JP2002053654A - 芳香族ポリカーボネートの製造法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造法

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JP2002053654A JP2000237877A JP2000237877A JP2002053654A JP 2002053654 A JP2002053654 A JP 2002053654A JP 2000237877 A JP2000237877 A JP 2000237877A JP 2000237877 A JP2000237877 A JP 2000237877A JP 2002053654 A JP2002053654 A JP 2002053654A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融重縮合法により芳香族ポリカーボネート
を製造するに際し、カラーが良好で、かつ380℃以上
の高温でも着色が少なく、分子量低下も小さい高品質な
芳香族ポリカーボネートの工業的に好ましい製造法を提
供する。 【解決手段】 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリール
カーボネートとから、溶融状態で重合する芳香族ポリカ
ーボネートの製造法において、該ジアリールカーボネー
トとして、(a)水分含量が200重量ppm以下であ
り、(b)銅含量が1重量ppm以下であり、(c)
o,p’−ビス(フェノキシカルボキシル)ビフェニル
含量が3重量ppm以下のものを使用する芳香族ポリカ
ーボネートの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネートの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱
性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプ
ラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いら
れている。しかしながら、従来用いられてきたホスゲン
法で製造されたポリカーボネートは、その製造時に毒性
のホスゲンを使用することや、ポリカーボネートの熱安
定性や成形時の金型腐食等に影響を及ぼす残留塩化メチ
レンを含有する等の問題を有しており、近年は、エステ
ル交換法ポリカーボネートが見直されてきている。
【0003】エステル交換法ポリカーボネートは一般に
カラーが悪いため、着色を改善することが以前から求め
られている。しかし、ポリカーボネート製造時のカラー
が良いだけでは、成型材料としての品質を満足している
とは言えず、ポリカーボネートの中でも芳香族ポリカー
ボネートは成形流動性が劣るために、良好な成形外観が
要求される射出成形用成形材料としての用途、又高い透
明性を要求される成形品の成形材料としての用途におい
ては、一般に通常の樹脂よりも高い温度で成形されてお
り、近年、特に高度な転写性を求められる精密成形品成
形材料としての用途が拡大しており、高温で成形しても
着色の少ない芳香族ポリカーボネートが強く望まれてき
ている。成形のハイサイクル性が要求される光ディスク
用途では、特に高温での成形が実施されるため、金型清
掃等の成形中断時に樹脂が着色したり、分子量低下を起
こす等の問題を有していた。
【0004】すなわち、380℃以上の高温でも着色が
少なく分子量低下も小さい芳香族ポリカーボネートが強
く求められていた。エステル交換法で芳香族ジヒドロキ
シ化合物とジアリールカーボネートとから、溶融状態で
重合して芳香族ポリカーボネートを製造する際、製品の
着色改善の観点から、特定の化合物の原料中の存在量を
規定した特許出願が数多くなされている。
【0005】例えば、特開平5−262872号公報で
は、炭酸ジエステルに含まれる不純物としてクロロフォ
ーメートに基づく塩素含有量が30ppm以下であるこ
と、特開平6−179744号公報では、炭酸ジエステ
ルとしてサリチル酸フェニル、o−フェノキシ安息香酸
及びo−フェノキシ安息香酸フェニルを実質的に含有し
ないこと、特開平7−33866号公報では、ベンゾフ
ェノン誘導体が100ppm以下である炭酸ジアリール
エステルを用いること、特開平7−62074号公報で
は、エステル誘導体が100ppm以下である炭酸ジア
リールエステルを用いること、特開平8−59815号
公報では、o−メトキシ安息香酸フェニル及びキサント
ンを実質上含有しないジフェニルカーボネートを用いる
こと、ヨ−ロッパ特許(EP)−0677545A1号
公報では、サリチル酸誘導体、スズイオン、メチルフェ
ニルカーボネートのいずれかを含まない炭酸ジエステル
を用いること等、ジアリールカーボネート中の特定の化
合物の存在量を規定している。
【0006】また、特開平8−104747号公報で
は、特定構造の芳香族ジヒドロキシ化合物の存在量が1
0重量ppm以上3重量%以下であること、特開平8−
104748号公報では、特定のビスフェノールA誘導
体、ビスフェノールA異性体、クロマン系有機化合物、
トリスフェノールIの総含有量が100ppm以上10
00ppm以下であるビスフェノールAを用いること、
特開平11−310630号公報では、クロマン系有機
化合物の含有量が200ppm以下、かつ鉄分の含有量
が0.1ppm以下であるビスフェノールAを用いるこ
と等、芳香族ジヒドロキシ化合物中の特定の化合物の存
在量を規定している。しかしながら、これらの発明は、
カラーを改善する上で必ずしも充分でなく、さらに38
0℃以上の高温でも着色が少なく、分子量低下も小さい
芳香族ポリカーボネートを提供することは可能ではなか
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶融
重縮合法により芳香族ポリカーボネートを製造するに際
し、カラーが良好で、かつ380℃以上の高温でも着色
が少なく、分子量低下も小さい高品質な芳香族ポリカー
ボネートの工業的に好ましい製造法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を進めた結果、芳香族ポリカー
ボネートを製造する際に、ジアリールカーボネート中の
特定の成分含有量を特定の範囲にコントロールすること
