JP4700166B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとから芳香族ポリカーボネートを触媒の存在下製造するに当たり、特定構造特性及び色相を有する芳香族ジヒドロキシ化合物を使用する芳香族ポリカーボネートの製造法に関する。さらに詳しくは芳香族ジヒドロキシ化合物として特定粒径分布の球状形状を有し、比表面積、及び細孔容積が特定値以下、さらに好ましくは特定色調の芳香族ジヒドロキシ化合物を使用することによる、芳香族ポリカーボネートの製造法に関する。さらにはその製造法により得られる色調が良好な芳香族ポリカーボネート、およびそれからの耐久性、安定性が良好な成型品、とくに光ディスク基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネートは、色相、透明性、寸法安定性、耐衝撃性に優れたエンジニアリングプラスチックである。近年その用途は多岐にわたり、使用される環境条件も幅広いことから、色相、透明性の一層の向上と、高温高湿条件下の長時間での使用においても上記の特長が維持されるような高い耐久性安定性が要求されている。
【0003】
特に、光ディスク基板用途においては、色相、透明性は重要な品質項目である。即ち従来の芳香族ポリカーボネートから得られる成型品では問題に成らなかった、色相、透明性のレベルに加え、色相、透明性のバラツキも厳しくコントロールする事が求められている。
【0004】
さらに近年の高密度化・大容量化と共に、使用される温湿度や時間などの環境も厳しくなってきており、十分な信頼性が得られる安定性の高い基板材料が求められている。
【0005】
しかるに、従来の芳香族ポリカーボネートから得られる成型品では、色相、透明性のバラツキ、高温高湿条件下での長時間の使用における分子量の低下や色相悪化、色相、透明性のバラツキ、白化といった劣化が生じ耐久性、安定性の点で問題があることが指摘される。
【0006】
ポリマーの分子量の低下は成型品の耐衝撃性などの機械特性を低下させ、色相や透明性のバラツキ、悪化は芳香族ポリカーボネートを使用する利点を減少させるものであり、特にディスク基板材料としては色相、透明性の変動がが記録再生の信頼性に対して特に問題となる。
【0007】
温湿度による芳香族ポリカーボネートの分子量の低下や、色相悪化、白化といった劣化は、原料から成型品中に混入する微量の不純物、特に金属元素による影響が懸念され、原料に含まれる微量金属の含有量には配慮がなされている。
【0008】
従来、芳香族ジヒドロキシ化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを反応させることによって芳香族ポリカーボネートを製造するに際し、それらの原料を精製して、耐候性の良好な芳香族ポリカーボネートを得る目的でいくつかの精製方法、製造方法が提案されている。
【0009】
たとえば芳香族ジヒドロキシ化合物を晶析・再沈殿する方法(特公昭41−17478号公報)、溶媒接触により抽出精製する方法(特公昭49−39669号公報、特公昭47−10384号公報)、蒸留により分離精製する方法(特公昭63−39611号公報)等が挙げられる。
【0010】
また従来、芳香族ポリカーボネート中の微量金属の含有量に着目した安定性の改善がなされている。しかしいずれの方法においても、湿熱条件下で十分な安定性、耐久性を得ることができないことが指摘される。また、原料中の不純物として言及されている金属元素種も少なく、耐久性に悪影響を及ぼしうる金属元素の一部のみであった。
【0011】
例えば、特開平5−148355号公報では、芳香族ポリカーボネートの耐熱安定性、特に着色性改善に対する金属含量低減の効果について開示されているが、着目されている金属は鉄とナトリウムのみであり、またそれらの含有量は前者5ppm以下、後者1ppm以下と、含有量は高かった。また、特開平6−32885号公報では鉄、クロム、およびモリブデンの合計含有量が10ppm以下、ニッケルおよび銅の合計含有量が50ppm以下である色調・透明性の良好なポリカーボネートについて開示されているが、これらの明細書において最適条件が実現されている実施例においても、ポリマー中に含まれるニッケルが1ppm、銅が1ppmと含有量が高かった。
【0012】
また、特開平9−183895号公報では鉄、クロム、ニッケルの含有量が0〜50ppbである芳香族ジヒドロキシ化合物を原料としたポリカーボネートについて開示されているが、その他の金属種、および使用触媒量と不純物量との関係については触れられていない。
【0013】
これに対し、特開平11−310630号公報では金属不純物のうち鉄分を10ppb、クロマン系不純物を40ppmまで減量することにより製造される芳香族ポリカーボネートの色調、耐熱安定性、ゲルの改良を図り、一応の成果を上げている。
【0014】
しかしながら斯かる精製原料を使用しても、製造される芳香族ポリカーボネートに色調、透明性にバラツキが発生することがあり、解決すべき問題として残されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重合触媒存在下、溶融重縮合させて芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物として、構造特性を規定する事、即ち特定粒度分布の球状形状を有し、比表面積、細孔容積を特定値以下のものを使用することによって、芳香族ポリカーボネートの色調、透明のバラツキを制御するし、耐久性、安定性が良好な成型品、とくに光ディスク基板を得るというものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重合触媒存在下、溶融重縮合させて芳香族ポリカーボネートを製造するに当たり、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物プリルの粒度分布及び比表面積、細孔容積を規定することにより色相、透明性のレベルを良化しうると共に高温高湿条件下での色相、透明性のバラツキを制御しうる事を見出し本発明にいたった。
【0017】
すなわち本発明は、ア)含窒素塩基性化合物およびまたは含リン塩基性化合物10〜1000μ化学当量/芳香族ジヒドロキシ化合物類1モル、およびイ)アルカリ金属化合物、およびまたはアルカリ土類金属化合物0.05〜5μ化学当量/芳香族ジヒドロキシ化合物類1モル含有する触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを、重縮合させる芳香族ポリカーボネートの製造方法において、芳香族ジヒドロキシ化合物類として球状プリルでかつ直径0.1〜3mmのプリルの分布割合が70wt%以上、比表面積≦0.2m2/g、かつ細孔容積≦0.1ml/gのものを使用する事を特徴とするポリカーボネートの製造方法である。
