JP3577695B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。更に詳細には、本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを所定の圧力下に不活性ガスで処理することによって、該溶融プレポリマーに該不活性ガスを吸収させ、該不活性ガスを吸収した該溶融プレポリマーを、上記不活性ガス吸収工程で用いる該所定の圧力よりも低い圧力下で重合に付し、所定の重合度にまで該溶融プレポリマーを重合させることを包含することを特徴とする、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。本発明の製造方法によれば、着色がなく機械的物性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを、高い重合速度で、大量の不活性ガスを使用することなく製造する事ができ、更に分子量のバラツキが少なく、長期間安定的に芳香族ポリカーボネートを製造することができるので、工業的に極めて有利である。
【0002】
【従来技術】
近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いられている。この芳香族ポリカーボネートの製造方法については、従来種々の研究が行われ、その中で、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという。)とホスゲンとの界面重縮合法が工業化されている。
【0003】
しかしながら、この界面重縮合法においては、有毒なホスゲンを用いなければならないこと、副生する塩化水素や塩化ナトリウム及び、溶媒として大量に用いる塩化メチレンなどの含塩素化合物により装置が腐食すること、ポリマー物性に悪影響を及ぼす塩化ナトリウムなどの不純物や残留塩化メチレンの分離が困難なことなどの問題があった。
【0004】
一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製造する方法としては、例えば、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生するフェノールを平衡重縮合反応系から抜き出しながら重合する溶融法が以前から知られている。溶融法は、界面重縮合法と異なり、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、重合が進行すると共にポリマーの粘度が上昇し、副生するフェノールなどを効率よく系外に抜き出す事が困難になり、重合度を上げにくくなるという本質的な問題があった。
【0005】
従来、芳香族ポリカーボネートを溶融法で製造するための重合器としては、種々の重合器が知られている。攪拌機を備えた竪型の攪拌槽型重合器を用いる方法は一般に広く知られている。しかしながら、竪型の撹拌槽型重合器は小スケールでは容積効率が高く、シンプルであるという利点を有し、効率的に重合を進められるが、工業的規模では、上述したように重合の進行と共に副生するフェノールを平衡重縮合反応系から効率的に系外に抜き出す事が困難となり、重合速度が極めて低くなるという問題を有している。
【0006】
すなわち、大スケールの竪型の撹拌槽型重合器は、通常、蒸発面積に対する液容量の比率が小スケールの場合に比べて大きくなり、いわゆる液深が大きな状態となるために、撹拌槽の下部の圧力が高くなる。この場合、重合度を高めていくために真空度を高めていっても、撹拌槽の下部は液深があるために、上部の空間部よりも液深に相当する高い圧力で重合される事になり、フェノール等は効率的に抜き出すことが困難になるのである。
【0007】
この問題を解決するため、高粘度状態のポリマーからフェノール等を抜き出すための工夫が種々なされている。例えば日本国特公昭50−19600号公報(GB−1007302号に対応)では、ベント部を有するスクリュー型重合器を用いる方法、日本国特公昭52−36159号公報では、噛合型2軸押出機を用いる方法、また日本国特公昭53−5718号公報(米国特許第3,888,826号に対応)では、薄膜蒸発型反応器、例えばスクリュー蒸発器や遠心薄膜蒸発器等を用いる方法が記載されており、さらに日本国特開平2−153923号公報では、遠心薄膜型蒸発装置と横型撹拌重合槽を組み合わせて用いる方法が具体的に開示されている。
【0008】
又、本発明者らは、自由落下させながら重合する多孔板型反応器を用いる方法、及び、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー接触流下式反応器を用いる方法を開発した(例えば、米国特許第5,589,564号を参照)。
【0009】
上記の竪型攪拌槽型重合器、噛合型2軸押出機、薄膜蒸発型反応器などを用いて溶融法で芳香族ポリカーボネートを製造する際、不活性ガス雰囲気下で重合を実施する方法については広く知られている。例えば米国特許第2,964,297号及び3,153,008号明細書には、酸化的な二次反応を避けるために、減圧下、不活性ガス雰囲気下でのエステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する方法が記載されており、製造する芳香族ポリカーボネートに対して少量の不活性ガスが重合器内に供給されている。
【0010】
一方、平衡重縮合反応で生成するフェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物を重合系外に抜き出すために大量の不活性ガスを使用する方法として、日本国特開平6−206997号公報(米国特許第5,384,389号に対応)には、オリゴカーボネート溶融物と共に該オリゴカーボネート1kg当たり1m3以上の不活性ガスを常圧又は加圧下で加熱した重合器内に連続的に導入し、平衡重縮合反応で副生するフェノール等を随伴させて搬送除去することによって芳香族ポリカーボネートを製造する方法が記載されている。しかしながら、搬送剤として大量の不活性ガスを用いて芳香族ポリカーボネートを製造する方法は、重合に使用された不活性ガスを繰り返し重合に使用する場合、不活性ガス中のフェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物を分離する必要が生じ、大きな分離設備が必要となる。
【0011】
また、日本国特開平6−248067号公報においては、粘度平均分子量1,000〜25,000の低分子量ポリカーボネートを製造する第一反応帯域、粘度平均分子量10,000〜50,000のポリカーボネートを製造する第二反応帯域において、芳香族ジヒドロキシ化合物に対してそれぞれ、重量比で0.01〜20、0.002〜10の不活性ガスを供給してポリカーボネートを製造する方法が開示されている。この方法も、平衡重縮合反応で生成する芳香族モノヒドロキシ化合物(フェノール)を搬送によって留去する目的で不活性ガスが用いられているため、不活性ガスの使用量は多く、日本国特開平6−206997号公報と同様の問題点を有している。
【0012】
本発明者等が開示した米国特許第5,589,564号公報には、プレポリマーを多孔板からワイヤに沿わせて落下させながら重合させる方法では、着色のない高品質の芳香族ポリカーボネートを高い重合速度で製造できることが示されており、該公報には、重合器内に不活性ガスを少量供給する実施例も記載されている。本発明者等はまた、日本国特開平8−325373号において、不活性ガス流通下の空間中でプレポリマーをガイドに沿わせて落下させながら重合させる際に、不活性ガス中に含まれる芳香族モノヒドロキシ化合物の不活性ガスに対する分圧比の範囲を特定し、不活性ガスの回収設備が過大にならない方法を提案した。
【0013】
上記のような、不活性ガスを用いてフェノール等を効率的に抜き出して芳香族ポリカーボネートを製造しようとする方法は、従来、いずれも重合器内に不活性ガスを連続的に供給し、重合器内のフェノール等の分圧を下げることによって重合を進行させる方法であり、重合速度を効果的に高めるためには大量の不活性ガスを必要とする方法であった。また、重合器内にだけ不活性ガスを導入して生成する芳香族モノヒドロキシ化合物を随伴留去する方法は、機械的物性に優れ、かつ安定な分子量の芳香族ポリカーボネートを製造するのに十分に効果のある方法でなかった。
発明が解決しようとする課題
【0014】
