JP3750038B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いられている。この芳香族ポリカーボネートの製造方法については、従来種々の研究が行われ、その中で、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという。)とホスゲンとの界面重縮合法が工業化されている。
【0003】
しかしながら、この界面重縮合法においては、有毒なホスゲンを用いなければならないこと、副生する塩化水素や塩化ナトリウム及び、溶媒として大量に用いる塩化メチレンなどの含塩素化合物により装置が腐食すること、ポリマー物性に悪影響を及ぼす塩化ナトリウムなどの不純物や残留塩化メチレンの分離が困難なことなどの問題があった。
【0004】
一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製造する方法としては、例えば、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生するフェノールを抜き出しながら重合する溶融法が以前から知られている。溶融法は、界面重縮合法と異なり、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、重合が進行すると共にポリマーの粘度が上昇し、副生するフェノールなどを効率よく系外に抜き出す事が困難になり、重合度を上げにくくなるという本質的な問題があった。
【0005】
従来、芳香族ポリカーボネートを溶融法で製造するための重合器としては、種々の重合器が知られている。攪拌機を備えた竪型の攪拌槽型重合器を用いる方法は一般に広く知られている。しかしながら、竪型の撹拌槽型重合器は小スケールでは容積効率が高く、シンプルであるという利点を有し、効率的に重合を進められるが、工業的規模では、上述したように重合の進行と共に副生するフェノールを効率的に系外に抜き出す事が困難となり重合速度が極めて低くなるという問題を有している。
【0006】
すなわち、大スケールの竪型の撹拌槽型重合器は、通常、蒸発面積に対する液容量の比率が小スケールの場合に比べて大きくなり、いわゆる液深が大きな状態となる。この場合、重合度を高めていくために真空度を高めていっても、撹拌槽の下部は液深があるために実質上高い圧力で重合される事になり、フェノール等は効率的に抜けにくくなるのである。
【0007】
この問題を解決するため、高粘度状態のポリマーからフェノール等を抜き出すための工夫が種々なされている。例えば特公昭50−19600号公報では、ベント部を有するスクリュー型重合器を用いる方法、特公昭52−36159号公報では、噛合型2軸押出機を用いる方法、また特公昭53−5718号公報では、薄膜蒸発型反応器、例えばスクリュー蒸発器や遠心薄膜蒸発器等を用いる方法が記載されており、さらに特開平2−153923号公報では、遠心薄膜型蒸発装置と横型撹拌重合槽を組み合わせて用いる方法が具体的に開示されている。
【0008】
溶融法で芳香族ポリカーボネートを製造する際、不活性ガス存在下で重合を実施する方法については広く知られている。例えば米国特許第2964297号及び3153008号明細書には、酸化的な二次反応を避けるために、減圧下、不活性ガスを使用してエステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する方法が記載されており、製造する芳香族ポリカーボネートに対して少量の不活性ガスが重合器内に供給されている。一方、フェノール等を重合系外に抜き出すために大量の不活性ガスを使用する方法として、特開平6−206997号公報には、オリゴカーボネート溶融物をオリゴカーボネート1kg当たり1m3以上の不活性ガスと共に常圧または加圧下で加熱管を通過させることで芳香族ポリカーボネートを製造させる方法が記載されている。しかしながら、大量の不活性ガスを用いて芳香族ポリカーボネートを製造する方法は、重合に使用された不活性ガスを繰り返し重合に使用する場合、不活性ガス中の芳香族モノヒドロキシ化合物を分離する必要が生じ、大きな分離設備が必要となる。
【0009】
本発明者等が開示した特開平7−2925097号公報には、多孔板から自由落下させながら重合させる方法で、着色のない高品質の芳香族ポリカーボネートを高い重合速度で製造できることが示されており、ワイヤに沿わせて落下させながら重合させる方法も記載されている。該公報には、重合系内に不活性ガスを少量供給する実施例も記載されている。また、特願平8−21003号において、不活性ガス流通下の空間中でガイドに沿わせて落下させながら重合させる際に、不活性ガス中に含まれる芳香族モノヒドロキシ化合物の不活性ガスに対する分圧比の範囲を特定し、不活性ガスの回収設備が過大にならない方法を提案した。
【0010】
