JP3170477B2 - 芳香族ポリカーボネートの製法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製法

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JP3170477B2 JP33680997A JP33680997A JP3170477B2 JP 3170477 B2 JP3170477 B2 JP 3170477B2 JP 33680997 A JP33680997 A JP 33680997A JP 33680997 A JP33680997 A JP 33680997A JP 3170477 B2 JP3170477 B2 JP 3170477B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱
性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプ
ラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いら
れている。特に最近は、光ディスクの基板材料としての
用途を急速に拡大しつつある。この芳香族ポリカーボネ
ートの製造方法については、従来種々の重合法の研究が
行われている。その中で、有機溶媒の存在下、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物、例えば2,2′−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAとい
う。)のアルカリ水溶液とホスゲンを反応させる界面重
縮合法は公知である。この方法で用いる有機溶媒はハロ
ゲン系有機溶媒であり、例えば塩化メチレン、クロロベ
ンゼンなどが用いられるが、特に塩化メチレンが主に用
いられている。
【0003】しかしながら、この方法では得られるポリ
マーから該有機溶媒を完全に除去することが難しく、残
留する有機溶媒由来のハロゲンによる金型腐食や着色な
どが起こり、後の用途に好ましくない影響を与える。特
に光ディスクの基板として芳香族ポリカーボネートを用
いる場合には、残留するハロゲンは記録膜を腐食し、エ
ラーの原因になるという点で致命的な問題となる。
【0004】一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリ
ールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製
造する方法としては、例えば、ビスフェノールAとジフ
ェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生
するフェノールを抜き出しながら重合する溶融重縮合法
が公知である。溶融重縮合法は、界面重縮合法と異な
り、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、着色のな
い良好なカラーのポリマーを得ることが難しい上に、溶
融ポリマーの粘度が高いため、重合後のポリマーから異
物、特に光学的な微小異物を除去することが困難である
という問題があった。この様な光学的な微小異物は、光
学用途、特に光ディスク等に使用する際、エラーの原因
となるため好ましくない。
【0005】従来、ポリカーボネートの着色は溶融ポリ
マーの接液部の材質と密接に関係していることが知られ
ており、ステンレススチール製のリアクターを用いた場
合、着色が免れ得ないことが指摘されていた。例えば、
米国特許第4383092号明細書には、この着色を防
止するために、リアクターの材質としてタンタル、ニッ
ケル、またはクロムを用いることが提案されている。ま
た、特開平4−72327号公報、特開平4−8801
7号公報では、各々クロムまたはニッケルを85重量%
以上含むリアクター材質、及び鉄含有量が20重量%以
下のリアクター材質を用いることが提案されている。こ
れらの材質は、ステンレススチールに比べて入手しにく
かったり、施工しにくい等の問題を有している。この様
な問題を低減するため、特開平6−345860号公報
では、反応液と接触する材質として前重合工程では鉄含
量20重量%以下、後重合工程では鉄含量20重量%超
の材質を用いる方法が開示されている。該公報の方法に
より、鉄含量20重量%以下の材質の使用量は相対的に
低下するものの、前重合工程における反応液との接液部
に全て鉄含量20重量%以下の材質を用いることは、特
に配管材質を選定する際に上述のような入手のしにく
さ、施工のしにくさ等の不都合が生じる点で問題を有し
ていた。
【0006】また、リアクター材質としてステンレスス
チールを用いる方法も提案されている(特開平4−73
28号公報、特開平4−7329号公報)。これらの公
報では、ステンレススチールをバフ仕上げしたり、酸洗
する方法が提案されているが、製品着色を充分に防止す
ることはできていない。本発明者等は、特開平6−56
984号公報において芳香族ヒドロキシ化合物を含有す
る液で洗浄処理したステンレススチール製のリアクター
を用いる方法を提案した。このようなリアクターにより
製品着色の少ない芳香族ポリカーボネートを製造するこ
とが可能となったが、さらに製品着色を低減し、微小異
物を少なくする上で配管の材質を如何に選定すべきかに
ついては、従来知られていない。
【0007】溶融重縮合法で異物の少ない芳香族ポリカ
ーボネートを製造するための方法として、例えば特開平
5−239334号公報には、芳香族ジヒドロキシ化合
物と炭酸ジエステルを触媒の存在下に溶融重縮合させた
後、反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にあ
る間に、添加剤を添加し混練し、場合によっては混練後
ポリマーフィルターで濾過することによって異物の少な
い光学用ポリカーボネートを製造できることが記載され
ている。
【0008】しかしながら、この方法で1μm以上の比
較的大きな異物を低減することはできても、1μm以下
の微小異物を充分に減らすことは困難である。また、絶
対濾過精度が1μm以下のポリマーフィルターを用いる
ことは、ポリカーボネートの溶融粘度が高いために押出
機の負荷が極めて大きくなる上に目詰まりも早く現実的
でない。事実、実施例で用いているポリマーフィルター
は濾過精度5μmであり、1μm以下の異物量について
は全く記載されていない。特開平6−234845号公
報には、少なくとも2基の反応器を直列に用いて、芳香
族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合
する際、最終反応器より前及び最終反応器出口の各々に
少なくとも1基のフィルターを設ける方法が記載されて
いる。該公報においても、最終反応器出口に設けられる
フィルターの絶対濾過精度は5μm以上であり、1μm
以下の微小異物を減らすことはできない。
【0009】また、特開平7−207015号公報で
は、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トとをフタルイミドリチウム等の存在下で重合すること
によって、副反応が抑制され、分岐反応に起因する不溶
異物の生成が抑制されることが示されている。しかし、
該公報においても1μm以上の異物生成を抑制すること
はできても1μm以下の微小異物を充分に低減すること
はできない。
【0010】すなわち、1μm以下の微小異物の少ない
芳香族ポリカーボネートを溶融重縮合法で製造する方法
についてはこれまでに全く知られていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融重縮合
法により芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、着
色が少なく、微小異物も少ない高品質の芳香族ポリカー
ボネートを、特殊な配管材質を用いることなく、押出機
の負荷を高めることなく、フィルター目詰まりの問題も
生じさせずに製造する方法を提供する事を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を進めた結果、芳香族ポリカー
