JP2901418B2 - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JP2901418B2
JP2901418B2 JP4162748A JP16274892A JP2901418B2 JP 2901418 B2 JP2901418 B2 JP 2901418B2 JP 4162748 A JP4162748 A JP 4162748A JP 16274892 A JP16274892 A JP 16274892A JP 2901418 B2 JP2901418 B2 JP 2901418B2
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量三 奥村
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G64/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbonic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G64/20General preparatory processes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G64/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbonic ester link in the main chain of the macromolecule
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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリカーボネート及びそ
の製造方法に関し、詳しくは耐熱性及び耐水性に優れる
とともに、色調の優れたポリカーボネート及び該ポリカ
ーボネートを効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般
に、ポリカーボネート(以下、PCと記す。)の製造方
法としては、ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキ
シ化合物とホスゲンとを直接反応させる方法(界面
法)、あるいはビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロ
キシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステ
ルとを溶融状態でエステル交換反応させる方法(溶融
法)が知られている。しかるに、界面法は、有毒なホ
スゲンを用いなければならないこと、副生する塩化水
素や塩化ナトリウムなどの含塩素化合物によって製造装
置が腐蝕すること、樹脂中に混入する水酸化ナトリウ
ムなどポリマーの物性に悪影響を及ぼす不純物の分離が
困難なことなどの問題がある。
【0003】一方、溶融法は、界面法と比較して安価に
PCを製造できると言う利点を有しているものの、通
常、280〜310℃の高温下で長時間反応させるため
に、樹脂の着色問題から逃れられないと言う大きな欠点
を有する。溶融法において、この着色を低減させるため
に、種々の改良技術が提案されている。例えば、特公昭
61−39972号公報,特開昭63−223036号
公報等には、特定の触媒を使用する方法が開示されてい
る。また、特開昭61−151236号公報,特開昭6
2−158719号公報等には、反応後期に酸化防止剤
を添加する方法が開示されている。そして、特開昭61
−62522号公報等には、反応後期に2軸ベント式混
練押出機を、また、特開平2−153925号公報等に
は、横型攪拌重合槽を使用するなどプロセス的な改良技
術が開示されている。さらに、特開平2−175722
号公報には、モノマー中の加水分解可能な塩素含有量を
一定以下にする方法が開示されている。しかし、未だ着
色の問題は完全には解決されておらず、満足すべきPC
を得るには至っていないのが実状である。
【0004】加えて、反応器の材質を特定金属に限定す
る方法も開示されている。従来、ステンレス製の反応器
を用いた場合、得られるPCが、黄色または茶褐色に着
色する傾向があった。これを改善するために、米国特許
第4383092号公報には、材質として、タンタル,
ニッケル又はクロムを用いる方法が開示されている。ま
た、特開平4−7328号公報には、ステンレス製の反
応器をバフ研磨する方法、あるいは特開平4−7329
号公報には、ステンレス製の反応器を酸洗浄する方法が
開示されている。しかるに、このような方法において
も、金属の溶出は避けられず、色調の優れた満足すべき
PCを得るには至っていない。そして、全反応系をガラ
スライニングした反応器を用いると、金属の溶出を防ぐ
ことはできる。しかし、プロセスのシャットダウン時等
にポリマーが冷却,固化し、膨張率の相違によるガラス
割れが発生し、実質的に機械的強度が十分でなく、工業
的にはこの方法は不可能である。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記状況に鑑み、耐熱性及び耐水性に優れるとともに、
色調の優れたPC及び該PCを効率よく製造することが
できる方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、
PCをエステル交換により製造する方法において、特定
の残留金属を一定量以下にすることによって、上記の課