上記のような、不活性ガスを用いてフェノール等を効率的に抜き出して芳香族ポリカーボネートを製造しようとする方法は、従来、いずれも重合器内に不活性ガスを連続的に供給し、重合器内のフェノール等の分圧を下げることによって重合を進行させる方法であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、不純物や残留塩化メチレンの分離の問題のない溶融法により芳香族ポリカーボネートを製造する際、着色のない機械的物性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを高い重合速度で、大量の不活性ガスを使用することなく、工業的に好ましい手段で製造する方法を提供する事である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、少量の不活性ガスを特定の方法で重合途中の溶融ポリマーに吸収させる事によりその目的を達成できる事を見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(A) 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、1基又は2基以上の重合器を用い溶融法により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、重合途中の溶融ポリマーを不活性ガス吸収設備で不活性ガスを吸収させた後、減圧下で重合させることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(B) 不活性ガス吸収設備で重合途中の溶融ポリマーに不活性ガスを吸収させた際の、該重合途中の溶融ポリマーの、不活性ガス吸収前後での数平均分子量の変化が、1000以下であることを特徴とする上記(A)の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(C) 不活性ガス吸収設備の圧力P(Pa)が、重合途中の溶融ポリマーの不活性ガス吸収前の数平均分子量Mnに対して、下記(1)式
P>4×1012Mn-2.6871 (1)
の関係を満足することを特徴とする上記(A)又は(B)の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(D) 重合器が支持体に沿ってポリマーを溶融流下せしめて重合を進行させる重合器であることを特徴とする上記(A)、(B)又は(C)の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(E) 支持体に沿ってポリマーを発泡状態で溶融流下せしめて重合を進行させることを特徴とする上記(D)の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(F) 不活性ガスが窒素であることを特徴とする上記(A)、(B)、(C)、(D)又は(E)の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
である。
【0013】
従来、不活性ガスを用いてフェノール等を効率的に抜き出して芳香族ポリカーボネートを製造しようとする方法は、いずれの場合においても重合器内に不活性ガスを供給する方法であったが、驚くべき事に、不活性ガス吸収設備によって不活性ガスを吸収させた溶融ポリマーを重合させた場合には、重合の際に重合器内に不活性ガスを直接供給しなくても、不活性ガス吸収設備を用いない場合に比べて格段に重合速度が高められる事が明らかとなった。
【0014】
重合器内に不活性ガスを連続的に供給して流通させることによって重合速度が高まる理由については、重合器内のフェノール分圧を下げ、平衡的に重合を有利に進めるためであると理解されている。しかし、本発明においてはフェノール分圧をほとんど下げることのない少量の不活性ガスが溶融ポリマーに吸収されているだけで重合速度が高まるため、不活性ガスの役割は従来の理解では説明できない。驚くべきことに、不活性ガス吸収設備によって不活性ガスを吸収させた溶融ポリマーを重合させる場合には、該溶融ポリマーの発泡現象が激しく、該溶融ポリマーの攪拌状態が極めて良くなることが観察されており、この溶融ポリマーの内部及び表面状態の変化が重合速度を高める原因になっているものと推定される。
【0015】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、次式で示される化合物である。
HO−Ar−OH(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)。
2価の芳香族基Arは、好ましくは例えば、次式で示されるものである。
−Ar1 −Y−Ar2
(式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)。
【0016】
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
【0017】
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
【0018】
2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1で示される有機基である。
【0019】
【化1】
Figure 0003750038
【0020】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化2で示されるものが挙げられる。
【0021】
【化2】
Figure 0003750038
【0022】
(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、次式で示されるものであっても良い。
−Ar1 −Z−Ar2
