JP2014237845A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性、色調、耐熱性、成形性、及び機械的強度に優れ、かつ優れた光学特性を有するポリカーボネートを、安定的に製造するための製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、少なくとも分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルからポリカーボネートを製造する方法において、前記分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、溶融状態の炭酸ジエステルとを、温度70℃以上240℃以下、圧力0.06MPa以上0.20MPa以下で、0.5時間以上30時間以下混合した後、圧力0.06MPa未満でエステル交換反応を進めて、ポリカーボネートを製造するポリカーボネートの製造方法に係る。【化1】(但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)【選択図】図4

Description

本発明は、ポリカーボネートの製造方法に関する。更に詳しくは、ジヒドロキシ化合物を使用した、透明性、色調、耐熱性、成形性、及び機械的強度に優れ、かつ優れた光学特性を有するポリカーボネートを安定的に製造するためポリカーボネートの製造方法に関するものである。
ポリカーボネートは、一般的にビスフェノール類をモノマー成分とし、透明性、耐熱性、機械的強度等の優位性を生かし、電気及び/または電子部品、自動車用部品、光学記録媒体、レンズ等の光学分野等でいわゆるエンジニアリングプラスチックスとして広く利用されている。しかしながら、最近急激に普及しつつあるフラットパネルディスプレー等の光学補償フィルム用途では、低複屈折や低光弾性係数等、さらに高度な光学的特性が要求されるようになり、既存の芳香族ポリカーボネートではその要求に応えられなくなってきた。
また、従来のポリカーボネートは、石油資源から誘導される原料を用いて製造されるが、近年、石油資源の枯渇が危惧されており、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたポリカーボネートの提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が、気候変動などをもたらすことが危惧されていることからも、使用後の廃棄処分をしてもカーボンニュートラルな、植物由来モノマーを原料としたポリカーボネートの開発が求められている。
かかる状況下、特殊なジヒドロキシ化合物をモノマー成分とし、炭酸ジエステルとのエステル交換によりポリカーボネートを得る方法が提案されている(例えば特許文献1〜7参照)。
このような特殊な構造を有するジヒドロキシ化合物は、一般的に安定性が高くなく、水分や酸素と反応することにより品質が悪化しやすいが、特許文献1〜7には長時間にわたる安定性についての具体的な記載はない。
一方、特許文献8には、代表的なジヒドロキシ化合物であるイソソルビドについて、50mLのガラス容器に20gのイソソルビドを保管し、3%水蒸気存在下、40℃での1ヶ月にわたる長期安定性の評価を行ったことが開示されている。
ところで、工業的スケールでポリカーボネートを製造する場合、ポリカーボネートの原料となる上記ジヒドロキシ化合物を大量に使用する必要がある。そのため、上記ジヒドロキシ化合物は、容器中に充填された状態で倉庫内に保管されたり、出荷に伴ってトラック、船舶などにより輸送されたりする。しかしながら、このようなジヒドロキシ化合物は、しばしば融点が低い場合があり、水分により潮解しやすいため、保管時や輸送時に原料自体の荷重によって、圧密されて融着物になりやすい。
上記ジヒドロキシ化合物が塊状になってしまうと、特にスケールが大きくなった場合、ハンドリングが困難になるだけでなく、種々の装置トラブルの原因となる。
更にエステル交換法でポリカーボネートを得ようとする場合には、重合速度を維持し、品質に影響を及ぼす末端基濃度を所定の値に制御することが重要であり、そのためにはモノマーである原料ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのモル比を正確に制御してやる必要があるが、塊状物や融着物となったジヒドロキシ化合物をそのまま原料として使用すると、秤量が不正確となり、得られるポリカーボネートの品質が安定しなくなるという問題がある。また、一旦塊状になってしまった上記ジヒドロキシ化合物は、しばしば重合を阻害する物質の発生を招き、重合速度が低下してしまうという問題があった。
このように、工業的スケールでポリカーボネートの原料となる上記ジヒドロキシ化合物を保存する場合、水分、温度、(酸素濃度)に対する安定性のみならず、原料自体の荷重による圧密を長時間にわたり抑制する必要があるが、上記文献は、船舶などによる長距離輸送や倉庫における長期間の保存方法について開示したものではなく、特に荷重がかかった状態での安定性の検討が行われていないのが実状である。
また、上記特殊な構造を有するジヒドロキシ化合物は、一般的に融点が高いことが多く、ビスフェノール類に比べると熱安定性に劣り、更には炭酸ジエステル他への溶解速度が小さいこともしばしばである。従って、公知文献に記載されているような一括して原料を仕込む方法では、炭酸ジエステルは溶融してもジヒドロキシ化合物成分が溶け残り、さらに温度を上げたり、時間をかけたりして余分な熱履歴をかける必要があるが、このような熱履歴は、好まざる副反応により重合を阻害する物質の生成を招来したり、最終的に得られるポリカーボネートの色調の悪化や熱安定性の低下を招来する。また、このような構造を有するジヒドロキシ化合物は、微量の酸素により品質が悪化しやすいが、原料を固体のまま使用する場合には、固体粒子間に抱き込まれた酸素を完全に除くのは難しく、たとえ減圧脱気後、不活性ガス等での置換を繰り返しても、完全に酸素を取り除くことは困難である。更にエステル交換法でポリカーボネートを得ようとする場合には、重合速度を維持し、品質に影響を及ぼす末端基濃度を所定の値に制御することが重要であり、そのためにはモノマーである原料ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのモル比を正確に制御してやる必要があるが、スケールが大きくなると、公知文献に記載されているようなモノマーの全量を正確に計量して仕込むことは困難になり、得られるポリカーボネートの品質の悪化や不安定さを招く。また、工業的スケールでこのようなポリカーボネートを製造する場合、固体モノマーの使用は閉塞や粉塵爆発等のトラブルを招きやすいため、極力固体モノマーでの単位操作を少なくすることが求められている。
さらに、特許文献9には、ジヒドロキシ化合物を蒸留、再結晶により得られる高純度の無水糖アルコールおよびその製法が開示されている。
一方、特許文献10には、水素化糖の内部脱水生成物であるジヒドロキシ化合物の安定性の改善のため、ジヒドロキシ化合物を蒸留精製後、安定性改善剤と接触させる方法が記載されている。また、特許文献11には、特定の構造を有するジヒドロキシ化合物と脂環式ジヒドロキシ化合物を原料とする高い耐熱性と透明性を兼ね備えたポリカーボネートにつき記載されており、その中でジヒドロキシ化合物の保管や製造時の取扱いの際に酸化で発生する蟻酸等の分解物により、得られるポリカーボネートの着色や物性の劣化が問題とされている。
特開2004−67990号公報 国際公開第2004/111106号パンフレット 国際公開第2006/41190号パンフレット 特開2006−232897号公報 特開2006−28441号公報 特開2008−56844号公報 特開2008−24919号公報 特表2005−509667号公報 特表2002−534486号公報 特表2005−509667号公報 特開2008−24919号公報
かかる状況下、本発明の目的は、ポリカーボネートの原料となる上記ジヒドロキシ化合物を長期保存した場合でも、品質劣化を抑制し、また、圧密され融着物となることを防止、軽減し、粉体やペレットの状態を維持することができるポリカーボネート原料用ジヒドロキシ化合物の保存方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記従来の問題点を解消し、ポリカーボネートの製造方法において、上記のようにジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの均一混合しにくいことに起因する問題点を解消し、透明性、色調、耐熱性、成形性、及び機械的強度に優れ、かつ優れた光学特性を有するポリカーボネートを、簡易かつ安定的に製造するための原料の調製方法と、ポリカーボネートの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
(a)ある特定の固体状態のジヒドロキシ化合物を、該ジヒドロキシ化合物に含まれる水分量、容器内の温度、及び該ジヒドロキシ化合物にかかる圧力を制御することで、該ジヒドロキシ化合物を品質劣化、圧密の問題を解決し、長期間安定的に保存できる。
(b)分子内に特定の構造を有する25℃で固体であるジヒドロキシ化合物と、溶融した炭酸ジエステルとを特定の圧力のもと、一定時間混合してポリカーボネートの原料として用いれば、透明性、色調、耐熱性、成形性、及び機械的強度に優れ、かつ優れた光学特性を有するポリカーボネートを、安定的に製造できる。
(c)分子内に特定の構造を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルとを特定の温度、圧力のもと、一定時間混合することにより該ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとが均一に混合する。さらに、該ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルに脂肪族および/または脂環式ジヒドロキシ化合物を加えることにより、該ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合がさらに促進し、特に透明性の高いポリカーボネートを製造できる。
(d)ジヒドロキシ化合物およびそれから得られる製品としてのポリカーボネートの着色の原因の一つが該ジヒドロキシ化合物中の不純物として含有される金属原子にあり、重合反応に供するポリカーボネートの原料として、金属原子含有量が1ppm未満の特定の構造を有するジヒドロキシ化合物を用いた場合、透明性の高いポリカーボネートを製造できる。さらに、該ジヒドロキシ化合物中に含有するアルデヒド化合物の量を低減することにより、特に透明性の高いポリカーボネートを製造できる。
そして、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
(1) 分子内に下記式(1)で表される構造を有する固体状態のジヒドロキシ化合物を容器に充填して保存する方法において、前記ジヒドロキシ化合物の水分含有量が1.0重量%以下、前記容器内の温度が60℃以下、かつ、前記容器の底面にかかる圧力が0.005kgf/cm2以上0.5kgf/cm2以下の条件下で保存することを特徴とするポリカーボネート原料用ジヒドロキシ化合物の保存方法。
(但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)
(2) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物が、複素環式構造を有することを特徴とする(1)に記載の保存方法。
(3) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする(1)または(2)に記載の保存方法。
(4) 好ましくは、前記容器内の酸素濃度が、0.0001vol%以上10vol%以下であることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の保存方法。
(5) 好ましくは、前記容器が、金属製コンテナ、樹脂製コンテナ、ファイバードラム、フレキシブルコンテナ、または紙袋であることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の保存方法。
(6) 好ましくは、前記容器が、樹脂製フィルムからなる内袋を有する容器であることを特徴とする(5)に記載の保存方法。
(7) 好ましくは、前記樹脂製フィルムが、ガスバリア性を有する無機層が形成された樹脂製フィルムであることを特徴とする(6)に記載の保存方法。
(8) 好ましくは、前記固体状態のジヒドロキシ化合物と、脱酸素剤とを、前記容器中で非接触的に共存させることを特徴とする(1)から(7)のいずれかに記載の保存方法。
(9) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物の平均嵩密度が、200kg/m3以上1000kg/m3であることを特徴とする(1)から(8)のいずれかに記載の保存方法。
(10) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物中の蟻酸含有量が、20重量ppm以下であることを特徴とする(1)から(9)のいずれかに記載の保存方法。
(11) (1)から(10)のいずれかの保存方法で保存された前記ジヒドロキシ化合物を解砕して形成した解砕物が、最大長3cm以上30cm以下の塊状物を1kg当たり20個以下含有することを特徴とするポリカーボネート原料用ジヒドロキシ化合物。
(12) 分子内に下記式(1)で表される構造を有し、25℃において固体であるジヒドロキシ化合物と、溶融した炭酸ジエステルとを、圧力0.06MPa以上0.20MPa以下で、0.5時間以上30時間以下の条件下で混合して、ポリカーボネートの原料として用いることを特徴とするポリカーボネート原料の調製方法。
(但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)
(13) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物を、溶融液、溶液、または懸濁液にした後、溶融した炭酸ジエステルと混合して、ポリカーボネートの原料として用いることを特徴とする(12)に記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(14) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物の溶融、溶解または懸濁を、酸素濃度0.0001vol%以上10vol%以下の雰囲気下で行うことを特徴とする(13)に記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(15) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物を、溶融液または溶液にした後、蒸留精製を行い、続いて溶融した炭酸ジエステルと混合して、ポリカーボネートの原料として用いることを特徴とする(12)から(14)のいずれかに記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(16) 好ましくは、蒸留精製前の前記ジヒドロキシ化合物が、塩基性安定剤を含有することを特徴とする(15)に記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(17) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物の融点が220℃以下であることを特徴とする(12)から(16)のいずれかに記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(18) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物を、溶融した炭酸ジエステルと混合する操作を、酸素濃度0.0001vol%以上10vol%以下の雰囲気下で行うことを特徴とする(12)から(17)のいずれかに記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(19) 好ましくは、溶融した炭酸ジエステルの液の重量をA重量部、前記ジヒドロキシ化合物の供給速度をB重量部/hとした時、B≦6Aであることを特徴とする(12)から(18)のいずれかに記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(20) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物の溶融液が、前記ジヒドロキシ化合物を予め溶融した液に、固体状態の前記ジヒドロキシ化合物を供給して溶融させて得られることを特徴とする(13)から(19)のいずれかに記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(21) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物を溶融させた液の重量をC重量部、固体状態の前記ジヒドロキシ化合物の供給速度をD重量部/hとした時、D≦6Cであることを特徴とする(20)に記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(22) 好ましくは、固体状態の前記ジヒドロキシ化合物の平均嵩密度が200kg/m3以上1000kg/m3以下であることを特徴とする(12)から(21)のいずれかに記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(23) 好ましくは、固体状態の前記ジヒドロキシ化合物を底部コーン角が120度以下である受器に受け入れることを特徴とする(12)から(22)のいずれかに記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(24) 好ましくは、炭酸ジエステルと混合する際の前記ジヒドロキシ化合物中の蟻酸含有量が20重量ppm以下であることを特徴とする(12)から(23)のいずれかに記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(25) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする(12)から(24)のいずれかに記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(26) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルの混合を70℃以上240℃以下で行うことを特徴とする(12)から(25)のいずれかに記載のポリカーボネート原料の調製方法。
(27) 少なくとも分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルからポリカーボネートを製造する方法において、前記分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、溶融状態の炭酸ジエステルとを、温度70℃以上240℃以下、圧力0.06MPa以上0.20MPa以下で、0.5時間以上30時間以下混合した後、圧力0.06MPa未満でエステル交換反応を進めて、ポリカーボネートを製造することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
(但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)
