JP4336395B2 - 炭酸ジエステル、芳香族ポリカーボネート、製造装置および製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のあるものは芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法に関し、さらに詳しくは、良好な品質を有する芳香族ポリカーボネートを溶融重合で安定かつ経済的に製造する方法に関するものである。
また、本発明のあるものは、熱安定性および色相に優れた芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
また、本発明のあるものは、溶融縮重合反応により芳香族ポリカーボネートを得る際に、該溶融縮重合反応により副生するモノヒドロキシ化合物をリサイクルして触媒用の溶媒として使用する芳香族ポリカーボネート製造法に関するものである。
また、本発明のあるものは、芳香族ポリカーボネートの製造原料である炭酸ジエステルおよび、それからの芳香族ポリカーボネートの製造に関するものであり、さらに詳しくは、保存安定性の良好な炭酸ジエステル、および該炭酸ジエステルより製造された品質、色調の改良された芳香族ポリカーボネートに関するものである。
また本発明のあるものは芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものであり、さらに詳しくはジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応により芳香族ポリカーボネートを製造するにあたり、特定の金属が一定量含まれるステンレス合金からなる反応装置を用いることによって、異物発生が抑えられた芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
また、本発明のあるものは芳香族ポリカーボネートを製造する装置に関するものであり、詳しくは特定の酸化皮膜を有する装置に関するものである。本発明で開示している装置は溶融エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造するのに好ましく、ポリマー中の微小異物に代表される異物が低減された芳香族ポリカーボネートを製造するのに適している。
なお、本明細書および請求の範囲の記載において、「芳香族ジヒドロキシ化合物」は芳香族ジオール化合物という場合があり、「触媒失活剤」を「触媒不活性化剤」という場合があり、「末端封止剤」を「末端封鎖剤」という場合がある。
また「異物」とは、架橋分子構造に由来する「ゲル」のほかにポリマー劣化物に代表される黒色異物や芳香族ポリカーボネートの微結晶、外部由来のごみ、チリ、砂等から構成されるものである。特にゲル状の異物は「ゲル」、「ゲル異物」とも称する。また「微小異物」という場合は「異物」の中でもより小さいもの、具体的には10μ以下のものを主に意味する。
背景技術
芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性など機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性などにも優れており、成形材料として広く用いられている。このような芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、ビスフェノールなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを直接反応させる方法(界面法)、あるいはビスフェノールなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニールカーボネートなどの炭酸ジエステルとをエステル交換反応(溶融法)させる方法が知られている。
このような製造方法のうち、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応によって芳香族ポリカーボネートを製造する方法は、有害なホスゲンやメチレンクロライドを使用しないため、環境に優しい方法であり、また、コスト的にも界面法を凌駕する可能性が指摘され注目されている。
しかしながら溶融法て得られる芳香族ポリカーボネートの品質は、その厳しい反応条件等により色調の悪化など品質的に優れたものは得られにくく、特に近年、DVD、CD、MO等を始めとする各種の光学情報記録媒体用基板用途において使用される芳香族ポリカーボネートでは、熱安定性の不足による着色および熱変性によるゲル化は直接的に最終製品のブロックエラーレートなどの光学特性および引張り、曲げ、靭性などの機械特性に影響を及ぼすため、芳香族ポリカーボネートのさらなる色調の向上、熱安定性の向上が要求されている。
また、芳香族ポリカーボネートの原料として使用される炭酸ジエステルとしてはジフェニルカーボネートが好ましく使用されるが、ジフェニルカーボネートは、従来は酸捕集剤の存在下、好ましくは塩基性触媒を使用して、ホスゲンとフェノールとを反応させ製造されていた。
該方法で製造されたジフェニルカーボネートは、通常使用原料ホスゲンあるいは中間体クロロホーメートに由来する塩素化合物を含有しているが、該塩素化合物がポリマー色調に悪影響を及ぼすため、該塩素化合物に注目し該塩素化合物を減少させるため各種精製法が提案されている。
例えば特公昭38−18686号公報;アミン等塩基性触媒を使用するジフェニルカーボネートの製造法、特公昭41−10812号公報;界面活性剤によるクロロホーメイトの除去、プラスチック材料講座(17)ポリカーボネート、4〜47ページ、日刊工業新聞社等に各種精製法が提案されている。しかしながらかかる方法で製造または精製されたジフェニルカーボネートは、触媒として使用された含窒素化物を、不純物として通常含有する。
又最近ホスゲンを使用しない方法として第8族貴金属触媒の存在下、フェノールと一酸化炭素より直接ジフェニルカーボネートを製造する方法が注目を浴びている。
該方法においても、例えば特開平7−188,116号公報(バイエル社)には、触媒系の必須成分としての第4級アンモニウム塩が記載されており、かかる方法で製造されたジフェニルカーボネートは、触媒として使用された含窒素化物を、不純物として通常含有するという問題がある。
装置材質に関しては次のような問題があった。
すなわち、近年、光ディスクなどに用いられる芳香族ポリカーボネートは、その記録密度の向上に伴い、よりエラーレートの少ない材料が求められており、これらの要求を満たす芳香族ポリカーボネートとしてはエラーレートの発生原因の一つである微小異物に代表される異物が低減されたポリマーが要求されている。
これについて、エステル交換法による芳香族ポリカーボネートの製造方法としては従来から様々な検討がなされている。たとえば特開平9−241370号公報においては接液部の表面に存在するFeOOH、CrOOH、NiOOH成分が実質的に存在しない材質を用いる事によって色調が良好で、高分子量の芳香族ポリカーボネートを製造できる方法を開示している。
特開平8−277327号公報においては、接液部のステンレスを加熱処理することにより色調が良好で、高分子量の芳香族ポリカーボネートを製造できる方法を開示している。また特公平8−5957号公報においては反応混合液と接触する部分の材質が、銅および/またはニッケルの含有量が85重量%以上である金属または合金からなる材質の反応装置で行う事により、色相が良好な芳香族ポリカーボネートを製造する方法が開示されている。
特開平6−345860号公報においては、反応混合物と接触する材質が第1重合工程では鉄含量が20%以下であり、第2重合工程では鉄含量が20%以上の材質を用いることにより耐熱性、耐加水分解性、色相、耐衝撃性に優れた高分子量の芳香族ポリカーボネートを製造する方法を開示している。
なお、コストを抑える上で、ポリマー製造装置としては安価で入手しやすいステンレス合金を用いることが好ましい。このステンレス合金を用いて芳香族ポリカーボネートを製造する方法については、装置を前処理する事によってポリマーの品質を向上させることがすでに検討されており、いくつかの公報が開示されている。
たとえば特開平4−7328号公報にはエステル交換法で芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、反応装置の内壁面をバフ研磨したものを用いることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法が開示されている。特開平4−7329号公報にはステンレス製の反応装置を酸洗したものを用いることを特徴とする方法が開示されている。特開平6−200008号公報には反応終了後、反応装置の洗浄を、フェノール系化合物を用いて洗浄処理する方法が開示されている。特開平6−56984号公報にはステンレス鋼製のリアクターを、芳香族ヒドロキシ化合物を含む液で洗浄処理した後、重合する方法が開示されている。
しかしながら、芳香族ポリカーボネートの光ディスク用途にはごみやチリなどの混入物や芳香族ポリカーボネートの微結晶に起因する微小異物、ポリマーが変質した黒色異物などさまざまな異物を低減したグレードが要求されているが、これらの要求に応じたポリマーの製造方法については未解決のままであった。
しかしながらこれらいずれの公報においても、本発明で言う微小異物に代表される異物を低減するということについて何ら検討されていない。
また、この異物が低減された芳香族ポリカーボネートを得るための別の方法としては、たとえば特開平5−239334号公報においては芳香族ヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒の存在下に溶融重縮合させた後、添加剤を添加し混練し、混練後ポリマーフィルターで濾過することによって異物の少ない光学用芳香族ポリカーボネートを製造する方法が記載されている。特開平6−234845号公報には最終反応器より前および出口の各々に少なくとも1基のフィルターを設ける方法が記載されている。
しかしながらこれら方法ではフィルターの濾過精度により特定の大きさの異物を取り除く事はできても、異物の発生そのものを減らす方法としては不充分であり、根本的な解決法にはなっていない。またフィルターの目詰まりを防ぎ、フィルター交換によるプロセスコスト上昇を抑える上でも上記微小異物を含む異物の発生を抑えうる芳香族ポリカーボネート製造プロセスの開発が求められていた。
特開平10−226723号公報においては、重合途中または重合終了後のポリマーを配管を通じて移送して芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、該溶融ポリマーの数平均分子量が2500未満では0.05m/秒以上であり、溶融ポリマーの数平均分子量が2500以上では0.005m/秒以上であることを特徴とする着色が少なく異物も少ない芳香族ポリカーボネートを得る方法が記載されている。しかしいずれも、問題の根本的な解決としてはまだ不充分なままであった。
なお、これらの着色、異物の問題は、例えば光学用途から見れば全てブロックエラーレート等の共通の特性として対応が必要なものであるため、光学用品の原料である芳香族ポリカーボネートからの総合的対策を要求する声が強くなってきているものである。
そこでこのような問題の解決のために様々な検討が試されてきた。
発明の開示
上記の過程で溶融法に使用する2種類の原料である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのモルバランスを厳密に管理することが一つの有効な方法であることが明らかにされた。しかし実際にモルバランスを厳密に管理することは困難であり、この実現のために多大な労力を必要としていた。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのモルバランスについていえば、溶融法において厳密に原料のモルバランスを管理することによって優れた品質の芳香族ポリカーボネートを得ることができる原因は、2種類の原料の末端基が関与したエステル交換反応によって重合が進行するため、両者の濃度が一致した場合重合速度が高まり、結果として厳しい重合条件にさらされる時間(熱履歴)が短くなるためと考えられる。
末端基濃度は重合の進行と共に減少し、かつ、重合条件は重合の進行と共により厳しくなるのが一般的であるため、末端基が減少した状態において、なおも適正な末端のモルバランスを維持することが重要であり、このために厳密なモルバランスの管理が求められる。
特に近年、芳香族ポリカーボネートはDVD、MO、CDRなどの高密度、高精度が必要な光学製品に使用されてきており、この場合、芳香族ポリカーボネートの着色や分岐・ゲルは直接的に最終製品のブロックエラーレートなどの光学特性および引張り、曲げ、靱性などの機械特性に大きな影響を及ぼすため、この問題を避けるために原料モルバランス管理の重要性は増大してきている。
一方、原料として便用する芳香族ジヒドロキシ化合物は融点が高く溶融状態における安定性が乏しいものが多いため、粉体によるハンドリングが好ましく使用されるが、粉体の輸送、計量は液体のそれに比較して困難である。
本発明のあるものはこの問題を解決すべく検討の結果生まれたものである。すなわち、この本発明の目的は、上記従来技術の問題点を改善し、品質の憂れた芳香族ポリカーボネートを効率良く得るための製造方法を提供することである。この発明によって、正確な原料モル比調整が行え、よって着色が少なく、目的とする重合度を得ることができ、製品品質に極めて良い結果が得られる。
また、本発明者は色調および熱安定性に優れるエステル交換法芳香族ポリカーボネートの製造方法を見いだすべく鋭意検討したところ、反応混合物中における、エステル交換反応触媒として用いられる含窒素塩基性化合物濃度を特定の範囲として製造された芳香族ポリカーボネートポリマーが優れた色調、熱安定性を有することを見出し、本発明のあるものを完成するに至った。
この発明では、芳香族ポリカーボネートを製造するに際して、特定量のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を触媒とし、さらに含窒素塩基性化合物を触媒とし、特定範囲の粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート製造における反応混合物中に含まれる含窒素塩基性化合物を特定範囲としつつ、さらにエステル交換反応を進めるため、熱変性、色調劣化することがなく色調に優れた芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
触媒用の溶媒に関しては次のような問題があった。すなわち、溶融縮重合反応により芳香族ポリカーボネートを製造する際に、触媒の存在下で重合を行うが、その触媒としては通常アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第4級アンモニウム塩などのアミン類が用いられる。その添加方法としては、重合溜出液と同じモノヒドロキシ化合物に触媒を溶解した溶液、または触媒を分散したスラリー状液とし、重合開始時および重合途中にて添加する方法が用いられている。
その際、通常製造コストの点から、その溶媒として、溶融縮重合反応により芳香族ポリカーボネートを得た後、副生するモノヒドロキシ化合物をリサイクルして用いるが、リサイクルするモノヒドロキシ化合物中には、通常のモノヒドロキシ化合物中には含まれない、重合時に添加した触媒や安定剤などの添加剤に由来する不純物が含まれている。
また、副生したモノヒドロキシ化合物を芳香族ポリカーボネートの溶融縮重合において触媒添加溶媒として用いる際に、不純物を取り除くため、減圧蒸留などで精製を行うが、モノヒドロキシ化合物中の不純物を高度に取り除くためには、多数回精製を繰り返したり、大規模な設備を用いれば可能であると考えられるが、コストや生産性の面から不利であり、精製後もモノヒドロキシ化合物中には不純物が残存しやすく、これを触媒添加溶媒として用いた芳香族ポリカーボネートの製造では、その着色の原因となる。
この問題について鋭意検討を重ねた結果、炭酸ジエステルを原料として、溶融縮重合反応により芳香族ポリカーボネートを製造する際に、副生するモノヒドロキシ化合物をリサイクルして触媒添加溶媒として用い、かつ該触媒添加溶媒は特定量のアニソール、および/または特定量のトリメチルアミンを含有することが、色相の優れた芳香族ポリカーボネートの製造に有効なことを見出し、本発明のあるものを完成させた。
この発明により、炭酸ジエステルを原料として、溶融縮重合反応により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、該溶融縮重合反応により副生するモノヒドロキシ化合物をリサイクルして触媒添加溶媒として用い、かつ該触媒添加溶媒は特定量のアニソール、および特定量のトリメチルアミンを含有することにより、色相の優れた芳香族ポリカーボネートの製造法が提供できる。
また、本発明者らは色調に優れた芳香族ポリカーボネートをエステル交換法により製造すべく鋭意検討した結果、特定の不純物の含有量を特定値以下に抑えた炭酸ジエステルを使用する事が有効である事を見出し本発明のあるものを完成するに至った。
この発明により、芳香族ジヒドロキシ化合物とエステル交換させ芳香族ポリカーボネートを製造するのに適した、保存安定性に優れた炭酸ジエステルを提供することができる。また、該炭酸ジエステルにより、品質、色相の良好な芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
また、装置材質に関し、エステル交換法により異物発生が抑制された芳香族ポリカーボネートを工業的規模で製造することのできる製造方法を見出すべく検討をした結果、驚くべきことに反応装置として、特定の金属が一定量含まれるステンレス合金からなる反応装置を用いることによって、異物発生が抑制されることを見出した。
すなわち本発明のあるもの、特定の金属が一定量含まれるステンレス合金からなる反応装置を用いて製造することを特徴とする、異物発生が抑えられた芳香族ポリカーボネートの製造方法を提供するものである。
この発明により、材質がステンレス合金であり、そのステンレス合金の中に含まれるニオブ及び/又はバナジウムの合計含有量が10ppm〜1000ppmである反応装置を用いることによって、異物発生が抑制された芳香族ポリカーボネートを得ることができる。これにより、特に光ディスクなど異物を低減する必要のある用途に有用である芳香族ポリカーボネートを製造することができる。
本発明のあるものは微小異物に代表される異物が低減された高品質の芳香族ポリカーボネートを製造するのに有用な重合装置を提供する事を目的としている。さらに詳しくは、ステンレスなどの一般的な材料においても、反応装置の一部または全部の内壁面に特定の酸化被膜を形成させる事によって、微小異物に代表される異物が低減され、ポリマーフィルターの目詰まりなどの問題もなく、光学用途に好ましく用いられる高品質の芳香族ポリカーボネートを製造するのに有用な反応装置を提供する事を目的としている。
またこの発明のもう一つの目的は、該反応装置を用いる事により、微小異物に代表される異物、とりわけゲル異物が低減され、光学用途に有用な高品質の芳香族ポリカーボネートをエステル交換法で製造する方法を提供することを目的としている。
またこの発明によれば、特定の表面酸化層を有する装置を用いた芳香族ポリカーボネートの製造、とりわけエステル交換方法により芳香族ポリカーボネートを製造する際に上記装置を用いる事によって、微小異物に代表される異物が低減された芳香族ポリカーボネートを製造する事ができる。
