JPH10324742A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法

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JPH10324742A
JPH10324742A JP9133956A JP13395697A JPH10324742A JP H10324742 A JPH10324742 A JP H10324742A JP 9133956 A JP9133956 A JP 9133956A JP 13395697 A JP13395697 A JP 13395697A JP H10324742 A JPH10324742 A JP H10324742A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色のない機械的物性に優れた高品質な芳香
族ポリカーボネートを、大量の不活性ガスを使用するこ
となく、高い重合速度で製造する。 【解決手段】 溶融法による芳香族ポリカーボネートを
製造するに際し、重合途中の溶融ポリマーを不活性ガス
吸収設備で処理して不活性ガスを吸収させた後、減圧下
で重合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱
性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプ
ラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いら
れている。この芳香族ポリカーボネートの製造方法につ
いては、従来種々の研究が行われ、その中で、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAとい
う。)とホスゲンとの界面重縮合法が工業化されてい
る。
【0003】しかしながら、この界面重縮合法において
は、有毒なホスゲンを用いなければならないこと、副生
する塩化水素や塩化ナトリウム及び、溶媒として大量に
用いる塩化メチレンなどの含塩素化合物により装置が腐
食すること、ポリマー物性に悪影響を及ぼす塩化ナトリ
ウムなどの不純物や残留塩化メチレンの分離が困難なこ
となどの問題があった。
【0004】一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリ
ールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製
造する方法としては、例えば、ビスフェノールAとジフ
ェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生
するフェノールを抜き出しながら重合する溶融法が以前
から知られている。溶融法は、界面重縮合法と異なり、
溶媒を使用しないなどの利点がある一方、重合が進行す
ると共にポリマーの粘度が上昇し、副生するフェノール
などを効率よく系外に抜き出す事が困難になり、重合度
を上げにくくなるという本質的な問題があった。
【0005】従来、芳香族ポリカーボネートを溶融法で
製造するための重合器としては、種々の重合器が知られ
ている。攪拌機を備えた竪型の攪拌槽型重合器を用いる
方法は一般に広く知られている。しかしながら、竪型の
撹拌槽型重合器は小スケールでは容積効率が高く、シン
プルであるという利点を有し、効率的に重合を進められ
るが、工業的規模では、上述したように重合の進行と共
に副生するフェノールを効率的に系外に抜き出す事が困
難となり重合速度が極めて低くなるという問題を有して
いる。
【0006】すなわち、大スケールの竪型の撹拌槽型重
合器は、通常、蒸発面積に対する液容量の比率が小スケ
ールの場合に比べて大きくなり、いわゆる液深が大きな
状態となる。この場合、重合度を高めていくために真空
度を高めていっても、撹拌槽の下部は液深があるために
実質上高い圧力で重合される事になり、フェノール等は
効率的に抜けにくくなるのである。
【0007】この問題を解決するため、高粘度状態のポ
リマーからフェノール等を抜き出すための工夫が種々な
されている。例えば特公昭50−19600号公報で
は、ベント部を有するスクリュー型重合器を用いる方
法、特公昭52−36159号公報では、噛合型2軸押
出機を用いる方法、また特公昭53−5718号公報で
は、薄膜蒸発型反応器、例えばスクリュー蒸発器や遠心
薄膜蒸発器等を用いる方法が記載されており、さらに特
開平2−153923号公報では、遠心薄膜型蒸発装置
と横型撹拌重合槽を組み合わせて用いる方法が具体的に
開示されている。
【0008】溶融法で芳香族ポリカーボネートを製造す
る際、不活性ガス存在下で重合を実施する方法について
は広く知られている。例えば米国特許第2964297
号及び3153008号明細書には、酸化的な二次反応
を避けるために、減圧下、不活性ガスを使用してエステ
ル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する方法
が記載されており、製造する芳香族ポリカーボネートに
対して少量の不活性ガスが重合器内に供給されている。
一方、フェノール等を重合系外に抜き出すために大量の
不活性ガスを使用する方法として、特開平6−2069
97号公報には、オリゴカーボネート溶融物をオリゴカ
ーボネート1kg当たり1m3以上の不活性ガスと共に
常圧または加圧下で加熱管を通過させることで芳香族ポ
リカーボネートを製造させる方法が記載されている。し
かしながら、大量の不活性ガスを用いて芳香族ポリカー
ボネートを製造する方法は、重合に使用された不活性ガ
スを繰り返し重合に使用する場合、不活性ガス中の芳香
族モノヒドロキシ化合物を分離する必要が生じ、大きな
分離設備が必要となる。
【0009】本発明者等が開示した特開平7−2925
097号公報には、多孔板から自由落下させながら重合
させる方法で、着色のない高品質の芳香族ポリカーボネ
ートを高い重合速度で製造できることが示されており、
ワイヤに沿わせて落下させながら重合させる方法も記載
されている。該公報には、重合系内に不活性ガスを少量
供給する実施例も記載されている。また、特願平8−2
1003号において、不活性ガス流通下の空間中でガイ
ドに沿わせて落下させながら重合させる際に、不活性ガ
ス中に含まれる芳香族モノヒドロキシ化合物の不活性ガ
スに対する分圧比の範囲を特定し、不活性ガスの回収設
備が過大にならない方法を提案した。
【0010】上記のような、不活性ガスを用いてフェノ
ール等を効率的に抜き出して芳香族ポリカーボネートを
製造しようとする方法は、従来、いずれも重合器内に不
活性ガスを連続的に供給し、重合器内のフェノール等の
分圧を下げることによって重合を進行させる方法であっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、不純
物や残留塩化メチレンの分離の問題のない溶融法により
芳香族ポリカーボネートを製造する際、着色のない機械
的物性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを高い
重合速度で、大量の不活性ガスを使用することなく、工
