JP5150086B2 - ビスフェノールaの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ビスフェノールAを製造するに際し、ビスフェノールAの回収効率を高め、造粒工程で生成したビスフェノールA粉末を系外に抜き出すことなく回収し、製品化して効率的に利用する方法に関するものである。
ビスフェノールAはエポキシ樹脂或いはポリカーボネート樹脂の原料として重要な化合物であり、近年その用途及び需要が増大している。
ビスフェノールAは、通常、過剰量のフェノールとアセトンとを酸性触媒の存在下で縮合反応させることにより得られ、反応混合物の濃縮液を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させて該付加物と母液に分離し、該付加物(アダクト)を分解することにより製造される。
上記ビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させる際に得られる母液には、ビスフェノールAの他に、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、o,p'−体と称する)を始めとする多くのp,p'−体へ異性化しうる成分が含まれており、従って製品ビスフェノールAの回収率を高めるためには、これらの異性化しうる成分を、p,p'−体へ異性化して回収することが重要である。この異性化処理には、通常、スルホン酸型陽イオン交換樹脂が触媒として用いられるが、この触媒の劣化速度が大きいために触媒交換頻度が多くなり、ビスフェノールA製造装置の稼働率が低下することになる。
フェノールとアセトンとの縮合反応混合物からビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析分離した後の母液の異性化処理に関しては、スルホン酸型陽イオン交換樹脂をフェノール類などで洗浄して用いる方法(例えば、特許文献1参照)、反応初期に水を共存させる方法(例えば、特許文献2参照)、該母液の一部を異性化処理した後、縮合反応工程や濃縮工程などに再循環する方法(例えば、特許文献3参照)、該母液の全量を異性化処理して、異性化処理液の一部を縮合反応工程や、濃縮工程、晶析・固液分離工程に循環し、残りの異性化処理液からビスフェノールAやフェノールを回収する方法(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
ビスフェノールAは、通常はプリルと呼ばれる小球状の粒子やフレーク状の固体として流通している。このプリルやフレークは、通常、造粒工程においてビスフェノールAの溶融液を冷却・固化させて製造されるが、この際にビスフェノールAの粉末が生成する。このビスフェノールAの粉末は付着しやすいので取り扱い難く、取り扱い時には、粉塵爆発の危険が伴う。また、この粉末は、産業廃棄物ということで焼却処分することになり環境上好ましくなく、経済的でない。
このようなビスフェノールAの造粒工程で発生したビスフェノール粉末(ダスト)の回収方法としては、ビスフェノールダスト(粉末)を大量の水でスラリー状態にして製造工程に回収する方法が知られている(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、特許文献5の方法においては、ビスフェノール粉末と共に大量の水がビスフェノール製造工程へ送液される。この送液された水は、製造工程内で循環している有毒物質であるフェノールによって汚染され、フェノールを含む排水となるので、環境上に好ましくない。また、大量の排水を処理する必要があるので不経済である。
また、ビスフェノールAの噴霧造粒塔で発生した粉末を粉末除去装置で系外に抜き出すことなく分離し、該粉末を溶解槽においてフェノールで溶解後、ビスフェノールA製造工程に回収する方法が知られている(例えば、特許文献6参照)。
この方法においては、粉末溶解槽と粉末除去装置及び噴霧造粒塔が接続されているので、粉末溶解槽内のフェノール蒸気が噴霧造粒塔の循環ガス中に流入し、噴霧造粒塔循環ガス中のフェノール濃度が上昇することから、噴霧造粒塔で製造される製品ビスフェノールAのフェノール濃度が上昇する。
この製品ビスフェノールA中のフェノールは、ポリカーボネート製造工程において重合停止剤として反応を阻害するという重大な問題を引き起こす。
