JP6481424B2 - 触媒の抜き出し方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ビスフェノールAの生成反応に用いた触媒の抜き出し方法に関する。詳細には、当該触媒を反応器から抜き出す際に触媒を固化させずに、簡便に抜き出す方法に関する。
ビスフェノールA[2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン]は、エポキシ樹脂やポリカーボネート樹脂の原料などとして重要な化合物である。一般的に、ビスフェノールAは、酸性触媒の存在下で、フェノールとアセトンとの縮合反応により製造される。酸性触媒としては、塩酸等の鉱酸も使用されるが、触媒による装置の腐食やコストの面から、工業的にはスルホン酸のような酸性基を有する陽イオン交換樹脂が用いられている。
また、副生成物であるビスフェノールAの異性体[2−(4−ヒドロキシフェニル),2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン]からビスフェノールAを生成する異性化反応や、フェノールとイソプロペニルフェノールからビスフェノールAを生成する反応にも上述のような陽イオン交換樹脂が用いられている。
ビスフェノールAの生成反応に用いた触媒は、劣化等の理由により一定期間使用した後に交換が必要になる場合がある。触媒を交換するときは、通常、反応器から使用済の触媒を抜き出した後に新しい触媒を供給する。ビスフェノールAの生成反応を行った後の反応器内には、ビスフェノールAや未反応フェノールなどの成分が残存している。そこで、反応器内から触媒を抜き出そうとすると、触媒と接触しているビスフェノールAやフェノールなどの成分が外気などによる冷却によって固化するために触媒の流動性が低下し、抜き出し作業が困難になるという問題があった。
イオン交換樹脂は、一般的に、水に分散させたスラリー状態で移送されている(特許文献1参照)。そこで、イオン交換樹脂に付着した有機化合物を水及び/又は水蒸気を用いて洗浄するイオン交換樹脂の洗浄方法が提案されている(特許文献2参照)。また、ビスフェノールAの製造で使用したイオン交換樹脂触媒を反応器から抜き出す前に、反応器内を含水フェノールで置換することにより、触媒の固着を防ぐ方法や(特許文献3参照)、反応器内をフェノールで置換した後に更にフェノールを水で置換する方法などが知られている(特許文献4参照)。
特開平4−16243号公開公報 特開平6−55079号公開公報 特開平9−176070号公開公報 特開2007−111629号公開公報
しかしながら、これらの方法を用いた場合、イオン交換樹脂触媒が水を吸収して膨潤するためにその容量が増加してしまう上に、多量のフェノールを含む排水を処理しなければならなくなるという問題が生じてしまう。本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、ビスフェノールAの生成反応に用いた触媒の抜き出し方法について、当該触媒を反応器から抜き出す際に、触媒を固化させずに、簡便に抜き出す方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。この結果、反応器中のビスフェノールAを含むフェノール溶液を気体により加圧除去した後にイオン交換樹脂触媒を抜き出すことにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の第1の要旨は、ビスフェノールAの生成反応に用いた強酸型イオン交換樹脂触媒を反応器から抜き出す方法であって、前記反応器に気体を導入して加圧し、前記強酸型イオン交換樹脂触媒と接触しているビスフェノールAを含むフェノール溶液を前記反応器下部から押し出した後に、前記反応器から前記強酸型イオン交換樹脂触媒を抜き出すことを特徴とする触媒の抜き出し方法に存する。また、本発明の第2の要旨は、前記ビスフェノールAの生成反応が、フェノールとアセトンからビスフェノールAを生成させる縮合反応、ビスフェノールAの異性体をビスフェノールAに変化させる異性化反応及びフェノールとイソプロペニルフェノールからビスフェノールAを生成させる反応の少なくとも何れかの反応である、第1の要旨に記載の触媒の抜き出し方法に存する。本発明の第3の要旨は、前記加圧が0.05MPaG以上0.5MPaG以下である、第1又は第2の要旨に記載の触媒の抜き出し方法に存する。本発明の第4の要旨は、前記ビスフェノール化合物を含むフェノール溶液中にビスフェノール化合物が1重量%以上25重量%以下含まれている、第1乃至3の何れかの要旨に記載の触媒の抜き出し方法に存する。本発明の第5の要旨は、前記気体が不活性気体である、第1乃至4の何れかの要旨に記載の触媒の抜き出し方法に存する。
