JP2005220094A - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸留塔の腐食を防止することができるビスフェノールAの製造方法を提供する。
【解決手段】アセトンと、循環供給される、フェノールを主体とする母液とがライン1を介して反応器2に供給され、反応生成物がライン3を介して蒸留塔4に導入され、蒸留される。蒸留塔4の塔底成分は、晶析器5へ送られ、ビスフェノールAとフェノールとが付加してなる結晶アダクトを析出させる。この結晶アダクトは固液分離器6で固液分離された後、精製システム12にて精製され、製品ビスフェノールAとなる。蒸留塔4の塔頂物を蒸留する分離システム20の蒸留塔(第2蒸留塔)の塔頂物における水濃度を40重量%以下とする。
【選択図】図1
【解決手段】アセトンと、循環供給される、フェノールを主体とする母液とがライン1を介して反応器2に供給され、反応生成物がライン3を介して蒸留塔4に導入され、蒸留される。蒸留塔4の塔底成分は、晶析器5へ送られ、ビスフェノールAとフェノールとが付加してなる結晶アダクトを析出させる。この結晶アダクトは固液分離器6で固液分離された後、精製システム12にて精製され、製品ビスフェノールAとなる。蒸留塔4の塔頂物を蒸留する分離システム20の蒸留塔(第2蒸留塔)の塔頂物における水濃度を40重量%以下とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、ビスフェノールAの製造方法に係り、詳しくは、反応工程から分離された未反応アセトン及びフェノール並びに副生した水をさらに分離するための蒸留塔の腐食を防止するようにしたビスフェノールAの製造方法に関するものである。
ビスフェノールAは、通常、アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールA及びフェノールを含む反応生成物を得る反応工程;該反応生成物から、フェノールよりも沸点が低い成分を除去する低沸除去工程;該低沸除去工程で得られた混合液を冷却して、ビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させるとともに、母液を分離する晶析工程;及び該晶析工程において分離された母液の一部を反応工程に循環供給する母液循環工程;を有する方法により製造される。
フェノールとアセトンとを酸性触媒の存在下に反応させることにより生成した反応生成物は、ビスフェノールAの他に、未反応フェノール、未反応アセトン、反応生成水及び着色物質等の反応副生物を含んでいる。
反応混合液から高純度のビスフェノールAを分離するために、該反応生成液から、未反応アセトン、反応生成水及び一部の未反応フェノールを第1蒸留工程で塔頂物として除去した後、塔底からの濃縮混合液を冷却することによってビスフェノールAをフェノールとの付加物(アダクト)として晶析させ、この結晶を反応副生物を含む母液から分離した後、アダクトからフェノールを除去してビスフェノールAを回収する方法がある。このアダクト結晶を分離した母液中には、多くのフェノール及びビスフェノールAが含まれているので、この母液を反応系に循環させる。
特開平9−110766号公報には、上記第1蒸留工程からの塔頂物を第2蒸留工程に導き、アセトン、水及びフェノールを主体とする塔頂物と、実質的にフェノールよりなる塔底物とに分離することが記載されている。
特開平6−135873号公報には、第1蒸留工程からの塔頂物を第2蒸留工程に導き、油性共沸剤の存在下で蒸留し、フェノールよりなる塔底物と、アセトン、水及び共沸剤よりなる塔頂物とに分離すること;さらに、この塔頂物を第3蒸留工程に導き、アセトンよりなる塔頂物と、水及び共沸剤よりなる塔底物とに分離することが記載されている。
特開平9−110766号公報
特開平6−135873号公報
上記特開平9−110766号の第2蒸留工程及び上記特開平6−135873号公報の第3蒸留工程の蒸留塔において、酸物質が蓄積し、腐食が生じ易くなることが認められた。なお、この酸物質としては、イオン交換樹脂の分解物や、助触媒(メルカプトアルキルアミン等)に由来するSO2、H2Sなどの硫黄系の酸物質;プロセス内で使用している脱イオン水(純水中)の極微量の塩化物に由来する塩酸;その他、原料のフェノールに由来する蟻酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸等が挙げられる。
