JP2004026916A - 複数のポリカーボネートの連続製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、分子量や末端、共重合成分の異なる複数のポリカーボネートを製造する際の切り替えロスや品質低下を減少させ、複数の高品質のポリカーボネートを安定的に効率よく並行して連続製造する方法を提供することを目的としている。
【解決手段】芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを少なくとも2基以上の反応器を用いて溶融状態で重合してポリカーボネートを連続的に製造する方法において、1つの前期重合工程に対して複数の後期重合工程からなるプロセスで製造することを特徴とする複数の異なるポリカーボネートを連続製造する方法を提供する。
【選択図】 選択図なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
ポリカーボネートの工業的連続製造方法に関する。詳しくは、光学用途用ポリカーボネートを含む複数の分子量の異なるポリカーボネートや、末端、共重合成分等の異なるポリカーボネートを安定的に且つロスが少なく効率的に製造する工業的連続製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いられ、その重要性が増している。
この芳香族ポリカーボネートの製造方法については、従来種々の重合法の研究が行われている。その中で、有機溶媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)のアルカリ水溶液とホスゲンを反応させる界面重縮合法は公知である。この方法で用いる有機溶媒はハロゲン系有機溶媒であり、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどが用いられるが、特に塩化メチレンが主に用いられる。しかしながら、この方法では得られるポリマーから該有機溶媒を完全に除去することが難しく、残留する有機溶媒由来のハロゲンによる金型腐食や着色などが起こり、最終用途に好ましくない影響を与える。
【0003】
その為、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを原料として芳香族ポリカーボネートを製造する方法が研究されている。例えば、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを溶融状態でエステル交換反応によってフェノールを脱離してポリカーボネートを製造する方法が、いわゆるエステル交換法あるいは溶融法として知られている。その際、反応途中のポリカーボネートプレポリマーの分子量によって溶融粘度が大きく異なることや、分子量が大きくなるほどフェノールの脱離促進のために高温、高真空で反応することが必要となることなどから、工業的には複数の反応器を直列に接続して段階的に温度や減圧度を変えて製造されている。例えば、特開平2−153923号公報では、槽型反応器を3基と遠心薄膜型蒸発反応器及び横型撹拌反応器の合計5基の反応器を直列に接続してポリカーボネートを製造している。
【0004】
一方、工業的にポリカーボネートを製造する場合、多くの銘柄を製造することが要求されるので、分子量、水酸基末端比率、末端構造、共重合成分等の異なる複数のポリカーボネートを製造する必要がある。その為、出発原料の芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの仕込みモル比の調整、出発原料に添加する分子量調節剤や末端調節剤、共重合成分の比率調整等や、該調整に応じた反応器の温度や減圧度の調整等が必要であった。しかしながら、エステル交換法でのポリカーボネートの工業的な製造方法は、先述のように、複数の反応器が直列に接続された製造工程でなされることから、出発原料の仕込みモル比や分子量調節剤添加等の反応条件を変更しても、目的のポリカーボネートを得るまでに多くの切り替えロスが発生する問題が避けられなかった。特に、分子量が極端に小さい光学用途用のポリカーボネートを製造する場合には、この問題が顕著であった。例えば、他の銘柄と比べて溶融粘度の差が大きいので、完全に切り替わるまでに時間がかかるため大きな損失が発生たり、切替完了後も高分子量のポリカーボネートがフィッシュアイとなって混入して品質を低下させるという問題があり、改善が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、分子量や末端、共重合成分の異なる複数のポリカーボネートを製造する際の切り替えロスや品質低下を減少させ、複数の高品質のポリカーボネートを安定的に効率よく並行して連続製造する方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するためにポリカーボネートの製造工程を見直した結果、前期重合工程に対して後期重合工程を複数化することで、前記問題を解決でき且つ複数の高品質ポリカーボネートを並行して安定に効率よく製造できることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを少なくとも2基以上の反応器を用いて溶融状態で重合してポリカーボネートを連続的に製造する方法において、1つの前期重合工程に対して複数の後期重合工程からなるプロセスで製造することを特徴とする複数の異なるポリカーボネートを連続製造する方法、
【0007】
(2)複数の異なるポリカーボネートが、1つの前期重合工程に対して複数の後期重合工程からなるプロセスで同時に製造されることを特徴とする上記(1)記載の複数の異なるポリカーボネートを連続製造する方法、