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における芳香族ポリカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重縮合させることにより得られる、主たる繰り返し構造が下記式(1)、
【0019】
【化1】
Figure 0004700166
【0020】
(式中のR1、R2はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、をあらわし、m、nは1〜4の整数である。Xは単結合、酸素原子、カルボニル基、炭素数1〜20のアルキレン基、アルキリデン基、炭素数6〜20のシクロアルキレン基、シクロアルキリデン基または炭素数6〜20のアリーレン基を表す。)
であらわされる、分子量10000から35000の芳香族ポリカーボネートである。
【0021】
本発明で使用する芳香族ジヒドロキシ化合物は、下記式(2)で表される。
【0022】
【化2】
Figure 0004700166
【0023】
(式中のR1、R2、m、n、およびXは上記式(1)と同じ。)
芳香族ジヒドロキシ化合物は、たとえば2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン(以下BPAと略す)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシー3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシー3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等及びその芳香環に例えばアルキル基、アリール基等が置換されたものがあげられ、なかでもコスト面からBPAが特に好ましい。これらは単独で用いてもまたは二種以上併用してもよい。
【0024】
また炭酸ジエステルとしては例えばジフェニルカーボネート(以下DPCと略称)、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート等があげられ、なかでもコスト面からDPCが好ましい。
【0025】
このような芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを芳香族ポリカーボネートの原料として用いる場合、不純物として含まれる微量金属元素は、存在化学種の明確な化学構造、寄与形式は不明だが、製造される芳香族ポリカーボネートの耐久性や色調、透明性に悪影響を与えるため制御しておくのが好ましい。
【0026】
本発明では、芳香族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを、加熱溶融下、重縮合させて芳香族ポリカーボネートを製造するに際して、
ア)含窒素塩基性化合物およびまたは含リン塩基性化合物を10〜1000μ化学当量/芳香族ジヒドロキシ化合物類1モル、およびイ)アルカリ金属化合物、およびまたはアルカリ土類金属化合物を、0.05〜5μ化学当量/芳香族ジヒドロキシ化合物類1モル含有する触媒の存在下、重縮合させ、ポリカーボネートを製造する方法において、芳香族ジヒドロキシ化合物として直径0.1〜3mmの球状のもの分布割合が70wt%以上でありかつ比表面積≦0.2m2/g、細孔容積≦0.1ml/gのものを使用する事を特徴とする。
【0027】
芳香族ジヒドロキシ化合物の形状としては当業界でプリルと呼ばれる球状のものであり、該粒径分布として0.1から2mmのものが70wt%以上、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上のものが色相安定性に好ましい。さらに好ましくは、直径0.1mm以下のものの分布が10wt%以下、さらに好ましくは5wt%以下、特に好ましくは3wt%以下である。
【0028】
芳香族ジヒドロキシ化合物プリルの、BET法により測定した比表面積(m2/g)に関しては、0.2m2/g以下である事が好ましく、さらに好ましくは0.1m2/g以下の比表面積を有するものである。
【0029】
芳香族ジヒドロキシ化合物プリルの細孔容積は、水銀圧入法により測定した半径100nm〜6μmのピークを粒子細孔分布と判定しこれより細孔容積を求めた値である。
【0030】
この値が0.1ml/g以下である事が好ましく、さらに好ましくは0.06ml/g以下、さらに好ましくは0.04ml/g以下、特に好ましくは0.03ml/g以下の範囲である。
【0031】
これらの値が該範囲にあることにより芳香族ポリカーボネートの色調、透明性のレベルが良好であると共に、色調、透明性のレベルの変動も少ない良好なものとなる。
【0032】
なおもう一方の芳香族ポリカーボネート原料である炭酸ジエステルにつても固体状態の原料を使用する場合芳香族ジヒドロキシ化合物プリルと同様に、比表面積、細孔容積は小さいほど好ましいが、炭酸ジエステルの場合芳香族ジヒドロキシ化合物に比較、安定性が良好であるため、芳香族ジヒドロキシ化合物のごとく厳密に制御する必要性は小さい。又融液として原料が供給されることも多いのでこの場合当然ながら比表面積、細孔容積を考慮する必要性は小さい。
【0033】
芳香族ジヒドロキシ化合物プリルについて上記効果が発現する理由は明確でないが、芳香族ジヒドロキシ化合物品質悪化因子が、剤表面、とりわけ細孔内部に取り込まれ、芳香族ジヒドロキシ化合物品質を悪化させるものと推定される。
【0034】
さらに好ましい実施態様においては、芳香族ジヒドロキシ化合物の色相に関し、カラーL値は80以上、カラーb値は2以下である事が好ましい。さらに好ましくはカラーL値は83以上、カラーb値は1.5以下、さらに好ましくはカラーL値は85以上、カラーb値は1以下の範囲である。とりわけ好ましくはカラーL値は85以上、カラーb値は0.5以下の範囲である。斯かる範囲に入ることにより色相レベルと共にバラツキ範囲も良好なものとなる。
【0035】
本発明において、製造されるポリカーボネートの耐久性、色調、透明性の及ぼす影響を考え、原料中に不純物として含まれるFe、Cr、Mn、Ni、Pb、Cu、Pd等の遷移金属元素 Si、Al、Ti等の金属、半金族元素の微量金属元素含有量を50ppb以下、さらに好ましくは10ppb以下としたものが推奨される。
【0036】
より耐久性に優れた芳香族ポリカーボネートを得るために、芳香族ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステル類に含まれる、大きなエステル交換能を有するアルカリ金属元素及び又はアルカリ土類金属元素の含有量は0〜60ppbであることが好ましい。
【0037】
また、耐久性により優れた芳香族ポリカーボネートを得るために、芳香族ジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル中の、アルカリ金属元素及び又はアルカリ土類金属元素の含有量が80ppb以下、かつ遷移金属元素濃度が10ppb以下である事が好ましい。
【0038】