題を解決しうることを見出した。本発明は、かかる知見
に基づいて完成したものである。すなわち、本発明は、
(A)ジヒドロキシ化合物と(B)炭酸ジエステルとか
ら、エステル交換反応によってポリカーボネートを製造
するにあたり、該エステル交換反応を、Fe,Cr,M
o,Ni及びCuから選択される少なくとも一種の金属
を含有する金属材質からなる反応器を用いるとともに、
該反応器内の水分量を300ppm以下、かつ酸素量を
10ppm以下の条件で行うことにより、残留金属とし
て、Fe,Cr及びMoの合計量が10ppm以下で
あり、かつ、Ni及びCuの合計量が50ppm以下
であるポリカーボネートを製造する方法を提供するもの
である。
【0006】本発明において、(A)成分として用いら
れるジヒドロキシ化合物は、各種のものがある。例え
ば、芳香族ジヒドロキシ化合物,脂肪族ジヒドロキシ化
合物,芳香族ジヒドロキシ化合物のビスエステル類,脂
肪族ジヒドロキシ化合物のビスエステル類,芳香族ジヒ
ドロキシ化合物のカーボネート類,及び脂肪族ジヒドロ
キシ化合物のカーボネート類から選択される少なくとも
一種の化合物である。この(A)成分の一つとして用い
られる芳香族ジヒドロキシ化合物は、一般式(I)
【0007】
【化1】
【0008】〔式中、Rは、水素原子,ハロゲン原子
(例えば塩素,臭素,フッ素,沃素)又は炭素数1〜8
のアルキル基であり、このRが複数の場合、それらは同
一であってもよいし、異なっていてもよく、mは、0〜
4の数である。そして、Zは、単結合,炭素数1〜8の
アルキレン基,炭素数2〜8のアルキリデン基,炭素数
5〜15のシクロアルキレン基,炭素数5〜15のシク
ロアルキリデン基又は−S−,−SO−,−SO2 −,
−O−,−CO−結合もしくは一般式(II)
【0009】
【化2】
【0010】で表わされる結合を示す。〕で表わされる
化合物が挙げられる。このような化合物としては、具体
例には例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通
称ビスフェノールA);2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)オクタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
1−メチルフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン;2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プ
ロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタ
ン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,5,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒ
ドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4−ジヒド
ロキシジフェニルエーテル;4,4’−ジヒドロキシ−
3,3’−ジメチルフェニルエーテルなどのジヒドロキ
シアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルフィド;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−
ジメチルジフェニルスルフィドなどのジヒドロキシジア
リールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホキシド;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−
ジメチルジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシア
リールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルスルホン;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ
メチルジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジアリー
ルスルホン類、ジヒドロキシベンゼン、ハロゲン及びア
ルキル置換ジヒドロキシベンゼン例えば、1,4−ジヒ
ドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン;1,4−ジヒド
ロキシ−3−メチルベンゼン等が挙げられる。
【0011】また、(A)成分の一つの脂肪族ジヒドロ
キシ化合物としては、各種のものがある。具体的には例
えば、ブタン−1,4−ジオール;2,2−ジメチルプ
ロパン−1,3−ジオール;ヘキサン−1,6−ジオー
ル;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;
テトラエチレングリコール;オクタエチレングリコー
ル;ジプロピレングリコ−ル;N,N−メチルジエタノ
ールアミン;シクロヘキサン−1,3−ジオール;シク
ロヘキサン−1,4−ジオール;1,4−ジメチロール
シクロヘキサン;p−キシリレングリコール;2,2−
ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンお
よび二価アルコールまたはフェノールのエトキシ化また
