JP5072054B2 - 芳香族ポリカーボネートの連続製造法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの連続製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いられている。特に最近は、光ディスクの基板材料としての用途を急速に拡大しつつある。この芳香族ポリカーボネートの製造方法については、従来種々の重合法の研究が行われている。その中で、有機溶媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという。)のアルカリ水溶液とホスゲンを反応させる界面重縮合法は公知である。この方法で用いる有機溶媒はハロゲン系有機溶媒であり、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどが用いられるが、特に塩化メチレンが主に用いられる。
【0003】
しかしながら、この方法では得られるポリマーから該有機溶媒を完全に除去することが難しく、残留する有機溶媒由来のハロゲンによる金型腐食や着色などが起こり、後の用途に好ましくない影響を与える。特に光ディスクの基板として芳香族ポリカーボネートを用いる場合には、残留するハロゲンは記録膜を腐食しエラーの原因になるという点で致命的な問題となる。
その為、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、芳香族ポリカーボネートを製造する方法が研究されている。例えば、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生するフェノールを抜き出しながら重合する溶融重縮合法が公知である。しかしながら、溶融重縮合法は、界面重縮合法と異なり、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、着色のない良好なカラーのポリマーを得ることが難しい上に、溶融ポリマーの粘度が高いため、重合後のポリマーから異物、特に光学的な微小異物を除去することが困難であるという問題があった。この様な光学的な微小異物は、光学用途、特に光ディスク等に使用する際、エラーの原因となるため好ましくない。その為、多くの提案がなされている。
【0004】
ポリカーボネートの着色に関しては、溶融ポリマーが接する反応容器の材質や反応雰囲気と密接に関係していることが知られており、特に反応容器としてステンレススチール製のリアクターを用いた場合、着色が免れ得ないことが指摘されていた。これを改良するために、例えば、米国特許第4383092号明細書には、この着色を防止するために、リアクターの材質としてタンタル、ニッケル、またはクロムを用いることが提案されている。また、特開平4−72327号公報、特開平4−88017号公報では、各々クロムまたはニッケルを85重量%以上含むリアクター材質、及び鉄が20重量%以下のリアクター材質が提案されている。
【0005】
これらの材質は、確かにポリカーボネートの着色を改善するものの、ステンレススチールに比べて入手しにくかったり、施工しにくい等の問題を有している。この様な問題を低減するため、特開平6−345860号公報では、反応液と接触する材質として前重合工程では鉄含量20重量%以下、後重合工程では鉄含量20重量%超の材質を用いる方法が開示されている。該公報の方法により、鉄含量20重量%以下の材質の使用量は相対的に低下するものの、未だ前重合工程に鉄含量20重量%以下の材質を用いている為、前述の問題は完全には改善されていない。
【0006】
また、リアクター材質としてステンレススチールを用いる方法も提案されている。例えば、特開平4−7328号公報では、ステンレススチールをバフ仕上げする方法が、特開平4−7329号公報では酸洗する方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では、原料溶解槽を予め加熱しておいた場合には、ポリカーボネートの着色や微小異物の生成を充分に防止することはできていなかった。工業的には加熱された溶解槽や反応槽に原料を移送することが一般に行われており、これら方法では十分対応できなかった。また、本発明者は、特開平6−56984号公報において芳香族ヒドロキシ化合物を含有する液で洗浄処理したステンレススチール製のリアクターを用いる方法を提案した。このようなリアクターにより製品着色の少ない芳香族ポリカーボネートを製造することが可能となったが、20μm以下の大きさの微小異物の低減に関しては未だ不完全であった。すなわち、反応容器の材質だけでは、溶融重縮合法での着色と微小異物の両方を低減するという課題は解決されていないのが現状である。
【0007】
また、反応雰囲気面からポリカーボネートの着色を防止する方法としては、特開平7−26010号公報において、エステル交換反応の雰囲気を酸素濃度を2ppm以下にする方法も提案されている。しかしながら、該公報では反応容器としてニッケル製反応器(即ち鉄含量20重量%以下の材質からなる)を使用しており、該原料溶解混合槽を115〜220℃に加熱してポリカーボネートを連続的に製造した場合、十分な色相や微小異物の改良は見られなかった。また、特開平6−32887号公報では粉末状の芳香族ジヒドロキシ化合物と溶融した炭酸ジエステルを酸素の実質的不存在下に溶融混合する方法が提案されているが、この方法を用いて、予め115〜220℃に加熱された鉄含量20重量%以下の材質からなる原料溶解混合槽によってポリカーボネートを連続的に製造した場合、十分な色相や微小異物の改良は見られなかった。
【0008】