さらに炭酸ジエステル、芳香族ジヒドロキシ化合物中含有される上記金属、半金族元素含有濃度が20ppb以下であることを特徴とする方法が好ましい。
【0039】
原料としてこのような遷移金属元素、金属、或いは半金族元素の含有量は低いほど好ましいが従来の技術の限界である10ppb以下である芳香族ジヒドロキシ化合物、および炭酸ジエステルを使用することで、優れた耐久性をもつ芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
る。
【0040】
本発明において、遷移金属、金属、半金族元素不純物の含有量が低減された芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを得るためには、公知の精製方法、例えば、蒸留、抽出、再結晶、昇華などの種々の精製法を用いることができる。
とくには原料を昇華温度付近で、ゆっくり昇華させることによって精製するのが好ましく、また、昇華に加えてさらに上記の精製法を種々組み合わせることがより好ましい。これらの方法によって従来は金属不純物含有量がppmレベルであったのに対し、その1000分の1以下であるppbレベルまで金属不純物含有量を減らすことができる。
【0041】
該芳香族ジヒドロキシ化合物に関し上記粒度分布、構造特性を満たすためには、例えば溶融芳香族ジヒドロキシ化合物をノズルより滴下し液滴を生成、向流冷却不活性ガス中で急冷、100℃/sec以上の冷却速度で冷却固化させた後、篩い分けする方法が容易である。
【0042】
本発明で開示しているポリカーボネート樹脂は、溶融法(エステル交換反応)で製造される。溶融法は常圧および/または減圧窒素雰囲気下で芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを加熱しながら攪拌して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させることで行われる。その反応温度は生成物の沸点等により異なるが、反応により生成するアルコールまたはフェノールを除去するため通常120〜350℃の範囲であり、好ましくは良好な色相や熱安定性が得られる理由で180〜280℃の範囲である。
【0043】
反応後期には系を減圧にして生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応後期の系の内圧は、好ましくは133.3Pa(1mmHg)以下であり、より好ましくは66.7Pa(0.5mmHg)以下である。
【0044】
本発明においては、特定種類の触媒を使用する。すなわち;
ア)含窒素塩基性化合物、及びまたは含リン塩基性化合物及び、イ)アルカリ金属化合物、およびまたはアルカリ土類金属化合物を使用する。
【0045】
これらの触媒として含窒素塩基性化合物およびまたは含リン塩基性化合物の具体例としては、
たとえば含窒素塩基性化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4NOH)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(φ−CH2(Me)3NOH)、などのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類、
テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェノキシド、テトラブチルアンモニウム炭酸塩、ベンジルトリメチルアンモニウム安息香酸塩、などのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する塩基性アンモニウム塩、
トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、などの第三級アミン、あるいはテトラメチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NBH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4NBH4)、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4NBPh4)などの塩基性塩などを挙げることができる。
【0046】
また含リン塩基性化合物の具体例としてはたとえばテトラブチルホスホニウムヒドロキシド(Bu4POH)、ベンジルトリメチルホスホニウムヒドロキシド(φ−CH2(Me)3POH)、などのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するホスホニウムヒドロキシド類、あるいはテトラメチルホスホニウムボロハイドライド(Me4PBH4)、テトラブチルホスホニウムボロハイドライド(Bu4PBH4)、テトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(Me4PBPh4)などの塩基性塩などを挙げることができる。
【0047】
上記含窒素塩基性化合物およびまたは含リン塩基性化合物は、塩基性窒素原子あるいは塩基性リン原子が芳香族ジヒドロキシ化合物類、1モルに対し、10〜1000μ化学当量となる割合で用いるのが好ましい。より好ましい使用割合は同じ基準に対し20〜500μ化学当量となる割合である。特に好ましい割合は同じ基準に対し50〜500μ化学当量となる割合である。
【0048】
特にこの時、得られるポリカーボネートの色相を良好にするためには、含窒素塩基性化合物およびまたは含リン塩基性化合物使用量を原料炭酸ジエステル類、および芳香族ジヒドロキシ化合物類中に含有される鉄分合計量;Fe*(wtppbで表す)に対し20×(Fe*)+200μ化学当量を超えないように、使用することが好ましい。特に好ましくは20×(Fe*)+150を超えない範囲である。
【0049】
この理由は明確ではないが、原料炭酸ジエステル、芳香族ジヒドロキシ化合物中含有される鉄分が含窒素塩基性化合物およびまたは含リン塩基性化合物と何らかの相互作用をしてポリカーボネートの色調を悪化させるものと推定される。かかる意味において各種金属不純物含量はできる限り減少させておくのが好ましい。
【0050】
さらに本発明においては、原料中不純物を低減させた効果を、ポリマー色調、安定性に実現するために、上記、含窒素塩基性化合物およびまたは含リン塩基性化合物とともにアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物を併用するが、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物としては、アルカリ金属化合物を含有する化合物が好ましく使用される。かかるアルカリ金属化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物類、1モルに対し、アルカリ金属元素として5×10-8〜5×10-6化学当量の範囲で使用される。かかる量比の触媒を使用することにより、以下継続する末端の封鎖反応、重縮合反応速度を損なうことなく重縮合反応中に生成しやすい分岐反応、主鎖開裂反応や、成形加工時における装置内での異物の生成、焼けといった好ましくない現象を効果的に抑止でき本発明の目的に好ましい。
