JP2014037368A - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents

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昌男 斎藤
Masahiro Kodama
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Abstract

【課題】フェノールとイソプロペニルフェノールを再結合させてビスフェノールAを製造する再結合工程において、再結合反応器の容積を小さくすることができ、エネルギー使用量を低減させ、かつシンプルなプロセスにより高選択率でビスフェノールAを製造する方法を提供する。
【解決手段】下記工程を順に含むビスフェノールAの製造方法において、工程(G)に供給されるイソプロペニルフェノールに対するフェノールのモル比を3〜18とすることを特徴とするビスフェノールAの製造方法である。
工程(A):酸性触媒の存在下にアセトンとフェノールを縮合させ、ビスフェノールAを含む反応液を得る反応工程
工程(C):ビスフェノールAを含む反応液から晶析によりビスフェノールAとフェノールからなる結晶を生成させて、該結晶と母液とに分離する晶析固液分離工程
工程(F):晶析固液分離工程から得られる母液又は該母液を処理して得られる母液処理物をアルカリ性触媒の存在下に加熱、分解させて、フェノール及びイソプロペニルフェノールを回収するアルカリ分解工程
工程(G):回収されたフェノール及び回収されたイソプロペニルフェノールを酸性触媒と接触させて、再結合させ、ビスフェノールAを含む反応液を得る再結合反応工程
工程(H):工程(G)で得られた反応液を、工程(C)より上流に循環する循環工程
【選択図】なし

Description

本発明は、ビスフェノールAの製造方法に関し、さらに詳しくは、ビスフェノールAを高い選択率で得ることのできるビスフェノールAの製造方法に関するものである。
ビスフェノールA[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン]は、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂の原料として有用であり、近年、その需要は大きく伸びている。ビスフェノールAの製造方法としては、酸性触媒の存在下にアセトンと過剰量のフェノールとを反応させ、得られたビスフェノールAを含む反応液から晶析固液分離してアダクト(フェノールとビスフェノールAとの付加物)を得て、このアダクトをビスフェノールAとフェノールとに分離させるアダクト分解を行ってビスフェノールAを得る方法が一般的に行われている。前記酸性触媒の存在下にアセトンと過剰量のフェノールとを反応させビスフェノールAを製造する際に、目的物のビスフェノールAの他に2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパンなどの異性体や高沸点不純物が生成する。ビスフェノールAの収率を向上するためには、反応液からアダクトを晶析固液分離した得られた母液中に含まれる未回収ビスフェノールAをさらに回収したり、ビスフェノールAの異性体をビスフェノールAに変換して効率よく回収する必要がある。
前記の反応液中にビスフェノールAと共に含まれる2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパンなどの異性体や高沸点不純物は、冷却してアダクトを結晶状態で析出させ、濾過や遠心分離を行うことによりアダクトと母液とに分離された母液中に主として含まれている。アダクトは、フェノールで洗浄したのちに加熱して融解させ、フェノールを蒸発分離することにより、ビスフェノールAが得られる。
前記未回収ビスフェノールAやその異性体を含む母液からビスフェノールAを回収する方法として、異性化処理を行い異性化処理後の反応液の一部をビスフェノールAの濃縮工程に戻したり、異性化処理後の反応液の一部を再度、回収晶析固液分離し、得られた比較的不純物量の多いアダクトを前記のビスフェノールAの濃縮工程に戻すなどしてビスフェノールAの収率を向上させている。しかし、この回収晶析固液分離により得られる回収母液にもビスフェノールA、フェノールの他にビスフェノールAの異性体や高沸点不純物が含まれるために、この回収母液を有効利用することによりビスフェノールとする方法が知られている。例えば、特許文献1では、この回収母液をアルカリ性物質の存在下で加熱して、ビスフェノールA及びその異性体をフェノールとイソプロペニルフェノールに分解し、フェノールとイソプロペニルフェノールとを強酸性陽イオン交換樹脂と接触させることにより再結合させてビスフェノールAを生成させ、得られたビスフェノールAを含む反応液をアセトンとフェノールとを反応させる反応工程に循環させることが知られている。しかし、この特許文献1におけるフェノールとイソプロペニルフェノールとの反応に関して、イソプロペニルフェノールに対するフェノールの使用量については、何ら言及されておらず、その実施例においてはイソプロペニルフェノール1モルに対して、28.5モルと過剰のフェノールが使用された実施例が記載されているのみである。