業的に好ましい手段で製造する方法を提供する事であ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を進めた結果、少量の不活性ガ
スを特定の方法で重合途中の溶融ポリマーに吸収させる
事によりその目的を達成できる事を見いだし、本発明を
完成させるに至った。すなわち、本発明は、(A) 芳
香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートか
ら、1基又は2基以上の重合器を用い溶融法により芳香
族ポリカーボネートを製造する方法において、重合途中
の溶融ポリマーを不活性ガス吸収設備で不活性ガスを吸
収させた後、減圧下で重合させることを特徴とする芳香
族ポリカーボネートの製造方法、(B) 不活性ガス吸
収設備で重合途中の溶融ポリマーに不活性ガスを吸収さ
せた際の、該重合途中の溶融ポリマーの、不活性ガス吸
収前後での数平均分子量の変化が、1000以下である
ことを特徴とする上記(A)の芳香族ポリカーボネート
の製造方法、(C) 不活性ガス吸収設備の圧力P(P
a)が、重合途中の溶融ポリマーの不活性ガス吸収前の
数平均分子量Mnに対して、下記(1)式 P>4×1012Mn-2.6871 (1) の関係を満足することを特徴とする上記(A)又は
(B)の芳香族ポリカーボネートの製造方法、(D)
重合器が支持体に沿ってポリマーを溶融流下せしめて重
合を進行させる重合器であることを特徴とする上記
(A)、(B)又は(C)の芳香族ポリカーボネートの
製造方法、(E) 支持体に沿ってポリマーを発泡状態
で溶融流下せしめて重合を進行させることを特徴とする
上記(D)の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(F) 不活性ガスが窒素であることを特徴とする上記
(A)、(B)、(C)、(D)又は(E)の芳香族ポ
リカーボネートの製造方法、である。
【0013】従来、不活性ガスを用いてフェノール等を
効率的に抜き出して芳香族ポリカーボネートを製造しよ
うとする方法は、いずれの場合においても重合器内に不
活性ガスを供給する方法であったが、驚くべき事に、不
活性ガス吸収設備によって不活性ガスを吸収させた溶融
ポリマーを重合させた場合には、重合の際に重合器内に
不活性ガスを直接供給しなくても、不活性ガス吸収設備
を用いない場合に比べて格段に重合速度が高められる事
が明らかとなった。
【0014】重合器内に不活性ガスを連続的に供給して
流通させることによって重合速度が高まる理由について
は、重合器内のフェノール分圧を下げ、平衡的に重合を
有利に進めるためであると理解されている。しかし、本
発明においてはフェノール分圧をほとんど下げることの
ない少量の不活性ガスが溶融ポリマーに吸収されている
だけで重合速度が高まるため、不活性ガスの役割は従来
の理解では説明できない。驚くべきことに、不活性ガス
吸収設備によって不活性ガスを吸収させた溶融ポリマー
を重合させる場合には、該溶融ポリマーの発泡現象が激
しく、該溶融ポリマーの攪拌状態が極めて良くなること
が観察されており、この溶融ポリマーの内部及び表面状
態の変化が重合速度を高める原因になっているものと推
定される。
【0015】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、次式で
示される化合物である。 HO−Ar−OH(式中、Arは2価の芳香族基を表
す。)。 2価の芳香族基Arは、好ましくは例えば、次式で示さ
れるものである。 −Ar1 −Y−Ar2 − (式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれぞれ炭素
数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族
基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン
基を表す。)。
【0016】2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、
1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の
置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアル
キル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、
フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミ
ド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても
良い。
【0017】複素環式芳香族基の好ましい具体例として
は、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄
原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。2価の芳香
族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェ
ニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非
置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前
述のとおりである。
【0018】2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1
で示される有機基である。
【0019】
【化1】
【0020】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々
独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロア
ルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、
炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3
〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて
個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1
〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、
1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以
上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置
換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェ
ノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド
基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良
い。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化2で示されるものが挙げられる。
【0021】
