JPH10330473A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法

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JPH10330473A
JPH10330473A JP8563198A JP8563198A JPH10330473A JP H10330473 A JPH10330473 A JP H10330473A JP 8563198 A JP8563198 A JP 8563198A JP 8563198 A JP8563198 A JP 8563198A JP H10330473 A JPH10330473 A JP H10330473A
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aromatic polycarbonate
aromatic
pipe
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group
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JP8563198A
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Kyosuke Komiya
強介 小宮
Muneaki Aminaka
宗明 網中
Kazumi Hasegawa
和美 長谷川
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融重縮合法により芳香族ポリカーボネート
を製造するに際し、着色が少なく、微小異物も少ない高
品質の芳香族ポリカーボネートを、押出機の負荷を高め
ることなく、フィルター目詰まりの問題も生じさせずに
製造する方法を提供する。 【解決手段】 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリール
カーボネートから、1基又は2基以上の重合器を用い、
溶融状態で重合して芳香族ポリカーボネートを製造する
に際し、数平均分子量が4000以上である溶融ポリマ
ーを移送するための配管の曲折部の数が50以下である
芳香族ポリカーボネートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱
性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプ
ラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いら
れている。特に最近は光ディスクの基板材料としての用
途を急速に拡大しつつある。この芳香族ポリカーボネー
トの製造方法については、従来種々重合法の研究が行わ
れている。その中で、有機溶媒の存在下、芳香族ジヒド
ロキシ化合物、例えば2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAとい
う。)のアルカリ水溶液とホスゲンを反応させる界面重
縮合法が知られている。しかしながら、この方法で用い
る有機溶媒は、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンな
どのハロゲン系有機溶媒であり、特に塩化メチレンが主
に用いられていることから、この方法では得られるポリ
マーから該有機溶媒を完全に除去することが難しく、残
留する有機溶媒由来のハロゲンによる金型腐食や着色な
どが起こり、後の用途に好ましくない影響を与え、特に
光ディスクの基板として芳香族ポリカーボネートを用い
る場合には、残留するハロゲンは記録膜を腐食しエラー
の原因になるという点で致命的な問題となっている。
【0003】一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリ
ールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製
造する方法としては、例えば、ビスフェノールAとジフ
ェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生
するフェノールを抜き出しながら重合する溶融重縮合法
が知られている。溶融重縮合法は、界面重縮合法と異な
り、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、着色のな
い良好なカラーのポリマーを得ることが難しく、その上
溶融ポリマーの粘度が高いため、重合後のポリマーから
異物、特に光学的な微小異物を除去することが困難であ
るという問題があった。この様な光学的な微小異物は、
光学用途、特に光ディスク等に使用する際、エラーの原
因となるため好ましくない。
【0004】溶融重縮合法で異物の少ない芳香族ポリカ
ーボネートを製造するための種々の方法がこれまでにも
開示されている。例えば、特開平5−239334号公
報には、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを
触媒の存在下に溶融重縮合させた後、反応生成物である
ポリカーボネートが溶融状態にある間に、添加剤を添加
し混練し、場合によっては混練後ポリマーフィルターで
濾過することによって、異物の少ない光学用ポリカーボ
ネートを製造できることが記載されている。
【0005】しかしながら、この方法で1μm以上の比
較的大きな異物を低減することはできても、1μm以下
の微小異物を充分に減らすことは困難である。また、絶
対濾過精度が1μm以下のポリマーフィルターを用いる
ことは、ポリカーボネートの溶融粘度が高いために押出
機の負荷が極めて大きくなる上に目詰まりも早く現実的
でない。事実、実施例で用いているポリマーフィルター
は濾過精度5μmであり、1μm以下の異物量について
は全く記載されていない。
【0006】特開平6−234845号公報には、少な
くとも2基の反応器を直列に用いて、芳香族ジヒドロキ
シ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合する際、最終
反応器より前及び最終反応器出口の各々に少なくとも1
基のフィルターを設ける方法が記載されている。該公報
においても、最終反応器出口に設けられるフィルターの
絶対濾過精度は5μm以上であり、1μm以下の微小異
物を減らすことはできない。また、特開平7−2070
15号公報では、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリー
ルカーボネートとをフタルイミドリチウム等の存在下で
重合することによって、副反応が抑制され、分岐反応に
起因する不溶物異物の生成が抑制されることが示されて
いる。しかし、該公報においても1μm以上の異物生成
を抑制することはできても1μm以下の微小異物を充分
に低減することはできない。
【0007】すなわち従来、1μm以下の微小異物の少
ない芳香族ポリカーボネートを溶融重縮合法で製造する
方法については全く知られていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融重縮合
法により芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、着
色が少なく、微小異物も少ない高品質の芳香族ポリカー
ボネートを、押出機の負荷を高めることなく、フィルタ
ー目詰まりの問題も生じさせずに製造する方法を提供す
る事を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を進めた結果、特定分子量以上
の芳香族ポリカーボネートプレポリマー及び/又は芳香
族ポリカーボネートを移送する配管を適正化する事によ
りその目的を達成できる事を見いだし、本発明を完成さ
せるに至った。
【0010】すなわち、本発明は、以下のとおりであ
る。 (イ) 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボ
ネートから、1基又は2基以上の重合器を用い、溶融状
態で重合して芳香族ポリカーボネートを製造するに際
し、数平均分子量が4000以上である溶融ポリマーを
移送するための配管の曲折部の数が50以下である事を
特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
【0011】(ロ) 数平均分子量が4000以上であ
る溶融ポリマーを移送するための配管の曲折部が、各曲
折部における配管内周の最小値をL(m)、曲率半径を
R(m)とした場合、下記式(1) R/L≧0.6 (1) の関係を満足することを特徴とする(イ)記載の芳香族