によりその目的を達成できることを見い出し本発明を完
成させるに至った。
【0009】すなわち、本発明は、(1)芳香族ジヒド
ロキシ化合物とジアリールカーボネートから、溶融状態
で重合する芳香族ポリカーボネートの製造法において、
該ジアリールカーボネートが、(a)水分含量が200
重量ppm以下であり、(b)銅含量が1重量ppm以
下であり、(c)o,p’−ビス(フェノキシカルボキ
シル)ビフェニル含量が3重量ppm以下であることを
特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造法、(2)ジ
アリールカーボネートが、(a)水分含量が200重量
ppm以下であり、(b)銅含量が1重量ppm以下で
あるジアリールカーボネートを、ステンレス製の容器で
窒素雰囲気下に80〜190℃の温度で溶融状態で貯蔵
されたジアリールカーボネートであることを特徴とする
(1)記載の芳香族ポリカーボネートの製造法、(3)
ステンレス製の容器が、内壁面の接液部がフェノールで
洗浄処理を施された容器であることを特徴とする(2)
記載の芳香族ポリカーボネートの製造法、である。
【0010】溶融重合法で芳香族ポリカーボネートを製
造する際、通常、原料のジアリールカーボネートは完全
な100%純度ではなく、ジアリールカーボネートの製
造法に由来したり、製造したジアリールカーボネートの
保管方法に由来する種々の化合物を含有している。ジア
リールカーボネートは、製造後ただちに用いられること
は少なく、輸送や貯蔵の後に用いられるので、保管中に
混入したり生成したりする化合物の影響を明らかにする
ことは、工業的に芳香族ポリカーボネートを製造する上
で特に重要である。
【0011】本発明者らが鋭意検討した結果、吸湿によ
り混入する水分、ジアリールカーボネートを製造する時
に用いられる触媒成分である銅、及びジアリールカーボ
ネートを溶融状態で貯蔵する際に生成するo,p’−ビ
ス(フェノキシカルボキシル)ビフェニルの含有量を全
て特定値以下にすることにより、驚くべきことに製品で
ある芳香族ポリカーボネートのカラーが良好となる上、
380℃以上の高温下での着色及び分子量低下に対する
安定性が著しく改善されることが明らかになったのであ
る。
【0012】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、HO−
Ar−OH(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)で
示される化合物である。芳香族基Arは、好ましくは例
えば、−Ar1 −Y−Ar2 −(式中、Ar1及びAr
2 は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70の2価の炭素
環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30
の2価の置換又は非置換のアルカン基を表す。)で示さ
れる2価の芳香族基である。
【0013】2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、
一つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の
置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアル
キル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、
フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミ
ド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても
良い。複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1
ないし複数の環構成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を
有する芳香族基を挙げることができる。また、2価の芳
香族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフ
ェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または
非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は
前述のとおりである。2価のアルカン基Yは、例えば、
下記化1に示される有機基である。
【0014】
【化1】
【0015】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々
独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロア
ルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、
炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3
〜11の整数を表し、R5 及びR6 は、各Xについて個
々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜
6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R1
2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、一つ以上の水
素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、
例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭
素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ
基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニト
ロ基等によって置換されたものであっても良い。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化2に示されるものが挙げられる。
【0016】
【化2】
