JP4333276B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関し、詳しくは、ジフェニルカーボネート製造工程及びビスフェノールA製造工程で使用されるフェノールの不純物含有量を所定範囲とすることにより、使用するフェノールの精製処理を省力化させる芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAから芳香族ポリカーボネートを製造する方法において、フェノールは、ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAの両方の製造原料である。また、ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAから芳香族ポリカーボネートを製造する際に生じる留出成分は、フェノールを主成分とする。
そして、ジフェニルカーボネート製造に使用されるフェノール量、ビスフェノールA製造に使用されるフェノール量、及び上記の芳香族ポリカーボネート重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分中のフェノールの量は、理論的にいずれも同量となる。このため、上記の芳香族ポリカーボネート重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分は、ジフェニルカーボネート製造用及びビスフェノールA製造用のいずれか一方又は両方に使用することができ、不足分は、新規なフェノール、例えば市販フェノールが使用されることとなる(特許文献1参照)。
市販フェノールをジフェニルカーボネート製造用に使用する場合、不純物としてクレゾールやキシレノールを70〜1000ppm含有するため、ビスフェノールAの製造後、芳香族ポリカーボネートを製造した場合、得られる芳香族ポリカーボネートの末端がクレゾール末端又はキシレノール末端となりやすく、得られる芳香族ポリカーボネートの溶融安定性が低下する傾向がある。このため、市販フェノールをジフェニルカーボネート製造用に使用する場合、精製して、クレゾールやキシレノールを除去する必要がある旨が、特許文献2に記載されている。
また、市販フェノールをビスフェノールA製造用に使用する場合、不純物としてヒドロキシアセトンを含有するが、このヒドロキシアセトンは、ビスフェノールA製造反応において、触媒毒として作用する。また、着色原因物質となる含酸素化合物を含有する場合がある。このため、市販フェノールをビスフェノールA製造用に使用する場合、酸性イオン交換樹脂と接触させて、上記不純物をフェノールの沸点より高い沸点を有する生成物に転化させ、そしてこの生成物を含むフェノールを蒸留精製して、上記不純物を除去する必要がある旨が、特許文献3や特許文献4に記載されている。
さらに、上記の芳香族ポリカーボネート重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分を、ジフェニルカーボネート製造用に使用する場合、この留出成分には、不純物として、上記のクレゾール、キシレノール等は検出限界以下しか含有しないが、その代わりに、ジフェニルカーボネート、ビスフェノールA、ジフェニルカーボネート及びビスフェノールAが1〜数分子反応したオリゴマー等が含まれる。これらの中でも、ビスフェノールA等をジフェニルカーボネート製造工程に混入させるのを防止するため、上記留出成分中のフェノールの精製度を高くする必要がある旨が、特許文献1や特許文献5に記載されている。
さらにまた、上記の芳香族ポリカーボネート重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分をビスフェノールA製造用に使用する場合、この留出成分に含まれる不純物のうち、ジフェニルカーボネートやビスフェノールA、上記オリゴマー等がビスフェノールA製造工程に混入するが、ジフェニルカーボネートは加水分解されてフェノールとなり、ビスフェノールAは、そのままの状態で次工程に移行し、オリゴマーは加水分解されてビスフェノールAとなって次工程に移行する。このため、上記の芳香族ポリカーボネート重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分を精製することなく、又は低純度の精製で使用できる旨が、特許文献6に記載されている。
特開平9−241373号公報 特開平9−255772号公報 特開昭47−30628号公報 特開平8−40963号公報 特開平10−60106号公報 特開2000−53759号公報
しかしながら、上記のビスフェノールAの製造用に、上記の芳香族ポリカーボネート重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分を使用する場合においては、ビスフェノールA、ジフェニルカーボネート等、水以外の不純物の含有量に注目しているものの、水の含有量については検討されていない。すなわち、水の存在は、ビスフェノールA製造工程においては、触媒の活性低下を招き、ビスフェノールAの生成率の低下につながる。このため、水分除去のための工程が必要となる。したがって、この場合は、上記の芳香族ポリカーボネート重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分を、ビスフェノールA製造用に使用する場合も、ジフェニルカーボネート製造用に使用する場合も、いずれにおいても精製が必要となる。