(28) 少なくとも分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルからポリカーボネートを製造する方法において、前記分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、溶融状態の炭酸ジエステルとを、温度70℃以上240℃以下、圧力0.06MPa以上0.20MPa以下で、0.5時間以上30時間以下混合した後、連続的に圧力0.06MPa未満に保持された反応槽に供給して、エステル交換反応を進めて、ポリカーボネートを製造することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
(但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)
(29) 好ましくは、前記分子内に式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、溶融状態の炭酸ジエステルとの混合を攪拌機を具備した槽中で行い、撹拌翼の先端速度が0.05m/s以上10m/s以下であることを特徴とする(27)または(28)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(30) 好ましくは、反応に用いるジヒドロキシ化合物成分1モルに対し、炭酸ジエステルが0.90モル以上1.20モル以下になるよう調製することを特徴とする(27)から(29)のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
(31) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物成分として、少なくとも前記分子内に式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、脂肪族および/または脂環式ジヒドロキシ化合物とを用い、前記脂肪族および/または脂環式ジヒドロキシ化合物が、炭酸ジエステル1モルに対し、0.01モル以上の比率であることを特徴とする(27)から(30)のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
(32) 好ましくは、脂肪族ジヒドロキシ化合物が、1,3−プロパンジオールであることを特徴とする(31)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(33) 好ましくは、脂環式ジヒドロキシ化合物が、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/またはトリシクロデカンジメタノールであることを特徴とする(31)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(34) 好ましくは、前記分子内に式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物が、複素環式ジヒドロキシ化合物であることを特徴とする(27)から(33)のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
(35) 好ましくは、前記複素環式ジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする(34)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(36) 好ましくは、前記分子内に式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物成分が、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンであることを特徴とする(27)から(33)のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
(37) 好ましくは、ジヒドロキシ化合物成分と、溶融した炭酸ジエステルとを80℃以上120℃以下で混合することを特徴とする(27)から(36)のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
(38) 好ましくは、前記分子内に式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応させるポリカーボネートの製造方法において、前記ジヒドロキシ化合物の金属原子含有量が、1ppm未満であることを特徴とする(27)または(28)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(39) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物の金属原子含有量が、0.5ppm未満であることを特徴とする(38)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(40) 好ましくは、前記ジヒドロキシ化合物のアルデヒド化合物含有量が、0.01重量%未満であることを特徴とする(38)または(39)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(41) 好ましくは、前記アルデヒド化合物含有量が、0.008重量%未満であることを特徴とする(40)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(42) 好ましくは、反応前に前記分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を蒸留することを特徴とする(38)から(41)のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
(43) 好ましくは、蒸留時の初留が2重量%以上であり、釜残が8重量%以上(蒸留仕込み量を100重量%とする。)であることを特徴とする(42)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(44) 好ましくは、前記分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を蒸留する際に用いる蒸留装置において、該ジヒドロキシ化合物の接触する部分がモリブデン含有合金からなる蒸留装置であることを特徴とする、(42)または(43)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(45) 好ましくは、(38)から(44)のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法において、前記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を行う反応容器が、モリブデン含有合金からなることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
(46) 好ましくは、(11)に記載の解砕したジヒドロキシ化合物をポリカーボネートの原料に用いることを特徴とする(27)から(45)のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
(47) 好ましくは、(1)から(15)のいずれかに記載の方法で調製された原料を用いることを特徴とする(27)から(45)のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方法。
本発明の保存方法によれば、ジヒドロキシ化合物を長期間、品質劣化を抑制し、また、圧密することなく保存することができる。
また、本発明の調製方法、製造方法によれば、透明性、色調、耐熱性、成形性、及び機械的強度に優れ、かつ優れた光学特性(特に高い透明性)を有するポリカーボネートを安定的に得ることができる。
図1は、本発明のポリカーボネート原料であるジヒドロキシ化合物の溶融用撹拌槽の一例である。 図2は、本発明のポリカーボネートの調製方法の実施の態様の一例を示す模式図である。 図3は、本発明のポリカーボネートの製造方法の実施の態様(撹拌混合)の一例を示す模式図である。 図4は、本発明のポリカーボネートの製造方法の実施の態様(重合反応)の一例を示す模式図である。
以下に本発明の実施態様について、(A)ポリカーボネート原料用ジヒドロキシ化合物の保存方法、(B)ポリカーボネート原料の調製方法及び(C)ポリカーボネートの製造方法の順に詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
(A)ポリカーボネート原料用ジヒドロキシ化合物の保存方法
本発明のポリカーボネート原料用ジヒドロキシ化合物の保存方法(以下、単に「本発明の保存方法」と称する場合がある。)は、分子内に下記式(1)で表される構造を有する固体状態のジヒドロキシ化合物(以下、「本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物」と称する場合がある。)を容器に充填して保存する方法において、前記ジヒドロキシ化合物の水分含有量が1.0重量%以下、前記容器内の温度が60℃以下、かつ、前記容器の底面にかかる圧力が0.005kgf/cm2以上0.5kgf/cm2以下の条件下で保存するジヒドロキシ化合物の保存方法に係るものである。
(但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)
なお、本発明の保存方法において、「保存」とは、容器に本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物が充填された時点から、ある特定の用途に使用される時点までのいずれの時点をも包含する概念である。すなわち、例えば本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物が容器中に充填された状態で倉庫内に保管されている場合のみならず、トラック及び/または船舶などにより輸送されている場合もまた、本発明でいう「保存」の概念に含まれる。
また、「固体状態のジヒドロキシ化合物」とは、「保存」する際において一時的であっても固体状態でさえあれば固体状態のジヒドロキシ化合物を保存するものとみなし、当該化合物の融点によらない。すなわち、例えば融点が常温以下であったとしても、保存する際の温度が融点以下であれば、固体状態のジヒドロキシ化合物を容器に充填して保存する方法である。そして、本発明においては、当該ジヒドロキシ化合物を本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物と称する。
また、本発明の保存方法において、「容器の底面にかかる圧力」とは、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物自体の荷重などによって、容器の底面にかかる圧力を意味し、フレキシブルコンテナや紙袋などジヒドロキシ化合物を充填した後、積み重ねて使用される容器の場合には、上部に積まれた荷物の加重が直接反映されるため、最下部の容器の底面にかかる圧力を意味する。
本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物としては、具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等で例示されるような、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ジフェニルメタン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−1−フェニルエタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,4−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,3−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]プロパン、2,2−ビス[(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−tert−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−4−メチルペンタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]オクタン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]デカン、2,2−ビス[3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等で例示されるような、ビス(ヒドロキシアルコキシアリール)アルカン類、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロペンタン等で例示されるような、ビス(ヒドロキシアルコキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル等で例示されるような、ジヒドロキシアルコキシジアリールエーテル類、4,4’−ビス(2−ヒドロキエトキシフェニル)スルフィド、4,4’−ビス[4−(2−ジヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]スルフィド等で例示されるような、ビスヒドロキシアルコキシアリールスルフィド類、4,4’−ビス(2−ヒドロキエトキシフェニル)スルホキシド、4,4’−ビス[4−(2−ジヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]スルホキシド等で例示されるような、ビスヒドロキシアルコキシアリールスルホキシド類、4,4’−ビス(2−ヒドロキエトキシフェニル)スルホン、4,4’−ビス[4−(2−ジヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]スルホン等で例示されるような、ビスヒドロキシアルコキシアリールスルホン類、1,4−ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,3−ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,2−ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,3−ビス[2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロピル]ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、1,3−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−5,7−ジメチルアダマンタン、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、および下記一般式(3)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物が挙げられ、これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物は、好ましくは25℃で固体であり、その融点は好ましくは60℃以上であり、220℃以下であることが好ましい。なお、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物として好適に使用されるイソソルビドの融点は約66℃である。融点が60℃未満であると、特に船舶により回帰線を越しての輸送の場合、船舶の温度が60℃近くまで上昇することがあること、また、原料の調製中に予期せぬ融着や閉塞が起こり易くなることから好ましくなく、一方、融点が220℃を超えると原料調製に高温を必要とするため、得られるポリカーボネートの色調の悪化等の不具合を招く。ジヒドロキシ化合物の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、20℃/分で昇温した際の融解ピークトップから求めることができる。
本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、還元剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤を含んでいても良く、特に酸性下で変質しやすいことから、塩基性の安定剤を含むことが好ましい。塩基性の安定剤としては、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族または2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩、脂肪酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、NaまたはKのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2Na、亜リン酸水素2Naが好ましい。
これらの塩基性安定剤の含有量に特に制限はないが、少なすぎると効果がなく、多すぎると逆にジヒドロキシ化合物の変性を招くことがあるので、通常本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物に対して、0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%である。
また、これらの塩基性安定剤は、除去せずにそのままポリカーボネートの原料として用いると、それ自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるので、使用前にイオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好ましい。
なお、本発明の保存方法で保存された本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物中の蟻酸含有量は、20重量ppm以下、好ましくは10重量ppm以下、特に好ましくは5重量ppm以下である。このような蟻酸含有量の本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物を使用すると、さらなる精製処理なしでも重合反応性を損なうことなく色調や熱安定性に優れたポリカーボネートの製造が可能となる。なお、蟻酸含有量の測定はイオンクロマトグラフィーで行うことができる。
本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物は、製造後、粉体や取り扱いが容易なように成形されたペレットとして、コンテナや樹脂袋及び/または紙袋に充填して最終的に成型及び/または加工等を行うために出荷される。出荷された上記ジヒドロキシ化合物は、容器中に充填された状態で倉庫内に保管されたり、トラック、船舶などにより輸送されたりする。しかしながら、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物は、融点が低く、水分により潮解しやすいことに加え、保管時や輸送時には、容器内温度が上昇することも多く、さらに原料自体の荷重によって、圧密されるため融着物になりやすい。
