JP4295042B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法 Download PDF

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この発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関し、詳しくは、芳香族ポリカーボネートを製造するそれぞれの工程において生じる排液中の有効成分を特定位置に戻すことにより、全体の効率を向上させる芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
芳香族カーボネートは、一般的に、ホスゲン又はジフェニルカーボネート、及びビスフェノールAを重合反応して製造される。このジフェニルカーボネート及びビスフェノールAの製造工程、及び芳香族ポリカーボネートの製造工程においては、それぞれ有機物を大量に含む排液が生じる。
すなわち、まず、上記芳香族ポリカーボネートの製造工程においては、上記ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料とし、重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造する主工程において、上記重合工程での蒸発成分を液化して蒸留工程にかけることによってフェノールを回収した後の蒸留残渣が排液となる。この蒸留残渣には、フェノール、ジフェニルカーボネート、ビスフェノールA、ジフェニルカーボネートとビスフェノールAとが数分子結合したオリゴマー等が含有しており、これらの回収は、芳香族ポリカーボネートの収率に大きく影響する。
これに対し、上記蒸留残渣を上記重合工程に戻す方法が、特許文献1や特許文献2に開示され、また、上記蒸留残渣を再び蒸留して上記各成分を回収し、回収蒸留残渣を燃料として使用する方法が特許文献3に開示されている。
また、上記ジフェニルカーボネートの製造工程においては、フェノール及びカルボニル化合物を原料とし、反応工程及び蒸留工程を経てジフェニルカーボネートを製造する主工程において、上記蒸留工程で生じる蒸留残渣が排液となる。この蒸留残渣には、ジフェニルカーボネートが含まれており、この回収は、ジフェニルカーボネートの収率に大きく影響する。
これに対し、上記蒸留残渣を再度蒸留し、ジフェニルカーボネートを回収し、これを上記反応工程終了後の反応液に戻す方法が、特許文献4に開示されている。
さらに、特許文献5に記載されているように、上記ビスフェノールAの製造工程においては、フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析工程、及び固液分離工程を経てビスフェノールAを製造する主工程において、上記固液分離工程から分離された母液には、多量のフェノール及びビスフェノールAの他、2,4−異性体、トリスフェノール類、クロマン化合物等の副生物を含み、さらに、少量の着色不純物や着色性不純物を含む。そして、この母液は、ビスフェノールAの反応原料となるフェノールやビスフェノールAを含むことから、全工程に循環して再使用されるが、処理をせずに全量を循環すると、前記副生物や、着色不純物及び着色性不純物の蓄積が起こることから、それらの副生物や不純物の除去が必要となる。
特開平9−255772号公報 特開平9−165443号公報 特開2000−53759号公報 特開2002−322130号公報 特開平5−331088号公報
しかしながら、上記芳香族ポリカーボネートの製造工程における蒸留残渣にはフェノールが含有されているため、その全てを重合工程に戻すと、重合開始当初からフェノールが存在することとなり、初期の重合速度に影響を与える。さらに、ポリカーボネートの製造工程における蒸留残渣は、一般的に着色しており、そのままリサイクルしたのでは、製品のポリカーボネートの着色を招くこととなる。また、上記蒸留残渣を再度蒸留しても、その回収蒸留残渣にも多少の上記各成分が含まれるので、そのまま廃棄処分するのは、製造効率に影響すると共に、環境負荷の問題が生じる。
また、上記ジフェニルカーボネートの製造工程における蒸留残渣は、そのまま廃棄処理がされている。この蒸留残渣には、ジフェニルカーボネートがまだ含まれており、そのまま廃棄処分するのは、製造効率に影響すると共に、環境負荷の問題が生じることがある。
そこでこの発明は、ジフェニルカーボネートの製造工程における蒸留残渣、及び芳香族ポリカーボネートの製造工程における蒸留残渣を、芳香族ポリカーボネートを製造する各工程の特定位置に戻すことにより、全体の効率を向上させ、かつ、環境負荷を低減させることを目的とする。
この発明は、下記する<1>〜<3>のそれぞれの製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、(1)〜(8)の少なくとも1つの方法により上記課題を解決したのである。
<1>フェノール及びカルボニル化合物を原料とし、反応工程及び蒸留工程を経てジフェニルカーボネートを製造するジフェニルカーボネート製造工程。
<2>フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析・分離工程を経てビスフェノールAを製造すると共に、上記晶析・分離工程から排出される母液の一部又は全部を、母液処理工程に送って母液中の副生物を減少させ、次いで、上記原料として使用されるフェノールの一部又は全部として用いるビスフェノールA製造工程。
<3>上記ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料とし、重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造すると共に、上記重合工程での蒸発成分を液化して蒸留工程にかけることによってフェノールを回収する芳香族ポリカーボネート製造工程。
(1)上記<3>の芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記<1>のジフェニルカーボネート製造工程の蒸留工程に送る。
(2)上記<3>の芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記<2>のビスフェノールA製造工程の上記母液処理工程に送る。
(3)上記<1>のジフェニルカーボネート製造工程の蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記<2>のビスフェノールA製造工程の上記母液処理工程に送る。
(4)上記<3>の芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記<1>のジフェニルカーボネート製造工程の蒸留工程に送り、次いで、上記<1>のジフェニルカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記<2>のビスフェノールA製造工程の母液処理工程に送る。
(5)ジフェニルカーボネート製造工程において、上記蒸留工程の蒸留残渣からジフェニルカーボネートを回収する回収蒸留工程を設け、上記<3>の芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記<1>のジフェニルカーボネート製造工程の蒸留工程及び/又は回収蒸留工程に送る。
(6)ジフェニルカーボネート製造工程において、上記蒸留工程の蒸留残渣からジフェニルカーボネートを回収する回収蒸留工程を設け、上記<3>の芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記<2>のビスフェノールA製造工程の上記母液処理工程に送る。