そこでこの発明は、芳香族ポリカーボネート重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分と、市販フェノールの使用方法を工夫すると共に、既存のジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを製造するために用いられる工程を利用することにより、芳香族ポリカーボネート重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分、又は市販フェノールの精製処理を省力化することを目的とする。
この発明は、下記する〈1〉〜〈3〉のそれぞれの製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、上記ジフェニルカーボネート製造工程で原料として使用されるフェノールとして、市販されているフェノールで代表される、クレゾール又はキシレノールを70〜1000重量ppm含有するフェノールを用いると共に、上記反応工程の後に蒸留する工程を行い、上記ビスフェノールA製造工程で原料として使用されるフェノールの少なくとも一部として、上記芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分を用いることにより、上記課題を解決したのである。
〈1〉フェノール及びカルボニル化合物を原料とする反応工程を経てジフェニルカーボネートを製造するジフェニルカーボネート製造工程。
〈2〉フェノール及びアセトンを原料とし、酸触媒の存在下での合成反応工程、晶析・分離工程を経てビスフェノールAを製造するビスフェノールA製造工程。
〈3〉上記のジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料とし、重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造する芳香族ポリカーボネート製造工程。
ジフェニルカーボネート製造工程で原料として使用されるフェノールとして、市販されているフェノールで代表される、クレゾール又はキシレノールを70〜1000重量ppm含有するフェノールをそのまま用いるが、このジフェニルカーボネート製造工程では、クレゾール又はキシレノールは、一部カルボニル化合物と反応して、ジフェニルカーボネートのアルキル置換体を形成し、残りは未反応のまま残存する。
だが、反応工程の後、ジフェニルカーボネートを回収するために、未反応のフェノール等を除去できる低沸カット蒸留、及びジフェニルカーボネートより高沸である成分を除去する高沸分分離蒸留が行われる。これらの蒸留によりクレゾールやキシレノールは、低沸分として除去され、また、この不純物から生成したジフェニルカーボネートのアルキル置換体は、高沸分として除去される。したがって、得られるジフェニルカーボネート中に、上記した不純物由来の化合物を低減することができ、芳香族ポリカーボネートの製造の際に、支障をきたすことなく、得られたポリカーボネートの品質にも問題が生じない。
さらに、上記の市販されているフェノールには、ヒドロキシアセトンに代表される触媒等原因物質や着色原因物質等の不純物が数十重量ppm含有しているが、これら不純物は、上記のジフェニルカーボネートの蒸留工程で除去できるため、芳香族ポリカーボネートの製造工程には混入せず、芳香族ポリカーボネートの品質に影響を与えない。したがって、ジフェニルカーボネート製造工程において、上記不純物を除去するために、使用する市販フェノールの精製工程を新たに設ける必要性がない。
また、ビスフェノールA製造工程で原料として使用されるフェノールとしては、上記芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分で代表される。このフェノールは、ヒドロキシアセトンの含有量を10重量%未満に抑えているので、ビスフェノールA製造反応において、触媒毒が低く抑えられ、触媒寿命を高めることができる。
すなわち、ビスフェノールAの原料は、芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分を使用することにより、従来、市販のフェノールを原料とする場合に必要であった酸性イオン交換樹脂と接触させて、ヒドロキシアセトン等の含酸素化合物を除去する工程を削減することができる。
また、ビスフェノールA製造工程内に既に存在する所定の工程に、上記の芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分を供給することにより、この蒸留成分の蒸留工程を省略することができ、設備の省力化が達成できる。
さらに、上記の芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じるフェノールを主成分とする留出成分は、上記の市販されているフェノールに比べ、クレゾールやキシレノールの含有量が低減されており、ビスフェノールAの品質低下が少なく、より好適に用いられる。
この発明によると、ジフェニルカーボネート製造工程、ビスフェノールA製造工程、芳香族ポリカーボネート製造工程を統合的に運用することにより、ジフェニルカーボネートの製造原料として市販のフェノールを、ビスフェノールAの製造原料として、芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じる留出成分を用いることが可能となる。