【0051】
上記範囲を逸脱すると、得られるポリカーボネートの諸物性に悪影響を及ぼしたり、またエステル交換反応が十分に進行せず、高分子量のポリカーボネートが得られない等の問題があり、好ましくない。
【0052】
触媒として本発明に使用される含窒素塩基性化合物およびまたは含リン塩基性化合物としては、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭化水素化合物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化硼素塩、安息香酸塩、燐酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0053】
具体例としては水酸化ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸リチウム、硝酸ルビジウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素カリウム、水素化硼素リチウム、フェニル化硼素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、モノカリウム塩、ナトリウムカリウム塩、フェノールのカリウム塩、などが挙げられる。
【0054】
又本発明においては所望により触媒として使用するアルカリ金属化合物として、(ア)周期律表第14族元素のアート錯体アルカリ金属塩又は(イ)周期律表第14族元素のオキソ酸のアルカリ金属塩を用いることができる。ここで周期律表第14族の元素とは、ケイ素、ゲルマニウム、スズのことをいう。
【0055】
かかるアルカリ金属化合物を重縮合反応の触媒として用いることにより、重縮合反応を迅速にかつ十分に進めることができる利点を有する。又重縮合反応中に進行する分岐反応のような好ましくない副反応を低いレベルに押さえることができる。
【0056】
ここで(ア)の周期律表第14族元素のアート錯体アルカリ金属塩としては、特開平7−268091号公報に記載のものをいうが、具体的にはNaGe(OMe)5、NaGe(OPh)5、LiGe(OBu)5、NaSn(OEt)2(OMe)、NaSn(OPh)5などを挙げることができる。
【0057】
又(イ)周期律表第14族元素のオキソ酸のアルカリ金属塩としてはたとえばケイ酸、スズ酸、ゲルマニウム(II)酸、ゲルマニウム(IV)酸のアルカリ金属塩を好ましいものとしてあげることができる。
【0058】
これらの具体例としてはオルトケイ酸テトラナトリウム、モノスズ酸ジナトリウム、ゲルマニウム(II)酸モノナトリウム(NaHGeO2)、オルトゲルマニウム(IV)酸ジナトリウム、オルトゲルマニウム(IV)酸テトラナトリウム、ジゲルマニウム(IV)酸ジナトリウム、(Na2Ge25)、を挙げることができる。
【0059】
本発明の重縮合反応には、上記触媒と一緒に、必要により周期律表第14属元素のオキソ酸、酸化物および同元素のアルコキシド、フェノキシドより成る群から選ばれるすくなくとも、一種の化合物を助触媒として共存させることができる。
これらの助触媒を特定の割合で用いることにより末端の封鎖反応、重縮合反応速度を損なうことなく重縮合反応中に生成しやすい分岐反応、主鎖開裂反応や、成形加工時における装置内での異物の生成、焼けといった好ましくない現象を効果的に抑止でき本発明の目的に好ましい。
【0060】
周期律表第14族のオキソ酸としては、たとえばケイ酸、スズ酸、ゲルマニウム酸を挙げることができる。
【0061】
周期律表第14族の酸化物としては、二酸化珪素、二酸化スズ、二酸化ゲルマニウム、シリコンテトラメトキシド、シリコンテトラフェノキシド、テトラエトキシスズ、テトラノニルオキシスズ、テトラフェノキシスズ、テトラブトキシゲルマニウム、テトラフェノキシゲルマニウム、およびこれらの縮合体を挙げることができる。
【0062】
助触媒は重縮合反応触媒中のアルカリ金属元素1モル原子当たり、周期律表第14族の元素が50モル原子以下となる割合で存在せしめるのが好ましい。同金属元素が50モル原子を超える割合で助触媒を用いると、重縮合反応速度が遅くなり好ましくない。
【0063】
助触媒は、重縮合反応触媒のアルカリ金属元素1モル原子当たり助触媒としての周期律表第14族の元素が0.1〜30モル原子となる割合で存在せしめるのが更にこのましい。
【0064】
ナトリウム化合物は、ナトリウム以外のアルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物に比べて、製造される芳香族ポリカーボネートの耐久性に与える影響が少ないことから、本発明において耐久性に優れた芳香族ポリカーボネートを得るために、触媒としてナトリウム化合物を使用することが好ましい。
【0065】
本発明におけるこれらの重合触媒の使用量は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物を使用する場合は、芳香族ジヒドロキシ化合物類1モルに対し0.05〜5μ化学当量、好ましくは0.07〜3μ化学当量、特に好ましくは0.07〜2μ化学当量の範囲で選択される。
【0066】
本発明においては、分子量の低下や着色の起こりにくい良好な安定性をもつ芳香族ポリカーボネートを得るために、重合後の該ポリマーの各種状況下の安定性を良好なものとするため、溶融ポリマーの溶融粘度安定性に注目し、この値を0.5%以下にすることが必須であり、そのために特に重合後に溶融粘度安定化剤を用いることが好ましい。なお溶融粘度安定性は、窒素気流下、せん断速度1rad/sec、300℃で30分間測定した溶融粘度の変化を絶対値で評価し、1分間あたりの変化率であらわす。
【0067】
本発明における溶融粘度安定化剤は、芳香族ポリカーボネート製造時に使用する重合触媒の活性の一部または全部を失活させる作用もある。
【0068】
溶融粘度安定化剤を添加する方法としては、例えば、反応生成物である芳香族ポリカーボネートが溶融状態にある間に添加してもよいし、一旦芳香族ポリカーボネートをペレタイズした後、再溶解し添加しても良い。前者においては、反応槽内または押し出し機内の反応生成物である芳香族ポリカーボネートが溶融状態にある間に添加してもよいし、また重合後得られた芳香族ポリカーボネートが反応槽から押し出し機を通ってペレタイズされる間に、溶融粘度安定化剤を添加して混練することもできる。
【0069】
