膜は、この凹凸形状に噛み合うようにして形成される。これにより、潤滑剤被膜は、絶縁被膜に対して確実に保持される。
以上に説明した理由から、本発明によれば、絶縁被膜によって金属磁性粒子間に渦電流が発生することを抑制し、渦電流に起因する鉄損を低減させることができる。また、高い密度を得ることによって、透磁率を向上させることができる。
また好ましくは、絶縁被膜は、非晶質(アモルファス)である。この場合、絶縁被膜が加圧成形時の塑性変形に追随しやすくなり、高い密度を有する圧粉磁心を実現することができる。
また好ましくは、絶縁被膜の厚みTは、10nm以上100nm以下である。潤滑剤被膜の厚みtは、0.3T≦t≦3Tの関係を満たす。このように構成された圧粉磁心によれば、絶縁被膜の厚みTを10nm以上にすることによって、圧粉磁心の電気抵抗率ρを一定値以上に確保することができる。また、絶縁被膜の厚みTを100nm以下にすることによって、圧粉磁心に対する金属磁性粒子の割合が極端に低下することを防止できる。
また、潤滑剤被膜の厚みtを0.3T以上にすることによって、潤滑剤被膜を緩衝材として十分に機能させることができる。また、潤滑剤被膜の厚みtを3T以下とすることによって、圧粉磁心に対する金属磁性粒子の割合が極端に低下することを防止できる。
これらの理由から、絶縁被膜によって渦電流に起因する鉄損を低減させるという目的と高い透磁率を得るという目的とを、同時に達成することができる。
さらに好ましくは、絶縁被膜の厚みTは、50nm以上100nm以下である。潤滑剤被膜の厚みtは、0.3T≦t≦Tの関係を満たす。このように構成された圧粉磁心によれば、上述の効果をさらに効果的に得ることができる。
この発明の別の局面に従った圧粉磁心は、互いに接合された複数の複合磁性粒子を備える。複合磁性粒子は、金属磁性粒子と、金属磁性粒子の表面を取り囲み、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれかを一方を含む絶縁被膜と、絶縁被膜に設けられ、金属石鹸および酸化物の少なくともいずれか一方を含む潤滑剤粒子とを有する。
このように構成された圧粉磁心によれば、金属磁性粒子を覆う絶縁被膜には、潤滑剤粒子が設けられている。このため、圧粉磁心を作製するため複合磁性粒子を加圧成形する場合に、潤滑剤粒子は、複合磁性粒子間で「ころ」の役割を果たし、絶縁被膜同士が強く擦れ合うことを防止する。この際、金属石鹸および酸化物の少なくともいずれか一方を含む潤滑剤粒子は、ある程度の硬度を有している。このため、加圧成形時に潤滑剤粒子が変形することがなく、潤滑剤粒子を「ころ」として十分に機能させることができる。したがって、本発明によれば、加圧成形時に絶縁被膜が破壊されず、絶縁被膜によって金属磁性粒子が覆われた状態を保持したまま、圧粉磁心は形成される。また、潤滑剤粒子によって、加圧成形時における複合磁性粒子間の摩擦が低減される。これにより、複数の複合磁性粒子は、互いに隙間を設けることなく接合される。このため、圧粉磁心は高い密度を有する。
また、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれか一方を含む絶縁被膜は、耐熱性に優れている。このため、圧粉磁心の作製時に熱処理が実施された場合にも、絶縁被膜が劣化することを抑制できる。以上に説明した理由から、本発明によれば、絶縁被膜によって金属磁性粒子間に渦電流が発生することを抑制し、渦電流に起因する鉄損を低減させることができる。また、高い密度を得ることによって、透磁率を向上させることができる。
また好ましくは、絶縁被膜は、非晶質であり、潤滑剤粒子に含まれる酸化物は、結晶質である。この場合、絶縁被膜は、加圧成形時の塑性変形に追随しやすくなり、潤滑剤粒子は硬度が向上する。これにより、圧粉磁心の密度を向上させるとともに、加圧成形時における絶縁被膜の破壊を効果的に防止することができる。
また好ましくは、潤滑剤粒子は、絶縁被膜の内部に全体的に埋設されている。このように構成された圧粉磁心によれば、絶縁被膜が加圧成形時に受ける応力によって変形する場合であっても、「ころ」として機能する潤滑剤粒子を隣り合う複合磁性粒子間に常に存在させることができる。このため、絶縁被膜が破壊されることを確実に防止することができる。