すなわち、市販のフェノールをジフェニルカーボネート製造原料として使用することにより、市販のフェノールを精製する工程が不要となる。また、芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じる留出成分を、ビスフェノールAの製造原料として使用する場合は、芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で得られる留出成分の精製工程を省略し、その代わりに、ビスフェノールAの製造工程の水分離工程を利用することにより、芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で得られる留出成分をそのまま使用することができる。
したがって、上記のようにフェノールを使い分けることにより、フェノールに含まれる不純物を除去する工程を一部削減することができ、より生産性の高い芳香族ポリカーボネートの製造方法を提供することができる。
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
この発明にかかる芳香族ポリカーボネートの製造方法は、下記のジフェニルカーボネート(DPC)、ビスフェノールA(BPA)及び芳香族ポリカーボネート(PC)のそれぞれの製造工程において、原料として使用されるフェノールについて特定した製造方法である。以下において、まず、芳香族ポリカーボネート製造工程について説明し、そして、ジフェニルカーボネート製造工程、ビスフェノールA製造工程について順に説明する。
[芳香族ポリカーボネート製造工程]
上記芳香族ポリカーボネートの製造工程は、図1に示すプロセスから構成される。すなわち、原料として、上記ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程及びビスフェノールA(BPA)製造工程で製造されたジフェニルカーボネート(DPC)及びビスフェノールA(BPA)を用い、これとアルカリ水溶液等の塩基性触媒(C2)とを混合槽41に導入して混合し、次いで重合槽に送って重合工程を行う。上記重合槽の数は、特に限定されないが、重合反応が、フェノール(PL)を留出させながらの縮重合であるので、重合度に併せて重合条件をかえることを可能とするため、複数の重合槽を用いるのが好ましい。図1においては、縦型重合槽を3つ(第1重合槽42,第2重合槽43,第3重合槽44)、及び横型重合器を1つ(第4重合器45)を直列に連結した重合槽群を示した。この場合の重合条件としては、例えば、第1重合槽42において、200〜250℃で50から200Torr、第2重合槽43において、230〜280℃で10から50Torr、第3重合槽44において、250〜300℃で0.2から5Torr、第4重合器45において、260〜320℃で0.05から2Torrとすることができる。このようにすると、重合が進行するにつれてフェノール(PL)を主成分とする留出成分(以下、「フェノール含有留出成分(d−PL)」と称する。)が留去され、所望の重合度の芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
上記重合工程において生じたフェノール含有留出成分(d−PL)は、熱交換器46,47やコンデンサ48によって液化され、留出成分回収タンク49に送られる。そして、残りの排ガス(D5)は、処理工程(図示せず)に送られる。
上記重合工程で製造された芳香族ポリカーボネートは、押出機52に送られる。ここで、含有する揮発分を排ガス(D5)として除去すると共に、酸Iや各種添加剤Jを加えて、触媒の中和等が行われる。そして、ペレット化等の処理(図示せず)が行われ、製品としての芳香族ポリカーボネートが得られる。
上記フェノール含有留出成分(d−PL)は、上記の通り、留出成分回収タンク49に送られる。このフェノール含有留出成分(d−PL)は、フェノール(PL)を主成分とするが、原料であるジフェニルカーボネート(DPC)やビスフェノールA(BPA)、ジフェニルカーボネート(DPC)及びビスフェノールA(BPA)の1分子同士〜数分子同士が縮重合したオリゴマー、アルカリ系触媒由来の水等を含有する。
[ジフェニルカーボネート製造工程]
ジフェニルカーボネート(DPC)は、フェノール及びカルボニル化合物を原料として製造される。このカルボニル化合物は、ジフェニルカーボネートのカルボニル基を形成することができれば、制限なく用いることができる。このようなカルボニル化合物の例としては、ホスゲン(CDC)、一酸化炭素、炭酸ジアルキル等があげられる。以下において、カルボニル化合物としてホスゲン(CDC)を用い、反応後に洗浄工程及び蒸留工程を経て、ジフェニルカーボネート(DPC)を製造する工程について説明する。
上記ジフェニルカーボネートの製造工程は、図2に示すプロセスから構成される。すなわち、原料として、フェノール(PL)、ホスゲン(CDC)を用い、これと塩基性化合物触媒(C1)とをDPC反応器1に導入する反応工程を行う。このときの反応条件は特に限定されないが、フェノール(PL)が溶融状態にある50〜180℃、常圧下が好ましい。また、フェノール(PL)とホスゲン(CDC)の混合比(モル比)は、ホスゲン(CDC)の完全消費の観点から、フェノール(PL)1モルに対して、0.40〜0.49モルが好ましい。
このとき原料として使用されるフェノール(PL)としては、クレゾール及び/又はキシレノールを70〜1000重量ppm含有するフェノール(以下、「クレゾール等含有フェノール(c−PL)」と称する。)が用いられる。このようなクレゾール等含有フェノール(c−PL)としては、一般に市販されているフェノールを例としてあげることができる。この一般に市販されているフェノールには、上記のクレゾールやキシレノール以外に、ヒドロキシアセトン等の着色原因不純物が数十重量ppm含まれる。
