JP5938992B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ポリカーボネート樹脂の製造方法に関し、詳しくは、重縮合反応で生じる副生フェノールを回収再利用するポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂の製造方法として、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジフェニルとを重縮合させる溶融法等が知られている。
この方法においては、特許文献1、2に記載されているように、複数の反応装置を用いて、連続的に重縮合反応を行い、ポリカーボネート樹脂を製造する方法が知られている。
特開2002−226573号公報 特開2005−146050号公報
ところで、特許文献1、2等、一般的なポリカーボネート樹脂の製造においては、図3に示されるように、重縮合反応で副生した副生フェノールは、液化されてタンクに貯蔵され、精製の上、再利用される。
すなわち、図3においては、原料混合物aが4つの重縮合の反応装置(1a、1b、1c、1d)に順番に送られて重縮合反応が行われ、ポリカーボネート樹脂bが得られる。この4つの反応装置においては、重縮合反応に併せて、フェノールが副生する。それぞれの反応装置で副生したフェノールは、それぞれの反応装置より抜き出され、熱交換器2で液化された後、フェノールタンク3に貯蔵される。次いで、精留塔4に送られ、純度の高いフェノールを得て、再利用に供される。
しかし、ガス状態の副生フェノールを液化した後、精製段階で再びガス化させるのは、余分なエネルギーが必要となり、効率的でない。
また、特許文献1においては、副生フェノールを精製して高純度フェノールを得ると同時に、高沸分を別途精製し、炭酸ジフェニルをも回収している。
しかしながら、この場合は高沸分の精製段階で炭酸ジフェニルを一部パージするため、重合工程へ回収される炭酸ジフェニルのリサイクル量が変動し、安定した品質を保持することが困難となる傾向がある。ポリカーボネート樹脂の製造においては、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジフェニルとの比率を一定に保つことが好ましい。もし、この比率が一定でなければ、得られるポリカーボネート樹脂の末端組成がバラつき、安定した品質のポリカーボネート樹脂が得られなくなる傾向があるからである。
さらに、特許文献2においては、副生フェノールを、多段式凝縮器を通して得ているだけなので、高純度のフェノールを得ることは困難となる傾向がある。
そこで、この発明は、重縮合反応で副生する副生フェノールを効率よく精製して再利用に供すると共に、得られるポリカーボネート樹脂の品質を安定化させることを目的とする。
この発明は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジフェニルを複数の反応装置で重縮合反応をさせ、各反応装置で副生する副生フェノールを反応系外へ留去しながら、ポリカーボネート樹脂を製造する方法において、前記副生フェノールと、この副生フェノールより高フェノール濃度であるフェノール含有液とを接触させ、高純度フェノールとして回収し、フェノールより高沸成分を含有する液を前記反応装置へ還流することにより、前記課題を達成したのである。
この発明によると、重縮合反応の反応装置で副生する副生フェノールは、ガス化された状態のまま、より高濃度のフェノール含有液と接触させるので、副生フェノール中に含まれる高沸成分を分離することが容易となり、高純度のフェノールを、効率よく回収することができる。
さらに、副生フェノールに付随して、重縮合反応の反応装置から出たジヒドロキシ化合物や炭酸ジフェニルをこの反応装置に遅滞なく戻すので、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジフェニルとの比率を一定に保つことができる。これにより、得られるポリカーボネート樹脂の末端組成を安定にすることができ、安定した品質のポリカーボネート樹脂を得ることが可能となる。
この発明で用いられる重縮合工程の例を示す模式図 この発明で用いられる重縮合工程の他の例を示す模式図 従来の重縮合工程の例を示す模式図
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
この発明は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジフェニルとを複数の反応装置で重縮合反応をさせるポリカーボネート樹脂の製造方法にかかる発明である。
(ポリカーボネート樹脂)
本願発明における製造対象物である前記のポリカーボネート樹脂とは、ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジフェニルを重縮合することにより製造される。
(ジヒドロキシ化合物)
前記のジヒドロキシ化合物は、分子内に二つの水酸基を有する化合物であり、この発明においては、ジヒドロキシ化合物の中でも、分子内に一つ以上の芳香環を有し、二つの水酸基がそれぞれ芳香環に結合された芳香族ジヒドロキシ化合物を用いるのが好ましい。
