JP3724905B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。更に詳細には、本発明は、副生フェノールを用いて、高温での改良された溶融安定性を有する芳香族ポリカーボネートを安定して製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、芳香族ポリカーボネートは、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックスとして、多くの分野において幅広く用いられている。この芳香族ポリカーボネートの製造方法については、従来種々の研究が行われ、その中で、芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという。)とホスゲンとの界面重縮合法が工業化されている。
【0003】
しかしながら、この界面重縮合法においては、有毒なホスゲンを用いなければならないこと、副生する塩化水素や塩化ナトリウム及び、溶媒として大量に用いる塩化メチレンなどの含塩素化合物により装置が腐食すること、ポリマー物性に悪影響を及ぼす塩化ナトリウムなどの不純物や残留塩化メチレンの分離が困難なことなどの問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、ホスゲンの替わりにジアリールカーボネートやジアルキルカーボネートを用いて芳香族ポリカーボネートを製造する方法が数多く提案されている。
ジアルキルカーボネートを用いて芳香族ポリカーボネートを製造する方法として、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応による方法や(特開昭57−2334号公報、同60−169444号公報、同60−169445号公報)、ジアルキルカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物の脂肪酸エステルとのエステル交換反応による方法(特開昭59−210938号公報)等が提案されている。このジアルキルカーボネートを用いる方法では、反応の際に、重合系内から脂肪族モノヒドロキシ化合物やその誘導体、及びジアルキルカーボネート等が蒸溜塔の塔頂溜分として溜出するが、これらは通常常温で液体であるため、上記ジアリールカーボネートを用いる方法に比べ、その取扱いは容易である。しかしながら、これらの方法においては、前者の方法は反応が遅くて、高分子量体を得るのが困難である等の欠点を有し、後者の方法は、原料製造時にケテンの様な不安定かつ有毒物質が生成する上に工程が複雑であって、工業プロセスとして満足しうる方法とはいえない。又、ジアルキルカーボネートを用いる方法では、得られる芳香族ポリカーボネートの末端にはアルキルカーボネート基が導入されるが、このアルキルカーボネートを有するポリマーは熱安定性に劣るという品質上の問題も有していた。
【0005】
一方、ジアリールカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物とから、エステル交換反応により芳香族ポリカーボネートを製造する方法は以前から知られており、例えばビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融状態で重合して、芳香族ポリカーボネートを得ることができる。この方法は、高粘度のポリカーボネートの溶融体の中から、芳香族モノヒドロキシ化合物(フェノール等)を留去しなければ重合度が上がらないことから、(1)高温で重合するため、副反応によって分岐や架橋が起こりやすく、品質の良好なポリマーが得にくいこと、(2)着色を免れないこと等、種々の欠点を有していた〔松金幹夫他、プラスチック材料講座〔5〕「ポリカーボネート樹脂」日刊工業新聞社刊行(昭和44年)、第62〜67ページ参照〕。これらの欠点を克服するため、触媒や安定剤、重合方法等に関して数多くの試みがなされている。特に本出願人等は、WO95/03351号明細書において、芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとの溶融混合物、または芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートを反応して得られる重合中間体を、自由に落下させながら重合する方法を開示しており、この方法によれば着色のない高品質のポリカーボネートを製造することが可能である。
【0006】
また、ジアリールカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物から、固相重合により芳香族ポリカーボネートを製造する方法についても本出願人等によって提案されており(USP−4948871号明細書、USP−5204377号明細書、USP−5214073号明細書等)、高品質の芳香族ポリカーボネートが製造できることが開示されている。
【0007】
ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物からジアリールカーボネートを製造し、このジアリールカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物から芳香族ポリカーボネートを製造する方法は、例えば、特開平4−100824号公報の実施例1等により公知である。
ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物からジアリールカーボネートを製造する方法としては、(1)ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物をエステル交換反応させてジアリールカーボネートを製造する方法や、(2)ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物を反応してアルキルアリールカーボネートを得、このアルキルアリールカーボネートを不均化させてジアリールカーボネートを製造する反応等が知られており、これらの反応に関して、触媒(例えば、特開昭51−105032号公報、米国特許第4182726号明細書、西独特許公開公報第2736062号、米国特許第4552704号明細書、特開昭57−176932号公報、特開昭57−183745号公報、米国特許第4410464号明細書、特開昭61−172852号公報)や反応方法等について数多くの提案がなされている。好ましい反応方法として、本出願人等はジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物を連続的に多段蒸留塔に供給し、該塔内で連続的に反応させ、副生するアルコールを含む低沸成分を蒸留によって連続的に抜き出すと共に、生成したアルキルアリールカーボネートを含む成分を塔下部より連続的に抜き出す方法や、アルキルアリールカーボネートを多段蒸留塔内に連続的に供給して蒸留塔内で連続的に反応させ、塔下部からジアリールカーボネートを連続的に抜き出す方法などを提案した(特開平3−291257号公報、特開平4−211038号公報、特開平4−230242号公報、特開平4−235951号公報)。この方法は、芳香族カーボネート類を効率よく、かつ連続的に製造する方法を初めて開示したものであり、その後本出願人の提案をベースとする同様な連続的製造方法として、カラム型反応器内で接触エステル交換させる方法(特開平6−41022号公報、特開平6ー157424号公報、特開平6−184058号公報)や、複数の反応槽を直列につなぐ方法(特開平6−234707号公報、特開平6−263694号公報)、気泡塔反応器を用いる方法(特開平6−298700号公報)、縦長反応槽を用いる方法(特開平6ー345697号公報)等が出願されている。
【0008】
これらの方法で芳香族カーボネート類を工業的に製造する場合、長期間安定に運転する方法についても提案されている。特開平6−157410号公報では、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物から芳香族カーボネート類を製造する際、反応器内の脂肪族アルコール類の濃度を2重量%以下にするように反応器に繋がった蒸留塔から脂肪族アルコールを抜き出す方法が開示され、また特開平6−116210号公報では、アルキルアリールカーボネートからジアリールカーボネートを製造する際、反応器内のジアルキルカーボネートの濃度を2重量%以下にするように反応器に繋がった蒸留塔からジアルキルカーボネートをを抜き出す方法が開示されており、いずれも安定した連続運転ができる事が記載されている。
【0009】