ポリカーボネートの製造方法。
【0012】(ハ) 数平均分子量が4000以上であ
る溶融ポリマーを移送するための配管の合計距離が10
0m以下である(イ)又は(ロ)記載の芳香族ポリカー
ボネートの製造方法。 (ニ) 芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が5〜90
%である芳香族ポリカーボネートプレポリマー中に存在
する微小異物を絶対濾過精度0.1〜0.5μmのフィ
ルターで除去することを特徴とする(イ)、(ロ)又は
(ハ)記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
【0013】(ホ) (イ)、(ロ)、(ハ)又は
(ニ)記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法で得ら
れた芳香族ポリカーボネート。従来、微小異物の混入経
路、又は生成経路についてはほとんど明らかになってお
らず、異物を低減するためには、フィルターにより生成
した異物を除去する方法が主にとられてきた。ところが
本発明者らが鋭意検討した結果、意外にも数平均分子量
4000以上の溶融ポリマーを移送するための配管の曲
折部が微小異物の生成に関わっており、これを適正化す
ることにより微小異物の発生が少なくなり、かつ着色も
少ない高品質の芳香族ポリカーボネートを製造できるこ
とが明らかとなったのである。
【0014】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、HO−
Ar−OHで示される化合物である(式中、Arは2価
の芳香族基を表す。)。芳香族基Arは、好ましくは例
えば、−Ar1 −Y−Ar2 −で示される2価の芳香族
基である(式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれ
ぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環
式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価の
アルカン基を表す。)。
【0015】2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、
1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の
置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアル
キル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、
フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミ
ド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても
良い。
【0016】複素環式芳香族基の好ましい具体例として
は、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄
原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。2価の芳香
族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェ
ニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非
置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前
述のとおりである。
【0017】2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1
で示される有機基である。
【0018】
【化1】
【0019】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々
独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロア
ルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、
炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3
〜11の整数を表し、R5 およびR6 は、各Xについて
個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1
〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、
1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以
上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置
換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェ
ノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド
基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良
い。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化2で示されるものが挙げられる。
【0020】
【化2】
【0021】(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびn
は1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれ
ぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4
の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであっ
てもよい。) さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar1 −Z−Ar2
−で示されるものであっても良い。
【0022】(式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、
Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO
2 −、−SO−、−COO−、−CON(R1 )−など
の2価の基を表す。ただし、R1 は前述のとおりであ
る。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化3で示されるものが挙げられる。
【0023】
【化3】
【0024】(式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述
のとおりである。) さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換ま
たは非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレ
ン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。本
発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種
類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ
化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げら
れる。
【0025】本発明で用いられるジアリールカーボネー
トは、下記化4で表される。
【0026】
【化4】
【0027】(式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の
芳香族基を表す。) Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は複素環式芳香
族基を表すが、このAr3 、Ar4 において、1つ以上
の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、
例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキ
シ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニ
トロ基などによって置換されたものであっても良い。A
3 、Ar4 は同じものであっても良いし、異なるもの
であっても良い。
【0028】1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例
としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピ
リジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以
上の置換基で置換されたものでも良い。好ましいAr3
及びAr4 としては、それぞれ例えば、下記化5などが
挙げられる。
【0029】
【化5】
【0030】ジアリールカーボネートの代表的な例とし
ては、下記化6で示される置換または非置換のジフェニ
ルカーボネート類を挙げる事ができる。
【0031】
【化6】
【0032】(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素
原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜
10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜
5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ
異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、
各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。) このジフェニルカーボネート類の中でも、非置換のジフ
ェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t
−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置
換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカー
ボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジア
リールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好
適である。
【0033】これらのジアリールカーボネート類は単独
で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良
い。芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重
合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリール
カーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し
て、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜
2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割
合で用いられる。
【0034】本発明の方法で得られる芳香族ポリカーボ
ネートの数平均分子量は、通常5000〜100000
の範囲であり、好ましくは5000〜30000の範囲
である。本発明の芳香族ポリカーボネートは、上記のよ
うな芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トとから、触媒の存在もしくは不存在下で、減圧下およ
び/または不活性ガスフロー下で加熱しながら溶融状態
でエステル交換反応にて重縮合する方法であり、その重
合器には特に制限はない。例えば、攪拌槽型反応器、薄
膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練
反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落
下させながら重合する多孔板型反応器、ガイドに沿わせ
て落下させながら重合するガイド付多孔板型反応器等を
用い、これらを単独もしくは組み合わせた重合器が用い
られる。ガイド付多孔板型反応器におけるガイドとは、
断面の外周の平均長さに対する該断面と垂直方向の長さ
の比率が非常に大きい材料を表すものである。該比率に
特に制限はないが、通常10〜1000000の範囲で
あり、好ましくは50〜100000の範囲である。断
面の形状に特に制限はなく、通常、円状、長円状、三角
形状、四角形状、多角形状、星形状などの形状から選ば
れる。断面の形状は長さ方向に同一であっても良いし異
なっていてもかまわない。また、ガイドは中空状のもの
であっても良い。ガイドは、針金状等の単一なものであ
っても良いが、捩り合わせる等の方法によって複数組み
合わせたものであっても構まわない。ガイドの表面は平
滑であっても凹凸があるものであっても良く、部分的に
突起等を有するものであってもかまわない。ガイドの材
質に特に制限はないが、通常、ステンレススチール製、
カーボンスチール製、ハステロイ製、ニッケル製、チタ
ン製、クロム製、及びその他の合金製等の金属や、耐熱
性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。また、ガイ
ドの表面は、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗
浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の処理がなされ
ても構わない。ガイドは、多孔板の孔に直接接接続して
いても良いし、孔から離れていても良い。好ましい具体
例としては、多孔板の各孔の中心部付近に各ガイドが貫
通して接続しているもの、多孔板の各孔の外周部分にガ
イドが接続しているもの等が挙げられる。ガイドの下端
は、重合器のボトム液面に接していても良いし、離れて
いても構わない。また、重合後、芳香族ポリカーボネー
トが溶融状態にある間に安定剤、添加剤等を添加するた
めの装置として、押出機やポリマーミキサー等を重合器
と組み合わせて用いることも好ましい方法である。
【0035】本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合
物とジアリールカーボネートとを反応させて芳香族ポリ
カーボネートを製造するに当たり、反応の温度は、通常
50〜350℃、好ましくは150〜290℃の温度の
範囲で選ばれる。反応の進行にともなって、芳香族モノ
ヒドロキシ化合物が生成してくるが、これを反応系外へ
除去する事によって反応速度が高められる。従って、窒
素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガ
スなど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを導入し
て、生成してくる該芳香族モノヒドロキシ化合物をこれ
らのガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に反応を
行う方法などが好ましく用いられる。好ましい反応圧力
は、分子量によっても異なり、重合初期には10mmH
g〜常圧の範囲が好ましく、重合後期には、20mmH
g以下、特に10mmHg以下が好ましく、2mmHg
以下とすることが更に好ましい。
【0036】溶融重縮合反応は、触媒を加えずに実施す
る事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて
触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野
で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸
化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金
属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化
ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニ
ウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ
金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩
類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシ
ウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素
化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシ
ド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシ
ド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシ
ド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(A
rはアリール基)などのアルカリ金属またはアルカリ土
類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシ
ウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜
鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ
酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリ
ブチル、ホウ酸トリフェニル、(R 1 R 2 R 3 R 4)NB(R
1 R 2 R 3 R 4)で表されるアンモニウムレート類、(R 1
R 2 R 3 R 4)PB(R 1 R 2 R 3 R 4)で表されるホスホニ
ウムボート類(R 1 、R 2 、R 3 、R 4 は前記化1の説
明通りである。)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ
素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラ
アリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素
などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲ
ルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフ
ェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、
ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレ
ート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアル
コキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、
有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸
鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシ
ドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アン
モニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウ
ム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸ア
ンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、
炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物
類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロ
キシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸
化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリ
ーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジル
コニウムの化合物類などの触媒を挙げる事ができる。
【0037】触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だ
けで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても
良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物に対して、通常10-8〜1重量%、好
ましくは10-7〜10-1重量%の範囲で選ばれる。本発
明の溶融ポリマーとは、溶融状態にある芳香族ポリカー
ボネート、及び溶融状態にある芳香族ポリカーボネート
プレポリマーの総称である。ここで、芳香族ポリカーボ
ネートプレポリマーとは、芳香族ジヒドロキシ化合物と
ジアリールカーボネートとから、本発明の芳香族ポリカ
ーボネートを製造する際の中間段階における、最終製品
の芳香族ポリカーボネートより分子量の低い重縮合物を
意味する。
【0038】本発明の配管の曲折部とは、図1に示すよ
うに配管の流れ方向に対して垂直な断面の重心を結ぶ線
を配管の中心線とし、図2に示すようにその配管の中心
線の曲率半径が極小値となるような配管の部分のことで
あるが、中心線上に於いて、曲率半径が極小値となるの
は、点の場合もあり、連続する線となる場合もある。曲
率半径の極小値が点となるのは、曲折部の中心線が円弧
を含まない場合、即ち例えば図2の(a)及び(c)の
場合等であり、連続する線になるのは、曲折部の中心線
が円弧の場合である。該点または該連続する線の一つに
対して一つの曲折部が対応する。ただし、本発明におい
て、曲折部とするのは曲率半径の極小値が5m以下の場
合である。なお、本発明において、図2の(c)に示す
ような場合は、曲折部における中心線の曲率半径はゼロ
であるとしている。
【0039】本発明の該曲折部の測定に際し、断面の重
心を結んで配管の中心線を作成する方法としては、配管
の断面は10mm間隔とし、各断面で求めた重心をスム
ーズに繋ぐことにより作成した。溶融ポリマーの移送
は、芳香族ポリカーボネートプレポリマーを一つの重合
器から次の重合器に移す場合、芳香族ポリカーボネート
を重合器から抜き出す場合、重合した芳香族ポリカーボ
ネートを溶融状態にある間にポリマーミキサーや押出機
等に移送する場合等に必要となる。本発明においては、
これら溶融ポリマーの移送において数平均分子量が40
00以上の溶融ポリマーを移送するための配管の曲折部
の数は50以下である事が必要である。数平均分子量4
000以上の溶融ポリマーを移送する配管の曲折部の数
が50を超える場合には、製品であるポリカーボネート
中の微小異物を充分に低減することはできない。数平均
分子量4000以上の溶融ポリマーを移送する配管の曲
折部の数は、40以下であることがより好ましく、30
以下であることがさらに好ましい。
【0040】また製品であるポリカーボネート中の微小
異物を充分に低減するためには数平均分子量4000以
上の溶融ポリマーを移送するための配管の曲折部が、各
曲折部における配管内周の最小値をL(m)、曲率半径
をR(m)とした場合、下記式(1) R/L≧0.6 (1) の関係を満足する事が好ましい。数平均分子量4000
以上の溶融ポリマーを移送する配管の曲折部の曲率半径
は、R/L≧0.8の関係を満足することがより好まし
く、R/L≧1.0の関係を満足することがさらに好ま
しい。
【0041】本発明の方法によって、芳香族ポリカーボ
ネート中の微小異物を低減できる理由については明らか
ではないが、1μm以下の微小異物は数平均分子量が4
000以上である溶融ポリマーを移送する配管内で生成
しやすいものであり、特に溶融ポリマーが局部的に長期
滞留しやすい配管の曲折部で生成しやすいためであると
推測している。溶融ポリマーの数平均分子量が4000
未満の場合には、溶融ポリマーを移送するための配管の
曲折部の数に特に制限はないが、溶融ポリマーの数平均
分子量が4000未満の場合にも、溶融ポリマーを移送
するための配管の曲折部の数が50以下である事が、本
発明の好ましい態様である。
【0042】本発明において、数平均分子量4000以
上の溶融ポリマーを移送するための配管の合計距離は1
00m以下であることが好ましく、50m以下であるこ
とが更に好ましく、15m以下であることが特に好まし
い。本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物の反応
率が5〜90%である芳香族ポリカーボネートプレポリ
マー中に存在する微小異物を絶対濾過精度0.1〜0.