本発明の保存方法で使用する容器(以下、「保存用容器」と称する場合がある。)としては、十分な耐圧性を有し、気密性を有する容器であれば、特に限定されるものではなく、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の保存量や、保存目的に応じて適時選択可能であるが、好適には、金属製コンテナ、樹脂製コンテナ、ファイバードラム、フレキシブルコンテナおよび紙袋を使用することができる。このなかでも、特に大量のジヒドロキシ化合物を倉庫などに保存する場合や、船舶などによる輸送を行う場合には、多段積み時に下方にある保存用容器内の本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物に過大な圧力が直接かからない金属製コンテナ、樹脂製コンテナ、ファイバードラムが好ましい。
保存用容器として、フレキシブルコンテナや紙袋を用いる場合には、上記のように上部に積まれた荷物の加重が直接反映されるため、保存用容器の底面にかかる圧力が0.5kgf/cm2以下になるようにすることが必要である。
本発明の保存方法において、容器底面における圧力は、0.005〜0.5kgf/cm2であることが必須であり、好ましくは0.01〜0.2kgf/cm2、好適には0.02〜0.1kgf/cm2である。この圧力が、0.005kgf/cm2未満であると、容器内に充填できる量が、少なくなりすぎるため好ましくなく、0.5kgf/cm2を超えると本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の自身の荷重による圧密を抑制することができないため好ましくない。
なお、これらの保存用容器は、気密性を保ち、外部からの汚染を防ぐため、樹脂製フィルムからなる内袋を有することが好ましい。更には気密性を上げるために、酸素に対するガスバリア性を有する樹脂製フィルムからなる内袋を有することが好ましい。ガスバリア性を有する樹脂製フィルムとしては、エチレン-ビニルアルコール共重合体などの公知のガスバリア性を有する樹脂からなるフィルムや、その表面にガスバリア性を有する無機層が形成された樹脂フィルムを使用することができる。
ガスバリア性を有する無機層として、具体的には、蒸着などにより形成したアルミニウムなどの金属膜や、ゾルゲル法や蒸着法などにより形成したシリカ、アルミナなどの金属酸化物膜などが挙げられる。
ガスバリア性を有する無機物を蒸着処理した樹脂フィルムは、耐久性が優れるのに加え、母体となる樹脂製フィルムとして、ガスバリア性を有さない樹脂も使用できるため、材料選択の幅が広がるという利点もある。
樹脂製フィルムの厚さは、ガスバリア性が十分確保できる厚さであればよく、通常5μm〜10mm、好ましくは10μm〜1000μm、特に好ましくは30μm〜500μmである。
以下、本発明の保存方法における保存条件について説明する。
本発明の保存方法において、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の水分含有量、容器内温度及び本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物にかかる最大圧力を所定の範囲になるように制御することが必須である。
本発明の保存方法においては、保存雰囲気中の本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の水分含有量が1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下に保つ。この水分含有量が多いと固体ジヒドロキシ化合物の溶解による劣化が顕著になる傾向にあり、圧密されやすくなる。なお、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の水分含有量は、カールフィッシャー法によって定量することができる。
本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物を保存する際の温度は、60℃以下、好ましくは40℃以下、好適には20℃以下である。本発明の保存方法によると、比較的高温である60℃まで、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の品質劣化を伴わずに保存可能であるが、温度が60℃を超えると、上述の水分含有量および後述のように荷重を制御しても本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の融着が生じ易くなるという問題がある。
保存温度の下限は特に制限はないが、温度が低すぎる場合には、管理工程が煩雑となり経済的に不利であるため、通常、−10℃以上、好適には0℃以上である。
また、上記保存条件以外にも、他の条件も本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の品質を左右することがある。特に容器内の酸素濃度は、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の黄変や重合性低下の原因となることが多い。そのため、容器内の酸素濃度は、好適には0.0001〜10vol%であり、特に好適には0.001〜1vol%である。容器内の酸素濃度を、0.0001vol%未満とすることは現実的に困難であり、10vol%を超えると本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の品質低下が著しくなるため好ましくない。
容器内の酸素濃度を制御する方法としては、特に制限はないが、前記固体状態のジヒドロキシ化合物をガスバリア性のある容器に充填した後、窒素等の不活性ガスで置換する方法や、減圧で充填する方法、前記固体状態のジヒドロキシ化合物と、脱酸素剤とを、前記容器中で非接触的に共存させる方法が簡便かつ効果的であるため好適である。具体的には、前記固体状態のジヒドロキシ化合物と、前記固体状態のジヒドロキシ化合物とは別に包装された脱酸素剤とを、前記容器中で共存させる方法が挙げられる。
脱酸素剤としては、例えば、鉄粉等に代表される金属成分を用いたもの、アスコルビン酸及びその塩(アスコルビン酸の異性体であるエリソルビン酸及びその塩を含む)、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、没食子酸、カテコール、ピロガロール等の多価フェノール類、不飽和炭素、水添ゴム等の不飽和二重結合その他の易酸化性部位を有する物質等を使用することができるが、取り扱いのし易さから、鉄粉、アスコルビン酸を成分として含むものが好ましい。脱酸素剤を包装する材料は、酸素が十分に透過できるものであれば特に制限なく、酸素透過性の樹脂フィルムや網目状に空隙部が設けられた樹脂フィルムなどを使用することができる。
本発明の保存方法によると、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物を、少なくとも、30日以上、好適には60日以上圧密を起こすことなく保存することができる。
本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の固体状態での平均嵩密度は通常200〜1000kg/m3、中でも300〜900kg/m3、特には500〜900kg/m3であることが好ましい。ここで、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物の平均嵩密度とは、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物を任意に1kgずつ3点サンプリングした平均の嵩密度をいう。平均嵩密度が200kg/m3未満の場合には、供給量が安定せず、結果的に重合反応速度にムラが出る原因となったり、粉塵爆発の原因となったりする。また、平均嵩密度が1000kg/m3を超える場合には、ポリカーボネートの原料としての使用に適さない大きさ及び硬度の融着物となる場合があり、解砕するためのコストが増大するため好ましくない。なお、塊状物や融着物となった、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物は、ハンマミル、ハンマブレーカ、ニブラー、フィッツミル、ジェットミル、ラバーチョッパー等の解砕機で解砕し、平均嵩密度を上記範囲内にすることが好ましい。
解砕する場合には、最大長3cm以上30cm以下の塊状物が、塊状物を1kg当たり20個以下含有するように調製することが好ましい。このように調製したジヒドロキシ化合物は、ポリカーボネート製造のハンドリング性が向上し、正確な原料供給を行うことができる。
(B)ポリカーボネート原料の調製方法
本発明のポリカーボネート原料の調製方法(以下、「本発明の調製方法」と称する場合がある。)について説明する。
本発明の調製方法は、分子内に下記式(1)で表される構造を有し、25℃において固体である本発明に係るジヒドロキシ化合物と、溶融した炭酸ジエステルと、圧力0.06MPa以上0.20MPa以下で、0.5時間以上30時間以下の条件下で混合して、ポリカーボネートの原料として用いる。
(但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)
本発明の調製方法の特徴の一つは、ポリカーボネート原料の必須成分として、分子内に式(1)で表される構造を有し、25℃において固体であるジヒドロキシ化合物を使用することにある。
なお、25℃において固体であるジヒドロキシ化合物とは、融点が少なくとも25℃より高いジヒドロキシ化合物を意味し、該ジヒドロキシ化合物を使用する際に固体である必要はなく、例えば、融点以上の温度で使用したり、適当な溶媒を使用することによって、溶融液、溶液または懸濁液として使用してもよい。
そのため、上述の本発明の保存方法で説明した式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物(本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物)のうち、25℃において固体であるものを好適に使用することができる。
すなわち、本発明に係るジヒドロキシ化合物としては、上述した本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物のうち、25℃において固体であるものであって、具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等で例示されるような、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ジフェニルメタン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−1−フェニルエタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,4−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,3−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]プロパン、2,2−ビス[(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−tert−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−4−メチルペンタン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]オクタン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]デカン、2,2−ビス[3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等で例示されるような、ビス(ヒドロキシアルコキシアリール)アルカン類、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロペンタン等で例示されるような、ビス(ヒドロキシアルコキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル等で例示されるような、ジヒドロキシアルコキシジアリールエーテル類、4,4’−ビス(2−ヒドロキエトキシフェニル)スルフィド、4,4’−ビス[4−(2−ジヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]スルフィド等で例示されるような、ビスヒドロキシアルコキシアリールスルフィド類、4,4’−ビス(2−ヒドロキエトキシフェニル)スルホキシド、4,4’−ビス[4−(2−ジヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]スルホキシド等で例示されるような、ビスヒドロキシアルコキシアリールスルホキシド類、4,4’−ビス(2−ヒドロキエトキシフェニル)スルホン、4,4’−ビス[4−(2−ジヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]スルホン等で例示されるような、ビスヒドロキシアルコキシアリールスルホン類、1,4−ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,3−ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,2−ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,3−ビス[2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロピル]ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、1,3−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−5,7−ジメチルアダマンタン、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、および下記一般式(3)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物が挙げられ、これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
本発明のポリカーボネート原料としては、上記本発明に係るジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物(以下「その他のジヒドロキシ化合物」と称す場合がある。)に由来する構成単位を用いても良く、その他のジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオールのなどの脂肪族ジオール化合物、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール、等の脂環式ジヒドロキシ化合物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。中でも、光学的特性、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさという観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。
これらのその他のジヒドロキシ化合物を用いることにより、柔軟性の改善、耐熱性の向上、成形性の改善などの効果を得ることもできるが、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位の含有割合が多過ぎると、本来の光学特性の性能の低下や、耐熱性の低下を招くことがあり、本発明の効果も小さくなるため、ジヒドロキシ化合物成分(本発明に係るジヒドロキシ化合物+その他のジヒドロキシ化合物)に対する本発明に係るジヒドロキシ化合物の割合が、20モル%以上、好ましくは30モル%以上、特には50モル%以上であることが好ましい。
本発明の調製方法において、本発明に係るジヒドロキシ化合物は25℃で固体であることが必須であり、その融点は好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、特に好ましくは60℃以上であり、中でも220℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは120℃以下、特には100℃以下であることが好ましい。融点が40℃未満であると、原料の調製中に予期せぬ融着や閉塞が起こり易くなり、融点が220℃を超えると原料調製に高温を必要とするため、得られるポリカーボネートの色調の悪化等の不具合を招く。ジヒドロキシ化合物の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、20℃/分で昇温した際に現れる溶融ピークのピークトップから求めることができる。
本発明に係るジヒドロキシ化合物は、還元剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤を含んでいても良く、特に酸性下で変質しやすいことから、塩基性の安定剤を含むことが好ましい。塩基性の安定剤としては、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族または2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩、脂肪酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、NaまたはKのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2Na、亜リン酸水素2Naが好ましい。
これらの塩基性安定剤の含有量に特に制限はないが、少なすぎると効果がなく、多すぎると逆にジヒドロキシ化合物の変性を招くことがあるので、通常、本発明に係るジヒドロキシ化合物に対して、0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%である。
また、これらの塩基性安定剤は、除去せずにそのままポリカーボネートの原料として用いると、それ自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるので、使用前にイオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好ましい。
本発明に係るジヒドロキシ化合物がイソソルビド等、環状エーテル構造を有する場合には、酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管や、製造時の取り扱いの際には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤を用いたり、窒素雰囲気下にしたりすることが肝要である。イソソルビドが酸化されると、蟻酸をはじめとする分解物が発生する。例えば、これら分解物を含むイソソルビドを用いてポリカーボネートを製造すると、得られるポリカーボネートの着色を招いたり、物性を著しく劣化させたりするだけでなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないこともあり、好ましくない。
上記酸化分解物を含まない本発明に係るジヒドロキシ化合物を得るために、また、前述の塩基性安定剤を除去するために、ポリカーボネート原料として使用する前に蒸留精製を行うことが好ましい。この場合の蒸留は単蒸留であっても、連続蒸留であっても良く、特に限定されない。中でもアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気にした後、減圧下で蒸留を実施することが好ましく、熱による変性を可能な限り抑制するためには、250℃以下、好ましくは200℃以下、特には180℃以下で行うことが好ましい。
このような蒸留精製で、本発明に係るジヒドロキシ化合物中の蟻酸含有量を20重量ppm以下、好ましくは10重量ppm以下、特に好ましくは5重量ppm以下にすることにより、重合反応性を損なうことなく色調や熱安定性に優れたポリカーボネートの製造が可能となる。蟻酸含有量の測定はイオンクロマトグラフィーで行う。