ところで、近年芳香族ポリカーボネートを成形する際、溶融粘度の高い芳香族ポリカーボネートにできるだけ流動性を持たせて精密成形を可能にするため、高温条件で成形することが多くなっている。従って、高温での溶融安定性に優れた芳香族ポリカーボネートを大規模な工業生産で安価に生産することが強く求められていた。しかし、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物からジアリールカーボネートを製造し、得られたジアリールカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物を用いて芳香族ポリカーボネートを製造する方法においては、上記したように、得られるポリカーボネートの品質の改良と安定運転のために種々の提案がなされているが、原料芳香族モノヒドロキシ化合物の品質を制御して、高温での溶融安定性に優れた芳香族ポリカーボネートを、更には、該製造工程において配管の詰まりなどがなく安定に製造しようとする試みは、従来全く報告されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ジアルキルカーボネートとフェノールからジフェニルカーボネートを製造し、得られたジフェニルカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物を重合して芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、高温での溶融安定性に優れた芳香族ポリカーボネートを安定して工業的規模で製造する新規な方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような状況下にあって、本発明者らは、従来技術の上記の問題を解決するために、ジアルキルカーボネートとフェノールを触媒の存在下に反応させてジフェニルカーボネートを製造し、得られたジフェニルカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物を重合して、フェノールを副生しながら、芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、用いる原料フェノールの品質が、製造されるポリカーボネートの品質と製造プロセスの運転の安定性に及ぼす影響について鋭意検討した。その結果、意外にも、ジフェニルカーボネート製造のためのフェノールとして供給源の異なるフェノールの混合物を用い、その際上記芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールを該フェノール混合物の1成分フェノールとして用い、かつ、該フェノール混合物中の副生フェノールの含有量を70〜99%の範囲に制御すると、高温下での溶融安定性に優れた芳香族ポリカーボネートが効率よく得られることを見出した。また、上記フェノール混合物中の芳香族ジヒドロキシ化合物の含有量を少なくすると、製造装置の配管が詰ることがなく、安定に目的芳香族ポリカーボネートが製造できることも見出した。更に、上記のような高温下での溶融安定性の優れた芳香族ポリカーボネートが効率よく得られる原因について鋭意研究した結果、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールが、市販のフェノールに比べてクレゾール(各異性体)及びキシレノール(各異性体)の含有量が少ないことがその原因であることを知見した〔以下、クレゾール(各異性体)を単にクレゾールと記す。キシレノールについても同じ〕。本発明は、これら新しい知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1) 原料ジアルキルカーボネートと、フェノール(a)及びフェノール(a)とは供給源が異なるフェノール(b)からなる原料フェノール混合物とを
(1)多段攪拌槽方式、多段蒸留塔を用いる方式、およびこれらを組み合わせた方式から選ばれた連続式反応器に供給し、
(2)鉛化合物、銅族金属の化合物、亜鉛の錯体、鉄族金属の化合物、ジルコニウム錯体、ルイス酸類化合物、有機スズ化合物、これらの触媒成分が反応系中に存在する有機化合物と反応したもの、および反応に先立って原料や生成物で加熱処理されたもの、から選ばれた触媒を、原料であるジアルキルカーボネート及びフェノールの合計重量に対して、0.0001〜30重量%を使用する該触媒の存在下で、
(3)該原料ジアルキルカーボネートと該原料フェノール混合物を、100〜280℃の範囲の反応温度、13.3Pa〜19.7MPaの範囲の反応圧力下で、0.001〜50時間、反応させてジフェニルカーボネートを得、
(4)この得られたジフェニルカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物を重合器中で、触媒を加えずに、または触媒として、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物類;ホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩;アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化合物類;アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアリーロキシド類;アルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩類;亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、ホスホニウムボレート類などのホウ素の化合物類;ケイ素の化合物類;ゲルマニウムの化合物類;スズの化合物類;鉛の化合物;アンチモンの化合物類;マンガンの化合物類;ジルコニウムの化合物類を、1種または2種以上を組み合わせて用い、これらの触媒の使用量として原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、10 -7 〜10 -1 重量%の範囲から選ばれた触媒の存在下、反応温度として100〜290℃の温度範囲で重合して、フェノールを副生しながら、芳香族ポリカーボネートを製造する方法であって、且つ、
(5)該重合器のベント部に蒸留塔を設置して、重合器から留出するフェノールやジフェニルカーボネート、芳香族ジヒドロキシ化合物類等を該蒸留塔に導入し、蒸留塔のトップからフェノールを回収する方法、および/または、重合器で副生するフェノール等を凝縮器等で一旦回収し、これを蒸留する方法で回収した、該副生フェノールを上記フェノール(b)として使用し、
(6)その際、上記原料フェノール混合物中のフェノール(a)として、市販の工業用フェノールを使用し、
(7)フェノール(b)として用いる副生フェノール中に含まれる不純物である芳香族ジヒドロキシ化合物の含有量が、50重量ppm以下であって、
(8)且つ、上記原料フェノール混合物中のフェノール(b)の含有量を70〜98.5重量%とする
ことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(2) フェノール(b)として用いる副生フェノール中に含まれる不純物であるクレゾール及びキシレノールの合計含有量が、50重量ppm以下であることを特徴とする(1)記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
(3) 原料フェノール混合物中に含まれる不純物であるクレゾール及びキシレノールの合計含有量が、130重量ppm以下であることを特徴とする(1)又は(2)記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
) 原料フェノール混合物中に含まれる不純物である芳香族ジヒドロキシ化合物の含有量が90重量ppm以下であることを特徴とする(1)、(2)又は(3)記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
) 反応器が多段蒸留塔であることを特徴とする(1)、(2)、(3)又は(4)記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法、
である。
【0013】
本発明の方法は、原料ジアルキルカーボネートと原料フェノールを触媒の存在下に反応させてジフェニルカーボネートを得、その際原料フェノールとしてフェノール混合物を用い、得られたジフェニルカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物を重合して、フェノールを副生しながら芳香族ポリカーボネートを製造することを包含し、ジフェニルカーボネート製造のための原料フェノール混合物の1成分フェノールとして上記芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールを用い、且つ、上記原料フェノール混合物中の該副生フェノールの含有量を70〜99重量%の範囲に制御することを特徴とする方法である。本発明の方法においては、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールが、芳香族ポリカーボネートの製造原料であるジフェニルカーボネートの製造に有効に用いられる。それ故、本発明の方法は、特に、改良された溶融安定性を有する芳香族ポリカーボネートの大規模な工業生産において極めて有利に用いることができる。
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の方法においては、上記したように、ジフェニルカーボネートを製造し、ジフェニルカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物を重合して、フェノールを副生しながら、芳香族ポリカーボネートを製造する際に、該ジフェニルカーボネート製造のために原料ジアルキルカーボネートと反応させる原料フェノールとして上記芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールを70〜99重量%含有するフェノール混合物を用いる。本発明の方法によって、高温下での溶融安定性に優れる芳香族ポリカーボネートを安定に製造できる。該原料フェノール混合物において、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールの含有量を90〜98.5重量%の範囲に制御することがより好ましい。
【0015】
その理由は、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールは、通常市販のフェノールに比べて、芳香族ポリカーボネートの高温下での溶融安定性を阻害するようなクレゾール及びキシレノールの含有量が少ないことにあると考えられる。クレゾールやキシレノールの多い一般に市販されているフェノールを原料フェノールとして用いると、最終製品としての芳香族ポリカーボネートの末端にメチルフェニル基や、ジメチルフェニル基が導入され、この末端基が高温での溶融安定性に悪影響を与えると推定される。本発明の方法に用いられる原料フェノール混合物に含まれるクレゾール及びキシレノールの合計含有量は、130重量ppm以下であることが好ましい。
【0016】
