JP4265828B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、対衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いられている。この芳香族ポリカーボネートの製造方法については、従来種々の研究が行われ、その中で、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという。)とホスゲンとの界面重縮合法が工業化されている。
【0003】
しかしながら、この界面重縮合法においては、有毒なホスゲンを用いなければならないこと、副生する塩化水素や塩化ナトリウム及び、溶媒として大量に用いる塩化メチレンなどの含塩素化合物により装置が腐食すること、ポリマー物性に悪影響を及ぼす塩化ナトリウムなどの不純物や残留塩化メチレンの分離が困難なことなどの問題があった。
【0004】
一方、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから芳香族ポリカーボネートを製造する方法、例えば、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換し、副生するフェノールを抜き出しながら重合するエステル交換法が以前から知られている。該エステル交換法は、界面重縮合法と異なり、溶媒を使用しないなどの利点がある。
【0005】
従来、芳香族ポリカーボネートをエステル交換法で製造するための重合装置として、種々の重合装置が知られている。これらは、重合の進行と共に副生する芳香族モノヒドロキシ化合物等を凝縮器に導いて凝縮させている。しかしながら、上記のように重合器から発生する芳香族モノヒドロキシ化合物を直ちに凝縮器に導いて凝縮させる場合、凝縮させるために凝縮器の温度を下げる必要があり、芳香族モノヒドロキシ化合物や未反応物及び同伴する縮合物等の留出物が凝縮器の内部や凝縮器と真空装置を結ぶ排気管に固着して行き、次第に真空排気能力を低下させ、ついには管を閉塞して装置の連続運転を不可能にするという問題を有している。
【0006】
この問題を解決するため、芳香族モノヒドロキシ化合物等の留出物を凝縮させるための工夫が種々なされている。例えば、特開平6−49197号公報では−10〜40℃の冷媒を用いた熱交換器を有するフリーズコンデンサーを用いる方法が開示されている。この方法は、芳香族モノヒドロキシ化合物等の留出物を固化させてしまうために、二基以上のフリーズコンデンサーを並列に備え、一基で運転中に、残りの一基は加熱して固化物を溶解させるという切替運転が必要となる。この方法は、装置や装置を連結している配管が複雑となり操作も煩雑になる上、切替時に固化物を溶融するための加熱操作に多大のエネルギーを必要とする。
【0007】
また、特開平6−65367号公報では190℃における蒸気圧が10mmHg以下である化合物をスクラビング液体とするスクラバーを用いる方法が具体的に開示されている。この方法においてもスクラバー中で未反応物及び低重合物が固化することが記載されており、実施例では三基のスクラバーを並列に備えそれらを切り替えて運転を行っている。従って、装置や装置を連結している配管が複雑となり操作も煩雑になる上、切替時に固化物を溶融するための加熱操作に多大のエネルギーを必要とする点で、特開平6−49197号公報と同様の問題を有している。
【0008】
また、特開平6−65367号公報において、190℃における蒸気圧が10mmHg以下の非常に高沸点の化合物をスクラビング液体として用いている。このように非常に高沸点の化合物をスクラビング液体として用いているのは、芳香族モノヒドロキシ化合物をスクラビング液体から分離し、スクラビング液体を再使用するために、芳香族モノヒドロキシ化合物を回収する際に、分離が容易であるためと記載されている。しかしながら、このような蒸気圧の化合物は、芳香族モノヒドロキシ化合物との分離は容易であっても、未反応の芳香族ジヒドロキシ化合物やジアリールカーボネート、及び縮合物との分離は困難であるという問題を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エステル交換法により副生する芳香族モノヒドロキシ化合物や未反応物及び同伴する縮合物からなる留出物を重合器から抜き出しながら芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、該留出物による固着及び閉塞の問題がないことにより、切替運転やそれに伴う複雑な配管や操作を必要とせず、固化物を溶融するためのエネルギーも必要としない、その上スクラビング液用化合物と未反応物及び同伴する縮合物との分離が容易であり、芳香族ポリカーボネートを長期間安定に製造できる、工業的に好ましい芳香族ポリカーボネートの製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、特定のスクラビング液体を用いるスクラバーを用い、該スクラビング液体に留出物を連続的に溶解させ該スクラビング液体を連続的に抜き出すことにより、その目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、(A)芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートを原料として、副生する芳香族モノヒドロキシ化合物、未反応芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート、同伴する縮合物を含む留出物を減圧下で重合器から抜き出しながらエステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、下記のスクラビング液を有するスクラバーで、上記留出物を凝縮、溶解することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