また、ビスフェノールA粉末の溶解に使用したフェノールは、ビスフェノールA製造装置において蒸発回収する必要があることから不経済である。
特開昭62−201833号公報 特開平5−339187号公報 特開平8−333290号公報 特開2004−359594号公報 特表2003−519107公報 特開2004−231525公報
このような状況下で、本発明の目的は、ビスフェノールAを製造するに際し、ビスフェノールAの回収効率を高め、造粒工程で生成したビスフェノールA粉末を系外に抜き出すことなく回収し、製品化して効率的に利用する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、母液の全量を異性化処理する工程を有するビスフェノールAの製造方法で、造粒工程において発生したビスフェノールA粉末を系外に抜き出すことなく分離し、加熱溶融して製造工程に回収し、製品化することにより、効率的に利用できることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、以下のビスフェノールAの回収方法を提供するものである。
1.(A)過剰量のフェノールとアセトンとを強酸性陽イオン交換樹脂の存在下、縮合反応させる縮合反応工程、(B)縮合反応工程で得られた反応混合物を濃縮する濃縮工程、(C)濃縮工程で得られた濃縮液を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させ、該付加物と母液に分離する晶析・固液分離工程、(D)晶析・固液分離工程で得られた母液の全量を異性化触媒と処理して異性化する異性化工程、(E)異性化工程で処理された異性化処理液の一部からビスフェノールAとフェノールとの付加物を回収する回収工程、(F)晶析・固液分離工程で得られたビスフェノールAとフェノールとの付加物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収するアダクト分解工程および(G)アダクト分解工程で得られた溶融ビスフェノールAを造粒して製品ビスフェノールAを分離する造粒工程、を有するビスフェノールAの製造方法において、前記造粒工程で発生したビスフェノールA粉末を系外に抜き出すことなく加熱溶融して回収し、前記(A)〜(F)工程の中の少なくとも1つの工程に循環することを特徴とするビスフェノールAの回収方法。
2.(G)造粒工程において、造粒塔の塔頂から溶融ビスフェノールAを噴霧し、塔下部から導入された循環ガスと接触することにより製品ビスフェノールAを造粒するに際し、造粒後の循環ガスに同伴したビスフェノールA粉末を系外に抜き出すことなく加熱溶融して回収する上記1のビスフェノールAの回収方法。
3.加熱溶融して回収されたビスフェノールAを、(B)濃縮工程、(C)晶析・固液分離工程および(E)回収工程の中の少なくとも1つの工程に循環する上記1又は2のビスフェノールAの回収方法。
本発明のビスフェノールAの回収方法においては、母液の全量を異性化処理するため、フェノールとアセトンとの縮合反応において副生する異性化物の回収が有効に行われる。
また、ビスフェノールAを大量の排水や、フェノールの処理を必要とせずに、ビスフェノールAの造粒工程で発生したビスフェノールA粉末を回収し、高品質のビスフェノールAを効率良く製造することができる。
さらに、本発明の方法でビスフェノールAの粉末を回収することにより、粉塵爆発問題を解消とするとともに作業環境の改善が図られ、粉末が系外に抜き出されないので異物の混入がなく、空気に触れないので品質の悪化がない上に、溶剤を使用しないので経済的である。
本発明のビスフェノールAの回収方法が好適に適用されるビスフェノールAの製造においては、以下の(A)縮合反応工程、(B)濃縮工程、(C)晶析・固液分離工程、(D)異性化工程、(E)回収工程、(F)アダクト分解工程および(G)造粒工程が施される。次に各工程について詳細に説明する。
(A)縮合反応工程