本発明の調製方法においては、上述したジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、圧力0.06MPa以上0.20MPa以下で、0.5時間以上30時間以下の条件下で混合して、ポリカーボネートの原料として用いる。そして、調製した原料を使用して、いわゆるエステル交換法でポリカーボネートを製造することができる。本発明の調製方法で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
(一般式(4)において、A及びA’は、置換基を有していても良い炭素数1〜18の脂肪族基又は置換基を有していても良い芳香族基であり、A及びA’は同一であっても異なっていても良い。)
上記一般式(4)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートに代表される置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネート、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
本発明の調製方法においては、本発明に係るジヒドロキシ化合物を溶融した炭酸ジエステルと混合して、ポリカーボネートの原料として用いることを必須とする。
本発明に係るジヒドロキシ化合物は、固体のまま溶融した炭酸ジエステルと混合しても良いし、溶融液、溶液、懸濁液とした後、溶融した炭酸ジエステルと混合しても良いが、操作性、供給安定性の点から、溶融液、溶液、または懸濁液にした後、溶融した炭酸ジエステルと混合されることが好ましく、定量性の観点からは、溶融液として混合されることが好ましい。
なお、本発明に係るジヒドロキシ化合物を、溶融、溶解または懸濁する操作は、酸素濃度10vol%以下、更には0.0001〜10vol%、中でも0.0001〜5vol%、特には0.0001〜1vol%の雰囲気下で行うことが、劣化防止の観点から好ましい。
本発明に係るジヒドロキシ化合物を固体状態で溶融した炭酸ジエステルに混合する場合には、溶融した炭酸ジエステルに固体状態のジヒドロキシ化合物を供給する方法、固体状態のジヒドロキシ化合物に溶融した炭酸ジエステルを供給する方法、それぞれを同時に供給する方法があるが、本発明の効果から、溶融した炭酸ジエステルに固体状態のジヒドロキシ化合物を供給することが好ましい。
代表的な炭酸ジエステルであるジフェニルカーボネートの融点は約80℃であり、本発明に係るジヒドロキシ化合物のように熱安定性に劣る原料であっても、溶融した炭酸ジエステルに溶解させることにより、比較的低温での原料調製が可能となり、熱劣化による重合性の悪化や、最終製品であるポリカーボネートの着色を抑制することができる。また、予め炭酸ジエステルと融点の低いジヒドロキシ化合物を混合しておくと混合物の融点を更に下げることも可能であり、該混合物と本発明に係るジヒドロキシ化合物とを混合することも熱履歴低減の観点からは有効である。
本発明に係るジヒドロキシ化合物を溶融した炭酸ジエステルと混合させる時の温度は通常70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、その上限は通常240℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。温度が低すぎると溶解速度が遅く、装置が過剰になるだけでなく、しばしば固化等の不具合を招き、温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く。
本発明に係るジヒドロキシ化合物を、溶融した炭酸ジエステルと混合する操作は、酸素濃度10vol%以下、更には0.0001〜10vol%、中でも0.0001〜5vol%、特には0.0001〜1vol%の雰囲気下で行うことが、劣化防止の観点から好ましい。
本発明に係るジヒドロキシ化合物を溶融した炭酸ジエステルと混合させる時の速度は特に制限はないが、溶融した炭酸ジエステルの液の重量をA重量部、本発明に係るジヒドロキシ化合物の供給速度をB重量部/hとした場合、B≦6Aであることが好ましく、更にはB≦4A、特にはB≦3Aであることが好ましい。前記において、Aは炭酸ジエステルが他のモノマー等と混合されている場合には、炭酸ジエステルのみの重量部とし、本発明に係るジヒドロキシ化合物を溶液または懸濁液にした場合には、溶媒や分散媒を除いたジヒドロキシ化合物正味の供給速度をB重量部/hとする。
該供給速度は連続的に供給する場合は、その平均の供給速度、間欠的に供給する場合には、先の供給で供給したジヒドロキシ化合物の重量を、先の供給を開始してから次の供給を開始するまでの時間で除することによって求めることとする。
本発明に係るジヒドロキシ化合物を溶融した炭酸ジエステルに直接供給する場合には、供給速度が大きすぎると本発明に係るジヒドロキシ化合物が容易には溶解せず、原料の不均一を招き、不必要な熱履歴を与える原因になり、本発明に係るジヒドロキシ化合物を溶融液、溶液、懸濁液で供給する場合でも、炭酸ジエステルとの混合時に吸熱し、内容物が固化して装置トラブルの原因となる。一方、小さすぎると装置が過大になったり、熱履歴が大きくなったりする。
固体状態の本発明に係るジヒドロキシ化合物の平均嵩密度は通常200〜1000kg/m3、中でも300〜900kg/m3、特には500〜900kg/m3であることが好ましい。平均嵩密度とは、固体状態の本発明に係るジヒドロキシ化合物を任意に1kgずつ3点サンプリングした平均の嵩密度を言う。平均嵩密度が200kg/m3未満の場合には、供給量が安定せず、結果的に重合反応速度にムラが出る原因となったり、粉塵爆発の原因となったりする。また、本発明に係るジヒドロキシ化合物は含有する微量水分や安定剤等の影響、運搬方法等により、部分的に塊状になり、平均嵩密度が1000kg/m3を超える場合があるが、そのような場合には、ハンマミル、ハンマブレーカ、ニブラー、フィッツミル、ジェットミル、ラバーチョッパー等で粉砕し、平均嵩密度を上記範囲内にすることが好ましい。
また、固体状態の本発明に係るジヒドロキシ化合物は、底部コーン角が120度以下、好ましくは90度以下、更に好ましくは70度以下のホッパーに受け入れ、固体状態のまま不活性ガスによる置換等で酸素濃度10vol%以下、好ましくは5vol%以下、特に好ましくは2vol%以下の雰囲気にした後、溶融液、溶液、または懸濁液にすることが好ましい。固体状態の本発明に係るジヒドロキシ化合物を溶融させる際には、熱による劣化を最小限に抑えるために、予め少量のジヒドロキシ化合物の溶融液を調製しておき、そこに固体状態のジヒドロキシ化合物を順次供給することが好ましい。
固体状態の本発明に係るジヒドロキシ化合物を溶融する際の温度は、熱による劣化を最小限に抑え、内容物の固化を防止するために、内温を該ジヒドロキシ化合物の融点〜融点+50℃、中でも融点〜融点+30℃、特には融点〜融点+20℃の範囲に維持することが好ましい。
固体状態の本発明に係るジヒドロキシ化合物の供給速度に特に制限はないが、予め溶融したジヒドロキシ化合物の重量をC重量部、固体状態のジヒドロキシ化合物の供給速度をD重量部/hとした場合、D≦6Cであることが好ましく、更にはD≦4C、特にはD≦3Cであることが好ましい。供給速度が大きすぎると、固体状態の本発明に係るジヒドロキシ化合物は溶融する際に吸熱することが多いため、内容物の固化を招き、結果的に装置のトラブルや不必要な熱履歴を与える原因になり、小さすぎると装置が過大になったり、熱履歴が大きくなったりする。
該供給速度は連続的に供給する場合は、その平均の供給速度、間欠的に供給する場合には、先の供給で供給した固体状態のジヒドロキシ化合物の重量を、先の供給を開始してから次の供給を開始するまでの時間で除することによって求めることとする。
本発明に係るジヒドロキシ化合物の融点が、150℃以下、中でも100℃以下の場合には、熱劣化しにくい低温で扱うことができるので、溶融液として炭酸ジエステルと混合することが好ましい。また、前述のように重合前に蒸留精製して用いることが好ましい。
本発明に係るジヒドロキシ化合物の融点が高い場合には、溶液、懸濁液としてから炭酸ジエステルと混合することが好ましく、その場合の溶媒、分散媒に特に制限はないが、重合工程での分離除去の容易さ、ポリカーボネートの品質に与える影響を最小限にするためには、水が好ましい。
本発明に係るジヒドロキシ化合物を、溶融液、溶液、または懸濁液にした後、溶融した炭酸ジエステルと混合する場合の速度も、上述したように、溶融した炭酸ジエステルの液の重量をA重量部、本発明に係るジヒドロキシ化合物の供給速度をB重量部/hとした場合、B≦6Aであることが好ましく、更にはB≦4A、特にはB≦3Aであることが好ましい。前記において、Aは炭酸ジエステルが他のモノマー等と混合されている場合には、炭酸ジエステルのみの重量部とし、本発明に係るジヒドロキシ化合物を溶液または懸濁液にした場合、溶媒や分散媒を除いたジヒドロキシ化合物正味の供給速度をB重量部/hとする。
一般的に、本発明に係るジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを混合した場合には吸熱現象が起こるため、供給速度が大きすぎると内容物の析出や固化を招くことがある。
本発明の調製方法において、上述したその他のジヒドロキシ化合物も本発明に係るジヒドロキシ化合物と同様の方法で炭酸ジエステルと混合することが出来る。
本発明の調製方法において、炭酸ジエステルは、反応に用いるジヒドロキシ化合物成分の全量に対して、0.90〜1.20のモル比で用いることが好ましく、さらに好ましくは、0.95〜1.10のモル比である。このモル比が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネートの末端OH基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化したり、所望する高分子量体が得られなかったりする。また、このモル比が1.20より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量のポリカーボネートの製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネートの残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、又は成形品の臭気の原因となり好ましくない。
以下に本発明の好ましい態様を、図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1において、1は固体状態のジヒドロキシ化合物の受入ホッパー、2は定量フィーダー、3はジャケットを具備した撹拌槽、4は抜出用ラインである。
固体状態のジヒドロキシ化合物は、必要に応じて粉砕され、受入ホッパー(1)に供給される。受入ホッパー(1)の底部コーン角は好ましくは120度以下であり、内部を減圧にし、窒素置換する設備が付帯され(図示せず。)、固体状態のジヒドロキシ化合物を受け入れた後、減圧と窒素置換を繰り返し、ホッパー内部の酸素濃度を低下させる。撹拌槽(3)内部は、予め窒素置換して酸素濃度を1vol%以下に保った上で加温し、溶融したジヒドロキシ化合物を敷液しておく。次に、撹拌槽(3)を一定温度幅に制御しながら、定量フィーダー(2)で固体状態のジヒドロキシ化合物を供給する。この時、必要に応じ撹拌や窒素バブリングを実施し、内部を均一に溶融させる。溶融が終了した後、抜出用ライン(4)を通じて、次の工程、好ましくは蒸留精製工程に供給する。ジヒドロキシ化合物の溶融速度が十分大きい場合には、連続して固体状態のジヒドロキシ化合物を供給しながら、連続的に抜き出すこともできる。
溶融され、必要に応じ蒸留精製されたジヒドロキシ化合物は、図2のライン(5A)を通じて熱媒ジャケット付きの貯槽(5)に送られる。一方、外部から溶融状態で供給された炭酸ジエステルはライン(6A)から熱媒ジャケット付きの貯槽(6)に送られ、ライン(6B)を経由して熱媒ジャケットと撹拌装置を具備した原料調製槽(9)に、定量ポンプ(図示せず。)または流量計(図示せず。)で定量し、一定量送られる。溶融状態のジヒドロキシ化合物は貯槽(5)から、定量ポンプ(図示せず。)または流量計(図示せず。)で定量し、所定量原料調製槽(9)に送られ、ジャケットで内温を制御しながら、溶融した炭酸ジエステルと攪拌機で均一に混合され、ポリカーボネートの原料として使用される。貯槽(5)は、複数設けて他のジヒドロキシ化合物を供給することもできる。また、固体状態のジヒドロキシ化合物は必要に応じ、ホッパー(7)に受け入れ、必要に応じて不活性ガスで置換した後、定量フィーダー(8)を用いて、ライン(7A)経由で、原料調製槽中の炭酸ジエステルに供給、溶解、混合される。調製が終わった原料は必要に応じ、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を分析した後、ライン(9A)を通じて、ジャケット付きの原料貯槽(10)へ送られ、ライン(10A)を経て、重合槽へ供給される。ライン(5A)、(5B)、(6A)、(6B)、(9A)、(10A)は、内容物が固化しない程度に保温または加温しておき、ライン(10A)には必要に応じ異物を除去するためのフィルターを設置する。これらのラインを保温または加熱する温度は、内容物であるモノマーの種類や量を勘案して決定すればよく、内容物の固化を回避するためには、内容物となるモノマーまたはモノマー混合物の融点以上であることが必要である。また、内容物の変性を回避するという観点からは、ラインを保温または加熱する温度は、好ましくは前記融点の+100℃以下であり、さらに好ましくは+50℃以下であり、特に好ましくは+30℃以下である。溶融した炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物の混合はバッチ式で行うこともできるし、連続的に行うこともできる。
重合触媒は原料調製槽(9)、原料貯槽(10)に添加することもできるし、重合槽に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からはライン(10A)の途中に触媒供給ライン(図示せず。)を設置し供給することが好ましい。
(C)ポリカーボネートの製造方法
以下、本発明のポリカーボネートの製造方法について説明する。
本発明のポリカーボネートの製造方法においては、原料として、少なくとも分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルをエステル交換させてポリカーボネートを製造する。
ポリカーボネートの原料として、上述した(A)本発明の保存方法で得られるジヒドロキシ化合物や、(B)本発明のポリカーボネート原料の調製方法で得られるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからなる原料を使用することが好ましいが、これらの原料に限定されない。
以下、本発明のポリカーボネートの製造方法における特に好適な方法として、少なくとも式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を必須成分として使用し、特定の温度、圧力のもと、一定時間混合することを特徴とする本発明のポリカーボネートの製造方法について説明するが、本発明はこれに限定されない。
本発明のポリカーボネートの製造方法(以下、「本発明の製造方法」と呼ぶ場合がある。)においては、少なくとも分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルからポリカーボネートを製造する方法において、分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(I)」と称することがある。)と、溶融状態の炭酸ジエステルとを、温度70℃以上240℃以下、圧力0.06MPa以上0.20MPa以下で、0.5時間以上30時間以下混合した後、圧力0.06MPa未満でエステル交換反応を進めて、ポリカーボネートを製造することを特徴とする。
なお、本発明の製造方法において、「ジヒドロキシ化合物成分」とは、ポリカーボネートの原料となるすべてのジヒドロキシ化合物の合計を意味する。また、「溶融状態」とは、それぞれの融点以上で、溶融した原料モノマーの状態を指すが、特に熱処理を必要とするわけではなく、例えば、炭酸ジエステルのうち、常温で液体のものについては、熱処理を行うことなくそのまま使用される。さらに、本発明の製造方法において、「圧力」とは、真空を基準に表した、いわゆる絶対圧力を指す。
(但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)
本発明の製造方法において、混合する際の温度(以下、「混合温度」と称する場合がある。)は、通常70〜240℃であり、好ましくは、80〜150℃、特に好ましくは、90℃〜120℃である。混合温度が70℃未満では、各成分の混合速度が遅く、原料モノマー(ジヒドロキシ化合物成分および/または炭酸ジエステル)の析出が起こるおそれがある。一方、240℃を超えるとジヒドロキシ化合物成分の熱劣化を招くため好ましくない。特に90〜120℃であると、ジヒドロキシ化合物成分が熱劣化を起こすことなく、短時間で均一に混合される。
さらに、混合する際の槽内の圧力(以下、「混合圧力」と称する場合がある。)は、通常0.06〜0.20MPaであり、好ましくは、0.09〜0.12MPaである。混合圧力が、0.06MPa未満であると、モノマーの揮散を招き、原料のモル比がずれて十分な分子量のポリマーが得られなかったり、ベント部等への閉塞を招いたりする。一方、0.20MPaを超えると、原料調製槽のみならず、付帯設備を含めた設備に耐圧構造が要求されるため、装置が過大になったり、操作が煩雑になったりする。
また、原料モノマーが均一に混合するための混合時間は0.5時間以上30時間以下であり、好ましくは1.0〜20時間、特に好ましくは、1.0〜10時間である。本発明における混合時間とは、モノマーの混合をバッチ式で行う場合には、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを攪拌機を具備した槽に供給して、該槽から抜き出すまでの時間をいい、連続式で行う場合には、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを攪拌機を具備した槽に供給して、該槽から抜き出すまでの平均滞留時間をいう。
本発明の製造方法の構成で前記ジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルとの均一混合が可能であるかは、現時点では完全には明らかでないが、上記の温度(70〜240℃)、圧力(0.06〜0.20MPa)で、前記ジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルとを一定時間(0.5時間以上30時間以下)混合すると、一部のジヒドロキシ化合物(I)と炭酸ジエステルが反応したオリゴマーが生成し、このオリゴマーが相溶化剤として機能して、ジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルとの混合を促進するものと考えられる。従い、混合温度、混合圧力、混合時間が本発明の範囲を逸脱すると、原料の混合が不均一になり、安定した重合反応を行うことが困難になる。特に連続的に原料混合層から反応槽へ供給する場合には、一方が過剰に供給されるため、所望する分子量のポリカーボネートの製造が困難となる。
