JP2003034723A - 芳香族ポリカーボネートの安定製造法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの安定製造法

Info

Publication number
JP2003034723A
JP2003034723A JP2001222778A JP2001222778A JP2003034723A JP 2003034723 A JP2003034723 A JP 2003034723A JP 2001222778 A JP2001222778 A JP 2001222778A JP 2001222778 A JP2001222778 A JP 2001222778A JP 2003034723 A JP2003034723 A JP 2003034723A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filter
aromatic polycarbonate
aromatic
group
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001222778A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003034723A5 (ja
Inventor
Hiroshi Yatani
広志 八谷
Kyosuke Komiya
強介 小宮
Muneaki Aminaka
宗明 網中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2001222778A priority Critical patent/JP2003034723A/ja
Publication of JP2003034723A publication Critical patent/JP2003034723A/ja
Publication of JP2003034723A5 publication Critical patent/JP2003034723A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】溶融重縮合法により芳香族ポリカーボネートを
製造工程でのフィルター交換時に発生する、芳香族ポリ
カーボネートの末端基比率変動や不安定運転による製品
ロスを低減する。 【解決手段】フィルターを交換した後、再通液する前
に、該フィルターを塩基性化合物と芳香族ヒドロキシ化
合物を含有する液を用いて特定の条件下で表面処理す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルター交換時
の製造ロスが少ない芳香族ポリカーボネートの製法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱
性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプ
ラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いら
れている。特に最近は、光ディスクの基板材料としての
用途を急速に拡大しつつある。この芳香族ポリカーボネ
ートの製造方法については、従来種々の重合法の研究が
行われている。その中で、有機溶媒の存在下、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物、例えば2,2′−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAとい
う。)のアルカリ水溶液とホスゲンを反応させる界面重
縮合法は公知である。この方法で用いる有機溶媒はハロ
ゲン系有機溶媒であり、例えば塩化メチレン、クロロベ
ンゼンなどが用いられるが、特に塩化メチレンが主に用
いられる。
【0003】しかしながら、この方法では得られるポリ
マーから該有機溶媒を完全に除去することが難しく、残
留する有機溶媒由来のハロゲンによる金型腐食や着色な
どが起こり、後の用途に好ましくない影響を与える。特
に光ディスクの基板として芳香族ポリカーボネートを用
いる場合には、残留するハロゲンは記録膜を腐食しエラ
ーの原因になるという点で致命的な問題となる。その
為、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トとから、芳香族ポリカーボネートを製造する方法が研
究されている。例えば、ビスフェノールAとジフェニル
カーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生するフ
ェノールを抜き出しながら重合する溶融重縮合法が公知
である。しかしながら、溶融重縮合法は、界面重縮合法
と異なり、溶媒を使用しないなどの利点がある一方、溶
融ポリマーの粘度が高いため、重合後のポリマーから異
物、特に光学的な微小異物を除去することが困難である
という問題があった。この様な光学的な微小異物は、光
学用途、特に光ディスク等に使用する際、エラーの原因
となるため好ましくない。その為、粘度の低い原材料中
や重合初期に異物を除去する方法が提案されている。
【0004】例えば、特開平6−234845号公報に
は、最終反応器より前にフィルターを設けることを提案
している。しかしながら、該公報には、フィルターの材
質が全く記載されていない。本願発明者等は、フィルタ
ー材質としてステンレススチールを用いたの影響を詳細
に検討したが、特に連続製造途中にフィルター交換をし
た場合に、得られる芳香族ポリカーボネートの末端基比
率が大きく変動して、運転そのものが不安定になった
り、一定品質の芳香族ポリカーボネートが得られないと
いう問題点が明らかになってきた。また、特開2000
−80159号公報には、芳香族ジヒドロキシ化合物と
ジアリールカーボネートとの溶融混合物の微小異物を除
去するため、フッ素系樹脂製のフィルターを用いる方法
が提案されている。しかしながら、フッ素樹脂系フィル
ターを用いた場合には、溶融混合物の温度を170℃以
上に上げられないという問題や、ステンレス鋼製フィル
ターを同様に、連続運転中のフィルター交換直後に得ら
れる芳香族ポリカーボネートの末端基比率が大きく変動
して、運転そのものが不安定になったり、一定品質の芳
香族ポリカーボネートが得られないという問題点が明ら
かになってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融重縮合
法により芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、最
終重合器よりも前にあるフィルターを交換しても、芳香
族ポリカーボネートの末端基比率変動による不安定運転
や製品ロスのない芳香族ポリカーボネートの安定製造方
法を提供する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討を進めた結果、交換されたフ
ィルターを使用する前に、塩基性化合物と芳香族ヒドロ
キシ化合物を含有する液を用いて特定の条件下で表面処
理することによって目的を達成できるという驚くべき事
実を見出し、本発明を完成するに至った。フェノールの
ような芳香族ヒドロキシ化合物と塩基性化合物を含有す
る液が、フィルター交換直後の製造開始時に芳香族ポリ
カーボネートの末端基比率の変動を押さえ、安定的に芳
香族ポリカーボネートを製造できる事実は従来まったく
予期できなかったことである。中でも、塩基性化合物が
ポリカーボネートの末端比率を安定化させる機構につい