縮合反応工程は、酸性触媒の存在下、フェノールとアセトンとを縮合反応させる工程である。原料のフェノールとアセトンは、化学量論的にフェノール過剰で反応させる。フェノール/アセトンのモル比は、通常、3〜30、好ましくは、5〜20の範囲である。反応温度は、通常、50〜100℃、反応圧力は、通常、常圧〜1.5MPa、好ましくは常圧〜0.6MPaである。触媒としては、通常、スルホン酸型等の強酸性陽イオン交換樹脂が用いられる。更に、強酸性陽イオン交換樹脂触媒の一部をメルカプトアルキルアミン等の助触媒により中和された触媒を用いることもある。例えば、2−メルカプトエチルアミン、3−メルカプトプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−メルカプトプロピルアミン、N,N−ジ−n−ブチル−4−メルカプトブチルアミン、2,2−ジメチルチアゾリジン等でスルホン酸基の5〜30モル%程度が中和されたものが挙げられる。フェノールとアセトンとの縮合反応は、連続方式でしかも押し流れ方式である固定床流通方式、或いは懸濁床回分方式で行われる。固定床流通方式の場合、反応器に供給する原料液の液空間速度は、0.2〜50hr-1程度である。また、懸濁床回分方式で行う場合、反応温度、反応圧力によって異なるが、一般的に、該原料液に対して20〜100質量%の範囲の樹脂触媒量であり、処理時間は、0.5〜5時間程度である。
(B)濃縮工程
濃縮工程は縮合反応工程で得られた反応混合物を濃縮する工程である。縮合反応工程からの反応混合物は通常二段の工程で濃縮が行なわれる。第一濃縮工程において、減圧蒸留等の方法により未反応アセトン、反応生成水等が除かれる。減圧蒸留は、通常、温度30〜180℃、圧力13〜67kPaで実施される。続いて、第二濃縮工程において、フェノールを留去し、ビスフェノールAの濃度を調整する。この際のビスフェノールAの濃度は20〜60質量%とすることが好ましい。ビスフェノールAの濃度が20質量%以上とすることにより収率が向上し、また、60質量%以下とすることにより固化温度が低下するので輸送が容易となる。従って、通常は第一濃縮工程において反応混合液を予め濃縮することにより前記濃度に調整する。この第二濃縮工程は、通常、圧力4〜40kPa、温度70〜140℃の条件下で実施することが好ましい。
(C)晶析・固液分離工程
晶析・固液分離工程は、濃縮工程で得られた濃縮液を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させ、該付加物と母液に分離する工程である。濃縮工程からの濃縮液は、通常、70〜140℃から35〜60℃まで冷却され、ビスフェノールAとフェノールとの付加物(アダクト)を晶析し、スラリー状になる。冷却は、外部熱交換器や、晶析器に加えられる水の蒸発による除熱によって行われる。
次にスラリー状の液は固液分離される。この晶析・固液分離工程で得られる母液は反応生成水を含むので通常は脱水塔に導入される。但し、この含水母液の一部を晶析器に循環しても良い。脱水後の母液組成は、通常、フェノール:65〜85質量%、ビスフェノールA:10〜20質量%、2,4'−異性体等の副生物:5〜15質量%であり、2,4'−異性体等の不純物を多く含んでいる。この母液は、通常、異性化処理工程にて処理され、該母液中に含まれているフェノールとビスフェノールAを回収する。
固液分離により回収されたアダクトは、次にアダクト分解工程に送られてフェノールを除去することによって高純度のビスフェノールAが得られる。固液分離機器のフィルター表面に濾過されて堆積されたアダクトを主成分とする固体成分は洗浄液による洗浄に付される。洗浄液としては、蒸発して回収したフェノール、原料フェノール、水、水−フェノール混合液の他、ビスフェノールAの飽和フェノール溶液と同じものも使用される。使用される洗浄液の量は多い方が、洗浄効率の点で良いことは当然であるが、結晶の再溶解ロス、洗浄液の循環、回収、再使用の観点から自ずと上限があり、通常は、質量基準で結晶量の0.1〜10倍程度が最も効率的である。なお、晶析・固液分離の後に結晶を再溶解し、再度晶析と固液分離を繰り返しても良い。この晶析と固液分離を多段で繰り返すことによりアダクト結晶内に取り込まれた不純物が順次減少する。
この場合、再溶解の溶解液ならびに固液分離で得られるアダクトを主成分とする固体成分の洗浄液としては、蒸発して回収したフェノール、原料フェノール、水、水−フェノール混合液の他、ビスフェノールAの飽和フェノール溶液と同じものを各段で使用できる。また、再度の晶析と固液分離で得られた母液は、前段の晶析工程にリサイクルすることも出来る。