ボネートを製造する際に、溶融ポリマーを移送する配管
内の溶融ポリマーの移送速度を適正化する事によりその
目的を達成できる事を見いだし、本発明を完成させるに
至った。
【0013】すなわち、本発明は、以下のとおりであ
る。 (1)芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネ
ートから、1基又は2基以上の重合器を用い溶融状態で
重合し、重合途中の溶融ポリマーまたは重合終了後の溶
融ポリマーを配管で移送して芳香族ポリカーボネートを
製造するに際し、該溶融ポリマーの移送速度が、溶融ポ
リマーの数平均分子量が2500未満では0.05m/
秒以上であり、溶融ポリマーの数平均分子量が2500
以上では0.005m/秒以上である事を特徴とする芳
香族ポリカーボネートの製法、 (2)配管の接液部の材質が鉄含量20重量%以上であ
る(1)記載の芳香族ポリカーボネートの製法。
【0014】(3)配管の接液部を芳香族モノヒドロキ
シ化合物を含有する液で洗浄処理された配管である
(1)又は(2)記載の芳香族ポリカーボネートの製
法。溶融重合法で芳香族ポリカーボネートを製造する
際、特に前重合工程で鉄を20重量%以上含有する材質
を用いると着色することが知られており、溶融ポリマー
を移送する配管についても当然接液部は鉄を20重量%
以下含有する材質が着色面からは好ましいと考えられて
いた。また、微小異物の混入経路、又は生成経路につい
ては従来ほとんど明らかになっておらず、異物を低減す
るためには、フィルターにより生成した異物を除去する
方法が主にとられてきた。ところが本発明者らが鋭意検
討した結果、意外にも溶融ポリマーの移送速度を溶融ポ
リマーの数平均分子量に応じて適切に設定することによ
り、接液部に鉄含量20重量%以上の材質を使用しても
製品の着色がなく、しかも微小異物の少ない高品質の芳
香族ポリカーボネートを製造できることが明らかになっ
たのである。
【0015】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、HO−
Ar−OHで示される化合物である(式中、Arは2価
の芳香族基を表す。)。芳香族基Arは、好ましくは例
えば、−Ar1 −Y−Ar2 −で示される2価の芳香族
基である(式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれ
ぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環
式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価の
アルカン基を表す。)。
【0016】2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、
一つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の
置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアル
キル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、
フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミ
ド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても
良い。
【0017】複素環式芳香族基の好ましい具体例として
は、1ないし複数の環構成窒素原子、酸素原子又は硫黄
原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。2価の芳香
族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェ
ニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非
置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前
述のとおりである。
【0018】2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1
で示される有機基である。
【0019】
【化1】
【0020】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々
独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロア
ルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、
炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3
〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて
個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1
〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、
1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以
上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置
換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェ
ノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド
基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良
い。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化2で示されるものが挙げられる。
【0021】
【化2】
【0022】(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびn
は1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれ
ぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4
の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであっ
てもよい。) さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar1 −Z−Ar2
−で示されるものであっても良い。
【0023】(式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、
Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO
2 −、−SO−、−COO−、−CON(R1 )−など
の2価の基を表す。ただし、R1 は前述のとおりであ
る。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化3で示されるものが挙げられる。
【0024】
【化3】
【0025】(式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述
のとおりである。) さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換ま
たは非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレ
ン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。本
発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種
類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ
化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げら
れる。
【0026】本発明で用いられるジアリールカーボネー
トは、下記化4で表される。
【0027】
【化4】
【0028】(式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の
芳香族基を表す。) Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は複素環式芳香
族基を表すが、このAr3 、Ar4 において、一つ以上
の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、
例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキ
シ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニ
トロ基などによって置換されたものであっても良い。A
3 とAr4 は同じものであっても良いし、異なるもの
であっても良い。
【0029】1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例
としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピ
リジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以
上の置換基で置換されたものでも良い。好ましいAr3
及びAr4 としては、それぞれ例えば、下記化5などが
挙げられる。
【0030】
【化5】
【0031】ジアリールカーボネートの代表的な例とし
ては、下記化6で示される置換または非置換のジフェニ
ルカーボネート類を挙げる事ができる。
【0032】
【化6】
【0033】(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素
原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜
10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜
5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ
異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、
各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。) このジフェニルカーボネート類の中でも、非置換のジフ
ェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t
−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置
換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカー
ボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジア
リールカーボネートである非置換のジフェニルカーボネ
ートが好適である。
【0034】これらのジアリールカーボネート類は単独
で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良
い。芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重
合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリール
カーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し
て、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜
2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割
合で用いられる。
【0035】本発明の方法で得られる芳香族ポリカーボ
ネートの数平均分子量は、通常5000〜100000
の範囲であり、好ましくは5000〜30000の範囲
である。本発明の芳香族ポリカーボネートの製法は、上
記のような芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカー
ボネートとから、触媒の存在もしくは不存在下で、減圧
下および/または不活性ガスフロー下で加熱しながら溶
融状態でエステル交換反応にて重縮合する方法であり、
その重合器には特に制限はない。例えば、攪拌槽型反応
器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二
軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、
自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤー
に沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板
型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせた
重合器が用いられる。重合は、バッチ方式、連続方式の
いずれも可能である。また、重合後、芳香族ポリカーボ
ネートが溶融状態にある間に安定剤、添加剤等を添加す
るための装置として、押出機やポリマーミキサー等を重
合器と組み合わせて用いることも好ましい方法である。
これらの重合器の材質について特に制限はなく、通常ス
テンレススチールやニッケル、グラスライニング等から
選ばれる。前重合工程、すなわち数平均分子量2500
未満の溶融ポリマーを製造する工程の重合器には鉄含量
20重量%未満の材質、例えばニッケル、グラスライニ
ング、インコネル600、ハステロイC−276等を用
い、後重合工程、すなわち数平均分子量2500以上の
溶融ポリマーを製造する工程の重合器には鉄含量20重
量%以上の材質、例えばSUS304、SUS304
L、SUS316、SUS316L等のステンレススチ
ールを用いることも好ましい方法である。
【0036】本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合
物とジアリールカーボネートとを反応させて芳香族ポリ
カーボネートを製造するに当たり、反応の温度は、通常
50〜350℃、好ましくは100〜300℃の温度の
範囲で選ばれる。反応の進行にともなって、芳香族モノ
ヒドロキシ化合物が生成してくるが、これを反応系外へ
除去する事によって反応速度が高められる。従って、窒
素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガ
スなど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを導入し
て、生成してくる該芳香族モノヒドロキシ化合物をこれ
らのガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に反応を
行う方法などが好ましく用いられる。好ましい反応圧力
は、分子量によっても異なり、重合初期には10mmH
g〜常圧の範囲が好ましく、重合後期には、20mmH
g以下、特に10mmHg以下が好ましく、2mmHg
以下とすることが更に好ましい。
【0037】溶融重縮合反応は、触媒を加えずに実施す
る事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて
触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野
で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸
化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金
属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化
ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニ
ウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ
金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩
類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシ
ウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素
化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシ
ド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシ
ド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシ
ド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(A
rはアリール基)などのアルカリ金属またはアルカリ土
類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシ
ウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜
鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ
酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリ
ブチル、ホウ酸トリフェニル、(R 1 R 2 R 3 R 4)NB(R
1 R 2 R 3 R 4)で表されるアンモニウムボレート類、(R
1 R 2 R 3 R 4)PB(R 1 R 2 R 3 R 4)で表されるホスホ
ニウムボレート類(R 1 、R 2 、R 3 、R 4 は前記化1
の説明通りである。)などのホウ素の化合物類;酸化ケ
イ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テト
ラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ
素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化
ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウム
フェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化ス
ズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキ
シレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどの
アルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合
物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢
酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキ
シドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級ア
ンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニ
ウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸
アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガ
ン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化
合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリ
ーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウ
ム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又
はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなど
のジルコニウムの化合物類などの触媒を挙げる事ができ
る。
【0038】触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だ
けで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても
良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物100重量部に対して、通常10-8
1重量部、好ましくは10-7〜10-1重量部の範囲で選
ばれる。本発明において、重合途中の溶融ポリマーまた
は重合終了後の溶融ポリマーを配管で移送するが、重合
途中の溶融ポリマーを移送する配管は例えば複数の重合
器を用いて重合する際、途中まで重合した溶融ポリマー
を次の重合器に移送するために必要であり、重合終了後
の溶融ポリマーを移送する配管は重合終了後の溶融ポリ
マーを重合器から排出する際や溶融状態にある間にポリ
マーミキサーや押出機等に移送する場合等に必要とな
る。溶融ポリマーとは、溶融状態にある芳香族ポリカー
ボネート、及び溶融状態にある芳香族ポリカーボネート
プレポリマーの総称である。ここで、芳香族ポリカーボ
ネートプレポリマーとは、芳香族ジヒドロキシ化合物と
ジアリールカーボネートとから、本発明の芳香族ポリカ
ーボネートを製造する際の中間段階における、最終製品
の芳香族ポリカーボネートより分子量の低い重縮合物を
意味する。
【0039】本発明において、重合途中の溶融ポリマー
または重合終了後の溶融ポリマーを移送する配管の接液
部の材質は鉄含量20重量%以上である事が好ましい。
接液部とは、配管において溶融ポリマーと接触する表面
を意味する。鉄含量20重量%未満の特殊な材質は、入
手の困難さや、施工、すなわち切削加工や溶接の困難さ
から工業的には好ましくない。本発明により、配管の接
液部の材質として鉄含量20重量%以上の汎用的な施工
しやすい材料を用いることができるのである。鉄含量2
0重量%以上の材質としては特に限定されないが、鉄以
外の成分としてニッケルやクロムを含むものが好まし
い。このような材質としては、SS(鉄100重量%)
や、ステンレス鋼便覧第13〜21頁(日刊工業新聞社
発行、第5版)に定義、分類されるような通常クロムを
10〜30重量%含む、マルテンサイト系、フェライト
系、オーステナイト系、フェライト・オーステナイト系
等のステンレス鋼や、上記ステンレス鋼便覧547頁の
表に示されるようなFe基超合金等があげられる。具体
例としては、SUS201、SUS202、SUS30
4、SUS304L、SUS316、SUS316L、
SUS347、SUS405、SUS430、SUS4
03、SUS410、SUS431、SUS440C、
SUS630、インコロイ800、インコロイ801、
インコロイ802、インコロイ807、インコロイ90
1、LCN155、W545、V57、W545、D9
79、CG27、S590等があげられる。好ましい具
体例としてはSUS304、SUS304L、SUS3
16、SUS316L等があげられ、特に好ましくはS
US316Lがあげられる。これら鉄含量20重量%以
上の材質は1種類を用いても構わないが、いくつかを組
み合わせて用いても良い。メッキや溶射、クラッド等を
施した配管でも構わない。また、配管の接液面の一部に
鉄含量20重量%未満の材質、例えばニッケルやインコ
ネル600、インコネル657等を用いても構わない。
【0040】本発明において溶融ポリマーの配管での移
送速度は、溶融ポリマーの数平均分子量が2500未満
では0.05m/秒以上、好ましくは0.1m/秒以上
であり、更に好ましくは0.2m/秒以上である。0.