一方、本発明の方法は、上記したように、フェニルカーボネートを製造する工程と重合で芳香族ポリカーボネートを製造する工程より成るが、本発明を工業的に実施する場合、この両工程の生産量がバランスしていて両工程が結合して運転されるのが好ましい。この場合、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られるる副生フェノールの割合が原料フェノール混合物の99重量%を超えると、意外にも、芳香族ポリカーボネートの高温下での溶融安定性は損なわれる。この理由については明らかではないが、下記に述べるように芳香族ポリカーボネートの末端構造の差によるものと推定される。すなわち、フェノール(b)(上記副生フェノール)は、ジフェニルカーボネートを製造する工程と重合工程を循環しており、フェノール(a)の量が、▲1▼芳香族ポリカーボネートの末端にフェニルカーボネート基として導入される量と、▲2▼反応や精製等のロスにより消費される量に相当する。原料フェノール混合物中のフェノール(b)(上記副生フェノール)の含有量が99%以上の場合、フェノール(a)の含有量は1%未満となり、上記▲2▼の量が一定とすれば、上記▲1▼の芳香族ポリカーボネート末端の量が相対的に少なくなり、その結果ヒドロキシル末端を多く含むポリマーとなる。このヒドロキシル末端が、高温下での溶融安定性を損なう原因になると推定される。
【0017】
本発明の方法により、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールを、原料フェノール混合物中の副生フェノール濃度が70〜99重量%という特定の範囲になるようにして用いることにより、高温下での溶融安定性に優れた芳香族ポリカーボネートを製造することができる。このことは、従来の技術からは全く予測できないことである。
【0018】
本発明で原料化合物として用いられるジアルキルカーボネートは、下記化1で表わされる。
【0019】
【化1】
Figure 0003724905
【0020】
(R1 、R2 は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の脂環族基、炭素数6〜10のアラールキル基を表し、R1 とR2 はそれぞれ同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。R1 とR2 は互いに結合して環を形成していてもよい。)
このようなR1 、R2 としては、例えばメチル、エチル、プロピル(各異性体)、アリル、ブチル(各異性体)、ブテニル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、シクロヘキシルメチル等のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の脂環族基;ベンジル、フェネチル(各異性体)、フェニルプロピル(各異性体)、フェニルブチル(各異性体)、メチルベンジル(各異性体)等のアラールキル基が挙げられる。なお、これらのアルキル基、脂環族基、アラールキル基において、他の置換基、例えば低級アルキル基、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン等で置換されていてもよいし、不飽和結合を有していてもよい。
【0021】
このようなR1 、R2 を有するジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート(各異性体)、ジアリルカーボネート、ジブテニルカーボネート(各異性体)、ジブチルカーボネート(各異性体)、ジペンチルカーボネート(各異性体)、ジヘキシルカーボネート(各異性体)、ジヘキシルカーボネート(各異性体)、ジヘプチルカーボネート(各異性体)、ジオクチルカーボネート(各異性体)、ジノニルカーボネート(各異性体)、ジデシルカーボネート(各異性体)、ジシクロペンチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジシクロヘプチルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジフェネチルカーボネート(各異性体)、ジ(フェニルプロピル)カーボネート(各異性体)、ジ(フェニルブチル)カーボネート(各異性体)ジ(クロロベンジル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシベンジル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシメチル)カーボネート、ジ(メトキシエチル)カーボネート(各異性体)、ジ(クロロエチル)カーボネート(各異性体)、ジ(シアノエチル)カーボネート(各異性体)、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート(各異性体)、メチルブチルカーボネート(各異性体)、エチルプロピルカーボネート(各異性体)、エチルブチルカーボネート(各異性体)、ジベンジルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が用いられる。
【0022】
これらのジアルキルカーボネートの中で、本発明において好ましく用いられるのは、R1 、R2 がそれぞれ炭素数4以下のアルキル基からなるジアルキルカーボネートであり、特に好ましいのはジメチルカーボネートである。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、次式で示される化合物である。
HO−Ar−OH
(式中、Arは炭素数5〜200を有する2価の芳香族基を表す。)。
【0023】
2価の芳香族基Arは、次式で示されるものが挙げられる。
−Ar1 −Y−Ar2
(式中、Ar1 及びAr2 は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表す。)。
【0024】
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 において、1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良い。
【0025】
複素環式芳香族基の好ましい具体例としては、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を有する芳香族基を挙げる事ができる。
2価の芳香族基Ar1 、Ar2 は、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換または非置換のピリジレンなどの基を表す。ここでの置換基は前述のとおりである。
【0026】
2価のアルカン基Yは、例えば、下記化2で示される有機基である。
【0027】
【化2】
Figure 0003724905
【0028】
(式中、R3 、R4 、R5 、R6 は、各々独立に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜11の整数を表し、R7 およびR8 は、各Xについて個々に選択され、お互いに独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xは炭素を表す。また、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 において、一つ以上の水素原子が反応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えばハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等によって置換されたものであっても良い。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化3で示されるものが挙げられる。
【0029】
【化3】
Figure 0003724905
【0030】
(式中、R9 、R10は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数6〜30のアリール基であって、mおよびnは1〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R9 はそれぞれ同一でも異なるものであってもよいし、nが2〜4の場合には各R10はそれぞれ同一でも異なるものであってもよい。)
さらに、2価の芳香族基Arは、次式で示されるものであっても良い。
−Ar1 −Z−Ar2
(式中、Ar1 、Ar2 は前述の通りで、Zは単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−SO−、−COO−、−CON( R3)−などの2価の基を表す。ただし、R3 は前述のとおりである。)
このような2価の芳香族基Arとしては、例えば、下記化4で示されるものが挙げられる。
【0031】
【化4】
Figure 0003724905
【0032】
(式中、R9 、R10、mおよびnは、前述のとおりである。)
また、2価の芳香族基Arは、例えば、置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のナフチレン、置換又は非置換のビフェニレン、置換又は非置換のピリジレンなどの基であっても良い。ここでの置換基は前述のとおりである。
本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノールAが挙げられる。
本発明の方法では、前述したように原料ジアルキルカーボネートと、原料フェノール混合物を触媒の存在下に反応させてジフェニルカーボネートを得、この得られたジフェニルカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物を重合し、フェノールを副生させながら、芳香族ポリカーボネートを製造するが、該原料フェノール混合物の70〜99重量%が、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノール〔フェノール(b)〕である。該原料フェノール混合物において、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールの含有量を90〜98.5重量%に制御することが更に好ましい。
