JP4886148B2 - 芳香族ポリカーボネート、その組成物および成形品 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート、その組成物および成形品 Download PDF

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Description

【0001】
技術分野
本発明は芳香族ポリカーボネート、その組成物および成形品に関する。さらに詳しくは、成形ひずみの少なく、耐久性および安定性が良好な成形品を成形するに好適な芳香族ポリカーボネートおよび上記特長を持つ成形品に関する。
従来の技術
【0002】
オーディオディスク、レーザーディスク(登録商標)、光ディスクメモリあるいは光磁気ディスク等のレーザー光を利用して情報の記録および/または再生をおこなう記録媒体透明基板、あるいは透明シート、レンズ等に、成形性、機械的強度、透明度等の点で他樹脂より優れているポリカーボネート樹脂が素材として利用されている。しかしながら、このように優れたポリカーボネート樹脂の特性も、ポリカーボネートの非結晶性に基づく性質であり、ポリカーボネート結晶性粒子が混入すると成形品の破断強度、伸度に代表される機械的物性が低下、ポリカーボネートの特徴の一つである延性が失われ衝撃強度が低下したり、光学的には、内部ひずみを生じて外部像が歪んだり、透視性の利点が損なわれたり、高温、高湿下において加水分解を受けやすくて、分子量の低下等をきたしやすいという欠点がある。
ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合形成性前駆体とより製造されるが、その製造法としては、カーボネート結合形成性前駆体としてホスゲンを直接反応させる界面重縮合法、あるいは炭酸ジエステルと加熱減圧下、エステル交換反応させる溶融重縮合法などが知られている。このうち溶融重縮合法は界面重縮合法と比較して、安価にポリカーボネート樹脂を製造できる等の利点を有する。しかし、溶融重縮合法により製造したポリカーボネートを使用した成形品、シートあるいは光ディスク基板の場合、内部に結晶粒子を含有し、破断伸度などの機械的物性が低くポリカーボネート樹脂の特徴である高い延性を実現できず、衝撃強度が低下したり、透視性の利点が損なわれたり、結晶粒子界面において高温、高湿下において加水分解しやすくて分子量の低下等をきたしやすいという傾向があった。さらには、見かけ上結晶粒子を含有していなくても結晶粒子を含有するポリカーボネートより成形された成形品の場合、機械的物性が低くなる傾向があった。
【0003】
ポリカーボネート中の異物は、特開平2−135222号公報において検討されている。この公報では、ポリカーボネートの塩化メチレン溶液を、20μm孔寸のフィルターでろ過したときにフィルター上に残留して得られるゲル化物の量が規定されている。界面重縮合法によって得られたポリカーボネートの成形時の熱分解において長さ1cmにもなるゲル化物が発生し、この該ゲル化物が多いとポリカーボネートをシート状にしたときの屈折異常が多くなることが記載されている。
界面重縮合法に比べて、より高温でかつ長時間の熱履歴を受ける溶融重縮合法で得られるポリカーボネートの異物は、多種発生すると考えられる。しかしながら、それら種々の異物に関して、特定の異物と含有量が、ポリマー品質に与える影響についての知見は得られていない。
ポリカーボネート樹脂中には、X線回折パターンを有する、融点310℃以上、長径50μm以下(50μmを超える粗大粒子はほとんど含まれてなく、また通常のフィルターで除去されるため問題にはなりにくい)の微細結晶性粒子を含有する場合がある。この微細結晶性粒子の含有量はエステル交換法の溶融重縮合において、エステル交換触媒が活性を有する時点に、特定粘度平均分子量(以下特に説明を要する場合を除いて単に分子量と省略する)を有する反応物が、分子量により規定されるある特定温度より低い温度を履歴すると、多くなる傾向にある。しかし、この微細結晶性粒子を低減して機械的物性の良好な成形品を得る技術、あるいは透明樹脂用途、とりわけ光学用ディスク基板の長期間にわたる信頼性の向上を図ることは従来知られていなかった。
【0004】
発明の開示
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、該問題点について鋭意検討を重ねた結果、エステル交換触媒の存在下に溶融重縮合させることにより得られるポリカーボネートについて、成形品の破断伸度等の機械物性の低下が、3μmフィルターにより補足されそしてX線回折パターンを有する微細結晶物質に起因することを見出した。さらに微細結晶性粒子のなかでも、塩化メチレン溶媒に不溶であり、融点310℃以上であるものにとくに起因することを明らかにした。以下上記X線回折パターンを有する微細結晶性粒子を特に説明の必要がない場合、単に微細結晶あるいは微細結晶性粒子と記述することがある。
該微細結晶性粒子は塩化メチレン不溶でありかつ融点が310℃以上であるので、塩化メチレンに易溶でかつ融点が高々240℃である従来のホスゲン法、あるいは融点が高々285℃である固相重合法で得られる結晶性粉粒体とは異なるものである。
【0005】
かかるポリカーボネート樹脂中の微細結晶性粒子の含有量を50個/kg以下とすることにより、該樹脂より成形した成形品の破断強度、伸度に代表される機械的物性が確実に延性破壊を示す状態に高められ、ポリカーボネートの特徴の一つである衝撃強度の高い成形品が得られる。また透明成形品である基板、シート、レンズ等に含まれるひずみ点の数を大幅に低減出来ること、高温高湿雰囲気下での分子量の低下等の劣化もまた極めて有効に制御できること、この結果、例えば光学用ディスクにおいては長期にわたって高い信頼性を維持できること、また例えばシートその他光学部品においては透明性および透視性良好な成形物として得られることを明らかにした。
ここで公称公径3μmフィルターに捕捉され、X線回折パターンを有する微細結晶性粒子の含有量は外乱を排除するためクラス1000以上のクリーンルーム中ポリカーボネート樹脂1kgを20Lの塩化メチレン中に溶解し、3μmミリポアフィルターにより加圧濾過し、フィルター上の微細結晶性粒子の数を偏光顕微鏡により100倍の倍率にて観察し計測した。
【0006】
本発明は、ポリカーボネートより形成された成形品の破断伸度に代表される機械物性や光学用成形品である透明シート、レンズあるいは光学用ディスク基板における透視性を低下させる内部歪みの数および高温高湿条件下発生する白点の個数が、樹脂中に含まれるX線回折パターンを有する微細結晶性粒子の含有量に関連することを見出したことにより到達されたものである。
【0007】
本発明の目的は、X線回折パターンを有する微細結晶性粒子の含有量の少ない芳香族ポリカーボネートを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、成形品の機械的物性を延性領域に高めることができ、シートあるいは基板内面のひずみ点の数を減少させることができそして透視性の低下を防げると共に、高温高湿条件下発生する白点を最小限に制御できる芳香族ポリカーボネートを提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、本発明の上記芳香族ポリカーボネートを固体フィラーとともに含有する芳香族ポリカーボネート組成物を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、本発明の上記芳香族ポリカーボネートまたは組成物から成形された成形品例えば透明シートあるいは光学用ディスク基板を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0011】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(a)主たる繰返し単位が下記式(1)
【0012】
【化2】
Figure 0004886148
【0013】
(式中RおよびRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0〜4の数であり、Xは単結合、酸素原子、カルボニル基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数6〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のシクロアルキリデン基、炭素数6〜20のアリーレン基または炭素数6〜20のアルキレンアリーレンアルキレン基を表す。)
で表され、
(b)芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換触媒の存在下、溶融重縮合させることにより製造され、
(c)溶融粘度安定性が0.5%以下であり、
(d)粘度平均分子量が10,000〜100,000であり、
(e)末端基が実質的にアリールオキシ基(A)とフェノール性OH基(B)とからなり、両者のモル比(A)/(B)が95/5〜40/60であり、そして
(f)塩化メチレン溶液としたときに公称孔径3μmのフィルターに捕集されかつX線回折パターンを示す微細結晶性粒子の含有量が50個/kgポリマー以下である、
ことを特徴とする芳香族ポリカーボネートによって達成される。
【0014】
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、
本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部並びに固体フィラー1〜150重量部および/または本発明の芳香族ポリカーボネートと異なる熱可塑性樹脂10〜150重量部を含有してなる芳香族ポリカーボネート組成物によって達成される。
【0015】
さらに、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第3に、本発明の芳香族ポリカーボネートまた組成物の成形品によって達成される。
【0016】
発明の好ましい実施態様
本発明の芳香族ポリカーボネートの上記特長的な性質(f)について先ず説明する。
ポリカーボネート樹脂中、X線回折パターンを示しそして公称孔径3μmのフィルターに捕集される(以下大きさが3μm以上ということがある)微細結晶性粒子の含有量が50個/kgを超えると、例えば、その樹脂から成形品を成形すると該成形品の破断伸度が脆性破壊を示すほど低くなることがあり、またディスク基板を成形した場合、その基板を使用した情報記録媒体では、上記粒子および上記粒子が誘起する光学歪みが確実にエラー原因となり、光ディスク基板としての信頼性を低下させる。上記微細結晶性粒子はX線回折パターンにおいて例えば回折角(2θ)17.2°±0.3°にメインピークを持つものとして特定できる。