本発明者らは、芳香族ポリカーボネートを製造するのに際し、従来の不活性ガスを溶融重合法に用いる方法に伴なう上記した種々の問題を解決するため鋭意検討を進めた。その結果、驚くべきことに、溶融法により芳香族ポリカーボネートを製造する際、重合工程の前に、少量の不活性ガスを溶融プレポリマーに吸収させる不活性ガス吸収工程を設けることより、大量の不活性ガスを使用しなくても、着色がなく機械的物性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを高い重合速度で製造することができるばかりでなく、得られる芳香族ポリカーボネートの分子量のバラツキが少なく、長期間安定的に高品質の芳香族ポリカーボネートを製造できることを見いだした。この知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
【0015】
従って、本発明の1つの目的は、不純物や残留塩化メチレンの分離の問題のない溶融法により芳香族ポリカーボネートを製造する際、大量の不活性ガスを使用しなくても、着色がなく機械的物性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを高い重合速度で、工業的に好ましい手段で製造できるばかりでなく、分子量のバラツキが少なく長期間安定的に高品質の芳香族ポリカーボネートを製造できる、極めて有利な方法を提供することにある。
本発明の他の1つの目的は、上記の製造方法によって得られる、高品質で且つ分子量のバラツキが少ない芳香族ポリカーボネートを提供することにある。
本発明の上記及び他の諸目的、諸特徴並びに諸利益は、添付の図面を参照しながら述べる次の詳細な説明及び請求の範囲、から明らかになる。
課題を解決するための手段
【0016】
本発明によれば、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから芳香族ポリカーボネートを製造する方法であって、
(a)芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを所定の圧力Pg下に不活性ガスで処理することによって、該溶融プレポリマーに該不活性ガスを吸収させ、
(b)該不活性ガスを吸収した該溶融プレポリマーを、不活性ガス吸収工程(a)で用いる該所定の圧力よりも低い圧力Pp下で重合に付し、所定の重合度にまで該溶融プレポリマーを重合させる
ことを包含することを特徴とする方法が提供される。
次に、本発明の理解を容易にするために、まず本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列挙する。
1.芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから芳香族ポリカーボネートを製造する方法であって、
(a)芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを所定の圧力P下に不活性ガスで処理することによって、該溶融プレポリマーに該不活性ガスを吸収させ、
(b)該不活性ガスを吸収した該溶融プレポリマーを、不活性ガス吸収工程(a)で用いる該所定の圧力よりも低い圧力P下で重合に付し、所定の重合度にまで該溶融プレポリマーを重合させることを包含し、且つ、
(c)該不活性ガス吸収工程(a)で用いる該所定の圧力P が、該溶融プレポリマーを得るために用いられた反応圧力以上である
ことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
.該不活性ガス吸収工程(a)の前と後での該溶融プレポリマーの分子量変化が下記式で表されることを特徴とする前項に記載の方法。
(M−M)≦ 500
(但し、上記式において、M及びMは、それぞれ、不活性ガス吸収工程(a)の前及び後における溶融プレポリマーの数平均分子量を表す。)
.該不活性ガス吸収工程(a)で用いる該所定の圧力Pが、下記式(1)を満足することを特徴とする前項1または2に記載の方法。
> 4×1012 × M1−2.6871 (1)
(但し、式(1)において、Pは不活性ガス吸収工程(a)で用いる圧力(Pa)を表し;そして
は、不活性ガス吸収工程(a)の前における溶融プレポリマーの数平均分子量を表す。)
.Mが5,178未満の場合、該重合工程(b)で用いる圧力Pが、下記式(2)を満足し、Mが5,178以上の場合、該重合工程(b)で用いる圧力Pが、下記式(3)を満足することを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の方法。
>P>−0.056×M+ 290 (2)
(但し、式(2)において、P及びPは、それぞれ、不活性ガス吸収工程(a)及び重合工程(b)で用いる圧力(Pa)を表し;そして
は、不活性ガス吸収工程(a)の後における溶融プレポリマーの数平均分子量を表す。)
Pg > Pp >0 (3)
(但し、式(3)において、P及びPは、上記式(2)に関して定義した通りである。)
.重合工程(b)を、溶融プレポリマーをガイドの表面に沿って流下せしめ、その落下中に該溶融プレポリマーの重合が行われるガイド接触落下重合プロセスによって行うことを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載の方法。
.重合工程(b)において、ガイドに沿って流下する該溶融プレポリマーが、常時発泡状態であることを特徴とする前項に記載の方法。
.該不活性ガスを吸収した該溶融プレポリマーを重合工程(b)で該溶融プレポリマーの重合を行うための重合帯域に連続的に供給し、該重合工程(b)で製造された芳香族ポリカーボネートを該重合帯域から連続的に抜き出し、重合工程(b)を連続的に行うことを特徴とする前項1〜6のいずれかに記載の方法。
8.不活性ガスが窒素であることを特徴とする前項1〜7のいずれかに記載の方法。
9.不活性ガス吸収工程(a)における不活性ガスの吸収量が、溶融プレポリマー1kgに対して0.0001〜1Nl(但し、Nlは標準温度・圧条件下で測定したlである)であることを特徴とする前項1〜8のいずれかに記載の方法。
【0017】
発明の実施の形態
以下、本発明について詳細に説明する。
従来、不活性ガスを用いてフェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物を効率的に抜き出して芳香族ポリカーボネートを製造しようとする方法は、いずれの場合においても重合器内に不活性ガスを供給する方法であったが、驚くべき事に、不活性ガス吸収工程においてまず不活性ガスを溶融プレポリマーに吸収させ、得られる不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーを重合させる本発明の方法によると、不活性ガス吸収工程がなく、重合器内に不活性ガスを供給する従来の方法に比べて、格段に重合速度が高められる事が明らかとなった。
【0018】
重合器内に不活性ガスを連続的に供給して流通させることによって重合速度が高まる理由は、この重合反応が平衡反応であるため、副生するフェノールが不活性ガスに随伴除去されることにより、重合器内のフェノールの分圧が下がり、平衡的に重合が有利に進むためであると理解されている。この様な場合には、従来の方法では、重合速度を高めるためには、不活性ガスの供給量を多くしなければならず、そのための不活性ガスの大量使用に伴なう種々の問題が避けられないという困難があった。ところが、本発明の方法により、意外にも、不活性ガスの供給量を少なくしてかつ重合速度を高めることが可能になったのである。即ち、本発明においてはフェノール分圧をほとんど下げることのない少量の不活性ガスが溶融プレポリマーに吸収されているだけで重合速度が高まる。このことは、従来知られている不活性ガスの作用機序からは説明できない。
【0019】
しかし、本発明者等による研究によれば、驚くべきことに、不活性ガス吸収工程において不活性ガスを吸収させた溶融プレポリマーを重合させると、該溶融プレポリマーの重合器内での継続的な発泡現象が激しく起こり、該溶融プレポリマーの攪拌状態が極めて良くなることが観察されており、この溶融プレポリマーの内部及び表面状態の変化が重合速度を高める原因になっているものと推定される。しかも、重合器内に不活性ガスを導入してフェノールを効率的に抜き出そうとする方法に比べて、不活性ガスをあらかじめ吸収させる本願の方法では、意外なことに、芳香族ポリカーボネートは機械的強度に優れ、分子量のバラツキも非常に小さく、長期間安定的に製造できることも明らかとなった。この理由についても明らかではないが、不活性ガスを不活性ガス吸収装置で該溶融プレポリマーに吸収させた場合には、不活性ガスが均一に溶解することによって重合器内での溶融プレポリマーの発泡状態も従来の方法における場合よりも均一になり、機械的特性が向上し、さらに分子量のバラツキも小さくなるものと考えられる。このようにして、不活性ガスを導入しながら芳香族ポリカーボネート溶融プレポリマーを重合する従来の方法において避けることのできなかった諸問題が一挙に解決された。
【0020】