また好ましくは、潤滑剤粒子は、絶縁被膜の表面に位置して設けられている。このように構成された圧粉磁心によれば、加圧成形時、より多くの潤滑剤粒子を「ころ」として機能させることができる。これにより、絶縁被膜が破壊されることをより効果的に防止することができる。
また好ましくは、絶縁被膜の厚みTは、10nm以上100nm以下である。潤滑剤粒子の平均粒径Dは、0.3T≦D≦3Tの関係を満たす。このように構成された圧粉磁心によれば、絶縁被膜の厚みTを10nm以上にすることによって、圧粉磁心の電気抵抗率ρを一定値以上に確保することができる。また、絶縁被膜の厚みTを100nm以下にすることによって、圧粉磁心に対する金属磁性粒子の割合が極端に低下することを防止できる。
潤滑剤粒子の平均粒径Dを0.3T以上にすることによって、潤滑剤粒子が絶縁被膜の膜中深くに埋設するということがない。これにより、加圧成形時に潤滑剤粒子を絶縁被膜の表面から露出させ、「ころ」として機能させることができる。また、潤滑剤粒子の平均粒径Dを3T以下にすることによって、潤滑剤粒子が絶縁被膜から離脱した箇所で絶縁性が低下するという事態を回避することができる。
これらの理由から、絶縁被膜によって渦電流に起因する鉄損を低減させるという目的と高い透磁率を得るという目的とを、同時に達成することができる。
さらに好ましくは、絶縁被膜の厚みTは、50nm以上100nm以下である。潤滑剤被膜の厚みtは、0.3T≦D≦Tの関係を満たす。このように構成された圧粉磁心によれば、上述の効果をさらに効果的に得ることができる。
また好ましくは、圧粉磁心は、複数の複合磁性粒子の各々の間に介在する有機物をさらに備える。有機物は、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂および高級脂肪酸系からなる群より選ばれた少なくとも一種を含む。有機物の割合は、0.001質量%以上0.2質量%以下である。なお、非熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂に似た特性を有するが、融点が熱分解温度以下の温度で存在しない樹脂をいう。
このように構成された圧粉磁心によれば、これらの材料を含む有機物は、複合磁性粒子の加圧成形時において、複合磁性粒子間の潤滑剤として機能する。このため、潤滑剤被膜または潤滑剤粒子による効果と相乗して、複合磁性粒子間の潤滑性を飛躍的に向上させることができる。有機物の割合が0.001質量%未満であると、このような効果を十分に得ることができない。また、有機物の割合が0.2質量%を超えると、圧粉磁心に対する金属磁性粒子の割合が極端に低下する。このため、圧粉磁心の透磁率が低下するおそれがある。
さらに好ましくは、有機物の割合は、0.001質量%以上0.1質量%以下である。この場合、より高い透磁率を実現することができる。
以上説明したように、この発明に従えば、所望の磁気的特性を有する圧粉磁心を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における圧粉磁心の表面を示した模式図である。図2は、図1中の2点鎖線IIで囲んだ範囲を拡大して示した模式図である。
図1は、この発明の実施の形態1における圧粉磁心の表面を示した模式図である。図2は、図1中の2点鎖線IIで囲んだ範囲を拡大して示した模式図である。
図1および図2を参照して、圧粉磁心は、金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面10aを取り囲む絶縁被膜20と、絶縁被膜20の表面20aを取り囲む潤滑剤被膜40とからなる複数の複合磁性粒子30を備える。複数の複合磁性粒子30の各々は、複合磁性粒子30が有する凹凸の噛み合わせによって接合されている。絶縁被膜20の厚みTは、10nm以上100nm以下であることが好ましい。このとき、潤滑剤被膜40の厚みtは、0.3T≦t≦3Tの関係を満たすことが好ましい。
