JP3522027B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
芳香族ポリカーボネートの製造方法Info
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Description
ネートの製造方法に関するものである。
性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプ
ラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いら
れている。この芳香族ポリカーボネートの製造方法につ
いては、従来種々重合法の研究が行われている。その中
で、有機溶媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物、例
えば2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン(以下、ビスフェノールAと言う。)のアルカリ水溶
液とホスゲンを反応させる界面重縮合法は公知である。
この方法で用いる有機溶媒はハロゲン系有機溶媒であ
り、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどが用いら
れるが、特に塩化メチレンが主に用いられる。しかし、
この方法では得られるポリマーから該有機溶媒を完全に
除去することが難しく、残留する該有機溶媒由来のハロ
ゲンによる金型腐食や着色などが起こり、後の用途に好
ましくない影響を与える。
ールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製
造する方法としては、例えば、ビスフェノールAとジフ
ェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生
するフェノールを抜き出しながら重合する溶融重縮合法
が公知である。溶融重縮合法は、界面重縮合法と異な
り、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、重合が進
行すると共にポリマーの粘度が上昇し、副生するフェノ
ールなどを効率よく系外に抜き出す事が困難になり、重
合度を上げにくくなるという本質的な問題があった。
ため、溶融重縮合法の重合器としては、種々の重合器が
知られている。撹拌機を備えた槽型の重合器を用いる方
法は、一般に広く知られている。しかしながら、撹拌槽
型の重合器は容積効率が高く、シンプルであるという利
点を有するが、小スケールでは効率的に重合を進めるこ
とができるものの、工業的規模では、上述したように重
合の進行と共に副生するフェノールを効率的に系外に抜
き出す事が困難となり、重合度を上げにくくなるという
問題を有している。
は、通常、蒸発面積に対する液容量の比率が小スケール
の場合に比べて大きくなり、いわゆる液深が大きな状態
となる。この場合、重合度を高めていくために真空度を
高めていっても、撹拌槽の下部は差圧により実質上高い
圧力で重合される事になり、フェノール等は効率的に抜
けにくくなるのである。
リマーからフェノール等を抜き出すための工夫が種々な
されている。例えば特公昭50−19600号公報で
は、ベント部を有するスクリュー型重合器が、また特公
昭53−5718号公報では、薄膜蒸発型反応器、例え
ばスクリュー蒸発器や遠心薄膜蒸発器等が記載されてお
り、さらに特開平2−153923号公報では、薄膜型
蒸発装置と横型撹拌重合槽を組み合わせて用いる方法が
示されている。撹拌槽型も含め、これらの重合器が共通
して有する欠点は、重合器本体に回転駆動部分があり、
高真空下で重合が実施される場合には、この駆動部分を
完全にシールする事ができないため微量の酸素の漏れ込
みを防止できず、製品の着色が避けられない事であっ
た。酸素の漏れ込みを防ぐ為にシール液を使用する場合
には、シール液の混入が避けられず、やはり製品品質の
低下は避けられなかった。また、運転当初のシール性が
高い場合でも、長時間運転を続ける間にシール性は低下
するなど、メンテナンス上の問題も深刻であった。
多孔板から落下させながら重合させる方法は、芳香族ポ
リカーボネート以外の樹脂の製造法としては知られてい
る。例えば米国特許第3110547号明細書では、ポ
リエステルを真空中へ糸状に落下させて、所望の分子量
のポリエステルを製造する方法が開示されている。該明
細書では、落下させた糸を再び循環させるとポリエステ
ルの品質を低下させるため、循環させずにワンパスで重
合を完了させている。しかしながら、この様な方法に関
しては、多くの欠点が指摘されている。例えば特公昭4
8−8355号公報には、紡糸口金から真空中に紡糸し
ながら重縮合する方法に関し次の記載がある。繊維形成
能が充分大きいものを供給しないと反応器中で重合中の
糸条が切断し易く、重縮合物の品質変動が激しくなる。
糸条から飛散する低分子量の縮合物が口金面を汚染し、
糸条が口金から真下に射出する事が困難となり、接触し
て切れたり集束して太い繊維状に流下して反応を妨害す
る。監視窓がくもり易く、監視が困難となり、そのため
口金の交換時期を失し易い。なお、該公報では、ポリエ
ステルとポリアミドの製法として、反応容器内に垂直に
配置した多孔質物体に沿ってポリマーを流下させながら
重合させる方法が記載されているが、芳香族ポリカーボ
ネートについては全く記載されていない。
するモノマーを除去する方法として、ラクタム重合成生
物を多孔板から糸状に落下せしめる方法が米国特許第2
719776号明細書に記載されている。しかしなが
ら、この方法にも多くの欠点が指摘されている。例え
ば、特開昭53ー17569号公報では、米国特許第2
719776号明細書の方法について次の不都合が指摘
されている。揮発分の蒸発が少ない場合は糸状物を形成
させる事ができても、蒸発が多い場合は、糸状物が発泡
するようになり、順調な運転は難しい。糸状物を形成さ
せるためには比較的狭い範囲の特定の粘度を有する物質
にしか適用できない。塔内に不活性ガス等を導入する場
合、気流の乱れによって近隣の糸状物同士が接触集合す
る。なお、特開昭53ー17569号公報では、これら
の不都合を解決するために、縦方向に線状支持体をもう
け、これに沿わせて高粘度物を流下させる方法を、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
の様なポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66の様
なポリアミド類を対象に提案しているが、芳香族ポリカ
ーボネートについては記載されていない。
リエステルの連続重縮合法について、落下させながら重
縮合を行う二つの方法、すなわち、紡糸口金から紡糸す
る方法、スリットから膜状にして押し出しながら重合さ
せる方法のいずれもが重縮合を進行させ難い事が記載さ
れている。また該公報には、スリット状供給口から少な
くとも2本のワイヤ間に薄膜状に保持して、縦方向にワ
ンパスで移動させることにより連続重縮合させる方法が
提案されている。該公報においてももちろん、芳香族ポ
リカーボネートに関しては全く記載されていない。
がら重合させる方法は、ポリエステルやポリアミドの製
造方法としては知られているものの芳香族ポリカーボネ
ートの製造法としては全く知られていない。また、ポリ
エステルやポリアミドの製造法としては、落下させなが
ら重合する方法は、孔の閉塞等多くの欠点が指摘されて
いた。
カリ水溶液とホスゲンを反応させる界面重縮合法で芳香
族ポリカーボネートプレポリマーを製造し、得られた芳
香族ポリカーボネートプレポリマーを多孔板から落下さ
せながら重合させる製造方法については、全く知られて
いない。
法で芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造し、得
られた芳香族ポリカーボネートプレポリマーを溶融重縮
合法により芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、
高真空下でのシール性に優れ、かつメンテナンスも容易
な装置で、長期間安定に、残留溶媒がなく着色のない高
品質の芳香族ポリカーボネートを高い重合速度で製造す
る方法を提供する事を目的とする。
を解決するため鋭意検討を進めた結果、特定の製造方法
を使って重合を行う事によりその目的を達成できる事を
見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち、本
発明は、(1) 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ
水溶液とホスゲンを反応させて芳香族ポリカーボネート
プレポリマーを製造し、得られた芳香族プレポリマープ
レポリマーを溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて落
下させながら重合させる事を特徴とする芳香族ポリカー
ボネートの製造方法、(2) 芳香族ジヒドロキシ化合
物のアルカリ水溶液とホスゲンを反応させて芳香族ポリ
カーボネートプレポリマーを製造し、得られた芳香族ポ
リカーボネートプレポリマーを、溶融状態で多孔板から
ガイドに沿わせて落下させながら重合させ、落下させた
重合体の一部または全部を循環させて該多孔板から再び
ガイドに沿わせて落下させながら重合させる事を特徴と
する芳香族ポリカーボネートの製造方法、(3) 芳香
族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液とホスゲンを反
応させて芳香族ポリカーボネートプレポリマーを製造
し、得られた芳香族ポリカーボネートプレポリマーを連
続的に供給し、溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて
落下させながら重合させ、落下させた重合体の一部を循