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、下記式で示される化合物である。
HO−Ar−OH
(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)
2価の芳香族基Arは、好ましくは例えば、下記式で示されるものである。
−Ar−Y−Ar
(式中、Ar及びArは、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)
2価の芳香族基Ar、Arにおいて、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。
2価の芳香族基Ar、Arは、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
2価のアルカン基Yは、例えば、下記式で示される有機基である。
【0021】
【化1】
Figure 0003577695
【0022】
(式中、R、R、R、Rは、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、RおよびRは、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R、R、R、R、R、Rにおいて、一つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記式で示されるものが挙げられる。
【0023】
【化2】
Figure 0003577695
【0024】
(式中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各Rはそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合には各Rはそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、次式で示されるものであっても良い。
−Ar−Z−Ar
[式中、Ar、Arは前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、−COO−、−CON(R1)−などの2価の基を表す。ただし、R1は前述の通りである。]
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記式に示されるものが挙げられる。
【0025】
【化3】
Figure 0003577695
【0026】
(式中、R、R、mおよびnは、前述の通りである。)
さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換または非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。
また、本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、分岐構造を導入するための3価の芳香族ヒドロキシ化合物を併用してもよい。
本発明で用いられるジアリールカーボネートは、下記式で表される。
【0027】
【化4】
Figure 0003577695
【0028】
(式中、Ar、Arはそれぞれ1価の芳香族基を表す。)
Ar及びArは、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr、Arにおいて、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。Ar、Arは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
1価の芳香族基Ar及びArの代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr及びArとしては、それぞれ例えば、下記式に示されるものなどが挙げられる。
【0029】
【化5】
Figure 0003577695
【0030】
ジアリールカーボネートの代表的な例としては、下記式で示される置換又は非置換のジフェニルカーボネート類を挙げることができる。
【0031】
【化6】
Figure 0003577695
【0032】
(式中、R及びR10は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各Rはそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)
【0033】
このジアリールカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネート及び、ジトリルカーボネートやジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特に最も簡単な構造のジアリールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好適である。
これらのジアリールカーボネート類は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0034】
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重合温度、重合圧力その他の重合条件や、用いる重合装置の種類等によって異なるが、ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。
【0035】
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから製造された溶融状態のプレポリマー(以下、溶融プレポリマーと称す)とは、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから製造される、目的とする重合度を有する芳香族ポリカーボネートより重合度の低い重合途中の溶融物を意味しており、もちろんオリゴマーであっても良い。
本発明でいう不活性ガスとは、該溶融プレポリマーと化学反応を起こさず、かつ重合条件下で安定なガスの総称であり、不活性ガスの具体例としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や、プレポリマーが溶融状態を保つ温度においてガス状である有機化合物、例えば炭素数1〜8の低級炭化水素ガス等が挙げられ、特に好ましいのは窒素である。
【0036】
本発明において不活性ガス吸収工程とは、溶融プレポリマーを所定の圧力下で不活性ガスで処理し、該溶融プレポリマーにプレポリマーが重合し難い条件下で不活性ガスを吸収させる工程を意味する。
溶融プレポリマーに不活性ガスを吸収させることとは、溶融プレポリマー中に不活性ガスを分散および/又は溶解させることを意味している。分散とは、溶融プレポリマー中に不活性ガスが気泡状で混合され、気液混相となっているような状態を意味し、溶解とは溶融プレポリマーに不活性ガスが混じり合い、均一な液相を形成しているような状態を意味する。不活性ガスは単に分散されるだけでなく、溶融プレポリマー中に溶解されることが特に好ましい。不活性ガスを溶融プレポリマー中に効率よく溶解させるためには、気液界面積を大きくして接触効率をよくすることや、不活性ガスの加圧下で実施することが好ましい。
【0037】
このような不活性ガス吸収工程で用いる吸収装置としては、これらの不活性ガスを該溶融プレポリマーに吸収させることができる装置であれば特に型式に制限はなく、例えば、化学装置設計・操作シリーズNo.2、改訂ガス吸収49〜54頁(昭和56年3月15日、化学工業社発行)に記載の充填塔型吸収装置、棚段型吸収装置、スプレー塔式吸収装置、流動充填塔型吸収装置、液膜十字流吸収式吸収装置、高速旋回流方式吸収装置、機械力利用方式吸収装置等の公知の装置や、不活性ガス雰囲気下で該溶融プレポリマーをガイドに沿わせて落下させながら吸収させる装置等が挙げられる。これらの装置は、気液の界面積を大きくして接触効率をよくする工夫がなされている。従って、これらの装置を用いることによって、不活性ガスを溶融プレポリマー中に、容易に溶解させることができる。重合器に溶融プレポリマーを供給する配管中に直接不活性ガスを供給して吸収させる装置でも構わない。スプレー塔式吸収装置や、ガイドに沿わせて落下させながら吸収させる装置を用いることは特に好ましい方法である。
【0038】
不活性ガス吸収工程の装置は、通常重合器として使用される装置と同じ形式の装置でも構わないが、重合をほとんど進行させない条件で運転されるため、重合器とは機能的に全く異なるものである。