この微細結晶性粒子の含有量は、好ましくは、50個/kg以下、さらに好ましくは、含有量を30個/kg以下さらに好ましくは、10個/kg以下である。かかる含有量に低減することにより成形品の機械物性を高めることができ、光媒体基板の信頼性を高いレベルにすることができる。
【0017】
またこの微細結晶性粒子のなかでも、とくに塩化メチレン溶媒に不溶であり、融点は310℃以上であるものの含有量が、好ましくは40個/kg以下、さらに好ましくは30個/kg以下、特に好ましくは10個/kg以下に低減することにより成形品の機械物性を高めることができ、光媒体基板の信頼性を高いレベルにすることができる。
溶融重合法ポリカーボネートを製造するに際し、微細結晶性粒子含め有機、無機性の異物の含有量を低減するためには、通常はフィルターで除去する方法が有効と判断されるがポリカーボネート樹脂は溶融粘度が高いため、濾過時、初期圧力を高くとる必要があり、濾過を継続するにつれ濾過圧力を次第に高くする必要がある。濾過圧が例えば200気圧を超えた場合フィルターを交換する必要が発生する。
工業的に運転途中フィルター交換等のため運転が中断されると、その前後でポリカーボネートの品質に差が出るなど問題が大きい。また、かかる微細結晶性粒子を除去するために濾過効率の高いフィルターを使用した場合フィルターケース内でポリマー流動に偏りが発生し、フィルター時間にバラツキが生まれ、色相の変化、架橋などの副反応が起こりやすくなる。
【0018】
溶融重合法ポリカーボネートを製造するに際し、X線回折パターンを有し、融点310℃以上を示す微細結晶性粒子の含有量を低減するためには溶融重合時、反応混合物の分子量が特定範囲にある間に、平均分子量によって規定される温度より反応混合物の温度を低下させないこと、しかもバルクポリカーボネートが直接接触する重合装置内部のもっとも低温度部分の温度を、上記平均分子量によって規定される特定温度以下にしないことが有効な手法の一つである。
従来、高溶融粘度ポリカーボネートを溶融重合するために各種重合装置が提案されているが、いずれの重合装置においても、攪拌効率を良くし、重合速度を速めることに主眼が置かれている。しかしかかる高粘度用重合装置では、内部に温度差のあることが多く、低温部と高温部の温度差が20℃〜50℃あることもさして珍しいことではない。
重合装置内部の低温部の温度を反応混合物の平均分子量によって規定される最低温度以上に保つことにより、上記X線回折パターンを有し、とくに融点310℃以上を示す微細結晶性粒子の数を大きく低減することができる。
【0019】
反応混合物の粘度平均分子量をMn、上記最低温度をTcとするとき、Tc(℃)を縦軸とし、Mnを横軸とするグラフにおいて、Mnが3,000から18,000の領域において、点(Tc,Mn)=(220、4,000)、(234、4,810)、(244、6,510)、(245、7,400)、(244、9,210)、(236、12,050)、(226、17,000)の各点を滑らかに結ぶ添付のグラフ(図2)のような曲線が得られる。
微細結晶性粒子の含有量を低減するためには重合時の反応系内低温部の温度Tcを上記曲線と横軸で囲まれた範囲に入らないようにすることが重要であり、なかでも低重合度から中重合度の範囲における最低温度をこの範囲の曲線より上にしておくことが好ましい。
重合時の最低温度の上限は通常の重合温度を適宜選択できるが、あまり重合温度が高いと低重合度領域では、モノマー、オリゴマーが揮散しモルバランスが崩れることがあり、高重合度では、副反応が目立つようになることから、上限温度
はMn<6,000では270℃、6,000≦Mn≦10,000では310℃、そしてMn>10,000では330℃とするのが好ましい。
【0020】
粘度平均分子量が3,000から18,000の範囲において一度微細結晶性粒子が生成すると該微細結晶性粒子は反応温度により熱処理されて急速に融点を上昇させて、通常の溶融重合の温度範囲では融解しないほどにその融点を上昇させる。
粘度平均分子量が低いほど反応混合物は結晶化しやすいが、粘度平均分子量が3,000に満たない時は、微細結晶性粒子の融点に比較し、通常の溶融重合の反応温度のほうが十分高く、反応混合物の結晶化による微細結晶性粒子の生成は問題にならない。
【0021】
また粘度平均分子量が18,000を超えると、重合反応は重合速度を確保するため255℃以上で実施されると同時に、ポリカーボネート反応混合物の結晶化速度が低下するので、ある程度低温部に接触したりあるいは反応混合物が低温になっても結晶化する問題は少なくなる。しかしながら、通常の成形加工においても微細結晶性粒子が発生することがある。この場合加工装置内でのポリマー流動の滞留と、ポリカーボネート中のビスフェノールA含有量により微細結晶性粒子の発生は促進される。成形加工時における微細結晶性粒子の発生を抑制するためビスフェノールA含有量を10〜50ppmに抑制することが有効である。さらに好ましくは10〜40ppm、特に好ましくは10〜30ppmの範囲が挙げられる。ビスフェノールA含有量を10ppm未満に減少させても微細結晶性粒子の発生を抑制する効果は少ない。かかるビスフェノールA含有量を実現するためには、重縮合反応の最終段階、すなわち溶融粘度安定化剤を添加した後の段階において短時間高真空処理することも、有効な手段の一つである。例えば30分間13.3Pa(0.1mmHg)以下の高真空を経由することが好ましい。さらに好ましくは1〜20分間、13.3Pa〜6.7Pa(0.1〜0.05mmHg)の高真空処理を加えることである。
反応混合物の粘度平均分子量が3,000から18,000の間にあるとき生成した、X線回折パターンを有しかつ310℃以上の融点を有する微細結晶性粒子は、重合後成形加工時、ポリカーボネートの加工温度を平衡融点である327℃以上に上昇させることにより見かけ上、溶融除去することができる。しかしながらかかる方法で微細結晶性粒子を含有するポリカーボネート樹脂を成形して得た成形品の場合、微細結晶性粒子を含有しないものからの成形品に比較し破断伸度が低いという問題が残ったままである。
【0022】
本発明の芳香族ポリカーボネートは、さらに、(g)塩化メチレン溶液としたときに公称孔径10μmのフィルターに捕集されかつ波長380nmの紫外線の照射で発光する長径100μm以下の粒子の含有量が100個/kgポリマー以下である、ことが好ましい。
芳香族ポリカーボネート中において上記のような発光する粒子の含有量を、上記値以下にすると成形品の衝撃強度、強伸度等の機械的物性の低下、長期温湿度にさらされた場合の上記物性の低下、あるいは基板、透明シート、レンズあるいは光学用ディスク基板における流動配向の異常、屈折率差の発生を防げると共に、高温高湿条件下発生する加水分解、あるいは分子量の低下、衝撃強度の低下を最小限に制御できる。
芳香族ポリカーボネート中、波長380nmの紫外線の照射により発光する長径100μm以下の大きさの物質の含有量が100個/kgを超えると、例えば、その樹脂から得られた成形品の衝撃強度、強伸度等の機械的物性が低く、さらに高温高湿条件下に長期間さらした後の機械的物性の低下が大きく、透明シート、レンズあるいは光学用ディスク基板における流動配向の異常点、屈折率に差が生じるようになる。
この粒子の含有量は、好ましくは、80個/kg以下、さらに好ましくは50個/kg以下である。かかる含有量に低減することにより光媒体基板の信頼性をより一層高いレベルにすることができる。
【0023】
溶融重合法ポリカーボネートを製造するに際し、上記のような発光粒子の量を低減するには、例えば以下のような方法を用いることができる。
i)重合温度を低下させ、しかもバルクポリカーボネート部分の温度と重合装置中での発熱部分との温度差を低減させると共に、
ii)ポリカーボネート重合装置の装置表面を本発明者らが以前に提案したごとく、不活性酸化物層で被覆したり、
iii)原料として高純度のものを使用することなどによりポリカーボネート中の金属不純物含有量を低減させることなどを有効な手法の一つとして挙げることができる。
【0024】
高溶融粘度ポリカーボネートを溶融重合するため、各種重合装置が提案されているが、いずれの重合装置においても、攪拌効率を良くし、重合速度を速めることに主眼が置かれている。しかしかかる高粘度用重合装置では、高効率攪拌により、攪拌翼相互、あるいは攪拌翼と重合装置本体とのせん断が激しくなり、せん断発熱を引き起こす。このためポリカーボネートバルク部分に比較し、せん断部分が100℃以上も高温に成ることがある。
せん断部分の温度を低温にするには、重合時、ポリカーボネートのバルク温度をできるだけ低温にするのが好ましい。例えば通常の重合温度の250〜350℃を250〜330℃に、さらに好ましくは250〜300℃に、特に好ましくは250〜280℃に低下させることが挙げられる。このように重合温度を低下させた上で、せん断部分での発熱を低下させるのが好ましい。せん断部での発熱を低減させるには、好ましくは攪拌速度を制御することにより達成できる。ポリカーボネート製造時、粘度平均分子量が少なくとも8,000に達し、樹脂の溶融粘度が高まった段階以降、せん断部の温度を検出しつつ、攪拌速度を制御することができる。
【0024】
エステル交換触媒が溶融粘度安定剤により活性を失う以前の段階において、ポリカーボネートが350℃以上の高温金属表面に接触を避けることが好ましい。さらに好ましくは330℃以上、特に好ましくは320℃以上の高温にならないようにすることである。
さらに加えてポリカーボネートが、かかる高温化活性金属表面に接触しないようにすることが好ましい。
金属の表面は、高温条件下、ポリカーボネートに分解その他の副反応を生じやすい。金属活性表面を不活性化するには、例えば、金属活性表面に酸化膜を形成するなどの手段が推奨される。
かかるせん断発熱域において、上記380nm光照射により発光する物体の大部分が金属表面、あるいはポリカーボネート中混入した金属イオンの触媒作用により生成していると推測される。かかる反応機構による発光物質の生成を抑制するため、上述のように例えば不活性酸化物層で重合装置表面を被覆したり、ポリカーボネート中の金属不純物含有量を低減させることが有効な手法の一つである。
【0025】
本発明において、製造されるポリカーボネートの耐久性、色調および透明性に及ぼす影響を考え、原料中に不純物として含まれるFe、Cr、Mn、Ni、Pb、Cu、Pdの如き遷移金属元素、Al、Tiの如き金属、両性元素の微量金属元素含有量を50ppb以下、さらに好ましくは10ppb以下としたものが推奨される。