(7)ジフェニルカーボネート製造工程において、上記蒸留工程の蒸留残渣からジフェニルカーボネートを回収する回収蒸留工程を設け、上記<1>のジフェニルカーボネート製造工程の蒸留工程で生じる蒸留残渣及び/又は回収蒸留工程で生じる回収蒸留残渣を、上記<2>のビスフェノールA製造工程の上記母液処理工程に送る。
(8)ジフェニルカーボネート製造工程において、上記蒸留工程の蒸留残渣からジフェニルカーボネートを回収する回収蒸留工程を設け、上記<3>の芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記<1>のジフェニルカーボネート製造工程の回収蒸留工程及び/又は回収蒸留工程に送り、次いで、上記<1>のジフェニルカーボネート製造工程の上記回収蒸留工程で生じる回収蒸留残渣及び/又は回収蒸留工程で生じる回収蒸留残渣を、上記<2>のビスフェノールA製造工程の母液処理工程に送る。
上記(1),(2),(4),(5),(6)及び(8)の方法を採用すると、芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留工程で生じる蒸留残渣がほぼ完全に消費され、これに含まれる有効成分がほぼ完全に利用されることとなり、全体の効率が向上し、かつ、環境負荷を低減させることができる。
上記(3),(4),(7)及び(8)の方法を採用すると、ジフェニルカーボネート製造工程の蒸留工程又は回収蒸留工程で生じる蒸留残渣又は回収蒸留残渣がほぼ完全に消費され、これに含まれる有効成分がほぼ完全に利用されることとなり、全体の効率が向上し、かつ、環境負荷を低減させることができる。
上記(4)及び(8)の方法を採用すると、最終的に燃料等に供与される排液が、ビスフェノールA製造工程の母液処理工程における分解反応で生じる排液のみの1つに集約されるので、排液処理工程がより効率的になる。
この発明によると、芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程において排出されるPL蒸留残渣(X2)を、ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程の蒸留工程若しくは回収蒸留工程、又はビスフェノールA(BPA)製造工程の母液処理工程に送ることにより、このPL蒸留残渣X2をほぼ完全に消費することができ、これに含まれる有効成分を完全利用することができるので、全体の効率が向上させることができ、かつ、環境負荷を低減させることができる。
また、ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程において排出される蒸留残渣(X1)又は回収蒸留残渣(X1’)を、ビスフェノールA(BPA)製造工程の母液処理工程に送ることにより、蒸留残渣(X1)又は回収蒸留残渣(X1’)をほぼ完全に消費することができ、これに含まれる有効成分が完全利用されることができ、全体の効率が向上させることができ、かつ、環境負荷を低減させることができる。
さらに、PL蒸留残渣X2を、ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程の蒸留工程若しくは回収蒸留工程、又はビスフェノールA(BPA)製造工程の母液処理工程に送り、かつ、ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程において排出される蒸留残渣(X1)又は回収蒸留残渣(X1’)を、ビスフェノールA(BPA)製造工程の母液処理工程に送ることにより、ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程、ビスフェノールA(BPA)製造工程、及び芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程からでる排液は、ビスフェノールA(BPA)製造工程の母液処理工程から生じる排液(D4)の1つに集約される。これにより、3工程のそれぞれで発生していた、有機物を大量に含有する排液を1つにまとめることができ、排液全体としての排出量を抑制することが可能となり、排液処理を効率的に行うことができ、かつこの負荷を低下させることができる。
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
この発明にかかる芳香族ポリカーボネートの製造方法は、下記のジフェニルカーボネート、ビスフェノールA及び芳香族ポリカーボネートのそれぞれの製造工程において、このジフェニルカーボネート製造工程、又は芳香族ポリカーボネート製造工程で得られる蒸留残渣又は回収蒸留残渣を特定の工程に送る、製造方法である。
[ジフェニルカーボネート製造工程]
ジフェニルカーボネート(DPC)は、フェノール及びカルボニル化合物を原料として製造される。このカルボニル化合物は、ジフェニルカーボネートのカルボニル基を形成することができれば、制限なく用いられる。このようなカルボニル化合物の例としては、ホスゲン(CDC)、一酸化炭素、炭酸ジアルキル等があげられる。以下において、カルボニル化合物としてホスゲン(CDC)を用い、反応後に洗浄工程及び蒸留工程を経て、ジフェニルカーボネート(DPC)を製造する工程について説明する。
上記ジフェニルカーボネートの製造工程は、図1に示すプロセスから構成される。すなわち、原料として、フェノール(PL)、ホスゲン(CDC)を用い、これと塩基性化合物触媒(C1)とをDPC反応器1に導入する反応工程を行う。このときの反応条件は特に限定されないが、フェノール(PL)が溶融状態にある50〜180℃、常圧下が好ましい。また、フェノール(PL)とホスゲン(CDC)の混合比(モル比)は、ホスゲン(CDC)の完全消費の観点から、フェノール(PL)1モルに対して、0.40〜0.49モルが好ましい。
上記反応工程で製造されたジフェニルカーボネート(DPC)含有反応液aは、脱塩酸塔2に送られ、脱塩酸工程が行われる。反応器1及び脱塩酸塔2で生じた塩酸ガス(D1)は、回収され、塩酸処理工程(図示せず)に送られる。
次いで、得られた脱塩酸処理液bは、混合槽3に送られ、後述するジフェニルカーボネート(DPC)含有回収液dと混合される。そして、アルカリ中和槽4に送られ、アルカリ性水溶液(E1)で上記脱塩酸塔で除去しきれなかった塩酸を中和する中和工程が行われる。
そして、得られた中和処理液eは、水洗槽5に送られ、水(W)で水洗する水洗工程が行われる。
水洗工程で得られた水洗処理液fは、蒸留塔に送られ、蒸留工程が行われる。図1においては、2つの蒸留塔が用いられるが、これに限られるものではない。2つの蒸留塔を用いる場合、軽沸分除去のための第1の蒸留塔6で水、塩基性化合物触媒及びフェノール(PL)を含有する混合ガス(F)を回収し、反応原料の一部として再使用することができる。
そして、上記第1DPC蒸留塔6の第1蒸留残渣g1を、高沸分除去のための第2DPC蒸留塔7で再度蒸留し、製品である精製されたジフェニルカーボネート(DPC)を蒸留分として回収する。そして、蒸留残渣(X1)が蒸留釜残側から回収される。
上記第1DPC蒸留塔6での蒸留条件としては、水、塩基性化合物触媒、フェノール(PL)が蒸留され、ジフェニルカーボネート(DPC)が残留する条件であれば特に限定されるものではなく、1.3〜13kPaが好ましい。温度はその圧力下での沸点となる。また、上記第2DPC蒸留塔7での蒸留条件としては、ジフェニルカーボネート(DPC)が蒸留され、ジフェニルカーボネート(DPC)より高沸の不純物が残留する条件であれば特に限定されるものではなく、1.3〜6.5kPaで、150〜220℃が好ましい。