また、特許文献2には、アセトンとフェノールとを反応させ得られた反応液を晶析分離し、得られた母液の一部をアルカリ性触媒の存在下に加熱してビスフェノールA及びその異性体を分解し、生成したフェノールとイソプロペニルフェノールを用いて、イソプロペニルフェノールに対するフェノールのモル比を40以上として再結合することが知られている。この理由としては、イソプロペニルフェノールは反応性が高いために、熱により重質化し易く、ビスフェノールAの選択率を低下させるため、イソプロペニルフェノール濃度を小さくし、イソプロペニルフェノールの二量化物等の重質化物の生成を抑制するものであるとされている。
特開2009−242316号公報 特開2002−105012号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2記載の方法は、フェノールとイソプロペニルフェノールを再結合させるに当たり、イソプロペニルフェノールに対するフェノールの使用量が多いため、再結合反応器へのフェノール供給量が増大し、反応器容積が大きくなり、その分、反応温度等に使用されるエネルギーも大きくなり、工業生産上、不利益が発生するという問題を有する。また、使用するフェノール量も多いため、別途他の系からのフェノールを使用する必要もあり、プロセスを複雑化させてしまう問題点もあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ビスフェノールAの製造過程で発生する母液又はその母液を処理して得られる母液処理物を用い、該母液又は母液処理物に含有されているビスフェノールA及びその異性体を分解し、生成したフェノールとイソプロペニルフェノールを再結合させてビスフェノールAを製造する際に、再結合反応器の容積を小さくし、エネルギー使用量を低減させ、かつシンプルなプロセスにより高選択率でビスフェノールAを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、イソプロペニルフェノールに対するフェノールのモル比を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記1〜4を提供するものである。
1.下記工程を順に含むビスフェノールAの製造方法において、工程(G)に供給されるイソプロペニルフェノールに対するフェノールのモル比を3〜18とすることを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
工程(A):酸性触媒の存在下にアセトンとフェノールを縮合させ、ビスフェノールAを含む反応液を得る反応工程
工程(C):ビスフェノールAを含む反応液から晶析によりビスフェノールAとフェノールからなる結晶を生成させて、該結晶と母液とに分離する晶析固液分離工程
工程(F):晶析固液分離工程から得られる母液又は該母液を処理して得られる母液処理物をアルカリ性触媒の存在下に加熱、分解させて、フェノール及びイソプロペニルフェノールを回収するアルカリ分解工程
工程(G):回収されたフェノール及び回収されたイソプロペニルフェノールを酸性触媒と接触させて、再結合させ、ビスフェノールAを含む反応液を得る再結合反応工程
工程(H):工程(G)で得られた反応液を、工程(C)より上流に循環する循環工程
2.前記工程(G)の反応温度を60〜100℃とする上記1に記載のビスフェノールAの製造方法。
3.前記工程(A)で得られたビスフェノールAを含む反応液を濃縮し、濃縮液を得る濃縮工程(B)を含む上記1又は2に記載のビスフェノールAの製造方法。
4.前記工程(F)の母液処理物が、前記工程(C)で得られた母液を異性化処理する工程(D)を行い、次いで得られた異性化処理後の反応液をビスフェノールAとフェノールからなる回収結晶と回収母液とに分離する回収晶析固液分離工程(E)を行い、工程(E)で得られた該回収母液、又は該回収母液からフェノールを回収した後の回収母液残渣物である請求項1〜3のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。
本発明のビスフェノールAの製造方法によれば、フェノール使用量をできるだけ低減させることにより、再結合反応器の容積を小さくすることができ、エネルギー使用量を低減させ、かつシンプルなプロセスにより高選択率でビスフェノールAを製造することができる。
本発明のビスフェノールAの製造方法の一例を示す工程図である。
本発明のビスフェノールAの製造方法は、下記工程を順に含むビスフェノールAの製造方法において、工程(G)に供給されるイソプロペニルフェノールに対するフェノールのモル比を3〜18とすることを特徴とするものである。
工程(A):酸性触媒の存在下にアセトンとフェノールを縮合させ、ビスフェノールAを含む反応液を得る反応工程
工程(C):ビスフェノールAを含む反応液から晶析によりビスフェノールAとフェノールからなる結晶を生成させて、該結晶と母液とに分離する晶析固液分離工程
工程(F):晶析固液分離工程から得られる母液又は該母液を処理して得られる母液処理物をアルカリ性触媒の存在下に加熱、分解させて、フェノール及びイソプロペニルフェノールを回収するアルカリ分解工程
工程(G):回収されたフェノール及び回収されたイソプロペニルフェノールを酸性触媒と接触させて、再結合させ、ビスフェノールAを含む反応液を得る再結合反応工程
工程(H):工程(G)で得られた反応液を、工程(C)より上流に循環する循環工程