(3)複数の異なるポリカーボネートが、光学用途用ポリカーボネートを含む複数の分子量のことなるポリカーボネートであることを特徴とする上記(1)及び(2)記載の複数の異なるポリカーボネートを連続製造する方法、
(4)後期重合工程で、末端調節剤、共重合成分、他樹脂、添加剤の少なくとも1つを添加することを特徴とする上記(1)〜(3)記載の複数の異なるポリカーボネートを連続製造する方法を提供するものである。
【0008】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、HO−Ar−OHで示される化合物である(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)。
芳香族基Arは、例えば好ましくは−Ar−Y−Ar−で示される2価の芳香族基である(式中、Ar及びArは、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)。
2価の芳香族基Ar、Arにおいて、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
【0009】
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。
2価の芳香族基Ar、Arは、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1で示される有機基である。
【0010】
【化1】
Figure 2004026916
【0011】
(式中、R、R、R、Rは、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、RおよびRは、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R、R、R、R、R、Rにおいて、一つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化2で示されるものが挙げられる。
【0012】
【化2】
Figure 2004026916
【0013】
(式中、R、Rは、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各Rはそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合には各Rはそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar−Z−Ar−で示されるものであっても良い。
(式中、Ar、Arは前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO−、−COO−、−CON(R)−などの2価の基を表す。ただし、Rは前述のとおりである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化3で示されるものが挙げられる。
【0014】
【化3】
Figure 2004026916
【0015】
(式中、R、R、mおよびnは、前述のとおりである。)
さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換または非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。ここでの置換基は前述のとおりである。
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわないが、製造される複数のポリカーボネートの内全てに共通で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物であることが必要である。現在は一般に、ビスフェノールAポリカーボネートが主流であることから、ビスフェノールAを単独で用いることが好ましい。
本発明で用いられるジアリールカーボネートは、下記化4で表される。
【0016】
【化4】
Figure 2004026916
【0017】
(式中、Ar、Arはそれぞれ1価の芳香族基を表す。)
Ar及びArは、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr、Arにおいて、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。ArとArは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
1価の芳香族基Ar及びArの代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr及びArとしては、それぞれ例えば、下記化5などが挙げられる。
【0018】
【化5】
Figure 2004026916
【0019】
ジアリールカーボネートの代表的な例としては、下記化6で示される置換または非置換のジフェニルカーボネート類を挙げる事ができる。
【0020】
【化6】
Figure 2004026916
【0021】
(式中、R及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各Rはそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)
このジフェニルカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジアリールカーボネートである非置換のジフェニルカーボネートが好適である。
【0022】