【0033】
芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノール中に含まれる不純物であるクレゾール及びキシレノールの全含有量は、通常50重量ppm以下であり、40重量ppm以下、更に30重量ppm以下の場合もある。
一方、原料フェノール混合物の他の成分フェノール〔即ち、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールと混合して用いられるフェノール(a)〕としては、上記したフェノール(b)として用いられる、芳香族ポリカーボネート製造の際に得られる副生フェノール以外のフェノールであれば特に限定されず、どのような供給源から得られたフェノールでもよく、又複数の供給源から得たものの混合物でもよいが、通常市販の工業用フェノールが用いられる。市販の工業用フェノールは、通常70〜500重量ppmのクレゾール及び/又はキシレノールを含有している。本発明の方法においては、この市販の工業用フェノールと芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールを混合して原料フェノール混合物として用いる。上記したように、クレゾールやキシレノールを多く含む原料フェノール混合物では高温での溶融安定性の優れた芳香族ポリカーボネートは得られず、この原料フェノール混合物中に含まれる不純物であるクレゾールとキシレノールを合計した含有量は130重量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは110重量ppm以下さらに好ましくは90重量ppm以下である。
【0034】
また、下記に述べる理由により、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノール中に含まれる芳香族ジヒドロキシ化合物の含有量は、50重量ppm以下とすることが好ましく、更に好ましくは40重量ppm以下、更に好ましくは30重量ppm以下である。ここで述べる芳香族ジヒドロキシ化合物とは、前に定義した芳香族ジヒドロキシ化合物と同じである。芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノール中の芳香族ジヒドロキシ化合物類の含有量を50重量ppm以下にする為には、重合器のベント部に蒸留塔を設置して、重合器から留出するフェノールやジフェニルカーボネート、芳香族ジヒドロキシ化合物類等を該蒸留塔に導入し、蒸留塔のトップからフェノールを回収する方法や、重合器で副生するフェノール等を凝縮器等で一旦回収し、これを蒸留する方法等が挙げられる。また、該原料フェノール混合物中に含まれる芳香族ジヒドロキシ化合物類の含有量は、90重量ppm以下であることが好ましく、更に好ましくは70重量ppm以下、特に好ましくは50重量ppm以下である。
【0035】
原料フェノール混合物中に含まれる芳香族ジヒドロキシ化合物類の含有量が90重量ppmを超える場合には、ジフェニルカーボネートを製造するプロセスにおいて、配管の詰まりなどが起こりやすく安定な運転に支障をきたしやすい。
上記したように、本発明の方法によれば、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールを大量に(原料フェノール混合物の70〜99重量%)含有するフェノール混合物の形で使用して、高温での溶融安定性の優れた芳香族ポリカーボネートを製造することができる。この副生フェノールは、連続生産方式を用いて連続的にリサイクルして使用することも出来、またバッチ生産方式で一旦貯槽に貯蔵して使用することもできるが、いずれにしても、本発明の方法は、比較的大規模な工業的生産においてより有利に利用できる。本発明の方法が適用される製造装置は芳香族ポリカーボネート年産1000トン以上であることが好ましく、年産5000トン以上であることが更に好ましい。
【0036】
本発明において、ジフェニルカーボネートを製造する反応方法としては、▲1▼ジアルキルカーボネートとフェノールから脂肪族アルコールを抜きながら反応させて直接ジフェニルカーボネートを得る方法、▲2▼まずジアルキルカーボネートとフェノールから脂肪族アルコールを抜きながら反応させてアルキルフェニルカーボネートを得、このアルキルフェニルカーボネートの不均化によってジアルキルカーボネートを抜きながらジフェニルカーボネートを得る方法、▲3▼ジアルキルカーボネートとフェノールからアルキルフェニルカーボネートとジフェニルカーボネートの混合物を得、このうち、アルキルフェニルカーボネートの不均化によって更にジフェニルカーボネートを製造する方法のいずれの反応様式でも構わない(米国特許第4948871号明細書を参照)。
【0037】
本発明において、ジアルキルカーボネートとフェノールを反応させてジフェニルカーボネートを製造する反応器の形式に特に制限はなく、攪拌槽方式、多段攪拌槽方式、多段蒸留塔を用いる方式、及びこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。これらの反応器はバッチ式、連続式のいずれでも使用できる。平衡を生成系側に効率的にずらすという点で、多段蒸留塔を用いる方法が好ましく、多段蒸留塔を用いた連続法が特に好ましい。多段蒸留塔とは、蒸留の理論段数が2段以上の多段を有する蒸留塔であって、連続蒸留が可能なものであるならばどのようなものであってもよい。このような多段蒸留塔としては、例えば泡鍾トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等のトレイを使用した棚段塔方式のものや、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック、スルザーパッキング、メラパック等の各種充填物を充填した充填塔方式のものなど、通常多段蒸留塔として用いられるものならばどのようなものでも使用することができる。さらには、棚段部分と充填物の充填された部分とをあわせもつ棚段−充填混合塔方式のものも好ましく用いられる。
【0038】
多段蒸留塔を用いて連続法を実施する場合、反応原料、すなわち上記▲1▼の反応様式の場合は、ジアルキルカーボネートとフェノール、上記▲2▼又は▲3▼の反応様式の場合は、ジアルキルカーボネートとフェノール、又はアルキルフェニルカーボネートを連続多段蒸留塔内に連続的に供給し、該蒸留塔内において金属含有触媒の存在下に液相または気−液相で両物質間のエステル交換反応を行わせると同時に、製造されるアルキルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、またはこれらの混合物を含む高沸点反応混合物を該蒸留塔の下部から液状で抜き出し、一方、生成する副生物を含む低沸点反応混合物を蒸留によって該蒸留塔の上部からガス状で連続的に抜き出すことにより反応が進行する。また、反応器の数は1基でも構わないが2基以上組み合わせて用いても構わない。好ましい反応器の組み合わせの具体例としては、まずジアルキルカーボネートとフェノールを多段蒸留塔を用いて反応させて、蒸留塔上部から脂肪族アルコールを抜きながら、蒸留塔下部からアルキルフェニルカーボネートを含む反応液を得、該反応液を次の多段蒸留塔に供給して、蒸留塔上部からジアルキルカーボネートを抜きながら反応させて、蒸留塔下部からジフェニルカーボネートを含む反応液を抜き出す方法等が挙げられる。
【0039】
本発明のジアルキルカーボネートとフェノールからジフェニルカーボネートを製造する際には、触媒を用いることが好ましい。触媒の種類に特に制限はないが、例えば下記の化合物から選択される。
(鉛化合物)
PbO、PbO2 、Pb3 4 等の酸化鉛類; PbS、Pb2 S等の硫化鉛類;Pb(OH)2 、Pb2 2 (OH)2 等の水酸化鉛類;Na2 PbO2 、K2 PbO2 、NaHPbO2 、KHPbO2 等の亜鉛酸塩類;Na2 PbO3 、Na2 2 PbO4 、K2 PbO3 、K2 [Pb(OH)6 ]、K4 PbO4 、Ca2 PbO4 、CaPbO3 等の鉛酸塩類;PbCO3 、2PbCO3 ・Pb(OH)2 等の鉛の炭酸塩及びその塩基性塩類;Pb(OCOCH3 2 、Pb(OCOCH3 4 、Pb(OCOCH3 2 ・PbO・3H2 O等の有機酸の鉛塩及びその炭酸塩や塩基性塩類;Bu4 Pb、Ph4 Pb、Bu3 PbCl、Ph3 PbBr、Ph3 Pb(又はPh6 Pb2 )、Bu3 PbOH、Ph3 PbO等の有機鉛化合物類(Buはブチル基、Phはフェニル基を示す。);Pb(OCH3 2 、(CH3 O)Pb(OPh)、Pb(OPh)2 等のアルコキシ鉛類、アリールオキシ鉛類;Pb−Na、Pb−Ca、Pb−Ba、Pb−Sn、Pb−Sb等の鉛の合金類;ホウエン鉱、センアエン鉱等の鉛鉱物類、及びこれらの鉛化合物の水和物;
(銅族金属の化合物)
CUCl、CuCl2 、CuBr、CuBr2 、CuI,CuI2 、Cu(OAc)2 、Cu(acac)2 、オレフイン酸銅、Bu2 Cu、(CH3 O)2 Cu、AgNO3 、AgBr、ピクリン酸銀、AgC6 6 ClO4 Ag(プルパレン)3 NO3 、[AuC≡C−C(CH3 3 n [Cu(C7 8 )Cl]4 等の銅族金属の塩及び錯体(acacはアセチルアセトンキレート配位子を表す);
(アルカリ金属の錯体)
Li(acac)、LiN(C4 9 2 等のアルカリ金属の錯体;
(亜鉛の錯体)
Zn(acac)2 等の亜鉛の錯体;
(カドミウムの錯体)
Cd(acac)2 等のカドミウムの錯体;
(鉄族金属の化合物)