このような芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビフェノ−ル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(すなわち、ビスフェノールA(BPA))が好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
前記ジヒドロキシ化合物の純度としては、99.8重量%以上がよく、99.9重量%以上がより好ましい。99.8重量%より低いと、副生フェノールの精製、すなわち、回収される高純度フェノールの純度が低下したり、重合反応装置へ還流される高沸成分の純度が低下してポリカーボネートの品質を悪化させたりする虞がある。
また、前記ジヒドロキシ化合物に含まれるフェノール以外の不純物の量としては、1000ppm未満が好ましく、800ppm未満がより好ましい。1000ppmより多いと、重縮合反応装置内に蓄積する不純物量が増大し、除去処理を行わないと、得られるポリカーボネート樹脂の品質に影響を与える虞がある。特に、イソプロペニルフェノール等の着色原因となる不純物は少なければ少ない方が良く、20ppm以下、好ましくは10ppm以下が望ましい。
(炭酸ジフェニル)
前記の炭酸ジフェニルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート(DPC)、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジフェニルは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、前記の炭酸ジフェニルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
これら炭酸ジフェニル(前記の置換したジカルボン酸又はジカルボン酸エステルを含む。以下同じ。)は、前記ジヒドロキシ化合物に対して過剰に用いられる。すなわち、炭酸ジフェニルは、ジヒドロキシ化合物に対して、1.01〜1.30倍量(モル比)、好ましくは1.02〜1.20倍量(モル比)で用いられる。モル比が小さすぎると、得られるポリカーボネート樹脂の末端水酸基が多くなり、ポリカーボネート樹脂の熱安定性が悪化する傾向となる。また、モル比が大きすぎると、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネートの生産が困難となったり、ポリカーボネート樹脂中の炭酸ジフェニルの残存量が多くなり、成形加工時や成形品としたときの臭気の原因となる場合がある。
前記炭酸ジフェニルの純度としては、99.8重量%以上が好ましく、99.9重量%以上がより好ましい。99.8重量%より低いと、副生フェノールの精製、すなわち、回収される高純度フェノールの純度が低下したり、重合反応装置へ還流される高沸成分の純度が低下してポリカーボネート樹脂の品質を悪化させたりする虞がある。
また、前記炭酸ジフェニルに含まれるフェノール以外の不純物の量としては、1000ppm未満が好ましく、800ppm未満がより好ましい。1000ppm以上であると、重縮合反応装置内に蓄積する不純物が増大していき、除去処理を行わないと、得られるポリカーボネート樹脂の品質に影響を与える虞がある。
(エステル交換触媒)
前記のエステル交換反応においては、エステル交換触媒が用いられる。このエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネートを製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。一般的には、例えば、第1族元素(水素を除く)の化合物、第2族元素の化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。
これらのエステル交換触媒の中でも、実用的には第1族元素(水素を除く)の化合物及び第2族元素の化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
このエステル交換触媒の使用量は、通常、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、通常1×10−9モル〜1×10−1モルが好ましく、より好ましくは1×10−7モル〜1×10−3モル、更に好ましくは1×10−7モル〜1×10−5モルの範囲で用いられる。
前記の第1族元素(水素を除く)の化合物としては、第1族元素(水素を除く)の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の無機化合物;第1族元素(水素を除く)のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等の有機化合物等が挙げられる。ここで、第1族元素(水素を除く)としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。これらの第1族元素(水素を除く)の化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