これらのジアリールカーボネート類は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの使用割合(仕込比率)は、目標とする複数のポリカーボネートの分子量範囲や末端基比率、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類、重合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリールカーボネートが芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。一般に、製造するポリカーボネートの目標分子量や水酸基末端比率によって、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの仕込み比率を変更する方法が用いられている。
しかしながら、仕込み比率を変更した場合には、最終的に目標とする分子量や水酸基末端比率を有するポリカーボネートが得られるまでに、多くの切り替えロスを伴うことから好ましくない。本発明においては、製造する複数のポリカーボネートの目標分子量や水酸基末端比率が変更になっても、両者の仕込み比率を変更せずに一定のままでポリカーボネートを製造することが好ましい。
【0023】
溶融重縮合反応は、触媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;
【0024】
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアリーロキシド類;
【0025】
酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、テトラメチルアンモニウムボロハ イドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレートなど(R)NB(R)で表されるアンモニウムボレート類、(R)PB(R)で表されるホスホニウムボレート類(R、R、R、Rは前記化1の説明通りである。)などのホウ素の化合物類;
【0026】
酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;
【0027】
酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;
【0028】
酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウム化合物類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などのアンモニウムヒドロオキシド類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミンなどの三級アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジフェニルアミン、エチルフェニルアミンなどの二級アミン類;メチルアミン、エチルアミン、フェニルアミン、トルイルなどの一級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどの イミダゾール類などの触媒を挙げる事ができる。
【0029】
これらの触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの中で、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩類、アンモニウムヒドロオキシド類等の含窒素化合物、ホウ素化合物が単独もしくは併用で好ましく用いられる。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して、通常10−8〜1重量部、好ましくは10−7〜10−2重量部、特に好ましくは10−6〜10−4重量部の範囲で選ばれる。
【0030】
本発明の方法は、2基以上の反応器を用いて溶融状態で重合してポリカーボネートを連続的に製造する方法において、1つの前期重合工程に対して複数の後期重合工程からなるプロセスで製造することを特徴としている。
本発明で用いられる反応器としては、ポリカーボネートの反応器として広く使用されているものが使用でき、例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等が用いられる。これらの反応器の材質は特に限定されないが、鉄を20%以上含む材質が好ましく、特にSUS304,SUS316,SUS316Lが好ましく用いられる。また、前期重合工程においては、特に着色を防止するために、鉄含有量が20%以下の材質を用いても良いし、ニッケルやチタン等の非鉄材料を用いても良い。
【0031】
本発明においては、これら反応器を2基以上用いるが、1つの前期重合工程に対して複数の後期重合工程を有することが必要である。前期重合工程とは、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネート等の原材料の計量・供給工程、これらを溶解する原料溶解槽及び該溶解槽から接続された少なくとも1基の反応器からなり、直列に接続された2基以上の反応器を有していても良い。また、後期重合工程とは、少なくとも最終重合器を含む1つ以上の反応器が直列に接続された工程をいう。1つの前期重合工程に対する後期重合工程の数は2つ以上であればよく、特に限定されない。また、各重合工程内の反応器数も限定されない。たとえば、3基の反応器が直列に接続された1系列の前期重合工程と直列に接続された2基の反応器からなる後期重合工程3系列との組み合わせや、3基の反応器が直列に接続された1系列の前期重合工程と1基の反応器からなる後期重合工程4系列の組合わせのように目的に合わせて組み合わせることができる。
【0032】