ジヒドロキシ化合物(I)としては、具体的には、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物として例示した、少なくとも分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物が用いられる。それらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記のジヒドロキシ化合物(I)のうち、植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。また、光学的特性の面からは、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好ましい。
ジヒドロキシ化合物(I)は通常25℃で固体であり、その融点は好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、特に好ましくは60℃以上であり、中でも220℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは120℃以下、特には100℃以下であることが好ましい。融点が40℃未満であると、原料の調製中に予期せぬ融着や閉塞が起こり易くなり、融点が220℃を超えると原料調製に高温を必要とするため、得られるポリカーボネートの色調の悪化等の不具合を招く。ジヒドロキシ化合物の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、20℃/分で昇温した際に現れる溶融ピークのピークトップから求めることができる。
ジヒドロキシ化合物(I)は、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物と同様に、還元剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤を含んでいても良く、特に酸性下で変質しやすいことから、塩基性の安定剤を含むことが好ましい。塩基性の安定剤としては、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物で用いたものと同様のものを使用することが出来る。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、NaまたはKのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2Na、亜リン酸水素2Naが好ましい。
これらの塩基性安定剤の含有量に特に制限はないが、少なすぎると効果がなく、多すぎると逆にジヒドロキシ化合物の変性を招くことがあるので、通常、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物で用いたのと同様の重量比率で用いることが好ましい。
また、これらの塩基性安定剤は、除去せずにそのままポリカーボネートの原料として用いると、それ自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるので、使用前にイオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好ましい。
ジヒドロキシ化合物(I)がイソソルビド等、環状エーテル構造を有する場合には、酸素によって徐々に酸化されやすいので、本発明に係る固体ジヒドロキシ化合物において、イソソルビド等、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物の場合に説明したような条件で取り扱うことが好ましい。
本発明の製造方法では、ポリカーボネート原料用のジヒドロキシ化合物成分として、上記ジヒドロキシ化合物(I)以外にも、脂肪族および/または脂環式ジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(II)」と称す場合がある。)を好適に用いることができる。
ジヒドロキシ化合物(II)は、本発明におけるポリカーボネート原料の他の原料である、ジヒドロキシ化合物(I)及び炭酸ジエステルと相溶性があるため、ジヒドロキシ化合物(II)が界面活性剤的働きをすることで、すべてのポリカーボネート原料の混合を促進する効果がある。
ジヒドロキシ化合物(II)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオールのなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノールなどの脂環式ジヒドロキシ化合物が挙げられる。中でも、光学的特性、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさという観点から、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、1,3−プロパンジオールが、また、脂環式ヒドロキシ化合物としては、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/またはトリシクロデカンジメタノールが特に好ましい。
ジヒドロキシ化合物(II)を用いることにより、上述のようにポリカーボネート原料の混合を促進する効果のみならず、柔軟性の改善、耐熱性の向上、成形性の改善などの効果を得ることもできるが、ジヒドロキシ化合物(II)に由来する構成単位の含有割合が多過ぎると、本来の光学特性の性能の低下や、耐熱性の低下を招くことがあるため、ジヒドロキシ化合物(I)とジヒドロキシ化合物(II)の合計に対するジヒドロキシ化合物(I)の割合が、20モル%以上、好ましくは30モル%以上、特には50モル%以上であることが好ましい。
なお、ジヒドロキシ化合物(II)は、本発明の効果を損なわない範囲で、ジヒドロキシ化合物(I)と同様の還元剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤を含んでいてもよい。
ジヒドロキシ化合物(I)と同様に上述の塩基性安定剤を含む場合は、通常、ジヒドロキシ化合物(II)に対して、0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%である。
なお、ポリカーボネート原料としては、本発明の目的を損なわない範囲で、ジヒドロキシ化合物(I)及びジヒドロキシ化合物(II)以外のジヒドロキシ化合物(以下「その他のジヒドロキシ化合物」と称す場合がある。)に由来する構成単位を用いても良い。
なお、その他のジヒドロキシ化合物を用いる場合には、その他のジヒドロキシ化合物が相溶化剤として働くため、ジヒドロキシ化合物(II)が存在しなくても、原料の均一化を図ることができるが、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位の含有割合が多過ぎると、本来の光学特性の性能の低下や、耐熱性の低下を招くことがあるため、ジヒドロキシ化合物成分(ジヒドロキシ化合物(I)とジヒドロキシ化合物(II)とその他のジヒドロキシ化合物の合計)に対するジヒドロキシ化合物(I)の割合が、20モル%以上、好ましくは30モル%以上、特には50モル%以上であることが好ましい。
その他のジヒドロキシ化合物としては、具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。
また、特に高い透明性を得るという観点からは、ジヒドロキシ化合物成分中の金属原子含有量が、1ppm未満であることが好ましい。
なお、金属原子含有量とは、前記ジヒドロキシ化合物に含まれる金属原子の総量(合計値)を意味し、ICP発光分析により測定された各元素量の和をもって金属原子含有量とする。すなわち、本発明に係るポリカーボネートは、ジヒドロキシ化合物成分の全重量に対する金属原子含有量の重量比率が、1ppm未満である。
上述のジヒドロキシ化合物に含まれる金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛などが挙げられる。
これらの金属原子を総量で1ppm以上含有すると、合成されるポリカーボネートが着色する原因となる場合がある。ジヒドロキシ化合物成分に含有する金属原子の総量は1ppm未満であり、好ましくは0.5ppm未満、更に好ましくは0.1ppm未満である。
ところで、これらの金属原子は、本発明に係るジヒドロキシ化合物(I)をはじめとするポリカーボネートの原料の物性劣化を防止するために添加される安定剤に由来する場合が多い。
かかる安定剤としては、通常、還元剤や制酸剤が用いられ、このうち還元剤としては、ナトリウムボロハイドライド、水素化アルミニウムリチウムなどが挙げられる。制酸剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、メタホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどのリン酸塩などが挙げられる。このような安定剤に含まれるアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属は、ポリカーボネートの重合反応での触媒ともなるため、供給原料中に残存すると重合反応に影響するおそれがあるため、好ましくない。
次に、本発明に係るジヒドロキシ化合物(I)中に含まれるアルデヒド化合物について説明する。このアルデヒド化合物は、通常、本発明に係るジヒドロキシ化合物(I)中に分解物として含まれる。かかるアルデヒド化合物としては、フルフラールや脱水閉環する前のフルフラール前駆体、フルフラール分解物などが挙げられる。中でもフルフラールは蒸留精製前の原料から微量ながら検知され、酸化により着色を生じやすい化合物であることから、重合反応前に除去することが好ましい。上記アルデヒド化合物の含有量としては、0.01重量%未満が好ましく、0.008重量%未満が特に好ましい。含有量が0.01重量%以上であると、酸化による着色によって、十分な透明度を得ることができない。
本発明に係るジヒドロキシ化合物(I)に含まれる、上述の金属原子の量やアルデヒド化合物の量は、活性炭処理や、イオン交換樹脂処理、蒸留など公知な手法を利用した精製方法によってコントロール可能である。ここで、フルフラールなどのアルデヒド化合物は、本発明に係るジヒドロキシ化合物(I)よりも低沸点であり、一方の金属種は揮発性が低く、釜残として残存することから、上記アルデヒド類を初留として、また金属種を釜残として同時に除去することができることから蒸留による精製が特に好ましい。蒸留の手法としては、単蒸留、多段蒸留、薄膜蒸留など一般的な手法を用いて良く、これらは回分式、連続式の何れであっても良い。この中でも、本発明の目的を達成する簡易な方法として、単蒸留が好適に使用できる。また、単蒸留は得られるジヒドロキシ化合物の純度、透明性に影響を与えること無く数回繰り返し行うことができる。なお、本発明に係るジヒドロキシ化合物(I)は常圧での蒸気圧は低いことから、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気にした後、減圧下で蒸留を実施することが好ましく、熱による変性を可能な限り抑制するためには、250℃以下、好ましくは200℃以下、特には180℃以下で行うことが好ましい。この場合の、蒸留搭内の圧力は、一般に0.1kPa〜6.7kPaとなる。
なお、上記の金属原子のうち、クロム、マンガン、鉄などの重金属は、ポリカーボネートの合成に使用される反応容器(反応槽)などに由来する場合もある。これらの重金属は、特に少量でもポリカーボネートの透明性に影響を与える虞がある。
そのため、本発明に係るジヒドロキシ化合物(I)が接触する部分は、モリブデン含有合金からなることが好ましい。ジヒドロキシ化合物が接触する部分としては、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を行う反応容器が典型的だが、ジヒドロキシ化合物を貯蔵する容器がモリブデン含有合金からなることも好ましい。ジヒドロキシ化合物を反応に用いる前に予め蒸留する場合には、当該蒸留に用いる蒸留装置がモリブデン含有合金からなることが好ましい。より好ましくは、70℃以上のジヒドロキシ化合物が接触する部分がモリブデン含有合金からなることが好ましく、更に好ましくは、70℃以上のジヒドロキシ化合物が接触する部分全てがモリブデン含有合金からなることが好ましい。
モリブデン含有合金としては、モリブデンを含有するものであればどのようなものであっても構わないが、モリブデン含有ステンレス鋼を使用することが好ましい。ステンレス鋼は、鉄に少なくとも10.5重量%以上のクロムを含有した合金鋼のことである。モリブデンの含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上である。一方、通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは4重量%以下である。この値が小さすぎると、透明性に優れ、しかも粘度の充分に高い良質なポリカーボネート得る効果が小さくなる。一方、過剰に含有していたとしても、本発明に係る効果がそれ以上認められない傾向となり、しかも合金の価格が高価となってポリカーボネートを安価に製造することが困難になる。モリブデン含有合金の含有するモリブデン以外の含有金属としては、クロム、ニッケルが挙げられる。
クロムの含有量は、好ましくは10重量%以上、更に好ましくは15重量%以上である。一方、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは25重量%以下である。ニッケルの含有量は、好ましくは3重量%以上、更に好ましくは8重量%以上である。一方、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。
モリブデン含有合金の具体的な例としては、JIS G 4304に示されるステンレス鋼のうち、SUS316、SUS316L、SUS316N、SUS317、SUS329、SUS436等があげられる。
ここで、蒸留精製の場合には、蒸留仕込量を100重量%としたときの蒸留時の初留が2重量%以上(好適には5重量%以上)であり、釜残が8重量%以上(好適には15重量%以上)とすることが望ましい。蒸留時の初留が2重量%未満であると、フルフラールなどの揮発成分の分離が不十分となるという問題があり、釜残が8重量%未満であると、金属塩や金属化合物の分離が不十分になるという問題がある。
本発明における他の原料は、炭酸ジエステルであり、上述した各ジヒドロキシ化合物と混合して、ポリカーボネートの原料として用い、いわゆるエステル交換法でポリカーボネートを製造することができる。本発明で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
(一般式(4)において、A及びA’は、置換基を有していても良い炭素数1〜18の脂肪族基又は置換基を有していても良い芳香族基であり、A及びA’は同一であっても異なっていても良い。)
上記一般式(4)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートに代表される置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネート、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
上述のように、本発明のポリカーボネートの製造方法においては、少なくともジヒドロキシ化合物(I)を含むジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルとを、ポリカーボネートの原料として用いることを必須とし、ジヒドロキシ化合物(I)と、溶融状態の炭酸ジエステルとを、温度70℃以上240℃以下、圧力0.06MPa以上0.20MPa以下で、0.5時間以上30時間以下混合した後、圧力0.06MPa未満でエステル交換反応を進めて、ポリカーボネートを製造するが、原料モノマーの混合とエステル交換反応を進行させ、ポリカーボネートを原料モノマーの混合中に必要以上のエステル交換反応を進行させないためには、上述の混合温度、混合圧力、混合時間で原料モノマーの混合を行う槽(以下、「原料調製槽」と称する場合がある。)と、原料モノマーの混合物のエステル交換反応を進行させる槽(以下、「反応槽」と称する場合がある。)とを別々としてもよい。上述の混合温度、混合圧力、混合時間で、ジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルとの混合した後、連続的に圧力0.06MPa未満に保持された反応槽に供給して、エステル交換反応を進めることで、収率よくポリカーボネートを製造することができる。
さらに、本発明において、炭酸ジエステルは、反応に用いるジヒドロキシ化合物成分1モルに対して、0.90〜1.20モルになるように調製することが好ましく、さらに好ましくは、0.95〜1.10のモル比である。このモル比が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネートの末端OH基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化したり、所望する高分子量体が得られなかったりする。また、このモル比が1.20より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量のポリカーボネートの製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネートの残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、又は成形品の臭気の原因となり好ましくない。
上述のように本発明の製造方法においては、上記ジヒドロキシ化合物成分を溶融した炭酸ジエステルと混合して、ポリカーボネートの原料として用いる。
ジヒドロキシ化合物成分は、固体状態で、溶融状態の炭酸ジエステルと混合しても良いし、溶融状態で、炭酸ジエステルと混合しても良いが、操作性、供給安定性、定量性の観点からは、ジヒドロキシ化合物成分は、溶融状態で炭酸ジエステルと混合されることが好ましい。
ジヒドロキシ化合物成分を、溶融状態で炭酸ジエステルと混合する方法は、特に制限はないが、ジヒドロキシ化合物成分が、ジヒドロキシ化合物(I)のみならず、ジヒドロキシ化合物(II)を含む場合には、ジヒドロキシ化合物(II)を先ず溶融状態で槽に供給した後、次いでジヒドロキシ化合物(I)と炭酸ジエステルとを溶融状態で槽に供給しながら、ジヒドロキシ化合物(I)、ジヒドロキシ化合物(II)、および炭酸ジエステルを混合する方法が望ましい。
具体的には、本発明のポリカーボネート原料の好適な代表例である、イソソルビド、トリシクロデカンジメタノール及びジフェニルカーボネートの場合には、ジヒドロキシ化合物(II)である例えばトリシクロデカンジメタノールを100℃程度の敷液とし、次いでそれぞれジヒドロキシ化合物(I)と炭酸ジエステルである、イソソルビドとジフェニルカーボネートとを溶融状態で供給することで、混和時の吸熱反応によっても固化することなく、すべての成分を均一に混合することができる。
本発明の製造方法において、原料モノマーを混合する原料調製槽は、加熱が可能で、混合のための攪拌装置を有することが好ましい。槽の形状は特に限定がなく、縦型および横型のものが用いられる。攪拌装置としては、タービンステーター型高速回転式攪拌機、ディスクミル型攪拌機、ローターミル型攪拌機などの高速回転するタイプも使用することが出来るが、装置のメンテナンスの観点からは、動力部、軸受、軸、攪拌翼から成る通常のタイプの撹拌装置が好ましい。
攪拌の形態は、特に制限されず、反応槽中の反応液を反応槽の上部、下部、横部などから直接攪拌する通常の攪拌方法の他、配管などで反応液の一部を反応器の外部に持ち出してラインミキサー等で攪拌し、反応液を循環させる方法も採ることが出来る。