Fe(C108 )(CO)5 、Fe(CO)5 、Fe(C4 6 )(CO)3 Co(メシチレン)2 (PEt2 Ph)2 、CoC5 6 (CO)7 、Ni−π−C5 5 NO、フェロセン等の鉄族金属の錯体;
(ジルコニウム錯体)
Zr(acac)4 、ジルコノセン等のジルコニウムの錯体;
(ルイス酸類化合物)
AlX3 、TiX3 、TiX4 、VOX3 、VX5 、ZnX2 、FeX3 、SnX4 (ここでXはハロゲン、アセトキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基である。)等のルイス酸及びルイス酸を発生する遷移金属化合物;
(有機スズ化合物)
(CH3 3 SnOCOCH3 、(C2 5 3 SnOCOC6 5 、Bu3 SnOCOCH3 、Ph3 SnOCOCH3 、Bu2 Sn(OCOCH3 2 、Bu2 Sn(OCOC11232 、Ph3 SnOCH3 、(C2 5 3 SnOPh、Bu2 Sn(OCH3 2 、Bu2 Sn(OC2 5 2 、Bu2 Sn(OPh)2 、Ph2 Sn(OCH3 2 、(C2 5 3 SnOH、Ph3 SnOH、Bu2 SnO、(C8 172 SnO、Bu2 SnCl2 、BuSnO(OH)等の有機スズ化合物;
等が用いられる。
【0040】
もちろん、これらの触媒成分が反応系中に存在する有機化合物、例えば、脂肪族アルコール類、芳香族ヒドロキシ化合物類、アルキルアリールカーボネート類、ジアリールカーボネート類、ジアルキルカーボネート類等と反応したものであっても良いし、反応に先立つて原料や生成物で加熱処理されたものであってもよい。
【0041】
これらの触媒は、反応条件において反応液への溶解度の高いものであることが好ましい。好ましい触媒としては、PbO、Pb(OH)2 、Pb(OPh)2 ;TiCl4 、Ti(OPh)4 ;SnCl4 、Sn(OPh)4 、Bu2 SnO、Bu2 Sn(OPh)2 ;FeCl3 、Fe(OH)3 、Fe(OPh)3 等、及びこれらをフェノール又は反応液等で処理したもの等が挙げられる。
【0042】
また、これらの触媒は、反応条件において反応液に完全には溶解しないものであってもよい。ただし、その場合、反応液に溶解していない触媒がスラリー等としてハンドリングでき、反応系内で触媒として有効に働く状態であることが工業的に重要である。
触媒の量は、使用する触媒の種類、ジアルキルカーボネートの種類やフェノールとの量比、反応温度並びに反応圧力などの反応条件の違いによっても異なるが、原料であるジアルキルカーボネート及びフェノールの合計重量に対する割合で表して、通常0.0001〜30重量%で使用される。本発明において、ジアルキルカーボネートとフェノールとの量比に特に制限はなく、触媒の種類及び量、反応条件によっても変わりうるが、通常ジアルキルカーボネートに対してフェノールはモル比で0.01〜1000の範囲であることが好ましい。
【0043】
ジアルキルカーボネートとフェノールからジフェニルカーボネートを製造する際の、反応時間(連続法の場合は滞留時間)に特に制限はなく、通常0.001〜50時間、好ましくは0.01〜10時間、より好ましくは0.05〜5時間である。反応温度は、用いる原料化合物であるジアルキルカーボネートの種類によって異なるが、通常50〜350℃、好ましくは100〜280℃の範囲で行われる。また反応圧力は、ジアルキルカーボネートの種類や反応温度などにより異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常13.3Pa(0.1mmHg)〜19.7MPa(200kg/cm2 −G)の範囲で行われる。ジフェニルカーボネートを製造する際には、必ずしも溶媒を使用する必要はないが、反応操作を容易にする等の目的で適当な不活性溶媒、例えば、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類等を反応溶媒として用いることができる。
【0044】
次に、ジフェニルカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物から、芳香族ポリカーボネートを製造する方法について説明する。
重合方法に特に制限はなく、通常、芳香族ポリカーボネートをエステル交換法で製造する際に知られた重合器のいずれも使用することが可能であり、撹拌槽型重合器、薄膜式重合器、スクリュー型重合器、横型撹拌重合器等を用いる方法や、多孔板から落下させながら重合させるタイプの重合方式、多孔板からガイドに沿わせて落下させながら重合させるタイプの重合方式、更には固相重合方式等、公知の種々の方法を用いることができる。高品質のポリカーボネートを製造する上では、特開平7−292097号公報記載の多孔板から落下させながら重合させる方法や、特公平7−94546号公報や特開平3−223330号公報に記載の固相重合法等が特に好ましい。また、これらの重合器を種々組み合わせて用いることも好ましい方法である。
【0045】
芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物の種類や、重合温度その他の重合条件によって異なるが、ジフェニルカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モルの割合で用いられる。
【0046】
本発明の方法で得られる芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は、通常500〜100000の範囲であり、好ましくは2000〜30000の範囲である。
本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートを反応させて芳香族ポリカーボネートを製造するに当たり、反応の温度は、通常50〜350℃、好ましくは100〜290℃の温度の範囲で選ばれる。
【0047】
反応の進行にともなって、フェノールが生成してくるが、これを反応系外へ除去する事によって反応速度が高められる。従って、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガスなど反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを導入して、生成してくるフェノールをこれらのガスに同伴させて除去する方法や、減圧下に反応を行う方法などが好ましく用いられる。好ましい反応圧力は、製造する芳香族ポリカーボネートの種類や分子量、重合温度等によっても異なるが、例えばビスフェノールAとジフェニルカーボネートから芳香族ポリカーボネートを製造する場合、数平均分子量が1000以下の範囲では、6665Pa(50mmHg)〜常圧の範囲が好ましく、数平均分子量が1000〜2000の範囲では、400Pa(3mmHg)〜6665Pa(50mmHg)の範囲が好ましく、数平均分子量が2000以上の範囲では、2666Pa(20mmHg)以下、特に1333Pa(10mmHg)以下が好ましく、更に267Pa(2mmHg)以下が好ましい。減圧下で、かつ前述した不活性ガスを導入しながら反応を行う方法も好ましく用いられる。
【0048】
フェノールを反応系外に除去する際には、ジフェニルカーボネートや芳香族ジヒドロキシ化合物、オリゴマー等も同伴する場合があるが、本発明の原料として用いる芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールは、前述したように芳香族ジヒドロキシ化合物類の含有量が50重量ppm以下であることが好ましい。芳香族ジヒドロキシ化合物類の含有量を50重量ppm以下にするための蒸留操作等によって、フェノールと分離されたジフェニルカーボネートや芳香族ジヒドロキシ化合物、オリゴマー等を回収して重合器に戻す方法が、好ましく用いられる。
【0049】
エステル交換反応は、触媒を加えずに実施する事ができるが、重合速度を高めるため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、この分野で用いられているものであれば特に制限はないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物類;水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、(R3 4 5 6 )NB(R3 4 5 6 )または(R3 4 5 6 )PB(R3 4 5 6 )で表されるアンモニウムボレート類またはホスホニウムボレート類(R3 、R4 、R5 、R6 は前記化2の説明通り)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケイ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基またはアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシドまたはアリーロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタン、チタンのアルコキシドまたはアリーロキシドなどのチタンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウムの化合物類などの触媒を挙げる事ができる。
【0050】
触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だけで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常10-8〜1重量%、好ましくは10-7〜10-1重量%の範囲で選ばれる。
本発明の方法を達成する反応器及び重合器の材質に特に制限はないが、重合器の少なくとも内壁面を構成する材質は、通常ステンレススチールやニッケル、ガラス等から選ばれる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
各項目の評価は以下の方法で測定した。