【化2】
【0022】(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびn
は1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれ
ぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4
の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであっ
てもよい。) さらに、2価の芳香族基Arは、次式で示されるもので
あっても良い。 −Ar1 −Z−Ar2 − (式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、Zは単結合又
は−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO−、
−COO−、−CON(R1 )−などの2価の基を表
す。ただし、R1 は前述のとおりである。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化3に示されるものが挙げられる。
【0023】
【化3】
【0024】(式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述
のとおりである。) さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換ま
たは非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレ
ン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。本
発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種
類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ
化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げら
れる。
【0025】本発明で用いられるジアリールカーボネー
トは、下記化4で表される。
【0026】
【化4】
【0027】(式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の
芳香族基を表す。) Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は複素環式芳香
族基を表すが、このAr3 、Ar4 において、1つ以上
の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、
例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキ
シ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニ
トロ基などによって置換されたものであっても良い。A
3 、Ar4 は同じものであっても良いし、異なるもの
であっても良い。
【0028】1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例
としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピ
リジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以
上の置換基で置換されたものでも良い。好ましいAr3
及びAr4 としては、それぞれ例えば、下記化5に示さ
れるものなどが挙げられる。
【0029】
【化5】
【0030】ジアリールカーボネートの代表的な例とし
ては、下記化6で示される。
【0031】
【化6】
【0032】(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素
原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜
10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜
5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ
異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、
各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。) このジアリールカーボネート類の中でも、非置換のジフ
ェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t
−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置
換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカー
ボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジア
リールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好
適である。
【0033】これらのジアリールカーボネート類は単独
で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良
い。芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重
合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリール
カーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し
て、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜
2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割
合で用いられる。
【0034】本発明の方法で得られる芳香族ポリカーボ
ネートの数平均分子量は、通常500〜100000の
範囲であり、好ましくは2000〜30000の範囲で
ある。本発明において重合途中の溶融ポリマーとは、芳
香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから
製造される、目的とする重合度を有する芳香族ポリカー
ボネートより重合度の低い重合途中の溶融物を意味して
おり、もちろんオリゴマーやプレポリマーであっても良
い。
【0035】本発明においては、重合途中の溶融ポリマ
ーを不活性ガス吸収設備で不活性ガスを吸収させた後、
減圧下で重合を行う。不活性ガスの具体例としては、窒
素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガ
ス等が挙げられ、特に好ましいのは窒素である。不活性
ガス吸収設備とは、これらの不活性ガスを該溶融ポリマ
ーに吸収させることができる設備であれば特に型式に制
限はなく、例えば、化学装置設計・操作シリーズNo.