ては不明であるが、フィルター表面に芳香族ポリカーボ
ネートの重縮合反応に影響を及ぼす何らかの活性点存在
し、該活性点を封止しているのではないかと推定してい
る。いずれにしろ全く予期できない効果であった。
【0007】すなわち本発明は、(1)複数の反応器の
少なくとも一部が直列に連結され、かつ最終反応器より
も前に少なくとも1つのフィルターを有する設備を用い
て、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トとを反応させて芳香族ポリカーボネートを連続的に製
造する方法において、最終重合器よりも前に存在するフ
ィルターを交換した後、通液する前に、該フィルターを
塩基性化合物及び芳香族ヒドロキシ化合物を含有する液
を用いて(1)式を満足する条件で表面処理することを
特徴とする芳香族ポリカーボネートの安定製造法。 35<C×t0.5/A<10000 (1) (式中、Cは表面処理液中の塩基性化合物濃度[10-9
mol/g]、Aはフィルター濾過面積とフィルター容
器の表面積の合計[m2]、tは表面処理時間[h
r])、(2)フィルターの材質が、鉄含有量20%以
上の材質であることを特徴とする上記(1)記載の芳香
族ポリカーボネートの安定製造法、(3)フィルターの
材質が、ステンレス鋼であることを特徴とする上記
(1)もしくは(2)記載の芳香族ポリカーボネートの
安定製造法、(4)塩基性化合物がアルカリ金属化合物
であることを特徴とする上記(1)〜(3)記載の芳香
族ポリカーボネートの安定製造法、(5)芳香族ヒドロ
キシ化合物がフェノールであることを特徴とする上記
(1)〜(4)記載の芳香族ポリカーボネートの安定製
造法。(6)フィルターが、芳香族ポリカーボネートの
数平均分子量2000以下の製造工程設置されたフィル
ターであることを特徴とする上記(1)〜(5)記載の
芳香族ポリカーボネートの安定製造法を提供するもので
ある。
【0008】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、HO−
Ar−OHで示される化合物である(式中、Arは2価
の芳香族基を表す。)。芳香族基Arは、好ましくは例
えば、−Ar1−Y−Ar2−で示される2価の芳香族基
である(式中、Ar1及びAr2は、各々独立にそれぞれ
炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳
香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアル
カン基を表す。)。
【0009】2価の芳香族基Ar1、Ar2において、1
つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置
換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキ
ル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フ
ェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド
基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良
い。複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1な
いし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有
する芳香族基を挙げる事ができる。2価の芳香族基Ar
1、Ar2は、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置
換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリ
ジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおり
である。2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1で示
される有機基である。
【0010】
【化1】
【0011】(式中、R1、R2、R3、R4は、各々独立
に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10
のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキ
ル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素
数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜1
1の整数を表し、R5およびR6は、各Xについて個々に
選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6の
アルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R1、R2
3、R4、R5、R6において、一つ以上の水素原子が反
応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロ
ゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜1
0のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル
基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によ
って置換されたものであっても良い。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化2で示されるものが挙げられる。
【0012】
【化2】
【0013】(式中、R7、R8は、各々独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基またはフェニル基であって、mおよびn
は1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7はそれ
ぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4
の場合には各R8はそれぞれ同一でも異なるものであっ
てもよい。) さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar1−Z−Ar2
で示されるものであっても良い。 (式中、Ar1、Ar2は前述の通りで、Zは単結合又は
−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−SO−、−
COO−、−CON(R1)−などの2価の基を表す。
ただし、R1は前述のとおりである。) このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記
化3で示されるものが挙げられる。
【0014】
【化3】
【0015】(式中、R7、R8、mおよびnは、前述の
とおりである。) さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換ま
たは非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレ
ン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。本