また、前記の第2族元素の化合物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の水酸化物、炭酸塩等の無機化合物;これらのアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。
前記の塩基性ホウ素化合物としては、ホウ素化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。ここで、ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等が挙げられる。
また、前記の塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3価のリン化合物、又はこれらの化合物から誘導される4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
前記の塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキサイド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキサイド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキサイド等が挙げられる。
また、前記のアミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
前記エステル交換触媒は、最初に一括して添加するのが好ましい。触媒が十分にあると、前記のジヒドロキシ化合物及び炭酸ジフェニルの反応が進行し易く、未反応のジヒドロキシ化合物を瞬時に低減でき、ジヒドロキシ化合物の分解に伴う2次的な不純物の生成を抑制することができる。
前記エステル交換触媒は、フェノール又は炭酸ジフェニルの溶液として添加するのが好ましい。水溶液とすると、副生フェノールに水が混入するので好ましくないためである。
(ポリカーボネート樹脂の製造)
次に、ポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。
ポリカーボネート樹脂は、原料である前記のジヒドロキシ化合物及び炭酸ジフェニルの混合物を原料調製装置で調製し(原料調製工程)、これらの原料混合物を、前記エステル交換反応触媒の存在下、反応装置で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。この重縮合工程の反応方式は、バッチ式、連続式、これらの組合せ等を用いることができるが、本願発明においては、原料調製工程及び重縮合工程を連続式で行う。重縮合工程後、反応を停止させ重合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、必要に応じて所定の粒径のペレットに形成する工程等を経て、ポリカーボネート樹脂が製造される。
(重縮合工程)
前記の原料混合物は、溶融状態で、例えば図3に示すような多段方式の反応装置に送られ、重縮合工程に供される。この重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段〜7段の多段方式で連続的に行われる。具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa−Abs.)、平均滞留時間:5分〜300分の範囲である。
多段方式においては、反応装置で、重縮合反応の進行とともに副生するフェノールが副生する。この副生フェノールをより効果的に系外に除去するために、前記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。なお、得られるポリカーボネート樹脂の色相等の品質低下を防止するためには、できるだけ低温、短滞留時間の設定が好ましい。
重縮合工程を多段方式で行う場合は、通常、竪型反応器を含む複数基の反応器を設けて、ポリカーボネート樹脂の平均分子量を増大させる。通常、3基〜6基、好ましくは4基〜5基が設置される。
その例として、図3においては、3基の竪型反応器1a〜1cと、1基の横型反応器1dが用いられている。最初の竪型反応器1aに原料混合物aの溶融物が供給され、前記エステル交換触媒の存在下で、重縮合が開始される。次いで、竪型反応器1b、竪型反応器1c、横型反応器1dに順番に送られ、重縮合反応を進行させる。
一群の反応装置の最後の反応器として、横型反応器1dが用いられるが、これは、重縮合反応が進行するにつれ、粘度が上昇するので、最後においては、高粘度となっており、この高粘度での撹拌をより容易にするためである。
そして、この重縮合工程で得られたポリカーボネート樹脂は、脱揮後、冷却される。
前記の竪型及び横型の反応器としては、例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等が用いられる。
竪型反応器の撹拌翼の形式としては、例えば、タービン翼、パドル翼、ファウドラー翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼(日立製作所(株)製)等が挙げられる。