05m/秒より移送速度が遅い場合は、配管の接液面の
材質として鉄含量20重量%以上のものを用いた場合に
製品となる芳香族ポリカーボネートのカラーが悪くな
る。移送速度の上限に特に制限はないが、配管の圧力が
大きくなりすぎず工業的に可能な範囲で選択され、通常
10m/秒以下であり、好ましくは4m/秒以下であ
る。
【0041】溶融ポリマーの配管での移送速度は、溶融
ポリマーの数平均分子量が2500以上では0.005
m/秒以上、好ましくは0.01m/秒以上であり、更
に好ましくは0.015m/秒以上である。0.005
m/秒より移送速度が遅い場合は、製品となる芳香族ポ
リカーボネートの微小異物量が増大する。移送速度の上
限に特に制限はないが、配管の圧力が大きくなりすぎず
工業的に可能な範囲で選択され、通常4m/秒以下であ
り、好ましくは1m/秒以下である。
【0042】溶融ポリマーの移送速度を本発明の範囲内
とするための移送手段に特に制限はないが、通常、ギヤ
ポンプ、プランジャーポンプ、スクリューポンプ、渦巻
きポンプ、モーノポンプ、ダイヤフラムポンプ等の移送
ポンプを用いて移送する。イナートガス等で加圧して圧
送によって移送することも可能である。また、本発明の
移送速度は、m/秒の単位で表されるいわゆる線速度で
あり、m3 /秒で表される体積速度を配管の断面積(m
2 )で割った値である。従って、体積速度が一定であっ
ても、配管の断面積を選択することによって、溶融ポリ
マーの移送速度を本発明の範囲内にすることができる。
【0043】本発明において、溶融ポリマーを移送する
ための配管の合計距離は、通常用いられる範囲内におい
ては特に制限はなく、数平均分子量2500未満、25
00以上のいずれにおいても通常200m以下であり、
100m以下であることが好ましく、50m以下である
ことが更に好ましい。本発明の方法を達成する配管の形
状についても特に制限はないが、局所的に溶融ポリマー
が滞留しない構造であることが好ましい。
【0044】本発明の配管の接液部はAr5 OHで示さ
れる芳香族モノヒドロキシ化合物を含有する液で洗浄処
理されていることが好ましい(式中、Ar5 は、前記A
3、Ar4 と同じである。)。好ましいAr5 の具体
例としては、前記化5等が挙げられる。特に最も簡単な
構造であるフェノールが好適である。芳香族モノヒドロ
キシ化合物を含有する液とは、芳香族モノヒドロキシ化
合物を重量で10ppm〜100%、好ましくは100
ppm〜100%、更に好ましくは1000ppm〜1
00%含有する液である。本発明で用いられる芳香族ヒ
ドロキシ化合物を含有する液において、芳香族ヒドロキ
シ化合物以外の成分については特に制限はないが、洗浄
処理する条件下で芳香族ヒドロキシ化合物と均一に混合
される成分が好ましい。具体例としては、前述した芳香
族ジヒドロキシ化合物やジアリールカーボネート類、及
びその混合物などが挙げられる。また、芳香族ジヒドロ
キシ化合物とジアリールカーボネートを溶融下で縮合さ
せたオリゴマーやポリマーは、通常、芳香族ヒドロキシ
化合物を含有しており、好適な具体例である。配管を洗
浄する温度に特に制限はないが、通常20〜300℃、
好ましくは100〜250℃である。また、配管を洗浄
する時間にも特に制限はないが、通常数分〜数100時
間、好ましくは1〜100時間の範囲である。洗浄処理
する圧力は減圧、常圧、加圧のいずれも可能である。洗
浄処理はバッチ方式、連続方式のいずれでも実施でき
る。このような洗浄処理が、配管の接液部だけでなく重
合器の接液部にも施されることは、特に好ましい方法で
ある。
【0045】本発明において、異物を低減させるための
フィルターは必ずしも必要ではないが、設置しても構わ
ない。特に好ましいのは数平均分子量があまり高まって
いない状態の溶融ポリマー中の異物をフィルターによっ
て除去する方法である。製造された数平均分子量の高い
芳香族ポリカーボネート中の異物をポリマーフィルター
等によって除去しても構わないが、押出機の負荷を高め
ない範囲で実施することが好ましい。本発明の方法によ
れば異物の発生量を低減させることができるので、フィ