本発明によれば、ビスフェノールAの生成反応に用いた強酸型イオン交換樹脂触媒の抜き出し時に、触媒が接触している液を気体を用いて加圧して除去するという非常に簡便な方法により、触媒の固着させずに抜き出すことができる。また、触媒に付着しているフェノールは、融点が低いため、室温に冷めると、触媒に付着したフェノールの固化による触媒の塊ができやすいが、本発明の方法によってフェノールを除去することにより、水を添加してフェノール溶液の融点を下げなくても、フェノール固化が起こり難いため、廃液量を少なくすることができると共に、触媒から水添加により発生する臭気も抑制することができる。
以下、本発明の触媒の抜き出し方法の実施の形態について、詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態などに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
本発明の触媒の抜き出し方法は、ビスフェノールAの生成反応(以下、「本発明に係るビスフェノールAの生成反応」と言う場合がある)に用いた強酸型イオン交換樹脂触媒を反応器から抜き出す方法である。本発明の触媒の抜き出し方法は、反応器中でビスフェノールAを含むフェノール溶液と接触している強酸型イオン交換樹脂触媒について、反応器に気体を導入して加圧することにより、ビスフェノールAを含むフェノール溶液を反応器下部から押し出した後、強酸型イオン交換樹脂触媒を抜き出す。
<ビスフェノールAの生成反応に用いる触媒など>
本発明の触媒の抜き出し方法において、ビスフェノールAの生成反応に用いられる強酸型イオン交換樹脂触媒(以下、「本発明に係る強酸型イオン交換樹脂触媒」と言う場合がある)としては、スルホン酸型陽イオン交換樹脂触媒が好ましく、スチレン系モノマーと架橋性モノマーとを含む重合性モノマーの共重合反応で得られたスチレン系共重合体にスルホン酸基を導入した触媒等が更に好ましい。
本発明に係る強酸型イオン交換樹脂触媒の粒径は、固定床でダウンフローにて用いる場
合の差圧を下げることができる点では大きいことが好ましい。一方、ビスフェノールAの生成反応の選択性や活性などの点では小さいことが好ましい。そこで、本発明に係る強酸型イオン交換樹脂触媒の平均粒径は、通常200μm以上であることが好ましく、400μm以上であることが更に好ましく、また、一方、通常1500μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることが更に好ましい。
本発明に係る強酸型イオン交換樹脂触媒の粒径は、ビスフェノールAの生成反応を固定床流通方式で行う場合に触媒充填層における圧力損失を低レベルに抑えることができる点では揃っていることが好ましい。また、触媒層に対する原料の供給圧力を高くする必要がなく、加圧による触媒粒子の磨耗や微細化が生じ難く、触媒充填層の寿命が長くなりやすい上に、エネルギー消費量が少なく経済性に優れる点でも粒径の均一係数(D60/D10)は小さいことが好ましい。そこで、粒径の均一係数は、1.40以下であることが好ましく、1.10以下であることが更に好ましい。
好ましい市販品としては、三菱化学株式会社製の「Diaion SK104」、「Diaion SK1B」、「Diaion PK208」、「Diaion PK212」及び「Diaion PK216」;Rohm and Haas Chemical社製の「A−121」、「A−232」及び「A−131」;Thermax社製の「T−38」、「T−66」及び「T−3825」;Bayer社製の「Lewatit K1131」及び「Lewatit K1221」、Dow Chemical社製の「D
owex 50W2X」、「Dowex 50W4X」及び「Dowex 50W8X」;Ion Exchange India社製の「Indion 180」及び「Indi
on 225」;Purolite社製の「Purolite CT−222」及び「P
urolite CT−122」等が挙げられる。
また、本発明に係る強酸型イオン交換樹脂触媒は、ゲル型であることが好ましい。
本発明に係るビスフェノールAの生成反応においては、反応の転化率及び選択率等を向上させるために、含イオウアミン化合物などの助触媒を強酸型イオン交換樹脂触媒と共存させて用いることが好ましい。
助触媒としては、例えば、チオール基または保護されたチオール基を含有する化合物(以下、「チオール化合物」と略記することがある)などが挙げられる。
含イオウアミン化合物としては、アミノアルカンチオール、チアゾリジン及びピジリンアルカンチオールが好ましく、2,2’−ジメチルチアゾリジン、アミノエタンチオール、2−(2−ピリジル)エタンチオール、および2−(4−ピリジル)エタンチオールが更に好ましく、2−(2−ピリジル)エタンチオールが特に好ましい。なお、これらの化合物は、一種を単独で用いても二種以上を任意の比率と組み合わせで用いてもよい。