溶融粘度安定化剤としては、公知のいかなる剤も使用できるが、得られるポリマーの色相や耐熱性、耐沸水性などの物性の向上に対する効果が大きい点から、有機スルホン酸の塩、有機スルホン酸エステル、有機スルホン酸無水物、および有機スルホン酸ベタインなどのスルホン酸化合物を使用することが好ましい。なかでもスルホン酸のホスホニウム塩および/またはスルホン酸のアンモニウム塩を使用することが好ましい。そのなかでも特に、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩やパラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩などが好ましい例として挙げられる。
【0070】
上記の方法により本発明の耐久性、安定性に優れた重合体が得られるが、これを用いて各種成形品を成形する場合に用途に応じて従来公知の加工安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤などを添加してもよい。
【0071】
また、本発明の芳香族ポリカーボネートの分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、トリメチルホスフェートおよびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部が更に好ましい。
【0072】
また、本発明の芳香族ポリカーボネートには溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。かかる離型剤としては、オレフィン系ワックス、カルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる離型剤の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましい。
【0073】
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価又は多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルであるのが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。かかる離型剤の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましい。
【0074】
更に、本発明の芳香族ポリカーボネートに本発明の目的を損なわない範囲で、剛性などを改良する為に無機および有機充填材を配合することが可能である。かかる無機充填材としてはタルク、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の板状または粒状の無機充填材やガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ワラストナイト、カーボン繊維、アラミド繊維、金属系導電性繊維等の繊維状充填材、架橋アクリル粒子、架橋シリコーン粒子等の有機粒子を挙げることができる。これら無機および有機充填材の配合量は本発明の芳香族ポリカーボネート100重量部に対して1〜150重量部が好ましく、3〜100重量部が更に好ましい。
【0075】
また、本発明で使用可能な無機充填材はシランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。この表面処理により、芳香族ポリカーボネートの分解が抑制されるなど良好な結果が得られる。
【0076】
本発明の芳香族ポリカーボネートには、他の樹脂を本発明の目的が損なわれない範囲であれば配合することもできる。
【0077】
かかる他の樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0078】
本発明で製造されるポリカーボネートから射出成形法などにより、耐久性、安定性が良好な成形品を得ることができる。
【0079】
本発明の芳香族ポリカーボネートは、上記の特定不純物を特定値以下に抑えることで、該ポリマーの耐久性、特に厳しい温湿条件下での長時間の耐久性を保持する効果が得られ、該ポリマーを使用して得られたコンパクトディスク(CD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW等、マグネット・オプティカルディスク(MO)等、デジタルバーサタイルディスク(DVD−ROM、DVD−Video、DVD−Audio、DVD−R、DVD−RAM等)で代表される高密度光ディスク用の基板は長期に渡って高い信頼性が得られる。特にデジタルバーサタイルディスクの高密度光ディスクに有用である。
【0080】
本発明で製造される芳香族ポリカーボネート樹脂からのシートは、接着性や印刷性の優れた芳香族ポリカーボネートシートであり、その特性を生かして電気部品、建材部品、自動車部品等に広く利用され、具体的には各種窓材即ち一般家屋、体育館、野球ドーム、車両(建設機械、自動車、バス、新幹線、電車車両等)等の窓材のグレージング製品、また各種側壁板(スカイドーム、トップライト、アーケード、マンションの腰板、道路側壁板)、車両等の窓材、OA機器のデイスプレーやタッチパネル、メンブレンスイッチ、写真カバー、水槽用ポリカーボネート樹脂積層板、プロジェクションテレビやプラズマディスプレイの前面板やフレンネルレンズ、光カード、光ディスクや偏光板との組合せによる液晶セル、位相差補正板等の光学用途等に有用である。かかる芳香族ポリカーボネートシートの厚みは特に制限する必要はないが、通常0.1〜10mm、好ましくは0.2〜8mm、0.2〜3mmがが特に好ましい。また、かかる芳香族ポリカーボネートシートに、新たな機能を付加する各種加工処理(耐候性を改良するための各種ラミネート処理、表面硬度改良のための耐擦傷性改良処理、表面のしぼ加工、半および不透明化加工等)を施してもよい。
【0081】
本発明の芳香族ポリカーボネートに前記の各成分を配合するには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、溶融押出法でシート化する。
【0082】
なお本発明記載の粒度分布、構造特性、さらに好ましくは色相、金属不純物を抑制した、高純度芳香族ジヒドロキシ化合物類を使用し、いわゆる界面重合法により芳香族ポリカーボネートを製造しても、色相、安定性等の品質良好な芳香族ポリカーボネートが製造されることは言うまでもない。
【0083】
本発明で製造される芳香族ポリカーボネートから射出成形法などにより、耐久性、安定性が良好な成形品を得ることができる。
【0084】
本発明で製造される芳香族ポリカーボネートはいかなる用途に使用してもよく、特に光ディスク基板材料として用いることが好ましい。
【0085】
その他、本発明の芳香族ポリカーボネート、或いは本発明記載の不純物量を規制した芳香族ジヒドロキシ化合物類より製造された芳香族ポリカーボネートは、シート、レンズ等の透明樹脂用途に好適に使用される。
【0086】
【実施例】
以下に実施例をあげて更に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なおビスフェノールA、ジフェニルカーボネート、およびポリカーボネートの試験方法は以下の方法によった。