本発明は、ビスフェノールAを製造する方法において、反応工程から分離された未反応アセトン及びフェノール並びに副生した水をさらに分離するための蒸留塔の腐食を防止することを目的とする。
第1発明のビスフェノールAの製造方法は、アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールA及びフェノールを含む反応生成物を得る反応工程;該反応生成物から、フェノール、水及びアセトンを塔頂物として分離する第1蒸留工程;及び該第1蒸留工程からの塔頂物を、フェノール、水及びアセトンを含む塔頂物と、フェノールよりなる塔底物とに分離する第2蒸留工程;該第1蒸留工程の塔底物を冷却して、ビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させるとともに、母液を分離する晶析工程;及び該晶析工程において分離された母液の一部を反応工程に循環供給する母液循環工程;を有するビスフェノールAの製造方法において、該第2蒸留工程からの塔頂物における水濃度を40重量%以下とすることを特徴とするものである。
第2発明のビスフェノールAの製造方法は、アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールA及びフェノールを含む反応生成物を得る反応工程;該反応生成物から、フェノール、水及びアセトンを塔頂物として分離する第1蒸留工程;及び該第1蒸留工程からの塔頂物を、共沸剤を用いて共沸させ、アセトン、水及び共沸剤を含む塔頂物とフェノールよりなる塔底物とに分離する第2蒸留工程;及び、第2蒸留工程からの塔頂物を、アセトンよりなる塔頂物と、水及び共沸剤を含む塔底物とに分離する第3蒸留工程を有するビスフェノールAの製造方法において、該第3蒸留工程からの塔底物における水濃度を30重量%以上とすることを特徴とするものである。
本発明のビスフェノールAの製造方法にあっては、上記蒸留塔における酸の蓄積が防止され、腐食が防止される。
本発明のビスフェノールAの製造方法は、上記の反応工程、低沸除去工程、晶析工程、及び母液循環工程を有する。
以下、これらの各工程と、任意的に付加されるさらに他の工程とについて図面を参照しながら詳細に説明する。
図1はこのビスフェノールAの製造方法を実施するのに好適なプロセスフロー図である。ニューフィードのアセトンと、ライン15から循環供給される、フェノールを主体とする母液とがライン1を介して反応器2に供給され、反応生成物がライン3を介して第1蒸留工程を行うための蒸留塔4に導入され、蒸留される。アセトン、水、及び少量のフェノール等よりなる塔頂成分は第2蒸留工程あるいはさらに第3蒸留工程を行うための蒸留分離システム20へ送られ、アセトンはライン21を介してライン1へ戻される。水は系外に排出される。フェノールはフェノール貯留用タンク22へ送られる。
蒸留塔4の塔底成分は、晶析器5へ送られ、ビスフェノールAとフェノールとが付加してなる結晶アダクトを析出させる。この結晶アダクトは固液分離器6で固液分離された後、再溶解器7で再溶解され、再晶析器8で再晶析され、遠心分離機などより構成される固液分離システム9で固液分離される。なお、この実施の形態では、この固液分離システム9において、分離された結晶アダクトは、タンク22から供給される清浄なフェノールでリンスされる。リンス廃液は再溶解器7へライン10を介して送られる。リンス後の結晶アダクトは、アダクト分解システム11にて加熱されてビスフェノールAとフェノールとに分解され、ビスフェノールAは精製システム12にて精製され、製品ビスフェノールAとなる。アダクト分解システム11及び精製システム12にて分離されたフェノールは、前記タンク22へ送られる。
前記固液分離器6で分離された液分(母液)は、循環ライン13を介して母液タンク14へ送られる。この母液タンク14内の母液がライン15を介して前記ライン1へ送られ、アセトンと混合されて反応器2へ導入される。