固液分離において使用される固液分離機器としては通常使用されるものであれば特に制限されないが、ベルトフィルター、ドラムフィルター、トレイフィルター、遠心分離器等が使用される。
(D)異性化工程
晶析・固液分離工程で得られる液相部(母液)は、次に異性化工程に全量供給され、母液中の反応副生物を異性化処理する。この異性化処理液の一部は、縮合反応工程、濃縮工程および晶析・固液分離工程の少なくとも1つの工程に再循環される。また、異性化処理液の一部は、不純物の蓄積を防ぐために抜き出され、排出液として回収工程に送られる。
異性化処理は、触媒として、通常、スルホン酸型陽イオン交換樹脂が用いられ、反応温度50〜100℃程度で、連続式でしかも押し流れ方式である固定床流通方式の場合、液空間速度(LHSV)は0.2〜50hr-1程度で行われる。
(E)回収工程
異性化工程から送られてきた異性化処理液には、ビスフェノールAが15〜20質量%程度、2,4′−異性体等の副生物が5〜10質量%程度含まれている。
この排出液は、濃縮した後、冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物(結晶アダクト)を晶析させ、固液分離後、該結晶アダクトは溶融後、濃縮工程および/又は晶析・固液分離工程に再循環される。固液分離後の母液は、フェノールを回収後、処理される。
(F)アダクト分解工程
アダクト分解工程は、晶析・固液分離工程で得られたビスフェノールAとフェノールとの付加物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収する工程である。固液分離により回収されたアダクトは、アダクト分解工程でフェノールを除去することによって高純度のビスフェノールAが得られる。
すなわち、該付加物(アダクト)を100〜160℃程度で加熱溶融することによりビスフェノールAとフェノールとに分解し、この溶融液から蒸発缶などによって大部分のフェノールを除去し、更に、スチームストリッピングにより残存するフェノールを除去することによって、ビスフェノールAの溶融物が得られる。
(G)造粒工程
造粒工程は、アダクト分解工程で得られた溶融ビスフェノールAを造粒して製品ビスフェノールAを分離する工程である。噴霧造粒の場合、アダクト分解で得られたビスフェノールAの溶融物は、通常、造粒塔の塔頂に送液され、塔頂に設置されたノズルプレートに設けられた多数の孔より噴霧される。噴霧された溶融液は、造粒塔塔底から上昇する循環ガスにより冷却され、塔底よりプリルと呼ばれる粒子状の固体として抜き出され、製品ビスフェノールAプリルとなる。
塔頂から流出する循環ガスには、ビスフェノールAの粉末が同伴される。同伴された粉末は、バグフィルターのような粉末除去設備により捕集回収され、粉末が除去された循環ガスは、ブロアーにて昇圧、循環ガス冷却用熱交換器にて温度調整された後に造粒塔の塔底より導入され循環使用される。
本発明は、ビスフェノールA製造における造粒工程で生成したビスフェノールA粉末を系外に抜き出すことなく、不活性ガス(例えば窒素)の存在下において、溶融して製品化することを特徴としている。この方法を採用することにより、粉塵爆発問題を解消とするとともに作業環境の改善が図られる。また、粉末が系外に抜き出されないので異物の混入がなく、空気に触れないので品質の悪化がない上に、溶剤を使用しないので経済的である。
本発明におけるビスフェノールA粉末の溶融回収設備の一例を図1に示す。まず、ホッパー3およびビスフェノールA粉末溶融槽4は、不活性ガス導入ライン11にて不活性ガスを導入し、不活性ガス排気ライン12を経由してパージされる。その後、ビスフェノールA粉末は、ビスフェノールA粉末除去設備1からホッパー3に送られる。その後、ホッパー3に溜められた粉末は、ビスフェノールA粉末溶融槽4に投入される。粉末除去設備1と溶融槽4とは2つの遮断バルブ2にて遮断することにより、粉末除去設備1からのガスが溶融槽4に流入するのを防止する。
溶融槽に投入されたビスフェノールA粉末は、不活性ガスの存在下において、熱媒にて溶融されて、溶融液中の侠雑物をミクロンサイズの溶融ビスフェノールAフィルター8にて除去して、ビスフェノールA回収ポンプ9の圧送によりフィルター8を経て各工程に送液され、回収される。