【0017】(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびn
は1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれ
ぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4
の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであっ
てもよい。) さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar1 −Z−Ar2
−(式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、Zは単結合
又は−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO
−、−COO−、−CON(R1 )−などの2価の基を
表す。ただし、R 1 は前述のとおりである。)で示され
るものであっても良い。このような2価の芳香族基Ar
としては、例えば、下記化3に示されるものが挙げられ
る。
【0018】
【化3】 (式中、R7 、R8 、mおよびnは、前述のとおりであ
る。)
【0019】さらに、2価の芳香族基Arの具体例とし
ては、置換または非置換のフェニレン、置換または非置
換のナフチレン、置換または非置換のピリジレン等が挙
げられる。本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合
物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族
ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノー
ルAが挙げられる。本発明で用いられるジアリールカー
ボネートは、下記化4に表される。
【0020】
【化4】 (式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の芳香族基を表
す。)
【0021】Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は
複素環式芳香族基を表すが、このAr3 、Ar4 におい
て、一つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない
他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10の
アルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル
基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、
アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっ
ても良い。Ar3 とAr4 は同じものであっても良い
し、異なるものであっても良い。1価の芳香族基Ar3
及びAr4 の代表例としては、フェニル基、ナフチル
基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げることができる。
これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたもので
も良い。好ましいAr3 及びAr4 としては、それぞれ
例えば、下記化5に示されるものなどが挙げられる。
【0022】
【化5】 ジアリールカーボネートの代表的な例としては、下記化
6に示される置換または非置換のジフェニルカーボネー
ト類を挙げることができる。
【0023】
【化6】 (式中、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数
1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有する
アルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル
基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、
pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ異なるもので
あっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、そ
れぞれ異なるものであっても良い。)
【0024】このジフェニルカーボネート類の中でも、
非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネ
ート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低
級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジ
アリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単
な構造のジアリールカーボネートである非置換のジフェ
ニルカーボネートが好適である。これらのジアリールカ
ーボネート類は単独で用いても良いし、2種以上を組み
合わせて用いても良い。
【0025】本発明において、該ジアリールカーボネー
ト中の水分含量は200重量ppm以下である。水分が
200重量ppmより多い場合は、製品芳香族ポリカー
ボネートのカラーが悪化し、かつ380℃以上の高温下
で着色しやすくなり、分子量低下も大きくなる。この理
由については明らかではないが、水分の存在によるジア
リールカーボネートの分解とジアリールカーボネートの
異性化反応等の組み合わせにより芳香族ポリカーボネー
トの高温下での安定性に悪影響を及ぼすものと推定して
いる。該ジアリールカーボネート中の水分含量は、好ま
しくは100重量ppm以下、更に好ましくは50重量
ppm以下である。また水分含量の下限について特に限
定はなく、0.01重量ppmより水分含量が少なくて
もかまわないが、0.01重量ppmより少なくしても
芳香族ポリカーボネートの高温下での着色や分子量低下
を改善させる効果は少ない。
【0026】ジアリールカーボネート中の水分量を上記