助触媒を触媒と共存させる方法としては、(1)反応原料中に助触媒を供給する方法と、(2)助触媒でイオン交換樹脂触媒を変性させる方法とがある。(2)の方法としては、例えば、触媒としてスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用い、助触媒としてチオール化合物を用いる場合、アミノ基等のスルホン酸基と結合し得る官能基を含有しているチオール化合物(例えば、アミノアルカンチオール化合物、ピリジンアルカンチオール化合物等)により、スルホン酸基を変性させたスルホン酸型陽イオン交換樹脂を使用する方法などがある。(2)の方法は、助触媒が反応生成物中に混入し難い点において、前記(1)の方法よりも優れている。
(2)の場合における助触媒による強酸型イオン交換樹脂の変性率は、経時劣化による助触媒の脱離を考慮すると高いことが好ましい。一方、助触媒のコストや助触媒により触媒の酸部位が潰れてしまう点を考慮すると低いことが好ましい。そこで、(2)の場合に
おける助触媒による強酸型イオン交換樹脂の変性率は、通常5%以上であり、好ましくは8%以上であり、より好ましくは10%以上であり、また、一方、通常45%以下であり、好ましくは35%以下であり、より好ましくは30%以下である。
本発明に係るビスフェノールAの生成反応においては、触媒樹脂と反応液との密度差が大きくないため、触媒分離作業が要らなくなることから、強酸型イオン交換樹脂触媒は、固定床反応器に充填されていることが好ましい。
<ビスフェノールAの製造方法>
ビスフェノールAの製造方法としては、以下の各工程を有する方法などが工業的に好ましい方法として知られている。
すなわち、ビスフェノールAは、フェノールとアセトンとを縮合反応させる「反応工程(A)」、得られた反応混合物から低沸点成分を分離することによりビスフェノールAを濃縮する「濃縮工程(B)」、濃縮された組成物を晶析することによりアダクト結晶(ビスフェノールAとフェノールとの付加物)を含むスラリーを形成した後、該アダクト結晶と母液とを分離する「晶析−固液分離工程(C)」、母液から分離されたアダクト結晶からフェノールを分離してビスフェノールAを回収する「フェノール除去工程(D)」、及びアダクト結晶から分離された母液を精製する「母液精製工程(E)」の各工程を有する製造方法により製造することができる。
また、効率良くビスフェノールAを製造する観点から、ビスフェノールAの製造方法は、上記反応工程(A)〜母液精製工程(E)に加え、更に「異性化工程(F)」、「母液濃縮工程(G)」及び「回収・晶析−固液分離工程(H)」を有していることが好ましい。
ここで、反応工程(A)のフェノールとアセトンからビスフェノールAを生成する縮合反応、異性化工程(F)のビスフェノールAの異性体をビスフェノールAに異性化する反応及び母液精製工程(E)のフェノールとイソプロペニルフェノールからビスフェノールAを再結合させる反応が、本発明に係るビスフェノールAの生成反応に相当する。なお、本発明の触媒の抜き出し方法は、これらの何れか1つのビスフェノールAの生成反応に用いた触媒を抜き出すときに行っても良いし、全てのビスフェノールAの生成反応に用いた触媒を抜き出すときに行っても良い。
<反応工程(A)>
反応工程(A)では、本発明に係る強酸型イオン交換樹脂触媒の存在下で、フェノールとアセトンとを接触させることにより縮合反応させる。反応工程(A)では、助触媒を共存させておくことが好ましい。原料のフェノールとアセトンは、通常、化学量論的にフェノール過剰で反応させる。すなわち、フェノールとアセトンとの供給モル比(フェノール/アセトン比)は、通常3以上、好ましくは5以上であり、また、一方で、通常30以下、好ましくは20以下である。反応温度は、通常50℃〜100℃である。反応圧力は、通常、常圧〜600kPa(絶対圧力)である。反応器に供給する原料混合物の液空間速度は、通常0.2〜50時間−1である。
原料のアセトンとしては、工業的に入手可能なものであれば、特に制限されずに使用することができる。原料のアセトンとしては、例えば、市販のアセトン、他の反応プロセスで得られたアセトン含有組成物から精製して得たアセトン、後述する濃縮工程(B)で分離された未反応アセトン、及びこれらの混合物などを使用することができる。原料のアセトンにメタノール等のアルコール類;アセトアルデヒド等のアルデヒド類及びケトン類が含まれている場合は、触媒の活性低下が起こり難いことから、予め蒸留等により除去しておくことが好ましい。
原料のフェノールとしては、工業的に入手可能なものであれば、特に制限されずに使用