金属磁性粒子10は、たとえば、鉄(Fe)、鉄(Fe)−シリコン(Si)系合金、鉄(Fe)−窒素(N)系合金、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)系合金、鉄(Fe)−炭素(C)系合金、鉄(Fe)−ホウ素(B)系合金、鉄(Fe)−コバルト(Co)系合金、鉄(Fe)−リン(P)系合金、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)系合金および鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−シリコン(Si)系合金などから形成されている。金属磁性粒子10は、金属単体でも合金でもよい。
絶縁被膜20は、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれか一方を含む。リン酸金属塩としては、鉄のリン酸塩であるリン酸鉄のほか、たとえば、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウムおよびリン酸アルミニウムなどを用いることができる。また、リン酸金属塩は、少量のアルミニウムがドープされたリン酸鉄などのリン酸の複合金属塩であっても良い。酸化物としては、たとえば、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムなどを用いることができる。また、これらの金属の合金を用いても良い。
絶縁被膜20は、金属磁性粒子10間の絶縁層として機能する。金属磁性粒子10を絶縁被膜20で覆うことによって、圧粉磁心の電気抵抗率ρを大きくすることができる。これにより、金属磁性粒子10間に渦電流が流れるのを抑制して、渦電流に起因する圧粉磁心の鉄損を低減させることができる。
潤滑剤被膜40は、金属石鹸を含む。金属石鹸としては、たとえば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カルシウム、オレイン酸リチウムおよびオレイン酸カルシウムなどを用いることができる。
図2を参照して、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれか一方を含む絶縁被膜20は、表面20aに凹凸状が形成された状態で金属磁性粒子10の表面10a上を被覆する。その表面20a上を覆う潤滑剤被膜40は、表面20aの一部が反応して形成されるため、境界強度が強い。また、潤滑剤被膜40は、表面20aの凹凸形状に噛み合うようにして設けられるため、絶縁被膜20に対して安定して保持される。
この発明の実施の形態1における圧粉磁心は、互いに接合された複数の複合磁性粒子30を備える。複合磁性粒子30は、金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面10aを取り囲み、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれかを一方を含む絶縁被膜20と、絶縁被膜20の表面20aを取り囲み、金属石鹸を含む潤滑剤被膜40とを有する。
続いて、図1中に示す圧粉磁心を製造する方法について説明を行なう。まず、金属磁性粒子10の表面10aに絶縁被膜20を形成し、さらに絶縁被膜20の表面20aに潤滑剤被膜40を形成する。これにより、複合磁性粒子30を得る。次に、複合磁性粒子30を金型に入れ、たとえば、700MPaから1500MPaまでの圧力で加圧成形する。これにより、複合磁性粒子30が圧縮されて成形体が得られる。加圧成形する雰囲気は、不活性ガス雰囲気または減圧雰囲気とすることが好ましい。この場合、大気中の酸素によって複合磁性粒子30が酸化されるのを抑制できる。
この加圧成形時、隣り合う金属磁性粒子10の間には、絶縁被膜20を覆う潤滑剤被膜40が存在する。潤滑剤被膜40は、絶縁被膜20を保護するための緩衝材として機能し、絶縁被膜20が破壊されることを防止する。また、潤滑剤被膜40は、所定の硬度を有するステアリン酸亜鉛などから形成されているため、可圧成形時に加わる応力によって薄く変形したり破けることがない。このため、潤滑剤被膜40によって絶縁被膜20を確実に保護することができる。
また、潤滑剤被膜40によって、加圧成形時の複合磁性粒子30間の摩擦が低減される。このため、図1に示すように、互いに隙間なく噛み合った状態で複数の複合磁性粒子30が接合される。これにより、圧粉磁心の密度が向上し、高い透磁率を得ることができる。