発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種
類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ
化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げら
れる。本発明で用いられるジアリールカーボネートは、
下記化4で表される。
【0016】
【化4】
【0017】(式中、Ar3、Ar4はそれぞれ1価の芳
香族基を表す。) Ar3及びAr4は、1価の炭素環式又は複素環式芳香族
基を表すが、このAr 3、Ar4において、1つ以上の水
素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例え
ば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ
基、ビニル基、シアノ基、 エステル基、アミド
基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良
い。Ar3とAr4は同じものであっても良いし、異なる
ものであっても良い。
【0018】1価の芳香族基Ar3及びAr4の代表例と
しては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリ
ジル基を挙げる事ができる。これらは、上述の1種以上
の置換基で置換されたものでも良い。好ましいAr3
びAr4としては、それぞれ例えば、下記化5などが挙
げられる。
【0019】
【化5】
【0020】ジアリールカーボネートの代表的な例とし
ては、下記化6で示される置換または非置換のジフェニ
ルカーボネート類を挙げる事ができる。
【0021】
【化6】
【0022】(式中、R9及びR10は、各々独立に水素
原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜
10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜
5の整数で、pが2以上の場合には、各R9はそれぞれ
異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、
各R10は、それぞれ異なるものであっても良い。) このジフェニルカーボネート類の中でも、非置換のジフ
ェニルカーボネートや、ジトリルカーボネート、ジ−t
−ブチルフェニルカーボネートのような低級アルキル置
換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカー
ボネートが好ましいが、特にもっとも簡単な構造のジア
リールカーボネートである非置換のジフェニルカーボネ
ートが好適である。
【0023】これらのジアリールカーボネート類は単独
で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良
い。芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネー
トとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重
合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリール
カーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し
て、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜
2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割
合で用いられる。
【0024】本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合
物とジアリールカーボネートを溶融重縮合反応させて芳
香族ポリカーボネートを製造することができる。本発明
の方法で得られる芳香族ポリカーボネートの数平均分子
量は、通常5000〜100000の範囲であり、好ま
しくは5000〜30000の範囲である。溶融重縮合
を実施する温度は、通常50〜350℃、好ましくは1
50〜290℃の温度の範囲で選ばれる。反応の進行に
ともなって、芳香族モノヒドロキシ化合物が生成してく
るが、これを反応系外へ除去する事によって反応速度が
高められる。従って、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸
化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさな
い不活性なガスを導入して、生成してくる該芳香族モノ
ヒドロキシ化合物をこれらのガスに同伴させて除去する
方法や、減圧下に反応を行う方法などが好ましく用いら
れる。好ましい反応圧力は、分子量によっても異なり、
重合初期には10mmHg〜常圧の範囲が好ましく、重
合後期には、20mmHg以下、特に10mmHg以下
が好ましく、2mmHg以下とすることが更に好まし
い。
【0025】また本発明において、溶融重縮合反応は触
媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高める
ため、好ましくは触媒の存在下で行われる。重合触媒と
しては、この分野で用いられているものであれば特に制
限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウム
リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テト
ラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水
素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級
アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウ
ム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナト
リウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチ
ウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシ
ウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−A
r−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウ
ム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜
鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;
酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメ
チル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R1
234)NB(R1234)で表されるアンモニ
ウムボレート類、(R1234)PB(R12
34)で表されるホスホニウムボレート類(R1、R2
3、R4は前記化1の説明通りである。)などのホウ素