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートは、計量後、原料溶解混合槽に移送されるが、芳香族ジヒドロキシ化合物およびジアリールカーボネートは、予め窒素等の不活性ガスを用いて真空置換しておくことがこのましい。また、芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネートのどちらか一方を、もしくは両方を酸素が除去された溶融状態で原料溶解混合槽に移送する方法も好ましい。特に芳香族ジヒドロキシ化合物もしくはジアリールカーボネートの製造工場が隣接する場合、配管等で接続して直接原料溶解混合槽に移送することが好ましい。その際、原料溶解槽の後にフィルターを設置しても良い。
【0033】
原料溶解槽の温度は115〜220℃であるが、好ましくは120〜200℃、さらに好ましくは140〜190℃の範囲にある。該原料溶解混合槽では、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを単に溶解混合するだけでなく、エステル交換反応を進行させてもよい。反応率としては5〜95%の範囲で調整し、好ましくは30〜92%、特に好ましくは50〜90%の範囲で調整した後、後工程、例えば貯槽や前期重合工程の反応器に移送することが好ましい。原料溶解槽はバッチ式で行ってもよく、連続で実施してもよいが、前者が好ましい。その際、複数の原料溶解槽を並列用いて切り替えながら使用することが好ましい。原料溶解槽としては、前者の内、特に攪拌槽型反応器が好ましく用いられる。
【0034】
前期重合工程および後期重合工程での反応温度は、通常100〜350℃、好ましくは150〜290℃の温度の範囲で選ばれる。特に好ましくは180〜280℃の範囲にある。反応の進行にともなって、芳香族モノヒドロキシ化合物が生成してくるが、これを反応系外へ除去する事によって反応速度が高められる。従って、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを導入して、生成してくる該芳香族モノヒドロキシ化合物をこれらのガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に反応を行う方法などが好ましく用いられる。好ましい反応圧力は、分子量によっても異なり、重合初期には10mmHg〜常圧の範囲が好ましく、重合後期には、20mmHg以下、特に10mmHg以下が好ましく、2mmHg以下とすることが更に好ましい。
【0035】
本発明の方法で得られる芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は、通常5000〜100000の範囲であり、好ましくは5000〜30000の範囲である。
本発明においては、少なくとも1つの後期重合工程で光学用途用ポリカーボネートを製造することが好ましく、特に好ましくは、後期重合工程の一系列を光学用途用ポリカーボネート専用工程することが、グレード切り替え時の損失や品質の安定性の面から好ましい。
【0036】
更に本発明では、後期重合工程を複数有しているので、分子量や水酸基末端比率、末端構造、共重合成分、他樹脂含有、添加剤等の異なる複数のポリカーボネートを並行して連続的に製造することができる。複数のポリカーボネートを同時に製造しても良いし、あと重合工程を切り替えながら交互に製造してもよい。また、複数のポリカーボネートを同時に製造しながら、他の後期重合工程では交互に切り替えながら異なるポリカーボネートを製造しても良い。
【0037】
たとえば、各後期重合工程の温度や減圧度、滞留時間等を変更することで、分子量が異なる複数のポリカーボネートを同時に製造できる。また、各後期重合工程に前述の芳香族ジヒドロキシ化合物や、水酸基末端のポリカーボネートプレポリマー(低重合度ポリカーボネート)、前述のジアリールカーボネート類やアリールカーボネート末端のポリカーボネートプレポリマー、t−ブチルフェノールやt−オクチルフェノール等の単官能置換フェノール類等公知の末端調節剤を添加することで、水酸基末端比率や末端構造の異なる複数のポリカーボネートを同時に製造することができる。各後期重合工程に前述の芳香族ジヒドロキシ化合物類やそれらの重合体や、両末端にヒドロキシル基やカルボシキル基を有する化合物等の共重合成分を添加することで、繰り返し単位や比率の異なる複数の異構造のポリカーボネートを同時に製造することができる。更に、各後期重合工程にABSやPET等の他樹脂や、安定剤、酸化防止剤、染顔料、紫外線吸収剤、難燃剤等の添加剤等を添加することで、異なる添加剤や他樹脂を含有する複数のポリカーボネート組成物を同時に製造することができる。更に、これらを組み合わせることで、多様なポリカーボネートを同時に製造できる。
【0038】
各後期重合工程の最終反応器からは、溶融状態のままで押出機やポリマーミキサー、スタティックミキサー等にポリカーボネートを供給することが好ましく、安定剤、酸化防止剤、染顔料、紫外線吸収剤、難燃剤等の添加剤や、ガラス繊維、フィラーなどの強化剤、他樹脂等を添加・溶融混練してペレット化することが好ましい。必要に応じて、各後期重合工程の最終反応器から直接各種成形機に接続して、シートやパイプ等の成形品を製造しても良い。光学材料用ポリカーボネートを製造する場合には、得られたポリカーボネートの異物を低減させるためにポリマーフィルターを設置することも好ましく行われる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(1)数平均分子量(以下、Mnと略す)の測定
数平均分子量(以下、Mnと略す)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて行った。テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求めた。
PC=0.3591MPS 1.0388
(MPCはポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレンの分子量)
【0040】
(2)ディスク成形評価
クラス1000の室内に設置されたディスク成形機(住友重機械工業製ディスク3)を用いてCD−Rを100枚成形し、ディスク中に大きさ100ミクロン以上の光学的欠陥が全くない良好なディスクの割合=ディスク収率を測定した。欠陥の測定には、ディスク検査機(ドクターシェンク社製)を用いた。
(3)ポリカーボネートの末端、共重合組成比率測定
ポリカーボネートを塩化メチレン−d2溶媒に濃度20%で溶解し、13C−NMRを用いて18000回積算して定量した。
【0041】
【実施例1】
図1に示すような前期重合工程1系列に対して後期重合工程が3系列のプロセスを用いて分子量の異なる3種類のポリカーボネートを製造した。原料溶解槽3a、3b及び貯層10の後、前期重合工程には撹拌槽型重合器17、26及びワイヤ付多孔板型重合器56からなる3基の反応器が直列に接続されている。後期重合工程にはワイヤ付多孔板型重合器42a、42b、42cの3基の反応器が各系列に1基ずつ接続されている。42a及び42c反応器には、配管50a及び50cを経由して30mmφ押出機・造粒機が接続されている。42b反応器には、配管50bを経由して30mmφ押出機・ポリマーフィルター・造粒機が接続されている。
【0042】
原料溶解混合槽3a、3bはバッチ的に交互に運転し、貯槽10以降は連続的に運転した。原料溶解混合槽3a、3b及び撹拌槽型重合器17、26は、いずれも攪拌翼を備えており、接液部の材質はSUS316Lである。貯槽10の接液部の材質もSUS316Lである。ワイヤ付多孔板型重合器42a、42b、42cは、孔径5mmの孔を20個有する多孔板43a、43b、43cを備えており、接液部の材質はSUS316Lである。孔の中心から鉛直に2mm径のSUS316L製ワイヤ44a、44b、44cを重合器下部の液溜まで垂らしてあり、落下する高さは8mである。ワイヤ付多孔板型重合器56は、孔の数を50個有している以外は42aと同様である。
各溶融混合槽及び重合器間をつなぐ移送配管7a、7b、13、15、24、59、40a、40b、40c、50a、50b、50c、65a、65b、65cの接液部の材質はいずれもSUS316Lである。各混合槽、重合器、貯槽及び全ての移送配管の接液部は重合に先立ちフェノールを用いて150℃で洗浄されている。
【0043】
原料溶解混合槽3a、3bは、反応温度180℃、反応圧力常圧、シール窒素(酸素濃度0.5ppm)ガス流量1リットル/hrの条件である。原料溶解混合槽3aに、50mmHgで真空窒素置換を5回したビスフェノールA粉体とジフェニルカーボネート製造工程から溶融状態で供給されたジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.11)を80Kgと、水酸化ナトリウム7mgを仕込み2.5時間溶融混合し、溶融混合物を全量、移送配管7aから移送貯槽10に移送した。溶融混合物はエステル交換反応が進行しており、ビスフェノールAの反応率は75%であった。同様に原料溶解混合槽3bで同様に原料を溶解混合し、貯槽10の溶融ポリマーがなくなる前に貯槽10に移送した。原料溶解混合槽3a,3bは交互に溶解混合及び移送を繰り返した。貯槽10は、常圧、180℃に保たれている。貯槽10に移送された溶融ポリマーは、20kg/hrで連続に攪拌槽型第1重合器17に供給した。
【0044】
攪拌槽型第1重合器17は、反応温度238℃、反応圧力98mmHgの条件であり、溶融ポリマーの液容量が40リットルに達したら、液容量40リットルを一定に保つように攪拌槽型第2重合器26に数平均分子量860の溶融ポリマーを等量連続的に供給した。攪拌槽型第2重合器26は、反応温度254℃、反応圧力10mmHgの条件であり、溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つようにワイヤ付多孔板型重合器56に数平均分子量3000の溶融ポリマーを連続に供給した。
【0045】
ワイヤ付多孔板型重合器56は、反応温度270℃、3mmHgの条件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを保つように、移送配管65a、65b、65c及び移送ポンプ58a、58b、58cを経由して1/3ずつ同量をワイヤ付多孔板型重合器42a、42b、42cへ数平均分子量5200の溶融ポリマーを連続に供給した。
ワイヤ付多孔板型重合器42aは、反応温度272℃、圧力0.8mmHgの条件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを保つように抜き出し、配管50aを経由して押出機52aへ供給した。押出機52aには、配管51aからトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが50aから供給されるポリカーボネートに対して200ppmの濃度で定量的に供給された。造粒機54aからは、数平均分子量9800のポリカーボネートが連続的に得られた。
【0046】
ワイヤ付多孔板型重合器42bは、反応温度270℃、圧力1.6mmHgの条件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを保つように抜き出し、配管50bを経由して押出機52bへ供給した。押出機52bには、配管51bからトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト及びペンタエリスリトールテトラステアレートが50bから供給されるポリカーボネートに対してそれぞれ300ppm、500ppmの濃度で定量的に供給された。濾過精度10μmのポリマーフィルター72bを経由して造粒機54bからは、数平均分子量5950の光学用途用ポリカーボネートが連続的に得られた。ディスク成形評価を実施したところディスク収率は100%であった。