ところで、第2DPC蒸留塔7での蒸留残渣(X1)は、後述する処理を行うことができるが、この蒸留残渣(X1)には、フェノール含有不純物であるメチルフェノールが反応したジフェニルカーボネートのメチル置換体、ホスゲン(CDC)中の残留臭素が反応したジフェニルカーボネートの臭素置換体を中心とする不純物が含有するが、ジフェニルカーボネート(DPC)も含有する。このため、この蒸留残渣(X1)を再び蒸留し、ジフェニルカーボネート(DPC)を回収してもよい。すなわち、図2に示すように、第2DPC蒸留塔7での蒸留残渣(X1)をDPC回収蒸留塔8を用いて、回収蒸留工程にかける。これにより、ジフェニルカーボネート(DPC)含有回収液dを蒸留回収することができる。これを上記の通り、混合槽3に送ることにより、洗浄・蒸留工程に再投入することができ、ジフェニルカーボネート(DPC)の回収効率をより向上させることができる。そして、上記のジフェニルカーボネート(DPC)のメチル置換体や臭素置換体が濃縮された回収蒸留残渣(X1’)が蒸留釜残側から回収される。
上記回収蒸留塔8での蒸留条件としては、ジフェニルカーボネート(DPC)が蒸留され、ジフェニルカーボネート(DPC)より高沸の不純物が残留する条件であれば特に限定されるものではなく、1.3〜6.5kPa、150〜220℃が好ましい。
[ビスフェノールA製造工程]
ビスフェノールAの製造工程は、図3示すプロセスから構成される。すなわち、原料としてフェノール(PL)及びアセトン(A)を用い、合成反応工程(工程(a))、低沸除去工程(工程(b))、晶析・分離工程(工程(c))、加熱溶融工程(工程(d))、フェノール(PL)除去工程(工程(e))、造粒工程(工程(f))を経由してビスフェノールA(BPA)が製造される。
次に、各工程についてそれぞれ説明する。
上記工程(a)は、フェノール(PL)とアセトン(A)とを酸性触媒の存在下で、縮合反応させてビスフェノールAを生成させる工程である。ここで用いる原料のフェノール(PL)及びアセトン(A)は、化学量論量よりもフェノール(PL)が過剰な条件で反応させる。フェノール(PL)とアセトン(A)とのモル比は、フェノール(PL)/アセトン(A)の比として3〜30、好ましくは5〜20の範囲である。反応温度は通常30〜100℃、好ましくは50〜90℃、反応圧力は、一般に常圧〜5kg/cm2・Gで行われる。
上記酸性触媒としてイオン交換樹脂を用いる場合、ゲル型で架橋度が1〜8%、好ましくは2〜6%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂が適しているが、特に限定されるものではない。また、酸触媒として塩酸を用いてもよい。上記工程(a)で生成する反応混合物中には、一般にビスフェノールA(BPA)の他に、未反応フェノール(PL)、未反応アセトン(A)、触媒、反応生成水(W)及び着色物質等の副生物が含まれる。
上記工程(b)は、上記工程(a)で得られる反応混合液から低沸点成分と触媒とを除去する工程である。ここでいう低沸点成分とは、反応生成水(W)、未反応アセトン(A)、及びこれらと沸点が近いものである。この工程では、上記反応混合物からこれらの低沸点成分を例えば減圧蒸留等により除去し、また触媒等の固体成分は濾過等によって除かれる。なお、固定床触媒反応器を用いる場合は脱触媒の必要は特にない。減圧蒸留は圧力50〜300mmHg、温度70〜130℃の範囲を用いるのが好ましく、未反応フェノール(PL)が共沸してその一部が系外へ除かれることもある。
上記工程(c)は、上記工程(b)で得られた混合液を冷却し、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物結晶を析出させて分離する工程である。この工程(c)に先立って、上記工程(b)で得られた混合液中のビスフェノールA(BPA)の濃度を、フェノールを留去又は追加することにより、ビスフェノールAの濃度を10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%に調整しておくと、上記付加物の収率を高め、かつスラリー状の混合液の見掛けの粘度を調節して、作業性を改良する上で好ましい。
上記工程(c)における冷却は、一般に45〜60℃の温度まで行われ、これによって、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物の結晶が析出し、系はスラリー状になる。この冷却は、外部に設けた熱交換器や晶析機に加えられる水の蒸発潜熱による除熱によって行われる。次に、このスラリー状の液を、ろ過、遠心分離等により付加物結晶と反応副生物を含む母液とに分離し、付加物結晶を次工程に供する。分離された母液の一部又は全部は、後述する母液処理工程(g)を経由して、工程(a)にリサイクルして、原料として使用されるフェノールの一部又は全部として用い、更に反応収率の向上を図る。
上記工程(d)は、上記工程(c)で得られた付加物の結晶を加熱溶融する工程である。この付加物結晶の組成は、ビスフェノールA(BPA)が45〜70重量%、フェノール(PL)が55〜30%の範囲にあるのが一般的である。この結晶を100〜160℃に加熱することにより溶融して次工程に供する。
上記工程(e)は、上記工程(d)で得られた溶融液からフェノール(PL)を除去して溶融ビスフェノールA(BPA)を得る工程である。工程(e)で得られた溶融液から、減圧蒸留等の方法によってフェノール(PL)を除去することにより付加物を解離させて、高純度のビスフェノールAが回収できる。この減圧蒸留は、圧力10〜100mmHg、温度150〜220℃の範囲で、かつ系内に存在するビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との混合液の融点より少なくとも10℃高い温度で行うのが好ましい。減圧蒸留に加えてスチームストリッピングを行って、残存するフェノール(PL)を除去する方法も提案されている。
上記工程(f)は、上記工程(e)で得られた溶融状態のビスフェノールA(BPA)を冷却・固化し、造粒して粒状の製品を得る工程である。溶融状態のビスフェノールAは、例えばスプレードライヤー等の造粒装置により液滴にされ、冷却固化されて製品となる。この液滴は、噴霧、滴下、散布等により調製され、冷却は通常窒素あるいは空気等によって行われる。
このビスフェノールA(BPA)の製造工程、特に、上記工程(a)において、ビスフェノールA(BPA)以外に、ビスフェノールAの2,4−異性体等の副生物(以下、「BPA副生物」と称する。)も同時に合成される。そして、このBPA副生物は、主として、上記工程(c)の母液に含有され、上記ビスフェノールA(BPA)の製造工程を循環する。このため、上記BPA副生物がこの循環系内で蓄積する傾向にあり、ある程度以上の蓄積が生じると、上記工程(c)での分離が不十分となり、ビスフェノールA(BPA)側に付随してしまい、結果として、製品ビスフェノールA(BPA)の品質を低下させる傾向がある。このため、上記工程(c)の母液の一部又は全部を、母液処理工程(工程(g))にかけることにより、上記母液中の上記BPA副生物を分離・除去し、製品ビスフェノールA(BPA)の品質を保持する。
上記工程(g)は、蒸留によりフェノール(PL)を回収する方法、又は、母液を塩基性物質の存在下で加熱してこの母液中のビスフェノールA(BPA)副生物を分解して、フェノール及びフェノール誘導体を生じさせ、次いで、これを、酸触媒を用いて反応させてビスフェノールA(BPA)を製造し、これを回収する方法である。