このクレゾール等含有フェノール(c−PL)は、そのまま、上記反応工程に使用することができる。このクレゾール等含有フェノール(c−PL)中の不純物であるクレゾール、キシレノール、着色原因不純物等の不純物の量は、いずれも上記反応工程において許容できる範囲である。そして、後述する第1DPC蒸留塔6によって、混合ガスFの一部として蒸発留去される。このため、上記した芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程に、このクレゾール等含有フェノール(c−PL)を用いて製造したジフェニルカーボネート(DPC)を使用しても、得られる芳香族ポリカーボネート(PC)の品質に影響を与えない。
上記反応工程で製造されたジフェニルカーボネート(DPC)含有反応液aは、脱塩酸塔2に送られ、脱塩酸工程が行われる。反応器1及び脱塩酸塔2で生じた塩酸ガス(D1)は、回収され、塩酸処理工程(図示せず)に送られる。
次いで、得られた脱塩酸処理液bは、混合槽3に送られ、後述するジフェニルカーボネート(DPC)含有回収液dと混合される。そして、アルカリ中和槽4に送られ、アルカリ性水溶液(E1)で上記脱塩酸塔で除去しきれなかった塩酸を中和する中和工程が行われる。
そして、得られた中和処理液eは、水洗槽5に送られ、水(W)で水洗する水洗工程が行われる。
水洗工程で得られた水洗処理液fは、蒸留塔に送られ、蒸留工程が行われる。図2においては、2つの蒸留塔が用いられるが、これに限られるものではない。2つの蒸留塔を用いる場合、軽沸分除去のための第1の蒸留塔6で水、塩基性化合物触媒及びフェノール(PL)を含有する混合ガス(F)を回収し、反応原料の一部として再使用することができる。
そして、上記第1DPC蒸留塔6の第1蒸留残渣g1を、高沸分除去のための第2DPC蒸留塔7で再度蒸留し、製品である精製されたジフェニルカーボネート(DPC)を蒸留分として回収する。そして、蒸留残渣g2が蒸留釜残側から回収される。
上記第1DPC蒸留塔6での蒸留条件としては、水、塩基性化合物触媒、フェノール(PL)が蒸留され、ジフェニルカーボネート(DPC)が残留する条件であれば特に限定されるものではなく、1.3〜13kPaが好ましい。温度はその圧力下での沸点となる。また、上記第2DPC蒸留塔7での蒸留条件としては、ジフェニルカーボネート(DPC)が蒸留され、ジフェニルカーボネート(DPC)より高沸の不純物が残留する条件であれば特に限定されるものではなく、1.3〜6.5kPaで、150〜220℃が好ましい。
ところで、第2DPC蒸留塔7での蒸留残渣g2には、フェノール含有不純物であるメチルフェノールが反応したジフェニルカーボネートのメチル置換体、ホスゲン(CDC)中の残留臭素が反応したジフェニルカーボネートの臭素置換体を中心とする不純物が含有するが、ジフェニルカーボネート(DPC)も含有する。このため、この蒸留残渣g2を再び蒸留し、ジフェニルカーボネート(DPC)を回収してもよい。すなわち、図2に示すように、第2DPC蒸留塔7での蒸留残渣g2をDPC回収蒸留塔8を用いて、回収蒸留工程にかける。これにより、ジフェニルカーボネート(DPC)含有回収液dを蒸留回収することができる。これを上記の通り、混合槽3に送ることにより、洗浄・蒸留工程に再投入することができ、ジフェニルカーボネート(DPC)の回収効率をより向上させることができる。そして、上記のジフェニルカーボネート(DPC)のメチル置換体や臭素置換体が濃縮された回収蒸留残渣(X1)が蒸留釜残側から回収される。
上記回収蒸留塔8での蒸留条件としては、ジフェニルカーボネート(DPC)が蒸留され、ジフェニルカーボネート(DPC)より高沸の不純物が残留する条件であれば特に限定されるものではなく、1.3〜6.5kPa、150〜220℃が好ましい。
[ビスフェノールA製造工程]
ビスフェノールAの製造工程は、図3で示されるプロセスから構成される。すなわち、原料としてフェノール(PL)及びアセトン(A)を用い、合成反応工程(工程(a))、低沸除去工程(工程(b))、晶析・分離工程(工程(c))、加熱溶融工程(工程(d))、フェノール(PL)除去工程(工程(e))、造粒工程(工程(f))を経由してビスフェノールA(BPA)が製造される。
次に、各工程についてそれぞれ説明する。
上記工程(a)は、フェノール(PL)とアセトン(A)とを酸性触媒の存在下で、縮合反応させてビスフェノールAを生成させる工程である。ここで用いる原料のフェノール(PL)及びアセトン(A)は、化学量論量よりもフェノール(PL)が過剰な条件で反応させる。フェノール(PL)とアセトン(A)とのモル比は、フェノール(PL)/アセトン(A)の比として3〜30、好ましくは5〜20の範囲である。反応温度は通常30〜100℃、好ましくは50〜90℃、反応圧力は、一般に常圧〜5kg/cm2・Gで行われる。
上記の原料として使用されるフェノール(PL)としては、その少なくとも一部として、上記のフェノール含有留出成分(d−PL)が用いられる。このフェノール含有留出成分(d−PL)に含まれるヒドロキシアセトン等の触媒毒原因不純物の含有量は、10ppm未満が好ましく、1ppm未満が好ましい。10ppm以上だと、結果的に、触媒の寿命を著しく低下させる。