の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラア
ルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エ
チル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲ
ルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキ
シド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの
化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアル
キルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリ
ブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と
結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合
物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び
有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の
化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム
塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸
化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合
物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンな
どのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコ
キシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;
酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムの
アルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチ
ルアセトンなどのジルコニウム化合物類などの触媒を挙
げる事ができる。
【0026】触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だ
けで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても
良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物100重量部に対して、通常10-8
1重量部、好ましくは10-7〜10-1重量部の範囲で選
ばれる。本発明による芳香族ポリカーボネートの製造
は、複数の反応器の少なくとも一部が直列に連結され、
かつ最終反応器よりも前に少なくとも1つのフィルター
を有する設備を用いて連続的に行われる。
【0027】本発明に用いられる反応器としては、芳香
族ポリカーボネートが製造できる反応器であればよく、
特に限定はされない。例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反
応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応
器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下さ
せながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて
落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等
を用い、これらを単独もしくは組み合わせた反応器が用
いられる。本発明において、これら反応器の材質は特に
限定されず、芳香族ポリカーボネートの製造に一般に用
いられるものであればよい。少なくとも接液部の材質が
鉄含量20重量%以上の材質であることが好ましいが、
中でも、ステンレス鋼が加工性に優れることから好まし
い。
【0028】ステンレス鋼はステンレス鋼便覧13〜2
1頁(日刊工業新聞社発行、第5版)に定義、分類され
るような通常クロムを10〜30重量%含む、マルテン
サイト系、フェライト系、オーステナイト系、フェライ
ト・オーステナイト系等のステンレス鋼があげられる。
具体例としては、SUS201、SUS202、SUS
304、SUS304L、SUS316、SUS316
L、SUS347、SUS405、SUS430、SU
S403、SUS410、SUS431、SUS440
C、SUS630等があげられるが、これに限定される
ものではない。好ましい具体例としてはSUS304、
SUS304L、SUS316、SUS316L等があ
げられる。また、ステンレスの表面は、不動態処理や酸
洗やバフ仕上げによって処理されたものでもかまわな
い。
【0029】本発明の製造方法は、複数の反応器を組み
合わせた製造方法であるが、全反応器が直列に接続され
ていてもよいし、一部が並列に接続されていてもよい。
一部を並列に接続する例としては、例えば、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの初期エス
テル交換反応を並列に接続された反応器を用いてバッチ
式で切り替えて行う方法などがある。最終反応器より前
に設置されるフィルターは、各反応器の前に全て設置し
てもよいし、一部の反応器にのみ設置してもよい。本発
明においては、芳香族ポリカーボネートの数平均分子量
が2000以下の製造工程に設置するのが好ましく、特
に芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネート
を溶融混合した後の工程に設置することが好ましい。連
続製造工程中に設置されるフィルターは、該フィルター
が目詰まりした場合のために、一般に複数個が並列に接
続される。
【0030】この場合、1つのフィルターが目詰まりし
た場合、他のフィルターへの切り替えが容易であるため
連続製造運転を停止する必要がない。目詰まり頻度が低
い場合には、単独で設置してもよい。その場合、定期点
検等で運転が停止した際にフィルターの交換が実施され
る。本発明においては、これらのフィルターを交換した
後に塩基性化合物と芳香族ヒドロキシ化合物を含有する
液を用いて、(1)式で示す特定の条件下で表面処理す
ることが必須である。
【0031】用いられるフィルターの種類としては、フ
ィルター内の開孔部に粒子などの固形分を接触付着して
補集するデプスタイプ、フィルター表面でのふるい分け
により固形分を補集するスクリーンタイプ等がある。ス
クリーンタイプは金網やフッ素系樹脂メンブレンフィル
ター等に代表されるが、捕集面が表面しかないため寿命
が短い欠点がある。本発明においては焼結フィルターや
リーフフィルター、キャンドルフィルター等のデプスタ
イプが好ましく用いられる。フィルターの材質として
は、フッ素系樹脂、ステンレス鋼等が使用できるが、本
発明においてはステンレス鋼が好ましく用いられる。
【0032】フィルターの濾過精度(孔径)は、一般に
20μm以下が使用されるが、好ましくは10μm以
下、さらに好ましくは5μm以下である。特に、芳香族
ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートを溶融混
合した後の工程に設置するフィルターは、粘度が低いこ
とから濾過精度の高いものが使用できる。一般に5μm
以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.5
μm以下、特に好ましくは0.2μm以下が使用され
る。また、濾過精度の異なるフィルターを直列に設置し
寿命を延ばすこともできる。
【0033】次に、本発明でフィルターを表面処理する
塩基性化合物及び芳香族ヒドロキシ化合物を含有する液
について説明する。本発明の芳香族ヒドロキシ化合物と
は、Ar4OH(式中、Ar4は、前記Ar 2、Ar3と同
じである)で示される。好ましいAr4の具体例として
は、前記化5等が挙げられる。特に最も簡単な構造であ
るフェノールが好適である。芳香族モノヒドロキシ化合
物を含有する液とは、芳香族モノヒドロキシ化合物を重
量で10ppm〜100%、好ましくは100ppm〜
100%、更に好ましくは1000ppm〜100%含
有する液である。芳香族ヒドロキシ化合物の含有量が少
ないと、フィルターを表面処理するのに要する時間が長
くなる。
【0034】本発明で使用できる塩基性化合物は、芳香
族ヒドロキシ化合物を含む液中で塩基性を示すものであ
ればよく、特に限定はされない。一般に塩基性化合物
は、芳香族ポリカーボネートと共に加熱されると、芳香
族ポリカーボネートを着色させたり転移反応を促進した
りするため、本発明においては、前述の重合触媒の中で
塩基性を示す化合物が好ましく用いられる。これらの中
で、アルカリ金属化合物が好ましく、特に、水酸化ナト
リウムや水酸化カリウムが好ましい。また、表面処理液
中の該塩基性化合物の濃度は、一般に1〜10000p
pbの範囲にあり、好ましくは10〜5000ppbの
範囲、特に好ましくは20〜1000ppbの範囲にあ
るが、(1)式の範囲で選定される。
【0035】本発明で用いられる芳香族ヒドロキシ化合
物を含有する液において、芳香族ヒドロキシ化合物及び
塩基性化合物以外の成分については特に制限はないが、
表面処理する条件下で芳香族ヒドロキシ化合物と均一に
混合される成分が好ましい。具体例としては、前述した
芳香族ジヒドロキシ化合物類やジアリールカーボネート
類、およびその混合物などが挙げられる。また、芳香族
ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートを溶融下
で縮合させたオリゴマーやポリマーは、通常、芳香族ヒ
ドロキシ化合物を含有しており、本発明を実施する上で
好適な具体例である。
【0036】本発明においては、前記塩基性化合物と芳
香族ヒドロキシ化合物を含む液を用いてフィルターを表
面処理する条件が、(1)式を満足することが必須であ
る。 35<C×t0.5/A<10000(1)式 式中、Cは表面処理液中の塩基性化合物濃度[10-9
ol/g]、Aはフィルター濾過面積とフィルター容器
の表面積の合計[m2]、tは表面処理時間[hr]で
ある。好ましくは下記(2)式、より好ましくは下記
(3)式、特に好ましくは(4)式の範囲にある。 50<C×t0.5/A<6000 (2) 70<C×t0.5/A<3000 (3) 70<C×t0.5/A<1500 (4)
【0037】上記範囲外の条件下では、芳香族ポリカー
ボネートの末端基比率の変動増大や、得られる芳香族ポ
リカーボネートの分子量変動の発生、また重合器内での
液面変動等が発生して好ましくない。本発明で行われる
表面処理において、処理温度に特に制限はないが、通常
20〜300℃、好ましくは100〜250℃の範囲で
ある。表面処理に要する時間は、上式から明らかなよう
に、表面処理液の塩基性化合物濃度、フィルターの表面
積等によって異なるが、上式を満足する範囲で選択さ
れ、通常数分〜数100時間、好ましくは1〜100時
間、より好ましくは5〜50時間の範囲である。表面処
理は、表面処理をバッチ式で行う場合にはフィルター容
器内を満たすように表面処理液を入れて保持することで
行われ、1回またはそれ以上実施してもよい。また、連
続式に表面処理液を流通状態で実施してもよい。本発明
においては、バッチ式で長時間保持する処理が廃棄物が
少なくてすむので好ましい。表面処理する圧力は、減
圧、常圧、加圧のいずれでも可能である。
【0038】本発明において、表面処理が終了した後、
必要に応じて表面処理終了液をフィルターから除去する
ために後洗浄が実施されてもよい。しかしながら、廃棄
物の面から、実施しない方が好ましい。後洗浄で使用さ
れる洗浄液に特に制限はないが、好ましい例としては、
芳香族ジヒドロキシ化合物、ジアリールカーボネートま
たはその混合物などの反応原料;芳香族ジヒドロキシ化
合物とジアリールカーボネートを溶融下で縮合させたオ
リゴマーやポリマーなどが挙げられるが、特に該フィル
ターに通液される同一のオリゴマーやポリマーが好まし
い。
【0039】芳香族ポリカーボネートを溶融重縮合で製
造するに当り、酸素との接触によって得られる芳香族ポ
リカーボネートが着色することは当業者に公知のことで
あるが、本発明においても、表面処理および溶融重縮合
の際にできるだけ酸素との接触をたつことが好ましい。
したがって、本発明の表面処理をするに先立って、酸素
を除去するためにフィルター内を充分にイナートガスで
置換するのは、着色のない芳香族ポリカーボネートを短
時間の表面処理で得る上で有効な方法である。また、塩
基性化合物と芳香族ヒドロキシ化合物を含有する液を減
圧で脱気して、液中の酸素濃度を低くすることも好まし
い方法である。また、表面処理を実施した後、溶融重縮
合を実施するまでの間、リアクター内に酸素を接触させ
ないことも着色のないポリカーボネートを得る上で有効
である。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて説明する
が、本発明は、これに限定されるものではない。なお、
得られた芳香族ポリカーボネートの分子量は、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した
数平均分子量である。表面処理液中のフェノール濃度
は、液クロマトグラフィーで測定した。得られた芳香族
ポリカーボネートの末端基比率は1H−NMRを用いて
測定した。
【0041】
【実施例1】図1に示すようなプロセスで、芳香族ポリ
カーボネートを製造した。原料溶解混合槽3a、3bは
バッチ的に交互に運転し、貯槽10以降は連続的に運転
した。原料溶解混合槽3a、3b及び撹拌槽型重合器1
7、26は、いずれも攪拌翼を備えており、接液部の材
質はSUS316Lである。貯槽10の接液部の材質も
SUS316Lである。フィルター52は絶対濾過精度
が0.3μmのSUS316製フィルター(富士フィル
ター製ラインフィルター60mmφ×260mm、濾過
面積0.12m2)を並列に2基設置してある。横型二
軸攪拌型重合器35は、L/D=6で回転直径140m
mの二軸の攪拌羽根を有しており、接液部の材質はSU
S316である。ワイヤ付多孔板型重合器42は、孔径
5mmの孔を50個有する多孔板43を備えており、接
液部の材質はSUS316Lである。孔の中心から鉛直
に1mm径のSUS316L製ワイヤ44を重合器下部
の液溜まで垂らしてあり、落下する高さは8mである。
各溶融混合槽及び重合器間をつなぐ移送配管7、13、
15、24、33、40、50の接液部の材質はいずれ
もSUS316Lである。
【0042】原料溶解混合槽3a、3bは、反応温度1