この発明の装置および方法により、微小異物に代表される異物の中でも微小ゲル異物をより効果的に低減できるが明らかとなった。
この発明で開示している装置を用いて製造される芳香族ポリカーボネートは、特に光学材料用途に有用であり、光学材料用途でも特に光ディスク用途として好ましく、エラーレートの少ない記録材料用途に好ましく用いられる。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1. 粉体の芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料溶解槽に供給し、混合溶融させた後、触媒の存在/非存在下に溶融重合せしめポリカーボネートを製造する方法において、原料溶解槽の気相部の圧力を0MPa〜0.05MPaに保つことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
2. 粉体の芳香族ジヒドロキシ化合物を原料溶解槽に供給する原料溶解槽の直前の輸送配管中の雰囲気ガスの90体積%以上が非酸化性ガスであり、その線速度が0.5cm/分以上であることを特徴とする上記1記載の製造方法。
3. 原料溶解槽のベント配管がスクラバーに接続されていることを特徴とする上記1または2記載の製造方法。
4. 原料溶解槽のベント配管が70℃以上の温度に保持されたコンデンサーに接続されていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の製造方法。
5. 炭酸ジエステルがジフェニルカーボネートであることを特徴とする上記1〜4記載の製造方法。
6. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを主として含む混合物をアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物および含窒素塩基性化合物を触媒とするエステル交換反応により反応せしめ、芳香族ポリカーボネートを製造するにあたり、反応混合物中の含窒素塩基性化合物の濃度を、反応混合物の粘度平均分子量が500〜3000の間は0.1ppm以上10ppm以下に保ち、かつ反応混合物の粘度平均分子量が3000〜10000の間は0.01ppm以上1ppm以下に保つことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
7. 芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し金属として10-3〜10-8当量のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を用いることを特徴とする上記6に記載の製造方法。
8. 芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し金属として5×10-6〜1×10-8当量のアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を用いることを特徴とする上記6に記載の製造方法。
9. 含窒素塩基性化合物が下記一般式(1)(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基である。)であることを特徴とする上記6〜8のいずれか一つに記載の製造方法。
(R1)4NOH・・・・・・(1)
10. 芳香族ジヒドロキシ化合物が2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンであり、炭酸ジエステルがジフェニルカーボネートであることを特徴とする、上記6〜9のいずれか一つに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
11. 炭酸ジエステルを原料として、溶融縮重合反応により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、該溶融縮重合反応により副生するモノヒドロキシ化合物をリサイクルして触媒添加溶媒として用い、かつ該触媒添加溶媒は1ppm以上1000ppm以下のアニソールを含有することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
12. 炭酸ジエステルを原料として、溶融縮重合反応により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、該溶融縮重合反応により副生するモノヒドロキシ化合物をリサイクルして触媒添加溶媒として用い、かつ該触媒添加溶媒は1ppm以上100ppm以下のトリメチルアミンを含有することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
13. 炭酸ジエステルを原料として、溶融縮重合反応により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、該溶融縮重合反応により副生するモノヒドロキシ化合物をリサイクルして触媒添加溶媒として用い、かつ該触媒添加溶媒は1ppm以上1000ppm以下のアニソール、および1ppm以上100ppm以下のトリメチルアミンを含有することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
14. 該モノヒドロキシ化合物がフェノールである上記11〜13のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法
15. 溶融縮重合法において使用する触媒が第4級アンモニウム塩あるいは第4級ホスホニウム塩および/もしくはアルカリ金属塩、または第4級アンモニウム塩あるいは第4級ホスホニウム塩および/もしくはアルカリ土類金属塩である上記11〜14のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
また、本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをアルカリ金属化合物及び又はアルカリ土類金属化合物を含有する触媒の存在下に加熱溶融しエステル交換させることにより芳香族ポリカーボネートを製造するのに適した、含窒素化合物を窒素原子として5ppm、金属元素を0.5ppm、および有機性不純物を10ppmより多く含有しない保存安定性に優れた炭酸ジエステルにも関する。
さらには本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒の存在下加熱溶融させ、エステル交換反応により芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、特定の不純物の含有量を特定値以下に抑えた炭酸ジエステルを使用することによる、品質、色相の良好な芳香族ポリカーボネートの製造法にも関する。
すなわち本発明のあるものは次の通りである。
16. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをアルカリ金属化合物及び又はアルカリ土類金属化合物を含有する触媒の存在下に加熱溶融しエステル交換させることにより芳香族ポリカーボネートを製造するのに適した、含窒素化合物が窒素原子として5ppm以下、含有する金属元素がそれぞれ0.5ppm以下、および含有するサリチル酸誘導体が10ppm以下であることを特徴とする保存安定性に優れた炭酸ジエステル。
17. 該金属元素について、鉄、スズ、クロム、チタン、銅の合計量が0.5ppm以下である事を特徴とする上記16記載の炭酸ジエステル。
18. 該金属元素について、すべての金属の合計量が0.5ppm以下である事を特徴とする上記16,17のいずれかに記載の炭酸ジエステル。
19. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをアルカリ金属化合物及び又はアルカリ土類金属化合物を含有する触媒の存在下に加熱溶融して、エステル交換させ、芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、炭酸ジエステルとして上記16〜18のいずれかに記載の炭酸ジエステルを使用し、触媒として芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たりアルカリ金属化合物及び又はアルカリ土類金属化合物5.0*10-8〜5.0*10-6当量の触媒および含窒素塩基性化合物1.0*10-5〜5.0*10-4当量使用することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
更に本発明のあるものは次の通りである。
20. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、反応装置の材質がステンレス合金であり、そのステンレス合金の中に含まれるニオブ及び/又はバナジウムの合計含有量が10ppm〜1000ppmであることを特徴とする、異物発生が抑えられた芳香族ポリカーボネートの製造方法。
21. エステル交換反応に用いる触媒がアルカリ金属化合物および/または含窒素塩基性化合物を含み、該アルカリ金属化合物の使用量が芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-8モル〜5×10-6モルであることを特徴とする上記20に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
22. 芳香族ポリカーボネートを製造するのに用いる反応装置の一部または全部の内壁面に酸化鉄を主成分とする酸化層が少なくとも20nm以上形成されていることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造用装置。
23 酸化鉄を主成分とする酸化層がステンレス製合金よりなる材質の内壁面に形成されていることを特徴とする上記22に記載の芳香族ポリカーボネートの製造用装置。
24. 反応装置の一部または全部の内壁面に酸化鉄および酸化クロムを主成分とする酸化層が少なくとも20nm以上形成されている上記22,23のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造用装置。
25. 該芳香族ポリカーボネートが、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とを触媒の存在下、エステル交換法により製造されたものである上記22〜24のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造用装置。
26. 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とを、触媒の存在下エステル交換法により製造する芳香族ポリカーボネートの製造方法において、上記22〜25のいずれかに記載の反応装置を用いて製造することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
27 上記19と、上記6、8または9のいずれか一つとを組合わせてなることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
28 上記27と、上記26および/または20とを組合わせてなることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
29 上記27と、上記1または4のいずれか一つとを組合わせてなることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
30 上記27と上記14を組合わせてなることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
31 上記28と上記14とを組合わせてなることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
32 上記31と、上記1または4のいずれか一つとを組合わせてなることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
33 上記19、6、26、20、11、1の少なくともいずれか二つを組合わせてなることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法であって、上記19と6との組合わせ、上記19と6と26との組合わせ、上記19と6と20との組合わせおよび上記19と6と1との組合わせよりなる芳香族ポリカーボネートの製造方法を除くもの。
なお、「反応混合物の粘度平均分子量が500〜3000の間」または「反応混合物の粘度平均分子量が3000〜10000の間」とは、「反応混合物の粘度平均分子量が、実質的に500〜3000または3000〜10000であるすべての間」を意味するが、連続反応装置において反応混合物を得るために完全混合槽を使用する場合には、当該完全混合槽出口の反応混合物の粘度平均分子量がこの価の範囲内にある場合の当該完全混合槽内の状態がこの条件を満たすものである。
以下本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に係る芳香族ポリカーボネートとしては、各種のものがあるが、特に下記式(2)’で表される芳香族ジヒドロキシ化合物芳香族と、下記式(3)’で表される炭酸ジエステルとを主として含む混合物を含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物等とよりなるエステル交換触媒等の存在下、溶融重縮合させた芳香族ポリカーボネートが望ましい。
上記式(2)’においてnは0〜4、R2、R3は、互いに同一もしくは異なる、ハロゲン原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表わす。R4、R5は、互いに同一もしくは異なる、ハロゲン原子、水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を示す。炭化水素基としてはアルキル基等の炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基あるいはフェニル基等の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基が好ましい。ハロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。R6は炭素数3〜8のアルキレン基である。アルキレン基としてはペンチレン基等が挙げられる。
本願発明に係る芳香族ジヒドロキシ化合物としては例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、p,p’−ジヒドロキシジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
上記式(3)’において、R7、R8、R9、R10は同一また相異なる、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基またはハロゲン基である。
本願発明に係る炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートがあげられるが特に、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネートが望ましい。
本発明で芳香族ポリカーボネートを製造するに際して、上記の炭酸ジエステルは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1.00〜1.20モル、好ましくは1.005〜1.10モル、さらに好ましくは1.01〜1.05の量で用いられる。
さらに、本発明の芳香族ポリカーボネートには必要に応じて、脂肪族ジヒドロキシ化合物(ジオール)として、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,10−デカンジオール等を、ジカルボン酸類として、例えば、コハク酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、シクロヘキサンカルボン酸、テレフタル酸等;オキシ酸類例えば、乳酸、P−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等を含有していても良い。
触媒としてはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素塩基性化合物を使用することができる。
副生するモノヒドロキシ化合物をリサイクルして触媒用の溶媒として使用するときの溶融縮重合法のエステル交換触媒としては、第4級アンモニウム塩あるいは第4級ホスホニウム塩および/もしくはアルカリ金属塩、または第4級アンモニウム塩あるいは第4級ホスホニウム塩および/もしくはアルカリ土類金属塩を用いることが好ましい。
本願発明において、触媒として用いられるアルカリ金属化合物としては、例えばアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホウ素塩、安息香酸塩、リン酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられ、特に、芳香族ジヒドロキシ化合物のナトリウム塩、例えばビスフェノールAのジナトリウム塩または芳香族モノヒドロキシ化合物のナトリウム塩、例えばフェノールのナトリウム塩が好ましく用いられる。
エステル交換触媒としては、アルカリ金属化合物及び又はアルカリ土類金属化合物触媒が性能の点より、もっとも好ましいものであるが、単独で使用する場合、例えば炭酸ジエステルとBPAとのエステル交換反応速度がエステル交換率が50%より小さい時、即ち重合初期の段階において遅く、工業的に実行時問題となる。従って、好ましくはアルカリ(土類)金属化合物触媒と共に後述する含窒素塩基性化合物およびまたは塩基性リン化合物とを併用するのが好ましい。
本願発明に係る触媒としてのアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物は、当該触媒中のアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属化合物が芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当り金属として1×10-3〜1×10-8当量となる量で使用される。好ましくは5×10-6〜1×10-8当量、さらに好ましくは5×10-6〜1×10-7当量となる範囲で使用される。
上記使用範囲を逸脱すると、得られる芳香族ポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、また、エステル交換反応が充分に進行せず高分子量の芳香族ポリカーボネートが得られない等の問題があり好ましくない。特にアルカリ金属化合物及び又はアルカリ土類金属化合物触媒を多量に使用すると、反応後期に重合温度が上昇するとき芳香族ポリカーボネート結合が転移して分解、分岐成分が生成しやすくなる。すなわちかかる分解、分岐成分の量が多い為、界面重合法芳香族ポリカーボネートに比べエステル交換による溶融重合法芳香族ポリカーボネートは流動性及び色調が不良となっている。