不活性ガス吸収工程前後の溶融プレポリマーの数平均分子量を各々M、Mとした時、不活性ガス吸収工程における分子量変化(M−M)が、実質的に1,000未満であることが好ましく、さらに好ましくは500以下である。(M−M)が500よりも大きい場合には、不活性ガスを吸収させた溶融プレポリマーを重合器に供給しても、重合速度を高める効果が小さくなる。この理由については明らかではないが、(M−M)が500よりも大きい場合には、重合が進行する際に発生する芳香族モノヒドロキシ化合物が不活性ガスの吸収を妨げるものと推定される。(M−M)はより好ましくは400以下であり、更に好ましくは300以下である。
【0039】
不活性ガス吸収工程の温度に特に制限はなく、通常150〜350℃、好ましくは180〜300℃、特に好ましくは、230〜290℃の範囲である。
本発明においては、不活性ガス吸収工程(a)で用いる所定の圧力P(Pa)は、不活性ガス吸収工程(a)で処理すべき溶融プレポリマーを得るために用いられた反応圧力以上であることが好ましい。すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることによって芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマー製造する際に用いられた反応圧力と同じか又はそれより高い圧力条件下で不活性ガス吸収工程(a)を行うことが好ましい。工程(a)で用いる所定の圧力P(Pa)は、工程(a)で処理すべき溶融プレポリマーを得るために用いられた反応圧力よりも高いことが更に好ましい。
【0040】
また、不活性ガス吸収工程の圧力P(Pa)は、次に続く重合工程(b)の圧力(Pb)よりも高い所定圧力であるが、M(上記に定義した通り)に対して、下記式(1)
>4×1012×M1−2.6871 (1)
の関係を満足することが好ましい。不活性ガス吸収工程の圧力P(Pa)が、(1)式の関係を満足しない場合には、重合速度を高める効果が小さくなる。不活性ガス吸収工程の圧力が常圧もしくは加圧であることは、不活性ガスの溶融プレポリマーへの吸収速度を高め、結果的に吸収装置を小さくできる点で特に好ましい。不活性ガス吸収工程の圧力の上限に特に制限はないが、通常、2×10Pa以下、好ましくは1×10Pa以下、更に好ましくは5×10Pa以下の圧力下で不活性ガス吸収を行なわせる。
【0041】
不活性ガス吸収工程で溶融プレポリマーに不活性ガスを吸収させる方法としては、不活性ガス吸収工程に供給した不活性ガスの大部分を溶融プレポリマー中に吸収させる方法でも良いし、供給した不活性ガスの一部を溶融プレポリマー中に吸収させる方法でも良い。前者の方法としては、例えばスプレー塔式吸収装置や、ガイドに沿わせて落下させながら吸収させる装置を用い、溶融プレポリマー中に吸収された不活性ガスとほぼ等量の不活性ガスを供給して吸収装置の圧力をほぼ一定に保ちながら吸収させる方法や、溶融プレポリマーを重合器に供給する配管中に直接不活性ガスを供給する吸収装置を用いる方法等が挙げられる。また後者の方法としては、例えばスプレー塔式吸収装置や、溶融プレポリマーをガイドに沿わせて落下させ装置を不活性ガス吸収装置として用い、吸収装置内に溶融プレポリマー中に吸収される以上の不活性ガスを流通させ、過剰の不活性ガスを不活性ガス吸収装置から排出させる方法等が挙げられる。不活性ガスの使用量をより少なくする点で、前者の方法が特に好ましい。また、不活性ガス吸収工程は、吸収装置に溶融プレポリマーを連続的に供給して不活性ガスを吸収させ、不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーを連続的に抜き出す連続法、吸収装置に溶融プレポリマーをバッチ的に仕込んで不活性ガスを吸収させるバッチ法のいずれも可能である。
【0042】
溶融プレポリマーに不活性ガスを吸収させる際、該溶融プレポリマーに吸収される不活性ガスの量に特に制限はないが、該溶融プレポリマー1kgに対して、通常0.0001〜1Nlの範囲であり、好ましくは0.001〜0.8Nlの範囲であり、更に好ましくは0.005〜0.6Nlの範囲である。“Nl”は、標準温度・圧力条件下で測定したliterを意味する。吸収される不活性ガスの量が該溶融プレポリマー1kgに対して0.0001Nlより少ない場合は、重合速度を高める効果が小さくなるので好ましくない。また、本発明においては吸収される不活性ガスの量を該溶融プレポリマー1kgに対して1Nlより多くする必要はない。該溶融ポリマーに吸収される不活性ガスの量は、通常、供給した不活性ガスの量を直接測定する事によって容易に測定することができる。吸収装置に不活性ガスを流通させながら溶融プレポリマーに吸収させる場合は、供給した不活性ガス量と排出された不活性ガス量の差から、吸収された不活性ガスの量を求めることができる。また、それは所定の圧力の不活性ガスを仕込んだ吸収装置に溶融プレポリマーを所定量供給し、溶融プレポリマーに不活性ガスが吸収されることによって生ずる吸収装置の圧力の低下量から測定することも可能である。更に、それは所定量の溶融プレポリマーを吸収装置にバッチ的に供給した後に不活性ガス吸収量を測定するバッチ方式でも可能であるし、また、溶融プレポリマーを吸収装置に連続的に供給し、連続的に抜き出しながら不活性ガス吸収量を測定する連続方式でも、可能である。
【0043】
本発明において重合工程とは、不活性ガスを吸収した該溶融プレポリマーを、不活性ガス吸収工程における圧力(P)よりも低い圧力(P)下で重合させることによって、さらに重合度を上げる(好ましくは、Mnを1,000以上増大させる)ための工程を意味する。本発明の重合工程においては、不活性ガス吸収工程後の溶融プレポリマーの数平均分子量Mが5,178未満の場合、重合工程の圧力P(Pa)が、下記式(2)
>P>−0.056×M+290 (2)
の関係を満足し、Mが5178以上の場合、重合工程の圧力P(Pa)が、下記式(3)
>P>0 (3)
の関係を満足する事が特に好ましい。
【0044】
がP以上の場合には、重合は殆ど進行しない。Mが5,178未満の場合、Pが(−0.056×M+290)以下の場合には、重合速度が極めて低くなる。一般にポリカーボネートをエステル交換反応で製造する場合、重合工程の圧力を下げるほど副生するフェノールを系外に抜き出しやすくなり、重合速度が高くなることが知られている。しかし、本発明の様に不活性ガスを吸収させた溶融プレポリマーを重合させる場合には、驚くべき事に該プレポリマーの数平均分子量(M)の函数としての特定の圧力[(−0.056×M+290)Pa]より低い圧力で重合することは、重合速度の点で不利になることが見出されたのである。この理由については明らかではないが、重合工程の圧力が上記の特定の値より低い場合には、重合器に不活性ガスを吸収した該溶融プレポリマーが導入された直後に該溶融プレポリマー中の不活性ガスが急速に飛散してしまい、不活性ガスによるプレポリマーの継続的な発泡状態を形成しなくなるためであると推定している。また(2)式により、Mが大きくなるほど重合工程の圧力の下限が低くなるのは、不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーの分子量が高くなると、溶融粘度が上昇するため不活性ガスがプレポリマー中から飛散しにくくなるためであると考えられる。従ってMが5,178以上の溶融プレポリマーの場合は、重合圧力を低くしていくことによって重合速度が増大していくことが判明した。
【0045】
本発明において、不活性ガスは不活性ガス吸収工程で該溶融プレポリマーに吸収させれば、重合器中に直接供給する必要はないが、付加的に供給させても良い。ただし、不活性ガス吸収工程で該溶融プレポリマーに不活性ガスを吸収させずに、重合器中に不活性ガスを直接供給するだけでは、本発明の方法に比べて、重合速度が格段遅くなるだけでなく、得られた芳香族ポリカーボネートの機械的特性、特に引張伸度が低くなって本発明の目的は達成されない。これに対し、本発明の方法では、機械的特性、特に引張伸度の高い重合体が得られる。その理由については明らかでないが、重合器に於てポリマーを重合させながら直接不活性ガスを供給する場合に比べて、不活性ガスを不活性ガス吸収装置で該溶融プレポリマーに重合し難い条件下で吸収させた場合には、不活性ガスが溶融ポリマー中に均一に溶解することによって重合器内での溶融プレポリマーの発泡状態もより均一になり、機械的特性も向上しかつ、安定な分子量のポリマーを製造できるものと考えられる。
【0046】
また、不活性ガス吸収工程で該溶融プレポリマーに不活性ガスを吸収させずに、重合器中に不活性ガスを直接供給するだけの場合に比べ、本発明の方法では、驚くべき事に、製造する芳香族ポリカーボネートの分子量のバラツキが極めて小さくなる。この理由についても明らかでないが、機械的特性が向上したのと同様に不活性ガスが均一に溶解することによって重合器内での溶融プレポリマーの発泡状態もより均一になることが、分子量のバラツキを小さくする要因になっているものと推定される。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートを反応させてプレポリマー、及び芳香族ポリカーボネートを製造するに当たり、反応の温度は、通常50〜350℃、好ましくは100〜300℃の範囲で選ばれる。