(式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO−、−COO−、−CON(R1 )−などの2価の基を表す。ただし、R1 は前述のとおりである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化3に示されるものが挙げられる。
【0023】
【化3】
Figure 0003750038
【0024】
(式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述のとおりである。)
さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換または非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。
【0025】
本発明で用いられるジアリールカーボネートは、下記化4で表される。
【0026】
【化4】
Figure 0003750038
【0027】
(式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の芳香族基を表す。)
Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr3 、Ar4 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。Ar3 、Ar4 は同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
【0028】
1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr3 及びAr4 としては、それぞれ例えば、下記化5に示されるものなどが挙げられる。
【0029】
【化5】
Figure 0003750038
【0030】
ジアリールカーボネートの代表的な例としては、下記化6で示される。
【0031】
【化6】
Figure 0003750038
【0032】
(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)
このジアリールカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジアリールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好適である。
【0033】
これらのジアリールカーボネート類は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。
【0034】
本発明の方法で得られる芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は、通常500〜100000の範囲であり、好ましくは2000〜30000の範囲である。
本発明において重合途中の溶融ポリマーとは、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから製造される、目的とする重合度を有する芳香族ポリカーボネートより重合度の低い重合途中の溶融物を意味しており、もちろんオリゴマーやプレポリマーであっても良い。
【0035】
本発明においては、重合途中の溶融ポリマーを不活性ガス吸収設備で不活性ガスを吸収させた後、減圧下で重合を行う。不活性ガスの具体例としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガス等が挙げられ、特に好ましいのは窒素である。不活性ガス吸収設備とは、これらの不活性ガスを該溶融ポリマーに吸収させることができる設備であれば特に型式に制限はなく、例えば、化学装置設計・操作シリーズNo.2、改訂ガス吸収49〜54頁(昭和56年3月15日、化学工業社発行)に記載の充填塔型吸収装置、棚段型吸収装置、スプレー塔式吸収装置、流動充填塔型吸収装置、液膜十字流接触式吸収装置、高速旋回流方式吸収装置、機械力利用方式吸収装置等の公知の設備や、不活性ガス雰囲気下で該溶融ポリマーを支持体に沿わせて落下させながら吸収させる設備等が挙げられる。
【0036】
不活性ガス吸収設備で不活性ガスを吸収させた際の重合途中の溶融ポリマーの、不活性ガス吸収前後での数平均分子量の変化は、1000以下であることが好ましい。不活性ガス吸収前後での数平均分子量の変化とは、不活性ガスを吸収させた後の分子量と不活性ガスを吸収させる前の分子量の差、すなわち該不活性ガス吸収設備における重合の進行度合を意味する。該数平均分子量の変化が1000よりも大きい場合には、該溶融ポリマーが不活性ガスを吸収する効率が悪くなる。この理由については必ずしも明らかではないが、該数平均分子量の変化が1000よりも大きい場合には、重合が進行する際に発生する芳香族モノヒドロキシ化合物が不活性ガスの吸収を妨げるものと推定される。該数平均分子量の変化はより好ましくは600以下であり、更に好ましくは300以下である。
【0037】
不活性ガス吸収設備の温度に特に制限はなく、通常150〜350℃、好ましくは180〜300℃、特に好ましくは、230〜290℃の範囲である。不活性ガス吸収設備の圧力P(Pa)は、不活性ガス吸収設備に供給する溶融ポリマーの数平均分子量Mnに対して、下記(1)式