【0087】
1)粘度平均分子量(Mw):塩化メチレン中、20℃でウベローデ粘度計で測定した固有粘度([η])より、以下の式によって求めた。
[η]=1.23×10-4Mw0.83
【0088】
2)BET比表面積測定法
装置;日本ベル(株)製高精度全自動ガス吸着装置「BELSORP 36」
吸着ガス;Kr
死容積;He
吸着温度:液体窒素温度(77K)
測定前処理:50℃、減圧脱揮(到達真空度〜1Pa)
測定モード:等温での吸着
測定範囲:相対圧(P/P0)=0.01〜0.4
平衡時間=各平衡相対圧につき180sec
測定法:試料0.2〜0.5gを精秤後試料管に封入測定、BET理論を適用、同理論が成り立ちBETプロットが直線となる相対圧(P/P0)範囲0.05〜0.30の範囲を解析、比表面積を求めた。
【0089】
3)細孔容積の測定
装置:マイクロメリテックス社製 ポアサイザー9320
測定圧力範囲;約0.37kPa〜207Mpa(細孔直径7nm〜400μm)
測定モード:上記圧力範囲の昇圧過程
セル容積:5cm3
測定n数:1及び2
測定:試料0.2〜1.2gを精秤、セルに入れ、減圧下水銀を圧入、試料粒子の変形、粒子間隙を考え、半径100nm〜6μmにつき細孔容積を求めた。
【0090】
4)金属不純物含有量の定量方法
装置;セイコー電子工業(株)製ICP−MS、SPQ9000
サンプル濃度;サンプル(0.5g)を電子工業用イソプロピルアルコール(25g)に溶解、標準試料検量線により定量する。
【0091】
5)ポリカーボネート湿熱劣化試験
厳しい温度、湿度条件下でのポリカーボネートの長時間の耐久性を試験するために、ポリカーボネートをオートクレーブ中、温度80℃、相対湿度85%で1000時間保持し、以下の測定によってポリマーを評価した。なお、温度、湿度による劣化による色相の悪化を評価する方法は通常行われないが、厳しい温度、湿度条件における劣化においては妥当な評価方法といえる。
【0092】
5)−1 色相悪化;ポリマーチップの色相を日本電色(株)製Z−1001DP色差計により測定した。サンプル数として10個用意し、該サンプルの平均値としてL値、b値を計算した。
L値が高いほど明度が高く、b値が低いほど黄色着色が少なく好ましいことを示し、通常1以下であれば良好な品質である。b値の増加(表中の△b値)b値の増加のばらつき(表中の△bMax−Min(注))が0〜1.0であれば厳しい温湿条件での長時間使用においても所望の色相安定性を維持しているものと評価した。
注;10個サンプルの△b値の最大値と最小値の差
【0093】
5)−2 透明性;50X50X5mmの平板を住友重機(株)製ネオマットN150/75射出成形機によりシリンダー温度280℃成形サイクル3.5秒で成形し、平板の全光線透過率を日本電色(株)製NDH−Σ80により測定した。全光線透過率が高いほど、透明性がよいことを示し、90%以上であれば厳しい温湿条件での長時間使用においても所望の透明性を維持しているものと評価した。
【0094】
5)−3 耐衝撃性の湿熱安定性:アイゾット衝撃強度ASTMD D−256(ノッチ付き)によって評価した。ポリマーを120℃、高真空下で12時間乾燥した後、金型で3.2mmの射出成形試験片を作成した。これを湿熱劣化試験後、1000時間アイゾット衝撃強度の保持率を求めた。保持率が90%以上であれば長時間の湿熱条件で所望の強度が維持されているものと判断した。
【0095】
6)プリル色相:ポリマーチップの色相に習い、日本電色(株)製Z−1001DP色差計により測定した。L値が高いほど明度が高く、b値が低いほど黄色着色が少なく好ましいことを示す。
【0096】
[ビスフェノールAとジフェニルカーボネートの調製]
1)ビスフェノールAの精製:
市販ビスフェノールAを5倍量のフェノールに溶解、40℃でビスフェノールAとフェノールとのアダクト結晶を作成、得られたアダクト結晶を5.33kPa(40Torr)、180℃でビスフェノール中のフェノール濃度が3%に成るまでフェノールを除去し、次いでスチームストリッピングによりフェノールを除去した。次いで減圧装置、冷却装置を備えた容器に上記ビスフェノールAを仕込み、窒素雰囲気下で圧力13.3Pa(0.1Torr)、温度139℃にて昇華して精製した。昇華精製を2回繰り返し行い精製ビスフェノールAを得た。下記表1に市販ビスフェノールA、および精製ビスフェノールAにおける金属不純物量を示す。
【0097】
【表1】
Figure 0004700166
【0098】
2)ビスフェノールA:プリル−(a)
上記精製ビスフェノールAを170℃に加熱融解し、0.3mm径のノズルより加圧滴下させ、液滴を作成、77Kの冷却窒素ガスと向流接触、冷却速度100℃/sec以上で冷却し、0.2mm以下、3mm以上のものを篩い分け除去し、平均粒径1.5mmのプリルを得た。
【0099】
3)ビスフェノールA:プリル−(b)
上記精製ビスフェノールAの融液を径0.5mmのノズルより加圧滴下させ、液滴を作成、77Kの冷却窒素ガスと向流接触、冷却速度100℃/sec以上で冷却し、0.2mm以下、3mm以上のものを篩い分け除去し、平均粒径2.2mmのプリルを得た。
【0100】
4)ビスフェノールA:プリル−(c)
精製ビスフェノールAの融液を径0.5mmのノズルより加圧滴下させ、液滴を作成し、0℃の冷却窒素ガスと向流接触、冷却速度100℃/sec以下でゆっくり冷却し、0.2mm以下、3mm以上のものを篩い分け除去し、平均粒径2.3mmのプリルを得た。
【0101】
以上の原料ビスフェノールAおよび精製ビスフェノールAのプリル−(a)、(b)、(c)の物性を下記表2に示す。
【0102】
【表2】
Figure 0004700166
【0103】
5)ジフェニルカーボネートの精製(a)
減圧装置、冷却装置を備えた容器にジフェニルカーボネート(精製前)を仕込み、窒素雰囲気下で圧力13.3Pa(0.1Torr)、温度74℃にて昇華してジフェニルカーボネートの精製物(a)を得た。
【0104】
6)ジフェニルカーボネートの精製(b)
原料ジフェニルカーボネートを“プラスチック材料講座 17 ポリカーボネート 著者 立川利久ほか(日刊工業新聞社)〃45ページ記載の方法に従い温水(50℃)洗浄を3回繰り返し、乾燥後、減圧蒸留を行い167−168℃/2.000kPa(15mmHg)の留分を採取し、さらに上記5)と同様の昇華精製処理を行い、ジフェニルカーボネートの精製物(b)を得た。
【0105】
上記のように製造し、次いで精製したジフェニルカーボネートに含まれる金属不純物を上記の方法で測定し、結果を表3に示した。
【0106】
【表3】
Figure 0004700166
【0107】
[実施例1〜2、比較例1]