攪拌翼の種類は、公知のものが選択でき、具体的には、錨翼、プロペラ翼、スクリュー翼、タービン翼、ファンタービン翼、デイスクタービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼などが挙げられる。
攪拌機の攪拌翼の形状には特に制限はなく、攪拌速度は、撹拌翼の先端速度が、0.05m/s以上10m/s以下であることが好ましく、中でも0.1m/s以上5m/s以下であることが好ましい。撹拌翼の先端速度が0.1m/sより小さいと、撹拌の効果が小さく、原料の均一化が進みにくくなり、10m/sより大きいと、撹拌翼に付帯する電動機の消費電力が大きくなったり、飛沫が飛び散り槽の上部等に付着し、異物の原因となったりすることがある。なお、先端速度とは、前記撹拌翼の撹拌軸から最も遠い部分の速度を意味する。また、原料調製槽に耐圧性を持たせることにより、次の段階のエステル交換反応用反応槽を兼ねることもできる。
ジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルと混合する操作は、酸素濃度10vol%以下、更には0.0001〜10vol%、中でも0.0001〜5vol%、特には0.0001〜1vol%の雰囲気下で行うことが、劣化防止の観点から好ましい。
次に、ジヒドロキシ化合物成分を、原料モノマーの混合を行う槽(原料調製槽)への供給する方法について説明する。
本発明の製造方法において、原料となるジヒドロキシ化合物成分に少なくとも含まれるジヒドロキシ化合物(I)は、通常常温では固体であり、その平均嵩密度は通常200〜1000kg/m3、中でも300〜900kg/m3、特には500〜900kg/m3であることが好ましい。平均嵩密度とは、ジヒドロキシ化合物(I)を任意に1kgずつ3点サンプリングした平均の嵩密度をいう。平均嵩密度が200kg/m3未満の場合には、供給量が安定せず、結果的に重合反応速度にムラが出る原因となったり、粉塵爆発の原因となったりする。また、ジヒドロキシ化合物(I)は含有する微量水分や安定剤等の影響、運搬方法等により、部分的に塊状になり、平均嵩密度が1000kg/m3を超える場合があるが、そのような場合には、ハンマミル、ハンマブレーカ、ニブラー、フィッツミル、ジェットミル、ラバーチョッパー等で粉砕し、平均嵩密度を上記範囲内にすることが好ましい。
また、ジヒドロキシ化合物(I)は、底部コーン角が120度以下、好ましくは90度以下、更に好ましくは70度以下のホッパーに受け入れ、固体状態のまま不活性ガスによる置換等で酸素濃度10vol%以下、好ましくは5vol%以下、特に好ましくは2vol%以下の雰囲気にした後、溶融液、溶液、または懸濁液にすることが好ましい。
ジヒドロキシ化合物(I)を溶融させる際には、熱による劣化を最小限に抑えるために、あらかじめ少量のジヒドロキシ化合物の溶融液を調製しておき、そこに固体状態のジヒドロキシ化合物を順次供給することが好ましい。
ジヒドロキシ化合物(I)を溶融する際の温度は、熱による劣化を最小限に抑え、内容物の固化を防止するために、内温を該ジヒドロキシ化合物の融点〜融点+50℃、中でも融点〜融点+30℃、特には融点〜融点+20℃の範囲に維持することが好ましい。
また、ジヒドロキシ化合物(II)も、上記ジヒドロキシ化合物(I)と同様の方法で供給することが出来る。なお、ジヒドロキシ化合物(II)は、加熱することで溶融して混合することが望ましいが、常温で液体の場合には、熱処理を行うことなく、そのまま使用すればよい。
本発明の製造方法においては、上述の方法で調製したジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルをエステル交換させてポリカーボネートを製造する。本発明のポリカーボネートの製造方法において、重合触媒(エステル交換触媒)としては、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を単独、または併用で使用するが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
重合触媒として用いられる1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられる。
また、2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
これらの金属化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
これらの塩基性化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記重合触媒の使用量は、通常、反応に用いるジヒドロキシ化合物成分1モルに対して0.1〜100μモル、好ましくは0.5〜50μモルであり、中でも1族金属化合物及び/又は2族金属化合物を用いる場合、反応に用いるジヒドロキシ化合物成分1モルに対して、金属換算量として、通常、0.1〜100μモル、好ましくは0.5〜50μモル、さらに好ましくは0.5〜10μモルの範囲内で用いる。重合触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネートの色調の悪化を招き、副生成物や異種結合の生成により、熱安定性や流動性の低下、ゲルの発生等を招き、目標とする品質のポリカーボネートの製造が困難になる場合がある。
本発明のポリカーボネートの分子量は、溶媒としてフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1の混合溶液を用い、ポリカーボネート濃度を1.00g/dLに精密に調製し、温度30.0℃±0.1℃で測定した還元粘度(以下、単に「ポリカーボネートの還元粘度」と称す。)として、0.40dL/g以上、中でも0.45dL/g以上であることが好ましく、その上限は、2.0dL/g以下、中でも1.5dL/g以下、特には1.2dL/gであることが好ましい。
このポリカーボネートの還元粘度が低すぎると成形材料として用いた時の機械的強度が小さく、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、サイクル特性を低下させ、成形品の複屈折率が大きくなり易い傾向がある。
以下に本発明の製造方法の好ましい態様を、図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
固体のジヒドロキシ化合物(I)の調製は、(B)ポリカーボネート原料の調製方法において説明した操作と同様である。すなわち、図1に示す溶融用撹拌槽を用いて、同様な操作で固体のジヒドロキシ化合物(I)を溶融すればよい。また、ジヒドロキシ化合物(II)やその他のジヒドロキシ化合物が固体の場合には、同様な設備を使用して溶融される。
溶融され、必要に応じ精製されたジヒドロキシ化合物(I)は、図3のライン(5Ax)を通じて熱媒ジャケット付きの貯槽(5x)に送られる。また、溶融された、あるいは液体状のジヒドロキシ化合物(II)は、図3のライン(7Ax)を通じて熱媒ジャケット付きの貯槽(7x)に送られる。一方、外部から溶融状態で供給された炭酸ジエステルはライン(6Ax)から熱媒ジャケット付きの貯槽(6x)に送られ、ライン(6Bx)を経由して熱媒ジャケットと撹拌装置を具備した原料調製槽(8x)に、定量ポンプ(図示せず。)または流量計(図示せず。)で定量し、一定量送られる。溶融状態(液体)のジヒドロキシ化合物(I)及びジヒドロキシ化合物(II)は、それぞれ貯槽(5x)及び貯槽(7x)から、定量ポンプ(図示せず。)または流量計(図示せず。)で定量し、所定量原料調製槽(8x)に送られ、ジャケットで内温を70〜240℃(好適には80〜120℃)、槽内圧力を0.06〜0.20MPaに制御しながら、溶融した炭酸ジエステルと攪拌機で0.5時間以上30時間以下均一に混合され、ポリカーボネートの原料として使用される。
貯槽は、複数設けてその他のジヒドロキシ化合物を供給することもできる。調製が終わった原料は必要に応じ、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を分析した後、ライン(9Ax)を通じて、第1反応槽(9x)(図4参照)へ供給される。
ライン(5Ax)、(5Bx)、(6Ax)、(6Bx)、(7Ax)、(7Bx)、(9Ax)は、内容物が固化しない程度に保温または加温しておき、ライン(9Ax)には必要に応じ異物を除去するためのフィルターを設置する。溶融した炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物の混合はバッチ式で行うこともできるし、連続的に行うこともできる。また、払い出し(反応槽への供給)もバッチ式で行うこともできるし、連続的に行うこともできるが、特に連続的に払い出す場合に、本発明の効果が大きい。
重合触媒は原料調製槽(8x)に添加することもできるし、第1反応槽(9x)に添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からはライン(9Ax)の途中に触媒供給ラインを設置し(図示せず。)供給することが好ましい。なお、本実施形態では、原料を均一混合するための原料調製槽(8x)を設けたが、必ずしも必要でなく、原料モノマーの量が少なく相溶性の高い場合などには第1反応槽(9x)に直接原料を供給し、上記温度、圧力条件で撹拌混合後、上記圧力でエステル交換反応を行わせてもよい。
本発明において、ジヒドロキシ化合物(I)、ジヒドロキシ化合物(II)と炭酸ジエステルとをエステル交換反応によって重合させる方法は、上述の触媒存在下、通常、2段階以上の多段工程で実施される。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
具体的には、第1段目の反応は140〜280℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら、同時に発生するフェノールを反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力が200Pa以下で、210〜280℃、好ましくは220〜260℃の温度範囲のもとで重合反応を行う。発生したフェノールは、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジフェニルやビスフェノールA等の原料として再利用することが好ましい。
また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
この重合反応においては、温度と反応系内の圧力のバランスを制御することが重要である。特に、温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合度が低下することがある。これを防止するために、第1段目等、初期の反応器に還流冷却器を用いることは有効である。
一例として、図4に本発明の重合反応の好ましい形態を示す。図3の原料調製槽(8x)で混合された原料は、必要に応じ原料貯槽(図示せず。)で一旦ストックされた後、図4に示すライン(9Ax)を経て、好ましくは連続的に、第1反応槽(9x)に送られる。第1反応槽(9x)は、ベント管(9Bx)を経て真空ポンプ(図示せず。)に接続され、圧力が0.06MPa未満、好ましくは、0.005〜0.05MPaに保持されており、エステル交換反応が進行する。第1反応槽(9x)の内部温度は150〜270℃、好ましくは200〜240℃、平均滞留時間が0.2〜3時間、好ましくは、0.5〜2時間になるよう制御する。第1反応槽(9x)で生成したプレポリマーは、ライン(10Ax)を経て、好ましくは連続的に第2反応槽(10x)に送られる。第2反応槽(10x)の圧力は通常、第1反応槽(9x)より低くなるよう、好ましくは、1〜5kPaに制御する。第2反応槽(10x)の内部温度は200〜270℃、好ましくは210〜250℃、平均滞留時間が0.2〜3時間、好ましくは、0.5〜2時間になるよう制御する。第2反応槽(10x)で得られたプレポリマーは、同様にライン(11Ax)を経て、第3反応槽(11x)に送られ、通常第2反応槽(10x)より低い圧力、好ましくは、0.5kPa未満、内部温度200〜270℃、好ましくは210〜250℃、平均滞留時間0.2〜3時間、好ましくは、0.5〜2時間でさらに重合反応を進行させる。第3反応槽で得られたプレポリマーは、抜出用ギヤポンプ(図示せず。)を用いて、ライン(12Ax)から第4反応槽(12x)に供給される。第4反応槽(12x)は、複数個の攪拌翼ブロックで構成され、2軸のセルフクリーニングタイプの攪拌翼を具備した横型の反応槽である。第4反応槽(12x)に導入されたプレポリマーは、好ましくは0.3kPa未満の圧力で、内部温度200〜280℃、好ましくは210〜250℃、平均滞留時間0.2〜3時間、好ましくは、0.5〜2時間で、更に重縮合反応が進められた後、ライン(12Cx)より抜出用ギヤポンプ(図示せず。)を用いて、ダイスヘッド(図示せず。)から溶融したストランドの形態で抜き出され、水などで冷却された後、回転式カッター(図示せず。)で切断されてペレットとなる。図4中の9Bx、10Bx、11Bx、12Bxはベント管であり、必要に応じコンデンサ(図示せず。)を経て、真空ポンプ(図示せず。)に接続されている。初期の反応が行われる例えば第1、第2反応槽には、モノマーの揮散を抑制し、重合反応における原料モル比を安定させるために還流冷却器を設置することが好ましい。
本発明のポリカーボネートを溶融重合法で製造する際に、着色や熱劣化を防止する目的で、熱安定剤を重合時または重合終了時に添加することができる。中でも、重合反応が終了した後、二軸の押出機等を用いて添加することが好ましい。
熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
別の熱安定剤としては、例えば、イルガノックス1010、同1076(チバガイギー社製)等のヒンダードフェノール化合物を使用することもできる。これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することもできる。
これらの熱安定剤の配合量は、ポリカーボネートを100重量部とした場合、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.2重量部が更に好ましい。
また、本発明のポリカーボネートには、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
かかる離型剤としては、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価又は多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネートを100重量部とした場合、0.01〜5重量部が好ましい。
本発明のポリカーボネートと上述のような各種の添加剤との配合は、例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法、あるいは上記各成分を例えば塩化メチレンなどの共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法などがあるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるポリマーブレンド方法であればどのような方法を用いてもよいが、中でも、重合が終了した後に、好ましくは溶融状態のまま、一軸または二軸、中でも二軸の押出機で混合することが好ましい。押出機にベント口を設け脱揮処理することで、残存モノマーや揮発物を除去することもできる。
押出機の溶融混練温度は、本発明のポリカーボネートのガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150〜300℃、好ましくは200〜270℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネートの溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネートの熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招く。
本発明のポリカーボネートの製造方法においては、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として100μm以下が好ましい。特に、異物の混入を嫌う場合は、40μm以下、さらには10μm以下が好ましい。
本発明におけるポリカーボネートの押出は、押出後の異物混入を防止するために、クリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出されたポリカーボネートを冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10〜0.45μmであることが好ましい。
こうして得られる本発明のポリカーボネート或いは、これに各種添加剤を添加してなるポリカーボネート組成物は、そのまま、又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知られている方法で成形物にすることができる。
本発明の製造方法で製造された、ポリカーボネートは例えば、フィルム、シート分野、または、カメラレンズ、ファインダーレンズ、CCDやCMOS用レンズなどのレンズ分野、さらには、液晶やプラズマディスプレーなどに利用される位相差フィルム、拡散シート、偏光フィルムなどのフィルムとして用いることができる。
また、本発明のポリカーボネートは例えば、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、ASなどの合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、ゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
以下において、ポリカーボネート原料及びポリカーボネートの物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
(1)酸素濃度の測定
酸素計(AMI社製:1000RS)を使用し、測定した。
(2)Na濃度の測定:
ICP発光分光分析装置VISTA−PRO(Varian社製)を使用して測定した。
(3)平均嵩密度
メスシリンダーを用いて容積を測定し、サンプル重量を当該容積で除することにより算出した。
(4)水分含有量
カールフィッシャー式水分計(三菱化学(株)製CA−200)を用いて測定した。
(5)カラー
<カラー(b*値)の測定方法>
カラーメーター(日本電色社製「300A」)を用いて、チップカラーを測定した。ガラスセルに、チップを所定量入れ、反射測定で測定し、国際照明委員会(CIE)で規定されたb*値を測定した。
この数値が小さいほど、黄色みが小さく色調に優れる。
<カラー(APHA)の測定方法>
下記装置を用い、カラー(APHA)の測定を実施した。
測色色差計: ZE2000(日本電色社製)
イソソルビドを水希釈(サンプル濃度20重量%)とし、透過測定にてAPHA値を測定した。なお、この数値が小さいほど、黄色みが小さい。
(6)還元粘度
中央理化製DT−504型自動粘度計にてウベローデ型粘度計を用い、溶媒として、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1混合溶媒を用い、温度30.0℃±0.1℃で測定した。濃度は1.00g/dLになるように、精密に調製した。
サンプルは120℃で攪拌しながら、30分で溶解し、冷却後測定に用いた。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t0
相対粘度ηrelから、下記式より比粘度ηspを求めた。