ところで、横型反応器とは、攪拌翼の回転軸が横型(水平方向)であるものをいう。横型反応器の攪拌翼としては、例えば、円板型、パドル型等の一軸タイプの撹拌翼やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、あるいはメガネ翼、格子翼(日立製作所(株)製)等の二軸タイプの撹拌翼が挙げられる。
なお、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジフェニルとの重縮合に使用するエステル交換触媒は、フェノール溶液または炭酸ジフェニル溶液として準備される。エステル交換触媒のフェノールまたは炭酸ジフェニル溶液の濃度は特に限定されず、エステル交換触媒の溶媒に対する溶解度に応じて任意の濃度に調整される。また、フェノールや炭酸ジフェニルに代えて、炭酸ジフェニルとジヒドロキシ化合物の混合液を選択することもできるが、フェノール溶液として準備することが好ましい。
(副生フェノールの回収)
前記の各反応装置において、重縮合反応によりフェノールが副生する。この副生フェノールは、反応装置の頭頂部より、反応系外へ留去されるが、留去段階においてはガス状である。このため、この留去されたガス状の副生フェノールに、この副生フェノールより高フェノール濃度であるフェノール含有液(以下、「還流フェノール液」と称する場合がある。)を接触させると、フェノールより沸点の高い高沸成分を液化させて分離することが容易となる。このようにして得られた副生フェノールより高いフェノール濃度を有する高純度フェノール(以下、「精製フェノール」と称する場合がある。)は、回収され、ジヒドロキシ化合物や炭酸ジフェニル等の原料として再利用することができる。
前記副生フェノールに含まれる水分含有量は、1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましい。1重量%より多いと、回収される高純度フェノールの純度が低下し、そのフェノールを用いてジヒドロキシ化合物や炭酸ジフェニルを製造した場合に反応率が低下する場合がある。一方、水分含有量の下限は少ないほうが好ましく、0重量%であってもよい。水分が重縮合工程に持ち込まれる原因としては、原料であるジヒドロキシ化合物や炭酸ジフェニルもしくはエステル交換触媒の不純物として持ち込まれることが挙げられ、当該原料を空気中で極力取り扱わず、密閉系ないしは窒素雰囲気下で取り扱う等の工夫が必要である。また、エステル交換触媒の溶液化にはフェノールを溶媒に使用することが好ましい。
前記還流フェノール液の濃度は、99重量%以上が好ましく、99.5重量%以上がより好ましい。99重量%より低いと、フェノールと高沸成分の分離精製の効率が低下し、高純度のフェノールを回収することができなくなる場合がある。一方、濃度の上限は、100重量%であってもよい。
前記精製フェノールの濃度は、99重量%以上が好ましく、99.5重量%以上がより好ましい。99重量%より低いと、そのフェノールを用いてジヒドロキシ化合物や炭酸ジフェニルを製造した場合に反応率が低下する場合がある。一方、濃度の上限は、100重量%であってもよい。
前記の還流フェノール液及び精製フェノールは、前記副生フェノールを蒸留した蒸留物であってもよい。すなわち、図1に示すように、重縮合反応の反応装置11の頭頂部に、精留塔12を設け、この精留塔12の下段に前記副生フェノールをフィードして精製する。そして、塔頂部から精留ガスを抜き出し、熱交換器13に送り、凝縮された高純度フェノールをタンク14に送ると共に、ガス成分を除去する。タンク14に回収されたフェノールは、一部を前記還流フェノールとして精留塔12の上段に戻す。これにより、ガス状の副生フェノールと液状でより高純度の還流フェノールとが接触し、精留塔12の上部より抜き出される精留ガスのフェノール純度をより高めることができる。
また、前記タンク14に回収されたフェノールの一部は、液状の前記精製フェノールとして、再利用に供与することができる。
ところで、前記精留塔12内で、ガス状の副生フェノールと液状でより高純度の還流フェノールとが接触することにより、精留塔12の上部より抜き出される精留ガスのフェノール純度をより高めることができるが、副生フェノールに含まれていた高沸成分は、分離され、精留塔12内を降下する。この際、精留塔12内で下方からのガス状の副生フェノールと接触し蒸留精製される。このとき、高沸成分に同伴するフェノール等低沸成分は、他の副生フェノールと共にガス化して上昇し得るが、上昇し得なかった高沸成分は、精留塔12から下方の反応装置11に還流される。
図1においては、前記精留塔12が、それぞれの反応装置11の上部に1つずつ設けられているが、図2に示すように、複数の反応装置11に対し、1つの精留塔12を設けてもよい。この場合、複数の反応装置11より副生する副生フェノールをブロワー等でまとめ、その後、このまとめた副生フェノールと、このまとめた副生フェノールより高フェノール濃度であるフェノール含有液とを接触させることとなる。このようにしても、高純度フェノールを回収することが可能となる。このようにすると、精留塔12の数を減らすことができ、建設費の削減に寄与できる。
このとき、精留塔12から下方の反応装置11に還流する高沸成分の量が増えるため、これに同伴するフェノール分も増加する。そのため、反応装置11に還流する高沸成分の一部を加熱器15に送って加熱して、精留塔12もしくは反応装置11に戻すことにより、副生フェノールを留去、精製するための熱エネルギーを確保することができる。