上記フェノール含有留出成分(d−PL)に含まれる不純物としては、上記したヒドロキシアセトン等の触媒毒原因物質や着色原因物質以外に、クレゾール、キシレノール、ジフェニルカーボネート(DPC)、ビスフェノールA(BPA)、ジフェニルカーボネート(DPC)及びビスフェノールA(BPA)が1〜数分子反応したオリゴマー等が含まれる。
上記フェノール含有留出成分(d−PL)に含まれるクレゾール及び/又はキシレノールの含有量は、70重量ppm以下が好ましく、50重量ppm以下がより好ましい。70重量ppmより多いと、ビスフェノールA(BPA)のアルキル置換体が生成され、ビスフェノールA(BPA)の純度低下を招くおそれがある。
上記フェノール含有留出成分(d−PL)は、水を含有する。水の存在は、ビスフェノールA(BPA)製造工程においては、触媒の活性低下が生じ、ビスフェノールA(BPA)の生成率の低下につながる。このため、水分除去のための工程が必要となる。これを行うため、上記フェノール含有留出成分(d−PL)を、水を除去する工程を経た後に、工程(a)に用いるのが好ましい。
上記水を除去する工程としては、後述する水分離工程(工程(b−2))をそのまま使用することができる。すなわち、図4に示すように、原料となるフェノール含有留出成分(d−PL)をPL分離塔27にかけて、水除去工程を行う。このとき、蒸発留去される水・アセトン混合物Pは、別途処理される。また、上記PL分離塔27の蒸留残渣は、図3及び4に示さないが、高沸除去塔に送られて、フェノール(PL)より高沸の成分を分離する高沸分除去工程が行われ、高沸成分が蒸留釜残として分離・除去され、蒸留分としてフェノール(PL)が回収される。
上記の回収されたフェノール(PL)は、そのまま、原料フェノール(PL)として、上記合成反応工程に供してもよく、また、後述するように、BPA用回収PLタンク18に一旦回収し、これを、図3に示す工程(c)、及び必要に応じて、母液処理工程(工程(g))を経由して上記合成反応工程に供してもよい。上記晶析・分離工程に供与するのは、合成されたビスフェノールA(BPA)の洗浄液として使用するのに、きれいなフェノール(PL)を使用するのが好ましいからであり、かつ、上記晶析・分離工程に供しても、この工程で混入する不純物は、上記合成反応工程で生成したビスフェノールAの2,4’−異性体等(以下、「BPA副生物」と称する。)であり、上記合成反応工程には影響しないからである。一方、上記の高沸分除去工程から排出される高沸成分は、後述する母液処理工程(g)に送られ、有効成分を回収することができる。
上記酸性触媒としては、塩酸等の無機酸や有機酸、イオン交換樹脂等を用いることができる。上記酸性触媒としてイオン交換樹脂を用いる場合、ゲル型で架橋度が1〜8%、好ましくは2〜6%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂が適しているが、特に限定されるものではない。
上記スルホン酸陽イオン交換樹脂は、そのままでも用いられるが、必要に応じて、変性させたスルホン酸陽イオン交換樹脂を用いることができる。上記変性に要される化合物としては、メルカプト基を有する化合物等があげられる。
上記メルカプト基を有する化合物としては、2−アミノエタンチオール等のアミノアルカンチオール、2−(4−ピリジル)エタンチオール等のω−ピリジルアルカンチオール、加水分解等により容易にメルカプト基を発現する2,2−ジメチルチアゾリジン等のチアゾリジン類等、従来からこの用途に用い得ることが知られている任意のものを用いることができる。
上記工程(a)で生成する反応混合物中には、一般にビスフェノールA(BPA)の他に、未反応フェノール(PL)、未反応アセトン(A)、触媒、反応生成水(W)及び着色物質等の副生物が含まれる。
上記工程(b)は、上記工程(a)で得られる反応混合液から低沸点成分と触媒とを除去する工程である。ここでいう低沸点成分とは、反応生成水(W)、未反応アセトン(A)、及びこれらと沸点が近いものである。この工程では、上記反応混合物からこれらの低沸点成分を例えば減圧蒸留等により除去し、また触媒等の固体成分は濾過等によって除かれる。なお、固定床触媒反応器を用いる場合は脱触媒の必要は特にない。減圧蒸留は圧力50〜300mmHg、温度70〜130℃の範囲を用いるのが好ましく、未反応フェノール(PL)が共沸してその一部が系外へ除かれることもある。
上記工程(b)で留去された低沸分である水系排水(D7)は、少量のアセトン(A)やフェノール(PL)を含む。この水系排水(D7)は、図4に示すように、PL分離塔27に送られ、必要に応じて抽剤を用いて、塔底よりフェノール(PL)からなるPL回収液aaを回収する水分離工程(工程(b−2))を行う。この水分離工程で得られたPL回収液aaは、必要に応じて高沸分を除去した後、BPA用回収PLタンク18に回収する。そして、上記PL分離塔27の塔頂より回収した水・アセトン混合物Pは、別途処理される。
上記工程(c)は、上記工程(b)で得られた混合液を冷却し、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物結晶を析出させて分離する工程である。この工程(c)に先立って、上記工程(b)で得られた混合液中のビスフェノールA(BPA)の濃度を、フェノールを留去又は追加することにより、ビスフェノールAの濃度を10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%に調整しておくと、上記付加物の収率を高め、かつスラリー状の混合液の見掛けの粘度を調節して、作業性を改良する上で好ましい。