2、改訂ガス吸収49〜54頁(昭和56年3月15
日、化学工業社発行)に記載の充填塔型吸収装置、棚段
型吸収装置、スプレー塔式吸収装置、流動充填塔型吸収
装置、液膜十字流接触式吸収装置、高速旋回流方式吸収
装置、機械力利用方式吸収装置等の公知の設備や、不活
性ガス雰囲気下で該溶融ポリマーを支持体に沿わせて落
下させながら吸収させる設備等が挙げられる。
【0036】不活性ガス吸収設備で不活性ガスを吸収さ
せた際の重合途中の溶融ポリマーの、不活性ガス吸収前
後での数平均分子量の変化は、1000以下であること
が好ましい。不活性ガス吸収前後での数平均分子量の変
化とは、不活性ガスを吸収させた後の分子量と不活性ガ
スを吸収させる前の分子量の差、すなわち該不活性ガス
吸収設備における重合の進行度合を意味する。該数平均
分子量の変化が1000よりも大きい場合には、該溶融
ポリマーが不活性ガスを吸収する効率が悪くなる。この
理由については必ずしも明らかではないが、該数平均分
子量の変化が1000よりも大きい場合には、重合が進
行する際に発生する芳香族モノヒドロキシ化合物が不活
性ガスの吸収を妨げるものと推定される。該数平均分子
量の変化はより好ましくは600以下であり、更に好ま
しくは300以下である。
【0037】不活性ガス吸収設備の温度に特に制限はな
く、通常150〜350℃、好ましくは180〜300
℃、特に好ましくは、230〜290℃の範囲である。
不活性ガス吸収設備の圧力P(Pa)は、不活性ガス吸
収設備に供給する溶融ポリマーの数平均分子量Mnに対
して、下記(1)式 P>4×1012Mn-2.6871 (1) の関係を満足することが好ましい。不活性ガス吸収設備
の圧力P(Pa)が、(1)式の関係を満足しない場合
には、重合速度を高める効果が小さくなる。不活性ガス
吸収設備の圧力が常圧もしくは加圧であることは、吸収
速度を高め、結果的に吸収設備を小さくできる点で特に
好ましい。不活性ガス吸収設備の圧力の上限に特に制限
はないが、通常、2×107 Pa以下、好ましくは1×
107 Pa以下、更に好ましくは5×106 Pa以下で
ある。圧力が2×107 Paより高い場合には、耐圧設
計上設備が大きくなる。
【0038】該重合途中の溶融プレポリマー中への不活
性ガスの吸収量に特に制限はないが、通常0.01〜1
000重量ppm、好ましくは0.1〜500重量pp
m、更に好ましくは0.5〜200重量ppmの範囲で
ある。本発明において、重合は減圧下で実施される。好
ましい圧力は、製造する芳香族ポリカーボネートの種類
や分子量、重合温度等によっても異なるが、例えばビス
フェノールAとジフェニルカーボネートから芳香族ポリ
カーボネートを製造する場合、数平均分子量が1000
以下の範囲では、6660Pa(50mmHg)〜53
280Pa(400mmHg)の範囲が好ましく、数平
均分子量が1000〜2000の範囲では、400Pa
(3mmHg)〜6660Pa(50mmHg)の範囲
が好ましく、数平均分子量が2000以上の範囲では、
3990Pa(30mmHg)以下、特に2670Pa
(20mmHg)以下が好ましく、更に665Pa(5
mmHg)以下が好ましい。
【0039】本発明において、不活性ガスは不活性ガス
吸収設備で該溶融ポリマーに吸収させれば、重合器中に
直接供給する必要はないが、直接供給させるのも良い方
法である。ただし、不活性ガス吸収設備で該溶融ポリマ
ーに不活性ガスを吸収させずに、重合器中に不活性ガス
を直接供給するだけでは、本発明の方法に比べて、重合
速度が格段遅くなるだけでなく、得られた芳香族ポリカ
ーボネートの機械的特性、特に引張伸度が低くなること
が明らかとなった。この理由については明らかでない
が、重合器に直接不活性ガスを供給する場合に比べて、
不活性ガスを不活性ガス吸収設備で該溶融ポリマーに吸
収させた場合には、溶融ポリマーの発泡状態がより均一
になり、機械的特性も向上するものと考えられる。
【0040】本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合
物とジアリールカーボネートを反応させて芳香族ポリカ
ーボネートを製造するに当たり、反応の温度は、通常5
0〜350℃、好ましくは100〜290℃の範囲で選
ばれる。本発明の芳香族ポリカーボネートは、上記のよ
うな芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トとから、触媒の存在もしくは非存在下で、加熱しなが
ら溶融状態でエステル交換反応にて重縮合する方法であ
り、その重合器には特に制限はない。例えば、攪拌槽型
反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新
型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応
器、自由落下させながら重合させる多孔板型反応器、支
持体に沿ってポリマーを溶融落下せしめて重合を進行さ
せる重合器、例えばワイヤー付多孔板型反応器等を用
い、これらを単独もしくは組み合わせた重合器が用いら
れる。例えば重合の初期に芳香族ジヒドロキシ化合物と
ジアリールカーボネートから竪型攪拌槽を用いて重合し
て溶融ポリマーを製造し、その溶融ポリマーを表面更新
型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応
器、自由落下させながら重合させる多孔板型反応器、支
持体に沿ってポリマーを溶融落下せしめて重合を進行さ
せる重合器等を用いて重合させる方法等は、本発明の好
ましい態様の一つである。特に好ましい重合器は、支持
体に沿ってポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させ
る重合器である。支持体に沿ってポリマーを溶融落下せ