溶融重合法芳香族ポリカーボネートの流動性、色調を界面重合法芳香族ポリカーボネートのそれ並にする為には、上記分解、分岐成分量を、繰り返し単位当たり0.2モル%以下にする必要がある。このためにはアルカリ金属化合物及び又はアルカリ土類金属化合物触媒量を芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し5.0*10-6当量未満に抑えることが好ましい。
すなわちアルカリ金属化合物及び又はアルカリ土類金属化合物の使用量の好ましい割合は芳香族ジヒドロキシ化合物1モル当たり5×10-8〜5×10-6当量となる割合である。上記使用範囲を逸脱すると、得られる芳香族ポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、また、エステル交換反応が充分に進行せず高分子量の芳香族ポリカーボネートが得られない等の問題があり好ましくない場合が生じる。
本願発明に係る反応混合物に含まれる含窒素塩基性化合物量を、後述のごとく当該反応混合物の分子量が特定の範囲にある場合に特定値となるようにすると色調および熱安定性に優れた芳香族ポリカーボネートを得ることができるが、上記触媒使用範囲内にあれば、さらに優れた色調および熱安定性が得られるとともに、より高分子量の芳香族ポリカーボネートが容易に得られ、芳香族ポリカーボネートの諸物性も優れたものとなる。
上記式(1)においてR1は炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であるが、このような望ましい化合物の他に、例えばトリエチルアミンのような3級アミンやボレートも使用することができる。
このような触媒としての含窒素塩基性化合物として、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(φ−CH2(Me)3NOH)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラメチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NBH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)などの塩基性塩を挙げることができ、とりわけ、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)が最も好ましく使用される。
第4級ホスホニウム塩の例としては例えばテトラメチルホスホニウムヒドロキシド(Me4POH)、ベンジルトリメチルホスホニウムヒドロキシド(φ−CH2(Me)3POH)、ヘキサデシルトリメチルホスホニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するホスホニウムヒドロオキシド類、、あるいはテトラメチルホスホニウムボロハイドライド(Me4PBH4)、テトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレート(Me4PBPh4)などの塩基性塩を挙げることができる。
上記含窒素塩基性化合物は、含窒素塩基性化合物中の塩基性窒素原子が芳香族ジオール化合物1モル当り1×10-5〜5×10-4当量となる割合で用いるのが好ましい。より好ましい割合は同じ基準に対し2×10-5〜5×10-4当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し5×10-5〜5×10-4当量となる割合である。
なお、本発明者らの検討によれば、品質の優れた芳香族ポリカーボネートをエステル交換法で製造するには、従来重視されていた、上記含窒素塩基性化合物の芳香族ジヒドロキシ化合物に対する使用量(すなわち、添加量)はそれほど重要ではなく、むしろ、反応混合物の粘度平均分子量が500〜3000の間は、反応混合物中における含窒素塩基性化合物の濃度を0.1ppm以上10ppm以下に保ち、さら粘度平均分子量が3000〜10000の間は、反応混合物中における含窒素塩基性化合物の濃度を0.01ppm以上1ppm以下に維持しつつエステル交換反応を進めることが極めて重要であることが明らかとなった。ここで「反応混合物」とは、上記式(2)’で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と、上記式(3)’で表される炭酸ジエステルとを主として含む混合物を、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物とよりなるエステル交換触媒等の存在下、溶融重縮合反応させ、芳香族ポリカーボネートを得る工程における、その重縮合反応を開始しまたは進行しつつある混合物のことを意味し、その重合度がある程度進んだものは、一般的化学用語で言えば「プレポリマー」の状態にあるものであり、さらに進んだものは、一般的化学用語で言えば「ポリマー」の状態にあるものである。
本発明においては所望により、触媒のアルカリ金属化合物として、(a)周期律表第14族の元素のアート錯体のアルカリ金属塩または(b)周期律表第14族の元素のオキソ酸のアルカリ金属塩を用いることができる。ここで周期律表第14族の元素とは、ケイ素、ゲルマニウム、スズのことをいう。
このアルカリ金属化合物を重縮合反応触媒として用いることにより、重縮合反応を迅速かつ十分にすすめることができる利点を有する。また、重縮合反応中に生成する分岐反応のような、好ましくない副反応を低いレベルに抑えることができる。
(a)周期率表第14族元素のアート錯体のアルカリ金属塩としては、特開平7−268091号公報に記載のものをいうが、具体的には、ゲルマニウム(Ge)の化合物;NaGe(OMe)5、NaGe(OEt)3、NaGe(OPr)5、NaGe(OBu)5、NaGe(OPh)5、LiGe(OMe)5、LiGe(OBu)5、LiGe(OPh)5を挙げることができる。
スズ(Sn)の化合物としては、NaSn(OMe)3、NaSn(OMe)2(OEt)、NaSn(OPr)3、NaSn(O−n−C6H13)3、NaSn(OMe)5、NaSn(OEt)5、NaSn(OBu)5、NaSn(O−n−C12H25)5、NaSn(OEt)、NaSn(OPh)5、NaSnBu2(OMe)3を挙げることができる。
また(b)周期律表第14族元素のオキソ酸のアルカリ金属塩としては、例えばケイ酸(silicic acid)のアルカリ金属塩、スズ酸(stanic acid)のアルカリ金属塩、ゲルマニウム(II)酸(germanous acid)のアルカリ金属塩、ゲルマニウム(IV)酸(germanicacid)のアルカリ金属塩を好ましいものとして挙げることができる。
ケイ酸のアルカリ金属塩は、例えばモノケイ酸(monosilicic acid)またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例としては、オルトケイ酸モノナトリウム、オルトケイ酸ジナトリウム、オルトケイ酸トリナトリウム、オルトケイ酸テトラナトリウムを挙げることができる。
スズ酸のアルカリ金属塩は、例えばモノスズ酸(monostanic acid)またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例としてはモノスズ酸ジナトリウム塩(Na2SnO3・CH2O、x=0〜5)、モノスズ酸テトラナトリウム塩(Na4SnO4)を挙げることができる。
ゲルマニウム(II)酸(germanous acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲルマニウム酸またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例としてはゲルマニウム酸モノナトリウム塩(NaHGeO2)を挙げることができる。
ゲルマニウム(IV)酸(germanic acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲルマニウム(IV)酸またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例としてはオルトゲルマニウム酸モノリチウム酸(LiH3GeO4)オルトゲルマニウム酸ジナトリウム塩、オルトゲルマニウム酸テトラナトリウム塩、ジゲルマニウム酸ジナトリウム塩(Na2Ge2O5)、テトラゲルマニウム酸ジナトリウム塩(Na2Ge4O9)、ペンタゲルマニウム酸ジナトリウム塩(Na2Ge5O11)を挙げることができる。
上記の如き重縮合反応触媒は、触媒中のアルカリ金属元素が芳香族ジオール化合物1モル当り1×10-8〜5×10-5当量となる場合で好ましく使用される。より好ましい割合は同じ基準に対し5×10-7〜1×10-5当量となる割合である。
本発明の重縮合反応には、上記触媒と一緒に、必要により、周期律表第14族元素のオキソ酸および同元素の酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の助触媒を共存させることができる。
これら助触媒を特定の割合で用いることにより、末端の封鎖反応、重縮合反応速度を損なうことなく、重縮合反応中に生成し易い分岐反応や、成形加工時における装置内での異物の生成、やけといった好ましくない副反応をより効果的に抑制することができる。
周期律表第14族元素のオキソ酸としては、例えばケイ酸、スズ酸、ゲルマニウム酸を挙げることができる。
周期律表第14族元素の酸化物としては、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、一酸化スズ、二酸化スズ、一酸化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウムおよびこれらの縮合体を挙げることができる。
助触媒は重縮合反応触媒中のアルカリ金属元素1モル(原子)当り、助触媒中の周期律表第14族の金属元素が50モル(原子)以下となる割合で存在せしめるのが好ましい。同金属元素が50モル(原子)を超える割合で助触媒を用いると、重縮合反応速度が遅くなり好ましくない。
助触媒は、重縮合反応触媒のアルカリ金属元素1モル(原子)当り、助触媒の周期律表第14族の金属元素が0.1〜30モル(原子)となる割合で存在せしめるのがさらに好ましい。
これらの触媒系は、重縮合反応に用いることにより重縮合反応および末端封止反応を迅速かつ十分に進めることができる利点を有する。また重縮合反応系中に生成する分岐反応のような好ましくない副反応を低いレベルに抑えることができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを主として含む混合物を加熱溶融下反応させて芳香族ポリカーボネートを製造するにあたり、エステル交換反応を行うに際して、不活性ガス雰囲気下で芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを主として含む混合物を加熱および撹拌し生ずる溶融混合物(反応混合物)に前述の触媒を添加し、エステル交換反応を開始させるのが一般的である。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換させる温度および圧力は特に制限が無く、反応が開始し、かつ、反応で生成したモノヒドロキシ化合物が反応系外に速やかに除去される温度および圧力であれば如何なる条件でも良いが、一般的には反応温度は通常120〜350℃であり、重合の進行と共に反応温度を高めることが一般に実施される。また、反応系の圧力は、常圧または加圧の場合もありうるが、系を減圧にして行われることが多く、また、これらの条件にさらに、大量〜少量の不活性ガスを流通させることを組合わせて生成するフェノールの留出を容易にさせ反応を進めることが一般に実施される。
具体的には、150℃〜200℃の温度および300Torr〜100Torrの圧力で反応を開始した後、反応の進行に伴う芳香族ポリカーボネートの分子量の増大に従って反応温度を高め、反応圧力を低下させ、最終的には270〜350℃の温度および1Torr以下の圧力で反応を実施することが多い。
本発明を実施するのに使用される装置形式は特に制限が無く、通常知られている竪型撹拌槽や横形撹拌槽やルーダー等が使用できる。
さらに詳しくは、反応を回分式で実施する場合は2基の竪型撹拌槽を用い、精留塔を付設した第1撹拌槽に芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを前記モル比で仕込み、不活性ガスで置換した後、加熱溶融させ、これに前記重合触媒を所定量添加した後、系を真空に引きつつ加熱し、初期の重合を行わせた後、精留塔を持たない第2の撹拌槽に反応液を移送し系をさらに高真空とし、かつ温度も高めて所定の重合度となるまで重合を継続させることが一般である。この時、含窒素塩基性化合物の反応系内濃度を本発明範囲に維持するために、例えば、第1撹拌槽における反応の途中や第2撹拌槽への移送の過程で適当量の含窒素塩基性化合物を追加して反応させることができる。
反応を連続式で実施する場合は複数の撹拌槽を用い、この内、反応物の粘度が低い初期重合槽には精留塔を付設した竪型撹拌槽を用い、反応物の粘度が高まり副生する芳香族モノヒドロキシ化合物の除去が難しくなる後期重合槽には横形撹拌槽や、2軸ルーダーを使用し、これらを直列に設置し、連続的に溶融した原料と触媒とを第1重合槽に送り込むと共に最終重合槽から連続的に所定重合度の芳香族ポリカーボネートを抜き出すことが一般に実施される。この時、含窒素塩基性化合物の反応系内濃度を本発明範囲に維持するために、例えば、第1撹拌槽を初めとする個々の重合槽に適当量の含窒素塩基性化合物を追加して反応させることができる。
また、含窒素塩基性化合物の反応系内濃度を本発明の範囲に維持する為には、反応に使用する炭酸ジエステルやジヒドロキシ化合物と言った原料中に存在する窒素を含む不純物濃度を厳密に管理する必要があり、好ましくは原料中の含窒素化合物の濃度を5ppm以下、更に好ましくは4ppm以下とする。この様な含窒素化合物含有量の少ない原料を使用する事によって、触媒として使用した含窒素塩基性化合物の反応系内濃度を正確に把握・管理する事が可能になる。
このような設備においては、原料である炭酸ジエステルおよび芳香族ジヒドロキシ化合物の混合モル比率を一定範囲内に管理することが極めて重要である。
本発明において、使用する芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの割合は、炭酸ジエステルを若干過剰に用いることが好ましい。これは炭酸ジエステルの沸点が、芳香族ジヒドロキシ化合物の沸点より低く揮発しやすいため、精留塔を有する反応器を使用して初期の重合を実施した場合においても、系外に留出する炭酸ジエステルの割合が芳香族ジヒドロキシ化合物よりも多くなるためである。すなわち、本発明においては、使用する設備の性能にもよるが、一般には炭酸ジエステルの芳香族ジヒドロキシ化合物に対するモル比率を、1.005〜1.2:1とすることが好ましく、より好ましくは、1.005〜1.05:1が使用される。
本発明において、得ようとする芳香族ポリカーボネートの末端OH基量に応じて、上記のモル比の範囲で原料モルバランスが設定されるが、その管理精度は設定値の5%以内、好ましくは1%以内、更に好ましくは0.5%以内とすることが大切である。このようにすることで目的とした末端基量を有する芳香族ポリカーボネートを良好な品質で安定に得ることができる。
本発明者らの検討によると、これらの目標を達成するためには通常使用される高精度な計量システムを用いるだけでは不十分であることを見出した。
融液の熱安定性に優れる炭酸ジエステルは多くの場合、液状で計量が実施され、例えば、高精度の流量計を用いた使用量の管理が用いられるが、熱安定性に劣る芳香族ジヒドロキシ化合物の計量は粉体の状態で実施される場合が多く、例えば、周囲から重量を絶縁された計量槽に粉体のジヒドロキシ化合物を受け入れ、これをスクリューフィーダーなどを使用して払い出しつつその重量をロードセルなどで計量することによって実施される。
これらの計量システムはそれ自体では誤差0.5%以内の充分な計量精度を有することが知られている。
しかしながら、このような高精度な計量設備を使用しても、上記の厳密なモルバランスを実現するには何れか一方の原料を追加投入するなど多大な労力を要することが判明した。
本発明者らは、この問題を解決するために鋭意検討した結果、原料溶解槽の気相部の圧力を好ましくは0MPa〜0.05MPa、より好ましくは0MPa〜0.01MPaに保つことが重要であり、かくすることで、モルバランスの管理精度が飛躍的に向上することが解った。なお、本願明細書において原料溶解槽の気相部の圧力をMPaで表わした場合の圧力はいわゆるゲージ圧と呼ばれるもので、通常の大気圧を0MPaとするものである。
上記原因は定かではないが、粉体計量槽から原料溶解槽への原料の送りが円滑となり、また、望ましくない配管内の粉体の付着・閉塞が減少することから、原料溶解槽で発生した蒸発物の、粉体計量槽、あるいは粉体計量槽から原料溶解槽へ原料を送る配管内への進入が抑制されるためと考えられる。
本発明において、原料溶解槽に供給する原料溶解槽の直前の輸送配管中の雰囲気ガスの90体積%以上が非酸化性ガスであり、その線速度が0.5cm/分以上であることも計量精度を高める上で有効であることが判明した。ここで、「非酸化性ガス」とは、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステルを酸化させ着色を起こさせるようなことの無いガスを意味し、具体的には、例えば、窒素、周期表第18属のアルゴン等の不活性ガス、炭酸ガスがあげられる。
また、原料溶解槽のベント配管系の途中にスクラバーおよび/またはコンデンサーを用いることが、おそらく配管中への付着の減少によるものと思われる理由により、原料溶解槽の気相部の圧力を一定の範囲内に収め、その結果計量精度を高めることに有効であることが見出された。その結果、原料モルバランスを容易に、安定に、精度良く管理することが可能となり、溶融重合法で得られる芳香族ポリカーボネートの品質を大幅に向上させ、かつ安定させることに成功した。
このような輸送配管やベントにおける微妙な技術的要素が、芳香族ポリカーボネート製造の品質に多大な影響を及ぼすことは従来まったく知られていなかった予想外のことである
本発明において原料溶解槽とは、一定の混合モル比に調整された、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、120〜150℃に加温することで完全溶融させる設備で、攪拌装置とポンプを備えている。
その攪拌装置は、原料を完全溶融し、かつ均一にするための機能を有するものであり、原料溶解槽に一定以上の原料が存する場合に起動される。また、ポンプは、原料溶解槽の底部に繋がれた配管に接続され、必要に応じ自己循環ラインを有しており、原料貯蔵槽、あるいは直接溶融重合槽へ繋がれている。
本発明においてスクラバーとは、スクラビング液を循環させて、発生する蒸気等を吸収する一般的な補集システムであって、例えば縦型の槽で、縦方向のほぼ中央部に原料溶解槽の天井部より延びたベント配管が接続されており、該槽の上部には蒸気を吸収した後のガスを排出するための排気管が設置されている。この排気管は、直接大気に開放されていても良く、他の設備のベント配管が集合しているメインベント配管へ接続されていても良い。
スクラビング液としては、特に限定はないが、芳香族ジヒドロキシ化合物あるいは炭酸ジエステルを溶解または分解吸収できる揮発性の低い溶媒や、温度的に蒸気を冷却固化できる低温の液体が使用され、例えば水、水酸化ナトリウム水溶液、トリエチレングリコール等が使用できる。
