JP3652011B2 - 芳香族ポリカーボネートの製法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製法 Download PDF

Info

Publication number
JP3652011B2
JP3652011B2 JP15960996A JP15960996A JP3652011B2 JP 3652011 B2 JP3652011 B2 JP 3652011B2 JP 15960996 A JP15960996 A JP 15960996A JP 15960996 A JP15960996 A JP 15960996A JP 3652011 B2 JP3652011 B2 JP 3652011B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aromatic polycarbonate
aromatic
pipe
length
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP15960996A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH107783A (ja
Inventor
強介 小宮
宗明 網中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP15960996A priority Critical patent/JP3652011B2/ja
Publication of JPH107783A publication Critical patent/JPH107783A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3652011B2 publication Critical patent/JP3652011B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いられている。特に最近は、光ディスクの基板材料としての用途を急速に拡大しつつある。この芳香族ポリカーボネートの製造方法については、従来種々重合法の研究が行われている。その中で、有機溶媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという。)のアルカリ水溶液とホスゲンを反応させる界面重縮合法は公知である。この方法で用いる有機溶媒はハロゲン系有機溶媒であり、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどが用いられるが、特に塩化メチレンが主に用いられる。しかし、この方法では得られるポリマーから該有機溶媒を完全に除去することが難しく、残留する有機溶媒由来のハロゲンによる金型腐食や着色などが起こり、後の用途に好ましくない影響を与える。特に光ディスクの基板として芳香族ポリカーボネートを用いる場合には、残留するハロゲンは記録膜を腐食しエラーの原因になるという点で致命的な問題となる。
【0003】
一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製造する方法としては、例えば、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生するフェノールを抜き出しながら重合する溶融重縮合法が公知である。溶融重縮合法は、界面重縮合法と異なり、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、着色のない良好なカラーのポリマーを得ることが難しい上に、溶融ポリマーの粘度が高いため、重合後のポリマーから異物、特に光学的な微小異物を除去することが困難であるという問題があった。この様な光学的な微小異物は、光学用途、特に光ディスク等に使用する際、エラーの原因となるため好ましくない。
【0004】
従来、溶融重縮合法で異物の少ない芳香族ポリカーボネートを製造するための種々の方法が開示されている。例えば、特開平5−239334号公報には、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを触媒の存在下に溶融重縮合させた後、反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に、添加剤を添加し混練し、場合によっては混練後ポリマーフィルターで濾過することによって異物の少ない光学用ポリカーボネートを製造できることが記載されている。しかしながら、この方法で1μm以上の比較的大きな異物を低減することはできても、1μm以下の微小異物を充分に減らすことは困難である。また、絶対濾過精度が1μm以下のポリマーフィルターを用いることは、ポリカーボネートの溶融粘度が高いために押出機の負荷が極めて大きくなる上に目詰まりも早く現実的でない。事実、実施例で用いているポリマーフィルターは濾過精度5μmであり、1μm以下の異物量については全く記載されていない。特開平6−234845号公報には、少なくとも2基の反応器を直列に用いて、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合する際、最終反応器より前及び最終反応器出口の各々に少なくとも1基のフィルターを設ける方法が記載されている。該公報においても、最終反応器出口に設けられるフィルターの絶対濾過精度は5μm以上であり、1μm以下の微小異物を減らすことはできない。また、特開平7−207015号公報では、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとをフタルイミドリチウム等の存在下で重合することによって、副反応が抑制され、分岐反応に起因する不溶物異物の生成が抑制されることが示されている。しかし、該公報においても1μm以上の異物生成を抑制することはできても1μm以下の微小異物を充分に低減することはできない。
【0005】
すなわち従来、1μm以下の微小異物の少ない芳香族ポリカーボネートを溶融重縮合法で製造する方法については全く知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶融重縮合法により芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、着色が少なく、微小異物も少ない高品質の芳香族ポリカーボネートを、押出機の負荷を高めることなく、フィルター目詰まりの問題も生じさせずに製造する方法を提供する事を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、特定分子量以上の芳香族ポリカーボネートプレポリマー、又は/及び芳香族ポリカーボネートを移送する配管を適正化する事によりその目的を達成できる事を見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(イ) 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、1基又は2基以上の重合器を用い、溶融状態で重合して芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、数平均分子量が4000以上である溶融ポリマーを移送するための配管において、配管の平均勾配が1%以上のダウンフローであり、かつ勾配1%以上のダウンフロー配管の長さ(A)、勾配1%未満のダウンフロー配管の長さ(B)、水平配管の長さ(C)、アップフロー配管の長さ(D)の関係が下記式1