しめて重合を進行させる重合器では、上述した、不活性
ガス吸収設備によって不活性ガスを吸収した溶融ポリマ
ーを重合させる場合にポリマーの発泡現象が激しく、表
面の攪拌状態が極めて良くなる現象が特に顕著に発現す
ることが明らかとなった。すなわち、支持体に沿ってポ
リマーを発泡状態で溶融流下せしめて重合を進行させる
重合器を用いて重合させる方法は、本発明の最も好まし
い態様である。発泡状態については、例えば重合器にサ
イトグラスを設けることにより目視で観察することがで
きる。
【0041】支持体に沿ってポリマーを溶融落下せしめ
て重合を進行させる重合器において、溶融ポリマーは通
常を多孔板から供給された後、支持体に沿って落下す
る。多孔板は、通常、平板、波板、中心部が厚くなった
板などから選ばれ、多孔板の形状についは、通常、円
状、長円状、三角形状、多角形状などの形状から選ばれ
る。
【0042】多孔板の孔は、通常、円状、長円状、三角
形状、スリット状、多角形状、星形状などの形状から選
ばれる。孔の断面積は、通常、0.01〜100cm2
であり、好ましくは0.05〜10cm2 であり、特に
好ましくは0.1〜5cm2の範囲である。孔と孔との
間隔は、孔の中心と中心の距離で通常、1〜500mm
であり、好ましくは25〜100mmである。多孔板の
孔は、多孔板を貫通させた孔であっても、多孔板に管を
取り付けた場合でもよい。また、テーパー状になってい
てもよい。また、支持体とは、水平方向の断面の外周の
平均長さに対する該断面と垂直方向の長さの比率が非常
に大きい材料を表すものである。該比率は、通常、10
〜1000000の範囲であり、好ましくは50〜10
0000の範囲である。水平方向の断面の形状は、通
常、円状、長円状、三角形状、四角形状、多角形状、星
形状などの形状から選ばれる。該断面の形状は長さ方向
に同一でもよいし異なっていてもよい。また、支持体は
中空状のものでもよい。支持体は、針金状等の単一なも
のでもよいが、捩り合わせる等の方法によって複数組み
合わせたものでもよい。支持体の表面は平滑であっても
凹凸があるものであってもよく、部分的に突起等を有す
るものでもよい。支持体の材質は、通常、ステンレスス
チール製、カーボンスチール製、ハステロイ製、ニッケ
ル製、チタン製、クロム製、及びその他の合金製等の金
属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。
また、支持体の表面は、メッキ、ライニング、不働態処
理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の処理
がなされてもよい。支持体は、多孔板の孔に直接接続し
ていてもよいし、孔から離れていてもよい。好ましい具
体例としては、多孔板の各孔の中心部付近に各支持体が
貫通して接続しているもの、多孔板の各孔の外周部分に
支持体が接続しているもの等が挙げられる。支持体の下
端は、重合器のボトム液面に接していてもよいし、離れ
ていてもよい。
【0043】この多孔板を通じて溶融ポリマーを支持体
に沿わせて落下させる方法としては、液ヘッドまたは自
重で落下させる方法、またはポンプなどを使って加圧に
することにより、多孔板から溶融ポリマーを押し出す等
の方法が挙げられる。孔の数に特に制限はなく、反応温
度や圧力などの条件、触媒の量、重合させる分子量の範
囲等によっても異なるが、通常ポリマーを例えば100
kg/hr製造する際、10〜105 個の孔が必要であ
る。孔を通過した後、支持体に沿わせて落下させる高さ
は、好ましくは0.3〜50mであり、さらに好ましく
は0.5〜20mである。孔を通過させる溶融ポリマー
の流量は、溶融ポリマーの分子量によっても異なるが通
常、孔1個当たり、10-4〜104 リットル/hr、好
ましくは10-2〜102 リットル/hr、特に好ましく
は、0.05〜50リットル/hrの範囲である。支持
体に沿わせて落下させるのに要する時間に特に制限はな
いが、通常0.01秒〜10時間の範囲である。支持体
に沿わせて落下させた後の溶融ポリマーは、そのまま液
溜部に落下させてもよく、また巻き取り器等で強制的に
液溜部に取り込んでもよい。さらに、支持体に沿わせて
落下させた後の重合物はそのまま抜き出されても良い
が、循環させて、再び支持体に沿わせて落下させながら
重合させるのも好ましい方法である。この場合、支持体
に沿わせて落下させた後の液溜部や循環ライン等で重縮
合反応に必要な反応時間に応じて滞留時間を長くするこ
とができる。また、支持体に沿わせて落下させながら循
環を行うことにより単位時間に形成し得る新規な液表面
積が大きく取れるため、所望の分子量まで充分重合を進
行させる事が容易となる。
【0044】本発明で芳香族ポリカーボネートを製造す
る際、上記の重合器を1基又は2基以上用いるが、不活
性ガス吸収設備は少なくとも1基用いられる。2基以上
の重合器を用いる場合、全ての重合器の前に不活性ガス
吸収設備を設けても良いし、一部の重合器の前だけに不
活性ガス吸収設備を設けても良い。支持体に沿わせて落
下させながら重合させる重合器の前には全て不活性ガス
吸収設備を設けることは、本発明の好ましい態様であ
る。
【0045】エステル交換反応は触媒を加えずに実施す
る事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて
触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野
で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸
化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属
の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホ
ウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウ
ムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金
属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウム
などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化合物
類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カル
シウムメトキシドなどのアルカリ金属及びアルカリ土類
金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリ
ウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO
−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリー
ル基)などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアリ
ーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香
酸ナトリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属
の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシド
などの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナト
リウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸
トリフェニル、(R1 R 2 R 3 R 4)NB(R 1 R 2 R 3 R 4)
または(R1 R 2 R 3 R 4)PB(R 1 R 2 R 3 R 4) で表され
るアンモニウムボレート類またはホスホニウムボレート
類(R 1 、R 2 、R 3 、R 4 は前記化1の説明通りであ
る。)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナ
トリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ
素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素
の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、
ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドな
どのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルス
ズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸ス
ズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基また
はアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合
物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩
基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリー
ロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第
四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニ
ウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどの
アンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、
ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタ
ン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどの
チタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウ
ム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、
ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウムの化
合物類などの触媒を挙げる事ができる。
【0046】触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だ
けで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても
良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物に対して、通常10-8〜1重量%、好
ましくは10-7〜10-1重量%の範囲で選ばれる。本発
明の方法を達成する重合器や配管の材質に特に制限はな
く、通常ステンレススチールやニッケル、グラスライニ
ング等から選ばれる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて説明す
る。なお、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(以下、M