本発明のビスフェノールAの製造方法では、工程(G)でフェノールとイソプロペニルフェノールとを再結合させる際に、イソプロペニルフェノールに対するフェノールのモル比を3〜18とすることにより、フェノール使用量が低減されるため、未反応フェノールの循環量も少なくすることができる。従って、再結合反応工程における反応器容量も小型化することによりエネルギー使用量も低減させることができ、かつシンプルなプロセスにより高選択率でビスフェノールAを製造することができる。
以下、本発明のビスフェノールAの製造方法について、図1に示された本発明のビスフェノールAの製造方法の一例を示す工程図に沿って説明する。
〔工程(A)〕
工程(A)は、酸性触媒の存在下にアセトンとフェノールを縮合させ、ビスフェノールAを含む反応液を得る反応工程である。
本工程では、供給されるフェノールとアセトンとが縮合して、p−イソプロペニルフェノール(以下、「IPP」ともいう)を生成した後、当該IPPとフェノールとが更に縮合して、ビスフェノールAを生成する。
工程(A)で用いる酸触媒としては、強酸性陽イオン交換樹脂が用いられるが、触媒活性の観点から、スルホン酸型陽イオン交換樹脂が好ましい。
スルホン型陽イオン交換樹脂としては、スルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂であれば特に制限されず、例えば、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノールホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ベンゼンホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記の強酸性陽イオン交換樹脂は、当該樹脂の一部がメルカプタン類により修飾されているものが好ましい。本発明において、メルカプタン類とは、分子内にSH基を有する化合物を意味する。
このようなメルカプタン類としては、例えば、アルキルメルカプタン、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基等の置換基一種以上を有するアルキルメルカプタン類等が挙げられる。これらの中でも、2−メルカプトエチルアミン、3−メルカプトプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−メルカプトプロピルアミン、N,N−ジ−n−ブチル−4−メルカプトブチルアミン、2,2−ジメチルチアゾリジン等のメルカプトアルキルアミンが好ましい。
メルカプタン類により修飾された強酸性陽イオン交換樹脂中のスルホン酸基の含有量としては、修飾前の強酸性陽イオン交換樹脂中の全スルホン酸基の総量に対して、好ましくは5〜35モル%、より好ましくは10〜30モル%、更に好ましくは15〜25モル%である。
フェノールとアセトンとの供給割合は、化学量論的にフェノールが過剰となる割合であれば特に制限はない。ただ、生成するビスフェノールAの精製の容易さや経済性等の観点から、アセトン1モルに対するフェノールの供給量が、好ましくは3〜30モル、より好ましくは5〜20モルである。
なお、本工程におけるビスフェノールAの製造においては、反応液の粘度が高すぎる場合や、凝固して運転が困難になるような低温で反応させる場合以外では、反応溶媒の添加は特に必要ではない。
本工程における、フェノールとアセトンとの縮合反応は、回分式及び連続式のいずれであってもよいが、原料を連続的に供給して反応させる固定床連続反応方式が好ましく、押し出し流れ方式である固定床流通方式がより好ましい。固定床連続反応方式における反応塔は、1基でもよく、2基以上を直列に配置した固定床多段連続反応方式としてもよい。
固定床流通方式の場合、反応器に供給する原料の液空間速度は、好ましくは0.1〜20hr-1、より好ましくは0.3〜15hr-1、更に好ましくは0.5〜10hr-1である。
また、フェノールとアセトンとの反応の際の温度は、好ましくは50〜100℃、より好ましくは55〜90℃、更に好ましくは60〜80℃である。反応温度が50℃以上であれば、反応速度を十分に上げることができると共に、反応混合液の粘度を適切な範囲とすることができ、反応混合液が固化する恐れを防ぐことができる。一方、反応温度が100℃以下であれば、反応制御が可能であり、ビスフェノールAの選択率を良好とすることができる。また、触媒の分解又は劣化を防止することができる。
また、フェノールとアセトンとの反応の際の圧力は、好ましくは常圧(0.1MPa)〜1.5MPa、より好ましくは常圧(0.1MPa)〜0.6MPaである。
〔工程(B)〕
工程(B)は、工程(A)で得られたビスフェノールAを含む反応液を濃縮し、濃縮液を得る濃縮工程である。本工程により、反応液から、未反応アセトン、未反応フェノール、反応生成物である水等の低沸点物質等が除去されると共に、生成したビスフェノールAの濃度を適度な範囲に調整することができる。
本工程は、蒸留塔を用いた減圧蒸留により、該反応液を濃縮することが好ましい。
また、本工程の濃縮は、主として未反応アセトン、水、低沸点物質等を留去する第一濃縮工程と、主として未反応フェノール等を留去し、濃縮液の濃度を調整する第二濃縮工程とに分けて行うことが好ましい。
第一濃縮工程での減圧蒸留の条件として、温度としては、好ましくは30〜180℃、より好ましくは50〜170℃、更に好ましくは60〜160℃であり、圧力としては、好ましくは13〜70kPa、より好ましくは20〜50kPaである。
第二濃縮工程での減圧蒸留の条件として、温度としては、好ましくは70〜170℃、より好ましくは80〜140℃、更に好ましくは80〜130℃であり、圧力としては、好ましくは4〜70kPa、より好ましくは5〜50kPaである。