A/(A+B+C+D)>0.9 (1)
の関係を満足する事を特徴とする芳香族ポリカーボネートの製法。
【0009】
(ロ) 数平均分子量が4000以上である溶融ポリマーを移送するための配管の合計距離が15m以下である、(イ)記載の芳香族ポリカーボネートの製法。
(ハ) 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、1基又は2基以上の重合器を用い、溶融状態で重合して芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が5〜90%である芳香族ポリカーボネートプレポリマー中に存在する1μm以下の異物をフィルターで除去する事、及び数平均分子量が4000以上である溶融ポリマーを移送するための配管において、配管の平均勾配が1%以上のダウンフローであり、かつ勾配1%以上のダウンフロー配管の長さ(A)、勾配1%未満のダウンフロー配管の長さ(B)、水平配管の長さ(C)、アップフロー配管の長さ(D)の関係が下記式1
A/(A+B+C+D)>0.9 (1)
の関係を満足する事を特徴とする芳香族ポリカーボネートの製法。
【0010】
従来、微小異物の混入経路、又は生成経路についてはほとんど明らかになっておらず、異物を低減するためには、フィルターにより生成した異物を除去する方法が主にとられてきた。ところが本発明者らが鋭意検討した結果、意外にも数平均分子量4000以上の溶融ポリマーを移送するための配管の勾配が微小異物の生成に関わっており、これを適正化することにより微小異物の発生が少なくなり、かつ着色も少ない高品質の芳香族ポリカーボネートを製造できることが明らかとなったのである。
【0011】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、HO−Ar−OHで示される化合物である(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)。
芳香族基Arは、好ましくは例えば、−Ar1 −Y−Ar2 −で示される2価の芳香族基である(式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)。
【0012】
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
【0013】
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
【0014】
2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1で示される有機基である。
【0015】
【化1】
Figure 0003652011
【0016】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化2で示されるものが挙げられる。
【0017】
【化2】
Figure 0003652011
【0018】
(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar1 −Z−Ar2 −で示されるものであっても良い。
【0019】
(式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO−、−COO−、−CON(R1 )−などの2価の基を表す。ただし、R1 は前述のとおりである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化3で示されるものが挙げられる。
【0020】
【化3】
Figure 0003652011
【0021】
(式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述のとおりである。)
さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換または非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。
【0022】
本発明で用いられるジアリールカーボネートは、下記化4で表される。
【0023】
【化4】
Figure 0003652011
【0024】
(式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の芳香族基を表す。)
Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr3 、Ar4 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。Ar3 、Ar4 は同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
【0025】
1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr3 及びAr4 としては、それぞれ例えば、下記化5などが挙げられる。
【0026】
【化5】
Figure 0003652011
【0027】
ジアリールカーボネートの代表的な例としては、下記化6で示される置換または非置換のジフェニルカーボネート類を挙げる事ができる。
【0028】
【化6】
Figure 0003652011
【0029】
(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)
このジフェニルカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジアリールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好適である。
【0030】
これらのジアリールカーボネート類は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。
【0031】
本発明の方法で得られる芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は、通常5000〜100000の範囲であり、好ましくは5000〜30000の範囲である。
本発明の芳香族ポリカーボネートは、上記のような芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、触媒の存在もしくは不存在下で、減圧下および/または不活性ガスフロー下で加熱しながら溶融状態でエステル交換反応にて重縮合する方法であり、その重合器には特に制限はない。例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせた重合器が用いられる。また、重合後、芳香族ポリカーボネートが溶融状態にある間に安定剤、添加剤等を添加するための装置として、押出機やポリマーミキサー等を重合器と組み合わせて用いることも好ましい方法である。
【0032】
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを反応させて芳香族ポリカーボネートを製造するに当たり、反応の温度は、通常50〜350℃、好ましくは150〜290℃の温度の範囲で選ばれる。