スクラビング液:次の(a)〜(c)を満足するアルキルアリールカーボネートであるスクラビング液用化合物を含有する。
(a)190℃における蒸気圧が50〜500mmHgであり、(b)融点が30℃以下であり、(c)数平均分子量2500の芳香族ポリカーボネートを25℃で5重量%以上溶解する。
(B)スクラビング液を蒸留塔に導入し、芳香族モノヒドロキシ化合物、スクラビング液用化合物、未反応ジアリールカーボネート、未反応芳香族ジヒドロキシ化合物及び縮合物に分別することを特徴とする(A)記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(C)スクラビング液用化合物が、メチルフェニルカーボネートであることを特徴とする(A)又は(B)記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法、を提供するものである。
【0012】
従来、エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、二基以上の凝縮器を並列に備え、切り替えながら運転する試みがなされており、前述のごとく多大な問題を有していた。しかしながら、本発明のスクラビング液用化合物を含むスクラビング液体を含むスクラバーで留出物を凝縮、溶解させることにより、スクラバー内での留出物の固化が全くなくなり、スクラバーからスクラビング液体を連続的に抜き出せば切替運転が不要になり、スクラバーや配管での固着、閉塞トラブルが生じないので、芳香族ポリカーボネートを長期間安定に製造できることが明らかになった。しかも、本発明で用いているスクラビング液用化合物は、190℃における蒸気圧が50〜500mmHgであることから、芳香族モノヒドロキシ化合物からの分離が容易なだけでなく、蒸留塔を用いることで、未反応の芳香族ジヒドロキシ化合物やジアリールカーボネート、及び縮合物との分離も容易であり、該スクラビング液用化合物を回収するのは極めて容易である。すなわち本発明により、芳香族ポリカーボネートをエステル交換法で製造する際、留出物を凝縮させる上で生じていた問題点を、全て同時に解決できることが明らかになったのである。
【0013】
さらに、該スクラビング液用化合物がアルキルアリールカーボネートである場合には、アルキルアリールカーボネートがジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物からジアリールカーボネートを製造する際の中間体であることから、副生する芳香族モノヒドロキシ化合物や未反応のジアリールカーボネートと分離せずに、ジアリールカーボネート製造用の反応原料として再利用することも可能である。このことは、芳香族ポリカーボネート及びその原料を一貫して製造する際に特に有用であり、本発明の大きな特徴の一つである。
【0014】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、次式で示される化合物である。
HO−Ar−OH
(式中、Arは2価の芳香族基を表す。)
2価の芳香族基Arは、好ましくは、例えば次式で示されるものである。
−Ar1 −Y−Ar2
(式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、1つ以上の水素原子が反応に影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
【0015】
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げることができる。
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のナフチレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述の通りである。
2価のアルカン基Yは、例えば、下記化1で示される有機基である。
【0016】
【化1】
Figure 0004265828
【0017】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、R5 及びR6 は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 において、1つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化2で示されるものが挙げられる。
【0018】
【化2】
Figure 0004265828
【0019】