はプロポキシ化生成物、例えばビス−オキシエチル−ビ
スフェノールA;ビス−オキシエチル−テトラクロロビ
スフェノールAまたはビス−オキシエチル−テトラクロ
ロヒドロキノン等が挙げられる。
【0012】そして、(A)成分として用いられる芳香
族ジヒドロキシ化合物のビスエステル類,脂肪族ジヒド
ロキシ化合物のビスエステル類,芳香族ジヒドロキシ化
合物のカーボネート類,または脂肪族ジヒドロキシ化合
物類のカーボネートとしては、例えば、上記の化合物の
ビスエステル類は、一般式(III)
【0013】
【化3】
【0014】(式中、R1 は、上記脂肪族ジヒドロキシ
化合物から水酸基を2個除いた残基を示し、R2 は、炭
素原子1〜6個を有するアルキル基または炭素原子4〜
7個を有するシクロアルキル基を示す。)で表わされる
化合物、一般式(IV)
【0015】
【化4】
【0016】(式中、Ar1は、上記芳香族ジヒドロキシ
化合物から水酸基を2個除いた残基を示し、R2 は前記
と同じである。)で表わされる化合物、一般式(V)
【0017】
【化5】
【0018】(式中、Ar2はアリール基を示し、R1
前記と同じである。)で表わされる化合物または一般式
(VI)
【0019】
【化6】
【0020】(式中、Ar1およびAr2は前記と同じであ
る。)で表わされる化合物が挙げられる。また、上記の
化合物のカーボネート類は、一般式(VII)
【0021】
【化7】
【0022】(式中、R1 およびR2 は前記と同じであ
る。)で表わされる化合物、一般式(VIII)
【0023】
【化8】
【0024】(式中、R2 及びAr1は前記と同じであ
る。)で表わされる化合物、一般式(IX)
【0025】
【化9】
【0026】(式中、R1 およびAr2は前記と同じであ
る。)で表わされる化合物または一般式(X)
【0027】
【化10】
【0028】(式中、Ar1およびAr2は前記と同じであ
る。)で表わされる化合物が挙げられる。本発明におい
て、(A)成分のジヒドロキシ化合物としては、上記の
化合物を適宜選択して用いるが、これらの中では、ビス
フェノールAを用いるのが好ましい。そして、ビスフェ
ノールAを用いる場合、フェノールの付加体あるいはそ
の付加体とフェノールとの混合物を用いることもでき
る。このように付加体を用ることによって、純度の高い
ビスフェノールAを得ることができ効果的である。
【0029】一方、本発明において、(B)成分として
用いられる炭酸ジエステルは、各種のものがある。例え
ば、炭酸ジアリール化合物,炭酸ジアルキル化合物また
は炭酸アルキルアリール化合物から選択される少なくと
も一種の化合物である。この(B)成分の一つとして用
いられる炭酸ジアリール化合物は、一般式(XI)
【0030】
【化11】
【0031】(式中、Ar2は前記と同じである。)で表
わされる化合物または一般式(X)
【0032】
【化12】
【0033】(式中、Ar1およびAr2は前記と同じであ
る。)で表わされる化合物である。また、炭酸ジアルキ
ル化合物は、一般式(XII)
【0034】
【化13】
【0035】(式中、R2 は前記と同じである。)で表
わされる化合物または一般式(VIII)
【0036】
【化14】
【0037】(式中、R2 およびAr1は前記と同じであ
る。)で表わされる化合物である。そして、炭酸アルキ
ルアリール化合物は、一般式(XIII)
【0038】
【化15】
【0039】(式中、R2 およびAr2は前記と同じであ
る。)で表される化合物または一般式(XIV)
【0040】
【化16】
【0041】(式中、R2 ,Ar1およびAr2は前記と同
じである。)で表される化合物である。このような炭酸
ジアリール化合物としては、具体的には例えば、ジフェ
ニルカーボネート,ジトリルカーボネート,ビス(クロ
ロフェニル)カーボネート,m−クレジルカーボネー
ト,ジナフチルカーボネート,ビス(ジフェニル)カー
ボネート,ビスフェノールAビスフェニルカーボネート
等が挙げられる。また、炭酸ジアルキル化合物として
は、具体的には例えば、ジエチルカーボネート,ジメチ
ルカーボネート,ジブチルカーボネート,ジシクロヘキ
シルカーボネート,ビスフェノールAビスメチルカーボ
ネート等が挙げられる。そして、炭酸アルキルアリール
化合物としては、具体的には例えば、メチルフェニルカ
ーボネート,エチルフェニルカーボネート,ブチルフェ
ニルカーボネート,シクロヘキシルフェニルカーボネー
ト,ビスフェノールAメチルフェニルカーボネート等が
挙げられる。これらのなかでは、特にジフェニルカーボ
ネートが好ましい。本発明において、(B)成分の炭酸
ジエステルとしては、上記の化合物を適宜選択して用い
るが、これらの中では、ジフェニルカーボネートを用い
るのが好ましい。
【0042】本発明のポリカーボネートは、前記(A)
成分および(B)成分を、Fe,Cr,Mo,Ni及び
Cuから選択される少なくとも一種の金属を含有する金
属材質からなる反応器を用いてエステル交換反応させる
ことによって得られるものである。そして、得られるポ
リカーボネート中に含まれる残留金属として、Fe,
Cr及びMoの合計量が10ppm以下であり、かつ、
Ni及びCuの合計量が50ppm以下であって、色
調に優れたものである。
【0043】このような本発明のポリカーボネートを製
造するには、各種の方法がある。例えば、前記(A)成
分および(B)成分を用いてエステル交換反応によって
ポリカーボネートを製造するにあたり、このエステル交
換反応をFe,Cr,Mo,Ni及びCuから選択され
る少なくとも一種の金属を含有する金属材質からなる反