反応の進行にともなって、芳香族モノヒドロキシ化合物が生成してくるが、これを反応系外へ除去する事によって反応速度が高められる。従って、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを導入して、生成してくる該芳香族モノヒドロキシ化合物をこれらのガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に反応を行う方法などが好ましく用いられる。好ましい反応圧力は、分子量によっても異なり、重合初期には10mmHg〜常圧の範囲が好ましく、重合後期には、20mmHg以下、特に10mmHg以下が好ましく、2mmHg以下とすることが更に好ましい。
【0033】
溶融重縮合反応は、触媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R1 R2 R3 R4)NB(R1 R2 R3 R4)で表されるアンモニウムボレート類、(R1 R2 R3 R4)PB(R1 R2 R3 R4)で表されるホスホニウムボレート類(R1、R2、R3、R4は前記化1の説明通りである。)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウムの化合物類などの触媒を挙げる事ができる。
【0034】
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常10-8〜1重量%、好ましくは10-7〜10-1重量%の範囲で選ばれる。
本発明の溶融ポリマーとは、溶融状態にある芳香族ポリカーボネート、及び溶融状態にある芳香族ポリカーボネートプレポリマーの総称である。ここで、芳香族ポリカーボネートプレポリマーとは、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、本発明の芳香族ポリカーボネートを製造する際の中間段階における、最終製品の芳香族ポリカーボネートより分子量の低い重縮合物を意味する。
【0035】
本発明の勾配とは、配管の傾きを水平距離に対する鉛直距離の百分率で定義したものであり、図1における長さ、a、bを用いて(1)式のように示される値である。
勾配(%)=100×b/a (2)
ただし、鉛直距離bは、下向きの時正の符号、上向きの時負の符号とする。一方、水平距離aは、左向きの時でも右向きの時でも正の符号とする。
【0036】
また平均勾配とは、異なる勾配の配管が組み合わされている場合、図2における長さ、a1 、a2 、a3 、……ai 及びb1 、b2 、b3 、……bi を用いて下記式(3)に表される値である。
【0037】
【数1】
Figure 0003652011
【0038】
ただし、鉛直距離bi は下向きの時正の符号、上向きの時負の符号とする。一方、水平距離ai は、左向きの時でも右向きの時でも正の符号とする。
本発明において、ダウンフローとは、配管内の流体が下向きに流れる勾配となっていることを意味し、アップフローとは、配管内の流体が上向きに流れる勾配となっていることを意味する。また、水平配管とは、流体の流れ方向が水平である配管を表す。
【0039】
溶融ポリマーの移送は、芳香族ポリカーボネートプレポリマーを一つの重合器から次の重合器に移す場合、芳香族ポリカーボネートを重合器から抜き出す場合、重合した芳香族ポリカーボネートを溶融状態にある間にポリマーミキサーや押出機等に移送する場合等に必要となる。本発明においては、これらの溶融ポリマーの数平均分子量が4000以上の場合には、溶融ポリマーを移送するための配管は、平均勾配1%以上のダウンフローである事が必要である。数平均分子量4000以上の溶融ポリマーを移送する配管の平均勾配が1%以上のダウンフローでない場合には、製品であるポリカーボネート中の微小異物を充分に低減することはできない。数平均分子量4000以上の溶融ポリマーを移送する配管の平均勾配は、2%以上のダウンフローであることがより好ましく、5%以上のダウンフローであることがさらに好ましい。また、数平均分子量4000以上の溶融ポリマーを移送する配管において、勾配1%以上のダウンフロー配管の長さ(A)、勾配1%未満のダウンフロー配管の長さ(B)、水平配管の長さ(C)、アップフロー配管の長さ(D)の関係が下記式(1)
A/(A+B+C+D)>0.9 (1)
の関係を満足する事が必要である。この間系を満足しないない場合にも、製品である芳香族ポリカーボネート中の微小異物を充分に低減することはできない。特に好ましいのは、数平均分子量4000以上の溶融ポリマーを移送する配管が全て鉛直方向のダウンフローである場合である。本発明の方法によって、芳香族ポリカーボネート中の微小異物を低減できる理由については明らかではないが、1μm以下の微小異物は数平均分子量が4000以上である溶融ポリマーを移送する配管内で生成しやすいものであり、特に溶融ポリマーが局部的に長期滞留しやすい水平配管等で生成しやすいためであると考えられる。
【0040】
本発明において、数平均分子量4000以上の溶融ポリマーを移送するための配管の合計距離は15m以下であることが好ましく、10m以下であることが更に好ましい。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が5〜90%である芳香族ポリカーボネートプレポリマー中に存在する1μm以下の異物をフィルターで除去しておくことが好ましい。より好ましくは芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が10〜80%、特に好ましくは20〜75%である芳香族ポリカーボネートプレポリマー中に存在する1μm以下の異物を除いておくことである。芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率とは、原料として用いた芳香族ジヒドロキシ化合物の重量(E)と、芳香族ポリカーボネートプレポリマー中の未反応芳香族ジヒドロキシ化合物の重量(F)より、下記式(3)より算出される。
【0041】
芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率(%)=100×(−F)/E (3)
芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が5〜90%の芳香族ポリカーボネートプレポリマーは、溶融粘度が低いためフィルター詰まり等による圧力上昇が生じにくく、容易に1μm以下の微小異物を除去することができる。芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が5%より低い芳香族ポリカーボネートプレポリマーの場合には、しばしば未溶解の芳香族ジヒドロキシ化合物がフィルターにより除去されるため好ましくない。芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が90%より高い芳香族ポリカーボネートプレポリマーの場合、溶融粘度が高いために1μm以下の微小異物を除去するためにフィルターを使用する際には、圧力上昇を生じやすい。
【0042】
1μm以下の微小異物を除去するフィルターとしては、絶対濾過精度0.1〜0.5μmのフィルターを用いることが好ましい。絶対濾過精度1〜10μmフィルターと、0.1〜0.5μmのフィルターを組み合わせ、比較的大きな異物を除去した後、1μm以下の微小異物を除去するのも好ましい方法である。
本発明の好ましい態様の一例を図を用いて説明する。
【0043】