ルターの目詰まりを起こしたり押出機の負荷を高めたり
させない事が可能である。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。 ・数平均分子量(Mn):テトラヒドロフランを溶媒と
して用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC){カラム:TSK−GEL,東ソー(株)
製}法で測定し、標準単分散ポリスチレンを用いて得た
下式による換算分子量較正曲線を用いて求めた。 MPC=0.3591MPS 1.0388 (式中、MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPS
はポリスチレンの分子量を示す。) ・カラー:射出成形機(J100E、日本製鋼社製)を
用い、芳香族ポリカーボネートをシリンダー温度290
℃、金型温度90℃で、縦50mm×横50mm×厚さ
3.2mmの試験片を連続成形した。得られた試験片の
色調はCIELAB法(Comission Inetrnationale de
l'Eclairage 1 9 7 6 L *a*bDiagram)により測定
し、黄色度をb* 値で示した。 ・微小異物量:溶融ポリマー中に含まれる0.5μmか
ら1.0μmの範囲の微小異物の量は、塩化メチレン溶
媒で芳香族ポリカーボネートを溶解し、液中微粒子計測
器(HIAC/ROYCO MODEL346B Pacific Scientific LTD社
製)によって測定した。 ・配管中の移送速度:移送する溶融ポリマーの体積速度
V(m3/秒)と配管の断面積S(m2)から、下式によ
って求めた。 移送速度=V/S なお、体積速度Vは、流量計、又は移送ポンプのストロ
ーク数または回転数に対する流量の関係を表すあらかじ
め作成された検量線を用いて求めた。
【0047】
【実施例1】図1に示すようなプロセスで、芳香族ポリ
カーボネートを製造した。撹拌槽型重合器3はバッチ的
に運転し、貯槽10以降は連続的に運転した。撹拌槽型
重合器3(容量200リットル)、17(容量50リッ
トル)、26(容量50リットル)は、いずれも攪拌翼
を備えており、接液部の材質はニッケルである。貯槽1
0の接液部の材質もニッケルである。横型二軸攪拌型重
合器35(容量30リットル)は、L/D=6で回転直
径140mmの二軸の攪拌羽根を有しており、接液部の
材質はSUS316Lである。ワイヤ付多孔板型重合器
42は、孔径5mmの孔、50個有する多孔板43を備
えており、接液部の材質はSUS316Lである。孔の
中心から鉛直に1mm径のSUS316L製ワイヤ44
を重合器下部の液溜まで垂らしてあり、落下する高さは
8mである。各重合器間をつなぐ移送配管7、13、1
5、24、33、40、50の接液部の材質はいずれも
SUS316Lである。各重合器、貯槽及び全ての移送
配管の接液部は重合に先立ちフェノールで150℃で洗
浄されている。
【0048】撹拌槽型第1重合器3は、反応温度180
℃、反応圧力常圧、シール窒素ガス流量1リットル/h
rの条件である。撹拌槽第1重合器3に、充分に脱気し
たビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビス
フェノールAモル比1.10)を80kgと、水酸化ナ
トリウム7mgを仕込み5Hr溶融混合し、溶融した数
平均分子量350の溶融ポリマーを全量圧送により、移
送配管7から移送速度0.09m/秒で貯槽10に移送
した。移送の体積速度は、移送配管7に備えつけられた
流量計(図示しない)により測定した。
【0049】貯槽10は、常圧、180℃に保たれてい
る。貯槽10に移送された溶融ポリマーは、プランジャ
ーポンプ14により10kg/hrで連続に攪拌槽型第
2重合器17に供給した。移送配管13及び15の移送
速度は0.1m/秒である。攪拌槽型第1重合器3で
は、貯槽10の溶融ポリマーがなくなる前に上記と同様
の方法で、数平均分子量350の溶融ポリマーを製造
し、再び移送速度0.09m/秒で貯槽10に移送す