次に加圧成形によって得られた成形体に、所定の温度で熱処理を行なう。これにより、加圧成形時に成形体の内部に発生した歪や転位を取り除くことができる。この際、絶縁被膜20は、耐熱性を有するリン酸鉄や酸化シリコンなどから形成されているため、熱処理によって劣化することがない。熱処理後、成形体に押出し加工や切削加工など適当な加工を施すことによって、図1中に示す圧粉磁心が完成する。
このように構成された圧粉磁心によれば、加圧成形時に、絶縁被膜20は潤滑剤被膜40によって保護される。このため、金属磁性粒子10が絶縁被膜20によって覆われた状態が保持されたまま、圧粉磁心は形成される。また、所定の材料から形成された絶縁被膜20は、成形体に熱処理が実施された場合であっても劣化することがない。このため、この圧粉磁心によれば、絶縁被膜20によって、金属磁性粒子10間で発生する渦電流を抑制し、渦電流に起因する鉄損を低減させることができる。
(実施の形態2)
図3は、この発明の実施の形態2における圧粉磁心の表面を示した模式図である。図4は、図3中の2点鎖線IVで囲んだ範囲を拡大して示した模式図である。
図3は、この発明の実施の形態2における圧粉磁心の表面を示した模式図である。図4は、図3中の2点鎖線IVで囲んだ範囲を拡大して示した模式図である。
図3および図4を参照して、圧粉磁心は、金属磁性粒子50と、金属磁性粒子50の表面50aを取り囲む絶縁被膜60と、絶縁被膜60の内部に埋設された潤滑剤粒子80とからなる複合磁性粒子70を備える。複数の複合磁性粒子70の各々は、複合磁性粒子70が有する凹凸の噛み合わせによって接合されている。潤滑剤粒子80は、絶縁被膜60の内部にほぼ均一に分散して配置されている。
絶縁被膜60の厚みTは、10nm以上100nm以下であることが好ましい。このとき、潤滑剤粒子80の平均粒径Dは、0.3T≦D≦3Tの関係を満たすことが好ましい。
なお、ここで言う平均粒径とは、レーザー式の粒径測定法によって測定した粒径のヒストグラム中、粒径の小さいほうからの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径Dをいう。
金属磁性粒子50および絶縁被膜60は、実施の形態1における金属磁性粒子10および絶縁被膜20と同様の材料から形成されている。また、絶縁被膜60は、実施の形態1における絶縁被膜20と同様に機能し、金属磁性粒子10間に渦電流が流れるのを抑制して、渦電流に起因する圧粉磁心の鉄損を低減させる。
潤滑剤粒子80は、金属石鹸および酸化物の少なくともいずれか一方を含む。金属石鹸としては、たとえば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カルシウム、オレイン酸リチウムおよびオレイン酸カルシウムなどを用いることができる。また、酸化物としては、たとえば、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムなどを用いることができる。
この発明の実施の形態2における圧粉磁心は、互いに接合された複数の複合磁性粒子70を備える。複合磁性粒子70は、金属磁性粒子50と、金属磁性粒子50の表面50aを取り囲み、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれかを一方を含む絶縁被膜60と、絶縁被膜60に設けられ、金属石鹸および酸化物の少なくともいずれか一方を含む潤滑剤粒子80とを有する。
図3中に示す圧粉磁心は、実施の形態1で説明した図1中に示す圧粉磁心の製造方法とほぼ同様の方法によって作製することができる。但し、複合磁性粒子30を得る工程にかえて、金属磁性粒子50の表面50aに、潤滑剤粒子80が埋設された絶縁被膜60を形成することによって複合磁性粒子70を得る工程を実施する。
複合磁性粒子70を加圧成形する際、絶縁被膜60の表面60aから突出する潤滑剤粒子80が、隣り合う複合磁性粒子70間で「ころ」として機能する。これにより、加圧成形時に絶縁被膜60同士が強く擦れ合って破壊されることを防止できる。