本工程を経て得られる濃縮液のビスフェノールAの濃度は、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは20〜40質量%である。当該濃度が20質量%以上であれば、ビスフェノールAの回収率が十分である。一方、60質量%以下であれば、固化温度が高くなって晶析後のスラリー移送が困難となるといった弊害を防止することができる。
本発明では、上記工程(A)と工程(C)との間に、上記に説明した工程(B)を行うことが、工程(C)を効率よく行う上で好ましい。
〔工程(C)〕
工程(C)は、上記工程(A)で得られたビスフェノールAを含む反応液、又は工程(B)で得られた前記濃縮液から晶析によりビスフェノールAとフェノールから成る結晶を生成させて、該結晶と母液とに分離する晶析固液分離工程である。このビスフェノールAとフェノールから成る結晶は、ビスフェノールAとフェノールとの付加物(以下、「アダクト」ともいう)となっており、晶析固液分離工程における固形分として分離される。また、該固形分以外のものは母液として分離される。
上記工程(A)からの反応液もしくは工程(B)を行って得られる前記濃縮液から固形分を分離するための晶析方法としては、晶析前の70〜170℃の反応液もしくはその濃縮液を、35〜60℃まで冷却して、上記固形分を晶析してスラリーとすることが好ましい。
この際の冷却は、外部熱交換器を用いて行ってもよく、また、反応液もしくはその濃縮液に水を加えて、減圧下での水の蒸発潜熱を利用して冷却する真空冷却晶析法により行ってもよい。
次に、このようにして晶析された固形分を含むスラリーは、ろ過や遠心分離等の公知の手段により、固形物と反応副生物を含む母液とに分離する。この際に用いる機器としては、特に制限はないが、例えば、ベルトフィルター、ドラムフィルター、トレイフィルター、遠心分離器等が挙げられる。
なお、晶析及び固液分離の後の固形分は、再溶解し、再度晶析及び固液分離を繰り返してもよい。晶析と固液分離を多段で繰り返すことで、結晶内に取り込まれた不純物を減らすことができる。再溶解の溶解液としては、例えば、フェノール、水、水−フェノール混合液等が挙げられる。なお、フェノールは、回収したフェノールを用いてもよく、別途供給したフェノールを用いてもよい。
一方、分離した固形分は、洗浄し、アダクト分解工程に送り、固形分中に含まれるアダクトからフェノールを除去することで、高純度のビスフェノールAが得られる。
この際、使用する洗浄液としては、例えば、フェノール、水、水−フェノール混合液等が挙げられる。なお、フェノールは、回収したフェノールを用いてもよく、別途供給したフェノールを用いてもよい。
使用する洗浄液の量は、洗浄効率、及び再溶解のための損失、洗浄液の循環、回収、再使用の観点から、分離した固形分の質量に対して、0.1〜10倍が好ましい。
〔アダクト分解工程〕
上記の固液分離により回収された固形分に含まれる、ビスフェノールAとフェノールとの付加物(アダクト)は、アダクト分解工程を経ることで、フェノールを除去して、高純度のビスフェノールAを得ることができる。
アダクト分解工程では、はじめに、アダクトを含む固形分を、100〜160℃で加熱溶融して、アダクトをビスフェノールAとフェノールとに分解させた溶融液を得る。
次いで、この溶融液を蒸発塔に送り、減圧蒸留等により、この溶融液からフェノールを除去し、溶融状態のビスフェノールAを回収する。当該減圧蒸留は、温度150〜190℃で、圧力1〜11kPaの条件下で行うことが好ましい。
また、回収した溶融状態のビスフェノールAは、更にスチームストリッピングにより残存するフェノールを除去することが好ましい。
このような工程を経て、高純度のビスフェノールAを得ることができる。
〔工程(D)〕
工程(D)は、工程(C)で得られた母液を異性化処理する工程である。
工程(C)で得られた母液の組成は、通常、フェノール:65〜85質量%、ビスフェノールA:10〜20質量%、2,4’−異性体等の不純物:5〜15質量%であり、異性体等の不純物が多く含まれている。
本発明において、工程(C)で得られた母液を下記に説明する工程(F)に用いることもできるが、工程(C)の後に工程(D)を行い、工程(C)で得られた母液を全量異性化処理することが好ましい。
上述のとおり、工程(C)からの母液の全量を異性化処理することで、母液中の不純物をできる限りビスフェノールAに転化して、ビスフェノールAの濃度を上げることができる。この異性化処理により、ビスフェノールAをより多く回収することができ、ビスフェノールAの回収率を向上させることができる。
異性化処理で用いる触媒としては、スルホン酸型陽イオン交換樹脂が好ましい。スルホン酸型陽イオン交換樹脂としては、上述の工程(A)で用いた樹脂が挙げられる。
異性化処理は、上記スルホン酸型陽イオン交換樹脂の存在下、反応温度50〜100℃、好ましくは60〜90℃で、連続式で押し出し流れ方式である固定床流通方式で行われることが好ましい。
この固定床流通方式の場合、溶液の液空間速度は、好ましくは0.1〜20hr-1、より好ましくは0.3〜15hr-1、更に好ましくは0.5〜10hr-1である。
なお、異性化処理を行う反応器は、並列に複数設けられてもよい。例えば、工程(C)で得た母液を異性化処理する場合、(B)工程に再循環するための異性化処理反応器と、工程(E)に送るための異性化処理反応器とに分割して設置することも可能である。