80℃、反応圧力常圧、シール窒素(酸素濃度0.5p
pm)ガス流量1リットル/hrの条件である。原料溶
解混合槽3aに、50mmHgで真空窒素置換を5回し
たビスフェノールA粉体とジフェニルカーボネート製造
工程から供給される液体ジフェニルカーボネート(対ビ
スフェノールAモル比1.10)を80Kgと、水酸化
カリウム12mgを仕込み5時間溶融混合し、溶融混合
物を全量、移送配管7aから移送貯槽10に移送した。
溶融混合物は数平均分子量が350の溶融ポリマーであ
った。同様に原料溶解混合槽3bで原料を溶解混合し、
貯槽10の溶融ポリマーがなくなる前に貯槽10に移送
した。原料溶解混合槽3a,3bは交互に溶解混合及び
移送を繰り返した。貯槽10は、常圧、180℃に保た
れている。貯槽10に移送された溶融ポリマーは、10
kg/hrで、180℃に保たれているフィルターを経
由して連続的に攪拌槽型第1重合器17に供給した。
【0043】攪拌槽型第1重合器17は、反応温度23
5℃、反応圧力100mmHgの条件であり、溶融ポリ
マーの液容量が20リットルに達したら、液容量20リ
ットルを一定に保つように攪拌槽型第2重合器26に数
平均分子量860の溶融ポリマーを連続に供給した。攪
拌槽型第2重合器26は、反応温度253℃、反応圧力
6mmHgの条件であり、溶融ポリマーの液容量が20
リットルに達したら、液容量20リットルを一定に保つ
ように横型二軸攪拌型重合器35に数平均分子量260
0の溶融ポリマーを連続に供給した。横型二軸攪拌型重
合器35では、反応温度263℃、反応圧力1.0mm
Hgの条件であり、溶融ポリマーの液容量が10リット
ルに達したら、液容量10リットルを一定に保つように
ワイヤ付多孔板型重合器42に数平均分子量4800の
溶融ポリマーを供給した。ワイヤ付多孔板型重合器42
では、反応温度265℃、反応圧力0.6mmHgの条
件であり、重合器下部の溶融ポリマーの液容量が10リ
ットルに達したら、液容量10リットルを保つように、
移送配管50を経て抜き出し口51より芳香族ポリカー
ボネートを抜き出した。安定運転到達後に抜き出し口5
1から排出された芳香族ポリカーボネートは、数平均分
子量9000、全末端基中に占める水酸基末端比率は2
3モル%であった。
【0044】その後、フィルター52を未使用側のフィ
ルターに切り替えて連続製造を継続した。切り替え前に
予め、フィルター内に一旦貯槽10の数平均分子量35
0の溶融ポリマーをフィルター内に充満するまで投入
し、180℃で24時間放置する(1)式の値が133
の表面処理条件でフィルターの表面処理を実施した。該
溶融ポリマーは芳香族ヒドロキシ化合物としてフェノー
ルを37%、塩基性化合物として水酸化カリウムを15
0ppb(重量)含有していた。該表面処理液を排出
後、フィルターを切り替えて貯槽10から原料の供給を
開始した。その後も、抜き出し口51からは安定的に数
平均分子量9000、全末端基中に占める水酸基末端比
率は23モル%のポリカーボネートが排出された。
【0045】
【比較例1】表面処理時間を1時間にする以外は、実施
例1と同様にして芳香族ポリカーボネートを製造した。
表面処理条件(1)式の値は、27である。フィルター
の切り替え直後から、攪拌槽型第1重合器17の液面が
激しく変動するトラブルが発生した。その後、抜き出し
口51から排出される芳香族ポリカーボネートの数平均
分子量が5400迄低下し、全末端基中に占める水酸基
末端比率は67%まで上昇した。抜き出し口51から排
出される芳香族ポリカーボネートが、安定時の分子量と
末端基比率に復帰するまでのに24時間がかかり、大幅
な損失となった。
【0046】
【比較例2】切り替えるフィルターの表面処理を全く実
施しない以外は、実施例1と全く同様にして芳香族ポリ
カーボネートを製造した。フィルターの切り替え直後か
ら、攪拌槽型第1重合器17の液面が激しく変動するト
ラブルが発生した。その後、抜き出し口51から排出さ
れる芳香族ポリカーボネートの数平均分子量が4600
迄低下し、全末端基中に占める水酸基末端比率は72%
まで上昇した。抜き出し口51から排出される芳香族ポ
リカーボネートが、安定時の分子量と末端基比率に復帰
するまでのに24時間がかかり、大幅な損失となった。
【0047】
【比較例3】切り替えるフィルターの表面処理を、塩基
性化合物を含有しないフェノールで実施する以外は、実
施例1と全く同様にして芳香族ポリカーボネートを製造
した。表面処理条件(1)式の値は、0である。フィル
ターの切り替え直後から、攪拌槽型第1重合器17の液
面が激しく変動するトラブルが発生した。その後、抜き
出し口51から排出される芳香族ポリカーボネートの数
平均分子量が4600迄低下し、全末端基中に占める水
酸基末端比率は72%まで上昇した。抜き出し口51か
ら排出される芳香族ポリカーボネートが、安定時の分子
量と末端基比率に復帰するまでのに24時間がかかり、
大幅な損失となった。
【0048】
【実施例2】切り替えるフィルターの表面処理を、塩基
性化合物として水酸化カルシウム1550ppb(重
量)含有するクレゾールを用いて、フィルター内を充満
させて2時間放置することで行う以外は、実施例1と全
く同様にして芳香族ポリカーボネートを製造した。表面
処理条件(1)式の値は、320である。フィルターを
切り替え後、抜き出し口51から排出される芳香族ポリ
カーボネートの数平均分子量と末端基比率の変動は発生
せず、数平均分子量9000、全末端基中に占める水酸
基末端比率は23モル%のポリカーボネートが安定的に
得られた。
【0049】
【比較例4】切り替えるフィルターの表面処理を、塩基
性化合物として水酸化ナトリウム20ppm(重量)を
含有するフェノールで実施する以外は、実施例1と全く
同様にして芳香族ポリカーボネートを製造した。表面処
理条件(1)式の値は、17750である。フィルター
の切り替え直後から、攪拌槽型第1重合器17の液面の
液面変動は見られなかった。しかし、その後、抜き出し
口51から排出される芳香族ポリカーボネートの数平均
分子量が9800迄上昇し、全末端基中に占める水酸基
末端比率は18%まで低下した。抜き出し口51から排
出される芳香族ポリカーボネートが、安定時の分子量と
末端基比率に復帰するまでのに30時間がかかり、大幅
な損失となった。
【0050】
【実施例3】切り替えるフィルターの表面処理を、塩基
性化合物として水酸化ナトリウム5ppm(重量)含有
するクレゾールを用いて、フィルター内を充満させて2
時間放置することで行う以外は、実施例1と全く同様に
して芳香族ポリカーボネートを製造した。表面処理条件
(1)式の値は、1470である。フィルターを切り替
え後、抜き出し口51から排出される芳香族ポリカーボ
ネートの数平均分子量と末端基比率の変動は発生せず、
数平均分子量9000、全末端基中に占める水酸基末端
比率は23モル%のポリカーボネートが安定的に得られ
た。
【0051】
【発明の効果】上記例に示したように、溶融重縮合法に
より芳香族ポリカーボネートを製造工程でのフィルター
交換時に発生する、芳香族ポリカーボネートの末端基比
率変動や不安定運転による製品ロスを無くすることがで
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロセスの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1a,1b 原料供給口 2a,2b、9、19、28、36、46 ベント口 3a,3b 原料溶解混合槽 4a、4b、18、27、39 攪拌軸 5a,5b、11、20、29、47 溶融ポリマー 6a.6b、12、21、30、37、48 排出口 7a,7b、13、15、24、33、40、50 移