環させて該多孔板から再びガイドに沿わせて落下させな
がら重合させ、芳香族ポリカーボネートを連続的に抜き
出す事を特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方
法、(4) 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶
液とホスゲンを反応させて芳香族ポリカーボネートプレ
ポリマーを製造し、得られた芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーを、撹拌槽型重合器を用いて溶融状態で重合
させる前重合工程と、前重合工程で得られた重合中間体
を溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて落下させなが
ら重合させる後重合工程を含む事を特徴とする芳香族ポ
リカーボネートの製造方法、(5) 後重合工程が、前
重合工程で得られた重合中間体を溶融状態で多孔板から
ガイドに沿わせて落下させながら重合させ、落下させた
重合体の一部または全部を循環させて上記多孔板から再
びガイドに沿わせて落下させながら重合させる方法であ
る(4)記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(6) 後重合工程が、前重合工程で得られた重合中間
体を連続的に供給し、溶融状態で多孔板からガイドに沿
わせて落下させながら重合させ、落下させた重合体の一
部を循環させて該多孔板から再びガイドに沿わせて落下
させながら重合させ、芳香族ポリカーボネートを連続的
に抜き出す方法である(4)記載の芳香族ポリカーボネ
ートの製造方法、(7) 芳香族ジヒドロキシ化合物の
アルカリ水溶液とホスゲンを反応させて芳香族ポリカー
ボネートプレポリマーを製造し、得られた芳香族プレポ
リマープレポリマーを、撹拌槽型重合器を用いて溶融状
態で重合させる前重合工程と、前重合工程で得られた重
合中間体を溶融状態で濡れ壁式に落下させながら重合さ
せる中間重合工程と、中間重合工程で得られた重合中間
体を多孔板からガイドに沿わせて落下させながら重合さ
せる後重合工程を含む事を特徴とする芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法、(8) 後重合工程が、中間重合工
程で得られた重合中間体を溶融状態で多孔板からガイド
に沿わせて落下させながら重合させ、落下させた重合体
の一部または全部を循環させて該多孔板から再びガイド
に沿わせて落下させながら重合させる方法である(7)
記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法、(9) 後
重合工程が、中間重合工程で得られた重合中間体を連続
的に供給し、溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて落
下させながら重合させ、落下させた重合体の一部を循環
させて該多孔板から再びガイドに沿わせて落下させなが
ら重合させ、芳香族ポリカーボネートを連続的に抜き出
す方法である(7)記載の芳香族ポリカーボネートの製
造方法、(10) 多孔板からガイドに沿わせて落下さ
せる高さが、0.3m以上である、(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)また
は(9)記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(11) 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液
とホスゲンを反応させて得られる芳香族ポリカーボネー
トプレポリマーの数平均分子量が300〜20000の
範囲である、請求項(1)、(2)、(3)、(4)、
(5)、(6)、(7)、(8)または(9)記載の芳
香族ポリカーボネートの製造方法、を提供するものであ
る。
は、得られたポリマー中に残留する有機溶媒由来のハロ
ゲンにより金型腐食や着色が発生する。ところが、本発
明による製造方法によれば、高真空下でのシール性に優
れ、かつメンテナンスも容易な装置で、長期間安定に、
残留溶媒がなく着色のない高品質の芳香族ポリカーボネ
ートを高い重合速度で製造することができるのである。
かかる理由について明確ではないが、界面重縮合法で得
られた芳香族ポリカーボネートプレポリマーを、溶融状
態で多孔板からガイドに沿わせて落下させながら重合さ
せる際に、副生する芳香族モノヒドロキシ化合物と共に
残留する有機溶媒を効率よく抜き出すことができるた
め、金型腐食や着色の原因となる有機溶媒が残留しない
と推測される。
回転駆動部分を有しないタイプの重合器は、ポリカーボ
ネート以外の樹脂を重合するための重合器としては種々
知られているが、芳香族ポリカーボネートの溶融重縮合
反応は、ポリエステルやポリアミドの溶融重縮合反応と
は大きく異なるので、ポリアミドやポリエステルの製造
のための高粘度用の重合器を芳香族ポリカーボネートの
製造法に適用することは難しい。ポリアミド、ポリエス
テルと芳香族ポリカーボネートの大きな相違は次の通り
である。第一に、溶融重縮合の重合器設計において重要
な因子となる溶融粘度が芳香族ポリカーボネートの場合
極端に高い。すなわち、ポリアミド、ポリエステルにお
ける重合後期の溶融粘度が重合温度条件下で通常数百か
ら数千ポイズであり、3000ポイズを越えることはほ
とんどないのに対し、芳香族ポリカーボネートの重合後
期の溶融粘度は数万ポイズにまで達する。第二に、ポリ
アミド、ポリエステル、芳香族ポリカーボネートの溶融
重縮合はいずれも平衡反応であるが、平衡定数がそれぞ
れ大きく異なっている。通常、ポリアミドの平衡定数が
102 オーダー、ポリエステルの平衡定数が約1である
のに対し、芳香族ポリカーボネートの平衡定数は10-1
オーダーであり、同じ重縮合反応であっても芳香族ポリ
カーボネートの場合平衡定数が極めて小さい。平衡定数
が小さいという事は、副生成分を系外により効率的に抜
かないと重合が進行しなくなる事を意味する。従って、
芳香族ポリカーボネートの反応は、ポリエステルやポリ
アミドの反応よりはるかに効率的に副生成分を系外に抜
き出す必要があり、溶融粘度が高い芳香族ポリカーボネ
ートではこのことは極めて困難である。
来ポリエステルやポリアミド類の紡糸等で、落下させな
がら重合する方法の問題点を全く生じさせずに芳香族ポ
リカーボネートを重合できる事が明らかとなった。すな
わち、糸条の切断による品質のばらつきは全くないの
で、高品質の芳香族ポリカーボネートが安定に製造でき
る。その上、低分子量の縮合物による口金の汚染も全く
生じないため、糸条が真下に射出するのを阻害すること
もなく、口金の交換等のための運転停止をする事もな
い。従って、非常に長期間安定に運転する事ができる。
における現象と、ポリエステルやポリアミドの反応にお
ける現象とのこれらの明かな相違の理由については明確
ではない。ただし、口金の汚染が全く起こらない事につ
いては、おそらく、芳香族ポリカーボネートの反応にお
いては副生するフェノール類により低分子量の縮合物が
効果的に洗浄され、水や、エチレングリコール等を副生
するポリアミドやポリエステルの反応とは根本的に異な
るためではないかと推察されるが、かかる効果はポリエ
ステルやポリアミドの重合反応からは全く予見され得な
いものであった。
せて落下させながら重合させる方法は、必ずしも重合器
の気相部に回転駆動部を持つ必要がなく、高真空下での
シール性に優れており、メンテナンスも容易であり、し
かも無色透明の高品質な芳香族ポリカーボネートを製造
できることが明らかになった。すなわち、本発明の製造
方法を用いる事によって、従来芳香族ポリカーボネート
の溶融重縮合を行う際に生じた、先に述べた如き問題点
は全て解決できるのである。
リカーボネートプレポリマーを、多孔板からガイドに沿
わせて落下させて重合させる方法の重合器を一基用いて
芳香族ポリカーボネートを製造する方法、多孔板からガ
イドに沿わせて落下させながら重合させる重合器を複数
用いて芳香族ポリカーボネートを製造する方法、多孔板
からガイドに沿わせて落下させて重合させる方式と、他
の重合方式を組み合わせて芳香族ポリカーボネートを製
造する方法等が可能である。
ら重合させる方法と他の方法と組み合わせる方法の好ま
しい態様として、前重合工程で撹拌槽型重合器を用いる
方法と、後重合工程で多孔板からガイドに沿わせて落下
させながら重合させる重合器を組み合わせる方法があ
る。この方法により、高品質の芳香族ポリカーボネート
を効率良く製造する事ができる。前重合工程は通常、高
真空で実施する必要はないため撹拌槽型重合器でも品質
を損なう事なく、高い容積効率で重合させる事ができ
る。重合度を更に高める後重合工程では、ガイドに沿わ
せて落下させながら重合させる方法が特に有利である。
これらの重合方法を組み合わせることで、高品質の芳香
族ポリカーボネートを効率よく製造することができる。
て重合させる方法、中間重合工程で塗れ壁式に落下させ
ながら重合させる方法、後重合工程で多孔板からガイド
に沿わせて落下させながら重合させる方法を組み合わせ
る方法も、本発明の好ましい態様である。重合前半の前
重合工程は通常、高真空で実施する必要はないため撹拌
槽型重合器でも品質を損なう事なく、高い容積効率で重
合させる事ができるのは上述の通りである。ポリマーの
重合度がそれほど高まっていない中間重合工程では、塗
れ壁式に落下させながら重合させる方法は、伝熱面積を
大きくとれるため芳香族モノヒドロキシ化合物や残留溶
媒等の蒸発潜熱を効率的に与えることができ、有利であ
る。重合度を更に高める後重合工程では、ガイドに沿わ
せて落下させながら重合させる方法が特に有利である。
すなわち、濡れ壁式に落下させる方法は、管の内壁をポ
リマーが落下するため、落下するポリマーの粘度が高い