【0047】
本発明の芳香族ポリカーボネートの製造方法は、上記のような芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、触媒の存在もしくは非存在下で、加熱しながら溶融状態でエステル交換反応にて重縮合する方法であり、プレポリマーを製造する装置、及び重合工程で用いる重合器には特に制限はない。例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合させる多孔板型反応器、ガイドに沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器、例えばワイヤー接触流下式重合器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせた重合器が用いられる。例えば重合の初期に芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから竪型攪拌槽を用いて重合して溶融プレポリマーを製造し、重合工程では、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合させる多孔板型反応器、ガイドに沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器等を用いて重合させる方法等は、本発明の好ましい態様の一つである。
【0048】
重合工程で用いる特に好ましい重合器は、ガイドに沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器(例えば、米国特許第5,589,564号を参照)である。ガイドに沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器では、上述した、不活性ガス吸収装置によって不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーを重合させる場合にプレポリマーは常時激しい発泡状態となっており、表面の攪拌状態が極めて良くなる現象が特に顕著に発現することが明らかとなった。すなわち、ガイドに沿ってプレポリマーを常時発泡状態で溶融流下せしめて重合を進行させる重合器を用いて重合させる方法は、本発明の最も好ましい態様である。なお、常時発泡状態で溶融流下せしめるとは、ガイドの上部から下部にわたって、発泡が継続している状態を意味している。発泡状態については、例えば重合器にサイトグラスを設けることにより目視で観察することができる。
【0049】
ガイドに沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器において、溶融プレポリマーは通常、多孔板から供給された後、ガイドに沿って落下する。多孔板は、通常、平板、波板、中心部が厚くなった板などから選ばれ、多孔板の形状についは、通常、円状、長円状、三角形状、多角形状などの形状から選ばれる。
多孔板の孔は、通常、円状、長円状、三角形状、スリット状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。孔の断面積は、通常、0.01〜100cmであり、好ましくは0.05〜10cmであり、特に好ましくは0.1〜5cmの範囲である。孔と孔との間隔は、孔の中心と中心の距離で通常、1〜500mmであり、好ましくは25〜100mmである。多孔板の孔は、多孔板を貫通させた孔であっても、多孔板に管を取り付けた場合でもよい。また、下方向に又は上方向に孔径の減少するテーパー状になっていてもよい。また、ガイドとは、水平方向の断面の外周の平均長さに対して該断面と垂直方向の長さの比率が非常に大きい材料を表すものである。該比率は、通常、10〜1000,000の範囲であり、好ましくは50〜100,000の範囲である。水平方向の断面の形状は、通常、円状、長円状、三角形状、四角形状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。
【0050】
該断面の形状は長さ方向に同一でもよいし異なっていてもよい。また、ガイドは中空状のものでもよい。ガイドは、針金状等の単一なものでもよいが、捩り合わせる等の方法によって複数組み合わせたものでもよい。また、金網状のものや、パンチングプレート状のものであっても良い。ガイドの表面は平滑であっても凹凸があるものであってもよく、部分的に突起等を有するものでもよい。ガイドの材質は、通常、ステンレススチール、カーボンスチール、ハステロイ、ニッケル、チタン、クロム、及びその他の合金等の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。また、ガイドの表面は、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の処理がなされてもよい。ガイドと多孔板との位置関係及びガイドと多孔板の孔との位置関係については、ガイド接触落下が可能である限り特に限定されない。ガイドと多孔板は互いに接触していてもよいし、接触していなくてもよい。ガイドを多孔板の孔に対応させて設けるやり方の好ましい具体例としては、(1)ガイドの上端を重合器の上部内壁面などに固定して、ガイドが多孔板の孔の中心部付近を貫通した状態でガイドを設けるやり方や、(2)ガイドの上端を多孔板の孔の上端の周縁部に固定して、ガイドが多孔板の孔を貫通した状態でガイドを設けるやり方や、(3)ガイドの上端を多孔板の下側面に固定するやり方、などが挙げられる。
【0051】
この多孔板を通じて溶融プレポリマーをガイドに沿わせて落下させる方法としては、液ヘッドまたは自重で落下させる方法、またはポンプなどを使って加圧にすることにより、多孔板から溶融プレポリマーを押し出す等の方法が挙げられる。孔の数に特に制限はなく、反応温度や圧力などの条件、触媒の量、重合させる分子量の範囲等によっても異なるが、通常ポリマーを例えば100kg/hr製造する際には、10〜105個の孔が必要である。孔を通過した後、ガイドに沿わせて落下させる高さは、好ましくは0.3〜50mであり、さらに好ましくは0.5〜30mである。孔を通過させる溶融プレポリマーの流量は、溶融プレポリマーの分子量によっても異なるが通常、孔1個当たり、10−4〜10リットル/hr、好ましくは10−2〜10リットル/hr、特に好ましくは、0.05〜50リットル/hrの範囲である。ガイドに沿わせて落下させるのに要する時間に特に制限はないが、通常0.01秒〜10時間の範囲である。ガイドに沿わせて落下させながら重合させたポリマーは、そのまま液溜部に落下させてもよく、また巻き取り器等で強制的に液溜部に取り込んでもよい。さらに、ガイドに沿わせて落下させた後の重合物はそのまま抜き出されても良いが、循環させて、再びガイドに沿わせて落下させながら重合させるのも好ましい方法である。この場合、ガイドに沿わせて落下させた後の液溜部や循環ライン等で重縮合反応に必要な反応時間に応じて滞留時間を長くすることができる。また、ガイドに沿わせて落下させながら循環を行うことにより単位時間に形成し得る新規な液表面積が大きく取れるため、所望の分子量まで充分重合を進行させる事が容易となる。
【0052】
本発明の方法の重合工程(b)としては、バッチ的に行うバッチ重合法も可能であるし、連続的に行う連続重合法も可能である。このバッチ重合法とは、不活性ガス吸収工程(a)で不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーの所定量を重合工程(b)で該溶融プレポリマーの重合を行なうための重合帯域に供給した後、該溶融プレポリマーの供給を停止し、次いで、所定の圧力下で重合に付し、所定の重合度にまで該溶融プレポリマーを重合させる方法である。また、上記の連続重合法とは、工程(a)で不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーを重合工程(b)における重合帯域に所定の流量で連続的に供給し、該重合工程(b)で所定の圧力下で重合に付し、所定の重合度にまで該溶融プレポリマーを重合させ、得られた芳香族ポリカーボネートを所定の流量で該重合帯域から連続的に抜き出し、重合工程(b)を連続的に行なうことによって重合を行う方法である。
【0053】