ところで、反応装置11に精留塔12を設ける場合、この精留塔12は反応装置11のベントライン上に、反応装置11より上方に設置されるのが好ましい。このように配することにより、精留塔12から還流される高沸成分をポンプ等を使用せず、グラビティーのみで降下できるという特徴を発揮することができる。複数の反応装置11に対して1つの精留塔12を設置する場合は、高沸成分が還流される反応装置11より上方に精留塔12を設置するのが好ましい。
また、精留塔12の下方に配される1つの反応装置11は、複数の反応装置11のうち、前段の反応装置、より好ましくは最初の反応装置11とすることが好ましい。前段の反応装置であればあるほど、重合温度や真空度がマイルドな条件であるため、還流される高沸成分が重縮合反応で消費され易くなり、原料消費量の低減に寄与できるためである。
このようにして回収された高純度フェノールは、極めて純度の高いものであり、市販されているフェノール同様に各種化学品の原料として用いることができる。なかでも、炭酸ジフェニル及び/又はジヒドロキシ化合物の製造原料として使用することが好ましい。
ところで、前記副生フェノールから精製フェノールを得た後の高沸成分は、そのまま、下方の反応装置11に送られる。このとき、原料のジヒドロキシ化合物及び炭酸ジフェニルの純度が上記した範囲内にあるので、不純物の除去工程を行う必要性がなくなり、高沸成分を遅滞なく反応装置11に戻すことができる。そして、不純物の除去工程を行わないので、炭酸ジフェニルのパージロスも無く、反応系内のジヒドロキシ化合物と炭酸ジフェニルとの比率を一定に保つことが可能となる。すなわち、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジフェニルのモル比を原料の供給モル比のみで調整することが可能となり、運転管理の簡素化および得られるポリカーボネート樹脂の末端組成の安定化が達成でき、安定した品質のポリカーボネート樹脂を得ることが可能となる。
以下、この発明を、実験例を用いて説明する。
まず、評価方法について説明する。
<評価方法>
(粘度平均分子量(Mv)の測定)
ポリカーボネート樹脂の濃度(C) が0.6g/dlの塩化メチレン溶液を用いて、ウベローデ型粘度計により温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式を用いて、粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4(Mv)0.83
(末端水酸基濃度)
ポリカーボネート樹脂0.1gを塩化メチレン10mlに溶解し、これに酢酸(和光純薬工業株式会社、試薬特級)の5%塩化メチレン溶液5mlと四塩化チタン(和光純薬工業株式会社、試薬特級)の2.5%塩化メチレン溶液10mlを加えて発色させ、分光光度計(日立(株)製「UV160型」)を使用し、546nmの波長での吸光度を測定した。別に、樹脂製造時に使用した二価フェノールの塩化メチレン溶液を使用して吸光係数を求め、サンプル中の水酸基濃度を定量した。
(フェノール、ジフェニルカーボネート、ビスフェノールAの不純物定量)
当該物質中に含まれる不純物の定量:カラムにWaters社製μ-Bondasphereを用い、高速液体クロマトグラフにて測定した。
(熱安定性(△YI値)の測定)
実施例により得られたポリカーボネート樹脂ペレットを120℃で6時間乾燥した後、日本製鋼所株式会社製J75EII型射出成形機を用いて60mm×60mm×3mm厚の射出成形片を金型温度90℃、樹脂温度350℃、成形サイクル30秒条件で成形する操作を繰り返した。そして6ショット目〜15ショット目で得られた射出成形品のイエローインデックス(YI)値をカラーテスター(コニカミノルタ株式会社製CM−3700d)を用いて測定し、平均値を算出した。次に16ショット目からは成形サイクルを10分とし、射出成形する操作を繰り返し、22ショット目までの射出成形品を得た。20ショット目〜22ショット目で得られた60mm×60mm×3mm厚の射出成形片のYI値をカラーテスター(コニカミノルタ株式会社製CM−3700d)を用いて測定し、平均値を算出した。このときの6ショット目〜15ショット目までのYI値の平均値と20ショット目〜22ショット目までのYI値の平均値の差をΔYI値とした。この△YI値が小さいと、高温における熱安定性が良好であることを示す。
(PCTの試験)
上述の方法で得られた6ショット目〜15ショット目の60mm×60mm×3mm厚の射出成形片のうち無作為に選んだ2枚を気相部につり下げた状態で、プレッシャークッカーテスト(PCT)装置を用いて、120℃、100時間、飽和水蒸気下で処理した。処理後の射出成形片を観察し白濁等、ヘイズの有無を評価した。ヘイズ等白濁現象が見られなければ、耐加水分解性が良好であることを示す。
〔DPCの製造例〕
溶融した市販フェノールとピリジン触媒を反応器へ連続供給しながら、150℃の混合下、ホスゲンガスを連続供給した。ホスゲン化反応に伴って副生される塩化水素ガスは10℃まで冷却し、凝縮液は反応器に戻され、未凝縮ガスはアルカリ水溶液で中和後排出した。一方、反応器からはDPCが約91重量%含有する反応液を連続的に抜き出した。反応工程でのホスゲンの反応率はほぼ100%であった。