なお、タンク14は、ライン13からの循環量の変動を平準化するためのバッファータンクである。
以下、上記のフローで実行される各工程の条件等について詳細に説明する。
[1] 反応工程
反応器2内で行われる反応工程において、原料のフェノールとアセトンは、化学量論的にフェノール過剰で反応させる。フェノールとアセトンとのモル比は、フェノール/アセトン=3〜30、好ましくは、5〜20の範囲である。反応温度は、通常、50〜100℃、反応圧力は、通常、常圧〜0.6MPaで行われる。
[1] 反応工程
反応器2内で行われる反応工程において、原料のフェノールとアセトンは、化学量論的にフェノール過剰で反応させる。フェノールとアセトンとのモル比は、フェノール/アセトン=3〜30、好ましくは、5〜20の範囲である。反応温度は、通常、50〜100℃、反応圧力は、通常、常圧〜0.6MPaで行われる。
触媒としては、スルホン酸型等の強酸性陽イオン交換樹脂が好適である。
触媒は、強酸性陽イオン交換樹脂触媒の一部をメルカプトアルキルアミン等の助触媒により中和された触媒であってもよい。例えば、2−メルカプトエチルアミン、3−メルカプトプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−メルカプトプロピルアミン、N,N−ジ−n−ブチル−4−メルカプトブチルアミン、2,2−ジメチルチアゾリジン等でスルホン酸基の5〜30モル%が中和されたものが挙げられる。
フェノールとアセトンとの縮合反応は、好ましくは、連続方式でしかも押し流れ方式である固定床流通方式、或いは懸濁床回分方式で行われる。固定床流通方式の場合、反応器に供給する原料液の液空間速度は、0.2〜50hr-1が好適である。また、懸濁床回分方式で行う場合、反応温度、反応圧力によって異なるが、一般的に、該原料液に対して20〜100重量%の範囲の樹脂触媒量であり、処理時間は、0.5〜5時間程度が好適である。
[2]低沸除去のための第1蒸留工程
反応器2からの反応混合物は、蒸留塔4での低沸除去工程において、減圧蒸留等の方法により未反応アセトン、水等の低沸分が除かれる。減圧蒸留は、好ましくは、反応温度50〜150℃、圧力0.0065〜0.040MPa(50〜300mmHg)で実施される。この低沸分の除去後のビスフェノールAの濃度は好ましくは20〜50重量%である。ビスフェノールAの濃度が20重量%よりも小さい場合には収率が低くなり、また、50重量%より大きくなると濃縮混合液の粘度が高くなって輸送が困難になる。
反応器2からの反応混合物は、蒸留塔4での低沸除去工程において、減圧蒸留等の方法により未反応アセトン、水等の低沸分が除かれる。減圧蒸留は、好ましくは、反応温度50〜150℃、圧力0.0065〜0.040MPa(50〜300mmHg)で実施される。この低沸分の除去後のビスフェノールAの濃度は好ましくは20〜50重量%である。ビスフェノールAの濃度が20重量%よりも小さい場合には収率が低くなり、また、50重量%より大きくなると濃縮混合液の粘度が高くなって輸送が困難になる。
フェノールとビスフェノールAよりなる塔底物は次の晶析工程[3]へ送られ、水、アセトン及びフェノールを含む塔頂物は後述の第2又は第2、第3蒸留工程[6]へ送られる。
[3]晶析工程
蒸留塔4での低沸除去工程で低沸分が除去された濃縮液は、晶析器5での晶析工程において、70〜140℃から35〜60℃まで冷却され、結晶アダクトが晶析し、スラリー状になる。
蒸留塔4での低沸除去工程で低沸分が除去された濃縮液は、晶析器5での晶析工程において、70〜140℃から35〜60℃まで冷却され、結晶アダクトが晶析し、スラリー状になる。
このスラリー状の液は、固液分離器6での第一固液分離工程において、フィルタ等により固液分離される。
この晶析器5としては、好ましくは、切り替え運転可能な複数の外部冷却器を有した晶析槽が用いられる。この外部冷却器を複数設けて切り替え運転することにより、該冷却器の閉塞による性能低下を防止する。この外部冷却器の切り替え時に晶析槽での晶析特性が変動し、この結果、固液分離器6で分離される母液量が変動する。本発明では、この母液生成量が変動しても、ライン15からライン1へ供給される母液量の変動を防ぐために、ライン16を介して母液の一部を反応器2の後段側へバイパスさせる。