範囲にコントロールする方法としては、輸送や貯蔵中の
吸湿を避ける方法や、吸湿して上記上限の200重量p
pmより高い水分量となった場合は、蒸留等による脱水
操作を行った後に、芳香族ポリカーボネートの重合に使
用する方法等が挙げられる。
【0027】本発明において、該ジアリールカーボネー
ト中の銅含量は1重量ppm以下である。銅含量が1重
量ppmより多い場合は、製品芳香族ポリカーボネート
のカラーが悪化し、かつ380℃以上の高温下で着色し
やすくなり、分子量低下も大きくなる。この理由につい
ては明らかではないが、銅の存在が芳香族ポリカーボネ
ートの高温下での着色反応や分子量低下反応に触媒的に
作用するものと推定される。該ジアリールカーボネート
中の銅含量は、好ましくは0.5重量ppm以下、更に
好ましくは0.1重量ppm以下である。また銅含量の
下限について特に限定はなく、0.001重量ppmよ
り銅含量が少なくてもかまわないないが、0.001重
量ppmより銅含量を少なくしても芳香族ポリカーボネ
ートの高温下での着色や分子量低下を改善させる効果は
少ない。
【0028】銅含量を上記範囲にコントロールする方法
としては、ジアリールカーボネートを製造する際、銅触
媒を全く使用しないか、銅触媒を用いてジアリールカー
ボネートを製造した後、蒸留操作や洗浄操作等によって
銅含量を減少させる方法等が挙げられる。ただし、銅触
媒を全く使用しないでジアリールカーボネートを製造す
る場合は、製品ポリカーボネートの品質を悪化させる様
な他の触媒成分がジアリールカーボネート中に含有され
ないことが好ましい。本発明において、該ジアリールカ
ーボネート中のo,p’−ビス(フェノキシカルボキシ
ル)ビフェニル含量は3重量ppm以下である。o,
p’−ビス(フェノキシカルボキシル)ビフェニル含量
が3重量ppmより多い場合は、製品芳香族ポリカーボ
ネートのカラーが悪化し、かつ380℃以上の高温下で
着色しやすくなる。
【0029】この理由についても明らかではないが、
o,p’−ビス(フェノキシカルボキシル)ビフェニル
自身、またはo,p’−ビス(フェノキシカルボキシ
ル)ビフェニルと芳香族ポリカーボネートとの反応物が
高温で着色しやすいものと推定している。該ジアリール
カーボネート中のo,p’−ビス(フェノキシカルボキ
シル)ビフェニル含量は、好ましくは1重量ppm以
下、更に好ましくは0.3重量ppm以下である。また
o,p’−ビス(フェノキシカルボキシル)ビフェニル
含量の下限について特に限定はなく、0.01重量pp
mよりo,p’−ビス(フェノキシカルボキシル)ビフ
ェニル含量が少なくてもかまわないないが、0.01重
量ppmよりo,p’−ビス(フェノキシカルボキシ
ル)ビフェニル含量を少なくしても芳香族ポリカーボネ
ートの高温下での着色を改善させる効果は少ない。
【0030】芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカ
ーボネートから芳香族ポリカーボネートを製造する際、
ジアリールカーボネートを工業的に好ましくハンドリン
グするために、通常、ジアリールカーボネートは溶融状
態で貯蔵された後に用いられる。本発明においては、該
ジアリールカーボネートが、ステンレス製の容器で窒素
雰囲気下に80〜190℃の温度で溶融状態で貯蔵され
たものであることが好ましい。貯蔵する容器がカーボン
スチール製の場合には、o,p’−ビス(フェノキシカ
ルボキシル)ビフェニルの生成量が多くなる場合があ
る。
【0031】ステンレスとは、ステンレス鋼便覧第13
〜21頁(日刊工業新聞社発行、第5版)に定義、分類
されるような通常クロムを10〜30重量%含む、マル
テンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、フェ
ライト・オーステナイト系等のステンレス鋼や、上記ス
テンレス鋼便覧547頁の表に示されるようなFe基超
合金等が挙げられる。具体例としては、SUS201、
SUS202、SUS304、SUS304L、SUS
316、SUS316L、SUS347、SUS40
5、SUS430、SUS403、SUS410、SU
S431、SUS440C、SUS630、インコロイ
800、インコロイ801、インコロイ802、インコ
ロイ807、インコロイ901、LCN155、W54
5、V57、W545、D979、CG27、S590
等が挙げられる。好ましい具体例としてはSUS30
4、SUS304L、SUS316、SUS316L等
が挙げられ、特に好ましくはSUS304が挙げられ
る。
【0032】該ステンレス製の容器の内壁面の接液部
は、フェノールで洗浄処理を施されたものであることが
好ましい。フェノールで洗浄処理を施されたステンレス
製の容器を用いた場合、特にo,p’−ビス(フェノキ
シカルボキシル)ビフェニルの生成量を少なくすること
ができる。この理由については明らかではないが、ステ
ンレス表面の吸着酸素をフェノールで除去することによ
り、o,p’−ビス(フェノキシカルボキシル)ビフェ
ニルの生成を妨げているものと推定される。
【0033】また、貯蔵は窒素雰囲気下とすることが好
ましく、貯蔵容器に空気が混入するとo,p’−ビス
(フェノキシカルボキシル)ビフェニルの生成量が多く
なる。貯蔵温度は80〜190℃の範囲であることが好
ましく、190℃より高い場合は、o,p’−ビス(フ
ェノキシカルボキシル)ビフェニルの生成量が多くなり
やすい。80℃より低い場合は、ジアリールカーボネー
トの種類によっては固化してしまうので好ましくない。
より好ましい貯蔵温度範囲は、85〜160℃であり、
更に好ましくは90〜140℃である。
【0034】本発明において芳香族ポリカーボネートを
製造する際、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカ
ーボネートとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳
香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種
類や、重合温度その他の重合条件によって異なるが、ジ
アリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モ
ルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.