より耐久性に優れた芳香族ポリカーボネートを得るために、芳香族ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステルに含まれる、大きなエステル交換能を有するアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素の含有量は0〜60ppbであることが好ましい。
また、耐久性により優れた芳香族ポリカーボネートを得るために、芳香族ジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル中の、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素の含有量が80ppb以下、かつ遷移金属元素濃度が10ppb以下であることが好ましい。
さらに炭酸ジエステル、芳香族ジヒドロキシ化合物中含有される上記金属、両性元素含有濃度が20ppb以下であることを特徴とする方法が好ましい。
原料としてこのような遷移金属元素、金属、あるいは両性元素の含有量は低いほど好ましいが従来の技術の限界である10ppb以下である芳香族ジヒドロキシ化合物、および炭酸ジエステルを使用することで、優れた耐久性をもつ芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
【0026】
本発明において、遷移金属、金属、両性元素不純物の含有量が低減された芳香族ジヒドロキシ化合物類および炭酸ジエステルを得るためには、公知の精製方法、例えば、蒸留、抽出、再結晶、昇華法などの種々の精製法を用いることができる。また、さらに上記の精製法を種々組み合わせることがより好ましい。
また、本発明における金属不純物の少ないポリカーボネートを得るためには、かかる原料の精製において、金属不純物の含有量が極めて少ない高純度の溶媒を用いるのが好ましく、例えば電子工業用の溶媒などが使用できる。
本発明の芳香族ポリカーボネートは、前記式(1)で表される繰返し単位から主としてなる。
【0027】
前記式(1)において、RおよびRの定義は上記のとおりである。
ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素等を挙げることができる。
炭素数1〜20のアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。その例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、デシル等を挙げることができる。炭素数1〜20のアルコキシ基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、その例としてはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ等を挙げることができる。炭素数6〜20のシクロアルキル基としては、例えばシクロヘキシル、シクロペンチル等を挙げることができる。炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル、トリル、4−t−ブチルフェニル、ナフチル等を挙げることができる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばクミル(Ph−C(CH−)ベンジル、フェネチル等を挙げることができる。炭素数6〜20のシクロアルコキシ基としては例えばシクロヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ等を挙げることができる。炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えばフェニルオキシ、トリルオキシ、4−t−ブチルフェニルオキシ、ナフチルオキシ等を挙げることができる。
【0028】
また、Xの定義も上記のとおりである。
炭素数1〜20のアルキレン基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
その例としては、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,10−デシレン等を挙げることができる。
炭素数2〜20のアルキリデン基としては、例えばエチリデン、2,2−プロピリデン、2,2−ブチリデン、3,3−ヘシリデン等を挙げることができる。
炭素数6〜20のシクロアルキレン基としては、例えば1,4−シクロヘキシレン、2−イソプロピル−1,4−シクロヘキシレン等を挙げることができる。
炭素数6〜20のシクロアルキリデン基としては、例えばシクロヘキシリデン、イソプロピルシクロヘキシリデン等を挙げることができる。
炭素数6〜20のアリーレン基としては、例えば1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、2−t−ブチル−1,4−フェニレン等を挙げることができる。
炭素数6〜20のアルキレン−アリーレン−アルキレン基としては、例えばm−ジイソプロピルフェニレン基などが挙げられる。
また、mおよびnは、互いに独立に、0、1、2、3または4である。
上記式(1)において、Xが炭素数2〜20のアルキリデン基でありそしてnおよびmがいずれもゼロであるのが好ましい。とりわけXがシクロヘキシリデン基、2,2−プロピリデン基が好ましく、2,2−プロピリデン基が特に好ましい。
芳香族ポリカーボネートは、上記式(1)で表される繰返し単位を全繰返し単位に基づき少なくとも85モル%を占めるものが好ましい。
【0029】
本発明の芳香族ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換触媒の存在下、溶融重縮合させることにより製造される。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記式(2)
【0030】
【化3】
Figure 0004886148
【0031】
ここで、R、R、X、nおよびmの定義は式(1)に同じである、
で表される化合物が用いられる。
【0032】
かかる芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビス[1H−インデン]−6,6’−ジオール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0033】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビス[1H−インデン]−6,6’−ジオールおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用される。
【0034】
また、本発明には上記式(2)以外の芳香族ジヒドロキシ化合物、具体的にはハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール等を共重合しても構わない。
溶融重縮合法によって反応させてポリカーボネートを製造するに当っては、必要に応じて、末端停止剤、立体障害フェノール等の酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネートは三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネートであってもよく、また、得られたポリカーボネートの2種以上を混合した混合物であってもよい。
炭酸ジエステルとしては、例えば、下記式(3)
【0035】
【化4】
Figure 0004886148
【0036】
ここで、ArおよびArは、互いに独立に、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基である、
で表される化合物を挙げることができる。
式(3)中、ArとArが同じ基である炭酸ジエステルが好ましい。
【0037】
炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、エステル交換触媒としては、好ましくは ア)含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物(以下NCBAと略称)および イ)アルカリ金属化合物(以下AMCと略称)が使用される。
【0038】
含窒素塩基性化合物としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(MeNOH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(φ−CH(Me)NOH)、などのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類;テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェノキシド、テトラブチルアンモニウム炭酸塩、ベンジルトリメチルアンモニウム安息香酸塩、などのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する塩基性アンモニウム塩;トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどの第三級アミン、あるいはテトラメチルアンモニウムボロハイドライド(MeNBH)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(BuNBH)、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート(MeNBPh)などの塩基性塩を挙げることができる。
【0039】
また含リン塩基性化合物としては、例えばテトラブチルホスホニウムヒドロキシド(BuPOH)、ベンジルトリメチルホスホニウムヒドロキシド(φ−CH(Me)POH)、などのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するホスホニウムヒドロキシド類、あるいはテトラメチルホスホニウムボロハイドライド(MePBH)、テトラブチルホスホニウムボロハイドライド(BuPBH)、テトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(MePBPh)などの塩基性塩を挙げることができる。
上記NCBAは、塩基性窒素原子あるいは塩基性リン原子が芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、1×10−5〜1×10−3化学当量となる割合で用いるのが好ましい。より好ましい使用割合は同じ基準に対し2×10−5〜5×10−4化学当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し5×10−5〜5×10−4化学当量となる割合である。