場合は膜厚が厚くなり、芳香族モノヒドロキシ化合物等
を蒸発させる面積が減少するが、ガイドに沿わせて落下
させながら重合する方式では粘度が高い場合でもこの様
な不利は生ぜず、むしろ膜厚が厚くなることは蒸発面積
の増加をもたらす。これらの重合方法を組み合わせるこ
とで、高品質の芳香族ポリカーボネートを効率よく製造
することができる。
発明において、芳香族ポリカーボネートプレポリマー
は、塩化メチレンなどの有機溶媒中で、公知の酸受容
体、分子量調整剤の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物
とホスゲンを反応させることによって、容易に製造する
ことができる。本発明における、芳香族ジヒドロキシ化
合物とは、HO−Ar−OHで示される化合物である
(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)。
r1 −Y−Ar2 −で示される2価の芳香族基である
(式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立に炭素数5〜7
0を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表
し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表
す。)。2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、1つ
以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換
基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェ
ノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド
基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良
い。
は、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄
原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。2価の芳香
族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェ
ニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非
置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前
述のとおりである。
で示される有機基である。
独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロア
ルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、
炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3
〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて
個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1
〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、
R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以
上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置
換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェ
ノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド
基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良
い。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化2で示されるものが挙げられる。
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびn
は1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれ
ぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4
の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであっ
てもよい。) 更に、2価の芳香族基Arは、−Ar1 −Z−Ar2 −
で示されるものであっても良い。
Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO
2 −、−SO−、−COO−、−CON(R1 )−など
の2価の基を表す。ただし、R1 は前述のとおりであ
る。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化3で示されるものが挙げられる。
のとおりである。) 更に、2価の芳香族基Arの具体例として、置換または
非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレン、
置換または非置換のピリジレン等も挙げられる。ここで
の置換基は前述のとおりである。本発明で用いられる芳
香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上で
もかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例
としてはビスフェノールAが挙げられる。また、本発明
では該芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、三官能以上
の多官能性化合物を同時に用いることも可能である。
に限定されないものの通常芳香族ポリカーボネートに用
いることができる各種のものを用いることができ、中で
もモノフェノールが好適である。該モノフェノールとし
ては、フェノール、o−n−ブチルフェノール、m−n
−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−
イソブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p
−イソブチルフェノール、o−t−ブチルフェノール、
m−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノー
ル、o−n−ペンチルフェノール、m−n−ペンチルフ
ェノール、p−n−ペンチルフェノール、o−n−ヘキ
シルフェノール、m−n−ヘキシルフェノール、p−n
−ヘキシルフェノール、p−t−オクチルフェノール、
o−シクロヘキシルフェノール、m−シクロヘキシルフ
ェノール、p−シクロヘキシルフェノール、o−フェニ
ルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニル
フェノール、o−n−ノニルフェノール、m−n−ノニ
ルフェノール、p−n−ノニルフェノール、o−クミル
フェノール、m−クミルフェノール、p−クミルフェノ
ール、o−ナフチルフェノール、m−ナフチルフェノー
ル、p−ナフチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル
フェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、3,
5−ジ−t−ブチルフェノール、2,5−ジクミルフェ
ノール、3,5−ジクミルフェノール、p−クレゾー
ル、ブロモフェノール、トリブロモフェノールなどが挙
げられる。
れる。
いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、p−t−ブチルフェノール、p−クミ
ルフェノール、p−フェニルフェノールなどが好ましく
用いられる。また、これらの芳香族モノヒドロキシ化合
物とともに、ほかの分子量調節剤、例えばメタノール、
エタノールなどの一価アルコール類:メチルクロロホー
メイト、シクロヘキシルクロロホーメイトなどのハロホ
ーメイト類:メチルメルカブタン、エチルメルカプタン
などの一価チオール類:メチルクロロチオホーメイト、
エチルクロロチオホーメイトなどの一価ハロチオホーメ
イト類:酢酸、プロピオン酸、安息香酸、酢酸ナトリウ
ム、無水酢酸、アセチルクロリド、プロビオニルクロリ
ドなどのモノカルボン酸やその誘導体などを併用するこ
とも有効である。さらに、芳香族ジヒドロキシ化合物に
対して、5モル%以下の二塩基酸やその反応性誘導体を
添加し、反応させることも有効である。
族、芳香族、脂環式のいずれのものであってもよく、具
体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、ナフタリン−1,5−ジカルボン酸、ジフェニル−
2,2−ジカルボン酸、シス−1,2−シクロヘキサン
ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、セバシン酸、アジ
ピン酸、マレイン酸、フマル酸などの二塩基酸や、これ
らの二塩基酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、
アミン塩、酸ハライド、アリールエステルなどを挙げる
ことができる。
有する化合物を用いることもできる。その中で例えば、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1−