芳香族ポリカーボネートの製造を以下のように行った。攪拌装置、精留塔および減圧装置を備えた反応槽に、原料として精製ビスフェノールA−プリル(a)(実施例1)、精製ビスフェノールA−プリル(b)(実施例2)、精製ビスフェノールA−プリル(c)(比較例1)を137重量部、および精製ジフェニルカーボネート−(b)を135重量部、重合触媒としてビスフェノールAジナトリウム塩8.2×10-5重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、5.5×10-3重量部を仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。攪拌下、反応槽内を13.33kPa(100mmHg)に減圧し、生成するフェノールを溜去しながら20分間反応させた。次に200℃に昇温した後、徐々に減圧し、フェノールを溜去しながら4.000kPa(30mmHg)で20分間反応させた。さらに徐々に昇温し220℃で20分間、240℃で20分間、265℃で20分間反応させ、その後、265℃で徐々に減圧し2.666kPa(20mmHg)で10分間、1.333kPa(10mmHg)で5分間反応を続行し、最終的に265℃/66.7Pa(0.5mmHg)で粘度平均分子量が15300に成るまで反応を継続した。この時点で末端封止剤2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート(SAM)を1.70重量部添加、265℃、133.3Pa(1mmHg)で10分間攪拌、その後溶融粘度安定化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を6.9×10-4重量部を加え、265℃/66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。最終的に粘度平均分子量15300、末端OH濃度60、フェノキシ末端基濃度179(eq/ton−PC)溶融粘度安定性、0の芳香族ポリカーボネートを得た。
【0108】
[参考例1及び2:ポリマーの製造]
ホスゲン吹き込み管、温度計及び攪拌機を設けた、容量5lの反応槽に、原料として原料ビスフェノールA(参考例1)、或いはビスフェノールA−プリル(a)(参考例2)の、502、8g (2.21モル)、7.2%水酸化ナトリウム水溶液、2.21l (水酸化ナトリウム 4.19モル)及び、ハイドロサルファイトナトリウム、0.98g (0.0056モル)を仕込んで溶解し、攪拌下、塩化メチレン、1.27l及び48.5%水酸化ナトリウム水溶液、80.70g (水酸化ナトリウム、0.98モル)を加えた後、ホスゲン、250.80g (0.253モル)を25℃で180分かけて加え、ホスゲン化反応を行った。
【0109】
ホスゲン化終了後p−tert−ブチルフェノール、17.51g (0.117モル)、及び48.5%水酸化ナトリウム水溶液、80.40g (0.97モル)及び触媒としてトリエチルアミン、1.81ml (0.013モル)を加え、33℃に保持し、2時間攪拌して反応を終了させた。反応混合液より、塩化メチレン層を分離し、水洗を5回繰り返し精製して、粘度平均分子量15,300のポリカーボネート樹脂を得た。得られた芳香族ポリカーボネートにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.01重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.08重量%加え、2軸押し出し機で混練ペレット化した。ポリマー色相として参考例2では参考例1のカラーb値1.1に対し0.7と良好であった。
得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を下記表4にまとめた。
【0110】
[実施例3〜4、比較例2]
実施例1〜2及び比較例1それぞれにおいて、粘度平均分子量22500に成るまで重合を継続、この時点で末端封止剤2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート(SAM)を2.1重量部添加、265℃、133.3Pa(1mmHg)で10分間攪拌、その後溶融粘度安定化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を6.9×10-4重量部を加え、265℃/66.7Pa(0.5mmHg)で10分間攪拌した。最終的に粘度平均分子量15300、末端OH濃度30、フェノキシ末端基濃度120(eq/ton−PC)溶融粘度安定性、0の芳香族ポリカーボネートをそれぞれ得た。
【0111】
得られたポリカーボネート樹脂の上記5)−1〜5)−3の評価結果を下記表4にまとめた。
【0112】
【表4】
Figure 0004700166
【0113】
[実施例5、比較例3]
上記実施例1および比較例1の芳香族ポリカーボネートにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.01重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.08重量%加えた。次に、かかる組成物をベント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−46]によりシリンダー温度240℃で脱気しながら溶融混練し、ペレットを得た。このペレットを用いてDVD(DVD−Video)ディスク基板温湿劣化試験を行った。
【0114】
射出成形機、住友重機械工業製DISK3 M III にDVD専用の金型を取り付け、この金型にアドレス信号などの情報の入ったニッケル製のDVD用スタンパーを装着し、上記ペレットを自動搬送にて成形機のホッパに投入し、シリンダー温度380℃、金型温度115℃、射出速度200mm/sec、保持圧力3432kPa(35kgf/cm2)の条件で直径120mm、肉厚0.6mmのDVDディスク基板を成形した。
【0115】
長時間で厳しい温度、湿度条件下での光ディスクの信頼性を試験するために、芳香族ポリカーボネート光ディスク基板を温度80℃、相対湿度85%で1000時間保持したのち、以下の測定によって基板を評価した。
【0116】
白点発生数:偏光顕微鏡を用いて温湿劣化試験後の光ディスク基板を観察し、20μm以上の白点が発生する数を数えた。これを25枚の光ディスク基板(直径120mm)について行い、その平均値を求め、これを白点個数とした。
【0117】
その結果、実施例5および比較例3の白点数は、各々0.1個および2.2個であった。
【0118】
[実施例6]
上記実施例3の芳香族ポリカーボネートを溶融状態を保ったままギアポンプで定量供給し、成形機のTダイに送った。ギアポンプの手前からトリスノニルフェニルホスファイトを0.003重量%加え、鏡面冷却ロールと鏡面ロールで挟持または片面タッチで厚さ2mmまたは0.2mm、幅800mmのシートに溶融押出した。
【0119】