応器を用いて行うとともに、該反応器内の水分量を50
0ppm 以下、好ましくは300ppm 以下、更に好ましく
は100ppm 以下とするものである。本来、水が反応系
に全く存在しなければ、反応器の金属はほとんど溶出す
ることはない。しかし、実際には、微量の水分がモノマ
ー(A成分,B成分)中などに存在し、これが原因で反
応器の金属が溶出することが判った。そして、種々検討
した結果、反応系内の水分量を上記の値以下にすること
によって、実質的に金属の溶出を防ぐことができること
を見出した。
【0044】このように、反応系内の水分量を前記の値
以下にするには、各種の方法がある。例えば、モノマー
を反応系に供給する前に、溶融状態で窒素バブリング
し、モノマー中の水分量を少なくとも500ppm 以下に
した後、反応器に供給する。また、モノマーを、溶融状
態でモレキュラーシーブなどの脱水剤中を通し、モノマ
ー中の水分量を少なくとも500ppm 以下にした後、反
応器に供給する。あるいは、モノマーを水と共沸する溶
媒(例えば、ベンゼン等)に溶解させた後、溶媒を除去
し、モノマー中の水分量を少なくとも500ppm 以下に
した後、反応器に供給する等の方法を採ればよい。反応
系内の水分量を前記の値以下にすることによって、金属
の溶出を防ぐことができ、また、着色を防ぐことができ
る。しかし、反応系内の水分量を前記の値以下にして
も、反応系内に酸素が多量に存在すると、その効果が減
殺されてしまう。したがって、水分量を前記の値以下に
し、その効果を有効的に発揮させるためには、反応器内
に存在する酸素量として、10ppm 以下、好ましくは5
ppm 以下にすることが好都合である。通常、窒素等の不
活性ガスを用いて、減圧−常圧操作を繰り返し、反応器
内の雰囲気を無酸素状態にする方法によって、反応器内
に存在する酸素量を上記の値以下にすることができる。
しかし、反応が進行するにつれて、反応系内を減圧にす
ると、若干の空気がもれてくることがしばしば見られ
る。そこで、反応系内の酸素量を酸素メーター等で管理
するとともに、反応器のジョイント部分を窒素等でブロ
ーしながら反応させたり、反応前にリークチェックを十
分に行ったりすることが望ましい。
【0045】本発明の製造方法では、反応器の水分量お
よび酸素量を前記のような条件に調整し、(A)ジヒド
ロキシ化合物及び(B)炭酸ジエステルを用いてエステ
ル交換反応させることによってポリカーボネートを得る
ことができる。ここで、(A)成分及び(B)成分を用
いてエステル交換反応させるにあたっては、さらに、下
記の条件下にて製造するのが好ましい。すなわち、式
(i) X=〔OH〕×t×exp (−6.1×103 /T)・・・
(i) 〔式中、〔OH〕は水酸基濃度(モル/g),tは反応
時間(hr) ,Tは反応温度(K)である。〕の値が、1
×10-7以下、好ましくは8×10-8以下、より好まし
くは2×10 -8以下の条件で製造するとよい。このよう
にすることによって、モノマー及びポリマーの熱劣化を
さらに防ぐことができる。また、下記の条件下にて製造
するのが好ましい。すなわち、式(ii) Y=S×t×exp (−1.5×104 /T)・・・(ii) 〔式中、Sは試料体積当たりの金属容器の接触面積(m
-1)であり、tおよびTは上記と同じである。〕の値
が、1×10-9以下、好ましくは1×10-10 以下、よ
り好ましくは3×10-11 の条件で製造するとよい。こ
のようにすることによって、金属の溶出をさらに抑える
ことができる。
【0046】なお、本発明においては、特に限定はされ
ないが、下記に示す末端停止剤を用いることも可能であ
る。このような末端停止剤の具体例としては、o−n−
ブチルフェノール;m−n−ブチルフェノール;p−n
−ブチルフェノール;o−イソブチルフェノール;m−
イソブチルフェノール;p−イソブチルフェノール;o
−t−ブチルフェノール;m−t−ブチルフェノール;
p−t−ブチルフェノール;o−n−ペンチルフェノー
ル;m−n−ペンチルフェノール;p−n−ペンチルフ
ェノール;o−n−ヘキシルフェノール;m−n−ヘキ
シルフェノール;p−n−ヘキシルフェノール;o−シ
クロヘキシルフェノール;m−シクロヘキシルフェノー
ル;p−シクロヘキシルフェノール;o−フェニルフェ
ノール;m−フェニルフェノール;p−フェニルフェノ
ール;o−n−ノニルフェノール;m−n−ノニルフェ
ノール;p−n−ノニルフェノール;o−クミルフェノ
ール;m−クミルフェノール;p−クミルフェノール;
o−ナフチルフェノール;m−ナフチルフェノール;p
−ナフチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチルフェノ
ール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ
−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェ
ノール;式
【0047】
【化17】
【0048】で表わされる2,5−ジクミルフェノー
ル;3,5−ジクミルフェノール;クロマン誘導体とし
て、例えば、式
【0049】
【化18】
【0050】等の1価フェノールが挙げられる。このよ
うなフェノール類のうち、本発明では特に限定されない
が、p−t−ブチルフェノール;p−クミルフェノー
ル;p−フェニルフェノールなどが好ましい。また、他
の末端停止剤としては、炭酸ジエステル化合物が場合に
よって用いられる。このような炭酸ジエステル化合物の
末端停止剤の具体例としては、カルボブトキシフェニル