[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチ
ル]−4−[α′,α′−ビス(4″−ヒドロキシフェ
ニル)エチル]ベンゼン、フロログリシン、トリメリッ
ト酸、イサチンビス(o−クレゾール)等を用いること
ができる。
況に応じて適宜選択することができる。例えば、塩化メ
チレン(ジクロロメタン)、クロロホルム、1,1−ジ
クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−
トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、
1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2
−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン等の塩素系
炭化水素、ジフェニルエーテル、ハロゲン化ジフェニル
エーテル、ジフェニルスルホン、アセトフェノン、ベン
ゾフェノン、ポリフェニルエーテル、クロロベンゼン、
ジクロロベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族化合
物、クロロフルオロ炭化水素、シクロヘキサン、トリシ
クロ(5.2.1.0)−デカン、シクロオクタン、シ
クロデカン等のシクロアルカン等が挙げられる。これら
の有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以
上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、塩化メ
チレンが好適に用いられる。
カリ源は、アルカリ金属の水酸化物が用いられる。例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、水酸化セシウム等が挙げられるが、その中で水酸化
ナトリウムと水酸化カリウムが好適に用いられる。本発
明における界面重縮合反応や溶融重縮合反応は、触媒を
加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるた
め、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒と
しては、この分野で用いられているものであれば特に制
限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及び
アルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリ
チウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラ
メチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素
化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級ア
ンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、
水素化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類
金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウム
エトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属
及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェ
ノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェ
ノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ON
a(Arはアリール基)などのアルカリ金属及びアルカ
リ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カ
ルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属及び
アルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、
亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホ
ウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸ト
リブチル、ホウ酸トリフェニル、(R1 R2 R3 R4)NB(R1 R
2 R3 R4)または(R1 R2R3 R4)PB(R1 R2 R3 R4)で表され
るアンモニウムボレート類またははホスホニウムボレー
ト類(R1、R2、R3、R4は前記化3の説明通り)などのホ
ウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テト
ラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル
−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸
化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエ
トキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウ
ムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジ
アルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズ
トリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ
基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの
化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛
及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの
鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウ
ム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;
酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化
合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガン
などのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアル
コキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物
類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウ
ムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムア
セチルアセトンなどのジルコニウムの化合物類などの触
媒を挙げる事ができる。
けで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても
良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物に対して、通常10-8〜1重量%、好
ましくは10-7〜10-1重量%の範囲で選ばれる。本発
明における芳香族ポリカーボネートプレポリマーは、前
記原料を用いて慣用的に行われる界面重縮合法で製造す
ることができる。先ず、前記の芳香族ジヒドロキシ化合
物をアルカリ金属水酸化物の水溶液に溶解し、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物の水酸化アルカリ水溶液を作る。次
に、芳香族ジヒドロキシ化合物の水酸化アルカリ水溶液
に、前記有機溶媒を加えて混合液とする。このとき必要
に応じて分子量調整剤を添加させても良い。その混合液
にホスゲンの過剰量を吹き込み反応させて、芳香族ポリ
カーボネートプレポリマーを生成させ、芳香族ポリカー
ボネートプレポリマーを含有する有機相とアルカリ金属
の水溶液などを含有する水相とを含むエマルジョンから
なる反応液が得られる。該反応液は、静置する事により
有機相と水相に二相分離する。この界面重縮合法を行う
反応器としては、通常撹拌機を備えた槽型反応器が用い
られる。芳香族ポリカーボネートプレポリマーを含む有
機相を分離する際、この反応器を回分式として用いれば
良く、また、複数個を直列につないで連続式に分離を行
っても良い。分離させた有機相は、必要に応じてアルカ
リ洗浄、酸洗浄、水洗浄することによって、得られた芳
香族ポリカーボネートプレポリマーの有機溶媒溶液が得
られる。この溶液から有機溶媒を蒸発して除去させるこ
とにより、芳香族ポリカーボネートプレポリマーの粉体
が得られる。こうして得られる芳香族ポリカーボネート
プレポリマーの末端は、通常アルキル基・芳香族基のカ
ーボネート末端になっている。反応の容易さ、回収、モ
ノマーコストの点などから、メチル基、エチル基、ブチ
ル基及びフェニル基が好ましい。これらは、1種または
2種以上が混在しても良い。
ーの他の製造法としては、前記芳香族ジヒドロキシ化合
物とカーボネート化合物のエステル交換法で行っても良
い。本発明に用いることができるカーボネート化合物と
しては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、ジフェニルカーボネートなどを挙げることができ