る。この後、同様にして撹拌槽型第1重合器3でバッチ
的に数平均分子量350の溶融ポリマーを製造し、貯槽
10に供給し続けた。攪拌槽型第2重合器17は、反応
温度235℃、反応圧力100mmHgの条件であり、
溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容
量20リットルを一定に保つように攪拌槽型第3重合器
26に数平均分子量850(運転開始から300時間後
の測定値)の溶融ポリマーをギアポンプにより連続に供
給した。移送配管24の移送速度は0.08m/秒であ
る。攪拌槽型第3重合器26は、反応温度250℃、反
応圧力6mmHgの条件であり、溶融ポリマーの液容量
が20リットルに達したら、液容量20リットルを一定
に保つように横型二軸攪拌型重合器35に数平均分子量
2400(運転開始から300時間後の測定値)の溶融
ポリマーをギアポンプにより連続に供給した。移送配管
33の移送速度は0.06m/秒である。横型二軸攪拌
型重合器35では、反応温度275℃、反応圧力0.5
mmHgの条件であり、溶融ポリマーの液容量が10リ
ットルに達したら、液容量10リットルを一定に保つよ
うにワイヤ付多孔板型重合器42に数平均分子量630
0(運転開始から300時間後の測定値)の溶融ポリマ
ーをギアポンプにより供給した。移送配管40の移送速
度は0.02m/秒である。ワイヤ付多孔板型重合器4
2では、反応温度260℃、反応圧力0.4mmHgの
条件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が20
リットルに達したら、液容量20リットルを保つよう
に、移送配管50を経て抜き出し口51より数平均分子
量10500(運転開始から300時間後の測定値)の
芳香族ポリカーボネートをギアポンプにより抜き出し
た。移送配管50の移送速度は0.02m/秒である。
運転開始から300時間後に抜き出し口51より得られ
た芳香族ポリカーボネートのストランドをストランドカ
ッターでペレットにし、上記の評価方法により評価した
結果、カラーb* 値は、3.3と良好であり、0.5μ
mから1.0μmの範囲の微小異物の量は880個/g
と少なかった。
【0050】
【実施例2〜4】移送配管7、13、15、24、3
3、40、50の移送速度を変える以外は、実施例1と
全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。移送配
管7、24、33、40、50の数平均分子量は、実施
例1と同じであった(移送配管7以外は、運転開始から
300時間後の測定値)。300時間後に抜き出し口5
1より得られた芳香族ポリカーボネートのカラーb
* 値、及び0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物
の量をまとめて表1に示す。
【0051】
【比較例1〜3】移送配管7、13、15、24、3
3、40、50の移送速度を変える以外は、実施例1と
全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。移送配
管7、24、33、40、50の数平均分子量は、実施
例1と同じであった(移送配管7以外は、運転開始から
300時間後の測定値)。300時間後に抜き出し口5
1より得られた芳香族ポリカーボネートのカラーb
* 値、及び0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物
の量をまとめて表1に示す。
【0052】
【実施例5】各重合器間をつなぐ移送配管7、13、1
5、24、33、40、50の接液部の材質をSUS3
04Lとする以外は、実施例1と全く同様に芳香族ポリ
カーボネートを製造した。移送配管7、24、33、4
0、50の溶融ポリマーの数平均分子量は実施例1と同
様であった(移送配管7以外は、運転開始から300時
間後の測定値)。300時間後に抜き出し口51より得
られた芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値は、3.