また、絶縁被膜60は、加圧成形時に受ける応力によって塑性変形する。しかし、潤滑剤粒子80は、絶縁被膜60の内部の全体に渡って分布しているため、絶縁被膜60の塑性変形にともなって、潤滑剤粒子80を次々と表面60aから露出させることができる。さらに、潤滑剤粒子80は、所定の硬度を有するステアリン酸亜鉛や酸化シリコンから形成されている。このため、潤滑剤粒子80に応力が集中して加わった場合であっても、潤滑剤粒子80を粒子状の形状に維持することができる。これらの理由から、潤滑剤粒子80を「ころ」として十分に機能させ、絶縁被膜60を確実に保護することができる。
また、潤滑剤粒子80が「ころ」として機能することにより、加圧成形時の複合磁性粒子70間の摩擦が低減される。このため、図3に示すように、互いに隙間なく噛み合った状態で複数の複合磁性粒子70が接合される。これにより、圧粉磁心の密度が向上し、高い透磁率を得ることができる。
また、絶縁被膜60は、耐熱性を有するリン酸鉄や酸化シリコンなどから形成されている。このため、加圧成形によって得られた成形体の熱処理時において、絶縁被膜60が劣化するということがない。
このように構成された圧粉磁心によれば、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を奏することができる。
(実施の形態3)
図5は、この発明の実施の形態3における圧粉磁心の表面を拡大して示した模式図である。図5は、実施の形態2における図4に相当する範囲を表わしている。この発明の実施の形態3における圧粉磁心は、基本的には、実施の形態2における圧粉磁心と同様の構造を備えるが、潤滑剤粒子が設けられた位置のみが異なる。以下、重複する構造については説明を省略する。
図5は、この発明の実施の形態3における圧粉磁心の表面を拡大して示した模式図である。図5は、実施の形態2における図4に相当する範囲を表わしている。この発明の実施の形態3における圧粉磁心は、基本的には、実施の形態2における圧粉磁心と同様の構造を備えるが、潤滑剤粒子が設けられた位置のみが異なる。以下、重複する構造については説明を省略する。
図5を参照して、本実施の形態では、潤滑剤粒子80が、絶縁被膜60の表面60aの近傍に配置されている。潤滑剤粒子80は、表面60aに接触するように設けられていたり、表面60aに一部が埋入するように設けられている。
このように構成された圧粉磁心によれば、複合磁性粒子70の加圧成形時に、より多くの潤滑剤粒子80を「ころ」として機能させることができる。これにより、絶縁被膜60をより効果的に保護することができる。
(実施の形態4)
この発明の実施の形態4における圧粉磁心では、実施の形態1から3における圧粉磁心において、複数の複合磁性粒子の各々の間に有機物が介在している。全体に占める有機物の割合は、0.001質量%以上0.2質量%以下である。この場合、複数の複合磁性粒子の各々は、有機物によって接合されていたり、複合磁性粒子が有する凹凸の噛み合わせによって接合されている。
この発明の実施の形態4における圧粉磁心では、実施の形態1から3における圧粉磁心において、複数の複合磁性粒子の各々の間に有機物が介在している。全体に占める有機物の割合は、0.001質量%以上0.2質量%以下である。この場合、複数の複合磁性粒子の各々は、有機物によって接合されていたり、複合磁性粒子が有する凹凸の噛み合わせによって接合されている。
有機物は、フッ素系樹脂、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ポリイミドおよび熱可塑性ポリアミドイミドなどの熱可塑性樹脂や、ビフェニルテトラカルボン酸二水和物を用いた全芳香族ポリイミドなどの非熱可塑性樹脂や、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸マグネシウムなどの高級脂肪酸系を含む。また、これらの材料から選ばれた複数の材料を含んでいても良い。
このように構成された圧粉磁心によれば、添加量が最適化された有機物を複合磁性粒子間に介在させることによって、有機物は、複合磁性粒子の加圧成形時に潤滑剤として機能する。この場合、同様に機能する潤滑剤被膜または潤滑剤粒子との相乗効果によって、より確実に絶縁被膜を保護し、その絶縁被膜によって渦電流に起因する鉄損をさらに低減させることができる。また、より高い密度を得ることができる。
(実施例1)