95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モ
ルの割合で用いられる。本発明の方法で得られる芳香族
ポリカーボネートの数平均分子量は、通常5000〜1
00000の範囲であり、好ましくは5000〜300
00の範囲である。
【0035】本発明の芳香族ポリカーボネートの製造法
は、上記のような芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリー
ルカーボネートとから、触媒の存在もしくは不存在下
で、減圧下および/または不活性ガスフロー下で加熱し
ながら溶融状態でエステル交換反応にて重縮合する方法
であり、その重合器には特に制限はない。例えば、攪拌
槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面
更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式
反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、
ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付
き多孔板型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み
合わせた重合器が用いられる。重合は、バッチ方式、連
続方式のいずれも可能である。また、重合後、芳香族ポ
リカーボネートが溶融状態にある間に安定剤、添加剤等
を添加するための装置として、押出機やポリマーミキサ
ー等を重合器と組み合わせて用いることも好ましい方法
である。これらの重合器の材質について特に制限はな
く、通常ステンレススチールやニッケル、グラスライニ
ング等から選ばれる。
【0036】本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合
物とジアリールカーボネートとを反応させて芳香族ポリ
カーボネートを製造するに当たり、反応の温度は、通常
50〜350℃、好ましくは100〜300℃の温度の
範囲から選ばれる。反応の進行にともなって、芳香族モ
ノヒドロキシ化合物が生成してくるが、これを反応系外
へ除去することによって反応速度が高められる。従っ
て、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化
水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを
導入して、生成してくる該芳香族モノヒドロキシ化合物
をこれらのガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に
反応を行う方法などが好ましく用いられる。好ましい反
応圧力は、分子量によっても異なり、重合初期には10
mmHg〜常圧の範囲が好ましく、重合後期には、20
mmHg以下、特に10mmHg以下が好ましく、2m
mHg以下とすることが更に好ましい。
【0037】溶融重縮合反応は、触媒を加えずに実施す
ることができるが、重合速度を高めるため、必要に応じ
て触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分
野で用いられているものであれば特に制限はないが、水
酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の水酸化物類;水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホ
ウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素の水素化物
のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモ
ニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素
化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金
属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエ
トキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属のアルコキシド類;
【0038】リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノ
キシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−O
Li、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)など
のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアリーロキシ
ド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリ
ウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の有機
酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの
亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウ
ム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリ
フェニル、(R12 3 4 )NB(R12 3
4 )で表されるアンモニウムボレート類、(R12
3 4 )PB(R12 3 4 )で表されるホスホニ
ウムボレート類(R1 、R2 、R3 、R4 は前記化1の
説明通りである。)などのホウ素の化合物類;
【0039】酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラア
ルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エ
チル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲ
ルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキ
シド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの
化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアル
キルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリ
ブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と
結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合
物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び
有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の
化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム
塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸
化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合
物類;
【0040】酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マン
ガンなどのマンガンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸
化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリ
ーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジル
コニウムの化合物類などの触媒を挙げることができる。
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても
良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、
これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化
合物100重量部に対して、通常10-8〜1重量部、好
ましくは10-7〜10-1重量部の範囲で選ばれる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態により
本発明をさらに詳細に説明する。 ・水分:カールフィッシャー法により分析した。 ・銅含量:ICP(高周波誘導結合型プラズマ発光分析
計;セイコー電子工業(株)製JY38PII)を用いて
分析した。 ・o,p’−ビス(フェノキシカルボキシル)ビフェニ
ル含量:ガスクロマトグラフ法により分析した。
【0042】・着色:試料1gを塩化メチレン7mlに
溶かした溶液を光路長1cmのセルに入れ、分光光度計
により400nmの吸光度を測定し、着色の指標とし
た。 ・高温での着色のしやすさ:芳香族ポリカーボネートを
窒素雰囲気下380℃で30分間加熱し、加熱による上
記400nmの吸光度の増大量で評価した。 ・数平均分子量(Mn):テトラヒドロフランを溶媒と
して用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC){カラム:TSK−GEL、東ソー(株)
製}法で測定し、標準単分散ポリスチレンを用いて得た
下式による換算分子量較正曲線を用いて求めた。
【0043】MPC=0.3591MPS 1.0388 (式中、MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPS
はポリスチレンの分子量を示す。) ・高温での分子量低下のしやすさ:芳香族ポリカーボネ
ートを窒素雰囲気下380℃で30分間加熱し、加熱に
よる数平均分子量の減少量で評価した。
【0044】
【実施例1】ジフェニルカーボネートをジメチルカーボ
ネートとフェノールからジフェノキシ銅を触媒として製
造した後、圧力1596Pa、蒸留段数5、還流比3.