図3では、芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネートが、原料供給口1、1′より撹拌槽型重合器3、撹拌槽型重合器3′に導入される。なお、撹拌槽型重合器3′は、撹拌槽型重合器3と全く同様であり、バッチ的に運転する場合などに切り替えて使用する事ができる。重合器内部は窒素などの不活性ガス雰囲気下となっており、通常常圧付近でコントロールされており、留出する芳香族モノヒドロキシ化合物などはベント口2、2′から排出される。攪拌軸4、4′で撹拌しながら所定時間反応して得られた芳香族ポリカーボネートプレポリマー5、5′は排出口6、6′から排出される。芳香族ポリカーボネートプレポリマー5、5′の、ジヒドロキシ化合物反応率は5〜90%の範囲であり、数平均分子量は4000未満である。芳香族ポリカーボネートプレポリマー5、5′は、移送配管7、移送ポンプ8、フィルター51をへて1μm以下の異物を除去した後、移送配管9をへて、多孔板型重合器10の供給口11より循環ライン12に供給され、多孔板13を通って内部に導入され、糸状の溶融ポリマー14となって落下する。重合器内部は、所定の圧力にコントロールされており、留出した芳香族モノヒドロキシ化合物などや、必要に応じてガス供給口15より導入される窒素等の不活性ガスなどはベント口16より排出される。重合器ボトムに達した溶融ポリマーは循環ポンプ17を備えた循環ライン12を通じて、多孔板13から再び重合器内部に供給される。所定の分子量に達した芳香族ポリカーボネートプレポリマー18は、移送ポンプ19により排出口20から排出される。芳香族ポリカーボネートプレポリマー18の数平均分子量は4000未満である。芳香族ポリカーボネートプレポリマー18は、移送配管21をへて、供給口22よりワイヤ付多孔板型重合器23へ供給され、多孔板24を通って重合器内部に導入され、ワイヤ25に沿って落下する。重合器内部は、所定の圧力にコントロールされており、重合中間体から留出した芳香族モノヒドロキシ化合物などや、必要に応じてガス供給口26より導入される窒素等の不活性ガスなどはベント口27より排出される。芳香族ポリカーボネートプレポリマー28は、排出口29から排出され、移送配管30、移送ポンプ31、移送配管32をへて、供給口33よりワイヤ付多孔板型重合器34へ供給され、多孔板35を通って重合器内部に導入され、ワイヤ36に沿って落下する。芳香族ポリカーボネートプレポリマー28の数平均分子量は4000以上である。重合器内部は、所定の圧力にコントロールされており、重合中間体から留出した芳香族モノヒドロキシ化合物などや、必要に応じてガス供給口37より導入される窒素等の不活性ガスなどはベント口38より排出される。芳香族ポリカーボネート39は、排出口40から排出され、移送配管41、移送ポンプ42、移送配管43をへて、抜き出し口44より抜き出される。
【0044】
移送配管30、32、41、43において、配管の平均勾配は、1%以上であり、勾配1%以上のダウンフロー配管の長さ(A)、勾配1%未満のダウンフロー配管の長さ(B)、水平配管の長さ(C)、アップフロー配管の長さ(D)の関係は下記式1
A/(A+B+C+D)>0.9 (1)
の関係を満足している。最も好ましいのは、配管30、32、41、43がすべて鉛直方向下向きである場合である。
【0045】
なお、各重合器、循環ライン、移送ライン、排出ラインなどはいずれもジャケットまたはヒーター等で加熱され、かつ保温されている。
また、抜き出し口44に安定剤を添加、混練するための押出機等が接続されている場合も本発明の好ましい態様である。異物を更に低減させるために押出機にポリマーフィルターを設けることも好ましい方法である。
【0046】
本発明の方法を達成する配管の材質に特に制限はなく、通常ステンレススチールやニッケル、グラスライニング等から選ばれる。
また、配管の形状、径についても特に制限はないが、局所的に溶融ポリマーが滞留しない構造であることが好ましい。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(以下、Mnと略す。)である。カラーは、CIELAB法により試験片厚み3.2mmで測定し、黄色度をb* 値で示した。0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物の量は、ハイアックロイコ社製の異物測定器により測定した。芳香族ポリカーボネートプレポリマー中の芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率は、該プレポリマー中の芳香族ジヒドロキシ化合物濃度を、高速液体クロマトグラフィーにより測定することによって求めた。
【0048】
【実施例1】
図3に示すようなプロセスで、芳香族ポリカーボネートを製造した。撹拌槽型重合器3、3′は切り替えながらバッチ的に運転し、その他の重合器は連続的に運転した。撹拌槽型重合器3、3′は、アンカー型の攪拌翼を備えている。多孔板型重合器10は、孔径7mmの孔を50個有する多孔板を有しており、多孔板から重合器下部の液溜までの距離は8mである。ワイヤ付多孔板型重合器23及びワイヤ付多孔板型重合器34は、いずれも孔径5mmの孔を50個有する多孔板を備えている。孔の中心から鉛直に1mm径のSUS316製ワイヤを重合器下部の液溜まで垂らしてあり、落下する高さはいずれも8mである。
【0049】
撹拌槽型重合器3、3′は、ともに、反応温度180℃、反応圧力常圧、シール窒素ガス流量1リットル/hrの条件である。撹拌槽第1重合器3に、ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.10)を80Kg仕込み4Hr溶融混合し、溶融した芳香族ポリカーボネートプレポリマーを10リットル/hrで連続に多孔板型重合器10に供給した。撹拌槽型重合器3から多孔板型重合器10に供給している間に、撹拌槽型重合器3′に、撹拌槽型重合器3と同様にビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融混合し、撹拌槽型重合器3が空になった時点で撹拌槽型重合器3′に切り替えた。この後、同様にして撹拌槽型第1重合器3、3′はバッチ的に切り替えながら、移送ポンプ8、フィルター51をへて、多孔板型重合器10に芳香族ポリカーボネートプレポリマーを連続に10リットル/hrで供給し続けた。供給した芳香族ポリカーボネートプレポリマーは、ビスフェノールA反応率73%である。フィルター51には、絶対濾過精度5μmのフィルターと絶対濾過精度0.3μmのフィルターが組み合わされている。多孔板型重合器10は、反応温度235℃、反応圧力10mmHg、循環流量400リットル/hrの条件であり、重合器下部液溜の液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つようにワイヤ付多孔板型重合器23に芳香族ポリカーボネートプレポリマーを連続に供給した。ワイヤ付多孔板型重合器23は、反応温度250℃、反応圧力1mmHg、窒素ガス流量2リットル/hrの条件であり、重合器下部液溜の液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つようにワイヤ付多孔板型重合器34に芳香族ポリカーボネートプレポリマーを連続に供給した。ワイヤ付多孔板型重合器34では、反応温度260℃、反応圧力0.4mmHgの条件であり、重合器下部液溜の液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つように抜き出し口44より芳香族ポリカーボネートを抜き出した。移送配管30、32、41、43は、すべて鉛直方向下向きの配管であり、合計距離は4mであった。