なお、粉末除去設備1からの粉末は、所定量を、ロータリーバルブ或いはスクリューコンベア10にてホッパー3に送られる。溶融槽4の材質としては、ステンレス材(SUS304,SUS304L,SUS316,SUS316L)が好ましい。溶融槽4の内部には溶融用の熱媒配管を施工し、溶融槽外部には、熱媒を流すためのジャケット6或いは配管7を施工する。溶融ビスフェノールAフィルター8には、約10ミクロンサイズのグラスウールフィルターや焼結金属などが用いられる。
溶融液を送液する工程としては、ビスフェノールA溶融液を回収し、製品化出来る工程であれば、特に限定されるものではないが、溶融液が精製されて高品質の製品ビスフェノールAを製造するために(B)濃縮工程、(C)晶析・固液分離工程および(E)回収工程の中の少なくとも1つの工程に送液するのが好ましい。(B)濃縮工程においては、縮合反応工程からの反応混合物にビスフェノールA溶融液を混合することにより、また(C)晶析・固液分離工程においては濃縮工程からの濃縮液にビスフェノールA溶融液を混合することにより、(E)回収工程においては、晶析・固液分離後に得られた結晶を溶融した液にビスフェノールA溶融液を混合することにより、造粒工程で生成したビスフェノールA粉末が精製されて有効に回収することができる。
ビスフェノールAは熱によって劣化するため、高温の熱にさらされると品質、特に色相が悪化する。このため溶融液温度としては180℃以下が好ましく、更に好ましくは170℃以下である。熱媒温度としては、200℃以下が好ましく、更に好ましくは190℃以下である。
以下、本発明の方法を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
実施例1
(縮合反応工程)
陽イオン交換樹脂〔三菱化学(株)製、「ダイヤイオンSK104H」〕のスルホン酸基を2−メルカプトエチルアミンにて20モル%部分中和したものを充填した固定床反応塔に、モル比10:1のフェノールとアセトンを連続的にLHSV 3hr-1 で通液し、75℃で縮合反応を行った。
(濃縮工程)
得られた反応混合液から、塔底温度170℃、圧力67kPaの条件で減圧蒸留によりアセトン、水等を除去した後、更に温度130℃、圧力14kPaの条件で減圧蒸留し、フェノールを留去させ、ビスフェノールA濃度が40質量%になるまで濃縮し、フェノール・ビスフェノールA溶液を得た。
(晶析・固液分離工程)
次に、このビスフェノールA濃度が40質量%のフェノール・ビスフェノールA溶液に水を加え、減圧下で50℃に冷却保持することにより、ビスフェノールA・フェノールアダクトを晶析させてスラリー溶液を得た。
このスラリー溶液を固液分離することにより、ビスフェノールA・フェノールアダクトを得た。このアダクトにフェノールを加え、90℃に加熱してフェノール 60質量%及びビスフェノールA 40質量%を含む溶液を調製し、10ミクロンサイズのフィルターにて濾過した後、再度、同様の真空冷却晶析及び固液分離を行い、ビスフェノールA・フェノールアダクトを得た。
次いで、このアダクトを精製フェノールにより洗浄を行い、ビスフェノールA・フェノールアダクト結晶を得た。
(異性化工程)
陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、「ダイアイオンSK104H」)を用いて、晶析・固液分離工程で得られた母液を70℃、LHSV 3hr-1で異性化反応を行った。
(回収工程)
異性化反応液中の20%を回収工程に送液し、減圧下にてフェノールを蒸発させた後、50℃に冷却することによりフェノールとビスフェノールAの付加物のスラリー(スラリー濃度25質量%)を得た。そのスラリーを濾過し、フェノールにて洗浄した後、得られた結晶を回収溶融槽にて溶融した後、濃縮工程に送液した。
(アダクト分解工程)
晶析・固液分離工程で得られたアダクト結晶を130℃にて加熱溶融後、4.3kPa−A減圧下、170℃に温度コントロールされた蒸発缶によって、溶融液中のフェノールを蒸発させ、更に、10kPa−A減圧にコントロールされた蒸留塔にトリッピングスチームを導入し、残存するフェノールを蒸発させ、溶融ビスフェノールAを得た。
(造粒工程)