[4]ビスフェノールAの回収工程
この固液分離後、回収された結晶アダクトは、再溶解器7でフェノールに再溶解され再晶析器8で再晶析され、純度が高められた後、固液分離システム9にて行われる第2固液分離工程で固液分離され、清浄なフェノールでリンスされる。しかる後、アダクト分解システム11に送られる。
この固液分離後、回収された結晶アダクトは、再溶解器7でフェノールに再溶解され再晶析器8で再晶析され、純度が高められた後、固液分離システム9にて行われる第2固液分離工程で固液分離され、清浄なフェノールでリンスされる。しかる後、アダクト分解システム11に送られる。
なお、第2固液分離工程からの分離液の大部分とリンス廃液は、上記の再溶解器7でのアダクト再溶解用フェノールとして用いられる。第2固液分離工程からの分離液の一部は循環母液と共にタンク14に循環される。
アダクト分解システム11で採用される回収方法としては、アダクトを100〜200℃で加熱溶融することによりビスフェノールAとフェノールとに分解し、この溶融液から大部分のフェノールを留去する方法が好適である。精製システム12では、スチームストリッピングにより残存するフェノールを除去することによって、ビスフェノールAを精製する方法が好適である。この方法は、例えば、特開平2−28126号公報、特開昭63−132850号公報等により公知である。
[5]母液循環工程
固液分離器6で固液分離された液相部分(母液)は、前記の通り、ライン13,15を介して反応工程の前段側及び後段側に循環される。
固液分離器6で固液分離された液相部分(母液)は、前記の通り、ライン13,15を介して反応工程の前段側及び後段側に循環される。
本発明では、この固液分離工程からの母液の全量をそのまま循環させるのではなく、その一部を分取して不純物除去処理を施して純度を高めた後、上記の循環供給に供するのが好ましい。
即ち、固液分離器6での固液分離工程で得られる母液の組成は、通常、フェノール65〜85重量%、ビスフェノールA10〜20重量%、2,4’−異性体等の副生物5〜15重量%であり、2,4’−異性体等の不純物を多く含んでおり、循環系への不純物の蓄積を防止するため、不純物分解除去処理を施した後、循環供給に供する。
この不純物の分解除去を行うには、ライン13から母液の一部を不純物除去システム13aに分取し、この分取した母液に水酸化ナトリウム等の分解触媒を添加し、蒸留してフェノール及びイソプロペニルフェノールを塔頂成分として回収し、この回収分を酸性イオン交換樹脂と接触させたのちに循環ライン13に戻すのが好適である。塔底分については系外に排出する。
ライン13から不純物除去システム13aに分取する母液の分取率は4〜15重量%程度が好適である。この不純物除去システム13aを設けることにより、ライン13からタンク14へ循環する母液の組成は、ほぼ上記のフェノール65〜85重量%、ビスフェノールA10〜20重量%、2,4’−異性体等の副生物5〜15重量%の範囲で安定したものとなる。
なお、このライン13には、母液の一部を分取し、その中に微量含まれる、反応工程由来の陽イオン交換樹脂残渣を除去した後、液を再びラインに戻す手段を設けるのが好ましい。
このライン13からの母液が前記の通り、タンク14及びライン15を介してライン1にそれぞれ供給される。
[6]第2又は第2、第3蒸留工程
上記[2]の低沸除去工程で除去された塔頂成分としての水、アセトン及びこれらに付随するフェノールは、分離システム20において好ましくは多段蒸留により水、アセトン、フェノールに分離される。アセトンは前記反応工程へ戻され、ニューフィードのアセトンと混合されて反応塔へ供給される。フェノールは、ニューフィードのフェノールと共に精製器20aにおいて精留された後、清浄フェノールの貯留用タンク22に貯えられ、前述のアダクトのリンスに用いられる。
上記[2]の低沸除去工程で除去された塔頂成分としての水、アセトン及びこれらに付随するフェノールは、分離システム20において好ましくは多段蒸留により水、アセトン、フェノールに分離される。アセトンは前記反応工程へ戻され、ニューフィードのアセトンと混合されて反応塔へ供給される。フェノールは、ニューフィードのフェノールと共に精製器20aにおいて精留された後、清浄フェノールの貯留用タンク22に貯えられ、前述のアダクトのリンスに用いられる。