5μmのフィルターで除去しておくことが好ましい。よ
り好ましくは芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が10
〜80%、特に好ましくは20〜75%である芳香族ポ
リカーボネートプレポリマー中に存在する微小異物を絶
対濾過精度0.1〜0.5μmのフィルターで除いてお
くことである。芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率と
は、原料として用いた芳香族ジヒドロキシ化合物の重量
(E)と、芳香族ポリカーボネートプレポリマー中の未
反応芳香族ジヒドロキシ化合物の重量(F)より、下記
式(3)より算出される。 芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率(%)=100×
(E−F)/E・・・(3) 芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が5〜90%の芳香
族ポリカーボネートプレポリマーは、溶融粘度が低いた
めフィルター詰まり等による圧力上昇が生じにくく、容
易に1μm以下の微小異物を絶対濾過精度0.1〜0.
5μmのフィルターで除去することができる。芳香族ジ
ヒドロキシ化合物の反応率が5%より低い芳香族ポリカ
ーボネートプレポリマーの場合には、しばしば未溶解の
芳香族ジヒドロキシ化合物がフィルターにより除去され
るため好ましくない。芳香族ジヒドロキシ化合物の反応
率が90%より高い芳香族ポリカーボネートプレポリマ
ーの場合、溶融粘度が高いために1μm以下の微小異物
の除去に絶対濾過精度0.1〜0.5μmのフィルター
を使用する際には、圧力上昇を生じやすい。
【0043】本発明において、絶対濾過精度1〜10μ
mフィルターと、0.1〜0.5μmのフィルターを組
み合わせ、比較的大きな異物を絶対濾過精度1〜10μ
mフィルターで除去した後、1μm以下の微小異物を絶
対濾過精度0.1〜0.5μmのフィルターで除去する
のも好ましい方法である。また、本発明において、モノ
マーである芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカー
ボネート中に存在する1μm以下の微小異物も絶対濾過
精度0.1〜0.5μmのフィルターで除去しておくこ
とが好ましい。
【0044】本発明の好ましい態様の一例を図を用いて
説明する。図3では、芳香族ジヒドロキシ化合物及びジ
アリールカーボネートが、原料供給口1A、1Bより撹
拌槽型重合器3A、3Bに導入される。なお、撹拌槽型
重合器3Bは、撹拌槽型重合器3Aと全く同様であり、
バッチ的に運転する場合などに切り替えて使用する事が
できる。重合器内部は窒素などの不活性ガス雰囲気下と
なっており、通常、常圧付近でコントロールされてお
り、留出する芳香族モノヒドロキシ化合物などはベント
口2A、2Bから排出される。攪拌軸4A、4Bで撹拌
しながら所定時間反応して得られた芳香族ポリカーボネ
ートプレポリマー5A、5Bは排出口6A、6Bから排
出される。芳香族ポリカーボネートプレポリマー5A、
5Bの、ジヒドロキシ化合物反応率は5〜90%の範囲
であり、数平均分子量は4000未満である。芳香族ポ
リカーボネートプレポリマー5A、5Bは、移送配管
7、移送ポンプ8、絶対濾過精度0.1〜0.5μmの
フィルター51をへて微小異物を除去した後、移送配管
9をへて、多孔板型重合器10の供給口11より循環ラ
イン12に供給され、多孔板13を通って内部に導入さ
れ、糸状の溶融ポリマー14となって落下する。重合器
内部は、所定の圧力にコントロールされており、留出し
た芳香族モノヒドロキシ化合物などや、必要に応じてガ
ス供給口15より導入される窒素等の不活性ガスなどは
ベント口16より排出される。重合器ボトムに達した溶
融ポリマーは循環ポンプ17を備えた循環ライン12を
通じて、多孔板13から再び重合器内部に供給される。
所定の分子量に達した芳香族ポリカーボネートプレポリ
マー18は、移送ポンプ19により排出口20から排出
される。芳香族ポリカーボネートプレポリマー18の数
平均分子量は4000未満である。芳香族ポリカーボネ
ートプレポリマー18は、移送配管21をへて、供給口
22よりワイヤ25をガイドとするガイド付多孔板型重
合器23へ供給され、多孔板24を通って重合器内部に