0の条件で、塔頂から2段目の気相でサイドカットして
蒸留精製し、SUS304製の容器で、窒素雰囲気下、
110℃、100時間貯蔵した。貯蔵後のジフェニルカ
ーボネート中の水分含量0.1重量ppm、銅含量0.
4重量ppm、o,p’−ビス(フェノキシカルボキシ
ル)ビフェニル含量0.1重量ppmであった。該ジフ
ェニルカーボネートを用いて、図1のフロー図に示すよ
うなプロセスで芳香族ポリカーボネートを製造した。
【0045】撹拌槽型重合器3はバッチ的に運転し、貯
槽10以降は連続的に運転した。撹拌槽型重合器3(容
量200リットル)、17(容量50リットル)、26
(容量50リットル)は、いずれも攪拌翼を備えてい
る。横型二軸攪拌型重合器35(容量30リットル)
は、L/D=6で回転直径140mmの二軸の攪拌羽根
を有している。ワイヤ付多孔板型重合器42は、孔径5
mmの孔、50個有する多孔板43を備えており、孔の
中心から鉛直に1mm径のSUS316L製ワイヤ44
を重合器下部の液溜まで垂らしてあり、落下する高さは
8mである。
【0046】撹拌槽型第1重合器3は、反応温度180
℃、反応圧力常圧、シール窒素ガス流量1リットル/h
rの条件である。撹拌槽型第1重合器3に、充分に脱気
したビスフェノールAと上記ジフェニルカーボネート
(対ビスフェノールAモル比1.10)とを80kg
と、水酸化ナトリウム7mgを仕込み5hr溶融混合
し、溶融した数平均分子量350の溶融ポリマーを全量
圧送により、移送配管7から貯槽10に移送した。
【0047】貯槽10は、常圧、180℃に保たれてい
る。貯槽10に移送された溶融ポリマーは、プランジャ
ーポンプ14により10kg/hrで連続に攪拌槽型第
2重合器17に供給した。攪拌槽型第1重合器3では、
貯槽10の溶融ポリマーがなくなる前に上記と同様の方
法で、数平均分子量350の溶融ポリマーを製造し、再
び貯槽10に移送する。この後、同様にして撹拌槽型第
1重合器3でバッチ的に数平均分子量350の溶融ポリ
マーを製造し、貯槽10に供給し続けた。攪拌槽型第2
重合器17は、反応温度235℃、反応圧力100mm
Hgの条件であり、溶融ポリマーの液容量が20リット
ルに達したら、液容量20リットルを一定に保つように
攪拌槽型第3重合器26に数平均分子量850の溶融ポ
リマーをギアポンプにより連続に供給した。
【0048】攪拌槽型第3重合器26は、反応温度24
5℃、反応圧力6mmHgの条件であり、溶融ポリマー
の液容量が20リットルに達したら、液容量20リット
ルを一定に保つように横型二軸攪拌型重合器35に数平
均分子量2300の溶融ポリマーをギアポンプにより連
続に供給した。横型二軸攪拌型重合器35では、反応温
度270℃、反応圧力67Paの条件であり、溶融ポリ
マーの液容量が10リットルに達したら、液容量10リ
ットルを一定に保つようにワイヤ付多孔板型重合器42
に数平均分子量6100の溶融ポリマーをギアポンプに
より供給した。
【0049】ワイヤ付多孔板型重合器42では、反応温
度260℃、反応圧力53Paの条件であり、重合器下
部の溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、
液容量20リットルを保つように、移送配管50を経て
抜き出し口51より数平均分子量10000、400n
mの吸光度0.0027のカラー良好な芳香族ポリカー
ボネートを抜き出した。得られた芳香族ポリカーボネー
トを窒素雰囲気下380℃で30分間加熱した後の吸光
度の増大量は0.0005、数平均分子量の低下量は3
00であり、高温でも着色しにくく、分子量低下も起こ
しにくかった。
【0050】
【実施例2】貯蔵条件を145℃、300時間とする他
は実施例1と同様に製造、精製、貯蔵した水分含量0.