(式中、R7 、R8 は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基であって、m及びnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R7 はそれぞれ同一でも異なるものであっても良いし、nが2〜4の場合には各R8 はそれぞれ同一でも異なるものであっても良い。)
さらに、2価の芳香族基Arは、次式で示されるものであっても良い。
【0020】
−Ar1 −Z−Ar2
(式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO−、−COO−、CON(R1 )−などの2価の基を表す。ただし、R1 は前述の通りである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化3で示されるものが挙げられる。
【0021】
【化3】
Figure 0004265828
【0022】
(式中、R7 、R8 、m及びnは前述の通りである。)
さらに、2価の芳香族基Arの具体例としては、置換または非置換のフェニレン、置換または非置換のナフチレン、置換または非置換のピリジレン等が挙げられる。
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でも構わない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。
本発明で用いられるジアリールカーボネートは、下記化4で表される。
【0023】
【化4】
Figure 0004265828
【0024】
(式中、Ar3 、Ar4 はそれぞれ1価の芳香族基を表す。)
Ar3 及びAr4 は、1価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表すが、このAr3 、Ar4 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。Ar3 、Ar4 は同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
1価の芳香族基Ar3 及びAr4 の代表例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基を挙げることができる。これらは、上述の1種以上の置換基で置換されたものでも良い。
好ましいAr3 及びAr4 としては、それぞれ例えば、下記化5等が挙げられる。
【0025】
【化5】
Figure 0004265828
【0026】
ジアリールカーボネートの代表的な例としては、下記化6で示されるものが挙げられる。
【0027】
【化6】
Figure 0004265828
【0028】
(式中、R9 及びR10は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜5の整数で、pが2以上の場合には、各R9 はそれぞれ異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には、各R10はそれぞれ異なるものであっても良い。)
このジフェニルカーボネート類の中でも、非置換のジフェニルカーボネートやジトリルカーボネート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような、低級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジアリールカーボネートが好ましいが、特に最も簡単な構造のジアリールカーボネートであるジフェニルカーボネートが好適である。
【0029】
これらのジアリールカーボネート類は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種類や、重合温度その他の重合条件によって異なるが、ジアリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.9〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いる。
【0030】
本発明の方法で得られる芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は、通常500〜100000の範囲であり、好ましくは2000〜30000の範囲である。
芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートを反応させて芳香族ポリカーボネートを製造するに当たり、反応の温度は、通常50〜350℃、好ましくは100〜290℃の範囲で選ばれる。
反応の進行に伴って、芳香族モノヒドロキシ化合物が副生してくる。本発明において副生する芳香族モノヒドロキシ化合物とは、下記化7で示される。
【0031】
【化7】
Figure 0004265828
【0032】
(式中、R9 及びpは前述の通りである。)