【0047】
ワイヤ付多孔板型重合器42cは、反応温度275℃、圧力0.3mmHgの条件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを保つように抜き出し、配管50cを経由して押出機52cへ供給した。押出機52cには、配管51cからビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアリン酸モノグリセリドが50cから供給されるポリカーボネートに対してそれぞれ300ppm、500ppm、500ppmの濃度で定量的に供給された。造粒機54cからは、数平均分子量12300のポリカーボネートが連続的に得られた。本実施例においては、分子量や添加剤の異なる3種類のポリカーボネートを同時製造できた。
【0048】
また、約500時間後に、ワイヤ付多孔板型重合器42aの圧力を1.0mmHgに変更して数平均分子量9100のポリカーボネートを製造し、ワイヤ付多孔板型重合器42cの圧力を0.4mmHgに変更して数平均分子量11500のポリカーボネートを製造した。ワイヤ付多孔板型重合器42bは、光学用途用ポリカーボネートを継続して製造した。42a、42cでは最終重合器の反応圧力を変更しただけであり、分子量切替による損失はなかった。光学用途用ポリカーボネートの品質も、42bを専用工程として製造できたので、分子量切替による損失や品質の低下は見られなかった。
【0049】
【比較例1】
図2に示すようなプロセスで、ポリカーボネートを製造した。ワイヤ付多孔板型重合器42bの孔数を50にした以外、各機器の仕様は実施例1と同様である。ワイヤ付多孔板型重合器56までは実施例1と同様にして、ワイヤ付多孔板型重合器42bへ数平均分子量5200の溶融ポリマーを連続に供給した。
ワイヤ付多孔板型重合器42bは、反応温度270℃、圧力1.6mmHgの条件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを保つように抜き出し、配管50bを経由して押出機52bへ供給した。押出機52bには、配管51bからトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト及びペンタエリスリトールテトラステアレートが50bから供給されるポリカーボネートに対してそれぞれ300ppm、500ppmの濃度で定量的に供給された。濾過精度10μmのポリマーフィルター72bを経由して造粒機54bからは、数平均分子量5950の光学用途用ポリカーボネートが連続的に得られた。
【0050】
500時間連続運転後、ワイヤ付多孔板型重合器42bの条件を反応温度275℃、圧力0.3mmHgに変更して数平均分子量12300のポリカーボネートを製造しようとしたところ、ギヤポンプ71bの吐出圧力異常により運転を継続できなかった。その為、一旦ポリカーボネートの製造を中断し、ポリマーフィルター72bを取り外した。約1時間後ポリカーボネートの製造を再開したが、停止期間中にポリカーボネートの着色が発生し、色調が良好になるまでに約2時間かかりこの間に製造されたポリカーボネートが損失となった。
【0051】
1000時間後、再度数平均分子量5950の光学用途用ポリカーボネートを製造するために、ワイヤ付多孔板型重合器42bを反応温度270℃、圧力1.6mmHgの条件に設定した。3時間後、押出機52bに供給されるポリカーボネートの分子量がポリマーフィルターを設置できるまでに低下したので、一旦製造を中断してポリマーフィルター72bを設置した。停止期間中にポリカーボネートの着色が発生し、色調が良好になるまでに約2時間かかりこの間に製造されたポリカーボネートが損失となった。また、その後ディスク成形評価を実施したところ、ディスク中にフィッシュアイ様の異物が多数検出され、ディスク収率は85%と劣悪であった。ディスク収率が98%以上になったのは、生産条件を切り替えてから24時間後であった。この間に製造したポリカーボネートが損失となった。
【0052】
【実施例2】
図3に示すようなプロセスで、分子量及び添加剤の異なる3種類のポリカーボネートを同時に連続製造した。但し、移送ライン40a上にポリマーミキサー(佐竹工業製)67を設置し、排出口68cに30mm押出機/シート成形機を接続する以外は実施例1と同様である。ワイヤ付多孔板型重合器56までは実施例1と同様にして、1/3ずつ同量をワイヤ付多孔板型重合器42a、42b、42cへ数平均分子量5200の溶融ポリマーを連続に供給した。
【0053】
移送配管途中には270℃に設定されたポリマーミキサー66が設置されており、溶融ポリマーは供給口67から150g/hrで供給されているp−クミルフェノールと均一溶融混合された後、ワイヤ付多孔板型重合器42aへ供給された。ワイヤ付多孔板型重合器42aは、反応温度274℃、圧力0.9mmHgの条件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が30リットルに達したら、液容量30リットルを保つように抜き出し、配管50aを経由して押出機52aへ供給した。押出機52aには、配管51aからトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが50aから供給されるポリカーボネートに対して100ppmの濃度で定量的に供給された。造粒機54aからは、数平均分子量8800のポリカーボネートが連続的に得られた。得られたポリカーボネートの末端基比率は、フェノール性水酸基末端/フェニル末端/p−クミルフェニル末端の比率が15/25/60であった。