送配管 8、16、25、34、41 供給口 10 貯槽 14、23、32、38、49 移送ポンプ 17 攪拌槽型第1重合器 22、31、45 ガス供給口 26 攪拌槽型第2重合器 35 横型二軸攪拌型重合器 42 ワイヤ付多孔板型重合器 43 多孔板 44 ワイヤ 51 製品排出口 52 フィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA09 AB05 AC01 AD01 AD03 BB09A BB12A BB12C BB13A BD09A BD09C BE05A BE07 BF14A BG08Y BH01 BH02 DA10 DB07 DB11 DB13 HA01 HC05A HC05B JA061 JA091 JA121 JA291 JA301 JB131 JB171 JB201 JC091 JC711 JC731 JF021 JF031 JF131 JF141 JF181 JF321 JF331 JF361 JF371 JF381 JF471 JF541 KE02 KJ06 LA01 LA05 LB06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の反応器の少なくとも一部が直列に
    連結され、かつ最終反応器よりも前に少なくとも1つの
    フィルターを有する設備を用いて、芳香族ジヒドロキシ
    化合物とジアリールカーボネートとを反応させて芳香族
    ポリカーボネートを連続的に製造する方法において、最
    終重合器よりも前に存在するフィルターを交換した後、
    通液する前に、該フィルターを塩基性化合物及び芳香族
    ヒドロキシ化合物を含有する液を用いて(1)式を満足
    する条件で表面処理することを特徴とする芳香族ポリカ
    ーボネートの安定製造法。 35<C×t0.5/A<10000 (1) (式中、Cは表面処理液中の塩基性化合物濃度[10-9
    mol/g]、Aはフィルター濾過面積とフィルター容
    器の表面積の合計[m2]、tは表面処理時間[h
    r])
  2. 【請求項2】 フィルターの材質が、鉄含有量20%以
    上の材質であることを特徴とする請求項1記載の芳香族
    ポリカーボネートの安定製造法。
  3. 【請求項3】 フィルターの材質が、ステンレス鋼であ
    ることを特徴とする請求項1もしくは2記載の芳香族ポ
    リカーボネートの安定製造法。
  4. 【請求項4】 塩基性化合物がアルカリ金属化合物であ
    ることを特徴とする請求項1〜3記載の芳香族ポリカー
    ボネートの安定製造法。
  5. 【請求項5】 芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールで
    あることを特徴とする請求項1〜4記載の芳香族ポリカ
    ーボネートの安定製造法。
  6. 【請求項6】 フィルターが、芳香族ポリカーボネート
    の数平均分子量2000以下の製造工程に設置されるフ
    ィルターであることを特徴とする請求項1〜5記載の芳
    香族ポリカーボネートの安定製造法。
JP2001222778A 2001-07-24 2001-07-24 芳香族ポリカーボネートの安定製造法 Pending JP2003034723A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001222778A JP2003034723A (ja) 2001-07-24 2001-07-24 芳香族ポリカーボネートの安定製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001222778A JP2003034723A (ja) 2001-07-24 2001-07-24 芳香族ポリカーボネートの安定製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003034723A true JP2003034723A (ja) 2003-02-07
JP2003034723A5 JP2003034723A5 (ja) 2008-08-28

Family

ID=19056205

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001222778A Pending JP2003034723A (ja) 2001-07-24 2001-07-24 芳香族ポリカーボネートの安定製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003034723A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2005121212A1 (ja) * 2004-06-14 2008-04-10 旭化成ケミカルズ株式会社 芳香族ポリカーボネートの安定的製造方法
WO2009034680A1 (ja) * 2007-08-20 2009-03-19 Mitsubishi Chemical Corporation 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2009074064A (ja) * 2007-08-28 2009-04-09 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2011140663A (ja) * 2011-03-31 2011-07-21 Mitsubishi Chemicals Corp 反応装置
WO2017159727A1 (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 出光興産株式会社 ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂の製造方法、塗工液、電子写真感光体、および電子写真装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05339360A (ja) * 1992-06-12 1993-12-21 Idemitsu Petrochem Co Ltd ポリカーボネートの製造方法
JPH0656984A (ja) * 1992-08-07 1994-03-01 Asahi Chem Ind Co Ltd 芳香族ポリカーボネートの製法
JPH06200007A (ja) * 1992-12-28 1994-07-19 Mitsubishi Gas Chem Co Inc ポリカーボネートの製造法
JPH06234845A (ja) * 1992-12-15 1994-08-23 Nippon G Ii Plast Kk 芳香族ポリカーボネートの製造法
JPH10226723A (ja) * 1996-12-09 1998-08-25 Asahi Chem Ind Co Ltd 芳香族ポリカーボネートの製法
JP2000178355A (ja) * 1998-12-18 2000-06-27 Ge Plastics Japan Ltd ポリカーボネートの製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05339360A (ja) * 1992-06-12 1993-12-21 Idemitsu Petrochem Co Ltd ポリカーボネートの製造方法