具体的には、図4に示すように、まず、上記母液の一部又は全部をフェノール蒸発器32に導入し、同時に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性物質Hを導入する。次いで、フェノール(PL)の沸点以上に加熱して蒸発させ、フェノール(PL)をフェノール蒸発器32の上部から抜き出す。そして、フェノール蒸発器32の下部から上記ビスフェノールA(BPA)及びBPA副生物を主成分とする蒸発残渣を残渣反応器33に送り、180〜300℃の熱をかけることにより、上記ビスフェノールA(BPA)及びBPA副生物に分解反応を生じさせ、ビスフェノールA(BPA)の反応中間体であるイソプロペニルフェノール等の分解物を得、これを塔頂から蒸留留去させる。また、この残渣反応器33で生じた釜残分は、有機分を大量に含む排液(D4)として、焼却処理等の排液処理工程(図示せず)に送られる。
上記BPA副生物の分解物であるフェノール(PL)及びフェノール誘導体は、残渣反応器33の上部より留去されて再生反応器34に送られるが、残渣反応器33の上部より取り出す際、上記フェノール蒸発器32の上部から抜き出されたフェノール(PL)と混合させる。これにより、フェノール誘導体の濃度が希釈されて、好ましくない副反応が生じるのを抑えることができる。
次いで、再生反応器34において、上記BPA副生物の分解物であるフェノール(PL)及びフェノール誘導体を、酸触媒を用いて、再度、反応させることにより、ビスフェノールA(BPA)等を生成させる。これは、未反応のフェノール(PL)と共に、上記原料として使用されるフェノール(PL)に混合されて、工程(a)に送られる。上記ビスフェノールA(BPA)は、そのまま、工程(c)を経て回収され、フェノール(PL)は、原料として使用されるので、ビスフェノールA(BPA)の製造効率を高めることができる。
[芳香族ポリカーボネート製造工程]
上記芳香族ポリカーボネートの製造工程は、図5に示すプロセスから構成される。すなわち、原料として、上記の方法で製造されたジフェニルカーボネート(DPC)及びビスフェノールA(BPA)を用い、これとアルカリ水溶液等の塩基性触媒(C2)とを混合槽41に導入して混合し、次いで重合槽に送って重合工程を行う。上記重合槽の数は、特に限定されないが、重合反応が脱フェノールを行いながらの縮重合であるので、重合度に併せて重合条件をかえることを可能とするため、複数の重合槽を用いるのが好ましい。図5においては、縦型重合槽を3つ(第1重合槽42,第2重合槽43,第3重合槽44)、及び横型重合器を1つ(第4重合器45)を直列に連結した重合槽群を示した。この場合の重合条件としては、例えば、第1重合槽42において、200〜250℃で50から200Torr、第2重合槽43において、230〜280℃で10から50Torr、第3重合槽44において、250〜300℃で0.2から5Torr、第4重合器45において、260〜320℃で0.05から2Torrとすることができる。このようにすると、重合が進行するにつれてフェノール(PL)が留去され、所望の重合度のポリカーボネート(PC)を得ることができる。
上記重合工程において生じたフェノール(PL)は、熱交換器46,47やコンデンサ48によって液化され、PC用回収PLタンク49に送られる。そして、残りの排ガス(D5)は、処理工程(図示せず)に送られる。
上記重合工程で製造された芳香族ポリカーボネートは、押出機52に送られる。ここで、含有する揮発分を排ガス(D5)として除去すると共に、酸Iや各種添加剤Jを加えて、触媒の中和等が行われる。そして、ペレット化等の処理(図示せず)が行われ、製品としての芳香族ポリカーボネートが得られる。
上記重合工程でのフェノール(PL)を主成分とする蒸発成分は、上記の通り、液化されてPC用回収PLタンク49に送られる。この蒸発成分は、フェノール(PL)を主成分とするが、原料であるジフェニルカーボネート(DPC)やビスフェノールA(BPA)、ジフェニルカーボネート(DPC)及びビスフェノールA(BPA)の1分子同士〜数分子同士が縮重合したオリゴマー、アルカリ系触媒由来の水等を含有する。このため、この蒸発成分を蒸留工程にかけ、フェノール(PL)を回収する。この蒸留工程の例としては、図5に示すような2段の蒸留塔を用いる方法を例としてあげることができる。まず、第1PL蒸留塔50では、フェノール(PL)より低沸点の水等を蒸発留去させ、低沸留去分(D6)を回収除去する。次いで、第1PL蒸留塔50の蒸留残渣uを第2PL蒸留塔51に送り、フェノール(PL)を蒸留回収すると共に、この第2PL蒸留塔51でのPL蒸留残渣(X2)を回収する。上記蒸留回収したフェノール(PL)は、上記したジフェニルカーボネート(DPC)製造工程やビスフェノールA(BPA)の原料として使用される。
[PL蒸留残渣(X2)の処理]
上記のPL蒸留残渣(X2)には、フェノール(PL)、ジフェニルカーボネート(DPC)、ビスフェノールA(BPA)、ジフェニルカーボネート(DPC)及びビスフェノールA(BPA)の1分子同士〜数分子同士が縮重合したオリゴマー等を含有するが、このうち、フェノール(PL)、ビスフェノールA(BPA)及びジフェニルカーボネート(DPC)を多く含む。そこで、これらの有効成分を有効活用するため、上記のPL蒸留残渣X2を、上記ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程の上記の蒸留工程又は回収蒸留工程、又は上記ビスフェノールA(BPA)製造工程の上記母液処理工程(工程(g))に送る。
上記ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程において、上記回収蒸留工程を有さず、上記のPL蒸留残渣(X2)を、上記ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程の上記蒸留工程に送る場合、具体的には、図1に示すように、上記PL蒸留残渣(X2)を、第1DPC蒸留塔6に送る。これにより、上記PL蒸留残渣(X2)は、第1DPC蒸留塔6及び第2DPC蒸留塔7で蒸留され、フェノール(PL)及びジフェニルカーボネート(DPC)を回収する。このうち、フェノール(PL)は、第1DPC蒸留塔6で混合ガス(F)の一成分として回収され、ジフェニルカーボネート(DPC)は、第2DPC蒸留塔7で回収される。
上記ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程において、上記回収蒸留工程を有し、上記のPL蒸留残渣(X2)を、上記ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程の上記回収蒸留工程に送る場合、具体的には、図2に示すように、上記PL蒸留残渣X2を、DPC回収蒸留塔8に送る。これにより、上記PL蒸留残渣(X2)は、DPC回収蒸留塔8で蒸留され、フェノール(PL)及びジフェニルカーボネート(DPC)を回収し、混合槽3に送られる。このうち、フェノール(PL)は、第1DPC蒸留塔6で混合ガス(F)の一成分として回収され、ジフェニルカーボネート(DPC)は、第2DPC蒸留塔7で回収される。
また、上記のPL蒸留残渣(X2)を、上記ビスフェノールA(BPA)製造工程の上記母液処理工程(工程(g))に送る場合、具体的には、図4に示すように、上記PL蒸留残渣X2を、残渣反応器33に送る。これにより、フェノール(PL)は、そのまま留去されるが、他の成分は、分解され、再生反応器34で再びビスフェノールA(BPA)等が生成され、ビスフェノールA(BPA)製造工程のBPA反応器(図示せず)に送られる。これにより、フェノール(PL)は原料として使用され、ビスフェノールA(BPA)は、そのまま合成されるビスフェノールA(BPA)と一体となって動く。