る。エステル交換法では、反応を促進するために公知の
触媒を使用することができる。このような触媒として
は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の単体、酸化
物、水酸化物、アミド化合物、アルコラート、フェノラ
ート、或いはZnO、PbO、Sb2 O3 のような塩基
性金属酸化物、有機チタン化合物、可溶性マンガン化合
物、Ca、Mg、Zn、Pb、Sn、Mn、Cd、Co
の酢酸塩または含窒素塩基性化合物と硼素化合物、含窒
素塩基性化合物とアルカリ金属化合物またはアルカリ土
類金属化合物、含窒素塩基性化合物と硼素化合物とアル
カリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物等の併用
系触媒などが挙げられる。
プレポリマーの数平均分子量は、通常300〜2000
0である。本発明では、前記方法で得られた芳香族ポリ
カーボネートプレポリマーを、溶融状態で多孔板からガ
イドに沿わせて落下させながら重合させ、芳香族ポリカ
ーボネートを製造する。
特に制限はなく、通常、円状、長円状、三角形状、スリ
ット状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。孔
の断面積は、通常0.01〜100cm2 であり、好ま
しくは0.05〜10cm2であり、特に好ましくは
0.1〜5cm2 の範囲である。孔と孔との間隔は、孔
の中心と中心の距離で通常1〜500mmであり、好ま
しくは5〜100mmである。
平均長さに対する該断面と垂直方向の長さの比率が非常
に大きい材料を表すものである。該比率に特に制限はな
いが、通常10〜1000000の範囲であり、好まし
くは50〜100000の範囲である。断面の形状に特
に制限はなく、通常、円状、長円状、三角形状、四角形
状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。断面の
形状は長さ方向に同一であっても良いし異なっていても
かまわない。また、ガイドは中空状のものであっても良
い。ガイドは針金状等の単一なものであっても良いが、
捩り合わせる等の方法によって複数組み合わせたもので
あってもかまわない。ガイドの表面は平滑であっても凹
凸があるものであっても良く、部分的に突起等を有する
ものであってもかまわない。ガイドの材質に特に制限は
ないが、通常、ステンレススチール製、カーボンスチー
ル製、ハステロイ製、ニッケル製、チタン製、クロム
製、及びその他の合金製等の金属や、耐熱性の高いポリ
マー材料等の中から選ばれる。また、ワイヤの表面は、
メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄、フェノール
洗浄等必要に応じて種々の処理がなされてもかまわな
い。
も良いし、孔から離れていても良い。好ましい具体例と
しては、多孔板の各孔の中心部付近に各ガイドが貫通し
て接続しているもの、多孔板の各孔の外周部分にガイド
が接続しているもの等が挙げられる。ガイドの下端は、
重合器のボトム液面に接していても良いし、離れていて
も構わない。
ートプレポリマーの溶融物をガイドに沿わせて落下させ
る方法としては、液ヘッドまたは自重で落下させる方
法、またはポンプなどを使って加圧にすることにより、
多孔板から該プレポリマー溶融物を押し出す等の方法が
挙げられる。孔の数に特に制限はなく、反応温度や圧力
などの条件、触媒の量、重合させる分子量の範囲等によ
っても異なるが、通常ポリマーを例えば100kg/h
r製造する際、10〜105 個の孔が必要である。
せる高さは、好ましくは0.3〜50mであり、さらに
好ましくは0.5〜20mである。孔を通過させる流量
は、芳香族ポリカーボネートの分子量によっても異なる
が通常、孔1個当たり、10-4〜104 リットル/h
r、好ましくは10-2〜10 2 リットル/hr、特に好
ましくは、0.1〜50リットル/hrの範囲である。
間に特に制限はないが、通常0.01秒〜10時間の範
囲である。本発明において、ガイドに沿わせて落下させ
た後の重合物は、そのまま液溜部に落下させてもよく、
また巻き取り器等で強制的に液溜部に取り込んでも良
い。さらに、落下させた後の重合物はそのまま抜き出さ
れても構わないが、循環させて、再びガイドに沿わせて
落下させながら重合させるのも好ましい方法である。こ
の場合、落下させた後の液溜部や循環ライン等で重縮合
反応に必要な反応時間に応じて滞留時間を長くすること
ができる。また、ガイドに沿わせて落下させながら循環
を行うことにより単位時間に形成し得る新規な液表面積
が大きく取れるため、所望の分子量まで充分重合を進行
させる事が容易となる。
カーボネートプレポリマーを連続的に供給し、溶融状態
で多孔板からガイドに沿わせて落下させながら重合さ
せ、落下させた重合体の一部は循環させて再びガイドに
沿わせて落下させながら重合させ、芳香族ポリカーボネ
ートを連続的に抜き出す方法が挙げられる。この際、多
孔板が低縮合物等で汚染されず長期間安定に運転できる
事が本発明の大きな利点の一つである。
プレポリマーを反応させて芳香族ポリカーボネートを製
造するに当たり、反応の温度は、通常50〜350℃、
好ましくは100〜290℃の温度の範囲で選ばれる。
反応の進行にともなって、芳香族モノヒドロキシ化合物
が生成してくるが、これを反応系外へ除去する事によっ
て反応速度が高められる。従って、窒素、アルゴン、ヘ
リウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影
響を及ぼさない不活性なガスを導入して、生成してくる
該芳香族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒などをこれら
のガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に反応を行
う方法などが好ましく用いられる。好ましい反応圧力
は、製造する芳香族ポリカーボネートの分子量によって
も異なり、数平均分子量が1000以下の範囲では、5
0mmHg〜常圧の範囲が好ましく、数平均分子量が1
000〜2000の範囲では、3mmHg〜80mmH
gの範囲が好ましく、数平均分子量が2000以上の範
囲では、20mmHg以下、特に10mmHg以下が好
ましい。
した不活性ガスを導入しながら反応を行う方法である。
この方法により、気流の乱れによって近隣の糸条物同士
が接触集合する等の不都合もなく、効率的に重合度を高
める事ができるのである。本発明の方法で得られる芳香
族ポリカーボネートの数平均分子量は、通常500〜1
00000の範囲であり、好ましくは500〜3000
0の範囲である。
プレポリマーの溶融物とは、芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーが加熱状態で溶融されて均一になった状態を
意味する。該プレポリマー溶融物は、芳香族ポリカーボ
ネートプレポリマーを150〜250℃に加熱する事に
よって得る事ができる。また重合中間体とは、芳香族ポ
リカーボネートプレポリマーの溶融物を本発明の方法で
重合させ、本発明で最終的に製造する芳香族ポリカーボ
ネートより分子量の低い重縮合物を意味する。すなわ
ち、本発明で定義される重合中間体の分子量範囲は、最
終的に製造する芳香族ポリカーボネートの分子量によっ
て異なる。例えば、製造する芳香族ポリカーボネートの
数平均分子量が10000の時は、重合中間体の分子量
範囲は10000未満であり、製造する芳香族ポリカー
ボネートの数平均分子量が20000の時は、重合中間
体の分子量範囲は20000未満である。
図に基づき説明する。図1及び図2は、本発明の方法を
達成する重合器の具体例である。図1では、前記芳香族
ポリカーボネートプレポリマーの溶融物が、原料供給口
1より供給され、多孔板3を通って重合器内部に導入さ
れガイド4に沿って落下する。重合器内部は、所定の圧
力にコントロールされており、溶融物から留出した芳香
族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒などや、必要に応じ
てガス供給口5より導入される窒素等の不活性ガスなど
はベント口6より排出される。重合物は、排出ポンプ8
により排出口9から排出される。重合器本体10などは
ヒーター又はジャケットにより加熱され、かつ保温され
ている。
プレポリマーの溶融物は、原料供給口1より循環ライン
2に供給され、多孔板3を通って重合器内部に導入され
ガイド4に沿って落下する。重合器内部は、所定の圧力
にコントロールされており、溶融物から留出した芳香族
モノヒドロキシ化合物や残留溶媒などや、必要に応じて
ガス供給口5より導入される窒素等の不活性ガスなどは
ベント口6より排出される。重合器ボトムに達した溶融
物は循環ポンプ7を備えた循環ライン2を通じて、多孔
板3から再び重合器内部に供給される。所定の分子量に
達した重合物は、排出ポンプ8により排出口9から排出
される。重合器本体10や循環ライン2などはヒーター
又はジャケットにより加熱され、かつ保温されている。
は、芳香族ポリカーボネートプレポリマーの溶融物を原
料供給口1から全て供給した後重合を行い、所定の重合
度に達した後排出口9より抜き出される。連続式に用い
る場合には、芳香族ポリカーボネートプレポリマーの溶
融物を原料供給口1から連続的に供給し、重合器内のポ
リマー融液量を一定に保つようにコントロールしながら
所定の分子量に達したポリマーを排出口9より連続的に
抜き出す。
トムに撹拌器などを備えることも可能であるが特に必要
ではない。従って、重合器本体での回転駆動部をなくす
事が可能であり、高真空下でも良好にシールされた条件
で重合させる事が可能である。循環ラインに備えられた
循環ポンプの回転駆動部のシール性は、液ヘッドがある