上記工程(c)における冷却は、一般に45〜60℃の温度まで行われ、これによって、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物の結晶が析出し、系はスラリー状になる。この冷却は、外部に設けた熱交換器や晶析機に加えられる水の蒸発潜熱による除熱によって行われる。次に、このスラリー状の液を、ろ過、遠心分離等により付加物結晶と反応副生物を含む母液とに分離し、付加物結晶を次工程に供する。分離された母液の一部又は全部は、後述する母液処理工程(g)を経由して、工程(a)にリサイクルして、原料として使用されるフェノールの一部又は全部として用い、更に反応収率の向上を図る。
上記工程(d)は、上記工程(c)で得られた付加物の結晶を加熱溶融する工程である。この付加物結晶の組成は、ビスフェノールA(BPA)が45〜70重量%、フェノール(PL)が55〜30%の範囲にあるのが一般的である。この結晶を100〜160℃に加熱することにより溶融して次工程に供する。
上記工程(e)は、上記工程(d)で得られた溶融液からフェノール(PL)を除去して溶融ビスフェノールA(BPA)を得る工程である。工程(e)で得られた溶融液から、減圧蒸留等の方法によってフェノール(PL)を除去することにより付加物を解離させて、高純度のビスフェノールAが回収できる。この減圧蒸留は、圧力10〜100mmHg、温度150〜220℃の範囲で、かつ系内に存在するビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との混合液の融点より少なくとも10℃高い温度で行うのが好ましい。減圧蒸留に加えてスチームストリッピングを行って、残存するフェノール(PL)を除去する方法も提案されている。
上記工程(f)は、上記工程(e)で得られた溶融状態のビスフェノールA(BPA)を冷却・固化し、造粒して粒状の製品を得る工程である。溶融状態のビスフェノールAは、例えばスプレードライヤー等の造粒装置により液滴にされ、冷却固化されて製品となる。この液滴は、噴霧、滴下、散布等により調製され、冷却は通常窒素あるいは空気等によって行われる。
このビスフェノールA(BPA)の製造工程、特に、上記工程(a)において、ビスフェノールA(BPA)以外に、2,4’−ビスフェノールA等の副生物(以下、「BPA副生物」と称する。)も同時に合成される。そして、このBPA副生物は、主として、上記工程(c)の母液に含有され、上記ビスフェノールA(BPA)の製造工程を循環する。このため、上記BPA副生物がこの循環系内で蓄積する傾向にあり、ある程度以上の蓄積が生じると、上記工程(c)での分離が不十分となり、ビスフェノールA(BPA)側に付随してしまい、結果として、製品ビスフェノールA(BPA)の品質を低下させる傾向がある。このため、上記工程(c)の母液の一部又は全部を、母液処理工程(工程(g))にかけることにより、上記母液中の上記BPA副生物を分離・除去し、製品ビスフェノールA(BPA)の品質を保持する。
上記工程(g)は、蒸留によりフェノール(PL)を回収する方法、又は、母液を塩基性物質の存在下で加熱してこの母液中のビスフェノールA(BPA)副生物を分解して、フェノール及びフェノール誘導体を生じさせ、次いで、これを酸触媒を用いて反応させてビスフェノールA(BPA)を製造し、これを回収する方法である。
具体的には、図5に示すように、まず、上記母液の一部又は全部をフェノール蒸発器32に導入し、同時に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性物質Hを導入する。次いで、フェノール(PL)の沸点以上に加熱して蒸発させ、フェノール(PL)をフェノール蒸発器32の上部から抜き出す。そして、フェノール蒸発器32の下部から上記ビスフェノールA(BPA)及びBPA副生物を主成分とする蒸発残渣を残渣反応器33に送り、180〜300℃の熱をかけることにより、上記ビスフェノールA(BPA)及びBPA副生物に分解反応を生じさせ、ビスフェノールA(BPA)の反応中間体であるイソプロペニルフェノール等の分解物を得、これを塔頂から蒸留留去させる。また、この残渣反応器33で生じた釜残分は、有機分を大量に含む排液として、焼却処理等の排液処理工程(図示せず)に送られる。
上記BPA副生物の分解物であるフェノール(PL)及びフェノール誘導体は、残渣反応器33の上部より留去されて再生反応器34に送られるが、残渣反応器33の上部より取り出す際、上記フェノール蒸発器32の上部から抜き出されたフェノール(PL)と混合させる。これにより、フェノール誘導体の濃度が希釈されて、好ましくない副反応が生じるのを抑えることができる。
次いで、再生反応器34において、上記BPA副生物の分解物であるフェノール(PL)及びフェノール誘導体を、酸触媒を用いて、再度、反応させることにより、ビスフェノールA(BPA)等を生成させる。これは、未反応のフェノール(PL)と共に、上記原料として使用されるフェノール(PL)に混合されて、工程(a)に送られる。上記ビスフェノールA(BPA)は、そのまま、工程(c)を経て回収され、フェノール(PL)は、原料として使用されるので、ビスフェノールA(BPA)の製造効率を高めることができる。
以下、この発明を実験例を用いて説明する。
(実験例1)
(ジフェニルカーボネートの製造)
〔反応工程〕