図2(a),(b)は、第1蒸留工程からの塔頂物を、実質的にフェノールよりなる塔底物と、アセトン、水及びフェノールを主体とした塔頂物とに分離する蒸留塔よりなる分離システムを示している。
この図2の第2蒸留塔では、塔頂温度を下げ、フェノールの塔底への回収率を高くすると、塔内の上部での水分量が多くなる。このようになると、塔内の酸物質は水に溶け込むことにより、気化しないようになる。この結果、酸物質は、塔頂から流出せず、塔内に蓄積するようになる。
そこで、この図2の実施の形態では、塔頂物中の水濃度を40重量%以下(例えば10〜40重量%)、好ましくは20重量%以下(例えば10〜20重量%)となるように塔頂温度を高くする。これにより、塔内の上部での水分量が少なくなり、気化して塔頂から流出する酸物質の量が増加する。これにより、塔内での酸物質の蓄積が防止される。
図3では、蒸留塔4(第1蒸留工程)からの塔頂物を第2蒸留塔において共沸剤の存在下で蒸留し、実質的にフェノールよりなる塔底物とアセトン、水及び共沸剤を主体とする塔頂物とに分離する(第2蒸留工程)。なお、この共沸剤としては、エチルベンゼン、トルエン、キシレンなどが好適である。共沸剤の添加量は、第1蒸留工程の塔頂物100重量部に対し5.0〜65重量部程度が好適である。
この図3の方法においても、第2蒸留塔の塔頂物における水濃度を40重量%以下例えば10〜40重量%とすることが好ましい。これにより、第2蒸留塔における酸物質の蓄積が防止される。
この塔頂物を第3蒸留塔に導入し、実質的にアセトンよりなる塔頂物と、水及び共沸剤を主体とする塔底物とに分離する(第3蒸留工程)。
この図3の実施の形態においては、第3蒸留塔からの塔底物中の水濃度を30重量%以上(例えば30〜45重量%)、好ましくは35重量%以上とする。これにより、第3蒸留塔の塔内の下部における水濃度が高くなり、酸物質が水に溶け込み、塔底物と共に流出する。
この第3蒸留塔の塔底物は、静置槽によって共沸剤と水とに分離され、共沸剤は第2蒸留塔に循環され、水及びこれに溶け込んだ酸物質が系外に排出される。
以下、本発明の方法を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、%は、特に記載はない限り重量%とする。
流通式反応器に、4−ピリジンエタンチオールでスルホン酸基の15%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱科学株式会社製商品名ダイヤイオンSK−104)を300L充填した。この反応器に、フェノール:アセトンのモル比17.8:1の混合液を温度60℃、165.6kg/hr(アセトンは5.0kg/h)の流量で装入し、反応させてビスフェノールAを合成した。このときのアセトンの転化率は93%であった。
反応混合物は、第1蒸留塔での蒸留により低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)を31.7kg/h(それぞれ0.36、1.44、29.9kg/h)の流量で留出させた後、50℃に冷却して付加物(アダクト)の結晶を析出させた。64.2kg/hのフェノールでこの付加物結晶を洗浄しながら、結晶を濾過し、結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ29.1kg/hと169kg/hであった。この母液の5%は系外にパージし、残りの母液は反応器に装入する原料の一部として循環させた。
ここで得られた付加物結晶を、40Pa(0.3mmHg)の減圧下、180℃に加熱し、フェノールを除去し、純度99.91%以上のビスフェノールAを16.7kg/hの流量で得た。
上述のように反応と精製とを行い、上記の系全体としてビスフェノールAを連続的に製造した。
実施例1
上記ビスフェノールA製造工程において、図2(a)の通り、反応混合物より蒸留により分離して得られた、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)(31.7kg/h)(それぞれ0.36、1.44、29.9kg/h)を、第2蒸留塔(全段数16段の棚段塔)の上から8段目に装入した。