[蒸留残渣(X1)又は回収蒸留残渣(X1’)の処理]
上記ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程において、上記回収蒸留工程を有さないときの蒸留残渣(X1)、又は、上記回収蒸留工程を有するときの回収蒸留残渣(X1’)には、ジフェニルカーボネート(DPC)や、ジフェニルカーボネート(DPC)のメチル置換体、ジフェニルカーボネート(DPC)の臭素置換体等のジフェニルカーボネート(DPC)系不純物等が含まれ、また、上記PL蒸留残渣(X2)を、上記蒸留工程又は回収蒸留工程に導入した場合は、合わせて、ビスフェノールA(BPA)、ジフェニルカーボネート(DPC)及びビスフェノールA(BPA)の1分子同士〜数分子同士が縮重合したオリゴマー等を含有するが、このうち、ビスフェノールA(BPA)及びジフェニルカーボネート(DPC)を多く含む。そこで、これらの有効成分を有効活用するため、上記蒸留残渣(X1)又は回収蒸留残渣(X1’)を、上記ビスフェノールA(BPA)製造工程の上記母液処理工程(工程(g))に送る。
この場合、具体的には、図4に示すように、上記蒸留残渣(X1)又は回収蒸留残渣(X1’)を、残渣反応器33に送る。これにより、各成分は、分解され、再生反応器34で再びビスフェノールA(BPA)に変換され、ビスフェノールA(BPA)製造工程のBPA反応器(図示せず)に送られる。これにより、ビスフェノールA(BPA)は、そのまま合成されるビスフェノールA(BPA)と一体となって動く。
[排液(D4)]
上記PL蒸留残渣(X2)を、上記ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程の上記蒸留工程又は回収蒸留工程、又は上記ビスフェノールA(BPA)製造工程の上記母液処理工程(工程(g))に送り、かつ、上記蒸留残渣(X1)又は回収蒸留残渣(X1’)を上記ビスフェノールA(BPA)製造工程の上記母液処理工程(工程(g))に送った場合、ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程、ビスフェノールA(BPA)製造工程、及び芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程からでる排液は、ビスフェノールA(BPA)製造工程の上記母液処理工程(工程(g))から生じる排液(D4)の1つに集約される。このようにすると、3工程のそれぞれで発生していた、有機物を大量に含有する排液を1つにまとめることができ、排液全体としての排出量を抑制することが可能となり、排液処理工程(図示せず)が効率的となり、かつこの負荷を低下させることができる。
以下、この発明を実施例を用いてより詳細に説明する。まず、測定方法について説明する。
<粘度平均分子量(Mv)>
得られたポリカーボネートの濃度(C)を0.6g/dlとした塩化メチレン溶液を用いて、ウベローデ型粘度計により温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式を用いて算出する。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4(Mv)0.83
<初期色相(YI)>
得られたポリカーボネート樹脂を窒素雰囲気下、120℃で6時間乾燥した後、(株)日本製鋼所製J−100射出成形機で3mm厚の射出成形片を360℃で製作し、スガ試験機(株)製SC−1によりYI値を測定した。なお、このYI値が大きいほど着色していることを示す。
(ジフェニルカーボネート製造工程)
〔反応工程〕
溶融フェノールとピリジン触媒を反応器へ連続供給しながら、150℃の混合下、ホスゲンガスを連続供給した。ホスゲン化反応に伴って副生される塩化水素ガスは10℃まで冷却し、凝縮液は反応器に戻され、未凝縮ガスはアルカリ水溶液で中和後排出した。一方、反応器からはジフェニルカーボネートが約91重量%含有する反応液を連続的に抜き出した。
〔洗浄工程〕
上記反応液と約5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、それぞれフッ素樹脂ライニング製の中和混合槽に供給し、80℃下で約10分間混合しpH8.5に調整した。中和後の有機相は静置分離後、水洗混合槽に移送した。水洗混合槽では有機相に対して約30重量%に相当する温水で洗浄され、水相を分離して、粗製ジフェニルカーボネート(水1重量%、ピリジン2重量%、フェノール8重量%、ジフェニルカーボネート89重量%含有)を得た。
〔低沸蒸留工程〕
次に、上記粗製ジフェニルカーボネートを約30kg/hrで低沸蒸留塔の中段に連続供給した。低沸蒸留塔は内径150mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約220℃、トップ温度80〜100℃、塔中段温度160℃、還流比1の条件で蒸留してジフェニルカーボネートより低沸点物質である水、ピリジン、フェノールを蒸留留去した。塔底からは、約26kg/hrでジフェニルカーボネート(水10重量ppm以下、ピリジン1重量ppm以下、フェノール50重量ppm)が連続的に抜き出された。
〔高沸蒸留工程〕
更に、このジフェニルカーボネート(低沸蒸留塔の缶出液)を高沸蒸留塔に連続供給した。高沸蒸留塔は内径200mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度約180℃、還流比0.5の条件で蒸留して、トップより精製ジフェニルカーボネートが約23.5kg/hrで得られ、塔底より高沸物(ジフェニルカーボネートのアルキル置換体とブロム置換体がそれぞれ約350重量ppmと約40重量ppm含有するジフェニルカーボネート)が約2.5kg/hrでパージされた。精製ジフェニルカーボネートは、フェノールを80重量ppm含有する高純度品であった。
(芳香族ポリカーボネート製造工程)
〔重合工程〕
上記ジフェニルカーボネート製造工程で得られた精製ジフェニルカーボネートとビスフェノールAを窒素ガス雰囲気下、0.977重量比で溶融混合し、130℃に加熱した原料導入管を介して常圧、窒素雰囲気下、210℃に制御した混合槽内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として水溶液とした炭酸セシウムをビスフェノールA1モルに対し、0.5×10-6モルの流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き第2、3の縦型重合槽並びに第4の横型重合器に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。第1〜3重合槽より蒸発するガスは、それぞれ多段凝縮器で凝縮液化され、一部を各重合槽に還流し、残りを副生フェノールタンクに回収した。一方、第4重合器より蒸発するガスは、並列2基ある片方のフリーズコンデンサーで固化され、他方のフリーズコンデンサーとの切替運転により固化分を溶融し、副生フェノールタンクに回収された。
各反応槽の重合条件は、第1重合槽(210℃、100Torr)、第2重合槽(240℃、15Torr)、第3重合槽(260℃、0.5Torr)、第4重合器(270℃、0.5Torr)であった。