この芳香族モノヒドロキシ化合物を減圧下で反応系外へ除去することによって芳香族ポリカーボネート生成反応速度(以下、重合速度と言う。)が高められる。好ましい反応圧力は、製造する芳香族ポリカーボネートの種類や分子量、重合温度等によっても異なるが、例えばビスフェノールAとジフェニルカーボネートから芳香族ポリカーボネートを製造する場合、数平均分子量が1000以下の範囲では50mmHg〜常圧の範囲が好ましく、数平均分子量が1000〜2000の範囲では3〜50mmHgの範囲が好ましく、数平均分子量が2000以上の範囲では20mmHg以下、特に10mmHg以下が好ましく、さらに2mmHg以下が好ましい。本発明において、重合器を減圧にする真空装置に特に制限はなく、公知の種々の真空ポンプを用いることができる。
【0033】
副生する芳香族モノヒドロキシ化合物を反応系外へ抜き出す際、未反応の芳香族ジヒドロキシ化合物やジアリールカーボネート、及び縮合物も同時に重合器から系外に抜き出される。本発明における留出物とは、副生する芳香族モノヒドロキシ化合物、未反応芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート、同伴する縮合物からなる化合物を表す。同伴する縮合物とは、低分子量の芳香族ポリカーボネート蒸気、及び副生する芳香族モノヒドロキシ化合物等に飛沫同伴した低分子量の芳香族ポリカーボネート及び芳香族ポリカーボネート等を表す。低分子量の芳香族ポリカーボネートとは、通常数平均分子量で300〜3000程度の芳香族ポリカーボネートを示す。
【0034】
本発明は、該留出物をスクラバーで凝縮させると同時にスクラビング液に溶解させることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法である。該スクラビング液は、(a)〜(c)の要件を満足するスクラビング液用化合物を含有することが必要である。
(a)190℃における蒸気圧が50〜500mmHgであり、
(b)融点が30℃以下であり、
(c)数平均分子量2500の芳香族ポリカーボネートを25℃で5重量%以上溶解させることができる。
本発明において、スクラビング液はスクラビング液用化合物と留出物とからなり、該スクラビング液に含まれる該スクラビング液用化合物の量は、通常5〜99重量%、好ましくは15〜90重量%であり、さらに好ましくは30〜80重量%である。
【0035】
本発明においてスクラバーとは、液体を多数の微細な液滴及び/又は液膜片としてガス中に分散させる形式の装置を表す。スクラビング液体とは、スクラバーによって微細な液滴及び/又は液膜片としてガス中に分散される液体を表す。具体的には、充填塔、エジェクター、回転噴霧塔、ベンチュリー等の公知の種々のスクラバーを用いることができる(社団法人化学工業協会編;丸善株式会社発行;化学工学便覧改訂五版;昭和63年3月18日発行;P781;表17.5を参照)。スクラバーの形式として最も好ましいのは、本発明の如く熱交換器を有している固定式噴霧塔であるが、これら公知のスクラバーの中で熱交換器を有する回転噴霧塔も好ましく用いることができる。また、スクラビング液体の温度は、スクラバーが接続している重合器の条件にもよるが、通常0〜100℃、好ましくは5〜80℃であり、さらに好ましくは15〜50℃である。
【0036】
本発明のスクラビング液は、(a)190℃における蒸気圧が50〜500mmHgであり、(b)融点が30℃以下であり、(c)数平均分子量2500の芳香族ポリカーボネートを25℃で5重量%以上溶解させることのできるスクラビング液用化合物を含む。
該スクラビング液用化合物の蒸気圧は、50〜500mmHg、好ましくは80〜450mmHgであり、さらに好ましくは100〜400mmHgである。該スクラビング液用化合物の蒸気圧が50mmHgより低い場合は、留出物中の未反応芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネートと、該スクラビング液用化合物との蒸留塔による分離が困難となり、500mmHgより高い場合は、該スクラビング液用化合物と芳香族モノヒドロキシ化合物との分離が困難となる。
【0037】
また、該スクラビング液用化合物の融点は30℃以下、好ましくは20℃以下であり、さらに好ましくは10℃以下である。融点の下限に特に制約はなく、低ければ低いほどスクラバーの操作温度を低くできるので好ましいが、通常、操作性から−40℃である。該スクラビング液用化合物の融点が30℃より高い場合は、スクラバーの温度を少なくとも30℃より高くする必要が生じ、留出物の蒸気圧が高くなってスクラバーで凝縮しにくくなるため好ましくない。該スクラビング液用化合物は数平均分子量2500の芳香族ポリカーボネートを25℃で5重量%以上、好ましくは7重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上溶解させることができる。該スクラビング液用化合物が数平均分子量2500の芳香族ポリカーボネートを25℃で5重量%以上溶解させることができない場合は、スクラバー中で縮合物が固化し、閉塞等のトラブルを生じるため、スクラバーを切替えながら運転せざるを得なくなり、芳香族ポリカーボネートを長期間安定に製造することが困難となる。
【0038】
該スクラビング液用化合物は、上記(a)〜(c)を満足すればどのような化合物でも構わないが、好ましいスクラビング液用化合物としては下記化8に示されるアルキルアリールカーボネートが挙げられる。
【0039】
【化8】
Figure 0004265828
【0040】
(式中、R10は炭素数1〜10のアルキル基を表す。Ar5 はAr3 と同じである。)