【0054】
ワイヤ付多孔板型重合器42bは、反応温度270℃、圧力1.6mmHgの条件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを保つように抜き出し、配管50bを経由して押出機52bへ供給した。押出機52bには、配管51bからトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト及びペンタエリスリトールテトラステアレートが50bから供給されるポリカーボネートに対してそれぞれ300ppm、500ppmの濃度で定量的に供給された。濾過精度10μmのポリマーフィルター72bを経由して造粒機54bからは、数平均分子量5950の光学用途用ポリカーボネートが連続的に得られた。ディスク成形評価を実施したところディスク収率は100%であった。
【0055】
ワイヤ付多孔板型重合器42cは、反応温度273℃、圧力0.25mmHgの条件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを保つように抜き出し、数平均分子量12500のポリカーボネートを配管50c及び排出口68cへ移送した。配管51cからはビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアリン酸モノグリセリド、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、マクロレックスバイオレット3R(バイエル社製)が50cから供給されるポリカーボネートに対してそれぞれ300ppm、500ppm、500ppm、3000ppm、1ppmの濃度で定量的に供給された。排出口68cに接続されたシート成形機では、連続的に厚さ1.5mmの良好なシートが連続的に得られた。
【0056】
また、約500時間後に供給口67から供給されているp−クミルフェノールに換えて、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとジフェニルカーボネートとを反応して予め製造していた数平均分子量2000のプレポリマーを1kg/hrで供給した。造粒機54aからは、数平均分子量7800のポリカーボネートが連続的に得られた。得られたポリカーボネートは、NMRで確認したところ、ビスフェノールA構造/1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン構造比率が約42/58の共重合ポリカーボネートであった。
本実施例においては、約500時間までは、分子量や添加剤、末端基構造の異なる3種類のポリカーボネートを全く損失が発生することなく同時に連続製造できた。また、約500時間目以降、光学用途用ポリカーボネートとシートの製造は全く停止することなく、共重合ポリカーボネートを製造することがきた。
【0057】
【発明の効果】
本発明の方法では、実施例で詳細に示したように、分子量や末端、共重合成分の異なる複数のポリカーボネートを製造する際の切り替えロスや品質低下を減少させ、複数の高品質のポリカーボネートを安定的に効率よく同時に連続製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のプロセス図。
【図2】比較例1のプロセス図。
【図3】実施例2のプロセス図。
【符号の説明】
1a,1b 原料供給口
2a,2b、9、19、28、36、46 ベント口
3a,3b 原料溶解混合槽
4a、4b、18、27 攪拌軸
5a,5b、11、20、29、47a、47b、47c、57 溶融ポリマー
6a.6b、12、21、30、48a、48b、48c、64、68c排出口
7a,7b、13、15、24、40a、40b、40c、50a、50b、50c、59,65、65a、65b、65c、70 移送配管
8、16、19,25、41a、41b、41c、55、供給口
10 貯槽
14、23、32、49a、49b、49c、58、58a、58b、58c 移送ポンプ
17 攪拌槽型第1重合器
22、31、45a、45b、45c、63 ガス供給口
26 攪拌槽型第2重合器
42a、42b、42c、56 ワイヤ付多孔板型重合器
43a、43b、43c、61 多孔板
44a、44b、44c、62 ワイヤ
51a、51b、51c 添加剤供給配管
52a、52b、52c 押出機
53a,53b,53c ストランドバス
54a,54b,54c 造粒機
33 フィルター
66 添加剤供給配管
67 ポリマーミキサー
71b ギヤポンプ
72b ポリマーフィルター

Claims (4)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを少なくとも2基以上の反応器を用いて溶融状態で重合してポリカーボネートを連続的に製造する方法において、1つの前期重合工程に対して複数の後期重合工程からなるプロセスで製造することを特徴とする複数の異なるポリカーボネートを連続製造する方法。
  2. 複数の異なるポリカーボネートが、1つの前期重合工程に対して複数の後期重合工程からなるプロセスで同時に製造されることを特徴とする請求項1記載の複数の異なるポリカーボネートを連続製造する方法。
  3. 複数の異なるポリカーボネートが、光学用途用ポリカーボネートを含む複数の分子量のことなるポリカーボネートであることを特徴とする請求項1及び2記載の複数の異なるポリカーボネートを連続製造する方法。
  4. 後期重合工程が、末端調節剤、共重合成分、他樹脂、添加剤の少なくとも1つを添加する工程であることを特徴とする請求項1〜3記載の複数の異なるポリカーボネートを連続製造する方法。
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