1.フェノールの純度:島津製作所製SCL−6Bを用いて高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
2.重量平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定した(カラム:トーソー株式会社製TSK−GEL;溶媒:THF)。
3.色調:射出成形機(J100E、日本製鋼社製)を用い、芳香族ポリカーボネートをシリンダー温度290℃、金型温度90℃で、縦50mm×横50mm×厚さ3.2mmの試験片を連続成形した。得られた試験片の色調はCIELAB法 (Comission Inetrnationale de l'Eclairage1976L*a*bDiagram)により測定し、黄色度をb* 値で示した。b* 値は大きいほど黄色度は高い。
4.高温下溶融安定性:射出成形機(J100E、日本製鋼社製)を用い、芳香族ポリカーボネートをシリンダー温度350℃、金型温度90℃、成形サイクル45秒の条件下で、縦50mm×横50mm×厚さ3.2mmの試験片を20枚連続成形し、試験片aとした。その後、上記射出成形機内に残留する芳香族ポリカーボネートを350℃で成形機内に60分間滞留させた後、シリンダー温度350℃、金型温度90℃で成形し、60分被加熱試験片(試験片b)を得た。試験片aの調製と同様の操作を行い20枚の成形品を得た(この成形品は下記の評価には用いない)。その後、滞留時間を30分間に変えた以外は試験片bの調製と同様の操作を行い30分被加熱試験片(試験片c)を得た。試験片a、b及びcの色調はCIELAB法(Comission Inetrnationale de l'Eclairage1976L*a*bDiagram)により測定し、黄色度をb* 値で示した(試験片bのb* 値は上記20枚の試験片bのb*値の平均値とする)。高温下溶融安定性は試験片aと試験片bとの着色差(Δb* 60)として評価した。なお、高温下での溶融安定性を示す参考値として、試験片aと試験片cとの着色差(Δb* 30)も評価した。Δb* 値が小さい程芳香族ポリカーボネートの高温下溶融安定性は高い。
【0052】
【実施例1】
(触媒の調製)
フェノール20kgと一酸化鉛4kgを180℃で10時間加熱し、生成する水をフェノールと共に留去することにより鉛触媒を調製した。
(芳香族ポリカーボネートの製造)
図1に示される様な系を用いて、芳香族ポリカーボネートを製造した。図1の系は、(i)ジメチルカーボネートとフェノールからジフェニルカーボネートを製造するための第1段及び第2段反応蒸留(それぞれ連続多段蒸留塔1及び20を用いて行う。)、(ii) 上記連続多段蒸留塔1にリサイクルされるフェノールを副生しながらプレポリマーを製造するための第1段及び第2段攪拌重合(それぞれ攪拌槽第1重合器70、70′及び攪拌槽第2重合器73を用いて行う。)、(iii) 上記連続多段蒸留塔1にリサイクルされるフェノールを副生しながらプレポリマーの重合度を上げるための自由落下重合(自由落下重合器91を用いて行う。)、及び(iv) 上記連続多段蒸留塔1にリサイクルされるフェノールを副生しながら芳香族ポリカーボネートを製造するためのワイヤー接触落下式重合(ワイヤー接触落下式重合器98を用いて行う。)からなる。
【0053】
運転の初期段階において、純度99.97%の新たなフェノール(クレゾール及びキシレノールの合計含有量:200重量ppm、芳香族ジヒドロキシ化合物の含有量:80重量ppm)、新たなジメチルカーボネート及び上記の鉛触媒を含む液状混合物を導管39に設けられた導入口(図示しない)から供給し、流量23.8kg/hrにて導管6から、段数20のシーブトレーを装着した塔高6mの棚段塔からなる第1連続多段蒸留塔1の塔頂17から0.5m下の位置へ供給し、第1連続多段蒸留塔1内を流下させることによって反応を行った。運転の初期段階において導管6から供給された混合物の重量組成は、ジメチルカーボネート:54.6%、フェノール:44.6%であり、鉛触媒はPbの濃度として0.43%だった。さらに、新たなジメチルカーボネートを、導管8から42.2kg/hrの流量で第1連続多段蒸留塔1の塔底18に供給した。導管3及び導管25、3、4からそれぞれリサイクルされてくる液状混合物が導管39に導入され始めた時点で、導管39に設けられた導入口からの液状混合物の供給を停止した。同時に新たなフェノール(上記の新たなフェノールと同一のフェノール)を導管9より3.45kg/hrの流量で導管2へ供給した。
【0054】
図1に示す装置全体が稼動している間は、図1の系の重合系より抜き出された副生フェノールであるタンク107中の副生フェノールが流量3.3kg/hrで導管108より導管2に導入されており、その時点での導管9からの新たなフェノールの流量は0.15kg/hrであり、導管2の液中の副生フェノール含量は96重量%であった。運転が定常状態に達した後(即ち運転開始200時間後以降)の導管6の混合物の重量組成は、フェノール:44.6%、ジメチルカーボネート:49.8%、メチルフェニルカーボネート:4.8%、及び鉛触媒(上記混合物中の鉛濃度):44.6%であった。[導管6の混合物は、導管2からの液(新たなフェノールと副生フェノールとの混合物)、第2連続多段蒸留塔20より導管24、25及び3を経てリサイクルされてくる液、及び蒸発缶33から導管34及び38を経てリサイクルされてくる液よりなる。]導管6の混合物の組成及びフェノールの純度は導管39に設けられたサンプリングノズル(図示しない)より該混合物のサンプルを抜き出し測定した。導管6の混合物中のフェノール、ジメチルカボネート及びメチルフェニルカーボネートの含量及びフェノールの純度は高速液体クロマトグラフィー(SCL−6B:日本国、島津製作所製)を用いて測定した。また、導管6の混合物中の鉛触媒の含量はICP(industry coupled plasma emission spectral analyzer)(JY38PII :セイコー電子工業株式会社)を用いて測定した。
【0055】
第1連続多段蒸留塔1の反応条件は、塔底温度は203℃、塔頂圧力は6.5kg/cm2−G、還流比は0であった。
第1連続多段蒸留塔1において、反応及び蒸留に必要な熱量は、導管8から導入された新たなジメチルカーボネートと、第2連続多段蒸留塔20の塔頂26から抜き出され凝縮器22、導管23、25及び7を経て循環される未反応ジメチルカーボネートを含む低沸点反応混合物を蒸発器10で加熱し、導管11を経て第1連続多段蒸留塔1に送ることにより供給した。
【0056】
第1連続多段蒸留塔1の塔頂17から留出するガスは導管12を経て凝縮器13で凝縮され、導管16から反応の副生物であるメタノールを含む低沸点反応混合物を42.3kg/hrの流量で連続的に抜き出した。
第1連続多段蒸留塔1の塔底18から連続的に抜き出した反応混合物は導管19を経て23.6kg/hrで第1蒸発缶33へ導入された。蒸発によって濃縮した鉛触媒を含む残留液は第1蒸発缶33の底部から導管34、38、39を経て予熱器5に導入され導管6を経て第1連続多段蒸留塔1へ再循環された。第1蒸発缶33から導管34を経て流れる残留液の一部を導管35、リボイラー36及び導管37を経て第1蒸発缶33へ循環させた。
【0057】
第1蒸発缶33からメチルフェニルカーボネートを含む蒸発物を、22.3kg/hrの流量で導管40をより抜き出し、導入管41を経て、段数20のシーブトレーを装着した棚段塔からなる塔高6mの第2連続多段蒸留塔20に、塔頂26から1.5m下の位置に連続的に供給した。第2連続多段蒸留塔に供給されたメチルフェニルカーボネートの大部分は塔内で液状となり、これが上記の鉛触媒と塔内を流下することによって、反応が行われる。上記の鉛触媒は、導管47に設けられたノズル(図示しない)より導管48及び41を経て、第2連続多段蒸留塔に供給される。尚、鉛触媒は、導管41中の混合物における鉛濃度が、0.8重量%に維持されるような量用いた。運転が定常状態に達した後(即ち運転開始200時間後以降)の導管41の混合物の流量は23.6kg/hr、重量組成は、ジメチルカーボネート43.1%、フェノール24.5%、メチルフェニルカーボネート27.1%、及び鉛触媒(上記混合物中の鉛濃度):0.80%であった。導管41の液は、導管40から供給されるメチルフェニルカーボネートを含む蒸発物、第2蒸発缶42から回収される導管47の液、及びジフェニルカーボネート精製塔53から留去されたガスを凝縮器58において凝縮して得られる導管51の液よりなる。
【0058】
第2連続多段蒸留塔20の反応条件は、塔底温度198℃、塔頂圧力280mmHg、還流比1.5の条件であった。反応及び蒸留に必要な熱量はリボイラー30で加熱した塔下部液により供給した。
第2連続多段蒸留塔20の塔頂26から留出するジメチルカーボネートを含む低沸点反応混合物は導管21を経て凝縮器22で凝縮された。凝縮液の1部は導管23及び24を経て第2連続多段蒸留塔20に還流された。残りの凝縮液は導管23及び25から連続的に抜き出され、予熱器5及び導管6を経て第1連続多段蒸留塔1に再循環された。なお導管25から抜き出された凝縮液の1部は導管7、蒸発器10及び導管11を経て第1連続多段蒸留塔1の下部18に循環された。第2連続多段蒸留塔20の塔底27から連続的に抜き出された触媒及びジフェニルカーボネートを含む高沸点反応混合物は導管28及び32を経て第2蒸発缶42へ導入された。第2蒸発缶42において触媒を含む蒸発凝縮液が形成された。この凝縮液の一部を導管44、リボイラー45及び導管46を経て第2蒸発缶42へ循環した。残りの凝縮液を導管43、47及び48を経て第2連続多段蒸留塔20へ循環した。一方、第2蒸発缶42で形成されたジフェニルカーボネートを98.3重量%含む蒸発物は4kg/hrの流量で導管52を経て凝縮器49に導入され、得られた凝縮液は導管50を経てジフェニルカーボネート精製塔53に供給された。蒸留に必要な熱量はジフェニルカーボネート精製塔53のリボイラー66で加熱された塔下部液により供給した。ジフェニルカーボネート精製塔53の塔頂54から留出するフェノール及びメチルフェニルカーボネートを含む低沸点混合物は導管56を経て凝縮器57で凝縮された。凝縮液の1部は導管58及び59を経てジフェニルカーボネート精製塔53に還流され、残りの凝縮液は導管58、51、48及び41を経て第2連続多段蒸留塔20に再循環された。ジフェニルカーボネート精製塔53の塔底液の1部は、導管63及び64を経て抜き出され、残りは導管63、65、リボイラー66及び導管67を経て塔低55に再循環された。精製されたジフェニルカーボネートは、塔53の中段から導管60、凝縮器61、及び導管62を経て3.9kg/hrの流量抜き出され精製ジフェニルカーボネート貯槽68に導入された。