次いで、前記反応液と約5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、それぞれテフロンライニング製の中和混合槽に供給し、80℃下で約10分間混合し、pH8.5に調整した。中和後の有機相は静置分離後、水洗混合槽に移送した。水洗混合槽では有機相に対して約30重量%に相当する温水で洗浄され、水相を分離して、粗製DPC(水1重量%、ピリジン2重量%、フェノール8重量%、DPC89重量%含有)を得た。
次に、前記粗製DPCを約30kg/hrで低沸蒸留塔の中段に連続供給した。低沸蒸留塔は内径150mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約220℃、トップ温度80〜100℃、塔中段温度160℃、還流比1の条件で蒸留してDPCより低沸点物質である水、ピリジン、フェノールを蒸留留去した。塔底からは、約26kg/hrでDPC(水10重量ppm以下、ピリジン1重量ppm以下、フェノール50重量ppm)が連続的に抜き出された。
更に、このDPC(低沸蒸留塔の缶出液)を高沸蒸留塔に連続供給した。高沸蒸留塔は内径200mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度約180℃、還流比0.5の条件で蒸留して、トップより精製DPC(フェノール100重量ppm、その他の不純物は未検出)を得た。
〔BPAの製造例〕
市販のフェノールとアセトンからビスフェノールAを製造する例を以下に記す。温度調
節器を有する流通式合成反応器に、4−ピリジンエタンチオールでスルホン酸基の15%
を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製、商品名ダイヤイオンSK−104)を60L充填した。この合成反応器に、フェノール:アセトンのモル比が10:1の混合液を温度80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。アセトンの転化率は80%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)を5.1kg/hrの流量でパージしたのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ16.5kg/hrと46.5kg/hrであった。この母液の10wt%を母液処理工程に供給し、他の母液は合成反応器に装入する原料の一部として循環させた。
ここで得られた付加物結晶を、再度27.2kg/hrの流量のフェノールに溶解させたのち、50℃に冷却して結晶を析出させ、濾過して付加物の結晶(11.3kg/h)と母液(32.5kg/h)とに分離した。分離された結晶は、0.3mmHgの減圧下、180℃に加熱してフェノールを除去し、純度99.9%以上のビスフェノールAを7.7kg/hrの流量で得た。
一方、母液処理工程に供給した母液は、フェノールの一部を留去し濃縮した。次に、水酸化ナトリウムを0.1重量%含ませ、50mmHgの減圧下、210℃にコントロールした分解蒸留塔の塔底に装入した。塔底の液レベルは一定の条件で運転し(滞留時間1hr)、分解蒸留塔の塔底液は0.5kg/hrの流量で系外にパージした。さらに、分解蒸留塔の塔頂からの留出液と前述のフェノールとを混ぜ、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化成株式会社製、商品名ダイヤイオンSK−104)を4L充填した、流通式反応器に4.2kg/hrの流量で装入し、80℃の条件で、反応させた。得られた反応液は最初の合成反応器に循環した。
前述の合成反応器へは、系外へパージされた量及び得られたビスフェノールAの量に対応する量の市販のフェノール(18.5kg/hr)とアセトン(3.6kg/hr)を補給し、合成反応を連続的に行い、上記の系全体としてビスフェノールA(フェノール15重量ppm、イソプロペニルフェノール2重量ppm、その他不純物600重量ppm)を連続的に製造した。
(実施例1)
上記DPCの製造例で得られたジフェニルカーボネートと、上記〔BPAの製造例〕から得られたビスフェノールAから、下記重合装置を用いて、ポリカーボネート樹脂を製造する例を以下に記す。
重合装置としては、重合反応槽は全部で4槽を使用し、第1,2重合槽の各ベントラインには精留塔が具備され、第3,4重合槽の各ベントラインにはフリーズコンデンサーを具備した重合装置を用いた。