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、下記式より還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。
ηred=ηsp/c
なお、この数値が高いほど分子量が大きい。
(7)蟻酸の定量
イソソルビドを純水で100倍希釈してイオンクロマトグラフ Dionexy社製 DX−500型で測定した。
なお、イソソルビドはロケットフルーレ社製、1,4−シクロヘキサンジメタノールはイーストマン社製、炭酸セシウムは和光純薬社製、ジフェニルカーボネートは三菱化学(株)製、トリシクロデカンジメタノールはオルセア社製、1,4−ブタンジオールは三菱化学社製、9,9−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンは大阪ガスケミカル社製のものを用いた。
(8)純度の測定方法
下記装置を用い、イソソルビドの純度の測定を実施した。
ガスクロマトグラフ:HP6890(ヒューレット・パッカード社製)
カラム:DB−1(J&W Scientific社製)
測定サンプルは試薬特級アセトニトリルにて、20〜100倍に希釈した。
(9)金属原子含有量の測定方法
下記装置を用い、イソソルビドの金属原子含有量(ppm、重量比率)を測定した。
ICP発光装置:VISTA−PRO(Varian社製)
以下の実施例の記載の中で用いた化合物の略号は次の通りである。
ISB:イソソルビド
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
TCDDM:トリシクロデカンジメタノール
BD:1,4−ブタンジオール
BHEPF:9,9−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン
DPC:ジフェニルカーボネート
実施例1
安定剤としてリン酸水素2Naを30重量ppm含む嵩密度750kg/m3のイソソルビド(ISB:融点66℃)フレークをポリエチレン製のフィルムにアルミ蒸着を施した100μmフィルムを内袋として有する紙袋に入れ、窒素置換を実施し、内部の酸素濃度を1〜2%にした後、ヒートシールを行い密封した。この紙袋を10℃の恒温槽に入れ、上から荷重をかけて底面での圧力が0.029kgf/cm2になるようにした。この状態で60日間保管した後、内容物を確認したところ、フレークは仕込んだ状態を保持しており、塊とはなっていなかった。この時の水分含有率は0.2重量%、蟻酸含有率は5重量ppm以下であった。このISBフレーク100重量部をあらかじめ窒素気流下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、撹拌翼を具備した容器に仕込み、熱媒で加熱した。溶融が始まり撹拌が可能になった時点で撹拌を開始し、全量を均一に溶融させ、内温を80℃にした。次に定量フィーダーのホッパーに上記と同じISBフレークを入れ、ホッパー内で十分窒素置換を行った後、容器内の溶融したISBに、前記フレーク状態のISBを200重量部/hで供給し、連続的に溶融させた。ISBフレーク供給中は容器内を撹拌し、ISBフレークを合計400重量部供給した時点で供給を止めた。ISBフレーク供給中は若干の内温低下が見られたが固化には至らず、供給停止後は速やかに内温80℃に回復した。続いて、該容器の圧力を徐々に下げ、加温を行った。内圧133〜266Pa、内温160℃になった時点で溜出が始まり、初留を25.5重量部採取した後、主留として403.5重量部、後留として28.5重量部採取し、残りは釜残として容器中に残した。この精製ISB中の蟻酸濃度は5重量ppm以下、Na濃度は0.1重量ppmであった。
撹拌翼を具備した重合装置にトリシクロデカンジメタノール(TCDDM、粘調液体)27.2重量部を仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)後、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)を窒素雰囲気下、100℃で保持したまま液体の状態で、該重合装置に100重量部仕込んだ。続いて撹拌しながら、TCDDMとDPCの混合物を均一にし、熱媒で加温を行い内温を100℃に保った。次に、窒素気流下、前記の方法で蒸留精製したISBの主留を、窒素雰囲気下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、80℃で液体のまま保持したものを、300重量部/hで、連続的に供給した。該ISB供給中は撹拌を行い、該ISBを47.3重量部供給した時点で供給を止めた。該ISB供給中は若干の内温低下が見られたが、終始均一で、供給停止後は速やかに内温100℃に回復した。このように調製したポリカーボネート原料に、重合触媒として炭酸セシウム0.00019重量部を添加し、反応器内の圧力を常圧から13.3kPaに下げ、熱媒温度を1時間かけて190℃に上昇させて重合反応を開始させた。この状態で15分間保持した後、反応器内の圧力を6.67kPaとし、熱媒温度を230℃まで15分で上昇させた。その後、8分かけて熱媒温度を250℃に上昇させると同時に反応器内の圧力を0.2kPa以下に下げ、120分間保持した後、得られたポリマーをストランド状に抜き出して、水冷固化後、カッティングし、ペレットを得た。得られたポリマーの還元粘度は0.58dL/g、b*値は6.5であった。これらの結果を表1に示す。
実施例2
ISBの保存温度を20℃で行った他は、実施例1と同様の方法でISBの保管及び重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.55dL/g、b*値は6.9であった。これらの結果を表1に示す。
実施例3
ISBの保存の際に、鉄系脱酸素剤(商品名エージレスSA100:三菱瓦斯化学社製)を10袋共存させた他は、実施例2と同様の方法でISBの保管及び重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.58dL/g、b*値は6.3であった。これらの結果を表1に示す。
実施例4
ISBの保存温度を45℃とした他は、実施例1と同様の方法でISBの保管及び重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.53dL/g、b*値は7.4であった。これらの結果を表1に示す。
実施例5
ISBの保存温度を45℃として、内袋としてアルミ蒸着処理を施していない厚さ100μmのポリエチレン製フィルムを用いた他は、実施例1と同様の方法でISBの保管及び重合を行った。ISBの保管後の水分量は0.3重量%であった。得られたポリマーの還元粘度は0.50dL/g、b*値は9.0であった。これらの結果を表1に示す。
実施例6
ISBの保存温度を45℃とした他は、実施例3と同様の方法でISBの保管及び重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.57dL/g、b*値は6.6であった。これらの結果を表1に示す。
実施例7
ISBの保存温度を45℃、荷重を0.232kgf/cm2とした他は、実施例1と同様の方法でISBの保管及び重合を行った。ISB保管後に一部圧密によると考えられる塊状物が見られたため、窒素下で解砕し、ほぼ元のフレークに近い状態にした後、実施例1と同様にISBの溶融、蒸留、重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.52dL/g、b*値は8.3であった。これらの結果を表1に示す。
比較例1
ISBの保存温度を65℃にした以外は、実施例5と同様の方法でISBの保管及び重合を行った。ISBの保管後の水分量は0.4重量%であった。ISB保管後は、圧密または融着によると考えられる塊状物となっており、包材の形に一体化して、わずかにフレークの痕跡が見られただけであった。これを窒素下で解砕し、ほぼ元のフレークを同じ粒径にした後、実施例5と同様にISBの溶融、蒸留、重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.40dL/gと小さく、b*値は12.5で、色調が悪化した。これらの結果を表1に示す。
比較例2
ISBの保存後の水分含有率が1.5重量%になるようにした他は、実施例5と同様の方法でISBの保管及び重合を行った。ISB保管後は、圧密または融着によると考えられる塊状物が見られたため、窒素下で解砕し、ほぼ元のフレークを同じ粒径にした後、実施例5と同様にISBの溶融、蒸留、重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.40dL/gと小さく、b*値は10.5で、色調が悪化した。これらの結果を表1に示す。
比較例3
ISBにかける荷重を0.600kgf/cm2になるようにした他は、実施例5と同様の方法でISBの保管及び重合を行った。ISB保管後は、圧密によると考えられる塊状物が見られたため、窒素下で解砕し、ほぼ元のフレークを同じ粒径にした後、実施例5と同様にISBの溶融、蒸留、重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.47dL/gと小さく、b*値は10.0で、色調が悪化した。これらの結果を表1に示す。
実施例8
安定剤としてリン酸水素2Naを30重量ppm含むイソソルビド(ISB:融点66℃)100重量部を予め窒素気流下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、撹拌翼を具備した容器に仕込み、熱媒で加熱した。溶融が始まり撹拌が可能になった時点で撹拌を開始し、全量を均一に溶融させ、内温を80℃にした。次に定量フィーダーのホッパーに上記と同じ固体状態のISBを入れ、ホッパー内で十分窒素置換を行った後、容器内の溶融したISBに、前記固体状態のISBを200重量部/hで供給し、連続的に溶融させた。固体ISB供給中は容器内を撹拌し、固体ISBを合計400重量部供給した時点で供給を止めた。固体ISB供給中は若干の内温低下が見られたが固化には至らず、供給停止後は速やかに内温80℃に回復した。続いて、該容器の圧力を徐々に下げ、加温を行った。内圧133〜266Pa、内温160℃になった時点で溜出が始まり、初留を25.5重量部採取した後、主留として403.5重量部、後留として28.5重量部採取し、残りは釜残として容器中に残した。蒸留終了後、窒素で復圧し、得られた主留分を窒素雰囲気下で冷却固化させ、粉砕して嵩密度750kg/m3の精製ISBを得た。該精製固体ISBは、アルミラミネート袋に窒素下でヒートシールし、保管した。この精製ISB中の蟻酸濃度は5重量ppm以下、Na濃度は0.1重量ppmであった。
撹拌翼を具備した重合装置にトリシクロデカンジメタノール(TCDDM、粘調液体)27.2重量部を仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)後、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)を窒素雰囲気下、100℃で保持したまま液体の状態で、該重合装置に100重量部仕込んだ。続いて撹拌しながら、TCDDMとDPCの混合物を均一にし、熱媒で加温を行い内温を100℃に保った。次に、窒素気流下、上記精製固体ISBを定量フィーダーを用いて、300重量部/hで、DPCとTCDDMの溶融混合物に連続的に供給し、精製固体ISBを溶融させた。該ISB供給中は撹拌を行い、該ISBを47.3重量部供給した時点で供給を止めた。該ISB供給中は若干の内温低下が見られたが固化には至らず、供給停止後は速やかに内温100℃に回復した。
上記で調製したポリカーボネート原料に、重合触媒として炭酸セシウム0.00019重量部を添加し、反応器内の圧力を常圧から13.3kPaに下げ、熱媒温度を1時間かけて190℃に上昇させて重合反応を開始させた。この状態で15分間保持した後、反応器内の圧力を6.67kPaとし、熱媒温度を230℃まで15分で上昇させた。その後、8分かけて熱媒温度を250℃に上昇させると同時に反応器内の圧力を0.2kPa以下に下げ、120分間保持した後、得られたポリマーをストランド状に抜き出して、水冷固化後、カッティングし、ペレットを得た。得られたポリマーの還元粘度は0.57dL/g、b*値は7.3であった。これらの結果を表2に示す。
実施例9
実施例8と同様の方法でDPCとTCDDMの溶融混合物を調製し、内温100℃に保持した。そこに、実施例8と同様の方法で蒸留精製したISBの主留を、窒素雰囲気下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、80℃で液体のまま保持したものを、300重量部/hで、連続的に供給した。該ISB供給中は撹拌を行い、該ISBを47.3重量部供給した時点で供給を止めた。該ISB供給中は若干の内温低下が見られたが、終始均一で、供給停止後は速やかに内温100℃に回復した。このように調製したポリカーボネート原料を実施例8と同様の方法で重合させた。得られたポリマーの還元粘度は0.58dL/g、b*値は6.3であった。これらの結果を表2に示す。
実施例10
安定剤としてリン酸水素2Naを30重量ppm含むイソソルビド(ISB:融点66℃)100重量部を予め窒素気流下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、撹拌翼を具備した容器に仕込み、熱媒で加熱した。溶融が始まり撹拌が可能になった時点で撹拌を開始し、全量を均一に溶融させ、内温を80℃にした。次に定量フィーダーのホッパーに上記と同じ固体状態のISBを入れ、ホッパー内で十分窒素置換を行った後、容器内の溶融したISBに1000重量部/hで供給し、合計400重量部供給した時点で供給を止めた。固体ISB供給中は容器内を撹拌したが、内温の低下により途中で内容物が固化し、撹拌不能になったため、撹拌を停止し、内温が上昇して内容物が溶融するまで加熱を続けた。続いて、実施例8と同様の方法でISBの蒸留精製を行った。得られた蒸留精製ISBは、実施例8と同様の方法で冷却固化、粉砕、保管し、実施例8と同様の方法でTCDDMとDPCの溶融混合物と混合し、ポリカーボネート原料を調製した。その後、実施例8と同様の方法で重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.57dL/g、b*値は8.2であった。これらの結果を表2に示す。
実施例11
TCDDMとDPCの溶融混合物に、精製固体ISBを1000重量部/hで供給した他は、実施例8と同様にポリカーボネート原料を調製した。精製固体ISB供給中は、撹拌を行ったが、内温の低下と溶融速度の不足により途中で内容物が固化し、撹拌不能になったため、撹拌を停止し、内温が上昇して内容物が溶融するまで加熱を続けた。内温が100℃になって内容物が均一になったのを確かめてから、撹拌を開始し、実施例8と同様に重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.56dL/g、b*値は9.2であった。これらの結果を表2に示す。
実施例12
TCDDM(27.0重量部)とDPC(100重量部)の溶融混合物に、精製固体ISBを300重量部/hで合計26.8重量部供給した後に、同様の方法で、固体状態の9,9−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(BHEPF:融点160〜164℃、嵩密度550kg/m3)を、200重量部/hで、合計60.2重量部供給し、炭酸セシウムの添加量を0.00134重量部にした他は実施例8と同様にポリカーボネート原料を調製した。原料調製操作中の混合液は、終始固化は起こらず、BHEPFは速やかに溶解した。この原料を用いて実施例8と同様の方法で重合を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.65dL/g、b*値は13.0であった。これらの結果を表2に示す。
実施例13
実施例9において、TCDDMの代わりに1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM、融点32〜62℃)を20.2重量部用いた以外は実施例9と同様に行った。得られたポリマーの還元粘度は0.57dL/g、b*値は8.6であった。これらの結果を表2に示す。
実施例14
実施例9において、ISBを59.5重量部、TCDDMの代わりに1,4−ブタンジオール(BD、融点16℃)を8.4重量部用いた以外は実施例9と同様に行った。得られたポリマーの還元粘度は0.53dL/g、b*値は9.2であった。これらの結果を表2に示す。
比較例4
TCDDMと、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPCをフレーク状に固化させたもの、実施例8の方法で得られた精製固体ISBを、常温で実施例8と同様の重量になるように重合装置に仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)。この混合物に実施例8と同じ重量の炭酸セシウムを添加し、続いて内温100℃になるように加熱を開始し、内容物が部分的に溶融し、撹拌可能になってからは撹拌を行いながら溶融操作を行った。全体が均一になるまでこの状態を保持した後、反応器内の圧力を常圧から13.3kPaに下げ、熱媒温度を1時間かけて190℃に上昇させて重合反応を開始させ、実施例8と同様の方法でポリマーを得た。得られたポリマーの還元粘度は0.52dL/gと実施例8に比べて小さく、b*値は12.0であり、色調が悪化した。これらの結果を表2に示す。
比較例5
TCDDMと、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPCをフレーク状に固化させたもの、実施例8の方法で得られた精製固体ISBと、固体状態のBHEPFを、常温で、実施例12と同様の重量になるように重合装置に仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)。この混合物に実施例12と同じ重量の炭酸セシウムを添加し、続いて内温100℃になるように加熱を開始し、内容物が部分的に溶融し、撹拌可能になってからは撹拌を行いながら溶融操作を行った。全体が均一になるまでこの状態を保持した後、反応器内の圧力を常圧から13.3kPaに下げ、熱媒温度を1時間かけて190℃に上昇させて重合反応を開始させ、実施例8と同様の方法でポリマーを得た。得られたポリマーの還元粘度は0.60dL/gで実施例12に比べ小さく、b*値は14.6であり、実施例12に比べ色調が悪化した。これらの結果を表2に示す。
実施例15
安定剤としてリン酸水素2Naを30重量ppm含むイソソルビド(ISB:融点66℃)100重量部をあらかじめ窒素気流下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、撹拌翼を具備した容器に仕込み、熱媒で加熱した。溶融が始まり撹拌が可能になった時点で撹拌を開始し、全量を均一に溶融させ、内温を80℃にした。次に定量フィーダーのホッパーに上記と同じ固体状態のISBを入れ、ホッパー内で十分窒素置換を行った後、容器内の溶融したISBに、前記固体状態のISBを200重量部/hで供給し、連続的に溶融させた。固体ISB供給中は容器内を撹拌し、固体ISBを合計400重量部供給した時点で供給を止めた。固体ISB供給中は若干の内温低下が見られたが固化には至らず、供給停止後は速やかに内温80℃に回復した。続いて、該容器の圧力を徐々に下げ、加温を行った。内圧133〜266Pa、内温160℃になった時点で溜出が始まり、初留を25.5重量部採取した後、主留として403.5重量部、後留として28.5重量部採取し、残りは釜残として容器中に残した。