【0050】
運転開始から300時間後、多孔板型重合器10、ワイヤ付多孔板型重合器23から排出された芳香族ポリカーボネートプレポリマー及び、ワイヤ付多孔板型重合器44から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは、各々2100、5900、10100であった。また、300時間後にワイヤ付多孔板型重合器44から排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値は、3.3と良好であり、0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物の量は、630個/gと少なかった。また、運転開始から1000時間後も、フィルター51の目詰まりによる移送ポンプ8の吐出圧力上昇は認められなかった。
【0051】
【実施例2〜7】
移送配管30、32、41、43の勾配を変える以外は、実施例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から300時間後の、各重合器出口の分子量は、実施例1と同じであった。300時間後にワイヤ付多孔板型重合器44から排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値、及び0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物の量をまとめて表1に示す。
【0052】
【比較例1〜3】
移送配管30、32、41、43の勾配を変える以外は、実施例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から300時間後の、各重合器出口の分子量は、実施例1と同じであった。300時間後にワイヤ付多孔板型重合器44から排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値、及び0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物の量をまとめて表1に示す。
【0053】
【実施例8】
図4に示すようなプロセスで、芳香族ポリカーボネートを製造した。図4のプロセスは、図3におけるワイヤ付多孔板型重合器23のかわりに横型二軸攪拌型重合器46を用いている以外は、図3と全く同じである。横型二軸攪拌型重合器46以外の重合器は、実施例1と同様の反応条件で運転した。横型二軸攪拌型重合器は、L/D=6で回転直径140mmの二軸の攪拌羽根を有しており、反応温度265℃、反応圧力0.8mmHgの条件であり、重合器内の液容量を10リットルに一定に保つようにワイヤ付多孔板型重合器に芳香族ポリカーボネートプレポリマーを移送した。移送配管49、32、41、43は、すべて鉛直方向下向きの配管であり、合計距離は3mである。運転開始から300時間後、多孔板型重合器10、横型二軸攪拌型重合器46から排出された芳香族ポリカーボネートプレポリマー及び、ワイヤ付多孔板型重合器44から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは、各々2100、5200、9500であった。また、300時間後にワイヤ付多孔板型重合器44から排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値は、3.4と良好であり、0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物の量は、840個/gと少なかった。
【0054】
【実施例9】
ワイヤ付多孔板型重合器23の反応圧力を2.5mmHgとする以外は、実施例1と同じ反応条件で運転した。移送配管41、43は鉛直方向下向きのダウンフロー配管であり、長さは1.5mである。移送配管30、32、41、43は平均勾配0.5%のダウンフロー配管であり長さは3.5mである。移送配管30、32、41及び43を含めた場合の、勾配1%以上のダウンフロー配管の長さ(A)、勾配1%未満のダウンフロー配管の長さ(B)、水平配管の長さ(C)、アップフロー配管の長さ(D)の関係は、
A/(A+B+C+D)=0.8
である。
【0055】
また、運転開始から300時間後、多孔板型重合器10、ワイヤ付多孔板型重合器23から排出された芳香族ポリカーボネートプレポリマー及び、ワイヤ付多孔板型重合器44から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは、各々2100、3800、7900であった。300時間後にワイヤ付多孔板型重合器44から排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値は、3.3と良好であり、0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物の量は、610個/gと少なかった。すなわち、移送配管30、32、41、43は平均勾配0.5%のダウンフロー配管であり、A/(A+B+C+D)=0.8であるが、移送配管30、32の芳香族ポリカーボネートプレポリマーのMnが3800である本実施例の場合には微小異物は多くならなかった。
【0056】
【実施例10】
フィルター51を用いない以外は、実施例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始から300時間後の、各重合器出口の分子量は、実施例1と同じであった。300時間後にワイヤ付多孔板型重合器44から排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値は、3.3と良好であり、0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物は、3500個/gであった。
【0057】
【表1】
Figure 0003652011
【0058】
【発明の効果】
着色が少なく、微小異物も少ない高品質の芳香族ポリカーボネートを、押出機の負荷を高めることなく、フィルター目詰まりの問題も生じさせずに製造する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配管の勾配を説明する図である。
【図2】本発明の配管の平均勾配を説明する図である。
【図3】本発明のプロセスの一例を示す模式図である。
【図4】本発明のプロセスの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1、1′ 原料供給口
2、2′、16、27、38、47 ベント口
3、3′ 攪拌槽型重合器
4、4′ 攪拌軸
5、5′、18、28 芳香族ポリカーボネートプレポリマー
6、6′、20、29、40、48 排出口
7、9、21、30、32、41、43、44、49 移送配管
8、19、31、42、50 移送ポンプ
10 多孔板型重合器
11、22、33、45 供給口
12 循環ライン
13、24、35 多孔板
14 糸状の溶融ポリマー
15、26、37 ガス供給口
17 循環ポンプ
23、34 ワイヤ付多孔板型重合器
25、36 ワイヤ
39 芳香族ポリカーボネート
44 抜き出し口
46 横型二軸攪拌型重合器