本発明の方法の不活性ガス吸収工程(a)は、重合工程(b)をバッチ的に行うか連続的に行うかとは独立的に、バッチ的に行うことも可能であるし、連続的に行うことも可能である。従って、本発明の方法の不活性ガス吸収工程(a)と重合工程(b)をそれぞれバッチ方式で行うか連続方式で行うかによって、工程(a)と工程(b)の方式については少なくとも以下の4つの組み合わせが可能である:「バッチ方式での工程(a)とバッチ方式での工程(b)」、「バッチ方式での工程(a)と連続方式での工程(b)」、「連続方式での工程(a)とバッチ方式での工程(b)」、及び「連続方式での工程(a)と連続方式での工程(b)」。これらのいずれの組み合わせにおいても、本発明の方法は好適に実施することができるが、芳香族ポリカーボネートを大量に製造する場合は、工程(a)と工程(b)のうちの少なくとも重合工程(b)を連続方式で行うことが好ましい。不活性ガス吸収工程(a)と重合工程(b)の両方を連続方式で行うことが更に好ましい。
本発明においては、不活性ガス吸収工程と重合工程を順次、2回以上繰り返す方法も好ましい方法である。また、不活性ガス吸収工程よりも重合工程の回数を多くすることももちろん可能である。本発明において、不活性ガス吸収工程と重合工程の組み合わせについては、さまざまな組み合わせが可能であり、複数の重合器を用いる場合には、例えば、「吸収、重合、吸収、重合、吸収、重合…」や、「吸収、重合、重合、吸収、重合…」等の組み合わせで行うことができる。又、これは重合体を重合器に循環させる場合にも同様に適用される。
【0054】
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから芳香族ポリカーボネートを製造する反応は触媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。触媒としては、この分野で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R)NB(R)または(R)PB(R)で表されるアンモニウムボレート類またはホスホニウムボレート類(R、R、R、Rは前述の通り)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウムの化合物類などの触媒を挙げる事ができる。
【0055】
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常10−8〜1重量%、好ましくは10−7〜10−1重量%の範囲で選ばれる。
本発明で用いられる不活性ガス吸収装置や重合器や配管の材質に特に制限はなく、通常ステンレススチール、カーボンスチール、ハステロイ、ニッケル、チタン、クロム、及びその他の合金等の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。また、これらの材質の表面は、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の処理がなされてもよい。特に好ましいのは、ステンレススチールやニッケル、グラスライニング等である。
本発明の方法で得られる芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は、通常1,500〜100,000の範囲であり、好ましくは3,000〜30,000の範囲である。
本発明により製造される芳香族ポリカーボーネートは、次式で示される繰り返し単位を有する。
【0056】
【化7】
Figure 0003577695
【0057】
(Arは前述と同じである。)
特に好ましいのは、全繰り返し単位中、次式で示される繰り返し単位が85モル%以上含まれる芳香族ポリカーボネートである。
【0058】
【化8】
Figure 0003577695
【0059】
また、本発明により製造される芳香族ポリカーボネートの末端基は、通常ヒドロキシル基または、次式で示されるアリールカーボネート基からなっている。
【0060】
【化9】
Figure 0003577695
【0061】
(Arは、前述のAr、Arと同じである。)
特に好ましいのは、末端のアリールカーボネート基中のフェニルカーボネート基の占める割合が85モル%以上の芳香族ポリカーボネートである。
ヒドロキシル基とアリールカーボネート基の比率に特に制限はないが、通常95:5〜5:95の範囲であり、好ましくは90:10〜10:90の範囲であり、さらに好ましくは80:20〜20:80の範囲である。
【0062】
本発明で製造される芳香族ポリカーボネートは、主鎖に対してエステル結合やエーテル結合等の異種結合を介して部分的に分岐したものであっても良い。該異種結合はカーボネート結合に対して通常3モル%以内である。(例えば、WO97/32916号を参照)
本発明の芳香族ポリカーボネート中で特に好ましいのは、ハロゲンを含まない芳香族ジヒドロキシ化合物およびジアリールカーボネートを用いることにより製造された、実質的にハロゲンを含まない芳香族ポリカーボネートである。
発明を実施するための最良の形態
【0063】
実施例
以下に、実施例を挙げて説明する。
・数平均分子量(Mn):テトラヒドロフランを搬送溶媒として用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定し、標準単分散ポリスチレンを用いて得た下式による換算分子量較正曲線を用いて数平均分子量(Mn)を求めた。
PC=0.3591MPS 1.0388
(式中、MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレンの分子量を示す。)
・カラー:射出成形機を用い、芳香族ポリカーボネートをシリンダー温度290℃、金型温度90℃で、縦50mm×横50mm×厚さ3.2mmの試験片を連続成形した。得られた試験片の色調はCIELAB法(Comission Inetrnationale de l'Eclairage 1976 L*a*b Diagram)により測定し、黄色度をb値で示した。
・引張伸度:射出成形機を用い、芳香族ポリカーボネートをシリンダー温度290℃、金型温度90℃で射出成形した。得られた厚み3.2mmの試験片の引張伸度(%)、ASTM D638に準じて測定した。
【0064】
実施例1
図1に示すような、不活性ガス吸収装置1と複数の円柱状ガイド13を有する重合器10からなるプロセスを用いて、芳香族ポリカーボネートを製造した。不活性ガス吸収装置1は、直径2mm、長さ3mのSUS316製円柱状ガイド4を7本備えており、供給口2から供給された芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーは分散板3により各円柱状ガイド4に均一に分配される。不活性ガス吸収装置下部には不活性ガス供給口5が備えられており、上部にはベント口6が備えられている。不活性ガス吸収装置1の外側はジャケットになっており、熱媒で加温されている。重合器10は、直径2.5mm、長さ8mのSUS316製円柱状ガイド13を70本備えており、供給口11から供給された溶融ポリマーは分散板12により各ガイド13に均一に分配される。重合器下部には不活性ガス供給口14が備えられており、上部には真空ベント口15が備えられている。重合器10の外側はジャケットになっており、熱媒で加温されている。また、重合器10はサイトグラス20を備えている。
ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.05)を180℃で溶融混合した後、竪型第1攪拌槽に送液し、230℃、13,300Pa、滞留時間1時間で重合させ、ついで竪型第2攪拌槽に送液し、270℃、140Pa、滞留時間1時間で重合させて製造した芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを、図1の矢印方向に配管中に流し、供給口2より50kg/hrの流量で不活性ガス吸収装置1に連続的に供給した。不活性ガス吸収装置に供給した溶融プレポリマーの数平均分子量M1は4,430であった。不活性ガス吸収装置1は、270℃、圧力200,000Paの条件であり、ベント口6は閉じられた状態で圧力200,000Paを保つように、不活性ガス供給口5より窒素が供給されている。窒素の供給量は2.0Nl/Hrであった。溶融プレポリマー1kgに対して吸収された窒素の量は0.04Nlである。(4×1012×M1−2.6871)の値は637であり、(1)式の条件を満足している。不活性ガス吸収装置1のボトムの溶融プレポリマー7の量が一定となるように排出ポンプ9によって溶融プレポリマーを排出口8から抜き出し、供給口11より重合器10に連続的に供給し、ガイド13に沿わせて落下させながら重合を行ない、重合器10のボトムの芳香族ポリカーボネート16の量が一定となるように排出ポンプ18によって排出口19から芳香族ポリカーボネートを連続的に抜き出した。