【0059】
第1攪拌重合工程は攪拌槽第1重合器71及び71′を用いてバッチ的に行われた。攪拌槽第1重合工程は重合温度180℃、常圧、シール窒素ガス流量1リットル/hrの条件で行われた。
重合工程を開始するにあたり、精製ジフェニルカーボネート貯槽68に貯められたジフェニルカーボネートは導管69より、攪拌槽第1重合器71に40kgバッチ的に供給され、ついでビスフェノールAが、導管70より40kgバッチ的に供給された。溶融状態で4時間攪拌して溶融プレポリマー(a)を得た。得られた溶融プレポリマー(a)は7.8kg/hrの流量で導管72を経て連続的に撹拌槽第2重合器73に供給された。撹拌槽第1重合器71から撹拌槽第2重合器73に溶融プレポリマー(a)を供給している間に、撹拌槽第1重合器71′に、貯槽68のジフェニルカーボネート40kgを導管69からバッチ的に供給し、ついでビスフェノールA40kgを導管70′からバッチ的に供給した後、上記得撹拌槽第1重合器71における攪拌重合と同様にして重合を行い溶融プレポリマー(b)を得た。撹拌槽第1重合器71が空になった時点で撹拌槽第1重合器71′からの溶融プレポリマー(b)の攪拌槽第2重合器73への供給を開始し、溶融プレポリマー(b)は連続的に流量7.8kg/hrで供給された。撹拌槽第1重合器71、71′におけるバッチ重合及び溶融プレポリマー(a)及び(b)の交互供給を上記と同様の操作で繰り返し、溶融プレポリマー(a)又は(b)のいずれかを連続的に撹拌槽第2重合器73に供給した。
【0060】
撹拌槽第2重合器73においては、撹拌槽第1重合器71、71′から交互に供給される溶融プレポリマー(a)及び(b)の更なる重合を行いプレポリマー(c)を得た。撹拌槽第2重合器73での重合は、反応温度240℃、反応圧力70mmHgの条件で行った。
撹拌槽第2重合器73におけるプレポリマー(c)の容量が20リットルに達した後、内容量20リットルを一定に保つようにプレポリマー(c)の1部を導管88及び導管89を経て自由落下重合器91に連続的に供給した。
【0061】
攪拌槽第2重合器73から留出する(重合中に副生したフェノールを含む)蒸発物は導管74から蒸留塔75に供給され、ジフェニルカーボネートを主成分とする蒸留塔塔底液は導管87を経て攪拌槽第2重合器に循環された。蒸留塔塔頂から留出するフェノールを主成分とする蒸発物は導管76を経て、凝縮器77で凝縮され、導管78、気液分離器79を経て一部は、導管80より蒸留塔75へ還流され、残りは導管81及び86を経て、フェノール回収塔102へ供給された。気液分離器79で分離されたガスは、導管82及びルーツブロワー83を経て、封液の主成分がフェノールである液封式真空ポンプ84に吸引された。
【0062】
プレポリマー(c)の自由落下重合は自由落下重合器91を用いて行った。自由落下重合器91は、孔径5mmの孔を80個有する多孔板90を備えており、自由落下距離は8mである。自由落下重合器91においては、導管89より多孔板90を有する供給位置に導入されたプレポリマー(c)を糸状の溶融物92となって落下させることによって重合温度は250℃、圧力は5mmHgで自由落下重合を行い、プレポリマー(d)を得た。プレポリマー(d)の1部は導管93及び89を経て流量50kg/hrで上記自由落下重合器91の供給位置に再循環された。自由落下重合器91から留出する(重合中に副生されたフェノールを含む)蒸発物は、導管95、導管96及びルーツブロワー83を経て液封式真空ポンプ84に吸引された。自由落下重合器91内のプレポリマー量は一定になるように、プレポリマー(d)の1部はワイヤー接触落下式重合器98に供給された。
【0063】
ワイヤー接触落下式重合器98は、孔径5mmの孔を80個有する多孔板97を備えており、80本の1mm径のSUS316L製ワイヤ状ガイド99が多孔板97のそれぞれの孔からワイヤー接触落下式重合器98の底部の貯槽部へ垂直に釣り下げてあり、重合材料は自由落下せず、ワイヤー99に沿って接触しながら落下する。ワイヤー接触落下距離は8mである。
【0064】
ワイヤー接触落下式重合器98においては、重合温度265℃、圧力0.3mmHgの条件下で、ワイヤー接触落下式重合を連続的に行い、得られた芳香族ポリカーボネートを重合器ボトムから4.3kg/hrで抜き出した。
ワイヤー接触落下式重合器98から留出する(重合中に副生したフェノールを含む)蒸発物は、導管101、導管96及びルーツブロワー83を経て液封式真空ポンプ84に吸引された。液封式真空ポンプ84内の封液は、一定量を保つように導管85より抜き出され、導管86を経てフェノール回収塔102へ供給された。フェノール回収塔102で蒸留に必要な熱量はリボイラー110で加熱した塔低液により供給した。フェノール回収塔102の塔頂から留出するフェノールは、導管103を経て凝縮器104で凝縮され、一部は導管105よりフェノール回収塔102へ還流し、残りは3.3kg/hrの流量で導管106を経てフェノール回収タンク107に貯められた。フェノール回収タンクのフェノールの純度は、99.995%(クレゾール及びキシレノールの合計含量:30ppm、芳香族ジヒドロキシ化合物の含量:20ppm)であった。フェノール回収塔102の塔底液は導管109及び111を経て、一部系外に抜き出された。
【0065】
図1のシステムは700時間連続は運転し、芳香族ポリカーボネートを製造した。
700時間後に抜き出された芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量は30000であり、b* 値3.3の無色透明なポリマーであった。高温下溶融安定性は、Δb* 60が1.2と良好であり、Δb* 30は0.5であった。
【0066】
導管9、導管108及び導管2のフェノールの純度の測定結果並びにb* 値、Δb* 60及びΔb* 30の測定結果を表1に示す。
また、装置は700時間運転されたが、その間、ジフェニルカーボネートを製造する工程、及び重合工程のいずれも機器内壁への触媒の付着や導管の閉塞などのトラブルなく安定に運転された。
【0067】
【実施例2〜6】
導管2から3.45kg/hrで供給される、新たなフェノールと副生フェノールの混合物の組成、及び導管9から供給される新たなフェノールの純度を表1に示すように変える他は、実施例1と実質的に同様にして芳香族ポリカーボネートを製造した。結果を表1に示す。いずれも、700時間の間、ジフェニルカーボネートを製造する工程、及び重合工程のいずれも機器内壁への触媒の付着や導管のの閉塞などのトラブルなく安定に運転された。
【0068】
【比較例1〜3】
導管2から3.45kg/hrで供給される、新たなフェノールと副生フェノールの混合物の組成、及び導管9から供給される新たなフェノールの純度を表1に示すように変える他は、実施例1と実質的に同様にして芳香族ポリカーボネートを製造した。結果を表1に示す。比較例2では、700時間の間、第1蒸発缶33で触媒がしばしば析出し、導管34の閉塞を避けるためのブローダウンが必要となった。ブローダウンの際は、新たな触媒を追加して運転を継続した。比較例1及び3では700時間の間、ジフェニルカーボネートを製造する工程、及び重合工程のいずれも機器内壁への触媒の付着や導管の閉塞などのトラブルなく安定に運転された。
【0069】
【比較例4】
攪拌槽第1重合器71に仕込むビスフェノールAの量を44kgとし、攪拌槽第1重合器71から、攪拌槽第2重合器73に供給する溶融混合物の流量を8.2kg/hrとする他は、実施例1と同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。その結果、導管106からフェノール回収タンク107へ貯められる副生フェノールの流量は3.42kg/hrであり、フェノール回収タンク107の副生フェノールは導管108から、3.42kg/hrで供給された(導管2の混合物の副生フェノール含量:99.1%)。700時間後に抜き出された芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量は27000であり、b* 値3.3の無色透明なポリマーであった。しかし、高温での溶融安定性は、Δb* 60が6.8と着色がひどく、Δb* 30も2.5と大きかった。
【0070】
参考例1
導管86の液をフェノール回収塔102を経由せず直接タンク107に接続して、再循環させる他は、実施例1と同様に芳香族ポリカーボネートを製造した。導管108の液中には、フェノールの他にジフェニルカーボネート、ビスフェノールA等の不純物が含まれており、クレゾール類及びキシレノール類の含有量は30ppm、芳香族ジヒドロキシ化合物類の含有量は110ppmであった。導管100から700時間後に抜き出された芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量は30000であり、b* 値3.4の無色透明なポリマーであった。高温での溶融安定性は、Δb* 60が1.5と良好であり、Δb* 30は0.7であった。ただし、700時間の間、第1蒸発缶33で触媒がしばしば析出し、導管34での閉塞を避けるためのブローダウンが必要となった。ブローダウンの際は、新たな触媒を追加して運転を継続した。
【0071】
【実施例