することができる。原料のフェノールとしては、市販品をそのまま使用しても良い。但し、原料フェノール中に不純物が含まれている場合は、予め酸性イオン交換樹脂のような酸性触媒と接触させることにより不純物を重質化させた後に蒸留などにより除去した精製フェノールを使用することが好ましい。なお、この精製フェノールは、後述する晶析−固液分離工程(C)に供給することも好ましい。
<濃縮工程(B)>
濃縮工程(B)においては、上記の反応工程(A)で得られた反応混合物から低沸点成分を分離することによりビスフェノールAを濃縮する。ここで、低沸点成分とは、反応混合物に含まれるフェノールよりも低沸点の成分のことを言う。具体的には、例えば、未反応のアセトン、反応で副生する水、原料に不純物として含まれるアルコールなどが挙げられる。濃縮工程(B)における低沸点成分の分離方法は、反応混合物から低沸点成分を分離できれば特に限定はない。具体例を挙げると、反応工程(A)で得られた反応混合物を、蒸留塔を用いて蒸留し、蒸留塔の塔頂から低沸点成分を分離する方法などが挙げられる。なお、ここで、ビスフェノールA及びフェノールは、通常、塔底液に含まれる。上記蒸留塔は、1基または複数基の公知のものが使用できる。蒸留は、常圧で行っても良いが、低温の供給熱源を用いて蒸留することによりビスフェノールAの熱分解を抑制しやすいことから減圧蒸留により行うことが好ましい。減圧蒸留は、通常、温度50〜150℃、圧力50〜300mmHgで行われる。なお、低沸点成分の分離においては、反応混合物中に含まれる未反応フェノールの一部を低沸点成分と共に塔頂から抜き出しても良い。また、塔頂から低沸点成分を抜き出した後、反応混合物中に残留しているフェノールを更に蒸留塔を用いて抜き出す、または、反応混合物にフェノールを添加することによりビスフェノールA濃度を調整してもよい。
濃縮工程(B)により低沸点成分を分離されたビスフェノールAを含む組成物は、晶析−固液分離工程(C)の晶析原料になる。
<晶析−固液分離工程(C)>
晶析−固液分離工程(C)においては、上記の濃縮工程(B)で得られた晶析原料から、ビスフェノールAとフェノールとの付加物であるアダクト結晶(以下、「本発明に係るアダクト結晶」と称することがある)を含むスラリーを形成した後、このスラリーを本発明に係るアダクト結晶と母液とに分離する。晶析装置としては、通常、連続晶析装置が使用される。
連続晶析装置としては、ジャケットや内部コイルによる冷却方式の晶析装置、外部循環冷却式晶析装置、蒸発冷却式晶析装置などが知られている。晶析−固液分離工程(C)の晶析に用いる連続晶析装置は、これらの何れの装置でも良く、特に制限はないが、装置が簡便であることから外部循環冷却式晶析装置とジャケット式晶析装置が好適に使用される。外部循環冷却式晶析装置は、晶析槽とその外部に配置された冷却器とを配管、バルブ等から成る循環路で形成されて成り、冷却器としては、多管式冷却器が好適に使用される。外部循環冷却式晶析装置は、微結晶を溶解するための溶解槽または加熱器を具備することが好ましい。ジャケット式晶析装置は、晶析を行う容器の周囲にジャケットを有し、当該ジャケット内に冷媒を通し、当該容器の壁面を介して冷却するタイプである。容器内に攪拌翼やバッフルを具備し、内液が良好に攪拌できるものが好ましい。
晶析−固液分離工程(C)の晶析に用いる晶析装置は、晶析により得られる結晶の形状やサイズを制御するために、分級装置を装置内に具備又は外部に併設していても良い。分級装置としては、結晶の形状やサイズによる結晶の沈降速度の差を利用したもの、溶解速度の差を利用したもの等が挙げられる。また、必要に応じ、晶析操作の途中で加熱又は結晶の一部を溶解させても良い。加熱又は結晶の一部を溶解させる場合は、冷媒に代えて熱媒を使用すれば良い。
固液分離装置としては、例えば、遠心分離機、水平ベルトフィルター、ロータリーバキュームフィルター、ロータリープレッシャーフィルター、遠心沈降分離器、及びこれらのハイブリッド型の遠心分離器(スクリーンボールデカンタ)などが用いられる。すなわち、晶析−固液分離工程(C)においては、上記の晶析により形成されたアダクト結晶を含むスラリーを、遠心分離機などの固液分離装置を用いて、アダクト結晶と母液とに分離する。固液分離においては、アダクト結晶の純度と脱液性の向上のために、分離されたアダクト結晶をフェノール含有液により洗浄することが好ましい。また、分離された母液は、反応工程(A)の反応器に循環させることが好ましい。
<フェノール除去工程(D)>
フェノール除去工程(D)においては、上記晶析−固液分離工程(C)で分離されたアダクト結晶からフェノールを分離することにより、ビスフェノールAを回収する。フェノール除去工程(D)では、通常、100〜200℃にアダクト結晶を加熱溶融し、得られた溶融液から、例えば、蒸留装置、薄膜蒸発器、フラッシュ蒸発器などを使用することにより、フェノールを除去する方法などが採用される。また、これらの方法でフェノール除去後に溶融液中に残存している微量のフェノールを除去するために、上記の操作を行った後、更にスチームストリッピング等により残存フェノールを除去し、ビスフェノールAを精製しても良い。これらの方法は、例えば、特開昭63−132850号公開公報、特開平2−28126号公開公報などに記載されている。