一方、溶融重縮合法で異物の少ない芳香族ポリカーボネートを製造するための方法も提案されている。例えば特開平5−239334号公報には、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを触媒の存在下に溶融重縮合させた後、反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に、添加剤を添加し混練し、場合によっては混練後ポリマーフィルターで濾過することによって異物の少ない光学用ポリカーボネートを製造できることが記載されている。しかしながら、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを溶融混合する容器の材質としてステンレススチールを用いた場合、ポリマーフィルターの目詰まりが頻繁に発生するという問題があった。また、特開2000−80159号公報には、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの溶融混合物の微小異物を除去するため、フィルター材質としてフッ素系樹脂を用いる方法が提案されている。しかしながら、フッ素樹脂系フィルターを用いた場合には、溶融混合物の温度を170℃以上に挙げられないという問題や、微量の酸性物質が溶出するためその後の重縮合に影響を与える等の問題があった。
【0009】
すなわち、原料溶解混合槽の材質としてステンレススチールを用いた場合にポリカーボネートの着色や微小異物を低減する方法が未だないのが現状であり、その出現が求められていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶融重縮合法により芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートと混合する溶融混合槽の材質として、特殊な材質を用いることなく汎用のステンレススチールを用いても、着色が少なく、微小異物も少ない高品質の芳香族ポリカーボネートを製造する方法を提供する事を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、芳香族ポリカーボネートの工業的な連続製造法における上記課題を解決するために、溶融混合槽の材質としてステンレススチールを用いた場合の着色と微小異物の生成挙動について鋭意検討を進めた。その結果、着色と微小異物が、予め加熱されたステンレス製溶融混合槽に芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートを投入することで発生し、該発生は予め該溶解混合槽を窒素置換しておいても防止することができないことが明らかになった。
【0012】
本発明者はこの原因を詳細に調べたところ、粉体状の芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートが保持している酸素と予め加熱されている溶融混合槽のステンレス表面とが着色や微小異物の生成に深く関わっていること、そして該微小異物がその後の溶融重縮合過程で成長してより大きな微小異物となり得られたポリカーボネートの品質低下やポリマーフィルターの寿命を低下させているという驚くべき事実を見い出し、本発明に到達した。
【0013】
すなわち、本発明は、
(1)香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、原料溶解混合槽及び1基以上の重合器を用い溶融状態で重合して芳香族ポリカーボネートを連続製造するに際し、(a)原料溶解混合槽及び重合器の接液部が鉄含量20%以上の材質からなり、(b)不活性ガスを用いて真空置換した粉体状芳香族ジヒドロキシ化合物と、ジアリールカーボネート製造工程から溶融状態のまま配管で移送されたジアリールカーボネートを140〜220℃に加熱された原料溶解混合槽に供給した後、(c)該原料溶解混合槽での芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートのエステル交換反応の反応率を5〜95%の範囲で調整した後に、(d)該溶融混合物を鉄含有量20%以上の材質からなる絶対濾過精度1μm以下のフィルターで濾過した後に重合することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの連続製造法、
)フィルターの絶対濾過精度が0.5μm以下である上記(1)に記載の芳香族ポリカーボネートの連続製造法、
)フィルターの材質がステンレス鋼である上記(1)または(2)に記載の芳香族ポリカーボネートの連続製造法
を提供するものである。
(4)前記1基以上の重合器が、ワイヤ付多孔板型重合器を含む単独もしくは組み合わせた重合器であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
【0014】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、HO−Ar−OHで示される化合物である(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)。
芳香族基Arは、好ましくは例えば、−Ar1−Y−Ar2−で示される2価の芳香族基である(式中、Ar1及びAr2は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)。
2価の芳香族基Ar1、Ar2において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
【0015】
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。