このようなスクラビング液をスクラバー内に噴霧供給することにより、原料溶解槽のベント配管によって導かれた蒸気を含むガスをスクラビング液と充分に接触させ、ガス中の芳香族ジヒドロキシ化合物あるいは炭酸ジエステル蒸気を捕集する。
また、該スクラビング液は、溶媒中の芳香族ジヒドロキシ化合物あるいは炭酸ジエステル濃度が一定以上になれば、全量、あるいはその一部を抜き取り、新たなスクラビング液を加えることにより連続的に運転することができる。
本発明においてベント配管とは、例えば粉体計量槽から原料溶解槽へ原料を送る場合に発生する原料溶解槽内の気相部の圧力を速やかに原料溶解槽外へ逃がすための配管である。
該配管は、原料溶解槽から本発明のスクラバーおよび/またはコンデンサーに至るまでの間では、この間において芳香族ジヒドロキシ化合物、あるいは炭酸ジエステルを凝縮・結晶化させないために、120℃以上の温度に加温することが好ましい。
本発明においてコンデンサーとしては、一般的に使われている凝縮器が好ましく使用され、例えば二重管、多管式凝縮器を挙げることができる。この場合においても、原料溶解槽とコンデンサーとを接続するベント配管は120℃以上に加熱して芳香族ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステルの析出を防止することが好ましい。また、コンデンサーの後にスクラバーを取り付けることもできる。
コンデンサーの出側は直接大気に開放されていても良く、他の設備のベント配管が集合しているメインベント配管に接続されていても良い。
コンデンサー内部の温度は70℃以上が好ましく、より好ましくは70℃〜100℃である。ここでは、溶解槽からくるガスが、該コンデンサー内部で冷却され、該ガス中の芳香族ジヒドロキシ化合物、あるいは炭酸ジエステルが凝縮して、再び原料溶解槽へ戻される。
なお、コンデンサーの内側には熱交換効率を高めるために、放冷板を設けてもよい。
含窒素塩基性化合物に関しては、エステル交換反応を進める過程において含窒素塩基性化合物の使用量(添加量)が重要であることは一般的な意味では知られている。
しかし、従来知られていた初期の含窒素塩基性化合物の添加量、換言すると芳香族ジヒドロキシ化合物に対する含窒素塩基性化合物の使用量、を特定の範囲に維持するだけでは品質の優れる芳香族ポリカーボネートを、再現性良く製造することができない場合があることが判明した。
この原因につき詳細に検討した結果、本発明者らは以下のことが生じていることをつきとめた。
すなわち、含窒素塩基性化合物はエステル交換反応を活性化させるものの、その物自体の反応系内における耐熱性が低く、容易に熱分解したり、エステル交換反応で生成したモノヒドロキシ化合物と反応し、トリアルキルアミンまたはトリアリールアミンおよびアルキルフェニルエーテルまたはアリールフェニルエーテルおよび水等に分解して反応混合物中の有効濃度が速やかに減少する。さらに、トリアルキルアミンのように、使用される含窒素塩基性化合物自体の揮発性が大きいために反応混合物中の有効濃度が速やかに減少する場合もある。このように、この減少速度は反応に使用する炭酸ジエステルの種類や、反応温度、反応圧力に大きく影響されることが解った。
これらのことから、エステル交換反応に有効に寄与する含窒素塩基性化合物の濃度は反応条件によって様々に変化し、これが、含窒素塩基性化合物の初期使用量を規定する従来の方法では良好な品質の芳香族ポリカーボネートを再現性良く得ることのできない原因であると考えられた。
そこで、種々の検討を重ねた結果、反応混合物の粘度平均分子量が500〜3000の間は含窒素塩基性化合物の濃度を0.1ppm〜10ppmに保ってエステル交換反応を進め、さらに好ましくは、0.5ppm〜5ppmに保ってエステル交換反応を進め、反応混合物の粘度平均分子量が3000〜10000の間は含窒素塩基性化合物の濃度を0.01ppm〜1ppmに保つこと、さらに好ましくは0.05ppm〜1ppmに保つこと、が、生成する芳香族ポリカーボネートに優れた色調と熱安定性を与えるために極めて重要であることを見出した。
反応混合物の粘度平均分子量が500〜3000の間の反応混合物中の含窒素塩基性化合物の濃度が10ppmを越えると生成する芳香族ポリカーボネートに優れた色調と熱安定性を与えることができなくなり、反応混合物の粘度平均分子量が500〜3000の間の反応混合物中の含窒素塩基性化合物の濃度が0.1ppmを下回ると、エステル交換反応が進行しにくくなり滞留時間の上昇による熱履歴の増大による色調悪化等の問題が生ずるため好ましくない。
また、反応混合物の粘度平均分子量が3000〜10000の間は反応混合物中の含窒素塩基性化合物の濃度が1ppmを越えると、粘度平均分子量を10000以上にエステル交換反応を進める際、芳香族ポリカーボネートの劣化が顕著となり色調悪化等の悪影響を及ぼすため好ましくなく、反応混合物中の含窒素塩基性化合物の濃度が0.01ppmを下回ると、エステル交換反応が進行しにくくなり滞留時間の上昇による熱履歴の増大による色調悪化等の問題が生ずるため好ましくない。
このような特定の粘度平均分子量において含有する含窒素塩基性化合物量を特定範囲とするには、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを主として含む混合物に加える含窒素塩基性化合物量の増減、エステル交換反応を進めるに必要な熱量の増減、副生するフェノール系化合物の溜出を容易にする系内の真空度の増減、滞留時間の増減等で達成することができ、これらのうち一つかまたは2つ以上を組み合わせることで達成することもできる。また、含窒素塩基性化合物を重合の進行に伴って数次に分けて供給することにより、反応系内の含窒素塩基性化合物の反応系内濃度を維持することもできる。
炭酸ジエステルを原料として、溶融縮重合反応により芳香族ポリカーボネートを得る反応において副生するモノヒドロキシ化合物に関しては、通常のモノヒドロキシ化合物中には含まれない、重合時に添加した触媒や安定剤などの添加剤に由来する不純物が含まれている。その不純物としては、トリメチルアミン、アニソール、オルトクレゾール、パラクレゾール、2−メチルベンゾフラン、ヒドロキシアセトン、アセトフェノンなどの有機化合物や様々な金属塩等が挙げられるが、いまだ、解明されていない部分も多い。
その中で、副生モノヒドロキシ化合物をリサイクルして、触媒添加溶媒として用い、かつそのモノヒドロキシ化合物中に含まれるアニソールが1ppm以上1000ppm以下、またはトリメチルアミンが1ppm以上100ppm以下であると、色相の優れた芳香族ポリカーボネートの製造に有効であることを見出した。
さらには副生モノヒドロキシ化合物をリサイクルして、触媒添加溶媒として用い、かつそのモノヒドロキシ化合物中に含まれるアニソールが1ppm以上1000ppm以下であり、かつトリメチルアミンが1ppm以上100ppm以下であることが、色相の優れた芳香族ポリカーボネートの製造にさらに好ましいことを見出した。
その機構は、明らかではないが、触媒添加溶媒として用いるモノヒドロキシ化合物中にアニソール、および/またはトリメチルアミンを含有することで、モノヒドロキシ化合物に触媒を添加した状態で、モノヒドロキシ化合物に生じやすい劣化が抑えられ、モノヒドロキシ化合物が安定化し、得られる芳香族ポリカーボネートの色相が向上するものと推定される。
また触媒添加溶媒として用いるリサイクルしたモノヒドロキシ化合物中に含まれるアニソールが1000ppm、またはトリメチルアミンが100ppmを超えると、得られる芳香族ポリカーボネートの色相は低下し好ましくない。その機構は明らかではないが、1000ppmを超えるアニソール、または100ppmを超えるトリメチルアミンが触媒添加溶媒中に存在すると重合反応時に、重合の阻害や副反応が生じ、芳香族ポリカーボネートの着色の原因となる不純物を生じるものと推定される。また、アニソール、トリメチルアミンの触媒添加溶媒として用いるリサイクルしたモノヒドロキシ化合物中の含有量がアニソール1ppm以下、およびトリメチルアミンが1ppm以下であるとほとんど効果が見られなかった。
アニソールが1ppm以上1000ppm以下、および/またはトリメチルアミンが1ppm以上100ppm以下のモノヒドロキシ化合物を得るためには、溶融縮重合により芳香族ポリカーボネートを製造する際に副生するモノヒドロキシ化合物を回収した後、精製を行っても行わなくても良い。
溶融縮重合により芳香族ポリカーボネートを製造する際に副生するモノヒドロキシ化合物を精製する方法としては、通常良く用いられる方法に従えばよく、減圧蒸留法が好ましいものとして挙げられる。
モノヒドロキシ化合物としては、具体的にはフェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール、ナフチルアルコール、ビフェニルアルコール等が挙げられ、フェノールが好ましく用いられる。
触媒添加溶媒として用いるモノヒドロキシ化合物中にはアニソールおよびトリメチルアミン以外の上述した不純物等については実質的にほとんど含まない事が望ましく、また、酸化劣化を引き起こす酸素の濃度も100ppm以下であることが望ましい。
炭酸ジエステル中に含まれるかかる各種由来元に基づく含窒素化合物に関しては、化学構造の明確な単一化合物ではない。窒素原子として5ppmを超える量の該含窒素化合物が炭酸ジエステル中に含有されていると、該炭酸ジエステルは製造直後は良好な色調(溶融ハーゼンで測定して)を有していても、貯蔵中、あるいは保管中に次第に着色し、一部が芳香族ポリカーボネート製造原料としては不適なものになる。
即ち複数の炭酸ジエステルサンプルの耐候性(ハーゼン値;試料を、空気中、室内で直射光を遮り冷暗所に長期間保管し、JIS K−4101に示される色数試験方法に基付き、平底パイレックス比色管を用い溶融状態で保持後、ハーゼン標準比色液と比較)を測定するとサンプル中に極端にハーゼン値が大となり不良化したサンプル、例えばハーゼン値が20を超えたサンプルが存在するようになる。ハーゼン値が20を超えたサンプルが存在した炭酸ジエステルを使用した場合、得られる芳香族ポリカーボネートの色相、透明性が不良となる。つまり窒素含量が5ppmを超える原料炭酸ジエステルを使用して製造された芳香族ポリカーボネートの色調は、当然ながら界面重合法により得られた芳香族ポリカーボネートのそれに比し不良である。
即ち該炭酸ジエステルを使用して溶融重合法で製造した芳香族ポリカーボネートについて、少なくとも界面重合法で製造された芳香族ポリカーボネートに比べ安定的に遜色のない色相のものを得る為には窒素含有量は5ppm以下に抑える必要がある。さらには窒素含有量は4ppmに抑えておくことが好ましい。
5ppmを超える含窒素化合物が炭酸ジエステル中に存在すると、該化合物自体が、炭酸ジエステルの着色の原因になる場合もあるし、又炭酸ジエステル中に含有される他の不純物と相互作用して炭酸ジエステルおよびポリマー製造時に芳香族ポリカーボネートの着色を起こす場合がある。
また多量の金属元素が存在する炭酸ジエステルを使用して溶融重合法により芳香族ポリカーボネートを製造すると、芳香族ポリカーボネートに着色が起こることは当業者にとって周知の事実である。
かかる金属元素混入原因は種々ある。たとえば炭酸ジエステルを製造した反応装置の材質が溶解混入した場合、あるいは炭酸ジエステル製造時の触媒等々が挙げられる。
本発明者らは炭酸ジエステルおよび芳香族ポリカーボネートの着色および透明性低下白濁等が、炭酸ジエステル中に金属元素成分と含窒素化合物が共存したときにとりわけ激しくなることを見出した。上記のごとき悪化を誘発する金属元素として鉄、スズ、クロム、チタン、銅元素がとりわけ悪影響を及ぼすものとして挙げられる。
これらの金属元素と5ppm以上の不純物含窒素化合物とが存在するとき、金属元素と含窒素化合物との相互作用が起こり、着色の程度およびとりわけ着色のバラツキの大きさが顕著になる。金属元素が1ppmを超えて存在するとき、着色およびとりわけ着色のバラツキがより一層顕著に起こり、得られる芳香族ポリカーボネートのなかには商品とはなり難くなる物が混入するようになる。
かかる各金属元素はそれぞれ0.5ppm以下、より好ましくは0.3ppm以下、さらに好ましくは0.1ppm以下に抑えておくことが必要である。
さらには該金属元素について、鉄、スズ、クロム、チタン、銅の合計量を0.5ppm以下、より好ましくは0.3ppm以下、さらに好ましくは0.1ppm以下に抑えておくことが好ましい。
さらには該金属元素について、すべての金属の合計量を0.5ppm以下、より好ましくは0.3ppm以下、さらに好ましくは0.1ppm以下に抑えておくことが好ましい。
これら金属元素のほか炭酸ジエステル中のサリチル酸誘導体も着色、および着色のバラツキの原因となる。サリチル酸誘導体は、着色および着色のバラツキを誘起するが、とりわけ窒素化合物および金属元素成分と共存するとき激しく悪影響を及ぼす。これらサリチル酸誘導体の具体例としてはサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸フェニルが挙げられる。
該サリチル酸誘導体は、通常の炭酸ジエステル中には有意義な量(例えば1ppm)で検出されることは少ないが、たとえ微量であっても上記窒素化合物が共存すると、さらには上記金属元素が共存すると、炭酸ジエステルの品質に対しより悪影響を及ぼす。
かかる悪影響を抑えるため、サリチル酸誘導体の含有量を10ppm以下に抑えておくことが必要である。より好ましくは5ppm以下である。
原料炭酸ジエステルとしては従来公知の方法で得られた炭酸ジエステルでよく、特に製造法により限定されるものではない。
本発明の不純物含有量を特定値以下に抑えた炭酸ジエステルを得る為の精製は、従来公知の精製法を単に組み合わせたのみでは上記の品質を実現することは困難である。
炭酸ジエステルの精製法として好ましい方法として例えば、上記原料炭酸ジエステルを非極性の溶媒に溶解し1)ハイドロタルサイト処理した後炭酸ジエステル結晶を分離し、次いで溶媒を極性溶媒に変更し、2)強塩基性イオン交換樹脂処理し、3)強酸性イオン交換樹脂処理し、4)活性炭処理し、5)減圧蒸留及び又は再結晶することからなる方法が挙げられる。本精製方法により不純物含有量を特定値以下に抑えた炭酸ジエステルを得ることができる。
本精製法の要点は非極性溶媒中ハイドロタルサイト処理することと極性溶媒中2種のイオン交換樹脂で処理すること及び活性炭処理を行うことにある。
ハイドロタルサイトとは天然及び合成されたものを含む鉱物名であり、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oであらわされる鉱物である。その結晶構造は基本層としてMg(OH)2の一部のMgをAlが置換した構造を有し、中間層としてそのプラス電荷を中和して電気的に中性を保つためマイナスに帯電した層(CO3・4H2O)を有する層状化合物のことである。
天然のハイドロタルサイトとは若干異なるハイドロタルサイト様化合物が共和化学株式会社よりDHT−4A(Mg4.5Al2(OH)13CO3・3H2O)の品番のもとに発売されているがこの物も基本的に同一の作用を有するので、天然のハイドロタルサイト及び合成されたハイドロタルサイト様化合物とをあわせてハイドロタルサイトと以下称する。
ハイドロタルサイトによる炭酸ジエステル原料の処理はバッチ式、連続式あるいはこれらの組み合わせによる変形法も含めて従来一般に公知の固液接触型の反応形式が好ましく使用できる。又以下のイオン交換樹脂による炭酸ジエステルの接触処理も同様の方法により好ましく実施できる。
非極性溶媒としては、炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン、テトラリン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。中でもベンゼン、トルエン、キシレン等の沸点200℃以下の低沸点芳香族炭化水素が好ましい。
極性溶媒としては、アルコール類;例えばメチルアルコール、エチルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等の一価のアルコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等の多価アルコール類、あるいはケトン、エーテル類;例えばアセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル等、その他エステル類;例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等その他アセトニトリル、ニトロメタン等も好ましいものとして挙げられる。
本発明においては、ポリマー製造に用いられる装置としてニオブおよび/またはバナジウムを特定量含むステンレス合金からなるものを用いるのが望ましい。さらに詳しく言えばこれらニオブおよび/またはバナジウムのステンレス中の含有量は10〜1000ppmが好ましく、より好ましくは20〜500ppmである。より限定して言えば、表面から1mm以内のステンレス中に含まれるニオブ及び/又はバナジウムの合計含有量が10ppm〜1000ppmであることが好ましく、より好ましくは20〜500ppmである。1000ppmよりニオブおよび/またはバナジウムの含有量が多いとポリマーの色相に悪影響を及ぼし、また、10ppmより少ないと異物発生を抑える効果が得られ難くなるため好ましくない。
反応装置においてこれらの特定材質を用いる部分は、反応装置を構成する部分であれば特に制限はないが、好ましくは反応釜部に用いるのが効果的であり、モノマーからポリマーにいたる重縮合物やエステル交換により生成するたとえばフェノールのごとき副生成物が直接ふれる部分にこれらの特定材質のものを用いるのが好ましい。蒸留塔では下部の部分や、ポリマー(オリゴマー)が流れる配管部分にこれらの特定材質のものを用いるのが好ましい。
これらのニオブおよび/またはバナジウムのステンレス合金中の存在量は金属の元素分析や、蛍光X線分析などの表面評価法などにより測定することができる。
これらニオブおよび/またはバナジウムを含むステンレス合金については、通常鉄を主成分とし、これにニッケルやクロムを含有させた合金鋼中にニオブおよび/またはバナジウムを含むステンレスであれば特に制限はないが、これらの中では18−8ステンレスとも呼ばれるオーステナイト系ステンレスが好ましい。この具体例としては、たとえばSUS302、SUS304、SUS304L、SUS309S、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS321、SUS347などをあげることができる。これらの中で好ましくはSUS304やSUS316がよい。これらにニオブやバナジウムを含ませるときは、溶融鋼に所定の金属を添加したり、イオンエッチングや蒸着などの方法で添加したりする事ができる。
ここで言う異物とは、その発生原因や生成過程については定かではないが、モノマー〜ポリマーに至る重縮合物や反応により生成する副生成物などが炭化したような黒色異物や、ポリマーが高度に架橋したようなゲル異物のことをいう。その大きさは直径約10μm以上のもので、顕微鏡などの拡大器により観察できる。黒色異物の場合、それを構成する主な元素は炭素であることが多く、エステル交換反応釜の上部に発生することが多い。これは、反応により生成するフェノールのごとき副生成物や飛散したポリマー、オリゴマー、モノマーが熱分解し、異物になっているものと推察される。またゲル異物の場合は、ジクロロメタンに不溶で、紫外線ランプの照射下では状態により白色〜黄色〜褐色に発光して見えるものをいう。これら異物は得られたポリマーをジクロロメタン溶媒などの有機溶剤に溶解したのち、ミリポアフィルターのような濾過膜で濾過することによりその数を調べることができる。