特にこの時、得られるポリカーボネートの色相を良好にするためには、NCBA化合物使用量を原料炭酸ジエステル、芳香族ジヒドロキシ化合物中含有される鉄分合計量;Fe(wtppbで表す)に対し{20×(Fe)+200}×10−6化学当量を超えないように、使用すると有効であることが見出された。特に好ましくは{20×(Fe)+150}×10−6化学当量を超えない範囲である。
【0040】
さらに本発明においては、原料中不純物を低減させた効果を、ポリマー色調、
安定性に実現するために、上記、NCBAとともにAMCが併用される。AMC化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、アルカリ金属元素として1×10−8〜5×10−6化学当量の範囲で好ましく使用される。かかる量比の触媒を使用することにより、末端の封鎖反応や重縮合反応速度を損なうことなく重縮合反応中に生成しやすい分岐反応、主鎖開裂反応や、成形加工時における装置内での異物の生成、焼けといった好ましくない現象を効果的に抑止できるので好ましい。
上記範囲を逸脱すると、得られるポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、またエステル交換反応が十分に進行せず、高分子量のポリカーボネートが得られない等の問題があり、好ましくない。
AMCとしては、例えばアルカリ金属の水酸化物、炭化水素化合物、炭酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩等のカルボン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、水素化硼素塩、燐酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0041】
具体例としては水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸リチウム、硝酸ルビジウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素カリウム、水素化硼素リチウム、フェニル化硼素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、モノカリウム塩、ナトリウムカリウム塩、フェノールのカリウム塩などが挙げられる。
その他、所望により、アルカリ金属化合物として、特開平7−268091号公報に記載の(ア)周期律表第14族元素のアート錯体アルカリ金属塩または(イ)周期律表第14族元素のオキソ酸のアルカリ金属塩を用いることができる。ここで周期律表第14族の元素とは、ケイ素、ゲルマニウム、スズのことをいう。
かかるアルカリ金属化合物を重縮合反応の触媒として用いることにより、重縮合反応を迅速にかつ十分に進めることができる利点を有する。また重縮合反応中に進行する分岐反応のような好ましくない副反応を低いレベルに押さえることができる。
【0042】
本発明の重縮合反応には、上記触媒と一緒に、必要により周期律表第14属元素のオキソ酸、酸化物および同元素のアルコキシド、フェノキシドより成る群から選ばれる少くとも一種の化合物を助触媒として共存させることができる。これらの助触媒を特定の割合で用いることにより末端の封鎖反応、重縮合反応速度を損なうことなく重縮合反応中に生成しやすい分岐反応、主鎖開裂反応や、成形加工時における装置内での異物の生成、焼けといった好ましくない現象を効果的に抑止でき本発明の目的に好ましい。
周期律表第14族のオキソ酸としては、例えばケイ酸、スズ酸、ゲルマニウム酸を挙げることができる。
周期律表第14族の酸化物としては、例えば二酸化珪素、二酸化スズ、二酸化ゲルマニウム、シリコンテトラメトキシド、シリコンテトラフェノキシド、テトラエトキシスズ、テトラノニルオキシスズ、テトラフェノキシスズ、テトラブトキシゲルマニウム、テトラフェノキシゲルマニウム、およびこれらの縮合体を挙げることができる。
助触媒は重縮合反応触媒中のアルカリ金属元素1モル原子当たり、周期律表第14族の元素が50モル原子以下となる割合で存在せしめるのが好ましい。同金属元素が50モル原子を超える割合で助触媒を用いると、重縮合反応速度が遅くなり好ましくない。
助触媒は、重縮合反応触媒のアルカリ金属元素1モル原子当たり助触媒としての周期律表第14族の元素が0.1〜30モル原子となる割合で存在せしめるのがさらに好ましい。
【0043】
本発明におけるこれらの重合触媒の使用量は、アルカリ金属化合物を使用する場合は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し1×10−8〜5×10−6化学当量、好ましくは5×10−8〜3×10−6化学当量、特に好ましくは7×10−8〜2×10−6化学当量の範囲で選択される。
溶融重合法は、常圧および/または減圧窒素雰囲気下、上記の如き芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを上記の如きエステル交換触媒の存在下に、加熱しながら攪拌して、生成するアルコールまたは芳香族モノヒドロキシ化合物を留出させることで行われる。その反応温度は生成物の沸点等により異なるが、反応により生成するアルコールまたは芳香族モノヒドロキシ化合物を除去するため通常120〜350℃の範囲であるが、ポリカーボネート中の微細結晶性粒子含有量を減少させるため、反応混合物の分子量が7,000を越えた時点より反応混合物の温度がTcを下回らないように、Tc以下の反応装置部分と直接接触しないようにすることが重要である。さらに加えて成形加工における微細結晶性粒子の発生を減少させるため、微細結晶性粒子の発生を促進するビスフェノールAの含有量を10〜40ppmに抑制することも有効である。反応後期には系を減圧にして生成するアルコールまたは芳香族モノヒドロキシ化合物の留出を容易にさせる。反応後期の系の内圧は、好ましくは133.3Pa(1mmHg)以下であり、より好ましくは66.7Pa(0.5mmHg)以下である。
【0044】
本発明の芳香族ポリカーボネートは溶融粘度安定性が0.5%以下である。
溶融粘度安定性は、窒素気流下、せん断速度1rad/sec、300℃で30分間測定した溶融粘度の変化の絶対値で評価し、1分あたりの変化率であらわす。この値を0.5%以下にすることが必須であり、この値が大きいとポリカーボネートの加水分解劣化、分子量の低下あるいは着色が促進されることがある。実際的な耐加水分解安定性等を確保するためにはこの値を0.5%にしておくと十分である。そのために特に重合後に溶融粘度安定化剤を用いて溶融粘度を安定化することが好ましい。
【0045】
本発明における溶融粘度安定化剤は、ポリカーボネート製造時に使用する重合触媒の活性の一部または全部を失活させる作用も有する。
溶融粘度安定化剤を添加する方法としては、例えば重合後にポリマーが溶融状態にある間に添加してもよいし、一旦ポリカーボネートをペレタイズした後、再溶解し添加しても良い。前者においては、反応槽内または押し出し機内の反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に溶融粘度安定化剤を添加してもよいし、また重合後得られたポリカーボネートが反応槽から押し出し機を通ってペレタイズされる間に、溶融粘度安定化剤を添加して混練することもできる。
溶融粘度安定化剤としては公知の剤が使用できる。得られるポリマーの色相や耐熱性、耐沸水性などの物性の向上に対する効果が大きい点から、有機スルホン酸の塩、有機スルホン酸エステル、有機スルホン酸無水物、有機スルホン酸ベタインなどのスルホン酸化合物、なかでもスルホン酸のホスホニウム塩および/またはスルホン酸のアンモニウム塩を使用することが好ましい。そのなかでも特に、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩などが好ましい例として挙げられる。
【0046】
本発明の芳香族ポリカーボネートは、粘度平均分子量が10,000〜100,000の範囲にある。射出成形品、例えばディスク基板材料としては、粘度平均分子量(Mn)が10,000〜22,000が好ましく、12,000〜20,000がより好ましく、13,000〜18,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネートは、光学用材料として十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みを発生せず好ましい。また押し出し成形品、例えばシートなどの用途においては、粘度平均分子量が好ましくは17,000〜100,000、さらに好ましくは20,000〜80,000である。
【0047】
本発明の芳香族ポリカーネートは、さらに、末端基が実質的にアリールオキシ基(A)とフェノール性水酸基(B)とよりなり、かつ両者のモル比(A)/(B)が95/5〜40/60である。好ましくは、フェノール性末端基濃度が40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。かかる量比でフェノール性末端基を含有することにより、本発明の目的をより一層好適に達成することができ、組成物の成形性(金型汚れ製、離型性;以下単に成形性と略称する)もまた向上する。
他方、フェノール性末端基濃度を5モル%より減少させても組成物の更なる物性の向上は少ない、またフェノール性末端基濃度を60%以上導入したときは、本発明の目的に好ましくないことは、上記議論より自明である。
アリールオキシ基としては、例えば炭素数1〜20の炭化水素基、置換あるいは無置換フェニールオキシ基が好ましく選択される。樹脂熱安定性の点から置換基として、第3級アルキル基、第3級アラルキル基またはアリール基を有するフェニルオキシ基または無置換のフェニールオキシ基が好ましい。ベンジルタイプの水素原子を有するものも、耐活性放射線の向上など所望の目的を有する場合、使用可能であるが、熱、熱老化、熱分解等に対する安定性の観点よりは避けたほうが良い。
好ましいアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、4−t−ブチルフェニルオキシ基、4−t−アミルフェニルオキシ基、4−フェニルフェニルオキシ基、4−クミルフェニルオキシ基等であり、さらに好ましくはフェノキシ基である。
界面重合法では分子量調節剤により末端フェノール性末端基は低い濃度に抑えられるが、溶融重合法においては、化学反応論的にフェノール性末端基濃度が60モル%、あるいはそれ以上のものが製造されやすいため、積極的にフェノール性末端基を減少させる必要がある。
【0048】
すなわちフェノール性末端基濃度を上記範囲内にするには、以下記述する1)あるいは2)の方法で有利に達成しうる。