上記のようにして得られる溶融状態のビスフェノールAは、通常、造粒塔やフレーカーに送られて、そこで固体のプリルやフレークとされて、製品ビスフェノールAとなる。溶融状態のビスフェノールAを、造粒塔を用いて固体のプリル状にする場合、例えば、溶融状態のビスフェノールAは、造粒塔の塔頂に送液され、塔頂に設置されたノズルプレートに設けられた多数の孔より噴霧される。噴霧された溶融液は、造粒塔の塔底から上昇する循環ガスにより冷却され、塔底よりプリルと呼ばれる粒子状の固体として抜き出され、製品ビスフェノールAとなる。但し、ビスフェノールAを溶融法によるポリカーポネート樹脂の製造に供する場合などは、ビスフェノールAを固体とせずに溶融状態のまま次工程に移送しても良い。
<母液精製工程(E)>
母液精製工程(E)においては、上記晶析−固液分離工程(C)で分離された母液の少なくとも一部について、ビスフェノールAの異性体などの不純物をビスフェノールAに変換するなどにより母液を精製する。母液を精製する方法としては、特に限定されず、公知の方法を適宜に採用することができる。母液から高沸点な成分を除く方法としては、例えば、蒸留などが挙げられる。また、母液に含まれる不純物を有用成分に変換する方法としては、上記晶析−固液分離工程(C)で分離された母液をアルカリ性物質の存在下で加熱することにより、ビスフェノールA及びその異性体[2−(4−ヒドロキシフェニル),2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン]をフェノールとイソプロペニルフェノールとに分解するアルカリ分解工程と、このフェノールとイソプロペニルフェノールとを本発明に係る強酸型イオン交換樹脂触媒等と接触させることにより再結合させてビスフェノールAを生成させる再結合反応工程を含む方法などが挙げられる。なお、アルカリ分解工程の前処理として、不純物濃度を上げて分解反応の効率を上げるために濃縮処理を行うことが好ましい。
<異性化工程(F)など>
ビスフェノールAの回収率が高まることから、上記母液精製工程(E)の前には、下記異性化工程(F)〜回収・晶析−固液分離工程(H)を行うことが好ましい。異性化工程(F)においては、上記晶析−固液分離工程(C)で分離された母液の少なくとも一部を
、本発明に係る強酸型イオン交換樹脂触媒等と接触させることにより、母液中のビスフェノールAの異性体をビスフェノールAに変換させる。また、母液濃縮工程(G)においては、異性化工程(F)を行った液からフェノールなどを蒸留などにより分離することにより該液を濃縮し、ビスフェノールAを晶析に適した濃度に調整する。回収・晶析−固液分離工程(H)においては、母液濃縮工程(G)で濃縮した液から本発明に係るアダクト結晶を含むスラリーを形成した後、このスラリーを本発明に係るアダクト結晶と母液とに分離する。母液は、前述の母液精製工程(E)へ送り、回収・晶析−固液分離工程(H)で分離されたアダクト結晶は、メインプロセスに送られる。また、異性化工程(F)を実施した後の母液を、反応工程(A)の入口や出口に戻すことによっても、ビスフェノールAの回収率を上げることが可能である。これらの各工程は、具体的には、例えば、特開2009―242316号公開公報に記載の方法などにより行うことができる。
本発明の触媒の抜き出し方法は、常温において固結しやすいフェノールやビスフェノールAを含むことから、反応工程(A)のフェノールとアセトンからビスフェノールAを生成する縮合反応に用いた触媒の抜き出しに適用することが好ましい。また、「異性化工程(F)のビスフェノールAの異性体をビスフェノールAにする異性化反応に用いた触媒の抜き出しや母液精製工程(E)のフェノールとイソプロペニルフェノールからビスフェノールAを再結合させる反応に用いた触媒の抜き出しに適用することも好ましい。
<使用後の触媒>
上記工程(A)、(E)及び(F)のような本発明に係るビスフェノールAの生成反応に用いた強酸型イオン交換樹脂触媒は、使用による劣化で交換が必要になるなど、使用後にこれを抜き出す必要が生じる場合がある。ここで、ビスフェノールAの生成反応に用いた触媒は、反応器中でビスフェノールAを含むフェノール溶液と接触した状態にある。
該フェノール溶液の組成は、反応器に供給する原料等の組成、反応条件、反応の停止方法などにより異なるが、通常ビスフェノールAが1重量%以上25重量%以下含有されている。
<触媒の抜き出し方法>