撹拌翼を具備し、内部の圧力を0.10MPa(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)に制御した原料調製槽(図3の8x)に、窒素下、100℃に加温した貯槽(7x)のトリシクロデカンジメタノール(TCDDM)27.2重量部をライン(7Bx)を通じて仕込んだ後、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)を、貯槽(6x)から、100℃で保持したまま液体の状態で、原料調製槽(8x)に100重量部仕込んだ。続いて撹拌翼の先端速度が、2.51m/sになるように撹拌しながら、TCDDMとDPCの混合物を均一にし、内温を100℃に保った。次に、上記の方法で蒸留精製したISBの主留を、窒素雰囲気下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、80℃で、液体のまま貯槽(5x)に保持したものを、300重量部/hで、原料調製槽(8x)に連続的に供給した。該ISB供給中も撹拌翼の先端速度が2.51m/sになるよう撹拌を行い、該ISBを47.3重量部供給した時点で供給を止めた。該ISB供給中は10℃未満の内温低下が見られたが、供給停止後は速やかに内温100℃に回復した。
このように調製したポリカーボネート原料を、上記と同条件で撹拌しながら、ISB供給終了後1時間混合した。次に該ポリカーボネート原料をライン(9Ax)を通して、一定量、連続的に第1反応槽(9x)に供給した。ライン(9Ax)には、触媒供給用配管を接続させ、重合触媒として全ジヒドロキシ化合物1モルに対し、セシウム金属量として2.5μモルとなるように、連続的に炭酸セシウムの水溶液を添加した。第1反応槽の圧力は、13.3kPa(0.0133MPa)、内温220℃に保ち、平均滞留時間が1.0時間になるよう液面を制御した。重合反応で副生したフェノール蒸気と少量揮発したモノマー成分は、ベント管(9Bx)を通じて120℃の熱媒で温度制御したコンデンサで凝縮させ、凝縮した液は第1反応槽(9x)に還流させ、凝縮しなかったガスはさらにベント管の下流側にある45℃の熱媒で温度制御したコンデンサで凝縮させ回収した。第1反応槽から連続的にプレポリマーを抜き出し、第2反応槽(10x)、第3反応槽(11x)、第4反応槽(12x)の順に送った。第2反応槽(10x)の圧力は2kPa、内温230℃、平均滞留時間1.0時間とし、重合反応で副生したフェノール蒸気と少量揮発したモノマー成分は、ベント管(10Bx)を通じて120℃の熱媒で温度制御したコンデンサで凝縮させ、凝縮した液は第2反応槽(10x)に還流させ、凝縮しなかったガスはさらにベント管の下流側にある45℃の熱媒で温度制御したコンデンサで凝縮させ回収した。第3反応槽(11x)の圧力は0.2kPa、内温240℃、平均滞留時間1.0時間、第4反応槽(12x)の圧力は0.2kPa、内温240℃、平均滞留時間1.5時間とした。第4反応槽(12x)からストランド状に抜き出したポリマーは、水槽で冷却固化させ、回転式カッターでペレットにした。得られたポリマーを十分乾燥させ測定した還元粘度は0.64dL/g、b*値は3.3であった。これらの結果を表3に示す。
実施例16
原料調製時の撹拌翼先端速度を0.03m/sになるようにした他は、実施例15と同様の方法でポリマーを得た。得られたポリマーの還元粘度は0.51dL/g、b*値は4.0であった。これらの結果を表3に示す。
実施例17
TCDDMを用いず、原料調製槽に供給するISBを66.2重量部とし、原料調製時の温度を120℃とした他は、実施例15と同様の方法でポリマーを得た。得られたポリマーの還元粘度は0.55dL/g、b*値は4.5であった。これらの結果を表3に示す。
実施例18
原料調製時の温度を180℃にした他は実施例17と同様の方法でポリマーを得た。得られたポリマーの還元粘度は0.40dL/g、b*値は10.5であった。これらの結果を表3に示す。
実施例19
原料調製槽(7x)に実施例15と同様の方法で、トリシクロデカンジメタノール(TCDDM)27.0重量部をライン(7Bx)を通じて仕込んだ後、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)を、貯槽(6x)から、100℃で保持したまま液体の状態で、原料調製槽(8x)に100重量部仕込んだ。続いて撹拌翼の先端速度が、2.51m/sになるように撹拌しながら、TCDDMとDPCの混合物を均一にし、内温を100℃に保った。
次に、撹拌翼の先端速度が2.51m/sになるように撹拌を続けながら、窒素気流下、固体状態の9,9−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(BHEPF:融点160〜164℃、嵩密度550kg/m3)を、定量フィーダーを用いて200重量部/hで、合計60.2重量部供給した。
続いて、実施例15と同様の方法で蒸留精製したISBの主留を、窒素雰囲気下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、80℃で、液体のまま貯槽(5x)に保持したものを、300重量部/hで、原料調製槽(8x)に連続的に供給した。該ISB供給中も撹拌翼の先端速度が2.51m/sになるよう撹拌を行い、該ISBを26.8重量部供給した時点で供給を止めた。該ISB供給中は5℃未満の内温低下が見られたが、供給停止後は速やかに内温100℃に回復した。
このように調製したポリカーボネート原料を、炭酸セシウムの供給量を全ジヒドロキシ化合物1モルに対し、セシウム金属量として17.6μモルとなるようにした他は、実施例15と同様の方法で重合反応を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.71dL/g、b*値は5.5であった。これらの結果を表3に示す。
実施例20
実施例15において、TCDDMの代わりに1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を20.2重量部用い、ISBの供給量を47.5重量部とした以外は実施例15と同様の方法で原料調製及び重合反応を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.60dL/g、b*値は4.5であった。これらの結果を表3に示す。
実施例21
実施例15において、ISBを59.5重量部、TCDDMの代わりに1,4−ブタンジオール(BD)を8.4重量部用いた以外は実施例15と同様の方法で原料調製及び重合反応を行った。得られたポリマーの還元粘度は0.57dL/g、b*値は5.0であった。これらの結果を表3に示す。
比較例6
原料の調製時間を0.3時間とし、撹拌を行わなかった他は、実施例17と同様の方法で、原料調製と重合反応を行った。重合反応はほとんど進行せず、ポリマーが得られなかった。
比較例7
原料調製槽の圧力を0.05MPaとした他は、実施例15と同様の方法で原料調製及び重合反応を行った。重合反応は少し進行したが、還元粘度は0.10dL/g未満で、ストランド状態では抜き出せなかった。
実施例22
ト字管、測温管、磁気回転子を備えた1Lの丸底フラスコに、窒素気流下で固体のイソソルビド500gを入れた。留出側にはリービッヒ冷却器と受器を設置し、留出したイソソルビドが固化しないように、リービッヒ冷却器へは80℃の温水を流すとともに、留出側各部には保温を実施した。窒素気流下、オイルバスにて100℃に加温し、イソソルビドを溶融し撹拌を開始した。その後、減圧を開始し700Paに到達するまでに、発泡(低沸物:水、ギ酸、フルフラールなどの蒸発)が見られた。発泡が治まってから除々に加温するとともに、減圧度を400Paに制御した。バス温を約170℃に設定し、内温155℃にて留出が開始した。この時の塔頂温度は150.5℃であった。20gを初留とした後、受器を切り替え、主留分として400g取得した。この時の内温は155℃から158℃で、塔頂温度は150.5℃から151℃であった。釜残液は褐色に着色していたが、得られる留出液は無色透明であった。
蒸留終了後、内温を100℃まで下げ、窒素を入れ常圧に戻した。得られた主留分は固化する前に、乾燥窒素で置換されたドライボックス内で冷却固化させ粉砕した。得られたイソソルビドの純度は表1に示す通りであった。蒸留前のイソソルビドに微量含有する、水、ギ酸、フルフラールなどの低沸点化合物は減圧ポンプ前に設置したコールドトラップ(ドライアイス−エタノール)にて捕集された。
得られたイソソルビド26.9g(0.483モル)に対して、トリシクロデカンジメタノール(以下「TCDDM」とする。)15.8g(0.211モル)、ジフェニルカーボネート(以下「DPC」とする。)57.4g(0.709モル)、及び触媒として炭酸セシウム2.14×10-4g(1.73×10-6モル)を反応器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて撹拌しながら、原料を溶解させた。次いで、圧力を常圧から13.3kPaに減圧し、加熱槽温度を190℃まで上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。第2段目の工程として、加熱槽温度を220℃まで上昇させ、反応器内の圧力を200Pa以下とし、発生するフェノールを留去させた。所定の撹拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートの評価結果を表4に示す。
実施例23
ト字管に変えてビグリュー管を取り付けたほかは、実施例22と同様な装置を用い、実施例22と同様な操作を行い、蒸留精製を実施した。得られたイソソルビドの純度は、表4に示す通りであった。得られたイソソルビドを使用し、実施例22と同様な操作を行った。得られたポリカーボネートの評価結果を表4に示す。
実施例24
実施例23の蒸留精製で得られたイソソルビド100gを80℃で溶融し、SUS316の金属片(15mm×50mm、厚さ2mm)を浸漬後に、減圧脱気−窒素復圧による窒素置換を行った。窒素下、80℃にて、1週間撹拌保持した。1週間後、窒素下にて冷却固化及び粉砕し、実施例22と同様な重合にてポリカーボネートのペレットを得た。得られたポリカーボネートの評価結果を表4に示す。
実施例25
浸漬する金属片をSUS304としたほかは、実施例24と同じ操作にて熱保持を行ったイソソルビドを使用して、実施例22と同様な重合操作を行った。得られたポリカーボネートの評価結果を表4に示す。
比較例8
表4に示す純度の未蒸留イソソルビドを使用し、実施例22と同様な操作を行った。得られたポリカーボネートの評価結果を表4に示す。
比較例9
表4に示す純度の未蒸留イソソルビドを使用し、実施例22と同様な操作を行った。得られたポリカーボネートの評価結果を表4に示す。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2008年11月28日出願の日本国特許出願(特願2008−305723)、2008年11月28日出願の日本国特許出願(特願2008−305724)、2008年11月28日出願の日本国特許出願(特願2008−305725)、及び2008年11月28日出願の日本国特許出願(特願2008−305726)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の保存方法によると、ポリカーボネートの原料となるジヒドロキシ化合物を長期間、品質劣化を抑制し、また、圧密され融着物となることを防止、軽減して保存することができる。そのため、該ジヒドロキシ化合物の品質を維持したまま、容器中に充填された状態で倉庫内に保管されている場合のみならず、トラック及び/または船舶などにより輸送することができる。
また、本発明の調製方法で調製されたポリカーボネートは、透明性、色調、耐熱性、成形性、及び機械的強度に優れ、かつ優れた光学特性を有するポリカーボネートを安定的に製造できる。
また、本発明の調製方法の製造方法にて製造されたポリカーボネートは、透明性、色調、耐熱性、成形性、及び機械的強度に優れ、かつ優れた光学特性を有するため、電気及び/または電子部品、自動車用部品等の射出成形分野、フィルム、シート分野、耐熱性が必要な、ボトル、容器分野、さらには、カメラレンズ、ファインダーレンズ、CCDやCMOS用レンズなどのレンズ用途、液晶やプラズマディスプレイなどに利用される位相差フィルム、拡散シート、偏光フィルムなどのフィルム、シート、光ディスク、光学材料、光学部品、色素、電荷移動剤等を固定化するバインダー用途といった幅広い分野への材料提供が可能であるため、工業的に極めて有望である。
1 受入ホッパー
2 定量フィーダー
3 ジャケットを具備した撹拌槽
4 抜出用ライン
5,6 貯槽
7 ホッパー
8 定量フィーダー
9 原料調製槽
10 原料貯槽
5A、5B、6A、6B、7A、9A、10A ライン
5x,6x,7x 貯槽
8x 原料調製槽
9x 第1反応槽
10x 第2反応槽
11x 第3反応槽
12x 第4反応槽
5Ax、5Bx、6Ax、6Bx、7Ax、7Bx、9Ax、10Ax、11Ax、12Ax、12Cx ライン
9Bx、10Bx、11Bx、12Bx ベント管

Claims (19)

  1. 少なくとも分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルからポリカーボネートを製造する方法において、
    前記分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、溶融状態の炭酸ジエステルとを、温度70℃以上240℃以下、圧力0.06MPa以上0.20MPa以下で、0.5時間以上30時間以下混合した後、圧力0.06MPa未満でエステル交換反応を進めて、ポリカーボネートを製造することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
    (但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)
  2. 少なくとも分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルからポリカーボネートを製造する方法において、
    前記分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、溶融状態の炭酸ジエステルとを、温度70℃以上240℃以下、圧力0.06MPa以上0.20MPa以下で、0.5時間以上30時間以下混合した後、連続的に圧力0.06MPa未満に保持された反応槽に供給して、エステル交換反応を進めて、ポリカーボネートを製造することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
    (但し、式(1)において酸素原子に水素原子が結合した構造を除く。)
  3. 前記分子内に式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、溶融状態の炭酸ジエステルとの混合を攪拌機を具備した槽中で行い、撹拌翼の先端速度が0.05m/s以上10m/s以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリカーボネートの製造方法。
  4. 反応に用いるジヒドロキシ化合物成分1モルに対し、炭酸ジエステルが0.90モル以上1.20モル以下になるよう調製することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
  5. 前記ジヒドロキシ化合物成分として、少なくとも前記分子内に式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と、脂肪族および/または脂環式ジヒドロキシ化合物とを用い、
    前記脂肪族および/または脂環式ジヒドロキシ化合物が、炭酸ジエステル1モルに対し、0.01モル以上の比率であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
  6. 脂肪族ジヒドロキシ化合物が、1,3−プロパンジオールであることを特徴とする請求項5に記載のポリカーボネートの製造方法。
  7. 脂環式ジヒドロキシ化合物が、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/またはトリシクロデカンジメタノールであることを特徴とする請求項5に記載のポリカーボネートの製造方法。
  8. 前記分子内に式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物が、複素環式ジヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
  9. 前記複素環式ジヒドロキシ化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項8に記載のポリカーボネートの製造方法。
  10. 前記分子内に式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物成分が、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
  11. ジヒドロキシ化合物成分と、溶融した炭酸ジエステルとを80℃以上120℃以下で混合することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
  12. 前記分子内に式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応させるポリカーボネートの製造方法において、前記ジヒドロキシ化合物の金属原子含有量が、1ppm未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリカーボネートの製造方法。
  13. 前記ジヒドロキシ化合物の金属原子含有量が、0.5ppm未満であることを特徴とする請求項12に記載のポリカーボネートの製造方法。
  14. 前記ジヒドロキシ化合物のアルデヒド化合物含有量が、0.01重量%未満であることを特徴とする請求項12または請求項13に記載のポリカーボネートの製造方法。
  15. 前記アルデヒド化合物含有量が、0.008重量%未満であることを特徴とする請求項14に記載のポリカーボネートの製造方法。
  16. 反応前に前記分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を蒸留することを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
  17. 蒸留時の初留が2重量%以上であり、釜残が8重量%以上であることを特徴とする請求項16に記載のポリカーボネートの製造方法。
  18. 前記分子内に下記式(1)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物を蒸留する際に用いる蒸留装置において、該ジヒドロキシ化合物の接触する部分がモリブデン含有合金からなる蒸留装置であることを特徴とする請求項16または請求項17に記載のポリカーボネートの製造方法。
  19. 請求項12から18のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法において、前記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を行う反応容器が、モリブデン含有合金からなることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
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