溶融した市販のフェノール(三菱化学(株)製、クレゾール含有量:45重量ppm、ヒドロキシアセトン含有量:27重量ppm、以下、「PL1」と称する。)とピリジン触媒を反応器へ連続供給しながら、150℃の混合下、ホスゲンガスを連続供給した。ホスゲン化反応に伴って副生される塩化水素ガスは10℃まで冷却し、凝縮液は反応器に戻され、未凝縮ガスはアルカリ水溶液で中和後排出した。一方、反応器からはジフェニルカーボネートが約91重量%含有する反応液を連続的に抜き出した。
〔洗浄工程〕
上記反応液と約5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、それぞれテフロンライニング製の中和混合槽に供給し、80℃で約10分間混合しpH8.5に調整した。中和後の有機相は静置分離後、水洗混合槽に移送した。水洗混合槽では有機相に対して約30重量%に相当する温水で洗浄され、水相を分離して、粗製ジフェニルカーボネート(水1重量%、ピリジン2重量%、フェノール8重量%、ジフェニルカーボネート89重量%含有)を得た。
〔低沸蒸留工程〕
次に、上記粗製ジフェニルカーボネートを約30kg/hrで低沸蒸留塔の中段に連続供給した。低沸蒸留塔は内径150mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機工業製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約220℃、トップ温度80〜100℃、塔中段温度160℃、還流比1の条件で蒸留してジフェニルカーボネートより低沸点物質である水、ピリジン、フェノールを蒸留留去した。塔底からは、約26kg/hrでジフェニルカーボネート(水10重量ppm以下、ピリジン1重量ppm以下、フェノール50重量ppm)が連続的に抜き出された。
〔高沸蒸留工程〕
更に、このジフェニルカーボネート(低沸蒸留塔の缶出液)を高沸蒸留塔に連続供給した。高沸蒸留塔は内径200mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機工業製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度約180℃、還流比0.5の条件で蒸留して、トップより精製ジフェニルカーボネート(フェノール80重量ppm含有)が約23.5kg/hrで得られた。
(参考例1)
上記の市販のフェノール(PL1)の代わりに、三菱化学(株)でのポリカーボネート製造工場から得られた副生フェノール含有留出成分を以下の条件で蒸留精製した副生フェノール(クレゾール含有量:5重量ppm、ヒドロキシアセトン含有量:1重量ppm以下、以下、「PL2」と称する。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ジフェニルカーボネートを製造した。
[蒸留精製条件]
第1蒸留塔では、200Torr、還流比2で、含有する水を一部フェノールとともに留去し、缶出液を第2蒸留塔へ連続供給した。第2蒸留塔では、50Torr、還流比0.5で、トップより精製した副生フェノールを得、缶出からは高沸点の成分であるジフェニルカーボネート、ビスフェノールA、及び、オリゴマーを含有するフェノール混合液を連続的にパージした。
〔結果〕
市販のフェノールを精製することなく、ジフェニルカーボネート製造に使用しても、蒸留精製した副生フェノールを用いた場合と同様に、高純度で、変色等の生じない高純度なジフェニルカーボネートが得られた。
(実験例2、比較例1)ビスフェノールAの製造
スルホン酸基の15重量%が4−(2−メルカプトエチル)ピリジンで変性されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂(スチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体のスルホン化物(ダイヤイオンSK104H、三菱化学(株)製))を反応器に充填し、これに上記のフェノール(PL2又はPL1)とアセトン(三菱化学(株)製)とからなる原料流体(フェノール:アセトン=13:1(モル比))をフェノール湿潤触媒基準のLHSV=5hr-1で連続的に流通させながら、70℃の反応温度で、1008時間にわたって、ビスフェノールAの生成反応を行った。反応開始直後のアセトンの反応率、1008時間経過後のアセトン反応率、及びビスフェノールAの選択率を表1に示す。また、反応開始120時間経過後のアセトン反応率に対する1008時間経過後のアセトン反応率の比を、活性維持率として算出した。この結果も合わせて表1に示す。
Figure 0004333276
なお、反応率(%)、触媒の活性維持率(%)は、下記の式から算出した。
反応率(%)={(供給アセトン量−未反応アセトン量)/供給アセトン量}×100
活性維持率(%)=(1008時間後のアセトン転化率)/(120時間後のアセトン転化率)×100
[結果]
フェノールとして、重合工程で留出したフェノールを蒸留精製したものを用いた場合、市販のフェノールを用いた場合とは異なり、反応率も触媒の活性維持率も高い保持率を有していた。
また、重合工程で留出したフェノールを蒸留精製したものを用いた場合、得られるビスフェノールAの色調は白色だったが、市販フェノールを用いた場合は、少し黄変していた。これらを用いて芳香族ポリカーボネートを製造したとすると、重合工程で留出したフェノールを蒸留精製したものを用いてビスフェノールAを製造した場合では、白色の高純度の芳香族ポリカーボネートが得られると考えられるが、市販フェノールを用いてビスフェノールAを製造した場合は、得られる芳香族ポリカーボネートが多少黄変し、純度も低下することが予想される。