以下に説明する実施例によって、この発明の実施の形態1における圧粉磁心の評価を行なった。
以下に説明する実施例によって、この発明の実施の形態1における圧粉磁心の評価を行なった。
本実施例では、金属磁性粒子10として、ヘガネス社製の鉄粉(商品名「ASC100.29」)を用いた。その金属磁性粒子10を覆う絶縁被膜20として、リン酸鉄およびリン酸カルシウムのリン酸金属塩と、酸化アルミニウム(以下、アルミナとも呼ぶ)および酸化シリコン(以下、シリカとも呼ぶ)の酸化物とを用いた。潤滑剤被膜40としては、ステアリン酸鉄、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸亜鉛の金属石鹸を用いた。
また、上述の金属磁性粒子10の表面に絶縁被膜20としてのリン酸金属塩を形成するため、以下に説明する工程を実施した。まず、金属磁性粒子10を、市販のリン酸鉄の処理溶液(PH6)およびリン酸カルシウムの処理溶液(PH3)に浸漬させた。これを温度30℃の恒温槽中で10分間攪拌した。その後、温風循環式の乾燥機を用いて、温度180℃で1時間乾燥させた。
また、上述の金属磁性粒子10の表面に絶縁被膜20としての酸化物を形成するため、以下に説明する工程を実施した。まず、所定量の金属磁性粒子10を、アルミナおよびシリカのアルコキシド溶液中に浸漬させた。これに、加水分解法による一般的なゾルゲル法を用いた処理を実施し、その後、乾燥工程を行なった。
絶縁被膜20の厚みTは、絶縁被膜20がリン酸金属塩である場合は、リン酸鉄およびリン酸カルシウムの処理溶液の濃度を変化させることで調整した。また、絶縁被膜20が酸化物である場合は、アルコキシド溶液の濃度を変化させることで調整した。
さらに、潤滑剤被膜40を形成するため、以下に説明する工程を実施した。絶縁被膜20としてリン酸金属塩を用いた場合、絶縁被膜20が形成された金属磁性粒子10を、温度40℃の石鹸水(ステアリン酸ナトリウム)中に入れ、2時間攪拌した。その後、温風循環式の乾燥機を用いて、温度180℃で1時間乾燥させた。これにより、絶縁被膜20のリン酸金属塩の一部が石鹸水と反応して、所定の潤滑剤被膜40が形成された。
また、絶縁被膜20として酸化物を用いた場合、絶縁被膜20が形成された金属磁性粒子10を、市販の金属石鹸(ステアリン酸鉄および亜鉛)と混合し、絶縁被膜20の表面に金属石鹸を均一に付着させた。その後、得られた混合物を金属石鹸の融点(120℃)以上の温度まで加熱した。なお、トルエンなどの有機溶媒を用いることによって、絶縁被膜20の表面に金属石鹸を均一に付着させることができた。
潤滑剤被膜40の厚みtは、絶縁被膜20がリン酸金属塩である場合は、石鹸水の濃度を変化させることで調整した。絶縁被膜20が酸化物である場合は、絶縁被膜20の表面に付着させる金属石鹸の量を変化させることで調整した。
このようにして得られた複合磁性粒子30を金型に入れ、加圧圧力を882MPaとして加圧成形を行なった。これにより、φ30mm(直径)×20mm(高さ)の大きさを有するサンプルNo,2から10および12から20の圧粉磁心を完成した。圧粉磁心は、絶縁被膜20および潤滑剤被膜40の種類とこれらの膜の厚みとが異なる複数種類を作製した。また比較のため、同種の絶縁被膜20を表面に形成した金属磁性粒子10に同種の金属石鹸粒子を混合し、その混合粉末を加圧成形することによって、サンプルNo,1および11の圧粉磁心を作製した。
その後、これらの圧粉磁心に関して、密度および透磁率の測定を行なった。また、圧粉磁心に最大印加磁場が1(テスラ)となる磁場を印加し、その時の渦電流損係数を求めた。さらに、圧粉磁心を切断し、FIB(focused ion beam process;集束イオンビームプロセス)を実施した後、TEM(transmission electron microscope;透過型電子顕微鏡)による表面観察を行なった。これにより、潤滑剤被膜40の厚みtと絶縁被膜20の厚みTとを測定し、両者の比t/Tを算出した。
以上によって得られた測定値を、圧粉磁心を構成する絶縁被膜20および潤滑剤被膜40の種類とともに、表1に示した。
なお、サンプルNo,1および11の圧粉磁心では、金属石鹸粒子の添加量は、計算上、サンプルNo,5のリン酸鉄を覆っているであろうステアリン酸鉄の量に合わせた。また、潤滑剤被膜の厚みt/絶縁被膜の厚みTの欄には、金属石鹸粒子の平均粒径D/絶縁被膜20の厚みTの値を括弧内に記載した。