異性化処理後の反応液は、後述する回収晶析固液分離工程(E)に送られるが、当該反応液の一部を工程(B)へ戻すことが好ましい。異性化処理後の反応液の一部を工程(B)へ戻すことで、異性化処理がなされ生成されたビスフェノールAを回収し、ビスフェノールAの回収率を向上させることができる。また、異性化処理後の反応液は、フェノールを65〜85質量%含むことから、この一部を蒸発させ晶析操作に相応したビスフェノールAの濃度に調製するためにも、当該溶液を工程(B)に戻すことが好ましい。
上記観点から、異性化処理後の反応液のうち、工程(E)へ送る溶液量としては、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%、更に好ましくは13〜23質量%であり、工程(B)へ戻す溶液量としては、好ましくは95〜70質量%、より好ましくは90〜75質量%、更に好ましくは87〜77質量%である。
〔工程(E)〕
工程(E)は、工程(D)で異性化処理した後の反応液を晶析固液分離し、固形分と、母液とに分離する回収晶析固液分離工程である。本工程により、ビスフェノールAとフェノールとの付加物(アダクト)を含む固形分を晶析させ、回収結晶と回収母液とに分離する。
本工程で用いる異性化処理後の反応液は、晶析前に、フェノールの一部を除去し濃縮することが好ましい。当該濃縮は、温度70〜140℃、圧力1.5〜40kPaの条件下の減圧蒸留により行われることが好ましい。濃縮後の溶液のビスフェノールAの濃度としては、好ましくは20〜50質量%である。
濃縮後の溶液からの固形分の晶析方法としては、晶析前の70〜140℃の溶液を、35〜60℃まで冷却して、上記固形分を晶析してスラリーとすることが好ましい。この際の冷却は、上述の工程(C)と同様の方法により行うことができる。
また、固形分を含むスラリーは、上述の工程(C)と同様の方法により、晶析した回収結晶と回収母液とに分離することができる。
ここで晶析した固形分である回収結晶は、前述の工程(B)又は工程(C)に戻すことが好ましい。当該回収結晶は、前述の工程(C)で得られる結晶よりも多くの不純物を含んでいるが、回収結晶中の不純物の濃度は、工程(A)で得られる反応混合液中の不純物の濃度よりも低い。そのため、回収結晶を、工程(B)又は工程(C)に戻すことで、工程(A)で得られた反応混合液中の不純物の濃度が低くなり、回収結晶が供給されない場合よりも高純度の結晶を得ることができる。
なお、本発明において、工程(E)で固液分離して回収結晶を除去した回収母液は、母液処理物として回収母液自体を後述する工程(F)に送って処理してもよいし、該回収母液からフェノールを回収した後の回収母液残渣物を母液処理物として工程(F)に送って処理してもよい。
工程(E)で得た回収母液の組成は、通常、フェノール:45〜70質量%、ビスフェノールA:5〜15質量%、2,4’−異性体等の不純物:20〜40質量%である。当該回収母液には、2,4’−異性体等の不純物を多く含んでいるが、それ以上にフェノールも多く含んでいる。そのため、フェノール回収の効率性の観点から、当該回収母液を工程(F)に送る前に、当該回収母液中に含まれるフェノールを予め回収しておくことが好ましい。
フェノールの回収方法としては、充填式蒸留塔等を使用して、減圧蒸留により、フェノールを塔頂より回収し、フェノール回収後の副生物及び着色物質等を多く含んだ回収母液残渣物を塔底より得る方法が好ましい。
当該減圧蒸留の条件としては、温度120〜180℃、圧力0.5〜20kPaの条件下で行うことが好ましい。なお、この減圧蒸留は、回収母液残渣物中の残存フェノール量が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは2〜15質量%になるまで行うことが好ましい。
ここで回収したフェノールは、例えば、工程(C)又は(E)の晶析固液分離工程での固形分の洗浄液或いは再溶解液として、又は工程(A)で用いられる反応用原料としての使用が可能である。
〔工程(F)〕
工程(F)は、晶析固液分離工程から得られる母液又は該母液を処理して得られる母液処理物をアルカリ性触媒の存在下に加熱、分解させて、フェノール及びイソプロペニルフェノールを回収するアルカリ分解工程である。工程(C)からの母液又は工程(C)からの母液を処理して得られる母液処理物を用いることができる。工程(C)からの母液を処理して得られる母液処理物は、より具体的には、工程(D)を行って得られた反応液を工程(E)で処理して得られる回収母液、又はその回収母液からフェノールを回収した後の回収母液残渣物を用いることができる。工程(F)では、上記に記載の工程(C)からの母液又は工程(C)からの母液を処理して得られる母液処理物をアルカリ性触媒の存在下で加熱し、フェノール及びイソプロペニルフェノール(IPP)を主成分に含む成分に分解し、生成したフェノール及びIPPを蒸発させて回収する工程である。
工程(C)からの母液、工程(E)からの回収母液又はその回収母液からフェノールを回収した後の回収母液残渣物は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性触媒とともに、反応槽と減圧の蒸発塔で構成され高温・減圧下で操作されるアルカリ分解反応塔に供給し、ここでビスフェノールA及び2.4異性体等はフェノールとIPPとに分解され塔頂より蒸発回収し、クロマン化合物などの不純物は重質の不純物(高沸点物)に変換され塔底より残渣として取り出される。