1重量ppm、銅含量0.4重量ppm、o,p’−ビ
ス(フェノキシカルボキシル)ビフェニル含量0.3重
量ppmのジフェニルカーボネートを用いて、実施例1
と同様に芳香族ポリカーボネートを製造し、数平均分子
量10000、400nmの吸光度0.0029のカラ
ー良好な芳香族ポリカーボネートを得た。得られた芳香
族ポリカーボネートを窒素雰囲気下380℃で30分間
加熱した後の吸光度の増大量は0.0006、数平均分
子量の低下量は300であり、高温でも着色しにくく、
分子量低下も起こしにくかった。
【0051】
【実施例3】貯蔵条件を165℃、800時間とする他
は実施例1と同様に製造、精製、貯蔵した水分含量0.
1重量ppm、銅含量0.4重量ppm、o,p’−ビ
ス(フェノキシカルボキシル)ビフェニル含量0.5重
量ppmのジフェニルカーボネートを用いて、実施例1
と同様に芳香族ポリカーボネートを製造し、数平均分子
量10000、400nmの吸光度0.0035のカラ
ー良好な芳香族ポリカーボネートを得た。得られた芳香
族ポリカーボネートを窒素雰囲気下380℃で30分間
加熱した後の吸光度の増大量は0.0008、数平均分
子量の低下量は500であり、高温でも着色しにくく、
分子量低下も起こしにくかった。
【0052】
【実施例4】内壁面をフェノール洗浄処理したSUS3
04製の容器に貯蔵する他は実施例3と同様に製造、精
製、貯蔵した水分含量0.1重量ppm、銅含量0.4
重量ppm、o,p’−ビス(フェノキシカルボキシ
ル)ビフェニル含量0.2重量ppmのジフェニルカー
ボネートを用いて、実施例1と同様に芳香族ポリカーボ
ネートを製造し、数平均分子量10000、400nm
の吸光度0.0028のカラー良好な芳香族ポリカーボ
ネートを得た。得られた芳香族ポリカーボネートを窒素
雰囲気下380℃で30分間加熱した後の吸光度の増大
量は0.0005、数平均分子量の低下量は300であ
り、高温でも着色しにくく、分子量低下も起こしにくか
った。
【0053】
【実施例5】蒸留段数を3、還流比を0.8とする他は
実施例1と同様に製造、精製、貯蔵した水分含量20重
量ppm、銅含量0.7重量ppm、o,p’−ビス
(フェノキシカルボキシル)ビフェニル含量0.1重量
ppmのジフェニルカーボネートを用いて、実施例1と
同様に芳香族ポリカーボネートを製造し、数平均分子量
10000、400nmの吸光度0.0033のカラー
良好な芳香族ポリカーボネートを得た。得られた芳香族
ポリカーボネートを窒素雰囲気下380℃で30分間加
熱した後の吸光度の増大量は0.0009、数平均分子
量の低下量は700であり、高温でも着色しにくく、分
子量低下も起こしにくかった。
【0054】
【実施例6】蒸留段数を3、還流比を0.1とする他は
実施例1と同様に製造、精製、貯蔵した水分含量150
重量ppm、銅含量0.9重量ppm、o,p’−ビス
(フェノキシカルボキシル)ビフェニル含量0.1重量
ppmのジフェニルカーボネートを用いて、実施例1と
同様に芳香族ポリカーボネートを製造し、数平均分子量
10000、400nmの吸光度0.0038のカラー
良好な芳香族ポリカーボネートを得た。得られた芳香族
ポリカーボネートを窒素雰囲気下380℃で30分間加
熱した後の吸光度の増大量は0.0013、数平均分子
量の低下量は900であり、高温でも着色しにくく、分
子量低下も起こしにくかった。
【0055】
【実施例7】酸素0.5容量%、窒素99.5容量%の
雰囲気下で貯蔵する他は、実施例1と同様に製造、精
製、貯蔵した水分含量0.1重量ppm、銅含量0.4
重量ppm、o,p’−ビス(フェノキシカルボキシ
ル)ビフェニル含量0.9重量ppmのジフェニルカー
ボネートを用いて、実施例1と同様に芳香族ポリカーボ
ネートを製造し、数平均分子量10000、400nm
の吸光度0.004のわずかに着色した芳香族ポリカー
ボネートを得た。得られた芳香族ポリカーボネートを窒
素雰囲気下380℃で30分間加熱した後の吸光度の増
大量は0.002、数平均分子量の低下量は900であ
り、高温で着色しにくく、分子量低下も起こしにくかっ
た。
【0056】
【比較例1】蒸留精製しない他は実施例1と同様に製