2価の芳香族基Ar1、Ar2は、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1で示される有機基である。
【0016】
【化1】
Figure 0005072054
【0017】
(式中、R1、R2、R3、R4は、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、R5およびR6は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6において、一つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化2で示されるものが挙げられる。
【0018】
【化2】
Figure 0005072054
【0019】
(式中、R7、R8は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合には各R8はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar1−Z−Ar2−で示されるものであっても良い。
(式中、Ar1、Ar2は前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−SO−、−COO−、−CON(R1)−などの2価の基を表す。ただし、R1は前述のとおりである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化3で示されるものが挙げられる。
【0020】
【化3】
Figure 0005072054
【0021】
(式中、R7、R8、mおよびnは、前述のとおりである。)
さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換または非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。
本発明で用いられるジアリールカーボネートは、下記化4で表される。
【0022】
【化4】
Figure 0005072054
【0023】
(式中、Ar3、Ar4はそれぞれ1価の芳香族基を表す。)
Ar3及びAr4は、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr3、Ar4において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。Ar3とAr4は同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
【0024】
1価の芳香族基Ar3及びAr4の代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr3及びAr4としては、それぞれ例えば、下記化5などが挙げられる。
【0025】
【化5】
Figure 0005072054
【0026】
ジアリールカーボネートの代表的な例としては、下記化6で示される置換または非置換のジフェニルカーボネート類を挙げる事ができる。
【0027】
【化6】
Figure 0005072054
【0028】
(式中、R9及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各R9はそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。)
このジフェニルカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジアリールカーボネートである非置換のジフェニルカーボネートが好適である。
【0029】
これらのジアリールカーボネート類は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。
【0030】
本発明の方法で得られる芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は、通常5000〜100000の範囲であり、好ましくは5000〜30000の範囲である。
本発明の芳香族ポリカーボネートの製法は、上記のような芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、原料溶解混合槽及び1基以上の重合器を用いて、触媒の存在もしくは不存在下で、減圧下および/または不活性ガスフロー下で加熱しながら溶融状態でエステル交換反応にて重縮合する連続製造方法である。その際、(a)原料溶解混合槽及び重合器の接液部が鉄含量20%以上の材質からなり、(b)芳香族ジヒドロキシ化合物およびジアリールカーボネートとして不活性ガスを用いて真空置換された芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートを115〜220℃に加熱された原料溶解混合槽槽に移送後、(c)該原料溶解混合槽での反応率を5〜95%の範囲で調整した後に、(d)該溶融混合物を鉄含有量20%以上の材質からなる絶対濾過精度1μm以下のフィルターで濾過した後、重合することを特徴としている。
【0031】
原料溶解混合槽としては、原料を溶解混合できるものであれば特にその形式は限定されないが、例えば攪拌槽型反応器が好ましく用いられる。重合器として例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせた重合器が用いられる。
【0032】