導入され、ワイヤ25に沿って落下する。重合器内部
は、所定の圧力にコントロールされており、留出した芳
香族モノヒドロキシ化合物などや、必要に応じてガス供
給口26より導入される窒素等の不活性ガスなどはベン
ト口27より排出される。芳香族ポリカーボネートプレ
ポリマー28は、排出口29から排出され、移送配管3
0、移送ポンプ31、移送配管32をへて、供給口33
よりワイヤ36をガイドとするガイド付多孔板型重合器
34へ供給され、多孔板35を通って重合器内部に導入
され、ワイヤ36に沿って落下する。芳香族ポリカーボ
ネートプレポリマー28の数平均分子量は、通常400
0以上である。重合器内部は、所定の圧力にコントロー
ルされており、留出した芳香族モノヒドロキシ化合物な
どや、必要に応じてガス供給口37より導入される窒素
等の不活性ガスなどはベント口38より排出される。数
平均分子量、4000以上の芳香族ポリカーボネート3
9は、排出口40から排出され、移送配管41、移送ポ
ンプ42、移送配管43をへて、抜き出し口44より抜
き出される。
【0045】移送配管30、32、41、43におい
て、配管の曲折部の総数は50以下であり、好ましく
は、配管の曲折部の曲率半径がR/L≧0.6の関係を
満足することである。配管30、32、41、43の全
ての曲折部の曲率半径がR/L≧0.6の関係を満足す
る場合が最も好ましい態様である。なお、各重合器、循
環ライン、移送ライン、排出ラインなどはいずれもジャ
ケットまたはヒーター等で加熱され、かつ保温されてい
る。
【0046】また、抜き出し口44に安定剤を添加、混
練するための押出機等が接続されている場合も本発明の
好ましい態様である。微小異物を更に低減させるために
押出機にポリマーフィルターを設けることも好ましい方
法である。本発明の方法を達成する配管の材質に特に制
限はなく、通常ステンレススチールやニッケル、ガラス
等から選ばれる。また、配管の形状、径についても特に
制限はないが、局所的に溶融ポリマーが滞留しない構造
であることが好ましい。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。・数平均分子量(Mn):テトラヒドロフ
ランを溶媒として用い、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC){カラム:TSK−GEL,東ソ
ー(株)製}法で測定し、標準単分散ポリスチレンを用
いて得た下式による換算分子量較正曲線を用いて求め
た。 MPC=0.3591MPS 1.0388 (式中、MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPS
はポリスチレンの分子量を示す。) ・カラー:射出成形機(J100E、日本製鋼社製)を
用い、芳香族ポリカーボネートをシリンダー温度290
℃、金型温度90℃で、縦50mm×横50mm×厚さ
3.2mmの試験片を連続成形した。得られた試験片の
色調はCIELAB法(Comission Inetrnationale de
l'Eclairage 1 9 7 6 L *a*bDiagram)により測定
し、黄色度をb* 値で示した。 ・微小異物量:溶融ポリマー中に含まれる0.5μmか
ら1.0μmの範囲の微小異物の量は、塩化メチレン溶
媒で芳香族ポリカーボネートを溶解し、液中微粒子計測
器(HIAC/ROYCO MODEL346B Pacific Scientific LTD社
製)によって測定した。 ・芳香族ポリカーボネートプレポリマー中の芳香族ジヒ
ドロキシ化合物の反応率は、該プレポリマー中の芳香族
ジヒドロキシ化合物濃度を、高速液体クロマトグラフィ
ーにより測定することによって求めた。
【0048】
【実施例1】図3に示すようなプロセスで、芳香族ポリ
カーボネートを製造した。撹拌槽型重合器3A、3Bは
切り替えながらバッチ的に運転し、その他の重合器は連
続的に運転した。撹拌槽型重合器3A、3Bは、アンカ
ー型の攪拌翼を備えている。多孔板型重合器10は、孔
径7mmの孔を50個有する多孔板を有しており、多孔
板から重合器下部の液溜までの距離は8mである。ワイ
ヤをガイドとするガイド付多孔板型重合器23及びガイ
ド付多孔板型重合器34は、いずれも孔径5mmの孔を
50個有する多孔板を備えている。孔の中心から鉛直に
1mm径のSUS316製ワイヤを重合器下部の液溜ま