この発明に係る芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程のスキームを示す工程図 この発明に係るジフェニルカーボネート(DPC)製造工程のスキームを示す工程図 この発明に係るビスフェノールA(BPA)製造工程のスキームを示す工程図 この発明に係るビスフェノールA(BPA)製造工程の水分離工程のスキームを示す工程図 この発明に係るビスフェノールA(BPA)製造工程の母液処理工程(工程(g))のスキームを示す工程図
符号の説明
1 DPC反応器
2 脱塩酸塔
3 混合槽
4 アルカリ中和槽
5 水洗槽
6 第1DPC蒸留塔
7 第2DPC蒸留塔
8 DPC回収蒸留塔
27 PL分離塔
32 フェノール蒸発器
33 残渣反応器
34 再生反応器
41 混合槽
42 第1重合槽
43 第2重合槽
44 第3重合槽
45 第4重合器
46 熱交換器
47 熱交換器
48 コンデンサ
49 留出成分回収タンク
52 押出機
A アセトン
BPA ビスフェノールA
C1 アルカリ系触媒
C2 塩基性触媒
CDC ホスゲン
D1 塩酸ガス
D2 中和排水
D3 水系排水
D4 高沸分
D5 排ガス
D7 水系排水
DPC ジフェニルカーボネート
E1 アルカリ性水溶液
F 混合ガス
H 塩基性物質
I 酸
J 添加剤
P 水・アセトン混合物
PL フェノール
c−PL クレゾール等含有フェノール
d−PL フェノール含有蒸留成分
W 水
X1 回収蒸留残渣
a DPC含有反応液
b 脱塩酸処理液
d DPC含有回収液
e 中和処理液
f 水洗処理液
g1 第1蒸留残渣
g2 第2蒸留残渣
aa PL回収液

Claims (7)

  1. フェノール及びカルボニル化合物を原料とする反応工程を経てジフェニルカーボネートを製造するジフェニルカーボネート製造工程、
    フェノール及びアセトンを原料とし、酸触媒の存在下での合成反応工程、晶析・分離工程を経てビスフェノールAを製造するビスフェノールA製造工程、
    及び、上記のジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料として重合させる重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造する芳香族ポリカーボネート製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    上記ジフェニルカーボネート製造工程で原料として使用されるフェノールとして、クレゾール及び/又はキシレノールを20〜1000重量ppm含有するフェノールを用いると共に、上記反応工程の後に蒸留する工程を行い、
    上記ビスフェノールA製造工程で原料として使用されるフェノール中の、ヒドロキシアセトンの含有量が10重量ppm未満であり、かつ、この原料として使用されるフェノールの少なくとも一部として、上記芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じるフェノールを用いることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. 上記ビスフェノールA製造工程で原料として使用されるフェノール中の、クレゾール及び/又はキシレノールの含有量が20重量ppm未満であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  3. 上記ビスフェノールA製造工程で原料として使用されるフェノールの少なくとも一部として、上記芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じるフェノールを、水を除去する工程を経た後に用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  4. 上記ビスフェノールA製造工程が、フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、低沸除去工程、及び晶析・分離工程を有し、かつ、上記低沸除去工程から排出されるフェノール含有水からフェノールを回収する水分離工程を有し、
    上記の水を除去する工程が、上記ビスフェノールA製造工程の水分離工程であることを特徴とする請求項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  5. 上記水を除去する工程に次いで、フェノールより高沸点の成分を分離する高沸分分離工程を有することを特徴とする請求項又はに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  6. 上記ビスフェノールA製造工程が、上記晶析・分離工程から排出される母液から副生物を減少させる母液処理工程を有し、
    上記高沸分除去工程で得られたフェノールより高沸点の成分を、上記母液処理工程に送ることを特徴とする請求項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  7. 上記酸触媒がメルカプト基を有する化合物で変性されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂である請求項1乃至のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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