P>4×1012Mn-2.6871 (1)
の関係を満足することが好ましい。不活性ガス吸収設備の圧力P(Pa)が、(1)式の関係を満足しない場合には、重合速度を高める効果が小さくなる。不活性ガス吸収設備の圧力が加圧であることは、吸収速度を高め、結果的に吸収設備を小さくできる点で特に好ましい。不活性ガス吸収設備の圧力の上限に特に制限はないが、通常、2×10Pa以下、好ましくは1×10 Pa以下、更に好ましくは5×10Pa以下である。圧力が2×10Paより高い場合には、耐圧設計上設備が大きくなる。
【0038】
該重合途中の溶融プレポリマー中への不活性ガスの吸収量に特に制限はないが、通常0.01〜1000重量ppm、好ましくは0.1〜500重量ppm、更に好ましくは0.5〜200重量ppmの範囲である。
本発明において、重合は減圧下で実施される。好ましい圧力は、製造する芳香族ポリカーボネートの種類や分子量、重合温度等によっても異なるが、例えばビスフェノールAとジフェニルカーボネートから芳香族ポリカーボネートを製造する場合、数平均分子量が1000以下の範囲では、6660Pa(50mmHg)〜53280Pa(400mmHg)の範囲が好ましく、数平均分子量が1000〜2000の範囲では、400Pa(3mmHg)〜6660Pa(50mmHg)の範囲が好ましく、数平均分子量が2000以上の範囲では、3990Pa(30mmHg)以下、特に2670Pa(20mmHg)以下が好ましく、更に665Pa(5mmHg)以下が好ましい。
【0039】
本発明において、不活性ガスは不活性ガス吸収設備で該溶融ポリマーに吸収させれば、重合器中に直接供給する必要はないが、直接供給させるのも良い方法である。ただし、不活性ガス吸収設備で該溶融ポリマーに不活性ガスを吸収させずに、重合器中に不活性ガスを直接供給するだけでは、本発明の方法に比べて、重合速度が格段遅くなるだけでなく、得られた芳香族ポリカーボネートの機械的特性、特に引張伸度が低くなることが明らかとなった。この理由については明らかでないが、重合器に直接不活性ガスを供給する場合に比べて、不活性ガスを不活性ガス吸収設備で該溶融ポリマーに吸収させた場合には、溶融ポリマーの発泡状態がより均一になり、機械的特性も向上するものと考えられる。
【0040】
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートを反応させて芳香族ポリカーボネートを製造するに当たり、反応の温度は、通常50〜350℃、好ましくは100〜290℃の範囲で選ばれる。
本発明の芳香族ポリカーボネートは、上記のような芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、触媒の存在もしくは非存在下で、加熱しながら溶融状態でエステル交換反応にて重縮合する方法であり、その重合器には特に制限はない。例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合させる多孔板型反応器、支持体に沿ってポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器、例えばワイヤー付多孔板型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせた重合器が用いられる。例えば重合の初期に芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから竪型攪拌槽を用いて重合して溶融ポリマーを製造し、その溶融ポリマーを表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合させる多孔板型反応器、支持体に沿ってポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器等を用いて重合させる方法等は、本発明の好ましい態様の一つである。特に好ましい重合器は、支持体に沿ってポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器である。支持体に沿ってポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器では、上述した、不活性ガス吸収設備によって不活性ガスを吸収した溶融ポリマーを重合させる場合にポリマーの発泡現象が激しく、表面の攪拌状態が極めて良くなる現象が特に顕著に発現することが明らかとなった。すなわち、支持体に沿ってポリマーを発泡状態で溶融流下せしめて重合を進行させる重合器を用いて重合させる方法は、本発明の最も好ましい態様である。発泡状態については、例えば重合器にサイトグラスを設けることにより目視で観察することができる。
【0041】
支持体に沿ってポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器において、溶融ポリマーは通常を多孔板から供給された後、支持体に沿って落下する。多孔板は、通常、平板、波板、中心部が厚くなった板などから選ばれ、多孔板の形状についは、通常、円状、長円状、三角形状、多角形状などの形状から選ばれる。
【0042】