Claims (3)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、1基又は2基以上の重合器を用い、溶融状態で重合して芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、数平均分子量が4000以上である溶融ポリマーを移送するための配管において、配管の平均勾配が1%以上のダウンフローであり、かつ勾配1%以上のダウンフロー配管の長さ(A)、勾配1%未満のダウンフロー配管の長さ(B)、水平配管の長さ(C)、アップフロー配管の長さ(D)の関係が下記式1
    A/(A+B+C+D)>0.9 (1)
    の関係を満足する事を特徴とする芳香族ポリカーボネートの製法。
  2. 数平均分子量が4000以上である溶融ポリマーを移送するための配管の合計距離が15m以下である請求項1記載の芳香族ポリカーボネートの製法。
  3. 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、1基又は2基以上の重合器を用い、溶融状態で重合して芳香族ポリカーボネートを製造する際、芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が5〜90%である芳香族ポリカーボネートプレポリマー中に存在する1μm以下の異物をフィルターで除去する事、及び数平均分子量が4000以上である溶融ポリマーを移送するための配管において、配管の平均勾配が1%以上のダウンフローであり、かつ勾配1%以上のダウンフロー配管の長さ(A)、勾配1%未満のダウンフロー配管の長さ(B)、水平配管の長さ(C)、アップフロー配管の長さ(D)の関係が下記式1
    A/(A+B+C+D)>0.9 (1)
    の関係を満足する事を特徴とする芳香族ポリカーボネートの製法。
JP15960996A 1996-06-20 1996-06-20 芳香族ポリカーボネートの製法 Expired - Lifetime JP3652011B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15960996A JP3652011B2 (ja) 1996-06-20 1996-06-20 芳香族ポリカーボネートの製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15960996A JP3652011B2 (ja) 1996-06-20 1996-06-20 芳香族ポリカーボネートの製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH107783A JPH107783A (ja) 1998-01-13
JP3652011B2 true JP3652011B2 (ja) 2005-05-25