特に好ましいアルキルアリールカーボネートとしては、メチルフェニルカーボネートが挙げられる。
本発明において蒸留塔とは、液体混合物を加熱し各成分が全て蒸気になるような条件下で、各成分の分圧の差を利用して各成分を分離する塔型装置を表す。具体的には、キャップ塔、多孔板塔、目皿塔、充填塔など公知の種々の蒸留塔を用いることができる(藤田重文著;岩波書店発行;化学工学I第2版;1967年4月28日第1刷発行;P106;図6.1参照)。これら蒸留塔の中では充填塔が好ましい。スクラビング液体を芳香族モノヒドロキシ化合物、スクラビング液用化合物、未反応ジアリールカーボネート、未反応ジヒドロキシ化合物及び縮合物の4成分に分離するのに当たり、用いる蒸留塔の基数に特に制限はない。
【0041】
本発明のスクラバーを図を用いて説明する。図1のスクラバー28は、本発明のスクラバーの具体例である。重合器からの留出物は、供給口49からスクラバー28中に導入される。一方、スクラバー内部には冷媒により冷却されている熱交換器57があり、スクラビング液はこの熱交換器の上と下にある管58及び管59を通り、噴霧口61及び噴霧口62からスクラバー内に噴霧される。ベント口33は真空ポンプに接続されており、熱交換器57を含むスクラバー28の内部は真空下におかれている。従って、スクラバー内に導入された留出物は、スクラビング液との接触及び熱交換器内の通過により熱交換して凝縮する。この時、留出物がスクラビング液に溶解し、留出物と留出物を溶解したスクラビング液体が一体となってスクラバー底部に溜まり、一部はポンプ29を通りスクラビング液として再利用され、一部は排出口31より留出物を分離・回収するために抜き取られる。また、熱交換器57の壁面は、管58を通って噴霧口61から噴霧されるスクラビング液により常に濡れた状態を保たれており、縮合物等の固着による閉塞は起こらない。系内を循環するスクラビング液の量を一定に保つため、排出口31を通り抜き取られた液体量分、スクラビング液用化合物が供給口32からメークアップされる。
【0042】
上記排出口31から抜き出されたスクラビング液から、蒸留塔等によってスクラビング液用化合物(例えばメチルフェニルカーボネート)を回収することが可能である。例えば、二つのサイドカットを有する蒸留塔によって、副生モノヒドロキシ化合物、スクラビング液用化合物(例えばメチルフェニルカーボネート)、未反応ジアリールカーボネート、未反応ジヒドロキシ化合物及び縮合物の4成分に分離され、それぞれ塔頂、上段サイドカット、下段サイドカット、塔底より回収できる。また、複数の蒸留塔を用いて4成分に分離しても構わない。例えば、まず、一つのサイドカットを有する蒸留塔で副生モノヒドロキシ化合物及びスクラビング液用化合物、未反応ジアリールカーボネート、未反応ジヒドロキシ化合物及び縮合物の3成分に分離し、それぞれ塔頂,サイドカット,塔底より回収する。次に塔頂回収成分を別の蒸留塔に導き、副生モノヒドロキシ化合物、スクラビング液用化合物に分離し、それぞれ塔頂、塔底より回収する。こうして4成分に分離できる。
【0043】
本発明のスクラビング液用化合物の場合、芳香族モノヒドロキシ化合物、及び未反応ジアリールカーボネートと分離することが容易であり、回収率が高いことは本発明の大きな特徴である。スクラビング液用化合物がアルキルアリールカーボネートであれば、これを芳香族モノヒドロキシ化合物からジアリールカーボネートを製造する際の中間体として用いることも可能である。その場合、回収される芳香族モノヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート中にアルキルアリールカーボネートが含まれても特に不都合はないので、分離操作をますます容易にすることができるのも本発明の特徴の一つである。
【0044】
本発明の芳香族ポリカーボネートは、上記のような芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとから、触媒の存在下もしくは非存在下で、加熱しながら溶融状態でエステル交換反応にて重縮合する方法であり、重合器には特に制限はない。例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合させる多孔板型反応器、支持体に沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器、例えばワイヤー付多孔板型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせた重合器が用いられる。
【0045】
例えば、重合の初期に芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートから竪型攪拌槽を用いて重合して溶融プレポリマーを製造し、重合工程では、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合させる多孔板型反応器、支持体に沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器等を用いて重合させる方法等は、本発明の好ましい態様の一つである。重合工程で用いる特に好ましい重合器は、支持体に沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器である。支持体に沿ってプレポリマーを発泡状態で溶融流下せしめて重合を進行させる重合器を用いて重合させる方法は、本発明の好ましい態様である。