ため重合器本体に回転駆動部がある場合に比べ良好であ
る。
能であるが、2基以上で行ってもかまわない。また、1
基の重合基を竪型または横型に仕切って、多段の重合器
とする事も可能である。本発明において、芳香族ポリカ
ーボネートプレポリマーの溶融物から芳香族ポリカーボ
ネートまで分子量を高めていく工程を、全て多孔板から
ガイドに沿わせて落下させながら重合させる方法で行う
事も可能であるが、他の重合方法と組み合わせて行う事
も可能である。
い組み合わせの態様を以下に示す。例えば、ガイドに沿
わせて落下させながら重合させる方式と、薄膜式重合
器、スクリュー型重合器、横型撹拌重合器等を使って重
合させる方式、自由に落下させながら重合させる方式等
を組み合わせて芳香族ポリカーボネートを製造すること
も可能である。 前重合工程:撹拌槽型重合器/後重合工程:多孔板か
らガイドに沿わせて落下させながら重合させる方法 本発明における、重合方法の好ましい組み合わせの具体
例として、前重合工程で撹拌槽型重合器を用いる方法
と、後重合工程で多孔板からガイドに沿わせて落下させ
ながら重合させる方法の組み合わせが挙げられる。撹拌
槽型重合器は、一般に容積効率が高く、低粘度物質の攪
拌効率も高いが、液容量当たりの液表面積が小さく、高
粘度物質の攪拌効率は必ずしも高くない。従って、芳香
族ポリカーボネートの製造を撹拌槽型重合器のみで行っ
た場合、重合の後半、粘度の高まったポリマー中から芳
香族モノヒドロキシ化合物などを効率よく抜き出して重
合を進行させることは困難である。また、気相部に回転
駆動部を有するため、高真空下での重合は酸素の漏れ込
みによる製品品質低下の問題を生ずる。しかしながら、
前重合工程で撹拌槽型重合器を用いる方法を、後重合工
程で多孔板からガイドに沿わせて落下させながら重合さ
せる方法とを組み合わせる事によって、高品質の芳香族
ポリカーボネートを効率良く製造する事ができる。すな
わち、前重合工程は通常、高真空で実施する必要はない
ため撹拌槽型重合器により品質を損なう事なく、粘度も
低いため高い攪拌効率でかつ高い容積効率で重合させる
事ができ、また後重合工程では、多孔板からガイドに沿
わせて落下させながら重合させる方法により、芳香族モ
ノヒドロキシ化合物や残留溶媒などを効率的に抜き出し
て重合を進めることができ、高真空下でのシール性にも
優れるため、高品質な芳香族ポリカーボネートを容易に
製造できるのである。
族ポリカーボネートプレポリマーから、数平均分子量で
通常300から5000の範囲の重合中間体を製造する
工程を意味し、後重合工程とは、前重合工程で得られた
重合中間体より重合度を高めた芳香族ポリカーボネート
を製造する工程を意味する。撹拌槽型重合器は、例えば
化学装置便覧(化学工学協会編;1989年)11章等
に記載された撹拌槽のいずれも使用する事ができる。槽
の形状に特に制限はなく、通常、縦型や横型の円筒型が
用いられる。また、撹拌翼の形状にも特に制限はなく、
アンカー型、タービン型、スクリュー型、リボン型、ダ
ブル翼型等が用いられる。
常50〜350℃、好ましくは100〜290℃の範囲
の温度で、通常1分から100時間、好ましくは30分
から50時間の範囲で選ばれる。前重合工程の反応圧力
は、プレポリマー溶融物の分子量によっても異なるが、
通常3mmHg〜常圧の範囲が好ましく、さらに好まし
くは5mmHg〜常圧の範囲である。反応の進行にとも
なって、生成してくる芳香族モノヒドロキシ化合物や残
留溶媒などを反応系外へ効率的に除去するため、窒素、
アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガスな
ど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを導入して、
生成してくる該芳香族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒
などをこれらのガスに同伴させる方法も好ましく用いら
れる。
ずれでも実施する事ができる。また、前重合工程におい
て撹拌型重合器は1基または、2基以上組み合わせて用
いる事が可能である。前重合工程は、通常芳香族モノヒ
ドロキシ化合物や残留溶媒などの留出量が多いので、こ
れを蒸発させるためには必要に応じて熱交換器や、気化
室等を設ける事が好ましい。
孔板からガイドに沿わせて落下させて重合させる方法
の、装置、重合方法、重合条件等については前述したと
おりである。次に、本方式の具体例を、図に基づき説明
する。図3は、本発明の方法を達成するプロセスの例で
ある。図3では前重合工程に3基、後重合工程に2基の
重合器を用いている。
ボネートプレポリマーは、原料供給口1、1′より撹拌
槽型第1重合器(A)3、撹拌槽型第1重合器(B)
3′に導入される。なお、撹拌槽型第1重合器(B)
3′は、撹拌槽型第1重合器(A)3と全く同様であ
り、バッチ的に運転する場合などに切り替えて使用する
事ができる。重合器内部は窒素などの不活性ガス雰囲気
下となっており、通常常圧付近でコントロールされてお
り、留出する芳香族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒な
どはベント口2、2′から排出される。撹拌下で所定時
間反応して得られた重合中間体4は排出口5、5′から
排出され、移送ポンプ6で移送されて、供給口7より撹
拌槽型第2重合器8に導入される。
おり、留出する芳香族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒
などはベント口9から排出される。撹拌下で所定時間反
応して得られた重合中間体10は排出口11から排出さ
れ、移送ポンプ12で後重合工程へ移送される。後重合
工程では、前重合工程で製造された重合中間体10が供
給口13より循環ライン14に供給され、多孔板15を
通って多孔板型第1重合器16の内部に導入されガイド
17に沿って落下する。重合器内部は、所定の圧力にコ
ントロールされており、重合中間体から留出した芳香族
モノヒドロキシ化合物や残留溶媒などや、必要に応じて
ガス供給口18より導入される窒素等の不活性ガスなど
はベント口19より排出される。重合器ボトムに達した
重合中間体は循環ポンプ20を備えた循環ライン14を
通じて、多孔板15から再び重合器内部に供給される。
所定の分子量に達した重合中間体21は、移送ポンプ2
2により排出口23から排出され、供給口24より供給
され、多孔板26を通って多孔型第2重合器27の内部
に導入され、ガイド28に沿って落下する。重合器内部
は、所定の圧力にコントロールされており、重合中間体
から留出した芳香族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒な
どや、必要に応じてガス供給口29より導入される窒素
等の不活性ガスなどはベント口30より排出される。溶
融重合物32は、排出ポンプ33により排出口34から
排出される。なお、前重合工程、後重合工程共、各重合
器、循環ライン、移送ライン、排出ラインなどはいずれ
もジャケットまたはヒーター等で加熱され、かつ保温さ
れている。 前重合工程:撹拌槽型重合器/中間重合工程:濡れ壁
式に落下させながら重合させる方法/後重合工程:多孔
板からガイドに沿わせて落下させながら重合させる方法 本発明における重合方法の組み合わせのもう一つの好ま
しい具体例は、前重合工程で撹拌槽型重合器を用いる方
法、中間重合工程で濡れ壁式に落下させながら重合させ
る方法、後重合工程で多孔板からガイドに沿わせて落下
させながら重合させる方法の組み合わせである。
合工程で得られた重合中間体を溶融状態で濡れ壁式に落
下させながら重合させる。濡れ壁に落下させながら重合
させる方法は、伝熱面積を大きくとれるため芳香族モノ
ヒドロキシ化合物や残留溶媒などの蒸発潜熱を効率的に
供給することが容易であり、蒸発面積も大きく取れるた
め芳香族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒などを効率的
に抜き出して重合を進行させることができる。
族ポリカーボネートプレポリマーから、数平均分子量で
通常300から5000の範囲の重合中間体を製造する
工程であり、中間重合工程とは、前重合工程で得られた
重合中間体よりも高分子量の重合中間体、すなわち通常
数平均分子量で上限10000程度までの重合中間体を
製造する工程であり、後重合工程とは、中間重合工程で
製造された重合中間体よりも高分子量の芳香族ポリカー
ボネートを製造する工程である。
び前重合工程の重合方法、重合条件等については上述し
たとおりである。中間重合工程において、濡れ壁式に落
下させながら重合させる装置としては例えば化学装置便
覧(化学工学協会編;1989年)11章461頁に記
載の反応器などが挙げられる。重合器は多管式にするこ
とも可能であり、また、落下させたポリマーを循環させ
て再び濡れ壁式に落下させながら重合させることも可能
である。
通常50〜350℃、好ましくは100〜290℃の範
囲の温度で、通常1分から100時間、好ましくは30
分から50時間の範囲で選ばれる。中間重合工程の好ま
しい反応圧力は、溶融混合物または重合中間体の分子量
によっても異なり、数平均分子量が1000以下の範囲
では、50mmHg〜常圧の範囲が好ましく、数平均分
子量が1000〜2000の範囲では3mmHg〜80
mmHgの範囲が好ましく、数平均分子量が2000以
上の範囲では、10mmHg以下、特に5mmHg以下
が好ましい。反応の進行にともなって、生成してくる芳
香族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒などを反応系外へ
効率的に除去するため、窒素、アルゴン、ヘリウム、二
酸化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさ
ない不活性なガスを導入して、生成してくる該芳香族モ
ノヒドロキシ化合物や残留溶媒などをこれらのガスに同
伴させる方法も好ましく用いられる。
いずれでも実施する事ができる。また、中間重合工程に
おいて重合器は1器または、2器以上組み合わせて用い
る事が可能である。中間重合工程は、通常芳香族モノヒ
ドロキシ化合物や残留溶媒の留出量が多く、これを蒸発
させるためには必要に応じて熱交換器や、気化室等を設
ける事が好ましい。
孔板からガイドに沿わせて落下させて重合させる方法
の、装置、重合方法、重合条件等については上述した通
りである。次に、本方式の具体例を、図に基づき説明す
る。図6は、本発明の方法を達成するプロセスの例であ
る。図6では前重合工程に3基、中間重合工程に1基、
後重合工程に2基の重合器を用いているが、あくまでも
具体例であり、本発明がこれに制限されるものではな
い。
ボネートプレポリマーは、原料供給口1、1′より撹拌
槽型第1重合器(A)3、撹拌槽型第1重合器(B)
3′に導入される。なお、撹拌槽型第1重合器(B)
3′は、撹拌槽第1重合器(A)3と全く同様であり、
バッチ的に運転する場合などに切り替えて使用する事が
できる。重合器内部は窒素などの不活性ガス雰囲気下と
なっており、通常常圧付近でコントロールされており、
留出する芳香族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒などは
ベント口2、2′から排出される。撹拌下で所定時間反
応して得られた重合中間体4は排出口5、5′から排出
され、移送ポンプ6で移送されて、供給口7より撹拌槽
型第2重合器8に導入される。重合器内部は減圧下にコ
ントロールされており、留出する芳香族モノヒドロキシ
化合物や残留溶媒などはベント口9から排出される。撹
拌下で所定時間反応して得られた重合中間体10は排出
口11から排出され、移送ポンプ12で中間重合工程へ
移送される。
た重合中間体10が供給口13より循環ライン14に供
給され、オーバーフロー口より濡れ壁型重合器16の内
部に導入され薄膜状の重合中間体17になる。重合器内
部は、所定の圧力にコントロールされており、重合中間
体から留出した芳香族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒
などや、必要に応じてガス供給口18より導入される窒
素等の不活性ガスなどはベント口19より排出される。
薄膜状で重合器ボトムに達した重合中間体は循環ポンプ
20を備えた循環ライン14を通じて、再び重合器内部
にオーバーフローして供給される。所定の分子量に達し
た重合中間体21は、排出ポンプ22により排出口23
から排出される。
た重合中間体21が供給口24より循環ライン25に供
給され、多孔板26を通って多孔板型第1重合器27の
内部に導入されガイド28に沿って落下する。重合器内
部は、所定の圧力にコントロールされており、重合中間
体から留出した芳香族モノヒドロキシ化合物や残留溶媒
などや、必要に応じてガス供給口29より導入される窒
素等の不活性ガスなどはベント口30より排出される。
重合器ボトムに達した重合中間体は循環ポンプ31を備
えた循環ライン25を通じて、多孔板26から再び重合
器内部に供給される。所定の分子量に達した重合中間体
32は、移送ポンプ33により排出口34から排出さ
れ、供給口35より供給され、多孔板37を通って多孔
型第2重合器38の内部に導入され、ガイド39に沿っ
て落下する。重合器内部は、所定の圧力にコントロール
されており、重合中間体から留出した芳香族モノヒドロ
キシ化合物や残留溶媒などや、必要に応じてガス供給口
40より導入される窒素等の不活性ガスなどはベント口
41より排出される。溶融重合物43は、排出ポンプ4
4により排出口45から排出される。なお、前重合工
程、中間重合工程、後重合工程共、各重合器、循環ライ
ン、移送ライン、排出ラインなどはいずれもジャケット
またはヒーター等で加熱され、かつ保温されている。
に制限はなく、通常ステンレススチールやニッケル、グ
ラスライニング等から選ばれる。重合器内側面にスケー
ルが付着するのを防止するため、循環するポリマーの一
部で重合器内壁面に濡れ壁を形成させるのも本発明の好
ましい実施態様の一つである。
る。なお、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(以下、M
nと略す。)である。プレポリマー中の末端基の割合
は、高速液体クロマトグラフィーによる分析またはNM
Rによる分析で求めた。カラーは、CIELAB法によ
り試験片厚み3.2mmで測定し、黄色度をb * 値で示
した。芳香族ポリカーボネートに含有される塩素量は、
電位差滴定法及び原子吸光法にて行った。
kgに溶解した水溶液、ビスフェノールA137kg,
塩化メチレン400リットル、及びフェノール1.7k
gを混合して乳濁状とし、これに、10〜20℃でかき
混ぜながらホスゲン58.5kgを徐々に1時間をかけ
て吹き込んで反応させた。その後、この反応液に、トリ
エチルアミン0.12kgを加え1時間攪拌した。分液
して得られるプレポリマーの塩化メチレン溶液に、水酸
化ナトリウム溶液を加え、残存するクロロホルメート基
を分解してフェノラート基に変換した。その後、リン酸
で中和し、十分水洗した。次に、プレポリマーの塩化メ
チレン溶液中の塩化メチレンを留去し、さらに真空乾燥
機で一晩乾燥して、数平均分子量2400、末端ヒドロ
キシル基と末端フェニルカーボネート基とのモル比が4
5/65の芳香族ポリカーボネートプレポリマーを得
た。
応を行った。この重合器は、孔径7.5mmの孔を50
個有する多孔板を備えており、各孔には1mm径のSU
S316L製のワイヤ状ガイドが中心部付近に貫通して
設置されている。ガイドに沿わせて落下させる高さは4
mである。この重合器に、得られた芳香族カーボネート
プレポリマーを5リットル/hrで供給しながら、反応
温度250℃、反応圧力0.9mmHg、窒素ガス流量
2リットル/hrの条件で、反応を行った。その結果、
Mn3800の無色透明な芳香族ポリカーボネート(b
* 値 3.1)が得られた。また、この芳香族ポリカー
ボネートの塩素分析を行ったが、塩素化合物は検出でき
なかった。
った。この重合器は、孔径7.5mmの孔を50個有す
る多孔板を備えており、各孔には1mm径のSUS31
6L製のワイヤ状ガイド中心部付近に貫通して設置され
ている。ガイドに沿わせて落下させる高さは4mであ
る。この重合器に、実施例1で製造したのと同様の芳香
族ポリカーボネートプレポリマーを15ットル仕込み、
反応温度248℃、反応圧力1.0mmHg、循環流量
30リットル/hr、窒素ガス流量1リットル/hrの
条件で3時間バッチ反応を行った。その結果、Mn77
00の無色透明な芳香族ポリカーボネート(b* 値
3.3)が得られた。また、塩素分析を行ったが、塩素
化合物は検出されなかった。さらに、この芳香族ポリカ
ーボネートを310℃で射出成形した後も顕著な着色が
見られなかった。
で製造したのと同様の芳香族ポリカーボネートプレポリ
マーを15リットルあらかじめ仕込み、この仕込んだも
のと同様の芳香族ポリカーボネートプレポリマーを5リ
ットル/hrで供給し、液レベルを一定に保ちながら、
反応温度260℃、反応圧力0.5mmHg、循環流量
25リットル/hr、窒素ガス流量2リットル/hrの
条件で、500時間連続で重合反応を行った。結果をま
とめて表1に示す。重合終了後、多孔板への低重合物等
の付着は全く見られなかった。また、塩素分析を行った
が、塩素化合物は検出されなかった。さらに、この芳香
族ポリカーボネートを310℃で射出成型した後も顕著
な着色が見られなかった。
種々変化させて重合を行った。結果をまとめて、表1に
示す。いずれも、重合終了後、多孔板への低重合物等の
付着は全く見られなかった。また、塩素分析を行った
が、いずれも塩素化合物は検出されなかった。さらに、
この芳香族ポリカーボネートを310℃で射出成形した
後も顕著な着色が見られなかった。
0.2m、0.3m、1m、2m、8mに変えた以外は
実施例2と全く同様の装置を用いて、実施例5と全て同
一の条件で500時間連続で重合反応を行った。結果を
表2に示す。いずれの場合も重合終了後、多孔板への低
重合物の付着は全く見られなかった。また、塩素分析を
行ったが、いずれも塩素化合物は検出されなかった。さ
らに、この芳香族ポリカーボネートを310℃で射出成
形した後も顕著な着色が見られなかった。
有しており、各孔に接続されたガイドが、径2mmのS
US316L製ワイヤである以外は、実施例2と全く同
様の装置を用いて、実施例5と全て同一の条件で重合反
応を行った。100時間後、200時間後、300時間
後、400時間後及び500時間後に、重合器から連続
的に抜き出して得られた芳香族ポリカーボネートはいず
れも無色透明であり(b *値 3.4)、Mnはそれぞ
れ13100、13100、13200、13200、
13100で安定であった。重合終了後、多孔板への低
重合物等の付着は全く見られなかった。また、塩素分析
を行ったが、塩素化合物は検出されなかった。さらに、
この芳香族ポリカーボネートを310℃で射出成形した
後も顕著な着色が見られなかった。
孔を50個有しており、各孔に接続されたガイドが、幅
8mm、厚さ1mmのSUS316L製平板である以外
は、実施例2と全く同様の装置を用いて、実施例5と全
て同一の条件で重合反応を行った。100時間後、20
0時間後、300時間後、400時間後及び500時間
後に、重合器から連続的に抜き出して得られた芳香族ポ
リカーボネートはいずれも無色透明であり(b* 値
3.4)、Mnはそれぞれ11300、11200、1
1200、11300、11200で安定であった。重
合終了後、多孔板への低重合物等の付着は全く見られな
かった。また、塩素分析を行ったが、塩素化合物は検出
されなかった。さらに、この芳香族ポリカーボネートを