運転を開始してから50時間後の供給口11より重合器10に供給される溶融プレポリマーの数平均分子量Mは4,450であり、(M−M)は20であり、(−0.056×M+290)の値は、41であった。重合条件は、270℃、90Paであり、式(2)の条件を満足している。不活性ガス供給口14からは、不活性ガスを供給しなかった。サイトグラスより、発泡した溶融プレポリマーが円柱状ガイド上を極めて良好に表面更新されながら落下する状態が観察された。該ガイドの上部から下部にわたって継続的に発泡していることも観察された。運転を開始してから50時間後に排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートの数平均分子量Mnは11,500であり、良好なカラー(b値3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。運転開始から、60時間後、70時間後、80時間後、90時間後、100時間後、1,000時間後、2,000時間後、3,000時間後に排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは、それぞれ、11,500、11,550、11,500、11,550、11,500、11,500、11,550、11,500であり、安定であった。結果を表1にまとめて示す。
【0065】
実施例2〜5
不活性ガス吸収装置の圧力が異なる他は実施例1と同様な方法により、芳香族ポリカーボネートを製造した。条件と結果をまとめて表1に示す。
【0066】
実施例6〜9
重合圧力が異なる他は実施例1と同様な方法により、芳香族ポリカーボネートを製造した。条件と結果をまとめて表1に示す。
【0067】
実施例10
ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.05)を180℃で溶融混合した後、竪型第1攪拌槽に送液し、230℃、13,300Pa、滞留時間1時間で重合させ、ついで竪型第2攪拌槽に送液し、265℃、1,400Pa、滞留時間1時間で重合させて製造した芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを、実施例1と同様に窒素を吸収させ、実施例1と同様な方法により重合させて芳香族ポリカーボネートを製造した。条件と結果をまとめて表1に示す。運転開始から、50時間後、60時間後、70時間後、80時間後、90時間後、100時間後に排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは、それぞれ、9,000、9,000、9,050、9,000、9,050、9,000であり、安定であった。
【0068】
実施例11〜13
不活性ガス吸収装置1の温度、及び重合器10の温度、窒素供給量を変える他は、実施例1と同様な方法により芳香族ポリカーボネートを製造した。条件と結果をまとめて表1に示す。実施例11においては、運転開始から、50時間後、60時間後、70時間後、80時間後、90時間後、100時間後に排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは、それぞれ、11,600、11,600、11,5500、11,600、11,600、11,550であり、安定であった。
【0069】
比較例1〜3
不活性ガス吸収装置を通過させず、溶融プレポリマーを直接重合器10に供給する他は、実施例1、実施例10、実施例11と同様な方法により芳香族ポリカーボネートを製造した。重合前後の分子量の差から、比較例はいずれも対応する実施例より重合速度が低い事がわかる。比較例3においては、運転開始から、50時間後、60時間後、70時間後、80時間後、90時間後、100時間後に排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは、それぞれ、7,600、7,400、7,450、7,500、7,650、7,400であり、不安定であった。条件と結果をまとめて表1に示す。
【0070】
比較例4
重合器に供給する窒素量を200Nl/hrとする他は、比較例3と同様な方法により芳香族ポリカーボネートを製造した。重合器に供給する窒素量は溶融プレポリマー1kgに対して4Nlである。運転開始から、50時間後、60時間後、70時間後、80時間後、90時間後、100時間後に排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは、それぞれ、7,900、7,700、8,050、7,700、7,900、8,000であり、不安定であった。条件と結果をまとめて表1に示す。
【0071】
実施例14
不活性ガス吸収装置で窒素に変えてアルゴンを吸収させる他は、実施例1と同様な方法により芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から50時間後にM、Mはそれぞれ4,430、4,450であり、排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11,500であり、良好なカラー(b値3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。
【0072】
実施例15
不活性ガス吸収装置で窒素に変えて炭酸ガスを吸収させる他は、実施例1と同様な方法により芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から50時間後にM、Mはそれぞれ4430、4450であり、排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11,500であり、良好なカラー(b値3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。
【0073】
実施例16
不活性ガス吸収装置で、不活性ガス供給口から窒素を20Nl/hr供給し、ベント口6で圧力調整して200,000Paにコントロールする他は、実施例1と同様な方法により重合して芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から50時間後にM、Mはそれぞれ4,430、4,520であり、排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11,300であり、良好なカラー(b値3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。
【0074】
実施例17
不活性ガス吸収装置の圧力を900Paとする他は、実施例16と同様な方法により、芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から50時間後にM、Mはそれぞれ4,430、4,730であり、(M2−M1)は300であった。排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11,000であり、良好なカラー(b値3.3)であった。また、引張伸度は97%であった。サイトグラスより観察すると、溶融プレポリマーは常時発泡していた。
【0075】
実施例18
不活性ガス吸収装置の圧力を700Paとする他は、実施例16と同様な方法により、芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から50時間後にM、Mはそれぞれ4,430、4,840であり、(M−M)は410であった。排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは10,700であり、良好なカラー(b値3.3)であった。また、引張伸度は95%であった。サイトグラスより観察すると、溶融プレポリマーは常時発泡していた。
【0076】
実施例19
不活性ガス吸収装置の圧力を500Paとする他は、実施例16と同様な方法により、芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から50時間後にM、Mはそれぞれ4,430、4,980であり、(M−M)は550であった。排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは9,900であり、良好なカラー(b値3.3)であった。また、引張伸度は92%であった。サイトグラスより観察すると、溶融プレポリマーは断続的に発泡していた。
【0077】
実施例20