図2に示される様な系を用いて、芳香族ポリカーボネートを製造した。図2の系は、(i)ジメチルカーボネートとフェノールからジフェニルカーボネートを製造するための第1段及び第2段反応蒸留(それぞれ連続多段蒸留塔1及び20を用いて行う。)、(ii)上記連続多段蒸留塔1にリサイクルされるフェノールを副生しながらプレポリマーを製造するための第1段及び第2段攪拌重合(それぞれ攪拌槽第1重合器70、70′及び攪拌槽第2重合器73を用いて行う。)、(iii) 結晶化(結晶化槽115を用いる。)、及び(iv)上記連続多段蒸留塔1にリサイクルされるフェノールを副生しながら芳香族ポリカーボネートを製造するための固相重合(固相重合器117を用いる。)からなる。
【0072】
実施例1と同様にジフェニルカーボネートを製造し、攪拌槽第1重合器71、71′及び攪拌槽第2重合器73を用いて実施例1と同様に重合を行い溶融プレポリマー(c′)を得た。攪拌槽第2重合器73内で製造されたプレポリマー(c′)は、導管88を通じて、結晶化槽115に供給された。結晶化槽115にはアセトンが仕込んであり、プレポリマー(c′)はアセトン中で25℃で攪拌されることにより結晶化した。アセトンを含む結晶化物は導管112を経て乾燥機116で120℃で乾燥された後、導管113より固相重合器117に供給された。固相重合器117は、反応圧力0.4mmHg、反応温度220℃で滞留時間8時間で運転された。固相重合器117から留出する(重合中に副生したフェノールを含む)蒸発物は、導管96及びルーツブロワー83を経て液封式真空ポンプ84に吸引された。液封式真空ポンプ84内の封液は、封液の量を一定に保つように導管85より抜き出され、導管86を経てフェノール回収塔102へ供給された。フェノール回収塔102で蒸留に必要な熱量はリボイラー110で加熱した塔低液により供給した。フェノール回収塔102の塔頂から留出するフェノールは、導管103を経て凝縮器104で凝縮され、一部は導管105よりフェノール回収塔102へ還流し、残りは3.3kg/hrの流量で導管106を経てフェノール回収タンク107に貯められた。フェノール回収タンクのフェノールの純度は99.995%であり、クレゾール類及びキシレノール類の含有量は25ppm、芳香族ジヒドロキシ化合物類の含有量は25ppmであった。フェノール回収塔102の塔底液は導管109及び111を経て、一部系外に抜き出された。図2に示す装置全体が稼動している間は、導管2から第1連続多段蒸留塔1に供給される、新たなフェノール及び(フェノール回収タンク107から供給される)副生フェノールからなる混合物(流量3.45kg/hr)中の副生フェノールの含量は96重量%であった。
【0073】
図2のシステムは700時間連続運転し、芳香族ポリカーボネートを製造した。
700時間後に固相重合器117から導管114より抜き出された芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量は29500であり、b* 値3.3の無色透明なポリマーであった。高温での溶融安定性は、Δb* 60が1.1と良好であり、Δb* 30は0.4であった。また、700時間の間、ジフェニルカーボネートを製造する工程、及び重合工程のいずれも機器内部への触媒の付着や導管の閉塞などのトラブルなく安定に運転された。
【0074】
【表1】
Figure 0003724905
【0075】
【発明の効果】
本発明の方法を用いることにより高温での溶融安定性に優れた高品質の芳香族ポリカーボネートを安定して製造することができる。本発明の方法は、芳香族ポリカーボネートの製造の際に得られる副生フェノールが、芳香族ポリカーボネートの製造原料であるジフェニルカーボネートの製造に有効に用いられるので、特に芳香族ポリカーボネートの大規模な工業生産において極めて有利に用いることができ、しかも高温での溶融安定性の優れた芳香族ポリカーボネートが得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の1つの実施態様を示すプロセス図である。
【図2】本発明の方法の他の1つの実施態様を示すプロセス図である。
【符号の説明】
1: 第1連続多段蒸留塔
2、3、4、6、7、8、9、11、12、16、19、21、23、24、25、28、29、31、32、34、35、37、38、39、40、41、43、44、46、47、48、50、51、52、56、58、59、60、62、63、64、65、67、69、69′、70、70′、72、74、76、78、80、81、82、85、86、87、88、89、93、94、95、96、100、101、103、105、106、108、109、111、112、113、114: 導管
5: 予熱器
30、36、45、66、110: リボイラー
10: 蒸発器
13、22、49、57、61、77、104: 凝縮器
17、26、54: 塔頂
18、27、55: 塔底
20: 第2連続多段蒸留塔
33: 第1蒸発缶
42: 第2蒸発缶
53: ジフェニルカーボネート精製塔
68: 精製ジフェニルカーボネート貯槽
71、71′: 攪拌槽第1重合器
73: 攪拌槽第2重合器
75: 蒸留塔
79: 気液分離器
83: ルーツブロワー
84: 液封式真空ポンプ
90、97: 多孔板
91: 多孔板型第1重合器
92: 糸状の溶融物
98: 多孔板型第2重合器
99: ワイヤ状ガイド
102: フェノール回収塔
107: 回収フェノールタンク
115: 結晶化槽
116: 乾燥機
117: 固相重合器

Claims (5)

  1. 原料ジアルキルカーボネートと、フェノール(a)及びフェノール(a)とは供給源が異なるフェノール(b)からなる原料フェノール混合物とを
    (1)多段攪拌槽方式、多段蒸留塔を用いる方式、およびこれらを組み合わせた方式から選ばれた連続式反応器に供給し、
    (2)鉛化合物、銅族金属の化合物、亜鉛の錯体、鉄族金属の化合物、ジルコニウム錯体、ルイス酸類化合物、有機スズ化合物、これらの触媒成分が反応系中に存在する有機化合物と反応したもの、および反応に先立って原料や生成物で加熱処理されたもの、から選ばれた触媒を、原料であるジアルキルカーボネート及びフェノールの合計重量に対して、0.0001〜30重量%を使用する該触媒の存在下で、
    (3)該原料ジアルキルカーボネートと該原料フェノール混合物を、100〜280℃の範囲の反応温度、13.3Pa〜19.7MPaの範囲の反応圧力下で、0.001〜50時間、反応させてジフェニルカーボネートを得、
    (4)この得られたジフェニルカーボネートと芳香族ジヒドロキシ化合物を重合器中で、触媒を加えずに、または触媒として、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物類;ホウ素やアルミニウムの水素化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩;アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化合物類;アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアリーロキシド類;アルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩類;亜鉛化合物類;酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、ホスホニウムボレート類などのホウ素の化合物類;ケイ素の化合物類;ゲルマニウムの化合物類;スズの化合物類;鉛の化合物;アンチモンの化合物類;マンガンの化合物類;ジルコニウムの化合物類を、1種または2種以上を組み合わせて用い、これらの触媒の使用量として原料の芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、10 -7 〜10 -1 重量%の範囲から選ばれた触媒の存在下、反応温度として100〜290℃の温度範囲で重合して、フェノールを副生しながら、芳香族ポリカーボネートを製造する方法であって、且つ、
    (5)該重合器のベント部に蒸留塔を設置して、重合器から留出するフェノールやジフェニルカーボネート、芳香族ジヒドロキシ化合物類等を該蒸留塔に導入し、蒸留塔のトップからフェノールを回収する方法、および/または、重合器で副生するフェノール等を凝縮器等で一旦回収し、これを蒸留する方法で回収した、該副生フェノールを上記フェノール(b)として使用し、
    (6)その際、上記原料フェノール混合物中のフェノール(a)として、市販の工業用フェノールを使用し、
    (7)フェノール(b)として用いる副生フェノール中に含まれる不純物である芳香族ジヒドロキシ化合物の含有量が、50重量ppm以下であって、
    (8)且つ、上記原料フェノール混合物中のフェノール(b)の含有量を70〜98.5重量%とする
    ことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. フェノール(b)として用いる副生フェノール中に含まれる不純物であるクレゾール及びキシレノールの合計含有量が、50重量ppm以下であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  3. 原料フェノール混合物中に含まれる不純物であるクレゾール及びキシレノールの合計含有量が、130重量ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  4. 原料フェノール混合物中に含まれる不純物である芳香族ジヒドロキシ化合物の含有量が90重量ppm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  5. 反応器が多段蒸留塔であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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