アルカリ分解処理する際の反応槽は温度通常180〜350℃、好ましくは190〜250℃、圧力は0.5kPa〜50kPa、好ましくは1.5kPa〜20kPaの条件で運転される。添加するアルカリ物質の量は、反応槽に供給されるフェノールを除いた供給量に対して0.01〜3.0質量%、好ましくは0.05〜2.0質量%である。尚、この工程は回分式で行うことも出来る。塔頂から回収されたフェノール及びIPPは凝縮液化させて得ることができる。
〔工程(G)〕
工程(G)は、工程(F)で回収されたフェノール及びIPPを酸性触媒と接触させて、かつIPPに対するフェノールのモル比を3〜18とし、フェノールとIPPとを再結合させてビスフェノールAを含む反応液を得る再結合反応工程である。
この工程(G)に供給されるフェノールとIPPは、IPPに対するフェノールのモル比が、3〜18であることを要す。このモル比が3未満であると生成したアダクトが結晶状態で析出し、プロセス配管等を閉塞させる恐れがあり好ましくない。また、このモル比が18を超えると循環フェノール量が多くなり、反応温度として使用するエネルギー量が多くなり、また再結合反応器の容量も大きくする必要があり、好ましくない。IPPに対するフェノールの好ましいモル比は7〜15であり、より好ましくは8〜14である。
また、IPPに対するフェノールのモル比を3〜18とすることにより、ビスフェノールAの選択率を高選択率に保つことができる。なお、再結合反応器には、IPPに対してフェノールを過剰量で供給するため、工程(E)で固液分離して固形分を除去した回収母液から回収されたフェノールを用いることができる。
フェノールとIPPとを再結合させる際には、酸性触媒と接触させることにより行う。酸性触媒としては、工程(A)で使用されるものと同様の強酸性陽イオン交換樹脂を用いることが望ましい。
また、工程(G)における反応温度は、60〜100℃の範囲の温度とすることが好ましく、より好ましくは、65〜90℃、更に好ましくは、70〜80℃とすることが望ましい。反応温度を60〜100℃の範囲とすることにより、アダクトが析出する可能性がなくなり、その結果、再結合反応器内やプロセス配管内で詰まることがなくなり、また使用する触媒の劣化を起こす可能性もなくなる。
〔工程(H)〕
工程(H)は、工程(G)により得られたビスフェノールAを含む反応液を、前記工程(C)より上流に循環する循環工程である。再結合反応器を出たビスフェノールAを含む反応液は、具体的には、工程(A)に供給されるフェノール配管やアセトン配管に供給してもよいし、フェノール配管とアセトン配管とを合流させた配管の途中から合流させるようにして工程(A)に供給してもよいし、更には、直接、個別の配管を用いて工程(A)に供給してもよい。また、工程(B)を用いる場合は、工程(A)と工程(B)との間の配管に供給してもよいし、直接、個別の配管を用いて工程(B)に供給してもよい。そして、工程(A)を行って得られた反応液、又は工程(A)及び工程(B)を行って得られた濃縮液を工程(C)に送る配管の途中に供給してもよいし、直接、個別の配管を用いて工程(C)に供給してもよい。このようにして反応液を循環させることにより、再結合反応により生成したビスフェノールAは、工程(C)において、アダクト結晶として分離され、ビスフェノールAの収率を向上させることができる。
本発明のビスフェノールAの製造方法では、上記で説明した工程(A)〜工程(H)のうち、工程(A)、工程(C)、工程(F)、工程(G)及び工程(H)を順に行うことが必要であり、工程(D)及び工程(E)を行わず、工程(C)からの母液を工程(F)で処理することもできる。また、工程(B)を行わないで処理することもできる。しかし、好ましくは、工程(A)、工程(B)工程(C)、工程(D)、工程(E)工程(F)、工程(G)及び工程(H)の全てを順に行うことにより、ビスフェノールAの収率をより向上させ、またビスフェノールAを製造するために必要なエネルギーコストをより削減する観点からも好ましい。
本発明のビスフェノールAの製造方法によれば、再結合反応工程におけるイソプロペニルフェノールとフェノールとからビスフェノールAを製造する際に、フェノール使用量をできるだけ低減させることにより、再結合反応器を小型化することができ、従って、エネルギー使用量を低減させ、かつシンプルなプロセスにより高選択率でビスフェノールAを製造することができる。
以下の本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
実施例1
図1は、本実施例1のビスフェノールAの製造方法の工程図である。以下、図1に示した工程図に従って、実施例1で行ったビスフェノールAを製造方法について説明する。
触媒として、スルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、製品名「ダイヤイオンSK−104H」)に対して、2−メルカプトエチルアミンにてスルホン酸基の20モル%を部分中和したものを充填した固定床反応器に、初期供給量フェノール51.9t/hとアセトン4.5t/hとの混合物を、触媒層の温度を80℃に保ちながら、液空間速度1.0hr-1にて連続的に供給した。そして、ビスフェノールAを生成して、該ビスフェノールAを含む反応混合液を得た(工程(A))。