【0046】
支持体に沿ってプレポリマーを溶融落下せしめて重合を進行させる重合器において、プレポリマーは通常、多孔板から供給された後、支持体に沿って落下する。多孔板は、通常、平板、波板、中心部が厚くなった板などから選ばれ、多孔板の形状についは、通常、円状、長円状、三角形状、多角形状などの形状から選ばれる。
【0047】
多孔板の孔は、通常、円状、長円状、三角形状、スリット状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。孔の断面積は、通常、0.01〜100cm2 であり、好ましくは0.05〜10cm2 であり、特に好ましくは0.1〜5cm2の範囲である。孔と孔との間隔は、孔の中心と中心の距離で通常、1〜500mmであり、好ましくは25〜100mmである。多孔板の孔は、多孔板を貫通させた孔であっても、多孔板に管を取り付けた場合でもよい。また、テーパー状になっていてもよい。
【0048】
また、支持体とは、水平方向の断面の外周の平均長さに対して該断面と垂直方向の長さの比率が非常に大きい材料を表すものである。該比率は、通常、10〜1000000の範囲であり、好ましくは50〜100000の範囲である。水平方向の断面の形状は、通常、円状、長円状、三角形状、四角形状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。該断面の形状は長さ方向に同一でもよいし異なっていてもよい。また、支持体は中空状のものでもよい。支持体は、針金状等の単一なものでもよいが、捩り合わせる等の方法によって複数組み合わせたものでもよい。また、金網状のものや、パンチングプレート状のものであっても良い。支持体の表面は平滑であっても凹凸があるものであってもよく、部分的に突起等を有するものでもよい。支持体の材質は、通常、ステンレススチール製、カーボンスチール製、ハステロイ製、ニッケル製、チタン製、クロム製、及びその他の合金製等の金属や、耐熱性の高いポリマー材料等の中から選ばれる。また、支持体の表面は、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄、フェノール洗浄等必要に応じて種々の処理がなされてもよい。支持体は、多孔板の孔に直接接続していてもよいし、孔から離れていてもよい。好ましい具体例としては、多孔板の各孔の中心部付近に各支持体が貫通して接続しているもの、多孔板の各孔の外周部分に支持体が接続しているもの等が挙げられる。支持体の下端は、重合器のボトム液面に接していてもよいし、離れていてもよい。
【0049】
この多孔板を通じてプレポリマーを支持体に沿わせて落下させる方法としては、液ヘッドまたは自重で落下させる方法、またはポンプなどを使って加圧にすることにより、多孔板からプレポリマーを押し出す等の方法が挙げられる。孔の数に特に制限はなく、反応温度や圧力などの条件、触媒の量、重合させる分子量の範囲等によっても異なるが、通常ポリマーを例えば100kg/hr製造する際、10〜105 個の孔が必要である。孔を通過した後、支持体に沿わせて落下させる高さは、好ましくは0.3〜50mであり、さらに好ましくは0.5〜30mである。孔を通過させるプレポリマーの流量は、プレポリマーの分子量によっても異なるが通常、孔1個当たり、10-4〜104 リットル/hr、好ましくは10-2〜102 リットル/hr、特に好ましくは、0.05〜50リットル/hrの範囲である。支持体に沿わせて落下させるのに要する時間に特に制限はないが、通常0.01秒〜10時間の範囲である。支持体に沿わせて落下させながら重合させたポリマーは、そのまま液溜部に落下させてもよく、また巻き取り器等で強制的に液溜部に取り込んでもよい。さらに、支持体に沿わせて落下させた後の重合物はそのまま抜き出されても良いが、循環させて、再び支持体に沿わせて落下させながら重合させるのも好ましい方法である。この場合、支持体に沿わせて落下させた後の液溜部や循環ライン等で重縮合反応に必要な反応時間に応じて滞留時間を長くすることができる。また、支持体に沿わせて落下させながら循環を行うことにより単位時間に形成し得る新規な液表面積が大きく取れるため、所望の分子量まで充分重合を進行させる事が容易となる。
【0050】
本発明で芳香族ポリカーボネートを製造する際、重合器は1基又は2基以上用いられるが、2基以上の重合器を用いる場合、本発明のスクラバーは全ての重合器に設置されていても良いし、1基の重合器だけに設置されていても構わない。本発明のスクラバーは、重合圧力が低くなる重合後半に用いることが好ましい。特に好ましい態様としては、例えば数平均分子量が1000〜4000の重合初期は留出物そのものをスクラビング液とするスクラバーを重合器に設置し、留出する芳香族モノヒドロキシ化合物の融点より高い温度で留出物を凝縮させ、数平均分子量4000以上の重合後期は本発明のスクラバーを重合器に設置する方法等が挙げられる。
【0051】