上記のように、ニオブおよび/またはバナジウムを含むステンレスを芳香族ポリカーボネート製造の反応容器に用いることにより、生成する芳香族ポリカーボネート中の異物低減に有効であることがわかった。この原因としてはエステル交換触媒の活性が安定化されるためと思われる。
装置材質に関する問題については、発明者らは上記課題を解決すべく鋭意努力した結果、製造するのに用いる反応装置の一部または全部の内面に特定の酸化被膜を形成させる事によって、微小異物に代表される異物が低減された高品質の芳香族ポリカーボネートを製造できる事を見出し本発明を完成するに至った。以下にその内容を説明する。
本発明において芳香族ポリカーボネートを製造するのに用いられる装置とは、芳香族ポリカーボネート製造の全プロセスに用いられる反応器やそれに接続した配管などのすべてをいい、その形状や大きさ、種類については特に制限はない。
芳香族ポリカーボネートを製造するのに用いる反応装置の一部または全部の内壁面、好ましくは原料、重合中間体、重合終了後のポリマーや、反応により生成する副生物、プロセス中に添加する触媒や安定剤などの各種添加剤と接触する部分に、後で説明する特定の酸化被膜を形成されたものを用いる。
特定の酸化被膜の形成される好ましい部分の具体的な例としては、エステル交換法で重合するときの重合釜や溶融状態のポリマーを運搬する配管、2軸押出し機、ポリマーフィルターやそのジャケットなどが挙げられる。
これらの装置に用いられる金属材料にはとくに制限はなく、いかなる材質を用いても良いが、ステンレスなどの安価で加工性に優れた材質を用いるのが好ましい。ここでいうステンレスとは、鉄、ニッケル、クロムを主成分とする合金のことであり、これらのなかでは18−8ステンレスとも呼ばれるオーステナイト系ステンレスが好ましく用いられる。
この具体例としては、SUS302、SUS304、SUS304L、SUS309、SUS309S、SUS310、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS321、SUS347などをあげることができる。これらの中ではSUS304やSUS316が入手しやすく加工性に優れるなどの点で好ましく用いられる。またハステロイなどの硬質ステンレスなどを用いても本発明の範囲においては特に制限はない。
本発明はこれら材質で形成される装置の内面の一部または全部に特定の酸化被膜を形成させることを特徴としている。ここでいう特定の酸化被膜とは酸化鉄を主成分とするものが少なくとも10nm以上、好ましくは20nm以上の厚さをもつものをいう。
また本発明においては酸化鉄および酸化クロムを主成分とする酸化被膜を少なくとも10nm以上、好ましくは20nm以上形成させる事によってより効果的に微小異物に代表される異物を低減する事ができる。これらの酸化膜は該金属表面のオージェ電子分光法によって測定することができる。
酸化被膜について酸化鉄および酸化クロムを主成分とするとは、全酸化膜について酸化鉄および酸化クロムが50重量%以上存在することをいい、この割合は好ましくは60重量%以上である。また酸化被膜について酸化鉄および酸化クロム以外の成分として含まれても良い成分としてはニッケル、シリコン、カーボンが挙げられ、その割合は特に制限はないが好ましくは30重量%以下である。
上記酸化膜表面を形成せしめる方法としては、公知のいかなる方法も用いることができる。具体的な例を挙げると、鉄を主成分とする材質においては加熱処理をする方法や各種化学薬品と接触させる方法などがあるがこれらの方法には制限されない。ステンレスを用いる場合では焼成により酸化被膜を形成する方法が好ましく、温度としては300℃以上が好ましく、より好ましくは320℃以上がよい。
焼成時間は本発明で言う酸化鉄の酸化膜が10nm以上、好ましくは20nm以上得られれば特に制限はない。焼成するときの酸素、窒素や水蒸気の濃度も目的の酸化被膜を得れれば特に制限はない。化学薬品としては各種酸やそれを含む液体、たとえば硝酸水溶液や6価クロムなどの酸化剤を含む薬品などが具体例として挙げられる。
本発明では上記酸化被膜を装置の全内面に形成させるのが好ましいが、装置の前処理にかかるコストを抑え、効率よく高品質の芳香族ポリカーボネートを得るという点においては、オリゴマーやポリマーなどの反応混合物や反応により生成する副生物(たとえばエステル交換による重合時に生成するフェノールなど)と接触する部分に上記被膜を形成させた装置を用いるのが好ましい。さらにはより重合度が高められたポリマーと接触する部分に上記被膜を形成させた装置を用いるのがより好ましい。
ここでいう芳香族ポリカーボネート中の微小異物に代表される異物とは、外部より侵入するちりやほこりなどではなく、ポリマー製造中に発生する微小異物に代表される異物をその対象としており、本発明で開示している特定の装置を用いる事によってこれを低減せしめるのに効果を発揮する。これらプロセス中に発生する異物にも様々なものがあるが、とりわけ微小ゲル異物を低減せしめるのに上記装置が効果を発揮する。
ここでいう微小ゲル異物とはジクロロメタンに不溶であり、芳香族ポリカーボネートの溶液をフィルターでろ過したとき、フィルター上に残存し、拡大鏡などで観察すると半透明〜透明に見え、340nmに中心スペクトルを有する紫外光をあてると発光するものをいう。さらに詳しくは微小ゲル異物を顕微赤外分光計などで測定すると、芳香族ポリカーボネートに似たスペクトルが得られるものであり、芳香族ポリカーボネートが溶融状態のとき何らかの化学構造変化により分岐構造が形成され、ゲルを形成するものと思われる。
ポリマー中に見られる微小ゲル異物の大きさは千差万別であるが、直径100〜数μm程度のものが多く見られる。これより小さいものはゲルであるかどうかの判断がつきにくい。
分岐構造については完全には解明されてはおらず、また、いくつかの反応が複雑に入り組んでいるものと考えられている。具体的に言うと、たとえばRufesらによるJournal of Applied Polymer Science,volume 52,1549−1558,1994に記載されている分岐構造に類似した構造を形成する事が知られている。
なお、本発明で開示している製造方法においては、たとえば発明者らの出願による特開平10−36497号公報に記載の末端封止剤を用いてポリマーの水酸基末端を封止しても良い。
本発明において末端封止剤を添加する前の、芳香族ポリカーボネートの水酸基末端を全末端に対して反応速度の観点より75〜35モル%、好ましくは70〜40モル%、更に好ましくは60〜40モル%に制御する事が好ましい。かくする事により、最終的に末端水酸基を低い割合に制御でき、ポリマーの改質効果を高める事が出来る。
ここでポリマーの一定量における末端水酸基のモル数は、例えば1H−NMRにより決定出来る。又ポリマーの水酸基末端の割合は、原料である芳香族ジオールと炭酸ジエステルとの仕込み比によっても又コントロールする事が出来る。
前述のごとく、例えば芳香族ジオール化合物としてビスフェノールA(本願明細書では「BPA」ともいう)、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネート(本願明細書では「DPC」ともいう)を使用して芳香族ポリカーボネートを製造するとき芳香族ポリカーボネートの生成反応式は;
で表され、上式で示されるPhOH(フェノール)は、減圧等の操作により系外に除去され、
で表される芳香族ポリカーボネートが生成する事となるが、上式で表される芳香族ポリカーボネート分子の片末端は芳香族性水酸基を有している。芳香族性水酸基末端が生成する芳香族ポリカーボネートの短期、長期の安定性に対して好ましくない事は公知である。例えば特開昭61−87724号公報、特開昭61−87725号公報(GE社)には水酸基末端を減少させる事によりポリマー安定性すなわち、老化テスト;250℃温度下15hr後の固有粘度の低下値を減少させうる事が報告されている。しかしながら分子の片方の末端に存在する芳香族性水酸基は前述した式で示したごとく溶融重合法芳香族ポリカーボネートの製造では必須の活性点である。
本発明者らは、芳香族ポリカーボネート製造中は本来必要な水酸基末端を必要数維持し、芳香族ポリカーボネートの重合度(固有粘度)が所望の値に達して後芳香族ポリカーボネートの末端水酸基を所望の値にまで減少させる方法を開発した。
すなわち、例えば芳香族ポリカーボネートの固有粘度が少なくとも0.3dl/gに達した後、下記式(2)
(ここで、R1は塩素原子、メトキシカルボニル基またはエトキシカルボニル基であり、そしてR2は炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシル基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数6〜30のアリールオキシ基である。)
で表わされる化合物を添加することにより、末端封鎖された芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
本発明において用いられる上記式(2)で表わされる化合物は、R2の定義によって、カーボネートおよびカルボン酸エステルを包含する。
式(2)において、R1は塩素原子、メトキシカルボニル基(CH3OCO−)またはエトキシカルボニル基(C2H5OCO−)であるが、これらのうち、塩素原子およびメトキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基が特に好ましい。
また、R2は炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基または炭素数6〜30のアリールオキシ基であるが、炭素数1〜30のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であっても、環状であってもよく、また不飽和基を有していてもよい。かかるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−ドデカニル基、n−ラウリル基、n−パルミチル基、ステアリル基などの直鎖状アルキル基;イソプロピル基、t−ブチル基、4−ブチルノニル基などの分岐状アルキル基;アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ドデセニル基、オレイル基、などの不飽和基を持つアルキル基、つまりアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、などのシクロアルキル基などが挙げられる。これらの中では、ポリマーの離型性向上の点から、長鎖アルキル基、具体的には、ラウリル基、ステアリル基、ドデセニル基が特に好ましい。
また、炭素数1〜30のアルコキシル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であってもよく、また不飽和基を有していてもよい。かかるアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デカニルオキシ基、n−ラウリルオキシ基、n−パルミチルオキシ基、ステアリルオキシ基の如き直鎖状アルコキシル基;iso−プロピル基、t−ブチルオキシ基、4−ブチルノニルオキシ基の如き分岐鎖状アルコキシル基;アリルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基、ヘキセニルオキシ基、ドデセニルオキシ基、オレイルオキシ基の如き不飽和基を持つアルコキシ基;シクロペンチルオキシ基、ヘクロヘキシルオキシ基などのシクロアルキルオキシ基などが挙げられる。これらのうち、ポリマーの離型性向上の点から、長鎖アルキル基例えばラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基、ドデセニルオキシ基が特に好ましい。
上記の如き、炭素数1〜30のアルキル基および炭素数1〜30のアルコキシル基は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(O−メトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニル
または(O−エトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニル
で置換されていてもよい。
炭素数6〜30のアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル等を挙げることができる。
また、炭素数6〜30のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ、ナフトキシ、ビフェニルオキシ、アントラニルオキシ等を挙げることができる。
これらの炭素数6〜30のアリール基および炭素数6〜30のアリールオキシ基はメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(O−メトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニル、(O−エトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニル、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシルで置換されていてもよい。炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜30のアルコキシルとしては前記した例示基と同じものをここでも挙げることができる。
上記式(2)で表わされる化合物は、R2の定義に基づいて、便宜的に、下記式(2)−1
(ここで、R1は塩素原子、メトキシカルボニル基またはエトキシカルボニル基でありそしてR21は炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基であり、炭素数1〜30のアルキル基はメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(O−メトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニルまたは(O−エトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニルで置換されていてもよく、また炭素数6〜30のアリール基はメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(O−メトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニル、(O−エトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニル、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシルで置換されていてもよい。)
で表わされるカーボネート化合物および下記式(2)−2
(ここで、R1は塩素原子、メトキシカルボニル基またはエトキシカルボニル基であり、そしてR22は炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基であり、炭素数1〜30のアルキル基および炭素数1〜30のアルコキシル基はメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(O−メトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニルまたは(O−エトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニルで置換されていてもよく、また炭素数6〜30のアリール基および炭素数6〜30のアリールオキシ基はメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、(O−メトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニル、(O−エトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニル、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシルで置換されていてもよい。)
で表わされるカルボン酸アリールエステルに、分類することができる。
上記式(2)で表わされる化合物としては、とりわけ2−メトキシカルボニルフェニルベンゾエート、4−クミル安息香酸−(2’−メトキシカルボニルフェニル)エステル、2−エトキシカルボニルフェニルベンゾエート、4−(O−メトキシカルボニルフェニル)オキシカルボニル安息香酸(2’−メトキシカルボニルフェニル)エステルが好ましい。
本発明方法では、上記式(2)で表わされる化合物は芳香族ポリカーボネートに添加され、下記反応式
で示されるように、芳香族ポリカーボネートの末端OH(〜OH)と反応して芳香族ポリカーボネート末端を封鎖する。末端封鎖を速かに且つ高収率で実施するためには、生成した2−置換フェノールを留去しつつ行うのが好ましい。
上記式(2)で表わされる化合物は、芳香族ジオールとジフェニルカーボネートとを溶融重縮合せしめて、芳香族ポリカーボネートの固有粘度が少なくとも0.3dl/gに達した後添加される。添加後は、芳香族ポリカーボネートの末端封鎖が速かに進行するので、芳香族ポリカーボネートの固有粘度の変化は0.1dl/gの範囲内であり末端水酸基濃度は0〜30モル%と低い水準におさえる事ができる。
上記式(2)で表わされる化合物は、芳香族ポリカーボネートの末端水酸基1当量当り、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.7〜1.5モル、特に好ましくは0.8〜1.2モルの割合で用いられる。
ポリマー中の末端水酸基濃度は剤添加に先だち、毎回測定確認するのが好ましい。同一重縮合条件で連続して、重縮合を実施する時は先行する重縮合時に於て得られた水酸基濃度を便宜上そのまま使用しても良い。
上記末端封止反応を実施するには、触媒が必要であり、該触媒としては重縮合反応に使用する触媒が、そのまま好ましく使用されうる。
特に芳香族ポリカーボネート重縮合が終了した時点で、ポリマーが未だ溶融状態に有る時末端封止反応を実行するのが好ましい。したがって末端封止反応を行なう時点は重縮合終了時点よりスルホン酸系化合物添加前でなくてはならない。又上述した時点であれば好ましく末端封止反応を実施出来る。
芳香族ポリカーボネート重縮合後、スルホン酸系化合物を添加した後でも末端封止反応に使用する触媒を新たに芳香族ポリカーボネート中に添加すれば同様に末端封止しうる事は可能である。
本発明においては、末端を封鎖する前の芳香族ポリカーボネート(プレポリマー)に含まれる、ポリマーと共有結合していない遊離塩素の量を低く、好ましくは50ppm以下、より好ましくは5ppm以下に抑えることが有利である。
これより遊離の塩素の量が多いと、末端封鎖反応に関わる触媒活性が低下し易く、末端の封鎖が迅速かつ十分に達成され難くなるので好ましくない。
また、塩素の量が多いと、得られたポリマーの色相、安定性に悪影響を与えるため、好ましくない。プレポリマー中に含まれる塩素の量を低いレベルに抑制することは、原料中に含まれる塩素の量を低いレベルに抑えることにより達成されうる。