上記得られたポリマーを溶融状態のまま、2軸押出機(神戸製鋼所(株)製、スクリュー径0.046m、L/D=40.2)に導入し、ポリカーボネート当たり5重量ppm相当のp−トルエンスルホン酸ブチルを連続的に添加しながら、ペレット化した。こうして得られたポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は21,000であり、初期色相(YI)は1.7であった。
〔副生フェノール精製工程〕
上記重合工程より回収された副生フェノール留出液を分析した結果、ジフェニルカーボネートが5.0重量%、ビスフェノールAが0.5重量%、オリゴマーが0.3重量%、水分が0.2重量%検出された。
この副生フェノール留出液を以下の2塔の蒸留塔で連続的に精製した。第1の蒸留塔は、200Torr、還流比2で、含有する水を一部フェノールとともに留去し、缶出液は第2蒸留塔へ連続供給した。第2蒸留塔では、50Torr、還流比0.5で、トップより精製フェノールを得、缶出からはジフェニルカーボネート、ビスフェノールA、及び、オリゴマーをそれぞれ、67重量%、7重量%、及び、4重量%含有するフェノール混合液を連続的にパージした。
(芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留残査を、ジフェニルカーボネート製造工程の蒸留工程に送る例)
上記芳香族ポリカーボネート製造工程の副生フェノール精製工程よりパージされた蒸留残査(フェノール22重量%、ジフェニルカーボネート67重量%、ビスフェノールA7重量%、オリゴマー4重量%含有)を上記ジフェニルカーボネート製造工程の低沸蒸留塔へ供給し、次いで、低沸蒸留塔の缶出液を高沸蒸留塔へ供給した。その結果、上記蒸留残査のうちフェノールのほぼ100%が低沸蒸留塔のトップより回収され、ジフェニルカーボネートの約半分が高沸蒸留塔のトップより回収され、上記蒸留残査を既存の所定の工程にリサイクルするだけで有効成分が効率的に回収できた。
以上の操作を実施しながら、前述の如くジフェニルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートを製造した結果、得られたジフェニルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートの品質には何ら問題が無かった。
(ジフェニルカーボネート製造工程)
〔回収蒸留工程〕
実施例1のジフェニルカーボネート製造工程の高沸蒸留工程よりパージされた高沸物を回収蒸留塔に供給し、下記の条件で連続蒸留し、トップよりジフェニルカーボネートを留出回収した。回収された留出分は、ジフェニルカーボネート製造工程の洗浄工程にリサイクルし、歩留まりを向上させた。一方、回収蒸留塔の缶出からは高沸物(ジフェニルカーボネートのアルキル置換体とブロム置換体がそれぞれ約7000重量ppmと約800重量ppm含有するジフェニルカーボネート)が連続的にパージされた。
ジフェニルカーボネートの回収蒸留の条件は、内径100mm、高さ3.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機工業製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用し、真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度180℃、還流比0.5で実施した。
その他の操作は、実施例1と同様に行い、精製ジフェニルカーボネート(フェノール80重量ppm含有)の高純度品を製造し、芳香族ポリカーボネートを製造した。
(芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留残査を、ジフェニルカーボネート製造工程の回収蒸留工程に送る例)
上記芳香族ポリカーボネート製造工程の副生フェノール精製工程よりパージされた蒸留残査(フェノール22重量%、ジフェニルカーボネート67重量%、ビスフェノールA7重量%、オリゴマー4重量%含有)を上記ジフェニルカーボネート製造工程の回収蒸留塔へ供給した。その結果、上記蒸留残査のうちフェノールのほぼ100%とジフェニルカーボネートの約80重量%が回収蒸留塔のトップより回収され、上記蒸留残査を既存の所定の工程にリサイクルするだけで有効成分が効率的に回収できた。
以上の操作を実施しながら、前述の如くジフェニルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートを製造した結果、得られたジフェニルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートの品質には何ら問題が無かった。
(ビスフェノールA製造工程)
温度調節器を有する流通式合成反応器に、4−ピリジンエタンチオールでスルホン酸基の15%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名 ダイヤイオン SK?104)を60L充填した。この合成反応器に、フェノ?ル:アセトンのモル比 10:1の混合液を温度 80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。アセトンの転化率は80%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)を5.1kg/hの流量でパージしたのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ16.5kg/hと46.5kg/hであった。この母液の10wt%を母液処理工程に供給し、他の母液は合成反応器に装入する原料の一部として循環させた。
ここで得られた付加物結晶を、再度27.2kg/hの流量のフェノ?ルに溶解させたのち、50℃に冷却して結晶を析出させ、濾過して付加物の結晶(11.3kg/h)と母液(32.5kg/h)とに分離した。分離された結晶は、0.3mmHgの減圧下、180℃に加熱してフェノールを除去し、純度99.95%以上のビスフェノールAを7.7kg/hの流量で得た。
一方、母液処理工程に供給した母液は、フェノールの一部を留去し濃縮した。次に、水酸化ナトリウムを0.1重量%含ませ、50mmHgの減圧下、210℃にコントロールした分解蒸留塔の塔底に装入した。塔底の液レベルは一定の条件で運転し(滞留時間 1hr)、分解蒸留塔の塔底液は0.5kg/hの流量で系外にパージした。さらに、分解蒸留塔の塔頂からの流出液と前述のフェノールとを混ぜ、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名 ダイヤイオン SK?104)を4L充填した、流通式反応器に4.2kg/hの流量で装入し、80℃の条件で、反応させた。得られた反応液は最初の合成反応器に循環した。
前述の合成反応器へは、系外へパージされた量及び得られたビスフェノールAの量に対応する量のアセトン(3.6kg/h)とフェノール(18.5kg/h)とを補給し、合成反応を連続的に行い、上記の系全体としてビスフェノールAを連続的に製造した。
(ジフェニルカーボネート製造工程の蒸留残査と芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留残査を、ビスフェノールA製造工程の母液処理工程に送る例)
上記ジフェニルカーボネート製造工程の蒸留残査(ジフェニルカーボネートのアルキル置換体:約350重量ppm、ジフェニルカーボネートのブロム置換体約40重量ppm、残りはジフェニルカーボネート)を0.11kg/hの流量で、芳香族ポリカーボネート製造工程の副生フェノール精製工程よりパージされた蒸留残査(フェノール22重量%、ジフェニルカーボネート67重量%、ビスフェノールA7重量%、オリゴマー4重量%含有)を0.15kg/hの流量で、上記ビスフェノールA製造工程の母液処理工程へ供給した。このとき、分解蒸留塔の塔底の液レベルは一定の条件で運転し(滞留時間:1hr)、塔底液は0.6kg/hで系外にパージした。