1)重合原料仕込みモル比制御法;重合反応仕込み時の炭酸ジエステル/芳香族ジヒドロキシ化合物のモル比を高める。例えば重合反応装置の特徴を考慮のうえ1.03から1.10の間に設定する。
2)末端封止法;重合反応終了時点において例えば、米国特許第5696222号明細書記載の方法に従い、上記文献中記載のサリチル酸エステル系化合物を添加することにより末端水酸基を封止する。
【0049】
サリチル酸エステル系化合物により末端水酸基を封止する場合の、サリチル酸エステル系化合物の使用量は封止反応前の末端水酸基、1化学当量当たり0.8〜10モル、より好ましくは0.8〜5モル、特に好ましくは0.9〜2モルの範囲である。かかる量比で添加することにより、フェノール性末端基の80%以上を好適に封止することができる。また本封止反応を行うとき、上記米国特許に記載の触媒を使用するのが好ましい。
フェノール性末端基濃度の低減は、重合触媒を失活させる以前の段階において好ましく実施される。
【0050】
該サリチル酸エステル系化合物としては、米国特許第5696222号明細書記載のサリチル酸エステル系化合物が好ましく使用でき、具体的には、2−メトキシカルボニルフェニル−フェニルカーボネートの如き2−メトキシカルボニルフェニルアリールカーボネート;2−メトキシカルボニルフェニル−ラウリルカーボネートの如き2−メトキシカルボニルフェニル−アルキルカーボネート;2−エトキシカルボニルフェニル−フェニルカーボネートの如き2−エトキシカルボニルフェニル−アリールカーボネート;2−エトキシカルボニルフェニル−オクチルカーボネートの如き2−エトキシカルボニルフェニル−アルキルカーボネート;(2−メトキシカルボニルフェニル)ベンゾエートの如き芳香族カルボン酸の(2’−メトキシカルボニルフェニル)エステル;および(2−メトキシカルボニルフェニル)ステアレート、ビス(2−メトキシカルボニルフェニル)アジペートの如き脂肪族カルボン酸エステルが挙げられる。
【0051】
本発明の芳香族ポリカーボネートには、これを用いて各種成形品を成形する場合に、用途に応じて従来公知の加工安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤などを添加することができる。
例えば、本発明の芳香族ポリカーボネートには、分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスチルジフォスファイト、トリメチルホスフェートおよびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部がさらに好ましい。
【0052】
また、本発明の芳香族ポリカーボネートには溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。かかる離型剤としては、例えばオレフィン系ワックス、カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる離型剤の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましい。
高級脂肪酸エステルとしては、例えば炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えばステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。かかる離型剤の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましい。
【0053】
さらに、本発明の芳香族ポリカーボネートには、本発明の目的を損なわない範囲で、剛性などを改良するために固体フィラーおよび/または本発明の芳香族ポリカーボネート以外の熱可塑性樹脂を配合することが可能であって、それにより本発明の前記芳香族ポリカーボネート組成物が提供される。
かかる固体フィラーとしては、例えばタルク、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、酸化チタンの如き板状または粒状の無機充填材;ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、カーボン繊維、アラミド繊維、金属系導電性繊維の如き繊維状充填材;および架橋アクリル粒子、架橋シリコーン粒子の如き有機粒子を挙げることができる。これら固体フィラーの配合量は本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対して1〜150重量部が好ましく、3〜100重量部がさらに好ましい。
【0054】
また、本発明で使用可能な無機充填材はシランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。この表面処理により、芳香族ポリカーボネートの分解が抑制されるなど良好な結果が得られる。
また、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対し10〜150重量部で使用することができる。
【0055】
本発明の芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリカーボネート組成物は、光情報記録媒体の基板の素材として好適に使用される。本発明の芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリカーボネート組成物を素材とする基板からなる光情報記録媒体例えばコンパクトディスク(CD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW等、マグネット・オプティカルディスク(MO)等、デジタルバーサタイルディスク(DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−R、DVD−RAM等)で代表される高密度光ディスクは長期に渡って高い信頼性が得られる。特にデジタルバーサタイルディスクの高密度光ディスクに有用である。
【0056】
また、本発明の芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリカーボネート組成物からのシートは、接着性や印刷性の優れたシートであり、その特性を生かして電気部品、建材部品、自動車部品等に広く利用される。具体的には各種窓材すなわち一般家屋、体育館、野球ドーム、車両(建設機械、自動車、バス、新幹線、電車車両等)等の窓材のグレージング製品、また各種側壁板(スカイドーム、トップライト、アーケード、マンションの腰板、道路側壁板)、車両等の窓材、OA機器のデイスプレーやタッチパネル、メンブレンスイッチ、写真カバー、水槽用ポリカーボネート樹脂積層板、プロジェクションテレビやプラズマディスプレイの前面板やフレンネルレンズ、光カード、光ディスクや偏光板との組合せによる液晶セル、位相差補正板等の光学用途等に有用である。かかるシートの厚みは特に制限する必要はないが、通常0.1〜10mm、好ましくは0.2〜8mm、0.2〜3mmが特に好ましい。また、かかるシートに、新たな機能を付加する各種加工処理(耐候性を改良するための各種ラミネート処理、表面硬度改良のための耐擦傷性改良処理、表面のしぼ加工、半および不透明化加工等)を施してもよい。
【0057】
本発明の芳香族ポリカーボネートに前記の各成分を配合するには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、そのまままたは溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、溶融押出法でシート化することができる。
本発明のポリカーボネートは、溶融重合法により製造した後、射出成形に供するためのペレットを得る押出工程(ペレット化工程)では溶融状態の時に濾過精度10μmの焼結金属フィルターを通すなどして異物を除去することが好ましい。必要により、例えばリン系等の酸化防止剤などの添加剤を加えることも好ましい。いずれにしても射出成形前の原料樹脂は異物、不純物、溶媒などの含有量を極力低くしておくことが必要である。
【0058】
本発明の芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリカーボネート組成物より光ディスク基板を製造する場合には射出成形機(射出圧縮成形機を含む)が用いられる。この射出成形機としては一般的に使用されているものでよいが、炭化物の発生を抑制しディスク基板の信頼性を高める観点からシリンダーやスクリューとして樹脂との付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗性を示す材料を使用してなるものを用いるのが好ましい。射出成形の条件としてはシリンダー温度300〜400℃、金型温度50〜140℃が好ましく、これらにより光学的に優れた光ディスク基板を得ることができる。成形工程での環境は、本発明の目的から考えて、可能な限りクリーンであることが好ましい。また、成形に供する材料を十分乾燥して水分を除去することや、溶融樹脂の分解を招くような滞留を起こさないように配慮することも重要となる。
本発明の芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリカーボネートはいかなる用途に使用してもよく、各種成形品例えば電子・通信器材、OA機器、レンズ、プリズム、光ディスク基板、光ファイバーなどの光学部品;家庭電器、照明部材、重電部材などの電子・電機部品;車両内外装、精密機械、絶縁材などの機械部品;医療材料、保安・保護材料、スポーツレジャー用品、家庭用品などの雑貨部品;容器・包装材料、表示・装飾材料などに用いることができる。また他の樹脂や有機・無機材料との複合材料として好適に用いることができる。
【0059】
【実施例】
以下に実施例をあげてさらに説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。実施例中、部とあるのは重量部を意味する。
【0060】
分析法
実施例、比較例によって製造した芳香族ポリカーボネートの試験方法は以下の方法によった。
【0061】
1)粘度平均分子量(Mn):塩化メチレン溶液として、20℃でウベローデ粘度計で測定した固有粘度([η])より、以下の式によって求めた。
[η]=1.23×10−4×Mn0.83
【0062】
2)金属不純物含有量の定量方法
装置;セイコー電子工業(株)製ICP−MS、SPQ9000
サンプル濃度;サンプル(0.5g)を電子工業用イソプロピルアルコール(重合原料:ビスフェノールA、ジフェニルカーボネート定量時に使用)あるいは