多孔板の孔は、通常、円状、長円状、三角形状、スリット状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。孔の断面積は、通常、0.01〜100cm2 であり、好ましくは0.05〜10cm2 であり、特に好ましくは0.1〜5cm2 の範囲である。孔と孔との間隔は、孔の中心と中心の距離で通常、1〜500mmであり、好ましくは25〜100mmである。多孔板の孔は、多孔板を貫通させた孔であっても、多孔板に管を取り付けた場合でもよい。また、テーパー状になっていてもよい。また、支持体とは、水平方向の断面の外周の平均長さに対する該断面と垂直方向の長さの比率が非常に大きい材料を表すものである。該比率は、通常、10〜1000000の範囲であり、好ましくは50〜100000の範囲である。水平方向の断面の形状は、通常、円状、長円状、三角形状、四角形状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。該断面の形状は長さ方向に同一でもよいし異なっていてもよい。また、支持体は中空状のものでもよい。支持体は、針金状等の単一なものでもよいが、捩り合わせる等の方法によって複数組み合わせたものでもよい。支持体の表面は平滑であっても凹凸があるものであってもよく、部分的に突起等を有するものでもよい。支持体の材質は、通常、ステンレススチール製、カーボンスチール製、ハステロイ製、ニッケル製、チタン製、クロム製、及びその他の合金製等の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。また、支持体の表面は、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の処理がなされてもよい。支持体は、多孔板の孔に直接接続していてもよいし、孔から離れていてもよい。好ましい具体例としては、多孔板の各孔の中心部付近に各支持体が貫通して接続しているもの、多孔板の各孔の外周部分に支持体が接続しているもの等が挙げられる。支持体の下端は、重合器のボトム液面に接していてもよいし、離れていてもよい。
【0043】
この多孔板を通じて溶融ポリマーを支持体に沿わせて落下させる方法としては、液ヘッドまたは自重で落下させる方法、またはポンプなどを使って加圧にすることにより、多孔板から溶融ポリマーを押し出す等の方法が挙げられる。孔の数に特に制限はなく、反応温度や圧力などの条件、触媒の量、重合させる分子量の範囲等によっても異なるが、通常ポリマーを例えば100kg/hr製造する際、10〜105 個の孔が必要である。孔を通過した後、支持体に沿わせて落下させる高さは、好ましくは0.3〜50mであり、さらに好ましくは0.5〜20mである。孔を通過させる溶融ポリマーの流量は、溶融ポリマーの分子量によっても異なるが通常、孔1個当たり、10-4〜104 リットル/hr、好ましくは10-2〜102 リットル/hr、特に好ましくは、0.05〜50リットル/hrの範囲である。支持体に沿わせて落下させるのに要する時間に特に制限はないが、通常0.01秒〜10時間の範囲である。支持体に沿わせて落下させた後の溶融ポリマーは、そのまま液溜部に落下させてもよく、また巻き取り器等で強制的に液溜部に取り込んでもよい。さらに、支持体に沿わせて落下させた後の重合物はそのまま抜き出されても良いが、循環させて、再び支持体に沿わせて落下させながら重合させるのも好ましい方法である。この場合、支持体に沿わせて落下させた後の液溜部や循環ライン等で重縮合反応に必要な反応時間に応じて滞留時間を長くすることができる。また、支持体に沿わせて落下させながら循環を行うことにより単位時間に形成し得る新規な液表面積が大きく取れるため、所望の分子量まで充分重合を進行させる事が容易となる。
【0044】
本発明で芳香族ポリカーボネートを製造する際、上記の重合器を1基又は2基以上用いるが、不活性ガス吸収設備は少なくとも1基用いられる。2基以上の重合器を用いる場合、全ての重合器の前に不活性ガス吸収設備を設けても良いし、一部の重合器の前だけに不活性ガス吸収設備を設けても良い。支持体に沿わせて落下させながら重合させる重合器の前には全て不活性ガス吸収設備を設けることは、本発明の好ましい態様である。
【0045】
エステル交換反応は触媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R1 R 2 R 3 R 4)NB(R 1 R 2 R 3 R 4) または(R1 R 2 R 3 R 4)PB(R 1 R 2 R 3 R 4) で表されるアンモニウムボレート類またはホスホニウムボレート類(R 1 、R 2 、R 3 、R 4 は前記化1の説明通りである。)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウムの化合物類などの触媒を挙げる事ができる。
【0046】
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常10-8〜1重量%、好ましくは10-7〜10-1重量%の範囲で選ばれる。
本発明の方法を達成する重合器や配管の材質に特に制限はなく、通常ステンレススチールやニッケル、グラスライニング等から選ばれる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例を挙げて説明する。