本発明の触媒の抜き出し方法においては、反応器に気体を導入して加圧し、反応器中で触媒と接触しているフェノール溶液を反応器下部へ押し出した後に、触媒を反応器から抜き出す。すなわち、反応器からフェノール溶液を加圧により押し出すことにより、触媒表面のフェノール溶液を効率良く除き、フェノールの固化による触媒の固着が起こり難くなる。特に、気体を用いてフェノール溶液を加圧して押し出すため、フェノール溶液を単に自重で反応器下部から抜き出す場合に比べ、触媒と触媒との間にある液も含め短時間に抜きやすい。特に、反応器が直径数メートル等の大型である場合、フェノール溶液を自重で抜き出した後は、触媒が反応器内に不均一に残り、気体が流れやすい部分をチャネリングして流れてしまうため、フェノール溶液が流れ難い部分でフェノール溶液の固化が起こり易いと考えられる。
反応器への気体の供給は、通常、反応器上部から行う。また、反応器への気体の供給は、通常、反応器内のフェノール溶液が触媒より上まである状態で開始する。なお、ここで、反応器上部とは、反応器内のフェノール溶液の液面より上方のことを言う。また、フェノール溶液を押し出す反応器下部とは、通常、フェノール溶液を押し出した後に反応器内に残る触媒の下面より下方のことを言う。
フェノール溶液の押し出しに用いる気体は、反応器中で触媒と接触しているフェノール溶液を押し出すことができれば良いが、反応器中で触媒と接触しているフェノール溶液と反応しない気体であることが好ましい。安全面から不活性気体が好ましく、費用面から窒素又はアルゴンが更に好ましく、窒素が特に好ましい。また、不活性気体は、水蒸気などに比べ、順次凝縮することが無いため、一定の圧力で押し出しやすく、フェノール溶液に
混入し難い点でも好ましい。
本発明の触媒の抜き出し方法においては、反応器中で触媒と接触しているフェノール溶液を、気体を用いて加圧することにより反応器下部から押し出す。容器内の圧力は、フェノール溶液が固まる前に短時間で押し出しやすい点では高圧にすることが好ましい。一方、液抜き後に抜きだしたフェノール溶液を入れるタンクが加圧仕様である必要が無く、圧力を安定的に制御しやすい点では容器内は低圧にすることが好ましい。そこで、具体的には、圧力は、0.05MPaG以上の加圧であることが好ましく、0.1MPaG以上の加圧であることが更に好ましく、また、一方で、0.5MPaG以下の加圧であることが好ましく、0.2MPaG以下の加圧であることが更に好ましい。
フェノール溶液の加圧押し出しに用いる気体の量は、反応器内のフェノール溶液の量を加圧押し出すことにより減らせれば良い。すなわち、通常、抜き出したフェノール溶液を入れるタンク等に気体が抜けるまで気体を供給する。なお、フェノール溶液の加圧押し出しに用いる気体は、フェノール溶液が冷え難いことからフェノール溶液の液温より高温であることが好ましい。
気体により押し出されるフェノール溶液は、フェノール溶液が固化しない温度に保たれていることが好ましい。また、触媒の抜き出し作業時にやけどの危険性が低く、抜き出しに用いる樹脂製ホースの変形などが起こり難い点では、低温であることが好ましい。フェノール溶液の凝固点は、フェノール溶液の組成に依存して異なるが、通常50℃以上80℃以下とすることが好ましい。本発明の触媒の抜き出し方法は、フェノール溶液を気体を用いて加圧して押し出す。そこで、フェノール溶液を短時間で抜き出しやすいために、フェノール溶液が外気で冷却される前に抜き出すことが可能となる。
フェノール溶液を押し出された反応器内にある触媒は、反応器の下部〜上部の何れの部分から抜き出しても良い。但し、残留フェノールによる薬傷や火傷などの危険性が低いことから、反応器上部よりバキューム車等により吸引して抜き出すことが好ましい。
なお、反応器内における触媒の流動性を上げるために、水を加えても良い。水を加える場合、触媒内部に存在していたフェノールやビスフェノールAが水に溶出して触媒表面で固化する可能性があるため、少量とすることが好ましい。
抜き出した触媒は、通常、輸送用容器に移され、焼却施設等の処理施設に輸送される。輸送用容器は、密閉できる容器が好ましい。具体的には、例えば、バキューム車のタンクなどが挙げられる。
なお、本発明に係るビスフェノールAの生成反応において含イオウアミン化合物を用いる場合、触媒抜き出しに水を用いると臭気が発生しやすいことが本発明者らの検討により判明した。臭気は、触媒の使用に伴い、含イオウアミン化合物が変質することにより生成した硫化水素、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル、メチルイソプロピルスルフィドなどの含硫黄化合物によるものと考えられる。本発明の触媒の抜き出し方法は、触媒抜き出し時に水を用いたとしても少量で済むことから、強い臭気は生じ難いと考えられる。そこで、触媒の流動性の低下や臭気の発生が起こり難い点から、本発明の触媒の抜き出し方法で水を用いる場合は、触媒と接しているフェノールに対して、5重量%以下となるように用いることが好ましく、0.5重量%以下となるように用いることが更に好ましい。