310℃で射出成形した後も顕著な着色が見られなかっ
た。
型重合器を用いて実施例7と全く同様に芳香族ポリカー
ボネートを製造した。但し、横型二軸撹拌型重合器は、
内容積は30リットル、L/D=6で、回転直径140
mmの二軸の撹拌羽根を有しており、反応温度250
℃、反応圧力0.2mmHg、内容量10リットル、芳
香族ポリカーボネートプレポリマーの供給流量は2リッ
トル/hrの条件とした。この運転条件で500時間連
続で重合反応を行った結果、100時間後、200時間
後、300時間後、400時間後及び500時間後に、
重合器から連続に抜き出して得られた芳香族ポリカーボ
ネートのb*値はそれぞれ3.6、3.6、3.7、
3.7、3.9であり、Mnはそれぞれ6600、65
00、6600、6400、6500であった。このと
きの分子量上昇速度は、実施例7の約1/2であった。
kgに溶解した水溶液、ビスフェノールA159.3k
g,ハイドロサルファイト0.33kg及び塩化メチレ
ン400リットルを混合して乳濁状とし、これに、10
〜20℃でかき混ぜながらホスゲン78.7kgを徐々
に1時間かけて吹き込んで反応させた。その後、この反
応液に、トリエチルアミン0.24kg及びp−t−ブ
チルフェノール2.85kgを加え1時間攪拌した。分
液して得られるプレポリマーの塩化メチレン溶液に、水
酸化ナトリウム溶液を加え、残存するクロロホルメート
基を分解してフェノラート基に変換した。その後、リン
酸で中和し、十分水洗した。次に、ポリマーの塩化メチ
レン溶液中の塩化メチレンを留去し、さらに真空乾燥機
で一晩乾燥して、数平均分子量11300(b* 値
4.2)の芳香族ポリカーボネートを得た。この芳香族
ポリカーボネートの塩素分析を行った結果、塩素含有量
は35ppmであった。このポリマーを使って、310
℃で射出成形を行ったところ、b* 値 4.8となっ
た。
ンスも容易な装置で、長期間安定に、着色のない高品質
の芳香族ポリカーボネートを高い重合速度で製造する事
ができる。
る。
る。
模式図である。
模式図である。
模式図である。
模式図である。
模式図である。
模式図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水
溶液とホスゲンを反応させて芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーを製造し、得られた芳香族ポリカーボネート
プレポリマーを溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて
落下させながら重合させる事を特徴とする芳香族ポリカ
ーボネートの製造方法。 - 【請求項2】 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水
溶液とホスゲンを反応させて芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーを製造し、得られた芳香族ポリカーボネート
プレポリマーを、溶融状態で多孔板からガイドに沿わせ
て落下させながら重合させ、落下させた重合体の一部ま
たは全部を循環させて該多孔板から再びガイドに沿わせ
て落下させながら重合させる事を特徴とする芳香族ポリ
カーボネートの製造方法。 - 【請求項3】 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水
溶液とホスゲンを反応させて芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーを製造し、得られた芳香族ポリカーボネート
プレポリマーを連続的に供給し、溶融状態で多孔板から
ガイドに沿わせて落下させながら重合させ、落下させた
重合体の一部を循環させて該多孔板から再びガイドに沿
わせて落下させながら重合させ、芳香族ポリカーボネー
トを連続的に抜き出す事を特徴とする芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法。 - 【請求項4】 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水
溶液とホスゲンを反応させて芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーを製造し、得られた芳香族ポリカーボネート
プレポリマーを、撹拌槽型重合器を用いて溶融状態で重
合させる前重合工程と、前重合工程で得られた重合中間
体を溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて落下させな
がら重合させる後重合工程を含む事を特徴とする芳香族
ポリカーボネートの製造方法。 - 【請求項5】 後重合工程が、前重合工程で得られた重
合中間体を溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて落下
させながら重合させ、落下させた重合体の一部または全
部を循環させて上記多孔板から再びガイドに沿わせて落
下させながら重合させる方法である請求項4記載の芳香
族ポリカーボネートの製造方法。 - 【請求項6】 後重合工程が、前重合工程で得られた重
合中間体を連続的に供給し、溶融状態で多孔板からガイ
ドに沿わせて落下させながら重合させ、落下させた重合
体の一部を循環させて該多孔板から再びガイドに沿わせ
て落下させながら重合させ、芳香族ポリカーボネートを
連続的に抜き出す方法である請求項4記載の芳香族ポリ
カーボネートの製造方法。 - 【請求項7】 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水
溶液とホスゲンを反応させて芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーを製造し、得られた芳香族プレポリマープレ
ポリマーを、撹拌槽型重合器を用いて溶融状態で重合さ
せる前重合工程と、前重合工程で得られた重合中間体を
溶融状態で濡れ壁式に落下させながら重合させる中間重
合工程と、中間重合工程で得られた重合中間体を多孔板
からガイドに沿わせて落下させながら重合させる後重合
工程を含む事を特徴とする芳香族ポリカーボネートの製
造方法。 - 【請求項8】 後重合工程が、中間重合工程で得られた
重合中間体を溶融状態で多孔板からガイドに沿わせて落
下させながら重合させ、落下させた重合体の一部または
全部を循環させて該多孔板から再びガイドに沿わせて落
下させながら重合させる方法である請求項7記載の芳香
族ポリカーボネートの製造方法。 - 【請求項9】 後重合工程が、中間重合工程で得られた
重合中間体を連続的に供給し、溶融状態で多孔板からガ
イドに沿わせて落下させながら重合させ、落下させた重
合体の一部を循環させて該多孔板から再びガイドに沿わ
せて落下させながら重合させ、芳香族ポリカーボネート
を連続的に抜き出す方法である請求項7記載の芳香族ポ
リカーボネートの製造方法。 - 【請求項10】 多孔板からガイドに沿わせて落下させ
る高さが、0.3m以上である、請求項1、2、3、
4、5、6、7、8または9記載の芳香族ポリカーボネ
ートの製造方法。 - 【請求項11】 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ
水溶液とホスゲンを反応させて得られる芳香族ポリカー
ボネートプレポリマーの数平均分子量が300〜200
00の範囲である、請求項1、2、3、4、5、6、
7、8または9記載の芳香族ポリカーボネートの製造方
法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP6-308675 | 1994-12-13 | ||
JP30867594 | 1994-12-13 | ||
JP32276795A JP3522027B2 (ja) | 1994-12-13 | 1995-12-12 | 芳香族ポリカーボネートの製造方法 |
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JPH08217871A JPH08217871A (ja) | 1996-08-27 |
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Family
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Family Applications (1)
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JP32276795A Expired - Fee Related JP3522027B2 (ja) | 1994-12-13 | 1995-12-12 | 芳香族ポリカーボネートの製造方法 |
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---|---|---|---|---|
DE60214739T2 (de) | 2001-07-11 | 2007-09-06 | Mitsubishi Gas Chemical Co., Inc. | Verfahren zur herstellung von polyacarbonatoligomer und verfahren zur herstellung von polycarbonatharz daraus |
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-
1995
- 1995-12-12 JP JP32276795A patent/JP3522027B2/ja not_active Expired - Fee Related
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