で垂らしてあり、落下する高さはいずれも8mである。
【0049】撹拌槽型重合器3A、3Bは、ともに、反
応温度180℃、反応圧力常圧、シール窒素ガス流量1
リットル/hrの条件である。撹拌槽第1重合器3A
に、ビスフェノールAとジフェニルカーボネート(対ビ
スフェノールAモル比1.10)を80kg仕込み4h
r溶融混合し、溶融した芳香族ポリカーボネートプレポ
リマーを10リットル/hrで連続に多孔板型重合器1
0に供給した。撹拌槽型重合器3Aから多孔板型重合器
10に供給している間に、撹拌槽型重合器3Bに、撹拌
槽型重合器3Aと同様にビスフェノールAとジフェニル
カーボネートを溶融混合し、撹拌槽型重合器3Aが空に
なった時点で撹拌槽型重合器3Bに切り替えた。この
後、同様にして撹拌槽型第1重合器3A、3Bはバッチ
的に切り替えながら、移送ポンプ8、フィルター51を
へて、多孔板型重合器10に芳香族ポリカーボネートプ
レポリマーを連続に10リットル/hrで供給し続け
た。供給した芳香族ポリカーボネートプレポリマーは、
ビスフェノールA反応率73%である。フィルター51
には、絶対濾過精度5μmのフィルターと絶対濾過精度
0.3μmのフィルターが組み合わされている。多孔板
型重合器10は、反応温度235℃、反応圧力10mm
Hg、循環流量400リットル/hrの条件であり、重
合器下部液溜の液容量が20リットルに達したら、液容
量20リットルを一定に保つようにガイド付多孔板型重
合器23に芳香族ポリカーボネートプレポリマーを連続
に供給した。ガイド付多孔板型重合器23は、反応温度
250℃、反応圧力1mmHg、窒素ガス流量2リット
ル/hrの条件であり、重合器下部液溜の液容量が20
リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つ
ようにガイド付多孔板型重合器34に芳香族ポリカーボ
ネートプレポリマーを連続に供給した。ガイド付多孔板
型重合器34では、反応温度260℃、反応圧力0.4
mmHgの条件であり、重合器下部液溜の液容量が20
リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つ
ように抜き出し口44より芳香族ポリカーボネートを抜
き出した。移送配管30、32、41、43は、全て配
管の曲折部の全くない鉛直方向下向きの配管であり、合
計距離は7mであった。
【0050】運転開始から300時間後、多孔板型重合
器10、ガイド付多孔板型重合器23から排出された芳
香族ポリカーボネートプレポリマー及び、ガイド付多孔
板型重合器34から排出された芳香族ポリカーボネート
のMnは、各々2100、5900、10100であっ
た。また、300時間後にガイド付多孔板型重合器34
から排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb*
は、3.1と良好であり、0.5μmから1.0μmの
範囲の微小異物の量は、580個/gと少なかった。ま
た、運転開始から1000時間後も、フィルター51の
目詰まりによる移送ポンプ8の吐出圧力上昇は認められ
なかった。
【0051】
【実施例2〜16】移送配管30、32、41、43の
曲折部を変える以外は、実施例1と全く同様に芳香族ポ
リカーボネートを製造した。運転開始から300時間後
の、各重合器出口の分子量は、実施例1と同じであっ
た。300時間後にガイド付多孔板型重合器34から排
出された芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値、及び
0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物の量をまと
めて表1に示す。
【0052】
【比較例1〜3】移送配管30、32、41、43の曲
折部を変える以外は、実施例1と全く同様に芳香族ポリ
カーボネートを製造した。運転開始から300時間後
の、各重合器出口の分子量は、実施例1と同じであっ
た。300時間後にガイド付多孔板型重合器34から排
出された芳香族ポリカーボネートのカラーb* 値、及び
0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物の量をまと
めて表1に示す。
【0053】
【比較例4】抜き出し口44の後に、絶対濾過精度0.