造、貯蔵した水分250重量ppm、銅含量1.5重量
ppm、o,p’−ビス(フェノキシカルボキシル)ビ
フェニル含量0.1重量ppmのジフェニルカーボネー
トを用いて、実施例1と同様に芳香族ポリカーボネート
を製造し、数平均分子量10000、400nmの吸光
度0.0049の着色した芳香族ポリカーボネートを得
た。得られた芳香族ポリカーボネートを窒素雰囲気下3
80℃で30分間加熱した後の吸光度の増大量は0.0
037、数平均分子量の低下量は1500であり、高温
で着色しやすく、分子量低下も大きかった。
【0057】
【比較例2】酸素2容量%、窒素98容量%の雰囲気下
で貯蔵する他は、実施例1と同様に製造、精製、貯蔵し
た水分含量0.1重量ppm、銅含量0.4重量pp
m、o,p’−ビス(フェノキシカルボキシル)ビフェ
ニル含量1.2重量ppmのジフェニルカーボネートを
用いて、実施例1と同様に芳香族ポリカーボネートを製
造し、数平均分子量10000、400nmの吸光度
0.0059の着色した芳香族ポリカーボネートを得
た。得られた芳香族ポリカーボネートを窒素雰囲気下3
80℃で30分間加熱した後の吸光度の増大量は0.0
044、数平均分子量の低下量は1400であり、高温
で着色し易く、分子量低下も大きかった。
【0058】
【発明の効果】本発明により、カラーが良好で、かつ3
80℃以上の高温でも着色が少なく、分子量低下も小さ
い高品質な芳香族ポリカーボネートを工業的に好ましい
方法で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の芳香族ポリカーボネートの製造プロセ
スの一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1:原料供給口 2、9、19、28、36、46:ベント口 3:攪拌槽型第1重合器 4、18、27、39:攪拌軸 5、11、20、29、47:溶融ポリマー 6、12、21、30、37、48:排出口 7、13、15、24、33、40、50:移送配管 8、16、25、34、41:供給口 10:貯槽 14、23、32、38、49:移送ポンプ 17:攪拌槽型第2重合器 22、31、45:ガス供給口 26:攪拌槽型第3重合器 35:横型二軸攪拌型重合器 42:ワイヤ付多孔板型重合器 43:多孔板 44:ワイヤ 51:製品排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA09 AB04 AB07 AC01 BB12A BB12C BB13A BE05A BG08Y BH01 BH02 DA10 DB07 DB10 DB11 DB13 HA01 HC05A HC05B KA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリール
    カーボネートとから、溶融状態で重合する芳香族ポリカ
    ーボネートの製造法において、該ジアリールカーボネー
    トが、(a)水分含量が200重量ppm以下であり、
    (b)銅含量が1重量ppm以下であり、(c)o,
    p’−ビス(フェノキシカルボキシル)ビフェニル含量
    が3重量ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリ
    カーボネートの製造法。
  2. 【請求項2】 ジアリールカーボネートが、(a)水分
    含量が200重量ppm以下であり、(b)銅含量が1
    重量ppm以下であるジアリールカーボネートを、ステ
    ンレス製の容器で窒素雰囲気下に80〜190℃の温度
    で溶融状態で貯蔵されたジアリールカーボネートである
    ことを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネー
    トの製造法。
  3. 【請求項3】 ステンレス製の容器が、内壁面の接液部
    がフェノールで洗浄処理を施された容器であることを特
    徴とする請求項2記載の芳香族ポリカーボネートの製造
    法。
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