以下、本発明の内容を実施例により説明する。但し、本発明は以下の実施例によりなんら限定されるものではない。
[実施例1]
上述のフェノールとアセトンとを縮合反応させる「反応工程(A)」、得られた反応混合物から低沸点成分を分離することによりビスフェノールAを濃縮する「濃縮工程(B)」、濃縮された組成物を晶析することによりアダクト結晶を含むスラリーを形成した後、該アダクト結晶と母液とを分離する「晶析−固液分離工程(C)」、母液から分離されたアダクト結晶からフェノールを分離してビスフェノールAを回収する「フェノール除去工程(D)」、及びアダクト結晶から分離された母液を精製する「母液精製工程(E)」の各工程を有する方法によりビスフェノールAを製造した。
母液精製工程(E)においては、上記晶析−固液分離工程(C)で分離された母液を水酸化ナトリウムの存在下で加熱した後に、未変性強酸型陽イオン交換樹脂触媒(三菱化学社製「Diaion SK104」;平均粒径730μm、均一係数(D60/D10)1.5)と接触させることにより、フェノールとイソプロペニルフェノールを再結合させ、ビスフェノールAを生成させた。この再結合反応に用いた触媒を、以下の操作により反応器から抜き出した。この再結合反応器中で触媒は、ビスフェノールA濃度が11重量%である65℃のフェノール溶液中に浸漬された状態になっていた。先ず、反応器上部から反応器内に窒素ガスを約1時間流し、反応器内が0.15MPaGとなるように加圧することにより、反応器下部からフェノール溶液を押し出した。その後、反応器上部に設置されているマンホールから、バキューム車に接続されたホースを挿入し、吸引することにより反応器から触媒を抜き出した。取り出された触媒は、流動性を有していた。なお、フェノールの廃液(反応器から押し出されたフェノール溶液)は22mであった。
[実施例2]
実施例1において、「フェノール除去工程(D)」と「母液精製工程(E)」の間に、「異性化工程(F)」、「母液濃縮工程(G)」及び「回収・晶析−固液分離工程(H)」を有する方法によりビスフェノールAを製造した。
異性化工程(F)においては、ビスフェノールAの異性体(2,4′−体)を、未変性強酸型陽イオン交換樹脂触媒(三菱化学社製「Diaion SK104」;平均粒径730μm、均一係数(D60/D10)が1.5)と接触させることにより、ビスフェノールA(4,4′−体)に異性化させた。この異性化反応に使用された触媒を、実施例1と同様の操作により反応器から抜き出した。なお、異性化反応器中で触媒は、ビスフェノールA濃度が10重量%である65℃のフェノール溶液中に浸漬された状態になっていた。抜き出された触媒は、流動性を有していた。なお、フェノールの廃液(反応器から押し出されたフェノール溶液)は23mであった。
[実施例3]
反応器中で、2−(4−ピリジル)エタンチオール変性強酸型陽イオン交換樹脂触媒(三菱化学社製「Diaion SK104」;平均粒径730μm、均一係数(D60/D10)が1.5)を用いて、フェノールとアセトンとを供給モル比(フェノール/アセトン)3〜30で接触させ縮合反応させることにより、ビスフェノールAを合成した。この縮合反応器中でビスフェノールA濃度が14重量%である65℃のフェノール溶液に浸漬された状態になっていた変性強酸型陽イオン交換樹脂触媒を、以下の操作により反応器から抜き出した。先ず、反応器上部から反応器内に窒素ガスを約1時間流し、反応器内が0.15MPaGとなるように加圧することにより、反応器下部からフェノール溶液を押し出した。その後、フェノールを供給し、24時間、60t・時間―1で反応器と隣接タンク間で循環させた。循環させたフェノールを、窒素ガスを用いて、先の反応後のフェノール溶液の場合と同様の方法で圧力をかけて反応器から押し出した。その後、反応器上部に設置されているマンホールから、バキューム車に接続されたホースを挿入し、吸引することにより反応器から触媒を抜き出した。取り出された触媒は、流動性を有していた。なお、フェノールの廃液は、反応後の残留フェノール溶液と循環させたフェノールを合わせ
て470mであった。なお、触媒を抜き出した時に含イオウアミン化合物由来と思われる臭気は少なかった。
[実施例4]
実施例3について、均一係数(D60/D10)が1.05以下である強酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の15%を2−(2−ピリジル)エタンチオールで変性させた触媒を用いた以外は、実施例3と同様に触媒を抜き出した。実施例3と同様、抜き出された触媒は、流動性を有していた。また、触媒を抜き出した時に含イオウアミン化合物由来と思われる臭気は少なかった。