得られた反応混合液から、温度150℃、圧力40kPaの条件下で、主として未反応アセトン、反応生成水、低沸点物質を留去し、次いで温度90℃、圧力10kPaの条件下で、主としてフェノールを留去し、濃縮して、濃縮液を得た(工程(B))。
この濃縮液を、90℃から45℃まで冷却して、ビスフェノールAとフェノールとの付加物(アダクト)を含む固形分を晶析させた後、遠心分離機により分離して、当該固形物と、11.2t/hの母液とに分離した(工程(C))。なお、固形物については、洗浄し、溶融して、アダクト分解した後、温度170℃、圧力2kPaの条件下に操作された蒸留塔に送り、フェノールを留去回収した。そして、蒸留塔の塔底からビスフェノールAを含む溶液を抜き出し、更にスチームストリッピングにより当該溶液から残存フェノールを完全に除去して、6.3t/hのビスフェノールAを得た。
一方、遠心分離機で分離された11.2t/hの母液の全量を、温度70℃、液空間速度1hr-1の条件下でスルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、製品名「ダイヤイオンSK−104H」)に接触させ、異性化処理を行った(工程(D))。
そして、異性化処理後の溶液のうち、8.8t/hの溶液は、工程(B)の濃縮工程に戻し、残りの2.4t/hの溶液を、温度100℃、圧力5kPaの条件下で濃縮して一部フェノールを留去した後、50℃まで冷却して、ビスフェノールAとフェノールとの付加物(アダクト)を含む固形分を晶析させた後、遠心分離機で分離し、固形分を洗浄して、回収晶析固液分離工程を行い、0.7t/hの固形分と、1.7t/hの回収母液を得た(工程(E))。この固形分は、溶融した後、工程(B)の濃縮工程に戻した。
一方、上記の工程(E)で固形分を除去した回収母液は、温度160℃、圧力2kPaの条件下で、フェノールを蒸発させ、1.3t/hのフェノールを回収すると共に、0.4t/hの回収母液残渣物(残留母液)を得た。
この0.4t/hの回収母液残渣物(残留母液)を、10kg/hの25%水酸化ナトリウム水溶液を添加した後、塔底に反応槽を有するアルカリ分解反応塔の反応槽に供給し、温度250℃、圧力6.7kPaの条件下で操作し、反応塔の塔頂から0.21t/hのフェノール(0.10t/h)及びp−イソプロぺニルフェノール(IPP)(0.11t/h)を得、反応塔の塔底(反応槽)から0.17t/hのタール(残渣)を得た(工程(F))。
工程(F)の反応塔の塔頂から得たフェノール及びIPPを、工程(E)で固形分を除去した回収母液から回収したフェノール(1.3t/h)と混合して、IPPに対するフェノールのモル比率を18とし、触媒はスルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、製品名「ダイヤイオンSK−104H」)を充填した固定床再結合反応器に、触媒層の温度を60℃に保ちながら連続的に供給した。そして、ビスフェノールAを生成して、再結合反応器から該ビスフェノールAを含む反応混合液を得た(工程(G))。この反応混合液を高速液体クロマトグラフ(Waters社製、型式:2695、カラム:Inertsil(登録商標) ODS-3V ジーエルサイエンス(株)製)を用い、展開溶媒はアセトニトリル/水とし、40℃にて組成分析したところビスフェノールAの選択率は91.7%であった。
工程(G)から得られたビスフェノールAを含む反応混合液は、工程(A)の固定床反応器に供給(工程(H))して、ビスフェノールAを連続的に製造した。なお、プロセス配管等で析出したり、詰まったりすることはなかった。
上記工程からなるサイクルを繰り返し、供給フェノール及びアセトンを調整し、ビスフェノールAの生産量が6.3t/hで一定になるようにして一定時間経過後、供給フェノール量は5.40t/hとなり、供給アセトン量は1.70t/hであった。
実施例2
実施例1において、回収母液から回収したフェノール量を調整することによりIPPに対するフェノールのモル比率を10とし、固定床再結合反応器の触媒層の温度を80℃に保持した以外は、実施例1と同様に実施した。工程(G)からの反応混合液を高速液体クロマトグラフで組成分析したところビスフェノールAの選択率は90.4%であった。
工程(G)から得られたビスフェノールAを含む反応混合液は、工程(A)の固定床反応器に供給(工程(H))したが、プロセス配管等で析出したり、詰まったりすることはなかった。
実施例3
実施例1において、回収母液から回収したフェノール量を調整することによりIPPに対するフェノールのモル比率を3とし、固定床再結合反応器の触媒層の温度を100℃に保持した以外は、実施例1と同様に実施した。工程(G)からの反応混合液を高速液体クロマトグラフで組成分析したところビスフェノールAの選択率は90.1%であった。
工程(G)から得られたビスフェノールAを含む反応混合液は、工程(A)の固定床反応器に供給(工程(H))したが、プロセス配管等で析出したり、詰まったりすることはなかった。
実施例4
実施例1において、固定床再結合反応器の触媒層の温度を100℃に保持した以外は、実施例1と同様に実施した。工程(G)からの反応混合液を高速液体クロマトグラフで組成分析したところビスフェノールAの選択率は90.9%であった。
工程(G)から得られたビスフェノールAを含む反応混合液は、工程(A)の固定床反応器に供給(工程(H))したが、プロセス配管等で析出したり、詰まったりすることはなかった。
比較例1