重合は、触媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R 1、R 2 、R 3 、R 4)NB(R 1、R 2 、R 3 、R 4)で表されるアンモニウムボレート類、(R 1、R 2 、R 3 、R 4)PB(R 1、R 2 、R 3 、R 4)で表されるホスホニウムボレート類(R 1 、R 2 、R 3 、R 4 は前記化1の説明通りである。)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウムの化合物類などの触媒を挙げる事ができる。
【0052】
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常10-8〜1重量%、好ましくは10-7〜10-1重量%の範囲で選ばれる。
本発明の重合器及びスクラバーの材質に特に制限はなく、通常、ステンレススチール、ニッケル、ガラスライニング等から選ばれる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例をあげて説明する。
【0054】
【実施例1】
図1に示したプロセスで、芳香族ポリカーボネートを製造した。
図1のプロセスには、3基の攪拌槽型重合器、循環ラインを有する多孔板型重合器、及び円柱状支持体付き多孔板型重合器を備えている。ただし、攪拌槽第一重合器は(A)と(B)を切り替えながらバッチ運転し、その他の重合器は連続的に運転した。攪拌槽第一(A)重合器3、攪拌槽第一(B)重合器3’の内容積は100リットル、攪拌槽第二重合器8の内容積は50リットルであり、攪拌翼は何れもアンカー型である。循環ラインを有する多孔板型重合器20は、孔径2mmの孔を40個有する多孔板19を備えており、落下する高さは4mである。円柱状支持体付多孔板型重合器36は、孔径4mmの孔を20個有する多孔板35を備えている。各孔の中心から鉛直に2mm径のSUS316L製ワイヤ37を重合器下部の液溜まで垂らしてあり、落下する高さは8mである。
【0055】
芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールA、ジアリールカーボネートとしてジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル比1.13)をそれぞれ原料供給口1、2より窒素雰囲気下の攪拌槽型第一(A)重合器に導入し、重合器内のプレポリマー4を移送ポンプ6で攪拌槽型第二重合器8に10リットル/hrで供給した。攪拌槽型第一重合器は温度180℃圧力大気圧で、攪拌槽型第二重合器は温度230℃圧力50mmHgで運転した。
【0056】
なお、攪拌槽第一(B)重合器3′は、攪拌槽第一(A)重合器3と全く同様であり、バッチ的に切り替えて使用した。攪拌槽型第二重合器8から抜き出される留出物はベント口9から充填塔型蒸留塔10へ導入される。留出物中の大部分の芳香族モノヒドロキシ化合物は凝縮器11で冷却された後、移送ポンプ12により系外に排出され、芳香族モノヒドロキシ化合物に同伴してきた未反応芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート、及び縮合物の大部分は液戻し口13から重合器に戻される。プレポリマー14は、重合器内の液レベルを一定に保ち滞留時間1.5時間となるようにコントロールしながら排出口15から排出され、移送ポンプ16で多孔板型重合器20に移送される。プレポリマー14は供給口17より循環ライン18に供給される。多孔板19を通って多孔板型重合器20の内部に導入されたプレポリマー21は、重合器内部を自由に落下し、重合器底部に達したプレポリマーは循環ポンプ24を備えた循環ライン18を通じて、多孔板19から再び重合器内部に供給される。重合器底部のプレポリマー25の一部は、重合器底部の液レベルを一定に保ち滞留時間0.5時間となるようにコントロールしながら、移送ポンプ26により排出口27から排出され、供給口34より円柱状支持体付き多孔板型重合器36に供給される。
【0057】
多孔板型重合器20の運転条件は、温度270℃、圧力10mmHg、循環流量100リットル/hrである。また、不活性ガス供給口22から窒素が1リットル/hrで供給されている。多孔板35を通って円柱状支持体付き多孔型重合器36の内部に導入されたプレポリマーは、円柱状支持体37に沿って落下する。重合度の上がった重合器底部の芳香族ポリカーボネート38は、重合器底部の液レベルを一定に保ち滞留時間0.5時間となるようにコントロールしながら、移送ポンプ41により排出口42から排出される。円柱状支持体付き多孔板型重合器36の運転条件は、温度270℃、圧力0.8mmHgである。また、不活性ガス供給口39から窒素が1リットル/hrで供給されている。多孔板型重合器20及び円柱状支持体付き多孔板型重合器36から留出した芳香族モノヒドロキシ化合物や未反応芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート、同伴する縮合物からなる留出物及び窒素は、ベント口23及び40よりそれぞれスクラバー28及び43へ導入される。
【0058】