表1を参照して分かるように、この発明の実施の形態1における圧粉磁心によれば、高い透磁率および高い密度を得るとともに、渦電流損係数を小さい値に抑えることができた。また、絶縁被膜20の厚みTが10nm未満のサンプルの場合、他のサンプルと比較して、透磁率が小さい値となり、渦電流損係数が大きい値となった。また、絶縁被膜20の厚みTが100nmを超える場合、他のサンプルと比較して、透磁率が小さい値となった。
次に、表1中のサンプルNo,5に関して、潤滑剤被膜40の厚みt/絶縁被膜20の厚みTの値が異なるサンプルNo,5−1から5−8までの圧粉磁心を作製し、同様にその評価を行なった。結果を表2に示す。
表2を参照して分かるように、t/Tの値が0.3未満である場合、他のサンプルと比較して、透磁率が小さい値となり、渦電流損係数が大きい値となった。また、t/Tの値が3を超える場合、他のサンプルと比較して、透磁率が小さい値となった。
(実施例2)
以下に説明する実施例によって、この発明の実施の形態2における圧粉磁心の評価を行なった。
以下に説明する実施例によって、この発明の実施の形態2における圧粉磁心の評価を行なった。
本実施例では、金属磁性粒子50として、ヘガネス社製の鉄粉(商品名「ASC100.29」)を用いた。その金属磁性粒子50を覆う絶縁被膜60として、リン酸鉄、リン酸カルシウムおよびリン酸アルミニウムのリン酸金属塩と、酸化アルミニウム、酸化シリコンおよび酸化ジルコニウム(以下、ジルコニアとも呼ぶ)の酸化物とを用いた。潤滑剤粒子80としては、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸マグネシウムの金属石鹸と、酸化アルミニウムおよび酸化シリコンの酸化物とを用いた。
金属磁性粒子50の表面に絶縁被膜60を形成する方法は、実施例1に記載の方法に倣った。さらに、潤滑剤粒子80を絶縁被膜60の内部に埋設するため、以下に説明する工程を実施した。絶縁被膜60としてリン酸金属塩を用いた場合、絶縁被膜60を金属磁性粒子50の表面に形成する際に、所定の粒径を有する潤滑剤粒子80を分散させたリン酸金属塩の処理溶液を用いた。また、絶縁被膜60として酸化物を用いた場合、絶縁被膜60を金属磁性粒子50の表面に形成する際に、所定の粒径を有する潤滑剤粒子80を分散させたアルコキシド溶液を用いた。
このようにして得られた複合磁性粒子70を用いて、実施例1と同様に加圧成形を実施し、サンプルNo,2から15および17から30の圧粉磁心を完成した。また比較のため、同種の絶縁被膜60を表面に形成した金属磁性粒子50に同種の金属石鹸粒子を混合し、その混合粉末を加圧成形して、サンプルNo,1および16の圧粉磁心を作製した。その後、これらの圧粉磁心に関して、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表3に示す。
なお、サンプルNo,1および16の圧粉磁心では、金属石鹸粒子の添加量は、計算上、サンプルNo,5のリン酸鉄を覆っているであろうステアリン酸亜鉛の量に合わせた。また、潤滑剤粒子の平均粒径D/絶縁被膜の厚みTの欄には、金属石鹸粒子の平均粒径D/絶縁被膜60の厚みTの値を括弧内に記載した。
表3を参照して分かるように、この発明の実施の形態2における圧粉磁心によれば、高い透磁率および高い密度を得るとともに、渦電流損係数を小さい値に抑えることができた。また、絶縁被膜60の厚みTが10nm未満のサンプルの場合、他のサンプルと比較して、透磁率が小さい値となり、渦電流損係数が大きい値となった。また、絶縁被膜60の厚みTが100nmを超える場合、他のサンプルと比較して、透磁率が小さい値となった。
次に、表3中のサンプルNo,5および20に関して、潤滑剤粒子80の平均粒径D/絶縁被膜60の厚みTの値が異なるサンプルNo,5−1から5−8および20−1から20−8の圧粉磁心を作製し、同様にその評価を行なった。結果を表4に示す。
表4を参照して分かるように、D/Tの値が0.3未満である場合、他のサンプルと比較して、透磁率が小さい値となり、渦電流損係数が大きい値となった。また、D/Tの値が3を超える場合、他のサンプルと比較して、透磁率が小さい値となった。