これら原料溶解混合槽及び重合器の材質は、少なくとも接液部の材質が鉄含量20重量%以上の材質であり、ステンレス鋼便覧13〜21頁(日刊工業新聞社発行、第5版)に定義、分類されるような通常クロムを10〜30重量%含む、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、フェライト・オーステナイト系等のステンレス鋼や、該便覧547頁の表に示されるようなFe基超合金等があげられる。具体例としては、SUS201、SUS202、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L、SUS347、SUS405、SUS430、SUS403、SUS410、SUS431、SUS440C、SUS630、インコロイ800、インコロイ801、インコロイ802、インコロイ807、インコロイ901、LCN155、W545、V57、W545、D979、CG27、S590等があげられる。好ましい具体例としてはSUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等があげられ、特に好ましくはSUS316Lがあげられる。これら鉄含量20重量%以上の材質は1種類を用いても構わないが、いくつかを組み合わせて用いても良い。
【0033】
本発明の製造方法は、原料溶解混合槽及び1基以上の重合器を組み合わせた連続製造方法であるが、原料溶解混合槽を複数個用いてバッチ式で溶解し、切り替えながら連続的に製造する方法も可能である。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートは、計量後、予め加温された原料溶解混合槽に移送されるが、芳香族ジヒドロキシ化合物およびジアリールカーボネートとして粉体状のものを使用する際には、予め不活性ガスを用いて真空置換しておくことが必要である。不活性ガスとしては窒素、アルゴン、炭酸ガス等が使用できるが、窒素が容易に入手でき好ましい。不活性ガスによる真空置換回数は、特に限定されないが、芳香族ジヒドロキシ化合物およびジアリールカーボネートを保有する容器を真空にした後不活性ガスを投入する操作を一般に1〜10回程度繰り返して実施される。好ましくは2〜5回である。また、芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネートのどちらか一方を、もしくは両方を酸素が除去された溶融状態で原料溶解混合槽に移送する方法も好ましい。特に芳香族ジヒドロキシ化合物もしくはジアリールカーボネートの製造工場が隣接する場合、配管等で接続して直接原料溶解混合槽に移送することが好ましい。
【0034】
これらの中で、ジアリールカーボネートを溶融状態で、粉体状芳香族ジヒドロキシ化合物を不活性ガスで真空置換した後原料溶解混合槽に移送する方法が、より低温で溶解でき好ましい。また、本工程で触媒を添加してもよい。不活性ガス置換が未実施の場合や、不活性ガス置換が不十分な場合、粉体から微量の酸素が持ち込まれ、リアクター表面の材質との相互作用によって微小異物が多く発生したり着色が増大して好ましくない。原料溶解混合槽での微小異物の増大は後工程のフィルターの寿命を大幅に低下させるため好ましくない。
【0035】
原料溶解槽の温度は115〜220℃であるが、好ましくは120〜200℃、さらに好ましくは140〜190℃の範囲にある。該温度は原料移送から排出まで一定温度に調節してもよいし、原料移送時に低温にしておき、その後昇温してもよい。工業的な連続製造を実施する場合には、特に一定温度に保持することが好ましい。上記温度より低い場合には溶解に時間がかかると共に反応率の上昇が少なく好ましくない。上記温度より高い場合には着色と微小異物が増大し好ましくない。また、原料溶解混合槽での微小異物の増大は後工程のフィルターの寿命を大幅に低下させるため好ましくない。
【0036】
該原料溶解混合槽では、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとを単に溶解混合するだけでなく、エステル交換反応させることが必要である。反応率としては5〜95%の範囲で調整し、好ましくは30〜92%、特に好ましくは50〜90%の範囲で調整した後、後工程、すなわち貯槽や第1重合器に移送する。反応率が上記範囲より低い場合には、未反応の芳香族ジヒドロキシ化合物やジアリールカーボネートが後重合工程で飛散しやすくなり、末端基比率や分子量のコントロールが難しくなり好ましくない。上記範囲より高い場合には、粘度が高くなるため、原料溶解混合槽からの抜き出しが難しくなり好ましくない。また、後工程でのフィルターの圧損が大きくなるためフィルターの寿命が低下して好ましくない。また、反応の進行にともなって、芳香族モノヒドロキシ化合物が生成してくるが、本原料溶解混合槽では積極的に除去しない方が好ましい。その場合、原料溶解混合槽での反応率が飽和するので、反応率の調節が容易となり好ましい。
【0037】
本発明において、溶解混合された原料は、後工程に移送されて連続的に芳香族ポリカーボネートに重合される前に鉄含有量20%以上の材質からなる絶対濾過精度1μm以下のフィルターで濾過することが必要である。フィルターは、一般的に補集機構上、フィルター内の開孔部に粒子などの固形分を接触付着して補集するデプスタイプとフィルター表面でのふるい分けにより固形分を補集するスクリーンタイプに分類される。一般に、フッ素系樹脂メンブレンフィルターに代表されるスクリーンタイプのフィルターは補修面が表面しかないため寿命が短い欠点があり、本発明においては焼結フィルターやリーフフィルター、キャンドルタイプ等のデプスタイプが好ましく用いられる。材質としてはステンレス鋼が好ましい。
【0038】