上記ジフェニルカーボネートと上記ビスフェノールAを窒素ガス雰囲気下、一定のモル比(DPC/BPA=1.040)で混合し、140℃に加熱して、原料混合溶融液を得た。続いて、この原料混合溶融液を、140℃に加熱した原料導入管を介して、第1竪型撹拌反応器内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように、槽底部のポリマー排出ラインに設けたバルブの開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。原料混合溶融液の供給量は得られるポリカーボネート樹脂の製造速度が30kg/hrになるように調整した。また、上記原料混合溶融液の供給開始と同時に、第1竪型撹拌反応器内に触媒導入管から触媒として炭酸セシウムのフェノール溶液を、ビスフェノールA1モルに対し、0.5μモルの割合で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き第2 、3の竪型重合槽並びに第4の横型重合槽に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールガスの留去も行った。
各反応槽の重合条件は、
第1重合槽(210℃、100Torr)
第2重合槽(240℃、15Torr)
第3重合槽(260℃、0.5Torr)
第4重合槽(280℃、0.5Torr)
であった。
第1、2重合槽より蒸発する副生フェノールガスは、各槽のベントラインにそれぞれ設置した精留塔(MELLAPAK350Yを充填した理論段数8段)の下部に各々直接供給し、精留塔の上部に設置された凝縮器(50℃温水を冷媒として使用)にて凝縮された凝縮液の一部と接触しながら、それぞれ蒸留精製を行った。当該凝縮液による還流比は1.0に設定し、塔頂より高純度のフェノールをそれぞれ留去し、併せてフェノールタンク−1に貯蔵した。一方、当該精留塔の塔底からは高沸成分が抜き出され、遅滞なくそれぞれの重合槽へリサイクルした。
第3、4重合槽より蒸発する副生フェノールガスは、それぞれ、並列2基ある片方のフリーズコンデンサーで固化され、他方のフリーズコンデンサーとの切替運転により固化分を溶融し、フェノールタンク−2に回収した。
上記重合反応にて得られたポリマーは溶融状態のまま、2軸押出機(神戸製鋼所(株)製、スクリュー径0.046m、L/D=40.2)に導入し、ポリカーボネート樹脂当たり5重量ppm相当のp−トルエンスルホン酸ブチルを連続的に添加しながらペレット化して、ポリカーボネート樹脂ペレットを30kg/hrで得た。
こうして得られたポリカーボネート樹脂ペレットのMvは21,000で、末端水酸基濃度は485重量ppmであった。また、当該ペレットを用いて成形片を成形し、△YI値を測定した結果0.7であり、熱安定性の高いことが確認できた。加えて、PCTの結果では成形片に白濁等も見られず、耐加水分解性の高いことが分かった。
また、第1,2重合槽から留出したフェノール(フェノールタンク−1の内容物)の純度は99.99重量%であり、不純物はジフェニルカーボネートが100重量ppm検出されたのみであった。
(実施例2)
原料混合溶融液の供給量をポリカーボネート樹脂の製造速度が50kg/hrになるように調整した以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂ペレットを製造した。得られたポリカーボネート樹脂ペレットのMvは20,800で、末端水酸基濃度は490重量ppmであった。また、当該ペレットを用いて成形片を成形し、△YI値を測定した結果は0.7であり、PCTの結果も白濁等が見られず、実施例1と同様の高品質なポリカーボネート樹脂が得られた。
また、第1,2重合槽から留出したフェノール(フェノールタンク−1の内容物)の純度も実施例1と同じく、99.99重量%であり、不純物はジフェニルカーボネートが100重量ppm検出されたのみの高品質であった。
(実施例3)
上記のDPCの製造例で使用した市販フェノールに代えて、実施例2で得られた留出フェノール(フェノールタンク−1の内容物)を使用した以外は、上記DPCの製造例と同様の操作を行いジフェニルカーボネートを製造し、そのジフェニルカーボネートを用いて実施例2と同様にポリカーボネート樹脂ペレットを製造した。
得られたジフェニルカーボネート、および、ポリカーボネート樹脂の品質は実施例2で得られたものと遜色なく高品質であり、実施例2で得られた留出フェノールは市販フェノールと同様に純度の高いものであることが確認できた。
(実施例4)
上記のBPAの製造例で使用した市販フェノールに代えて、実施例2で得られた留出フェノール(フェノールタンク−1の内容物)を使用した以外は、上記BPAの製造例と同様の操作を行いビスフェノールAを製造し、そのビスフェノールAを用いて実施例2と同様にポリカーボネート樹脂ペレットを製造した。
得られたビスフェノールA、および、ポリカーボネート樹脂の品質は実施例2で得られたものと遜色なく高品質であり、実施例2で得られた留出フェノールは市販フェノールと同様に純度の高いものであることが確認できた。
(比較例1)
重合装置として、第1,2重合槽の各ベントラインに精留塔の代わりに多段凝縮器を具備したものを使用した以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂を製造した。当該の多段凝縮器は2段からなる凝縮器で構成されていて、1段目の凝縮器(冷媒として100℃のオイルを循環)でジフェニルカーボネート等の高沸成分を含有するフェノールを凝縮し、遅滞なく各重合槽へリサイクルした。1段目の凝縮器で凝縮されなかった未凝縮分は2段目の凝縮器(冷媒として50℃の温水を循環)でほぼ全量を凝縮し、第1,2重合槽から留出するフェノールを併せてフェノールタンク−1に貯蔵した。