また、本発明においては、末端を封鎖する前の芳香族ポリカーボネートに含まれる鉄の量も低く、1ppm以下、より好ましくは0.7ppm以下に抑えることが有利である。
1ppmよりも鉄の量が多いと、末端改質反応に関わる触媒の活性が低下し易く、末端封鎖が迅速かつ十分に達成され難くなるので好ましくない。また、鉄の量が多いと、得られたポリマーの色相、安定性に悪影響を与えるため、好ましくない。
プレポリマー中に含まれる鉄の量を低いレベルに抑制することは、原料中に含まれる鉄の量を低いレベルに抑え、製造プロセス全般にわたり、鉄の混入を防ぐことにより達成されうる。
末端封鎖剤の添加後は、少なくとも、反応により生成するフェノール類を除去すべく減圧条件が好ましい。具体的には50Torr以下、さらに好ましくは10Torr以下である。通常は0.01〜100Torrの範囲で実施することが好ましい。
末端封鎖剤添加後の反応温度は、通常250〜360℃、好ましくは260〜340℃の範囲であり、この範囲よりも低い温度ではポリマーが溶融せず、この範囲よりも高い温度ではポリマーが分解、着色し、好ましくない。反応時間としては、通常1〜30分、好ましくは1〜20分であり、所望により1〜15分でも可能である。
本発明においては、末端封鎖した後のポリマー中に含まれる残存フェノール類を低いレベルに抑えることができる。
末端封鎖反応後のポリマー中の残存フェノール類の濃度しては、300ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。この濃度よりも残存フェノール類が多いと、分子量の低下や着色がおこりやすく、好ましくない。
末端封鎖剤はポリマーの固有粘度が0.3に到達した以後であれば、一度に所定量をまとめて加えても、数度かに分けて加えてもかまわない。すなわち、末端封鎖剤はポリマーの固有粘度が少なくとも0.3dl/gに到達した後に添加されるのが望ましい。
なお、本発明者の研究によれば、上記式(2)で表わされる化合物の中の特定の化合物を含むある種の化合物は、芳香族ポリカーボネートの2分子を1分子によって、有利に末端封鎖することができ、その結果芳香族ポリカーボネートの重合度を顕著に向上させる作用、すなわち重合促進作用を得ることが明らかにされた。
それ故、本発明によれば、第2に、芳香族ジオール化合物とジフェニルカーボネートとを溶融重縮合せしめて芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、芳香族ポリカーボネートの固有粘度が少くとも0.3dl/gに達したのち、下記式(7)
(ここで、R1、R’1は塩素原子、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルであり、Xは酸素原子または下記式
−R”−COO−
[ここで、R”は炭素数1〜30のアルキレン基または炭素数6〜30のアリーレン基である]
で表わされる基である)
で表わされる化合物を添加して、添加時の固有粘度より0.1を超えて高い固有粘度を示す芳香族ポリカーボネートを生成せしめることを特徴とする、高められた固有粘度を示す芳香族ポリカーボネートの製造法が同様に提供される。
上記式(7)で表わされる重合促進剤は、固有粘度が少くとも0.3dl/gに達した芳香族ポリカーボネートに添加され、添加時の芳香族ポリカーボネートの固有粘度よりも0.1dl/gを超えて大きい固有粘度の芳香族ポリカーボネートを与える。
上記式(7)で表わされる重合促進剤は、添加時の末端水酸基1当量当り、好ましくは約0.3〜約0.7モル、より好ましくは約0.4〜約0.6モル、特に好ましくは約0.45〜約0.55モルの割合で添加される。
重合促進剤は、芳香族ポリカーボネートに添加され、下記反応式
で表わされるように、芳香族ポリカーボネートの末端OH(〜OH)と反応し芳香族ポリカーボネート2分子をカップリングさせる。
反応は上記反応式に示されているとおり、2分子の2−置換フェノールを生成するので、カップリングを速かにかつ高収率で実施するためには、生成した2−置換フェノールを留去しつつ行うのが好ましい。
カップリングが終了した時点で、好ましくは固有粘度が0.4を超え1.0dl/g未満、より好ましくは固有粘度が0.41〜0.8dl/gである芳香族ポリカーボネートが生成される。
本発明で得られた芳香族ポリカーボネートには触媒失活剤を添加することもできる。
本発明に使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩等の有機スルホン酸の塩、有機スルホン酸エステル、有機スルホン酸無水物、有機スルホン酸ベタインなどのスルホン酸化合物や、ホスホニウム塩が好ましく、より具体的には、以下一般式(3)〜(6)
A1−(Y1−SO3X1)m ・・・(3)
[ここで、A1は置換基を有していてもよいm価の炭化水素基であり、Y1は単結合または酸素原子であり、X1は2級または3級の1価の炭化水素基、1当量の金属カチオン、アンモニウムカチオンまたはホスホニウムカチオンであり、mは1〜4の整数である。但しY1が単結合で有るときm個のX1の全てが1当量の金属カチオンであることはない。]
+X2−A2−Y1−SO3 - ・・・(4)
[ここで、A2は2価の炭化水素基であり、+X2は2〜4級のアンモニウムカチオンまたは2〜4級のホスホニウムカチオンであり、Y1の定義は上記式(3)に同じである。]
A3−(+X3) n・(R−Y1−SO3 -)n ・・・(5)
[ここで、A3はn価の炭化水素基であり、+X3は2〜4級のアンモニウムカチオンまたは2〜4級のホスホニウムカチオンであり、Rは1価の炭化水素基であり、nは2〜4の整数であり、Y1の定義は上記式(3)に同じである。]
A5−Ad1−A4−(Ad2−A5)k ・・・(6)
[ここで、A5は1または2価の炭化水素基であり、A4は2価の炭化水素基であり、Ad1およびAd2は、同一もしくは異なり−SO2−O−SO2−、−SO2−O−CO−または−CO−O−SO2−から選ばれる酸無水物基であり、kは0または1である。但し、kが0のとき、−(Ad2−A5)kは水素原子を表わすかあるいはA4とA5とを結合する結合手を表わす(この場合、A5は2価の炭化水素基または単結合である)。]
であらわされる化合物より成る群より選ばれる少なくとも一種のスルホン酸ホスホニウム化合物で示されるものが好ましく使用される。さらに好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の上記塩類やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の上記塩類が好ましい。またスルホン酸のエステルとしてベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が用いられ、とりわけ、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤をポリマーに添加した場合速やかに触媒を不活性化し、目的とする安定化されたポリマーを得ることができる。これらの触媒失活剤は単独で、あるいは、亜燐酸エステル系化合物あるいはフェノール系抗酸化剤を併用することにより、安定性のより良好な値を保つ芳香族ポリカーボネートが得られる。上記式(3)〜(6)の触媒不活性化剤の中で、ホスホニウム塩もしくはアンモニウム塩型の触媒不活性化剤は、それ自身200℃以上でも安定であり好ましいものである。
本発明では上記一般式(3)〜(6)であらわされる化合物より成る群より選ばれる少なくとも一種の触媒不活性化剤を芳香族ポリカーボネート溶融重縮合終了後、あるいは以下記述する反応を実施する場合、末端封止反応後に生成する芳香族ポリカーボネート100重量部に対し1*10-6〜0.1重量部の割合で、好ましくは1*10-6〜0.05重量部、より好ましくは1*10-6〜0.03重量部の割合で使用する。又かかる触媒不活性化剤は、アルカリ金属エステル交換触媒に対する割合では、エステル交換触媒1モル当たり0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。
特開平8−59975号公報に記載のスルホン酸の有機ホスホニウム塩や有機アンモニウム塩も好ましく用いられる。
これらの触媒失活剤の使用量はアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物より選ばれた前記重合触媒1モル当たり0.5〜50モルの割合で、好ましくは0.5〜10モルの割合で、さらに好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
これらの触媒失活剤は直接、または適当な溶剤に溶解または分散させて溶融状態の芳香族ポリカーボネートに添加、混練する。このような操作を実施するのに用いられる設備に特に制限は無いが、例えば2軸ルーダー等が好ましく、触媒失活剤を溶剤に溶解または分散させた場合はベント付きの2軸ルーダーが特に好ましく使用される。
また、いったん芳香族ポリカーボネートをペレタイズした後再溶融して添加してもよい。これによりエステル交換触媒を使用して、製造した芳香族ポリカーボネートを安定化でき射出成型時の金型の汚れを有効に防止する事ができる。
また本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で芳香族ポリカーボネートに各種の添加剤を添加することができる。この添加剤は触媒失活剤と同様に溶融状態の芳香族ポリカーボネートに添加することが好ましく、このような添加剤としては、例えば加工安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、金属石鹸類、造核剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、離型剤、防黴剤、着色剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、無機系充填剤、エポキシ化合物、着色剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤等をあげることができる。
これらの内でも耐熱安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等が特に一般的に使用され、これらは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられる耐熱安定剤としては、例えば、燐化合物、フェノール系安定剤、有機チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等を挙げることができる。
好ましい燐化合物としては、リン酸エステルおよび/または亜リン酸エステル誘導体が用いられる。
これらの安定剤の具体例としては、ビス(2,3−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、2−エチルヘキシルジフェニルホスファイトなどのアリールアルキルホスファイト類、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリメオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスチルジホスファイト等のトリアルキルホスファイト類、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイト等のトリアリールホスファイト類、およびビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスフェート、ペンタエリスリチル(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリチルジホスフェート、ペンタエリスリチル(ノニルフェニル)ホスフェート(ノニルフェニル)ホスホスファイト、ジフェニルデシルホスフェート、ジフェニルイソオクチルホスフェート、フェニルジイソオクチルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどのアリールアルキルホスフェート類、ジステアリルペンタエリスチルジホスフェート、ペンタエリスチルステアリルホスフェートステアリルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリチルジホスフェート、ペンタエリスリチルトリデシルホスフェートトリデシルホスファイト、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート等のトリアルキルホスフェート類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリメオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェートなどのトリアルキルホスフェート類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(エチルフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、トリス(ヒドロキシフェニル)ホスフェート等のトリアリールホスフェート類を例示できるが、これらに限定されない。
これらの安定剤は単独で用いても組み合わせて用いても良く、重合〜ペレダイズ化する工程のいずれの段階に添加してもかまわない。
また、紫外線吸収剤としては、一般的な紫外線吸収剤が用いられ、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等を挙げることができる。
また離型剤としては一般的に知られた離型剤を用いることができ、例えば、パラフィン類などの炭化水素系離型剤、ステアリン酸等の脂肪酸系離型剤、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド系離型剤、ステアリルアルコール、ペンタエリスリトール等のアルコール系離型剤、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸エステル系離型剤、シリコーンオイル等のシリコーン系離型剤等を挙げることができる。
着色剤としては有機系や無機系の顔料や染料を使用することができる。
これらの添加剤の添加方法に特に制限はないが、例えば、直接芳香族ポリカーボネートに添加してもよく、マスターペレットを作成して添加してもよい。
加工安定剤としては、例えば2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルbゲンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3、5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4、6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
又、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)4、4´−ビフェニレンジホスファイト、2、2´−エチリデンビス(4、6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、2、2´−メチレンビス(4、6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジラウリル−3、3´−チオジプロピオネート、ジステアリル−3、3´−チオジプロピオネート、テトラキス(3−ラウリルチオプロピオニルオキシメチル)メタン等が挙げられる。
光安定剤としては、例えば2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3、5−ジt−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3、4、5、6−テトラヒドロフタルイミドメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3、5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、等のベンゾトリアゾール系化合物、
2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾ゛フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンホゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のヒドロキシベンゾフェノン系化合物、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系化合物などの紫外線吸収剤、ニッケルジブチルジチオカーバメート、〔2、2´−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル、等のニッケル系クエンチャーなどが挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えばN、N´−〔3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等が、金属石鹸類としては例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ニッケル等が挙げられる。
又造核剤としては、例えばジ(4−t−ブチルフェニル)ホスホン酸ナトリウム、ジベンジリデンソルビトール、メチレンビス(2、4−ジ−t−ブチルフェノール)アシッドホスフェートナトリウム塩等のソルビトール系、リン酸塩系化合物が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば(β−ラウラミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート等の第4級アンモニウム塩系、アルキルホスフェート系化合物が挙げられる。
滑剤としては、例えばエルカ酸アミド、ステアリン酸モノグリセリド、等が、難燃剤としては、例えばトリス(2−クロロエチル)ホスフェートなどの含ハロゲンリン酸エステル類、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモフェニルオキサイドなどのハロゲン化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウムなどの金属無機化合物類、これらの混合物等が挙げられる。
これら剤の種類、量、添加時期、添加方法などの具体的な方法については特に制限はなく、これらの操作を行う装置の材質も本発明で開示しているものを用いることが好ましい。
実施例
以下に、本願発明の実施例を示す。なお、この実施例は本願発明を例示するためのものであり、本願発明はこの実施例によって制限されるものではない。以下の例において得られたポリカーボネーの物性は以下のようにして測定したものである。
なお、実施例1〜3は原料溶解槽の気相部の圧力を0MPa〜0.05MPaに保つことを特徴とする発明に関するもので比較例1と比較され、実施例4〜10は反応混合物中の含窒素塩基性化合物の濃度を一定範囲に保つことを特徴とする発明に関するもので比較例2〜6と比較され、実施例11〜13は特定の副生モノヒドロキシ化合物を使用することを特徴とする発明に関するもので比較例7、8と比較され、実施例14〜19は特定の炭酸ジエステルであることを特徴とする発明に関するもので比較例9〜11と比較され、実施例22、23は特定の材質の反応装置を使用することを特徴とする発明に関するもので比較例12と比較され、実施例24〜26は酸化鉄を主成分とする酸化層を有する反応装置を使用することを特徴とする発明に関するもので比較例13、14と比較され、実施例27、28は比較例15と比較され、実施例29、30は比較例16と比較され、実施例31は比較例17と比較されるものである。