(実施例3)
以下に説明する実施例によって、この発明の実施の形態3における圧粉磁心の評価を行なった。
以下に説明する実施例によって、この発明の実施の形態3における圧粉磁心の評価を行なった。
本実施例では、金属磁性粒子50、絶縁被膜60および潤滑剤粒子80として実施例2と同様のものを使用した。また、潤滑剤粒子80を絶縁被膜60の表面に設けるため、以下に説明する工程を実施した。まず、潤滑剤粒子80をトルエンなどの有機溶媒中に分散させ、その中に、表面に絶縁被膜60が形成された金属磁性粒子50を投入した。これを攪拌した後、有機溶媒を揮発させて除去した。
このようにして得られた複合磁性粒子70を用いて、実施例1と同様に加圧成形を実施し、サンプルNo,2から15および17から30の圧粉磁心を完成した。また比較のため、同種の絶縁被膜60を表面に形成した金属磁性粒子50に同種の金属石鹸粒子を混合し、その混合粉末を加圧成形して、サンプルNo,1および16の圧粉磁心を作製した。その後、これらの圧粉磁心に関して、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表5に示す。
なお、サンプルNo,1および16の圧粉磁心に関して、金属石鹸粒子の添加量および潤滑剤粒子の平均粒径D/絶縁被膜の厚みTの欄への記載内容は、実施例2と同様とした。
次に、表5中のサンプルNo,5および20に関して、潤滑剤粒子80の平均粒径D/絶縁被膜60の厚みTの値が異なるサンプルNo,5−1から5−8および20−1から20−8の圧粉磁心を作製し、同様にその評価を行なった。結果を表6に示す。
表5および表6を参照して分かるように、この発明の実施の形態3における圧粉磁心によっても、実施例2に記載した内容と同様の結果を得ることができた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,50 金属磁性粒子、10a,20a,50a,60a 表面、20,60 絶縁被膜、30,70 複合磁性粒子、40 潤滑剤被膜、80 潤滑剤粒子。
Claims (7)
- 互いに接合された複数の複合磁性粒子を備え、
前記複合磁性粒子は、金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子の表面を取り囲み、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれかを一方を含む絶縁被膜と、前記絶縁被膜の表面を取り囲み、金属石鹸を含む潤滑剤被膜とを有する、圧粉磁心。 - 前記絶縁被膜の厚みTは、10nm以上100nm以下であり、前記潤滑剤被膜の厚みtは、0.3T≦t≦3Tの関係を満たす、請求項1に記載の圧粉磁心。
- 互いに接合された複数の複合磁性粒子を備え、
前記複合磁性粒子は、金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子の表面を取り囲み、リン酸金属塩および酸化物の少なくともいずれかを一方を含む絶縁被膜と、前記絶縁被膜に設けられ、金属石鹸および酸化物の少なくともいずれか一方を含む潤滑剤粒子とを有する、圧粉磁心。 - 前記潤滑剤粒子は、前記絶縁被膜の内部に全体的に埋設されている、請求項3に記載の圧粉磁心。
- 前記潤滑剤粒子は、前記絶縁被膜の表面に位置して設けられている、請求項3に記載の圧粉磁心。
- 前記絶縁被膜の厚みTは、10nm以上100nm以下であり、前記潤滑剤粒子の平均粒径Dは、0.3T≦D≦3Tの関係を満たす、請求項3から5のいずれか1項に記載の圧粉磁心。
- 前記複数の複合磁性粒子の各々の間に介在し、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂および高級脂肪酸系からなる群より選ばれた少なくとも一種を含む有機物をさらに備え、
前記有機物の割合は、0.001質量%以上0.2質量%以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の圧粉磁心。
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