N−メチルピロリドン(NMP)(ポリカーボネート定量時に使用)25gに溶解、標準試料検量線により定量した。
【0063】
3)微細結晶性粒子の数の測定;
クラス1000以上のクリーンルーム中ポリカーボネート樹脂1kgを20Lの塩化メチレン中に溶解し、3μmミリポアフィルターにより加圧濾過し、フィルター上の結晶性微細粒子の数を偏光顕微鏡により100倍の倍率にて観察し計測した。
【0064】
4)X線回折パターンの測定;装置;理学電気(株)RAD−rB
測定条件;Cu K ALPHA1/50kV/200mA
カウンター;シンチレーションカウンター
発散スリット;0.5°
散乱スリット;0.5°
受光スリット;0.6mm
走査モード;連続
スキャンスピード;4°/min
スキャンステップ;0.02°
走査範囲;5〜50°
【0065】
5)溶融粘度安定性
レオメトリックス社のRAA型流動解析装置を用い窒素気流下、せん断速度1rad/sec、300℃で溶融粘度を30分間測定、粘度の変化の絶対値を溶融粘度で除し、1分あたりの変化率を求め、この値を溶融粘度安定性とした。芳香族ポリカーボネートの長時間安定性が良好であるためには、この値が0.5%をこえてはならない。
【0066】
6)色相測定;
射出成形機によりシリンダー温度300℃、金型温度80℃の条件で、成形して得た色見本板の色相(カラーL,a,b)を色差計で測定し評価した。装置は日本電色(株)製Z−1001DP色差計を使用した。
【0067】
7)フェノール性末端基濃度、アリールオキシ末端数の定量
ポリマーのサンプル0.02gを0.4mlの重クロロフォルムに溶解し20℃でH−NMR(日本電子社製EX−270)を用いて、フェノール性末端基濃度を測定した。
またアリールオキシ末端基数は、固有粘度[η]より次式で求めた全末端基数とフェノール性末端基数の差として計算した。
全末端基数=56.54/[η]1.4338
【0068】
8)高温高湿処理後の白点個数の測定;
過酷な雰囲気下に長時間放置した時の白点の増加を再現する為に、ディスクを温度80℃、相対湿度85%に制御した恒温恒湿槽に1,000時間保持し、その後偏光顕微鏡を用いて20μm以上の白点の数を数えた。これを25枚の光学用ディスク基板(直径120mm)について行い、その平均値を求め、これを白点個数とした。これが1個/枚以下であれば合格と判定した。
【0069】
9)歪点の検出
歪点−1;ディスク基板25枚を偏光顕微鏡で観察、屈折率異常点の数を計数、
これを歪点−1とし、1枚当りの平均値を求めた。これが1個/枚以下であれば合格と判定した。
歪点−2;厚さ2mm、50cm×50cmの押し出しシート、10枚を偏光顕微鏡で観察、屈折率異常点の数を計数、これを歪点−2とし、1枚当りの平均値を求めた。これが3個/枚以下であれば合格と判定した。
【0070】
10)耐衝撃性
アイゾット衝撃強度 ASTM D−256(ノッチ付き)によって評価した。 ポリマーを120℃、高真空下で12時間乾燥した後、金型で3.2mmの射出成形試験片を作成しアイゾット衝撃強度を測定した。
【0071】
11)発光物質の数の測定;
クラス1000以上のクリーンルーム中ポリカーボネート樹脂1kgを20Lの塩化メチレン中に溶解し、10μmフィルターにより常温常圧でろ過し、フィルター上の残存物を乾燥して、波長380nmの光の照射により発光する物質の数を光学顕微鏡にて観察して計測した。
【0072】
原料精製例
1)ビスフェノールA:
市販ビスフェノールA(以下BPAと略する)を5倍量のフェノールに溶解、40℃でBPAとフェノールとのアダクト結晶を作成、得られたアダクト結晶を5.33kPa(40Torr)、180℃でBPA中のフェノール濃度が3%に成るまでフェノールを除去し、次いでスチームストリッピングによりフェノールを除去した。次いで減圧装置、冷却装置を備えた容器に上記BPAを仕込み、窒素雰囲気下で圧力13.3Pa(0.1Torr)、温度139℃にて昇華して精製した。昇華精製を2回繰り返し行い精製BPAを得た。
【0073】
2)ジフェニルカーボネート
原料ジフェニルカーボネート(以下DPCと略する)を“プラスチック材料講座 17 ポリカーボネート 著者 立川利久ほか(日刊工業新聞社) 45ページ記載の方法に従い温水(50℃)洗浄を3回繰り返し、乾燥後、減圧蒸留を行い167〜168℃/2.000kPa(15mmHg)の留分を採取し、さらに上記と同様の昇華精製を行い、DPC精製物を得た。
以上のように調製したBPA、DPC中の金属含有量を下記表1に示す。
【0074】
【表1】
Figure 0004886148
【0075】
実施例1(PC−1の製造)
微細結晶性粒子にかかるポリカーボネートの製造は以下のように行った。攪拌装置、精留塔および減圧装置を備えた反応槽に、原料として上記の精製BPAを137重量部および精製DPCを135重量部、重合触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩4.1×10−5重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5.5×10−3重量部を仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
40rpmの回転速度で攪拌下、反応槽内を13.3kPa(100mmHg)に減圧し、生成するフェノールを溜去しながら20分間反応させた。
次に200℃に昇温した後、徐々に減圧し、フェノールを溜去しながら4.0kPa(30mmHg)で20分間反応させた。
さらに徐々に昇温、220℃で20分間反応させた。この時点で粘度平均分子量は3,200で、Tcは180℃であった。
次いで反応混合物の温度が、Tc以下とならないように、重合槽加熱ジャケットで240℃に設定昇温した第二重合槽に送液、4.0kPa(30mmHg)で20分間反応させた。この時点で粘度平均分子量は4,800でTcは233℃であった。次いで反応混合物の温度を急速に250℃に昇温、20分間反応させた。この時点で反応混合物の粘度平均分子量は7,000で、Tcは245℃であった。
【0076】
次いで250℃で攪拌速度を30rpmに変更し徐々に減圧度を高め、250℃、減圧度、2.67kPa(20mmHg)で10分間、1.33kPa(10mmHg)で5分間反応を行い、重合反応装置内部でもっとも温度の上昇する攪拌翼と反応槽とのせん断部の温度を320℃以下に保つため、回転動力と粘度平均分子量の関係より、粘度平均分子量が8,000になった時点で回転速度を20rpmに低下させた。
その後さらに反応温度を高め260℃で20分間反応させ、270℃に昇温、徐々に減圧度を高め、最終的に270℃/66.7Pa(0.5mmHg)で粘度平均分子量が15,300になるまで反応せしめた。
その後、それぞれにドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を3.6×10−4重量部加え、270℃/66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。最終的に、得られたポリカーボネートは粘度平均分子量が15,300、フェノール性末端基濃度85(eq/ton−PC)、フェノキシ末端基濃度154(eq/ton−PC)、溶融粘度安定性0%であった。微細結晶性粒子含有量は0個/kg−PCであった。
【0077】
比較例1(PC−2の製造)
攪拌装置、精留塔および減圧装置を備えた反応槽に、原料として精製BPAを137重量部および精製DPCを135重量部、重合触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩4.1×10−5重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5.5×10−3重量部を仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
40rpmの回転速度で攪拌下、反応槽内を13.33kPa(100mmHg)に減圧し、生成するフェノールを溜去しながら20分間反応させた。次に200℃に昇温した後、徐々に減圧し、フェノールを溜去しながら4.0kPa(30mmHg)で20分間反応させた。
さらに徐々に昇温、220℃で20分間反応させた。この時点で粘度平均分子量は3,200でTcは180℃であった。次いで重合槽加熱ジャケットで230℃に昇温した第二重合槽に反応混合物を送液、30分間反応させた。この時点での粘度平均分子量4,800で、Tcは233℃であった。此の間、重合槽攪拌軸の一部がTc以下になったと推定される。次いで反応混合物の温度を徐々に20分間かけて250℃に昇温反応させさらに同温度、減圧度で20分間反応を行った。このとき粘度平均分子量は7,000でTcは245℃であった。
【0078】
次いで250℃で回転速度を30rpmに変更、徐々に減圧度を高め、2.67kPa(20mmHg)で10分間、1.3kPa(10mmHg)で5分間反応を続行して粘度平均分子量が8,000になった時点で回転速度を20rpmに低下させた。
その後さらに反応温度を高め、260℃で20分間反応させ、270℃に昇温し、徐々に減圧度を高め、最終的に270℃/66.7Pa(0.5mmHg)で粘度平均分子量が15,300になるまで反応せしめた。
その後、それぞれにドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を3.6×10−4重量部加え、270℃/66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。最終的に、粘度平均分子量が15,300、フェノール性末端基濃度87(eq/ton−PC)、フェノキシ末端基濃度152(eq/ton−PC)、溶融粘度安定性0%であった。微細結晶性粒子含有量は200個/kg−PCであった。微細結晶性粒子の融点は320℃であった。
【0079】
実施例2、比較例2(PC−3、PC−4の製造)
それぞれ実施例1、比較例1において、粘度平均分子量22,500になるまで重合を継続した時点で末端封止剤2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート(SAM)を2.1重量部添加、265℃、133.3Pa(1mmHg)で10分間攪拌、その後溶融粘度安定化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を6.9×10−4重量部を加え、265℃/66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。