また、以下の実施例4〜10、比較例2〜6の総ての場合において、反応混合物(1)を得るための堅型撹拌槽は実質的に完全混合槽であるため、当該堅型撹拌槽出口で採取した反応混合物(1)の粘度平均分子量とテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(本願明細書ではTMAHともいう)量とは、当該堅型撹拌槽内より採取した反応混合物の粘度平均分子量とTMAH量とに一致した。また、反応混合物(2)を得るための堅型撹拌槽も実質的に完全混合槽であるため、当該堅型撹拌槽出口で採取した反応混合物(2)の粘度平均分子量とTMAH量とは、当該堅型撹拌槽内より採取した反応混合物の粘度平均分子量とTMAH量とに一致した。
固有粘度および粘度平均分子量測定
0.7g/dlの塩化メチレン溶液をウベローデ粘度計を用い固有粘度を測定し、次式により粘度平均分子量を求めた。
[η]=1.23×10-4M0.83
色調(L/a/b値)測定
ポリカーボネートペレット(短径×長径×長さ(mm)=2.5×3.3×3.0)のL、a、b値を、日本電色工業製ND−1001DPを用い反射法で測定した。L値が高いほど、明度が高く、b値が小さいほど黄色着色が少なく好ましいことを示す。
重合反応物中に含まれる含窒素塩基性化合物測定
反応混合物0.2gをシクロヘキサノン10mlに溶解させ、溶離液(2.8ミリモルのNaHCO3/2.25ミリモルのNa2CO3)を1ml加えさらに純水を1ml加え充分に撹拌させる。3000回転で15分間遠心分離を行い、水層を0.45μmのフィルターでろ過し、下記条件のイオンクロマトグラフィーで含窒素塩基性イオンとしてを定量した。
機種 Dionex社製4000I
カラム IonpacCG14/CS14
溶離液 10ミリモルメタンスルホン酸
再生液 純水
検出器 電気伝導度方式
溶離液の流速 1ml/min
サプレッサー オートサプレッサー(エクスターナルモード)
末端水酸基濃度測定
サンプル0.02gを0.4mlの重クロロホルムに溶解し、20℃で1H−NMR(日本電子社製EX−270)を用いて、末端水酸基及び末端フェニル基を測定し、下式により末端水酸基濃度を測定した。
末端水酸基濃度(%)=(末端水酸基数/全末端数)*100
透明性測定
50*50*5mmの平板を住友重機(株)製ネオマットN150/75射出成形機によりシリンダー温度280℃成形サイクル3.5秒で成形し、平板の全光線透過率を日本電色(株)製NDH−Σ80により測定した。全光線透過率が高いほど、透明性がよいことを示す。
DPC中の窒素原子不純物量の定量
常法に従いドーマン社製DN−1000ドーマン微量化学発光分析装置により定量した。
金属元素の分析
セイコーインスツルメント社製SPQ9000ICP質量分析装置にて試料を電子工業用IPAに溶解し、一点定量法により定量した。
サリチル酸誘導体分析
サンプルを5mgをアセトニトリル5mlに溶解、高速液体クロマトグラフィー;東ソー(株)LC8020により、カラム野村科学(株)製ODS−7により分析した。
金属成分の測定
金属成分はその小片を蛍光X線で測定した。装置;島津製XRF−1700、X線源;Rh。
異物数の測定
重合後得られたポリマー10gを500mlのジクロロメタンに溶解した。これを10μポアサイズのミリポア製フィルターでろ過した。ろ過後、残存するジクロロメタン可溶成分を洗い流し、異物と可溶成分とをフィルター上で分離した。黒色異物の個数は目視でカウントし、ゲルの個数はフィルターを乾燥後ブラックライト(紫外波長365nm、SPECTROLINE製)照射下でカウントした。この操作による外部環境からの異物混入の影響を無視するため、異物を含まない(フィルター濾過処理した)ポリマーについて同様に操作を行い、得られた結果をブランク値として差し引いた。
ゲル異物量の測定
重合後のポリマーに約7重量%となるようにジクロロメタンを加えポリマー溶液を得た。これを10μポアサイズのミリポア製フィルターでろ過した。ろ過後、残存するジクロロメタン可溶成分を洗い流し、ゲルと可溶成分とをフィルター上で分離した。ゲルの量は濾過後のフィルター乾燥重量を測定し、同様の操作で重合反応を行なわなかったときのフィルターの重量をブランクとして差し引いたものをゲル異物量とした。異物がゲルである事の確認はフィルターをブラックライト(紫外波長365nm、SPECTROLINE製)照射下で発光する事を確認した。
ステンレス表面のオージェ電子分光分析
測定装置にはPerkin−Elmer製PHI610型オージェ電子分光装置を用いた。電子ビーム加速電圧3kV、試料電流100nA、チルト角30度の条件で測定した。スパッタエッチング条件はアルゴン気流下E=2keV、エッチング速度〜3.5nm/分(インジウムオキサイド換算)であった。酸化膜の膜圧は、全原子組成の中で酸素の占める割合が40モル%未満になったところを平均的な界面として見積もった。
実施例においてジフェニルカーボネート(DPC)の物性評価は、以下の方法によった。
耐候性測定
試料DPCフレーク100gを透明ガラス容器に入れ、空気中、室内で直射光を遮り冷暗所に6カ月間保管した。DPCハーゼン変化をJIS K−4101に示される色数試験方法に基づき、直径23mm、肉厚1.5mmの平底パイレックス比色管を用い液深140mmで、溶融状態で250℃、5Hr保持後、ハーゼン標準比色液と比較して測定した。溶融装置は、JIS K−4101に示されるアルミニウムインゴットホットバスを使用し、溶融状態保持にもこれを使用した。
なお、本願明細書において、仕込み芳香族ジヒドロキシ化合物に対するアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、含窒素塩基性化合物の割合いを、「芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し金属または塩基性窒素としてW(数値)当量のZ(化合物名)量」として表現したが、これは、例えば、Zがナトリウムフェノキシドや2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンモノナトリウム塩のようにナトリウム原子が一つであり、またはトリエチルアミンのように塩基性窒素が一つであれば、Zの量がWモルに相当する量であることを意味し、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジナトリウム塩のように二つであれば、W/2モルに相当する量であることを意味する。
・実施例1
粉体の芳香族ジヒドロキシ化合物を原料溶解槽に供給する原料溶解槽の直前の輸送配管中の雰囲気ガスの99.5体積%が窒素ガスであり、その線速度が5cm/分であり、かつ原料溶解槽のベントに内部温度110℃に保持されたコンデンサーを設け、該原料溶解槽の気相部の圧力を0MPa〜0.05MPaに管理された設備において、粉体2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、溶融ジフェニルカーボネート1.01モルの割合に仕込み設定をし、攪拌機を備えた溶融槽に仕込み、完全溶融後、該溶融混合液を150℃に保った原料貯槽に移送した。
次いで該溶融混合物を、精留塔を備え、内温240℃、内圧を1333Pa(10mmHg)に維持した竪型攪拌槽に60kg/時間の割合で連続的に供給すると共に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、1×10-6当量のビスフェノールAジナトリウム塩と1×10-4当量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを連続的に加え、生成したフェノールを精留塔より除去して反応を行った。得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜き出した。
次いで該プレポリマーを内温270℃、内圧を133Pa(1mmHg)に保った横型反応器に連続的に供給した。発生するフェノールを系外に除去しつつさらに重合させることにより、連続的に生産した。
2日を経過した後のポリカーボネートの品質を測定したところ、[η]は0.35であり、b値は0.28であった。
・実施例2
内部温度90℃に保持されたコンデンサーを使用し、原料溶解槽の気相部の圧力を0MPa〜0.01MPaに保った以外は実施例1と同様にして重合反応を行った。
この結果、2日を経過した後のポリカーボネートの品質を測定したところ、[η]は0.35であり、b値は0.01であった。
・実施例3
コンデンサーに代えてスクラバーを設け、原料溶解槽の気相部の圧力を0MPa〜0.01MPaに保った以外は実施例1と同様にして重合反応を行った。
この結果、2日を経過した後のポリカーボネートの品質を測定したところ、[η]は0.35であり、b値は−0.05であった。
・比較例1
原料溶解槽のベントにはスクラバーもコンデンサーも設けず、原料溶解槽の気相部の圧力を調整しないこと以外は実施例1と同様にして重合反応を行った。
この結果、2日を経過した後のポリカーボネートの品質を測定したところ、[η]は0.35であり、b値は2.32であった。また、運転開始10日後には原料溶解槽のベント配管一部が狭窄し、粉体原料槽から原料溶解槽へ原料を送る時の原料溶解槽の気相部圧力は、0.1MPa以上に達した。
・実施例4
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)1モルに対し、ジフェニルカーボネートを1.02モルの割合で、撹拌機を備えた溶融槽に仕込み、窒素置換後150℃で溶解し、該溶融混合液を150℃に保った原料貯槽に移送した。
次いで、該溶融混合液を精留塔を備え、内温220℃、内圧を13333Pa(100mmHg)に維持した竪型撹拌槽に連続的に供給すると共に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として5×10-7当量のナトリウムフェノキシド(以下NPOと略記する)と含窒素塩基性化合物として1×10-4当量のTMAHを連続的に加え、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜きだした。
得られた反応物の重合度は固有粘度を測定することで求めた。固有粘度[η]は、上記方法によって測定した。その結果粘度平均分子量が1500でありTMAHを2.7ppm含有する反応混合物(1)を得た。
ついで該反応混合物(1)を内温を250℃、内圧を1333Pa(10mmHg)に維持した竪型撹拌槽に連続的に供給し、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応混合物をギヤポンプを用いて連続的に抜きだした。
その結果粘度平均分子量が6500であり、TMAHを0.09ppm含有する反応混合物(2)を得た。
次いで該反応混合物(2)を内温を270℃、内圧を133Pa(1mmHg)に保った横型1軸反応容器に、連続的に供給し、発生するフェノールを系外に除去しつつさらに重合させることにより粘度平均分子量15300のポリカーボネートを連続的に得、溶融状態にあるポリカーボネートをギヤポンプにより抜き出し、ダイスより押し出しペレタイザーによりペレット化した。結果を表1に示す。
・実施例5
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として5×10-6当量のNPOと含窒素塩基性化合物として1×10-4当量のTMAHを連続的に加えること以外は実施例4と同様にしてポリカーボネートを得た。結果を表1に示す。
・実施例6
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として1×10-5当量のNPOと含窒素塩基性化合物として1×10-4当量のTMAHを連続的に加えること以外は実施例4と同様にしてポリカーボネートを得た。結果を表1に示す。
・実施例7
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、ジフェニルカーボネートを1.02モルの割合で、撹拌機を備えた溶融槽に仕込み、窒素置換後150℃で溶解し、該溶融混合液を150℃に保った原料貯槽に移送した。
次いで、該溶融混合液を精留塔を備え、内温230℃、内圧を13333Pa(100mmHg)に維持した竪型撹拌槽に連続的に供給すると共に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として5×10-6当量のNPOと含窒素塩基性化合物として5×10-4当量のTMAHを連続的に加え、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜きだし反応混合物(1)を得た。
ついで該反応混合物(1)を内温を260℃、内圧を1333Pa(10mmHg)に維持し、竪型撹拌槽に連続的に供給し、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応混合物(2)をギヤポンプを用いて連続的に抜きだした以外は実施例4と同様にしてポリカーボネートを得た。結果を表1に示す。
・実施例8
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、ジフェニルカーボネートを1.02モルの割合で、撹拌機を備えた溶融槽に仕込み、窒素置換後150℃で溶解し、該溶融混合液を150℃に保った原料貯槽に移送した。
次いで、該溶融混合液を精留塔を備え、内温200℃、内圧を13333Pa(100mmHg)に維持した竪型撹拌槽に連続的に供給すると共に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として5×10-6当量のNPOと含窒素塩基性化合物として5×10-5当量のTMAHを連続的に加え、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜きだし反応混合物(1)を得た。
ついで該反応混合物(1)を内温を245℃、内圧を1333Pa(10mmHg)に維持し、竪型撹拌槽に連続的に供給し、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜きだし反応混合物(2)を得た以外は実施例4と同様にしてポリカーボネートを得た。結果を表1に示す。
・実施例9
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、ジフェニルカーボネートを1.02モルの割合で、撹拌機を備えた溶融槽に仕込み、窒素置換後150℃で溶解し、該溶融混合液を150℃に保った原料貯槽に移送した。
次いで、該溶融混合液を精留塔を備え、内温220℃、内圧を13333Pa(100mmHg)に維持した竪型撹拌槽に連続的に供給すると共に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として5×10-7当量のNPOと含窒素塩基性化合物として1×10-4当量のTMAHを連続的に加え、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜きだし反応混合物(1)を得た。
ついで該反応混合物(1)を内温を270℃、内圧を2000Pa(15mmHg)に維持した竪型撹拌槽に連続的に供給しつつさらに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、含窒素塩基性化合物として1×10-4当量のTMAHを連続的に供給し、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜きだし反応混合物(2)を得た以外は実施例4と同様にしてポリカーボネートを得た。結果を表1に示す。
・比較例2
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として5×10-6当量のNPOと含窒素塩基性化合物として5×10-4当量のTMAHを連続的に加えること以外は実施例4と同様にしてポリカーボネートを得た。結果を表1に示す。
・比較例3
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として5×10-6当量のNPOと含窒素塩基性化合物として5×10-5当量のTMAHを連続的に加えること以外は実施例4と同様にしてポリカーボネートを得た。結果を表1に示す。
・比較例4
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、ジフェニルカーボネートを1.02モルの割合で、撹拌機を備えた溶融槽に仕込み、窒素置換後150℃で溶解し、該溶融混合液を150℃に保った原料貯槽に移送した。次いで、該溶融混合液を精留塔を備え、内温220℃、内圧を16000Pa(120mmHg)に維持し反応混合物(1)を得た以外は実施例4と同様にしてポリカーボネートを得た。結果を表1に示す。
・比較例5
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、ジフェニルカーボネートを1.02モルの割合で、撹拌機を備えた溶融槽に仕込み、窒素置換後150℃で溶解し、該溶融混合液を150℃に保った原料貯槽に移送した。
次いで、該溶融混合液を精留塔を備え、内温220℃、内圧を13333Pa(100mmHg)に維持し、竪型撹拌槽に連続的に供給すると共に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として5×10-7当量のNPOと含窒素塩基性化合物として1×10-4当量のTMAHを連続的に加え、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜きだし反応混合物(1)を得た。
ついで該反応混合物(1)を内温を270℃、内圧を2000Pa(15mmHg)に維持した竪型撹拌槽に連続的に供給し、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜きだし反応混合物(2)を得た以外は実施例4と同様にしてポリカーボネートを得た。結果を表1に示す。
・実施例10
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、ジフェニルカーボネートを1.02モルの割合で、撹拌機を備えた溶融槽に仕込み、窒素置換後150℃で溶解した。該溶融混合液100kgを精留塔および撹拌機を備えた堅型バッチ形式の反応器に一時に仕込み、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として5×10-7当量のナトリウムフェノキシドと含窒素塩基性化合物として1×10-4当量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを加え、200℃まで加熱しながら減圧度を0.5時間かけて30mmHgとし、この状態を1時間継続して大半のフェノールを留去した。この間に反応混合物を逐次サンプリングした。