JPH0656984A (ja) * 1992-08-07 1994-03-01 Asahi Chem Ind Co Ltd 芳香族ポリカーボネートの製法
JPH06234845A (ja) * 1992-12-15 1994-08-23 Nippon G Ii Plast Kk 芳香族ポリカーボネートの製造法
JPH06200007A (ja) * 1992-12-28 1994-07-19 Mitsubishi Gas Chem Co Inc ポリカーボネートの製造法
JPH10226723A (ja) * 1996-12-09 1998-08-25 Asahi Chem Ind Co Ltd 芳香族ポリカーボネートの製法
JP2000178355A (ja) * 1998-12-18 2000-06-27 Ge Plastics Japan Ltd ポリカーボネートの製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2005121212A1 (ja) * 2004-06-14 2008-04-10 旭化成ケミカルズ株式会社 芳香族ポリカーボネートの安定的製造方法
JP4522407B2 (ja) * 2004-06-14 2010-08-11 旭化成ケミカルズ株式会社 芳香族ポリカーボネートの安定的製造方法
WO2009034680A1 (ja) * 2007-08-20 2009-03-19 Mitsubishi Chemical Corporation 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2009074064A (ja) * 2007-08-28 2009-04-09 Mitsubishi Chemicals Corp 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2011140663A (ja) * 2011-03-31 2011-07-21 Mitsubishi Chemicals Corp 反応装置
WO2017159727A1 (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 出光興産株式会社 ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂の製造方法、塗工液、電子写真感光体、および電子写真装置
JPWO2017159727A1 (ja) * 2016-03-15 2019-02-14 出光興産株式会社 ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂の製造方法、塗工液、電子写真感光体、および電子写真装置
US10787541B2 (en) 2016-03-15 2020-09-29 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Polycarbonate resin, method for producing polycarbonate resin, coating liquid, electrophotographic photoreceptor, and electrophotography device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4522407B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの安定的製造方法
JP3100008B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製法
JP3170477B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製法
JP2003034723A (ja) 芳香族ポリカーボネートの安定製造法
JP3966553B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートを製造するためのシステム
JP4942260B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの安定製造方法
JP2003034720A (ja) 芳香族ポリカーボネートの連続製造法
JP2003034719A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3199644B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
US6037437A (en) Method for producing an aromatic polycarbonate
JP2003192782A (ja) ポリカーボネートの連続製造方法
JP2003034721A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製法
JP2004026916A (ja) 複数のポリカーボネートの連続製法
JP3199659B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP3684282B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP3652011B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製法
JP4530501B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP2002053655A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP2002047343A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP2002053658A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP2002053653A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP2002037877A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法
JP2002037871A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法
JPH10251396A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2002030142A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Effective date: 20080714

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080714

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120126

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20120228

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120626