上記ビスフェノールA製造工程において、図2(a)の通り、反応混合物より蒸留により分離して得られた、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)(31.7kg/h)(それぞれ0.36、1.44、29.9kg/h)を、第2蒸留塔(全段数16段の棚段塔)の上から8段目に装入した。
第2蒸留塔は常圧下、塔頂温度を100℃、塔低温度を192℃で運転した。そして、塔頂よりアセトン、水、フェノールの混合液を4kg/h(水35%)の流量で、塔底よりフェノールを27.7kg/hの流量で、それぞれ抜き出した。
第2樹脂塔の上から5段目に、腐食のテストピースとして各種金属片を装入し、2000時間の運転の後、回収し、重量変化を測定した。この結果から各種金属片の腐食速度を計算し、結果を表1に示した。
[実施例2]
上記ビスフェノールA製造工程において、図2(b)の通り、反応混合物より蒸留により分離して得られた、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)(31.7kg/h)(それぞれ0.36、1.44、29.9kg/h)を、第2蒸留塔(全段数16段の棚段塔)の上から8段目に装入した。
上記ビスフェノールA製造工程において、図2(b)の通り、反応混合物より蒸留により分離して得られた、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)(31.7kg/h)(それぞれ0.36、1.44、29.9kg/h)を、第2蒸留塔(全段数16段の棚段塔)の上から8段目に装入した。
第2蒸留塔は常圧下、塔頂温度を101℃、塔低温度を192℃で運転した。そして、塔頂よりアセトン、水、フェノールの混合液を10kg/h(水14.4%)の流量で、塔底よりフェノールを21.7kg/hの流量で、それぞれ抜き出した。
第2蒸留塔の上から5段目には腐食のテストピースとして各種金属片を装入し、2000時間の運転の後、回収し、重量変化を測定した。この結果から各種金属片の腐食速度を計算し、表1に示した。
[実施例3]
上記ビスフェノールA製造工程において、図3の通り、反応混合物より蒸留により分離して得られた、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)(31.7kg/h)(それぞれ0.36、1.44、29.9kg/h)を、第2蒸留塔(全段数50段の棚段塔)の上から30段目に装入した。同時にエチルベンゼン(共沸ブレイカー)を塔頂部より3kg/hの流量で供給した。
上記ビスフェノールA製造工程において、図3の通り、反応混合物より蒸留により分離して得られた、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)(31.7kg/h)(それぞれ0.36、1.44、29.9kg/h)を、第2蒸留塔(全段数50段の棚段塔)の上から30段目に装入した。同時にエチルベンゼン(共沸ブレイカー)を塔頂部より3kg/hの流量で供給した。
第2蒸留塔は、塔頂圧力を0.16MPa、塔頂温度を108℃、塔底圧力を0.19MPa、塔低温度を207℃で運転した。そして、塔頂よりアセトン、水、エチルベンゼンの混合物を4.8kg/h(水30%)の流量で、塔底よりフェノールを29.9kg/hの流量で、それぞれ抜き出した。
さらに、第2蒸留塔の塔頂流出物(アセトン、水、エチルベンゼン)を、第3蒸留塔(全段数70段の棚段塔)の上から50段目に装入した。第3蒸留塔は、塔頂圧力を0.15MPa、塔頂温度を70℃、塔底圧力を0.17MPa、塔低温度を109℃で運転した。そして、塔頂よりアセトンを0.36kg/hの流量で、塔底より水、エチルベンゼンの混合物を4.44kg/h(水32.4%)の流量でそれぞれ抜き出した。
第2蒸留塔の上から15段目には腐食のテストピースとして各種金属片を装入し、2000時間の運転の後、回収し、重量変化を測定した。この結果から各種金属片の腐食速度を計算した。第3蒸留塔の上から30段目には腐食のテストピースとして各種金属片を装入し、2000時間の運転の後、回収し、重量変化を測定した。この結果から各種金属片の腐食速度を計算した。