また各スクラバーには、供給口32及び供給口47よりメチルフェニルカーボネートが供給されており、該留出物とメチルフェニルカーボネートからなるスクラビング液体が循環ポンプ29及び循環ポンプ44により循環され、噴霧口61、62、63、64からスクラバー内へ噴霧されている。スクラバー28及びスクラバー43のいずれもスクラビング液体中のメチルフェニルカーボネートの濃度は60重量%である。メチルフェニルカーボネートは、190℃における蒸気圧が400mmHg、融点は−20℃以下であり、Mn2500の芳香族ポリカーボネートを25℃で5重量%以上溶解することができる。スクラバー28は気相温度40℃、スクラバー43は気相温度15℃にコントロールされている。スクラバー内で凝縮した留出物は、メチルフェニルカーボネートと共に排出口31及び排出口46よりタンク50へ排出される。タンク50の留出物及びメチルフェニルカーボネートは、移送ポンプ51を経由して二つのサイドカットを有する充填塔型蒸留塔52へ供給され、副生モノヒドロキシ化合物、メチルフェニルカーボネート、未反応ジアリールカーボネート、未反応ジヒドロキシ化合物及び縮合物の4成分に分離され、それぞれ塔頂、上段サイドカット、下段サイドカット、塔底より回収される。充填塔型蒸留塔52の理論段は20段であり、塔底温度228℃、塔頂圧力400mmHg、還流比3で運転されている。回収されたメチルフェニルカーボネートは上段サイドカット口53からタンク54へ移送され、供給口32、供給口47より、スクラバーにメークアップされて再利用される。
【0059】
この条件で1000時間連続に芳香族ポリカーボネートを製造した。その結果、重合器は一定の圧力で運転され、数平均分子量11000の芳香族ポリカーボネートを安定に製造することができた。スクラバー及びベント配管へ固形物の析出や閉塞は全く見られず、スクラバーの切替運転は全く不要であった。また、タンク50から充填塔型蒸留塔52に供給したメチルフェニルカーボネートに対する、サイドカット上段サイドカットから回収されたメチルフェニルカーボネートの割合は、99.5%であり、メチルフェニルカーボネートを留出物から容易に分離し、回収することができた。
【0060】
【比較例1】
スクラバー28及びスクラバー43のスクラバー用化合物としてテトラエチレングリコールを用いる以外は実施例1と同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。運転開始後40時間で噴霧口63が閉塞し運転不能となった。
【0061】
【発明の効果】
留出物によるスクラバーでの固着及び閉塞が無く、切替運転の必要がないことから複雑な配管や操作が不要であり、固化物を溶融するためのエネルギーを必要とせず、かつスクラビング液用化合物をスクラビング液体から容易に分離、回収でき、芳香族ポリカーボネートを長期間安定に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるプロセスの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1、1’、2,2’ 原料供給口
3 攪拌槽第一(A)重合器
3’ 攪拌槽第一(B)重合器
4、4’、14、21、25 プレポリマー
5、5’、15、27、31、42、46 排出口
6、12、16、26、41、51 移送ポンプ
7、17、32、34、47、49 供給口
8 攪拌槽第二重合器
9、23、33、40、48 ベント口
10、52 充填塔型蒸留塔
11 凝縮器
13 液戻し口
18、30、45 循環ライン
19、35 多孔板
20 多孔板型重合器
22、39 不活性ガス供給口
24、29,44 循環ポンプ
28、43 スクラバー
36 円柱状支持体付き多孔板型重合器
37 円柱状支持体
38 芳香族ポリカーボネート
50、54 タンク
53 上段サイドカット口
55,56 真空ポンプ
57、60 熱交換器
58、59 管
61、62、63、64 噴霧口

Claims (3)

  1. 芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートを原料として、副生する芳香族モノヒドロキシ化合物、未反応芳香族ジヒドロキシ化合物及びジアリールカーボネート、同伴する縮合物を含む留出物を減圧下で重合器から抜き出しながらエステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、下記のスクラビング液を有するスクラバーで、上記留出物を凝縮、溶解することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
    スクラビング液:次の(a)〜(c)を満足するアルキルアリールカーボネートであるスクラビング液用化合物を含有する。
    (a)190℃における蒸気圧が50〜500mmHgであり、(b)融点が30℃以下であり、(c)数平均分子量2500の芳香族ポリカーボネートを25℃で5重量%以上溶解する。
  2. スクラビング液を蒸留塔に導入し、芳香族モノヒドロキシ化合物、スクラビング液用化合物、未反応ジアリールカーボネート、未反応芳香族ジヒドロキシ化合物及び縮合物に分別することを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  3. スクラビング液用化合物が、メチルフェニルカーボネートであることを特徴とする請求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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