アダクト分解工程で得られた溶融ビスフェノールAを噴霧造粒塔の塔頂に送液して噴霧し、塔下部から導入された循環ガスと接触することにより造粒してビスフェノールAプリル(10t/h)を得た。得られたプリルを空気雰囲気下で220℃、40分間加熱し、APHA標準色を用い、目視にて色相評価した結果、APHA15であった。
一方、噴霧造粒塔に粉末除去設備1を設置してビスフェノールA粉末(0.005t/h)を得た。まず、不活性ガス導入ライン11及び不活性ガス排気ライン12にてホッパー3及びビスフェノールA粉末溶融槽4を10分間窒素にてパージした。その後、該ビスフェノールA粉末をホッパー3にロータリーバルブ10及び遮断バルブ2にて供給し、190℃熱媒により170℃に保持されたビスフェノールA粉末溶融槽4に遮断バルブ2にて自然落下にて供給、溶融させた。ビスフェノールA粉末を溶融した液は、ビスフェノールA回収ポンプ9にて10ミクロンフィルター8を経由して、回収工程(E)の回収溶融槽に供給した。該回収溶融槽からのビスフェノールA溶融液は、濃縮工程(B)に供給し、最終的には、製品ビスフェノールAプリルとして回収された。
得られた製品ビスフェノールAを空気雰囲気下で220℃、40分間加熱し、APHA標準色を用い、目視にて色相評価した結果、ビスフェノールA粉末を回収しない場合と同様のAPHA15であった。
本発明のビスフェノールAの回収方法におけるビスフェノールAの溶融回収設備の一例を示す説明図である。
符号の説明
1:ビスフェノールA粉末除去設備
2:遮断バルブ
3:ホッパー
4:ビスフェノールA粉末溶融槽
5:熱媒配管(加熱用トレース)
6:熱媒ジャケット
7:溶融用熱媒配管
8:溶融ビスフェノールAフィルター
9:ビスフェノールA回収ポンプ
10:ロータリーバルブまたはスクリューコンベア
11:不活性ガス導入ライン
12:不活性ガス排気ライン

Claims (3)

  1. (A)過剰量のフェノールとアセトンとを強酸性陽イオン交換樹脂の存在下、縮合反応させる縮合反応工程、(B)縮合反応工程で得られた反応混合物を濃縮する濃縮工程、(C)濃縮工程で得られた濃縮液を冷却することによりビスフェノールAとフェノールとの付加物を晶析させ、該付加物と母液に分離する晶析・固液分離工程、(D)晶析・固液分離工程で得られた母液の全量を異性化触媒と処理して異性化する異性化工程、(E)異性化工程で処理された異性化処理液の一部からビスフェノールAとフェノールとの付加物を回収する回収工程、(F)晶析・固液分離工程で得られたビスフェノールAとフェノールとの付加物からフェノールを除去し、ビスフェノールAを回収するアダクト分解工程および(G)アダクト分解工程で得られた溶融ビスフェノールAを造粒して製品ビスフェノールAを分離する造粒工程、を有するビスフェノールAの製造方法において、前記造粒工程で発生したビスフェノールA粉末を、溶融回収設備により加熱溶融して回収し、前記(A)〜(F)工程の中の少なくとも1つの工程に循環するビスフェノールAの回収方法であって、
    溶融回収設備は、ビスフェノールA粉末除去設備と、ビスフェノールA粉末除去設備とバルブを介して連結されるホッパーと、ホッパーとバルブを介して連結され、熱媒による加熱手段を備えるビスフェノールA粉末溶融槽とを有し、ビスフェノールA粉末除去設備により除去されたビスフェノールA粉末を、ホッパーおよびビスフェノールA粉末溶融槽を不活性ガスにてパージした後に、ビスフェノールA粉末除去設備よりホッパーに送り、ホッパーに溜められたビスフェノールA粉末を、ビスフェノールA粉末除去設備とビスフェノールA粉末溶融槽とを遮断した状態でビスフェノールA粉末溶融槽に供給し、該ビスフェノールA粉末を不活性ガスの存在下において熱媒により加熱溶融して回収することを特徴とするビスフェノールAの回収方法。
  2. (G)造粒工程において、造粒塔の塔頂から溶融ビスフェノールAを噴霧し、塔下部から導入された循環ガスと接触することにより製品ビスフェノールAを造粒し、循環ガスに同伴したビスフェノールA粉末を加熱溶融して回収する請求項1に記載のビスフェノールAの回収方法。
  3. 加熱溶融して回収されたビスフェノールAを、(B)濃縮工程、(C)晶析・固液分離工程および(E)回収工程の中の少なくとも1つの工程に循環する請求項1又は2に記載のビスフェノールAの回収方法。
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