nと略す。)である。カラーは、280℃で射出成形し
て得られた厚み3.2mmの試験片を用いてCIELA
B法により測定し、黄色度をb* 値で示した。引張伸度
は、280℃で射出成形して得られた厚み3.2mmの
試験片を用いて、ASTM D638に準じて測定し
た。
【0048】
【実施例1】図1に示すような、不活性ガス吸収設備1
と複数の円柱状支持体13を有する重合器10からなる
プロセスを用いて、芳香族ポリカーボネートを製造し
た。不活性ガス吸収設備1は、太さ2mm、長さ4mの
SUS316製円柱状支持体4を7本備えており、供給
口2から供給された溶融ポリマーは分散板3により各円
柱状支持体4に均一に分配される。不活性ガス吸収設備
下部には不活性ガス供給口5が備えられており、上部に
は不活性ガス供給設備の圧力をコントロールするための
ベント口6が備えられている。不活性ガス吸収設備1の
外側はジャケットになっており、熱媒で加温されてい
る。重合器10は、太さ2mm、長さ8mのSUS31
6製円柱状支持体13を70本備えており、供給口11
から供給された溶融ポリマーは分散板12により各支持
体13に均一に分配される。重合器下部には不活性ガス
供給口14が備えられており、上部には真空ベント口1
5が備えられている。重合器10の外側はジャケットに
なっており、熱媒で加温されている。
【0049】ビスフェノールAとジフェニルカーボネー
ト(対ビスフェノールAモル比1.05)を竪型攪拌槽
で180℃で溶融混合した後、230℃、13300P
aで1時間重合し、さらに270℃、133Paで1時
間重合させて製造したMn4500の芳香族ポリカーボ
ネートの溶融ポリマーを、供給口2より50kg/hr
の流量で不活性ガス吸収設備1に連続的に供給した。不
活性ガス吸収設備1は、270℃、圧力200000P
aの条件であり、ベント口は閉じられた状態で圧力20
0000Paを保つように、不活性ガス供給口5より窒
素が供給されている。窒素の供給量は2.4Nl/hr
であった。不活性ガス吸収設備1のボトムの溶融ポリマ
ー7の量が一定となるように排出ポンプ9によって溶融
ポリマーを供給口11より重合器10に連続的に供給
し、重合器10のボトムの芳香族ポリカーボネート16
の量が一定となるように排出ポンプ18によって排出口
から芳香族ポリカーボネートを連続的に抜き出しながら
重合を行った。サイトグラスより、発泡した溶融ポリマ
ーがワイヤ上を極めて良好に表面更新されながら落下す
る状態が観察された。50時間後に供給口11より重合
器10に供給される溶融ポリマーのMnは4520であ
り、不活性ガス吸収設備でMnは20上昇した。重合条
件は、270℃、93Paであり、不活性ガス供給口1
4からは、窒素を20Nl/hr供給した。50時間後
に排出口から排出された芳香族ポリカーボネートはMn
11600であり、良好なカラー(b* 値3.3)であ
った。また、引張伸度は98%であった。(1)式の右
辺は610であり、左辺(200000)より小さい値
であった。結果を表1にまとめて示す。
【0050】
【実施例2〜5】供給する溶融ポリマーのMn及び不活
性ガス吸収設備の圧力が異なる他は実施例1と全く同様
に芳香族ポリカーボネートを製造した。結果をまとめて
表1に示す。
【0051】
【実施例6】重合器10に窒素ガスを直接供給しない他
は実施例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造
した。結果をまとめて表1に示す。
【0052】
【実施例7】ビスフェノールAとジフェニルカーボネー
ト(対ビスフェノールAモル比1.05)を竪型攪拌槽
で180℃で溶融混合した後、230℃、13300P
aで1時間重合し、さらに265℃、180Paで1時
間重合させて製造したMn3400の芳香族ポリカーボ
ネートの溶融ポリマーを、重合圧力を変える他は実施例
3と全く同様に重合して芳香族ポリカーボネートを製造
した。50時間後に供給口11より重合器10に供給さ
れる溶融ポリマーのMnは3440であった。結果をま
とめて表1に示す。
【0053】
【実施例8〜9】不活性ガス吸収設備1の温度、圧力、
及び重合器10の温度、圧力、窒素供給量を変える他
は、実施例7と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製
造した。結果をまとめて表1に示す。
【0054】
【比較例1〜3】不活性ガス吸収設備を通過させず、溶
融ポリマーを直接重合器10に供給する他は、実施例
1、実施例6、実施例7と全く同様に芳香族ポリカーボ
ネートを製造した。結果をまとめて表1に示す。
【0055】
【実施例10】不活性ガス吸収設備で窒素に変えてアル
ゴンを吸収させる他は、実施例1と全く同様に芳香族ポ
リカーボネートを製造した。50時間後に供給口11よ
り重合器10に供給される溶融ポリマーのMnは451
0であり、不活性ガス供給設備でMnは10上昇した。
50時間後に排出口から排出された芳香族ポリカーボネ
ートのMnは11500であり、良好なカラー(b*
3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。
【0056】
【実施例11】不活性ガス吸収設備で窒素に変えて炭酸
ガスを吸収させる他は、実施例1と全く同様に芳香族ポ
リカーボネートを製造した。50時間後に供給口11よ
り重合器10に供給される溶融ポリマーのMnは450
0であり、不活性ガス供給設備でMnは上昇しなかっ
た。50時間後に排出口から排出された芳香族ポリカー
ボネートのMnは11500であり、良好なカラー(b
*値3.3)であった。また、引張伸度は98%であっ
た。
【0057】
【実施例12】不活性ガス供給設備で、不活性ガス供給
口から窒素を10Nl/hr供給し、ベント口で圧力調
整して200000Paにコントロールする他は、実施