本発明で用いられるフィルターの濾過精度(孔径)は、原料溶解混合槽で生成した微小異物がその後の重合工程で大きな異物に成長して最終製品の品質を低下したり、重合後の最終フィルターの寿命を低下させたりする影響するので、1.0μm以下であることが必要である。特に、濾過精度0.5μm以下、好ましくは特に0.2μm以下のフィルターを用いることが望ましい。
本発明において、重合温度は、通常100〜350℃、好ましくは150〜290℃の温度の範囲で選ばれる。反応の進行にともなって、芳香族モノヒドロキシ化合物が生成してくるが、これを反応系外へ除去する事によって反応速度が高められる。従って、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを導入して、生成してくる該芳香族モノヒドロキシ化合物をこれらのガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に反応を行う方法などが好ましく用いられる。好ましい反応圧力は、分子量によっても異なり、重合初期には10mmHg〜常圧の範囲が好ましく、重合後期には、20mmHg以下、特に10mmHg以下が好ましく、2mmHg以下とすることが更に好ましい。
【0039】
溶融重縮合反応は、触媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R1234)NB(R1234)で表されるアンモニウムボレート類、(R1234)PB(R1234)で表されるホスホニウムボレート類(R1、R2、R3、R4は前記化1の説明通りである。)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウム化合物類などの触媒を挙げる事ができる。
【0040】
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して、通常10-8〜1重量部、好ましくは10-7〜10-1重量部の範囲で選ばれる。
本発明において、原料溶融混合物や重合途中または重合終了後の溶融ポリマーを移送する配管の接液部の材質は特に限定されないが、重合器と同様に、入手の容易さ、施工の容易さから鉄含量20重量%以上である事が好ましい。
【0041】
本発明の原料溶解混合槽、重合器、配管、ポンプ等の接液部は、使用前にAr4OHで示される芳香族モノヒドロキシ化合物を含有する液で洗浄処理されていることが好ましい(式中、Ar4は、前記Ar2、Ar3と同じである。)。
好ましいAr4の具体例としては、前記化5等が挙げられる。特に最も簡単な構造であるフェノールが好適である。芳香族モノヒドロキシ化合物を含有する液とは、芳香族モノヒドロキシ化合物を重量で10ppm〜100%、好ましくは100ppm〜100%、更に好ましくは1000ppm〜100%含有する液である。配管を洗浄する温度に特に制限はないが、通常20〜300℃、好ましくは100〜250℃である。また、配管を洗浄する時間にも特に制限はないが、通常数分〜数100時間、好ましくは1〜100時間の範囲である。洗浄処理する圧力は減圧、常圧、加圧のいずれも可能である。洗浄処理はバッチ方式、連続方式のいずれでも実施できる。このような洗浄処理が、配管の接液部だけでなく重合器の接液部にも施されることは、特に好ましい方法である。
【0042】
本発明において、得られた芳香族ポリカーボネートの異物を低減させるためのフィルターは必ずしも必要ではないが、設置しても構わない。特に好ましいのは数平均分子量があまり高まっていない状態の溶融ポリマー中の異物をフィルターによって除去する方法である。製造された数平均分子量の高い芳香族ポリカーボネート中の異物をポリマーフィルター等によって除去しても構わないが、押出機の負荷を高めない範囲で実施することが好ましい。本発明の方法によれば異物の発生量を低減させることができるので、フィルターの寿命を伸ばしたり押出機の負荷を高めたりさせない事が可能である。また、重合後、芳香族ポリカーボネートが溶融状態にある間に安定剤、添加剤等を添加するための装置として、押出機やポリマーミキサー等を重合器と組み合わせて用いることも好ましい方法である。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(以下、Mnと略す。)である。カラーは、CIELAB法により試験片厚み3.2mmで測定し、黄色度をb*値で示した。0.2μmから20μmの範囲の微小異物の量は、ハイアックロイコ社製の異物測定器により測定した。芳香族ポリカーボネートプレポリマー中の芳香族ジヒドロキシ化合物の反応率は、該プレポリマー中の芳香族ジヒドロキシ化合物濃度を、高速液体クロマトグラフィーにより測定することによって求めた。
【0044】
参考例1]
図1に示すようなプロセスで、芳香族ポリカーボネートを製造した。原料溶解混合槽3a、3bはバッチ的に交互に運転し、貯槽10以降は連続的に運転した。原料溶解混合槽3a、3b及び撹拌槽型重合器17、26は、いずれも攪拌翼を備えており、接液部の材質はSUS316Lである。貯槽10の接液部の材質もSUS316Lである。フィルター52は絶対濾過精度が0.2μmのSUS316製フィルター(富士フィルター製ラインフィルター60mmφ×260mm、濾過面積0.12m2)である。横型二軸攪拌型重合器35は、L/D=6で回転直径140mmの二軸の攪拌羽根を有しており、接液部の材質はSUS316Lである。ワイヤ付多孔板型重合器42は、孔径5mmの孔を50個有する多孔板43を備えており、接液部の材質はSUS316Lである。孔の中心から鉛直に1mm径のSUS316L製ワイヤ44を重合器下部の液溜まで垂らしてあり、落下する高さは8mである。各溶融混合槽及び重合器間をつなぐ移送配管7、13、15、24、33、40、50の接液部の材質はいずれもSUS316Lである。各混合槽、重合器、貯槽、フィルター及び全ての移送配管の接液部は重合に先立ちフェノールで150℃で洗浄されている。