なお、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(以下、Mnと略す。)である。カラーは、280℃で射出成形して得られた厚み3.2mmの試験片を用いてCIELAB法により測定し、黄色度をb* 値で示した。引張伸度は、280℃で射出成形して得られた厚み3.2mmの試験片を用いて、ASTM D638に準じて測定した。
【0048】
【実施例1】
図1に示すような、不活性ガス吸収設備1と複数の円柱状支持体13を有する重合器10からなるプロセスを用いて、芳香族ポリカーボネートを製造した。不活性ガス吸収設備1は、太さ2mm、長さ4mのSUS316製円柱状支持体4を7本備えており、供給口2から供給された溶融ポリマーは分散板3により各円柱状支持体4に均一に分配される。不活性ガス吸収設備下部には不活性ガス供給口5が備えられており、上部には不活性ガス供給設備の圧力をコントロールするためのベント口6が備えられている。不活性ガス吸収設備1の外側はジャケットになっており、熱媒で加温されている。重合器10は、太さ2mm、長さ8mのSUS316製円柱状支持体13を70本備えており、供給口11から供給された溶融ポリマーは分散板12により各支持体13に均一に分配される。重合器下部には不活性ガス供給口14が備えられており、上部には真空ベント口15が備えられている。重合器10の外側はジャケットになっており、熱媒で加温されている。
【0049】
ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.05)を竪型攪拌槽で180℃で溶融混合した後、230℃、13300Paで1時間重合し、さらに270℃、133Paで1時間重合させて製造したMn4500の芳香族ポリカーボネートの溶融ポリマーを、供給口2より50kg/hrの流量で不活性ガス吸収設備1に連続的に供給した。不活性ガス吸収設備1は、270℃、圧力200000Paの条件であり、ベント口は閉じられた状態で圧力200000Paを保つように、不活性ガス供給口5より窒素が供給されている。窒素の供給量は2.4Nl/hrであった。不活性ガス吸収設備1のボトムの溶融ポリマー7の量が一定となるように排出ポンプ9によって溶融ポリマーを供給口11より重合器10に連続的に供給し、重合器10のボトムの芳香族ポリカーボネート16の量が一定となるように排出ポンプ18によって排出口から芳香族ポリカーボネートを連続的に抜き出しながら重合を行った。サイトグラスより、発泡した溶融ポリマーがワイヤ上を極めて良好に表面更新されながら落下する状態が観察された。50時間後に供給口11より重合器10に供給される溶融ポリマーのMnは4520であり、不活性ガス吸収設備でMnは20上昇した。重合条件は、270℃、93Paであり、不活性ガス供給口14からは、窒素を20Nl/hr供給した。50時間後に排出口から排出された芳香族ポリカーボネートはMn11600であり、良好なカラー(b* 値3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。(1)式の右辺は610であり、左辺(200000)より小さい値であった。結果を表1にまとめて示す。
【0051】
【実施例6】
重合器10に窒素ガスを直接供給しない他は実施例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。結果をまとめて表1に示す。
【0054】
【比較例1、2】
不活性ガス吸収設備を通過させず、溶融ポリマーを直接重合器10に供給する他は、実施例1、実施例6と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。結果をまとめて表1に示す。
【0055】
【実施例10】
不活性ガス吸収設備で窒素に変えてアルゴンを吸収させる他は、実施例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。50時間後に供給口11より重合器10に供給される溶融ポリマーのMnは4510であり、不活性ガス供給設備でMnは10上昇した。50時間後に排出口から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11500であり、良好なカラー(b*値3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。
【0056】
【実施例11】
不活性ガス吸収設備で窒素に変えて炭酸ガスを吸収させる他は、実施例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。50時間後に供給口11より重合器10に供給される溶融ポリマーのMnは4500であり、不活性ガス供給設備でMnは上昇しなかった。50時間後に排出口から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11500であり、良好なカラー(b*値3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。
【0057】
【実施例12】