フェニルカーボネート;メチルフェニルブチルフェニル
カーボネート;エチルフェニルブチルフェニルカーボネ
ート;ジブチルジフェニルカーボネート;ビフェニルフ
ェニルカーボネート;ジビフェニルカーボネート;クミ
ルフェニルフェニルカーボネート;ジクミルフェニルカ
ーボネート;ナフチルフェニルフェニルカーボネート;
ジナフチルフェニルカーボネート;カルボプロポキシフ
ェニルフェニルカーボネート;カルボヘブトキシフェニ
ルフェニルカーボネート;カルボメトキシt−ブチルフ
ェニルフェニルカーボネート;カルボプロトキシフェニ
ルメチルフェニルフェニルカーボネート;クロマニルフ
ェニルカーボネート;ジクロマニルカーボネート等が挙
げられる。また、式
【0051】
【化19】
【0052】で表わされる化合物等が挙げられる。上記
のような1価フェノール類または炭酸ジエステル化合物
等の末端停止剤の存在量が、(A)成分であるジヒドロ
キシ化合物1モルに対して0.05モル%〜10モル%の
範囲にあると、得られるポリカーボネートの水酸基末端
が封止されるため、耐熱性および耐水性に充分優れたポ
リカーボネートが得られる。このような前記1価フェノ
ール類または炭酸ジエステル化合物は、予め反応系に全
量添加しておいてもよく、また予め反応系に一部添加し
ておき、反応の進行に伴って残部を添加してもよい。さ
らに場合によっては、前記(A)のジヒドロキシ化合物
と(B)の炭酸ジエステルとの重縮合反応が一部進行し
た後に、反応系に全量添加してもよい。さらに、本発明
では、特に限定されないが、フロログルシン;トリメリ
ット酸;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン;1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキ
シフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”
−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;α,α’,
α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5
−トリイソプロピルベンゼン;イサチンビス(o−クレ
ゾール)等を分岐剤として用いることができる。
【0053】本発明では、特に触媒を必要としないが、
エステル交換反応を促進させるため公知の触媒を使用し
ても良い。このような触媒の具体例としては、アルカリ
金属またはアルカリ土類金属の単体,酸化物,水酸化
物,アミド化合物,アルコラート,フェノラート,ある
いはZnO,PbO,Sb2 3 のような塩基性金属酸
化物,有機チタン化合物,可溶性マンガン化合物,C
a,Mg,Zn,Pb,Sn, Mn,Cd,Coの酢酸
塩または含窒素塩基性化合物と硼素化合物,含窒素塩基
性化合物とアルカリ(土類)金属化合物,含窒素塩基性
化合物とアルカリ(土類)金属化合物と硼素化合物など
の併用系触媒などが挙げられる。
【0054】そして、本発明では、必要に応じて酸化防
止剤を使用することができる。具体例としては、トリス
(ノニルフェニル)ホスファイト,トリスフェニルホス
ファイト,2−エチルヘキシルジフェニルホスファイ
ト,トリメチルホスファイト,トリエチルホスファイ
ト,トリクレジルホスファイト,トリアリールホスファ
イト等のリン系酸化防止剤がある。
【0055】本発明の方法は、具体的には、公知のエス
テル交換法に準じて反応を進行させる。以下に、本発明
の方法の手順及び条件を具体的に示す。先ず、(A)成
分として、前記芳香族ジヒドロキシ化合物,脂肪族ジヒ
ドロキシ化合物,芳香族ジヒドロキシ化合物のビスエス
テル類,芳香族ジヒドロキシ化合物のカーボネート類,
脂肪族ジヒドロキシ化合物のビスエステル類,または脂
肪族ジヒドロキシ化合物のカーボネート類であるジヒド
ロキシ化合物類と(B)成分として、前記炭酸ジアリー
ル化合物,炭酸ジアルキル化合物または炭酸アルキルア
リール化合物である炭酸ジエステルの比が、ジヒドロキ
シ化合物に対して炭酸ジエステルを1〜1.5倍モルにな
るようにする。なお、状況に応じて、炭酸ジエステルの
量はジヒドロキシ化合物に対して多少過剰とする程度の
1.02〜1.20倍モルが好ましい。
【0056】このときの反応温度は、特に限定されない
が通常100℃〜330℃の範囲であり、好ましくは1
80℃〜300℃、より好ましくは、反応の進行に合わ
せて次第に180℃〜300℃迄温度を上げてゆく方法
が良い。また、該反応は100℃未満では反応の進行が
遅く、330℃を超えるとポリマーの熱劣化が起こり好
ましくない。そして、反応時の圧力は、使用するモノマ
ーの蒸気圧に応じて反応温度に応じて設定される。これ
は、反応が効率良く行われるように設定されればよく限
定されるものではない。通常、反応初期においては、1
〜50atm (760〜38,000torr)までの大気圧な
いし加圧状態にしておき、反応後期においては減圧状
態、好ましくは最終的には0.01〜100torrにする場
合が多い。また、反応時間は、目標の分子量となるまで
行えばよく、通常0.2〜10時間程度である。上記の反
応は、不活性溶剤の不存在下で行われるが、必要に応じ
て得られるPCの1〜150重量%の不活性溶剤の存在
下において行ってもよい。ここで、不活性溶剤として
は、例えば、ジフェニルエーテル,ハロゲン化ジフェニ
ルエーテル,ベンゾフェノン,ポリフェニルエーテル,
ジクロロベンゼン,メチルナフタレン等の芳香族化合