最終的に粘度平均分子量22,500、フェノール性末端OH濃度各々30(eq/ton−PC)、32(eq/ton−PC)、フェノキシ末端基濃度各々120(eq/ton−PC)、118(eq/ton−PC)、溶融粘度安定性0%の芳香族ポリカーボネートを得た(それぞれPC−3、PC−4とする)。微細結晶性粒子含有量は夫々0個および203個/kg−PCであった。
実施例1、2、比較例1および2の製造法で得られた芳香族ポリカーボネートの物性を下記表2に示す。
【0080】
【表2】
Figure 0004886148
【0081】
実施例3および比較例3
上記実施例1および比較例1の芳香族ポリカーボネートにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.01重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.08重量%加えた。次に、かかる組成物をベント式二軸押出機(神戸製鋼(株)製KTX−46)によりシリンダー温度240℃で脱気しながら溶融混練し、ペレットを得た。このペレットを用いてDVD(DVD−Video)ディスク基板を成形し、温湿劣化試験を行った。
ディスク基板の成形
住友重機械工業製DISK3 M III 射出成形機にDVD専用の金型を取り付け、この金型にアドレス信号などの情報の入ったニッケル製のDVD用スタンパーを装着し、上記ペレットを自動搬送にて成形機のホッパに投入し、シリンダー温度380℃、金型温度115℃、射出速度200mm/sec、保持圧力3,432kPa(35kgf/cm)の条件で直径120mm、肉厚0.6mmのDVDディスク基板を成形した。
長時間で厳しい温度、湿度条件下での光ディスクの信頼性を試験するために、
芳香族ポリカーボネート光ディスク基板を温度80℃、相対湿度85%で1,000時間保持したのち、以下の測定によって基板を評価した。
それぞれについて歪点の数(ディスク基板の場合;偏光顕微鏡で観察、成形後のディスク基板25枚を観察、屈折率異常点の数を計数し、その平均値を求めた)、白点発生数(偏光顕微鏡を用いて温湿劣化試験後の光ディスク基板を観察し、20μm以上の白点が発生する数を数えた。これを25枚の光ディスク基板(直径120mm)について行い、その平均値を求めた)の値を、下記表3に表す。
【0082】
【表3】
Figure 0004886148
【0083】
実施例4および比較例4
上記実施例2および比較例2の芳香族ポリカーボネートを溶融した後、ギアポンプで定量供給し、成形機のTダイに送った。ギアポンプの手前からトリスノニルフェニルホスファイトを0.003重量%加え、鏡面冷却ロールと鏡面ロールで挟持または片面タッチで厚さ2mmまたは0.2mm、幅800mmのシートに溶融押出した。厚さ2mmの試料につき、歪点−2の数(得られた厚み2mm、50cm×50cmのポリカーボネートシート、10枚を偏光顕微鏡で観察、屈折率異常点の数を計数し、その1枚当りの平均値を求めた。)および破断強度伸度をJIS,K6735に準拠して測定した。結果を下記表4に表す。
【0084】
【表4】
Figure 0004886148
【0085】
実施例5
実施例2のポリカーボネートより得られた芳香族ポリカーボネートシート(2mm厚み)の片面に可視光硬化型プラスチック接着剤[(株)アーデル BENEFIX PC]を塗布し、同じシートを気泡が入らないように一方に押し出すようにしながら積層後、可視光線専用メタルハライドタイプを備えた光硬化装置により5,000mJ/cmの光を照射して得られた積層板の接着強度をJIS K−6852(接着剤の圧縮せん断接着強さ試験方法)に準拠して測定した。その結果、接着強度は10.4MPa(106kgf/cm)であった。
【0086】
実施例6
実施例2のポリカーボネートより得られた厚み0.2mmの芳香族ポリカーボネートシートに、インキ[ナツダ 70−9132:色 136Dスモーク]および溶剤[イソホロン/シクロヘキサン/イソブタノール=40/40/20(wt%)]を混合させて均一にし、シルクスクリーン印刷機で印刷を行い、100℃で60分間乾燥させた。印刷されたインキ面には転移不良もなく、良好な印刷が得られた。
【0087】
実施例7
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンとホスゲンとを通常の界面重縮合反応させて得られたポリカーボネート樹脂(比粘度0.895、Tg175℃)30部、染料としてPlast Red 8370(有本化学工業製)15部および溶剤としてジオキサン130部を混合した印刷用インキを得た。該印刷用インキで印刷された実施例4のポリカーボネートより得られたシート(厚み0.2mm)を射出成形金型内に装着し、ポリカーボネート樹脂ペレット(パンライトL−1225、帝人化成(株)製)を用いて310℃の成形温度でインサート成形を行った。インサート成形後の成形品の印刷部パターンに滲みやぼやけ等の異常もなく、良好な印刷部外観を有したインサート成形品が得られた。
【0088】
実施例8
実施例2のポリカーボネート90重量部および帝人化成製パンライトL−1250 10重量部をベント式2軸押出し機(神戸製鋼製 KTX−46)によりシリンダー温度240℃で脱揮しながら溶融混練し、ペレットを得た。該ペレットを使用し、実施例4と同様にしてシートを作成した。このシートの物性を表4に示す。
【0089】
実施例9
発光する微細粒子に関わるポリカーボネートの製造は以下のように行った。攪拌装置、精留塔および減圧装置を備えた反応槽に、原料として上記精製BPAを137重量部および精製DPCを135重量部、重合触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩4.1×10−5重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5.5×10−3重量部を仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
40rpmの回転速度で攪拌下、反応槽内を13.33kPa(100mmHg)に減圧し、生成するフェノールを溜去しながら20分間反応させた。次に200℃に昇温した後、徐々に減圧し、フェノールを溜去しながら4.0kPa(30mmHg)で20分間反応させた。
【0090】
さらに徐々に昇温、220℃で20分間反応させた。この時点で粘度平均分子量は3,200でTcは180℃であった。次いで反応混合物の温度がTc以下とならないように重合槽加熱ジャケットを240℃に昇温した第二重合槽に送液、20分間反応させた。この時点で粘度平均分子量は4,800でTcは233℃であった。次いで反応混合物の温度を急速に、但し設定温度を超えないように20分間かけ250℃に昇温反応させた、このとき粘度平均分子量7,000でTcは245℃であった。次いで250℃で30rpmの回転速度で攪拌しつつ、徐々に減圧、2.666kPa(20mmHg)で10分間、1.333kPa(10mmHg)で5分間反応を続行し、粘度平均分子量が8,000になった時点で、反応装置内のせん断発熱部の温度が330℃を超えないように、回転速度を20rpmに変更、最終的に260℃/66.7Pa(0.5mmHg)で粘度平均分子量が15,300になるまで反応せしめた。
その後、それぞれにドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を3.6×10−4重量部加え、260℃/66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。最終的に、粘度平均分子量が15,300、フェノール性末端基濃度85(eq/ton−PC)、フェノキシ末端基濃度154(eq/ton−PC)、溶融粘度安定性0%であった。
【0091】
比較例5
芳香族ポリカーボネートの製造は以下のように行った。攪拌装置、精留塔および減圧装置を備えた反応槽に、原料として精製BPAを137重量部および精製DPCを135重量部、重合触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩4.1×10−5重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5.5×10−3重量部を仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
40rpmの回転速度で攪拌下、反応槽内を13.3kPa(100mmHg)に減圧し、生成するフェノールを溜去しながら20分間反応させた。次に200℃に昇温した後、徐々に減圧、フェノールを溜去しながら4.0kPa(30mmHg)で20分間反応させた。
【0092】
さらに徐々に昇温、220℃で20分間、240℃で20分間、260℃で20分間反応させ、その後、270℃でも攪拌速度を40rpmのままで攪拌しつつ、徐々に減圧、2.666kPa(20mmHg)で10分間、1.333kPa(10mmHg)で5分間反応を続行し、次いで減圧度を66.7Pa(0.5mmHg)に減圧、このままの減圧度で、重合反応装置内部でもっとも温度の上昇する攪拌翼と反応槽とのせん断部の温度を350℃になるのもかまわず、回転動力と粘度平均分子量の関係より粘度平均分子量が10,000になった時点でも回転速度を40rpmのままで攪拌しつつ、減圧度を最終的に270℃/66.7Pa(0.5mmHg)で粘度平均分子量が15,300になるまで反応せしめた。
その後、それぞれにドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を3.6×10−4重量部加え、270℃/66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。最終的に得られたポリカーボネートは、粘度平均分子量が15300、フェノール性末端基濃度86(eq/ton−PC)、フェノキシ末端基濃度153(eq/ton−PC)、溶融粘度安定性0%であった。
【0093】
実施例10
実施例において、260℃で20rpmの回転速度に変更した時点で、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製IRGANOX HP2215/FF;0.03重量部(200ppm)を添加、さらに攪拌しつつ、徐々に減圧し、最終的に260℃/66.7Pa(0.5mmHg)で粘度平均分子量が15,300になるまで反応せしめた。
その後、それぞれにドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を3.6×10−4重量部加え、260℃/66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。最終的に、粘度平均分子量が15,300、フェノール性末端基濃度85(eq/ton−PC)、フェノキシ末端基濃度154(eq/ton−PC)、溶融粘度安定性0%であった。