[比較例1]
上記ビスフェノールA製造工程において、図2(c)の通り、反応混合物より蒸留により分離して得られた、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)(31.7kg/h)(それぞれ0.36、1.44、29.9kg/h)を、第2蒸留塔(全段数16段の棚段塔)の上から8段目に装入した。
上記ビスフェノールA製造工程において、図2(c)の通り、反応混合物より蒸留により分離して得られた、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)(31.7kg/h)(それぞれ0.36、1.44、29.9kg/h)を、第2蒸留塔(全段数16段の棚段塔)の上から8段目に装入した。
第2蒸留塔は常圧下、塔頂温度を99℃、塔低温度を192℃で運転した。そして、塔頂よりアセトン、水、フェノールの混合液を3kg/h(水48%)の流量で、塔底よりフェノールを28.7kg/hの流量で、それぞれ抜き出した。
第2蒸留塔の上から5段目には腐食のテストピースとして各種金属片を装入し、2000時間の運転の後、回収し、重量変化を測定した。この結果から各種金属片の腐食速度を計算した。
上記実施例1〜3及び比較例1における各種金属片の腐食速度を次の表1に示す。
表1の通り、各実施例では腐食速度がいずれも比較例1に比べて著しく小さい。
2 反応器
4 蒸留塔
5 晶析器
13 母液循環ライン
22 フェノール貯留タンク
4 蒸留塔
5 晶析器
13 母液循環ライン
22 フェノール貯留タンク
Claims (4)
- アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールA及びフェノールを含む反応生成物を得る反応工程;
該反応生成物から、フェノール、水及びアセトンを塔頂物として分離する第1蒸留工程;及び
該第1蒸留工程からの塔頂物を、フェノール、水及びアセトンを含む塔頂物と、フェノールよりなる塔底物とに分離する第2蒸留工程;
該第1蒸留工程の塔底物を冷却して、ビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させるとともに、母液を分離する晶析工程;及び
該晶析工程において分離された母液の一部を反応工程に循環供給する母液循環工程;
を有するビスフェノールAの製造方法において、
該第2蒸留工程からの塔頂物における水濃度を40重量%以下とすることを特徴とするビスフェノールAの製造方法。 - 請求項1において、該第2蒸留工程からの塔頂物における水濃度を20重量%以下とすることを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
- アセトンと過剰量のフェノールとを触媒の存在下で反応させてビスフェノールA及びフェノールを含む反応生成物を得る反応工程;
該反応生成物から、フェノール、水及びアセトンを塔頂物として分離する第1蒸留工程;及び
該第1蒸留工程からの塔頂物を、共沸剤を用いて共沸させ、アセトン、水及び共沸剤を含む塔頂物とフェノールよりなる塔底物とに分離する第2蒸留工程;及び、
第2蒸留工程からの塔頂物を、アセトンよりなる塔頂物と、水及び共沸剤を含む塔底物とに分離する第3蒸留工程
を有するビスフェノールAの製造方法において、
該第3蒸留工程からの塔底物における水濃度を30重量%以上とすることを特徴とするビスフェノールAの製造方法。 - 請求項3において、該第2蒸留工程からの塔頂物における水濃度を40重量%以下とすることを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
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- 2004-02-06 JP JP2004030998A patent/JP2005220094A/ja active Pending
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