実施例1において、回収母液から回収したフェノール量を調整することによりIPPに対するフェノールのモル比率を19とし、固定床再結合反応器の触媒層の温度を40℃に保持した以外は、実施例1と同様に実施した。固定床再結合反応器にIPP及びフェノールを供給して反応を行っている途中で、固定床再結合反応器内でアダクト結晶が析出し始め、連続的に再結合反応を行うことができなかった。なお、工程(G)からの初期反応混合液を高速液体クロマトグラフで組成分析したところビスフェノールAの選択率は85.7%であった。
比較例2
実施例1において、回収母液から回収したフェノール量を調整することによりIPPに対するフェノールのモル比率を2とし、固定床再結合反応器の触媒層の温度を80℃に保持した以外は、実施例1と同様に実施した。固定床再結合反応器にIPP及びフェノールを供給して反応を行っている途中で、固定床再結合反応器内でアダクト結晶が析出し始め、連続的に再結合反応を行うことができなかった。なお、工程(G)からの初期反応混合液を高速液体クロマトグラフで組成分析したところビスフェノールAの選択率は82.3%であった。
比較例3
実施例1において、回収母液から回収したフェノール量を調整することによりIPPに対するフェノールのモル比率を2とし、固定床再結合反応器の触媒層の温度を100℃に保持した以外は、実施例1と同様に実施した。固定床再結合反応器にIPP及びフェノールを供給して反応を行っている途中で、固定床再結合反応器内でアダクト結晶が析出し始め、連続的に再結合反応を行うことができなかった。なお、工程(G)からの初期反応混合液を高速液体クロマトグラフで組成分析したところビスフェノールAの選択率は81.5%であった。
実施例1〜4及び比較1〜3の工程(G)における反応条件と反応結果について第1表に示した。
Figure 2014037368
第1表に示すとおり、実施例1〜4の工程(G)における反応条件では、ビスエノールAの選択率が高く、結晶の析出もなく、装置の連続運転が可能であることを示している。一方、比較例1ではIPPに対するフェノールのモル比率が高いと、ビスフェノールAの選択率が低くなっていることがわかる。また、比較例1では結晶の析出が生じ、装置の連続運転ができないことを示している。
また、IPPに対するフェノールのモル比率が低い比較例2及び比較例3では、ビスフェノールAの選択率が低くなっているとともに、結晶の析出が生じ、装置の連続運転ができないことを示している。
また、実施例1〜4及び比較例1〜3の工程(G)に用いた触媒の劣化について検討したところ、耐用温度範囲内であり、いずれも適用可能であることがわかった。
本発明のビスフェノールAの製造方法によれば、フェノールとイソプロペニルフェノールとを再結合させてビスフェノールAを得る再結合工程において、フェノール使用量をできるだけ低減させることにより、再結合反応器の容積を小さくすることができるのでエネルギー使用量を低減させ、かつシンプルなプロセスにより高選択率でビスフェノールAを製造することができる。

Claims (4)

  1. 下記工程を順に含むビスフェノールAの製造方法において、工程(G)に供給されるイソプロペニルフェノールに対するフェノールのモル比を3〜18とすることを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
    工程(A):酸性触媒の存在下にアセトンとフェノールを縮合させ、ビスフェノールAを含む反応液を得る反応工程
    工程(C):ビスフェノールAを含む反応液から晶析によりビスフェノールAとフェノールからなる結晶を生成させて、該結晶と母液とに分離する晶析固液分離工程
    工程(F):晶析固液分離工程から得られる母液又は該母液を処理して得られる母液処理物をアルカリ性触媒の存在下に加熱、分解させて、フェノール及びイソプロペニルフェノールを回収するアルカリ分解工程
    工程(G):回収されたフェノール及び回収されたイソプロペニルフェノールを酸性触媒と接触させて、再結合させ、ビスフェノールAを含む反応液を得る再結合反応工程
    工程(H):工程(G)で得られた反応液を、工程(C)より上流に循環する循環工程
  2. 前記工程(G)の反応温度を60〜100℃とする請求項1に記載のビスフェノールAの製造方法。
  3. 前記工程(A)で得られたビスフェノールAを含む反応液を濃縮し、濃縮液を得る濃縮工程(B)を含む請求項1又は2に記載のビスフェノールAの製造方法。
  4. 前記工程(F)の母液処理物が、前記工程(C)で得られた母液を異性化処理する工程(D)を行い、次いで得られた異性化処理後の反応液をビスフェノールAとフェノールからなる回収結晶と回収母液とに分離する回収晶析固液分離工程(E)を行い、工程(E)で得られた該回収母液、又は該回収母液からフェノールを回収した後の回収母液残渣物である請求項1〜3のいずれかに記載のビスフェノールAの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104496761A (zh) * 2014-11-29 2015-04-08 南京威安新材料科技有限公司 一种制备双酚a的方法
WO2022145366A1 (ja) * 2020-12-28 2022-07-07 三菱ケミカル株式会社 ビスフェノールaの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法

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