物、クロロフロロ炭化水素、エタン,プロパン等のアル
カン、シクロヘキサン,トリシクロ(5,2,10)−
デカン,シクロオクタン,シクロデカン等のシクロアル
カン、エテン,プロペンのようなアルケンまたは六フッ
化イオウ等があげられる。
【0057】本発明においては、反応が進行するととも
に、使用した炭酸ジエステルに対応するフェノール類,
アルコール類,またはそれらのエステル類および不活性
溶剤が反応器より脱離してゆく。これら脱離物は、分
離、精製しリサイクル使用も可能であり、これらを除去
する設備があれば好ましい。そして、本発明は、バッチ
式または連続的に行うことができ、かつ任意の装置を使
用することができる。なお、連続式で製造する場合に
は、少なくとも二基以上のリアクターを使用し、上記の
反応条件を設定するのが好ましい。本発明で用いられる
反応器は、その材質は上述のような金属を含むものであ
るが、その構造は、特に制限はされないが、通常の攪拌
機能を有していればよい。ただし、反応後段においては
粘度が上昇するので高粘度型の攪拌機能を有するものが
好ましい。さらに、反応器の形状は槽型のみならず、押
出機型のリアクター等でもよい。
【0058】以上の様にして得られたPCはそのまま造
粒としても良く、また押出機等を用いて成形することも
できる。また、本発明によって得られるPCは、可塑
剤,顔料,潤滑剤,離型剤,安定剤,無機充填剤などの
ような周知の添加剤を配合して使用することができる。
さらに、これらのPCは、ポリエステル,ポリスルホネ
ート,ポリアミド,ポリフェニレンオキシド等の重合体
とブレンドすることも可能である。
【0059】
【実施例】次に、本発明を参考例,実施例及び比較例に
より、さらに詳しく説明する。なお、本発明は下記の実
施例により限定されるものではない。 参考例1 (ジフェニルカーボネートAの調製)100リットル容
の槽型攪拌槽(SUS316製)に水分含有量が480
ppmのジフェニルカーボネート51.4kg(240モ
ル)を入れ、窒素を用いて真空−常圧操作を繰り返し窒
素置換を行った。次いで、100℃で溶融させ、200
rpmで攪拌しながら窒素バブリングを2時間行なっ
た。ジフェニルカーボネート中の水分含有量は60ppm
であった。
【0060】参考例2 (ジフェニルカーボネートBの調製)100リットル容
の槽型攪拌槽(SUS316製)に水分含有量が480
ppmのジフェニルカーボネート51.4kg(240モ
ル)を入れ、窒素を用いて真空−常圧操作を繰り返し窒
素置換を行った。次いで、100℃で溶融させ、窒素圧
力にてモレキュラーシーブ4Aを充填したカラムを通し
た。ジフェニルカーボネート中の水分含有量は20ppm
であった。
【0061】参考例3 (ビスフェノールAの調製)100リットル容の槽型攪
拌槽(SUS316製)に水分含有量が720ppmのビ
スフェノールA45.6kg(200モル)を入れ、窒素
を用いて真空−常圧操作を繰り返し窒素置換を行った。
次いで、120℃で攪拌(100rpm)しながら真空
脱気を4時間行なった。ビスフェノールA中の水分含有
量は150ppm であった。
【0062】参考例4 (ビスフェノールAとフェノールの付加体Aの調製)1
00リットル容の槽型攪拌槽(SUS316製)に水分
含有量が750ppmのビスフェノールAとフェノールの
付加体(モル比,1:1.58)を加え窒素を用いて真空
−常圧操作を繰り返し窒素置換を行った。次いで、10
2℃に加熱して溶融させ、窒素圧力にてモレキュラーシ
ーブ4Aを充填したカラムを通し、付加体中の水分含有
量を40ppm に調整した。
【0063】参考例5 (ビスフェノールAとフェノールの付加体Bの調製)1
00リットル容の槽型攪拌槽(SUS316製)に水分
含有量が750ppmのビスフェノールAとフェノールの
付加体(モル比,1:1.58)を加え窒素を用いて真空
−常圧操作を繰り返し窒素置換を行った。次いで、10
2℃に加熱して溶融させ、200rpmで攪拌しながら
窒素バブリングを2時間行ない、付加体の水分含有量を
10ppm に調整した。
【0064】実施例1 内容積200リットル容のオートクレーブ(Niライニ
ング)を真空ポンプにて真空度0.5mmHgになること
を確認した後、系内をホールドし、1時間真空度に変化
がないことを確認した。次いで、120℃に保ちなが
ら、窒素を用いて真空−常圧操作を10回繰り返し系内
を窒素置換した。これに参考例1にて調製したジフェニ
ルカーボネートA51.4kg(240モル)を溶融状態
で窒素の圧力を用いてフィードした。次に、参考例3に
て調製したビスフェノールA45.6kg(200モル)
を固体状態で窒素圧力を用いてフィードした。系内の酸
素量は5ppm であった。混合物を180℃まで加熱し、
触媒として(C4H9)4NBH4を5.0g(0.02モル) を加
え、窒素を微量流しながら回転数60rpmにて反応を
開始した。次いで、フェノールが留出しなくなったら真
空度を徐々に200mmHgにし、フェノールが留出し
なくなるまで反応させた。ここまでの反応時間は2時
間、反応率85%、系内の平均水酸基濃度は2.5×10
-3モル/gであった。さらに、温度を200℃にし、フ
ェノールが留出しなくなったら真空度を除々に100m
mHgにし、フェノールが留出しなくなるまで反応させ
た。この段階の反応時間は1時間、反応率95%、系内
の平均水酸基濃度は6.3×10-4モル/gであった。次
に、温度を240℃にし、フェノールが留出しなくなっ
たら真空度を除々に15mmHgにし、フェノールが留
出しなくなるまで反応させた。この段階の反応時間は1.