重合器10のかわりに回転直径0.4mの攪拌軸を2本有する内容積1.5m3、長さ4mの横型攪拌槽を用い、実施例1と同様に不活性ガス吸収装置で窒素を吸収させた溶融プレポリマーの重合を行った。溶融プレポリマーの供給量、重合温度、重合圧力は実施例1と同様にした。攪拌軸の回転数は15rpmである。運転開始から50時間後に重合器から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは10,500であり、b値は3.6、引張伸度は94%であった。
【0078】
比較例5
不活性ガス吸収装置を通過させず、溶融プレポリマーを直接横型攪拌槽に供給する他は、実施例20と同様な方法により芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から50時間後に重合器から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは8,900であり、b値は3.9、引張伸度は89%であった。
【0079】
実施例21
円柱状ガイドが設けられていない他は、実施例1と同様の不活性ガス吸収装置を用いる他は、実施例1と同様な方法により芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から50時間後にM、Mはそれぞれ4,430、4,430であり、排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11,400であり、良好なカラー(b値3.3)であった。また、引張伸度は98%であった。
【0080】
実施例22
重合器のガイドとして、幅100mm、長さ8mのSUS316製1メッシュ金網(線径2mm)が8枚備えられている他は実施例1と同様の装置で、実施例1と同様な方法により芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から50時間後にM、Mはそれぞれ4,430、4,450であり、排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11,800であり、良好なカラー(b値3.3)であった。また、引張伸度は97%であった。
【0081】
実施例23
ビスフェノールAのかわりに1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを用いる他は実施例1と同様に重合させて得られた溶融プレポリマーを用いる以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。運転開始から50時間後にM、Mはそれぞれ4,410、4,430であり、排出口19から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは11,100であり、良好なカラー(b値3.3)であった。また、引張伸度は94%であった。
【0082】
【産業上の利用可能性】
本発明の製造方法によれば、着色がなく機械的物性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを、高い重合速度で、大量の不活性ガスを使用することなく製造する事ができ、更に分子量のバラツキが少なく、長期間安定的に芳香族ポリカーボネートを製造することができるので、工業的に極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
図1】本発明の方法を実施するためのシステムの1例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 不活性ガス吸収装置
2 溶融プレポリマーの供給口
3 溶融プレポリマーの分散板
4、13 円柱状ガイド
5 不活性ガス供給口
6 所望により使用されるベント口
7 不活性ガスを吸収した溶融プレポリマー
8 不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーの排出口
9 不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーの排出ポンプ
10 重合器
11 不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーの供給口
12 不活性ガスを吸収した溶融プレポリマーの分散板
14 所望により使用される不活性ガス供給口
15 真空ベント口
16 芳香族ポリカーボネート
17 芳香族ポリカーボネートの排出口
18 芳香族ポリカーボネートの排出ポンプ
19 芳香族ポリカーボネートの抜き出し口
20 溶融プレポリマーの発泡状態を観察するためのサイトグラス

Claims (9)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから芳香族ポリカーボネートを製造する方法であって、
    (a)芳香族ジヒドロキシ化合物をジアリールカーボネートと反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネートの溶融プレポリマーを所定の圧力P下に不活性ガスで処理することによって、該溶融プレポリマーに該不活性ガスを吸収させ、
    (b)該不活性ガスを吸収した該溶融プレポリマーを、不活性ガス吸収工程(a)で用いる該所定の圧力よりも低い圧力P下で重合に付し、所定の重合度にまで該溶融プレポリマーを重合させることを包含し、且つ、
    (c)該不活性ガス吸収工程(a)で用いる該所定の圧力Pが、該溶融プレポリマーを得るために用いられた反応圧力以上である
    ことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. 該不活性ガス吸収工程(a)の前と後での該溶融プレポリマーの分子量変化が下記式で表されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
    (M−M)≦ 500
    (但し、上記式において、M及びMは、それぞれ、不活性ガス吸収工程(a)の前及び後における溶融プレポリマーの数平均分子量を表す。)
  3. 該不活性ガス吸収工程(a)で用いる該所定の圧力Pが、下記式(1)を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
    > 4×1012 × M1−2.6871 (1)
    (但し、式(1)において、Pは不活性ガス吸収工程(a)で用いる圧力(Pa)を表し;そして
    は、不活性ガス吸収工程(a)の前における溶融プレポリマーの数平均分子量を表す。)
  4. が5,178未満の場合、該重合工程(b)で用いる圧力Pが、下記式(2)を満足し、Mが5,178以上の場合、該重合工程(b)で用いる圧力Pが、下記式(3)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
    >P>−0.056×M+ 290 (2)
    (但し、式(2)において、P及びPは、それぞれ、不活性ガス吸収工程(a)及び重合工程(b)で用いる圧力(Pa)を表し;そして
    は、不活性ガス吸収工程(a)の後における溶融プレポリマーの数平均分子量を表す。)
    > P >0 (3)
    (但し、式(3)において、P及びPは、上記式(2)に関して定義した通りである。)
  5. 重合工程(b)を、溶融プレポリマーをガイドの表面に沿って流下せしめ、その落下中に該溶融プレポリマーの重合が行われるガイド接触落下重合プロセスによって行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 重合工程(b)において、ガイドに沿って流下する該溶融プレポリマーが、常時発泡状態であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 該不活性ガスを吸収した該溶融プレポリマーを重合工程(b)で該溶融プレポリマーの重合を行うための重合帯域に連続的に供給し、該重合工程(b)で製造された芳香族ポリカーボネートを該重合帯域から連続的に抜き出し、重合工程(b)を連続的に行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 不活性ガスが窒素であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 不活性ガス吸収工程(a)における不活性ガスの吸収量が、溶融プレポリマー1kgに対して0.0001〜1Nl(但し、Nlは標準温度・圧条件下で測定したlである)であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
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