4と良好であり、0.5μmから1.0μmの範囲の微
小異物の量は、920個/gと少なかった。
【0053】
【実施例6】各重合器間をつなぐ移送配管7、13、1
5、24、33、40、50の接液部の材質をSUS3
16とする以外は、実施例1と全く同様に芳香族ポリカ
ーボネートを製造した。移送配管7、24、33、4
0、50の溶融ポリマーの数平均分子量は実施例1と同
様であった(移送配管7以外は、運転開始から300時
間後の測定値)。300時間後に抜き出し口51より得
られた芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値は、3.
3と良好であり、0.5μmから1.0μmの範囲の微
小異物の量は、900個/gと少なかった。
【0054】
【実施例7】攪拌槽型第3重合器26の反応圧力を3m
mHgとし、横型二軸攪拌槽型重合器35の反応圧力を
0.6mmHgとする以外は、実施例1と全く同様に芳
香族ポリカーボネートを製造した。移送配管7、24、
33、40、50の溶融ポリマーの数平均分子量は、移
送配管33が2800である以外は、全て実施例1と同
様であった(移送配管7以外は、運転開始から300時
間後の測定値)。300時間後に抜き出し口51より得
られた芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値は、3.
3と良好であり、0.5μmから1.0μmの範囲の微
小異物の量は、870個/gと少なかった。
【0055】
【実施例8】移送配管33の移送速度を0.03m/秒
とする以外は、実施例7と全く同様に芳香族ポリカーボ
ネートを製造した。移送配管7、24、33、40、5
0の溶融ポリマーの数平均分子量は、実施例7と同じで
あった(移送配管7以外は、運転開始から300時間後
の測定値)。300時間後に抜き出し口51より得られ
た芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値は、3.4と
良好であり、0.5μmから1.0μmの範囲の微小異
物の量は、890個/gと少なかった。
【0056】
【実施例9】ビスフェノールAのかわりに1,1−ビス
−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサンを用いる他は、実施例1と全く同様に
して芳香族ポリカーボネートを製造した。攪拌槽型第1
重合器3で5Hr溶融混合して得られた溶融ポリマーの
数平均分子量は340であった。また、運転開始から3
00時間後の移送配管24、33、40、50の数平均
分子量は各々830、2300、6100、10100
であった。300時間後に抜き出し口51より得られた
芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値は3.4と良好
であり、0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物の
量は980個/gと少なかった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】着色が少なく、微小異物も少ない高品質
の芳香族ポリカーボネートを、特殊な配管材質を用い
ず、押出機の負荷を高めることなく、フィルター目詰ま
りの問題も生じさせずに製造する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロセスの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 原料供給口 2、9、19、28、36、46 ベント口 3 攪拌槽型第1重合器 4、18、27、39 攪拌軸 5、11、20、29、47 溶融ポリマー 6、12、21、30、37、48 排出口 7、13、15、24、33、40、50 移送配管 8、16、25、34、41 供給口 10 貯槽 14、23、32、38、49 移送ポンプ 17 攪拌槽型第2重合器 22、31、45 ガス供給口 26 攪拌槽型第3重合器 35 横型二軸攪拌型重合器 42 ワイヤ付多孔板型重合器 43 多孔板 44 ワイヤ 51 製品排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−206997(JP,A) 特開 平10−7783(JP,A) 特開 平6−345860(JP,A) 特開 平7−62076(JP,A) 特開 平6−56984(JP,A) 特開 平8−165342(JP,A) 特開 平6−200008(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリール
    カーボネートから、1基又は2基以上の重合器を用い溶
    融状態で重合し、重合途中の溶融ポリマーまたは重合終
    了後の溶融ポリマーを配管で移送して芳香族ポリカーボ
    ネートを製造するに際し、該溶融ポリマーの移送速度
    が、溶融ポリマーの数平均分子量が2500未満では
    0.05m/秒以上であり、溶融ポリマーの数平均分子
    量が2500以上では0.005m/秒以上である事を
    特徴とする芳香族ポリカーボネートの製法。
  2. 【請求項2】 配管の接液部の材質が鉄含量20重量%
    以上である請求項1記載の芳香族ポリカーボネートの製
    法。
  3. 【請求項3】 配管の接液部が芳香族モノヒドロキシ化
    合物を含有する液で洗浄処理された配管である請求項1
    又は2記載の芳香族ポリカーボネートの製法。
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