[実施例5]
実施例3について、フェノールの代わりに、水を10重量%含むフェノールを循環させた以外は、実施例3と同様に触媒を抜き出した。実施例3と同様、抜き出された触媒は、流動性を有していたが、含イオウアミン化合物由来と思われる臭気が発生した。
[比較例1]
実施例3について、反応後に反応器内を常圧の窒素でパージすることにより残留フェノール溶液を自重で反応器下部から抜き出した以外は、実施例3と同様に触媒を抜き出そうとしたが、触媒が固着してしまい、全量抜き出すことができなかった。
上記の結果より、本発明の触媒の抜き出し方法により、簡便に、触媒を固化させずに抜き出せることが裏付けられた。
[参考例1]
含水率20重量%の含水フェノールと、使用済みの変性強酸型陽イオン交換樹脂とを接触させた場合に発生する臭気物質とその濃度を特定するために以下の実験を行った。
実施例3に記載の使用済み変性強酸型イオン交換樹脂触媒6gを、80℃に加温したジャケット付きガラスカラム(内径10mm、高さ200mm)に充填し、含水率20重量%のフェノール8.5ミリリットルを加えて3分間保持した。次に、該カラムに窒素ガスを常圧で30ミリリットル/分で1分間通気して液を排出し、その後3時間窒素ガスの通気を継続し、触媒を通過したガスをサンプリングバッグにて捕集した。捕集したガスをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、ガス中のジメチルスルフィド濃度は10.7重量ppm、メチルイソプロピルスルフィド濃度は0.6重量ppmであった。
[参考例2]
含水率10重量%の含水フェノールと、使用済み変性強酸型陽イオン交換樹脂とを接触させた場合に生成する物質及びその濃度を特定するために以下の実験を行った。
参考例1において、使用済みの強酸型陽イオン交換樹脂と接触させるフェノールの含水率を10重量%とした以外は参考例1と同様に実施した。その結果、ガス中のジメチルスルフィド濃度は1.9重量ppm、メチルイソプロピルスルフィドは検出されなかった。
[参考例3]
含水率5重量%の含水フェノールと、使用済み変性強酸型陽イオン交換樹脂とを接触させた場合に生成する臭気物質及びその濃度を特定するために以下の実験を行った。
参考例1において、使用済みの変性強酸型陽イオン交換樹脂と接触させるフェノールの含水率を5重量%とした以外は参考例1と同様に実施した。ガス中にジメチルスルフィド、およびメチルイソプロピルスルフィドは検出されなかった。
[参考例4]
含水率0.1重量%の含水フェノールと、使用済み変性強酸型陽イオン交換樹脂とを接触させた場合に生成する臭気物質及びその濃度を特定するために以下の実験を行った。
参考例1において、使用済みの変性強酸型陽イオン交換樹脂と接触させるフェノールの含水率を0.1重量%とした参考例1と同様に実施した。ガス中にジメチルスルフィド、
およびメチルイソプロピルスルフィドは検出されなかった。
本発明の触媒の抜き出し方法は、水を添加してフェノール溶液の融点を下げなくてもフェノール固化が起こり難いため、本発明の触媒の抜き出し方法により触媒を抜き出すことにより、臭気の発生を抑制できることが確認された。

Claims (5)

  1. ビスフェノールAの生成反応に用いた強酸型イオン交換樹脂触媒を反応器から抜き出す
    方法であって、前記反応器に不活性気体を導入して加圧し、前記強酸型イオン交換樹脂触
    媒と接触しているビスフェノールAを含むフェノール溶液を前記反応器下部から押し出し
    た後に、前記反応器から前記強酸型イオン交換樹脂触媒を抜き出すことを特徴とする触媒
    の抜き出し方法。
  2. 前記ビスフェノールAの生成反応が、フェノールとアセトンからビスフェノールAを生
    成させる縮合反応、ビスフェノールAの異性体をビスフェノールAに変化させる異性化反
    応及びフェノールとイソプロペニルフェノールからビスフェノールAを生成させる反応の
    少なくとも何れかの反応である、請求項1に記載の触媒の抜き出し方法。
  3. 前記加圧が0.05MPaG以上0.5MPaG以下である、請求項1又は2に記載の
    触媒の抜き出し方法。
  4. 前記ビスフェノールAを含むフェノール溶液中にビスフェノール化合物が1重量%以上
    25重量%以下含まれている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の触媒の抜き出し方法
  5. 前記不活性気体が窒素又はアルゴンである、請求項1乃至4の何れか1項に記載の触媒
    の抜き出し方法。
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