不活性ガス供給設備で、不活性ガス供給口から窒素を10Nl/hr供給し、ベント口で圧力調整して200000Paにコントロールする他は、実施例1と全く同様に重合して芳香族ポリカーボネートを製造した。50時間後に供給口11より重合器10に供給される溶融ポリマーのMnは4590であり、不活性ガス供給設備でMnは90上昇した。50時間後に排出口から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11600であり、良好なカラー(b*値3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。
【0058】
【実施例13】
重合器10のかわりに回転直径0.4mの攪拌軸を2本有する内容積1.5m3、長さ4mの横型攪拌槽を用い、実施例1と全く同様に製造し、実施例1と同様に不活性ガス吸収設備で窒素を吸収させた溶融プレポリマーの重合を行った。溶融ポリマーの供給量、重合温度、重合圧力、及び窒素供給量は実施例1と全く同じにした。攪拌軸の回転数は15rpmである。50時間後に重合器から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは10500であり、b*値は3.6、引張伸度は94%であった。
【0059】
【比較例4】
不活性ガス吸収設備を通過させず、溶融ポリマーを直接横型攪拌槽に供給する他は、実施例13と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。50時間後に重合器から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは8900であり、b*値は3.7、引張伸度は89%であった。
【0060】
【実施例14】
円柱状支持体が設けられていない他は、実施例1と全く同様の不活性ガス吸収設備を用いる他は、実施例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。50時間後に供給口11より重合器10に供給される溶融ポリマーのMnは4500であり、不活性ガス供給設備でMnは上昇しなかった。50時間後に排出口から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11500であり、良好なカラー(b*値3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。
【0061】
【実施例15】
ビスフェノールAのかわりに1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンから製造したMn4500の溶融ポリマーを用いる以外は、実施例1と全く同様の条件で反応を行った。50時間後に供給口11より重合器10に供給される溶融ポリマーのMnは4530であり、不活性ガス供給設備でMnは30上昇した。50時間後に排出口から排出された芳香族ポリカーボネートはMn11100であり、良好なカラー(b*値3.3)であり、引張伸度は94%であった。
【0062】
【表1】
Figure 0003750038
【0063】
【発明の効果】
本発明によって、着色のない機械的物性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを、高い重合速度で、大量の不活性ガスを使用することなく工業的に好ましい手段で製造する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるプロセスの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 不活性ガス吸収設備
2、11 供給口
3、12 分散板
4、13 円柱状支持体
5、14 不活性ガス供給口
6 ベント口
7 溶融ポリマー
8、17、19 排出口
9、18 排出ポンプ
10 重合器
15 真空ベント口
16 芳香族ポリカーボネート
20 サイトグラス

Claims (5)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、1基又は2基以上の重合器を用い溶融法により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、重合途中の溶融ポリマーを不活性ガス吸収設備で不活性ガスを加圧下で吸収させた後、減圧下で重合させることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. 不活性ガス吸収設備で重合途中の溶融ポリマーに不活性ガスを吸収させた際の、重合途中の溶融ポリマーの、不活性ガス吸収前後での分子量の変化が、1000以下であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  3. 重合器が支持体に沿ってポリマーを溶融流下せしめて重合を進行させる重合器であることを特徴とする請求項1または2記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  4. 支持体に沿ってポリマーを発泡状態で溶融流下せしめて重合を進行させることを特徴とする請求項1、2または3記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  5. 不活性ガスが窒素であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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