得られた芳香族ポリカーボネートシート(2mm厚み)の片面に可視光硬化型プラスチック接着剤[(株)アーデル BENEFIX PC]を塗布し、同じシートを気泡が入らないように一方に押し出すようにしながら積層後、可視光線専用メタルハライドタイプを備えた光硬化装置により5,000mJ/cm2の光を照射して得られた積層板の接着強度をJIS K−6852(接着剤の圧縮せん断接着強さ試験方法)に準拠して測定した結果、接着強度が9.91MPa(101Kgf/cm2)であった。
【0120】
一方、厚み0.2mmの芳香族ポリカーボネートシートに、インキ[ナツダ 70−9132:色 136Dスモーク]および溶剤[イソホロン/シクロヘキサン/イソブタノール=40/40/20(wt%)]を混合させて均一にし、シルクスクリーン印刷機で印刷を行い、100℃で60分間乾燥させた。印刷されたインキ面には転移不良もなく、良好に印刷できた。
【0121】
別に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンとホスゲンとを通常の界面重縮合反応させて得られたポリカーボネート樹脂(比粘度0.895、Tg175℃)30部、染料としてPlast Red 8370(有本化学工業製)15部、溶剤としてジオキサン130部を混合した印刷用インキで印刷されたシート(厚み0.2mm)を射出成形金型内に装着し、ポリカーボネート樹脂ペレット(パンライトL−1225 帝人化成製)を用いて310℃の成形温度でインサート成形を行った。インサート成形後の成形品の印刷部パターンに滲みやぼやけ等の異常もなく、良好な印刷部外観を有したインサート成形品が得られた。
【0122】
[実施例7〜13]
上記実施例3の芳香族ポリカーボネートを溶融状態を保ったまま、ギアポンプでエクストルーダーに送った。エクストルーダー途中でトリスノニルフェニルホスファイトを0.003重量%、トリメチルホスフェートを0.05重量%加え、芳香族ポリカーボネートペレットを得た。このペレット及び表5、6記載の下記記載の記号で示した各成分をタンブラーを使用して均一に混合した後、30mmφベント付き二軸押出機(神戸製鋼(株)製KTX−30)により、シリンダー温度260℃、1.33kPa(10mmHg)の真空度で脱気しながらペレット化し、得られたペレットを120℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG150U型)を使用して、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で測定用の成形片を作成し、下記の評価を実施した結果を下記表5および表6に示す。
【0123】
▲1▼−1 ABS:スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体;サンタックUT−61;三井化学(株)製
▲1▼−2 AS:スチレン−アクリロニトリル共重合体;スタイラック−AS 767 R27;旭化成工業(株)製
▲1▼−3 PET:ポリエチレンテレフタレート;TR−8580;帝人(株)製、固有粘度0.8
▲1▼−4 PBT:ポリブチレンテレフタレート;TRB−H;帝人(株)製、固有粘度1.07
▲2▼−1 MBS:メチル(メタ)アクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体;カネエースB−56;鐘淵化学工業(株)製
▲2▼−2 E−1:ブタジエン−アルキルアクリレート−アルキルメタアクリレート共重合体;パラロイドEXL−2602;呉羽化学工業(株)製
▲2▼−3 E−2:ポリオルガノシロキサン成分及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が相互侵入網目構造を有している複合ゴム;メタブレンS−2001;三菱レイヨン(株)製
▲3▼−1 T:タルク;HS−T0.8;林化成(株)製、レーザー回折法により測定された平均粒子径L=5μm、L/D=8
▲3▼−2 G:ガラス繊維;チョップドストランドECS−03T−511;日本電気硝子(株)製、ウレタン集束処理、繊維径13μm
▲3▼−3 W:ワラストナイト;サイカテックNN−4;巴工業(株)製、電子顕微鏡観察により求められた数平均の平均繊維径D=1.5μm、平均繊維長17μm、アスペクト比L/D=20
▲4▼ WAX:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス;ダイヤカルナ−P30;三菱化成(株)製(無水マレイン酸含有量=10wt%)
【0124】
(A)曲げ弾性率
ASTM D790により、曲げ弾性率を測定した。
(B)ノッチ付衝撃値
ASTM D256により厚み3.2mmの試験片を用いノッチ側からおもりを衝撃させ衝撃値を測定した。
(C)流動性
シリンダー温度250℃、金型温度80℃、射出圧力98.1MPaでアルキメデス型スパイラルフロー(厚さ2mm、幅8mm)により流動性を測定した。
(D)耐薬品性
ASTM D638にて使用する引張り試験片に1%歪みを付加し、30℃のエッソレギュラーガソリンに3分間浸漬した後、引張り強度を測定し保持率を算出した。保持率は下記式により計算した。
保持率(%)=(処理サンプルの強度/未処理サンプルの強度)×100
【0125】
【表5】
Figure 0004700166
【0126】
【表6】
Figure 0004700166
【0127】
【発明の効果】
本発明のように、特定粒径分布の球状形状を有し、比表面積、及び細孔容積が特定値以下、さらに好ましくは特定色調である芳香族ジヒドロキシ化合物を芳香族ポリカーボネートの原料に用いることにより、高い耐久性をもちかつ色調、透明性、機械強度に優れた芳香族ポリカーボネートを製造することができる。本発明によって製造される芳香族ポリカーボネートから得られる成形品は色調、透明性に優れており、特に本発明によって製造されるポリカーボネートを用いて成形されるディスク基板は、厳しい温湿条件での長時間使用においても良好な安定性を維持することができ、従来の芳香族ポリカーボネートから得られるディスク基板に比べ、高い信頼性を得ることができる。

Claims (2)

  1. ア)含窒素塩基性化合物およびまたは含リン塩基性化合物10〜1000μ化学当量/芳香族ジヒドロキシ化合物類1モル、およびイ)アルカリ金属化合物、およびまたはアルカリ土類金属化合物0.05〜5μ化学当量/芳香族ジヒドロキシ化合物類1モル含有する触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを、重縮合させる芳香族ポリカーボネートの製造方法において、芳香族ジヒドロキシ化合物として球状プリルでかつ直径0.1〜3mmのプリルの分布割合が70wt%以上、比表面積≦0.2m2/g、かつ細孔容積≦0.1ml/gのものを使用する事を特徴とするポリカーボネートの製造方法。
  2. 上記芳香族ジヒドロキシ化合物としてプリル色相が;カラーL値≧80、カラーb値≦2であることを特徴とする請求項1記載の方法。
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