例1と全く同様に重合して芳香族ポリカーボネートを製
造した。50時間後に供給口11より重合器10に供給
される溶融ポリマーのMnは4590であり、不活性ガ
ス供給設備でMnは90上昇した。50時間後に排出口
から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは116
00であり、良好なカラー(b*値3.3)であった。
また、引張伸度は98%であった。
【0058】
【実施例13】重合器10のかわりに回転直径0.4m
の攪拌軸を2本有する内容積1.5m 3、長さ4mの横
型攪拌槽を用い、実施例1と全く同様に製造し、実施例
1と同様に不活性ガス吸収設備で窒素を吸収させた溶融
プレポリマーの重合を行った。溶融ポリマーの供給量、
重合温度、重合圧力、及び窒素供給量は実施例1と全く
同じにした。攪拌軸の回転数は15rpmである。50
時間後に重合器から排出された芳香族ポリカーボネート
のMnは10500であり、b*値は3.6、引張伸度
は94%であった。
【0059】
【比較例4】不活性ガス吸収設備を通過させず、溶融ポ
リマーを直接横型攪拌槽に供給する他は、実施例13と
全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。50時
間後に重合器から排出された芳香族ポリカーボネートの
Mnは8900であり、b*値は3.7、引張伸度は8
9%であった。
【0060】
【実施例14】円柱状支持体が設けられていない他は、
実施例1と全く同様の不活性ガス吸収設備を用いる他
は、実施例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製
造した。50時間後に供給口11より重合器10に供給
される溶融ポリマーのMnは4500であり、不活性ガ
ス供給設備でMnは上昇しなかった。50時間後に排出
口から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11
500であり、良好なカラー(b*値3.3)であっ
た。また、引張伸度は98%であった。
【0061】
【実施例15】ビスフェノールAのかわりに1,1−ビ
ス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサンから製造したMn4500の溶融ポ
リマーを用いる以外は、実施例1と全く同様の条件で反
応を行った。50時間後に供給口11より重合器10に
供給される溶融ポリマーのMnは4530であり、不活
性ガス供給設備でMnは30上昇した。50時間後に排
出口から排出された芳香族ポリカーボネートはMn11
100であり、良好なカラー(b*値3.3)であり、
引張伸度は94%であった。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明によって、着色のない機械的物性
に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを、高い重合
速度で、大量の不活性ガスを使用することなく工業的に
好ましい手段で製造する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるプロセスの一例を示す模式図で
ある。
【符号の説明】
1 不活性ガス吸収設備 2、11 供給口 3、12 分散板 4、13 円柱状支持体 5、14 不活性ガス供給口 6 ベント口 7 溶融ポリマー 8、17、19 排出口 9、18 排出ポンプ 10 重合器 15 真空ベント口 16 芳香族ポリカーボネート 20 サイトグラス

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリール
    カーボネートから、1基又は2基以上の重合器を用い溶
    融法により芳香族ポリカーボネートを製造する方法にお
    いて、重合途中の溶融ポリマーを不活性ガス吸収設備で
    不活性ガスを吸収させた後、減圧下で重合させることを
    特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】 不活性ガス吸収設備で重合途中の溶融ポ
    リマーに不活性ガスを吸収させた際の、該重合途中の溶
    融ポリマーの、不活性ガス吸収前後での数平均分子量の
    変化が、1000以下であることを特徴とする請求項1
    記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】 不活性ガス吸収設備の圧力P(Pa)
    が、重合途中の溶融ポリマーの不活性ガス吸収前の数平
    均分子量Mnに対して、下記(1)式 P>4×1012Mn-2.6871 (1) の関係を満足することを特徴とする請求項1又は2記載
    の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】 重合器が支持体に沿ってポリマーを溶融
    流下せしめて重合を進行させる重合器であることを特徴
    とする請求項1、2又は3記載の芳香族ポリカーボネー
    トの製造方法。
  5. 【請求項5】 支持体に沿ってポリマーを発泡状態で溶
    融流下せしめて重合を進行させることを特徴とする請求
    項4記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  6. 【請求項6】 不活性ガスが窒素であることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4又は5記載の芳香族ポリカーボ
    ネートの製造方法。
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