その結果、上記蒸留残査のうちフェノールのほぼ100%とビスフェノールAの分解生成物が母液処理工程の各蒸留塔のトップより回収され、上記蒸留残査を既存の所定の工程にリサイクルするだけで有効成分が効率的に回収できた。
以上の操作を実施しながら、前述の如くビスフェノールA、ジフェニルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートを製造した結果、得られたビスフェノールA、ジフェニルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートの品質には何ら問題が無かった。
(ジフェニルカーボネート製造工程の回収蒸留残査と芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留残査を、ビスフェノールA製造工程の母液処理工程に送る例)
上記ジフェニルカーボネート製造工程の回収蒸留残査(ジフェニルカーボネートのアルキル置換体:約7000重量ppm、ジフェニルカーボネートのブロム置換体約800重量ppm、残りはジフェニルカーボネート)を0.11kg/hの流量で、芳香族ポリカーボネート製造工程の副生フェノール精製工程よりパージされた蒸留残査(フェノール22重量%、ジフェニルカーボネート67重量%、ビスフェノールA7重量%、オリゴマー4重量%含有)を0.15kg/hの流量で、上記ビスフェノールA製造工程の母液処理工程へ供給した。このとき、分解蒸留塔の塔底の液レベルは一定の条件で運転し(滞留時間 1hr)、塔底液は0.6kg/hで系外にパージした。
その結果、上記蒸留残査のうちフェノールのほぼ100%とビスフェノールAの分解生成物が母液処理工程の各蒸留塔のトップより回収され、上記蒸留残査を既存の所定の工程にリサイクルするだけで有効成分が効率的に回収できた。
以上の操作を実施しながら、前述の如くビスフェノールA、ジフェニルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートを製造した結果、得られたビスフェノールA、ジフェニルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートの品質には何ら問題が無かった。
(芳香族ポリカーボネート製造工程の蒸留残査を、ジフェニルカーボネート製造工程の回収蒸留工程に送り、回収蒸留残査をビスフェノールA製造工程の母液処理工程に送る例)
上記芳香族ポリカーボネート製造工程の副生フェノール精製工程よりパージされた蒸留残査(フェノール22重量%、ジフェニルカーボネート67重量%、ビスフェノールA7重量%、オリゴマー4重量%含有)を上記ジフェニルカーボネート製造工程の回収蒸留塔へ供給し、回収蒸留塔より留出された有効成分は上記ジフェニルカーボネート製造工程の洗浄工程にリサイクルし、かつ、回収蒸留塔の缶出液は上記ビスフェノールA製造工程の母液処理工程に供給し、該工程で回収された有効成分をビスフェノールA製造工程の合成原料として使用した。以上の操作を実施しながら、ビスフェノールA、ジフェニルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートを400時間連続して運転した結果、得られたビスフェノールA、ジフェニルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートの品質には何ら問題が無く、高沸廃棄物はビスフェノールA製造工程の母液処理工程からの排出にまとめられ、その量は激減し、歩留まりが大幅に向上した。
この発明に係るジフェニルカーボネート(DPC)製造工程のスキームを示す工程図 この発明に係るジフェニルカーボネート(DPC)製造工程の他のスキームを示す工程図 この発明に係るビスフェノールA(BPA)製造工程のスキームを示す工程図 この発明に係るビスフェノールA(BPA)製造工程の母液処理工程(工程(g))のスキームを示す工程図 この発明に係る芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程のスキームを示す工程図
符号の説明
1 DPC反応器
2 脱塩酸塔
3 混合槽
4 アルカリ中和槽
5 水洗槽
6 第1DPC蒸留塔
7 第2DPC蒸留塔
8 DPC回収蒸留塔
32 フェノール蒸発器
33 残渣反応器
34 再生反応器
41 混合槽
42 第1重合槽
43 第2重合槽
44 第3重合槽
45 第4重合器
46 熱交換器
47 熱交換器
48 コンデンサ
49 PC用回収PLタンク
50 第1PL蒸留塔
51 第2PL蒸留塔
52 押出機
A アセトン
BPA ビスフェノールA
C1 塩基性化合物触媒
C2 塩基性触媒
CDC ホスゲン
D1 塩酸ガス
D2 中和排水
D3 水系排水
D4 排液
D5 排ガス
D6 低沸留去分
DPC ジフェニルカーボネート
E1 アルカリ性水溶液
F 混合ガス
I 酸
J 添加剤
PL フェノール
W 水
X1 蒸留残渣
X1’ 回収蒸留残渣
X2 PL蒸留残渣
a DPC含有反応液
b 脱塩酸処理液
d DPC含有回収液
e 中和処理液
f 水洗処理液
g1 第1蒸留残渣
u 第1PL蒸留塔の蒸留残渣

Claims (8)

  1. フェノール及びカルボニル化合物を原料とし、反応工程及び蒸留工程を経てジフェニルカーボネートを製造するジフェニルカーボネート製造工程、
    及び、上記ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料とし、重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造すると共に、上記重合工程での蒸発成分を液化して蒸留工程にかけることによってフェノールを回収する芳香族ポリカーボネート製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    上記芳香族ポリカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記ジフェニルカーボネート製造工程の上記蒸留工程に送る、芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. フェノール及びカルボニル化合物を原料とし、反応工程及び蒸留工程を経てジフェニルカーボネートを製造すると共に、上記蒸留工程の蒸留残渣からジフェニルカーボネートを回収する回収蒸留工程を有するジフェニルカーボネート製造工程、
    及び、上記ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料とし、重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造すると共に、上記重合工程での蒸発成分を液化して蒸留工程にかけることによってフェノールを回収する芳香族ポリカーボネート製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    上記芳香族ポリカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記ジフェニルカーボネート製造工程の上記蒸留工程及び/又は回収蒸留工程に送る芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  3. フェノール及びカルボニル化合物を原料とし、反応工程及び蒸留工程を経てジフェニルカーボネートを製造するジフェニルカーボネート製造工程、
    フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析・分離工程を経てビスフェノールAを製造すると共に、上記晶析・分離工程から排出される母液の一部又は全部を、母液処理工程に送って母液中の副生物を減少させ、次いで、上記原料として使用されるフェノールの一部又は全部として用いるビスフェノールA製造工程、
    及び、上記ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料とし、重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造すると共に、上記重合工程での蒸発成分を液化して蒸留工程にかけることによってフェノールを回収する芳香族ポリカーボネート製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    上記芳香族ポリカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣、及び/又は、上記ジフェニルカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記ビスフェノールA製造工程の上記母液処理工程に送る芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  4. フェノール及びカルボニル化合物を原料とし、反応工程及び蒸留工程を経てジフェニルカーボネートを製造すると共に、上記蒸留工程の蒸留残渣からジフェニルカーボネートを回収する回収蒸留工程を有するジフェニルカーボネート製造工程、
    フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析・分離工程を経てビスフェノールAを製造すると共に、上記晶析・分離工程から排出される母液の一部又は全部を、母液処理工程に送って母液中の副生物を減少させ、次いで、上記原料として使用されるフェノールの一部又は全部として用いるビスフェノールA製造工程、
    及び、上記ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料とし、重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造すると共に、上記重合工程での蒸発成分を液化して蒸留工程にかけることによってフェノールを回収する芳香族ポリカーボネート製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    上記芳香族ポリカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣、並びに/又は、上記ジフェニルカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣及び/若しくは上記回収蒸留工程で生じる回収蒸留残渣を、上記ビスフェノールA製造工程の上記母液処理工程に送る芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  5. フェノール及びカルボニル化合物を原料とし、反応工程及び蒸留工程を経てジフェニルカーボネートを製造するジフェニルカーボネート製造工程、
    フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析・分離工程を経てビスフェノールAを製造すると共に、上記晶析・分離工程から排出される母液の一部又は全部を、母液処理工程に送って母液中の副生物を減少させ、次いで、上記原料として使用されるフェノールの一部又は全部として用いるビスフェノールA製造工程、
    及び、上記ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料とし、重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造すると共に、上記重合工程での蒸発成分を液化して蒸留工程にかけることによってフェノールを回収する芳香族ポリカーボネート製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    上記芳香族ポリカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記ジフェニルカーボネート製造工程の上記蒸留工程に送り、次いで、上記ジフェニルカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記ビスフェノールA製造工程の上記母液処理工程に送る芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  6. フェノール及びカルボニル化合物を原料とし、反応工程及び蒸留工程を経てジフェニルカーボネートを製造すると共に、上記蒸留工程の蒸留残渣からジフェニルカーボネートを回収する回収蒸留工程を有するジフェニルカーボネート製造工程、
    フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析・分離工程を経てビスフェノールAを製造すると共に、上記晶析・分離工程から排出される母液の一部又は全部を、母液処理工程に送って母液中の副生物を減少させ、次いで、上記原料として使用されるフェノールの一部又は全部として用いるビスフェノールA製造工程、
    及び、上記ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料とし、重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造すると共に、上記重合工程での蒸発成分を液化して蒸留工程にかけることによってフェノールを回収する芳香族ポリカーボネート製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    上記芳香族ポリカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記ジフェニルカーボネート製造工程の上記蒸留工程及び/又は回収蒸留工程に送り、次いで、上記ジフェニルカーボネート製造工程の上記蒸留工程で生じる蒸留残渣及び/又は上記回収蒸留工程で生じる回収蒸留残渣を、上記ビスフェノールA製造工程の上記母液処理工程に送る芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  7. 上記母液処理工程は、母液の一部又は全部に塩基性物質を加えて加熱することによって、フェノール及びフェノール誘導体を生じさせ、次いで、このフェノール及びフェノール誘導体を、酸触媒又はアルカリ触媒を用いて反応させることにより、ビスフェノールAを得る請求項3乃至6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  8. 上記塩基性物質が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである請求項7に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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