3μmのフィルターを備える他は比較例3と全く同じプ
ロセスで、比較例3と全く同様に芳香族ポリカーボネー
トを製造した。運転開始から80時間後に移送ポンプ4
2の吐出圧が急上昇し、連続運転不能となった。
【0054】
【実施例17】図4に示すようなプロセスで、芳香族ポ
リカーボネートを製造した。図4のプロセスは、図3に
おけるガイド付多孔板型重合器23のかわりに横型二軸
攪拌型重合器46を用いている以外は、図3と全く同じ
である。横型二軸攪拌型重合器46以外の重合器は、実
施例1と同様の反応条件で運転した。横型二軸攪拌型重
合器は、L/D=6で回転直径140mmの二軸の攪拌
羽根を有しており、反応温度265℃、反応圧力0.8
mmHgの条件であり、重合器内の液容量を10リット
ルに一定に保つようにガイド付多孔板型重合器に芳香族
ポリカーボネートプレポリマーを移送した。移送配管4
9、32、41、43は、全て配管の曲折部の全くない
鉛直方向下向きの配管であり、合計距離は8mである。
運転開始から300時間後、多孔板型重合器10、横型
二軸攪拌型重合器46から排出された芳香族ポリカーボ
ネートプレポリマー及び、ガイド付多孔板型重合器34
から排出された芳香族ポリカーボネートのMnは、各々
2100、5200、9500であった。また、300
時間後にガイド付多孔板型重合器34から排出された芳
香族ポリカーボネートのカラーb* 値は、3.4と良好
であり、0.5μmから1.0μmの範囲の微小異物の
量は1840個/gと少なかった。
【0055】
【実施例18】ガイド付多孔板型重合器23の反応圧力
を2.5mmHgとする以外は、実施例1と同じ反応条
件で運転した。移送配管41、43は曲折部のない鉛直
方向下向きのダウンフロー配管であり、長さは2.5m
である。移送配管30、32、は曲折部のある配管でR
/L=1.0の曲折部が38、R/L=0.5の曲折部
が16、長さは6.5mである。30、32、41及び
43を含めた場合の、配管の曲折部の数は54である。
【0056】また、運転開始から300時間後、多孔板
型重合器10、ガイド付多孔板型重合器23から排出さ
れた芳香族ポリカーボネートプレポリマー及び、ガイド
付多孔板型重合器34から排出された芳香族ポリカーボ
ネートのMnは、各々2100、3800、7900で
あった。300時間後にガイド付多孔板型重合器34か
ら排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb*
は、3.6と良好であり、0.5μmから1.0μmの
範囲の微小異物の量は、2710個/gと少なかった。
すなわち、移送配管30、32、41、43は配管の曲
折部の数は54であるが、移送配管30、32の芳香族
ポリカーボネートプレポリマーのMnが3800である
本実施例の場合には微小異物は多くならなかった。
【0057】
【実施例19】フィルター51を用いない以外は、実施
例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。
運転開始から300時間後の、各重合器出口の分子量
は、実施例1と同じであった。300時間後にガイド付
多孔板型重合器34から排出された芳香族ポリカーボネ
ートのカラーb* 値は、3.1と良好であり、0.5μ
mから1.0μmの範囲の微小異物は3050個/gで
あった。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】着色が少なく、微小異物も少ない高品質
の芳香族ポリカーボネートを、押出機の負荷を高めるこ
となく、フィルター目詰まりの問題も生じさせずに製造
する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配管の断面および断面の重心を説明す
る図である。
【図2】本発明の配管の曲折部を説明する図である。
【図3】本発明のプロセスの一例を示す模式図である。
【図4】本発明のプロセスの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1A、1B 原料供給口 2A、2B、16、27、38、47 ベント口 3A、3B 攪拌槽型重合器 4A、4B 攪拌軸 5A、5B、18、28 芳香族ポリカーボネート
プレポリマー 6A、6B、20、29、40、48 排出口 7、9、21、30、32、41、43、49 移
送配管 8、19、31、42、50 移送ポンプ 10 多孔板型重合器 11、22、33、45 供給口 12 循環ライン 13、24、35 多孔板 14 糸状の溶融ポリマー 15、26、37 ガス供給口 17 循環ポンプ 23、34 ガイド付多孔板型重合器 25、36 ワイヤ 39 芳香族ポリカーボネート 44 抜き出し口 46 横型二軸攪拌型重合器 51 フィルター 301 配管の中心線 302 中心円 303A 曲折部 303B 曲折部 303C 曲折部 R 曲率半径の極小値

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリール
    カーボネートから、1基又は2基以上の重合器を用い、
    溶融状態で重合して芳香族ポリカーボネートを製造する
    に際し、数平均分子量が4000以上である溶融ポリマ
    ーを移送するための配管の曲折部の数が50以下である
    事を特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】 数平均分子量が4000以上である溶融
    ポリマーを移送するための配管の曲折部が、各曲折部に
    おける配管内周の最小値をL(m)、曲率半径をR
    (m)とした場合、下記式(1) R/L≧0.6 (1) の関係を満足することを特徴とする請求項1記載の芳香
    族ポリカーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】 数平均分子量が4000以上である溶融
    ポリマーを移送するための配管の合計距離が100m以
    下であることを特徴とする請求項1又は2記載の芳香族
    ポリカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】 芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率が5
    〜90%である芳香族ポリカーボネートプレポリマー中
    に存在する微小異物を絶対濾過精度0.1〜0.5μm
    のフィルターで除去することを特徴とする請求項1、2
    又は3記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の芳香族ポ
    リカーボネートの製造方法で得られた芳香族ポリカーボ
    ネート。
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