5時間、反応率99%、系内の平均水酸基濃度は2.0×
10-4モル/gであった。その後、温度を280℃にす
ると同時に、真空度を徐々に上げ最終的に0.5mmHg
にした。フェノールと同時にジフェニルカーボネートの
留去が見られた。この段階の反応時間は1.5時間、反応
率100%、系内の平均水酸基濃度は3.4×10-5モル
/gであった。最後に得られた粘調で透明な縮合物を銅
製のギアポンプを用いてストランド状に押し出し、ペレ
タイザーにてペレット化した。これをプレス成形し、プ
レス板(厚さ3mm)のYIを測定した。得られた結果
を第1表に示す。
【0065】実施例2 実施例1において、参考例2にて調製したジフェニルカ
ーボネートBを用いた以外は、実施例1と同様に実施し
た。得られた結果を第1表に示す。 実施例3 実施例1において、参考例4にて調製したビスフェノー
ルAとフェノールの付加体A75.3kg(ビスフェノー
ルAを200モル含有)を用いた以外は、実施例1と同
様に同様に実施した。得られた結果を第1表に示す。 実施例4 実施例1において、参考例5にて調製したビスフェノー
ルAとフェノールの付加体B75.3kg(ビスフェノー
ルAを200モル含有)を用いた以外は、実施例1と同
様に実施した。得られた結果を第1表に示す。 実施例5 実施例1において、参考例2にて調製したジフェニルカ
ーボネートBおよび参考例5にて調製した付加耐Bを用
いた以外は、実施例1と同様に実施した。得られた結果
を第1表に示す。 実施例6 実施例1において、ジフェニルカーボネートをフィード
する際に、モレキュラーシーブス4Aを充填したカラム
を通したこと以外は、実施例1と同様に実施した。得ら
れた結果を第1表に示す。 実施例7 実施例1において、オートクレーブの材質をSUS31
6(Fe70重量%,Ni12重量%,Cr16重量
%,Mo2重量%)とした以外は、実施例1と同様に実
施した。得られた結果を第1表に示す。
【0066】実施例8 内容積200リットル容のオートクレーブ(Niライニ
ング)を120℃に保ちながら、窒素を用いて真空−常
圧操作を10回繰り返し系内を窒素置換した。これに参
考例1にて調製したジフェニルカーボネートA51.4k
g(240モル)を溶融状態で窒素の圧力を用いてフィ
ードした。次いで、参考例3にて調製したビスフェノー
ルA45.6kg(200モル)を固体状態で窒素圧力を
用いてフィードした。系内の酸素量は5ppm であった。
混合物を240℃まで加熱し、触媒として(C4H9)4NBH4
を5.0g(0.02モル)を加え、窒素を微量流しながら
回転数60rpmにて反応を開始した。2時間後、真空
度を徐々に200mmHgにし、更に1時間反応させ
た。反応率90%、系内の水酸基濃度は2.4×10-3
ル/gであった。次に、真空度を徐々に15mmHgに
し、1.5時間反応させた。反応率99%、系内の水酸基
濃度は3.5×10-4モル/gであった。その後、温度を
280℃にすると同時に、真空度を徐々に上げ、最終的
に0.5mmHgにした。フェノールと同時にジフェニル
カーボネートの留去が見られた。この段階の反応時間1.