Family

ID=15697459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15960996A Expired - Lifetime JP3652011B2 (ja) 1996-06-20 1996-06-20 芳香族ポリカーボネートの製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3652011B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002046271A1 (fr) 2000-12-07 2002-06-13 Teijin Limited Procede et appareil pour produire du polycarbonate aromatique

Also Published As

Publication number Publication date
JPH107783A (ja) 1998-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100287250B1 (ko) 이종결합단위를갖는폴리카보네이트및그의제조방법
JP4275317B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートを製造するための方法及び重合器
JP4181601B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートを効率的に製造する方法
JP4181600B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの改良された製造方法
US5596067A (en) Free fall polymerization process for the production of polycarbonates
JP3170477B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製法
EP1095957B1 (en) Process for producing aromatic polycarbonate
JP3202993B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3706223B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3966553B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートを製造するためのシステム
JP2989578B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製法
JP3199644B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3652011B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製法
JP5072054B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの連続製造法
JP4386609B2 (ja) ポリカーボネートの連続製造方法
JP4869512B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
US5912318A (en) Method for producing an aromatic polycarbonate
JPH10330473A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3750038B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3706218B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3684282B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JPH08325373A (ja) ガイドを用いた芳香族ポリカーボネートの製造法
JP3199659B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP3200345B2 (ja) ガイドを有する芳香族ポリカーボネートの製法
US5952449A (en) Method for producing an aromatic polycarbonate

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080304

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090304

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090304

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100304

Year of fee payment: 5

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100304

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110304

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110304

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120304

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120304

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130304

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130304

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140304

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term