【0045】
原料溶解混合槽3a、3bは、反応温度180℃、反応圧力常圧、シール窒素(酸素濃度0.5ppm)ガス流量1リットル/hrの条件である。原料溶解混合槽3aに、50mmHgで真空窒素置換を5回したビスフェノールA粉体とジフェニルカーボネート粉体(対ビスフェノールAモル比1.10)を80Kgと、水酸化ナトリウム7mgを仕込み5時間溶融混合し、溶融混合物を全量、移送配管7aから移送貯槽10に移送した。溶融混合物は数平均分子量が350の溶融ポリマーであり、反応率は82%であった。同様に原料溶解混合槽3bで原料を溶解混合し、貯槽10の溶融ポリマーがなくなる前に貯槽10に移送した。原料溶解混合槽3a,3bは交互に溶解混合及び移送を繰り返した。貯槽10は、常圧、180℃に保たれている。貯槽10に移送された溶融ポリマーは、10kg/hrで、180℃に保たれているフィルターを経由して連続に攪拌槽型第1重合器17に供給した。
【0046】
攪拌槽型第1重合器17は、反応温度236℃、反応圧力100mmHgの条件であり、溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つように攪拌槽型第2重合器26に数平均分子量850の溶融ポリマーを連続に供給した。攪拌槽型第2重合器26は、反応温度250℃、反応圧力6mmHgの条件であり、溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つように横型二軸攪拌型重合器35に数平均分子量2400の溶融ポリマーを連続に供給した。横型二軸攪拌型重合器35では、反応温度265℃、反応圧力1.0mmHgの条件であり、溶融ポリマーの液容量が10リットルに達したら、液容量10リットルを一定に保つようにワイヤ付多孔板型重合器42に数平均分子量4500の溶融ポリマーを供給した。ワイヤ付多孔板型重合器42では、反応温度260℃、反応圧力0.8mmHgの条件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リットルを保つように、移送配管50を経て抜き出し口51より数平均分子量7000の芳香族ポリカーボネートを抜き出した。運転開始から300時間後、ワイヤ付多孔板型重合器42から排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb*値は、2.8と良好であり、0.2μmから20μmの範囲の微小異物の量は2540個/gと少なかった。また、運転は3000時間継続したが、フィルターの目詰まりもなく数平均分子量7000±50の芳香族ポリカーボネートを安定して製造できた。
【0047】
[比較例1]
芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネートを真空窒素置換しない以外は、参考例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。300時間安定に運転できたが、300時間後にワイヤ付多孔板型重合器42から排出された芳香族ポリカーボネートの分子量が6900,カラーb*値は4.1、及び0.5μmから20μmの範囲の微小異物量は20200個/gであり、低品質のものであった。また、連続運転800時間でフィルターの目詰まりが発生した。
【0048】
[比較例2]
原料溶解混合槽の温度を113℃に変える以外は、参考例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。溶融混合物の反応率は4%であった。300時間運転を継続したが、ワイヤ付多孔板型重合器42から排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb*値は、2.8と良好であり、0.2μmから20μmの範囲の微小異物の量は3360個/gと少なかったが、数平均分子量が2500〜7700の間で変動し、安定には運転できなかった。
【0049】
[比較例3]
原料溶解混合槽の温度を235℃に変える以外は、参考例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。溶融混合物の反応率は90%であった。300時間安定に運転できたが、300時間後にワイヤ付多孔板型重合器42から排出された芳香族ポリカーボネートの分子量は7100、カラーb*値は3.5、及び0.5μmから20μmの範囲の微小異物量は18600個/gであり、低品質のものであった。また、約600時間後にフィルターの目詰まりが発生した。
【0050】
[実施例2
ジフェニルカーボネートをジフェニルカーボネート製造工程の貯槽から溶融状態のまま配管で原料溶解混合槽3a,3bに供給する以外は、参考例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。300時間後にワイヤ付多孔板型重合器42から排出された芳香族ポリカーボネートの分子量は7050,カラーb*値は2.7と良好であり、0.5μmから20μmの範囲の微小異物の量は1200個/gと少なかった。また、運転は3000時間継続したが、フィルターの目詰まりもなく安定して芳香族ポリカーボネートを製造できた。
【0051】
参考例2