【0094】
実施例11〜12および比較例6
それぞれ実施例9、10および比較例5において、粘度平均分子量22,500になるまで重合を継続し、この時点で末端封止剤2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート(SAM)を2.1重量部添加、265℃、133.3Pa(1mmHg)で10分間攪拌、その後溶融粘度安定化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を6.9×10−4重量部加え、265℃/66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。最終的に粘度平均分子量15,300、フェノール性末端濃度は各々30(eq/ton−PC)、29(eq/ton−PC)、31(eq/ton−PC)、フェノキシ末端基濃度は各々120(eq/ton−PC)、121(eq/ton−PC)、119(eq/ton−PC)溶融粘度安定性0%の芳香族ポリカーボネートを得た。
実施例9〜12で得られた芳香族ポリカーボネートの微細結晶性粒子のX線回折パターンを測定すると、図1に示したように回折角(2θ)が17.180°にメインピークを示した。
実施例9〜12、比較例5および比較例6の製造法で得られた芳香族ポリカーボネートの物性を下記表5に示す。
【0095】
【表5】
Figure 0004886148
【0096】
実施例13〜19および比較例7〜13
上記実施例2の芳香族ポリカーボネートにトリスノニルフェニルホスファイトを0.003重量%、トリメチルホスフェートを0.05重量%となるようにそれぞれ加え、均一に混合した芳香族ポリカーボネートペレットを得た。このペレットおよび表6、7記載の下記記載の記号で示した各成分をタンブラーを使用して均一に混合した後、30mmφベント付き二軸押出機(神戸製鋼(株)製KTX−30)により、シリンダー温度260℃、1.33kPa(10mmHg)の真空度で脱気しながらペレット化し、得られたペレットを120℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG150U型)を使用して、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で測定用の成形片を作成し、実施例13〜19とした。下記の評価を実施した。結果を表6,7中に記載する。同様に比較例2の芳香族ポリカーボネートを用いて同様の操作を行い、比較例7〜13とした。
【0097】
(1)−1 ABS:スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体;サンタックUT−61;三井化学(株)製
(1)−2 AS:スチレン−アクリロニトリル共重合体;スタイラック−AS 767 R27;旭化成工業(株)製
(1)−3 PET:ポリエチレンテレフタレート;TR−8580;帝人(株)製、固有粘度0.8
(1)−4 PBT:ポリブチレンテレフタレート;TRB−H;帝人(株)製、固有粘度1.07
(2)−1 MBS:メチル(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体;カネエースB−56;鐘淵化学工業(株)製
(2)−2 E−1:ブタジエン−アルキルアクリレート−アルキルメタアクリレート共重合体;パラロイドEXL−2602;呉羽化学工業(株)製
(2)−3 E−2:ポリオルガノシロキサン成分およびポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が相互侵入網目構造を有している複合ゴム;メタブレンS−2001;三菱レイヨン(株)製
(3)−1 T:タルク;HS−T0.8;林化成(株)製、レーザー回折法により測定された平均粒子径L=5μm、L/D=8
(3)−2 G:ガラス繊維;チョップドストランドECS−03T−511;日本電気硝子(株)製、ウレタン集束処理、繊維径13μm
(3)−3 W:ワラストナイト;サイカテックNN−4;巴工業(株)製、電子顕微鏡観察により求められた数平均の平均繊維径D=1.5μm、平均繊維長17μm、アスペクト比L/D=20
(4) WAX:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス;ダイヤカルナ−P30;三菱化成(株)製(無水マレイン酸含有量=10wt%)
【0098】
(A)曲げ弾性率
ASTM D−790により、曲げ弾性率を測定した。
(B)ノッチ付衝撃値
ASTM D−256により厚み3.2mmの試験片を用いノッチ側からおもりを衝撃させ衝撃値を測定した。
(C)流動性
シリンダー温度250℃、金型温度80℃、射出圧力98.1MPaでアルキメデス型スパイラルフロー(厚さ2mm、幅8mm)により流動性を測定した。
(D)耐薬品性
ASTM D−638にて使用する引張り試験片に1%歪みを付加し、30℃のエッソレギュラーガソリンに3分間浸漬した後、引張り強度を測定し保持率を算出した。保持率は下記式により計算した。
保持率(%)=(処理サンプルの強度/未処理サンプルの強度)×100
【0099】
【表6】
Figure 0004886148
【0100】
【表7】
Figure 0004886148
【0101】
【図面の簡単な説明】
【図1】 微細結晶性粒子のX線回折パターンである。
【図2】 芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量Mnと微細結晶性粒子を生成しない最低温度(Tc)との関係を示す図である。

Claims (18)

  1. (a)主たる繰返し単位が下記式(1)
    Figure 0004886148
    (式中RおよびRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基または炭素数6〜20のアリールオキシ基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0〜4の数であり、Xは単結合、酸素原子、カルボニル基、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルキリデン基、炭素数6〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のシクロアルキリデン基、炭素数6〜20のアリーレン基または炭素数6〜20のアルキレンアリーレンアルキレン基を表す。)
    で表され、
    (b)芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換触媒の存在下、溶融重縮合させることにより製造され、
    (c)溶融粘度安定性が0.5%以下であり、
    (d)粘度平均分子量が10,000〜100,000であり、
    (e)末端基が実質的にアリールオキシ基(A)とフェノール性OH基(B)とからなり、両者のモル比(A)/(B)が95/5〜40/60であり、そして
    (f)塩化メチレン溶液としたときに公称孔径3μmのフィルターに捕集されかつX線回折パターンを示す微細結晶性粒子の含有量が50個/kgポリマー以下である、
    ことを特徴とする芳香族ポリカーボネート。
  2. 微細結晶性粒子の含有量が30個/kgポリマー以下である請求項1に記載のポリカーボネート。
  3. (g)塩化メチレン溶液としたときに公称孔径10μmのフィルターに捕集されかつ波長380nmの紫外線の照射で発光する長径100μm以下の粒子の含有量が100個/kgポリマー以下である、
    ことによってさらに特定される請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート。
  4. 上記式(1)で表される主たる繰返し単位が全繰返し単位の少なくとも85モル%を占める請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート。
  5. 上記式(1)において、Xが炭素数2〜20のアルキリデン基でありそしてnおよびmがいずれもゼロである請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート。
  6. 末端基のアリールオキシ基がフェノキシ基である請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート。
  7. 微細結晶性粒子がX線回折パターンにおいて回折角(2θ)17.2°±0.3°にメインピークを持つ請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート。
  8. 請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート100重量部並びに固体フィラー1〜150重量部および/または請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートと異なる熱可塑性樹脂10〜150重量部を含有してなる芳香族ポリカーボネート組成物。
  9. 請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートからなる成形品。
  10. 請求項に記載の芳香族ポリカーボネート組成物からなる成形品。
  11. 請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートからなる光情報記録媒体の基板。
  12. 請求項に記載の芳香族ポリカーボネート組成物からなる光情報記録媒体の基板。
  13. 請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートからなるシート。
  14. 請求項に記載の芳香族ポリカーボネート組成物からなるシート。
  15. 請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの光情報記録媒体の基板の素材としての使用
  16. 請求項に記載の芳香族ポリカーボネート組成物の光情報記録媒体の基板の素材としての使用
  17. 請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートのシートの素材としての使用
  18. 請求項に記載の芳香族ポリカーボネート組成物のシートの素材としての使用
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