5時間、反応率100%、系内の水酸基濃度は3.4×1
-5モル/gであった。最後に、得られた粘調で透明な
縮合物を銅製のギアポンプを用いてストランド状に押し
出し、ペレタイザーにてペレット化した。これをプレス
成形し、プレス板(厚さ3mm)のYIを測定した。得
られた結果を第1表に示す。
【0067】実施例9 実施例6において、280℃での反応段階を薄膜蒸発反
応器(表面積23m2、Niライニング)を用い30分
反応させた以外は、実施例6と同様に行った。得られた
結果を第1表に示す。
【0068】比較例1 内容積200リットル容のオートクレーブ(Niライニ
ング)を真空ポンプにて真空度0.5mmHgになること
を確認した後、系内をホールドし1時間真空度に変化が
ないことを確認した。次いで、未処理ジフェニルカーボ
ネート51.4kg(240モル,含有水分量420ppm
)および未処理ビスフェノールA45.6kg(240
モル,含有水分量780ppm )を固体状態で投入した。
更に、窒素を用いて真空−常圧操作を10回繰り返し系
内を窒素置換した。次に、120℃に温度を上げて溶融
させた。系内の酸素含有量は5ppm であった。以下は、
実施例1と同様に実施した。得られた結果を第1表に示
す。
【0069】比較例2 比較例1において、オートクレーブの材質をSUS31
6とした以外は、比較例1と同様に実施した。得られた
結果を第1表に示す。 比較例3 比較例1において、オートクレーブの材質をハステロイ
B−2(Ni69重量%,Mo28重量%)とした以外
は、比較例1と同様に実施した。得られた結果を第1表
に示す。 比較例4 比較例1において、オートクレーブの材質を銅ライニン
グとした以外は、比較例1と同様に実施した。得られた
結果を第1表に示す。 比較例5 内容積200リットル容のオートクレーブ(Niライニ
ング)を真空ポンプにて真空度0.5mmHgになること
を確認した後、系内をホールドした。1時間後常圧にな
っていたが、そのまま比較例1と同様に実施した。得ら
れた結果を第1表に示す。 比較例6 比較例3において、オートクレーブの材質をSUS31
6とした以外は、比較例3と同様に実施した。得られた
結果を第1表に示す。
【0070】比較例7 内容積200リットル容のオートクレーブ(Niライニ
ング)を真空ポンプにて真空度0.5mmHgになること
を確認した後、系内をホールドし1時間真空度に変化が
ないことを確認した。次いで、未処理ジフェニルカーボ
ネート51.4kg(240モル,含有水分量420ppm
)および未処理ビスフェノールA45.6kg(240
モル,含有水分量780ppm )を固体状態で投入した。
更に、窒素を用いて真空−常圧操作を10回繰り返し系
内を窒素置換した。次に、120℃に温度を上げて溶融
させた。系内の酸素含有量は5ppm であった。混合物を
240℃まで加熱し、窒素を微量流しながら回転数80
rpmにて4時間反応させた。反応率40%、系内の水
酸基濃度は3.5×10-3モル/gであった。次に、真空
度を1時間かけて1mmHgにし2時間反応させた。反
応率80%、系内の水酸基濃度は2.1×10-3モル/g
であった。更に、温度を280℃に上げ3時間反応させ
た。反応率90%、系内の水酸基濃度は9.2×10-4
ル/gであった。最後に、温度を300℃に上げ薄膜蒸
発反応器(表面積23m2 、Niライニング)で1時間
反応させた。反応率100%、系内の水酸基濃度は3.2
×10-4モル/gであった。以下は、実施例1と同様に
実施した。得られた結果を第1表に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】なお、表中の注書は次の通りである。 *1:仕込みモノマー中の水分量 *2:反応前の酸素含有量と反応終了後に高純度窒素ガ
スにて復圧した時の酸素含有量の高い方の値(TELEDYNE
ANALYTICAL INSTRUMENTS 社製,PORTABLE TRACE OXYGE
NANALYZERにて測定) *3:原子吸光分析機〔(株)日立製作所製,Z−81
00〕を用い、原子吸光法にて測定した。 *4:JIS K7103−77に準拠し、スガ試験機
(株)製カラーメーターSM−3を用いて測定した。
【0074】
【発明の効果】以上、本発明によれば、(A)ジヒドロ
キシ化合物と(B)炭酸ジエステルとから、エステル交
換反応によって、色調(透明性)の優れたポリカーボネ
ートが得られ、(A)成分と(B)成分とから、エステ
ル交換反応をFe,Cr,Mo,Ni及びCuから選択
される少なくとも一種の金属を含有する金属材質からな
る反応器を用いて行うとともに、該反応器内の水分量を
特定量以下にすることによって該ポリカーボネートを効
率よく製造することができる。したがって、本発明は高
品質のポリカーボネートを工業的に有利に製造する方法
として有効かつ幅広く利用することができる。
フロントページの続き (72)発明者 久西 律行 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 出光石 油化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−72327(JP,A) 特開 平4−88017(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ジヒドロキシ化合物と(B)炭酸
    ジエステルとから、エステル交換反応によってポリカー
    ボネートを製造するにあたり、該エステル交換反応を、
    Fe,Cr,Mo,Ni及びCuから選択される少なく
    とも一種の金属を含有する金属材質からなる反応器を用
    いるともに、該反応器内の水分量を300ppm以
    下、かつ酸素量を10ppm以下の条件で行うことによ
    り、残留金属として、Fe,Cr及びMoの合計量が
    10ppm以下であり、かつ、Ni及びCuの合計量
    が50ppm以下であるポリカーボネートを製造する方
    法。
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