ビスフェノールAをビスフェノールA製造工程から、ジフェニルカーボネートをジフェニルカーボネート製造工程の貯槽から溶融状態のまま配管で原料溶解混合槽3a,3bに供給する以外は、参考例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。300時間後にワイヤ付多孔板型重合器42から排出された芳香族ポリカーボネートの分子量は6900,カラーb*値は、2.8と良好であり、0.5μmから20μmの範囲の微小異物の量は、1250個/gと少なかった。また、運転は3000時間継続したが、フィルターの目詰まりもなく安定して芳香族ポリカーボネートを製造できた。
【0052】
参考例3
ビスフェノールAのかわりに1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを用いる他は、参考例1と全く同様にして芳香族ポリカーボネートを製造した。300時間後にワイヤ付多孔板型重合器42から排出された芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は6500,カラーb*値は3.0と良好であり、0.2μmから20μmの範囲の微小異物の量は3180個/gと少なかった。また、運転は3000時間継続したが、フィルターの目詰まりもなく安定して芳香族ポリカーボネートを製造できた。
【0053】
[比較例4]
フィルターを使用しない以外は、参考例1と同様にして芳香族ポリカーボネートを製造した。300時間後にワイヤ付多孔板型重合器42から排出された芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は7000,カラーb*値は3.0と良好であったが、0.2μmから20μmの範囲の微小異物の量は131800個/gと多かった。
【0054】
[比較例5]
フィルターとして絶対精度0.2μmのフッ素樹脂製メンブレンフィルター(日本ポール製濾過面積0.12m2)を使用する以外は参考例1と同様にして芳香族ポリカーボネートを製造した。開始後50時間までは分子量が上昇せず、不安定な運転であった。また、240時間後にはフィルターが目詰まりしたため運転を停止した。
【0055】
参考例4
原料溶解混合槽の温度を134℃に変える以外は、参考例1と全く同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。溶融混合物の反応率は48%であった。300時間運転を継続したが、ワイヤ付多孔板型重合器42から排出された芳香族ポリカーボネートのカラーb*値は、2.9と良好であり、0.2μmから20μmの範囲の微小異物の量は2700個/gと少なかった。また、運転は3000時間継続したが、数平均分子量の変動が7200±150とやや大きいものもの、フィルターの目詰まりもなく芳香族ポリカーボネートを製造できた。
【0056】
【発明の効果】
着色が少なく、微小異物も少ない高品質の芳香族ポリカーボネートを、特殊な配管材質を用いずに製造する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロセスの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1a,1b原料供給口
2a,2b、9、19、28、36、46 ベント口
3a,3b 原料溶解混合槽
4a、4b、18、27、39 攪拌軸
5a,5b、11、20、29、47 溶融ポリマー
6a.6b、12、21、30、37、48 排出口
7a,7b、13、15、24、33、40、50 移送配管
8、16、25、34、41 供給口
10 貯槽
14、23、32、38、49 移送ポンプ
17 攪拌槽型第1重合器
22、31、45 ガス供給口
26 攪拌槽型第2重合器
35 横型二軸攪拌型重合器
42 ワイヤ付多孔板型重合器
43 多孔板
44 ワイヤ
51 製品排出口
52 フィルター

Claims (4)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから、原料溶解混合槽及び1基以上の重合器を用い溶融状態で重合して芳香族ポリカーボネートを連続製造するに際し、(a)原料溶解混合槽及び重合器の接液部が鉄含量20%以上の材質からなり、(b)不活性ガスを用いて真空置換した粉体状芳香族ジヒドロキシ化合物と、ジアリールカーボネート製造工程から溶融状態のまま配管で移送されたジアリールカーボネートを140〜220℃に加熱された原料溶解混合槽に供給した後、(c)該原料溶解混合槽での芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートのエステル交換反応の反応率を5〜95%の範囲で調整した後に、(d)該溶融混合物を鉄含有量20%以上の材質からなる絶対濾過精度1μm以下のフィルターで濾過した後に重合することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの連続製造法。
  2. フィルターの絶対濾過精度が0.5μm以下である請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの連続製造法。
  3. フィルターの材質がステンレス鋼である請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネートの連続製造法。
  4. 前記1基以上の重合器が、ワイヤ付多孔板型重合器を含む単独もしくは組み合わせた重合器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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