得られたポリカーボネート樹脂ペレットのMvは21,000で、末端水酸基濃度は1100重量ppmであった。また、当該ペレットを用いて成形片を成形し、△YI値を測定した結果は5.0であり、PCTの結果では白濁が見られ、熱安定性、耐加水分解性ともに実施例1で得られたポリカーボネート樹脂ペレットに比べて品質の低下が見られた。また、第1,2重合槽から留出したフェノール(フェノールタンク−1の内容物)の純度は98.8重量%であり、不純物としてジフェニルカーボネートが1.2重量%含有していた。
(参考例1)
重合原料である、ジフェニルカーボネートとビスフェノールAを一定のモル比(DPC/BPA=1.070)に代えた以外は、比較例1と同様にしてポリカーボネートを製造した。得られたポリカーボネート樹脂ペレットのMvは21,000で、末端水酸基濃度は475重量ppmであった。また、当該ペレットを用いて成形片を成形し、△YI値を測定した結果は0.7であり、PCTの結果も白濁は見られなかった。また、第1,2重合槽から留出したフェノール(フェノールタンク−1の内容物)の純度は96.8重量%まで低下し、不純物としてジフェニルカーボネートが3.2重量%検出された。副生フェノールの精製手段として多段凝縮器を用いたため、原料原単位の悪化傾向が見られた。
(比較例2)
原料混合溶融液の供給量をポリカーボネート樹脂の製造速度が50kg/hrになるように調整した以外は、参考例1と同様の操作を行い、ポリカーボネート樹脂ペレットを製造した。得られたポリカーボネート樹脂ペレットのMvは20,800で、末端水酸基濃度は900重量ppmであった。また、当該ペレットを用いて成形片を成形し、△YI値を測定した結果は4.2であり、PCTの結果はやや白濁が見られ、十分な品質のポリカーボネート樹脂を得ることができなかった。
また、第1,2重合槽から留出したフェノール(フェノールタンク−1の内容物)の純度は96重量%未満となり、不純物としてジフェニルカーボネートが4.1重量%検出された。
a 原料混合物
b ポリカーボネート樹脂
1a,1b,1c 竪型反応器
1d 横型反応器
2 熱交換器
3 フェノールタンク
4 精留塔
11 反応装置
12 精留塔
13 熱交換器
14 タンク
15 加熱器

Claims (11)

  1. ジヒドロキシ化合物と炭酸ジフェニルを複数の反応装置で重縮合反応をさせ、各反応装置で副生するガス状の副生フェノールを反応系外へ留去しながら、ポリカーボネート樹脂を製造する方法において、
    前記ガス状の副生フェノールと、この副生フェノールより高フェノール濃度であって、フェノール濃度が99重量%以上であるフェノール含有液とを精留塔内で接触させ、高純度フェノールとして回収し、フェノールより高沸成分を含有する液を前記反応装置へ還流し、前記副生フェノールを前記精留塔の下段にフィードすることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
  2. 前記高純度フェノールのフェノール濃度が99重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  3. 前記フェノール含有液が前記副生フェノールの蒸留物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  4. 前記高純度フェノールが前記副生フェノールの蒸留物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  5. 前記高純度フェノールが液状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  6. 前記高沸成分を含有する液は加熱した後に前記反応装置へ還流することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  7. 前記副生フェノールの水分含有量が1重量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  8. 前記複数の反応装置より副生する副生フェノールをまとめた後、このまとめた副生フェノールと、このまとめた副生フェノールより高フェノール濃度であるフェノール含有液とを接触させ、高純度フェノールとして回収することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  9. 前記精留塔が反応装置のベントライン上に設置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  10. 前記精留塔が反応装置より上方に設置され、前記精留塔の下方に配される反応装置は、前記複数の反応装置のうち前段の反応装置であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造法により回収された高純度フェノールを、炭酸ジフェニル及び/又はジヒドロキシ化合物の製造原料として使用することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
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