ついで270℃まで温度を上げながら、0.5時間かけて減圧度1mmHgとし、その後1時間反応を行い、粘度平均分子量15300のポリカーボネートを得、溶融状態にあるポリカーボネートはダイスより押し出しペレタイザーによりペレット化した。この反応の進行の途中にも反応混合物を逐次サンプリングした。
各サンプルの分析結果を表2に示す。
・比較例6
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、ジフェニルカーボネートを1.02モルの割合で、撹拌機を備えた溶融槽に仕込み、窒素置換後150℃で溶解した。該溶融混合液100kgを精留塔および撹拌機を備えた堅型バッチ形式の反応器に一時に仕込み、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、金属として5×10-7当量のナトリウムフェノキシドと含窒素塩基性化合物として1×10-4当量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを加え、200℃まで加熱しながら減圧度を0.5時間かけて100mmHgとし、その後0.5時間かけて30mmHgとし、この状態を1時間継続して大半のフェノールを留去した。この間に反応混合物を逐次サンプリングした。ついで270℃まで温度を上げながら減圧度を、0.5時間かけて10mmHgとし、その後0.5時間かけて1mmHgとし、さらにその後1時間かけて反応を行い、粘度平均分子量15300のポリカーボネートを得、溶融状態にあるポリカーボネートをダイスより押し、出しペレタイザーによりペレット化した。この間にも反応混合物を逐次サンプリングした。
各サンプルの分析結果を表2に示す。
・実施例11
ジフェニルカーボネート115重量部およびビスフェノールA123重量部、エステル交換触媒としてビスフェノールAの2ナトリウム塩1.5×10-4重量部およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド4.9×10-2重量部を、トリメチルアミン10ppmおよびアニソール50ppmを含有する溶融縮重合反応においてリサイクルしてして得られたフェノール2.0重量部に添加し得られた触媒液として、攪拌装置、蒸留塔、コンデンサー、真空吸引部を設けた反応槽に仕込み、窒素置換した後、140℃で溶解した。30分間攪拌後、内温を180℃に昇温し、内圧100torrにて15分間反応させ、生成するフェノールを溜去した。
ついで内温を200℃に昇温しつつ、徐々に減圧とし、50torrで20分間フェノールを溜去しつつ反応させた。さらに220℃、30torr、さらに240℃10torr、さらに270℃、10torrまで、昇温、減圧をおこない、最終的には、270℃、1torrとして、2時間反応せしめた。
その結果得られたポリマーを用い、塩化メチレン中、20℃にて測定した固有粘度(ηsp/C)は0.49dl/gであった。また、ポリマーの色相として、3mmtの射出成形板を作成し、日本電色工業製Colorand Color Defference Meter ND−1001DPにてポリマーの黄色みをしめすものとしてb値を測定した結果、2.5であり、目視判定において黄色は感じないものであった。
・実施例12
トリメチルアミン20ppmを含有する、溶融縮重合反応においてリサイクルして得られたフェノールを用いた他は実施例11と同様にしてポリマーを得た。その結果得られたポリマーの固有粘度(ηsp/C)は0.50dl/gであり、b値は、2.6であり、目視判定において黄色は感じないものであった。
・実施例13
アニソール15ppmを含有する、溶融縮重合反応においてリサイクルして得られたフェノールを用いた他は実施例11と同様にしてポリマーを得た。その結果得られたポリマーの固有粘度(ηsp/C)は0.49dl/gであり、b値は、2.7であり、目視判定において黄色は感じないものであった。
・比較例7
トリメチルアミン150ppmおよびアニソール2000ppmを含有する、溶融縮重合反応においてリサイクルして得られたフェノールを用いた他は実施例11と同様にしてポリマーを得た。その結果得られたポリマーの固有粘度(ηsp/C)は0.45dl/gであり、b値は3.1であり、目視判定において黄色を強く感じるものであった。
・比較例8
トリメチルアミン0.5ppmおよびアニソール0.1ppmを含有する、溶融縮重合反応においてリサイクルして得られたフェノールを用いた他は実施例11と同様にしてポリマーを得た。その結果得られたポリマーの固有粘度(ηsp/C)は0.48dl/gであり、b値は3.2であり、目視判定において黄色を強く感じるものであった。
・実施例14(比較例を含む)
(DPCの精製:DPC1〜11)
バイエル社より購入したDPC1kgを工業用キシレン51に溶解し共和化学株式会社製ハイドロタルサイトDHT−4A、20gを添加、窒素気流下100℃で5hr攪拌接触させた。溶媒を真空エバポレーターで留去し、約三分の一に濃縮後、氷冷DPCを析出させ分離し真空乾燥した。該DPCをアセトン51に溶解し、H型強酸性陽イオン交換樹脂1Kgを充填したカラムに通し、次いでOH型強塩基性陰イオン交換樹脂1Kgを充填したカラムに通した。
得られたDPC溶液に活性炭100gを添加し、窒素気流下、30分沸騰させた。冷却後溶媒を真空エバポレーターで留去した。得られたDPCを100mmHgの減圧下、理論段数10段のオールダショウ式全自動精密蒸留装置により前留分、後留分各10体積%を除き、本留分を捕集した。原料、及び精製DPC中の不純物を以下表3、表4に示す。表4中のサンプルで(比)と書かれたものは比較例を意味する。
実施例15〜19および比較例9〜11
ビスフェノールA(BPA)228重量部、所定のDPC220重量部及び所定量のエステル交換触媒を攪拌装置、蒸留塔及び減圧装置を備えた反応槽に仕込み窒素置換した後、140℃で溶解した.30分間攪拌後、内温を180℃に昇温し、内圧100mmHg30分間反応させ、生成するフェノールを溜去した。
ついで内温を200℃に昇温しつつ徐々に減圧し50mmHgで30分間フェノールを溜去しつつ反応させた.更に0℃、30mmHgまで徐々に昇温、減圧し、同温度、同圧下で30分間、更に、240℃、10mmHg、260℃、1mmHgまで上記と同じ手順で昇温、減圧を繰り返し反応を続行した。最終的に270℃の温度でポリカーボネートの重縮合を継続しつつポリマーの一部を採集し、分子量を測定した。分子量が15,300及び25,100になるまで重縮合を継続した。
重合終了後、OH基濃度を測定しO−メトキシフェニル、フェニルカーボネートで末端封止した。O−メトキシフェニル、フェニルカーボネートは末端OH基と等モル使用した。その後ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を1.75*10-4重量部(3*10-6当量/1mol−BPA)添加、触媒を不活性化した。ナトリウム触媒量を変更したときは3倍モル量使用して、触媒を不活性化した。
重縮合終了時の固有粘度、色相、透明性、流動性の物性を下記の表5,6中に示す。
上記結果に示される如く、不純物量が所定範囲を超えるとb値が7.0を超え黄色が強くなり使用に耐えない。また不純物量が所定範囲を超えると透明性が80%台に低下してしまう。
・実施例22,23、比較例12
鉄66.6重量%、ニッケル12.4重量%、クロム16.6重量%を基本組成とするSUS316ステンレス製で、下記表7に示す量のニオブ、バナジウムを含む1Lセパラブルフラスコ(撹拌翼、蒸留塔、減圧ベントを有する)に、あらかじめ異物を取り除いたビスフェノールA228.31g(1.0モル)、ジフェニルカーボネート224.93g(1.05モル)、触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩(1.0×10-7モル)およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(1×10-5モル)を無塵条件で仕込み、エステル交換反応を開始した。200℃で溶融後、100mmHgで1時間反応させ、留出してくるフェノールを取り除いた。220℃、30mmHgで30分間保持した後、240℃、30mmHgで30分間、260℃、10mmHgで30分保持により生成するフェノールを留去した。
さらに280℃、1mmHg以下でポリマーの重縮合をすすめ、最終的に反応時間1時間でポリカーボネート樹脂の固有粘度が0.35程度になった段階で反応を終了し、得られたポリマーを無塵条件下で取り出した。
得られたポリマーの異物数を上記方法によりカウントした。得られた結果を表7示す。
・実施例24
鉄61.9重量%、ニッケル10.1重量%、クロム17.4重量%を基本組成とするSUS316製1L容のセパラブルフラスコの内側全面をバフ研磨(#300)し、ヘプタン中で脱脂処理をおこなった。これを330℃で62時間空気中で加熱した。同様に処理した分析用のテストピース(直径10mm、厚さ1mmの試験片)のオージェ電子分光分析の結果を図1に示す。測定の結果、表面酸化膜は酸化鉄を中心とした酸化膜が45nm形成されていた。
これを重合釜に、また同様に処理した同材質の攪拌翼を用い、20cm長の蒸留塔と50cm長の空冷式コンデンサがついた反応装置を用いて、これにビスフェノールA228.31g(1.0モル)、ジフェニルカーボネート224.93g(1.05モル)を仕込み、触媒としてフェノールのナトリウム塩を1.0×10-6モル、テトラメチルアンモニウムアセテートを1.0×10-4モル入れて重合を開始した。200℃で溶融後、100mmHgまで減圧度を高めて反応により生成した芳香族ヒドロキシ化合物を留去しながら1時間反応を行った。さらに220℃、30mmHgで30分、240℃、30mmHgで30分、260℃、30mmHgで30分反応を継続した。
260℃、1.0mmHgで3時間反応を行い、ポリマーの固有粘度[η]が0.45の段階で反応を終了した。得られたポリマーすべてをジクロロメタンに溶解し、溶液中に含まれるゲル異物量を測定した。結果、ゲル異物量はポリマー1Kg当り9mgであった。
・実施例25
実施例24と同じSUS316製1L容のセパラブルフラスコ(バフ研磨し、脱脂処理したもの)を3%硝酸水溶液で2時間リフラックスして水で洗浄、乾燥してから300℃で24時間空気中で加熱した。同様に処理した分析用のテストピースのオージェ電子分光分析の結果、表面酸化膜は酸化鉄、酸化クロムを中心とした酸化膜が21nm形成されていた。
これを重合釜をして実施例24と同様にポリマーを重合し、ゲル異物量を測定した。結果、ゲル異物量はポリマー1Kg当り11mgであった。
・実施例26
実施例24と同じSUS304製1L容のセパラブルフラスコ(バフ研磨し、脱脂処理したもの)を用いて、500℃で1時間空気中で加熱した。同様に処理した分析用のテストピースのオージェ電子分光分析を行なった。酸化膜は酸化鉄を中心とする酸化膜が約100nm形成されていた。
これを重合釜をして実施例24と同様にポリマーを重合し、ゲル異物量を測定した。結果、ゲル異物量はポリマー1Kg当8mgであった。
・比較例13
実施例24と同じSUS316製1L容のセパラブルフラスコ(バフ研磨し、脱脂処理したもの)を用いて、なにも処理を施さなかった。同様に処理した分析用のテストピースのオージェ電子分光分析の結果、表面酸化膜は5nmであった。
これを重合釜をして実施例24と同様にポリマーを重合し、ゲル量を測定した。結果、ゲル異物量はポリマー1Kg当り83mgであった。
・比較例14
同じSUS304製1L容のセパラブルフラスコ(バフ研磨し、脱脂処理したもの)を用いて、300℃で1時間空気中で加熱した。同様に処理した分析用のテストピースのオージェ電子分光分析の結果、表面酸化膜は15nmであった。
これを重合釜をして実施例24と同様にポリマーを重合し、ゲル量を測定した。結果、ゲル異物量はポリマー1Kg当り65mgであった。
・実施例27−1〜3および比較例15−1〜3
互いにギヤポンプで連結された、攪拌機を備えた、内容積3L、SUS316製溶解槽、精留塔、攪拌機を備えた内容積1LのSUS316製の第1、第2の2基の竪型反応機及び横形1軸反応機よりなる重合装置を使用しポリカーボネートを製造する時、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)1モルに対し実施例14で精製したジフェニルカーボネート(DPC)を1.02モルの割合で、上記150℃に保たれ、窒素雰囲気にある溶解槽に仕込み、溶解し、該溶融混合液を内温220℃、内圧100mmHgに保った第1の竪型反応機に連続供給するとともに、BPAの1モルに対しNa元素として5*10-7当量のNaOHと含窒素塩基性化合物としてのテトラメチルアンモニウムヒトロキシド(TMAH)を1*10-4当量の割合で高純度フェノールに溶解し、溶液として連続的に加え、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応物を適宜サンプリングしつつ、ギヤポンプで連続的に第2の反応機に送り出した。
取り出したサンプルの重合度;粘度平均分子量およびTMAH量を実施例4と同様にして測定した。
該反応物を内温250℃、内圧10mmHgに保った第2竪型反応機で、生成するフェノールを精留塔より除去して反応を行い、得られた反応物を適宜サンプリングしつつ、ギヤポンプで連続的に横形反応機に送り出した。
取り出したサンプルの重合度;粘度平均分子量およびTMAH量を実施例4と同様にして測定した。
ついで該反応物を内温270℃、内圧1mmHgに保った横形1軸反応機中で発生するフェノールを系外に除去させさらに重合を進め粘度平均分子量15300のポリカーボネートを連続的に得、溶融状態のポリカーボネートをギヤポンプにより抜き出し、ダイスより押し出し、ペレタイザーによりペレット化した。
条件および結果を表8に示す。
なお、表8〜10の結果は、実施例27、28についてカッコ書きで示した色調以は運転開始後7日目の値であるが、それ以外の実施例27以降および比較例15以降については運転開始後24hr目の安定したサンプルの値である。
・実施例28
上記重合時発生フェノールを3Lを30cmウイドマー蒸留塔を具備した蒸留機で常圧蒸留し、初留0.5Lを除き本留2Lを得た。アニソール含量50ppm、トリメチルアミン10ppmのフェノールを得た。
該フェノール中にNaOH;2*10-2重量部、TMAH9.1重量部を溶解、1*103重量部とし触媒溶液とした。該触媒溶液を使用し実施例27−1と同様にして反応を行い、かつ分析を行った。結果を表8に示す。
・比較例16−1
実施例27で使用した反応装置のSUS316の成分は、比較例12と同一の成分であり基本組成;Fe、66.6wt%、Ni,12.4wt%、Cr、16.6wt%であり、Nb,V含量は、10ppm以下であった。この反応装置を使用し実施例27−1の反応を7日継続し、1、3、7日目のサンプルにつきポリカーボネート10g当たりの異物の個数を調べた。あわせて実施例24で記載してある、ゲル異物物量(ポリカーボネート1Kg当たりの異物重量;mg)もあわせて測定した。
なお触媒溶液は工業用項純度フェノール(なおアニソール、トリメチルアミン含量;GC,イオンクロマトグラフィーで検出されず;0.1ppm以下)、を使用作成した。結果を表9に示す。
・実施例29−1
実施例22で使用した材質Nb=100ppm、V=600ppm含有SUS316製反応機で比較例16−1と同一条件の反応を行った。得られたポリカーボネートにつき同様の分析を行った。結果を表9に示す。
・実施例29−2
実施例29−1で使用したのと同一材質の反応機を実施例25と同様に処理し、酸化鉄、酸化クロム層21nmを作成した。この反応機を使用し、実施例29−1と同一条件の反応分析を行った。得られた結果を表9に示す。
・比較例16−2
実施例29−2と同一の反応機で実施例14に示すDPC−6を使用し、比較例16−1と同一条件の反応し、分析を行った。得られた結果を表9に示す。
・実施例30−1
実施例28で作成した触媒溶液を使用し、実施例29−1と同様反応し、分析を行った。得られた結果を表9に示す。
・実施例30−2
実施例28で作成した触媒溶液を使用し、実施例29−2と同様反応し、分析を行った。得られた結果を表9に示す。
上記の実施例の結果から、材質選択、および表面酸化層形成により異物発生を抑制可能であること、異物抑制効果、特に長時間反応を継続したときの異物抑制効果は、DPC中不純物量の抑制を、反応機材質選択、表面酸化層形成と併用することにより達成されること、触媒溶液の効果はマイナーであるが予想外のことに、ゲル低減に確実の効果が得られることが理解されよう。
・実施例31−1
粉体の芳香族ジヒドロキシ化合物を原料溶解槽に供給する原料溶解槽の直前の輸送配管中の雰囲気ガスの99.5%が窒素ガスであり、その線速度5cm/分であり、かつ原料溶解槽のベントに内部温度110℃に保持されたコンデンサーを設け、該溶解槽の気相部の圧力を0〜0.05Mpaに管理された設備において、粉体の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し、実施例14で精製した溶融ジフェニルカーボネートを1.02モルの割合で仕込み設定をし、攪拌機を備えた溶解槽に仕込み、完全融解後、該溶融混合液を、150℃に保った原料貯槽に移送した。
以下実施例4と同様に反応し、分析を行った。使用DPC種、第1、第2の竪型攪拌槽の条件反応混合物(1)、(2)の粘度平均分子量、TMAH含有量、およびポリマー物性を得られた結果を表10に示す。
なお上記反応装置は実施例22と同一の材質でありNb−100ppm、V−600ppm含有SUS316であり、触媒は高純度フェノール溶液として添加した。
・比較例17−1
実施例31−1において、表10中記載の条件で反応を行った。得られた結果を表10に示す。
・比較例17−2
コンデンサーを設置せず、気相部圧力を調整しない以外は実施例31−1と同様にしてにおいて反応し、分析を行った。得られた結果を表10に示す。
・実施例31−2
実施例28で作成したフェノールを使用触媒溶液を作成し、実施例31−1と同様の反応、および分析を行った。得られた結果を表10に示す。
・実施例31−3
実施例31−2において反応装置を実施例25と同じ処理を行い酸化鉄、酸化クロム層21nmを作成し同反応分析を行った。得られた結果を表10に示す。
Claims (4)
- 粉体の芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料溶解槽に供給し、混合溶融させた後、触媒の存在/非存在下に溶融重合せしめポリカーボネートを製造する方法において、原料溶解槽の気相部の圧力を0MPa〜0.05MPaに保ち、かつ粉体の芳香族ジヒドロキシ化合物を原料溶解槽に供給する原料溶解槽の直前の輸送配管中の雰囲気ガスの90体積%以上が非酸化性ガスであり、その線速度が0.5cm/分以上であることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 原料溶解槽のベント配管がスクラバーに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 原料溶解槽のベント配管が70℃以上の温度に保持されたコンデンサーに接続されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の製造方法。
- 炭酸ジエステルがジフェニルカーボネートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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